JP2004172859A - 撮像装置および撮像方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】全画素読出方式の撮像素子において、広ダイナミックレンジ撮像と、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善を両立させる。
【解決手段】読出電極を独立に制御可能な複数系統に分ける。色成分に拘わらず、独立駆動可能な複数系統のゲート電極のそれぞれを、有効画素領域中において水平方向に延在して配置する。独立駆動可能な読出電極に対して、蓄積時間の異なる信号に対応した電子シャッタパルスを駆動電圧として印加することで、感度特性の切替えを露光時間制御で電子的に実現する。各転送電極に対応するそれぞれの転送パルスの伝播遅延がほぼ等しくなるので、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。読出電極を独立に制御可能にしているので、シャッタ方式SVEが持つ感度制御の柔軟性を享受することで、広ダイナミックレンジの画像の撮像を可能とする。
【選択図】 図32

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置および撮像方法に関する。より詳細には、撮像された被写体画像のダイナミックレンジを向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平8−223491号公報
【特許文献2】
特開平7−254965号公報
【特許文献3】
特開平7−254966号公報
【特許文献4】
特開平8−340486号公報
【特許文献5】
特開平10−069011号公報
【特許文献6】
米国特許第5801773号明細書
【特許文献7】
特開平8−331461公報
【特許文献8】
特開平7−254965公報
【特許文献9】
特開平6−141229号公報
【特許文献10】
米国特許第5420635号明細書
【特許文献11】
米国特許第5455621号明細書
【特許文献12】
米国特許第5801773号明細書
【特許文献13】
米国特許第5638118号明細書
【特許文献14】
米国特許第5309243号明細書
【特許文献15】
米国特許第5789737号明細書
【特許文献16】
特開昭59−217358号公報
【特許文献17】
米国特許第5420635号明細書
【特許文献18】
特開2000−69491号公報
【特許文献19】
特開平9−191099号公報
【特許文献20】
USAPP 09/326,422号明細書
【特許文献21】
特開2002−112120号公報
【非特許文献1】
「1/2インチ33万画素正方格子全画素読出方式CCD撮像素子」、テレビジョン学会技術報告 情報入力、情報ディスプレイ1994年11月、p7−12
【非特許文献2】
S.K.Nayar and T.Mitsunaga,”High Dynamic Range Imaging:Spatially Varying Pixel Exposures”,Proc. of Computer Vision and Pattern Recognition 2000,Vol.1,pp.472−479,June,2000
【0003】
CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Mental−Oxide Semiconductor)などのような固体撮像素子が、ビデオカメラやディジタルスチルカメラなどの撮像装置、FA(Factory Automation)の分野における部品検査装置、あるいはME(Medical Electronics)の分野における電子内視鏡などの光計測装置に幅広く利用されている。
【0004】
従来、全画素読出し(PS;Progressive Scan)の画素構造として、非特許文献1には、3層電極3相駆動のものが知られている。この全画素読出方式の撮像素子は、読出電極を兼ねる3層目の転送電極が有効画素領域中において垂直方向に延在した構造となっている。
【0005】
一方、固体撮像素子を用いた撮像装置や光計測機器などにおいては、ダイナミックレンジを向上させるために、異なる感度の光電変換素子(フォトダイオードなどの受光素子)を利用して画像を撮像し、撮像により得られた光強度信号を合成する手法が種々提案されている。
【0006】
特許文献1〜6に記載の手法(以下第1の手法という)は、光学的に複数の透過率の異なる光軸に分岐させた入射光をそれぞれの光軸上に配置させた固体撮像素子で計測するというものである。しかしながら、第1の手法は、複数の固体撮像素子および光を分岐させる複雑な光学系が必要となるので、製造コストや装置規模が大きくなってしまうため、省コスト化や省スペース化の面で不利である。
【0007】
また、特許文献7〜14に記載の手法(以下第2の手法という)は、1つの固体撮像素子を用いて、その露光時間を複数に分割し、異なる時刻でかつ異なる時間幅で複数枚の画像を撮像した後、それらを合成するというものである。しかしながら、第2の手法は、異なる感度で計測された情報は異なる時刻に撮像されたものであり、かつ、異なる時間幅で撮像されているので、光強度が時々刻々と変化するような動的なシーン(画像)を正しく撮像することができない。
【0008】
さらに、特許文献15〜18に記載の手法(以下第3の手法という)は、1つの固体撮像素子を用い、固体撮像素子の撮像面で互いに隣接する複数の受光素子を1組として、受光素子の1組を出力画像の1画素に対応させるようにし、1組を構成する複数の受光素子の感度をそれぞれ異なるように設定して撮像した後、複数の異なる感度の受光素子で計測された信号を合成させるというものである。これらにおいては、1つの固体撮像素子を構成する受光素子のそれぞれの感度を変化させる方法としては、各受光素子を透過率の異なるND(Neutral Density)フィルタで覆う方法がある。また、特に特許文献18に記載のものは、第3の手法をカラー画像に適応するというものである。
【0009】
第3の手法は、第1の手法において問題であった省コスト化や省スペース化の面で有利となる。また、第2の手法において問題であった動的シーンを正しく撮像できないことを解決することができる。
【0010】
しかしながら、第3の手法では、隣接する複数の受光素子を1組として出力画像の1画素に対応させるので、出力画素の解像度を確保するためには、出力画像の画素数の数倍の受光素子からなる撮像素子が必要であり、ユニットセルサイズが大きくなる。
【0011】
また、第3の手法は、透過率の異なるNDフィルタで受光素子を覆うことで感度制御を行なうので、固体撮像素子の製造時に各受光素子の感度が固定されることになり、感度を可変制御にすることができなくなり、ダイナミックレンジ拡大率を状況に合せて可変に制御することが困難になる。
【0012】
この各受光素子の感度が固定されることにより、ダイナミックレンジ拡大率を状況に合せて可変に制御することが困難になるという課題に対して、特許文献19には、第1の蓄積時間の後に、選択された列の信号を読出し、その後、電子シャッタをかけ、続く第2の蓄積時間の後に、上記列以外の列の信号を読み出すことによりダイナミックレンジを拡大することが記載されている。しかしながら、この手法でも、フィルタで受光素子を覆う手法のような感度の空間パターンの設計に自由度がないという問題があり、たとえば、垂直方向に3種類以上の複数の露光時間を有する信号を得ることができない。
【0013】
さらに、特許文献20および非特許文献2に記載の手法(以下第4の手法という)は、通常のダイナミックレンジを有する撮像素子に、出力画像の1画素に対応する1つの受光素子ごと、その露出が異なるような仕組みを施して撮像し、得られた画像信号に所定の画像処理を施して広ダイナミックレンジの画像信号を生成するというものである。受光素子ごとの露出が異なるような仕組みは、受光素子ごとに光の透過率や開口率を変えたりすることによって、空間的な感度のパターンをつくることにより実現する。つまり、解像度(つまり画素数)方向に余裕のある能力をダイナミックレンジ向上に振り分けるもので、SVE(Spatially Varying Exposure)方式と称するものである。
【0014】
この第4の手法(SVE方式)では、各受光素子は1種類の感度だけを有する。よって、撮像された画像の各画素は本来の撮像素子が有するダイナミックレンジの情報しか取得することができないが、得られた画像信号に所定の画像処理を施し、全ての画素の感度が均一になるようにすることによって、結果的にダイナミックレンジが広い画像を生成することができる。また、全ての受光素子が同時に露光するので、動きのある被写体を正しく撮像することができる。さらに、1つの受光素子が出力画像の1画素に対応しているので、ユニットセルサイズが大きくなる問題も生じない。つまり、SVE方式では、第1〜第3の手法の問題を解決することが可能である。
【0015】
このSVE方式を全画素読出しの撮像素子に適用する技術が特許文献21に提案されている。これによれば、非特許文献1に記載の電極構造の全画素読出方式撮像素子を用いて、垂直列ごとに読出電極を複数系統に分離し、それぞれの読出タイミングを変えることでそれぞれの電極に対応する受光素子の蓄積時間を変え信号処理によりダイナミックレンジを拡大するようにしている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非特許文献1に記載の全画素読出方式の撮像素子は、1層目と2層目の転送電極は有効画素領域中において水平方向に延在しているのに対し、読出電極を兼ねる3層目の転送電極が有効画素領域中において垂直方向に延在した構造となっている。
【0017】
このため、これら転送電極の駆動パルスの供給経路に差が生じ、特に画面周辺部で1層目および2層目の転送電極と3層目の転送電極とで伝播遅延に差が生じることに起因して、転送パルスに位相ズレが発生し、この結果、Vレジスタの取り扱い電荷量の減少や転送効率が悪化するなどの問題が発生していた。
【0018】
この問題を解決する一手法として、転送電極を斜め方向に配置する方法が考えられる。しかしながらこの方法では、たとえば対角を結ぶ部分の電極長が最長でそれより離れるほど短くなるというように、電極長が場所によって異なるので、これに起因して、転送パルスに位相ズレが発生してしまう。これを解決するには、たとえば転送電極に対して交差する方向にアルミ配線を配してシャント配線を形成する方法も考えられるが、その分だけ製造工程が増え製造が複雑になるなど、新たな問題が生じる。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広ダイナミックレンジの画像の撮像が可能であるとともに、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善を比較的簡単な方法で実現することのできる撮像方法および撮像装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る撮像装置は、受光した光を光電変換して電荷を蓄積する水平方向および垂直方向に配置された複数の受光素子を具備する光電変換手段と、受光素子により蓄積された電荷を垂直方向に転送する垂直転送レジスタと、受光素子により蓄積された電荷を垂直転送レジスタに転送する転送ゲートとを備えた撮像装置であって、それぞれ異なる蓄積時間に応じて独立に駆動電圧を転送ゲートに印加可能に設けられた複数系統のゲート電極(読出電極)を設けた。つまり、読出電極を複数系統設け、それぞれの読出電極を蓄積時間の違う信号に対応させた。
【0021】
また、この複数系統のゲート電極のそれぞれは、有効画素領域中において水平方向に延在して配置されているものとした。
【0022】
なお、ゲート電極を、垂直転送レジスタにて電荷を垂直方向に転送させるための転送電極を兼ねる構成としてもよい。
【0023】
なお、このような電極構造のセンサは、全画素読出方式のものに適用すると好適である。また、複数の色成分を3原色成分とし、その色配列を、感度特性に拘わらず、3原色成分がベイヤ配列などの格子状をなすように配置されているものとするとさらに好ましい。
【0024】
電極構造の具体的な形態としては、たとえば、同一の感度特性を呈する受光素子の並び方向が垂直方向に一致するように、複数系統のゲート電極が設けられていることが好ましい。
【0025】
また、複数の受光素子のそれぞれが、複数の色成分のうちの何れかの色成分を有しているカラー撮像用の場合、色成分に拘わらず、同一の感度特性を呈する受光素子の並び方向が垂直方向に一致するように、複数系統のゲート電極が設けられていることが好ましい。
【0026】
このような電極構造を有するセンサを使用する場合、複数系統のゲート電極のそれぞれに対応して、蓄積時間の異なる信号に対応した電子シャッタパルスを駆動電圧として印加するパルス駆動部を備えた構成とする。つまり、感度特性の切替えを露光時間制御で電子的に実現する。
【0027】
また、それぞれ異なる蓄積時間に応じて光電変換手段により撮像された複数系統の撮像信号に基づいて、信号処理により画像のダイナミックレンジを拡大する信号処理部を備えた構成とする。
【0028】
本発明に係る撮像方法は、本発明に係る撮像装置を利用した撮像方法である。すなわち、光強度に対する複数の感度特性のうちの何れかの感度特性を呈する感度モザイク画像を取得して被写体画像を撮像する撮像方法であって、それぞれ異なる蓄積時間に応じて独立に駆動電圧を転送ゲートに印加可能に設けられた複数系統のゲート電極を備えており、かつ複数系統のゲート電極のそれぞれが、有効画素領域中において水平方向に延在して配置されている撮像装置を使用する。そして、複数系統のゲート電極のそれぞれに対応して、積時間の異なる信号に対応した電子シャッタパルスを駆動電圧として印加することで、それぞれ異なる蓄積時間に応じた複数系統の撮像信号を取得する。さらに、この取得した複数系統の撮像信号に基づいて、信号処理により被写体画像のダイナミックレンジを拡大する。
【0029】
【作用】
上記構成においては、先ず、センサに読出電極として複数系統設け、それぞれの読出電極を蓄積時間の違う信号に対応させ、感度特性の切替えを露光時間制御で電子的に実現する構成とした。このとき、複数系統のゲート電極のそれぞれが、有効画素領域中において水平方向に延在するように配置させた。これにより、読出電極を他の転送電極に対して平行となるようにした。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る撮像装置を適用したデジタルスチルカメラの構成を示す図である。このディジタルスチルカメラ1は、大別して光学系2、信号処理系3、記録系4、表示系5、および制御系6から構成されている。
【0032】
光学系2は、シャッタ21、被写体の光画像を集光するレンズ22、光画像の光量を調整する絞り23、および集光された光画像を光電変換して広ダイナミックレンジの電気信号に変換するCCDイメージセンサ24から構成されている。図示しない被写体からの光Lは、シャッタ21およびレンズ22を透過し、絞り23により調整されて、適度な明るさでCCDイメージセンサ24に入射する。このとき、レンズ22は、図示せぬ被写体からの光Lからなる映像が、CCDイメージセンサ24上で結像されるように焦点位置を調整する。
【0033】
信号処理系3は、CCDイメージセンサ24からの電気信号をサンプリングすることによってノイズを低減させるCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)回路25、CDS回路25が出力するアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換回路26、A/D変換回路26から入力されるディジタル信号に所定の画像処理を施すDSP(Digital Signal Processor)で構成された画像処理部27から構成される。
【0034】
CCDイメージセンサ24は、複数の受光素子により構成されており、レンズ22および絞り23を介して入射された光Lを光電変換し、映像を電気信号に変換して、後段のCDS回路25に出力する。
【0035】
CDS回路25は、CCDイメージセンサ24より入力される信号を基準信号と比較し、その差電圧をサンプリングし、これを映像信号としてA/D変換回路26に出力する。A/D変換回路26は、CDS回路25より入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、画像処理部27に出力する。
【0036】
記録系4は、画像信号を記憶するフラッシュメモリなどの記録媒体(メモリ)29、画像処理部27が処理した画像信号を符号化してメモリ29に記録し、また、読み出して復号し、画像処理部27に供給するCODEC(Compression/Decompression)28から構成されている。画像処理部27は、中央制御部34により制御され、A/D変換回路26より入力された信号を所定の映像データに変換し、D/A変換回路30、またはCODEC28に出力する。また、画像処理部27は、CODEC28より入力された映像データをD/A変換回路30に出力する。CODEC28は、画像処理部27より入力された映像データを所定の方法でコーディングし、メモリ29に記憶させるとともに、メモリ29に記憶されているデータを読み出し、デコードして画像処理部27に出力する。
【0037】
画像処理部27は、それぞれ異なる蓄積時間に応じて撮像された複数系統の撮像信号に基づいて、信号処理により画像のダイナミックレンジを拡大する信号処理部としての機能を備える。この信号処理に際しては、異なる感度で撮像されたモザイク画像を元にして、補間処理にて、正常な被写体画像を取得する。補間処理は、カラーフィルタの色配列や感度の配列に応じて、その仕組みを工夫する。
【0038】
表示系5は、画像処理部27が処理した画像信号をアナログ化するD/A(Digital/Analog)変換回路30、入力されるビデオ信号に対応する画像を表示することによりファインダとして機能するLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるビデオモニタ32、およびアナログ化された画像信号を後段のビデオモニタ32に適合する形式のビデオ信号にエンコードするビデオエンコーダ31から構成されている。D/A変換回路30は、画像処理部27より入力された映像データのデジタル信号をアナログ信号に変換し、ビデオエンコーダ31に出力する。ビデオエンコーダ31は、D/A変換回路30より入力されたアナログ信号の映像データを所定のビデオ信号に変換し、ビデオモニタ32に出力し、映像を表示させる。
【0039】
制御系6は、先ず、図示しないドライブ(駆動装置)を制御して磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリに記憶されている制御用プログラムを読み出し、読み出した制御用プログラム、あるいはユーザからのコマンドなどに基づいてディジタルスチルカメラ1の全体を制御するCPU(Central Processing Unit )などよりなる中央制御部34を備える。この中央制御部34は、デジタルスチルカメラ1のバス33に接続された画像処理部27、CODEC28、メモリ29、絞りコントローラ35、およびタイミングジェネレータ36を制御している。
【0040】
また制御系6は、画像処理部27に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つように絞り23を制御する絞りコントローラ35、CCDイメージセンサ24から画像処理部27までの各機能部の動作タイミングを制御するタイミングジェネレータ(TG)36、ユーザがシャッタタイミングやその他のコマンドを入力する操作部37を有する。
【0041】
絞りコントローラ35は、画像処理部27に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つようにその制御値が中央制御部34により設定され、その制御値に従って絞り23を制御する。具体的には、中央制御部34が画像処理部27に保持されている画像から適当な個数の輝度値のサンプルを獲得し、その平均値があらかじめ定められた適当とされる輝度の範囲に収まるように絞り23の制御値を設定する。
【0042】
タイミングジェネレータ36は、中央制御部34により制御され、CCDイメージセンサ24、CDS回路25、A/D変換回路26、および画像処理部27の動作に必要とされるタイミングパルスを発生し、供給する。操作部37は、ユーザが、デジタルスチルカメラ1を動作させるとき操作される。
【0043】
このデジタルスチルカメラ1において、被写体の光学画像(入射光)は、レンズ22および絞り23を介してCCDイメージセンサ24に入射され、CCDイメージセンサ24によって光電変換され、得られた電気信号は、CDS回路25によってノイズが除去され、A/D変換回路26によってディジタル化された後、画像処理部27が内蔵する画像メモリに一時格納される。
【0044】
なお、通常の状態では、タイミングジェネレータ36による信号処理系に対する制御により、画像処理部27が内蔵する画像メモリには、一定のフレームレートで絶えず画像信号が上書きされるようになされている。画像処理部27が内蔵する画像メモリの画像信号は、D/A変換回路30によってアナログ信号に変換され、ビデオエンコーダ31によってビデオ信号に変換されて対応する画像がビデオモニタ32に表示される。
【0045】
ビデオモニタ32は、デジタルスチルカメラ1のファインダの役割も担っている。ユーザが操作部37に含まれるシャッタボタンを押下した場合、中央制御部34は、タイミングジェネレータ36に対し、シャッタボタンが押下された直後の画像信号を取り込み、その後は画像処理部27の画像メモリに画像信号が上書きされないように信号処理系3を制御させる。その後、画像処理部27の画像メモリに書き込まれた画像データは、CODEC28によって符号化されてメモリ29に記録される。以上のようなデジタルスチルカメラ1の動作によって、1枚の画像データの取り込みが完了する。
【0046】
図2は、操作部37の一例を説明する図である。ここで、図2(A)はキー操作部の詳細を示し、図2(B)および図2(C)は動作モードの遷移を示す。
【0047】
図2(A)に示すように、操作部37のキャプチャボタン41は、プッシュボタンで構成され、静止画を撮像するとき、ユーザにより押下される。アクションモード切替スイッチ42は、アクションモードを設定するための上下にスライドする切替スイッチであり、図中上段から“record”、“off ”、および、“play”の文字が表示されており、セットされた位置のアクションモードに設定される。今の場合、アクションモード切替スイッチ42は、“off”の位置にセットされている。
【0048】
露出モード切替スイッチ43は、露出モードを切替えるスイッチであり、図中上段から“SVE(Spatially Varying Exposure)”、および、“normal”の文字が表示されており、スイッチがセットされた位置の露出モードに設定される。今の場合、露出モード切替スイッチ43は、“normal”の位置にセットされている。
【0049】
アクションモード切替スイッチ42が、“off”の位置にセットされているとき、アクションモードは、図2(B)の状態遷移図の「off状態」となっており、デジタルスチルカメラ1は停止した状態になっている。
【0050】
この状態から、アクションモード切替スイッチ42が、上方向にスライドされて“record”の位置にセットされると、アクションモードは、図2(B)の番号1に示すように、「off状態」から「モニタ状態」に遷移する。
【0051】
「モニタ状態」のとき、デジタルスチルカメラ1は、中央制御部34が、タイミングジェネレータ36を制御してドラフト読出用のタイミングパルスを出力させる。これに基づいて、CCDイメージセンサ24、CDS回路25、A/D変換回路26、画像処理部27は、シャッタ21、レンズ22、および絞り23を透過した光Lからなる映像を、画像信号としてドラフト読出しし、D/A変換回路30に出力する。D/A変換回路30は、入力された画像信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、ビデオエンコーダ31に出力する。さらに、ビデオエンコーダ31は、入力されたアナログ信号をビデオ信号に変換し、ビデオモニタ32に表示させる。また、同様にして、アクションモード切替スイッチ42が、“off”の位置に戻されると、図2(B)の番号2に示すように「モニタ状態」から「off状態」に戻る。
【0052】
アクションモード切替スイッチ42が、“record”の位置にセットされた状態で、すなわち図2(B)中の「モニタ状態」のときにキャプチャボタン41が押下されると、図2(B)の番号3に示すように、「モニタ状態」から「キャプチャ状態」に状態が遷移する。
【0053】
「キャプチャ状態」のとき、デジタルスチルカメラ1は、中央制御部34が、タイミングジェネレータ36を制御して全画素読出用のタイミングパルスを出力させる。これに基づいて、CCDイメージセンサ24、CDS回路25、A/D変換回路26、画像処理部27は、シャッタ21、レンズ22、および、絞り23を透過した光Lからなる映像を、1フレーム分だけ全画素読出しし、画像処理部27によりガンマ補正などの処理を施させた後、CODEC28に出力する。CODEC28は、画像処理部27より入力された1フレーム分の画像データを所定の形式で圧縮符号化し(コーディングし)、メモリ29に記憶させる。さらに、「キャプチャ状態」は、この画像データがメモリ29に書き込まれた時点で終了し、図2(B)の番号4に示すように、「キャプチャ状態」から「モニタ状態」に戻る。
【0054】
「モニタ状態」で、ユーザが、アクションモード切替スイッチ42を操作して、“play”の位置にセットすると、デジタルスチルカメラ1は、図2(B)中の番号5に示すように「モニタ状態」から「再生状態」に遷移する。同様にして、「off状態」で、ユーザが、アクションモード切替スイッチ42を操作して、“play”の位置にセットしても、デジタルスチルカメラ1は、図2(B)中の番号7に示すように「off状態」から「再生状態」に状態が遷移する。
【0055】
「再生状態」のとき、デジタルスチルカメラ1は、中央制御部34がタイミングジェネレータ36を停止させて、CCDイメージセンサ24からの読出しを停止させる。さらに、中央制御部34は、CODEC28を制御して、メモリ29に記憶されている画像データを読み出させて、復号処理させた後、画像処理部27に出力させる。画像処理部27は、中央制御部34により制御されて、CODEC28から出力された画像データをビデオ信号のフォーマットに合せるためのダウンサンプリング処理を施し、D/A変換回路30に出力する。D/A変換回路30は、画像処理部27より入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、ビデオエンコーダ31に出力する。ビデオエンコーダ31は、D/A変換回路30より入力されたアナログ信号をビデオ信号に変換し、ビデオモニタ32に表示させる。
【0056】
もちろん、「再生状態」のときに、ユーザが、アクションモード切替スイッチ42を操作して、“record”の位置にセットすると、デジタルスチルカメラ1は、図2(B)中の番号6に示すように「再生状態」から「モニタ状態」に遷移し、また、同様に、“off”の位置にセットすれば、図2(B)中の番号8に示すように「再生状態」から「off状態」に遷移する。
【0057】
露出モードは、上記の「キャプチャ状態」の時に有効な、CCDイメージセンサ24の露出状態を設定するもので、アクションモードとは独立に設定されるモードである。露出モードには、「Normalモード」と「SVEモード」の2つのモードがある。「Normalモード」は、CCDイメージセンサ24の各受光素子の露出時間を全て一定にする(全ての受光素子の感度を一定にする)露出モードである。これに対して、「SVEモード」は、各受光素子の露出時間を、受光素子ごとに、いくつかのパターンで変化させる露出モードである。
【0058】
図2(A)に示すように、ユーザが、露出モード切替スイッチ43を操作して、“normal”の位置にセットすると、露出モードは、「Normalモード」にセットされる。また、図2(A)に示す露出モード切替スイッチ43が、図中上方向にスライドされて、“SVE”の位置にセットされると、図2(C)の番号21に示すように、露出モードは「SVEモード」に遷移する。同様に、「SVEモード」のとき、露出モード切替スイッチ43が、図2(C)に示すように“normal”の位置に戻されると、図2(C)の番号22に示すように、露出モードは、「SVEモード」から「Normalモード」に遷移する。
【0059】
Normalモードの全画素読出しは、従来のCCDイメージセンサにより実行されてきた読出し方式と同様の読出し方式である。すなわち、この方式は、「キャプチャ状態」のとき、CCDイメージセンサ24の全ての画素に対して、一定の露光時間により蓄積される電荷を読み出す方式である。これに対して、露出モードが、SVEモードである場合の全画素読出しでは、各画素の露出時間がいくつかのパターンに分けて受光され、異なる感度で受光された電荷が読み出される。
【0060】
図3は、本実施形態のデジタルスチルカメラ1の動作の概要を説明する図である。デジタルスチルカメラ1は、CCDイメージセンサ24を中心とする光学系の撮像処理によって、被写体を画素ごとに異なる色と感度(露光時間を変えることで感度可変を実現)で撮像し、色と感度がモザイク状になった画像(以下、色・感度モザイク画像と記述し、その詳細は後述する)を得る。
【0061】
その後、画像処理部27を中心とする信号処理系3により、撮像処理によって得られた画像が、各画素が全ての色成分を有し、かつ、均一の感度を有する画像に変換される。以下、色・感度モザイク画像を、各画素が全ての色成分を有し、かつ、均一の感度を有する画像に変換させる画像処理部27を中心とする信号処理系3の処理を、デモザイク処理とも記述する。
【0062】
たとえば、図3(A)に示すような被写体を撮影した場合、撮像処理によって図3(B)に示すような色・感度モザイク画像が得られ、画像処理によって各画素が全ての色成分と均一の感度を有する画像に変換される。すなわち、図3(B)に示す色・感度モザイク画像から図3(D)に示す被写体の元の色を復元することで、ダイナミックレンジの拡大された画像を得る。
【0063】
図4〜図8は、本願発明において対象とする、色・感度モザイク画像を構成する画素の色成分および感度の配列パターン(以下、色・感度モザイクパターンと記述する)の基本構成を説明する図である。なお、色・感度モザイクパターンを構成する色の組合せとしては、R(赤),G(緑),およびB(青)からなる3色の組合せの他、Y(黄),M(マゼンタ),C(シアン),およびG(緑)からなる4色の組合せがある。
【0064】
露光時間を違えることで実現される感度の段階としては、S1およびS2からなる2段階の他、感度S3を追加した3段階や、さらに、感度S4を追加した4段階がある。なお、図4〜図8においては、各正方形が1画素に対応しており、英文字がその色を示し、英文字の添え字として数字がその感度を示している。ハッチングを付した正方形は感度S1の画素を示す。たとえば、G1と表示された画素は、色がG(緑)であって感度がS1であることを示している。また、感度については数字が大きいほど、より高感度であるとする。
【0065】
色・感度モザイクパターンの基本は、以下に示す第1〜第4の特徴によって分類することができる。
【0066】
図4は、第1の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP1を示す図である。第1の特徴は、同一の色および感度を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されており、かつ、感度に拘わらず同一の色を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されていることである。
【0067】
たとえば、図4に示す色・感度モザイクパターンP1において、感度に拘わらず色がRである画素に注目した場合、図面を右回りに45度だけ回転させた状態で見れば明らかなように、それらは、水平方向には2^1/2(“^”はべき乗を示す)の間隔で、垂直方向には2^3/2の間隔で格子状に配置されている。また、感度に拘わらず色がBである画素に注目した場合、それらも同様に配置されている。感度に拘わらず色がGである画素に注目した場合、それらは、水平方向および垂直方向に2^1/2の間隔で格子状の配置されている。
【0068】
図5は、第2および第3の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP3を示す図である。第2の特徴は、同一の色および感度を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されており、かつ、色に拘わらず同一の感度を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されており、かつ、任意の画素に注目した場合、その画素とその上下左右に位置する4画素の合計5画素が有する色の中に、当該色・感度モザイクパターンに含まれる全ての色が含まれることである。また、第3の特徴は、第2の特徴を有しており、さらに、同一の感度を有する画素に注目した場合、それらの配列がベイヤ配列をなしていることである。
【0069】
たとえば、図5に示す色・感度モザイクパターンP3において、感度S1の画素だけに注目した場合、図面を斜め45度だけ傾けて見れば明らかなように、それらは2^1/2の間隔を空けてベイヤ配列をなしている。また、感度S2の画素だけに注目した場合も同様に、それらはベイヤ配列をなしている。
【0070】
図6〜図8は、第4の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP4a,P4b,P4c(このグループを纏めて色・感度モザイクパターンP4ともいう)を示す図である。第4の特徴は、第1の特徴を有しており、さらに、3種類の色が用いられていて、それらがベイヤ(Bayer)配列をなしていることである。
【0071】
たとえば、図6の色・感度モザイクパターンP4aにおいて、感度に拘わらず色がGである画素に注目した場合、それらは1画素おきに市松状に配置されている。感度に拘わらず色がRである画素に注目した場合、それらは1ラインおきに配置されている。また、感度に拘わらず色がBである画素に注目した場合も同様に、1ラインおきに配置されている。したがって、このパターンP4は、画素の色だけに注目すれば、ベイヤ配列であるといえる。
【0072】
なお、この第4の特徴は、図6の色・感度モザイクパターンP4aの他、図7、図8に示す色・感度モザイクパターンP4b,P4cも有している。
【0073】
本願発明は、上述した色・感度モザイクパターンP1,P3,P4cのうち、第2の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP2や第4の特徴を呈するP4a,P4b,P4cを適用しつつ、全画素読出しにおいて感度のモザイク配列を電子的に実現するものである。
【0074】
なお、上述の図4〜図8に示した色・感度モザイクパターンP1,P3,P4に関連し、画素の感度に拘わらず色だけに注目して「色のモザイク配列」と記述する。また、色に拘わらず感度だけに注目して「感度のモザイク配列」と記述する。
【0075】
ここで、本願発明の第1の側面において対象とする図6〜図8に示した色・感度モザイクパターンP4a,P4b,P4cの違いを、感度のモザイク配列に着目して整理すると以下の通りである。なお、英字(A〜H)で示した図中の上下方向を垂直方向、数字(1〜11)で示した図中の左右方向を水平方向とする。
【0076】
先ず、図6に示す色・感度モザイクパターンP4aは、英字(A〜H)で示した何れかの水平行に着目した場合、同一水平行においては、色がGである画素は同一の感度すなわち同じ露光時間の画素である。一方、色がRまたはBである画素は、感度S1と感度S2の画素が水平方向(図の左右方向)に交互に配列されている。また、感度だけに注目すれば、垂直方向(図の上下方向)および水平方向に対して、感度がS1の画素の並びは、垂直方向(図6中の下側)に3画素が連続し、この3画素の垂直列の端部に位置する画素を起点として水平方向(図6中の左側)に3画素が連続し、さらに3画素の水平列の端部に位置する画素を起点として垂直方向(図6中の下側)に3画素が連続するというように、
【数1】
Figure 2004172859
を繰り返す。
【0077】
このような配置とすることで、後述する複数系統の読出電極と対応させると、斜め方向の列ごとに受光素子(フォトセル)に蓄積された信号電荷を独立に読み出せるような構造となる。
【0078】
一方、図7に示す色・感度モザイクパターンP4bは、水平行に着目した場合、色がGである画素は感度S1と感度S2の画素が水平方向に交互に配列されていて、かつ色がRまたはBである画素も、感度S1と感度S2の画素が水平方向に交互に配列されている。また、感度だけに注目すれば、水平行および垂直列のそれぞれ2画素(2×2画素)を組として、感度がS1の組と感度がS2の組が水平方向および垂直方向のそれぞれに交互に配列されている。つまり、各組は、1組おきに市松状に配置されていて、2ライン(水平行)ごとにジグザグに配列されている。換言すれば、ベイヤ配列の隣接した2×2の繰返し単位ごとに感度が異なる。
【0079】
このような配置とすることで、後述する複数系統の読出電極と対応させると、受光素子(フォトセル)に蓄積された信号電荷を2×2単位でジグザグに独立に読み出せるような電極構造となる。
【0080】
また、図8に示す色・感度モザイクパターンP4cは、水平行に着目した場合、色がGである画素は感度S1と感度S2の画素が水平方向に交互に配列されていて、かつ色がRまたはBである画素も、感度S1と感度S2の画素が水平方向に交互に配列されている。また、感度だけに注目すれば、水平方向に2画素かつ垂直方向に1画素(2×1画素)を組として、感度がS1の組と感度がS2の組が水平方向および垂直方向のそれぞれに交互に配列されている。つまり、各組は、1組おきに市松状に配置されていて、1ライン(水平行)ごとにジグザグに配列されている。
【0081】
このような配置とすることで、後述する複数系統の読出電極と対応させると、受光素子(フォトセル)に蓄積された信号電荷を2×1単位でジグザグに独立に読み出せるような電極構造となる。
【0082】
以上説明したように、図6〜図8に示した色・感度モザイクパターンP4a,P4b,P4cは、色に着目すれば何れもベイヤ配列が構成され、かつ、感度に着目すれば、モザイクパターン(格子配列)が形成されているが、感度S1,S2の並び方がそれぞれで異なる。
【0083】
次に、CCDイメージセンサ24において上述した色・感度モザイクパターンを実現する方法について説明する。色・感度モザイクパターンのうち、色のモザイク配列については、CCDイメージセンサ24の受光素子の上面に、画素ごとに異なる色の光だけを透過させるオンチップカラーフィルタを配置することによって実現する。一方、色・感度モザイクパターンのうち、感度のモザイク配列については、電子的な方法によって実現する。たとえば、隣接する2つの受光素子(第1および第2の受光素子)に対し、制御のタイミングを違えることにより、2つの受光素子を異なる感度に設定する。
【0084】
たとえば、全画素読出しCCDにおいて、上述した感度のモザイク配列を電子的に実現するには、感度がS1の画素グループと感度がS2の画素グループについて、それぞれ独立に露光時間を制御可能な電極構造とすればよい。つまり、複数種類の感度設定に応じて読出電極を複数系統に分け、それぞれの読出電極が蓄積時間の違う信号に対応するように、それぞれの読出電極に独立に読出パルスを印加する構造とすればよい。
【0085】
図9は、全画素読出しにおいて感度のモザイク配列を電子的に実現するための露光制御の第1例を説明する図である。図9(A)は、CCDイメージセンサ24の露光期間を示している。図9(B)は、電荷掃き出しを指令するパルス電圧のタイミングを示している。図9(C)は、電荷転送を指令する制御電圧が与えられるタイミングを示している。図9(D)は、第1の受光素子に対し、電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミングを示している。図9(E)は、電荷掃出パルス電圧および電荷読出パルス電圧が与えられることに対応して第1の受光素子に蓄積される電荷量の変化を示している。図9(F)は、第2の受光素子に対し、電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミングを示している。図9(G)は、電荷掃出パルス電圧および電荷読出パルス電圧が与えられることに対応して第2の受光素子に蓄積される電荷量の変化を示している。ただし、露出動作中に受光される光強度は変化しないものとする。
【0086】
感度のモザイク配列を電子的に実現するための露光制御の第1例において、電荷掃出パルス電圧は、第1および第2の受光素子に対し共通して、露光期間以外においては、画素から電荷を掃き出しさせる(リセットさせる)ように供給され、露光期間中においては、所定のタイミングで1回だけ電荷をリセットするために供給される。
【0087】
電荷転送電圧は、露光期間以外においては、第1および第2の受光素子に対し共通してVレジスタに電荷を転送させるための波形電圧が供給され、露光期間中においては、Vレジスタからの電荷の転送が停止されるように電荷転送電圧は供給されない。
【0088】
電荷読出パルス電圧は、各受光素子に対して異なるタイミングで供給される。第1の受光素子に対しては、露光期間中の電荷掃出パルス電圧の供給タイミング(図9(B))の直前に、1回目の電荷読出パルス電圧が供給され、露光期間中の終了の直前に2回目の電荷読出パルス電圧が供給される。
【0089】
その結果、第1の受光素子からは、1回目および2回目の電荷読出パルス電圧の供給タイミングのそれぞれにおける第1の受光素子の蓄積電荷量がVレジスタに読み出される。なお、露光期間中はVレジスタの電荷の転送は停止されているので、それら2回の読み出し電荷量がVレジスタ内で加算され、露光期間終了後に同じフレームのデータとしてVレジスタから転送されるようになされている。
【0090】
一方、第2の受光素子に対しては、露光期間中の電荷掃出パルス電圧の供給タイミングの直前に1回だけ電荷読出パルス電圧が供給される。その結果、第2の受光素子からは、1回だけの電荷読出パルス電圧の供給タイミングにおける第2の受光素子の蓄積電荷量がVレジスタに読み出される。なお、露光期間中は垂直レジスタ23の電荷の転送は停止されているので、第2の受光素子から読み出された蓄積電荷は、露光期間終了後に、第1の受光素子から読み出された蓄積電荷と同じフレームのデータとしてVレジスタから転送されるようになされている。
【0091】
以上のように、第1の受光素子と第2の受光素子とに対する制御タイミングをそれぞれ違えることにより、同じ露光期間中に第1の受光素子から読み出される蓄積電荷量と、第2の受光素子から読み出される蓄積電荷量、すなわち感度が異なるように設定することができる。
【0092】
ところで、感度のモザイク配列を電子的に実現する第1例の露光制御では、受光素子によっては露光期間中の全域にわたる被写体の情報を計測できないという点が問題である。
【0093】
図10は、全画素読出しにおいて感度のモザイク配列を電子的に実現するための露光制御の第2例を説明する図である。図10(A)〜図10(G)はそれぞれ、図9(A)〜図9(G)と同様に、CCDイメージセンサ24の露光期間、電荷掃き出しを指令するパルス電圧のタイミング、電荷転送を指令する制御電圧が与えられるタイミング、第1の受光素子に対して電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミング、電荷掃出パルス電圧および電荷読出パルス電圧が与えられることに対応して第1の受光素子に蓄積される電荷量の変化、第2の受光素子に対する電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミング、電荷掃出パルス電圧および電荷読出パルス電圧が与えられることに対応して第2の受光素子に蓄積される電荷量の変化を示している。
【0094】
第2例の露光制御においては、露光期間中において、電荷掃出パルス電圧および電荷読出パルス電圧が複数回繰り返して供給される。すなわち、電荷掃出パルス電圧については、第1および第2の受光素子に対し共通して露光期間中において、1回目の電荷掃出パルス電圧と2回目の電荷掃出パルス電圧の組が複数回供給される。電荷読出パルス電圧については、第1の受光素子に対しては、1回目および2回目の電荷掃出パルス電圧の組ごとに、1回目の電荷掃出パルス電圧の直前に1回目の電荷読み出しパルス電圧が供給され、2回目の電荷掃出パルス電圧の直前に2回目の電荷読出パルス電圧が供給される。一方、第2の受光素子に対しては、電荷掃出パルス電圧の組ごとに、1回目の電荷掃出パルス電圧の直前に1回だけ電荷読出パルス電圧が供給される。
【0095】
この結果、第1の受光素子からは、1回目および2回目の電荷掃出パルス電圧の組ごとに、1回目の電荷読出パルス電圧の供給タイミングにおける第1の受光素子の蓄積電荷量と、2回目の電荷読出パルス電圧の供給タイミングにおける第1の受光素子の蓄積電荷量が読み出される。なお、露光期間中は、Vレジスタの電荷の転送が停止されているので、これら組ごとに2回ずつ読み出された電荷量は、Vレジスタで加算される。第2の受光素子からは、1回目および2回目の電荷掃出パルス電圧の組ごとに1回だけ供給される電荷読出パルス電圧の供給タイミングにおける第2の受光素子の蓄積電荷量が読み出される。これら組ごとに1回ずつ読み出された電荷量は、Vレジスタで加算される。
【0096】
以上説明したような第2例の露光制御では、露光期間において電荷の読み出しを複数回繰り返すので、露光期間中の全域にわたる被写体の情報を計測することが可能となる。
【0097】
次に、本願発明の第1の側面についての電極構造の詳細について説明する。この第1の側面は、CCDイメージセンサ24において、上述した色・感度モザイクパターンにおける第4の特徴を有するもの、すなわち色のモザイク配列がベイヤ配列を呈する色・感度モザイクパターンP4a,P4b,P4cのそれぞれについて、感度S1と感度S2の設定を露光時間の制御で、つまり電子シャッタに機能を利用して電子的に切り替えるための電極構造のものである。なお、ここでは、特に、3相駆動の垂直レジスタを持つプログレッシブスキャンのCCDイメージセンサ(全画素読出しCCD/PS−CCD)に好適な2段階感度による任意のモザイク配列を電子的に実現する手法を示す。
【0098】
図11は、図6に示した色・感度モザイクパターンP4aについての電極構造の第1例を示す図である。2段階の感度を有する感度のモザイク配列を実現するために用いる電極配線による垂直転送用ポリシリコン電極の構造を示している。
【0099】
図6に示した色のベイヤ配列に従ってR,G,Bの各画素(受光素子)が多数、水平方向および垂直方向において2次元マトリクス状に配列されて、撮像部を構成している。これら画素は、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。
【0100】
また、垂直列ごとにそれぞれ3相駆動に対応する複数本(本例では1ユニットセル当たり3本)の垂直レジスタ駆動電極(垂直転送電極)VΦ1〜VΦ3を有したVレジスタ(垂直CCD、垂直転送部)が配列されている。さらに、Vレジスタと各画素との間には読出ゲートROGが介在している。また各ユニットセルの境界部分にはチャネルストップLCSが設けられている。
【0101】
なお、図示しないが、複数本のVレジスタの各転送先側端部すなわち、最後の行のVレジスタに隣接して、図の左右方向に延在するHレジスタ(水平CCD、水平転送部)が1ライン分設けられている。Hレジスタの転送先側端部には、たとえばフローティングディフュージョンアンプ構成の電荷検出部が設けられている。この電荷検出部は、Hレジスタから順に注入される信号電荷を信号電圧に変換して出力する。
【0102】
図中破線で表示する1層目の転送電極である第1相電極(第1相垂直レジスタ駆動電極)VΦ1および図中細い実線で表示する2層目の転送電極である第2相電極(第2相垂直レジスタ駆動電極)VΦ2は、有効画素領域中において水平方向に延在するように配置されて、同じ水平ライン上で隣接する画素の電極と連結している。
【0103】
また、読出電極を兼ねる3層目の転送電極である図中太い線(実線または一点鎖線)で表示する第3相電極(第3相垂直レジスタ駆動電極)VΦ3も、有効画素領域中において水平方向に延在するように配置されて、同じ水平ライン上で隣接する画素の電極と連結している。すなわち、全ての転送電極が、電荷が転送される垂直列方向に対して垂直に配置されている。そして、同一水平ライン上の電極は同期して駆動されるようになっている。
【0104】
また、第2相電極VΦ2および第3相電極VΦ3は、対応する画素に隣接する読出ゲートROG上にもかかるようになされている。たとえば、注目画素に対して、Vレジスタおよび読出ゲートROG上において、当該注目画素に対応するラインの第1相電極VΦ1は、凹部が設けられており、この凹部に対向するように、次ラインの第1相電極VΦ1は図中上方向に凸部が設けられている。また、注目画素に対応するラインの第2相電極VΦ2は、図中下方向に凸部が設けられ、この凸部に対応する上側には凹部が設けられており、凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。
【0105】
また、注目画素に対応するラインの第3相電極VΦ3は、感度がS1の画素グループ(以下読出系統1の画素グループともいう)に対応する第3相電極VΦ3A(太い実線)と感度がS2の画素グループ(以下読出系統2の画素グループともいう)に対応する第3相電極VΦ3B(太い一点鎖線)とに分けられており、それぞれ独立にパルスを印加できるようになっている。
【0106】
この2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bのそれぞれは、図中上方向および下方向の少なくとも一方に凸部が設けられ、この凸部の設けられる位置が感度S1あるいは感度S2の各設定に対応するように構成されている。たとえば、感度に拘わらず、図の上下方向である垂直方向に3画素並んだ真ん中の画素は、“図中上方向に設けられた凸部”に対応し、この凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。そして、この垂直方向に3画素並んだ真ん中の画素を除く全ての画素は、“図中下方向に設けられた凸部”に対応し、この凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。
【0107】
したがって、第3相電極VΦ3に読出パルスを印加した場合、読出ゲートROGのバリアを一時的に取り除き、対応する画素に蓄積されている電荷をVレジスタに転送することが可能である。加えて、第3相電極VΦ3は、感度S1,S2のそれぞれに対応するように、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの2系統に分けられているので、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して独立に読出パルスを印加することができる。したがって、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままで蓄積時間を変えることができる。蓄積時間の変更は、いわゆる電子シャッタ方式を利用すればよく、感度を可変制御にすることができ、ダイナミックレンジ拡大率を状況に合せて可変に制御することができる。
【0108】
また、2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して読出パルスを共通に印加した場合には、通常の読出し方と同じになるので、ノーマルモードとして使用することも可能である。つまり、図11に示した電極構造によれば、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままでシャッタ方式SVEを実現するとともに、ノーマルモードとSVEモードの切替えに対応することができる。
【0109】
また、独立読出しを可能とした全画素読出方式撮像素子の3層目の電極(第3相電極VΦ3)を有効画素領域中において水平方向に延在した構造としたので、1層目、2層目、3層目の各転送電極に対応するそれぞれの転送パルスの伝播遅延がほぼ等しくなる。この結果、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。また、転送電極の配列を工夫したものであり、シャント配線を形成する必要がないので、製造工程が増えたり製造が複雑になるなどの問題が生じない。
【0110】
図12は、図6に示した色・感度モザイクパターンP4aについての電極構造の第2例を示す図である。画素配列、Vレジスタ、読出ゲートROG、およびチャネルストップLCSが設けられている点は、図11に示した第1例と共通する。また、第1相電極VΦ1および第2相電極VΦ2の構造も、図11に示した第1例と共通する。
【0111】
また、第3相電極VΦ3は、読出系統1の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Aと読出系統2の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Bとに分けられており、それぞれ独立にパルスを印加できるようになっている。また、この2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bのそれぞれは、図中上方向および下方向の少なくとも一方に凸部が設けられ、この凸部の設けられる位置が感度S1あるいは感度S2の各設定に対応するように構成されている。これらの点は、図11に示した第1例と共通する。
【0112】
第1例と異なるのは、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの凸部と感度S1,S2の各設定との対応関係である。すなわち、感度に拘わらず、図の上下方向である垂直方向に3画素並んだ真ん中の画素は、図中“下方向に設けられた凸部”に対応し、この凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。そして、この垂直方向に3画素並んだ真ん中の画素を除く全ての画素は、“図中上方向に設けられた凸部”に対応し、この凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。
【0113】
したがって、第1例と同様に、第3相電極VΦ3に読出パルスを印加した場合、読出ゲートROGのバリアを一時的に取り除き、対応する画素に蓄積されている電荷をVレジスタに転送することが可能である。また、第1例と同様に、第3相電極VΦ3は、感度S1,S2のそれぞれに対応するように、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの2系統に分けられているので、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して独立に読出パルスを印加することができ、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままで蓄積時間を変えることができ、感度を可変制御にすることができる。
【0114】
また、第1例と同様に、2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して読出パルスを共通に印加した場合には、通常の読出し方と同じになるので、ノーマルモードとして使用することも可能である。つまり、図12に示した第2例の電極構造によっても、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままでシャッタ方式SVEを実現するとともに、ノーマルモードとSVEモードの切替えに対応することができる。
【0115】
また、第1例と同様に、3層目の電極を有効画素領域中において水平方向に延在した構造としたので、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。
【0116】
図13は、図7に示した色・感度モザイクパターンP4bについての電極構造の一例を示す図である。画素配列、Vレジスタ、読出ゲートROG、およびチャネルストップLCSが設けられている点は、図11および図12に示したものと共通する。また、第1相電極VΦ1および第2相電極VΦ2の構造も、図11および図12に示したものと共通する。
【0117】
また、第3相電極VΦ3は、読出系統1の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Aと読出系統2の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Bとに分けられており、それぞれ独立にパルスを印加できるようになっている。また、この2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bのそれぞれは、図中上方向および下方向の少なくとも一方に凸部が設けられ、この凸部の設けられる位置が感度S1あるいは感度S2の各設定に対応するように構成されている。これらの点は、図11および図12に示したものと共通する。
【0118】
図11および図12に示したものと異なるのは、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの凸部と感度S1,S2の各設定との対応関係である。すなわち、一方の読出系統(図では読出系統1)の2×2画素のグループに対応する第3相電極VΦ3Aは、該当する組の水平方向に隣接する2画素のそれぞれについて、各同一水平位置にて、図中上方向および下方向の両側に凸部が設けられており、この凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。
【0119】
これに対して、他方の読出系統(図では読出系統2)の2×2画素のグループに対応する第3相電極VΦ3Bは、該当する組の水平方向に隣接する2画素のそれぞれについて、各同一水平位置にて、上側の2画素は図中下方向に凸部が設けられ、また下側の2画素は図中上方向に凸部が設けられており、各凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。
【0120】
したがって、図11および図12に示したものと同様に、第3相電極VΦ3に読出パルスを印加した場合、読出ゲートROGのバリアを一時的に取り除き、対応する画素に蓄積されている電荷をVレジスタに転送することが可能である。また、図11および図12に示したものと同様に、第3相電極VΦ3は、感度S1,S2のそれぞれに対応するように、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの2系統に分けられているので、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して独立に読出パルスを印加することができ、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままで、またベイヤ配列の隣接した2×2の繰り返し単位ごとに蓄積時間を変えることができる。また、感度を可変制御にすることができるので、ダイナミックレンジ拡大率を状況に合せて可変に制御することができる。
【0121】
また、図11および図12に示したものと同様に、2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して読出パルスを共通に印加した場合には、通常の読出し方と同じになるので、ノーマルモードとして使用することも可能である。つまり、図13に示した電極構造によっても、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままでシャッタ方式SVEを実現するとともに、ノーマルモードとSVEモードの切替えに対応することができる。
【0122】
また、図11および図12に示したものと同様に、3層目の電極を有効画素領域中において水平方向に延在した構造としたので、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。
【0123】
図14は、図8に示した色・感度モザイクパターンP4cについての電極構造の一例を示す図である。図11〜図13に示したものと異なるのは、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの凸部と感度S1,S2の各設定との対応関係である。すなわち、感度に拘わらず2×1画素のグループに対応する第3相電極VΦ3A,VΦ3Bは、該当する組の水平方向に隣接する2画素のそれぞれについて、各同一水平位置にて、図中上方向または下方向の何れか一方に凸部が設けられており、この凸部の一部分が読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。
【0124】
そして、読出系統1の2×1画素のグループに対応する第3相電極VΦ3Aの凸部の方向と読出系統2の2×1画素のグループに対応する第3相電極VΦ3Bの凸部の方向とが水平方向に交互に配置されている。これに対して、垂直方向には、同一の向きに配置されている。つまり、同一感度の水平方向2画素を感度を無視して垂直方向に見たとき、その水平方向2画素からなる垂直列は、全て上方向の凸部、または全て下方向の凸部となるように配置されている。
【0125】
このような電極構造においても、図11〜図13に示したものと同様に、第3相電極VΦ3に読出パルスを印加した場合、読出ゲートROGのバリアを一時的に取り除き、対応する画素に蓄積されている電荷をVレジスタに転送することが可能である。また、図11〜図13に示したものと同様に、第3相電極VΦ3は、感度S1,S2のそれぞれに対応するように、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの2系統に分けられているので、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して独立に読出パルスを印加することができ、カラーフィルタの配列をジグザグ状のベイヤ配列としたままで、そのベイヤ配列の隣接した2×1の繰り返し単位ごとに蓄積時間を変えることができる。また、感度を可変制御にすることができるので、ダイナミックレンジ拡大率を状況に合せて可変に制御することができる。
【0126】
また、図11〜図13に示したものと同様に、2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して読出パルスを共通に印加した場合には、通常の読出し方と同じになるので、ノーマルモードとして使用することも可能である。つまり、図14に示した電極構造によっても、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままでシャッタ方式SVEを実現するとともに、ノーマルモードとSVEモードの切替えに対応することができる。
【0127】
また、図11〜図13に示したものと同様に、3層目の電極を有効画素領域中において水平方向に延在した構造としたので、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。
【0128】
以上説明したように、図11〜図14に示したような電極構造とすることで、カラーフィルタの配列をベイヤ配列としたままでシャッタ方式SVEを実現できるので、SVEモードでの解像度の低下を最小限に抑えながらダイナミックレンジの拡大率を可変にしたり、ノーマルモードとSVEモードの切替えなどの機能を実現することができる。
【0129】
次に、画像処理部27を中心とする画像処理系のモザイク処理、すなわちモザイク画像から元画像を復元する処理について説明する。なおその前に、以下の説明において用いる画素の位置座標の定義について、図15を参照して説明する。
【0130】
図15は、画像上の画素の位置を示す座標系(x,y)を示している。すなわち、画像の左下端を(0,0)とし、画像の右上端を(xmax,ymax)とする。図中に□で表されている各画素は、長さ1の横幅と縦幅を有し、格子上に配列されている。したがって、たとえば、左下端の画素の中心の座標は、(0.5,0.5)であり、右上端の画素の中心の座標は(xmax−0.5,ymax−0.5)である。また、以下の説明において、□で表されている各画素に対して位相が縦横に半画素ずれた画像データ(図中に●で表される位置の画素データ)を利用する場合があるが、たとえば、左下端の画素に対して縦横に半画素だけ位相がずれた画像データの座標は(1,1)である。
【0131】
次に、画像処理部27を中心とする画像処理系のデモザイク処理の概要について説明する。デモザイク処理は、撮像部の処理によって得られた色・感度モザイク画像から輝度画像を生成する輝度画像生成処理、および、色・感度モザイク画像と輝度画像を用いて出力画像R,G,Bを生成する単色画像処理からなる。
【0132】
図16は、デモザイク処理を主に実行する画像処理部27の一構成例を示している。図16に示す画像処理部27の構成例において、撮像系からの色・感度モザイク画像、色・感度モザイク画像の色モザイク配列を示す色モザイクパターン情報、および、色・感度モザイク画像の感度モザイク配列を示す感度モザイクパターン情報は、輝度画像生成部181および単色画像生成部182〜184に供給される。
【0133】
なお、以下、特に断りがある場合を除き、色・感度モザイク画像は、図6〜図8の色・感度モザイクパターンP4a,P4b,P4cであるとする。すなわち、画素の色は3原色RGのうちのいずれかの色であり、感度はS1,S2のうちの一方であって、さらに、感度に拘わらず色だけに注目すれば、それらはベイヤ配列をなしている。ただし、以下に説明する構成や動作は、RGB以外の3色からなる色・感度モザイク画像や、4色からなる色・感度モザイク画像に適用することも可能である。
【0134】
図17は、輝度画像生成部181の一構成例を示している。輝度画像生成部181は、供給される色・感度モザイク画像に対して輝度画像生成処理を施し、得られる輝度画像を単色画像生成部182〜184に供給する。
【0135】
単色画像生成部182は、供給される色・感度モザイク画像および輝度画像を用いて出力画像Rを生成する。単色画像生成部183は、供給される色・感度モザイク画像および輝度画像を用いて出力画像Gを生成する。単色画像生成部184は、供給される色・感度モザイク画像および輝度画像を用いて出力画像Bを生成する。
【0136】
図17に示す輝度画像生成部181の構成例において、色・感度モザイク画像、色モザイクパターン情報、および感度モザイクパターン情報は、推定部191〜193に供給される。
【0137】
推定部191は、色・感度モザイク画像に対してR成分推定処理を施し、得られる各画素に対するR成分の推定値R’を乗算器194に供給する。推定部192は、色・感度モザイク画像に対してG成分推定処理を施し、得られる各画素に対するG成分の推定値G’を乗算器195に供給する。推定部193は、色・感度モザイク画像に対してB成分推定処理を施し、得られる各画素に対するB成分の推定値B’を乗算器196に供給する。
【0138】
乗算器194は、推定部191から供給される推定値R’に、色バランス係数kRを乗算し、その積を加算器197に出力する。乗算器195は、推定部192から供給される推定値G’に、色バランス係数kGを乗算し、その積を加算器197に出力する。乗算器196は、推定部193から供給される推定値B’に、色バランス係数kBを乗算し、その積を加算器197に出力する。
【0139】
加算器197は、乗算器194から入力される積R’・kR、乗算器195から入力される積G’・kG、および乗算器196から入力される積B’・kBを加算し、その和を画素値とする輝度候補画像を生成してノイズ除去部198に供給する。
【0140】
ここで、色バランス係数kR,kG,kBは、予め設定されている値であり、たとえば、kR=0.3、kG=0.6、kB=0.1である。なお、色バランス係数kR,kG,kBの値は、基本的には輝度候補値として輝度変化に相関がある値を算出することができればよい。したがって、たとえば、kR=kG=kBとしてもよい。
【0141】
ノイズ除去部198は、加算器197から供給される輝度候補画像に対してノイズ除去処理を施し、得られる輝度画像を単色画像生成部182〜184に供給する。
【0142】
図18は、R用の推定部191が使用するR成分用の補間フィルタ係数の一例およびB用の推定部193が使用するB成分用の補間フィルタ係数の一例である。また、図19は、G用の推定部191が使用するG成分用補間フィルタ係数の一例である。これらの係数は、予め図示しないメモリに設定登録されている。
【0143】
図20〜図22は、それぞれ推定部191,192,193が用いる合成感度補償LUTの一例を示す図である。図20は、感度S1の画素の特性曲線bと、感度S2の画素の特性曲線aを示しており、横軸は入射光の強度、縦軸は画素値を示す。同図において、高感度の感度S2は、低感度の感度S1に対して4倍の感度を有している。
【0144】
推定部191が行なう推定処理では、図20の特性曲線bに示すような特性で測定された感度S1の画素から算出された第1の商と、同図の特性曲線aに示すような特性で測定された感度S2の画素を用いて算出された第2の商とが加算されている。したがって、第1の商と第2の商の和は、図21の特性曲線cに示すように、感度S1と感度S2の特性が合成された特性を有することになる。
【0145】
この合成された特性曲線cは、低輝度から高輝度にわたる広ダイナミックレンジの特性となるが、図21に示すように折れ線となっているので、感度特性曲線cの逆特性曲線を用いることにより、元のリニアな特性を復元するようにする。具体的には、図22に示すように、第1の商と第2の商の和を、図21の感度特性曲線cの逆特性曲線dに適用して非線形性を補償するようにする。すなわち、合成感度補償LUTは、図22の逆特性曲線dをルックアップテーブル化したものである。
【0146】
図23は、単色画像生成部182の構成例を示す図である。単色画像生成部182において、色・感度モザイク画像、色モザイクパターン情報、および感度モザイクパターン情報は、補間部201に供給される。輝度画像は、比率算出部202、および乗算器203に供給される。
【0147】
補間部201は、色・感度モザイク画像に補間処理を施し、得られる全ての画素がR成分の画素値を有するR候補画像を比率値算出部202に出力する。比率値算出部202は、R候補画像と輝度画像の対応する画素間の強度比率の低周波成分(以下、単に強度比率と記述する)を算出し、さらに、各画素に対応する強度比率を示す比率値情報を生成して乗算器203に供給する。
【0148】
乗算器203は、輝度画像の各画素の画素値に、対応する強度比率を乗算し、その積を画素値とする出力画像Rを生成する。
【0149】
なお、単色画像生成部183,184の構成例も同様であるので、その説明は省略する。
【0150】
図24は、比率値算出部202が使用する、平滑化フィルタ係数の一例を示す図である。この係数は、予め図示しないメモリに設定登録されている。
【0151】
図25は、上記画像処理部27の構成例によるデモザイク処理の手順を示すフローチャートである。
【0152】
輝度画像生成部181は、色・感度モザイク画像に輝度画像生成処理を施することによって輝度画像を生成し、単色画像生成部182〜184に供給する(S211)。
【0153】
ノイズ除去部198にてノイズ除去処理が終了されると、単色画像生成部182〜184は、供給された色・感度モザイク画像および輝度画像を用い、それぞれ出力画像R,G,Bを生成する(S212)。
【0154】
図26は、輝度画像生成部181の輝度画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0155】
推定部191〜193は、色・感度モザイク画像の全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S221)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合、推定部191〜193は、色・感度モザイク画像の左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S221−No,S222)。
【0156】
推定部191は、色・感度モザイク画像に対してR成分推定処理を施すことにより、注目画素に対応する推定値R’を推定し、乗算器194に供給する(S223)。推定部192は、色・感度モザイク画像に対してG成分推定処理を施すことにより、注目画素に対応する推定値G’を推定し、乗算器194に供給する。推定部193は、色・感度モザイク画像に対してB成分推定処理を施すことにより、注目画素に対応する推定値B’を推定し、乗算器194に供給する。
【0157】
乗算器194は、推定部191から供給された推定値R’に色バランス係数kRを乗算し、その積を加算器197に出力する。乗算器195は、推定部192から供給された推定値G’に色バランス係数kGを乗算し、その積を加算器197に出力する(S224)。乗算器196は、推定部193から供給された推定値B’に色バランス係数kBを乗算し、その積を加算器197に出力する。加算器197は、乗算器194から入力された積R’・kR、乗算器195から入力された積G’・kG、および乗算器196から入力された積B’・kBを加算し、その和を注目画素に対応する輝度候補画像の画素値(輝度候補値)とする。
【0158】
推定部191〜193は、ステップS221に戻り、全ての画素を注目画素としたと判定し終えるまで、ステップS221〜224の処理を繰り返す。なお、ステップS221〜224の処理によって生成された輝度候補画像はノイズ除去部198に供給される。
【0159】
推定部191〜193により全ての画素を注目画素としたと判定されると(S221−Yes)、ノイズ除去部198は、加算器197から供給される輝度候補画像にノイズ除去処理を施すことによって輝度画像を生成し、単色画像生成部182〜184に供給する(S225)。
【0160】
図27は、推定部191のR成分推定処理の手順を示すフローチャートである。推定部191は、色モザイクパターン情報および感度モザイクパターン情報を参照することにより、注目画素の近傍の画素(たとえば、注目画素を中心とする15×15画素)のうち、R成分を有し、かつ、感度S1である画素を検出し、検出した画素(以下、参照画素と記述する)の画素値を抽出する(S231)。
【0161】
推定部191は、参照画素の注目画素に対する相対的な位置に対応し、図18に示すような予め設定されているR成分用補間フィルタ係数を参照画素の数だけ取得し、各参照画素の画素値と対応するフィルタ係数を乗算し、それらの積の総和を演算する(S232)。さらに、その積の総和を、用いたR成分用補間フィルタ係数の総和で除算して第1の商を取得する。
【0162】
推定部191は、色モザイクパターン情報および感度モザイクパターン情報を参照することにより、注目画素の近傍の画素(たとえば、注目画素を中心とする15×15画素)のうち、R成分を有し、かつ、感度S2である画素を検出し、検出した画素(以下、参照画素と記述する)の画素値を抽出する(S233)。
【0163】
推定部191は、参照画素の注目画素に対する相対的な位置に対応し、R成分用補間フィルタ係数を参照画素の数だけ取得し、各参照画素の画素値と対応するフィルタ係数を乗算し、それらの積の総和を演算する(S234)。さらに、その積の総和を、用いた補間フィルタ係数の総和で除算して第2の商を取得する。
【0164】
推定部191は、ステップS232で取得した第1の商と、ステップS234で取得した第2の商を加算する(S235)。推定部191は、ステップS235で演算した第1の商と第2の商の和を、内蔵する合成感度補償LUT(図20〜図22参照)に照らし合わせることにより、感度特性を補償した補償値を取得する(S236)。取得した補償値は、注目画素に対応する推定値R’とされる。この後、処理は図26のステップS224にリターンする。
【0165】
なお、推定部192のG成分推定処理、および推定部193のB成分推定処理は、推定部191のR成分推定処理と同様であるので、その説明は省略する。ただし、推定部192のG成分推定処理においては、注目画素を中心とする7×7画素のなかから参照画素を検出するようにし、さらに、図19に示すG成分用補間フィルタ係数を用いることにする。
【0166】
図28は、ノイズ除去部198におけるノイズ除去処理の手順を示したフローチャートである。
ノイズ除去部198は、輝度候補画像の全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S241)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合、ノイズ除去部198は、輝度候補画像の左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S241−No,S242)。
【0167】
ノイズ除去部198は、注目画素の上下左右に位置する画素の画素値(輝度候補値)を取得し、取得した注目画素の上下左右に位置する画素輝度候補値を、それぞれ変数a3,a0,a1,a2に代入する(S243)。
【0168】
次に、ノイズ除去部198は、方向選択的平滑化処理を実行することにより、注目画素に対応する平滑化値を取得する(S244)。
【0169】
ノイズ除去部198は、注目画素の画素値(輝度候補値)と、ステップS244で演算した注目画素に対応する平滑化値αの平均値を演算し、当該平均値を注目画素に対応する輝度画像の画素値(輝度値)とする(S245)。
【0170】
ノイズ除去部198は、ステップS241に戻り、全ての画素を注目画素としたと判定するまで、ステップS241〜S245の処理を繰り返す。ノイズ除去部198は、全ての画素を注目画素としたと判定すると(S241−Yes)、ノイズ除去処理を終了する。これにより、輝度画像生成処理も終了されて、図25のステップS212にリターンする。
【0171】
図29は、ノイズ除去部198における方向選択的平滑化処理の手順を示すフローチャートである。ノイズ除去部198は、次式(24)に適用して、注目画素に対応する輝度勾配ベクトルgを算出する(S251)。
輝度勾配ベクトルg=(a2−a1,a3−a0) …(24)
【0172】
次に、ノイズ除去部198は、輝度勾配ベクトルgの大きさ(絶対値)‖∇‖を演算する(S252)。また、ノイズ除去部198は、変数a0〜a3を次式(25),(26)に適用して、注目画素に対応する水平方向の平滑化成分Hhと垂直方向の平滑化成分Hvを演算する(S253)。
Hh=(a1+a2)/2 …(25)
Hv=(a3+a0)/2 …(26)
【0173】
次に、ノイズ除去部198は、輝度勾配ベクトルgの絶対値‖g‖に対応して、水平方向の重要度whと垂直方向の重要度wvを演算する(S254)。具体的には、輝度勾配ベクトルgの絶対値‖g‖が0よりも大きい場合、次式(27)に示すように、正規化した輝度勾配ベクトルg/‖g‖とベクトル(1,0)との内積の絶対値を1から減算して水平方向の重要度whを得る。また、次式(28)に示すように、正規化した輝度勾配ベクトルg/‖g‖とベクトル(0,1)との内積の絶対値を1から減算して垂直方向の重要度wvを得る。
wh=1−|(g/‖g‖,(1,0))| …(27)
wv=1−|(g/‖g‖,(0,1))| …(28)
【0174】
輝度勾配ベクトルgの絶対値‖g‖が0である場合、ノイズ除去部198は、水平方向の平滑化寄与率whおよび垂直方向の平滑化寄与率wvを、それぞれ0.5とする。
【0175】
次に、ノイズ除去部198は、次式(29)を用いて注目画素に対応する平滑化値αを演算する(S255)。
α=(wh・Hh+wv・Hv)/(wh+wv) …(29)
【0176】
図30は、単色画像生成部182における単色画像生成処理の手順を示したフローチャートである。
【0177】
補間部201は、色・感度モザイク画像に補間処理を施すことによって、全ての画素がR成分の画素値を有するR候補画像を生成し、比率値算出部202に出力する(S261)。なお、補間部201の補間処理は、図27のフローチャートを参照して上述した輝度画像生成部181を構成する推定部191のR成分推定処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0178】
比率値算出部202は、比率値算出処理を施すことによって強度比率を算出し、さらに、各画素に対応する強度比率を示す比率値情報を生成して乗算器203に供給する(S262)。
【0179】
乗算器203は、輝度画像の各画素の画素値に、対応する強度比率を乗算し、その積を画素値とする出力画像Rを生成する(S263)。
【0180】
なお、単色画像生成部182の単色画像生成処理と同時に、単色画像生成部183,184も、同様の処理を実行する。
【0181】
図31は、比率値算出部202における比率値算出処理の手順を示したフローチャートである。比率値算出部202は、R候補画像の全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S271)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合、比率値算出部202は、R候補画像の左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S271−No,S272)。
【0182】
次に、比率値算出部202は、注目画素の近傍に位置する画素(たとえば、注目画素を中心とする7×7画素)を参照画素し、それらの画素値(R成分の単色候補値)を取得する。また、比率値算出部202は、参照画素と同じ座標に位置する輝度画像の画素値(輝度値)を抽出する(S273)。
【0183】
比率値算出部202は、参照画素の注目画素に対する相対的な位置に対応し、図24に示すように予め設定されている平滑化フィルタ係数を参照画素の数だけ取得する(S274)。
【0184】
比率値算出部202は、各参照画素のR成分の単色候補値に対応する平滑化フィルタ係数を乗算し、その積を対応する輝度値で除算して、それらの商の総和を演算する。さらに、その商の総和を、用いた平滑化フィルタ係数の総和で除算して、その商を注目画素に対応する強度比率として、比率値情報を生成する(S275)。
【0185】
比率値算出部202は、ステップS271に戻り、R候補画像の全ての画素を注目画素としたと判定するまで、ステップS271〜S275の処理を繰り返す。そして、比率値算出部202は、R候補画像の全ての画素を注目画素としたと判定すると(S271−Yes)、生成した比率値情報を乗算器203に供給する。そして、処理は図30のステップS263にリターンする。
【0186】
次に、本願発明の第2の側面についての電極構造の詳細について説明する。この第2の側面は、垂直方向の列ごとに独立読出しを可能とした全画素読出方式の撮像素子について、感度S1と感度S2の設定を露光時間の制御で、つまり電子シャッタに機能を利用して電子的に切り替えるための電極構造のものである。なお、ここでは、特に、3相駆動の垂直レジスタを持つプログレッシブスキャンのCCDイメージセンサに好適な2段階感度による感度モザイク配列を電子的に実現する手法を示す。最初に、モノクロ画像撮像用の構成について説明する。
【0187】
図32は、垂直方向列ごとに独立読出しを可能とした電極構造の第1例を示す図である。画素配列、Vレジスタ、読出ゲートROG、およびチャネルストップLCSが設けられている点、また、第1相電極VΦ1および第2相電極VΦ2の構造は、図11〜図14に示した第1の側面からのものと共通する。
【0188】
また、第3相電極VΦ3は、読出系統1の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Aと読出系統2の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Bとに分けられており、それぞれ独立にパルスを印加できるようになっている。また、この2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bのそれぞれは、図中上方向および下方向に凸部が設けられ、この凸部の設けられる位置が感度S1あるいは感度S2の各設定に対応するように構成されている。これらの点は、図11〜図14に示した第1の側面からのものと共通する。
【0189】
図11〜図14に示した第1の側面からのものと異なるのは、色に拘わらず何れかの感度の画素だけに注目すれば、それらは格子状に配置されているようにするための、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの凸部と感度S1,S2の各設定との対応関係である。
【0190】
すなわち、一方の読出系統(図では読出系統1)に対応する第3相電極VΦ3Aは、同一水平位置にて図中上方向および下方向の両側に、かつ水平方向に“1画素おき”に、凸部が設けられており、この凸部の一部分が対応する画素用の読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。つまり、水平方向に“1画素おき”に上下方向に凸部が形成され、これら凸部より、相対的に水平方向に“1画素おき”に上下に凹部が形成されている。
【0191】
また、他方の読出系統(図では読出系統2)に対応する第3相電極VΦ3Bは、同一水平位置にて図中上方向および下方向の両側に、かつ水平方向に“1画素おき”に、凸部が設けられており、この凸部の一部分が対応する画素用の読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。つまり、水平方向に“1画素おき”に上下方向に凸部が形成され、これら凸部より、相対的に水平方向に“1画素おき”に上下に凹部が形成されている。
【0192】
そして、このような第3相電極VΦ3A,VΦ3Bのうちの、一方の電極の凸部と他方の電極の凹部とが対向するように配置されることで、各電極ごとに凸部の形成されている位置が垂直方向に一例に並ぶように、垂直方向に交互に(つまり1ラインおきに)配列されている。つまり、色成分に拘わらず、同一の感度特性を呈する受光素子の並び方向が垂直方向に一致するように、垂直列ごとに読出電極が複数系統に分離されることになる。これにより、色に拘わらず、同一感度を呈する画素が垂直方向に並び、その垂直列が水平方向に“1画素おき”に配列されるようになる。
【0193】
この第1例の構造においては、第3相電極VΦ3に読出パルスを印加した場合、読出ゲートROGのバリアを一時的に取り除き、対応する画素に蓄積されている電荷をVレジスタに転送することが可能であり、垂直列ごとに受光素子に蓄積された信号電荷を独立に読み出すことができる。また、第3相電極VΦ3は、感度S1,S2のそれぞれに対応するように、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの2系統に分けられているので、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して独立に読出パルスを印加することで蓄積時間を変えることができ、感度を可変制御にすることができる。
【0194】
また、2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して読出パルスを共通に印加した場合には、通常の読出し方と同じになるので、ノーマルモードとして使用することも可能である。つまり、シャッタ方式SVEを実現するとともに、ノーマルモードとSVEモードの切替えに対応することができる。
【0195】
また、垂直方向の列ごとに独立読出しを可能とした全画素読出方式撮像素子の3層目の電極(第3相電極VΦ3)を有効画素領域中において水平方向に延在した構造としたので、1層目、2層目、3層目の各転送電極に対応するそれぞれの転送パルスの伝播遅延がほぼ等しくなる。この結果、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。
【0196】
図33は、垂直方向列ごとに独立読出しを可能とした電極構造の第2例を示す図である。画素配列、Vレジスタ、読出ゲートROG、およびチャネルストップLCSが設けられている点、また、第1相電極VΦ1および第2相電極VΦ2の構造は、図32に示した第1例のものと共通する。
【0197】
また、第3相電極VΦ3は、読出系統1の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Aと読出系統2の画素グループに対応する第3相電極VΦ3Bとに分けられており、それぞれ独立にパルスを印加できるようになっている。また、この2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bのそれぞれは、図中上方向および下方向に凸部が設けられ、この凸部の設けられる位置が感度S1あるいは感度S2の各設定に対応するように構成されている。これらの点は、図32に示した第1例のものと共通する。
【0198】
図32に示した第1例のものと異なるのは、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの凸部の並び方である。すなわち、一方の読出系統(図では読出系統1)に対応する第3相電極VΦ3Aは、同一水平位置にて図中上方向および下方向の両側に、かつ水平方向に“2画素おき”に、凸部が設けられており、この凸部の一部分が対応する画素用の読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。つまり、水平方向に“2画素おき”に上下方向に凸部が形成され、これら凸部より、相対的に水平方向に“2画素おき”に上下に凹部が形成されている。
【0199】
また、他方の読出系統(図では読出系統2)に対応する第3相電極VΦ3Bは、同一水平位置にて図中上方向および下方向の両側に、かつ水平方向に“2画素おき”に、凸部が設けられており、この凸部の一部分が対応する画素用の読出ゲートROGに接触するように構成されている(接続されている)。つまり、水平方向に“2画素おき”に上下方向に凸部が形成され、これら凸部より、相対的に水平方向に“2画素おき”に上下に凹部が形成されている。
【0200】
そして、このような第3相電極VΦ3A,VΦ3Bのうちの、一方の電極の凸部と他方の電極の凹部とが対向するように配置されることで、各電極ごとに凸部の形成されている位置が垂直方向に一例に並ぶように、垂直方向に交互に(つまり1ラインおきに)配列されており、色に拘わらず、同一感度を呈する画素が垂直方向に並ぶようになっている。つまり、色成分に拘わらず、同一の感度特性を呈する受光素子の並び方向が垂直方向に一致するように、垂直列ごとに読出電極が複数系統に分離されることになる。この点は、図32に示した第1例のものと共通する。ただし、その垂直列が“2画素おき”に水平方向に配列される、つまり同一感度の水平方向の2画素を1組とし、この組単位で水平方向に交互に配列されるようになる点で異なる。
【0201】
この第2例の構造においても、第3相電極VΦ3に読出パルスを印加した場合、読出ゲートROGのバリアを一時的に取り除き、対応する画素に蓄積されている電荷をVレジスタに転送することが可能であり、垂直列ごとに受光素子に蓄積された信号電荷を独立に読み出すことができる。また、第3相電極VΦ3は、感度S1,S2のそれぞれに対応するように、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bの2系統に分けられているので、第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して独立に読出パルスを印加することで蓄積時間を変えることができ、感度を可変制御にすることができる。
【0202】
また、2系統に分けられた第3相電極VΦ3A,VΦ3Bに対して読出パルスを共通に印加した場合には、通常の読出し方と同じになるので、ノーマルモードとして使用することも可能である。つまり、シャッタ方式SVEを実現するとともに、ノーマルモードとSVEモードの切替えに対応することができる。
【0203】
また、垂直方向の列ごとに独立読出しを可能とした全画素読出方式撮像素子の3層目の電極(第3相電極VΦ3)を有効画素領域中において水平方向に延在した構造としたので、1層目、2層目、3層目の各転送電極に対応するそれぞれの転送パルスの伝播遅延がほぼ等しくなる。この結果、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。
【0204】
上記図32および図33に示した電極構造を有するモノクロ撮像用の撮像装置の場合における露光制御やデモザイク処理は、特開2002−112120号公報に記載の手法を用いればよい。ここでは、その説明を割愛する。
【0205】
図34は、カラー画像対応としつつ、垂直方向列ごとに独立読出しを可能とする場合のカラーフィルタ配列を示した図である。
【0206】
図35は、図34に示したカラーフィルタ配列と電極構造を有する撮像素子を使用する場合における、画像処理部27を中心とする画像処理系のデモザイク処理の概要を示す図である。このデモザイク処理は、図35に示すように、撮像部の処理によって得られた色・感度モザイク画像の画素の感度を変更することなく、各画素のRGB成分を補間してR成分の感度モザイク画像MsR、G成分の感度モザイク画像MsG、およびB成分の感度モザイク画像MsBを生成する感度別色補間処理と、R成分の感度モザイク画像、G成分の感度モザイク画像、およびB成分の感度モザイク画像のそれぞれの感度を均一化して出力画像R,G,Bを生成する感度均一化処理からなる。
【0207】
デモザイク処理における感度別色補間処理は、色・感度モザイク画像から同一の感度の画素だけを抽出する抽出処理と、抽出処理で抽出された画素のRGB成分の画素値を補間する色補間処理と、色補間処理で補間された画素値をRGB成分ごとに合成して感度モザイク画像を生成する挿入処理からなる。
【0208】
図36は、デモザイク処理における感度別色補間処理の概要(特に抽出処理)を説明するための図である。たとえば、抽出処理では、図36(A)に示すような色・感度モザイク画像から、感度S2の画素だけが抽出されて、画素が市松状に配置された図36(B)に示すような色モザイク画像McS2が生成される。色補間処理では、色モザイク画像McS2から、感度S2であってR成分を有する画素が市松状に配置された図36(C)に示すような画像RS2、感度S2であってG成分を有する画素が市松状に配置された画像GS2、および感度S2であってB成分を有する画素が市松状に配置された画像BS2が生成される。
【0209】
図37は、デモザイク処理における感度別色補間処理の概要(特に挿入処理)を説明するための図である。たとえば、挿入処理では、色補間処理によって生成された図37(A)に示すような画像RS1と、図37(B)に示すような画像RS2が組み合わされて、図37(C)に示すような感度モザイク画像MsRが生成される。
【0210】
図38は、デモザイク処理を主に実行する画像処理部27の一構成例を示す図である。この画像処理部27の構成例において、撮像系からの色・感度モザイク画像は、感度別色補間部151に供給される。色・感度モザイク画像の色モザイク配列を示す色・感度モザイクパターン情報は、感度別色補間部151に供給される。色・感度モザイク画像の感度モザイク配列を示す感度モザイクパターン情報は、感度別色補間部151および感度均一化部152〜154に供給される。
【0211】
なお、以下特に断りがある場合を除き、色・感度モザイク画像は、図5の色・感度モザイクパターンP3であるとする。すなわち、画素の色は3原色RGBのうちのいずれかの色であり、感度はS1,S2のうちの一方であって、さらに、色に拘わらず感度S1の画素だけに注目すれば、それらは格子状(市松状)に配置されている。同様に、感度S2の画素の格子状(市松状)に配置されている。ただし、以下に説明する構成や動作は、RGB以外の3色からなる色・感度モザイク画像や、4色からなる色・感度モザイク画像に適用することも可能である。
【0212】
感度別色補間部151は、色・感度モザイク画像に感度別色補間処理を施し、得られるR成分の感度モザイク画像MsR、G成分の感度モザイク画像MsG、およびB成分の感度モザイク画像MsBを、それぞれ対応する感度均一化部152〜154に供給する。
【0213】
感度均一化部152は、R成分の感度モザイク画像MsRに感度均一化処理を施すことによって出力画像Rを生成する。感度均一化部153は、G成分の感度モザイク画像MsGに感度均一化処理を施すことによって出力画像Gを生成する。感度均一化部154は、B成分の感度モザイク画像MsBに感度均一化処理を施すことによって出力画像Bを生成する。
【0214】
図39は、感度別色補間部151の構成例を示している。感度別色補間部151において、色・感度モザイク画像、色モザイクパターン情報、および感度モザイクパターン情報は、抽出部161に供給される。
【0215】
抽出部161は、色・感度モザイク画像に対して、感度Si(いまの場合、i=1,2)の抽出処理を施し、得られる感度Siの画素からなる色モザイク画像McSiを色補間部162に供給する。なお、色モザイク画像McSiは、元の色・感度モザイク画像のxy座標系とは異なるst座標系を用いて表現されるで画像である(詳細は図46および図47を参照して後述する)。
【0216】
また、抽出部161は、色モザイク画像McSiの色モザイク配列を示す感度Siの色・感度モザイクパターン情報を生成し、色補間部162に供給する。さらに、抽出部161は、色モザイク画像McSiと元の色・感度モザイク画像との位置関係を保持する感度Siの元位置情報を生成し、挿入部163〜165に供給する。
【0217】
色補間部162は、抽出部161からの色モザイク画像McSiの全画素のRGB成分を補間し、得られる画像Rsi,Gsi,Bsiをそれぞれ対応する挿入部163〜165に供給する。画像Rsiは、色モザイク画像McSiの各画素に対応するR成分の画素値からなる画像である。画像Gsiは、色モザイク画像McSiの各画素に対応するG成分の画素値からなる画像である。画像Bsiは、色モザイク画像McSiの各画素に対応するB成分の画素値からなる画像である。また、画像Rsi,Gsi,Bsiは、色モザイク画像McSiと同じ座標系によって表現される。
【0218】
挿入部163は、抽出部161から供給される感度Siの元位置情報に基づき、色補間部162から感度の種類の数だけ供給されるR成分の画像Rsiを組合せて感度モザイク画像MsRを生成し、感度均一化部152に供給する。挿入部164は、抽出部161から供給される感度Siの元位置情報に基づき、色補間部162から感度の種類の数だけ供給されるG成分の画像Gsiを組合せて感度モザイク画像MsGを生成し、感度均一化部153に供給する。挿入部165は、抽出部161から供給される感度Siの元位置情報に基づき、色補間部162から感度の種類の数だけ供給されるB成分の画像Bsiを組合せて感度モザイク画像MsBを生成し、感度均一化部154に供給する。
【0219】
感度均一化部152は、挿入部163から供給される感度モザイク画像MsRの各画素に対し、その近傍の画素を用いる局所和算出処理を施し、得られる各画素に対応する補償値を取得し、その補償値を画素値として出力画像Rを生成する。感度均一化部153,154も、同様に、出力画像G,Bを生成する。
【0220】
図40は、色補間部162の一構成例を示している。色補間部162において、抽出部161からの色モザイク画像McSiは、階調変換部71に供給される。また、抽出部161からの色モザイク画像McSiの色モザイク配列を示す感度Siの色・感度モザイクパターン情報は、色差画像生成部72,73、および輝度画像生成部74に供給される。
【0221】
階調変換部71は、色モザイク画像McSiに対して階調変換処理を施し、得られる変調色モザイク画像Mgを色差画像生成部72,73、および輝度画像生成部74に供給する。階調変換処理としては、具体的にはγ乗のべき算関数による変換などを用いる。
【0222】
色差画像生成部72は、変調色モザイク画像Mgを用い、全ての画素が色差C(=R−G)成分を有する色差画像Cを生成して輝度画像生成部74および色空間変換部75に供給する。色差画像生成部73は、変調色モザイク画像Mgを用い、全ての画素が色差D(=B−G)成分を有する色差画像Dを生成して輝度画像生成部74および色空間変換部75に供給する。輝度画像生成部74は、変調モザイク画像Mg、色差信号C,Dを用いて輝度画像Lを生成し、色空間変換部75に供給する。
【0223】
色空間変換部75は、色差画像C,D、および輝度画像Lに色空間変換処理を施し、得られる変調画像(各画素がそれぞれRGB成分を有する画像)を階調逆変換部76〜78に供給する。
【0224】
階調逆変換部76は、色空間変換部75からのR成分の画素値を(1/γ)乗することにより、階調変換部71における階調変換の逆変換を施して出力画像Rsiを得る。階調逆変換部77は、色空間変換部75からのG成分の画素値を(1/γ)乗することにより、階調変換部71における階調変換の逆変換を施して出力画像Gsiを得る。階調逆変換部78は、色空間変換部75からのB成分の画素値を(1/γ)乗することにより、階調変換部71における階調変換の逆変換を施して出力画像Bsiを得る。
【0225】
なお、感度均一化部152から供給される色モザイク画像がベイヤ配列を成している場合には、色補間部162において、たとえば、特開昭61−501424号公報などに開示されている従来の方法を用いて色補間処理を実行するようにしてもよい。
【0226】
図41は、色差画像生成部72の一構成例を示している。なお、色差画像生成部73も色差画像生成部72と同様に構成されている。
【0227】
色差画像生成部72において、階調変換部71からの変調色モザイク画像Mgは平滑化部81,82に供給される。色・感度モザイクパターン情報も平滑化部81,82に供給される。
【0228】
平滑化部81は、各画素に対し、R成分を有する近傍の画素の画素値を用いて当該画素のR成分を補間することにより、平滑化されたR成分の画像R’を生成して減算器83に供給する。平滑化部82は、各画素に対し、G成分を有する近傍の画素の画素値を用いて当該画素のG成分を補間することにより、平滑化されたG成分の画像G’を生成して減算器83に供給する。
【0229】
減算器83は、平滑化部81からの平滑化されるR成分の画像R’の画素値から、平滑化部82からの平滑化されるG成分の画像G’の対応する画素の画素値を減算することにより、色差画像Cを生成して色空間変換部75に供給する。
【0230】
図42は、輝度画像生成部74の一構成例を示している。輝度画像生成部74を構成する輝度算出部91は、階調変換部71からの変調色モザイク画像Mg、色差画像生成部72からの色差画像C、色差画像生成部73からの色差画像D、および色・感度モザイクパターン情報に基づいて各画素の輝度候補値を算出し、各画素の輝度候補値からなる輝度候補値画像Lcをノイズ除去部92に出力する。
【0231】
ノイズ除去部92は、輝度候補値画像Lcの各画素値(輝度候補値)に平滑化成分(後述)を合成することによってノイズを除去し、得られる輝度画像Lを色空間変換部75に出力する。
【0232】
図43は、感度均一化部152の一構成例を示している。なお、感度均一化部153,154も感度均一化部152と同様に構成されている。
【0233】
感度均一化部152において、感度別色補間部151の挿入部163から供給される感度モザイク画像MsRは、局所和算出部171に供給される。局所和算出部171は、感度モザイク画像MsRの各画素に対し、その近傍の画素を用いる局所和算出処理を施し、得られる各画素に対応する局所和を合成感度補償部172に供給する。合成感度補償部172は、合成感度補償LUT173に局所和を照らし合わせて対応する補償値を取得し、補償値を画素値として出力画像Rを生成する。合成感度補償LUT173は、局所和をインデックスとして、対応する補償値を供給するようになされている。
【0234】
図44は、図34に示したカラーフィルタ配列と電極構造を有する撮像素子を使用する場合における画像処理部27の作用を説明するフローチャートである。感度別色補間部151は、色・感度モザイク画像に感度別色補間処理を施することにより、R成分の感度モザイク画像MsR、G成分の感度モザイク画像MsG、およびB成分の感度モザイク画像MsBを生成し、それぞれ対応する感度均一化部152〜154に供給する(S181)。
【0235】
感度別色補間部151の感度別色補間処理の詳細について、図45のフローチャートを参照して説明する。抽出部161は、感度モザイクパターン情報に含まれる全ての感度(いまの場合、S1およびS2)を指定したか否かを判定する(S191)。そして、全ての感度を指定していないと判定した場合(S191−No)、抽出部161は、感度モザイクパターン情報に含まれる全ての感度のうちの1種類の感度を指定する。指定された感度をSiとする(S192)。
【0236】
次に、抽出部161は、色・感度モザイク画像の全ての画素のうち、感度Siの画素だけを抽出し、感度Siの色モザイク画像McSiを生成して色補間部162に供給する(S193)。さらに、抽出部161は、色モザイク画像McSiと元の色・感度モザイク画像との位置関係を保持する感度Siの元位置情報を生成し、挿入部163〜165に供給する。また、抽出部161は、色モザイク画像McSiの色モザイク配列を示す感度Siの色モザイクパターン情報を生成し、色補間部162に供給する。
【0237】
ステップS193の処理の詳細について、図46および図47を参照して説明する。抽出される感度Siの画素は元の色・感度モザイク画像の画素間隔では抽出されないので、生成される感度Siの色モザイク画像McSiは、元の色・感度モザイク画像とは画素間隔、原点、向きが異なる格子に形成される。そこで、抽出部61は、色モザイク画像McSiを生成すると同時に、元の色・感度モザイク画像の座標系と、色モザイク画像McSiの座標系との対応関係を元に、画素ごとに元の位置の情報を参照できる元位置情報を生成する。
【0238】
元の色・感度モザイク画像と生成する色モザイク画像McSiの座標系の対応関係は、図46または図47に示す通りである。同図において、元の色・感度モザイク画像はxy座標系で表示され、色モザイク画像McSiはst座標系で表示されている。また、色・感度モザイク画像の■は感度S1の画素を示し、色・感度モザイク画像の□は感度S2の画素を示している。このようにxy座標系に対して斜めに設定したst座標系を用いることにより、元の色・感度モザイク画像において市松状に配置された感度Siの画素を、等間隔格子の画素配置として抽出できるようになされている。
【0239】
図46を参照して、色・感度モザイク画像の“■”で示される感度S1の画素を抽出する場合について説明する。たとえば図中の画素Aは、元の色・感度モザイク画像を表現するxy座標系では(xA,yA)であり、生成される色モザイク画像McSiを表現するst座標系では(sA,tA)である。(sA,tA)と(xA,yA)は、次式(22)に示すような対応関係がある。
sA={(xA−1)+yA}/2
tA={(xmax−1−xA)+yA}/2 …(22)
【0240】
抽出部161は、元の色・感度モザイク画像の感度S1の画素の座標(xA,yA)を式(22)に適用して、色モザイク画像McSiでの座標(sA,tA)を算出し、その座標に当該画素の値を用いて色モザイク画像McSiを生成する。同時に、感度S1の元位置情報には、座標(sA,tA)に対応して座標(xA,yA)を格納する。
【0241】
図47を参照して、色・感度モザイク画像の□で示される感度S2の画素を抽出する場合について説明する。たとえば図中の画素Bは、元の色・感度モザイク画像を表現するxy座標系では(xB,yB)であり、生成される色モザイク画像McSiを表現するst座標系では(sB,tB)である。(sB,tB)と(xB,yB)は、次式(23)に示すような対応関係がある。
sB=(xB+yB)/2
tB={(xmax−1−xB)+yB}/2 …(23)
【0242】
抽出部161は、元の色・感度モザイク画像の感度S1の画素の座標(xB,yB)を式(22)に適用して、色モザイク画像McSiでの座標(sB,tB)を算出し、その座標に当該画素の値を用いて色モザイク画像McSiを生成する。同時に、感度S1の元位置情報には、座標(sB,tB)に対応して座標(xB,yB)を格納する。
【0243】
図45に戻り、ステップS194において、色補間部162は、抽出部161からの色モザイク画像McSiの全画素のRGB成分を補間して、画像Rsi,Gsi,Bsiを生成し、それぞれ対応する挿入部163〜165に供給する。
【0244】
色補間部162の処理の詳細については、図48のフローチャートを参照して説明する。階調変換部71は、色モザイク画像McSiに対して階調変調処理を施す(具体的には、変調色モザイク画像Mgの各画素値をγ乗する)ことにより、変調色モザイク画像Mgを生成して色差画像生成部72,73、および輝度画像生成部74に供給する(S51)。
【0245】
色差画像生成部72は、階調変換部71からの変調色モザイク画像Mgを用いて色差画像Cを生成し、輝度画像生成部74および色空間変換部75に供給する(S52)。一方、色差画像生成部73は、階調変換部71からの変調色モザイク画像Mgを用いて色差画像Dを生成し、輝度画像生成部74および色空間変換部75に供給する。
【0246】
色差画像生成部72が色差画像Cを生成する処理について、図49のフローチャートを参照して説明する。平滑化部81,82は、変調色モザイク画像Mgの全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S61)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合(S61−No)、平滑化部81,82は、変調色モザイク画像Mgの左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S62)。
【0247】
平滑化部81は、色・感度モザイクパターン情報を参照することにより、注目画素の近傍の画素(例えば、注目画素を中心とする5×5画素)のうち、R成分を有する画素を検出し、検出した画素(以下、参照画素と記述する)の画素値を抽出する(S63)。一方、平滑化部82も同様に、色・感度モザイクパターン情報を参照することにより、注目画素の近傍の画素のうち、G成分を有する画素を検出し、検出した画素の画素値を抽出する(S63)。
【0248】
平滑化部81は、R成分を有する参照画素の注目画素に対する相対的な位置に対応して予め設定されているフィルタ係数を、参照画素の数だけ取得する(S64)。一方、平滑化部82も同様に、G成分を有する参照画素の注目画素に対する相対的な位置に対応して予め設定されているフィルタ係数を、参照画素の数だけ取得する(S64)。
【0249】
平滑化部81は、R成分を有する各参照画素の画素値と、対応するフィルタ係数とを乗算し、それらの積の総和を演算する(S65)。さらに、その積の総和を、用いたフィルタ係数の総和で除算して、その商を平滑化されたR成分だけの画像R’の注目画素に対応する画素値とする。一方、平滑化部82も同様に、G成分を有する各参照画素の画素値と、対応するフィルタ係数とを乗算し、それらの積の総和を演算する。さらに、その積の総和を、用いたフィルタ係数の総和で除算して、その商を平滑化されたG成分だけの画像G’の注目画素に対応する画素値とする。
【0250】
減算器83は、平滑化部81からの平滑化されたR成分だけの画像R’の注目画素に対応する画素値から、平滑化部82からの平滑化されたG成分だけの画像G’の注目画素に対応する画素値を減算し、その差を色差画像Cの注目画素に対応する画素値とする(S66)。
【0251】
色差画像生成部72は、ステップS61の処理に戻る。平滑化部81,82は、全ての画素を注目画素としたと判定するまで、ステップS61〜66の処理を繰り返す。そして、平滑化部81,82が全ての画素を注目画素としたと判定した場合(S61−Yes)、色差画像生成部72は、図48のステップS53の処理にリターンする。
【0252】
なお、色差画像生成部73が色差画像Dを生成する処理は、上述した色差画像生成部72が色差画像Cを生成する処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0253】
輝度画像生成部74は、変調モザイク画像Mg、色差信号C,Dを用いて輝度画像Lを生成し、色空間変換部75に供給する(S53)。
【0254】
輝度画像生成部74の輝度画像生成処理の詳細について、図50のフローチャートを参照して説明する。輝度算出部91は、変調色モザイク画像Mgの全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S71)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合(S71−No)、輝度算出部91は、変調色モザイク画像Mgの左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S72)。
【0255】
次に、輝度算出部91は、色モザイクパターン情報を参照して、注目画素の色の種類(いまの場合、RGBのいずれかの色)を判定する(S73)。そして、注目画素の色の種類がRであると判定した場合(S73−Yes)、輝度算出部91は、変調色モザイク画像Mg、および色差信号C,Dの注目画素に対応する画素値を次式(1)に適用して、輝度候補画像Lcの注目画素に対応する画素値を算出する(S74)。
Lc=3Mg−2C+D …(1)
【0256】
輝度算出部91は、注目画素の色の種類がGであると判定した場合(S73−G)、変調色モザイク画像Mg、および色差信号C,Dの注目画素に対応する画素値を次式(2)に適用して輝度候補画像Lcの注目画素に対応する画素値を算出する(S75)。
Lc=3Mg+C+D …(2)
【0257】
一方、輝度算出部91は、注目画素の色の種類がBであると判定した場合(S73−B)、輝度算出部91は、変調色モザイク画像Mg、および色差信号C,Dの注目画素に対応する画素値Mg,C,Dを次式(3)に適用して輝度候補画像Lcの注目画素に対応する画素値を算出する(S76)。
Lc=3Mg+C−2D …(3)
【0258】
なお、式(1)〜(3)において、Lc,Mg,C,Dは、それぞれ、注目画素に対応する輝度候補画像Lc、変調色モザイク画像Mg、色差信号C、色差画像Dの画素値である。
【0259】
輝度算出部91は、ステップS71の処理に戻り、全ての画素を注目画素としたと判定するまで、ステップS71〜S76の処理を繰り返す。そして、全ての画素を注目画素としたと判定した場合(S71−Yes)、ステップS77の処理に進む。以上説明したステップS71〜S76の処理によって生成された輝度候補画像Lcはノイズ除去部92に供給される。
【0260】
ノイズ除去部92は、変調色モザイク画像Mgの全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S77)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合、ノイズ除去部92は、変調色モザイク画像Mgの左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S78)。
【0261】
ノイズ除去部92は、注目画素の上下左右に位置する画素の画素値(輝度候補値)を次式(4)に適用して、注目画素に対応する勾配∇(グラディエント)を算出する(S79)。なお、勾配∇は、画像の水平方向と垂直方向の1次微係数を要素とするベクトルである。また、注目画素の上下左右に位置する画素の画素値(輝度候補値)を、それぞれLc(U),Lc(D),Lc(L),Lc(R)とする。
勾配∇=(Lc(R)−Lc(L),Lc(U)−Lc(D)) …(4)
【0262】
次に、ノイズ除去部92は、注目画素の上下左右に位置する画素の画素値(輝度候補値)を次式(5),(6)に適用して、注目画素に対応する水平方向の平滑化成分Hhと垂直方向の平滑化成分Hvを算出する(S80)。
Hh=(Lc(L)+Lc(R))/2 …(5)
Hv=(Lc(U)+Lc(D))/2 …(6)
【0263】
ノイズ除去部92は、ステップS79で算出した注目画素に対応する勾配∇の絶対値‖g‖に対応して、水平方向の平滑化寄与率whと垂直方向の平滑化寄与率wvを算出する(S81)。具体的には、勾配∇の絶対値が0よりも大きい場合、次式(7)に示すように、正規化した勾配∇/‖∇‖とベクトル(1,0)との内積の絶対値を1から減算して水平方向の平滑化寄与率whを得る。また、次式(8)に示すように、正規化した勾配∇/‖∇‖とベクトル(0,1)との内積の絶対値を1から減算して垂直方向の平滑化寄与率wvを得る。
wh=1−|(∇/‖∇‖,(1,0))| …(7)
wv=1−|(∇/‖∇‖,(0,1))| …(8)
【0264】
ノイズ除去部92は、勾配∇の絶対値が0である場合、水平方向の平滑化寄与率whおよび垂直方向の平滑化寄与率wvを、それぞれ0.5とする。
【0265】
次に、ノイズ除去部92は、次式(9)を用いて注目画素に対応する輝度画像Lの画素値(輝度値)を算出する(S82)。
L=Lc+(wh・Hh+wv・Hv)/(wh+wv) …(9)
【0266】
なお、式(9)において、Lc,Lは、それぞれ、注目画素に対応する輝度候補画像Lc、輝度画像Lの画素値である。
【0267】
ノイズ除去部92は、ステップS77の処理に戻り、全ての画素を注目画素としたと判定するまで、ステップS77〜S82の処理を繰り返す。そして、全ての画素を注目画素としたと判定した場合、処理は図48のステップS54にリターンする。
【0268】
色空間変換部75は、色差画像C,D、および輝度画像Lに色空間変換処理を施すことにより、各画素がそれぞれRGB成分を有する変調画像を生成して階調逆変換部76〜78に供給する(S54)。
【0269】
色空間変換処理の詳細について、図51のフローチャートを参照して説明する。色空間変換部75は、輝度画像L(色差画像C、または色差画像Dでもよい)の全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S91)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合、色空間変換部75は、輝度画像Lの左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S92)。
【0270】
色空間変換部75は、注目画素に対応する輝度画像L、色差画像C、および色差画像Dの画素値を次式(10),(11),(12)に適用して、注目画素に対応する変調画像のR成分の値Rg、G成分の値Gg、B成分の値Bgを算出する(S93)。なお、式(10)〜(12)において、L,C,Dは、それぞれ、注目画素に対応する輝度画像L、色差信号C、色差画像Dの画素値である。
Rg=(L+2C−D)/3 …(10)
Gg=(L−C−D)/3 …(11)
Bg=(L−C+2D)/3 …(12)
【0271】
色空間変換部75は、ステップS91の処理に戻り、全ての画素を注目画素としたと判定されるまで、ステップS91〜S93の処理を繰り返す。そして、全ての画素を注目画素としたと判定された場合(S91−Yes)、処理は図48のステップS55にリターンする。
【0272】
階調逆変換部76は、色空間変換部75から供給された変調画像の各画素のR成分に対し、ステップS51の階調変換処理に対応する階調逆変換処理を施すこと(具体的には、画素値を1/γ乗すること)によって出力画像Rsiを生成する(S55)。同様に、階調逆変換部77は、色空間変換部75から供給された変調画像の各画素のG成分に対し、ステップS51の階調変換処理に対応する階調逆変換処理を施すことによって出力画像Gsiを生成する。階調逆変換部78は、色空間変換部75から供給された変調画像の各画素のB成分に対し、ステップS51の階調変換処理に対応する階調逆変換処理を施すことによって出力画像Bsiを生成する。以上説明したような色補間処理によって、出力画像Rsi,Gsi,Bsiが生成される。
【0273】
この後、感度別色補間部151は、ステップS191の処理に戻り、感度モザイクパターン情報に含まれる全ての感度を指定したと判定されるまで、ステップS191〜S194に処理が繰り返される。ステップS191において、感度モザイクパターン情報に含まれる全ての感度を指定したと判定された場合、処理はステップS195に進む。
【0274】
挿入部163は、抽出部161から供給された全ての元位置情報に基づき、色補間部162から感度の種類の数だけ供給されたR成分の画像Rsi(いまの場合、画像Rs0と画像Rs1)を組み合わせて感度モザイク画像MsRを生成し、感度均一化部152に供給する(S195)。同様に、挿入部164は、感度モザイク画像MsGを生成して感度均一化部153に供給し、挿入部165は、感度モザイク画像MsBを生成して感度均一化部154に供給する。
【0275】
処理は図44のステップS182にリターンする。感度均一化部152は、R成分の感度モザイク画像MsRに感度均一化処理を施すことによって出力画像Rを生成する(S182)。感度均一化部153は、G成分の感度モザイク画像MsGに感度均一化処理を施すことによって出力画像Gを生成する。感度均一化部154は、B成分の感度モザイク画像MsBに感度均一化処理を施すことによって出力画像Bを生成する。
【0276】
感度均一化部152の感度均一化処理について、図52のフローチャートを参照して説明する。局所和算出部171は、R成分の感度モザイク画像MsRの全ての画素を注目画素としたか否かを判定する(S201)。そして、全ての画素を注目画素としていないと判定した場合(S201−No)、局所和算出部171は、感度モザイク画像MsRの左下の画素から右上の画素まで、順次1画素ずつ注目画素に決定する(S202)。
【0277】
次に、局所和算出部171は、注目画素に対応する局所和を算出し、合成感度補償部172に供給する(S203)。具体的には、局所和算出部171は、注目画素を中心とする5×5画素(以下、参照画素と記述する)の画素値を抽出し、それらの画素値と、参照画素の注目画素に対する相対的な位置に対応して予め設定されている図53に示すようなフィルタ係数とをそれぞれ乗算し、それらの積の総和を演算する。さらに、局所和算出部171は、その積の総和を、25個のフィルタ係数の総和で除算し、その商を注目画素に対応する局所和とする。
【0278】
次に、合成感度補償部172は、合成感度補償LUT173に局所和を照らし合わせて対応する補償値を取得し、補償値を注目画素に対応する出力画像Rの画素値とする(S204)。
【0279】
局所和算出部171は、ステップS201の処理に戻り、全ての画素を注目画素としたと判定するまで、ステップS201〜204の処理を繰り返す。そして、全ての画素を注目画素としたと判定した場合(S201−Yes)、局所和算出部171は、感度均一化処理を終了し、図44にリターンする。
【0280】
なお、感度均一化部153,154も、感度均一化部152の感度均一化処理と平行して同様の感度均一化処理を実行するが、その詳細な説明は省略する。
【0281】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0282】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0283】
たとえば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、たとえば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0284】
この記録媒体は、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成される。
【0285】
また、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に従って時系列的に行なわれる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0286】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、先ず、読出電極を独立に制御可能な複数系統に分け、それぞれの読出電極を蓄積時間の違う信号に対応させ、感度特性の切替えを露光時間制御で電子的に実現する構成とした。このとき、複数系統のゲート電極のそれぞれを、有効画素領域中において水平方向に延在して配置させることで、読出電極を他の転送電極に対して平行となるようにした。
【0287】
こうすることで、各転送電極に対応するそれぞれの転送パルスの伝播遅延がほぼ等しくなる。この結果、各転送パルスの位相ズレが減少し、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善が可能となる。転送電極の配列を工夫したものであるから、シャント配線を形成する必要がなく、製造工程が増えたり製造が複雑になるなどの問題が生じない。
【0288】
また、読出電極を独立に制御可能にしているので、シャッタ方式SVEが持つ感度制御の柔軟性を享受することができるので、ダイナミックレンジの拡大率を可変にしたり、ノーマルモードとSVEモードの切替えなどの機能を実現することができるようになった。
【0289】
つまり、全画素読出方式の撮像装置であっても、広ダイナミックレンジの画像の撮像が可能であるとともに、Vレジスタの取扱い電荷量の向上や転送効率の改善を比較的簡単な方法で実現することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る撮像装置を適用したデジタルスチルカメラの構成を示す図である。
【図2】操作部の一例を説明する図である。
【図3】本実施形態のデジタルスチルカメラの動作の概要を説明する図である。
【図4】第1の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP1を示す図である。
【図5】第2および第3の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP3を示す図である。
【図6】第4の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP4aを示す図である。
【図7】第4の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP4bを示す図である。
【図8】第4の特徴を呈する色・感度モザイクパターンP4cを示す図である。
【図9】全画素読出しにおいて感度のモザイク配列を電子的に実現するための露光制御の第1例を説明する図である。
【図10】全画素読出しにおいて感度のモザイク配列を電子的に実現するための露光制御の第2例を説明する図である。
【図11】図6に示した色・感度モザイクパターンP4aについての電極構造の第1例を示す図である。
【図12】図6に示した色・感度モザイクパターンP4aについての電極構造の第2例を示す図である。
【図13】図7に示した色・感度モザイクパターンP4bについての電極構造の一例を示す図である。
【図14】図8に示した色・感度モザイクパターンP4cについての電極構造の一例を示す図である。
【図15】画像上における画素の位置座標の定義を説明する図である。
【図16】デモザイク処理を主に実行する画像処理部の一構成例を示している。
【図17】輝度画像生成部の一構成例を示している。
【図18】R用の推定部が使用するR成分用の補間フィルタ係数の一例およびB用の推定部が使用するB成分用の補間フィルタ係数の一例である。
【図19】G用の推定部が使用するG成分用補間フィルタ係数の一例である。
【図20】R用の推定部が用いる合成感度補償LUTについて説明するための図である。
【図21】G用の推定部が用いる合成感度補償LUTについて説明するための図である。
【図22】B用の推定部が用いる合成感度補償LUTについて説明するための図である。
【図23】単色画像生成部の構成例を示す図である。
【図24】比率値算出部が使用する、平滑化フィルタ係数の一例を示す図である。
【図25】画像処理部の構成例によるデモザイク処理の手順を示すフローチャートである。
【図26】輝度画像生成部の輝度画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図27】R用の推定部におけるR成分推定処理の手順を示すフローチャートである。
【図28】ノイズ除去部におけるノイズ除去処理の手順を示したフローチャートである。
【図29】ノイズ除去部における方向選択的平滑化処理の手順を示すフローチャートである。
【図30】単色画像生成部における単色画像生成処理の手順を示したフローチャートである。
【図31】比率値算出部における比率値算出処理の手順を示したフローチャートである。
【図32】垂直方向列ごとに独立読出しを可能とした電極構造の第1例を示す図である(モノクロ用)。
【図33】垂直方向列ごとに独立読出しを可能とした電極構造の第2例を示す図である(モノクロ用)。
【図34】カラー画像対応としつつ、垂直方向列ごとに独立読出しを可能とする場合のカラーフィルタ配列を示す図である。
【図35】図34に示したカラーフィルタ配列と電極構造を有する撮像素子を使用する場合におけるデモザイク処理の概要を示す図である。
【図36】デモザイク処理における感度別色補間処理の概要(特に抽出処理)を説明するための図である。
【図37】デモザイク処理における感度別色補間処理の概要(特に挿入処理)を説明するための図である。
【図38】デモザイク処理を主に実行する画像処理部の一構成例を示す図である。
【図39】感度別色補間部の構成例を示す図である。
【図40】色補間部の一構成例を示す図である。
【図41】色差画像生成部の一構成例を示す図である。
【図42】輝度画像生成部の一構成例を示す図である。
【図43】感度均一化部の一構成例を示す図である。
【図44】図34に示したカラーフィルタ配列と電極構造を有する撮像素子を使用する場合における画像処理部の作用を説明するフローチャートである。
【図45】ステップS181の感度別色補間処理を説明するフローチャートである。
【図46】ステップS193の抽出処理を説明するための図である。
【図47】ステップS193の抽出処理を説明するための図である。
【図48】ステップS194の色補間処理を説明するフローチャートである。
【図49】ステップS52の色差画像生成処理を説明するフローチャートである。
【図50】ステップS53の輝度画像生成処理を説明するローチャートである。
【図51】ステップS54の色空間変換処理を説明するフローチャートである。
【図52】ステップS182の感度均一化処理を説明するフローチャートである。
【図53】ステップS203の局所和算出処理において用いるフィルタ係数の例を示す図である。
【符号の説明】
1…デジタルスチルカメラ、2…光学系、3…信号処理系、4…記録系、5…表示系、6…制御系、24…CCDイメージセンサ、25…CDS回路、26…A/D変換回路、27…画像処理部、71…階調変換部、72…色差画像生成部、73…色差画像生成部、74…輝度画像生成部、75…色空間変換部、76…階調逆変換部、77…階調逆変換部、78…階調逆変換部、81…平滑化部、82…平滑化部、83…減算器、91…輝度算出部、92…ノイズ除去部、151…感度別色補間部151、152…感度均一化部152、153…感度均一化部153、154…感度均一化部154、161…抽出部161、162…色補間部162、171…局所和算出部171、172…合成感度補償部172、173…合成感度補償LUT173、181…輝度画像生成部、182…単色画像生成部、183…単色画像生成部、184…単色画像生成部、191…推定部、192…推定部、193…推定部、194…乗算器、195…乗算器、196…乗算器、197…加算器

Claims (8)

  1. 受光した光を光電変換して電荷を蓄積する水平方向および垂直方向に配置された複数の受光素子を具備する光電変換手段と、前記受光素子により蓄積された電荷を前記垂直方向に転送する垂直転送レジスタと、前記受光素子により蓄積された電荷を前記垂直転送レジスタに転送する転送ゲートとを備えた撮像装置であって、
    それぞれ異なる前記蓄積時間に応じて独立に駆動電圧を前記転送ゲートに印加可能に設けられた複数系統のゲート電極を備えており、
    当該複数系統のゲート電極のそれぞれは、有効画素領域中において前記水平方向に延在して配置されていることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記ゲート電極は、前記垂直転送レジスタにて前記電荷を前記垂直方向に転送させるための転送電極を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 全画素読出方式のものであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  4. 同一の感度特性を呈する前記受光素子の並び方向が前記垂直方向に一致するように、前記複数系統のゲート電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  5. 前記複数の受光素子のそれぞれは、複数の色成分のうちの何れかの色成分を有しており、
    前記色成分に拘わらず、同一の感度特性を呈する前記受光素子の並び方向が前記垂直方向に一致するように、前記複数系統のゲート電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  6. 前記複数系統のゲート電極のそれぞれに対応して、前記蓄積時間の異なる信号に対応した電子シャッタパルスを前記駆動電圧として印加するパルス駆動部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  7. 前記それぞれ異なる蓄積時間に応じて前記光電変換手段により撮像された複数系統の撮像信号に基づいて、信号処理により画像のダイナミックレンジを拡大する信号処理部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  8. 光強度に対する複数の感度特性のうちの何れかの感度特性を呈する感度モザイク画像を取得して被写体画像を撮像する撮像方法であって、
    それぞれ異なる前記蓄積時間に応じて独立に駆動電圧を前記転送ゲートに印加可能に設けられた複数系統のゲート電極を備えており、かつ当該複数系統のゲート電極のそれぞれが、有効画素領域中において前記水平方向に延在して配置されている撮像装置を使用し、
    前記複数系統のゲート電極のそれぞれに対応して、前記蓄積時間の異なる信号に対応した電子シャッタパルスを前記駆動電圧として印加することで、前記それぞれ異なる蓄積時間に応じた複数系統の撮像信号を取得し、
    この取得した複数系統の撮像信号に基づいて、信号処理により前記被写体画像のダイナミックレンジを拡大することを特徴とする撮像方法。
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