JP2004174923A - ラミネート装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体の表面に形成された樹脂層に皺や「すじ」が表れることを防止して、高品位の樹脂層を形成できるラミネート装置を提供する。
【解決手段】外装カバー56のうち矢印A方向上流側部分は、加熱定着ロール対52よりも搬送方向上流側に配置されている。矢印A方向上流側部分の端部56aは挿入口58の真上に位置している。挿入口58から挿入されているラミネート用部材10はこの端部56aによって上方から押し下げられる。端部56aよりも搬送方向上流側に所定間隔離れた位置には、ラミネート用部材10を搬送方向に案内するガイド部材70が配置されている。ガイド部材70には、挿入口58の斜め上方から挿入口58に向かって下がるように傾斜した案内板72が形成されている。案内板72の頂上部72aは、挿入口58から挿入されているラミネート用部材10をその下方から押し上げる。
【選択図】 図2
【解決手段】外装カバー56のうち矢印A方向上流側部分は、加熱定着ロール対52よりも搬送方向上流側に配置されている。矢印A方向上流側部分の端部56aは挿入口58の真上に位置している。挿入口58から挿入されているラミネート用部材10はこの端部56aによって上方から押し下げられる。端部56aよりも搬送方向上流側に所定間隔離れた位置には、ラミネート用部材10を搬送方向に案内するガイド部材70が配置されている。ガイド部材70には、挿入口58の斜め上方から挿入口58に向かって下がるように傾斜した案内板72が形成されている。案内板72の頂上部72aは、挿入口58から挿入されているラミネート用部材10をその下方から押し上げる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体の表面に樹脂層を形成するためのラミネート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット方式、電子写真法、及び、各種印刷法などによって、シート状の紙などの記録媒体に画像を形成することが広く行われている。記録媒体に形成された画像に表面光沢性が要求されたり、画像に耐光性、耐水性、耐薬品性などが要求されたりすることがある。このような場合、画像の形成された表面にオーバコート層(保護層)を形成することにより、上記の要求を満たしている。画像の形成された表面に保護層を形成する方法としては、この表面に透明ニスを塗布して乾燥させる方法や、この表面に透明樹脂層を転写する(形成する)方法などが知られている。透明樹脂層を形成する方法はラミネート方法と呼ばれ、透明ニスを塗布する方法よりも簡便な方法である。
【0003】
従来のラミネート方法について説明する。
【0004】
ラミネート方法では、ラミネート用部材を用いて記録媒体の表面に樹脂層を形成する。ラミネート用部材は、台紙とラミネートシートからなる。台紙は、一般に、一枚の紙である。ラミネートシートは、一般に、基材層、剥離層、及び透明熱可塑性樹脂層の順に積層された3層構造になっている。
【0005】
記録媒体の表面に樹脂層を形成する際は、記録媒体の表面が上になるようにこの記録媒体を台紙に置き、記録媒体の表面に透明熱可塑性樹脂層が直接に接触するようにラミネートシートを置く。即ち、台紙とラミネートシートの間に記録媒体を挟み込むようにする。このようにして記録媒体が挟み込まれたラミネート用部材に熱と圧力を同時に作用させる。これにより、透明熱可塑性樹脂層が溶けて(若しくは軟化して)記録媒体の表面に樹脂層が形成され、この樹脂層によって画像が保護されることとなる。
【0006】
記録媒体が挟み込まれたラミネート用部材に熱と圧力を同時に作用させる際には、ラミネート装置が使用される。このラミネート装置には、記録媒体が挟み込まれたラミネート用部材を挟持しながら搬送してこのラミネート用部材に熱と圧力を同時に作用させる定着ローラが備えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ラミネート用部材を定着ローラで挟持して搬送しながら加熱する際に、ラミネートシートが熱膨張して、ラミネートシートのうち定着ローラよりも搬送方向上流側部分が波打つことがある。この波打ちは、搬送方向上流側に向かうほど大きくなる。このように波打った部分を定着ローラで挟持して加熱した場合、波打った部分に皺が発生して、記録媒体の表面に形成された樹脂層に「すじ」が表れることがある。
【0008】
また、定着ローラからの熱をラミネートシートに効率良く伝導するために、薄いラミネートシートを用いることがある。このような薄いラミネートシートを用いた場合は、上記の「すじ」がいっそう発生し易い。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、記録媒体の表面に形成された樹脂層に皺や「すじ」が表れることを防止して、高品位の樹脂層を形成できるラミネート装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のラミネート装置は、樹脂層が形成されたラミネートシートと矩形状の台紙とを有するラミネート用部材の前記ラミネートシートと前記台紙との間に記録媒体を挟み込んでこのラミネート用部材を一対の定着ローラで挟持しながら所定の搬送方向に搬送することにより、前記ラミネート部材に挟み込まれた記録媒体の表面に樹脂層を形成させるラミネート装置において、
(1)前記定着ローラよりも前記搬送方向上流側に配置された、前記ラミネートシートを平滑にする平滑手段を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、
(2)前記平滑手段は、
(2−1)前記ラミネート用部材の上方からこのラミネート用部材を押し下げる押下部材と、
(2―2)前記ラミネート用部材の下方からこのラミネート用部材を押し上げる、前記押下部材から所定間隔離れた押上部材とを備えたものであってもよい。
【0012】
また、
(3)前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分を押し下げるものであり、
(4)前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分を押し上げるものであってもよい。
【0013】
さらに、
(5)前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し下げる直線状の押下接触部が形成されたものであり、
(6)前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し上げる直線状の押上接触部が形成されたものであってもよい。
【0014】
さらにまた、
(7)押下接触部と押上接触部とは互いに平行に配置されたものであってもよい。
【0015】
さらにまた、
(8)前記押下部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し下げるものであり、
(9)前記押上部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し上げるものであってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明のラミネート装置の実施形態を説明する。
【0017】
先ず、図1を参照してラミネート用部材を説明する。
【0018】
図1(a)は、ラミネート用部材を示す斜視図であり、(b)は、平面図であり、(c)は、ラミネートシートの一部断面図である。
【0019】
ラミネート用部材10は、矩形の台紙20と、この台紙20よりも一回り小さい矩形のラミネートシート30とから構成されている。台紙20には4つの辺が形成されており、そのうちの1つの辺の近傍部分20aは折り曲げられている。この折り曲げられた部分にラミネートシート30の一辺部分が圧着されて(若しくは接着剤で接着されて)固定されている。この台紙20とラミネートシート30の間に画像シート(記録媒体)40が挟み込まれる。
【0020】
ラミネートシート30は3層構造になっている。図1(c)に示すように、一番下の層は透明な熱可塑性樹脂層32であり、その上の層は剥離層34であり、一番上の層は耐熱性の基材層36である。これら3層の幅と長さは同じである。熱可塑性樹脂層32は台紙20に向き合っている。つまり、熱可塑性樹脂層32の両面のうちこの熱可塑性樹脂層32を挟んで台紙20とは反対側の片面が剥離層34で覆われている。この剥離層34の上面は基材層36で覆われている。
【0021】
上述したように、台紙20はラミネートシート30よりも一回り大きいので、熱可塑性樹脂層32が溶ける(若しくは軟化する)ときに熱可塑性樹脂が定着ローラ(後述する)に付着しない。
【0022】
上記した台紙20としては、通常、各種の紙が使用される。台紙20としては、耐熱性であればプラスチックフィルムであってもよい。台紙20の厚みに関しては、取り扱い性が適切な程度の厚みであればよく、特に限定されない。また、台紙20のサイズは、通常の記録媒体(画像シート)40がA判またはB判の各サイズであるので、画像シート40よりもひと回り(例えば5〜10mm程度)ほど長さ及び幅において大きいサイズであることが好ましい。
【0023】
ラミネートシート30は、台紙20の1辺においてこの台紙20に固定されており、他辺は固定されずフリーの状態である。従って、ラミネートシート30は容易にめくれ上げられるようになっている。ラミネートシート30をめくり上げて、台紙20とラミネートシート30との間に画像シート40を挟み込む(挿入する)。
【0024】
ラミネートシート30は、ポリエチレンテフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネートなどのような耐熱性樹脂のフィルムまたはシート(以下まとめてシートといい、基材層36である)の面に剥離層34を介して熱可塑性樹脂層32が形成されている。
【0025】
剥離層34は、例えばシリコーンオイル、シリコーン樹脂、燐酸エステル系界面活性剤、ワックス、フッ素樹脂などの離型性の良好な材料もしくは樹脂から形成されている。剥離層34の厚さは0.01μm〜5.0μm程度で十分である。
【0026】
熱可塑性樹脂層32は、加熱によって接着性を発揮する樹脂、すなわちヒートシール性を有する樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン・塩化ビニル共重合樹脂などから形成されている。
【0027】
熱可塑性樹脂層32の厚さは、画像シート40に要求される耐久性によって異なるが、通常1.0μm〜50μm程度である。これらの熱可塑性樹脂層32には、紫外線吸収剤、帯電防止剤、耐光化剤、蛍光増白剤、艶消剤などの任意の添加物を添加できる。例えば、艶消剤の添加によって、最終的に得られる画像の表面光沢を調整できる。なお、熱可塑性樹脂層32を耐熱性基材36とは必ずしも同一面積である必要はなく、熱可塑性樹脂層32の面積が耐熱性基材36および台紙20の面積よりも小さければよい。
【0028】
なお、上述したように台紙20とラミネートシート30は、通常、矩形であり、図1(a),(b)に示されるように、その一辺において結合されている。この結合は両者を接着するなど、任意の結合方法で良く、特に限定されない
【0029】
図2、図3、及び図4を参照してラミネート装置を説明する。
【0030】
図2は、ラミネート装置の概略構成を示す模式図である。図3は、図2のラミネート装置を示す斜視図である。図4は、図2のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。
【0031】
ラミネート装置50は、ラミネート用部材10を加熱しながら定着する加熱定着ロール対52(本発明にいう定着ローラの一例である)と、この加熱定着ロール対52を通過したラミネート用部材10のカール取りなども含めてこのラミネート用部材10をバックアップするバックアップロール54を備えている。また、ラミネート装置50は、加熱定着ロール対52とバックアップロール54を覆う外装カバー56も備えている。台紙20とラミネートシート30の間に画像シート(記録媒体)40が挟み込まれたラミネート用部材10は、矢印A方向(搬送方向)から外装カバー56の内部(ラミネート装置50の内部)に搬送される。
【0032】
外装カバー56のうち矢印A方向上流側部分には、ラミネート用部材10が挿入される挿入口58が形成されている。また、外装カバー56のうち矢印A方向下流側部分には、表面に樹脂層が形成された画像シート40等が排出される排出口60が形成されている。
【0033】
外装カバー56のうち矢印A方向上流側部分は、加熱定着ロール対52よりも搬送方向上流側に配置されている。この矢印A方向上流側部分の端部56a(本発明にいう押下部材の一例である)は挿入口58の真上に位置している。挿入口58から挿入されているラミネート用部材10はこの端部56aによって上方から押し下げられる。
【0034】
端部56aの長さ(図2の紙面に垂直な方向の長さ)は、挿入口58の幅(図2の紙面に垂直な方向の長さ)よりもやや長い。また、端部56aは、矢印A方向(搬送方向)に直交して延びている直線状のものである。従って、ラミネート用部材10の上面(基材層36の上面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が端部56aに接触して押し下げられる。
【0035】
端部56aよりも搬送方向上流側に所定間隔離れた位置には、ラミネート用部材10を搬送方向に案内するガイド部材70が配置されている。このガイド部材70には、挿入口58の斜め上方から挿入口58に向かって下がるように傾斜した案内板72が形成されている。この案内板72の頂上部72aは、挿入口58から挿入されているラミネート用部材10をその下方から押し上げる。
【0036】
頂上部72aの長さ(図2の紙面に垂直な方向の長さ)は、挿入口58の幅(図2の紙面に垂直な方向の長さ)よりもやや長い。また、頂上部72aは、矢印A方向(搬送方向)に直交して延びている直線状のものである。従って、ラミネート用部材10の下面(台紙20の下面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が頂上部72aに接触して押し上げられる。また、端部56aと頂上部72aは互いに平行に延びている。なお、端部56aは、加熱定着ロール対52のニップ部(ラミネート用部材10を挟持する部分)よりもやや高い位置に形成されている。また、頂上部72aは、端部56aよりも高い位置に形成されている。
【0037】
図5と図6を参照して、ラミネート装置50を使用して画像シート40の表面に樹脂層を形成するラミネート方法を説明する。
【0038】
図5は、ラミネート用部材に画像シートを挟み込む様子を示す斜視図である。図6は、画像シートが挟み込まれたラミネート用部材が加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送されている様子を示す斜視図である。これらの図では、図1と図2に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0039】
ラミネート用部材10に画像シート40を挟み込む際は、図5に示すように、ラミネートシート30を台紙20からめくり上げて、これらの間に画像シート40を差し込む。このようにして画像シート40が挟み込まれたラミネート用部材10を挿入口58(図2参照)に挿入する。挿入口58に挿入されたラミネート用部材10は、図6に示すように、その搬送方向下流側部分から順次に加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送される。
【0040】
ところで、ラミネートシート30の熱可塑性樹脂層32が画像シート40よりも大サイズ(例えば、各辺ともに1〜10mm幅大きく)に形成されているので、画像シート40をラミネート用部材10に挟み込む際、ラミネートシート30と画像シート40とを正確に位置合わせする必要はなく、ある程度ラフに挟み込んでも問題はない。また、ラミネータ装置50の挿入口58に挿入する際、結合部20aから挿入するので、ラミネートシート30の先端が上方にカールして耳折れが発生することなどは無い。
【0041】
上記のようにしてラミネート用部材10が加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送される際に、熱可塑性樹脂層32が加熱定着ロール対52及びバックアップロール対54を通過することにより、ラミネータ装置50による加熱加圧によって熱可塑性樹脂層32が溶融または軟化して画像シート40の表面に樹脂層が接着する。この結果、画像シート40の表面に樹脂層が形成されることとなる。表面に樹脂層が形成された画像シート40はラミネート用部材10と共に排出口60から排出される。この排出された画像シート40から台紙20や基材層36などを剥離する。
【0042】
ところで、加熱定着ロール対52には例えば100℃以上の高熱が与えられている。このため、加熱定着ロール対52がラミネート用部材10を挟持しながら搬送する際には、瞬時的にしてラミネートシート30には熱が加わり、熱膨張が始まる。この熱膨張に起因して、ラミネートシート30のうち加熱定着ロール対52に挟持されている部分の近傍では,図6に示すように、小さい波打ち30aが多く発生する。この波打ちは、搬送方向上流側へ行くほど次第に大きくなる。ラミネート用部材10が加熱定着ロール対52によって徐々に加熱定着されて搬送されるので、この波打った部分を放置しておく場合、ラミネート用部材10のうち搬送方向上流側で大きく波打った部分が定着され始めて、この結果、画像シート40の表面の樹脂層に皺(定着皺)が発生する。
【0043】
しかし、ラミネート装置50には、上述したように、端部56aと頂上部72aが形成されており、頂上部72aと加熱定着ロール対52のニップ部を結んだラインよりも端部56aが下方にあり、ラミネート用部材10は頂上部72aと端部56aによって直線状に上下より押えられるので強制的にしごかれる。ラミネート用部材10の上面(基材層36の上面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が端部56aに接触して押し下げられると共に、ラミネート用部材10の下面(台紙20の下面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が頂上部72aに接触して押し上げられる。この結果、ラミネートシート30に波打ちが発生したとしても、端部56aと頂上部72aによってラミネートシート30に平滑な接触で無理ないテンションが与えられると同時にラミネートシート30と画像シート40と台紙20とがほぼ密着して、定着の際にラミネートシート30の波打ちに起因する皺の発生が抑えられる。従って、画像シート40の表面に高品位の樹脂層が形成される。
【0044】
図7と図8を参照して、ラミネート装置の他の例を説明する。
【0045】
図7は、他の例のラミネート装置の概略構成を示す模式図である。図8は、図7のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。これらの図では、図2と図4に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0046】
このラミネート装置80では、外装カバー56の端部56aよりも搬送方向下流側であって加熱定着ロール対52よりも搬送方向上流側に、案内板72の頂上部72aとは異なる頂上部82aが形成されている。この頂上部82aは、端部56a及び加熱定着ロール対52のニップ部(ラミネート用部材10を挟持する部分)よりも高い位置に形成されている。また、頂上部82aの長さ(図7の紙面に垂直な方向の長さ)は、挿入口58の幅(図2の紙面に垂直な方向の長さ)よりもやや長い。また、頂上部82aは、矢印A方向(搬送方向)に直交して延びている直線状のものである。従って、ラミネート用部材10の下面(台紙20の下面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が頂上部82aに接触して押し上げられる。また、端部56aと頂上部82aは互いに平行に延びている。
【0047】
上記のように頂上部72aに代えて頂上部82aを形成したラミネート装置80でも、ラミネート装置50と同様に、ラミネートシート30の波打ちに起因する皺の発生が抑えられる。従って、画像シート40の表面に高品位の樹脂層が形成される。
【0048】
端部56a、頂上部72a、及び頂上部82aの形状は、エッジのような鋭利な角部から大きな曲率を有する湾曲部までを含む。このため、端部56a、頂上部72a、及び頂上部82aのように固定されたものでなく、ローラやコロなどの回転体のものであってもよい。
【0049】
また、上述したように端部56aと頂上部72a(頂上部82a)を互いに平行に配置しておくことにより、これらがラミネート用部材10に局部的に片当たりせず、いっそう確実にテンションを与えられるようになる。さらには、ラミネート用部材10の上面と下面ともに、搬送方向に略直交した表面全域に接しながら搬送することにより、上記と同じくラミネート用部材10に局部的に片当たりせず、いっそう確実なテンションを与えられるようになり、精度良いラミネート転写が行なえる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のラミネート装置によれば、定着ローラで挟持されながら搬送されているラミネート用部材のラミネートシートのうち定着ローラよりも搬送方向上流側の部分が熱で膨張して波打っても、この波打った部分が平滑手段によって平滑にされる。従って、記録媒体の表面に形成された樹脂層に皺やすじが表れることは無い。この結果、記録媒体の表面に高品位の樹脂層を形成できる。
【0051】
ここで、前記平滑手段は、前記ラミネート用部材の上方からこのラミネート用部材を押し下げる押下部材と、前記ラミネート用部材の下方からこのラミネート用部材を押し上げる、前記押下部材から所定間隔離れた押上部材とを備えたものである場合は、記録媒体の表面に高品位の樹脂層を簡易な構成によって形成できる。
【0052】
また、前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分を押し下げるものであり、前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分を押し上げるものである場合は、ラミネートシートの波打った部分をいっそう確実に平滑にできるので、記録媒体の表面に形成された樹脂層に皺やすじが表れることをいっそう確実に防止できる。この結果、記録媒体の表面に高品位の樹脂層をいっそう確実に形成できる。
【0053】
さらに、前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し下げる直線状の押下接触部が形成されたものであり、前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し上げる直線状の押上接触部が形成されたものである場合は、ラミネート用部材には直線状の押下接触部と直線状の押上接触部のみが接触するので、搬送抵抗を減少できる。
【0054】
さらにまた、押下接触部と押上接触部とは互いに平行に配置されたものである場合は、搬送中のラミネート用部材が曲がることなく円滑に搬送される。
【0055】
さらにまた、前記押下部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し下げるものであり、前記押上部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し上げるものである場合は、上記した全域が押し上げられると共に押し下げられるので、ラミネートシートの波打った部分をさらにいっそう確実に平滑にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、ラミネート用部材を示す斜視図であり、(b)は、平面図であり、(c)は、ラミネートシートの一部断面図である。
【図2】ラミネート装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】図2のラミネート装置を示す斜視図である。
【図4】図2のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。
【図5】ラミネート用部材に画像シートを挟み込む様子を示す斜視図である。
【図6】画像シートが挟み込まれたラミネート用部材が加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送されている様子を示す斜視図である。
【図7】他の例のラミネート装置の概略構成を示す模式図である。
【図8】図7のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 ラミネート用部材
20 台紙
30 ラミネートシート
40 画像シート
50,80 ラミネート装置
52 加熱定着ロール対
56 外装カバー
56a 端部
72a,82a 頂上部
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体の表面に樹脂層を形成するためのラミネート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット方式、電子写真法、及び、各種印刷法などによって、シート状の紙などの記録媒体に画像を形成することが広く行われている。記録媒体に形成された画像に表面光沢性が要求されたり、画像に耐光性、耐水性、耐薬品性などが要求されたりすることがある。このような場合、画像の形成された表面にオーバコート層(保護層)を形成することにより、上記の要求を満たしている。画像の形成された表面に保護層を形成する方法としては、この表面に透明ニスを塗布して乾燥させる方法や、この表面に透明樹脂層を転写する(形成する)方法などが知られている。透明樹脂層を形成する方法はラミネート方法と呼ばれ、透明ニスを塗布する方法よりも簡便な方法である。
【0003】
従来のラミネート方法について説明する。
【0004】
ラミネート方法では、ラミネート用部材を用いて記録媒体の表面に樹脂層を形成する。ラミネート用部材は、台紙とラミネートシートからなる。台紙は、一般に、一枚の紙である。ラミネートシートは、一般に、基材層、剥離層、及び透明熱可塑性樹脂層の順に積層された3層構造になっている。
【0005】
記録媒体の表面に樹脂層を形成する際は、記録媒体の表面が上になるようにこの記録媒体を台紙に置き、記録媒体の表面に透明熱可塑性樹脂層が直接に接触するようにラミネートシートを置く。即ち、台紙とラミネートシートの間に記録媒体を挟み込むようにする。このようにして記録媒体が挟み込まれたラミネート用部材に熱と圧力を同時に作用させる。これにより、透明熱可塑性樹脂層が溶けて(若しくは軟化して)記録媒体の表面に樹脂層が形成され、この樹脂層によって画像が保護されることとなる。
【0006】
記録媒体が挟み込まれたラミネート用部材に熱と圧力を同時に作用させる際には、ラミネート装置が使用される。このラミネート装置には、記録媒体が挟み込まれたラミネート用部材を挟持しながら搬送してこのラミネート用部材に熱と圧力を同時に作用させる定着ローラが備えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ラミネート用部材を定着ローラで挟持して搬送しながら加熱する際に、ラミネートシートが熱膨張して、ラミネートシートのうち定着ローラよりも搬送方向上流側部分が波打つことがある。この波打ちは、搬送方向上流側に向かうほど大きくなる。このように波打った部分を定着ローラで挟持して加熱した場合、波打った部分に皺が発生して、記録媒体の表面に形成された樹脂層に「すじ」が表れることがある。
【0008】
また、定着ローラからの熱をラミネートシートに効率良く伝導するために、薄いラミネートシートを用いることがある。このような薄いラミネートシートを用いた場合は、上記の「すじ」がいっそう発生し易い。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、記録媒体の表面に形成された樹脂層に皺や「すじ」が表れることを防止して、高品位の樹脂層を形成できるラミネート装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のラミネート装置は、樹脂層が形成されたラミネートシートと矩形状の台紙とを有するラミネート用部材の前記ラミネートシートと前記台紙との間に記録媒体を挟み込んでこのラミネート用部材を一対の定着ローラで挟持しながら所定の搬送方向に搬送することにより、前記ラミネート部材に挟み込まれた記録媒体の表面に樹脂層を形成させるラミネート装置において、
(1)前記定着ローラよりも前記搬送方向上流側に配置された、前記ラミネートシートを平滑にする平滑手段を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、
(2)前記平滑手段は、
(2−1)前記ラミネート用部材の上方からこのラミネート用部材を押し下げる押下部材と、
(2―2)前記ラミネート用部材の下方からこのラミネート用部材を押し上げる、前記押下部材から所定間隔離れた押上部材とを備えたものであってもよい。
【0012】
また、
(3)前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分を押し下げるものであり、
(4)前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分を押し上げるものであってもよい。
【0013】
さらに、
(5)前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し下げる直線状の押下接触部が形成されたものであり、
(6)前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し上げる直線状の押上接触部が形成されたものであってもよい。
【0014】
さらにまた、
(7)押下接触部と押上接触部とは互いに平行に配置されたものであってもよい。
【0015】
さらにまた、
(8)前記押下部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し下げるものであり、
(9)前記押上部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し上げるものであってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明のラミネート装置の実施形態を説明する。
【0017】
先ず、図1を参照してラミネート用部材を説明する。
【0018】
図1(a)は、ラミネート用部材を示す斜視図であり、(b)は、平面図であり、(c)は、ラミネートシートの一部断面図である。
【0019】
ラミネート用部材10は、矩形の台紙20と、この台紙20よりも一回り小さい矩形のラミネートシート30とから構成されている。台紙20には4つの辺が形成されており、そのうちの1つの辺の近傍部分20aは折り曲げられている。この折り曲げられた部分にラミネートシート30の一辺部分が圧着されて(若しくは接着剤で接着されて)固定されている。この台紙20とラミネートシート30の間に画像シート(記録媒体)40が挟み込まれる。
【0020】
ラミネートシート30は3層構造になっている。図1(c)に示すように、一番下の層は透明な熱可塑性樹脂層32であり、その上の層は剥離層34であり、一番上の層は耐熱性の基材層36である。これら3層の幅と長さは同じである。熱可塑性樹脂層32は台紙20に向き合っている。つまり、熱可塑性樹脂層32の両面のうちこの熱可塑性樹脂層32を挟んで台紙20とは反対側の片面が剥離層34で覆われている。この剥離層34の上面は基材層36で覆われている。
【0021】
上述したように、台紙20はラミネートシート30よりも一回り大きいので、熱可塑性樹脂層32が溶ける(若しくは軟化する)ときに熱可塑性樹脂が定着ローラ(後述する)に付着しない。
【0022】
上記した台紙20としては、通常、各種の紙が使用される。台紙20としては、耐熱性であればプラスチックフィルムであってもよい。台紙20の厚みに関しては、取り扱い性が適切な程度の厚みであればよく、特に限定されない。また、台紙20のサイズは、通常の記録媒体(画像シート)40がA判またはB判の各サイズであるので、画像シート40よりもひと回り(例えば5〜10mm程度)ほど長さ及び幅において大きいサイズであることが好ましい。
【0023】
ラミネートシート30は、台紙20の1辺においてこの台紙20に固定されており、他辺は固定されずフリーの状態である。従って、ラミネートシート30は容易にめくれ上げられるようになっている。ラミネートシート30をめくり上げて、台紙20とラミネートシート30との間に画像シート40を挟み込む(挿入する)。
【0024】
ラミネートシート30は、ポリエチレンテフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネートなどのような耐熱性樹脂のフィルムまたはシート(以下まとめてシートといい、基材層36である)の面に剥離層34を介して熱可塑性樹脂層32が形成されている。
【0025】
剥離層34は、例えばシリコーンオイル、シリコーン樹脂、燐酸エステル系界面活性剤、ワックス、フッ素樹脂などの離型性の良好な材料もしくは樹脂から形成されている。剥離層34の厚さは0.01μm〜5.0μm程度で十分である。
【0026】
熱可塑性樹脂層32は、加熱によって接着性を発揮する樹脂、すなわちヒートシール性を有する樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン・塩化ビニル共重合樹脂などから形成されている。
【0027】
熱可塑性樹脂層32の厚さは、画像シート40に要求される耐久性によって異なるが、通常1.0μm〜50μm程度である。これらの熱可塑性樹脂層32には、紫外線吸収剤、帯電防止剤、耐光化剤、蛍光増白剤、艶消剤などの任意の添加物を添加できる。例えば、艶消剤の添加によって、最終的に得られる画像の表面光沢を調整できる。なお、熱可塑性樹脂層32を耐熱性基材36とは必ずしも同一面積である必要はなく、熱可塑性樹脂層32の面積が耐熱性基材36および台紙20の面積よりも小さければよい。
【0028】
なお、上述したように台紙20とラミネートシート30は、通常、矩形であり、図1(a),(b)に示されるように、その一辺において結合されている。この結合は両者を接着するなど、任意の結合方法で良く、特に限定されない
【0029】
図2、図3、及び図4を参照してラミネート装置を説明する。
【0030】
図2は、ラミネート装置の概略構成を示す模式図である。図3は、図2のラミネート装置を示す斜視図である。図4は、図2のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。
【0031】
ラミネート装置50は、ラミネート用部材10を加熱しながら定着する加熱定着ロール対52(本発明にいう定着ローラの一例である)と、この加熱定着ロール対52を通過したラミネート用部材10のカール取りなども含めてこのラミネート用部材10をバックアップするバックアップロール54を備えている。また、ラミネート装置50は、加熱定着ロール対52とバックアップロール54を覆う外装カバー56も備えている。台紙20とラミネートシート30の間に画像シート(記録媒体)40が挟み込まれたラミネート用部材10は、矢印A方向(搬送方向)から外装カバー56の内部(ラミネート装置50の内部)に搬送される。
【0032】
外装カバー56のうち矢印A方向上流側部分には、ラミネート用部材10が挿入される挿入口58が形成されている。また、外装カバー56のうち矢印A方向下流側部分には、表面に樹脂層が形成された画像シート40等が排出される排出口60が形成されている。
【0033】
外装カバー56のうち矢印A方向上流側部分は、加熱定着ロール対52よりも搬送方向上流側に配置されている。この矢印A方向上流側部分の端部56a(本発明にいう押下部材の一例である)は挿入口58の真上に位置している。挿入口58から挿入されているラミネート用部材10はこの端部56aによって上方から押し下げられる。
【0034】
端部56aの長さ(図2の紙面に垂直な方向の長さ)は、挿入口58の幅(図2の紙面に垂直な方向の長さ)よりもやや長い。また、端部56aは、矢印A方向(搬送方向)に直交して延びている直線状のものである。従って、ラミネート用部材10の上面(基材層36の上面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が端部56aに接触して押し下げられる。
【0035】
端部56aよりも搬送方向上流側に所定間隔離れた位置には、ラミネート用部材10を搬送方向に案内するガイド部材70が配置されている。このガイド部材70には、挿入口58の斜め上方から挿入口58に向かって下がるように傾斜した案内板72が形成されている。この案内板72の頂上部72aは、挿入口58から挿入されているラミネート用部材10をその下方から押し上げる。
【0036】
頂上部72aの長さ(図2の紙面に垂直な方向の長さ)は、挿入口58の幅(図2の紙面に垂直な方向の長さ)よりもやや長い。また、頂上部72aは、矢印A方向(搬送方向)に直交して延びている直線状のものである。従って、ラミネート用部材10の下面(台紙20の下面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が頂上部72aに接触して押し上げられる。また、端部56aと頂上部72aは互いに平行に延びている。なお、端部56aは、加熱定着ロール対52のニップ部(ラミネート用部材10を挟持する部分)よりもやや高い位置に形成されている。また、頂上部72aは、端部56aよりも高い位置に形成されている。
【0037】
図5と図6を参照して、ラミネート装置50を使用して画像シート40の表面に樹脂層を形成するラミネート方法を説明する。
【0038】
図5は、ラミネート用部材に画像シートを挟み込む様子を示す斜視図である。図6は、画像シートが挟み込まれたラミネート用部材が加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送されている様子を示す斜視図である。これらの図では、図1と図2に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0039】
ラミネート用部材10に画像シート40を挟み込む際は、図5に示すように、ラミネートシート30を台紙20からめくり上げて、これらの間に画像シート40を差し込む。このようにして画像シート40が挟み込まれたラミネート用部材10を挿入口58(図2参照)に挿入する。挿入口58に挿入されたラミネート用部材10は、図6に示すように、その搬送方向下流側部分から順次に加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送される。
【0040】
ところで、ラミネートシート30の熱可塑性樹脂層32が画像シート40よりも大サイズ(例えば、各辺ともに1〜10mm幅大きく)に形成されているので、画像シート40をラミネート用部材10に挟み込む際、ラミネートシート30と画像シート40とを正確に位置合わせする必要はなく、ある程度ラフに挟み込んでも問題はない。また、ラミネータ装置50の挿入口58に挿入する際、結合部20aから挿入するので、ラミネートシート30の先端が上方にカールして耳折れが発生することなどは無い。
【0041】
上記のようにしてラミネート用部材10が加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送される際に、熱可塑性樹脂層32が加熱定着ロール対52及びバックアップロール対54を通過することにより、ラミネータ装置50による加熱加圧によって熱可塑性樹脂層32が溶融または軟化して画像シート40の表面に樹脂層が接着する。この結果、画像シート40の表面に樹脂層が形成されることとなる。表面に樹脂層が形成された画像シート40はラミネート用部材10と共に排出口60から排出される。この排出された画像シート40から台紙20や基材層36などを剥離する。
【0042】
ところで、加熱定着ロール対52には例えば100℃以上の高熱が与えられている。このため、加熱定着ロール対52がラミネート用部材10を挟持しながら搬送する際には、瞬時的にしてラミネートシート30には熱が加わり、熱膨張が始まる。この熱膨張に起因して、ラミネートシート30のうち加熱定着ロール対52に挟持されている部分の近傍では,図6に示すように、小さい波打ち30aが多く発生する。この波打ちは、搬送方向上流側へ行くほど次第に大きくなる。ラミネート用部材10が加熱定着ロール対52によって徐々に加熱定着されて搬送されるので、この波打った部分を放置しておく場合、ラミネート用部材10のうち搬送方向上流側で大きく波打った部分が定着され始めて、この結果、画像シート40の表面の樹脂層に皺(定着皺)が発生する。
【0043】
しかし、ラミネート装置50には、上述したように、端部56aと頂上部72aが形成されており、頂上部72aと加熱定着ロール対52のニップ部を結んだラインよりも端部56aが下方にあり、ラミネート用部材10は頂上部72aと端部56aによって直線状に上下より押えられるので強制的にしごかれる。ラミネート用部材10の上面(基材層36の上面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が端部56aに接触して押し下げられると共に、ラミネート用部材10の下面(台紙20の下面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が頂上部72aに接触して押し上げられる。この結果、ラミネートシート30に波打ちが発生したとしても、端部56aと頂上部72aによってラミネートシート30に平滑な接触で無理ないテンションが与えられると同時にラミネートシート30と画像シート40と台紙20とがほぼ密着して、定着の際にラミネートシート30の波打ちに起因する皺の発生が抑えられる。従って、画像シート40の表面に高品位の樹脂層が形成される。
【0044】
図7と図8を参照して、ラミネート装置の他の例を説明する。
【0045】
図7は、他の例のラミネート装置の概略構成を示す模式図である。図8は、図7のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。これらの図では、図2と図4に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0046】
このラミネート装置80では、外装カバー56の端部56aよりも搬送方向下流側であって加熱定着ロール対52よりも搬送方向上流側に、案内板72の頂上部72aとは異なる頂上部82aが形成されている。この頂上部82aは、端部56a及び加熱定着ロール対52のニップ部(ラミネート用部材10を挟持する部分)よりも高い位置に形成されている。また、頂上部82aの長さ(図7の紙面に垂直な方向の長さ)は、挿入口58の幅(図2の紙面に垂直な方向の長さ)よりもやや長い。また、頂上部82aは、矢印A方向(搬送方向)に直交して延びている直線状のものである。従って、ラミネート用部材10の下面(台紙20の下面に相当する)のうち搬送方向に直交する部分の全域が頂上部82aに接触して押し上げられる。また、端部56aと頂上部82aは互いに平行に延びている。
【0047】
上記のように頂上部72aに代えて頂上部82aを形成したラミネート装置80でも、ラミネート装置50と同様に、ラミネートシート30の波打ちに起因する皺の発生が抑えられる。従って、画像シート40の表面に高品位の樹脂層が形成される。
【0048】
端部56a、頂上部72a、及び頂上部82aの形状は、エッジのような鋭利な角部から大きな曲率を有する湾曲部までを含む。このため、端部56a、頂上部72a、及び頂上部82aのように固定されたものでなく、ローラやコロなどの回転体のものであってもよい。
【0049】
また、上述したように端部56aと頂上部72a(頂上部82a)を互いに平行に配置しておくことにより、これらがラミネート用部材10に局部的に片当たりせず、いっそう確実にテンションを与えられるようになる。さらには、ラミネート用部材10の上面と下面ともに、搬送方向に略直交した表面全域に接しながら搬送することにより、上記と同じくラミネート用部材10に局部的に片当たりせず、いっそう確実なテンションを与えられるようになり、精度良いラミネート転写が行なえる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のラミネート装置によれば、定着ローラで挟持されながら搬送されているラミネート用部材のラミネートシートのうち定着ローラよりも搬送方向上流側の部分が熱で膨張して波打っても、この波打った部分が平滑手段によって平滑にされる。従って、記録媒体の表面に形成された樹脂層に皺やすじが表れることは無い。この結果、記録媒体の表面に高品位の樹脂層を形成できる。
【0051】
ここで、前記平滑手段は、前記ラミネート用部材の上方からこのラミネート用部材を押し下げる押下部材と、前記ラミネート用部材の下方からこのラミネート用部材を押し上げる、前記押下部材から所定間隔離れた押上部材とを備えたものである場合は、記録媒体の表面に高品位の樹脂層を簡易な構成によって形成できる。
【0052】
また、前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分を押し下げるものであり、前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分を押し上げるものである場合は、ラミネートシートの波打った部分をいっそう確実に平滑にできるので、記録媒体の表面に形成された樹脂層に皺やすじが表れることをいっそう確実に防止できる。この結果、記録媒体の表面に高品位の樹脂層をいっそう確実に形成できる。
【0053】
さらに、前記押下部材は、前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し下げる直線状の押下接触部が形成されたものであり、前記押上部材は、前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し上げる直線状の押上接触部が形成されたものである場合は、ラミネート用部材には直線状の押下接触部と直線状の押上接触部のみが接触するので、搬送抵抗を減少できる。
【0054】
さらにまた、押下接触部と押上接触部とは互いに平行に配置されたものである場合は、搬送中のラミネート用部材が曲がることなく円滑に搬送される。
【0055】
さらにまた、前記押下部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し下げるものであり、前記押上部材は、前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し上げるものである場合は、上記した全域が押し上げられると共に押し下げられるので、ラミネートシートの波打った部分をさらにいっそう確実に平滑にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、ラミネート用部材を示す斜視図であり、(b)は、平面図であり、(c)は、ラミネートシートの一部断面図である。
【図2】ラミネート装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】図2のラミネート装置を示す斜視図である。
【図4】図2のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。
【図5】ラミネート用部材に画像シートを挟み込む様子を示す斜視図である。
【図6】画像シートが挟み込まれたラミネート用部材が加熱定着ロール対52に挟持されながら搬送されている様子を示す斜視図である。
【図7】他の例のラミネート装置の概略構成を示す模式図である。
【図8】図7のラミネート装置の挿入口近傍を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 ラミネート用部材
20 台紙
30 ラミネートシート
40 画像シート
50,80 ラミネート装置
52 加熱定着ロール対
56 外装カバー
56a 端部
72a,82a 頂上部
Claims (6)
- 樹脂層が形成されたラミネートシートと矩形状の台紙とを有するラミネート用部材の前記ラミネートシートと前記台紙との間に記録媒体を挟み込んでこのラミネート用部材を一対の定着ローラで挟持しながら所定の搬送方向に搬送することにより、前記ラミネート部材に挟み込まれた記録媒体の表面に樹脂層を形成させるラミネート装置において、
前記定着ローラよりも前記搬送方向上流側に配置された、前記ラミネートシートを平滑にする平滑手段を備えたことを特徴とするラミネート装置。 - 前記平滑手段は、
前記ラミネート用部材の上方からこのラミネート用部材を押し下げる押下部材と、
前記ラミネート用部材の下方からこのラミネート用部材を押し上げる、前記押下部材から所定間隔離れた押上部材とを備えたものであることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。 - 前記押下部材は、
前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分を押し下げるものであり、
前記押上部材は、
前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分を押し上げるものであることを特徴とする請求項2に記載のラミネート装置。 - 前記押下部材は、
前記ラミネート用部材の上面うち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し下げる直線状の押下接触部が形成されたものであり、
前記押上部材は、
前記ラミネート用部材の下面のうち前記搬送方向に略直交する部分に接触してこの部分を押し上げる直線状の押上接触部が形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載のラミネート装置。 - 押下接触部と押上接触部とは互いに平行に配置されたものであることを特徴とする請求項4に記載のラミネート装置。
- 前記押下部材は、
前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し下げるものであり、
前記押上部材は、
前記ラミネート用部材のうち前記搬送方向に略直交する部分の全域を押し上げるものであることを特徴とする請求項2から5までのうちのいずれか一項に記載のラミネート装置。
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Cited By (2)
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-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002344006A patent/JP2004174923A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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