JP2004173905A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三次元超音波画像の各階層ごとに高輝度のボクセルがまとまったボクセル群54,56,58,72,74,76を形成する。一つの階層において、観察対象とするボクセル群54を指定する。隣接する階層において、前記ボクセル群54に連続すると考えられるボクセル群72を抽出する。順次、隣接する階層に関し連続するボクセル群を抽出し、全階層について、これを行う。抽出されたボクセル群に属するボクセルと、同一のボクセルのデータを三次元超音波画像より抽出することにより、観察対象部位の三次元画像が形成される。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元超音波画像を提供する超音波診断装置に関し、特に生体内部の注目する部分の抽出に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体に対し超音波を送受し、受信された超音波信号に基づき生体内部の三次元画像を提供する超音波診断装置が知られている。超音波受信信号は、振幅情報と位相情報からなるが、そのうちの振幅に由来する情報を、以降輝度情報と記す。
【0003】
受信された超音波信号に基づき得られた三次元画像は、一般的には、各ボクセルの輝度情報を立体的に表示したものである。この場合、臓器内部の腔部分を観察することができない。例えば、心臓を観察する場合、超音波は、心臓の心筋で反射するため、心筋部分が高輝度となって表示され、臓器内部の、すなわち心室などの腔部分の情報が得られない。腔部分を観察するためには、例えば、切断面を指定し、その面の手前の情報を排除した状態で表示する処理が行われている。
【0004】
また、心臓に係る診断において、心臓の拍出量を得たいという要求がある。従来、拍出量は、断層画像などに基づき近似的に求められていた。例えば、左室の所定部分の長さを観測し、この長さの時間変化に基づき拍出量を求めたり、ある切断面における左室の断面積を求め、この時間変化に基づき拍出量を算出していた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−224116公報
【特許文献2】
米国特許出願公開第2002/133075A1明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
臓器内部の腔部分に限らず、臓器の特定部分を観察する場合、この特定部分を精度よく抽出することが望まれる。前記の心臓の場合においては、観察対象を明瞭に表示すると共に、その拍出量の測定精度を高めるために、左室を精度よく抽出することが望まれる。
【0007】
また、生体内の腔部分のみならず、実体のある部分、例えば前立腺、各部の腫瘍、結石の抽出を行い、その体積を測定したいという要求がある。
【0008】
本発明は、前述の問題点を考慮してなされたものであり、生体内の観察の対象となる部分を精度よく抽出できる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波診断装置は、受信した超音波信号により得られた三次元データの各階層ごとに、各ボクセルの情報に基づき、関連するボクセルがまとまった、一つまたは二つ以上のボクセル群を形成し、さらに隣接する前記階層にそれぞれ属する前記ボクセル群間に所定の関連づけを行い、この関連づけられたボクセル群で形作られる三次元的な塊を観察対象となる部位の抽出のフィルタとして用いる。
【0010】
各ボクセルの情報は、例えば輝度情報、速度、速度の分散など、超音波信号の強度やドプラ偏移周波数などに基づき得られるボクセルごとに固有の情報である。
【0011】
ボクセル群を形成する際には、各ボクセルの情報に関し、所定のしきい値にて二値化し、この二値化された情報を用いてボクセル群の形成を行うようにすることができる。先に二値化を行うことで、後の処理負担が軽減される。
【0012】
また、隣接階層間のボクセル群の関連づけは、一つの階層に属する一つのボクセル群と、この階層に隣接する階層に属する各ボクセル群の幾何学的な情報に基づき行われる。例えば、一つの階層において選定された一つのボクセル群と、このボクセル群の領域を他方の階層へ正投影し、この投影された領域と他方の階層のボクセル群とが重なった領域の面積を、前記幾何学的な情報とすることができる。そして、重なった領域の面積が最も大きくなるボクセル群を、選定された一つのボクセル群に関連づけるようにできる。また、幾何学的な情報を、一つの階層において選定された一つのボクセル群と、隣接する階層の各ボクセル群との重心との距離とすることができる。そして、元の階層のボクセル群の重心に最も近い重心を有するボクセル群が、関連づけられる対象として選ばれる。
【0013】
また、観察対象部位を抽出するために、受信された超音波信号の一つの階層の情報を提供し、この情報に基づく一つのボクセル群の指定を受け付けるようにできる。指定されたボクセル群に対し、このボクセル群が属する階層に隣接する階層のボクセル群の関連づけを行う。この関連づけは、前記した隣接する階層間でのボクセル群の関連づけと同様に行うことができる。次に、更に隣接する階層間でボクセル群の関連づけを行い、これを超音波画像の三次元データの全階層にわたって実行する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。なお、以下においては、観察対象を心臓、特に左室として説明するが、他の心腔部、また他の臓器の所定部分に本発明を適用することも可能である。
【0015】
図1は、本実施形態の超音波診断装置10の外観を概略的に示した図である。超音波診断装置10は、三次元超音波画像を形成する機能を有している。装置本体12の前面には、各種の操作を行う操作パネル14が設けられている。また、対象に対して超音波の送受を行う超音波探触子16が、ケーブルを介して装置本体12に接続されている。装置本体12の上方には、モニタ17が設けられ、超音波探触子16により受信された反射波に基づく超音波画像などがここに表示される。装置本体12の内部には、超音波の送受、受信された反射波の信号処理、さらに画像処理などを行う回路が組まれた回路基板が配置されている。
【0016】
図2は、超音波画像の形成に係る構成を示すブロック図であり、特に臓器の腔部分、例えば左室などの心腔部の表示に好適な画像処理に係る構成を示している。超音波探触子16は、超音波ビームを二方向に走査可能であり、これにより三次元超音波画像の形成を可能としている。送受信部18は、前記三次元用の超音波探触子16に対応しており、超音波の送受信の制御を行って受信されたデータを三次元データメモリ20に送り、データはここに格納される。本実施形態においては、三次元データは超音波ビームの主走査方向θ、これに直交する副走査方向φ、および探触子当接面の曲率中心からの距離rによる極座標系(θ,φ,r)にて格納される。三次元データの格納形態については、反射波の情報から直接的に得られる極座標系から、他の座標系、例えば直交座標系(x,y,z)に変換した形態にて格納することもできる。
【0017】
三次元データメモリ20に格納されたデータは、反射波の強度に対応した輝度情報を格納するもので、観察対象が心臓の場合、反射の大きい心筋部が高輝度に、反対に反射の小さい流体(血液)で満たされた心腔部は低輝度となっている。このデータを三次元表示した場合、高輝度の心筋部が表示され、内部の心腔部は心筋部に隠れ表示がなされない。この心腔部を表示するために、本実施形態においては、輝度情報を反転させ、心筋部は低輝度に、心腔部を高輝度にする。これにより、心腔部全体を三次元表示にて観察可能としている。この反転画像は、三次元データメモリ20内のデータを反転画像形成部22により処理して形成される。次に、反転画像形成部22による画像処理について説明する。
【0018】
まず、三次元データメモリ20の各ボクセルデータの輝度情報を二値化処理部にて二値化する。二値化する際のしきい値は、あらかじめ定められた固定値であってもよく、また取得された超音波画像に応じて操作者が設定できるようにすることもできる。例えば、64階調の輝度データであれば、ボクセルごとに、しきい値未満であれば輝度値を0に、またしきい値以上であれば63とする。次に、輝度情報反転部26にて、輝度情報を反転する。すでに二値化されているデータであるので、輝度情報0を63に、輝度情報63を0とする。上記の二値化と反転処理は順序を逆にしても同様の結果を得ることができる。
【0019】
図3は、二値化反転後のデータに基づく画像を表示したものである。この図は、すでに極座標から直交座標への変換を行った状態を示している。また、四角錐の側面のように見える面は、肋骨などの影響により、超音波の反射波がなかった部分を示すものであり、輝度情報を反転したことによって現れたものである。図の中心部分に盛り上がったように見える部分が心腔部を示している。なお、この図は、出願形式に適合させるために、中間階調の表現などが実際の超音波診断装置10と異なっており、本装置の表示そのものを示すものではない。すなわち、本装置においては、中間階調は各ボクセルの輝度の階調として(例えば64階調)により表されるのに対し、この図においては、ドットの密度によって表現されたものとなっている。
【0020】
図3においては、十分表現されていないが、二値化されたデータそのままを表示すると、コントラストが強すぎるため非常に見づらい表示となる。また、ノイズも強調される。そこで、二値化反転データに対し、以下の画像処理を行う。まずノイズ除去部28にて、ノイズ除去を行う。例えば、θ−φ平面上で、あるボクセルの周囲8個のボクセルのうち、例えば5個の輝度値が63(64階調の場合)であれば、その注目したボクセルの値を63とする。5個未満であれば、注目したボクセルの従前の輝度情報を維持する。また、周囲5個の輝度情報が0の場合は、注目したボクセルの輝度情報を0とし、5個未満であれば従前の輝度情報を維持する。このノイズ除去の処理は、θ−φ平面上で実行されるが、θ−r平面、φ−r平面で行うこともできる。また、立体的に観て、あるボクセルの周囲26個のボクセルの輝度情報に基づき、その注目したボクセルの輝度情報を決定するようにもできる。
【0021】
次に、平滑化部30により平滑化処理を行う。前述のように、二値化されたデータは見づらいので、鈍らせ、なめらかな表示となる画像処理を行う。例えば、あるボクセルの輝度情報を、これと、その周囲のボクセルとの輝度情報の平均値に決定することで平滑化を行うことができる。平均値算出の対象となるボクセルは、例えば一つの平面内の9個のボクセルを用いることも、立体的な27個のボクセルを用いることもできる。この平滑化処理を行うことにより、中間階調のボクセルが発生し、なめらかな表示となる。さらに、補間部32によりライン間(θ方向)、フレーム間(φ方向)の補間を行う。
【0022】
さらに、心腔部抽出部34にて心腔部の抽出を行う。図3にも示されるように、二値化反転した画像においては、観察対象である心腔部以外の部分が心腔部の観察の障害となっている。そこで、心腔部の一般的な形状を利用して、この部分の抽出を行う。
【0023】
図4は、心腔部抽出部34の細部の構成を示すブロック図である。また、図5〜図7は、心腔部の抽出に関する説明図である。図5は、三次元データメモリ20に格納される超音波画像データを模式的に表したものである。この三次元データは、1フレームあたり64ライン(θ方向)、30フレーム(φ方向)、256階層(r)のボクセル(画素)より構成されている。また、図においては、各ボクセルの輝度値を、所定のしきい値で二値化した状態で示されている。図中央付近の上方の塊が、左室の像42を表し、その下の塊が左心房の像44を示している。
【0024】
三次元データから一つの階層を基準面として指定する。これは、例えば、図8に示される画像をモニタ17に表示させ、操作パネル14からの操作によって基準面を指定するようにできる。図8は、モニタ17の表示例であり、右上が側面図、左下が正面図、右下が斜視図となっており、左上は所定の階層における断面図である。側面図または正面図にて、ラインマーカ46を移動させて断面を指定する。このラインマーカ46により示された断面が、左上の断面図である。このラインマーカ46が示す階層のデータを、読み出し回路48により三次元データメモリ20より読み出し、二値化反転部50にて処理する。この二値化反転処理は、前述の二値化処理部24と輝度情報反転部26と全く同様の処理を行う。この場合のように、心腔部のように元の超音波画像において低輝度値となる部分を観察対象とする場合は、輝度情報の反転処理を行うことが好ましいが、反転処理を行わず、観察対象を、他の部分である高輝度部分に囲まれた低輝度の部分として処理することも可能である。また、観察対象が本来、高輝度である場合については、反転処理を行わず二値化処理のみ行うようにしてもよい。
【0025】
ラインマーカ46で指定した階層が、図5に示すように100番の階層であったとして以後の説明を行う。二値化反転処理された100番の階層の画像は、図6に示すように高輝度のボクセルがまとまって3つの群をなしている。いくつの群を形成するかは、得られた超音波画像と指定した断面により変化する。ここでは、100番の階層である基準面52において、中央に現れるボクセル群54が左室42の断面を現しており、左右のボクセル群56,58は、観察対象となっていない部分の像か、ノイズである。ラベリング部60においては、これらのボクセル群54,56,58に属する各ボクセルに対し、属する群に対応したラベルを付与する。図6の場合であれば、左室断面を示すボクセル群54に属するそれぞれのボクセルに対し「3」、他のボクセル群56,58の各ボクセルに対しては「1」,「2」のラベルが付与される。さらに、操作者は、どのボクセル群を観察対象とするかの指定も行う。この指定は、図8の表示画面上でポイントマーカ62により行う。この指定がなされたボクセル群54のみが残され、この画像が基準面用メモリ64に格納される。さらに、この画像がセレクタ66を介して比較基準画像用メモリに格納される。セレクタ66の機能については後述する。
【0026】
以上の100番の階層(基準面)の画像処理の流れは、図7にも示されている。二値化反転処理された基準面の画像情報52−1が左列(a)に示され、ひとかたまりをなすボクセルに対し共通のラベルを付与した状態が画像情報52−2として中央列(b)に示されている。そして、操作者が指定したひとかたまりのボクセル群のみの画像情報52−3が右列(c)に示されている。前述のように、この右列(c)の画像情報が、基準面用メモリ64と、比較基準画像用メモリ68、さらにセレクタ69を介して左室抽出用三次元メモリ71に格納される。
【0027】
基準面52に関する画像情報が比較基準面画像用メモリ68に記憶されると、読み出し回路48によって、100番に隣接する階層の一方が三次元データメモリ20から読み出される。この読み出された階層(例えば99番の階層)の画像情報が二値化反転部50で処理される。この画像情報が、図7の左列(a)に、画像情報70−1として現されている。画像情報70−1は、高輝度のボクセルがまとまったボクセル群72,74,76を含んでいる。さらに、ラベリング部60により、ボクセル群72,74,76に属するボクセルに対し、属する群に共通のラベルを付与する。図7中央列(b)に示すように、例えば「6」「7」「8」のラベルが付与される。このラベリングされた画像情報70−2が、一つ前(100番)の階層の画像情報52−3と比較される。すなわち、比較基準画像用メモリ68に記憶されている画像情報52−3と、比較対象の画像情報70−2とが、比較部78にて比較される。具体的には、観察対象部分であるとして指定されたボクセル群54を、画像情報70−2上に正投影して(図中破線で示す)、この正投影された像に含まれる高輝度のボクセルを選び出す。選び出されたボクセルには、すでにラベルが付与されており、群ごとの面積計測回路80は、先のラベルごとにボクセル数を計数する。ここで、同一階層内における群の面積は、その群のボクセル数に比例するので、同一階層内での群ごとの面積の比較はボクセル数の比較により行うことができる。後述するように、本実施形態においては、面積の比較は同一階層内で行われるので、ボクセル数を計数することは、すなわち面積の計測を行うことである。このボクセル数は、99番階層のボクセル群72,74,76と、比較基準となる100番階層のボクセル群のうち指定されたボクセル群54の正投影像とが重った領域の面積に相当する。この重なった部分の面積が最大のボクセル群(図7の場合、ボクセル群72)が最大領域抽出回路82によって選ばれる。
【0028】
このボクセル群のラベルを有する全てのボクセルを、ラベルが付与された画像情報70−2から特定ラベル通過回路84によって通過させ、セレクタ69を介して左心室抽出用三次元メモリ71に格納させる。セレクタ69は、基準面52の画像情報に関しては、比較部78を通過前の画像情報そのものを通過させ、その他の階層にかかる画像情報に介しては、比較部78にて比較され、所定の処理を行った画像情報を通過させる。左室抽出用三次元メモリ71に格納された99番階層の画像情報70−3が図7右列(c)に示されている。また、左室抽出用三次元メモリ71に格納されたのと同じ画像情報70−3は、特定ラベル通過回路82から前出のセレクタ66へ送られ、これを介して比較基準画像用メモリ68に格納される。このとき、従前の画像情報52−3は消去される。セレクタ66は、最初の階層の処理、すなわち基準面52に関する処理については、基準面用メモリ64の画像情報52−2を通過させるが、これに続く階層の処理については、特定ラベル通過回路84を通過した画像情報を通過させる。
【0029】
99番の階層の、左室が抽出された画像情報70−3が比較基準画像用メモリ68に格納されると、読み出し回路48によって次に隣接する98番の階層の情報が読み出される。そして、二値化反転、ラベリングがなされた後、99番階層の画像データ70−3との比較がなされ、左室部分の抽出が行われる。これが、1番の階層まで繰り返される。1番の階層の処理が終了すると、切り替え回路86は、セレクタ66に、再度基準画面用メモリ64に格納された画像情報52−2を通過させ、比較基準画像用メモリ68に送るように指示する。そして、三次元データメモリ20から、基準面に隣接する、もう一方の階層である101番の階層の画像情報を二値化反転、ラベリング処理をして比較を行い、更に、これをもう一方の端の階層(256番)まで繰り返す。
【0030】
以上の結果、左室抽出用三次元メモリ71には、基準面52における操作者が左室であると指定したボクセル群54と、これに上下方向に連続しているボクセル群の情報が左室を表す三次元的な塊のデータとして蓄積される。そして、特定ラベル通過回路88を用いて、この塊のデータをフィルタとして、三次元データメモリ20の三次元超音波画像を通過させる。すなわち、左室抽出用三次元メモリ71に格納された左室を表すとされたボクセルと同じ位置の、三次元データメモリ20内の超音波画像のボクセルを通過させる。これにより、三次元超音波画像の左室のみを抽出することができる。
【0031】
図2に戻り、セレクタ36は、元の三次元データか、二値化反転され心腔部が抽出されたデータか、操作者の指示に従って、いずれかを選択し、変換部38にデータを送出する。変換部38では、極座標から直交座標への、さらに二次元表示するための変換を行う。前述のように三次元データメモリ20に格納されるデータがすでに直交座標系への変換を終えている場合には、ここでの変換は、三次元のデータを二次元表示するための変換だけとなる。変換されたデータに基づきモニタ17にて表示が行われる。
【0032】
また、心腔部抽出部34にて抽出された心腔部のデータに基づき、容積演算部40にて心腔部の容積を算出する。抽出された心腔部は立体モデルであるので、一部分の長さや、一つの断面における断面積から容積を推定するのに比べ、高い精度で容積を求めることができる。算出された容積に基づき、診断の支援となる情報、例えば容積の時間変化、最大値、最小値、最大値と最小値の差に相当する拍出量なども算出される。これらの算出されたデータの全て、またはその一部をモニタ17に表示させる。
【0033】
図9は、抽出された心腔部の画像を表示したものである。図9は、図3と同様に、中間階調の表現手法等が、本装置10のものと異なるために、実際の表示そのものを示すものとはなっていない。しかしながら、心腔部が立体として認識しやすい表示となっていることが理解できる。また、操作パネル14からの操作によって、視点の位置を変えることができ、図9の表示における裏側も観察することができる。
【0034】
以上においては、各階層間のボクセル群の関連づけは、一方の階層から隣接する他方の階層へ投影されたボクセル群の領域と、他方の階層のボクセル群とが重なった部分の面積に基づき行われた。しかし、これ以外の方法により関連づけを行うこともできる。例えば、一方の階層の注目しているボクセル群の重心と、ここれと隣接する他方の階層の各ボクセル群の重心との距離を比較し、この距離が最も近いボクセル群どうしを関連づけるようにできる。
【0035】
以上、心腔部の抽出について述べたが、他の生体内の腔部分についても同様の抽出処理を行うことができる。さらに、腔でない実体部分、例えば前立腺、腫瘍、結石についても、同様の抽出処理を行うことができる。
【0036】
さらに、反射波のドプラ偏移周波数に基づき速度を有する部分の情報を得る場合においても、前述の特定部位の抽出方法を適用することができる。例えば、ドプラ偏移から求められる、ボクセルごとの速度情報から、ある速度以上の部分を抽出すれば、例えば血管など、血流のある部分の抽出を行うことができる。また、同様にドプラ偏移より求められる分散が、ある値以上である部分を抽出すれば、例えば血流の乱れがある部分の抽出を行うことができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、得られた超音波画像をもとに、観察対象部分の抽出を行うので、抽出処理の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の超音波診断装置の概略外観図である。
【図2】本実施形態の画像処理に係る構成を示すブロック図である。
【図3】超音波画像を二値化反転した画像の一例を示す図である。
【図4】本実施形態の観察対象部位を抽出するフィルタの作成に係る構成を示すブロック図である。
【図5】三次元超音波画像の例を示す図である。
【図6】三次元超音波画像の一つの階層の画像情報の例を示す図である。
【図7】観察対象部位を抽出するフィルタの作成過程を概念的に示す図である。
【図8】三次元超音波画像の表示例を示す図である。
【図9】二値化反転され、抽出された心腔部の画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 超音波診断装置、16 超音波探触子、20 三次元データメモリ、22 反転画像形成部、24 二値化処理部、26 輝度情報反転部、34 心腔部抽出部、52 基準面、54,56,58,72,74,76 ボクセル群。
Claims (6)
- 生体に対し超音波を送受し、これに基づき臓器の三次元画像を提供する超音波診断装置において、
受信した超音波信号により得られた三次元データの各階層ごとに、各ボクセルの情報に基づき、関連するボクセルがまとまった、一つまたは二つ以上のボクセル群を形成する手段と、
隣接する前記階層に各々属する前記ボクセル群間に所定の関連づけを行う手段と、
前記階層間で関連づけられたボクセル群をフィルタとして前記三次元データから観察対象領域を抽出する手段と、
を有する超音波診断装置。 - 請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記ボクセル群を形成する手段は、前記各ボクセルの情報に関し、所定のしきい値にて二値化した後、前記ボクセル群を形成する、超音波診断装置。
- 請求項1または2に記載の超音波診断装置であって、前記ボクセルの情報はボクセルの輝度情報である、超音波診断装置。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置であって、前記ボクセル群間の関連づけを行う手段は、
一つの階層において選定された一つのボクセル群と、前記の階層に隣接する階層の各ボクセル群の幾何学的な情報に基づき隣接する階層間のボクセル群を関連づける、
超音波診断装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置であって、
受信した超音波信号により得られた三次元データの一つの階層の情報を提供する手段と、
前記提供された一つの階層内の一つのボクセル群の選定を受け入れる手段と、を有し、
前記ボクセル群間の関連づけを行う手段は、
前記選定されたボクセル群と、この選定されたボクセル群の属する階層に隣接する階層の各ボクセル群との幾何学的な情報に基づき隣接する階層間のボクセル群を関連づけ、
前記隣接する階層と、この階層にさらに隣接する階層とに対して、前記と同様のボクセル群の関連づけを行い、これを順次全階層について実行する、
超音波診断装置。 - 請求項4または5に記載の超音波診断装置であって、前記ボクセル群間の関連づけを行う手段は、
前記幾何学的な情報を、前記一つの階層において選定されたボクセル群の領域を隣接する階層へ正投影し、この投影された領域と当該隣接する階層の各ボクセル群とが重なった領域の面積とし、
この面積が最も大きくなるボクセル群を、前記選定されたボクセル群と関連づける、
超音波診断装置。
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