JP2004178134A - 指紋照合装置及び指紋照合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】精度の低下を招くことなく指紋センサを小型化できる指紋照合装置及び指紋照合方法を提供する。
【解決手段】テンプレート指紋画像の登録時に、複数枚の互いに位置関係の異なる指先の部分の指紋画像データをテンプレート指紋画像データP1、P2、P3をフラッシュメモリ6に記憶させる。指紋認証を行う際には、指紋センサ1から指紋画像データが取り込まれる。照合エンジン7により、指紋センサ1から取り込まれた指紋画像データと、複数のテンプレート指紋画像データP1,P2、P3との照合演算が行われる。これにより、位置ズレを考えずに、照合演算が行え、指紋センサの検出領域を小さくすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】テンプレート指紋画像の登録時に、複数枚の互いに位置関係の異なる指先の部分の指紋画像データをテンプレート指紋画像データP1、P2、P3をフラッシュメモリ6に記憶させる。指紋認証を行う際には、指紋センサ1から指紋画像データが取り込まれる。照合エンジン7により、指紋センサ1から取り込まれた指紋画像データと、複数のテンプレート指紋画像データP1,P2、P3との照合演算が行われる。これにより、位置ズレを考えずに、照合演算が行え、指紋センサの検出領域を小さくすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パーソナルコンピュータや携帯電話で正規のユーザかどうかを判断するのに用いて好適な指紋照合装置及び指紋照合方法に関するもので、特に、指紋センサの検出領域の小型化に係わる。
【0002】
【従来の技術】
企業で使っているパーソナルコンピュータには、企画書や経理情報など、極秘事項が保存されていることが多い。また、個人で使用しているパーソナルコンピュータにも、住所録やオンライントレードの情報など、秘密事項が含まれていることがある。これらの情報が漏洩したり、改竄されることは社会的な問題である。
【0003】
また、最近の携帯電話端末は高機能化されており、電子メールをやり取りすることができる。このため、携帯電話端末には、電子メールの情報が残っている。電子メールの中には、他人知らせたくないような情報がある。また、携帯電話端末には住所録が保存されている。このような秘密事項が漏洩される危険性がある。
【0004】
更に、携帯電話やパーソナルコンピュータを使った電子取引が注目されている。このような電子取引では、インターネットや携帯電話の回線を使って、商品の購入や銀行の預金口座の管理、株式の売買等が行われる。また、携帯電話をクレジットカードやデビットカードの代わりとして用いることが検討されている。このような電子取引で、その機器のユーザが正規のユーザかどうかを判断するための認証技術が不可欠である。
【0005】
このような社会的な背景から、携帯電話やパーソナルコンピュータに使用できる認証技術として、指紋照合システムが注目されている。
【0006】
指紋照合システムは、正規のユーザの指紋画像データをテンプレートとして予め登録しておき、機器の使用時に、ユーザの指紋画像データを取り込み、取り込まれたユーザの指紋画像データと、予め登録されているテンプレート指紋画像データとの照合を行い、機器の使用者が正規のユーザかどうかを判断するものである。指紋画像データを取り込むための指紋センサとしては、静電容量型や圧電型、熱型等が知られている。また、指紋照合の照合方式としては、隆起の分岐点や端点などの位置関係を特徴点とするマニューシャ方式、指紋画像の模様をパターンマッチングさせる方式、指紋画像を周波数変換して照合を行う周波数分析方式などが知られている。
【0007】
このような指紋照合システムでは、精度の高い指紋照合が行えると共に、小型、軽量、低価格化を図ることが望まれている。特に、指紋センサを小型化することは、装置全体を小型化する上で重要であると共に、半導体素子を用いた指紋センサは、センサの検出領域の面積が直接チップの価格に影響をもたらす。したがって、指紋照合システムでは、精度を落とすことなく、指紋センサを小型化することが重要な技術である。
【0008】
従来の指紋認証システムでは、指紋センサとして、指が接するエリア以上の面積の検出領域を有するものを用いられており、指紋センサが大型化している。そこで、図15に示すように、指紋センサ101の小型化を図るために、指紋センサ101の検出領域AR101を小さくし、指102をスライドさせて指紋画像の入力を行うスイープ型のセンサが提案されている。
【0009】
また、テンプレート指紋画像データの品質を高くするために、例えば、特許文献1に示されているように、複数枚の指紋画像を登録し、画像の平均濃度や濃淡の分散値などで画像品質を計算し、品質の良いものから照合を行うようにしたものが提案されている。また、照合時の2枚の照合スコアから照合スコアなども算出している。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−222424号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図15に示したようなスイープ型のセンサは、高いスキャンレートで何回もデータの取り込みを行い、その後、1つの指紋画像データに結合させ、次に特徴点などの抽出を行ってから照合を行っている。このため、照合が完了するまでに多くの時間がかかる。また、スイープ型センサでは、1つの指紋画像データを結合させる回路やソフトウェアも必要になってくる。
【0012】
また、スイープ型のセンサでは、指をスイープさせるため、指の歪み具合がスイープスピードやセンサを押す圧力などに変化してしまうため、照合精度が悪化するという問題がある。
【0013】
すなわち、図16は、図15に示したスイープ型のセンサを使ったときの指紋画像の結合処理を示すものである。ライン型の指紋センサ101上に指102を当てて指をスライドさせると、図16Aに示すように、各スキャン毎に指紋画像データPa105、Pa104、…(Pa101、Pa102、…)が得られる。これらの指紋画像データPa101、Pa102、…を合成することで、図16Bに示すような全体の指紋画像データPb100が得られる。図16Aに示す個々の指紋画像データPa101、Pa102、…から、図16Bに示すような全体の指紋画像データPb100を合成するためには、前後のデータの一部分が重なる必要があり、手もスイープ速度により重なる部分が変化するため、スイープ速度の検出するための機構などが必要になる。
【0014】
また、特許文献1に示した、複数枚の指紋画像を登録し、画像の平均濃度や濃淡の分散値などで画像品質を計算し、品質の良いものから照合を行うようにしたものでは、照合精度をアップするために、複数枚の指紋画像データの登録を行っているため、メモリ容量を消費するという問題があり、多くの指紋画像データを登録すると、メモリ容量が不足する。更に、指の位置ズレが多い場合には考慮されていない。
【0015】
したがって、この発明の目的は、精度の低下を招くことなく指紋センサを小型化できる指紋照合装置及び指紋照合方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明は、指先の指紋の模様に対応する指紋画像データを取得するための指紋検出手段と、互いに位置関係が異なる指紋の模様に対応した複数の指紋画像データがテンプレート指紋画像データとして記憶される記憶手段と、指紋検出手段により新たに取り込まれた指紋画像データと、記憶手段に記憶されているテンプレート指紋画像データとの照合を行う照合手段とを備えることを特徴とする指紋照合装置である。
【0017】
この発明は、互いに位置関係が異なる指先の指紋の模様に対応した複数の指紋画像データをテンプレート指紋画像データとして保存しておき、新たに取り込まれた指紋画像データを複数のテンプレート指紋画像データとそれぞれ照合するようにしたことを特徴とする指紋照合方法である。
【0018】
この発明では、テンプレート指紋画像の登録時に、複数枚の互いに位置関係の異なる指先の部分の指紋画像データをテンプレート指紋画像データとして記憶手段としてのフラッシュメモリに記憶させる。指紋認証を行う際には、指紋検出手段としての指紋センサから指紋画像データが取り込まれる。照合手段としての照合エンジンにより、指紋センサから取り込まれた指紋画像データと、複数のテンプレート指紋画像データとの照合演算が行われる。これにより、位置ズレを考えずに、照合演算が行え、指紋センサの検出領域を小さくすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明が適用された指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、指紋センサ1は、そのセンサ面上に置かれた指先の指紋の模様に対応する指紋画像信号を発生する。指紋センサ1からは、そのセンサ面上の指紋の模様に対応する指紋画像信号が出力される。この指紋センサ1の出力信号は、A/Dコンバータ2で例えば8ビットでディジタル化され、照合エンジン7に供給される。
【0020】
マイクロプロセッサ3は、指紋照合処理の全体動作を行っている。すなわち、指紋照合処理では、指紋センサ1のセンサ面上に指先がタッチされると、その指紋画像データが取り込まれ、取り込まれた指紋画像データと予め登録されている指紋画像データとの照合が行われ、正規のユーザの指紋と一致するかどうかの処理が行われる。マイクロプロセッサ3は、このような指紋照合処理の全体動作を行っている。
【0021】
マイクロプロセッサ3には、マイクロプロセッサ3に対するメインメモリとして用いられるDRAM(Dynamic Random Access Memory)4と、各種の周辺機器と接続するためのインターフェース5と、プログラムやデータを保存するためのフラッシュメモリ6と、照合エンジン7が接続される。
【0022】
インターフェース5としては、USB(Universal Serial Bus) やUART(Universal Asynchronous Receiver−Transmitter)等が用いられる。USBは、周辺装置を接続するためのシリアルバスで、USBは、ホストコンピュータとCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)ドライブ、プリンタ、モデム、マウス、キーボードなどの周辺装置とを接続するのに使用される。UARTは、非同期シリアル通信を行うためのインターフェースで、UARTは、ホストコンピュータとモデム等を接続するのに使用される。この発明が適用された指紋照合装置はUSBやUARTのインターフェース5を介してホストコンピュータ(図示せず)と接続され、照合結果がホストコンピュータに送られる。なお、インターフェース5としては、USBやUARTのみならず、他のインターフェースを設けるようにしても良い。
【0023】
フラッシュメモリ6は、バックアップ電源なしにデータを保持できる不揮発性メモリの一種であり、電気的に消去、再記録可能なメモリである。フラッシュメモリ6には、指紋照合処理を行うためのプログラム、登録された複数枚のテンプレート指紋画像データ等、各種のプログラムやデータが記憶される。なお、フラッシュメモリ6の代わりに、又はフラッシュメモリ6と共に、ストレージとなる他の記録装置を設けるようにしても良い。
【0024】
照合エンジン7は、指紋センサ1からA/Dコンバータ2を介して供給される指紋画像データと、予めフラッシュメモリ6に記憶されている指紋画像データとの照合のための演算処理を行う専用のハードウェアである。照合エンジン7に対して、SRAM(Static Random Access Memory)8が設けられる。SRAM8は、指紋照合のための演算を行う際のワーキングメモリとして働く。
【0025】
なお、この例では、照合エンジン7により指紋照合の演算処理をハードウェアで実現しているが、マイクロプロセッサ3の処理が十分に高速であるなら、マイクロプロセッサ3でソフトウェアにより指紋照合の演算処理を行うようにしても良い。
【0026】
上述のように、指紋センサ1は、そのセンサ面上に置かれた指先の指紋の模様に対応する指紋画像信号を発生するもので、指紋センサ1での指紋を検出ための方式としては、静電容量型や圧電型、熱型等が知られている。ここでは、指紋センサ1の一例として、静電容量型のものについて説明する。
【0027】
図2は、静電容量型の指紋センサの一例である。指紋センサ1のセンサ面には、セルCe00、Ce01、Ce02…、Ce10、Ce11、Ce12…が二次元マトリクス上に配置される。各セルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…は、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…と、スイッチ素子としての薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…、Sw10、Sw11、Sw12、…とからなる。また、指紋センサ1には、行駆動回路14と、検出回路15とが設けられる。
【0028】
検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…は、タッチされた部材の凹凸によりその静電容量が変化するキャパシタ部材からなる。キャパシタ部材の静電容量と電圧との関係は、静電容量をC、電荷をQ、電圧をVとすると、(Q=CV)となることが知られている。したがって、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…がタッチされると、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…の電圧から、指紋の凹凸の変化に対応する信号が出力される。
【0029】
薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…、Sw10、Sw11、Sw12、…は、各セルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…の検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…からの信号を、各カラム信号ラインCL0、CL1、Cl2、…に出力するためのスイッチ素子として動作する。
【0030】
行駆動回路14からは、ロウ信号ラインRL0、RL1、…が導出される。行駆動回路14は例えばシフトレジスタであり、行駆動回路14から導出されるロウ信号ラインRL0、RL1、…は、端子11からのクロックにより、行方向に順にアクティブになる。
【0031】
セルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…のうち、同一の行方向に並ぶセルの薄膜トランジスタは、対応する行のロウ信号ラインRL0、RL1、…に接続される。
【0032】
すなわち、行番号「0」にあるセルCe00、Ce01、Ce02、…の薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…は、行番号「0」のロウ信号ラインRL0に接続される。行番号「1」にあるセルCe10、Ce11、Ce12、…の薄膜トランジスタSw10、Sw11、…は、行番号「1」のロウ信号ラインRL1に接続される。
【0033】
行駆動回路14により、ロウ信号ラインRL0、RL1、…が行方向に順にアクティブとなると、その行番号にあるセルの薄膜トランジスタが順にオンになる。
【0034】
すなわち、先ず、ロウ信号ラインRL0がアクティブとなり、セルCe00、Ce01、Ce02、…の薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…がオンになる。次に、ロウ信号ラインRL1がアクティブとなり、セルCe10、Ce11、Ce12、…の薄膜トランジスタSw10、Sw11、Sw12、…がオンになる。
【0035】
検出回路15からは、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…が導出される。セルCe00、Ce01、Ce02、…、セルCe10、Ce11、Ce12、…のうち、同一の列方向に並ぶセルの薄膜トランジスタは、対応する列のカラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…に接続される。
【0036】
すなわち、列番号「0」にあるセルCe00、Ce10、…の薄膜トランジスタSw00、Sw10、…は、カラム信号ラインCL0に接続される。列番号「1」にあるセルCe01、Ce11、…の薄膜トランジスタSw01、Sw11、…は、カラム信号ラインCL1に接続される。列番号「2」にあるセルCe02、Ce12、…の薄膜トランジスタSw02、Sw12、…は、カラム信号ラインCL2に接続される。
【0037】
検出回路15は、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して転送されてきた各セルの検出電極からの信号を増幅するアンプと、この各セルの検出信号をシリアル信号として外部に出力するシフトレジスタとからなる。カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して各セルの検出電極から送られてきた信号は、検出回路15のシフトレジスタに送られ、端子12からのクロックにより、順に転送され、出力端子13から出力される。
【0038】
前述したように、行駆動回路14により、ロウ信号ラインRL0、RL1、…が行方向に順にアクティブとなる。ロウ信号ラインRL0、RL1、…がアクティブになると、そのロウ信号ラインに対応する行に並ぶセルの薄膜トランジスタがオンとなる。これにより、そのセルの検出電極の検出信号が、カラム信号ラインCL0、CL1、…を介して、検出回路15に供給される。
【0039】
すなわち、ロウ信号ラインRL0がアクティブになると、セルCe00、Ce01、Ce02、…の薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…がオンとなり、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…からの検出信号が、薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して、検出回路15のシフトレジスタに供給され、端子12からのクロックにより、出力端子13からシリアル信号で順に出力される。
【0040】
次に、ロウ信号ラインRL1がアクティブになると、セルCe10、Ce11、Ce12、…の薄膜トランジスタSw10、Sw11、Sw12、…がオンとなり、検出電極Pr10、Pr11、Pr12、…からの検出信号が、薄膜トランジスタSw10、Sw11、Sw12、…、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して、検出回路15のシフトレジスタに供給され、端子12からのクロックにより、出力端子13からシリアル信号で順に出力される。
【0041】
以上のようにして、出力端子13からは、マトリクス状に配置されたセルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…からの指紋の凹凸に対応する指紋画像信号が、1行毎にシリアル信号で出力される。
【0042】
次に、この発明が適用された指紋照合装置の動作について説明する。図1に示したような指紋照合装置では、小型化、軽量化、低価格化を図るために、指紋センサ1として、小型のものを用いることが望まれる。ところが、指紋照合を行うためには、ある程度の大きさの検出領域を確保する必要がある。更に、位置ズレを考慮する必要がある。
【0043】
そこで、この発明の実施の形態では、互いに位置関係の異なる指紋画像データを複数枚のテンプレート指紋画像データとして登録するようにし、この複数枚のテンプレート指紋画像データで左右の位置ズレ分を補うようにしている。これにより、指紋センサ1の小型化が図れる。
【0044】
つまり、指紋センサ1から得られた指紋画像データと、予め登録されているテンプレート指紋画像データとの照合演算を行うためには、ある程度の大きさの検出領域を確保する必要がある。例えば、図3に示すように、照合を行う者の指先21に対して、例えば(5mm×5mm)の領域AR1が確保したとする。図4に示すように検出領域AR1を確保した場合、照合を行う者の指先21が常に領域AR1に対して同じ位置に置かれるのであれば、この(5mm×5mm)の領域AR1を指紋センサの検出領域とすれば、指紋照合処理を行うことができる。
【0045】
ところが、照合を行う者の指先21を常に領域AR1に対して正確に同じ位置に置くことは困難である。実際には、図5A〜図5Cに示すように、領域AR1に対して、照合を行う者の指先21は、上下左右に位置ズレを起こす。このため、指紋センサのセンサ面としては、(5mm×5mm)の領域AR1に、位置ズレ分を加算した領域が必要になる。
【0046】
位置ズレ量がどのくらいになるかについては、本願発明者らは、被験者を使って計測を行った。それによると、被験者10人に対して、一人50回、合計(50×10=500サンプル)を使って、位置ズレを計測したところ、上下左右に、約3mmの位置ズレが生じるという結果を得た。この結果を考慮すると、指紋センサの検出領域としては、領域AR1の大きさに、上下左右に3mmの位置ズレ分の大きさを加えた大きさが必要になる。すなわち、領域AR1の一辺の長さ5mmに、位置ズレ分を加算すると、(5+3+3=11mm)となり、指紋センサの検出領域としては、図6に示すように、(11mm×11mm)の領域AR2が必要になる。
【0047】
このように、指紋センサから得られた指紋画像データと、予め登録されている指紋画像データとの照合演算を行うのに必要な領域が例えば(5mm×5mm)であったとしても、位置ズレを考慮すると、(11mm×11mm)程度の領域が指紋センサの検出領域として必要になる。このことが指紋センサの小型化の障害となる。
【0048】
そこで、この発明の実施の形態では、互いに位置関係の異なる複数枚の指紋画像データをテンプレート指紋画像データとして登録しておき、この互いに位置関係の異なる複数枚のテンプレート指紋画像データを利用することで、左右の位置ズレ分を補うようにし、指紋センサの小型化を図るようにしている。上下の位置ズレについては、指紋センサを縦長にすることで、対処できる。これにより、図7に示すように、指先31に対して、例えば、(11mm×5mm)程度の検出領域AR3の指紋センサ1で、指紋照合を行える。検出領域AR3の横の長さは、この指紋検出に必要な領域の横の長さ(5mm)と等しい。検出領域AR3の縦の長さは、位置ズレを考慮した長さ(11mm)に等しい。上下方向の位置ズレについては、検出領域AR3の縦方向の長さを11mmとすることで対処できる。
【0049】
指紋照合を行うときには、ユーザは、指紋センサ1のセンサ面にタッチする。このとき、位置ズレが起こるため、指先31のどの部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3のどこに来るかは不定である。指先の左側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来ることもあるし、ユーザの指先の中央が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来ることもあるし、指先の右側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来ることもある。
【0050】
そこで、登録時に、指先31の左側の部分のテンプレート指紋画像データと、指先31の中央のテンプレート指紋画像データと、指先31の右側の部分のテンプレート指紋画像データとがフラッシュメモリ6に記憶される。
【0051】
すなわち、指紋画像データの登録を行う際には、先ず、登録を行う者は、図8Aに示すように、指先31の左側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来るように、指先31を指紋センサ1にタッチする。次に、指先を少し移動させ、図8Bに示すように、指先31の中央の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来るようにして、指先31を指紋センサ1にタッチする。そして、更に指先31を少し移動させ、図8Cに示すように、指先31の右側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来るように、指先を指紋センサ1にタッチする。
【0052】
このように指先を移動させながら、指紋センサ1のセンサ面をタッチすると、図9A、図9B、図9Cに示すように、指先31の左側の部分の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1)と、指先31の中央の部分の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP2)と、指先31の右側の部分の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP3)とがフラッシュメモリ6に記憶される。
【0053】
指紋認証を行う際には、ユーザは、指紋センサ1をタッチする。そして、ユーザの指先の指紋画像データが取り込まれ、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3との照合が行われる。取り込まれた指紋画像データに対して、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3のうち、照合スコアが最も高く、取り込まれた指紋画像データに最もマッチすると判断されたテンプレート指紋画像データにより、最終的な照合処理が行われる。これにより、指先31の位置が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に対して左右に位置ズレしていても、確実に指紋照合が行われる。
【0054】
最終的に照合を行うテンプレート指紋画像データは、上述のように、照合演算により求められる照合スコアにより決められる。この照合演算について説明する。
【0055】
図10は、照合演算の説明図である。いま、例えば、指紋画像データPaと、指紋画像データPbとの間で、照合演算を行うものとする。1つの指紋画像データは、その大きさが(11mm×5mm)で、(横300×縦400)のセルの画像データとする。そして、この指紋画像データは、照合エンジン7により2値化されて処理されるものとする。
【0056】
指紋画像データPa及び指紋画像データPbは、例えば50個のブロック「1」から「50」に分割される。そして、各ブロック毎に、照合演算が行われる。
【0057】
すなわち、先ず、指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbのブロック「1」とが取り出される。指紋画像データPaのブロック「1」の各セルのデータと、指紋画像データPbのブロック「1」の各セルのデータとが比較され、両者のセルが一致している数がカウントされる(又は一致していない数がカウントされる)。
【0058】
指紋画像データは「0」又は「1」の2値データなので、各セルのデータの比較は、排他的論理和により行える。すなわち、各ブロックのセル毎に排他的論理和をとり、排他的論理和が「0」なら指紋画像データが一致し、「1」なら指紋画像データが異なっている。したがって、各ブロックのセル毎に排他的論理和を求め、その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数(又は「1」になるセルの数)をカウントすることで、マッチングが求められる。その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数が多ければ、マッチング量が高く、その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数が少なければ、マッチング量は低い。各ブロックのセル毎に排他的論理和を求め、その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数がカウントされ、そのカウント値が所定の閾値と比較される。排他的論理和の出力が「0」になるセルの数のカウント値が所定の閾値を越えたら、マッチングブロックと判断される。
【0059】
指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbのブロック「1」とのマッチング演算が行われたら、同様にして、指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算が行われる。次に、指紋画像データPaのブロック「2」と、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算が行われる。以下、指紋画像データPaの各々ブロックと、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算が行われる。
【0060】
なお、例えば、指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算を行うと、マッチングレベルは異なるが、指紋画像データPbのいろいろな場所でマッチングしてしまうことがある。そのため、最後に列ごとにマッチングを判断する必要がある。指紋画像データPaの各列と、指紋画像データPb中の各列とを比較し、最もマッチングした列では、最も一致したブロック数が多くなる。
【0061】
以上のように、この発明が適用された指紋照合装置では、位置の異なる指紋画像データを複数枚(例えば3枚)登録しておくことで、左右の位置ズレ分を補うようにしている。このため、指紋センサ1の検出領域を小さくすることができる。
【0062】
図11は、この発明が適用された指紋照合装置の動作の概要を示すフローチャートである。先ず、指紋画像登録モードに設定され(ステップS1)、互いに位置関係の異なる複数枚、例えば3枚の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1、テンプレート指紋画像データP2、テンプレート指紋画像データP3)の登録処理が行われる(ステップS2)。
【0063】
テンプレート指紋画像データの登録処理では、図8に示したように、指紋登録を行う正規のユーザは、その指先の腹の方を指紋センサ1のセンサ面に向け、指先の位置を移動させて、各位置で、その指先を指紋センサ1のセンサ面にタッチする。指紋センサ1のセンサ面に指先がタッチされると、その指紋データが指紋センサ1で読み取られ、この指紋画像データが、指紋センサ1から、A/Dコンバータ2、照合エンジン7に送られる。この指紋画像データは、照合エンジン7で2値化され、2値化された指紋画像データが、マイクロプロセッサ3を介して、フラッシュメモリ6に保存される(図1参照)。
【0064】
位置の異なる複数枚、例えば3枚の指紋画像データの登録が完了すると、指紋照合を行うことができる。指紋照合を行う場合には、指紋照合モードに設定される(ステップS3)。
【0065】
指紋照合を行う場合には、ユーザが指紋センサ1のセンサ面にその指先をタッチする。指紋センサのセンサ面に指先がタッチされると、指紋画像データが取り込まれる(ステップS4)。
【0066】
指紋画像データが取り込まれたら、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1との照合演算がなされ(ステップS5)、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP2との照合演算がなされ(ステップS6)、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP3との照合演算がなされる(ステップS7)。そして、これら取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3のそれぞれとの照合スコアから、照合スコアが最も高いテンプレート指紋画像データが選択される(ステップS8)。
【0067】
このテンプレート指紋画像データP1、P2、P3のうち、最も照合スコアの高いテンプレート指紋画像データを使って、最終的な指紋照合が行われる(ステップS9)。そして、指紋照合の判定結果が出力され(ステップS10)、この照合の判定結果が、インターフェース5を介して、ホストコンピュータに送られる。
【0068】
このように、この発明が適用された指紋照合装置では、登録を行う者は、指紋センサ1のセンサ面上で指の位置を移動させて、複数回、指紋センサ1をタッチする。したがって、一人の登録者につき、指紋センサ1のセンサ面上での指の位置の異なる複数枚のテンプレート指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1、テンプレート指紋画像データP2、テンプレート指紋画像データP3)が取り込まれる。
【0069】
なお、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3は、連続した指紋画像データであり、その間に、情報の欠落がないことが望まれる。そこで、この発明の実施の形態では、指紋画像データの登録処理を行う際に、画像データの重なり部分があるかどうかを判断し、隣接するテンプレート指紋画像データとの間に、重なり部分が生じるようにしている。
【0070】
図12及び図13は、3枚の指紋画像を登録する際の登録処理を示すフローチャートである。図12及び図13において、指紋画像データの登録処理をする場合には、指紋センサ1に指が置かれたかどうかが判断される(ステップS51)。指紋センサ1に指が置かれたかどうかは、指紋センサの出力レベルから判断できる。指紋センサ1に指が置かれて場合には、指紋センサの出力レベルが大きくなる。
【0071】
ステップS51で、指紋センサ1に指が置かれていると判断された場合には、1枚分の指紋画像データの取り込みが完了したかどうかが判断される(ステップS52)。ステップS52で、指紋画像データの取り込みが完了していなければ、ステップS51に戻り、指紋画像データの取り込みが続けられる。取り込みが完了したら、取り込まれた指紋画像データが、テンプレート指紋画像データP1としてフラッシュメモリ6に保存される(ステップS53)。
【0072】
ステップS53で、テンプレート指紋画像データP1が保存されたら、指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたかどうかが判断される(ステップS54)。指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたと判断された場合には、次の1枚分の指紋画像データの取り込みが完了したかどうかが判断される(ステップS55)。指紋画像データの取り込みが完了していなければ、ステップS54に戻り、指紋画像データの取り込みが続けられ、取り込みが完了したら、取り込まれた指紋画像データが、テンプレート指紋画像データP2としてフラッシュメモリ6に保存される(ステップS56)。
【0073】
ステップS56で、テンプレート指紋画像データP2が保存されたら、指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたかどうかが判断され(ステップS57)、指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたと判断された場合には、更に次の1枚分の指紋画像データの取り込みが完了したかどうかが判断される(ステップS58)、指紋画像データの取り込みが完了していなければ、ステップS57に戻り、指紋画像データの取り込みが続けられ、取り込みが完了したら、取り込まれた指紋画像データが、テンプレート指紋画像データP3としてフラッシュメモリ6に保存される(ステップS59)。
【0074】
3枚分のテンプレート指紋画像データP1、P2、P3の取り込みに成功したかどうかが判断される(ステップS60)。3枚のテンプレート指紋画像データが取り込みに成功しない場合には、ステップS51にリターンされる。
【0075】
3枚分のテンプレート指紋画像データP1、P2、P3の取り込みに成功したら、照合演算が行われ(ステップS61)、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に所定の重なりがあるかどうかが判断される(ステップS62)。
【0076】
ステップS62で、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に所定の大きさの重なりがあると判断されたら、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間で照合演算が行われ(ステップS63)、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に所定の大きさの重なりがあるかどうかが判断される(ステップS64)。
【0077】
ステップS62で、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に所定の大きさの重なりがあると判断され、ステップS64で、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に所定の大きさの重なりがあると判断されたら、それで、画像の登録処理は終了される(ステップS66)。
【0078】
ステップS62で、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に重なりがない、或いは所定以上の重なりがあると判断された場合には、画像の取り直し要求が出され(ステップS65)、ステップS51にリターンされる。また、ステップS64で、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に重なりがない、或いは所定以上の重なりがあると判断された場合も、テンプレート指紋画像の取り直し要求が出され(ステップS65)、ステップS51にリターンされる。
【0079】
以上のように、画像を登録する際には、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間、及び、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間で、照合演算が行われ、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間、及び、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に、所定の大きさの重なりがあるかどうかが判断される。
【0080】
例えば、テンプレート指紋画像データP1と、テンプレート指紋画像データP2との照合演算を行った結果、図14に示すように、テンプレート指紋画像データP1のブロック「41」〜「49」と、テンプレート指紋画像データP2のブロック「2」〜「10」とがマッチングブロックとなった場合には、縦一列(10ブロック)あたり5ブロック以上の重なりがあるので、所定の大きさの重なりがあると判断される。
【0081】
テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間、及びテンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に重なりがない、或いは所定以上の重なりがあると判断された場合には、画像の取り直し要求が出される。
【0082】
これにより、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3との間に情報の欠落が生じることが防止できる。
【0083】
なお、この例では、指紋画像データが2値化されているため、2つのブロックのセルの排他的論理和で照合演算が行われる。照合演算が排他的論理和で実現できるため、処理に負担がかからないという利点がある。2値化データでない場合には、2つのブロックのセルのデータを減算することで照合演算が行われる。2つのブロックのセルのデータを減算し、その差分の絶対値和が所定の閾値以下になったら、マッチングブロックと判断できる。
【0084】
また、上述のような排他的論理和による照合演算の代わりに、隆起の分岐点や端点などの位置関係を特徴点とするマニューシャ方式、指紋画像の模様をパターンマッチングさせる方式、指紋画像を周波数変換して照合を行う周波数分析方式などを用いて、マッチングブロックを検出することができる。
【0085】
以上説明したように、この発明が適用された指紋照合装置では、登録時に、指紋センサ1のセンサ面上で指の位置を移動させて、複数回、指紋センサ1をタッチする。したがって、一人の登録者につき、指紋センサ1のセンサ面上での指の位置の異なる複数枚の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1、テンプレート指紋画像データP2、テンプレート指紋画像データP3)が取り込まれる。このようなテンプレート指紋画像データP1、P2、P3を用いることで、左右方向の位置ズレに対象することができ、指紋センサの小型化を図ることができる。
【0086】
なお、上述の例では、指紋センサ1として、縦長の長方形のものを用いたが、横長の長方形のものを用いても良い。横長の指紋センサ1を使った場合には、指の位置を上下にずらしながら、各位置で、複数枚のテンプレート指紋画像データを取り込むようにすれば良い。
【0087】
指紋センサ1のセンサ面の検出領域の大きさは、上述のように、照合判定に必要な長さを5mm、位置ズレを3mmとすれば、(5mm×11mm)となるが、実際には、位置ズレに対する余裕度や、市販されている指紋センサの種類、信号処理のし易さ等を考慮して決められる。例えば、指紋センサ1としては、そのセンサ面の検出領域の大きさが(横15mm×縦20mm)の縦長の長方形のもので、セルのピッチは例えば50μm、セル数は例えば(横300×縦400)のものを使用することが検討されている。
【0088】
また、上述の例では、テンプレート指紋画像データとして3枚の画像データを使っているが、テンプレート指紋画像データの枚数は、3枚に限定されるものではない。
【0089】
また、この例では、テンプレート指紋画像データを予め登録してから、指紋の照合処理を行っているが、指紋の照合処理を行いながら、テンプレート指紋画像を取り込んでいくようにしても良い。すなわち、照合時に取り込まれた指紋画像データが位置ズレを起こしていたら、これをテンプレート指紋画像データとして登録させていくようにしても良い。
【0090】
また、上述の例では、照合を行う際に、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3との間で照合演算を行い、最も照合スコアの高いものを選択し、最も照合スコアの高いテンプレート指紋画像を使って最終的な照合を行っているが、3つの画像の照合演算の結果を組み合わせて、照合を行うようにしても良い。すなわち、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データ1、P2、P3との間でそれぞれ照合演算を行い、照合演算によりそれぞれ求められたマッチングブロック数を合計する。その合計数から、各テンプレート指紋画像データP1、P2、P3の重なりブロック数を減算することで照合スコアが求められ、この照合スコアを用いて、正規のユーザの指紋かどうかが判定される。
【0091】
また、この発明が適用された指紋照合装置では、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3に所定の大きさの重なりがある。このため、画像の欠落が生じない。また、各画像の重なり部分のデータについては、重複して記憶させておく必要はない。複数枚の互いに位置関係の異なる指先の部分の指紋画像データをテンプレート画像として記憶する際に、所定の重なりを有する部分の重複記憶を行わないようにすることで、メモリ容量の拡大を図ることができる。
【0092】
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0093】
【発明の効果】
この発明によれば、指先の指紋の模様に対応する指紋画像データを取得するための指紋検出手段と、互いに位置関係が異なる指紋の模様に対応した複数の指紋画像データがテンプレート指紋画像データとして記憶される記憶手段と、指紋検出手段により新たに取り込まれた指紋画像データと、記憶手段に記憶されているテンプレート指紋画像データとの照合を行う照合手段とが備えられる。
【0094】
例えば、指先の左側の部分のテンプレート指紋画像データP1と、指先の中央のテンプレート指紋画像データP2と、指先の右側の部分のテンプレート指紋画像データP3との3枚のテンプレート指紋画像データが記憶される。
【0095】
指紋認証を行う際には、例えば3枚のテンプレート指紋画像データのうち、照合演算のスコアが最も高く、取り込まれた指紋画像データに最もマッチすると判断されたものが選択され、最終的な照合処理が行われる。
【0096】
これにより、指先の左側の部分が指紋センサのセンサ面の領域に来ている場合には、テンプレート指紋画像データP1を使って照合が行われ、指先の中央の部分が指紋センサのセンサ面の領域に来ている場合には、テンプレート指紋画像データP2を使って照合が行われ、指先の右側の部分が指紋センサのセンサ面に来ている場合には、テンプレート指紋画像データP3を使って照合が行われる。したがって、指先の位置が指紋センサ1のセンサ面に対して左右に位置ズレしていても、確実に指紋照合が行われる。
【0097】
このように、位置ズレが起きても確実に指紋照合が行えるようになるため、指紋センサの検出領域を小さくすることができ、装置全体の小型、軽量化、低価格化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用された指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明が適用された指紋照合装置に適用できる指紋センサの一例のブロック図である。
【図3】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図4】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図5】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図6】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図7】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図8】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図9】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図10】この発明が適用された指紋照合装置における照合演算の説明に用いる略線図である。
【図11】この発明が適用された指紋照合装置の全体動作の説明に用いるフローチャートである。
【図12】この発明が適用された指紋照合装置におけるテンプレート指紋画像データの登録処理の説明に用いるフローチャートである。
【図13】この発明が適用された指紋照合装置におけるテンプレート指紋画像データの登録処理の説明に用いるフローチャートである。
【図14】この発明が適用された指紋照合装置におけるテンプレート指紋画像データの登録処理における画像の重なり部分の説明に用いる略線図である。
【図15】従来の指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図16】従来の指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【符号の説明】
1・・・指紋センサ、3・・・マイクロプロセッサ、4・・・フラッシュメモリ、5・・・インターフェース、6・・・フラッシュメモリ、7・・・照合エンジン
【発明の属する技術分野】
この発明は、パーソナルコンピュータや携帯電話で正規のユーザかどうかを判断するのに用いて好適な指紋照合装置及び指紋照合方法に関するもので、特に、指紋センサの検出領域の小型化に係わる。
【0002】
【従来の技術】
企業で使っているパーソナルコンピュータには、企画書や経理情報など、極秘事項が保存されていることが多い。また、個人で使用しているパーソナルコンピュータにも、住所録やオンライントレードの情報など、秘密事項が含まれていることがある。これらの情報が漏洩したり、改竄されることは社会的な問題である。
【0003】
また、最近の携帯電話端末は高機能化されており、電子メールをやり取りすることができる。このため、携帯電話端末には、電子メールの情報が残っている。電子メールの中には、他人知らせたくないような情報がある。また、携帯電話端末には住所録が保存されている。このような秘密事項が漏洩される危険性がある。
【0004】
更に、携帯電話やパーソナルコンピュータを使った電子取引が注目されている。このような電子取引では、インターネットや携帯電話の回線を使って、商品の購入や銀行の預金口座の管理、株式の売買等が行われる。また、携帯電話をクレジットカードやデビットカードの代わりとして用いることが検討されている。このような電子取引で、その機器のユーザが正規のユーザかどうかを判断するための認証技術が不可欠である。
【0005】
このような社会的な背景から、携帯電話やパーソナルコンピュータに使用できる認証技術として、指紋照合システムが注目されている。
【0006】
指紋照合システムは、正規のユーザの指紋画像データをテンプレートとして予め登録しておき、機器の使用時に、ユーザの指紋画像データを取り込み、取り込まれたユーザの指紋画像データと、予め登録されているテンプレート指紋画像データとの照合を行い、機器の使用者が正規のユーザかどうかを判断するものである。指紋画像データを取り込むための指紋センサとしては、静電容量型や圧電型、熱型等が知られている。また、指紋照合の照合方式としては、隆起の分岐点や端点などの位置関係を特徴点とするマニューシャ方式、指紋画像の模様をパターンマッチングさせる方式、指紋画像を周波数変換して照合を行う周波数分析方式などが知られている。
【0007】
このような指紋照合システムでは、精度の高い指紋照合が行えると共に、小型、軽量、低価格化を図ることが望まれている。特に、指紋センサを小型化することは、装置全体を小型化する上で重要であると共に、半導体素子を用いた指紋センサは、センサの検出領域の面積が直接チップの価格に影響をもたらす。したがって、指紋照合システムでは、精度を落とすことなく、指紋センサを小型化することが重要な技術である。
【0008】
従来の指紋認証システムでは、指紋センサとして、指が接するエリア以上の面積の検出領域を有するものを用いられており、指紋センサが大型化している。そこで、図15に示すように、指紋センサ101の小型化を図るために、指紋センサ101の検出領域AR101を小さくし、指102をスライドさせて指紋画像の入力を行うスイープ型のセンサが提案されている。
【0009】
また、テンプレート指紋画像データの品質を高くするために、例えば、特許文献1に示されているように、複数枚の指紋画像を登録し、画像の平均濃度や濃淡の分散値などで画像品質を計算し、品質の良いものから照合を行うようにしたものが提案されている。また、照合時の2枚の照合スコアから照合スコアなども算出している。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−222424号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図15に示したようなスイープ型のセンサは、高いスキャンレートで何回もデータの取り込みを行い、その後、1つの指紋画像データに結合させ、次に特徴点などの抽出を行ってから照合を行っている。このため、照合が完了するまでに多くの時間がかかる。また、スイープ型センサでは、1つの指紋画像データを結合させる回路やソフトウェアも必要になってくる。
【0012】
また、スイープ型のセンサでは、指をスイープさせるため、指の歪み具合がスイープスピードやセンサを押す圧力などに変化してしまうため、照合精度が悪化するという問題がある。
【0013】
すなわち、図16は、図15に示したスイープ型のセンサを使ったときの指紋画像の結合処理を示すものである。ライン型の指紋センサ101上に指102を当てて指をスライドさせると、図16Aに示すように、各スキャン毎に指紋画像データPa105、Pa104、…(Pa101、Pa102、…)が得られる。これらの指紋画像データPa101、Pa102、…を合成することで、図16Bに示すような全体の指紋画像データPb100が得られる。図16Aに示す個々の指紋画像データPa101、Pa102、…から、図16Bに示すような全体の指紋画像データPb100を合成するためには、前後のデータの一部分が重なる必要があり、手もスイープ速度により重なる部分が変化するため、スイープ速度の検出するための機構などが必要になる。
【0014】
また、特許文献1に示した、複数枚の指紋画像を登録し、画像の平均濃度や濃淡の分散値などで画像品質を計算し、品質の良いものから照合を行うようにしたものでは、照合精度をアップするために、複数枚の指紋画像データの登録を行っているため、メモリ容量を消費するという問題があり、多くの指紋画像データを登録すると、メモリ容量が不足する。更に、指の位置ズレが多い場合には考慮されていない。
【0015】
したがって、この発明の目的は、精度の低下を招くことなく指紋センサを小型化できる指紋照合装置及び指紋照合方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明は、指先の指紋の模様に対応する指紋画像データを取得するための指紋検出手段と、互いに位置関係が異なる指紋の模様に対応した複数の指紋画像データがテンプレート指紋画像データとして記憶される記憶手段と、指紋検出手段により新たに取り込まれた指紋画像データと、記憶手段に記憶されているテンプレート指紋画像データとの照合を行う照合手段とを備えることを特徴とする指紋照合装置である。
【0017】
この発明は、互いに位置関係が異なる指先の指紋の模様に対応した複数の指紋画像データをテンプレート指紋画像データとして保存しておき、新たに取り込まれた指紋画像データを複数のテンプレート指紋画像データとそれぞれ照合するようにしたことを特徴とする指紋照合方法である。
【0018】
この発明では、テンプレート指紋画像の登録時に、複数枚の互いに位置関係の異なる指先の部分の指紋画像データをテンプレート指紋画像データとして記憶手段としてのフラッシュメモリに記憶させる。指紋認証を行う際には、指紋検出手段としての指紋センサから指紋画像データが取り込まれる。照合手段としての照合エンジンにより、指紋センサから取り込まれた指紋画像データと、複数のテンプレート指紋画像データとの照合演算が行われる。これにより、位置ズレを考えずに、照合演算が行え、指紋センサの検出領域を小さくすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明が適用された指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、指紋センサ1は、そのセンサ面上に置かれた指先の指紋の模様に対応する指紋画像信号を発生する。指紋センサ1からは、そのセンサ面上の指紋の模様に対応する指紋画像信号が出力される。この指紋センサ1の出力信号は、A/Dコンバータ2で例えば8ビットでディジタル化され、照合エンジン7に供給される。
【0020】
マイクロプロセッサ3は、指紋照合処理の全体動作を行っている。すなわち、指紋照合処理では、指紋センサ1のセンサ面上に指先がタッチされると、その指紋画像データが取り込まれ、取り込まれた指紋画像データと予め登録されている指紋画像データとの照合が行われ、正規のユーザの指紋と一致するかどうかの処理が行われる。マイクロプロセッサ3は、このような指紋照合処理の全体動作を行っている。
【0021】
マイクロプロセッサ3には、マイクロプロセッサ3に対するメインメモリとして用いられるDRAM(Dynamic Random Access Memory)4と、各種の周辺機器と接続するためのインターフェース5と、プログラムやデータを保存するためのフラッシュメモリ6と、照合エンジン7が接続される。
【0022】
インターフェース5としては、USB(Universal Serial Bus) やUART(Universal Asynchronous Receiver−Transmitter)等が用いられる。USBは、周辺装置を接続するためのシリアルバスで、USBは、ホストコンピュータとCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)ドライブ、プリンタ、モデム、マウス、キーボードなどの周辺装置とを接続するのに使用される。UARTは、非同期シリアル通信を行うためのインターフェースで、UARTは、ホストコンピュータとモデム等を接続するのに使用される。この発明が適用された指紋照合装置はUSBやUARTのインターフェース5を介してホストコンピュータ(図示せず)と接続され、照合結果がホストコンピュータに送られる。なお、インターフェース5としては、USBやUARTのみならず、他のインターフェースを設けるようにしても良い。
【0023】
フラッシュメモリ6は、バックアップ電源なしにデータを保持できる不揮発性メモリの一種であり、電気的に消去、再記録可能なメモリである。フラッシュメモリ6には、指紋照合処理を行うためのプログラム、登録された複数枚のテンプレート指紋画像データ等、各種のプログラムやデータが記憶される。なお、フラッシュメモリ6の代わりに、又はフラッシュメモリ6と共に、ストレージとなる他の記録装置を設けるようにしても良い。
【0024】
照合エンジン7は、指紋センサ1からA/Dコンバータ2を介して供給される指紋画像データと、予めフラッシュメモリ6に記憶されている指紋画像データとの照合のための演算処理を行う専用のハードウェアである。照合エンジン7に対して、SRAM(Static Random Access Memory)8が設けられる。SRAM8は、指紋照合のための演算を行う際のワーキングメモリとして働く。
【0025】
なお、この例では、照合エンジン7により指紋照合の演算処理をハードウェアで実現しているが、マイクロプロセッサ3の処理が十分に高速であるなら、マイクロプロセッサ3でソフトウェアにより指紋照合の演算処理を行うようにしても良い。
【0026】
上述のように、指紋センサ1は、そのセンサ面上に置かれた指先の指紋の模様に対応する指紋画像信号を発生するもので、指紋センサ1での指紋を検出ための方式としては、静電容量型や圧電型、熱型等が知られている。ここでは、指紋センサ1の一例として、静電容量型のものについて説明する。
【0027】
図2は、静電容量型の指紋センサの一例である。指紋センサ1のセンサ面には、セルCe00、Ce01、Ce02…、Ce10、Ce11、Ce12…が二次元マトリクス上に配置される。各セルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…は、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…と、スイッチ素子としての薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…、Sw10、Sw11、Sw12、…とからなる。また、指紋センサ1には、行駆動回路14と、検出回路15とが設けられる。
【0028】
検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…は、タッチされた部材の凹凸によりその静電容量が変化するキャパシタ部材からなる。キャパシタ部材の静電容量と電圧との関係は、静電容量をC、電荷をQ、電圧をVとすると、(Q=CV)となることが知られている。したがって、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…がタッチされると、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…の電圧から、指紋の凹凸の変化に対応する信号が出力される。
【0029】
薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…、Sw10、Sw11、Sw12、…は、各セルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…の検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…、Pr10、Pr11、Pr12、…からの信号を、各カラム信号ラインCL0、CL1、Cl2、…に出力するためのスイッチ素子として動作する。
【0030】
行駆動回路14からは、ロウ信号ラインRL0、RL1、…が導出される。行駆動回路14は例えばシフトレジスタであり、行駆動回路14から導出されるロウ信号ラインRL0、RL1、…は、端子11からのクロックにより、行方向に順にアクティブになる。
【0031】
セルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…のうち、同一の行方向に並ぶセルの薄膜トランジスタは、対応する行のロウ信号ラインRL0、RL1、…に接続される。
【0032】
すなわち、行番号「0」にあるセルCe00、Ce01、Ce02、…の薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…は、行番号「0」のロウ信号ラインRL0に接続される。行番号「1」にあるセルCe10、Ce11、Ce12、…の薄膜トランジスタSw10、Sw11、…は、行番号「1」のロウ信号ラインRL1に接続される。
【0033】
行駆動回路14により、ロウ信号ラインRL0、RL1、…が行方向に順にアクティブとなると、その行番号にあるセルの薄膜トランジスタが順にオンになる。
【0034】
すなわち、先ず、ロウ信号ラインRL0がアクティブとなり、セルCe00、Ce01、Ce02、…の薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…がオンになる。次に、ロウ信号ラインRL1がアクティブとなり、セルCe10、Ce11、Ce12、…の薄膜トランジスタSw10、Sw11、Sw12、…がオンになる。
【0035】
検出回路15からは、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…が導出される。セルCe00、Ce01、Ce02、…、セルCe10、Ce11、Ce12、…のうち、同一の列方向に並ぶセルの薄膜トランジスタは、対応する列のカラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…に接続される。
【0036】
すなわち、列番号「0」にあるセルCe00、Ce10、…の薄膜トランジスタSw00、Sw10、…は、カラム信号ラインCL0に接続される。列番号「1」にあるセルCe01、Ce11、…の薄膜トランジスタSw01、Sw11、…は、カラム信号ラインCL1に接続される。列番号「2」にあるセルCe02、Ce12、…の薄膜トランジスタSw02、Sw12、…は、カラム信号ラインCL2に接続される。
【0037】
検出回路15は、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して転送されてきた各セルの検出電極からの信号を増幅するアンプと、この各セルの検出信号をシリアル信号として外部に出力するシフトレジスタとからなる。カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して各セルの検出電極から送られてきた信号は、検出回路15のシフトレジスタに送られ、端子12からのクロックにより、順に転送され、出力端子13から出力される。
【0038】
前述したように、行駆動回路14により、ロウ信号ラインRL0、RL1、…が行方向に順にアクティブとなる。ロウ信号ラインRL0、RL1、…がアクティブになると、そのロウ信号ラインに対応する行に並ぶセルの薄膜トランジスタがオンとなる。これにより、そのセルの検出電極の検出信号が、カラム信号ラインCL0、CL1、…を介して、検出回路15に供給される。
【0039】
すなわち、ロウ信号ラインRL0がアクティブになると、セルCe00、Ce01、Ce02、…の薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…がオンとなり、検出電極Pr00、Pr01、Pr02、…からの検出信号が、薄膜トランジスタSw00、Sw01、Sw02、…、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して、検出回路15のシフトレジスタに供給され、端子12からのクロックにより、出力端子13からシリアル信号で順に出力される。
【0040】
次に、ロウ信号ラインRL1がアクティブになると、セルCe10、Ce11、Ce12、…の薄膜トランジスタSw10、Sw11、Sw12、…がオンとなり、検出電極Pr10、Pr11、Pr12、…からの検出信号が、薄膜トランジスタSw10、Sw11、Sw12、…、カラム信号ラインCL0、CL1、CL2、…を介して、検出回路15のシフトレジスタに供給され、端子12からのクロックにより、出力端子13からシリアル信号で順に出力される。
【0041】
以上のようにして、出力端子13からは、マトリクス状に配置されたセルCe00、Ce01、Ce02、…、Ce10、Ce11、Ce12、…からの指紋の凹凸に対応する指紋画像信号が、1行毎にシリアル信号で出力される。
【0042】
次に、この発明が適用された指紋照合装置の動作について説明する。図1に示したような指紋照合装置では、小型化、軽量化、低価格化を図るために、指紋センサ1として、小型のものを用いることが望まれる。ところが、指紋照合を行うためには、ある程度の大きさの検出領域を確保する必要がある。更に、位置ズレを考慮する必要がある。
【0043】
そこで、この発明の実施の形態では、互いに位置関係の異なる指紋画像データを複数枚のテンプレート指紋画像データとして登録するようにし、この複数枚のテンプレート指紋画像データで左右の位置ズレ分を補うようにしている。これにより、指紋センサ1の小型化が図れる。
【0044】
つまり、指紋センサ1から得られた指紋画像データと、予め登録されているテンプレート指紋画像データとの照合演算を行うためには、ある程度の大きさの検出領域を確保する必要がある。例えば、図3に示すように、照合を行う者の指先21に対して、例えば(5mm×5mm)の領域AR1が確保したとする。図4に示すように検出領域AR1を確保した場合、照合を行う者の指先21が常に領域AR1に対して同じ位置に置かれるのであれば、この(5mm×5mm)の領域AR1を指紋センサの検出領域とすれば、指紋照合処理を行うことができる。
【0045】
ところが、照合を行う者の指先21を常に領域AR1に対して正確に同じ位置に置くことは困難である。実際には、図5A〜図5Cに示すように、領域AR1に対して、照合を行う者の指先21は、上下左右に位置ズレを起こす。このため、指紋センサのセンサ面としては、(5mm×5mm)の領域AR1に、位置ズレ分を加算した領域が必要になる。
【0046】
位置ズレ量がどのくらいになるかについては、本願発明者らは、被験者を使って計測を行った。それによると、被験者10人に対して、一人50回、合計(50×10=500サンプル)を使って、位置ズレを計測したところ、上下左右に、約3mmの位置ズレが生じるという結果を得た。この結果を考慮すると、指紋センサの検出領域としては、領域AR1の大きさに、上下左右に3mmの位置ズレ分の大きさを加えた大きさが必要になる。すなわち、領域AR1の一辺の長さ5mmに、位置ズレ分を加算すると、(5+3+3=11mm)となり、指紋センサの検出領域としては、図6に示すように、(11mm×11mm)の領域AR2が必要になる。
【0047】
このように、指紋センサから得られた指紋画像データと、予め登録されている指紋画像データとの照合演算を行うのに必要な領域が例えば(5mm×5mm)であったとしても、位置ズレを考慮すると、(11mm×11mm)程度の領域が指紋センサの検出領域として必要になる。このことが指紋センサの小型化の障害となる。
【0048】
そこで、この発明の実施の形態では、互いに位置関係の異なる複数枚の指紋画像データをテンプレート指紋画像データとして登録しておき、この互いに位置関係の異なる複数枚のテンプレート指紋画像データを利用することで、左右の位置ズレ分を補うようにし、指紋センサの小型化を図るようにしている。上下の位置ズレについては、指紋センサを縦長にすることで、対処できる。これにより、図7に示すように、指先31に対して、例えば、(11mm×5mm)程度の検出領域AR3の指紋センサ1で、指紋照合を行える。検出領域AR3の横の長さは、この指紋検出に必要な領域の横の長さ(5mm)と等しい。検出領域AR3の縦の長さは、位置ズレを考慮した長さ(11mm)に等しい。上下方向の位置ズレについては、検出領域AR3の縦方向の長さを11mmとすることで対処できる。
【0049】
指紋照合を行うときには、ユーザは、指紋センサ1のセンサ面にタッチする。このとき、位置ズレが起こるため、指先31のどの部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3のどこに来るかは不定である。指先の左側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来ることもあるし、ユーザの指先の中央が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来ることもあるし、指先の右側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来ることもある。
【0050】
そこで、登録時に、指先31の左側の部分のテンプレート指紋画像データと、指先31の中央のテンプレート指紋画像データと、指先31の右側の部分のテンプレート指紋画像データとがフラッシュメモリ6に記憶される。
【0051】
すなわち、指紋画像データの登録を行う際には、先ず、登録を行う者は、図8Aに示すように、指先31の左側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来るように、指先31を指紋センサ1にタッチする。次に、指先を少し移動させ、図8Bに示すように、指先31の中央の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来るようにして、指先31を指紋センサ1にタッチする。そして、更に指先31を少し移動させ、図8Cに示すように、指先31の右側の部分が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に来るように、指先を指紋センサ1にタッチする。
【0052】
このように指先を移動させながら、指紋センサ1のセンサ面をタッチすると、図9A、図9B、図9Cに示すように、指先31の左側の部分の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1)と、指先31の中央の部分の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP2)と、指先31の右側の部分の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP3)とがフラッシュメモリ6に記憶される。
【0053】
指紋認証を行う際には、ユーザは、指紋センサ1をタッチする。そして、ユーザの指先の指紋画像データが取り込まれ、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3との照合が行われる。取り込まれた指紋画像データに対して、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3のうち、照合スコアが最も高く、取り込まれた指紋画像データに最もマッチすると判断されたテンプレート指紋画像データにより、最終的な照合処理が行われる。これにより、指先31の位置が指紋センサ1のセンサ面の領域AR3に対して左右に位置ズレしていても、確実に指紋照合が行われる。
【0054】
最終的に照合を行うテンプレート指紋画像データは、上述のように、照合演算により求められる照合スコアにより決められる。この照合演算について説明する。
【0055】
図10は、照合演算の説明図である。いま、例えば、指紋画像データPaと、指紋画像データPbとの間で、照合演算を行うものとする。1つの指紋画像データは、その大きさが(11mm×5mm)で、(横300×縦400)のセルの画像データとする。そして、この指紋画像データは、照合エンジン7により2値化されて処理されるものとする。
【0056】
指紋画像データPa及び指紋画像データPbは、例えば50個のブロック「1」から「50」に分割される。そして、各ブロック毎に、照合演算が行われる。
【0057】
すなわち、先ず、指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbのブロック「1」とが取り出される。指紋画像データPaのブロック「1」の各セルのデータと、指紋画像データPbのブロック「1」の各セルのデータとが比較され、両者のセルが一致している数がカウントされる(又は一致していない数がカウントされる)。
【0058】
指紋画像データは「0」又は「1」の2値データなので、各セルのデータの比較は、排他的論理和により行える。すなわち、各ブロックのセル毎に排他的論理和をとり、排他的論理和が「0」なら指紋画像データが一致し、「1」なら指紋画像データが異なっている。したがって、各ブロックのセル毎に排他的論理和を求め、その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数(又は「1」になるセルの数)をカウントすることで、マッチングが求められる。その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数が多ければ、マッチング量が高く、その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数が少なければ、マッチング量は低い。各ブロックのセル毎に排他的論理和を求め、その排他的論理和の出力が「0」になるセルの数がカウントされ、そのカウント値が所定の閾値と比較される。排他的論理和の出力が「0」になるセルの数のカウント値が所定の閾値を越えたら、マッチングブロックと判断される。
【0059】
指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbのブロック「1」とのマッチング演算が行われたら、同様にして、指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算が行われる。次に、指紋画像データPaのブロック「2」と、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算が行われる。以下、指紋画像データPaの各々ブロックと、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算が行われる。
【0060】
なお、例えば、指紋画像データPaのブロック「1」と、指紋画像データPbの全てのブロックとのマッチング演算を行うと、マッチングレベルは異なるが、指紋画像データPbのいろいろな場所でマッチングしてしまうことがある。そのため、最後に列ごとにマッチングを判断する必要がある。指紋画像データPaの各列と、指紋画像データPb中の各列とを比較し、最もマッチングした列では、最も一致したブロック数が多くなる。
【0061】
以上のように、この発明が適用された指紋照合装置では、位置の異なる指紋画像データを複数枚(例えば3枚)登録しておくことで、左右の位置ズレ分を補うようにしている。このため、指紋センサ1の検出領域を小さくすることができる。
【0062】
図11は、この発明が適用された指紋照合装置の動作の概要を示すフローチャートである。先ず、指紋画像登録モードに設定され(ステップS1)、互いに位置関係の異なる複数枚、例えば3枚の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1、テンプレート指紋画像データP2、テンプレート指紋画像データP3)の登録処理が行われる(ステップS2)。
【0063】
テンプレート指紋画像データの登録処理では、図8に示したように、指紋登録を行う正規のユーザは、その指先の腹の方を指紋センサ1のセンサ面に向け、指先の位置を移動させて、各位置で、その指先を指紋センサ1のセンサ面にタッチする。指紋センサ1のセンサ面に指先がタッチされると、その指紋データが指紋センサ1で読み取られ、この指紋画像データが、指紋センサ1から、A/Dコンバータ2、照合エンジン7に送られる。この指紋画像データは、照合エンジン7で2値化され、2値化された指紋画像データが、マイクロプロセッサ3を介して、フラッシュメモリ6に保存される(図1参照)。
【0064】
位置の異なる複数枚、例えば3枚の指紋画像データの登録が完了すると、指紋照合を行うことができる。指紋照合を行う場合には、指紋照合モードに設定される(ステップS3)。
【0065】
指紋照合を行う場合には、ユーザが指紋センサ1のセンサ面にその指先をタッチする。指紋センサのセンサ面に指先がタッチされると、指紋画像データが取り込まれる(ステップS4)。
【0066】
指紋画像データが取り込まれたら、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1との照合演算がなされ(ステップS5)、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP2との照合演算がなされ(ステップS6)、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP3との照合演算がなされる(ステップS7)。そして、これら取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3のそれぞれとの照合スコアから、照合スコアが最も高いテンプレート指紋画像データが選択される(ステップS8)。
【0067】
このテンプレート指紋画像データP1、P2、P3のうち、最も照合スコアの高いテンプレート指紋画像データを使って、最終的な指紋照合が行われる(ステップS9)。そして、指紋照合の判定結果が出力され(ステップS10)、この照合の判定結果が、インターフェース5を介して、ホストコンピュータに送られる。
【0068】
このように、この発明が適用された指紋照合装置では、登録を行う者は、指紋センサ1のセンサ面上で指の位置を移動させて、複数回、指紋センサ1をタッチする。したがって、一人の登録者につき、指紋センサ1のセンサ面上での指の位置の異なる複数枚のテンプレート指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1、テンプレート指紋画像データP2、テンプレート指紋画像データP3)が取り込まれる。
【0069】
なお、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3は、連続した指紋画像データであり、その間に、情報の欠落がないことが望まれる。そこで、この発明の実施の形態では、指紋画像データの登録処理を行う際に、画像データの重なり部分があるかどうかを判断し、隣接するテンプレート指紋画像データとの間に、重なり部分が生じるようにしている。
【0070】
図12及び図13は、3枚の指紋画像を登録する際の登録処理を示すフローチャートである。図12及び図13において、指紋画像データの登録処理をする場合には、指紋センサ1に指が置かれたかどうかが判断される(ステップS51)。指紋センサ1に指が置かれたかどうかは、指紋センサの出力レベルから判断できる。指紋センサ1に指が置かれて場合には、指紋センサの出力レベルが大きくなる。
【0071】
ステップS51で、指紋センサ1に指が置かれていると判断された場合には、1枚分の指紋画像データの取り込みが完了したかどうかが判断される(ステップS52)。ステップS52で、指紋画像データの取り込みが完了していなければ、ステップS51に戻り、指紋画像データの取り込みが続けられる。取り込みが完了したら、取り込まれた指紋画像データが、テンプレート指紋画像データP1としてフラッシュメモリ6に保存される(ステップS53)。
【0072】
ステップS53で、テンプレート指紋画像データP1が保存されたら、指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたかどうかが判断される(ステップS54)。指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたと判断された場合には、次の1枚分の指紋画像データの取り込みが完了したかどうかが判断される(ステップS55)。指紋画像データの取り込みが完了していなければ、ステップS54に戻り、指紋画像データの取り込みが続けられ、取り込みが完了したら、取り込まれた指紋画像データが、テンプレート指紋画像データP2としてフラッシュメモリ6に保存される(ステップS56)。
【0073】
ステップS56で、テンプレート指紋画像データP2が保存されたら、指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたかどうかが判断され(ステップS57)、指紋センサ1から一度指が離され、再び指紋センサ1に指が置かれたと判断された場合には、更に次の1枚分の指紋画像データの取り込みが完了したかどうかが判断される(ステップS58)、指紋画像データの取り込みが完了していなければ、ステップS57に戻り、指紋画像データの取り込みが続けられ、取り込みが完了したら、取り込まれた指紋画像データが、テンプレート指紋画像データP3としてフラッシュメモリ6に保存される(ステップS59)。
【0074】
3枚分のテンプレート指紋画像データP1、P2、P3の取り込みに成功したかどうかが判断される(ステップS60)。3枚のテンプレート指紋画像データが取り込みに成功しない場合には、ステップS51にリターンされる。
【0075】
3枚分のテンプレート指紋画像データP1、P2、P3の取り込みに成功したら、照合演算が行われ(ステップS61)、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に所定の重なりがあるかどうかが判断される(ステップS62)。
【0076】
ステップS62で、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に所定の大きさの重なりがあると判断されたら、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間で照合演算が行われ(ステップS63)、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に所定の大きさの重なりがあるかどうかが判断される(ステップS64)。
【0077】
ステップS62で、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に所定の大きさの重なりがあると判断され、ステップS64で、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に所定の大きさの重なりがあると判断されたら、それで、画像の登録処理は終了される(ステップS66)。
【0078】
ステップS62で、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間に重なりがない、或いは所定以上の重なりがあると判断された場合には、画像の取り直し要求が出され(ステップS65)、ステップS51にリターンされる。また、ステップS64で、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に重なりがない、或いは所定以上の重なりがあると判断された場合も、テンプレート指紋画像の取り直し要求が出され(ステップS65)、ステップS51にリターンされる。
【0079】
以上のように、画像を登録する際には、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間、及び、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間で、照合演算が行われ、テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間、及び、テンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に、所定の大きさの重なりがあるかどうかが判断される。
【0080】
例えば、テンプレート指紋画像データP1と、テンプレート指紋画像データP2との照合演算を行った結果、図14に示すように、テンプレート指紋画像データP1のブロック「41」〜「49」と、テンプレート指紋画像データP2のブロック「2」〜「10」とがマッチングブロックとなった場合には、縦一列(10ブロック)あたり5ブロック以上の重なりがあるので、所定の大きさの重なりがあると判断される。
【0081】
テンプレート指紋画像データP1とテンプレート指紋画像データP2との間、及びテンプレート指紋画像データP2とテンプレート指紋画像データP3との間に重なりがない、或いは所定以上の重なりがあると判断された場合には、画像の取り直し要求が出される。
【0082】
これにより、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3との間に情報の欠落が生じることが防止できる。
【0083】
なお、この例では、指紋画像データが2値化されているため、2つのブロックのセルの排他的論理和で照合演算が行われる。照合演算が排他的論理和で実現できるため、処理に負担がかからないという利点がある。2値化データでない場合には、2つのブロックのセルのデータを減算することで照合演算が行われる。2つのブロックのセルのデータを減算し、その差分の絶対値和が所定の閾値以下になったら、マッチングブロックと判断できる。
【0084】
また、上述のような排他的論理和による照合演算の代わりに、隆起の分岐点や端点などの位置関係を特徴点とするマニューシャ方式、指紋画像の模様をパターンマッチングさせる方式、指紋画像を周波数変換して照合を行う周波数分析方式などを用いて、マッチングブロックを検出することができる。
【0085】
以上説明したように、この発明が適用された指紋照合装置では、登録時に、指紋センサ1のセンサ面上で指の位置を移動させて、複数回、指紋センサ1をタッチする。したがって、一人の登録者につき、指紋センサ1のセンサ面上での指の位置の異なる複数枚の指紋画像データ(テンプレート指紋画像データP1、テンプレート指紋画像データP2、テンプレート指紋画像データP3)が取り込まれる。このようなテンプレート指紋画像データP1、P2、P3を用いることで、左右方向の位置ズレに対象することができ、指紋センサの小型化を図ることができる。
【0086】
なお、上述の例では、指紋センサ1として、縦長の長方形のものを用いたが、横長の長方形のものを用いても良い。横長の指紋センサ1を使った場合には、指の位置を上下にずらしながら、各位置で、複数枚のテンプレート指紋画像データを取り込むようにすれば良い。
【0087】
指紋センサ1のセンサ面の検出領域の大きさは、上述のように、照合判定に必要な長さを5mm、位置ズレを3mmとすれば、(5mm×11mm)となるが、実際には、位置ズレに対する余裕度や、市販されている指紋センサの種類、信号処理のし易さ等を考慮して決められる。例えば、指紋センサ1としては、そのセンサ面の検出領域の大きさが(横15mm×縦20mm)の縦長の長方形のもので、セルのピッチは例えば50μm、セル数は例えば(横300×縦400)のものを使用することが検討されている。
【0088】
また、上述の例では、テンプレート指紋画像データとして3枚の画像データを使っているが、テンプレート指紋画像データの枚数は、3枚に限定されるものではない。
【0089】
また、この例では、テンプレート指紋画像データを予め登録してから、指紋の照合処理を行っているが、指紋の照合処理を行いながら、テンプレート指紋画像を取り込んでいくようにしても良い。すなわち、照合時に取り込まれた指紋画像データが位置ズレを起こしていたら、これをテンプレート指紋画像データとして登録させていくようにしても良い。
【0090】
また、上述の例では、照合を行う際に、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3との間で照合演算を行い、最も照合スコアの高いものを選択し、最も照合スコアの高いテンプレート指紋画像を使って最終的な照合を行っているが、3つの画像の照合演算の結果を組み合わせて、照合を行うようにしても良い。すなわち、取り込まれた指紋画像データと、テンプレート指紋画像データ1、P2、P3との間でそれぞれ照合演算を行い、照合演算によりそれぞれ求められたマッチングブロック数を合計する。その合計数から、各テンプレート指紋画像データP1、P2、P3の重なりブロック数を減算することで照合スコアが求められ、この照合スコアを用いて、正規のユーザの指紋かどうかが判定される。
【0091】
また、この発明が適用された指紋照合装置では、テンプレート指紋画像データP1、P2、P3に所定の大きさの重なりがある。このため、画像の欠落が生じない。また、各画像の重なり部分のデータについては、重複して記憶させておく必要はない。複数枚の互いに位置関係の異なる指先の部分の指紋画像データをテンプレート画像として記憶する際に、所定の重なりを有する部分の重複記憶を行わないようにすることで、メモリ容量の拡大を図ることができる。
【0092】
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0093】
【発明の効果】
この発明によれば、指先の指紋の模様に対応する指紋画像データを取得するための指紋検出手段と、互いに位置関係が異なる指紋の模様に対応した複数の指紋画像データがテンプレート指紋画像データとして記憶される記憶手段と、指紋検出手段により新たに取り込まれた指紋画像データと、記憶手段に記憶されているテンプレート指紋画像データとの照合を行う照合手段とが備えられる。
【0094】
例えば、指先の左側の部分のテンプレート指紋画像データP1と、指先の中央のテンプレート指紋画像データP2と、指先の右側の部分のテンプレート指紋画像データP3との3枚のテンプレート指紋画像データが記憶される。
【0095】
指紋認証を行う際には、例えば3枚のテンプレート指紋画像データのうち、照合演算のスコアが最も高く、取り込まれた指紋画像データに最もマッチすると判断されたものが選択され、最終的な照合処理が行われる。
【0096】
これにより、指先の左側の部分が指紋センサのセンサ面の領域に来ている場合には、テンプレート指紋画像データP1を使って照合が行われ、指先の中央の部分が指紋センサのセンサ面の領域に来ている場合には、テンプレート指紋画像データP2を使って照合が行われ、指先の右側の部分が指紋センサのセンサ面に来ている場合には、テンプレート指紋画像データP3を使って照合が行われる。したがって、指先の位置が指紋センサ1のセンサ面に対して左右に位置ズレしていても、確実に指紋照合が行われる。
【0097】
このように、位置ズレが起きても確実に指紋照合が行えるようになるため、指紋センサの検出領域を小さくすることができ、装置全体の小型、軽量化、低価格化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用された指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明が適用された指紋照合装置に適用できる指紋センサの一例のブロック図である。
【図3】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図4】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図5】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図6】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図7】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図8】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図9】この発明が適用された指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図10】この発明が適用された指紋照合装置における照合演算の説明に用いる略線図である。
【図11】この発明が適用された指紋照合装置の全体動作の説明に用いるフローチャートである。
【図12】この発明が適用された指紋照合装置におけるテンプレート指紋画像データの登録処理の説明に用いるフローチャートである。
【図13】この発明が適用された指紋照合装置におけるテンプレート指紋画像データの登録処理の説明に用いるフローチャートである。
【図14】この発明が適用された指紋照合装置におけるテンプレート指紋画像データの登録処理における画像の重なり部分の説明に用いる略線図である。
【図15】従来の指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【図16】従来の指紋照合装置の説明に用いる略線図である。
【符号の説明】
1・・・指紋センサ、3・・・マイクロプロセッサ、4・・・フラッシュメモリ、5・・・インターフェース、6・・・フラッシュメモリ、7・・・照合エンジン
Claims (8)
- 指先の指紋の模様に対応する指紋画像データを取得するための指紋検出手段と、
互いに位置関係が異なる上記指紋の模様に対応した複数の指紋画像データがテンプレート指紋画像データとして記憶される記憶手段と、
上記指紋検出手段により新たに取り込まれた指紋画像データと、上記記憶手段に記憶されているテンプレート指紋画像データとの照合を行う照合手段とを備えることを特徴とする指紋照合装置。 - 上記照合手段は、複数の上記テンプレート指紋画像データが上記記憶手段に記憶される際に、上記テンプレート指紋画像データとするために上記指紋検出手段によって取り込まれた指紋画像データが相互に所定の重なりを有するかどうかを判断し、上記所定の重なりを有していないと判断した場合には、上記指紋検出手段に対して上記テンプレート指紋画像データとするための指紋画像データを再取り込みさせる請求項1に記載の指紋照合装置。
- 上記照合手段は、上記記憶手段に対して、上記所定の重なりを有する部分の重複記憶をさせないこととする請求項2に記載の指紋照合装置。
- 上記指紋検出手段は、上記指紋画像データの取得に際して縦方向及び横方向のうちの一方の検出領域の長さを上記照合に必要な長さに位置ズレ量を加えた長さとし、他方の検出領域の長さを上記照合に必要な長さとする請求項1に記載の指紋照合装置。
- 上記照合手段は、上記テンプレート指紋画像データの中で上記指紋検出手段により新たに取り込まれた指紋画像データと一致する度合いが最も高いデータとの比較結果を上記照合の結果とする請求項1に記載の指紋照合装置。
- 互いに位置関係が異なる指先の指紋の模様に対応した複数の指紋画像データをテンプレート指紋画像データとして保存しておき、
新たに取り込まれた指紋画像データを複数の上記テンプレート指紋画像データとそれぞれ照合するようにしたことを特徴とする指紋照合方法。 - 上記複数のテンプレート指紋画像データが相互に所定の重なりを有するかどうかを判断し、上記所定の重なりを有していない場合には、上記テンプレート指紋画像データとするための指紋画像データの再取り込みを行う請求項6に記載の指紋照合方法。
- 上記テンプレート指紋画像データの中で上記新たに取り込まれた指紋画像データと一致する度合いが最も高いデータとの比較結果を上記照合の結果とする請求項6に記載の指紋照合方法。
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