JP2004167478A - フィルタエレメント、フィルタエレメント用オイル - Google Patents
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Abstract
【課題】 プラスチック製の枠に濾材に含浸させたオイルが浸透し難く、またオイルが揮発することによるハイドロカーボンも生じ難いフィルタエレメントを提供する。
【解決手段】 フィルタエレメント10は、濾材1と、濾材1の周囲を囲むプラスチック製の枠2とを有する。濾材1には、パラフィン成分が70(mass)%以上、望ましくはパラフィン成分が80(mass%)以上含まれるオイルが塗布される。
【選択図】 図1
【解決手段】 フィルタエレメント10は、濾材1と、濾材1の周囲を囲むプラスチック製の枠2とを有する。濾材1には、パラフィン成分が70(mass)%以上、望ましくはパラフィン成分が80(mass%)以上含まれるオイルが塗布される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関の燃焼用空気等を濾過するフィルタエレメント及びフィルタエレメント用オイルに関する。
内燃機関の吸気経路には、燃焼用空気を濾過するフィルタエレメントが配置される。フィルタエレメントには、濾材と濾材を保持するプラスチック製の枠とから構成される。従来からダストの捕捉性能を上げるために、濾材にオイルを含浸させたウェットタイプのフィルタエレメントが知られている(例えば特許文献1、1頁参照)。
一般的には含浸オイルとしてビスカスオイルが用いられ、通称「ビスカスタイプ」のフィルタエレメントと呼ばれている。ビスカスタイプのフィルタエレメントは、オイルを含浸させないドライタイプのフィルタエレメントに比較すると寿命を長くできる特長がある。ビスカスタイプのフィルタエレメントでは、濾材表面のオイルにダストを捕捉させた後、捕捉されたダストにさらにオイルが浸透することによって、ダストの表面に次のダストを捕捉する作用が発生する。ダストを連鎖的に捕捉することができるため、フィルタエレメントの容積当たりの捕捉量が増大する。
しかしながら、濾材とプラスチック製の枠とは常に接触していているので、濾材に含浸されたオイルがオイルの多い濾材からオイルの少ない枠内に浸透することがある。また濾材にオイルを塗布する際に、枠に塗布されたオイルが枠内に浸透していくこともある。枠へのオイルの浸透は枠の膨潤、すなわち体積の増加を招くのみならず、濾材に残るオイルが減るのでフィルタエレメントの性能をも変えてしまうことがある。
また濾材に含浸されたオイル、又は枠に浸透したオイルが揮発すると、ハイドロカーボンが揮発することになるので、環境上好ましくない。
そこで本発明は、濾材にオイルを含浸させたウェットタイプのフィルタエレメントにおいて、オイルがプラスチック製の枠に浸透し難く、またオイルが揮発することによるハイドロカーボンも生じ難いフィルタエレメント及びフィルタエレメント用オイルを提供することを目的とする。
オイルには、大きく分けてナフテン成分、アロマ成分、パラフィン成分が存在する。本発明者は、ナフテン成分はプラスチックの分子と似ていて、プラスチックに浸透しやすく、プラスチック製の枠を膨潤させやすいことを知見した。そして、ナフテン成分が少なくパラフィンリッチになるように成分を調整したオイルを、具体的にはパラフィン成分が70mass%以上、好ましくはパラフィン成分が80mass%以上含まれるオイルを濾材に塗布することにより、プラスチック製の枠へのオイルの浸透を抑制した。
すなわち本発明は、内燃機関の吸気経路に配置されて空気を濾過するフィルタエレメントであって、濾材と、濾材を保持するプラスチック製の枠とを有し、前記濾材には、パラフィン成分が70mass%以上、望ましくはパラフィン成分が80mass%以上含まれるオイルが塗布されることを特徴とするフィルタエレメントにより、上述した課題を解決した。
上記オイルは、蒸留、合成、精製等により少なくとも低分子量が取り去られているのが望ましい。低分子量のオイルは、揮発してハイドロカーボンを生成しやすい。パラフィンリッチのオイルをナローカットすることで、濾材に含浸されたオイルやプラスチック製の枠に浸透したオイルが揮発してハイドロカーボンが生成するのを抑制(所謂エバポ対策)することができる。ここで、ナローカットにより低分子量成分と高分子量成分の両方が取り除かれた分子量分布になることが望ましいが、低分子量のみのカットでも充分な効果が得られる。
またオイルの動粘度(40℃)を60mm2/sec以上にすることが望ましい。一般に油を含浸させたウェットタイプのフィルタエレメントでは、フィルタエレメントの容積当たりのダストの捕捉量を増大させることはできるが、カーボン粒子を効率よく捕捉することができないという問題がある。オイルの動粘度(40℃)を60mm2/sec以上にすることにより、カーボン粒子の捕捉効率を上げることができる。
また本発明は、内燃機関の吸気経路に配置され、濾材と濾材を保持するプラスチック製の枠とを有するフィルタエレメントの前記濾材に塗布されるオイルであって、前記オイルには、パラフィン成分が70mass%以上含まれることを特徴とするフィルタエレメント用オイルとしても構成することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ナフテン成分が少なくパラフィンリッチになるように成分を調整したオイルを濾材に塗布することにより、濾材からプラスチック製の枠へのオイルの浸透の抑制、及びオイルが浸透したプラスチック製の枠の膨潤クラック割れを大幅に改善することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明によるフィルタエレメントの実施形態につき説明する。
図1に示すフィルタエレメント10は、折り曲げられた濾材1と、矩形状に形成され、濾材1の周囲を囲むプラスチック製の枠2とからなる。濾材1はその周辺部において枠2にインサート成型され、枠2に保持される。このフィルタエレメント10は空気の流入口及び流出口を有するケース内に収容され、燃焼用空気を濾過する。
濾材1の材質は濾紙又は不織布である。一方、枠2の材質はプラスチックである。プラスチックのうち、オイルを吸う性質を有さない熱硬化性樹脂、テフロン(登録商標)などは対象外で除かれる。本実施形態では、熱硬化性樹脂、テフロン(登録商標)以外の、オイルを吸う性質を有するプラスチック、例えばポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ABS樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ウレタン、エラストマー、ゴム、PET、PVDを枠材として用いている。これらのうち、主に枠材として用いられるのは、ポリプロピレン、ウレタン、エラストマーである。
濾材1には、オイルが含浸されている。濾材1へのオイルの塗布方法としては、例えばスプレー法、ロール塗工法(ダイレクトロール法、キスコート法等)、ディッピング法等、各種の塗工法が用いられる。
塗布されるオイルについて詳述する。オイルには、大きく分けてナフテン成分(すなわち、原油に存在するシクロペンタン(C5H10)、シクロヘキサン(C6H12)などを基幹とするシクロパラフィン誘導体)と、パラフィン成分(すなわち、化学式CnH2n+2、飽和脂肪族炭化水素の系列)と、少量のアロマ成分とが存在する。ビスカスオイルでは、ナフテン成分が40mass%程度、パラフィン成分が60mass%程度含まれるのが一般的である。ナフテン成分はプラスチックの分子と似ていて、プラスチックに浸透しやすく、プラスチック製の枠を膨潤させやすい。このため本実施形態では、パラフィンリッチのオイルを、具体的にはパラフィン成分が70mass%以上、残部のナフテン成分とアロマ成分との合計が30mass%以下のオイルを濾材に塗布する。より好ましくはパラフィン成分が90mass%以上、残部のナフテン成分とアロマ成分との合計が10mass%以下のオイルを濾材に塗布する。
オイルには、動物質、植物質、鉱物質、合成品がある。合成品のオイルの場合にはパラフィンが主な生成物となる合成方法が採られる。合成品のオイルを使用する場合には、例えば約100%パラフィン成分のオイルを製造することもできる。動物質、植物質、鉱物質のオイルの場合には、蒸留、合成、精製等によりパラフィンリッチのオイルが精製される。
このオイルは、ナローカット、すなわち蒸留、合成、精製等により少なくとも低分子量成分が取り去られている。低分子量成分のオイルは、低沸点なので、揮発してハイドロカーボンを生成しやすい。オイルをナローカットすることで、蒸発量mass%(JIS C 2101の試験 150℃×72hr)を1mass%以下にすることができ、濾材に含浸されたオイルやプラスチック製の枠に浸透したオイルが揮発してハイドロカーボンが生成されるのを抑制(所謂エバポ対策)することができる。
図2はナローカットしたオイルの分子量と分布との関係を示すグラフである。オイルをナローカットすると、低分子量成分と高分子量成分とが取り去られる。オイルの平均分子量は大きくなる訳ではないが、均一な分子量のオイルが得られるので、高い粘度指数のオイルが得られる。
オイルの粘度は、カーボンの捕捉効率に影響を与え、粘度が大きくなると、カーボンの捕捉効率も向上する。オイルの動粘度(40℃)を60mm2/sec以上にすることで、カーボンの捕捉効率も向上させることができる。ここでカーボンの捕捉効率は、以下の数式で表せる。
カーボン捕捉効率(%)=フィルタエレメントのカーボン捕捉量(g)/(フィルタエレメントのカーボン捕捉量(g)+フィルタエレメントを透過するカーボン量(g))×100
ところで、オイルの粘度を大きくする方法として、平均分子量を変えずに、増粘剤(すなわちオイル用ののり)を添加することも考えられる。しかしこの方法では、見かけ上の粘度は大きくなるが、低分子量成分が含まれるので、低分子量成分のオイルが揮発してハイドロカーボンが生成されてしまうという問題が生じる。
ところで、オイルの粘度を大きくする方法として、平均分子量を変えずに、増粘剤(すなわちオイル用ののり)を添加することも考えられる。しかしこの方法では、見かけ上の粘度は大きくなるが、低分子量成分が含まれるので、低分子量成分のオイルが揮発してハイドロカーボンが生成されてしまうという問題が生じる。
またオイルの粘度を大きくする方法として、はじめから平均分子量の大きなオイルを使用することも考えられる。しかし、平均分子量を大きくしすぎると(すなわちオイルの粘度を大きくしすぎると)、カーボンの捕捉効率を上げることはできるが、逆にダストの捕捉量を大きくすることができないという問題が生じる。また、ナローカットしたものと平均分子量を一致させると、低分子量成分が多くなるので、やはりハイドロカーボンが生成されてしまうという問題が生じる。
なお上記実施形態では、濾材1を折り曲げて濾材1の実質的な面積を増大させているが、図3(c)のように濾材を平面状に伸ばした状態で使用してもよい。図3(a)、(b)は上記図1と同様に、濾材を折り曲げてパネル型のフィルタを形成した例を示している。また図4(a)、(b)のように濾材を丸めて筒状や菊花状に形成し、上端及び下端に枠をインサート成型し、筒の内側から外側、あるいは外側から内側に向けて空気を流すようにするなど、自由に形状を選択できる。さらに図5のように、濾材1として、オイルが含浸された、空気の流れAに対して上流側の第1の濾材11と、オイルをはじく性質を有し、オイルが含浸されていない下流側の第2の濾材12とを重ね合わせた濾材を用いてもよい。
表1は、従来のナフテンリッチのビスカスオイル(表中現行油と示す)と、本実施形態のパラフィン成分が80mass%以上のパラフィンリッチのオイル(表中開発油と示す)とで特性の比較を示す。本実施形態のオイルでは、オイルの動粘度が60mm2/sec以上、蒸発量が1mass%以下になっていることがわかる。
図6は、125℃のオイルに1000時間浸漬した場合のプラスチックの体積変化率を示す。プラスチックとしてはエラストマーを用いている。本実施形態のパラフィンリッチのオイル(図中開発油と示す)を用いると、従来のナフテンリッチのビスカスオイル(図中現行油と示す)を用いた場合に比べ、体積の膨脹を40%低減させることができることがわかる。
1…濾材
2…枠
10…フィルタエレメント
2…枠
10…フィルタエレメント
Claims (6)
- 内燃機関の吸気経路に配置されて空気を濾過するフィルタエレメントであって、
濾材と、濾材を保持するプラスチック製の枠とを有し、
前記濾材には、パラフィン成分が70mass%以上のオイルが塗布されることを特徴とするフィルタエレメント。 - 前記オイルには、パラフィン成分が80mass%以上含まれることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
- 前記オイルは、蒸留、合成、精製等により少なくとも低分子量成分が取り去られていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタエレメント。
- 前記オイルの動粘度(40℃)が60mm2/sec以上であることを特徴とする請求項3に記載のフィルタエレメント。
- 内燃機関の吸気経路に配置され、濾材と濾材を保持するプラスチック製の枠とを有するフィルタエレメントの前記濾材に塗布されるオイルであって、
前記オイルには、パラフィン成分が70mass%以上含まれることを特徴とするフィルタエレメント用オイル。 - 前記オイルには、パラフィン成分が80mass%以上含まれ、
前記オイルは、蒸留、合成、精製等により少なくとも低分子量成分が取り去られ、
前記オイルの動粘度(40℃)が60mm2/sec以上であることを特徴とする請求項5に記載のフィルタエレメント用オイル。
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