JP2004170833A - スイッチ素子及びそれを有する光スイッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁性基板31の上面には電極32及び34が形成され、電極32及び34には夫々外部から電圧を印可するための配線38及び39が接続されている。絶縁性基板31上面の電極部及び配線部を除いた部分には導電性膜40が設けられている。本発明の絶縁性基板31上には一対のポール33が設けられており、ポール33は夫々弾性的に可動する1対の支持棒37を支持している。支持棒37には、ミラー36が回転可能な状態で支持されており、ミラー36の光入射面には、光を反射するための反射膜35が形成されているスイッチ素子を有する光スイッチ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転支持されたミラーを駆動することにより、光の方向を変化させるスイッチ素子及びそれを有する光スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時のインターネットの普及により、大容量データ転送に対するニーズは急速に高まりつつあり、従来は主に大都市間を結ぶ基幹伝送系に導入されていた光ファイバ通信網が、一般家庭にまで広がりつつある(所謂FTTH:Fiber To TheHome)。また、通信容量も飛躍的に増加し、数百Tb/秒以上に達するものと予想されている。この大容量化を支える基盤技術として、WDM(Wavelength Division Multiplex)と呼ばれる波長分割多重光伝送方式が脚光を浴びている。前記WDMは、1本の光ファイバに波長の異なる100以上のレーザー光を伝送する方式で、光ファイバの設置数を指数的に増加させることなく大容量光通信ネットワークを構築できるという長所がある。更に、ネットワークの構成についても、従来のリング型基幹ネットワークから、階層型メッシュネットワークへ移行しつつある。前記メッシュネットワークは、基幹系、メトロ系及びアクセス系の夫々の階層において、網目状にネットワークが張り廻らされているため、一部の回線が遮断されても、迂回経路を使用してネットワークを維持することが可能であり、ネットワークの多重化によるコスト低減を実現することができる。また、前記メッシュネットワークは、回線毎に通信サービスの質を変更することも可能であり、ネットワーク資源の有効利用を図ることができる。このような光通信ネットワークにおける情報の分離統合を、有機的且つ機能的に管理及び運営するため、ネットワークノード(Network Node)において、ブロッキング無くスイッチングを行うことは、欠かすことのできない機能の一つである。更に、ネットワークの全光化は、スイッチ内において光電気変換を行わないため、大幅にコストダウンが可能であり、それを実現するための、低挿入損失、高速切り替え、高消光比、低クロストーク、波長及び偏波無依存性、小型、低消費電力、高信頼性並びに低コストである光スイッチが求められている。特に、光ネットワークの拡大に伴い、加入者に近い領域においては、光スイッチの低コスト化が重要な課題となっている。
【0003】
前記光スイッチは、一般に電気式又は機械式に分類される。電気式光スイッチは光の屈折率又は位相を変化させるもので、ニオブ酸リチウム結晶等により電気光学特性を変化させる光導波路型、及びSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタにより音響光学特性を変化させる回折型等がある。これらの電気式光スイッチは、高速スイッチングが可能であるが、WDM方式を前提とした場合、挿入損失、波長及び偏波依存性並びにクロストークに問題がある。
【0004】
一方、機械式光スイッチは、機械的に光路を切り替えるものであり、導波路(光ファイバを含む)を移動させる光導波路可動型と光ビームをプリズム又はミラーを使用して移動させる光ビーム可動型とに大別される。光導波路可動型は光路そのものを切り替えるため、挿入損失が小さく、アイソレーションが高く、波長及び偏波依存性がない等、WDM方式に対して有利な特徴を有しており、更に、自己保持機能を付加することにより、無電源時においても通信路を確保できる。その一方で、スイッチング速度が遅く、スイッチ規模についても10ポート程度になるという難点もある。それに対し、光ビーム可動型光スイッチは、高速化及び大規模化に対して特に有利であり、最も有望視されている光スイッチである。また、近年MEMS(Micro Electro Mechanical System)を適用した機械式光スイッチが脚光を浴びている。MEMS光スイッチは、基本的にSi半導体プロセスを利用して作製されるため、小型化、高速化、低コスト化及び入出力ポート数の大規模化が期待できる。
【0005】
光ビーム可動型のMEMS光スイッチで現在注目を集めているのは、二次元型(非特許文献1参照)及び三次元型(特許文献1参照)の二種類である。図7に二次元型MEMS光スイッチの構成例を、図8にはその動作時の模式図を示す。図7に示すように、二次元型MEMS光スイッチは、入力光ファイバ11及び出力光ファイバ12が同一平面上に主に90度の角度をもって配置されており、その先端にはコリメーションレンズ13が設けられている。通常は、入力のポート数より出力のポート数が多く配置される。入力光ファイバ11の端部からの光をコリメーションレンズ13で平行光ビームとし、それに対し入力光ファイバ11及び出力光ファイバ12の中心軸に対して相互に45度傾いたポップアップミラー10を、図8に示すように、入力レーザー光の光軸上に持ち上げることで、光の方向を制御して望みの出力光ファイバ2と結合する。この場合、ポップアップミラー10の大きさをレーザービーム径に対して十分大きくすると、ミラーを持ち上げるだけの動作で済むため、単純なオンオフ動作を行えばよくなり、スイッチ素子及びその駆動回路構成を単純化でき、スイッチコストも大幅に下げることができる。しかしながら、大規模化については、ポートの位置により光路長差が顕著になるため、固定焦点レンズを使用すると光量の損失が大きくなり、実用上は64ポート程度までと考えられている。
【0006】
図9は三次元型MEMS光スイッチの上面図であり、図10はその概念図である。図9に示すように、三次元型MEMS光スイッチは、可動マイクロミラーとして、二軸回転ミラーであるMEMSミラーアレイ20を使用する。三次元型MEMS光スイッチは、図に示すように、入力光ファイバアレイ21からから放射されたレーザー光を、コリメーションレンズアレイ23で集光し、平行ビームにし、二軸回転ミラーであるMEMSミラーアレイ20で反射する。ミラーの角度を正確に制御し、もう一つのMEMSミラーアレイ20にレーザー光を導き、出力側のコリメーションレンズアレイ23のコア部分に集光し、出力光ファイバアレイ22に結合することによってレーザー光をスイッチングする。三次元型MEMS光スイッチは、光ファイバを2次元的に配置することができるため、2次元MEMS光スイッチよりポートによる光路差が小さく、挿入損失レベルを増加することなく大規模化を行うことができる。但し、レーザー光を2次元配置された光ファイバへ導くには、3次元可動のスイッチ素子が2個必要であり、更に相互に高精度な角度制御を行う必要があるため、かなりコスト高になる可能性がある。
【0007】
前記三次元型MEMS光スイッチに使用される3次元可動スイッチ素子の駆動力としては、一般に静電力が利用される。電磁力を利用することも可能であるが、その場合、一定の変位を維持するために電流を流し続けなければならず、数百乃至数千ポート規模のスイッチにおいては、数十アンペア以上の電流容量が必要となる。更に、電磁力を利用する場合、発熱の制御が必要となるため、コスト及び信頼性の点で問題が生じる。一方、静電力の場合は、100V程度の高電圧が必要になるが、電流はほとんど流れないため、消費電力が小さく、コストメリットが大きい。
【0008】
静電力を利用する上で問題となるのは、駆動力の非線形性、電圧が加わっている1対の電極が一定間隔以下になると急激に駆動力が増加して電極同士が接触してしまうプルイン(Pull−in)という現象の発生、及び高電圧駆動に伴う放電破壊である。駆動力の非線形性は、静電力が加わる電極間が一定の場合は電圧の自乗に比例するが、静電力に対して一方の電極が変位するスイッチ素子の場合は、電極間距離が短くなると加速度的に静電力が増加し、顕著に現れる。この限界領域付近の位置決め安定性は、プルインの発生及び光スイッチのポート数の制限につながるため、光スイッチの性能を左右する重要な技術である。また、非線形特性に問題がなくても、プルインが生じてしまう可能性あるため、プルインが発生しても回復不可能な障害に至らない構造を採用することが、光スイッチとしての信頼性を高める上で極めて重要である。
【0009】
また、静電力を利用する場合、電荷蓄積による静電力の変動が問題になる。静電力スイッチ素子は、一種のコンデンサであり、そのコンデンサを充電する為には一定の時間(時定数)が必要である。静電力スイッチ素子に依存するすべての寄生容量の時定数が、静電力スイッチ素子に対して求められる応答速度に対して十分低い場合は問題ないが、大規模なアレイ化を想定する場合、寄生容量の影響は無視できなくなる程大きくなる。更にまた、駆動電極からの漏れ電界の影響で、駆動電極回りに同電荷が蓄積(チャージアップ)する場合が多く、静電力スイッチ素子の変位を変動させる原因となっている。これらの問題に対しては、一般に、DC的な駆動方法ではなく、AC的な駆動方法を採用することで対策している。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第6,300,619B1号明細書
【非特許文献1】
l.Y.Lin、他2名,「Free−space Micro machined Optical Switches with Sub−millisecond Switching Time for Large−scale Optical Cross connect」,“IEEE Photonics Technology Letters”,1998,Vol.10,No.4,p.525−527
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光スイッチの場合には、時間的な揺らぎ及びモジュレーションに対する制限が厳しいため、必然的に駆動周波数を上げなければならなくなるが、高電圧の高周波ドライバアンプは極めて高価である。そこで、光スイッチの大規模化を行う場合には、各スイッチ素子を走査駆動することが必要となる。また、その場合でも一定時間静電力を保たなければならないため、静電力変動は避けられない問題である。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、回復不可能な故障に強く、低コストにて大規模化が可能であり、高速なスイッチング速度を有する光ビーム可動型光スイッチに好適なスイッチ素子及びそれを有する光スイッチを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスイッチ素子は、ミラーと、絶縁性基板と、前記ミラーを前記絶縁性基板上で傾動可能に支持する支持部材と、前記絶縁性基板の上面に設けられ、前記ミラーに静電力を付与する1対の電極と、前記電極に電圧を印加する配線とを有し、前記絶縁性基板の上面における電極及び配線以外の部分には、前記電極及び配線から電気的に独立した導電性膜が設けられていることを特徴とする。
【0014】
前記導電性膜と電極との距離は、ミラーの回転軸と電極との距離以下であることが好ましい。また、前記導電性膜とミラーの電位は等しいことが好ましい。更に、前記導電性膜及びミラーの電位は接地電位であることが好ましい。
【0015】
前記スイッチ素子は、前記絶縁性基板に設けられ、前記ミラーの電極方向への変位を拘束する支柱を有していてもよい。前記支柱の表面には前記導電性膜に接続された導体膜が形成されていることが好ましい。又は、前記支柱は導電性材料からなり、前記導電性膜に接続されていることが好ましい。
【0016】
前記スイッチ素子の前記電極及び配線上には絶縁性膜が形成され、少なくとも前記配線上に形成された絶縁膜上には、前記配線から漏洩する電界を防ぐ導電性シールド膜が形成されていることが好ましい。その場合、前記シールド膜は、前記導電性膜及びミラーの電位と等しいことが好ましい。更に、前記シールド膜、導電性膜及びミラーの電位は接地電位であることが好ましい。
【0017】
本発明の光スイッチは、前記スイッチ素子を有し、例えば、前記スイッチ素子を集積化し、ファイバアレイ及びレンズアレイ等とともにモジュール化することにより作製することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るスイッチ素子について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1実施形態のスイッチ素子を示す平面図であり、図2はそのX−X線による断面図である。図1及び2に示すように、本実施形態の絶縁性基板31の上面には電極32及び34が形成され、電極32及び34には夫々外部から電圧を印可するための配線38及び39が接続されている。また、絶縁性基板31上面の電極部及び配線部を除いた部分には、電極32及び34並びに配線38及び39から電気的に独立した導電性膜40が設けられている。更に、絶縁性基板31上には1対のポール33が設けられており、ポール33は夫々弾性的に可動する1対の支持棒37を支持している。支持棒37には、ミラー36が回転可能な状態で支持されており、ミラー36の光入射面には、光を反射するための反射膜35が形成されている。また、ミラー36の回転軸及び支持棒37はポール33により、電極32及び34と一定の距離になるように保持されている。
【0019】
本実施形態のスイッチ素子におけるミラー36のチルト動作は、電極32又は34とミラー36との間に一定の電位差を加えることにより発生する静電吸引力を利用して行う。ミラー36は、支持棒37によって回転可能に支持されており、ミラー36に加わる静電力によって生じるトルクによって回転する。通常、支持棒37は弾性的に変形が可能であるため、回転によって生じる反力と、回転トルクとの釣り合い位置でミラー36の回転は静止し、ミラー36は絶縁性基板31に対して一定のチルト角を保った状態で保持される。この動作により、本発明のスイッチ素子は、ミラー36に入射する光の反射方向を変化させ、光のスイッチング及び光のアッテネーションを行う。
【0020】
また、図3(a)は、前記第1実施形態のスイッチ素子と同様の構造で、導電成膜40を設けていないスイッチ素子において、ミラー36及び電極34間に電圧を加えた場合の電界分布を示す模式図であり、図3(b)は前記第1実施形態のスイッチ素子のミラー36及び電極34間に電圧を加えた場合の電界分布を示す模式図である。図3(a)に示すように、導電性膜40を備えていないスイッチ素子は、ミラー36と電極34との間隔が電極面積に対して十分大きい場合は電気力線がミラー36と電極34との間に集中し、電気的なエネルギー漏れは少ないが、ミラー36の直径に対してミラー36と電極34との距離が同オーダー又は1桁小さい程度の場合は、電極の端から出る漏れ電界が増加し、一部の電気力線は電極34から直接絶縁性基板31に入って、無限遠又はいずれかの接地(グラウンド)に達する。この時、電極34に正電圧が加わっていると、絶縁性基板31の表面には正の電荷が生じる。また、その場合、想定される浮遊容量を充電するための電荷は絶縁性基板31上にあるため、ほぼ固定されてしまう。更に、電界の漏れそのものは小さいため、前記浮遊容量を充電するための時間が長くなり、数分のオーダーに達する場合がある。そのため、入力電圧は一定であるにもかかわらず、ミラーチルト角は数分間にわたって微増し続けるドリフト現象が発生する。前記ドリフト現象はミラーチルト角が大きくなるほど顕著となる。特に、プルイン発生領域に近い電圧で駆動した場合は、電圧補正が間に合わず、チルト安定性が損なわれる危険性が高い。
【0021】
一方、図3(b)に示すように、前記第1実施形態のスイッチ素子は、絶縁性基板31の表面に導電性膜40を備えているため、漏れ電界による電気力線は導電性膜40に入る。この時、導電性膜40上は同電位に保たれるため、電荷の移動は容易に行われるため電荷が集中する危険性は低く、チャージアップによるミラーチルト角のドリフトは発生しない。
【0022】
なお、前記第1実施形態において、導電性膜40と電極34との距離がミラー36と電極34との距離より長くなると、漏れ電界を吸収する効果が導電性膜40を備えていない場合と同等になってしまうため、絶縁性基板31上に電荷が蓄積し、チャージアップの影響が避けられなくなる。従って、導電性膜40と電極34との距離は、少なくともミラー36の回転軸と電極34との距離より短くすることが好ましい。
【0023】
また、前記第1実施形態において、ミラー36の電位と導電性膜40の電位が異なると、ミラー36全体を絶縁性基板31方向へ引き込む力が発生するため、ミラーと電極との距離が短くなり、許容チルト角が減少してしまう。従って、ミラー36と導電性膜40は同電位にすることが好ましい。それにより、スイッチ素子の性能劣化を抑制することができる。
【0024】
更に、前記第1実施形態のスイッチ素子においては、前述の電位が接地電位であることが好ましい。それにより、駆動回路構成が簡略化され、静電気による粉塵吸着が回避でき、より低コストで信頼性の高いミラーチルト機構を提供することができる。
【0025】
一般に、支持棒には、ミラーを回転させる方向に対する回転剛性が低く、ミラーの水平移動、面内回転及び落下剛性が高いという性能が求められている。これらの性能を安価な単一支持バネで実現することは極めて困難である。例えば、回転剛性がその他の剛性に対して十分低い場合であっても、ミラーは回転運動だけでなく駆動電極方向への並進運動をも誘発し、更に電極が有限の面積を有する場合には、ミラーを電極方向へ水平に引き込む力が更に大きくなってくる。そこで、本発明者等は、単一支持バネのみで支持棒を構成するには限界があり、回転支持及び並進(落下防止)支持を設け、各々の支持剛性を最適化することによりこれらの問題が改善することを見出した。図4(a)は本発明の第2実施形態のスイッチ素子を示す平面図で、(b)はそのY−Y線による断面図である。本発明の第2実施形態に係るスイッチ素子は、図4(b)に示すように、ミラー46の落下を抑制するための支柱43が、ミラー46の直下に設けられている。本実施形態では、支持棒の剛性を十分低く設定することが可能であり、それにより駆動電圧を下げると共に設計されたチルト角を実現することができる。また、製造時におけるミラー46と絶縁性基板41との回復不可能な吸着を避けることもできる。更に、ミラー46及び支柱43は高剛性に設計することが可能であり、信頼性の高いスイッチ素子を形成することができる。
【0026】
また、絶縁性基板41をエッチングすることにより支柱43を形成した場合、電界の漏れにより生じるチャージアップによって、ミラー46のチルト角がドリフトし、短時間にその補正を行わなければならなくなる。これは、絶縁性材料で形成された支柱43を絶縁性基板41に接合した場合も同様である。そこで、本実施形態のスイッチ素子は、図4(b)に示すように、支柱43の表面にも導電性膜40を形成し、更に電極及び配線以外の導電性膜40と接続することにより、チャージアップを抑制する。
【0027】
次に、本発明の第3実施例に係るスイッチ素子について説明する。図5は本発明の第3実施形態のスイッチ素子の断面図であり、図4(b)に対応している。本実施形態のスイッチ素子は、図5に示すように、支柱53が導電性材料で構成されているため、導電性膜50と電気的に接続するだけで、前記第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0028】
次に、本発明の第4実施形態に係るスイッチ素子について説明する。図6(a)は本発明の第4実施形態のスイッチ素子の配線及び電極部分を示す断面図であり、配線の長手方向に切断したものである。図6(b)は図6(a)のA−A線による断面図である。本実施形態のスイッチ素子は、全面に絶縁性膜68を設け、配線66上の絶縁性膜68の上に、導電性を有するシールド膜60を設けている。これにより、電圧が印加されている配線66から漏洩する電界をシールドすることができ、更に集積化されたスイッチ素子を同時に駆動する際の相互干渉を低減することができる。スイッチ素子は、半導体プロセスに使用されている微細加工技術を適用し、電極形状及び配線をフォトリソグラフィによってパターン形成している。その際、配線ピッチが数μmのオーダーとなり、粉塵等でショートする可能性が高いため、少なくとも電極及び配線の上には絶縁性膜が形成されている。前記絶縁性膜は、100Vを越える高電圧駆動時に、プルインが発生してミラーと電極が接触し、ショートにより破壊が生じる問題にも有効である。また、スイッチ素子が集積化されると配線の引き回しに余裕が無くなり、ミラー及び支持棒の下に配線が通る可能性がある。その場合、ミラー及び支持棒と配線との間に静電力が働いてしまう。しかし、図6(b)に示すように、絶縁性膜68を設けた配線66上に導電性膜としてのシールド膜60を形成すると、電界が印加されている配線66からの電界をシールドすることができ、集積化されたスイッチ素子を同時に駆動する際の相互干渉を低減できる。また、シールド膜60は、図6(c)に示すように、電極上の部分を除く絶縁性膜68上に形成することができる。そうすることにより、上述したチャージアップによるチルト角のドリフトを抑制することもできる。更に、図6(d)に示すように、絶縁膜68が、電極部分及び配線部分で夫々独立して形成されている場合、電極部分を除く絶縁性膜68及び絶縁性基板63の表面上にシールド膜60を設けることにより、同様の効果が得られる。但し、電極及び配線以外の部分に前記導電性膜を形成し、その後、絶縁性基板の全面に絶縁性膜を形成すると、浮遊容量が増大してチャージアップが増大するので好ましくない。
【0029】
前記第4実施形態において、絶縁性膜68上のシールド膜60の電位は、絶縁性基板63上に形成された導電性膜及びミラーの電位と等しいことが好ましい。同様に、絶縁性膜68上の導電性膜60、絶縁性基板63上の導電性膜及びミラーの電位は接地電位であることが好ましい。そうすることにより、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0030】
更に、本発明のスイッチ素子を集積化したミラーアレイをファイバアレイ及びレンズアレイとともにモジュール化し、光の入出力側に一対ずつ配置した光スイッチは、スイッチ素子のミラーのチルト角を変更することによって任意のポートに光路を切り替えることができ、前述した機能を実現することができる。
【0031】
なお、これまで示した実施形態は全て1軸の場合を想定しており、ある一定の平面内での光路変化を実現するものである。光路変化領域を空間的に広げるためには、前記スイッチ素子を2軸回転動作するように構成すればよく、本発明の全ての請求項は2軸スイッチ素子にも対応可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、スイッチ素子の絶縁性基板に導電性膜を設けることにより、ミラーチルト角のドリフトを防ぐことができる。また、ミラーの電極方向に対する変位を拘束し、導電性を有する支柱を設け、電極及び配線上に絶縁性膜を設けることにより、信頼性を向上することができる。更に、本発明のスイッチ素子を使用することにより、チルト角が広く、スケーラビリティに優れ、低コストで、且つ信頼性の高い光スイッチを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のスイッチ素子の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のスイッチ素子のX−X線による断面図である。
【図3】(a)は導電性膜を設けていないスイッチ素子に電圧を加えた場合の電流分布を示す模式図であり、(b)は本発明の第1実施形態に電圧を加えた場合の電流分布を示す模式図である。
【図4】(a)は、本発明の第2実施形態のスイッチ素子の平面図であり、(b)はそのY−Y線による断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態のスイッチ素子の断面図である。
【図6】(a)本発明の第4実施形態のスイッチ素子の配線及び電極部分を示す断面図であり、配線の長手方向に切断したものである。(b)乃至(d)は、(a)のA−A線による断面図である。
【図7】従来の二次元型MEMS光スイッチの構成及び動作を示す概略図である。
【図8】従来の二次元型MEMS光スイッチの模式図である。
【図9】従来の三次元型MEMS光スイッチの模式図である。
【図10】従来の三次元型MEMS光スイッチの構成及び動作を示す概略図である。
【符号の説明】
10;ポップアップミラー
11;入力光ファイバ
12;出力光ファイバ
13;コリメーションレンズ
20;MEMSミラーアレイ
21;入力光ファイバアレイ
22;出力光ファイバアレイ
23;コリメーションレンズアレイ
31、41、63;絶縁性基板
33、48、58;ポール
43、53;支柱
32、34、44,54、64;電極
35、45、55;反射膜
36、46、56;ミラ−
37、47、57;支持棒
38、39、66;配線
40、50;導電性膜
60;シールド膜
68;絶縁性膜
Claims (10)
- ミラーと、絶縁性基板と、前記ミラーを前記絶縁性基板上で傾動可能に支持する支持部材と、前記絶縁性基板の上面に設けられ、前記ミラーに静電力を付与する1対の電極と、前記電極に電圧を印加する配線とを有し、前記絶縁性基板の上面における電極及び配線以外の部分には、前記電極及び配線から電気的に独立した導電性膜が設けられていることを特徴とするスイッチ素子。
- 前記導電性膜と電極との距離が、ミラーの回転軸と電極との距離以下であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ素子。
- 前記導電性膜とミラーの電位が等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ素子。
- 前記導電性膜及びミラーの電位が接地電位であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスイッチ素子。
- 前記絶縁性基板に設けられ、前記ミラーの電極方向への変位を拘束する支柱を有し、前記支柱の表面には前記導電性膜に接続された導体膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスイッチ素子。
- 前記絶縁性基板に設けられ、前記ミラーの電極方向への変位を拘束する支柱を有し、前記支柱は導電性材料からなり、前記導電性膜に接続されていることを特徴とする項1乃至4のいずれか1項に記載のスイッチ素子。
- 前記電極及び配線上には絶縁性膜が形成され、少なくとも前記配線上に形成された絶縁膜上には、前記配線から漏洩する電界を防ぐ導電性シールド膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスイッチ素子。
- 前記シールド膜は、前記導電性膜及びミラーの電位と等しいことを特徴とする請求項7に記載のスイッチ素子。
- 前記シールド膜、導電性膜及びミラーの電位が接地電位であることを特徴とする請求項7又は8に記載のスイッチ素子。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスイッチ素子を有する光スイッチ。
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