JP2004165961A - ミキサ回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力の低減が図られたミキサ回路を提供する。
【解決手段】ミキサ回路は、ゲート電極に高周波の入力信号RFが入力され、ドレインに電源供給部が接続された増幅用トランジスタTr1と、一端が増幅用トランジスタTr1のソースに接続され、他端が接地された抵抗R1と、ソースに増幅用トランジスタTr1のソースからの出力を受け、ゲート電極に局部発振信号LO信号を受けてドレインから変換信号を出力する変調用トランジスタTr2とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】ミキサ回路は、ゲート電極に高周波の入力信号RFが入力され、ドレインに電源供給部が接続された増幅用トランジスタTr1と、一端が増幅用トランジスタTr1のソースに接続され、他端が接地された抵抗R1と、ソースに増幅用トランジスタTr1のソースからの出力を受け、ゲート電極に局部発振信号LO信号を受けてドレインから変換信号を出力する変調用トランジスタTr2とを備えている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号と局部発振信号とを混合し、入力信号とは異なる周波数の信号を出力するミキサ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの信号を入力し、両信号とは異なる周波数を有する信号を出力するミキサ回路は、携帯電話や携帯情報端末(PDA)などの端末や、通信用システムの基地局、あるいは音響機器など、種々の機器に用いられている。
【0003】
図4は、特許文献1に記載された従来のミキサ回路の構成を示す回路図である。ここで示す従来のミキサ回路において、周波数f1の入力信号RFと周波数f2の局部発振信号LOとを入力すると、f3=f1±f2である周波数f3の変換信号IFが出力される。
【0004】
図4に示すように、従来のミキサ回路は、ソース接地された第1導電型のトランジスタTr101と、トランジスタTr101とドレイン同士で接続された第2導電型のトランジスタTr102と、ゲート電極がトランジスタTr102のソースに接続され、且つソースが接地された第1導電型のトランジスタTr103と、一端が電源供給部VDDに接続され、他端がトランジスタTr101のドレイン及びトランジスタTr102のドレインに接続された抵抗R101とを備えている。
【0005】
入力信号RFはトランジスタTr101のゲート電極に、局部発振信号LOはトランジスタTr102のゲート電極にそれぞれ入力され、トランジスタTr103のドレインからは変換信号IFが出力される。
【0006】
従来のミキサ回路は、トランジスタTr101と抵抗R101とから構成されるソース接地型増幅器AMP101の作用とトランジスタ102の乗算作用とによって利得を有するアクティブ・ミキサとして動作する。ここで、ミキサの(変換)利得とは、入力信号の電力PRFに対する変換信号IFの電力PIFの比PIF/PRFを意味する。
【0007】
なお、ここでは第1導電型がnチャネル型、第2導電型がpチャネル型である例を示すが、第1導電型がpチャネル型、第2導電型がnチャネル型であってもよい。この場合はソースとドレインが入れ替わる。
【0008】
上述の従来のミキサ回路は、少ない素子数で入力信号RFと局部発振信号LOとを混合できるが、局部発振信号LOが入力信号RF中に漏れやすいという性質を有している。ミキサ回路を通信機器に用いる場合、局部発振信号LOの漏れは他の通信システムへ影響を与える可能性や、自身の通信の妨害となる可能性があるため、規制の対象となっている。
【0009】
この不具合に対し、局部発振信号LOの漏れが抑えられた一般的なアクティブミキサとして、ギルバートセル型ミキサがある。
【0010】
図5は、一般的なギルバートセル型ミキサの構成を示す回路図である。同図に示すギルバートセル型ミキサは、共にソースが電流源に接続された一対の第1導電型のトランジスタTr105,Tr106と、共に一端がトランジスタTr105のドレインに接続され、共に第1導電型である一対のトランジスタTr107,Tr108と、共に一端がトランジスタTr106のドレインに接続され、共に第1導電型である一対のトランジスタTr109,Tr110と、トランジスタTr107及びトランジスタTr109と電源供給部VDDとの間に介設された第1の抵抗111と、トランジスタTr108及びトランジスタTr110と電源供給部VDDとの間に介設された第2の抵抗体113とを備えている。また、トランジスタTr108とトランジスタTr109のゲート電極同士は互いに接続され、トランジスタTr107とトランジスタTr110のゲート電極同士も互いに接続されている。
【0011】
このミキサ回路では、第1のRF信号入力部101に入力された入力信号RFPはトランジスタTr106のゲート電極に伝達され、第2のRF信号入力部102に入力された逆相の入力信号RFNはトランジスタTr105のゲート電極に伝達される。また、第1のLO信号入力部103に入力された局部発振信号RFPはトランジスタTr107及びトランジスタTr110のゲート電極に伝達され、第2のLO信号入力部105に入力された逆相の局部発振信号RFNはトランジスタTr108及びトランジスタTr109のゲート電極に伝達される。そして、第1のIF信号出力部107に接続されたトランジスタTr107及びトランジスタTr109からは変換信号IFPが出力され、第2のIF信号出力部109に接続されたトランジスタTr108及びトランジスタ110からは逆相の変換信号IFNが出力される。なお、本明細書で「逆相の信号」とは、元の信号と周波数、振幅が等しく位相が180°ずれている信号のことをいう。
【0012】
以上に示すようなギルバートセル型ミキサでは、互いに対称な構成を有するミキサ回路の一方に入力信号RFPと局部発信信号LOPとを入力し、他方に入力信号の逆相信号RFNと局部発振信号の逆相信号LONとを入力することにより、トランジスタTr107とトランジスタTr108との間、トランジスタTr109とトランジスタTr110との間で局部発振信号LOPの漏れ成分と逆相の局部発振信号LONの漏れ成分とが相殺される。そのため、局部発信信号LOPとその逆相信号LONが入力信号RFPとその逆相信号RFNに漏れることが防がれている。逆に、入力信号RFPとその逆相信号RFNが変換信号IFPとその逆相信号IFN中に漏れることが防がれている。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−144546号公報(第2図)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示す従来のミキサ回路と図5に示すギルバートセル型ミキサとを比べた場合、図4に示す従来のミキサ回路の方がトランジスタ数が少ないので、より低電圧で回路を駆動することができる。
【0015】
しかしながら、図4に示す従来のミキサ回路において、局部発振信号LOによるトランジスタTr102の制御が阻害されやすいという不具合が起こっていた。そのため、トランジスタTr102を正常に動作させるためには局部発振信号LOの電圧振幅を大きくせざる得ず、結果として消費電力を低減することが難しかった。
【0016】
一方、図5に示す一般的なギルバートセル型ミキサでは、トランジスタTr107のソース端及びトランジスタTr106のソース端に漏れる局部発振信号の成分は抑えられている。このため、局部発振信号LOP及びその逆相信号LONの入力信号への漏れが防がれている。
【0017】
しかしながら、ギルバートセル型ミキサでは電圧供給部と接地との間に電流源を入れて3段ものトランジスタを経て出力されるため、トランジスタによる電圧降下の分だけ消費電力が大きくなってしまうという不具合があった。
【0018】
本発明の目的は、消費電力の低減が図られたミキサ回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のミキサ回路は、第1電源供給部に接続された第1領域と、入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記入力信号を出力するための第2領域とを有する増幅用トランジスタと、一端が第2電源供給部に接続され、他端が上記増幅用トランジスタの第2領域に接続されたインピーダンス部材と、上記増幅用トランジスタと上記インピーダンス部材との間の節点に接続された第3領域と、局部発振信号が入力されるゲート電極と、電流が増幅された上記入力信号を変調させてなる変調信号を出力するための第4領域とを有する第1の変調用MISトランジスタとを備えている。
【0020】
この構成により、入力信号の電圧は増幅用トランジスタではほとんど増幅されないので、第1の変調用MISトランジスタの第3領域における電圧振幅は抑えられる。このため、局部発振信号による第1の変調用MISトランジスタの制御が阻害されにくくなるので、局部発振信号の電圧を低減することができ、消費電力の低減を図ることができる。また、従来のギルバートセル型ミキサに比べて少ないトランジスタで構成されているので、回路面積を小さくできる。さらに、入力された信号が経由するトランジスタ数もより少ないので、電圧降下が小さくて済み、電源効率を向上させることができる。
【0021】
上記増幅用トランジスタはMISトランジスタであり、上記増幅用トランジスタの第1領域はドレイン、第2領域はソースで、制御部はゲート電極であることにより、いわゆるソースフォロワ回路が第1の変調用MISトランジスタに接続されることになるので、入力信号の電圧は増幅用トランジスタでは増幅されず、電流のみが増幅される。そのため、局部発振信号による第1の変調用MISトランジスタの制御が阻害されにくくなるので、局部発振信号の電圧を低減することができ、消費電力の低減を図ることができる。
【0022】
上記増幅用トランジスタの導電型と上記第1の変調用MISトランジスタの導電型は共にN型であり、上記第2電源供給部は接地であることにより、両トランジスタの導電型が異なる場合や両トランジスタが共にP型である場合に比べて回路面積を小さくできる。
【0023】
上記第1の変調用MISトランジスタと電気的特性が等しく、且つ上記節点及び上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、逆相の上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、逆相の上記変換信号を出力するための第4領域とを有する第2の変調用MISトランジスタをさらに備えていることにより、第1の変調用MISトランジスタの第3領域及び上記第2の変調用MISトランジスタの第3領域において局部発振信号由来の漏れ信号と逆相の局部発振信号由来の漏れ信号とが相殺されるので、局部発振信号及び逆相の局部発振信号の入力信号への漏れが防止されている。従って、本発明のミキサ回路は、信号漏れに対する規格が厳しい通信機器などにも好ましく用いることができる。
【0024】
上記増幅用トランジスタはバイポーラトランジスタであり、上記増幅用トランジスタの第1領域はコレクタ、第2領域はエミッタで、制御部はベースであっても局部発振信号の電圧振幅を低減することが可能になる。
【0025】
上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域と上記節点との間に容量素子をさらに備えていることにより、第1の変調用MISトランジスタの第3領域の直流成分が増幅用トランジスタの第2領域の直流成分よりも低い場合には、第1の変調用MISトランジスタに直流電流が流れるのが防がれるので、消費電力の低減を図ることができる。
【0026】
本発明の第2のミキサ回路は、入力信号及び逆相の上記入力信号の電流を増幅するための差動増幅器と、上記差動増幅器により電流が増幅された上記入力信号及び上記逆相の入力信号と、上記入力信号及び上記逆相の入力信号を変調するための局部発振信号及び逆相の上記局部発振信号を受けて変調信号と逆相の上記変調信号とを出力するダブルバランスドミキサとを備えたミキサ回路であって、上記差動増幅器は、第1電源供給部に接続された第1領域と、入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記入力信号を出力するための第2領域とを有する第1の増幅用トランジスタと、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第1電源供給部に接続された第1領域と、逆相の上記入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記逆相の入力信号を出力するための第2領域とを有する第2の増幅用トランジスタと、一端が第2電源供給部に接続され、他端が上記第1の増幅用トランジスタの第2領域に接続された第1のインピーダンス部材と、一端が第2電源供給部及び上記第1のインピーダンス部材に接続され、他端が上記第2の増幅用トランジスタの第2領域に接続された第2のインピーダンス部材とを有し、上記ダブルバランスドミキサは、上記第1の増幅用トランジスタと上記第1のインピーダンス部材との間の第1の節点に接続された第3領域と、上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記変調信号を出力するための第4領域とを有する第1の変調用MISトランジスタと、上記第1の節点及び上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、上記逆相の局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記逆相の変調信号を出力するための第4領域とを有する第2の変調用MISトランジスタと、上記第2の増幅用トランジスタと上記第2のインピーダンス部材との間の第2の節点に接続された第3領域と、上記逆相の局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記第1の変調用MISトランジスタの第4領域に接続され、上記変調信号を出力するための第4領域とを有する第3の変調用MISトランジスタと、上記第2の節点及び上記第3の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記第2の変調用MISトランジスタの第4領域に接続され、上記逆相の変調信号を出力するための第4領域とを有する第4の変調用MISトランジスタとを有している。
【0027】
この構成により、差動増幅器では、入力信号及び逆相の入力信号の電流は増幅されるが電圧は増幅されないので、第1〜第4の変調用MISトランジスタの各第4領域における電圧振幅を従来よりも低減できる。このため、局部発振信号及び逆相の局部発振信号による第1〜第4の変調用MISトランジスタの制御が阻害されにくくなっており、局部発振信号及び逆相の局部発振信号の電力を低減しても比較的大きな利得を得ることができるようになるので、消費電力の低減を図ることが可能になる。また、第1〜第4の変調用MISトランジスタの各第4領域において局部発振信号の漏れ成分と逆相の局部発振信号の漏れ成分とが相殺されるので、局部発振信号が差動増幅器を経由して入力信号に漏れることが防がれている。従って、本発明の第2のミキサ回路は規格の厳しい通信機器などにも好ましく用いることができる。さらに、入力信号を差動信号としているので、入力信号が局部発振信号に漏れ出すことも防がれている。
【0028】
また、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタは共にMISトランジスタであり、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタの第1領域はドレイン、第2領域はソースで、制御部はゲート電極であることにより、差動増幅器はソースフォロワ回路となるので、第1〜第4の変調用MISトランジスタの各第4領域における電圧振幅を従来よりも低減できる。
【0029】
上記第1の増幅用トランジスタ、上記第2の増幅用トランジスタ、上記第1の変調用MISトランジスタ、上記第2の変調用MISトランジスタ、上記第3の変調用MISトランジスタ及び上記第4の変調用MISトランジスタの導電型はいずれもN型であり、上記第2電源供給部は接地であることにより、異なる導電型のトランジスタを用いる場合やP型MISトランジスタのみを用いる場合に比べて回路面積を低減できる。
【0030】
上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタは共にバイポーラトランジスタであり、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタの第1領域はコレクタ、第2領域はエミッタで、制御部はベースであってもよい。
【0031】
上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域と上記第2の変調用MISトランジスタの第3領域との接続点と上記第1の節点との間に介設された第1の容量素子と、上記第3の変調用MISトランジスタの第3領域と上記第4の変調用MISトランジスタの第3領域との接続点と上記第2の節点との間に介設された第2の容量素子とをさらに備えていることにより、第1〜第4の変調用MISトランジスタの第4領域の電圧より第1及び第2の増幅用トランジスタの第2領域の電圧が低い場合に、第1〜第4の変調用MISトランジスタに直流電流が流れるのを抑制することができ、消費電力を低減することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本願発明者は、消費電力を低減するためにできるだけ簡易な構成でミキサ回路を構成することを考えた。そのため、増幅器とMISトランジスタとを組み合わせた構成を採ることとした。この構成は図4に示す従来のミキサ回路でも採用されているが、従来のミキサ回路では、局部発振信号LOによるトランジスタTr102の制御が阻害されやすいため、十分に消費電力を低減することが難しかった。そこで、本願発明者らはトランジスタTr102の制御が阻害される原因を調べた。その結果、抵抗R101の抵抗値とトランジスタTr101のトランスコンダクタンスgmとの積で求められるAC電圧Vdが、トランジスタTr101のドレイン端に生じることが原因であることが判明した。すなわち、トランジスタTr101のドレイン端に生じるAC電圧Vdが大きく、トランジスタTr102のゲート電極に入力される局部発振信号LOのAC電圧の振幅が小さいと、トランジスタTr102の動作が阻害される。ここで、gm=dVg/dId(Vg:Tr102のゲート電圧、Vd:Tr102のドレイン電流)とする。
【0033】
このことから、ミキサ回路のうち、増幅器の出力部の振幅を抑えればトランジスタTr102の動作が阻害されず、消費電力の小さいミキサ回路が実現できることが分かった。この知見を基に、本願発明者らは、本発明のミキサ回路に想到した。
【0034】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【0035】
本実施形態のミキサ回路は、RF信号入力部1に入力信号RFを、LO信号入力部3に局部発振信号LOをそれぞれ受けて、出力部5から変換信号IFを出力する。本実施形態のミキサ回路は、例えば、通信機器において高周波信号のダウンコンバージョン等に用いられる。この場合、例えば入力信号RFは周波数が0.8GHz以上の高周波信号で、変換信号IFはそれより周波数の低い信号となる。
【0036】
図1に示すように、本実施形態のミキサ回路は、RF信号入力部1がゲート電極(制御部)に接続され、ドレイン(第1領域)が電源電圧VDDを供給する電源供給部(第1電源供給部)に接続された増幅用トランジスタTr1と、増幅用トランジスタTr1のソース(第2領域)と接地(第2電源供給部)との間に設けられた抵抗R1と、抵抗R1と増幅用トランジスタTr1との間の節点7と出力部5との間に介設され、ゲート電極がLO信号入力部3に接続された変調用トランジスタTr2とを備えている。
【0037】
本実施形態では、増幅用トランジスタTr1と変調用トランジスタTr2とは共にNチャネル型の電界効果型トランジスタであり、好ましくはMISFET(Metal insulator semiconductor FET)である。特に製造の容易さなどからMOSFETがよく用いられる。従って、増幅用トランジスタTr1と抵抗R1とで構成される増幅器AMP1は、ソースフォロワ増幅器となっている。そのため、増幅用トランジスタTr1のゲート電極に入力された高周波の入力信号RFは増幅器AMP1によってその電力が増幅される。この際に、入力信号RFの電流は増幅されるが、電圧はほとんど増幅されない。そして、電力が増幅された入力信号RFは、変調用トランジスタTr2のゲート電極に入力される局部発振信号LOにより変調を受け、変調信号IFとして変調用トランジスタTr2のドレインから出力される。ここで、変調信号IFの周波数は、入力信号RFの周波数と局部発振信号LOの周波数の差になっている。すなわち、本実施形態のミキサ回路は、増幅器AMP1の増幅作用と変調用トランジスタTr2の乗算作用とによりアクティブミキサとして動作する。なお、入力信号RFが高周波の場合、電源電圧VDDを供給する電源供給部は振幅しないと見なせるので、接地と同様に扱われる。そのため、増幅器AMP1はドレイン接地型増幅器とも言える。
【0038】
一般に、ミキサ回路の変換利得((変換信号IFの電力)/(入力信号RFの電力))は、変調用トランジスタTr2に入力される局部発振信号LOの電圧振幅に依存する。従って、もし変調用トランジスタTr2のソースに大きな電圧振幅が生じると、変調用トランジスタの動作が阻害されてしまう。
【0039】
本実施形態のミキサ回路では、増幅器AMP1が入力信号RFの電圧を増幅しないので、図4に示す従来のミキサ回路に比べて変調用トランジスタのソースにおける振幅は低減されている。そのため、変調用トランジスタTr2のゲート電極に入力される局部発振信号LOの電圧振幅が極めて阻害されにくくなっており、局部発振信号LOの電圧振幅を低減しても回路を正常に動作させることができる。従って、本実施形態のミキサ回路によれば、低い局部発振電力で大きな利得を得ることができ、消費電力の低減を図ることができる。入力信号の周波数が高くなるにつれて局部発振信号LOの強度を上げることが困難となるため、本実施形態のミキサ回路は、入力信号が高周波信号である場合に特に有効である。このことは、以下の実施形態でも同様である。
【0040】
さらに、本実施形態のミキサ回路では、従来のギルバートセル型ミキサに比べて電源供給部と接地との間に介設されるトランジスタ数を減らすことができるので電源電圧を低減することができる。
【0041】
また、本実施形態のミキサ回路は、2つのMISトランジスタと1つの抵抗のみで構成できるので、図4に示す従来のミキサ回路と比べても面積が小さく、集積化に有利である。
【0042】
なお、本実施形態のミキサ回路において、変調用トランジスタTr2のドレイン電圧の直流成分が増幅用トランジスタTr1のソース電圧の直流成分よりも低い場合には、節点7と変調用トランジスタTr2との間に容量素子を挿入することで変調用トランジスタTr2に直流電流が流れるのを防ぎ、消費電流を低減することができる。この際には、高周波信号が透過できるだけの十分大きな容量を有する容量素子を用いる。例えば、入力信号の周波数を5GHzで抵抗R1の抵抗値が3Ωであれば10pFの容量を用いればよい。
【0043】
また、本実施形態のミキサ回路では、増幅用トランジスタTr1及び変調用トランジスタTr2にNチャネル型MISFETを用いているが、このうち両方あるいは一方のトランジスタがPチャネル型であってもよい。増幅用トランジスタTr1がPチャネル型の場合、電圧供給部と接地とが入れ替わる。なお、増幅用トランジスタTr1と変調用トランジスタTr2とは共にN型のトランジスタである方が回路面積を小さくできるので有利である。
【0044】
また、増幅用トランジスタTr1をMISFETからバイポーラトランジスタに代えて増幅器AMP1をエミッタフォロワの構成にしても、上述の効果を有するミキサ回路を構成することができる。このような構成であっても、BiCMOSプロセスを用いることで集積化することができる。
【0045】
また、本実施形態のミキサ回路において、抵抗R1に代えて他のインピーダンス部材、例えば電流源あるいはインダクタを用いてもよい。インダクタを用いれば、抵抗を用いる場合に比べて熱雑音の発生や電圧降下(電圧振幅の低減)を抑制することができるので、電源効率を高められるとともに変調信号中の雑音を低減することができる。
【0046】
なお、本実施形態では入力信号RFが周波数0.8GHz以上の高周波の場合について説明したが、周波数0.8GHz未満の信号であっても本実施形態のミキサ回路を使用することができる。
【0047】
本実施形態のミキサ回路は、通信機器の受信部などに用いることができるが、変換信号IFの周波数が入力信号RFの周波数より高くなるように設計すれば、送信部にも用いることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【0049】
図2に示すように、本実施形態のミキサ回路では、RF信号入力部1に入力信号RFが、第1のLO信号入力部13aに局部発振信号LOが、第2のLO信号入力部13bに逆相のLO信号がそれぞれ入力されると、第1の出力部15aからは変換信号IFPが、第2の出力部15bからは逆相の変換信号IFNが、それぞれ出力される。ここで、逆相の変換信号とは、変換信号IFPと周波数、振幅が同じで位相が180度ずれている信号のことを表す。
【0050】
本実施形態のミキサ回路は、RF信号入力部1がゲート電極に接続され、ドレインに電源電圧VDDが供給された増幅用トランジスタTr1と、増幅用トランジスタTr1と接地との間に設けられた抵抗R1と、増幅用トランジスタTr1と抵抗R1との間の節点7と第1の出力部15aとの間に介設された第1の変調用トランジスタTr2aと、節点7と第2の出力部15bとの間に介設された第2の変調用トランジスタTr2bとを備えている。
【0051】
本実施形態のミキサ回路を第1の実施形態のミキサ回路と比較すると、増幅器AMP1は同じ構成であるが、変調用トランジスタが互いに対称な2つのNチャネル型MISトランジスタであり、変換信号IFPと逆相の変換信号IFNとが出力される点が異なる。
【0052】
本実施形態のミキサ回路において、増幅用トランジスタTr1のゲート電極に入力された入力信号RFは、増幅器AMP1によりその電流が増幅される。電流が増幅された入力信号RFは二手に分かれ、一方ではゲート電極に局部発振信号LOPが入力された第1の変調用トランジスタTr2aにより変調され、変換信号IFPとなって第1の変調用トランジスタTr2aのドレインから出力される。また、電流が増幅された入力信号RFは、他方ではゲート電極に逆相の局部発振信号LONが入力された第2の変調用トランジスタTr2bにより変調され、逆相の変換信号IFNとして第2の変調用トランジスタTr2bのドレインから出力される。
【0053】
本実施形態のミキサ回路では、第1の実施形態と同様に、増幅器AMP1はソースフォロワ増幅器となっているので、入力信号RFの電流は増幅されるが電圧は増幅されない。そのため、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bのソースにおける電圧振幅は従来のミキサ回路に比べて小さくなっている。従って、本実施形態のミキサ回路においては、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bの動作が阻害されにくくなっており、局部発振信号の電圧を低減することが可能となっている。すなわち、本実施形態のミキサ回路によれば、局部発振信号の電力が小さくても、従来に比べ大きな利得を得ることができる。
【0054】
また、本実施形態のミキサ回路においては、第1の変調用トランジスタTr2aのゲート電極と第2の変調用トランジスタTr2bのゲート電極にそれぞれ位相が180度ずれた差動信号が入力され、且つ第1の変調用トランジスタTr2aのソースと第2の変調用トランジスタTr2bのソースとは互いに接続されている。このため、第1の変調用トランジスタTr2aと第2の変調用トランジスタTr2bの両ソースに漏れ出した局部発振信号LOPの成分と逆相の局部発振信号LONの成分とが相殺され、低雑音増幅器などの前段の回路への局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LONの漏れ出しが抑制されている。従って、本実施形態のミキサ回路を通信用機器に用いた場合、通信性能の低下を防ぐことができる。また、本実施形態のミキサ回路は、規格の厳しい通信用機器などにも好ましく用いることができる。
【0055】
以上の利点に加えて、本実施形態のミキサ回路は、従来のギルバートセル型ミキサに比べて信号が経由するトランジスタ数が少ないので、電源電圧を低く設定することもでき、電源効率の向上や消費電力の低減を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態のミキサ回路において、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタ2bと節点7との間に容量素子を挿入してもよい。この際には、高周波信号が透過できるだけの容量を有する容量素子を用いる。
【0057】
また、増幅用トランジスタTr1、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bはPチャネル型MISFETであってもよい。ここで、増幅用トランジスタTr1の導電型と第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bの導電型とは互いに異なっていてもよいが、いずれもN型である方が回路面積を小さくできるので好ましい。
【0058】
また、増幅用トランジスタTr1をMISFETからバイポーラトランジスタに代えて増幅器AMP1をエミッタフォロワの構成にしても、上述の効果を有するミキサ回路を構成することができる。
【0059】
また、本実施形態のミキサ回路において、抵抗R1に代えて電流源あるいはインダクタを用いてもよい。インダクタを用いれば、抵抗により生じる熱雑音や、電圧降下(電圧振幅の低減)を抑制することができるので、電源効率を高められるとともに変調信号中の雑音を低減することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【0061】
同図に示すように、本実施形態のミキサ回路では、第1のRF信号入力部21aと第2のRF信号入力部21bには、高周波の入力信号RFPと逆相の入力信号RFNとがそれぞれ入力され、第1のLO信号入力部23aと第2のLO信号入力部23bには局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LONがそれぞれ入力される。そして、第1の出力部25aからは変調信号IFPが出力され、第2の出力部25bからは逆相の変調信号IFNが出力される。ここで、変調信号IFNの周波数は、入力信号RFPの周波数と局部発振信号LOPとの差周波数となっている。
【0062】
図3に示すように、本実施形態のミキサ回路は、入力信号RFP及び逆相の入力信号RFNの電力を増幅するための差動増幅器11と、差動増幅器11からの出力信号を局部発振信号LOPまたは逆相の局部発振信号LONとを混合し、変換信号IFP及び逆相の変換信号IFNを出力するダブルバランスドミキサ(以下、「DBM」と称する)27とを備えている。
【0063】
差動増幅器AMP11は、入力信号RFPをゲート電極(制御部)に受け、電源電圧VDDがドレイン(第1領域)に供給されたNチャネル型の第1の増幅用トランジスタTr1aと、接地に接続された電流源S1と、第1の増幅用トランジスタTr1aのソース(第2領域)と電流源との間に介設された第1の抵抗R11と、逆相の入力信号RFNをゲート電極(制御部)に受け、ドレイン(第1領域)に電源電圧VDDが供給されるNチャネル型の第2の増幅用トランジスタTr1bと、第2の増幅用トランジスタTr1bのソース(第2領域)と電流源S1との間に介設された第2の抵抗R12とを有している。また、第1の増幅用トランジスタTr1aのドレインと第2の増幅用トランジスタTr1bのドレインとは互いに接続され、第1の抵抗R11と第2の抵抗R12も互いに接続されている。ここで、第1の増幅用トランジスタTr1aと第2の増幅用トランジスタTr1bの間、及び第1の抵抗R11と第2の抵抗R12の間での電気的特性はそれぞれ揃えられている。
【0064】
DBM27は、互いのソース同士が接続され、且つ第1の増幅用トランジスタTr1aと抵抗R11との間の第1の節点17に共に接続された第1の変調用トランジスタTr12a及び第2の変調用トランジスタTr12bと、互いのソース同士が接続され、且つ第2の増幅用トランジスタTr1bと第2の抵抗R12との間の第2の節点18に共に接続された第3の変調用トランジスタTr12c及び第4の変調用トランジスタTr12dとを有している。また、第1の変調用トランジスタTr12aと第4の変調用トランジスタTr12dのゲート電極にはそれぞれ局部発振信号LOPが入力され、第2の変調用トランジスタTr12bと第3の変調用トランジスタTr12cのゲート電極にはそれぞれ逆相の局部発振信号LONが入力される。そして、第1の変調用トランジスタTr12aのドレイン及び第3の変調用トランジスタTr12cのドレインからは変換信号IFPが出力され、第2の変調用トランジスタTr12bのドレイン及び第4の変調用トランジスタTr12dのドレインからは逆相の変換信号IFNが出力される。すなわち、本実施形態のミキサ回路は、第2の実施形態に係るミキサ回路を2つ接続したような構成となっている。
【0065】
本実施形態のミキサ回路において、差動増幅器AMP11はソースフォロワ型増幅器となっているので、入力信号RFP及び逆相の入力信号RFNの電流は増幅されるが、電圧は増幅されない。そのため、DBMを構成する各変調用トランジスタのソースに生じる電圧振幅は小さく抑えられており、変調用トランジスタのゲート電極に入力される局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LONの電圧振幅は阻害されにくくなっている。従って、本実施形態のミキサ回路によれば、局部発振信号の電圧を低減することができるので、消費電力を低減を図ることができる。言い換えれば、低い局部発振電力で従来よりも大きな利得を得ることができる。
【0066】
これに加え、本実施形態のミキサ回路では、互いの位相が180度ずれた局部発振信号LOPと逆相の局部発振信号LONとが入力されることにより、各変調用トランジスタのソースは、局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号の仮想接地となる。そのため、局部発振信号が前段ブロックの低雑音増幅器などの回路に漏れにくくなっている。さらに、入力信号として差動信号が入力されることにより、第1のLO信号入力部23a及び第2のLO信号入力部23bが入力信号の仮想接地点となるので、局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LON中に入力信号RFP及び逆相の入力信号RFNが漏れ出すことも抑えられている。従って、本実施形態のミキサ回路は、局部発振信号の漏れに対する規格が厳しい製品にも好ましく用いられる。
【0067】
また、本実施形態のミキサ回路によれば、一般的なギルバートセル型ミキサに比べ、電源供給部と接地との間のトランジスタ数を減らすことができるので、電源電圧の低電圧化が可能となり、消費電力の低減を図ることができる。
【0068】
なお、本実施形態では入力信号を高周波信号としたが、例えば周波数が0.8GHz未満の信号であっても同様に周波数を変調することができる。また、入力信号を局部発振信号と掛け合わせてより周波数の高い変換信号を出力することもできる。
【0069】
なお、本実施形態のミキサ回路において、DBMを構成する変調用トランジスタはPチャネル型MISFETであってもよい。ただし、各変調用トランジスタの電気的特性は揃えておく必要がある。ここで、増幅用トランジスタの導電型と変調用トランジスタ及び変調用トランジスタの導電型とは互いに異なっていてもよいが、いずれもN型である方が回路面積を小さくすることできるので有利である。
【0070】
一方、差動増幅器AMP11内の第1の増幅用トランジスタTr1aと第2の増幅用トランジスタTr1bとは、互いに電気的特性が等しければPチャネル型MISFETでもよく、バイポーラトランジスタであってもよい。第1の増幅用トランジスタTr1a及び第2の増幅用トランジスタTr1bがバイポーラトランジスタである場合、エミッタフォロワの構成を取れば本実施形態と同様に消費電力の小さいミキサ回路を実現することができる。このようなミキサ回路はBiCMOSプロセスを用いて製造することができる。
【0071】
また、本実施形態のミキサ回路において、差動増幅器AMP11とDBM27との間に容量素子を挿入することにより、変調用トランジスタのドレイン電圧が増幅用トランジスタのソース電圧より低い場合に、差動増幅器AMP11からDBMへ直流電流が流れるのを防ぐことができる。この際には、高周波信号が透過できるだけの容量を有する容量素子を用いる。これにより、消費電流をさらに低減することができる。
【0072】
なお、本実施形態のミキサ回路のうち差動増幅器AMP1において、第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12に接続された電流源S1は無くてもミキサ回路として動作する。しかし、電流源S1がある方が、第1の抵抗R11と第2の抵抗R12とに正確に等しい電流を流すことができるので好ましい。
【0073】
また、本実施形態のミキサ回路では、ソースフォロワ型の差動増幅器AMP11の負荷を抵抗としたが、インダクタンスを用いても良い。インダクタンスを用いれば、抵抗を用いる場合に比べて熱雑音や、電圧降下を抑制することができ、雑音特性にも有利である上、電源効率を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図4】従来のミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図5】一般的なギルバートセル型ミキサの構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 RF信号入力部
3 LO信号入力部
5 出力部
7 節点
13a 第1のLO信号入力部
13b 第2のLO信号入力部
15a 第1の出力部
15b 第2の出力部
Tr1 増幅用トランジスタ
Tr2 変調用トランジスタ
R1 抵抗
AMP1 増幅器
RF 入力信号
LO 局部発振信号
IF 変換信号
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号と局部発振信号とを混合し、入力信号とは異なる周波数の信号を出力するミキサ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの信号を入力し、両信号とは異なる周波数を有する信号を出力するミキサ回路は、携帯電話や携帯情報端末(PDA)などの端末や、通信用システムの基地局、あるいは音響機器など、種々の機器に用いられている。
【0003】
図4は、特許文献1に記載された従来のミキサ回路の構成を示す回路図である。ここで示す従来のミキサ回路において、周波数f1の入力信号RFと周波数f2の局部発振信号LOとを入力すると、f3=f1±f2である周波数f3の変換信号IFが出力される。
【0004】
図4に示すように、従来のミキサ回路は、ソース接地された第1導電型のトランジスタTr101と、トランジスタTr101とドレイン同士で接続された第2導電型のトランジスタTr102と、ゲート電極がトランジスタTr102のソースに接続され、且つソースが接地された第1導電型のトランジスタTr103と、一端が電源供給部VDDに接続され、他端がトランジスタTr101のドレイン及びトランジスタTr102のドレインに接続された抵抗R101とを備えている。
【0005】
入力信号RFはトランジスタTr101のゲート電極に、局部発振信号LOはトランジスタTr102のゲート電極にそれぞれ入力され、トランジスタTr103のドレインからは変換信号IFが出力される。
【0006】
従来のミキサ回路は、トランジスタTr101と抵抗R101とから構成されるソース接地型増幅器AMP101の作用とトランジスタ102の乗算作用とによって利得を有するアクティブ・ミキサとして動作する。ここで、ミキサの(変換)利得とは、入力信号の電力PRFに対する変換信号IFの電力PIFの比PIF/PRFを意味する。
【0007】
なお、ここでは第1導電型がnチャネル型、第2導電型がpチャネル型である例を示すが、第1導電型がpチャネル型、第2導電型がnチャネル型であってもよい。この場合はソースとドレインが入れ替わる。
【0008】
上述の従来のミキサ回路は、少ない素子数で入力信号RFと局部発振信号LOとを混合できるが、局部発振信号LOが入力信号RF中に漏れやすいという性質を有している。ミキサ回路を通信機器に用いる場合、局部発振信号LOの漏れは他の通信システムへ影響を与える可能性や、自身の通信の妨害となる可能性があるため、規制の対象となっている。
【0009】
この不具合に対し、局部発振信号LOの漏れが抑えられた一般的なアクティブミキサとして、ギルバートセル型ミキサがある。
【0010】
図5は、一般的なギルバートセル型ミキサの構成を示す回路図である。同図に示すギルバートセル型ミキサは、共にソースが電流源に接続された一対の第1導電型のトランジスタTr105,Tr106と、共に一端がトランジスタTr105のドレインに接続され、共に第1導電型である一対のトランジスタTr107,Tr108と、共に一端がトランジスタTr106のドレインに接続され、共に第1導電型である一対のトランジスタTr109,Tr110と、トランジスタTr107及びトランジスタTr109と電源供給部VDDとの間に介設された第1の抵抗111と、トランジスタTr108及びトランジスタTr110と電源供給部VDDとの間に介設された第2の抵抗体113とを備えている。また、トランジスタTr108とトランジスタTr109のゲート電極同士は互いに接続され、トランジスタTr107とトランジスタTr110のゲート電極同士も互いに接続されている。
【0011】
このミキサ回路では、第1のRF信号入力部101に入力された入力信号RFPはトランジスタTr106のゲート電極に伝達され、第2のRF信号入力部102に入力された逆相の入力信号RFNはトランジスタTr105のゲート電極に伝達される。また、第1のLO信号入力部103に入力された局部発振信号RFPはトランジスタTr107及びトランジスタTr110のゲート電極に伝達され、第2のLO信号入力部105に入力された逆相の局部発振信号RFNはトランジスタTr108及びトランジスタTr109のゲート電極に伝達される。そして、第1のIF信号出力部107に接続されたトランジスタTr107及びトランジスタTr109からは変換信号IFPが出力され、第2のIF信号出力部109に接続されたトランジスタTr108及びトランジスタ110からは逆相の変換信号IFNが出力される。なお、本明細書で「逆相の信号」とは、元の信号と周波数、振幅が等しく位相が180°ずれている信号のことをいう。
【0012】
以上に示すようなギルバートセル型ミキサでは、互いに対称な構成を有するミキサ回路の一方に入力信号RFPと局部発信信号LOPとを入力し、他方に入力信号の逆相信号RFNと局部発振信号の逆相信号LONとを入力することにより、トランジスタTr107とトランジスタTr108との間、トランジスタTr109とトランジスタTr110との間で局部発振信号LOPの漏れ成分と逆相の局部発振信号LONの漏れ成分とが相殺される。そのため、局部発信信号LOPとその逆相信号LONが入力信号RFPとその逆相信号RFNに漏れることが防がれている。逆に、入力信号RFPとその逆相信号RFNが変換信号IFPとその逆相信号IFN中に漏れることが防がれている。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−144546号公報(第2図)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示す従来のミキサ回路と図5に示すギルバートセル型ミキサとを比べた場合、図4に示す従来のミキサ回路の方がトランジスタ数が少ないので、より低電圧で回路を駆動することができる。
【0015】
しかしながら、図4に示す従来のミキサ回路において、局部発振信号LOによるトランジスタTr102の制御が阻害されやすいという不具合が起こっていた。そのため、トランジスタTr102を正常に動作させるためには局部発振信号LOの電圧振幅を大きくせざる得ず、結果として消費電力を低減することが難しかった。
【0016】
一方、図5に示す一般的なギルバートセル型ミキサでは、トランジスタTr107のソース端及びトランジスタTr106のソース端に漏れる局部発振信号の成分は抑えられている。このため、局部発振信号LOP及びその逆相信号LONの入力信号への漏れが防がれている。
【0017】
しかしながら、ギルバートセル型ミキサでは電圧供給部と接地との間に電流源を入れて3段ものトランジスタを経て出力されるため、トランジスタによる電圧降下の分だけ消費電力が大きくなってしまうという不具合があった。
【0018】
本発明の目的は、消費電力の低減が図られたミキサ回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のミキサ回路は、第1電源供給部に接続された第1領域と、入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記入力信号を出力するための第2領域とを有する増幅用トランジスタと、一端が第2電源供給部に接続され、他端が上記増幅用トランジスタの第2領域に接続されたインピーダンス部材と、上記増幅用トランジスタと上記インピーダンス部材との間の節点に接続された第3領域と、局部発振信号が入力されるゲート電極と、電流が増幅された上記入力信号を変調させてなる変調信号を出力するための第4領域とを有する第1の変調用MISトランジスタとを備えている。
【0020】
この構成により、入力信号の電圧は増幅用トランジスタではほとんど増幅されないので、第1の変調用MISトランジスタの第3領域における電圧振幅は抑えられる。このため、局部発振信号による第1の変調用MISトランジスタの制御が阻害されにくくなるので、局部発振信号の電圧を低減することができ、消費電力の低減を図ることができる。また、従来のギルバートセル型ミキサに比べて少ないトランジスタで構成されているので、回路面積を小さくできる。さらに、入力された信号が経由するトランジスタ数もより少ないので、電圧降下が小さくて済み、電源効率を向上させることができる。
【0021】
上記増幅用トランジスタはMISトランジスタであり、上記増幅用トランジスタの第1領域はドレイン、第2領域はソースで、制御部はゲート電極であることにより、いわゆるソースフォロワ回路が第1の変調用MISトランジスタに接続されることになるので、入力信号の電圧は増幅用トランジスタでは増幅されず、電流のみが増幅される。そのため、局部発振信号による第1の変調用MISトランジスタの制御が阻害されにくくなるので、局部発振信号の電圧を低減することができ、消費電力の低減を図ることができる。
【0022】
上記増幅用トランジスタの導電型と上記第1の変調用MISトランジスタの導電型は共にN型であり、上記第2電源供給部は接地であることにより、両トランジスタの導電型が異なる場合や両トランジスタが共にP型である場合に比べて回路面積を小さくできる。
【0023】
上記第1の変調用MISトランジスタと電気的特性が等しく、且つ上記節点及び上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、逆相の上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、逆相の上記変換信号を出力するための第4領域とを有する第2の変調用MISトランジスタをさらに備えていることにより、第1の変調用MISトランジスタの第3領域及び上記第2の変調用MISトランジスタの第3領域において局部発振信号由来の漏れ信号と逆相の局部発振信号由来の漏れ信号とが相殺されるので、局部発振信号及び逆相の局部発振信号の入力信号への漏れが防止されている。従って、本発明のミキサ回路は、信号漏れに対する規格が厳しい通信機器などにも好ましく用いることができる。
【0024】
上記増幅用トランジスタはバイポーラトランジスタであり、上記増幅用トランジスタの第1領域はコレクタ、第2領域はエミッタで、制御部はベースであっても局部発振信号の電圧振幅を低減することが可能になる。
【0025】
上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域と上記節点との間に容量素子をさらに備えていることにより、第1の変調用MISトランジスタの第3領域の直流成分が増幅用トランジスタの第2領域の直流成分よりも低い場合には、第1の変調用MISトランジスタに直流電流が流れるのが防がれるので、消費電力の低減を図ることができる。
【0026】
本発明の第2のミキサ回路は、入力信号及び逆相の上記入力信号の電流を増幅するための差動増幅器と、上記差動増幅器により電流が増幅された上記入力信号及び上記逆相の入力信号と、上記入力信号及び上記逆相の入力信号を変調するための局部発振信号及び逆相の上記局部発振信号を受けて変調信号と逆相の上記変調信号とを出力するダブルバランスドミキサとを備えたミキサ回路であって、上記差動増幅器は、第1電源供給部に接続された第1領域と、入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記入力信号を出力するための第2領域とを有する第1の増幅用トランジスタと、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第1電源供給部に接続された第1領域と、逆相の上記入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記逆相の入力信号を出力するための第2領域とを有する第2の増幅用トランジスタと、一端が第2電源供給部に接続され、他端が上記第1の増幅用トランジスタの第2領域に接続された第1のインピーダンス部材と、一端が第2電源供給部及び上記第1のインピーダンス部材に接続され、他端が上記第2の増幅用トランジスタの第2領域に接続された第2のインピーダンス部材とを有し、上記ダブルバランスドミキサは、上記第1の増幅用トランジスタと上記第1のインピーダンス部材との間の第1の節点に接続された第3領域と、上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記変調信号を出力するための第4領域とを有する第1の変調用MISトランジスタと、上記第1の節点及び上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、上記逆相の局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記逆相の変調信号を出力するための第4領域とを有する第2の変調用MISトランジスタと、上記第2の増幅用トランジスタと上記第2のインピーダンス部材との間の第2の節点に接続された第3領域と、上記逆相の局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記第1の変調用MISトランジスタの第4領域に接続され、上記変調信号を出力するための第4領域とを有する第3の変調用MISトランジスタと、上記第2の節点及び上記第3の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記第2の変調用MISトランジスタの第4領域に接続され、上記逆相の変調信号を出力するための第4領域とを有する第4の変調用MISトランジスタとを有している。
【0027】
この構成により、差動増幅器では、入力信号及び逆相の入力信号の電流は増幅されるが電圧は増幅されないので、第1〜第4の変調用MISトランジスタの各第4領域における電圧振幅を従来よりも低減できる。このため、局部発振信号及び逆相の局部発振信号による第1〜第4の変調用MISトランジスタの制御が阻害されにくくなっており、局部発振信号及び逆相の局部発振信号の電力を低減しても比較的大きな利得を得ることができるようになるので、消費電力の低減を図ることが可能になる。また、第1〜第4の変調用MISトランジスタの各第4領域において局部発振信号の漏れ成分と逆相の局部発振信号の漏れ成分とが相殺されるので、局部発振信号が差動増幅器を経由して入力信号に漏れることが防がれている。従って、本発明の第2のミキサ回路は規格の厳しい通信機器などにも好ましく用いることができる。さらに、入力信号を差動信号としているので、入力信号が局部発振信号に漏れ出すことも防がれている。
【0028】
また、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタは共にMISトランジスタであり、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタの第1領域はドレイン、第2領域はソースで、制御部はゲート電極であることにより、差動増幅器はソースフォロワ回路となるので、第1〜第4の変調用MISトランジスタの各第4領域における電圧振幅を従来よりも低減できる。
【0029】
上記第1の増幅用トランジスタ、上記第2の増幅用トランジスタ、上記第1の変調用MISトランジスタ、上記第2の変調用MISトランジスタ、上記第3の変調用MISトランジスタ及び上記第4の変調用MISトランジスタの導電型はいずれもN型であり、上記第2電源供給部は接地であることにより、異なる導電型のトランジスタを用いる場合やP型MISトランジスタのみを用いる場合に比べて回路面積を低減できる。
【0030】
上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタは共にバイポーラトランジスタであり、上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタの第1領域はコレクタ、第2領域はエミッタで、制御部はベースであってもよい。
【0031】
上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域と上記第2の変調用MISトランジスタの第3領域との接続点と上記第1の節点との間に介設された第1の容量素子と、上記第3の変調用MISトランジスタの第3領域と上記第4の変調用MISトランジスタの第3領域との接続点と上記第2の節点との間に介設された第2の容量素子とをさらに備えていることにより、第1〜第4の変調用MISトランジスタの第4領域の電圧より第1及び第2の増幅用トランジスタの第2領域の電圧が低い場合に、第1〜第4の変調用MISトランジスタに直流電流が流れるのを抑制することができ、消費電力を低減することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本願発明者は、消費電力を低減するためにできるだけ簡易な構成でミキサ回路を構成することを考えた。そのため、増幅器とMISトランジスタとを組み合わせた構成を採ることとした。この構成は図4に示す従来のミキサ回路でも採用されているが、従来のミキサ回路では、局部発振信号LOによるトランジスタTr102の制御が阻害されやすいため、十分に消費電力を低減することが難しかった。そこで、本願発明者らはトランジスタTr102の制御が阻害される原因を調べた。その結果、抵抗R101の抵抗値とトランジスタTr101のトランスコンダクタンスgmとの積で求められるAC電圧Vdが、トランジスタTr101のドレイン端に生じることが原因であることが判明した。すなわち、トランジスタTr101のドレイン端に生じるAC電圧Vdが大きく、トランジスタTr102のゲート電極に入力される局部発振信号LOのAC電圧の振幅が小さいと、トランジスタTr102の動作が阻害される。ここで、gm=dVg/dId(Vg:Tr102のゲート電圧、Vd:Tr102のドレイン電流)とする。
【0033】
このことから、ミキサ回路のうち、増幅器の出力部の振幅を抑えればトランジスタTr102の動作が阻害されず、消費電力の小さいミキサ回路が実現できることが分かった。この知見を基に、本願発明者らは、本発明のミキサ回路に想到した。
【0034】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【0035】
本実施形態のミキサ回路は、RF信号入力部1に入力信号RFを、LO信号入力部3に局部発振信号LOをそれぞれ受けて、出力部5から変換信号IFを出力する。本実施形態のミキサ回路は、例えば、通信機器において高周波信号のダウンコンバージョン等に用いられる。この場合、例えば入力信号RFは周波数が0.8GHz以上の高周波信号で、変換信号IFはそれより周波数の低い信号となる。
【0036】
図1に示すように、本実施形態のミキサ回路は、RF信号入力部1がゲート電極(制御部)に接続され、ドレイン(第1領域)が電源電圧VDDを供給する電源供給部(第1電源供給部)に接続された増幅用トランジスタTr1と、増幅用トランジスタTr1のソース(第2領域)と接地(第2電源供給部)との間に設けられた抵抗R1と、抵抗R1と増幅用トランジスタTr1との間の節点7と出力部5との間に介設され、ゲート電極がLO信号入力部3に接続された変調用トランジスタTr2とを備えている。
【0037】
本実施形態では、増幅用トランジスタTr1と変調用トランジスタTr2とは共にNチャネル型の電界効果型トランジスタであり、好ましくはMISFET(Metal insulator semiconductor FET)である。特に製造の容易さなどからMOSFETがよく用いられる。従って、増幅用トランジスタTr1と抵抗R1とで構成される増幅器AMP1は、ソースフォロワ増幅器となっている。そのため、増幅用トランジスタTr1のゲート電極に入力された高周波の入力信号RFは増幅器AMP1によってその電力が増幅される。この際に、入力信号RFの電流は増幅されるが、電圧はほとんど増幅されない。そして、電力が増幅された入力信号RFは、変調用トランジスタTr2のゲート電極に入力される局部発振信号LOにより変調を受け、変調信号IFとして変調用トランジスタTr2のドレインから出力される。ここで、変調信号IFの周波数は、入力信号RFの周波数と局部発振信号LOの周波数の差になっている。すなわち、本実施形態のミキサ回路は、増幅器AMP1の増幅作用と変調用トランジスタTr2の乗算作用とによりアクティブミキサとして動作する。なお、入力信号RFが高周波の場合、電源電圧VDDを供給する電源供給部は振幅しないと見なせるので、接地と同様に扱われる。そのため、増幅器AMP1はドレイン接地型増幅器とも言える。
【0038】
一般に、ミキサ回路の変換利得((変換信号IFの電力)/(入力信号RFの電力))は、変調用トランジスタTr2に入力される局部発振信号LOの電圧振幅に依存する。従って、もし変調用トランジスタTr2のソースに大きな電圧振幅が生じると、変調用トランジスタの動作が阻害されてしまう。
【0039】
本実施形態のミキサ回路では、増幅器AMP1が入力信号RFの電圧を増幅しないので、図4に示す従来のミキサ回路に比べて変調用トランジスタのソースにおける振幅は低減されている。そのため、変調用トランジスタTr2のゲート電極に入力される局部発振信号LOの電圧振幅が極めて阻害されにくくなっており、局部発振信号LOの電圧振幅を低減しても回路を正常に動作させることができる。従って、本実施形態のミキサ回路によれば、低い局部発振電力で大きな利得を得ることができ、消費電力の低減を図ることができる。入力信号の周波数が高くなるにつれて局部発振信号LOの強度を上げることが困難となるため、本実施形態のミキサ回路は、入力信号が高周波信号である場合に特に有効である。このことは、以下の実施形態でも同様である。
【0040】
さらに、本実施形態のミキサ回路では、従来のギルバートセル型ミキサに比べて電源供給部と接地との間に介設されるトランジスタ数を減らすことができるので電源電圧を低減することができる。
【0041】
また、本実施形態のミキサ回路は、2つのMISトランジスタと1つの抵抗のみで構成できるので、図4に示す従来のミキサ回路と比べても面積が小さく、集積化に有利である。
【0042】
なお、本実施形態のミキサ回路において、変調用トランジスタTr2のドレイン電圧の直流成分が増幅用トランジスタTr1のソース電圧の直流成分よりも低い場合には、節点7と変調用トランジスタTr2との間に容量素子を挿入することで変調用トランジスタTr2に直流電流が流れるのを防ぎ、消費電流を低減することができる。この際には、高周波信号が透過できるだけの十分大きな容量を有する容量素子を用いる。例えば、入力信号の周波数を5GHzで抵抗R1の抵抗値が3Ωであれば10pFの容量を用いればよい。
【0043】
また、本実施形態のミキサ回路では、増幅用トランジスタTr1及び変調用トランジスタTr2にNチャネル型MISFETを用いているが、このうち両方あるいは一方のトランジスタがPチャネル型であってもよい。増幅用トランジスタTr1がPチャネル型の場合、電圧供給部と接地とが入れ替わる。なお、増幅用トランジスタTr1と変調用トランジスタTr2とは共にN型のトランジスタである方が回路面積を小さくできるので有利である。
【0044】
また、増幅用トランジスタTr1をMISFETからバイポーラトランジスタに代えて増幅器AMP1をエミッタフォロワの構成にしても、上述の効果を有するミキサ回路を構成することができる。このような構成であっても、BiCMOSプロセスを用いることで集積化することができる。
【0045】
また、本実施形態のミキサ回路において、抵抗R1に代えて他のインピーダンス部材、例えば電流源あるいはインダクタを用いてもよい。インダクタを用いれば、抵抗を用いる場合に比べて熱雑音の発生や電圧降下(電圧振幅の低減)を抑制することができるので、電源効率を高められるとともに変調信号中の雑音を低減することができる。
【0046】
なお、本実施形態では入力信号RFが周波数0.8GHz以上の高周波の場合について説明したが、周波数0.8GHz未満の信号であっても本実施形態のミキサ回路を使用することができる。
【0047】
本実施形態のミキサ回路は、通信機器の受信部などに用いることができるが、変換信号IFの周波数が入力信号RFの周波数より高くなるように設計すれば、送信部にも用いることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【0049】
図2に示すように、本実施形態のミキサ回路では、RF信号入力部1に入力信号RFが、第1のLO信号入力部13aに局部発振信号LOが、第2のLO信号入力部13bに逆相のLO信号がそれぞれ入力されると、第1の出力部15aからは変換信号IFPが、第2の出力部15bからは逆相の変換信号IFNが、それぞれ出力される。ここで、逆相の変換信号とは、変換信号IFPと周波数、振幅が同じで位相が180度ずれている信号のことを表す。
【0050】
本実施形態のミキサ回路は、RF信号入力部1がゲート電極に接続され、ドレインに電源電圧VDDが供給された増幅用トランジスタTr1と、増幅用トランジスタTr1と接地との間に設けられた抵抗R1と、増幅用トランジスタTr1と抵抗R1との間の節点7と第1の出力部15aとの間に介設された第1の変調用トランジスタTr2aと、節点7と第2の出力部15bとの間に介設された第2の変調用トランジスタTr2bとを備えている。
【0051】
本実施形態のミキサ回路を第1の実施形態のミキサ回路と比較すると、増幅器AMP1は同じ構成であるが、変調用トランジスタが互いに対称な2つのNチャネル型MISトランジスタであり、変換信号IFPと逆相の変換信号IFNとが出力される点が異なる。
【0052】
本実施形態のミキサ回路において、増幅用トランジスタTr1のゲート電極に入力された入力信号RFは、増幅器AMP1によりその電流が増幅される。電流が増幅された入力信号RFは二手に分かれ、一方ではゲート電極に局部発振信号LOPが入力された第1の変調用トランジスタTr2aにより変調され、変換信号IFPとなって第1の変調用トランジスタTr2aのドレインから出力される。また、電流が増幅された入力信号RFは、他方ではゲート電極に逆相の局部発振信号LONが入力された第2の変調用トランジスタTr2bにより変調され、逆相の変換信号IFNとして第2の変調用トランジスタTr2bのドレインから出力される。
【0053】
本実施形態のミキサ回路では、第1の実施形態と同様に、増幅器AMP1はソースフォロワ増幅器となっているので、入力信号RFの電流は増幅されるが電圧は増幅されない。そのため、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bのソースにおける電圧振幅は従来のミキサ回路に比べて小さくなっている。従って、本実施形態のミキサ回路においては、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bの動作が阻害されにくくなっており、局部発振信号の電圧を低減することが可能となっている。すなわち、本実施形態のミキサ回路によれば、局部発振信号の電力が小さくても、従来に比べ大きな利得を得ることができる。
【0054】
また、本実施形態のミキサ回路においては、第1の変調用トランジスタTr2aのゲート電極と第2の変調用トランジスタTr2bのゲート電極にそれぞれ位相が180度ずれた差動信号が入力され、且つ第1の変調用トランジスタTr2aのソースと第2の変調用トランジスタTr2bのソースとは互いに接続されている。このため、第1の変調用トランジスタTr2aと第2の変調用トランジスタTr2bの両ソースに漏れ出した局部発振信号LOPの成分と逆相の局部発振信号LONの成分とが相殺され、低雑音増幅器などの前段の回路への局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LONの漏れ出しが抑制されている。従って、本実施形態のミキサ回路を通信用機器に用いた場合、通信性能の低下を防ぐことができる。また、本実施形態のミキサ回路は、規格の厳しい通信用機器などにも好ましく用いることができる。
【0055】
以上の利点に加えて、本実施形態のミキサ回路は、従来のギルバートセル型ミキサに比べて信号が経由するトランジスタ数が少ないので、電源電圧を低く設定することもでき、電源効率の向上や消費電力の低減を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態のミキサ回路において、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタ2bと節点7との間に容量素子を挿入してもよい。この際には、高周波信号が透過できるだけの容量を有する容量素子を用いる。
【0057】
また、増幅用トランジスタTr1、第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bはPチャネル型MISFETであってもよい。ここで、増幅用トランジスタTr1の導電型と第1の変調用トランジスタTr2a及び第2の変調用トランジスタTr2bの導電型とは互いに異なっていてもよいが、いずれもN型である方が回路面積を小さくできるので好ましい。
【0058】
また、増幅用トランジスタTr1をMISFETからバイポーラトランジスタに代えて増幅器AMP1をエミッタフォロワの構成にしても、上述の効果を有するミキサ回路を構成することができる。
【0059】
また、本実施形態のミキサ回路において、抵抗R1に代えて電流源あるいはインダクタを用いてもよい。インダクタを用いれば、抵抗により生じる熱雑音や、電圧降下(電圧振幅の低減)を抑制することができるので、電源効率を高められるとともに変調信号中の雑音を低減することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【0061】
同図に示すように、本実施形態のミキサ回路では、第1のRF信号入力部21aと第2のRF信号入力部21bには、高周波の入力信号RFPと逆相の入力信号RFNとがそれぞれ入力され、第1のLO信号入力部23aと第2のLO信号入力部23bには局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LONがそれぞれ入力される。そして、第1の出力部25aからは変調信号IFPが出力され、第2の出力部25bからは逆相の変調信号IFNが出力される。ここで、変調信号IFNの周波数は、入力信号RFPの周波数と局部発振信号LOPとの差周波数となっている。
【0062】
図3に示すように、本実施形態のミキサ回路は、入力信号RFP及び逆相の入力信号RFNの電力を増幅するための差動増幅器11と、差動増幅器11からの出力信号を局部発振信号LOPまたは逆相の局部発振信号LONとを混合し、変換信号IFP及び逆相の変換信号IFNを出力するダブルバランスドミキサ(以下、「DBM」と称する)27とを備えている。
【0063】
差動増幅器AMP11は、入力信号RFPをゲート電極(制御部)に受け、電源電圧VDDがドレイン(第1領域)に供給されたNチャネル型の第1の増幅用トランジスタTr1aと、接地に接続された電流源S1と、第1の増幅用トランジスタTr1aのソース(第2領域)と電流源との間に介設された第1の抵抗R11と、逆相の入力信号RFNをゲート電極(制御部)に受け、ドレイン(第1領域)に電源電圧VDDが供給されるNチャネル型の第2の増幅用トランジスタTr1bと、第2の増幅用トランジスタTr1bのソース(第2領域)と電流源S1との間に介設された第2の抵抗R12とを有している。また、第1の増幅用トランジスタTr1aのドレインと第2の増幅用トランジスタTr1bのドレインとは互いに接続され、第1の抵抗R11と第2の抵抗R12も互いに接続されている。ここで、第1の増幅用トランジスタTr1aと第2の増幅用トランジスタTr1bの間、及び第1の抵抗R11と第2の抵抗R12の間での電気的特性はそれぞれ揃えられている。
【0064】
DBM27は、互いのソース同士が接続され、且つ第1の増幅用トランジスタTr1aと抵抗R11との間の第1の節点17に共に接続された第1の変調用トランジスタTr12a及び第2の変調用トランジスタTr12bと、互いのソース同士が接続され、且つ第2の増幅用トランジスタTr1bと第2の抵抗R12との間の第2の節点18に共に接続された第3の変調用トランジスタTr12c及び第4の変調用トランジスタTr12dとを有している。また、第1の変調用トランジスタTr12aと第4の変調用トランジスタTr12dのゲート電極にはそれぞれ局部発振信号LOPが入力され、第2の変調用トランジスタTr12bと第3の変調用トランジスタTr12cのゲート電極にはそれぞれ逆相の局部発振信号LONが入力される。そして、第1の変調用トランジスタTr12aのドレイン及び第3の変調用トランジスタTr12cのドレインからは変換信号IFPが出力され、第2の変調用トランジスタTr12bのドレイン及び第4の変調用トランジスタTr12dのドレインからは逆相の変換信号IFNが出力される。すなわち、本実施形態のミキサ回路は、第2の実施形態に係るミキサ回路を2つ接続したような構成となっている。
【0065】
本実施形態のミキサ回路において、差動増幅器AMP11はソースフォロワ型増幅器となっているので、入力信号RFP及び逆相の入力信号RFNの電流は増幅されるが、電圧は増幅されない。そのため、DBMを構成する各変調用トランジスタのソースに生じる電圧振幅は小さく抑えられており、変調用トランジスタのゲート電極に入力される局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LONの電圧振幅は阻害されにくくなっている。従って、本実施形態のミキサ回路によれば、局部発振信号の電圧を低減することができるので、消費電力を低減を図ることができる。言い換えれば、低い局部発振電力で従来よりも大きな利得を得ることができる。
【0066】
これに加え、本実施形態のミキサ回路では、互いの位相が180度ずれた局部発振信号LOPと逆相の局部発振信号LONとが入力されることにより、各変調用トランジスタのソースは、局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号の仮想接地となる。そのため、局部発振信号が前段ブロックの低雑音増幅器などの回路に漏れにくくなっている。さらに、入力信号として差動信号が入力されることにより、第1のLO信号入力部23a及び第2のLO信号入力部23bが入力信号の仮想接地点となるので、局部発振信号LOP及び逆相の局部発振信号LON中に入力信号RFP及び逆相の入力信号RFNが漏れ出すことも抑えられている。従って、本実施形態のミキサ回路は、局部発振信号の漏れに対する規格が厳しい製品にも好ましく用いられる。
【0067】
また、本実施形態のミキサ回路によれば、一般的なギルバートセル型ミキサに比べ、電源供給部と接地との間のトランジスタ数を減らすことができるので、電源電圧の低電圧化が可能となり、消費電力の低減を図ることができる。
【0068】
なお、本実施形態では入力信号を高周波信号としたが、例えば周波数が0.8GHz未満の信号であっても同様に周波数を変調することができる。また、入力信号を局部発振信号と掛け合わせてより周波数の高い変換信号を出力することもできる。
【0069】
なお、本実施形態のミキサ回路において、DBMを構成する変調用トランジスタはPチャネル型MISFETであってもよい。ただし、各変調用トランジスタの電気的特性は揃えておく必要がある。ここで、増幅用トランジスタの導電型と変調用トランジスタ及び変調用トランジスタの導電型とは互いに異なっていてもよいが、いずれもN型である方が回路面積を小さくすることできるので有利である。
【0070】
一方、差動増幅器AMP11内の第1の増幅用トランジスタTr1aと第2の増幅用トランジスタTr1bとは、互いに電気的特性が等しければPチャネル型MISFETでもよく、バイポーラトランジスタであってもよい。第1の増幅用トランジスタTr1a及び第2の増幅用トランジスタTr1bがバイポーラトランジスタである場合、エミッタフォロワの構成を取れば本実施形態と同様に消費電力の小さいミキサ回路を実現することができる。このようなミキサ回路はBiCMOSプロセスを用いて製造することができる。
【0071】
また、本実施形態のミキサ回路において、差動増幅器AMP11とDBM27との間に容量素子を挿入することにより、変調用トランジスタのドレイン電圧が増幅用トランジスタのソース電圧より低い場合に、差動増幅器AMP11からDBMへ直流電流が流れるのを防ぐことができる。この際には、高周波信号が透過できるだけの容量を有する容量素子を用いる。これにより、消費電流をさらに低減することができる。
【0072】
なお、本実施形態のミキサ回路のうち差動増幅器AMP1において、第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12に接続された電流源S1は無くてもミキサ回路として動作する。しかし、電流源S1がある方が、第1の抵抗R11と第2の抵抗R12とに正確に等しい電流を流すことができるので好ましい。
【0073】
また、本実施形態のミキサ回路では、ソースフォロワ型の差動増幅器AMP11の負荷を抵抗としたが、インダクタンスを用いても良い。インダクタンスを用いれば、抵抗を用いる場合に比べて熱雑音や、電圧降下を抑制することができ、雑音特性にも有利である上、電源効率を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図4】従来のミキサ回路の構成を示す回路図である。
【図5】一般的なギルバートセル型ミキサの構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 RF信号入力部
3 LO信号入力部
5 出力部
7 節点
13a 第1のLO信号入力部
13b 第2のLO信号入力部
15a 第1の出力部
15b 第2の出力部
Tr1 増幅用トランジスタ
Tr2 変調用トランジスタ
R1 抵抗
AMP1 増幅器
RF 入力信号
LO 局部発振信号
IF 変換信号
Claims (11)
- 第1電源供給部に接続された第1領域と、入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記入力信号を出力するための第2領域とを有する増幅用トランジスタと、
一端が第2電源供給部に接続され、他端が上記増幅用トランジスタの第2領域に接続されたインピーダンス部材と、
上記増幅用トランジスタと上記インピーダンス部材との間の節点に接続された第3領域と、局部発振信号が入力されるゲート電極と、電流が増幅された上記入力信号を変調させてなる変調信号を出力するための第4領域とを有する第1の変調用MISトランジスタと
を備えているミキサ回路。 - 請求項1に記載のミキサ回路において、
上記増幅用トランジスタはMISトランジスタであり、
上記増幅用トランジスタの第1領域はドレイン、第2領域はソースで、制御部はゲート電極であることを特徴とするミキサ回路。 - 請求項2に記載のミキサ回路において、
上記増幅用トランジスタの導電型と上記第1の変調用MISトランジスタの導電型は共にN型であり、上記第2電源供給部は接地であることを特徴とするミキサ回路。 - 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載のミキサ回路において、
上記第1の変調用MISトランジスタと電気的特性が等しく、且つ上記節点及び上記第1の変調用トランジスタの第3領域に接続された第3領域と、逆相の上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、逆相の上記変換信号を出力するための第4領域とを有する第2の変調用MISトランジスタをさらに備えているミキサ回路。 - 請求項1に記載のミキサ回路において、
上記増幅用トランジスタはバイポーラトランジスタであり、上記増幅用トランジスタの第1領域はコレクタ、第2領域はエミッタで、制御部はベースであることを特徴とするミキサ回路。 - 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載のミキサ回路において、
上記第1の変調用トランジスタの第3領域と上記節点との間に容量素子をさらに備えていることを特徴とするミキサ回路。 - 入力信号及び逆相の上記入力信号の電流を増幅するための差動増幅器と、
上記差動増幅器により電流が増幅された上記入力信号及び上記逆相の入力信号と、上記入力信号及び上記逆相の入力信号を変調するための局部発振信号及び逆相の上記局部発振信号を受けて変調信号と逆相の上記変調信号とを出力するダブルバランスドミキサと
を備えたミキサ回路であって、
上記差動増幅器は、
第1電源供給部に接続された第1領域と、入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記入力信号を出力するための第2領域とを有する第1の増幅用トランジスタと、
上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第1電源供給部に接続された第1領域と、逆相の上記入力信号が入力される制御部と、電流が増幅された上記逆相の入力信号を出力するための第2領域とを有する第2の増幅用トランジスタと、
一端が第2電源供給部に接続され、他端が上記第1の増幅用トランジスタの第2領域に接続された第1のインピーダンス部材と、
一端が第2電源供給部及び上記第1のインピーダンス部材に接続され、他端が上記第2の増幅用トランジスタの第2領域に接続された第2のインピーダンス部材と
を有し、
上記ダブルバランスドミキサは、
上記第1の増幅用トランジスタと上記第1のインピーダンス部材との間の第1の節点に接続された第3領域と、上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記変調信号を出力するための第4領域とを有する第1の変調用MISトランジスタと、
上記第1の節点及び上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、上記逆相の局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記逆相の変調信号を出力するための第4領域とを有する第2の変調用MISトランジスタと、
上記第2の増幅用トランジスタと上記第2のインピーダンス部材との間の第2の節点に接続された第3領域と、上記逆相の局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記第1の変調用MISトランジスタの第4領域に接続され、上記変調信号を出力するための第4領域とを有する第3の変調用MISトランジスタと、
上記第2の節点及び上記第3の変調用MISトランジスタの第3領域に接続された第3領域と、上記局部発振信号が入力されるゲート電極と、上記第2の変調用MISトランジスタの第4領域に接続され、上記逆相の変調信号を出力するための第4領域とを有する第4の変調用MISトランジスタと
を有しているミキサ回路。 - 請求項7に記載のミキサ回路において、
上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタは共にMISトランジスタであり、
上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタの第1領域はドレイン、第2領域はソースで、制御部はゲート電極であることを特徴とするミキサ回路。 - 請求項8に記載のミキサ回路において、
上記第1の増幅用トランジスタ、上記第2の増幅用トランジスタ、上記第1の変調用MISトランジスタ、上記第2の変調用MISトランジスタ、上記第3の変調用MISトランジスタ及び上記第4の変調用MISトランジスタの導電型はいずれもN型であり、上記第2電源供給部は接地であることを特徴とするミキサ回路。 - 請求項7に記載のミキサ回路において、
上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタは共にバイポーラトランジスタであり、
上記第1の増幅用トランジスタ及び上記第2の増幅用トランジスタの第1領域はコレクタ、第2領域はエミッタで、制御部はベースであることを特徴とするミキサ回路。 - 請求項7〜10のうちいずれか1つに記載のミキサ回路において、
上記第1の変調用MISトランジスタの第3領域と上記第2の変調用MISトランジスタの第3領域との接続点と上記第1の節点との間に介設された第1の容量素子と、
上記第3の変調用MISトランジスタの第3領域と上記第4の変調用MISトランジスタの第3領域との接続点と上記第2の節点との間に介設された第2の容量素子と
をさらに備えていることを特徴とするミキサ回路。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013048467A (ja) * | 2008-03-21 | 2013-03-07 | Qualcomm Inc | 段階的利得ミキサ |
JP2015041987A (ja) * | 2013-08-23 | 2015-03-02 | 日本電信電話株式会社 | 周波数変換器 |
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2002
- 2002-11-13 JP JP2002329271A patent/JP2004165961A/ja active Pending
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JP2013048467A (ja) * | 2008-03-21 | 2013-03-07 | Qualcomm Inc | 段階的利得ミキサ |
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