JP2004166442A - 発電装置および発電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】中規模電力または大規模電力の発電を行う発電装置および発電システムを提供する。
【解決手段】発電装置1は、外周に複数のユニモルフ素子21が放射状に固定された内輪部材11と、内輪部材11を囲繞する外輪部材12と、内輪部材11を回転させる機軸部材13および回転装置14と、内輪部材11を回転させた際にユニモルフ素子21の先端部に接触してユニモルフ素子21に屈曲変位を生じさせるように外輪部材12の内周面に設けられた突起部29と、ユニモルフ素子21が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を整流するブリッジ回路30と、ブリッジ回路30を通して集電した電力を二次電池等の外部負荷へ出力する出力機構15と、を具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】発電装置1は、外周に複数のユニモルフ素子21が放射状に固定された内輪部材11と、内輪部材11を囲繞する外輪部材12と、内輪部材11を回転させる機軸部材13および回転装置14と、内輪部材11を回転させた際にユニモルフ素子21の先端部に接触してユニモルフ素子21に屈曲変位を生じさせるように外輪部材12の内周面に設けられた突起部29と、ユニモルフ素子21が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を整流するブリッジ回路30と、ブリッジ回路30を通して集電した電力を二次電池等の外部負荷へ出力する出力機構15と、を具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の圧電効果を利用した発電装置および発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電体に変位を与えると圧電効果によって電力が発生するため、この電力を直接に電気製品や電子製品の作動に使用することができ、または発生した電力を電池やコンデンサに充電することによって、これら電池等を電気製品等の駆動電源または停電時や非常時のバックアップ電源として用いることができる。
【0003】
例えば、特開平9−233862号公報の図9には、腕時計に用いられる発電装置が開示されている。この発電装置は、時計ケースの内周に一定間隔で片持ち梁状かつ放射状に固定された複数の振動片と、時計ケースの中央に設けられた回転錘と、回転錘に固定された回転部材とを有しており、振動片の両面には圧電体層が設けられ、回転部材の外周には所定間隔で突起が設けられている。ここで、特開平9−233862号公報の図16に示されるように、回転錘は回転錘に加えられる外力の向きに応じて、所定角度(回転の中心と隣接する2カ所の突起とを結ぶ線の交差角度にほぼ一致する)の範囲内で時計回りと反時計回りのいずれにも回ることができるようになっており、回転部材はこの回転錘の動きと同じ動きをする。
【0004】
このような発電装置では、腕の動きに反応して回転錘が回転し、このときに回転部材に設けられた突起が振動片の先端部(自由端)に接触して振動片および振動片に接着された圧電体層を屈曲させる。このとき、圧電体層に圧電効果による電力が発生するので、この電力がコンデンサ(または二次電池)に充電され、これによって、時計の駆動が維持される。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−233862号公報(第8−12頁、第9図、第16図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記発電装置を家庭用の給電設備としてそのまま応用することは困難である。具体的には、上記発電装置の回転部材に設けられた突起の数は振動片の数よりも少ないために、一度に発電する圧電体層の数が少なく、大きな電力が得られないという問題がある。
【0007】
また、回転錘は一定の角度範囲でしか回転できないようになっているが、これは腕の動きの多くが振り子型の往復運動であることによるものと推測される。しかし、上記発電装置を家庭用の電力供給設備に応用しようとすると、この回転錘の動力源としては水力や風力等の自然力が用いられることが予想されるために、これらの力によって回転錘に振り子型の運動を与えることは困難である。
【0008】
さらに、振動片は内周側が自由端であり、外周側が固定端となっているために、隣接する振動片の先端間の距離が短くなる。この場合には、振動片の自由端どうしが接触しないようにしなければならないために振動片の配置密度を高めることが困難であり、また、1個の振動片の変位量を大きくとることができないために高い電圧を得ることが困難である。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、家庭用電力等に用いられる中規模電力または大規模電力の発電を行う発電装置および発電システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、外周に複数の屈曲型圧電素子が所定の間隔で放射状に固定された円板状の内輪部材と、
前記内輪部材を囲繞する外輪部材と、
前記内輪部材または前記外輪部材を回転させる回転機構と、
前記内輪部材または前記外輪部材を回転させた際に、前記屈曲型圧電素子の先端部に接触して前記屈曲型圧電素子に屈曲変位を生じさせるように、前記外輪部材の内周面に所定間隔で設けられた突起部と、
前記複数の屈曲型圧電素子が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を前記複数の屈曲型圧電素子ごとに整流する複数の整流回路と、
前記複数の整流回路から集電した電力を外部負荷へ出力する出力機構と、
を具備することを特徴とする発電装置、が提供される。
【0011】
また本発明によれば、所定の定周波数の電力を出力する発電ユニットを複数備えた発電システムであって、
前記複数の発電ユニットを保持する機軸部材と、
前記機軸部材を回転させる回転機構と、
前記複数の発電ユニットにおいて発生する電力を集電して外部負荷へ出力する出力機構と、
を具備し、
前記複数の発電ユニットは個々に、
円板形状を有し、その外周に複数の屈曲型圧電素子が所定の間隔で放射状に固定され、前記機軸部材がその主面の中心を貫通するようにして前記機軸部材と接続された内輪部材と、
前記内輪部材を囲繞するように配置され、前記機軸部材の回転によって前記内輪部材が回転した際に前記屈曲型圧電素子の先端部に接触して前記屈曲型圧電素子に屈曲変位を生じさせる突起部が内周面に所定間隔で設けられた外輪部材と、
前記複数の屈曲型圧電素子が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を前記複数の屈曲型圧電素子ごとに整流する複数の整流回路と、
を有し、
前記複数の発電ユニットは、前記機軸部材を回転させた際に、所定周波数の電力がその位相がずれるように前記機軸部材に取り付けられ、
前記出力機構からは、前記複数の発電ユニットから前記複数の整流回路を通して給電される電力が合成された直流電力が出力されることを特徴とする発電システム、が提供される。
【0012】
このような本発明によれば、複数の屈曲型圧電素子を同時に変位させた場合には大きな電力を得ることができ、また複数の屈曲型圧電素子の変位のタイミングをずらすことによって容易に一定出力の直流電力を得ることができる。また、屈曲型圧電素子の一端を内輪部材の外周に固定しているために、隣接する屈曲型圧電素子の自由端間の距離が拡がり、これにより1個の屈曲型圧電素子の変位量を大きくして高い電圧を得ることができる。なお、屈曲型圧電素子は内輪部材の外周に高密度に配置することができ、これにより出力を大きくすることができる。さらに、内輪部材または外輪部材を一方向に回転させることができるために、動力源として水力や風力等の自然力を用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る発電装置の概略側面図であり、図2は発電装置の部分拡大図である。発電装置1は、円板状の内輪部材11と、内輪部材11の外周に一定の間隔で放射状に固定された複数のユニモルフ素子21と、複数のユニモルフ素子21ごとに設けられたブリッジ回路30と、内輪部材11を囲繞するように配置された外輪部材12と、外輪部材12の内周面に一定間隔で設けられた突起部29と、内輪部材11の主面の中心を貫通するようにして内輪部材11に固定された機軸部材13と、機軸部材13を回転させる回転装置14と、を有している。
【0014】
内輪部材11にはユニモルフ素子21と絶縁するために、絶縁材料が好適に用いられる。具体的には、ABS樹脂やエポキシ樹脂等のエンジニアリングプラスチック材料が挙げられる。このような樹脂材料を用いると、内輪部材11の成形時に、ユニモルフ素子21の取付部や機軸部材13の取付部を一体的に成形することができる。
【0015】
内輪部材11の表面には、複数のユニモルフ素子21から集電を行い、また集電された電力を外部へ出力するための集電板17a・17bが設置されている。この集電板17a・17bとしては、例えば、銅リング等を用いることができる。集電板17a・17bは内輪部材11に直接に設けてもよいし、後述するように、ブリッジ回路30と一体的に配線基板に設けてもよい。
【0016】
機軸部材13は、回転装置14によって時計回りと反時計回りのいずれにも回転可能となっている。機軸部材13には、金属材料または樹脂材料が好適に用いられる。回転装置14としては、風力や水力等の自然力や人力を利用したもの(風車や水車等)や、化石燃料を用いて駆動されるエンジン(自動車エンジン等)の動力を利用したものが好適に用いられる。なお、水力としては、河川を流れる水や、家庭用の上水配管等の給水設備も利用することができる。
【0017】
外輪部材12には、樹脂材料や金属材料が好適に用いられる。この外輪部材12は、発電装置1全体を収容するためのハウジング等に固定される。突起部29は、内輪部材11を回転させた際に複数のユニモルフ素子21が同時にいずれかの突起部29に接触するように、等間隔で外輪部材12の内周面に設けられている。
【0018】
突起部29は、ユニモルフ素子21の先端部(金属板22の先端部)に接触するために、耐摩耗性に優れた材料または摩擦係数の小さい材料で構成することが好ましい。例えば、耐摩耗性に優れた材料としては、窒化珪素や炭化珪素、炭化タングステン等のセラミックス材料が挙げられる。また、摩擦係数の小さい材料としては、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0019】
内輪部材11に取り付けられたユニモルフ素子21は屈曲型圧電素子の1つである。ユニモルフ素子21は、図1に示す取り付け状態に限定されず、内輪部材11の外周に高密度に配置することができる。
【0020】
図2に示すように、ユニモルフ素子21は金属板22の片面に厚み方向に分極された圧電セラミックス薄板23が接着剤で貼り付けられた構造を有している。圧電セラミックス薄板23の表裏面には図示しない電極膜が形成されており、金属板22側の電極膜は金属板22と導通している。金属板22と圧電セラミックス薄板23の表面の電極膜にはそれぞれリード線が取り付けられており、これらのリード線はブリッジ回路30に接続されており、各ブリッジ回路30は、集電板17a・17bに接続されている。
【0021】
なお、図1においては、ブリッジ回路30の図示を省略しているが、ユニモルフ素子21からの電力の取り出し方法を示すために、便宜的に、ユニモルフ素子21に設けられたリード線を直接に内輪部材11に設けられたリング状の集電板17a・17bに取り付けた状態を示している。
【0022】
金属板22としては、優れたバネ性を有する銅薄板、リン青銅薄板、ステンレス薄板、42アロイ薄板等が好適に用いられる。また、圧電セラミックス薄板23としては、厚み横振動モード(d31モード)の特性に優れるチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電材料が好適に用いられ、接着剤としては嫌気性のアクリル系接着剤等が一般的に用いられる。なお、金属板22の代わりに、樹脂フィルムの表面に金属箔が溶着等されたプリント配線基板を用いることも可能である。
【0023】
ブリッジ回路30は内輪部材11の表面に設けられている。例えば、集電板17a・17bを有する所定の配線パターンが形成され、所定位置にダイオードが固定された円板状または平板リング状の配線基板を内輪部材11に固定し、次いで内輪部材11に固定されたユニモルフ素子21が備えているリード線をこの配線基板の所定位置にハンダ付け等により接続すれば、ブリッジ回路30とユニモルフ素子21との接続を容易に行うことができる。
【0024】
複数のブリッジ回路30から出力されて集電板17a・17bで合成された電力を、電気・電子機器や二次電池等の外部負荷へ出力する出力機構15としては、内輪部材11が回転することを考慮すると、回転する機軸部材13の端部から電力を取り出すブラシ機構を用いることができる。図1では、集電板17a・17bから機軸部材13の表面に設けた配線18a・18bへ送電を行う形態を模式的に示している。
【0025】
次に、上述した構造を有する発電装置1の駆動形態について説明する。内輪部材11を回転させると、ユニモルフ素子21の先端部が突起部29に接触する。この状態から内輪部材11を所定角度さらに回転させると、ユニモルフ素子21の自由端の移動が突起部29によって抑制されるために、ユニモルフ素子21が屈曲する。この状態から内輪部材11を所定角度さらに回転させると、ユニモルフ素子21の先端は突起部29から離れ、ユニモルフ素子21は元の姿勢である真っ直ぐな状態に戻ろうとする。
【0026】
このようにユニモルフ素子21の先端を突起部29で弾くようにしてユニモルフ素子21を屈曲変位させることによって、圧電セラミックス薄板23には圧電効果によって電力が発生する。なお、ユニモルフ素子21が屈曲する際の変位速度と、ユニモルフ素子21が屈曲状態から元の真直状態に戻る際の変位速度とがほぼ同じとなるように、内輪部材11の回転速度を調節すると、電圧の立ち上がり時間と降下時間とをほぼ同じ時間とすることができる。発電装置1においては、ユニモルフ素子21を内輪部材11の外周に固定しているために、隣接するユニモルフ素子21どうしの自由端間の距離が拡がり、これにより1個のユニモルフ素子21の変位量を大きくして高い電圧を得ることができる。
【0027】
こうして各ユニモルフ素子21で発生する電力はブリッジ回路30を通して集電される。一般的に、圧電セラミックスの圧電効果によって発生する電力は、高電圧/低電流である。したがって、より多くの電流が得られるように、各ブリッジ回路30は並列に接続することが好ましい。但し、高い電圧が必要とされる場合もあり、この場合には、複数のブリッジ回路30を直列に接続すればよい。
【0028】
図3はブリッジ回路30に入力される電力とブリッジ回路30から出力される電圧を比較した説明図である。ユニモルフ素子21は、その先端が突起部29から離れてから次の突起部29に接触するまでに要する時間が長い場合には、金属板22のバネ性に起因して、反りの方向が逐次逆になるように、かつ、反りの振幅が減少するように屈曲する。このように反りの方向が逆転すると、圧電セラミックス薄板23には交流パルスが発生し、このような交流パルスがブリッジ回路30に入力される(図3(a))。
【0029】
しかし、ブリッジ回路30は電流を一方向に制限する整流機能を有しているために、ブリッジ回路30からは直流パルスの電力が出力される(図3(b))。各種のバックアップ電源や駆動用電源として用いられるコンデンサや鉛蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池を、こうして得られる直流電力で充電することができる。
【0030】
なお、ブリッジ回路30をユニモルフ素子21ごとに設けない場合には、ユニモルフ素子21の内輪部材11への取り付け精度や、ユニモルフ素子ごとの屈曲特性のわずかな差によって、あるユニモルフ素子21の発電のタイミングと別のユニモルフ素子21の発電のタイミングがわずかにずれる場合が生じる可能性がある。この場合には、ユニモルフ素子21が突起部29から離れた後にユニモルフ素子21の反りの方向が逆転することによって、一方のユニモルフ素子21で正の電圧が発生しているとき(例えば、図3(a)に示す最初の正の電圧のピーク発生時)に、別のユニモルフ素子21で負の電圧が発生し(例えば、図3(a)に示す最初の負の電圧のピーク発生時)、これらが互いにうち消し合って所定の電圧が得られなくなる。発電装置1においては、ブリッジ回路30をユニモルフ素子21ごとに設けることによって、このような事態が発生することを回避している。
【0031】
発電装置1においては、内輪部材11に配設するユニモルフ素子21の数を調整することにより、または図1に示す突起部29の中間にさらに突起部を設ける等して外輪部材12に設ける突起部29の数を調整することにより、または内輪部材11の回転数を調整することによって、ユニモルフ素子21の一連の屈曲動作(突起部29に接して屈曲し始め、突起部29から離れて元のほぼ真直な姿勢に戻るまでの動作)に要する時間を確保しながら、かつ、ユニモルフ素子21の駆動周期、つまりユニモルフ素子21がある突起部29に接触してから次の突起部29に接触するまでの時間を短くした場合には、圧電セラミックス薄板23に、図3(c)に示す波形のほぼ連続した電力を発生させることもできる。このような電力を用いれば、直接に電気・電子機器を動作させることも可能である。
【0032】
上述した発電装置1は任意の大きさに設計することができる。ユニモルフ素子21の大きさは、製造が可能な圧電セラミックス薄板23の大きさに制限されるから、最初にユニモルフ素子21の形状を定める。これによりユニモルフ素子21の発電特性が定められるから、所望する電力から必要なユニモルフ素子21の数を決定することができる。そして、内輪部材11の外径を必要な数のユニモルフ素子21を取り付けることができる長さに設定すればよい。
【0033】
図4は、内輪部材11とユニモルフ素子21の大きさを考慮した組み合わせの形態の例を示す説明図である。例えば、長さが一定のユニモルフ素子21を用いた場合において、少ない電力で足りる場合には、図4(a)に示すように、外径の小さい内輪部材11´を用いることができる。これに対して、より大きい電力が必要な場合には、図4(b)に示すように、外径の長い内輪部材11″を用いて、多くのユニモルフ素子21を取り付けることもできる。なお、図4(a)と図4(b)では縮尺度は異なる。
【0034】
上述した発電装置1を複数組み合わせることによって、所望する電力を発生させる発電システムを構成することができる。図5は発電システム100の概略構成を示す斜視図であり、図6は図5に示すAA〜CC概略断面図である。なお、図5は細部を省略して概略の外形のみを示しており、また、以下の説明を分かりやすくするために、図6の各断面図ではブリッジ回路30等の細部を省略し、内輪部材11に少ない数のユニモルフ素子21a〜21cを示している。
【0035】
発電システム100は、機軸部材13が共用されるようにして、機軸部材13の長手方向に発電装置1が複数並べられた構造を有している。以下、このようにして発電システム100を構成する個々の発電装置1を発電ユニットと呼ぶこととする。
【0036】
発電システム100は、発電ユニット101〜103を1つのグループとし、このグループを機軸部材13の長手方向に複数設けた構成となっている。発電ユニット101〜103の各内輪部材11a〜11cは、機軸部材13の長手方向から見たときに、ユニモルフ素子21a〜21cが一直線状に並ぶように、機軸部材13に取り付けられている(図6各図参照)。また、発電ユニット101〜103の全てのユニモルフ素子21a〜21cは、ユニモルフ素子21a〜21cごとに設けられたブリッジ回路(図示せず)を通して、並列接続されている。
【0037】
なお、発電ユニット101〜103からなるグループどうしの電気的な接続は、高電圧が必要であれば直列接続に、大電流が必要であれば並列接続にすればよく、直列接続と並列接続とを組み合わせて接続してもよい。発電システム100は、発電装置1と同様に、機軸部材13を利用したブラシ機構等の出力機構15によって、各グループから出力される電力を一括して取り出すことができるようになっている。
【0038】
これに対して、発電ユニット101〜103のそれぞれの外輪部材12a〜12cに設けられた突起部29a〜29cは、機軸部材13の長手方向から見たときに、周方向に一定の間隔でずれている。例えば、発電ユニット101の突起部29aは、図6(a)に示されるように、外輪部材12aの内周のA点(最上部を頂点の1つに有する正八角形の頂点)に設けられている。これに対して、発電ユニット102の突起部29bは、各A点から時計回りに15度(deg)回ったB点に設けられている(図6(b))。同様に、発電ユニット103の突起部29cは各B点から時計回りに15度回ったC点に設けられている(図6(c))。
【0039】
図7は機軸部材13を回転させた際に、発電ユニット101〜103において発生する電力の電圧波形を示す説明図である。機軸部材13を回転させている状態において、ある時間T1では、発電ユニット101で発電が始まり(つまり、発電ユニット101が具備するユニモルフ素子21aが突起部29aに接して屈曲が始まる)、電圧V1が発生する。なお、後述するように、この時間T1の時点では後の時間T4と同様に、発電ユニット103の発電による電圧V3がピークに達している。次に、時間T1から一定時間ΔTが経過して機軸部材13が一定角度回転した時間T2においては、発電ユニット101よる電圧V1がピークに達するとともに、発電ユニット102での発電が始まり、電圧V2が発生する。
【0040】
時間T2から一定時間ΔTが経過した時間T3においては、発電ユニット102による電圧V2がピークに達するとともに、発電ユニット103での発電が始まり、電圧V3が発生する。時間T3から一定時間ΔTが経過した時間T4においては、発電ユニット103による電圧V3がピークに達するとともに、発電ユニット101での発電が始まる。つまり時間T4においては時間T1と同じ状態となり、以下、このようなサイクルが繰り返される。
【0041】
このように、機軸部材13を回転させた際に発電ユニット101〜103それぞれから出力される電力は一定の周波数を有する電力であるが、その位相を相互にずらすことによって、図7に示すように、これらの電力が合成されて直流電力を得ることができる。このようなグループを機軸部材13に複数設けることによって、より大きな電力を取り出すことができる。
【0042】
次に、本発明の発電装置の別の実施形態について説明する。図8は発電装置1aの概略側面図である。発電装置1aは、先に説明した発電装置1と比較すると、内輪部材11に固定されているユニモルフ素子(以下「ユニモルフ素子21p〜21s」とする)の数が少なく、かつ、外輪部材12に設けられた突起部(以下「突起部29p〜29t」とする)の配置の形態が異なるだけである。
【0043】
図9は発電装置1aによって得られる電圧波形を示す説明図である。発電装置1aにおいては、例えば、ある時間t1においては、等間隔で内輪部材11に固定された複数のユニモルフ素子21p〜21sのうちの3個のユニモルフ素子21pは突起部29pに接触するが、その他のユニモルフ素子21q〜21sはフリーな状態にある。なお、突起部29p間が1周期となっている。
【0044】
時間t1から一定時間Δtが経過した時間t2においては、内輪部材11が回転することによってユニモルフ素子21pは突起部29pから離れるとする。したがって、時間t2ではユニモルフ素子21pで発生する電圧Vpはほぼ最大値に達する。一方、この時間t2において、ユニモルフ素子21qが突起部29qに接触して屈曲が始まるように、突起部29qの位置が定められている。時間t2において、ユニモルフ素子21r・21sはフリーな状態にある。
【0045】
時間t2から一定時間Δtが経過した時間t3において、ユニモルフ素子21pはほぼフリーな状態に戻っている。また、この時間t3において、ユニモルフ素子21qは突起部29qから離れようとする。したがって、時間t3ではユニモルフ素子21qで発生する電圧Vqはほぼ最大値に達する。さらに、時間t3において、ユニモルフ素子21rの屈曲が始まるように突起部29rの位置を定める。時間t3において、ユニモルフ素子21sはフリーな状態にある。
【0046】
時間t3から一定時間Δtが経過した時間t4において、ユニモルフ素子21p・21qはフリーな状態となっている。また、この時間t4において、ユニモルフ素子21rは突起部29rから離れる。したがって、時間t4ではユニモルフ素子21rで発生する電圧Vrはほぼ最大値に達する。さらに、時間t4において、ユニモルフ素子21sの屈曲が始まるように突起部29sの位置を定める。
【0047】
時間t4から一定時間Δtが経過した時間t5では、ユニモルフ素子21q・21rはフリーな状態となっている。また、この時間t5において、ユニモルフ素子21sは突起部29sから離れようとする。したがって、時間t5ではユニモルフ素子21sで発生する電圧Vsはほぼ最大値に達する。さらに時間t5では、ユニモルフ素子21pは突起部29tに接触して屈曲し始める。時間t5から一定時間Δtが経過した時間t6では、ユニモルフ素子21qが突起部29pに接して屈曲を始める。以下、このような動作サイクルが繰り返される。
【0048】
このように、発電装置1aは、突起部29p〜29tを設ける位置を制御することによって、ユニモルフ21p〜21sの屈曲のタイミングをずらしており、その結果として、ユニモルフ素子21p〜21sから出力される電力を合成した際に、直流電力が得られるようになっている。複数の発電装置1を構成ユニットとして並列(または直列)に接続することにより発電システム100を構成したように、複数の発電装置1aを同時に駆動することによって、より大きな電力を得ることができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、ユニモルフ素子21に用いられる金属板22は一般的にその厚みが薄いために、外輪部材12の内周面に設けられた突起部29が直接に金属板22の先端部(自由端)に接触するようにすると、金属板22の先端部だけが屈曲する等の経時変化が生じて、突起部29からユニモルフ素子21に正確に力が伝わらなくなるおそれがある。
【0050】
そこで、ユニモルフ素子21の先端部に、機械的強度と耐摩耗性に優れる窒化珪素や炭化珪素、炭化タングステン等のセラミックス片を取り付けるか、または、このようなセラミックス片を取り付ける代わりに、このような材料で金属板22の先端部をコーティングすることが好ましい。これによって、ユニモルフ素子21の屈曲性を保持し、発電特性を長期にわたって維持することができる。
【0051】
図1にはユニモルフ素子21の数と突起部29の数とが等しい形態を示したが、突起部29の数は、これに限定されるものではない。例えば、ユニモルフ素子21の一連の屈曲動作に要する時間が確保される範囲で、図1に示す突起部29の間にさらに1個以上の突起部29を設けることも可能である。この場合には、内輪部材11が1回転する間にユニモルフ素子21が突起部29に接触する回数が多くなるために、より大きな電力を発生させることができる。これとは逆に、突起部29の数を減らすこともできる。
【0052】
発電装置に用いられる屈曲型圧電素子は、ユニモルフ素子21に限定されるものではなく、図10に示すような金属板(シム)22の両面に圧電セラミックス薄板23を貼り付けたバイモルフ素子25を用いることもできる。バイモルフ素子25の場合には、圧電セラミックス薄板23の一方には、分極方向とは逆方向に電圧が発生するために、分極が消滅しない程度にバイモルフ素子25の屈曲を抑えることが好ましい。
【0053】
ユニモルフ素子21やバイモルフ素子は、直接に内輪部材11に取り付けなくてはならないものではない。例えば、ユニモルフ素子21の一端に金属板22を保持する治具を取り付け、この治具を内輪部材11に固定してもよい。
【0054】
図1および図2に示した発電装置1は、外輪部材12を固定し、内輪部材11を回転させることによって発電を行う構造を有しているが、これとは逆に、内輪部材11を固定し、外輪部材12を回転させることによって発電を行う構造とすることもできる。図11は外輪部材12を回転させる機構の一例を示す側面図である。図11に示されるように、外輪部材12の一方の開口面に円板19を取り付け、この円板19の中心に枢軸部材42を取り付ける。この枢軸部材42をベアリング43を介してハウジング41に回転自在な状態で取り付ける。また、内輪部材11をハウジング41に固定する。枢軸部材42を回転装置14によって回転することによって、ユニモルフ素子21は突起部29に接触して屈曲し、発電が行われる。
【0055】
この他にも、例えば、外周が歯車状となっている外輪部材を用い、この外輪部材を少なくとも3個の回転自在な小さい歯車で保持して、これら小さい歯車の中の1個を回転装置によって回転させることによって、外輪部材を回転させることもできる。
【0056】
発電装置1や発電システム100から出力される電力は、二次電池等の充電に用いられるのみでなく、直接にDC/ACコンバータを用いて交流変換し、トランスによって昇圧することによって、直接に家庭やオフィスビル等の各所で使用することも可能である。また、本発明に係る発電システムを小型化したものは、各種の充電装置、例えば、自動車用バッテリーの充電装置等としても用いることができる。
【0057】
発電装置1aでは、ユニモルフ素子21を4個1単位として各ユニモルフ素子1をタイミングをずらして屈曲させ、これによって位相の異なる電力を発生させたが、5個以上のユニモルフ素子21を1単位としてタイミングをずらして屈曲させ、これによって位相の異なる電力を発生させてもよく、逆に、2個または3個のユニモルフ素子21を1単位としてもよい。また、発電システム100では、1グループを構成する発電ユニットの数を3個としたが、より多くの発電ユニットから1グループを構成してもよく、2個の発電ユニットを1グループとしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、複数の屈曲型圧電素子を変位させることによって大きな電力を得ることができる。また、複数の屈曲型圧電素子の変位のタイミングをずらすことによって一定出力の直流電力を得ることができる。さらに、屈曲型圧電素子の一端を内輪部材の外周に固定しているために、隣接する屈曲型圧電素子の自由端間の距離が拡がり、これにより1個の屈曲型圧電素子の変位量を大きくして高い電圧を得ることができる。本発明の発電装置を複数組み合わせた発電システムでは、家庭用等に使用できる中規模または大規模な電力の発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発電装置の概略側面図。
【図2】図1に示す発電装置の部分拡大図。
【図3】ブリッジ回路に入力される電力とブリッジ回路から出力される電圧の説明図。
【図4】内輪部材とユニモルフ素子の大きさを考慮した組み合わせの形態の例を示す説明図。
【図5】本発明に係る発電システムの概略構成を示す斜視図。
【図6】図5に示すAA〜CC断面図。
【図7】発電システムを構成する発電ユニットにおいて発生する電力の電圧波形を示す説明図。
【図8】本発明に係る別の発電装置の概略側面図。
【図9】図8に示すユニモルフ素子の駆動により得られる電圧波形を示す説明図。
【図10】バイモルフ素子の概略構造を示す斜視図。
【図11】外輪部材を回転させる機構の一実施形態を示す側面図。
【符号の説明】
1;発電装置
11・11´・11″・11a〜11c;内輪部材
12・12a〜12c;外輪部材
13;機軸部材
14;回転装置
15;出力機構
17a・17b;集電板
18a・18b;配線
19;円板
21・21a〜21c・21p〜21s;ユニモルフ素子
22;金属板
23;圧電セラミックス薄板
25;バイモルフ素子
29・29a〜29d・29p〜29s;突起部
30;ブリッジ回路
41;ハウジング
42;枢軸部材
43;ベアリング
100;発電システム
101〜103;発電ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の圧電効果を利用した発電装置および発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電体に変位を与えると圧電効果によって電力が発生するため、この電力を直接に電気製品や電子製品の作動に使用することができ、または発生した電力を電池やコンデンサに充電することによって、これら電池等を電気製品等の駆動電源または停電時や非常時のバックアップ電源として用いることができる。
【0003】
例えば、特開平9−233862号公報の図9には、腕時計に用いられる発電装置が開示されている。この発電装置は、時計ケースの内周に一定間隔で片持ち梁状かつ放射状に固定された複数の振動片と、時計ケースの中央に設けられた回転錘と、回転錘に固定された回転部材とを有しており、振動片の両面には圧電体層が設けられ、回転部材の外周には所定間隔で突起が設けられている。ここで、特開平9−233862号公報の図16に示されるように、回転錘は回転錘に加えられる外力の向きに応じて、所定角度(回転の中心と隣接する2カ所の突起とを結ぶ線の交差角度にほぼ一致する)の範囲内で時計回りと反時計回りのいずれにも回ることができるようになっており、回転部材はこの回転錘の動きと同じ動きをする。
【0004】
このような発電装置では、腕の動きに反応して回転錘が回転し、このときに回転部材に設けられた突起が振動片の先端部(自由端)に接触して振動片および振動片に接着された圧電体層を屈曲させる。このとき、圧電体層に圧電効果による電力が発生するので、この電力がコンデンサ(または二次電池)に充電され、これによって、時計の駆動が維持される。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−233862号公報(第8−12頁、第9図、第16図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記発電装置を家庭用の給電設備としてそのまま応用することは困難である。具体的には、上記発電装置の回転部材に設けられた突起の数は振動片の数よりも少ないために、一度に発電する圧電体層の数が少なく、大きな電力が得られないという問題がある。
【0007】
また、回転錘は一定の角度範囲でしか回転できないようになっているが、これは腕の動きの多くが振り子型の往復運動であることによるものと推測される。しかし、上記発電装置を家庭用の電力供給設備に応用しようとすると、この回転錘の動力源としては水力や風力等の自然力が用いられることが予想されるために、これらの力によって回転錘に振り子型の運動を与えることは困難である。
【0008】
さらに、振動片は内周側が自由端であり、外周側が固定端となっているために、隣接する振動片の先端間の距離が短くなる。この場合には、振動片の自由端どうしが接触しないようにしなければならないために振動片の配置密度を高めることが困難であり、また、1個の振動片の変位量を大きくとることができないために高い電圧を得ることが困難である。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、家庭用電力等に用いられる中規模電力または大規模電力の発電を行う発電装置および発電システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、外周に複数の屈曲型圧電素子が所定の間隔で放射状に固定された円板状の内輪部材と、
前記内輪部材を囲繞する外輪部材と、
前記内輪部材または前記外輪部材を回転させる回転機構と、
前記内輪部材または前記外輪部材を回転させた際に、前記屈曲型圧電素子の先端部に接触して前記屈曲型圧電素子に屈曲変位を生じさせるように、前記外輪部材の内周面に所定間隔で設けられた突起部と、
前記複数の屈曲型圧電素子が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を前記複数の屈曲型圧電素子ごとに整流する複数の整流回路と、
前記複数の整流回路から集電した電力を外部負荷へ出力する出力機構と、
を具備することを特徴とする発電装置、が提供される。
【0011】
また本発明によれば、所定の定周波数の電力を出力する発電ユニットを複数備えた発電システムであって、
前記複数の発電ユニットを保持する機軸部材と、
前記機軸部材を回転させる回転機構と、
前記複数の発電ユニットにおいて発生する電力を集電して外部負荷へ出力する出力機構と、
を具備し、
前記複数の発電ユニットは個々に、
円板形状を有し、その外周に複数の屈曲型圧電素子が所定の間隔で放射状に固定され、前記機軸部材がその主面の中心を貫通するようにして前記機軸部材と接続された内輪部材と、
前記内輪部材を囲繞するように配置され、前記機軸部材の回転によって前記内輪部材が回転した際に前記屈曲型圧電素子の先端部に接触して前記屈曲型圧電素子に屈曲変位を生じさせる突起部が内周面に所定間隔で設けられた外輪部材と、
前記複数の屈曲型圧電素子が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を前記複数の屈曲型圧電素子ごとに整流する複数の整流回路と、
を有し、
前記複数の発電ユニットは、前記機軸部材を回転させた際に、所定周波数の電力がその位相がずれるように前記機軸部材に取り付けられ、
前記出力機構からは、前記複数の発電ユニットから前記複数の整流回路を通して給電される電力が合成された直流電力が出力されることを特徴とする発電システム、が提供される。
【0012】
このような本発明によれば、複数の屈曲型圧電素子を同時に変位させた場合には大きな電力を得ることができ、また複数の屈曲型圧電素子の変位のタイミングをずらすことによって容易に一定出力の直流電力を得ることができる。また、屈曲型圧電素子の一端を内輪部材の外周に固定しているために、隣接する屈曲型圧電素子の自由端間の距離が拡がり、これにより1個の屈曲型圧電素子の変位量を大きくして高い電圧を得ることができる。なお、屈曲型圧電素子は内輪部材の外周に高密度に配置することができ、これにより出力を大きくすることができる。さらに、内輪部材または外輪部材を一方向に回転させることができるために、動力源として水力や風力等の自然力を用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る発電装置の概略側面図であり、図2は発電装置の部分拡大図である。発電装置1は、円板状の内輪部材11と、内輪部材11の外周に一定の間隔で放射状に固定された複数のユニモルフ素子21と、複数のユニモルフ素子21ごとに設けられたブリッジ回路30と、内輪部材11を囲繞するように配置された外輪部材12と、外輪部材12の内周面に一定間隔で設けられた突起部29と、内輪部材11の主面の中心を貫通するようにして内輪部材11に固定された機軸部材13と、機軸部材13を回転させる回転装置14と、を有している。
【0014】
内輪部材11にはユニモルフ素子21と絶縁するために、絶縁材料が好適に用いられる。具体的には、ABS樹脂やエポキシ樹脂等のエンジニアリングプラスチック材料が挙げられる。このような樹脂材料を用いると、内輪部材11の成形時に、ユニモルフ素子21の取付部や機軸部材13の取付部を一体的に成形することができる。
【0015】
内輪部材11の表面には、複数のユニモルフ素子21から集電を行い、また集電された電力を外部へ出力するための集電板17a・17bが設置されている。この集電板17a・17bとしては、例えば、銅リング等を用いることができる。集電板17a・17bは内輪部材11に直接に設けてもよいし、後述するように、ブリッジ回路30と一体的に配線基板に設けてもよい。
【0016】
機軸部材13は、回転装置14によって時計回りと反時計回りのいずれにも回転可能となっている。機軸部材13には、金属材料または樹脂材料が好適に用いられる。回転装置14としては、風力や水力等の自然力や人力を利用したもの(風車や水車等)や、化石燃料を用いて駆動されるエンジン(自動車エンジン等)の動力を利用したものが好適に用いられる。なお、水力としては、河川を流れる水や、家庭用の上水配管等の給水設備も利用することができる。
【0017】
外輪部材12には、樹脂材料や金属材料が好適に用いられる。この外輪部材12は、発電装置1全体を収容するためのハウジング等に固定される。突起部29は、内輪部材11を回転させた際に複数のユニモルフ素子21が同時にいずれかの突起部29に接触するように、等間隔で外輪部材12の内周面に設けられている。
【0018】
突起部29は、ユニモルフ素子21の先端部(金属板22の先端部)に接触するために、耐摩耗性に優れた材料または摩擦係数の小さい材料で構成することが好ましい。例えば、耐摩耗性に優れた材料としては、窒化珪素や炭化珪素、炭化タングステン等のセラミックス材料が挙げられる。また、摩擦係数の小さい材料としては、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0019】
内輪部材11に取り付けられたユニモルフ素子21は屈曲型圧電素子の1つである。ユニモルフ素子21は、図1に示す取り付け状態に限定されず、内輪部材11の外周に高密度に配置することができる。
【0020】
図2に示すように、ユニモルフ素子21は金属板22の片面に厚み方向に分極された圧電セラミックス薄板23が接着剤で貼り付けられた構造を有している。圧電セラミックス薄板23の表裏面には図示しない電極膜が形成されており、金属板22側の電極膜は金属板22と導通している。金属板22と圧電セラミックス薄板23の表面の電極膜にはそれぞれリード線が取り付けられており、これらのリード線はブリッジ回路30に接続されており、各ブリッジ回路30は、集電板17a・17bに接続されている。
【0021】
なお、図1においては、ブリッジ回路30の図示を省略しているが、ユニモルフ素子21からの電力の取り出し方法を示すために、便宜的に、ユニモルフ素子21に設けられたリード線を直接に内輪部材11に設けられたリング状の集電板17a・17bに取り付けた状態を示している。
【0022】
金属板22としては、優れたバネ性を有する銅薄板、リン青銅薄板、ステンレス薄板、42アロイ薄板等が好適に用いられる。また、圧電セラミックス薄板23としては、厚み横振動モード(d31モード)の特性に優れるチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電材料が好適に用いられ、接着剤としては嫌気性のアクリル系接着剤等が一般的に用いられる。なお、金属板22の代わりに、樹脂フィルムの表面に金属箔が溶着等されたプリント配線基板を用いることも可能である。
【0023】
ブリッジ回路30は内輪部材11の表面に設けられている。例えば、集電板17a・17bを有する所定の配線パターンが形成され、所定位置にダイオードが固定された円板状または平板リング状の配線基板を内輪部材11に固定し、次いで内輪部材11に固定されたユニモルフ素子21が備えているリード線をこの配線基板の所定位置にハンダ付け等により接続すれば、ブリッジ回路30とユニモルフ素子21との接続を容易に行うことができる。
【0024】
複数のブリッジ回路30から出力されて集電板17a・17bで合成された電力を、電気・電子機器や二次電池等の外部負荷へ出力する出力機構15としては、内輪部材11が回転することを考慮すると、回転する機軸部材13の端部から電力を取り出すブラシ機構を用いることができる。図1では、集電板17a・17bから機軸部材13の表面に設けた配線18a・18bへ送電を行う形態を模式的に示している。
【0025】
次に、上述した構造を有する発電装置1の駆動形態について説明する。内輪部材11を回転させると、ユニモルフ素子21の先端部が突起部29に接触する。この状態から内輪部材11を所定角度さらに回転させると、ユニモルフ素子21の自由端の移動が突起部29によって抑制されるために、ユニモルフ素子21が屈曲する。この状態から内輪部材11を所定角度さらに回転させると、ユニモルフ素子21の先端は突起部29から離れ、ユニモルフ素子21は元の姿勢である真っ直ぐな状態に戻ろうとする。
【0026】
このようにユニモルフ素子21の先端を突起部29で弾くようにしてユニモルフ素子21を屈曲変位させることによって、圧電セラミックス薄板23には圧電効果によって電力が発生する。なお、ユニモルフ素子21が屈曲する際の変位速度と、ユニモルフ素子21が屈曲状態から元の真直状態に戻る際の変位速度とがほぼ同じとなるように、内輪部材11の回転速度を調節すると、電圧の立ち上がり時間と降下時間とをほぼ同じ時間とすることができる。発電装置1においては、ユニモルフ素子21を内輪部材11の外周に固定しているために、隣接するユニモルフ素子21どうしの自由端間の距離が拡がり、これにより1個のユニモルフ素子21の変位量を大きくして高い電圧を得ることができる。
【0027】
こうして各ユニモルフ素子21で発生する電力はブリッジ回路30を通して集電される。一般的に、圧電セラミックスの圧電効果によって発生する電力は、高電圧/低電流である。したがって、より多くの電流が得られるように、各ブリッジ回路30は並列に接続することが好ましい。但し、高い電圧が必要とされる場合もあり、この場合には、複数のブリッジ回路30を直列に接続すればよい。
【0028】
図3はブリッジ回路30に入力される電力とブリッジ回路30から出力される電圧を比較した説明図である。ユニモルフ素子21は、その先端が突起部29から離れてから次の突起部29に接触するまでに要する時間が長い場合には、金属板22のバネ性に起因して、反りの方向が逐次逆になるように、かつ、反りの振幅が減少するように屈曲する。このように反りの方向が逆転すると、圧電セラミックス薄板23には交流パルスが発生し、このような交流パルスがブリッジ回路30に入力される(図3(a))。
【0029】
しかし、ブリッジ回路30は電流を一方向に制限する整流機能を有しているために、ブリッジ回路30からは直流パルスの電力が出力される(図3(b))。各種のバックアップ電源や駆動用電源として用いられるコンデンサや鉛蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池を、こうして得られる直流電力で充電することができる。
【0030】
なお、ブリッジ回路30をユニモルフ素子21ごとに設けない場合には、ユニモルフ素子21の内輪部材11への取り付け精度や、ユニモルフ素子ごとの屈曲特性のわずかな差によって、あるユニモルフ素子21の発電のタイミングと別のユニモルフ素子21の発電のタイミングがわずかにずれる場合が生じる可能性がある。この場合には、ユニモルフ素子21が突起部29から離れた後にユニモルフ素子21の反りの方向が逆転することによって、一方のユニモルフ素子21で正の電圧が発生しているとき(例えば、図3(a)に示す最初の正の電圧のピーク発生時)に、別のユニモルフ素子21で負の電圧が発生し(例えば、図3(a)に示す最初の負の電圧のピーク発生時)、これらが互いにうち消し合って所定の電圧が得られなくなる。発電装置1においては、ブリッジ回路30をユニモルフ素子21ごとに設けることによって、このような事態が発生することを回避している。
【0031】
発電装置1においては、内輪部材11に配設するユニモルフ素子21の数を調整することにより、または図1に示す突起部29の中間にさらに突起部を設ける等して外輪部材12に設ける突起部29の数を調整することにより、または内輪部材11の回転数を調整することによって、ユニモルフ素子21の一連の屈曲動作(突起部29に接して屈曲し始め、突起部29から離れて元のほぼ真直な姿勢に戻るまでの動作)に要する時間を確保しながら、かつ、ユニモルフ素子21の駆動周期、つまりユニモルフ素子21がある突起部29に接触してから次の突起部29に接触するまでの時間を短くした場合には、圧電セラミックス薄板23に、図3(c)に示す波形のほぼ連続した電力を発生させることもできる。このような電力を用いれば、直接に電気・電子機器を動作させることも可能である。
【0032】
上述した発電装置1は任意の大きさに設計することができる。ユニモルフ素子21の大きさは、製造が可能な圧電セラミックス薄板23の大きさに制限されるから、最初にユニモルフ素子21の形状を定める。これによりユニモルフ素子21の発電特性が定められるから、所望する電力から必要なユニモルフ素子21の数を決定することができる。そして、内輪部材11の外径を必要な数のユニモルフ素子21を取り付けることができる長さに設定すればよい。
【0033】
図4は、内輪部材11とユニモルフ素子21の大きさを考慮した組み合わせの形態の例を示す説明図である。例えば、長さが一定のユニモルフ素子21を用いた場合において、少ない電力で足りる場合には、図4(a)に示すように、外径の小さい内輪部材11´を用いることができる。これに対して、より大きい電力が必要な場合には、図4(b)に示すように、外径の長い内輪部材11″を用いて、多くのユニモルフ素子21を取り付けることもできる。なお、図4(a)と図4(b)では縮尺度は異なる。
【0034】
上述した発電装置1を複数組み合わせることによって、所望する電力を発生させる発電システムを構成することができる。図5は発電システム100の概略構成を示す斜視図であり、図6は図5に示すAA〜CC概略断面図である。なお、図5は細部を省略して概略の外形のみを示しており、また、以下の説明を分かりやすくするために、図6の各断面図ではブリッジ回路30等の細部を省略し、内輪部材11に少ない数のユニモルフ素子21a〜21cを示している。
【0035】
発電システム100は、機軸部材13が共用されるようにして、機軸部材13の長手方向に発電装置1が複数並べられた構造を有している。以下、このようにして発電システム100を構成する個々の発電装置1を発電ユニットと呼ぶこととする。
【0036】
発電システム100は、発電ユニット101〜103を1つのグループとし、このグループを機軸部材13の長手方向に複数設けた構成となっている。発電ユニット101〜103の各内輪部材11a〜11cは、機軸部材13の長手方向から見たときに、ユニモルフ素子21a〜21cが一直線状に並ぶように、機軸部材13に取り付けられている(図6各図参照)。また、発電ユニット101〜103の全てのユニモルフ素子21a〜21cは、ユニモルフ素子21a〜21cごとに設けられたブリッジ回路(図示せず)を通して、並列接続されている。
【0037】
なお、発電ユニット101〜103からなるグループどうしの電気的な接続は、高電圧が必要であれば直列接続に、大電流が必要であれば並列接続にすればよく、直列接続と並列接続とを組み合わせて接続してもよい。発電システム100は、発電装置1と同様に、機軸部材13を利用したブラシ機構等の出力機構15によって、各グループから出力される電力を一括して取り出すことができるようになっている。
【0038】
これに対して、発電ユニット101〜103のそれぞれの外輪部材12a〜12cに設けられた突起部29a〜29cは、機軸部材13の長手方向から見たときに、周方向に一定の間隔でずれている。例えば、発電ユニット101の突起部29aは、図6(a)に示されるように、外輪部材12aの内周のA点(最上部を頂点の1つに有する正八角形の頂点)に設けられている。これに対して、発電ユニット102の突起部29bは、各A点から時計回りに15度(deg)回ったB点に設けられている(図6(b))。同様に、発電ユニット103の突起部29cは各B点から時計回りに15度回ったC点に設けられている(図6(c))。
【0039】
図7は機軸部材13を回転させた際に、発電ユニット101〜103において発生する電力の電圧波形を示す説明図である。機軸部材13を回転させている状態において、ある時間T1では、発電ユニット101で発電が始まり(つまり、発電ユニット101が具備するユニモルフ素子21aが突起部29aに接して屈曲が始まる)、電圧V1が発生する。なお、後述するように、この時間T1の時点では後の時間T4と同様に、発電ユニット103の発電による電圧V3がピークに達している。次に、時間T1から一定時間ΔTが経過して機軸部材13が一定角度回転した時間T2においては、発電ユニット101よる電圧V1がピークに達するとともに、発電ユニット102での発電が始まり、電圧V2が発生する。
【0040】
時間T2から一定時間ΔTが経過した時間T3においては、発電ユニット102による電圧V2がピークに達するとともに、発電ユニット103での発電が始まり、電圧V3が発生する。時間T3から一定時間ΔTが経過した時間T4においては、発電ユニット103による電圧V3がピークに達するとともに、発電ユニット101での発電が始まる。つまり時間T4においては時間T1と同じ状態となり、以下、このようなサイクルが繰り返される。
【0041】
このように、機軸部材13を回転させた際に発電ユニット101〜103それぞれから出力される電力は一定の周波数を有する電力であるが、その位相を相互にずらすことによって、図7に示すように、これらの電力が合成されて直流電力を得ることができる。このようなグループを機軸部材13に複数設けることによって、より大きな電力を取り出すことができる。
【0042】
次に、本発明の発電装置の別の実施形態について説明する。図8は発電装置1aの概略側面図である。発電装置1aは、先に説明した発電装置1と比較すると、内輪部材11に固定されているユニモルフ素子(以下「ユニモルフ素子21p〜21s」とする)の数が少なく、かつ、外輪部材12に設けられた突起部(以下「突起部29p〜29t」とする)の配置の形態が異なるだけである。
【0043】
図9は発電装置1aによって得られる電圧波形を示す説明図である。発電装置1aにおいては、例えば、ある時間t1においては、等間隔で内輪部材11に固定された複数のユニモルフ素子21p〜21sのうちの3個のユニモルフ素子21pは突起部29pに接触するが、その他のユニモルフ素子21q〜21sはフリーな状態にある。なお、突起部29p間が1周期となっている。
【0044】
時間t1から一定時間Δtが経過した時間t2においては、内輪部材11が回転することによってユニモルフ素子21pは突起部29pから離れるとする。したがって、時間t2ではユニモルフ素子21pで発生する電圧Vpはほぼ最大値に達する。一方、この時間t2において、ユニモルフ素子21qが突起部29qに接触して屈曲が始まるように、突起部29qの位置が定められている。時間t2において、ユニモルフ素子21r・21sはフリーな状態にある。
【0045】
時間t2から一定時間Δtが経過した時間t3において、ユニモルフ素子21pはほぼフリーな状態に戻っている。また、この時間t3において、ユニモルフ素子21qは突起部29qから離れようとする。したがって、時間t3ではユニモルフ素子21qで発生する電圧Vqはほぼ最大値に達する。さらに、時間t3において、ユニモルフ素子21rの屈曲が始まるように突起部29rの位置を定める。時間t3において、ユニモルフ素子21sはフリーな状態にある。
【0046】
時間t3から一定時間Δtが経過した時間t4において、ユニモルフ素子21p・21qはフリーな状態となっている。また、この時間t4において、ユニモルフ素子21rは突起部29rから離れる。したがって、時間t4ではユニモルフ素子21rで発生する電圧Vrはほぼ最大値に達する。さらに、時間t4において、ユニモルフ素子21sの屈曲が始まるように突起部29sの位置を定める。
【0047】
時間t4から一定時間Δtが経過した時間t5では、ユニモルフ素子21q・21rはフリーな状態となっている。また、この時間t5において、ユニモルフ素子21sは突起部29sから離れようとする。したがって、時間t5ではユニモルフ素子21sで発生する電圧Vsはほぼ最大値に達する。さらに時間t5では、ユニモルフ素子21pは突起部29tに接触して屈曲し始める。時間t5から一定時間Δtが経過した時間t6では、ユニモルフ素子21qが突起部29pに接して屈曲を始める。以下、このような動作サイクルが繰り返される。
【0048】
このように、発電装置1aは、突起部29p〜29tを設ける位置を制御することによって、ユニモルフ21p〜21sの屈曲のタイミングをずらしており、その結果として、ユニモルフ素子21p〜21sから出力される電力を合成した際に、直流電力が得られるようになっている。複数の発電装置1を構成ユニットとして並列(または直列)に接続することにより発電システム100を構成したように、複数の発電装置1aを同時に駆動することによって、より大きな電力を得ることができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、ユニモルフ素子21に用いられる金属板22は一般的にその厚みが薄いために、外輪部材12の内周面に設けられた突起部29が直接に金属板22の先端部(自由端)に接触するようにすると、金属板22の先端部だけが屈曲する等の経時変化が生じて、突起部29からユニモルフ素子21に正確に力が伝わらなくなるおそれがある。
【0050】
そこで、ユニモルフ素子21の先端部に、機械的強度と耐摩耗性に優れる窒化珪素や炭化珪素、炭化タングステン等のセラミックス片を取り付けるか、または、このようなセラミックス片を取り付ける代わりに、このような材料で金属板22の先端部をコーティングすることが好ましい。これによって、ユニモルフ素子21の屈曲性を保持し、発電特性を長期にわたって維持することができる。
【0051】
図1にはユニモルフ素子21の数と突起部29の数とが等しい形態を示したが、突起部29の数は、これに限定されるものではない。例えば、ユニモルフ素子21の一連の屈曲動作に要する時間が確保される範囲で、図1に示す突起部29の間にさらに1個以上の突起部29を設けることも可能である。この場合には、内輪部材11が1回転する間にユニモルフ素子21が突起部29に接触する回数が多くなるために、より大きな電力を発生させることができる。これとは逆に、突起部29の数を減らすこともできる。
【0052】
発電装置に用いられる屈曲型圧電素子は、ユニモルフ素子21に限定されるものではなく、図10に示すような金属板(シム)22の両面に圧電セラミックス薄板23を貼り付けたバイモルフ素子25を用いることもできる。バイモルフ素子25の場合には、圧電セラミックス薄板23の一方には、分極方向とは逆方向に電圧が発生するために、分極が消滅しない程度にバイモルフ素子25の屈曲を抑えることが好ましい。
【0053】
ユニモルフ素子21やバイモルフ素子は、直接に内輪部材11に取り付けなくてはならないものではない。例えば、ユニモルフ素子21の一端に金属板22を保持する治具を取り付け、この治具を内輪部材11に固定してもよい。
【0054】
図1および図2に示した発電装置1は、外輪部材12を固定し、内輪部材11を回転させることによって発電を行う構造を有しているが、これとは逆に、内輪部材11を固定し、外輪部材12を回転させることによって発電を行う構造とすることもできる。図11は外輪部材12を回転させる機構の一例を示す側面図である。図11に示されるように、外輪部材12の一方の開口面に円板19を取り付け、この円板19の中心に枢軸部材42を取り付ける。この枢軸部材42をベアリング43を介してハウジング41に回転自在な状態で取り付ける。また、内輪部材11をハウジング41に固定する。枢軸部材42を回転装置14によって回転することによって、ユニモルフ素子21は突起部29に接触して屈曲し、発電が行われる。
【0055】
この他にも、例えば、外周が歯車状となっている外輪部材を用い、この外輪部材を少なくとも3個の回転自在な小さい歯車で保持して、これら小さい歯車の中の1個を回転装置によって回転させることによって、外輪部材を回転させることもできる。
【0056】
発電装置1や発電システム100から出力される電力は、二次電池等の充電に用いられるのみでなく、直接にDC/ACコンバータを用いて交流変換し、トランスによって昇圧することによって、直接に家庭やオフィスビル等の各所で使用することも可能である。また、本発明に係る発電システムを小型化したものは、各種の充電装置、例えば、自動車用バッテリーの充電装置等としても用いることができる。
【0057】
発電装置1aでは、ユニモルフ素子21を4個1単位として各ユニモルフ素子1をタイミングをずらして屈曲させ、これによって位相の異なる電力を発生させたが、5個以上のユニモルフ素子21を1単位としてタイミングをずらして屈曲させ、これによって位相の異なる電力を発生させてもよく、逆に、2個または3個のユニモルフ素子21を1単位としてもよい。また、発電システム100では、1グループを構成する発電ユニットの数を3個としたが、より多くの発電ユニットから1グループを構成してもよく、2個の発電ユニットを1グループとしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、複数の屈曲型圧電素子を変位させることによって大きな電力を得ることができる。また、複数の屈曲型圧電素子の変位のタイミングをずらすことによって一定出力の直流電力を得ることができる。さらに、屈曲型圧電素子の一端を内輪部材の外周に固定しているために、隣接する屈曲型圧電素子の自由端間の距離が拡がり、これにより1個の屈曲型圧電素子の変位量を大きくして高い電圧を得ることができる。本発明の発電装置を複数組み合わせた発電システムでは、家庭用等に使用できる中規模または大規模な電力の発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発電装置の概略側面図。
【図2】図1に示す発電装置の部分拡大図。
【図3】ブリッジ回路に入力される電力とブリッジ回路から出力される電圧の説明図。
【図4】内輪部材とユニモルフ素子の大きさを考慮した組み合わせの形態の例を示す説明図。
【図5】本発明に係る発電システムの概略構成を示す斜視図。
【図6】図5に示すAA〜CC断面図。
【図7】発電システムを構成する発電ユニットにおいて発生する電力の電圧波形を示す説明図。
【図8】本発明に係る別の発電装置の概略側面図。
【図9】図8に示すユニモルフ素子の駆動により得られる電圧波形を示す説明図。
【図10】バイモルフ素子の概略構造を示す斜視図。
【図11】外輪部材を回転させる機構の一実施形態を示す側面図。
【符号の説明】
1;発電装置
11・11´・11″・11a〜11c;内輪部材
12・12a〜12c;外輪部材
13;機軸部材
14;回転装置
15;出力機構
17a・17b;集電板
18a・18b;配線
19;円板
21・21a〜21c・21p〜21s;ユニモルフ素子
22;金属板
23;圧電セラミックス薄板
25;バイモルフ素子
29・29a〜29d・29p〜29s;突起部
30;ブリッジ回路
41;ハウジング
42;枢軸部材
43;ベアリング
100;発電システム
101〜103;発電ユニット
Claims (7)
- 外周に複数の屈曲型圧電素子が所定の間隔で放射状に固定された円板状の内輪部材と、
前記内輪部材を囲繞する外輪部材と、
前記内輪部材または前記外輪部材を回転させる回転機構と、
前記内輪部材または前記外輪部材を回転させた際に、前記屈曲型圧電素子の先端部に接触して前記屈曲型圧電素子に屈曲変位を生じさせるように、前記外輪部材の内周面に所定間隔で設けられた突起部と、
前記複数の屈曲型圧電素子が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を前記複数の屈曲型圧電素子ごとに整流する複数の整流回路と、
前記複数の整流回路から集電した電力を外部負荷へ出力する出力機構と、
を具備することを特徴とする発電装置。 - 前記外輪部材の内周面において、前記突起部は前記複数の屈曲型圧電素子を同時に屈曲させる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
- 前記外輪部材の内周面において、前記突起部は前記複数の屈曲型圧電素子のうち隣接する屈曲型圧電素子を時間をずらして屈曲させる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
- 前記屈曲型圧電素子は、金属薄板またはプリント配線基板と圧電セラミックス薄板を貼り合わせたユニモルフ素子またはバイモルフ素子であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電装置。
- 所定の定周波数の電力を出力する発電ユニットを複数備えた発電システムであって、
前記複数の発電ユニットを保持する機軸部材と、
前記機軸部材を回転させる回転機構と、
前記複数の発電ユニットにおいて発生する電力を集電して外部負荷へ出力する出力機構と、
を具備し、
前記複数の発電ユニットは個々に、
円板形状を有し、その外周に複数の屈曲型圧電素子が所定の間隔で放射状に固定され、前記機軸部材がその主面の中心を貫通するようにして前記機軸部材と接続された内輪部材と、
前記内輪部材を囲繞するように配置され、前記機軸部材の回転によって前記内輪部材が回転した際に前記屈曲型圧電素子の先端部に接触して前記屈曲型圧電素子に屈曲変位を生じさせる突起部が内周面に所定間隔で設けられた外輪部材と、
前記複数の屈曲型圧電素子が屈曲変位する際に圧電効果によって発生するパルス電流を前記複数の屈曲型圧電素子ごとに整流する複数の整流回路と、
を有し、
前記複数の発電ユニットは、前記機軸部材を回転させた際に、所定周波数の電力がその位相がずれるように前記機軸部材に取り付けられ、
前記出力機構からは、前記複数の発電ユニットから前記複数の整流回路を通して給電される電力が合成された直流電力が出力されることを特徴とする発電システム。 - 前記複数の発電ユニットの全てにおいて前記外輪部材は前記突起部が前記機軸部材の長手方向で一直線状に並ぶように配置され、かつ、前記複数の発電ユニットごとに前記内輪部材の前記機軸部材への取り付け角度が所定角度ずつずらされていることを特徴とする請求項5に記載の発電システム。
- 前記複数の発電ユニットの全てにおいて前記内輪部材は前記屈曲型圧電素子が前記機軸部材の長手方向で一直線状に並ぶように前記機軸部材に取り付けられ、かつ、前記複数の発電ユニットごとに前記外輪部材は前記突起部が前記機軸部材の長手方向で所定間隔ずつずれているよう配置されていることを特徴とする請求項5に記載の発電システム。
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- 2002-11-15 JP JP2002331844A patent/JP2004166442A/ja active Pending
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