JP2004178281A - 形状復元方法及び形状復元装置、ならびに形状復元プログラム及び記録媒体 - Google Patents

形状復元方法及び形状復元装置、ならびに形状復元プログラム及び記録媒体 Download PDF

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香織 橋本
Yuji Ishikawa
裕治 石川
Yoshiori Wakabayashi
佳織 若林
Tomohiko Arikawa
知彦 有川
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Abstract

【課題】画像に写っている物体の三次元形状を復元する形状復元方法及び形状復元装置において、復元に必要な情報の量を少なくする。
【解決手段】画像に写っている物体上の各点の三次元座標から、前記物体の表面形状を復元する形状復元方法であって、前記各点の三次元座標から、前記物体の端のうち、あらかじめ定めた基準面に対して垂直な方向の端を検出するステップと、前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端とから、前記物体の端のうち、前記基準面に対して平行な方向の端を検出するステップと、前記基準面に対して垂直な方向の端と前記基準面に対して平行な方向の端とから、前記物体の部分的な平面モデルを生成し、前記生成した部分的な平面モデルを結合して前記物体の表面形状を復元するステップとを備える形状復元方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状復元方法及び形状復元装置、ならびに形状復元プログラム及び記録媒体に関し、特に、地面に垂直な面を持つ三次元物体の形状を復元する方法に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像に写っている三次元物体を構成する面のうち、地面に垂直な面の形状を復元する方法には、下記で説明するような2種類の方法がある。
1つめの方法は、レーザやステレオ視を用いて前記物体表面上の各点の三次元座標を計測し、得られた三次元座標に対して、三角形分割を作成して得られる三角形の多面体を物体の形状モデルとする方法である(例えば、特許文献1を参照。)。
また、2つめの方法は、ステレオ視でのマッチング処理により三次元座標上の各点の類似度を取得する方法である。この方法では、平面や曲面といった三次元の形状モデルを用意しておき、得られた類似度を前記形状モデルのパラメータで張られる空間に投票し、多数決の原理を用いて前記パラメータを決定し、形状を復元する。
【0003】
【特許文献1】
特開2001‐22936号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術のうち、前記特許文献1に記載された方法では、前記物体表面上の計測点が多くなった場合、多面体の面の数が非常に多くなり、そのままでは十分なモデル化がなされているとはいえない。また、計測装置によって得た三次元座標にはノイズ(雑音)も多く、例えば、平坦な面を復元したいときでも凹凸のある複雑な面となってしまうことがある。そのため、前記物体の表面形状を与えるデータの量が大きくなることがある。すなわち、前記特許文献1に記載されたような方法では、前記物体の表面形状を与えるデータの量が大きくなり、三次元表示には適さないという問題があった。
【0005】
前記物体の表面形状を与えるデータの量が大きくなるのを防ぐ手段として、三角形分割によって得られた多数の面を、垂直に近い面に分類して形状モデルを生成することが考えられる。しかしながら、それぞれの三角形面は、非常に狭い範囲の3点で作られるので、大域的に見て、その三角形面が実際にその周辺の正しい角度を反映しているとは言えない。そのため、復元した三次元形状の精度を十分に保証できないという問題がある。
【0006】
また、前記類似度をパラメータ空間に投票し、多数決の原理を用いて形状モデルを決定する方法は、様々な形状の復元が可能であるが、計算量が多い上、領域の抽出が難しいという問題があった。
【0007】
前記投票と多数決の原理を用いる方法では、三次元形状を探索するときに投票する空間の次元数が高くなる。前記投票と多数決の原理によるホフ変換(Hough 変換)(例えば、「コンピュータビジョン」新技術コミュニケーションズ, 1999を参照。)を行う場合、投票する空間の次元数のべき乗に比例して、計算量とメモリ消費量が増加するという問題があった。また、投票する空間中では、異なる図形からの投票軌跡が干渉し、形状の復元精度が低下することがあるという問題があった。
【0008】
前記各問題に対し、あらかじめ地面などの基準面に垂直な平面のみの検出に限定し、投票する空間の次元数を減らす方法も提案されているが、三次元空間上で検出した平面から、物体側面に当たる領域を切り出すのは難しいという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、画像に写っている物体の三次元形状を復元する形状復元方法及び形状復元装置において、復元に必要な情報の量を少なくすることが可能な技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、画像に写っている物体の三次元形状を復元する形状復元方法及び形状復元装置において、復元した形状の精度を高くすることが可能な技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記形状復元方法をコンピュータに実行させる形状復元プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明の概要を簡単に説明すれば、以下の通りである。
第1の発明は、画像に写っている物体上の各点の三次元座標から、前記物体の表面形状を復元する形状復元方法であって、前記各点の三次元座標から、前記物体の端のうち、あらかじめ定めた基準面に対して垂直な方向の端を検出するステップと、前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端とから、前記物体の端のうち、前記基準面に対して平行な方向の端を検出するステップと、前記基準面に対して垂直な方向の端と前記基準面に対して平行な方向の端とから、前記物体の部分的な平面モデルを生成し、前記生成した部分的な平面モデルを結合して前記物体の表面形状を復元するステップとを備える形状復元方法である。
【0011】
前記第1の発明によれば、基準面に対して垂直な方向の端と水平な方向の端とに分けて検出した後、平面を復元することにより、ノイズの影響を受けにくくすることができ、平面の復元精度が高くなる。
また、前記第1の発明において、前記基準面に対して垂直な方向の端を検出するステップは、例えば、前記各点の三次元座標を、前記基準面と平行な二次元平面上に投影するステップと、前記基準面と平行な二次元平面上で前記物体の端を検出するステップとを備えることにより、少ないデータ量で容易に物体の端を検出することができる。
また、前記基準面に対して平行な方向の端を検出するステップは、前記各点の三次元座標を、前記基準面と垂直な方向の端の座標と関連付けて、前記基準面と垂直な二次元平面に投影するステップと、前記基準面と垂直な二次元平面上で前記物体の端を検出するステップを備えることにより、少ないデータ量で容易に物体の端を検出できるとともに、復元した形状の精度を高くすることができる。
【0012】
第2の発明は、画像に写っている物体上の各点の三次元座標から、前記物体の表面形状を復元する形状復元装置であって、前記各点の三次元座標から、前記物体の端のうち、あらかじめ定めた基準面に対して垂直な方向の端を検出する垂直方向端検出手段と、前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端とから、前記物体の端のうち、前記基準面に対して平行な方向の端を検出する平行方向端検出手段と、前記基準面に対して垂直な方向の端と前記基準面に対して平行な方向の端とから、前記物体の部分的な平面モデルを生成し、前記生成した部分的な平面モデルを結合して前記物体の表面形状を復元する形状復元手段とを備える形状復元装置である。
前記第2の発明は、前記第1の発明である形状復元方法を実現させるための装置であり、前記形状復元方法が備える各ステップを実行する手段を設けることにより、復元した形状の精度が高く、かつ、少ないデータ量で復元することができる。
【0013】
第3の発明は、画像に写っている物体上の各点の三次元座標から、前記物体の表面形状を復元する形状復元方法をコンピュータに実行させる形状復元プログラムであって、前記各点の三次元座標から、前記物体の端のうち、あらかじめ定めた基準面に対して垂直な方向の端を検出させる手順と、前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端とから、前記物体の端のうち、前記基準面に対して平行な方向の端を検出させる手順と、前記基準面に対して垂直な方向の端と前記基準面に対して平行な方向の端とから、前記物体の部分的な平面モデルを生成し、前記生成した部分的な平面モデルを結合して前記物体の表面形状を復元させる手順とを備える形状復元プログラムである。
前記第3の発明は、前記第1の発明である形状復元方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、前記形状復元方法が備える各ステップを実行させるための手順を設けることにより、コンピュータを用いて、精度が高い形状復元を行うことができる。
【0014】
第4の発明は、前記第3の発明の形状復元プログラムが記録された記録媒体である。
前記第4の発明によれば、前記記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なコンピュータであれば、前記形状復元プログラムを実行することができる。そのため、専用の形状復元装置を用いることなく、精度の高い三次元形状を復元することができる。
【0015】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
【発明の実施の形態】
(実施例)
図1は、本発明による一実施例の形状復元装置の概略構成を示す模式図である。
本実施例の形状復元装置1は、図1に示すように、画像を用いて求めた物体上の複数の点の三次元座標から、基準面に垂直な方向の端部を検出する垂直方向端検出手段101と、前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端部とから、前記基準面に水平な方向の端部を検出する水平方向端検出手段102と、前記垂直な方向の端部と前記水平な方向の端部とから平面を復元し、その平面を結合して物体の表面の三次元形状を復元する形状復元手段103とにより構成される。
また、前記物体の各点の三次元座標は、図1に示すように、計測手段2で計測する。
また、前記形状復元手段103で復元された物体の三次元形状は、復元形状出力手段3で出力する。
以下、本実施例の形状復元装置1を用いた形状復元方法について説明するが、その前に、前記計測手段2において、物体上の各点の三次元座標を計測する方法について説明する。
【0017】
図2乃至図5は、本実施例の形状復元装置で用いる三次元座標の計測方法を説明するための模式図であり、図2は取得する画像の例を示す図、図3(a)は図2の画像を取得する方法を説明するための斜視図、図3(b)は図3(a)をz軸方向から見た図、図4は類似度の計算方法を説明するための図、図5(a)及び図5(b)は類似度の計算結果の例を示す図である。
【0018】
前記計測手段2では、例えば、図2に示したように、視差を有する第1画像401と第2画像402の2枚の画像を取得し、前記第1画像401と前記第2画像402を用いたステレオ視でのマッチング処理により画像上の各点の3次元座標を求め、その類似度を計算する。前記形状復元装置1では、前記類似度から画像上の物体の形状を復元する。
【0019】
前記第1画像401と前記第2画像402は、例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、移動手段5に搭載された第1カメラ601及び第2カメラ602の2台のカメラで撮影する。
【0020】
このとき、前記第1カメラ601及び前記第2カメラ602には、例えば、ラインセンサカメラを用い、同時刻に撮影を開始し、その撮影開始地点を座標系の原点とする。またこのとき、前記移動手段5の移動方向をx軸、x軸と垂直で移動手段5から物体7へ向かう方向をy軸、xy平面に垂直な方向をz軸とする。
【0021】
また、前記第1カメラ601は、光軸がyz平面から移動方向に角度θだけ傾き、前記第2カメラ602は、光軸がyz平面から移動方向と逆向きに角度θだけ傾くように搭載する。またこのとき、前記第1カメラ601の光軸と前記第2カメラ602の光軸はyz平面で対称になるようにする。
【0022】
前記第1カメラ601及び前記第2カメラ602で前記物体7を撮影するときには、前記移動手段5で移動しながら、例えば、ロータリーエンコーダーを用いて、一定距離ごとに画像を取り込む。このとき、例えば、前記第1カメラ601から取得した線状の画像を時系列に並べると、図2に示したような、第1画像401が得られる。同様に、第2カメラ602からは、図2に示したような、第2画像402が得られる。なお、図2では、前記各画像の時間軸方向をa軸、ライン方向をb軸とする。
【0023】
前記第1画像401と前記第2画像402を取得したら、次に、例えば、前記第1画像401上の点と前記第2画像402上の点との類似度を計算する。
前記類似度を計算するときには、例えば、図4に示すように、前記第1画像401上に基準領域8Aを設定し、前記第2画像402上に、前記基準領域8Aとの類似度を計算するための視差候補領域8Bを設定する。このとき、前記基準領域8A及び前記視差候補領域8Bは、M画素×N画素の局所領域とする。また、前記各画像401,402は、a軸をx軸と一致させ、b軸をz軸と一致させる。
【0024】
前記基準領域8Aの中心画素の座標が(x,z)である場合、前記第2画像402上で前記基準領域8Aと同一の物体が写っている可能性がある領域は、前記基準領域8Aとb軸方向の高さが同じである。そのため、前記視差候補画像の中心画素のb座標(z座標)はzである。
【0025】
そこで、視差候補領域8Bの中心画素の座標を(x,x)とし、例えば、xを0からxmaxまで1画素ずつずらしながら、前記基準領域8Aと前記各視差候補画像8Bとの類似度を計算する。その後、例えば、前記基準領域8Aの中心画素の座標を(x+1,z)あるいは(x,z+1)として、同様に類似度の計算を行い、前記第1画像401上で設定できるすべての基準領域8Aに対して類似度を計算する。またこのとき、画素の密度が十分に高ければ、1画素ずつではなく、いくつかの画素を飛ばしながら計算してもよい。
【0026】
前記類似度の計算方法には、例えば、2つの領域の画素値の差をとる方法がある。また、その他にも、例えば、相互相関係数を用いる方法(例えば、「画像解析ハンドブック」, 東京大学出版会, 1999年, を参照。)などがある。
【0027】
またこのとき、中心画素の座標が(x,z)の基準領域8Aと、中心画素の座標が(x,z)の視差候補領域8Bに同じ物体が写っているとすると、基準領域(中心画素)に写っている物体の三次元座標(x,y,z)は、下記数式1から数式3で求められる。
【0028】
【数1】
Figure 2004178281
【0029】
【数2】
Figure 2004178281
【0030】
【数3】
Figure 2004178281
【0031】
前記数式1及び数式2において、Mは撮影距離の間隔を記述した画像移動量定数である。また、前記数式3において、fは焦点距離である。また、前記数式3は、ピンホールカメラモデルを用いて導出した式である。
前記数式1から数式3を用いて求めた3次元座標(x,y,z)と、その座標に対する類似度とを関連付け、類似度表を作成する。
【0032】
前記物体7が、例えば、図5(a)に示すように、2階建ての建造物である場合、前記計測手段2で求めた類似度を三次元空間にプロットすると、図5(b)に示すように、前記建造物の側面701,702に相当する部分に、類似度の高い領域F,Fが分布している。なお、図5(b)では、類似度の高い点を黒で表している。
【0033】
また、前記手順では、前記第1カメラ601及び第2カメラ602としてラインセンサカメラを用い、ステレオ視でのマッチング処理により三次元座標を求め、類似度を作成する方法について説明したが、これに限らず、例えば、レーザ計測により物体7の表面の三次元座標を求め、その座標の類似度の値を1として類似度表を作成してもよい。
【0034】
図6乃至図12は、本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、図6は復元手順を示すフローチャート、図7は類似度をxy平面に投影したときの図、図8はパラメータ空間の例を示す図、図9(a)はxy平面上で求めた直線の例を示す図、図9(b)はxy平面上で求めた線分及び物体の端部の例を示す図、図10は類似度をyz平面に投影したときの図、図11(a)はyz平面上で求めた直線の例を示す図、図11(b)はyz平面上で求めた線分及び物体の端部の例を示す図、図12は復元された平面を示す図である。
【0035】
本実施例の形状復元装置を用いて、前記第1画像401及び第2画像402に写った物体の三次元形状を復元するときには、前記物体の表面が平面であり、かつ、基準面(xy平面)に対して垂直であると仮定して復元する。
【0036】
そこで、本実施例では、図5(a)に示したような、2階建ての建造物7の形状を復元する場合を例にあげて説明する。
前記建造物7の形状を復元する場合、まず、前記垂直方向端検出手段101において、前記建造物7の側面701,702の幅、すなわち、基準面(xy平面)に垂直な方向の端を検出する。
【0037】
前記基準面に垂直な方向の端を検出するには、まず、図6に示したように、前記手順で求めた類似度表からxy投影類似度表を作成する(ステップ901)。
前記ステップ901では、前記類似度表のx座標及びy座標を固定し、z座標を変えながら類似度を加算し、記録する。このとき、例えば、x=1,y=1に固定し、z座標の最大値をzmaxとすると、座標が(1,1,0),(1,1,1),(1,1,2),・・・,(1,1,zmax)までの各点の類似度を加算し、記録する。その後、x座標あるいはy座標を1つずつ変えながら、前記三次元類似度表におけるすべてのx座標、y座標の組み合わせで同様に類似度の加算をし、記録する。
このとき、前記各類似度は単純に加算してもよいし、類似度に重みをつけて加算してもよい。また、閾値以上の類似度だけを加算してもよい。
【0038】
以下、前記x座標及びy座標を固定して加算した値をxy投影類似度値と称し、その集合をxy投影類似度表と称する。
ここで得られた前記xy投影類似度値を、例えば、256階調に換算し、xy平面上に濃淡で表示すると、図7に示すように、類似度の高い領域Fxy,Fxyが見られる。なお、図7では、類似度が高いほど黒く表示している。このとき、前記類似度の高い領域のうち、第1領域Fxyは、図5(a)に示した建造物7の1階の側面701と対応し、第2領域Fxyは建造物7の2階の側面702と対応する。以下、図7に示したような濃淡値での表示をxy投影図と称する。
【0039】
次に、前記xy投影図上の、前記類似度の高い領域Fxy,Fxyに対応する直線を検出する(ステップ902)。
前記類似度の高い領域Fxy,Fxyに対応する直線は、前記xy投影図上の各点の濃淡値を、直線のパラメータ空間(「コンピュータビジョン」, 新技術コミュニケーションズ, 1999, を参照。)に投票し、多数決の原理を用いて検出する。前記パラメータ空間は、直線を sx+ty=1 としたときに、パラメータs,tで張られる空間とする。また、前記パラメータ空間の分解能は、任意に決められるが、本実施例では、前記パラメータs,tをそれぞれ、1cmの分解能に設定する。
【0040】
前記濃淡値を前記パラメータ空間(s,t)に投票すると、例えば、図8に示すような結果が得られる。なお、図8では、投票された点を黒く示している。
前記xy投影図上のすべての濃淡値を投票したら多数決をとり、投票数が上位の点のパラメータ(s,t)の値を用いて前記xy投影図上に直線を引く。ここでは、図8に示したように、投票数が上位の2点、H1(s,t)とH2(s,t)を検出すると、図9(a)に示すように、xy投影図上の類似度が高い領域Fxy,Fxyに対応する投影直線 sx+t=1,sx+t=1を引くことができる。
【0041】
前記多数決により検出する点、すなわちパラメータs,tの数は、例えば、復元した三次元形状に要求される精度等に応じて設定してもよいし、数を決めずに、投票数が閾値以上の点を全て検出してもよい。また、ある閾値を設けて前記xy投影図を2値化し、ラベリング法を用いてラベル数を求め、そのラベル数と同じ数だけ検出してもよい(例えば、井上誠喜ほか著, 「C言語で学ぶ実践画像処理」, 初版, オーム社, 1999年12月8日, p.87‐89 を参照。)。
【0042】
次に、前記ステップ902で検出した投影直線をもとに、xy投影図上での物体の端を検出する(ステップ903)。
前記xy投影図上での物体の端を検出するときには、例えば、前記xy投影図上の点のうち、前記投影直線 sx+t=1,sx+t=1 上にあり、かつ、画素値が255(白色)以外の値を持つ点(画素)だけ抽出する。このとき、前記xy投影図上には、図9(b)に示すようなxy投影線分Lxy,Lxyが得られる。またこのとき、前記xy投影線分Lxy,Lxyの端点は、前記類似度の高い領域の外周部に当たるので、前記各xy投影線分Lxy,Lxyの端点を物体の端とする。
前記手順で求めた物体の端は、もともと3次元座標で与えられていた類似度をxy平面に投影して求めた端である。そのため、前記手順では、xy平面に対して垂直な方向の端を求めたことになる。
【0043】
次に、前記水平方向端検出手段102において、前記建造物7の側面の高さ、すなわち、基準面(xy平面)に水平な方向の端を検出する。
前記基準面に水平な方向の端を検出するには、まず、図6に示すように、前記類似度表と前記垂直な方向の端からz投影類似度表を作成する(ステップ904)。
前記ステップ904では、前記類似度表のz座標をz=0に固定し、前記類似度表における、各xy投影線分上の類似度を加算し、記録する。その後、z=1,2,・・・,zmaxまでzを変えながら同様に加算し、記録する。
以下、前記z座標を固定して加算した値をz投影類似度値と称する。
【0044】
すべてのzに対して前記z投影類似度値の計算が済んだら、xy投影線分のy座標及びz座標と、前記z投影類似度値とを関連付けてz投影類似度表を作成する。
ここで得られた前記z投影類似度表を、例えば、256階調に換算し、yz平面上に濃淡で表示すると、図10に示すように、類似度の高い領域Fz,Fzが見られる。なお、図10では、類似度が高いほど黒く表示している。このとき、前記類似度の高い領域のうち、第3領域Fzは、図5(a)に示した建造物7の1階の側面701と対応し、第4領域Fzは建造物7の2階の側面702と対応する。以下、図10に示したような濃淡値での表示をz投影図と称する。
【0045】
次に、前記z投影図上の、前記類似度の高い領域Fz,Fzに対応する直線を検出する(ステップ905)。
前記類似度の高い領域Fz,Fzに対応する直線は、前記yz投影図上の各点の濃淡値を、直線のパラメータ空間に投票し、多数決の原理を用いて検出する。ここでは、直線を ux+vy=1 とし、パラメータu,vで張られるパラメータ空間(u,v)に投票する。
【0046】
前記濃淡値を投票したら、多数決をとり、例えば、投票数が上位の2点(u,v),(u,v)を検出し、建造物側面を射影したときの直線 ux+vy=1,ux+vy=1 とする。このとき、z投影面上には、図11(a)に示すように、前記類似度の高い領域Fz,Fzに対応した直線(z投影直線)が引ける。
【0047】
前記多数決により検出する点、すなわちパラメータu,vの数は、前記xy投影図上の投影直線を検出するときと同様に、復元した三次元形状に要求される精度等に応じて設定してもよいし、数を決めずに、投票数が閾値以上の点を全て検出してもよい。また、ある閾値を設けて前記z投影図を2値化し、ラベリング法を用いてラベル数を求め、そのラベル数と同じ数だけ検出してもよい。
【0048】
次に、前記ステップ905で検出した投影直線をもとに、z投影図上での物体の端を検出する(ステップ906)。
前記ステップ906では、前記xy投影線分を検出したときと同様の方法で、前記z投影図上で、例えば、投影直線 ux+v=1 上にあり、かつ、画素値が0以外の値を持つ点(画素)だけを残すと、図11(b)に示すようなz投影線分Lz,Lzが得られる。このとき、前記線分Lz,Lzの端点は、前記類似度の高い領域Fz,Fzの外周部に当たるので、前記各線分Lz,Lzの端点を物体の端とする。
【0049】
前記手順で求めた物体の端は、もともと3次元座標で与えられていた類似度をyz平面に投影して求めた端である。そのため、前記手順では、xy平面に対して水平な方向の端を求めたことになる。
【0050】
以上の手順により、前記物体の基準面に垂直な方向の端及び水平な方向の端を求めたら、前記形状復元手段103により、前記垂直な方向の端と水平な方向の端を結んで平面を作り、できた平面を結合する(ステップ907)。
前記ステップ907で結合された平面は、例えば、図12に示すようになり、図5(a)に示した、前記建造物7の1階の壁701に当たる平面R1と、2階の壁702にあたる平面R2が復元されている。
【0051】
以上説明したように、本実施例の形状復元装置及び形状復元方法によれば、基準面と水平な2次元平面上及び垂直な2次元平面上のそれぞれで物体の端を検出し、それらの端を結んで平面を復元することにより、データ量を少なくすることができ、画像に写った物体の形状を効率よく復元することができる。
また、前記物体の形状を、前記各2次元平面上に投影して復元することにより、ノイズ(雑音)の影響を受けにくくすることができ、平面の復元の安定性が高くなる。
また、本実施例の形状復元方法は、特に、物体の表面が平面であり、かつ、復元する平面が基準面に対して垂直な場合に適している。そのため、市街地の建造物を復元した三次元都市空間の構築が容易になる。
【0052】
また、本実施例の形状復元方法をプログラム化すれば、前記形状復元装置としてコンピュータを用いることができる。そのため、専用の装置を用いなくても精度の良い形状復元を行える。このとき、前記形状復元のプログラムは、メモリカードやハードディスク、CD−ROMなどの記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供(ダウンロード)することもできる。
【0053】
図13乃至図15は、前記実施例の応用例を説明するための模式図であり、図13は物体の構成を示す斜視図、図14(a)及び図14(b)はxy投影線分を求める手順を説明する図、図15(a)及び図15(b)はz投影線分を求める手順を説明するための図である。
【0054】
前記実施例では、前記物体7の側面701,702が、図5に示したように、x軸、すなわち移動手段5の移動方向と平行な場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、図13に示すように、側面がx軸と平行でない建造物7Bの場合でも、前記実施例で説明した手順で復元することができる。
【0055】
このとき、前記xy投影図は、図14(a)に示すように、側面がx軸と平行な建造物7Aの投影領域Fxyと前記建造物7Bに対応する投影領域Fxyが類似度の高い領域になる。
【0056】
そこで、前記実施例で説明したように、直線のパラメータ空間に投票し、多数決の原理を用いて投影直線を求めた後、図14(b)に示すように、xy投影線分Lxy,Lxyを検出し、物体の端を得る。
また、前記z投影線分及び物体の端を検出するときには、前記建造物7Aの側面に対応するほうは、前記実施例で説明したとおりなので省略する。
【0057】
前記建造物7Bの側面に対応するz投影線分及び物体の端を検出するときには、図14(b)に示したように、前記建造物7Bに対応するxy投影線分Lxyと垂直な方向にw軸を取り、前記実施例で説明したyz平面の変わりに、図15(b)に示すように、wz平面上でz投影類似度表を作成する。あとは、前記実施例で説明したのと同様の手順で、前記wz平面上でz投影直線を検出し、z投影線分及び物体の端を検出する。
【0058】
図16乃至図18は、前記実施例の他の応用例を説明するための模式図であり、図16は物体の構成を示す斜視図、図17(a)及び図17(b)ならびに図18はxy投影線分を求める手順を説明するための図である。
【0059】
前記実施例で説明した形状復元装置を、例えば、市街地の三次元都市空間の復元に用いる場合には、図13に示したように、建造物の側面がx軸と平行でない場合のほかに、例えば、図16に示すように、建造物7Aの手前に、電柱などの他の建造物7Cがあり、前記建造物7Aの側面の一部がかけることがある。
【0060】
そのような場合、前記実施例で説明した手順に沿って、前記xy投影図を表示すると、図17(a)に示したように、前記建造物7Aに対応する投影領域の一部が欠けて、二つの領域Fxy,Fxy’になってしまう。このとき、そのまま平面を復元すると、図17(b)に示したように、投影線分が2本に分かれ、本来なら1つである平面が2つの平面として復元されてしまう。
【0061】
そこで、例えば、前記実施例で説明した手順でxy投影線分Lxy,Lxy’を検出したときに、y座標が同じ線分の間隔δxが、あらかじめ定めておいた値よりも小さい場合には、図18に示すように、1つの線分Lxyに結合させることで、前記建造物の復元精度がさらに向上する。
【0062】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0063】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
(1)画像に写っている物体の三次元形状を復元する形状復元方法及び形状復元装置において、復元に必要な情報の量を少なくすることができる。
(2)画像に写っている物体の三次元形状を復元する形状復元方法及び形状復元装置において、復元した形状の精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の形状復元装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施例の形状復元装置で用いる三次元座標の計測方法を説明するための模式図であり、取得する画像の例を示す図である。
【図3】本実施例の形状復元装置で用いる三次元座標の計測方法を説明するための模式図であり、図3(a)は図2の画像を取得する方法を説明するための斜視図、図3(b)は図3(a)をz軸方向から見た図である。
【図4】本実施例の形状復元装置で用いる三次元座標の計測方法を説明するための模式図であり、類似度の計算方法を説明するための図である。
【図5】本実施例の形状復元装置で用いる三次元座標の計測方法を説明するための模式図であり、図5(a)及び図5(b)は類似度の計算結果の例を示す図である。
【図6】本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、類似度をxy平面に投影したときの図である。
【図8】本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、パラメータ空間の例を示す図である。
【図9】本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、図9(a)はxy平面上で求めた直線の例を示す図、図9(b)はxy平面上で求めた線分および物体の端部の例を示す図である。
【図10】本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、類似度をyz平面に投影したときの図である。
【図11】本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、図11(a)yz平面上で求めた直線の例を示す図、図11(b)はyz平面上で求めた線分及び物体の端部例を示す図である。
【図12】本実施例の形状復元装置を用いた形状復元方法を説明するための模式図であり、復元された平面を示す図である。
【図13】前記実施例の応用例を説明するための模式図であり、物体の構成を示す斜視図である。
【図14】前記実施例の応用例を説明するための模式図であり、図14(a)及び図14(b)はxy投影線分を求める手順を説明する図である。
【図15】前記実施例の応用例を説明するための模式図であり、図15(a)及び図15(b)はz投影線分を求める手順を説明するための図である。
【図16】前記実施例の他の応用例を説明するための模式図であり、物体の構成を示す斜視図である。
【図17】前記実施例の他の応用例を説明するための模式図であり、図17(a)及び図17(b)はxy投影線分を求める手順を説明するための図である。
【図18】前記実施例の他の応用例を説明するための模式図であり、xy投影線分を求める手順を説明するための図である。
【符号の説明】
1…形状復元装置、101…垂直方向端検出手段、102…水平方向端検出手段、103…形状復元手段、2…計測手段、3…復元形状出力手段、401…第1画像、402…第2画像、5…移動手段、601…第1カメラ、602…第2カメラ、7…物体(建造物)。

Claims (10)

  1. 画像に写っている物体上の各点の三次元座標から、前記物体の表面形状を復元する形状復元方法であって、
    前記各点の三次元座標から、前記物体の端のうち、あらかじめ定めた基準面に対して垂直な方向の端を検出するステップと、
    前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端とから、前記物体の端のうち、前記基準面に対して平行な方向の端を検出するステップと、
    前記基準面に対して垂直な方向の端と前記基準面に対して平行な方向の端とから、前記物体の部分的な平面モデルを生成し、前記生成した部分的な平面モデルを結合して前記物体の表面形状を復元するステップとを備えることを特徴とする形状復元方法。
  2. 前記基準面に対して垂直な方向の端を検出するステップは、前記各点の三次元座標を、前記基準面と平行な二次元平面上に投影するステップと、
    前記基準面と平行な二次元平面上で前記物体の端を検出するステップとを備えること特徴とする請求項1に記載の形状復元方法。
  3. 前記基準面に対して平行な方向の端を検出するステップは、前記各点の三次元座標を、前記基準面と垂直な方向の端の座標と関連付けて、前記基準面と垂直な二次元平面に投影するステップと、
    前記基準面と垂直な二次元平面上で前記物体の端を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の形状復元方法。
  4. 画像に写っている物体上の各点の三次元座標から、前記物体の表面形状を復元する形状復元装置であって、
    前記各点の三次元座標から、前記物体の端のうち、あらかじめ定めた基準面に対して垂直な方向の端を検出する垂直方向端検出手段と、
    前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端とから、前記物体の端のうち、前記基準面に対して平行な方向の端を検出する平行方向端検出手段と、
    前記基準面に対して垂直な方向の端と前記基準面に対して平行な方向の端とから、前記物体の部分的な平面モデルを生成し、前記生成した部分的な平面モデルを結合して前記物体の表面形状を復元する形状復元手段とを備えることを特徴とする形状復元装置。
  5. 前記垂直方向端検出手段は、
    前記各点の三次元座標を、前記基準面と平行な二次元平面上に投影する投影手段と、
    前記基準面と平行な二次元平面上で前記物体の端を検出する検出手段とを備えること特徴とする請求項4に記載の形状復元装置。
  6. 前記平行方向端検出手段は、
    前記各点の三次元座標を、前記基準面と垂直な方向の端の座標と関連付けて、前記基準面と垂直な二次元平面上に投影する投影手段と、
    前記基準面と垂直な二次元平面上で前記物体の端を検出する検出手段とを備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の形状復元装置。
  7. 画像に写っている物体上の各点の三次元座標から、前記物体の表面形状を復元する形状復元方法をコンピュータに実行させる形状復元プログラムであって、
    前記各点の三次元座標から、前記物体の端のうち、あらかじめ定めた基準面に対して垂直な方向の端を検出させる手順と、
    前記各点の三次元座標と前記垂直な方向の端とから、前記物体の端のうち、前記基準面に対して平行な方向の端を検出させる手順と、
    前記基準面に対して垂直な方向の端と前記基準面に対して平行な方向の端とから、前記物体の部分的な平面モデルを生成し、前記生成した部分的な平面モデルを結合して前記物体の表面形状を復元させる手順とを備えることを特徴とする形状復元プログラム。
  8. 前記基準面に対して垂直な方向の端を検出させる手順は、
    前記各点の三次元座標を、前記基準面と平行な二次元平面上に投影させ、
    前記基準面と平行な二次元平面上で前記物体の端を検出させること特徴とする請求項7に記載の形状復元プログラム。
  9. 前記基準面に対して平行な方向の端を検出させる手順は、
    前記各点の三次元座標を、前記基準面と垂直な方向の端の座標と関連付けて、前記基準面と垂直な二次元平面に投影させ、
    前記基準面と垂直な二次元平面上で前記物体の端を検出させることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の形状復元プログラム。
  10. 前記請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の形状復元プログラムが記録された記録媒体。
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