JP2004170374A - 表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法 - Google Patents
表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004170374A JP2004170374A JP2002339653A JP2002339653A JP2004170374A JP 2004170374 A JP2004170374 A JP 2004170374A JP 2002339653 A JP2002339653 A JP 2002339653A JP 2002339653 A JP2002339653 A JP 2002339653A JP 2004170374 A JP2004170374 A JP 2004170374A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- defect detection
- image
- specimen
- inspection target
- imaging
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】精度よく鋳物等の供試体表面の表面欠陥を検出する。
【解決手段】表面欠陥検出装置は、供試体と同種の鋳物サンプルを複数撮像することにより、予め、参照用画像を取得する(S201)。次に、供試体表面を撮像して検査対象画像を取得する(S202)。この検査対象画像に対してガウス平均化処理を行い、鋳物表面の凹凸による輝度差を平滑化する(S203)。次に、パターンマッチングを行い、検査対象画像を参照用画像に適合させる(S204)。このパターンマッチングにより、検査対象画像と参照用画像の輝度値の傾向が一致する。次に、検査対象画像を正像化処理して、傾き、枠、画素の配列を一致させる(S205)。最後に、検査対象画像に対して統計的な処理を行い、表面欠陥を検出する(S206〜S209)。
【選択図】 図2
【解決手段】表面欠陥検出装置は、供試体と同種の鋳物サンプルを複数撮像することにより、予め、参照用画像を取得する(S201)。次に、供試体表面を撮像して検査対象画像を取得する(S202)。この検査対象画像に対してガウス平均化処理を行い、鋳物表面の凹凸による輝度差を平滑化する(S203)。次に、パターンマッチングを行い、検査対象画像を参照用画像に適合させる(S204)。このパターンマッチングにより、検査対象画像と参照用画像の輝度値の傾向が一致する。次に、検査対象画像を正像化処理して、傾き、枠、画素の配列を一致させる(S205)。最後に、検査対象画像に対して統計的な処理を行い、表面欠陥を検出する(S206〜S209)。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置及び表面欠陥検出方法、特に、供試体表面の画像を取得し、この画像に対して欠陥検出処理を行う表面欠陥検出装置及び表面欠陥検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳物部品等の表面欠陥の検出は、作業者による目視検査に頼っているのが実情であった。しかし、目視検査では、作業者が欠陥を見逃す可能性があり、信頼性に問題があった。また、鋳物部品等は重量物が多く、これを手に持ち検査する作業者の負担が大きいため、重筋(エルゴ)対策の面でも、目視検査の機械化が要望されている。
【0003】
このような背景から、昨今では、光学計測により、鋳造部品の機械加工面に発生する欠陥(鋳巣)の検出が行われるようになってきている。このような光学計測による欠陥検出技術としては、ラインセンサを用いて円筒内面の表面欠陥を検出する技術(特開平11−23477号公報)があった。
【0004】
また、鋳肌表面に発生する表面欠陥を検出する試みも行われており、このような欠陥検出技術としては、特徴量を計測することにより欠陥を検出する技術や、複数の鋳物サンプルの表面画像を参照用画像として撮像し、この参照用画像に基づき統計的処理を行うことにより欠陥を検出する技術(特開平10−103938号公報)があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−23477号公報
【特許文献2】
特開平10−103938号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鋳肌表面のように細かな凹凸を持つ面の画像を撮像すると、凹凸に対応して画像の輝度差が大きく、上記従来技術を適用しても、表面欠陥を検出できなかったり、正常な表面部位を表面欠陥として誤検出してしまう、といった問題があった。なお、このような問題は、鋳物表面において顕著であるが、同様に表面に凹凸を持つ製品、例えば、鍛造部品、粗い機械加工がされた部品などにおいても生じうる問題である。
【0007】
また、鋳物の表面画像は、鋳物自体の形状、撮像を行うカメラに対する表面の傾き具合などにより、鋳物の部位ごとに輝度の傾向が変化する。したがって、鋳物サンプルの参照用画像を用いて統計的処理を行ったり、検査対象となる鋳物の表面画像を参照用画像と比較することにより欠陥を検出する場合には、検査対象となる鋳物、及び鋳物サンプルの同じ部位に対して統計的処理などを行うべきである。しかし、実際には、鋳物を撮像するごとに鋳物の傾き、向きなどの状況が変化するため、検査対象の鋳物の画像は、参照用画像に対して多少ずれてしまう。そして、このずれにより輝度値の傾向が異なる部位に対して統計的処理、比較などが行われることとなるため、結果として、表面欠陥を精度よく検出できない、といった問題が生じていた。なお、この問題も、鋳物だけでなく、他の種類の製品においても生じうる問題である。
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明は、精度よく供試体表面の表面欠陥を検出する表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置であって、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を取得する撮像手段と、前記検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う前処理部と、前記ガウス平均化された検査対象画像に対して欠陥検出処理を行う欠陥検出処理部と、を備えるものである。
【0010】
このように検査対象画像に対してガウス平均化処理を行うことにより、表面画像は平滑化され、輝度値のバラツキを抑えることができる。そして、この平滑化された画像に対して欠陥検出処理を行うことにより、輝度値のバラツキに影響されずに表面欠陥の検出を行うことができる。なお、ここで欠陥検出処理とは、表面欠陥を検出するために、検査対象画像に対して行う様々な画像処理のことである。例えば、供試体と同種の鋳物サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を用いて統計的な処理を行ったり、参照用画像と比較処理を行う画像処理である。また、検査対象画像自体から欠陥を検出する画像処理などでもよい。なお、検査対象画像に対して単なる平均化処理を行った場合には、画素の輝度値のバラツキは平滑化されない。よって、ガウス平均化処理は、単なる平均化処理と比較しても、効果がある処理である。
【0011】
また、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置であって、前記供試体と同種の基準サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を記憶する参照用画像記憶部と、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を取得する撮像手段と、前記検査対象画像と前記参照用画像を適合させるパターンマッチング処理を行うマッチング処理部と、前記マッチング処理後の検査対象画像と前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行う欠陥検出処理部と、を備えるものである。
【0012】
このように、パターンマッチングを行い、検査対象画像と参照用画像を適合させることにより、検査対象画像と参照用画像のずれが修正される。このため、検査対象画像と参照用画像の輝度値の傾向を一致させることができ、表面欠陥を精度よく検出することができる。
【0013】
また、上述の表面欠陥検出装置は、前記マッチング処理された検査対象画像と前記参照用画像の画素マトリクスを一致させる正像化処理を行う正像化処理部を備えることが好ましい。このように画素マトリクスを一致させることにより、互いの画素が対応するため、検査対象画像と参照用画像の統計的処理、比較処理などを迅速に行うことができる。
【0014】
また、本発明の一態様においては、前記撮像手段は、前記供試体を回転する手段と、回転する供試体の表面を撮像するラインセンサカメラと、を有するものとして構成されてもよい。撮像手段を、このような構成とすることにより、供試体周囲の全表面を一枚の画像として一度に撮像することができる。
【0015】
また、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出方法であって、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を撮像する撮像ステップと、前記検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う前処理ステップと、前記ガウス平均化された検査対象画像に対して欠陥検出処理を行う欠陥検出ステップと、を含む方法である。
【0016】
また、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出方法であって、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を撮像する撮像ステップと、前記検査対象画像と、前記供試体と同種の基準サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を適合させるパターンマッチング処理を行うマッチングステップと、前記マッチング処理後の検査対象画像と前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行う欠陥検出ステップと、を含む方法である。
【0017】
また、上述の表面欠陥検出方法は、さらに、前記マッチング処理された検査対象画像と前記参照用画像の画素マトリクスを一致させる正像化処理を行う正像化ステップを含み、この正像化された検査対象画像及び前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行うことが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[装置構成]
まず、本実施形態に係る表面欠陥検出装置10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る表面欠陥検出装置10の構成の概略を示す図である。表面欠陥検出装置10は、モータ24により回転駆動されるターンテーブル14を備え、鋳物である供試体12がこのターンテーブル14上に載置される。供試体12の表面は、照明16により照らされ、この照らされた供試体12の表面上の1直線の画像がラインセンサカメラ18により撮像される。供試体12の回転と同時にラインセンサカメラ18が撮像を行うことにより、供試体12表面の展開画像が撮像される。画像処理部20は、ラインセンサカメラ18より出力される展開画像を取り込み、欠陥検出処理を行う。表示部22は、ユーザの指示に応じて、撮像された展開画像、欠陥検出処理後の画像などを表示する。また、モータ24の回転角は、エンコーダ26により計測され、画像処理部20に出力される。画像処理部20では、このエンコーダ26からの出力により、ラインセンサカメラ18により撮像された1直線の画像が、供試体12の表面のどの位置の直線であるかを認識する。なお、画像処理部20及び表示部22には、一般的に用いられているコンピュータを用いればよい。
【0020】
次に、本実施形態に係る表面欠陥検出装置10の画像処理部20が行う表面欠陥を検出する処理について説明する。図2は、その処理の流れを示すフローチャートである。図2に示される処理S203〜S209は、画像処理部20内でプログラムにより実行される処理である。よって、各処理を機能ブロックで表現すれば、前処理部、欠陥検出処理部、パターンマッチング処理部、正像化処理部、欠陥検出処理部を備えていることと等価である。
【0021】
[参照用画像の取り込み]
画像処理部20は、まず、後の統計的処理で用いるための参照用画像を取り込む処理を行う(S201)。この処理のために、ユーザは供試体12と同じ鋳造型を用いて製造された、供試体と同種の鋳物サンプルを複数個(n個)用意し、各鋳物サンプルをターンテーブル14上にセットし、展開画像の取り込みを行う。この展開画像の中で、欠陥検出を行いたい供試体の部分のみを切り出し、後の説明で詳述するガウス平均化処理、パターンマッチング処理、及び正像化処理を行う。そして、後の処理で用いるための参照用画像として、画像処理部20内のメモリに格納する。また、格納とともに、次の処理が行われる。
【0022】
画像処理部20は、参照用画像に対して、下記の式1の演算を行い、複数の展開画像の互いに対応する画素の画素値を平均して、その平均値を新たな画素値とした平均画像を演算する。また、複数の展開画像の互いに対応する各画素について、下記の式2の演算を行い、標準偏差σを演算する。そして、3σ+Y(Yは安全率)を各画素の画素値とするバラツキ画像を演算する。これらの平均画像及びバラツキ画像も、後の処理において用いるために、画像処理部20内のメモリに格納される。
【0023】
【数1】
なお、式1において、Xnはn番目の鋳物サンプルの画素値である。
【数2】
この式2におけるSは、次の式3の演算を行うことにより得られる。
【数3】
【0024】
以上の処理は、欠陥検出を行うにあたっての予備的な処理であり、上述した参照用画像、平均画像、及びバラツキ画像を得るために行われる。したがって、実際の生産ラインでは、例えば週に一度、又は一日に一度行えばよい。なお、展開画像が撮像される鋳物サンプルの個数は、多数であるほどよいが、一つでも以降の欠陥検出処理を行うことは可能である。また、鋳物サンプルは、できるだけ表面欠陥のない健全なものを用いることが好ましい。
【0025】
[ガウス平均化処理]
次に、表面欠陥の検査を行う供試体12をターンテーブル14上にセットし、展開画像の取り込みを行う(S202)。この供試体12の展開画像が、画像処理部20において欠陥検出処理が行われる検査対象画像である。画像処理部20は、この検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う(S203)。
【0026】
ここで、図3を参照して、ガウス平均化処理について説明する。ガウス平均化処理では、検査対象画像の各画素に対して、以下に説明する処理が行われる。まず、図3(a)に示すように、検査対象画像の1つの画素(以下、注目画素という)30と、この注目画素30の周囲の領域に存在する周辺画素32,34とを含む領域を、ガウス平均化処理を行う対象領域36として設定する。図3(a)では、対象領域36は、注目画素30に隣接する8つの周辺画素32,34を含む領域とされているが、より広い範囲の周辺画素を含む領域としてもよい。なお、各画素30〜34の中に記載された数値は、その画素30〜34の画素値である。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、このようにして設定された対象領域36の各画素30〜34に対して、ガウス分布に応じて重み付け値を与える。つまり、対象領域36の横方向及び縦方向に応じたガウス分布曲線38,40を生成し、各画素30〜34の横方向位置、縦方向位置に対応した分布値を積算して、重み付け値を計算する。この結果、注目画素30には重み付け値1/4が与えられ、注目画素30の上下左右に位置する周辺画素32には重み付け値1/8が与えられ、注目画素30の斜め方向に位置する周辺画素34には重み付け値1/16が与えられる。なお、重み付け値は、対象領域36の全画素30〜34について合計すると1となるように値が決められている。
【0028】
そして、図3(c)に示すように、対象領域36の各画素30〜34について、上記の重み付け値と画素値を積算し、各積算値を加算した値を、注目画素30の新しい画素値として設定する。以上、説明した処理を検査対象画像の全画素について行うことにより、ガウス平均化処理が行われた画像が得られる。
【0029】
上述した検査対象画像に対するガウス平均化処理が、本実施形態の第一の特徴事項である。欠陥検出処理の前処理として、撮像された展開画像に対してガウス平均化処理を行うことにより、鋳肌表面の凹凸により生じた輝度差が平滑化される。このため、欠陥検出処理において、輝度差による欠陥の検出漏れ、及び誤検出を防止することができる。
【0030】
[パターンマッチング処理]
次に、画像処理部20は、ガウス平均化処理された検査対象画像に対してパターンマッチングを行い(S204)、検査対象画像の中からを参照用画像に適合した領域を探索する処理を行う。このパターンマッチング処理を、図4を参照して説明する。図4(a)は参照用画像42であり、図4(b)は検査対象画像44である。なお、図4では、説明の便宜のために、鋳物サンプル、供試体12の形状を星印46,48で表している。撮像ごとに供試体12のターンテーブル上における位置、傾きなどが変化するため、検査対象画像44に示される供試体48は、参照用画像42に示される鋳物サンプル46に対して傾いている。
【0031】
パターンマッチング処理では、検査対象画像44上に、参照用画像42と同じ大きさの窓枠50を設定し、この窓枠50内の検査対象画像44と参照用画像42の相関計数rを計算する。そして、計算された相関係数rが所定の閾値(0.8)より小さい場合には、窓枠50の位置、傾きを変更し、再度、相関係数rの計算を行う。相関係数rが閾値(0.8)以上である場合、すなわち、図4(c)のように窓枠50内の検査対象画像44が参照用画像42とほぼ一致した場合には、窓枠50内の領域を参照用画像42に適合した領域として選択する。この相関係数rを計算する処理は、相関係数rが0.8以上となるまで繰り返される。なお、本実施形態では、閾値を、一般的に相関度が高いとされる0.8に設定しているが、勿論この値に限られない。参照用画像42との適合精度を高くしたければ、閾値をより高い値とすればよく、適合精度が低くてもよいのであれば、閾値をより低い値とすればよい。
【0032】
ここで、本実施形態における相関係数rの計算について、図5を参照して説明する。相関係数rの計算方法としては、数種類の方法が公知であるが、本実施形態では特に次の計算方法を用いている。
【0033】
図5(a)は参照用画像42であり、図5(b)は窓枠50内の検査対象画像44である。各画像42,44内の記号X11〜X33,Y11〜Y33は、各画像42,44内の画素値を表している。図5では、説明の便宜のため、各画像42,44内に含まれる画素を合計9個として簡略化しているが、実際には各画像42,44内には多数の画素が含まれている。相関係数rは次の式4により計算される。
【数4】
【0034】
ここで、S(xy),S(xx),S(yy)は、それぞれ次の式5〜7により計算される。
【数5】
【0035】
上述のパターンマッチング処理が、本実施形態における第二の特徴事項である。検査対象画像44を参照用画像42に適合させるようにパターンマッチングを行うことにより、検査対象画像44と参照用画像42の輝度値の傾向を一致させることができる。そして、輝度値の傾向が一致した検査対象画像44と参照用画像42に基づき、後に説明する欠陥検出処理を行うことにより、表面欠陥を精度よく検出することができる。
【0036】
[正像化処理]
次に、画像処理部20は、パターンマッチング処理された窓枠50内の検査対象画像44の画素マトリクスを、参照用画像42に適合させる正像化処理を行う。この正像化処理について、図6を参照して説明する。
【0037】
この処理では、まず、図6(a)に示されるような窓枠50の参照用画像42に対する傾きを修正し、互いの枠を平行にする。次に、検査対象画像44の供試体12の形状48と、参照用画像42の鋳物サンプルの形状46が一致するように、検査対象画像44と参照用画像42を重ね合わせ、図6(b)に示される状態とする。そして、窓枠50を参照用画像42の枠に変更し、枠のずれを解消する。最後に、変更された枠内において、画素52の配列を参照用画像に一致させる変換処理を行い、図6(c)に示される状態とする。
【0038】
本実施形態では、上述の正像化処理を行うことにより、検査対象画像44と参照用画像42の画素マトリクス、すなわち傾き、枠、画素52の配列を一致させることができ、これにより次に説明する欠陥検出処理を迅速に行うことができる。
【0039】
[欠陥検出処理]
次に、画像処理部20は、上述のように正像化された検査対象画像44に対して統計的な処理を行うことにより、欠陥の検出を行う。この欠陥検出処理について説明する。
【0040】
この処理では、まず、検査対象画像44の各画素値から、メモリに格納されている平均画像の各画素値を減算する処理を行う。この処理により得られた画像が、差分画像である。そして、この差分画像の各画素値から、メモリに格納されたバラツキ画像の各画素値を減算し、特徴画像を得る。そして、この特徴画像の各画素値を所定の閾値(例えば30)と比較し、この閾値以上の画素の画素値を1とし、この閾値以下の画素の画素値を0として、2値化された画像を得る。
【0041】
この処理を、本質的に説明する。すなわち、各画素について、複数撮像された参照用画像42を標本として画素値の標準正規分布を作成する。そして、検査対象画像の画素値が、この標準正規分布において、発生頻度の高い範囲内であれば正常値であると判定して、新たな画素値として0を設定する。一方、画素値が発生頻度の低い所定閾値以上であれば異常値であると判定して、新たな画素値として1を設定する。画素値1が設定された部分が、欠陥と思われる部分である。
【0042】
次に、2値化された画像から、欠陥を判定する処理を行う。本実施形態では、画素値1の画素が2mm以上連続する箇所を表面欠陥として検出する。すなわち、本実施形態では、1ピクセルの長さが0.13mm程度であるため、画素値1が16画素以上連続した場合に欠陥として判定する。なお、検出する欠陥の大きさを変更したい場合には、上述の画素値1が連続する画素数を変化させればよい。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、等価な範囲で様々な変形が可能である。例えば、本実施形態では、鋳造部品の鋳肌面を対象としているが、表面が粗い鍛造部品や、切削が粗く表面に凹凸の多い切削部品などの表面検査に適用しても同様な効果を得ることができる。また、欠陥検出処理として参照用画像42を用いた統計的処理を行ったが、単に検査対象画像44を参照用画像42と比較して欠陥を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る表面欠陥検出装置10を示す構成図である。
【図2】表面欠陥検出装置10が行う処理を示すフローチャートである。
【図3】ガウス平均化処理を説明するための説明図である。
【図4】パターンマッチング処理を説明するための説明図である。
【図5】パターンマッチング処理を説明するための説明図である。
【図6】正像化処理を説明するための説明図である。
【符号の説明】10 表面欠陥検出装置、12 供試体、14 ターンテーブル、16 照明、18 ラインセンサカメラ、20 画像処理部、22 表示部、24 モータ、26 エンコーダ、30 注目画素、32,34 周辺画素、36 対象領域、38,40 ガウス分布曲線、42 参照用画像、44 検査対象画像、46 鋳物サンプル、48 供試体、50 窓枠、52 画素。
【発明の属する技術分野】
本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置及び表面欠陥検出方法、特に、供試体表面の画像を取得し、この画像に対して欠陥検出処理を行う表面欠陥検出装置及び表面欠陥検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳物部品等の表面欠陥の検出は、作業者による目視検査に頼っているのが実情であった。しかし、目視検査では、作業者が欠陥を見逃す可能性があり、信頼性に問題があった。また、鋳物部品等は重量物が多く、これを手に持ち検査する作業者の負担が大きいため、重筋(エルゴ)対策の面でも、目視検査の機械化が要望されている。
【0003】
このような背景から、昨今では、光学計測により、鋳造部品の機械加工面に発生する欠陥(鋳巣)の検出が行われるようになってきている。このような光学計測による欠陥検出技術としては、ラインセンサを用いて円筒内面の表面欠陥を検出する技術(特開平11−23477号公報)があった。
【0004】
また、鋳肌表面に発生する表面欠陥を検出する試みも行われており、このような欠陥検出技術としては、特徴量を計測することにより欠陥を検出する技術や、複数の鋳物サンプルの表面画像を参照用画像として撮像し、この参照用画像に基づき統計的処理を行うことにより欠陥を検出する技術(特開平10−103938号公報)があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−23477号公報
【特許文献2】
特開平10−103938号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鋳肌表面のように細かな凹凸を持つ面の画像を撮像すると、凹凸に対応して画像の輝度差が大きく、上記従来技術を適用しても、表面欠陥を検出できなかったり、正常な表面部位を表面欠陥として誤検出してしまう、といった問題があった。なお、このような問題は、鋳物表面において顕著であるが、同様に表面に凹凸を持つ製品、例えば、鍛造部品、粗い機械加工がされた部品などにおいても生じうる問題である。
【0007】
また、鋳物の表面画像は、鋳物自体の形状、撮像を行うカメラに対する表面の傾き具合などにより、鋳物の部位ごとに輝度の傾向が変化する。したがって、鋳物サンプルの参照用画像を用いて統計的処理を行ったり、検査対象となる鋳物の表面画像を参照用画像と比較することにより欠陥を検出する場合には、検査対象となる鋳物、及び鋳物サンプルの同じ部位に対して統計的処理などを行うべきである。しかし、実際には、鋳物を撮像するごとに鋳物の傾き、向きなどの状況が変化するため、検査対象の鋳物の画像は、参照用画像に対して多少ずれてしまう。そして、このずれにより輝度値の傾向が異なる部位に対して統計的処理、比較などが行われることとなるため、結果として、表面欠陥を精度よく検出できない、といった問題が生じていた。なお、この問題も、鋳物だけでなく、他の種類の製品においても生じうる問題である。
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明は、精度よく供試体表面の表面欠陥を検出する表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置であって、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を取得する撮像手段と、前記検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う前処理部と、前記ガウス平均化された検査対象画像に対して欠陥検出処理を行う欠陥検出処理部と、を備えるものである。
【0010】
このように検査対象画像に対してガウス平均化処理を行うことにより、表面画像は平滑化され、輝度値のバラツキを抑えることができる。そして、この平滑化された画像に対して欠陥検出処理を行うことにより、輝度値のバラツキに影響されずに表面欠陥の検出を行うことができる。なお、ここで欠陥検出処理とは、表面欠陥を検出するために、検査対象画像に対して行う様々な画像処理のことである。例えば、供試体と同種の鋳物サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を用いて統計的な処理を行ったり、参照用画像と比較処理を行う画像処理である。また、検査対象画像自体から欠陥を検出する画像処理などでもよい。なお、検査対象画像に対して単なる平均化処理を行った場合には、画素の輝度値のバラツキは平滑化されない。よって、ガウス平均化処理は、単なる平均化処理と比較しても、効果がある処理である。
【0011】
また、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置であって、前記供試体と同種の基準サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を記憶する参照用画像記憶部と、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を取得する撮像手段と、前記検査対象画像と前記参照用画像を適合させるパターンマッチング処理を行うマッチング処理部と、前記マッチング処理後の検査対象画像と前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行う欠陥検出処理部と、を備えるものである。
【0012】
このように、パターンマッチングを行い、検査対象画像と参照用画像を適合させることにより、検査対象画像と参照用画像のずれが修正される。このため、検査対象画像と参照用画像の輝度値の傾向を一致させることができ、表面欠陥を精度よく検出することができる。
【0013】
また、上述の表面欠陥検出装置は、前記マッチング処理された検査対象画像と前記参照用画像の画素マトリクスを一致させる正像化処理を行う正像化処理部を備えることが好ましい。このように画素マトリクスを一致させることにより、互いの画素が対応するため、検査対象画像と参照用画像の統計的処理、比較処理などを迅速に行うことができる。
【0014】
また、本発明の一態様においては、前記撮像手段は、前記供試体を回転する手段と、回転する供試体の表面を撮像するラインセンサカメラと、を有するものとして構成されてもよい。撮像手段を、このような構成とすることにより、供試体周囲の全表面を一枚の画像として一度に撮像することができる。
【0015】
また、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出方法であって、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を撮像する撮像ステップと、前記検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う前処理ステップと、前記ガウス平均化された検査対象画像に対して欠陥検出処理を行う欠陥検出ステップと、を含む方法である。
【0016】
また、本発明は、供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出方法であって、前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を撮像する撮像ステップと、前記検査対象画像と、前記供試体と同種の基準サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を適合させるパターンマッチング処理を行うマッチングステップと、前記マッチング処理後の検査対象画像と前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行う欠陥検出ステップと、を含む方法である。
【0017】
また、上述の表面欠陥検出方法は、さらに、前記マッチング処理された検査対象画像と前記参照用画像の画素マトリクスを一致させる正像化処理を行う正像化ステップを含み、この正像化された検査対象画像及び前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行うことが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[装置構成]
まず、本実施形態に係る表面欠陥検出装置10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る表面欠陥検出装置10の構成の概略を示す図である。表面欠陥検出装置10は、モータ24により回転駆動されるターンテーブル14を備え、鋳物である供試体12がこのターンテーブル14上に載置される。供試体12の表面は、照明16により照らされ、この照らされた供試体12の表面上の1直線の画像がラインセンサカメラ18により撮像される。供試体12の回転と同時にラインセンサカメラ18が撮像を行うことにより、供試体12表面の展開画像が撮像される。画像処理部20は、ラインセンサカメラ18より出力される展開画像を取り込み、欠陥検出処理を行う。表示部22は、ユーザの指示に応じて、撮像された展開画像、欠陥検出処理後の画像などを表示する。また、モータ24の回転角は、エンコーダ26により計測され、画像処理部20に出力される。画像処理部20では、このエンコーダ26からの出力により、ラインセンサカメラ18により撮像された1直線の画像が、供試体12の表面のどの位置の直線であるかを認識する。なお、画像処理部20及び表示部22には、一般的に用いられているコンピュータを用いればよい。
【0020】
次に、本実施形態に係る表面欠陥検出装置10の画像処理部20が行う表面欠陥を検出する処理について説明する。図2は、その処理の流れを示すフローチャートである。図2に示される処理S203〜S209は、画像処理部20内でプログラムにより実行される処理である。よって、各処理を機能ブロックで表現すれば、前処理部、欠陥検出処理部、パターンマッチング処理部、正像化処理部、欠陥検出処理部を備えていることと等価である。
【0021】
[参照用画像の取り込み]
画像処理部20は、まず、後の統計的処理で用いるための参照用画像を取り込む処理を行う(S201)。この処理のために、ユーザは供試体12と同じ鋳造型を用いて製造された、供試体と同種の鋳物サンプルを複数個(n個)用意し、各鋳物サンプルをターンテーブル14上にセットし、展開画像の取り込みを行う。この展開画像の中で、欠陥検出を行いたい供試体の部分のみを切り出し、後の説明で詳述するガウス平均化処理、パターンマッチング処理、及び正像化処理を行う。そして、後の処理で用いるための参照用画像として、画像処理部20内のメモリに格納する。また、格納とともに、次の処理が行われる。
【0022】
画像処理部20は、参照用画像に対して、下記の式1の演算を行い、複数の展開画像の互いに対応する画素の画素値を平均して、その平均値を新たな画素値とした平均画像を演算する。また、複数の展開画像の互いに対応する各画素について、下記の式2の演算を行い、標準偏差σを演算する。そして、3σ+Y(Yは安全率)を各画素の画素値とするバラツキ画像を演算する。これらの平均画像及びバラツキ画像も、後の処理において用いるために、画像処理部20内のメモリに格納される。
【0023】
【数1】
なお、式1において、Xnはn番目の鋳物サンプルの画素値である。
【数2】
この式2におけるSは、次の式3の演算を行うことにより得られる。
【数3】
【0024】
以上の処理は、欠陥検出を行うにあたっての予備的な処理であり、上述した参照用画像、平均画像、及びバラツキ画像を得るために行われる。したがって、実際の生産ラインでは、例えば週に一度、又は一日に一度行えばよい。なお、展開画像が撮像される鋳物サンプルの個数は、多数であるほどよいが、一つでも以降の欠陥検出処理を行うことは可能である。また、鋳物サンプルは、できるだけ表面欠陥のない健全なものを用いることが好ましい。
【0025】
[ガウス平均化処理]
次に、表面欠陥の検査を行う供試体12をターンテーブル14上にセットし、展開画像の取り込みを行う(S202)。この供試体12の展開画像が、画像処理部20において欠陥検出処理が行われる検査対象画像である。画像処理部20は、この検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う(S203)。
【0026】
ここで、図3を参照して、ガウス平均化処理について説明する。ガウス平均化処理では、検査対象画像の各画素に対して、以下に説明する処理が行われる。まず、図3(a)に示すように、検査対象画像の1つの画素(以下、注目画素という)30と、この注目画素30の周囲の領域に存在する周辺画素32,34とを含む領域を、ガウス平均化処理を行う対象領域36として設定する。図3(a)では、対象領域36は、注目画素30に隣接する8つの周辺画素32,34を含む領域とされているが、より広い範囲の周辺画素を含む領域としてもよい。なお、各画素30〜34の中に記載された数値は、その画素30〜34の画素値である。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、このようにして設定された対象領域36の各画素30〜34に対して、ガウス分布に応じて重み付け値を与える。つまり、対象領域36の横方向及び縦方向に応じたガウス分布曲線38,40を生成し、各画素30〜34の横方向位置、縦方向位置に対応した分布値を積算して、重み付け値を計算する。この結果、注目画素30には重み付け値1/4が与えられ、注目画素30の上下左右に位置する周辺画素32には重み付け値1/8が与えられ、注目画素30の斜め方向に位置する周辺画素34には重み付け値1/16が与えられる。なお、重み付け値は、対象領域36の全画素30〜34について合計すると1となるように値が決められている。
【0028】
そして、図3(c)に示すように、対象領域36の各画素30〜34について、上記の重み付け値と画素値を積算し、各積算値を加算した値を、注目画素30の新しい画素値として設定する。以上、説明した処理を検査対象画像の全画素について行うことにより、ガウス平均化処理が行われた画像が得られる。
【0029】
上述した検査対象画像に対するガウス平均化処理が、本実施形態の第一の特徴事項である。欠陥検出処理の前処理として、撮像された展開画像に対してガウス平均化処理を行うことにより、鋳肌表面の凹凸により生じた輝度差が平滑化される。このため、欠陥検出処理において、輝度差による欠陥の検出漏れ、及び誤検出を防止することができる。
【0030】
[パターンマッチング処理]
次に、画像処理部20は、ガウス平均化処理された検査対象画像に対してパターンマッチングを行い(S204)、検査対象画像の中からを参照用画像に適合した領域を探索する処理を行う。このパターンマッチング処理を、図4を参照して説明する。図4(a)は参照用画像42であり、図4(b)は検査対象画像44である。なお、図4では、説明の便宜のために、鋳物サンプル、供試体12の形状を星印46,48で表している。撮像ごとに供試体12のターンテーブル上における位置、傾きなどが変化するため、検査対象画像44に示される供試体48は、参照用画像42に示される鋳物サンプル46に対して傾いている。
【0031】
パターンマッチング処理では、検査対象画像44上に、参照用画像42と同じ大きさの窓枠50を設定し、この窓枠50内の検査対象画像44と参照用画像42の相関計数rを計算する。そして、計算された相関係数rが所定の閾値(0.8)より小さい場合には、窓枠50の位置、傾きを変更し、再度、相関係数rの計算を行う。相関係数rが閾値(0.8)以上である場合、すなわち、図4(c)のように窓枠50内の検査対象画像44が参照用画像42とほぼ一致した場合には、窓枠50内の領域を参照用画像42に適合した領域として選択する。この相関係数rを計算する処理は、相関係数rが0.8以上となるまで繰り返される。なお、本実施形態では、閾値を、一般的に相関度が高いとされる0.8に設定しているが、勿論この値に限られない。参照用画像42との適合精度を高くしたければ、閾値をより高い値とすればよく、適合精度が低くてもよいのであれば、閾値をより低い値とすればよい。
【0032】
ここで、本実施形態における相関係数rの計算について、図5を参照して説明する。相関係数rの計算方法としては、数種類の方法が公知であるが、本実施形態では特に次の計算方法を用いている。
【0033】
図5(a)は参照用画像42であり、図5(b)は窓枠50内の検査対象画像44である。各画像42,44内の記号X11〜X33,Y11〜Y33は、各画像42,44内の画素値を表している。図5では、説明の便宜のため、各画像42,44内に含まれる画素を合計9個として簡略化しているが、実際には各画像42,44内には多数の画素が含まれている。相関係数rは次の式4により計算される。
【数4】
【0034】
ここで、S(xy),S(xx),S(yy)は、それぞれ次の式5〜7により計算される。
【数5】
【0035】
上述のパターンマッチング処理が、本実施形態における第二の特徴事項である。検査対象画像44を参照用画像42に適合させるようにパターンマッチングを行うことにより、検査対象画像44と参照用画像42の輝度値の傾向を一致させることができる。そして、輝度値の傾向が一致した検査対象画像44と参照用画像42に基づき、後に説明する欠陥検出処理を行うことにより、表面欠陥を精度よく検出することができる。
【0036】
[正像化処理]
次に、画像処理部20は、パターンマッチング処理された窓枠50内の検査対象画像44の画素マトリクスを、参照用画像42に適合させる正像化処理を行う。この正像化処理について、図6を参照して説明する。
【0037】
この処理では、まず、図6(a)に示されるような窓枠50の参照用画像42に対する傾きを修正し、互いの枠を平行にする。次に、検査対象画像44の供試体12の形状48と、参照用画像42の鋳物サンプルの形状46が一致するように、検査対象画像44と参照用画像42を重ね合わせ、図6(b)に示される状態とする。そして、窓枠50を参照用画像42の枠に変更し、枠のずれを解消する。最後に、変更された枠内において、画素52の配列を参照用画像に一致させる変換処理を行い、図6(c)に示される状態とする。
【0038】
本実施形態では、上述の正像化処理を行うことにより、検査対象画像44と参照用画像42の画素マトリクス、すなわち傾き、枠、画素52の配列を一致させることができ、これにより次に説明する欠陥検出処理を迅速に行うことができる。
【0039】
[欠陥検出処理]
次に、画像処理部20は、上述のように正像化された検査対象画像44に対して統計的な処理を行うことにより、欠陥の検出を行う。この欠陥検出処理について説明する。
【0040】
この処理では、まず、検査対象画像44の各画素値から、メモリに格納されている平均画像の各画素値を減算する処理を行う。この処理により得られた画像が、差分画像である。そして、この差分画像の各画素値から、メモリに格納されたバラツキ画像の各画素値を減算し、特徴画像を得る。そして、この特徴画像の各画素値を所定の閾値(例えば30)と比較し、この閾値以上の画素の画素値を1とし、この閾値以下の画素の画素値を0として、2値化された画像を得る。
【0041】
この処理を、本質的に説明する。すなわち、各画素について、複数撮像された参照用画像42を標本として画素値の標準正規分布を作成する。そして、検査対象画像の画素値が、この標準正規分布において、発生頻度の高い範囲内であれば正常値であると判定して、新たな画素値として0を設定する。一方、画素値が発生頻度の低い所定閾値以上であれば異常値であると判定して、新たな画素値として1を設定する。画素値1が設定された部分が、欠陥と思われる部分である。
【0042】
次に、2値化された画像から、欠陥を判定する処理を行う。本実施形態では、画素値1の画素が2mm以上連続する箇所を表面欠陥として検出する。すなわち、本実施形態では、1ピクセルの長さが0.13mm程度であるため、画素値1が16画素以上連続した場合に欠陥として判定する。なお、検出する欠陥の大きさを変更したい場合には、上述の画素値1が連続する画素数を変化させればよい。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、等価な範囲で様々な変形が可能である。例えば、本実施形態では、鋳造部品の鋳肌面を対象としているが、表面が粗い鍛造部品や、切削が粗く表面に凹凸の多い切削部品などの表面検査に適用しても同様な効果を得ることができる。また、欠陥検出処理として参照用画像42を用いた統計的処理を行ったが、単に検査対象画像44を参照用画像42と比較して欠陥を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る表面欠陥検出装置10を示す構成図である。
【図2】表面欠陥検出装置10が行う処理を示すフローチャートである。
【図3】ガウス平均化処理を説明するための説明図である。
【図4】パターンマッチング処理を説明するための説明図である。
【図5】パターンマッチング処理を説明するための説明図である。
【図6】正像化処理を説明するための説明図である。
【符号の説明】10 表面欠陥検出装置、12 供試体、14 ターンテーブル、16 照明、18 ラインセンサカメラ、20 画像処理部、22 表示部、24 モータ、26 エンコーダ、30 注目画素、32,34 周辺画素、36 対象領域、38,40 ガウス分布曲線、42 参照用画像、44 検査対象画像、46 鋳物サンプル、48 供試体、50 窓枠、52 画素。
Claims (7)
- 供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置であって、
前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を取得する撮像手段と、
前記検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う前処理部と、
前記ガウス平均化された検査対象画像に対して欠陥検出処理を行う欠陥検出処理部と、
を備えることを特徴とする表面欠陥検出装置。 - 供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出装置であって、
前記供試体と同種の基準サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を記憶する参照用画像記憶部と、
前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を取得する撮像手段と、
前記検査対象画像と前記参照用画像を適合させるパターンマッチング処理を行うマッチング処理部と、
前記マッチング処理後の検査対象画像と前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行う欠陥検出処理部と、
を備えることを特徴とする表面欠陥検出装置。 - 請求項2に記載の表面欠陥検出装置であって、
前記マッチング処理された検査対象画像と前記参照用画像の画素マトリクスを一致させる正像化処理を行う正像化処理部を備えることを特徴とする表面欠陥検出装置。 - 請求項1〜3のいずれか1に記載の表面欠陥検出装置であって、
前記撮像手段は、前記供試体を回転する手段と、回転する供試体の表面を撮像するラインセンサカメラと、を有することを特徴とする表面欠陥検出装置。 - 供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出方法であって、
前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を撮像する撮像ステップと、
前記検査対象画像に対してガウス平均化処理を行う前処理ステップと、
前記ガウス平均化された検査対象画像に対して欠陥検出処理を行う欠陥検出ステップと、
を含むことを特徴とする表面欠陥検出方法。 - 供試体の表面欠陥を検出するための表面欠陥検出方法であって、
前記供試体表面を撮像して、欠陥検出の対象となる検査対象画像を撮像する撮像ステップと、
前記検査対象画像と、前記供試体と同種の基準サンプル表面を撮像して得られた参照用画像を適合させるパターンマッチング処理を行うマッチングステップと、
前記マッチング処理後の検査対象画像と前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行う欠陥検出ステップと、
を含むことを特徴とする表面欠陥検出方法。 - 請求項6に記載の表面欠陥検出方法であって、
さらに、前記マッチング処理された検査対象画像と前記参照用画像の画素マトリクスを一致させる正像化処理を行う正像化ステップを含み、
この正像化された検査対象画像及び前記参照用画像に基づき、欠陥検出処理を行うことを特徴とする表面欠陥検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002339653A JP2004170374A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002339653A JP2004170374A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004170374A true JP2004170374A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32702560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002339653A Pending JP2004170374A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004170374A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160031142A (ko) * | 2014-09-11 | 2016-03-22 | 엘지디스플레이 주식회사 | 무라 검출 장치 |
US9395406B2 (en) | 2013-01-31 | 2016-07-19 | Nichia Corporation | Inspection method for semiconductor light-emitting device and manufacturing method for semiconductor light-emitting device |
US9546956B2 (en) | 2013-02-18 | 2017-01-17 | Nichia Corporation | Method of inspecting semiconductor light-emitting device and method for manufacturing semiconductor light-emitting device |
CN107677682A (zh) * | 2017-11-07 | 2018-02-09 | 泉州创力模具有限公司 | 一种鞋模表面破损检测装置及检测方法 |
CN115496755A (zh) * | 2022-11-16 | 2022-12-20 | 南京云创大数据科技股份有限公司 | 基于结构光及梯度分析的类镜面缺陷检测方法及装置 |
CN116934745A (zh) * | 2023-09-14 | 2023-10-24 | 创新奇智(浙江)科技有限公司 | 一种电子元器件插接卡子质量检测方法及检测系统 |
CN116958126A (zh) * | 2023-09-18 | 2023-10-27 | 深圳市深奇浩实业有限公司 | 基于计算机视觉的模具注塑检测方法及系统 |
-
2002
- 2002-11-22 JP JP2002339653A patent/JP2004170374A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9395406B2 (en) | 2013-01-31 | 2016-07-19 | Nichia Corporation | Inspection method for semiconductor light-emitting device and manufacturing method for semiconductor light-emitting device |
US9546956B2 (en) | 2013-02-18 | 2017-01-17 | Nichia Corporation | Method of inspecting semiconductor light-emitting device and method for manufacturing semiconductor light-emitting device |
KR20160031142A (ko) * | 2014-09-11 | 2016-03-22 | 엘지디스플레이 주식회사 | 무라 검출 장치 |
KR102209953B1 (ko) * | 2014-09-11 | 2021-02-02 | 엘지디스플레이 주식회사 | 무라 검출 장치 |
CN107677682A (zh) * | 2017-11-07 | 2018-02-09 | 泉州创力模具有限公司 | 一种鞋模表面破损检测装置及检测方法 |
CN107677682B (zh) * | 2017-11-07 | 2024-03-08 | 泉州创力模具有限公司 | 一种鞋模表面破损检测装置及检测方法 |
CN115496755A (zh) * | 2022-11-16 | 2022-12-20 | 南京云创大数据科技股份有限公司 | 基于结构光及梯度分析的类镜面缺陷检测方法及装置 |
CN115496755B (zh) * | 2022-11-16 | 2023-02-14 | 南京云创大数据科技股份有限公司 | 基于结构光及梯度分析的类镜面缺陷检测方法及装置 |
CN116934745A (zh) * | 2023-09-14 | 2023-10-24 | 创新奇智(浙江)科技有限公司 | 一种电子元器件插接卡子质量检测方法及检测系统 |
CN116934745B (zh) * | 2023-09-14 | 2023-12-19 | 创新奇智(浙江)科技有限公司 | 一种电子元器件插接卡子质量检测方法及检测系统 |
CN116958126A (zh) * | 2023-09-18 | 2023-10-27 | 深圳市深奇浩实业有限公司 | 基于计算机视觉的模具注塑检测方法及系统 |
CN116958126B (zh) * | 2023-09-18 | 2023-12-12 | 深圳市深奇浩实业有限公司 | 基于计算机视觉的模具注塑检测方法及系统 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100826153B1 (ko) | 영상의 농도치 히스토그램을 이용한 크랙의 폭 측정방법 | |
JP2010117185A (ja) | 欠陥検査装置および欠陥検査方法 | |
JP4739044B2 (ja) | 外観検査装置 | |
JP4279833B2 (ja) | 外観検査方法及び外観検査装置 | |
JP2008267943A (ja) | ひび割れ検出方法 | |
JP2010091361A (ja) | 画像検査方法および画像検査装置 | |
KR101862310B1 (ko) | 얼룩결함 검사장치 및 얼룩결함 검사방법 | |
JP2004170374A (ja) | 表面欠陥検出装置、及び表面欠陥検出方法 | |
JPH11160053A (ja) | 加工表面検査装置およびその検査方法 | |
JP7098111B2 (ja) | 表面検査装置および表面検査方法 | |
JP2541735B2 (ja) | 塗膜劣化診断方法及び装置 | |
JPH08505478A (ja) | 固体の1つの面の表面状態を制御する方法および関連する装置 | |
JP4956077B2 (ja) | 欠陥検査装置及び欠陥検査方法 | |
JPH0989533A (ja) | 面状況の検査方法 | |
JP2003247954A (ja) | 円形体周縁部の欠陥検出方法 | |
JP3661466B2 (ja) | 塗装ムラ検査装置および方法 | |
CN115760856B (zh) | 一种基于图像识别的零件间距测量方法、系统和存储介质 | |
JP2000329699A (ja) | 欠陥検査方法及びその装置 | |
JP2005098911A (ja) | 歯車の歯当たり検査方法、歯車の歯当たり検査システム、歯車の歯当たり検査システムを制御する制御プログラム | |
JP2005031952A (ja) | 画像処理検査方法および画像処理検査装置 | |
JP2638121B2 (ja) | 表面欠陥検査装置 | |
JP2008014907A (ja) | 表面評価装置及び塗装標本 | |
JP3432446B2 (ja) | 表面検査装置および表面検査方法 | |
JPH10123064A (ja) | 外観検査方法 | |
JP3013524B2 (ja) | ハイシリコンアルミボア表面のシリコン破砕率測定方法 |