JP2004181906A - エンボスシートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】凹凸形状の変更の自由度を有し、微細凹凸パターンの形状精度が良好であり、かつ、シート材に傷、剥離ムラ等の欠点を生じさせないエンボスシートの製造方法を提供する。
【解決手段】表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートの製造方法。樹脂製フィルム10の表面に、この樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤12をパターン状に塗布する工程と、塗布後の所定時間経過時に溶剤を除去する工程と、を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートの製造方法。樹脂製フィルム10の表面に、この樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤12をパターン状に塗布する工程と、塗布後の所定時間経過時に溶剤を除去する工程と、を有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンボスシートの製造方法に係り、特に、微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートの製造方法に関する。このエンボスシートは、主にプラスチックレンズ、防眩シート、拡散シート等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レンチキュラーレンズやフライアイレンズ等の平板状レンズ、電子ディスプレイ用途の光拡散シート、反射防止シート、輝度向上シート、光導波路シート等の光学シートが使用されている。このようなシート状物の製造は、平板状の金型を使用したプレス成形により製造されたり、エンボスロールを使用したロール成形により製造されたりしている。
【0003】
これらの先行技術の例として、放射線硬化型樹脂をシート表面に塗布した後に、ロール状のスタンパを押し付けて凹凸形状を得る提案がなされている(特許文献1参照)。また、加熱した熱可塑性プラスチックシートの表面に凹凸形状を形成した後、冷却してロールから剥離させる提案がなされている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−262958号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平6−182869号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の提案のような構成では、凹凸形状を変更するためには、エンボスロール等を他のものと交換する必要があり、凹凸形状の変更の自由度に乏しいという問題点がある。
【0007】
また、シート材にエンボスロール等を接触させるので、その際にシート材に傷を生じさせたり、シート材にエンボスロール等の形状が精確に転写できなかったり、エンボスロール等からシート材を剥離させる際にシート材に剥離ムラ欠点を生じさせたりするという問題点をも有する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、凹凸形状の変更の自由度を有し、微細凹凸パターンの形状精度が良好であり、かつ、シート材に傷、剥離ムラ等の欠点を生じさせないエンボスシートの製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートの製造方法であって、樹脂製フィルムの表面に、該樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤をパターン状に塗布する工程と、前記塗布後の所定時間経過時に前記溶剤を除去する工程と、を有することを特徴とするエンボスシートの製造方法を提供する。
【0010】
本発明によれば、樹脂製フィルムの表面に、この樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤をパターン状に塗布する。これにより、溶剤樹脂を塗布されたパターン部分のフィルムのみが溶解又は膨潤する。溶解した場合はその箇所が窪み、膨潤した場合はその箇所が突出する。したがって、これにより表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートが得られることとなる。このエンボスシートの製法は、形状変更の自由度を有し、形状精度が良好であり、かつ、シート材に傷、剥離ムラ等の欠点を生じさせないという効果を有する。
【0011】
本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程は、前記溶剤を吐出ヘッドより液滴状に吐出させるとともに、前記吐出ヘッドと前記樹脂製フィルムとを相対移動させることにより行われることが好ましい。このように、溶剤を吐出ヘッドより液滴状に吐出させるとともに、この吐出ヘッドと樹脂製フィルムとを相対移動させれば、溶剤のパターン状の塗布が高精度で行えるからである。なお、この構成は、インクジェットプリンタと略同様の構成を採用する。
【0012】
また、本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程は、略全表面に前記パターン状の複数の吸引孔が設けられているフィルム支持テーブル上に前記樹脂製フィルムをセットする工程と、前記吸引孔より吸引を行い、前記樹脂製フィルムの該吸引孔上の部分を凹状に変形させる工程と、前記樹脂製フィルムの凹状変形部分に前記溶剤を選択的に塗布する工程と、を含むことが好ましい。
【0013】
このように、フィルムのパターン部を吸引により凹状に変形させ、この凹状変形部分に溶剤を選択的に塗布すれば、溶剤が流れて拡散することも防げ、微細凹凸パターンが良好に形成できるからである。
【0014】
また、本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程の前に、前記樹脂製フィルムに前記パターン状の親水処理を施す工程を設けることが好ましい。このように、フィルムのパターン部に親水処理を施せば、溶剤の塗布位置が多少ずれても塗布精度が確保できるからである。なお、親水処理とは、たとえば、UV(紫外線)の照射により接触角を低下させる方式が挙げられる。
【0015】
また、本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程の前に、前記樹脂製フィルムの前記パターン部以外の部分に疎水処理を施す工程を設けることが好ましい。このように、フィルムのパターン部に疎水処理を施せば、溶剤の塗布位置が多少ずれても塗布精度が確保できるからである。なお、疎水処理とは、たとえば、撥水製の塗料を印刷(たとえば、オフセット印刷)する方式が挙げられる。
【0016】
また、本発明において、前記溶剤の濃度、前記溶剤の塗布量、前記パターンのサイズ、又は、前記溶剤を除去する所定時間、のいずれか1以上をコントロールすることにより凹凸パターンを可変とすることが好ましい。このように、凹凸パターンの自由度を持たせてこそ、本発明の効果が良好に発揮できるからである。
【0017】
また、本発明において、前記溶剤を除去する工程の後に、前記樹脂製フィルムを他の樹脂製フィルムとラミネートする工程を設けることが好ましい。たとえば、フィルムのパターン部を吸引により凹状に変形させる際にはフィルムの厚さが小さい方が効果的である。一方、エンボスシートとしては、所定の厚さを要求されることもある。このような場合、樹脂製フィルムを他の樹脂製フィルムとラミネートすれば、上記全ての要求を満足できる。なお、他の樹脂製フィルムの材質、厚さ等は任意に選択が可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明に係るエンボスシートの製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、エンボスシートの製造フローを説明する概略図であり、第1の実施の形態を示す。図2は、樹脂製フィルムのパターン部が吸引により凹状に変形した状態を示す概略図である。図3及び図4は、エンボスシートの形成工程を説明する拡大断面図であり、図3は、樹脂を溶剤により膨潤させる例であり、図4は、樹脂を溶剤により溶解させる例である。
【0019】
図1に示されるエンボスシートの製造装置において、原材料となる樹脂製のフィルム10は、原反ロール14より所定速度で送り出される。そして、全表面にパターン状の複数の吸引孔18a(図3、図4参照)が設けられているフィルム支持テーブル18上に吸引保持されつつ搬送される。その際、フィルム10の吸引孔18a上の部分が吸引により凹状に変形される。図2は、この変形した状態を示す概略図であり、フィルム10の略全面に変形部10aが形成されている。
【0020】
フィルム支持テーブル18は、金属製のエンドレスベルトより形成されており、ガイドローラ20、20…により支持されながら所定速度で矢印方向に循環移動する。既述のように、フィルム支持テーブル18の略全面には、複数の吸引孔18aが設けられており、また、上面に位置するフィルム支持テーブル18の部分の下面全面には吸引箱18bが設けられており、図示しない吸引手段、たとえば、ロータリー式の真空ポンプにより吸引できるようになっている。フィルム支持テーブル18の長さ(図1において紙面の左右方向)は、フィルム10の搬送速度、フィルム10の材質、溶剤12の組成等により適宜の値が選択できる。
【0021】
このフィルム支持テーブル18の複数の吸引孔18aの形成は、フォトエッチング、レーザ加工、超音波加工等が採用できる。なお、フィルム支持テーブル18の材質は、金属製のエンドレスベルト以外にも、吸引孔18aの径等によっては、多孔質の材料、たとえば、焼結金属等が適用できる。
【0022】
また、フィルム支持テーブル18の複数の吸引孔18aの孔径を微小に、かつ、吸引孔18aの配置を密にする場合、強度的等の理由により、吸引孔18aの全てをフィルム支持テーブル18の面に形成できない場合もあり得る。この場合には、フィルム支持テーブル18を2段直列に設け、吸引孔18aの配置を分割することも可能である。
【0023】
フィルム支持テーブル18の左端部上方には溶剤供給口16が配されており、フィルム10の全幅(図1において紙面の垂直方向)に溶剤12が塗布できるようになっている。溶剤供給口16の右方にはスクレーパ22が下端部がフィルム10と接するように配されており、フィルム10に塗布された余分な溶剤12を掻き取ることができるようになっている。これにより、フィルム10の凹状変形部分に溶剤12を選択的に塗布した状態となる。
【0024】
フィルム支持テーブル18の右方には洗浄装置24が設けられており、フィルム10に塗布された溶剤12を、塗布後の所定時間経過時に除去できるようになっている。洗浄装置24の方式は、水によるスプレー洗浄、水による高圧洗浄、スクラブ洗浄等公知の各種洗浄方式が採用できる他、溶剤12の吸引、他の溶剤による置換・乾燥等の方式も採用できる。
【0025】
洗浄装置24の右方には乾燥装置26が設けられており、フィルム10の乾燥ができるようになっている。乾燥装置26の方式は、熱風乾燥、加熱したローラに接触させる伝熱乾燥、熱輻射乾燥、溶剤蒸気乾燥等公知の各種乾燥方式が採用できる。
【0026】
乾燥装置26の右方には第2原反ロール28及び巻き取りロール34が設けられており、第2原反ロール28より繰出されるラミネート用フィルム30が乾燥後のフィルム10の下面に供給・積層され、エンボスシート32として巻き取りロール34に巻き取られる。
【0027】
他に、エンボスシートの製造装置全体を通して、図示しない廃ガス除去装置が必要な箇所毎に設けられており、溶剤12等の回収が図られている。
【0028】
次に、エンボスシートの製造装置を使用した、エンボスシートの製造方法について説明する。
【0029】
使用されるフィルム10の材質としては、各種の樹脂材料等が使用でき、たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリエステル、エチレンビニルアセテート(EVA)等が好適に使用できる。また、複数の樹脂材料を2層又は3層に構成したシート状物も使用できる。
【0030】
エンボスシート32の用途がレンチキュラーレンズ等の平板状レンズ、電子ディスプレイ用途の光拡散シートのような透明体である場合には、フィルム10には透明な樹脂材料等を使用できる。一方、エンボスシート32の用途が電子ディスプレイ用途の反射防止シートのような反射体である場合には、フィルム10には、たとえば、中間層にアルミニウム膜を設けた3層構造のラミネートシートを使用できる。
【0031】
使用される溶剤12の材質としては、フィルム10の樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤であれば特に制限はないが、たとえば、樹脂を溶解させ得る溶剤12としては熱メタクレゾール、ニトロベンゼンが使用でき、樹脂を膨潤させ得る溶剤12としてはフェノール、モノクロルベンゼンが使用できる。
【0032】
図3は、エンボスシートの形成工程を説明する拡大断面図であり、樹脂を溶剤により膨潤させる例である。同図(a)において、吸引孔18a上のフィルム10の部分が矢印方向の吸引により凹状に変形されている。そして、フィルム10の凹状変形部分に、溶剤12が選択的に塗布された直後の状態を示している。
【0033】
図3(b)は上記の状態から所定時間経過した状態を示しており、溶剤12が選択的に塗布された部分の樹脂が溶剤12により膨潤した状態を示している。図3(c)は、吸引を解除し、洗浄装置24による洗浄、乾燥装置26による乾燥がなされた後の状態を示すものである。図のように、フィルム10のパターン部が凸状に形成されている。
【0034】
図4は、エンボスシートの他の形成工程を説明する拡大断面図であり、樹脂を溶剤により溶解させる例である。同図(a)において、吸引孔18a上のフィルム10の部分が矢印方向の吸引により凹状に変形されている。そして、フィルム10の凹状変形部分に、溶剤12が選択的に塗布された直後の状態を示している。
【0035】
図4(b)は上記の状態から所定時間経過した状態を示しており、溶剤12が選択的に塗布された部分の樹脂が溶剤12により溶解した状態を示している。図4(c)は、吸引を解除し、洗浄装置24による洗浄、乾燥装置26による乾燥がなされた後の状態を示すものである。図のように、フィルム10のパターン部が凹状に形成されている。
【0036】
次に、本発明に係るエンボスシートの製造方法の好ましい他の実施の形態について詳説する。図5は、エンボスシートの製造フローを説明する概略図であり、第2の実施の形態を示す。なお、図1(第1の実施の形態)と同一・類似の部材については同様の符合を付し、その説明を省略する。
【0037】
本実施の形態においては、図1の溶剤供給口16、フィルム支持テーブル18及びスクレーパ22に代えて溶剤吐出装置36が使用されており、溶剤12を吐出ヘッド38より液滴状に吐出させるとともに、吐出ヘッド38とフィルム10とを相対移動させる構成が採用されている。
【0038】
溶剤吐出装置36は、コンティニュアス型インクジェットプリンタと同様の構成であり、吐出ヘッド38と溶剤回収装置40と電極42とより構成される。吐出ヘッド38は、溶剤12を液滴状に吐出させるものであり、吐出機構は、ピエゾ方式、サーマルジェット方式のいずれも採用できる。溶剤12は、常に液滴状に吐出されている。
【0039】
溶剤回収装置40は、液滴状に吐出された溶剤12を回収し、吐出ヘッド38へ循環させるものであり、配管、液送手段を備える。電極42は、電荷をかけることにより、溶剤12の液滴を偏向させるためのものであり、選択したときのみフィルム10に溶剤12の液滴が吐出される。
【0040】
溶剤吐出装置36の吐出ヘッド38は複数設ける方が作業速度の点より好ましく、たとえば、紙面の垂直方向の1列配置で12ヘッド設けることができる。
【0041】
吐出ヘッド38とフィルム10とを相対移動させる構成は、フィルム10は、紙面右方に駆動され、吐出ヘッド38は図示しない駆動装置(直動機構)により紙面の垂直方向に駆動される構成が採用できる。この場合、12ヘッドの吐出ヘッド38が紙面の垂直方向の1列分(フィルム10の全幅分)移動した後に、フィルム10が紙面右方にステップ状に1列幅分駆動される構成とすればよい。
【0042】
この溶剤吐出装置36は、インクジェットプリンタと同様の構成を採用することより、塗布パターンを微細にコントロールできると言ったメリットがある。たとえば、解像度を360dpiとすることができる。一方、インクジェットプリンタのインクと異なり、溶剤12は粘度が低く、また、濡れ性が高いことより、塗布パターンを微細にコントロールするには、粘度調整剤等を添加して粘度等を高くすることが好ましい。
【0043】
なお、溶剤吐出装置36として、コンティニュアス型以外に、オンデマンド型インクジェットプリンタと同様の構成を採用することもできる。
【0044】
本実施の形態では、第1の実施の形態において、フィルム10の凹状変形部分に溶剤12が選択的に塗布される構成に代えて、フィルム10のパターン部分(変形はない)に溶剤12が選択的に塗布される構成となり、作用、効果は図3及び図4と同様となる。従って、その説明は省略する。
【0045】
以上、本発明に係るエンボスシートの製造方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0046】
たとえば、本実施形態において、親水処理を施す工程、疎水処理を施す工程のいずれも採用されなかったが、これらを第1の実施の形態又は第2の実施の形態と組み合わせることは任意である。その場合、これらの複合された効果が得られる。
【0047】
また、溶剤12の濃度、溶剤12の塗布量、パターンのサイズ、又は、溶剤12を除去する所定時間、のいずれか1以上をコントロールすることにより凹凸パターンを可変とする各種の態様が採り得る。このように、凹凸パターンの自由度を持たせてこそ、本発明の効果が良好に発揮できるからである。
【0048】
更に、巻き取りロール34の箇所において、巻き取り圧力によってエンボスシート32の凹凸パターンが変形する懸念がある場合には、エンボスシート32の両エッジ部分(両側端部)にエンボス処理(ロール加工)を施し、凹凸パターンより高い凹凸を形成してこの凹凸により巻き取り圧力を受ける構成を採用できる。
【0049】
また、エンボスシート32を巻き取りロール34で巻き取らず、所定サイズに裁断しながら集積させる方式をも採用できる。
【0050】
【実施例】
図1に示されるエンボスシートの製造装置を使用して、エンボスシートの製造を行った。フィルム10として、幅300mm、厚さ50μmのPET表面にPMMAを0.3μm厚でコートしたシートを使用した。フィルム10の搬送速度は10m/分とした。溶剤としてメチルエチルケトンを使用した。
【0051】
フィルム支持テーブル18の吸引孔18aの径は0.5mmとし、吸引孔18aの配置は、図2に示されるような千鳥配列とし、吸引孔18a同士のピッチは1mmとした。フィルム支持テーブル18における吸引は、吸引箱18bが0.1気圧以下となるように制御した。溶剤供給口16のからPMMA面に供給された溶剤12は、瞬時にスクレーパ22で掻き取られ、フィルム10の凹状変形部分にのみ選択的に塗布された。
【0052】
洗浄装置24は、高圧水洗方式とし、塗布後の所定時間である20秒経過後に洗浄が開始される構成とした。乾燥装置26は、熱風加熱方式とした。
【0053】
以上の条件で製造されたエンボスシート32には全面に均一な凹凸パターンが形成され、シート材に傷、ムラ等の欠点は生じなかった。このエンボスシート32を切断し、断面を顕微鏡で撮影したところ、高さ0.15μmの断面円弧状の窪みが形成されていることが確認された。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂製フィルムの表面に、この樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤をパターン状に塗布する。これにより、溶剤樹脂を塗布されたパターン部分のフィルムのみが溶解又は膨潤する。溶解した場合はその箇所が窪み、膨潤した場合はその箇所が突出する。したがって、これにより表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートが得られることとなる。このエンボスシートの製法は、形状変更の自由度を有し、形状精度が良好であり、かつ、シート材に傷、剥離ムラ等の欠点を生じさせないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるエンボスシートの製造フローを説明する概略図
【図2】フィルムのパターン部が吸引により凹状に変形した状態を示す概略図
【図3】エンボスシートの形成工程を説明する拡大断面図
【図4】エンボスシートの他の形成工程を説明する拡大断面図
【図5】本発明におけるエンボスシートの他の製造フローを説明する概略図
【符号の説明】
10…フィルム、12…溶剤、14…原反ロール、16…溶剤供給口、18…フィルム支持テーブル、20…ガイドローラ、22…スクレーパ、24…洗浄装置、26…乾燥装置、28…第2原反ロール、30…ラミネート用フィルム、32…エンボスシート、34…巻き取りロール、36…溶剤吐出装置、38…吐出ヘッド
【発明の属する技術分野】
本発明はエンボスシートの製造方法に係り、特に、微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートの製造方法に関する。このエンボスシートは、主にプラスチックレンズ、防眩シート、拡散シート等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レンチキュラーレンズやフライアイレンズ等の平板状レンズ、電子ディスプレイ用途の光拡散シート、反射防止シート、輝度向上シート、光導波路シート等の光学シートが使用されている。このようなシート状物の製造は、平板状の金型を使用したプレス成形により製造されたり、エンボスロールを使用したロール成形により製造されたりしている。
【0003】
これらの先行技術の例として、放射線硬化型樹脂をシート表面に塗布した後に、ロール状のスタンパを押し付けて凹凸形状を得る提案がなされている(特許文献1参照)。また、加熱した熱可塑性プラスチックシートの表面に凹凸形状を形成した後、冷却してロールから剥離させる提案がなされている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−262958号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平6−182869号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の提案のような構成では、凹凸形状を変更するためには、エンボスロール等を他のものと交換する必要があり、凹凸形状の変更の自由度に乏しいという問題点がある。
【0007】
また、シート材にエンボスロール等を接触させるので、その際にシート材に傷を生じさせたり、シート材にエンボスロール等の形状が精確に転写できなかったり、エンボスロール等からシート材を剥離させる際にシート材に剥離ムラ欠点を生じさせたりするという問題点をも有する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、凹凸形状の変更の自由度を有し、微細凹凸パターンの形状精度が良好であり、かつ、シート材に傷、剥離ムラ等の欠点を生じさせないエンボスシートの製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートの製造方法であって、樹脂製フィルムの表面に、該樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤をパターン状に塗布する工程と、前記塗布後の所定時間経過時に前記溶剤を除去する工程と、を有することを特徴とするエンボスシートの製造方法を提供する。
【0010】
本発明によれば、樹脂製フィルムの表面に、この樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤をパターン状に塗布する。これにより、溶剤樹脂を塗布されたパターン部分のフィルムのみが溶解又は膨潤する。溶解した場合はその箇所が窪み、膨潤した場合はその箇所が突出する。したがって、これにより表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートが得られることとなる。このエンボスシートの製法は、形状変更の自由度を有し、形状精度が良好であり、かつ、シート材に傷、剥離ムラ等の欠点を生じさせないという効果を有する。
【0011】
本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程は、前記溶剤を吐出ヘッドより液滴状に吐出させるとともに、前記吐出ヘッドと前記樹脂製フィルムとを相対移動させることにより行われることが好ましい。このように、溶剤を吐出ヘッドより液滴状に吐出させるとともに、この吐出ヘッドと樹脂製フィルムとを相対移動させれば、溶剤のパターン状の塗布が高精度で行えるからである。なお、この構成は、インクジェットプリンタと略同様の構成を採用する。
【0012】
また、本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程は、略全表面に前記パターン状の複数の吸引孔が設けられているフィルム支持テーブル上に前記樹脂製フィルムをセットする工程と、前記吸引孔より吸引を行い、前記樹脂製フィルムの該吸引孔上の部分を凹状に変形させる工程と、前記樹脂製フィルムの凹状変形部分に前記溶剤を選択的に塗布する工程と、を含むことが好ましい。
【0013】
このように、フィルムのパターン部を吸引により凹状に変形させ、この凹状変形部分に溶剤を選択的に塗布すれば、溶剤が流れて拡散することも防げ、微細凹凸パターンが良好に形成できるからである。
【0014】
また、本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程の前に、前記樹脂製フィルムに前記パターン状の親水処理を施す工程を設けることが好ましい。このように、フィルムのパターン部に親水処理を施せば、溶剤の塗布位置が多少ずれても塗布精度が確保できるからである。なお、親水処理とは、たとえば、UV(紫外線)の照射により接触角を低下させる方式が挙げられる。
【0015】
また、本発明において、前記溶剤をパターン状に塗布する工程の前に、前記樹脂製フィルムの前記パターン部以外の部分に疎水処理を施す工程を設けることが好ましい。このように、フィルムのパターン部に疎水処理を施せば、溶剤の塗布位置が多少ずれても塗布精度が確保できるからである。なお、疎水処理とは、たとえば、撥水製の塗料を印刷(たとえば、オフセット印刷)する方式が挙げられる。
【0016】
また、本発明において、前記溶剤の濃度、前記溶剤の塗布量、前記パターンのサイズ、又は、前記溶剤を除去する所定時間、のいずれか1以上をコントロールすることにより凹凸パターンを可変とすることが好ましい。このように、凹凸パターンの自由度を持たせてこそ、本発明の効果が良好に発揮できるからである。
【0017】
また、本発明において、前記溶剤を除去する工程の後に、前記樹脂製フィルムを他の樹脂製フィルムとラミネートする工程を設けることが好ましい。たとえば、フィルムのパターン部を吸引により凹状に変形させる際にはフィルムの厚さが小さい方が効果的である。一方、エンボスシートとしては、所定の厚さを要求されることもある。このような場合、樹脂製フィルムを他の樹脂製フィルムとラミネートすれば、上記全ての要求を満足できる。なお、他の樹脂製フィルムの材質、厚さ等は任意に選択が可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明に係るエンボスシートの製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、エンボスシートの製造フローを説明する概略図であり、第1の実施の形態を示す。図2は、樹脂製フィルムのパターン部が吸引により凹状に変形した状態を示す概略図である。図3及び図4は、エンボスシートの形成工程を説明する拡大断面図であり、図3は、樹脂を溶剤により膨潤させる例であり、図4は、樹脂を溶剤により溶解させる例である。
【0019】
図1に示されるエンボスシートの製造装置において、原材料となる樹脂製のフィルム10は、原反ロール14より所定速度で送り出される。そして、全表面にパターン状の複数の吸引孔18a(図3、図4参照)が設けられているフィルム支持テーブル18上に吸引保持されつつ搬送される。その際、フィルム10の吸引孔18a上の部分が吸引により凹状に変形される。図2は、この変形した状態を示す概略図であり、フィルム10の略全面に変形部10aが形成されている。
【0020】
フィルム支持テーブル18は、金属製のエンドレスベルトより形成されており、ガイドローラ20、20…により支持されながら所定速度で矢印方向に循環移動する。既述のように、フィルム支持テーブル18の略全面には、複数の吸引孔18aが設けられており、また、上面に位置するフィルム支持テーブル18の部分の下面全面には吸引箱18bが設けられており、図示しない吸引手段、たとえば、ロータリー式の真空ポンプにより吸引できるようになっている。フィルム支持テーブル18の長さ(図1において紙面の左右方向)は、フィルム10の搬送速度、フィルム10の材質、溶剤12の組成等により適宜の値が選択できる。
【0021】
このフィルム支持テーブル18の複数の吸引孔18aの形成は、フォトエッチング、レーザ加工、超音波加工等が採用できる。なお、フィルム支持テーブル18の材質は、金属製のエンドレスベルト以外にも、吸引孔18aの径等によっては、多孔質の材料、たとえば、焼結金属等が適用できる。
【0022】
また、フィルム支持テーブル18の複数の吸引孔18aの孔径を微小に、かつ、吸引孔18aの配置を密にする場合、強度的等の理由により、吸引孔18aの全てをフィルム支持テーブル18の面に形成できない場合もあり得る。この場合には、フィルム支持テーブル18を2段直列に設け、吸引孔18aの配置を分割することも可能である。
【0023】
フィルム支持テーブル18の左端部上方には溶剤供給口16が配されており、フィルム10の全幅(図1において紙面の垂直方向)に溶剤12が塗布できるようになっている。溶剤供給口16の右方にはスクレーパ22が下端部がフィルム10と接するように配されており、フィルム10に塗布された余分な溶剤12を掻き取ることができるようになっている。これにより、フィルム10の凹状変形部分に溶剤12を選択的に塗布した状態となる。
【0024】
フィルム支持テーブル18の右方には洗浄装置24が設けられており、フィルム10に塗布された溶剤12を、塗布後の所定時間経過時に除去できるようになっている。洗浄装置24の方式は、水によるスプレー洗浄、水による高圧洗浄、スクラブ洗浄等公知の各種洗浄方式が採用できる他、溶剤12の吸引、他の溶剤による置換・乾燥等の方式も採用できる。
【0025】
洗浄装置24の右方には乾燥装置26が設けられており、フィルム10の乾燥ができるようになっている。乾燥装置26の方式は、熱風乾燥、加熱したローラに接触させる伝熱乾燥、熱輻射乾燥、溶剤蒸気乾燥等公知の各種乾燥方式が採用できる。
【0026】
乾燥装置26の右方には第2原反ロール28及び巻き取りロール34が設けられており、第2原反ロール28より繰出されるラミネート用フィルム30が乾燥後のフィルム10の下面に供給・積層され、エンボスシート32として巻き取りロール34に巻き取られる。
【0027】
他に、エンボスシートの製造装置全体を通して、図示しない廃ガス除去装置が必要な箇所毎に設けられており、溶剤12等の回収が図られている。
【0028】
次に、エンボスシートの製造装置を使用した、エンボスシートの製造方法について説明する。
【0029】
使用されるフィルム10の材質としては、各種の樹脂材料等が使用でき、たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリエステル、エチレンビニルアセテート(EVA)等が好適に使用できる。また、複数の樹脂材料を2層又は3層に構成したシート状物も使用できる。
【0030】
エンボスシート32の用途がレンチキュラーレンズ等の平板状レンズ、電子ディスプレイ用途の光拡散シートのような透明体である場合には、フィルム10には透明な樹脂材料等を使用できる。一方、エンボスシート32の用途が電子ディスプレイ用途の反射防止シートのような反射体である場合には、フィルム10には、たとえば、中間層にアルミニウム膜を設けた3層構造のラミネートシートを使用できる。
【0031】
使用される溶剤12の材質としては、フィルム10の樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤であれば特に制限はないが、たとえば、樹脂を溶解させ得る溶剤12としては熱メタクレゾール、ニトロベンゼンが使用でき、樹脂を膨潤させ得る溶剤12としてはフェノール、モノクロルベンゼンが使用できる。
【0032】
図3は、エンボスシートの形成工程を説明する拡大断面図であり、樹脂を溶剤により膨潤させる例である。同図(a)において、吸引孔18a上のフィルム10の部分が矢印方向の吸引により凹状に変形されている。そして、フィルム10の凹状変形部分に、溶剤12が選択的に塗布された直後の状態を示している。
【0033】
図3(b)は上記の状態から所定時間経過した状態を示しており、溶剤12が選択的に塗布された部分の樹脂が溶剤12により膨潤した状態を示している。図3(c)は、吸引を解除し、洗浄装置24による洗浄、乾燥装置26による乾燥がなされた後の状態を示すものである。図のように、フィルム10のパターン部が凸状に形成されている。
【0034】
図4は、エンボスシートの他の形成工程を説明する拡大断面図であり、樹脂を溶剤により溶解させる例である。同図(a)において、吸引孔18a上のフィルム10の部分が矢印方向の吸引により凹状に変形されている。そして、フィルム10の凹状変形部分に、溶剤12が選択的に塗布された直後の状態を示している。
【0035】
図4(b)は上記の状態から所定時間経過した状態を示しており、溶剤12が選択的に塗布された部分の樹脂が溶剤12により溶解した状態を示している。図4(c)は、吸引を解除し、洗浄装置24による洗浄、乾燥装置26による乾燥がなされた後の状態を示すものである。図のように、フィルム10のパターン部が凹状に形成されている。
【0036】
次に、本発明に係るエンボスシートの製造方法の好ましい他の実施の形態について詳説する。図5は、エンボスシートの製造フローを説明する概略図であり、第2の実施の形態を示す。なお、図1(第1の実施の形態)と同一・類似の部材については同様の符合を付し、その説明を省略する。
【0037】
本実施の形態においては、図1の溶剤供給口16、フィルム支持テーブル18及びスクレーパ22に代えて溶剤吐出装置36が使用されており、溶剤12を吐出ヘッド38より液滴状に吐出させるとともに、吐出ヘッド38とフィルム10とを相対移動させる構成が採用されている。
【0038】
溶剤吐出装置36は、コンティニュアス型インクジェットプリンタと同様の構成であり、吐出ヘッド38と溶剤回収装置40と電極42とより構成される。吐出ヘッド38は、溶剤12を液滴状に吐出させるものであり、吐出機構は、ピエゾ方式、サーマルジェット方式のいずれも採用できる。溶剤12は、常に液滴状に吐出されている。
【0039】
溶剤回収装置40は、液滴状に吐出された溶剤12を回収し、吐出ヘッド38へ循環させるものであり、配管、液送手段を備える。電極42は、電荷をかけることにより、溶剤12の液滴を偏向させるためのものであり、選択したときのみフィルム10に溶剤12の液滴が吐出される。
【0040】
溶剤吐出装置36の吐出ヘッド38は複数設ける方が作業速度の点より好ましく、たとえば、紙面の垂直方向の1列配置で12ヘッド設けることができる。
【0041】
吐出ヘッド38とフィルム10とを相対移動させる構成は、フィルム10は、紙面右方に駆動され、吐出ヘッド38は図示しない駆動装置(直動機構)により紙面の垂直方向に駆動される構成が採用できる。この場合、12ヘッドの吐出ヘッド38が紙面の垂直方向の1列分(フィルム10の全幅分)移動した後に、フィルム10が紙面右方にステップ状に1列幅分駆動される構成とすればよい。
【0042】
この溶剤吐出装置36は、インクジェットプリンタと同様の構成を採用することより、塗布パターンを微細にコントロールできると言ったメリットがある。たとえば、解像度を360dpiとすることができる。一方、インクジェットプリンタのインクと異なり、溶剤12は粘度が低く、また、濡れ性が高いことより、塗布パターンを微細にコントロールするには、粘度調整剤等を添加して粘度等を高くすることが好ましい。
【0043】
なお、溶剤吐出装置36として、コンティニュアス型以外に、オンデマンド型インクジェットプリンタと同様の構成を採用することもできる。
【0044】
本実施の形態では、第1の実施の形態において、フィルム10の凹状変形部分に溶剤12が選択的に塗布される構成に代えて、フィルム10のパターン部分(変形はない)に溶剤12が選択的に塗布される構成となり、作用、効果は図3及び図4と同様となる。従って、その説明は省略する。
【0045】
以上、本発明に係るエンボスシートの製造方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0046】
たとえば、本実施形態において、親水処理を施す工程、疎水処理を施す工程のいずれも採用されなかったが、これらを第1の実施の形態又は第2の実施の形態と組み合わせることは任意である。その場合、これらの複合された効果が得られる。
【0047】
また、溶剤12の濃度、溶剤12の塗布量、パターンのサイズ、又は、溶剤12を除去する所定時間、のいずれか1以上をコントロールすることにより凹凸パターンを可変とする各種の態様が採り得る。このように、凹凸パターンの自由度を持たせてこそ、本発明の効果が良好に発揮できるからである。
【0048】
更に、巻き取りロール34の箇所において、巻き取り圧力によってエンボスシート32の凹凸パターンが変形する懸念がある場合には、エンボスシート32の両エッジ部分(両側端部)にエンボス処理(ロール加工)を施し、凹凸パターンより高い凹凸を形成してこの凹凸により巻き取り圧力を受ける構成を採用できる。
【0049】
また、エンボスシート32を巻き取りロール34で巻き取らず、所定サイズに裁断しながら集積させる方式をも採用できる。
【0050】
【実施例】
図1に示されるエンボスシートの製造装置を使用して、エンボスシートの製造を行った。フィルム10として、幅300mm、厚さ50μmのPET表面にPMMAを0.3μm厚でコートしたシートを使用した。フィルム10の搬送速度は10m/分とした。溶剤としてメチルエチルケトンを使用した。
【0051】
フィルム支持テーブル18の吸引孔18aの径は0.5mmとし、吸引孔18aの配置は、図2に示されるような千鳥配列とし、吸引孔18a同士のピッチは1mmとした。フィルム支持テーブル18における吸引は、吸引箱18bが0.1気圧以下となるように制御した。溶剤供給口16のからPMMA面に供給された溶剤12は、瞬時にスクレーパ22で掻き取られ、フィルム10の凹状変形部分にのみ選択的に塗布された。
【0052】
洗浄装置24は、高圧水洗方式とし、塗布後の所定時間である20秒経過後に洗浄が開始される構成とした。乾燥装置26は、熱風加熱方式とした。
【0053】
以上の条件で製造されたエンボスシート32には全面に均一な凹凸パターンが形成され、シート材に傷、ムラ等の欠点は生じなかった。このエンボスシート32を切断し、断面を顕微鏡で撮影したところ、高さ0.15μmの断面円弧状の窪みが形成されていることが確認された。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂製フィルムの表面に、この樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤をパターン状に塗布する。これにより、溶剤樹脂を塗布されたパターン部分のフィルムのみが溶解又は膨潤する。溶解した場合はその箇所が窪み、膨潤した場合はその箇所が突出する。したがって、これにより表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートが得られることとなる。このエンボスシートの製法は、形状変更の自由度を有し、形状精度が良好であり、かつ、シート材に傷、剥離ムラ等の欠点を生じさせないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるエンボスシートの製造フローを説明する概略図
【図2】フィルムのパターン部が吸引により凹状に変形した状態を示す概略図
【図3】エンボスシートの形成工程を説明する拡大断面図
【図4】エンボスシートの他の形成工程を説明する拡大断面図
【図5】本発明におけるエンボスシートの他の製造フローを説明する概略図
【符号の説明】
10…フィルム、12…溶剤、14…原反ロール、16…溶剤供給口、18…フィルム支持テーブル、20…ガイドローラ、22…スクレーパ、24…洗浄装置、26…乾燥装置、28…第2原反ロール、30…ラミネート用フィルム、32…エンボスシート、34…巻き取りロール、36…溶剤吐出装置、38…吐出ヘッド
Claims (7)
- 表面に微細凹凸パターンが形成されたエンボスシートの製造方法であって、
樹脂製フィルムの表面に、該樹脂を溶解又は膨潤させ得る溶剤をパターン状に塗布する工程と、
前記塗布後の所定時間経過時に前記溶剤を除去する工程と、
を有することを特徴とするエンボスシートの製造方法。 - 前記溶剤をパターン状に塗布する工程は、
前記溶剤を吐出ヘッドより液滴状に吐出させるとともに、前記吐出ヘッドと前記樹脂製フィルムとを相対移動させることにより行われる請求項1に記載のエンボスシートの製造方法。 - 前記溶剤をパターン状に塗布する工程は、
略全表面に前記パターン状の複数の吸引孔が設けられているフィルム支持テーブル上に前記樹脂製フィルムをセットする工程と、
前記吸引孔より吸引を行い、前記樹脂製フィルムの該吸引孔上の部分を凹状に変形させる工程と、
前記樹脂製フィルムの凹状変形部分に前記溶剤を選択的に塗布する工程と、
を含む請求項1に記載のエンボスシートの製造方法。 - 前記溶剤をパターン状に塗布する工程の前に、
前記樹脂製フィルムに前記パターン状の親水処理を施す工程を設ける請求項1、2又は3のいずれか1項に記載のエンボスシートの製造方法。 - 前記溶剤をパターン状に塗布する工程の前に、
前記樹脂製フィルムの前記パターン部以外の部分に疎水処理を施す工程を設ける請求項1、2又は3のいずれか1項に記載のエンボスシートの製造方法。 - 前記溶剤の濃度、前記溶剤の塗布量、前記パターンのサイズ、又は、前記溶剤を除去する所定時間、のいずれか1以上をコントロールすることにより凹凸パターンを可変とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンボスシートの製造方法。
- 前記溶剤を除去する工程の後に、前記樹脂製フィルムを他の樹脂製フィルムとラミネートする工程を設ける請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンボスシートの製造方法。
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KR100671462B1 (ko) | 2004-08-20 | 2007-01-22 | 주식회사 엘지에스 | 광소자 제조방법 및 광소자 제조용 몰드 |
JP2008100378A (ja) * | 2006-10-17 | 2008-05-01 | Dainippon Printing Co Ltd | パターン形成体の製造方法 |
JP2010144091A (ja) * | 2008-12-19 | 2010-07-01 | Osaka Univ | ポリマーの表面を加工する方法 |
-
2002
- 2002-12-06 JP JP2002354862A patent/JP2004181906A/ja active Pending
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