JP2004175623A - 優先配向を有するナノ構造金属酸化物焼結体及びその製造方法 - Google Patents

優先配向を有するナノ構造金属酸化物焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パルス通電加圧方法を利用して、金属酸化物の微粉末を低温でしかも短時間で焼結し、優先配向をもたせたナノ構造金属酸化物焼結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】該方法は、平均粒径が30nm以下の金属酸化物の微粉末を焼結型内に入れ、前記焼結型及び金属酸化物微粉末を前記焼結型内で5MPaないし60MPaで加圧すると共に、前記金属酸化物微粉末に電圧3Vないし20Vで受圧力面積比電流が200A/cmないし1250A/cmの直流パルス電流を流し、焼結時の加圧力が5MPaないし100MPaであり、焼結温度が600℃ないし1000℃の温度範囲内で、所望の雰囲気下で3分ないし30分間、直流パルス通電加圧焼結法で焼結することに特徴を有する。パルス通電効果により発生する瞬間的な電磁場を利用し、その電解拡散効果により優先配向をもたせたナノ構造金属酸化物焼結体を製造することができる。
【選択図】図4

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は優先配向を有するナノ構造金属酸化物焼結体及びその製造方法に関し、詳細には、例えば酸化チタン(TiO)のような金属酸化物のナノ粒子を、放電焼結法、プラズマ活性化焼結法などを含む放電プラズマ焼結法に代表されるパルス通電加圧焼結法(或いは大電流直流パルス通電加圧焼結法)により焼結して抗菌材、光触媒、或いは空気清浄材等に利用可能な、優先配向を有する金属酸化物焼結体を製造する方法及びかかる金属酸化物焼結体に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、微細構造を有する金属粒子を焼結して焼結体を得る方法の研究が進み、1μm未満の粒径を有する金属炭化物の粉末を焼結して金属炭化物焼結体を得る方法、或いは、金属酸化物の粉末を焼結して金属酸化物焼結体を得る方法が種々提案されている。一方、酸化チタン(TiO)の有する、化学的特性(抗菌作用、吸着作用)、光学的特性(光触媒作用)、或いは電気的特性に着目して、その粉末を焼結して機能材料とする技術も研究されてきている。しかしながら、酸化チタンのこのような特性保持させたまま焼結体を効率良くかつ確実に得る方法は、必ずしもまだ確立されていない。金属酸化物である酸化チタン粉末を焼結して酸化チタン焼結体を得る既知の方法としては、例えば、(1)下記特許文献1に示されるもの或いは(2)下記特許文献2に示されるものがある。この前者(1)の特許文献1に記載された方法は、平均粒径が1μm以下の酸化チタンの粉末をアルカリ酸化物、溶媒、有機バインダー、分散剤等を混合してスラリーを調製し、そのスラリーを成形した後長時間かけて大気中で1100〜1300℃で焼成するものであり、また、後者(2)の特許文献2に記載された方法は、アナターゼ型結晶構造の酸化チタン原料粉末とルチル結晶構造の酸化チタン粉末とを所望の割合で混合しプレス成形して成形体とし、その成形体を長時間かけて非酸化雰囲気中で1100〜1400℃で焼結するものである。
【0003】
ところで、工業的に生産される酸化チタンには、前述のように、アナターゼ型結晶構造(アナターゼ相)を有するものと、ルチル型結晶構造(ルチル相)を有するものとがあり、それらの結晶構造の温度的境界はおおよそ900℃付近である。したがって、酸化チタンのような金属酸化物を上記特許文献に示されるような高温で長時間焼結処理すると、酸化チタンはルチル型結晶構造を有するものに変化してしまう。しかしながら、酸化チタンの結晶組織の配向性について考えた場合、アナターゼ型結晶構造では高い配向性を有しているが、900℃を超える高温に加熱されてルチル型結晶構造になると配向性が低下する。したがって、高い配向性を有する焼結体を焼結するには上記900℃より低い温度でかつ短時間で金属酸化物を焼結する必要がある。
【0004】
一方、結晶構造の配向性を考慮して焼結体を製造する従来の方法としては、例えば、(3)下記特許文献3に示されるもの、或いは(4)下記特許文献4に示されるものがある。このうち前者(3)の特許文献3に記載された配向性アルミナ質焼結体は、焼結体におけるアルミナ結晶の特定の面の配向度及びその面で測定した平均結晶粒径を規定した点に特徴を有するものであり、焼結体の焼結方法は、1500℃或いはそれ以上の高温で行うものである。また、後者(4)の公報に記載された方法は、等軸晶ではない結晶構造をもつ非強磁性体粉末をスラリーに分散し、そのスラリーを磁場中で成形し、その成形体を高温、例えば1400℃以上の温度で、焼結するものである。
【0005】
【特許文献1】特開平8−59343号公報
【特許文献2】特開平11−172423号公報
【特許文献3】特開平7−315415号公報
【特許文献4】特開2002−193672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)ないし(4)の公報に示された方法は、いずれも酸化チタンを含む金属酸化物を900℃より高い温度で長時間かけて焼結するものであるため、たとえ原料粉末として結晶構造上配向性に優れた粉末を使用しても焼結によって焼結体の配向性を劣化させ或いは無にしてしまう結果になる。更に、従来の焼結法は、常圧加熱焼結法或いは外熱方式の加圧焼結法で行うものであるから、焼結に時間がかかり、量産品の焼結等実用的焼結には適さない問題がある。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、放電プラズマ焼結法等のパルス通電加圧焼結法を利用して、金属酸化物の微粉末を低温で焼結し、更に大電流によるパルス通電効果により発生する瞬間的な電磁場の利用を特徴としその電界拡散効果により優先配向をもたせたナノ構造金属酸化物焼結体及びその製造方法を提供することである。
本発明が解決しようとする他の課題は、放電プラズマ焼結法等のパルス通電加圧焼結法を利用して、金属酸化物の微粉末を低温でしかも短時間で焼結し、前述の効果を利用して優先配向をもたせたナノ構造金属酸化物焼結体を製造できる実用的な方法を提供することである。
本発明が解決しようとする他の課題は、放電プラズマ焼結法等のパルス通電加圧焼結法を利用して、酸化チタンのアナターゼ型結晶構造を有する微粉末を低温でしかも短時間で焼結し、前述の効果を利用して優先配向をもたせたナノ構造の酸化チタン焼結体を製造する方法及びその方法により製造され焼結体がアナターゼ型結晶構造を保って優先配向を有する焼結体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるナノ構造金属酸化物焼結体の製造方法は、平均粒径が30nm以下の金属酸化物の微粉末を焼結型内に入れ、前記金属酸化物微粉末を前記焼結型内で5MPaないし100MPaで加圧すると共に、前記金属酸化物微粉末に電圧3Vないし20Vで受圧力面積比電流が200A/cmないし1250A/cmの直流パルス電流を流し、焼結温度が600℃ないし1000℃の温度範囲内で、所望の雰囲気下で3分ないし30分間直流パルス通電加圧焼結法で焼結することを特徴を有する。なお、昇温速度は50℃/分ないし300℃/分の範囲が好ましい。ここで言う焼結温度とは、例えばグラファイト製焼結型の内部及び/又は外壁面の温度を熱電対、放射型温度計等で測定した温度である。また、焼結時間とは、焼結保持時間であり、所望の雰囲気とは真空雰囲気或いは不活性ガス雰囲気を言う。
金属酸化物の微粉末の平均粒径を30nm以下としたのは、平均粒径がそれ以上になると、配向性がなくなるからである。すなわち、最も優先配向の現象が現れる温度では粒成長が起き易くなるが、その粒成長により結晶子径が50nmを超えた場合には配向性がなくなるからである。また、加圧力を5MPaないし100MPaとしたのは、5MPaより小さいと圧力効果による優先配向を有する焼結体が得られないからであり、100MPaを超えると配向性が得られるアナターゼ型結晶構造が配向性のないルチル型結晶構造に変化してしまうからである。更に、焼結温度の範囲を600℃ないし1000℃としたのは、600℃未満では直流パルス電流による優先配向の効果が殆ど得られないからであり、1000℃を超えると焼結体の優先配向性を確保出来なくなるからである。
更にまた、焼結時間を3分ないし30分としたのは、焼結時間がそれより短いと直流パルス通電加圧焼結法による高速物質移動を促進する電界拡散効果が有効に作用せず、焼結体の焼結状態のばらつきが大きくなるからであり、それより長いと粒成長が顕著になり、優先配向の配向性が低下するからである。更にまた、受圧力面積比電流を200A/cmないし1250A/cmとしたのは、その電流がそれより少ないと優先配向効果やナノ構造維持、強固な粒間結合ができなくなるからであり、それより多いと電流が局所的に集中し、偏熱効果が助長され、ホットポイントの発生などにより緻密で均質かつバラツキのない焼結体が得られないからである。
【0009】
上記優先配向を有するナノ構造金属酸化物結晶体の製造方法において、金属酸化物が酸化チタンであってもよい。この場合、好ましくは、酸化チタンの粉末の平均粒径が1nmないし20nmであり、焼結時の加圧力が5MPaないし60MPaでり、焼結温度が650℃ないし850℃であり、受圧力面積比電流が300A/cmないし800A/cmである。より好ましくは、酸化チタンの粉末の平均粒径が5nmないし10nmであり、焼結時の加圧力が30MPaないし60MPaでり、焼結温度が800ないし850℃である。なお、昇温速度については、前者の場合は50℃/分ないし300℃/分の範囲で、後者の場合は、50℃/分ないし150℃/分の範囲が好ましい。
上記において酸化チタンの微粉末の平均粒径を1nmないし20nmとしたのは、1nm未満の粉末は現状では入手が困難だからであり、20nmより大きくなると、優先配向が得られる温度域では粒成長が起こり、粒成長により40nmを超えた場合に配向性がなくなるからである。また、加圧力を5MPaないし60MPaとしたのは、5MPaより小さいと圧力効果により配向性を有する焼結体が得られないからであり、60MPaを超えると配向性を有するアナターゼ型結晶構造が配向性のないルチル型結晶構造に変化してしまうからである。更に、温度範囲を650℃ないし850℃としたのは、650℃未満では直流パルス電流による優先配向の効果が殆ど得られないからであり、850℃を超えると焼結体の優先配向性を確保出来なくなるからである。更にまた、焼結時間を5分ないし30分としたのは、焼結時間がそれより短いと直流パルス通電加圧焼結法の高速物質移動を促進する電界拡散効果が有効に作用せず焼結体の焼結状態のバラツキが大きくなるからであり、それより長いと粒成長が顕著になり、優先配向の配向性が低下するからである。
本願の他の発明は、上記製造方法によって製造された、優先配向を有するナノ構造金属酸化物結晶体である。
【0010】
【実施例】
以下本発明の実施形態について金属酸化物として酸化チタン(TiO)を使用した場合について説明する。
平均粒径20nm以下のアナターゼ型結晶構造(アナターゼ相)を有する酸化チタン(以下TiO)の超微細粉末で、古河機械金属株式会社製の市販の光触媒用TiOナノ粉末(平均粒径9nmを有する製品番号DN−1−0)を用意し、そのTiOの微細原料粉末mを、図1に示されるような、所望の大きさ(例えば内径20mmの円形)の穴bを有する筒状のグラファイト製焼結型a内に、所望の量(例えば5g)装填し、その原料粉末pを焼結型の穴内に挿入された同じくグラファイト製の上、下パンチ部材c及びdで挟んだ状態にする。
このようにTiOが装填された焼結型aを、図2に示される原理構造を有する公知の構造のパルス通電加圧焼結機(住友石炭鉱業株式会社製の放電プラズマ焼結機(ドクターシンターSPS−1050))の真空チャンバ内にセットし、次のような条件で焼結を行う。
真空チャンバの真空度 : 5Pa〜60Pa
焼結温度 : 650℃〜850℃
焼結電流 : 800A〜4000A(受圧力面積比電流値255A/cm〜1274A/cm
加圧力 : 30MPa〜60MPa
焼結時間 : 3分〜30分
【0011】
上記焼結温度範囲を決定するのに先だって、加圧力を30MPaで、焼結温度を600℃、700℃、800℃、850℃及び900℃について焼結実験を行い、焼結体をつくった。なお、焼結時間についても上記各温度につき5分から30分まで変化させた。
加圧力60MPa、焼結時間(保持時間)20分で焼結した焼結体の焼結温度と相対密度との関係を表で表せば次の表1のようになる。
【表1】
Figure 2004175623
また、焼結温度800℃、加圧力を30MPa及び60MPaで焼結した場合の保持時間(焼結時間)と焼結体の相対密度との関係を示せば次の表2のようになる。
【表2】
Figure 2004175623
前記温度を変えて焼結した5種類の焼結体について、焼結温度と相対密度との関係を調べた結果、図4に示されるような結果が得られた。図4で●で示されるように、焼結温度が高くなるにしたがって相対密度が大きくなることが、また、従来法の無加圧の常圧加熱焼結法(図4で○で示される)に比べて大きな相対密度を得ることができることも解る。なお、TiOの焼結体の相対密度は、焼結体の重量と寸法計測による体積とを用いて求めることができる。なお、図3は従来の常圧焼結法と直流パルス通電加圧焼結法により焼結されたアナターゼ固化体のX線回折パターンである。
また、上記5種類の温度で焼結した焼結体の結晶組織についてのX線回折パターンを示せば図5に示されるようになる。結晶組織と相変態挙動は走査型電子顕微鏡とX線回折法により評価した。X線回折パターンの測定は、CuKα線を用い、θ−2θ法によって行なった。アナターゼ相の結晶子径は、(101)面による回折ピークの半値幅によって評価し、アナターゼ相の結晶配向性は(101)面による回折ピークを基準とした相対強度によって評価する。また、大電流の直流パルス通電加圧焼結法により焼結した焼結体では(004)面、(105)面などから回折強度が大きく認められ、配向性が分かる。更に、これらの回折ピーク(hkl)に対する相対強度を、リーベルト法により算定した相対強度によって規格化した相対強度比によって配向度を評価する。
更に、上記表2に示される焼結体のうち、保持時間が20分で焼結して得られた焼結体について加圧力を変化させた場合の焼結体の相対密度の変化をグラフで示せば図6に示されるようになる。
図4及び図5から、焼結温度が700℃より低いと相対密度が55%より小さくなり焼結体として固化できなくなることが解り、また850℃を超えると焼結体の結晶構造に配向性を維持させることができないことが分かる。更に、焼結温度が700℃以上になると明らかに配向性発現の現象が認められ、850℃で高密度化と最大の配向強度を持つことが分かった。
【0012】
(実施例1)
古河機械金属株式会社製の平均粒径9nmの光触媒用のTiOナノ粉末(DN−1−0)を約5gを内径20mmの円形の穴bを有する筒状のグラファイト製焼結型内に装填し、その粉末の装填された焼結型を住友石炭鉱業株式会社製の放電プラズマ焼結機(ドクターシンターSPS−1050))の真空チャンバ内にセットした。そして下記のような条件の下で焼結を行った。
真空チャンバの真空度 : 7Pa
焼結温度 : 850℃
焼結電流 : 1800A(受圧力面積比電流値573A/cm
加圧力 : 30MPa
焼結時間 : 20分
【0013】
(実施例2)
実施例1と同じTiOを同じ構造の焼結型内に装填し、その焼結型を実施例1と同じ焼結機で下記のような条件の下で焼結を行った。
真空チャンバの真空度 : 6Pa
焼結温度 : 800℃
焼結電流 : 1600A(受圧力面積比電流値510A/cm
加圧力 : 30MPa
焼結時間 : 20分
【0014】
(実施例3)
実施例1と同じTiOを同じ構造の焼結型内に装填し、その焼結型を実施例1と同じ焼結機で下記のような条件の下で焼結を行った。
真空チャンバの真空度 : 6Pa
焼結温度 : 800℃
焼結電流 : 1550A(受圧力面積比電流値494A/cm
加圧力 : 15MPa
焼結時間 : 20分
【0015】
(実施例4)
実施例1と同じTiOを同じ構造の焼結型内に装填し、その焼結型を実施例1と同じ焼結機で下記のような条件の下で焼結を行った。
真空チャンバの真空度 : 6Pa
焼結温度 : 800℃
焼結電流 : 1500A(受圧力面積比電流値478A/cm
加圧力 : 10MPa
焼結時間 : 20分
【0016】
上記四つの実施例により得られたTiOの焼結体についての規格化したXRDピーク相対強度の電流方向に対するなす角依存性に付いて示せば、図6に示されるようになる。
この図から、TiOの焼結体ついては、焼結温度が850℃で加圧力が30MPaで焼結した場合が最も結晶組織の配向性が高いことが解る。また、焼結温度が高く同一焼結温度における加圧力の影響はより高い、加圧力の方が配向性の向上に大きく寄与することが分かる。更に、焼結電流の影響についてはより大きなパルス大電流(より大きな受圧力面積比電流)を印加する方がより配向性が高まることも分かる。これらのことは、パルス通電加圧焼結法により焼結途上でオンーオフ直流パルス通電による電磁場の発生と電界拡散効果により配向性が発現促進させられた結果と考えられる。その配向性は焼結電流値(パルス電流密度)依存性と、焼結加圧力依存性があることが明らかとなった。
【0017】
また、図4及び図5に示される5種類の焼結体の結晶組織のフィールドエミッション走査型電子顕微鏡(FE−SEM)写真を示せば図8に示されるようになり、更に、実施例1及び2の焼結体の結晶組織の拡大顕微鏡写真を示せば図9に示されるようになる。この顕微鏡写真から焼結温度が800℃ないし850℃領域で粒成長が適度に制御され、ナノサイズの出発原料粉末が焼結体粒子径で所望の緻密なナノバルク体に固化成形されていることが観察できる。また、X線回折法によるアナターゼ相の結晶子径は50nm以下である。
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果を奏することが可能である。
(1)金属酸化物の結晶体をパルス通電加圧焼結法を用いて優先配向させることが可能になり、係る焼結体の抗菌作用、光触媒作用、光学吸収特性等の特性を向上できる。
(2)酸化チタン(TiO)の焼結体をアナターゼ型結晶構造に保ったまま焼結できるので、その焼結体の反射率を近紫外部付近(400nm以下)で90%以上にでき、焼結体の白色度を向上できる。
(3)酸化チタンはアナターゼ型結晶構造の場合にのみ光抗菌効果を発揮できるものであるが、本発明により優先配向した焼結体をつくることにより、光抗菌効果を効果的に発揮させることができる。
(4)太陽光による水の電気分解(水素と酸素に分解)の光触媒作用の効果を有する酸化チタン焼結体を低コストで製造できる。
(5)直流パルス通電加圧焼結法により優先配向性を有するナノ構造金属酸化物焼結体を短時間で簡便かつ安価に、生産性を向上させて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微粉末を焼結型内に装填した状態を示す断面図である。
【図2】パルス通電加圧焼結機の基本構成を示す概略図である。
【図3】従来の常圧焼結法と直流パルス通電加圧焼結法により焼結されたアナターゼ固化体のX線回折パターンである。
【図4】TiO焼結体の焼結温度と相対密度との関係を示すグラフ図である。
【図5】焼結温度を変えて焼結したTiO焼結体のX線回折パターンを比較して示すグラフ図である。
【図6】温度一定(800℃)で加圧力を変化させた場合の相対密度の変化を示す図である。
【図7】四つの実施例の焼結体についてのXRDピーク相対強度の電流方向に対するなす角依存性を示すグラフ図である。
【図8】図4及び図5に示される5種類の焼結体のフィールドエミッション走査型電子顕微鏡(FE−SEM)写真である。
【図9】実施例1及び2の焼結体の拡大顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 平均粒径が30nm以下の金属酸化物の微粉末を焼結型内に入れ、前記焼結型及び金属酸化物微粉末を前記焼結型内で5MPaないし60MPaで加圧すると共に、前記金属酸化物微粉末に電圧3Vないし20Vで受圧力面積比電流が200A/cmないし1250A/cmの直流パルス電流を流し、焼結時の加圧力が5MPaないし100MPaであり、焼結温度が600℃ないし1000℃の温度範囲内で、所望の雰囲気下で3分ないし30分間、直流パルス通電加圧焼結法で焼結することを特徴とする優先配向を有するナノ構造金属酸化物焼結体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の優先配向を有するナノ構造金属酸化物焼結体の製造方法において、前記金属酸化物が酸化チタンである製造方法。
  3. 請求項2に記載の優先配向を有するナノ構造金属酸化物焼結体の製造方法において、酸化チタンの粉末の平均粒径が1nmないし20nmであり、焼結時の加圧力が5MPaないし60MPaであり、焼結温度が650℃ないし850℃であり、焼結時間が5分ないし30分である製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法によって製造された、優先配向を有するナノ構造金属酸化物焼結体。
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