JP2004165499A - 電子レンズ、その電子レンズを用いた荷電粒子線露光装置、デバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開口を配置した電極、少なくとも3枚より構成される、マルチ荷電ビームを形成する電子レンズは、その各々の電極が、他の電極と嵌め合うための凹及び凸部を有し、凹部が他の電極の凸部と、または、凸部が他の電極の凹部と勘合し、その勘合した少なくとも3枚の電極を一体に構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス製造のリソグラフィにおける荷電ビーム露光技術に関するものであり、特に、電子レンズ、その電子レンズを使用した荷電粒子線露光装置、その露光装置による半導体デバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの生産において、電子ビーム露光技術は0.1μm以下の微細パターンの露光を可能とするリソグラフィの有力候補として脚光を浴びており、いくつかの方式がある。例えば、いわゆる一筆書きでパターンを描画する可変矩形ビーム方式がある。しかし、この方式はスループットが低く量産用露光装置に適用するためには課題が多い。スループットの向上を図ることができる方式として、ステンシルマスクに形成したパターンを縮小転写する図形一括露光方式が提案されている。この方式は、繰り返しの多い単純パターンには有利であるが、ロジック配線層等のランダムパターンではスループットの点で課題が多く、実用化に際して生産性向上の妨げが大きい。
【0003】
これに対して、マスクを用いずに複数本の電子ビームで同時にパターンを描画するマルチビームシステムの提案がなされており、物理的なマスク作製や交換をなくし、実用化に向けて多くの利点を備えている。電子ビームをマルチ化する上で重要となるのが、これに使用する電子レンズのアレイ数である。電子ビーム露光装置の内部に配置できる電子レンズのアレイ数によりビーム数が決まり、スループットを決定する大きな要因となる。このため電子レンズの性能を高めながら、かつ、如何に小型化できるかが、マルチビーム型露光装置の性能向上におけるカギのひとつとなる。
【0004】
電子レンズには電磁型と静電型があり、静電型は磁界型に比べて、コイルコア等を設ける必要がなく構成が容易であり小型化に有利となる。ここで静電型の電子レンズ(静電レンズ)の小型化に関する主な先行技術としては次のものがある。
【0005】
例えば、ファイバとSiの結晶異方性エッチングにより作製したV溝を用いたマイクロメカニクス技術により、静電単一レンズである3枚の電極からなる3次元構造体を形成することを開示する。Siにはメンブレン枠とメンブレンと該メンブレンに電子ビームが通過する開口が設けられる内容を開示する(非特許文献1参照)。
【0006】
また、陽極接合法を利用してSiとパイレックス(登録商標)ガラスが複数積層に接合された構造体を開示するもので、高精度にアライメントされたマイクロカラム用電子レンズを作製する内容を開示するものもある(非特許文献2参照)。
【0007】
また、レンズ開口配列を有する3枚電極でアインツェルレンズ配列にした構成を開示するものもある(非特許文献3参照)。
【0008】
【非特許文献1】
A.D. Feinerman等(J. Vac. Sci. Technol. A 10(4)、 p611、 1992)
【非特許文献2】
K.Y. Lee等(J. Vac. Sci. Technol. B12 (6)、 p3425、 1994)
【非特許文献3】
Sasaki(J. Vac. Sci. Technol. 19、 963 (1981))
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来例において、電極を組み合わせて電子レンズを構成する際、Feinerman等の方法では図17に示すように、電極1710とファイバ1720の少なくとも2種類の部品を必要とし、Lee等の方法では電極作成用のプロセス装置の他に、新たに陽極接合装置が必要となる。この為、レンズを構成する際に煩雑な工程が必要とされた。
【0010】
又、Sasakiの方法では、電極を組み合わせて電子レンズを構成する方法の詳細が明らかではない等の課題がある。
【0011】
本発明は、マルチビーム用の電子レンズにおいて、従来のものと比して、部品点数が少なく、煩雑な工程を排除した、組み立ての容易なマルチ荷電ビームレンズを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子レンズ、そのレンズを適用した荷電粒子線露光装置、デバイスの製造方法は以下の構成を有することを特徴とする。
【0013】
すなわち、開口を配置した電極、少なくとも3枚より構成される、マルチ荷電ビームを形成する電子レンズは、該各々の電極が
他の電極と嵌め合うための凹及び凸部を有し、
前記凹部が他の電極の凸部と、または、前記凸部が他の電極の凹部と勘合し、該勘合した少なくとも3枚の電極が一体に構成されることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、上記の電子レンズにおいて、前記電極の凹部及び凸部は、異方性エッチングにより形成される。
【0015】
好ましくは、上記の電子レンズにおいて、前記凹部と凸部の表面は、Si熱酸化膜による二酸化珪素膜の絶縁層で覆われている。
【0016】
好ましくは、上記の電子レンズにおいて、前記電極は、シリコンウエハ、若しくは、該シリコンウエハに二酸化珪素の層を含むSOIウエハに形成される。
【0017】
好ましくは、上記の電子レンズにおいて、前記開口の内壁と、該開口の周辺部にはAuのスパッタリングにより導電体膜が成膜される。
【0018】
好ましくは、上記の電子レンズにおいて、前記SOIウエハに形成される開口には、熱酸化膜が形成されない。
【0019】
また、本発明にかかる荷電粒子線露光装置は、
荷電粒子線を放射する荷電粒子源と、
電子レンズを有し、該電子レンズにより前記荷電粒子源の中間像を複数形成する第1の電子光学系と、
前記第1の電子光学系によって形成される複数の中間像を基板上に投影する第2の電子光学系と、
前記基板を保持し、所定の位置に駆動して、位置決めする位置決め装置と、を備え、
前記電子レンズは、開口を配置した電極、少なくとも3枚より構成される、マルチ荷電ビームを形成し、該各々の電極が
他の電極と嵌め合うための凹及び凸部を有し、
前記凹部が他の電極の凸部と、または、前記凸部が他の電極の凹部と勘合し、該勘合した少なくとも3枚の電極が一体に構成されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかるデバイスの製造方法は、
荷電粒子線露光装置を含む複数の半導体製造装置を工場に設置する工程と、
前記複数の半導体製造装置を用いて半導体デバイスを製造する工程と、
を備え、該荷電粒子線露光装置は、
荷電粒子線を放射する荷電粒子源と、
電子レンズを有し、該電子レンズにより前記荷電粒子源の中間像を複数形成する第1の電子光学系と、
前記第1の電子光学系によって形成される複数の中間像を基板上に投影する第2の電子光学系と、
前記基板を保持し、所定の位置に駆動して、位置決めする位置決め装置と、を備え、
前記電子レンズは、開口を配置した電極、少なくとも3枚より構成される、マルチ荷電ビームを形成し、該各々の電極が
他の電極と嵌め合うための凹及び凸部を有し、
前記凹部が他の電極の凸部と、または、前記凸部が他の電極の凹部と勘合し、該勘合した少なくとも3枚の電極が一体に構成されることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
<第1実施形態>
<マルチ荷電ビームレンズの説明>
本発明の第1実施形態を図1を参照しながら説明する。図1(a)は配列された開口1と、ならびに凹部2、凸部3をSi基板4上に有し、さらに絶縁膜5、導電膜6が形成された電極を、電極間の凹部と凸部とを嵌めあわせることで3枚の電極を組み合わせて構成した、マルチ荷電ビームを形成する電子レンズ(以下、「マルチ荷電ビームレンズ」という。)の断面を概略的に示す図である。図1(b)はそのマルチ荷電ビームレンズの平面図である。図1(b)中の矩形領域1000は凹部(図1(a)の2)ならびに凸部(図1(a)の3)が形成されている領域を示すものである。
【0023】
次に、このマルチ荷電ビームレンズの作製方法を説明する。
【0024】
まず、各電極の作製方法の一例を図2を用いて説明する。
【0025】
図2(a)で、基板として結晶方位が(1,0,0)のシリコンウエハ7を用意する。シリコンウェハ7の表面にCVDによって窒化珪素膜8を膜厚3000Åになるまで成膜する(図2(b))。
【0026】
レジストスピンコート、露光、現像によるパターニングを行った後、レジストをマスクとするCF4ガスを用いたドライエッチングにより窒化珪素膜を除去し、ウエハ表裏ともに窒化珪素膜をパターニングする(図2(c))。
【0027】
そして、窒化珪素膜をマスクとする30%水酸化カリウム水溶液を用いたウェットエッチングを行なうことで、シリコンウェハ上に面方位(1,1,1)で囲まれた凹部9(図2(d))、ならびに凸部10(図2(e))を形成する。このエッチングプロセスはシリコンウエハのエッチングされ易い結晶方位(1,0,0)と、エッチングされにくい方位(1,1,1)との差を利用して、異方的なエッチングをシリコンウエハに与えるものである。
【0028】
CF4ガスを用いたドライエッチングにより残留している窒化珪素膜を除去し(図2(f))、シリコンウエハをSi熱酸化することで表面に二酸化珪素膜11を成長させる(図2(g))。
【0029】
SF6ガスを使用したドライエッチングによりシリコンウェハに開口12を形成し(図2(h))、Auのスパッタリングにより導電体膜13を開口の内壁とその周辺部分に成膜する(図2(i))。
【0030】
このようにして作製した電極を、電極間の凹部と凸部とを嵌めあわせて組み立てた後、外側から機械的に押えて固定することで、図1に示した構造のマルチ荷電ビームレンズを得ることができる。このマルチ荷電ビームレンズの上と下の電極を接地し、中央の電極に負の電圧を印加することにより荷電ビームに対するレンズ作用を得ることができる。
【0031】
このようにして、部品点数が少なく容易に位置合わせを行いながら組み立てることのできるマルチ荷電ビームレンズを得ることができる。本実施形態のマルチ荷電ビームレンズの構造は、電極間に凹部と凸部とによる構造体が形成されており、電極間に電圧を印加した際に生じる静電力による電極の変形を抑える効果がある。そのため開口部の数を増加させた大面積の電極を容易に作製することができる。
【0032】
また、本実施形態では電極を3枚重ねているマルチ荷電ビームレンズを示したが、3枚よりも多い枚数でも同様の工程を経ることでマルチ荷電ビームレンズを作製することは可能である。
【0033】
次に、このマルチ荷電ビームレンズを電子ビーム露光装置に適用した例について、説明する。
【0034】
<電子ビーム露光装置の構成要素の説明>
図3は上述のマルチ荷電ビームレンズを適用した、本発明に係る電子ビーム露光装置(荷電粒子線露光装置)の概略的な構成を示す図である。図3において、501は、カソード501a、グリッド501b、アノード501cよりなる電子銃であって、カソード501aから放射された電子はグリッド501b、アノード501cの間でクロスオーバ像を形成する(以下、このクロスオーバ像を「電子源」と記す)。
【0035】
この電子源から放射される電子は、その前側焦点位置が電子源位置にあるコンデンサーレンズ502によって略平行の電子ビームとなる。本実施形態のコンデンサーレンズ502は、3枚の開口電極で構成されるユニポテンシャルレンズである。略平行な電子ビームは、補正電子光学系503に入射する。要素電子光学系アレイ503は、アパーチャアレイ、ブランカーアレイ、マルチ荷電ビームレンズ、要素電子光学系アレイユニット、ストッパーアレイで構成される。補正電子光学系503の詳細については後述する。
【0036】
補正電子光学系503は、光源の中間像を複数形成し、各中間像は後述する縮小電子光学系504によって縮小投影され、ウエハ505上に光源像を形成する。
【0037】
その際、ウエハ505上の光源像の間隔が光源像の大きさの整数倍になるように補正電子光学系503は複数の中間像を形成する。更に、補正電子光学系503は、各中間像の光軸方向の位置を縮小電子光学系504の像面湾曲に応じて異ならせるとともに、各中間像が縮小電子光学系504よってウエハ505に縮小投影される際に発生する収差を予め補正している。
【0038】
縮小電子光学系504は、第1投影レンズ541(543)と第2投影レンズ542(544)とからなる対称磁気タブレットで構成される。第1投影レンズ541(543)の焦点距離をf1、第2投影レンズ542(544)の焦点距離をf2とすると、この2つのレンズ間距離はf1+f2になっている。光軸上AXの物点は第1投影レンズ541(543)の焦点位置にあり、その像点は第2投影レンズ542(544)の焦点に結ぶ。この像は−f2/f1に縮小される。また、2つのレンズ磁界が互いに逆方向に作用する様に決定されているので、理論上は、球面収差、等方性非点収差、等方性コマ収差、像面湾曲収差、軸上色収差の5つの収差を除いて他のザイデル収差および回転と倍率に関する色収差が打ち消される。
【0039】
506は、要素電子光学系アレイ3からの複数の電子ビームを偏向させて、複数の光源像をウエハ505上でX、Y方向に略同一の変位量だけ変位させる偏向器である。偏向器506は、図示はされていないが、偏向幅が広い場合に用いられる主偏向器と偏向幅が狭い場合に用いられる副偏向器で構成されていて、主偏向器は電磁型偏向器で、副偏向器は静電型偏向器である。
【0040】
507は偏向器506を作動させた際に発生する偏向収差による光源像のフォーカス位置のずれを補正するダイナミックフォーカスコイルであり、508は、ダイナミックフォーカスコイル507と同様に、偏向により発生する偏向収差の非点収差を補正するダイナミックスティグコイルである。
【0041】
509は、ウエハを載置して、光軸AX(Z軸)方向とZ軸回りの回転方向に移動可能なθ−Zステージであって、ステージ基準板とファラデーカップが固設されている。511は、θ−Zステージを載置して、光軸AX(Z軸)と直交するXY方向に移動可能なXYステージである。
【0042】
次に、図4を用いて補正電子光学系503について説明する。
【0043】
図4(a)は、電子銃501側から補正電子光学系503を見た図であり、図4(b)は図4(a)のAA’断面図である。前述したように、補正電子光学系503は、光軸AXに沿って、電子銃501側から順に配置された、アパーチャアレイAA、ブランカーアレイBA、マルチ荷電ビームレンズML、要素電子光学系アレイユニットLAU、ストッパーアレイSAで構成される。
【0044】
アパーチャアレイAAは、基板に複数の開口が形成されており、コンデンサーレンズ502から略平行な電子ビームを複数の電子ビームに分割する。ブランカーアレイBAは、アパーチャアレイAAで分割された複数の電子ビームを個別に偏向する偏向手段を一枚の基板上に複数形成したものである。そのひとつの偏向手段の詳細を図5に示す。基板301は、開口APを有し、302は、開口APを挟んだ一対の電極で構成され、偏向機能を有するブランキング電極である。また、基板上301には、ブランキング電極302を個別にon/offするための配線(W)が形成されている。 図4に戻り、本実施形態で作製したマルチ荷電ビームレンズMLは補正電子光学系503の中で荷電ビーム収束作用を大きくするために用いられる。
【0045】
要素電子光学系アレイユニットLAUは、同一平面内に複数の電子レンズを2次元配列して形成した電子レンズアレイである、第1電子レンズアレイLA1、第2電子レンズアレイLA2、第3電子レンズアレイLA3、第4電子レンズアレイLA4により構成される。
【0046】
図6は、第1電子レンズアレイLA1を説明する図である。第1電子レンズアレイLA1は、開口が複数配列された上部電極UE、中間電極CE、下部電極LEの3枚から成るマルチ静電レンズで、光軸AX方向に並ぶ上・中・下電極で一つの電子レンズELいわゆるユニポテンシャルレンズを構成している。各電子光学系の上部・下部の電極の全てを同一電位で接続して同一の電位に設定している(本実施形態では、電子ビームの加速電位にしている)。そして、y方向に並ぶ各電子レンズの中間電極は共通の配線(w)で接続されている。その結果は、後述するLAU制御回路512により、y方向に並ぶ各電子レンズの中間電極毎の電位を個別に設定することにより、y方向に並ぶ電子レンズの光学特性は略同一に設定され、y方向に並ぶ電子レンズ毎の光学特性(焦点距離)をそれぞれ個別に設定している。言い換えれば、 y方向に並び同一の光学(焦点距離)に設定される電子レンズを一つのグループとし、y方向と直交するx方向に並ぶグループの光学特性(焦点距離)をそれぞれ個別に設定している。
【0047】
図7は、第2電子レンズアレイLA2を説明する図である。第2電子レンズアレイLA2が第1電子レンズ系アレイLA1と異なる点は、x方向に並ぶ各電子レンズの中間電極は共通の配線(w)で接続されている点である。その結果は、後述するLAU制御回路512により、x方向に並ぶ各電子レンズの中間電極毎の電位を個別に設定することにより、x方向に並ぶ電子レンズの光学特性は略同一に設定され、x方向に並ぶ電子レンズ毎の光学特性を個別に設定している。言い換えれば、x方向に並び同一の光学(焦点距離)に設定される電子レンズを一つのグループとし、y方向に並ぶグループの光学特性(焦点距離)をそれぞれ個別に設定している。
【0048】
第3電子レンズアレイLA3は、第1電子レンズアレイLA1と同じであり、第4電子レンズアレイLA4は、第2電子レンズアレイLA2と同じである。
【0049】
次に、電子ビームが上記説明した補正電子光学系3によって受ける作用に関して、図8を用いて説明する。アパーチャアレイAAによって分割された電子ビームEB1、EB2は、互いに異なるブランキング電極を介して、要素電子光学系アレイユニットLAUに入射する。電子ビームEB1は、第1電子レンズアレイLA1の電子レンズEL11、第2電子レンズアレイLA2の電子レンズEL21、第3電子レンズアレイLA3の電子レンズEL31、第4電子レンズアレイLA4の電子レンズEL41を介して、電子源の中間像img1を形成する。
【0050】
一方、電子ビームEB2は、第1電子レンズアレイLA1の電子レンズEL12、第2電子レンズアレイLA2の電子レンズEL22、第3電子レンズアレイLA3の電子レンズEL32、第4電子レンズアレイLA4の電子レンズEL42を介して、電子源の中間像img2を形成する。
【0051】
その際、前述したように、第1、3電子レンズアレイLA1のx方向に並ぶ電子レンズは、互いに異なる焦点距離になるように設定されていて、第2、4電子レンズアレイLA1のx方向に並ぶ電子レンズは、同一の焦点距離になるように設定されている。更に、電子ビームEB1が通過する電子レンズEL11、電子レンズEL21、電子レンズEL31、電子レンズEL41の合成焦点距離と、電子ビームEB2が通過する電子レンズEL12、電子レンズEL22、電子レンズEL32、電子レンズEL42の合成焦点距離が略等しくなるように、各電子レンズの焦点距離を設定している。それにより、電子源の中間像img1とimg2とは略同一の倍率で形成されると共に、各中間像が縮小電子光学系4を介してウエハ5に縮小投影される際に発生する像面湾曲を補正するために、その像面湾曲に応じて、電子源の中間像img1とimg2が形成される光軸AX方向の位置を異ならせしめている。
【0052】
また、電子ビームEB1、EB2は、通過するブランキング電極に電界が印可されると、図中破線のようにその軌道を変え、ストッパーアレイSAの各電子ビームに対応した開口を通過できず、電子ビームEB1、EB2が遮断される。
【0053】
<露光装置のシステム構成>
次に本実施形態のシステム構成図を図9に示す。BA制御回路11は、ブランカーアレイBAのブランキング電極のon/offを個別に制御する制御回路であり、LAU制御回路12は、レンズアレイユニットLAUの電子光学特性(焦点距離)を制御する制御回路である。D_STIG制御回路13は、ダイナミックスティグコイル508を制御して縮小電子光学系504の非点収差を制御する制御回路であり、 D_FOCUS制御回路14は、ダイナミックフォーカスコイル507を制御して縮小電子光学系504のフォーカスを制御する制御回路である。そして、偏向制御回路15は偏向器506を制御する制御回路、光学特性制御回路16は、縮小電子光学系504の光学特性(倍率、歪曲、回転収差、光軸等)を調整する制御回路である。
【0054】
ステージ駆動制御回路17は、θ−Zステージ509を駆動制御し、かつXYステージ511の位置を検出するレーザ干渉計LIMと共同してXYステージ511を駆動制御する制御回路である。
【0055】
制御系20は、描画パターンが記憶されたメモリ21からのデータに基づいて、上記複数の制御回路を制御する。制御系20は、インターフェース22を介して電子ビーム露光装置全体をコントロールするCPU23によって制御されている。
【0056】
<露光動作の説明>
図9を用いて本実施形態の電子ビーム露光装置の露光動作について説明する。
【0057】
制御系20は、メモリ21からの露光制御データに基づいて、偏向制御回路15に命じ、偏向器506によって、複数の電子ビーム偏向させるとともに、BA制御回路11に命じ、ウエハ505に露光すべきパターンに応じてブランカーアレイBAのブランキング電極を個別にon/offさせる。この時XYステージ511はy方向に連続移動しており、XYステージの移動に複数の電子ビームが追従するように、偏向器6によって複数の電子ビームを偏向する。そして、各電子ビームは、図10に示すようにウエハ505上の対応する要素露光領域(EF)を走査露光する。各電子ビームの要素露光領域(EF)は、2次元に隣接するように設定されているので、その結果、同時に露光される複数の要素露光領域(EF)で構成されるサブフィールド(SF)が露光される。
【0058】
制御系20は、サブフィールド(SF1)を露光後、次のサブフィールド(SF2)を露光するために、偏向制御回路15に命じ、偏向器506によって、ステージ走査方向(y方向)と直交する方向(x方向)に複数の電子ビームを偏向させる。この時、偏向によってサブフィールドが変わることにより、各電子ビームが縮小電子光学系504を介して縮小投影される際の収差も変わる。そこで、制御系20は、 LAU制御回路12、 D_STIG制御回路13、 及びD_FOCUS制御回路14に命じ、変化した収差を補正するように、レンズアレイユニットLAU、ダイナミックスティグコイル508、およびダイナミックフォーカスコイル507を調整する。そして、再度、前述したように、各電子ビームが対応する要素露光領域(EF)を露光することにより、サブフィールド2(SF2)を露光する。そして、図10に示すように、サブフィールド( SF1〜SF6)を順次露光してウエハ505にパターンを露光する。その結果、ウエハ505上において、ステージ走査方向(y方向)と直交する方向(x方向)に並ぶサブフィールド( SF1〜SF6)で構成されるメインフィールド(MF)が露光される。
【0059】
制御系22は、図10に示すメインフィールド1(MF1)を露光後、偏向制御回路15に命じ、順次、ステージ走査方向(y方向)に並ぶメインフィールド( MF2、 MF3、MF4…)に複数の電子ビームを偏向させると共に露光し、その結果、図10に示すように、メインフィールド( MF2、 MF3、MF4…)で構成されるストライプ(STRIPE1)を露光する。そして、 XYステージ511をx方向にステップさせ、次のストライプ(STRIPE2)を露光する。
【0060】
<デバイスの生産方法>
次に上記説明した電子ビーム露光装置を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。図11は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(露光制御データ作成)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した露光制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。
【0061】
次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0062】
図12は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0063】
本実施形態の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストに製造することができる。
【0064】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を図13を参照しながら説明する。図13(a)は配列された開口100と、ならびに凹部101、凸部104、二酸化珪素による絶縁層103を有する電極を、電極間の凹部と凸部とを嵌めあわせることで3枚の電極を組み合わせ構成したマルチ荷電ビームレンズの断面を示す図である。図13(b)はそのマルチ荷電ビームレンズの平面図である。図13(b)中の領域1001は凹部ならびに凸部が形成されている部分を示している。
【0065】
次に、この第2実施形態にかかるマルチ荷電ビームレンズの作製方法を説明する。図14は各電極の作製方法を説明する図である。
【0066】
図14(a)で、基板として結晶方位が(1,0,0)のSOIウエハを用意する。SOIウエハとはSi基板200(図14を参照)の中に二酸化珪素の層201が存在するウエハのことである。SOIウエハの表面にCVDによって窒化珪素膜202を膜厚3000Åになるまで成膜する(図14(b))。
【0067】
次に、レジストスピンコート、露光、現像によるパターニングを行った後、レジストをマスクとするCF4ガスを用いたドライエッチングにより窒化珪素膜を除去し、ウエハ表裏ともに窒化珪素膜をパターニングする(図14(c))。
【0068】
そして、窒化珪素膜をマスクとする30%水酸化カリウム水溶液を用いたウェットエッチングを行なうことで、シリコンウエハ上に面方位(1,1,1)で囲まれた凹部203(図14(d))、ならびに凸部204(図14(e))を形成する。凸部を形成する際に、二酸化珪素層201をエッチングストップ層として使用する。このエッチングプロセスはシリコンウエハのエッチングされ易い結晶方位(1,0,0)と、エッチングされにくい方位(1,1,1)との差を利用して、異方的なエッチングをシリコンウエハに与えるものである。
【0069】
CF4ガスを用いたドライエッチングにより残留している窒化珪素膜を除去し(図14(f))し、SF6ガスを使用したドライエッチングによりシリコンウェハに開口205を形成する(図14(g))。
【0070】
次に、このようにして作製した電極を、電極間の凹部と凸部とを嵌めあわせて組み立てた後、外側から機械的に押えて固定することで、図13に示した構造のマルチ荷電ビームレンズを得ることができる。このマルチ荷電ビームレンズの上と下の電極を接地し、中央の電極に負の電圧を印加することにより荷電ビームに対するレンズ作用を得ることができる。以上のプロセスにより、部品点数が少なく容易に位置合わせを行いながら組み立てることのできるマルチ荷電ビームレンズを得ることができる。
【0071】
本実施形態におけるマルチ荷電ビームレンズの構造は、第1実施形態と同様に電極間に凹部と凸部とによる構造体が形成されており、電極間に電圧を印加した際に生じる静電力による電極の変形を抑える効果がある。そのため開口部の数を増加させた大面積の電極を容易に作製することができる。またSOIウエハを使用することで各開口部間が絶縁されるため、第1実施形態で行っていた熱酸化膜形成の工程を省略して製作工程をより簡便化することができる。
【0072】
また、本実施形態では電極を3枚重ねているマルチ荷電ビームレンズを示したが、3枚よりも多い枚数でも同様の工程を経ることで作製することは可能である。
【0073】
また、第1実施形態において説明したように、第2実施形態におけるマルチ荷電ビームレンズも、同様に、電子ビーム露光装置に適用することは可能であり、この電子ビーム露光装置を利用したデバイスの生産方法についても、第1実施形態と同様に実施することができる。
【0074】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態を図15を参照しながら説明する。図15は配列された開口300と、ならびに凹部301、凸部304をSi基板303上に有し、さらに絶縁膜302、導電膜305が付与された電極を、電極間の凹部と凸部とを嵌めあわせることで3枚の電極を組み合わせ構成したマルチ荷電ビームレンズの断面を示す図である。図15(b)はそのマルチ荷電ビームレンズの平面図である。図15(b)中の領域1002は凹部ならびに凸部が形成されている部分を示している。
【0075】
次に、この第3実施形態にかかるマルチ荷電ビームレンズの作製方法を説明する。図16は各電極の作製方法を説明する図である。
【0076】
図16(a)で、基板として結晶方位が(1,0,0)のシリコンウェハ306を用意し、シリコンウエハ306の表面にCVDによって窒化珪素膜307を膜厚3000Åになるまで成膜する(図16(b))。
【0077】
レジストスピンコート、露光、現像によるパターニングを行った後、レジストをマスクとするCF4ガスを用いたドライエッチングにより窒化珪素膜を除去し、ウエハ表裏ともに窒化珪素膜をパターニングする(図16(c))。
【0078】
そして、窒化珪素膜をマスクとする30%水酸化カリウム水溶液を用いたウェットエッチングを行なうことで、シリコンウエハ上に面方位(1,1,1)で囲まれた凹部308(図16(d))、ならびに凸部309(図16(e))を形成する。このエッチングプロセスはシリコンウエハのエッチングされ易い結晶方位(1,0,0)と、エッチングされにくい方位(1,1,1)との差を利用して、異方的なエッチングをシリコンウエハに与えるものである。
【0079】
そして、CF4ガスを用いたドライエッチングにより残留している窒化珪素膜を除去する(図16(f))。
【0080】
シリコンウエハをSi熱酸化することで表面に二酸化珪素膜310を成長させ(図16(g))、SF6ガスを使用したドライエッチングによりシリコンウエハに開口311を形成し(図16(h))、Auのスパッタリングにより導電体膜312を開口の内壁とその周辺部分に成膜する(図16(i))。
【0081】
次に、このようにして作製した電極を、電極間の凹部と凸部とを嵌めあわせて組み立てた後、外側から機械的に押えて固定することで、図15に示した構造のマルチ荷電ビームレンズを得ることができる。このマルチ荷電ビームレンズの上と下の電極を接地し、中央の電極に負の電圧を印加することにより荷電ビームに対するレンズ作用を得ることができる。
【0082】
以上のプロセスにより、部品点数が少なく容易に位置合わせを行いながら組み立てることのできるマルチ荷電ビームレンズを得ることができる。
【0083】
本実施形態にかかるマルチ荷電ビームレンズの構造(図15)は、第1及び第2実施形態と比べて開口部の集積度をより高めて形成することができる。
【0084】
また、本実施形態では電極を3枚重ねているマルチ荷電ビームレンズを示したが、3枚よりも多い枚数でも同様の工程を経ることで作製することも可能である。
【0085】
また、第3実施形態にかかるマルチ電子レンズも、第1実施形態と同様に、電子ビーム露光装置に適用することは可能であり、この電子ビーム露光装置を利用したデバイスの生産方法についても、第1実施形態と同様に実施することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明にかかるマルチ荷電ビーム用の電子レンズによれば、従来のものと比して、部品点数が少なく煩雑な工程を排除した、組み立ての容易な電子レンズを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態にかかるマルチ荷電ビームレンズの構造を説明する図である。
【図2】図1の電極の作製方法を説明する図である。
【図3】荷電粒子線露光装置の概略的な構成を示す図である。
【図4】補正電子光学系の詳細を説明する図である。
【図5】図4に示したブランカアレイ(BA)の詳細を説明する図である。
【図6】図4に示した第1電子レンズアレイ(LA1)の詳細を説明する図である。
【図7】図4に示した第2電子レンズアレイ(LA2)の詳細を説明する図である。
【図8】電子ビームが補正電子光学系によって受ける作用を説明する図である。
【図9】荷電粒子線露光装置のシステム構成を説明する図である。
【図10】ウエハ上における露光方式を説明する図である。
【図11】微小デバイスの製造フローを説明する図である。
【図12】図11のウエハスプロセスの詳細を説明する図である。
【図13】第2実施形態にかかるマルチ荷電ビームレンズの構造を説明する図である。
【図14】図13の電極の作製方法を説明する図である。
【図15】第3実施形態にかかるマルチ荷電ビームレンズの構造を説明する図である。
【図16】図15の電極の作製方法を説明する図である。
【図17】荷電ビームレンズの従来例を説明する図である。
【符号の説明】
1 開口
2 凹部
3 凸部
4 Si基板
5 絶縁膜
6 導電膜
7 シリコンウエハ
8 窒化珪素膜
9 凹部
10 凸部
11 二酸化珪素膜
12 開口
13 導電体膜
Claims (9)
- 開口を配置した電極、少なくとも3枚より構成される、マルチ荷電ビームを形成する電子レンズであって、該各々の電極が
他の電極と嵌め合うための凹部及び凸部を有し、
前記凹部が他の電極の凸部と、または、前記凸部が他の電極の凹部と勘合し、該勘合した少なくとも3枚の電極が一体に構成される
ことを特徴とする電子レンズ。 - 前記電極の凹部及び凸部は、異方性エッチングにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子レンズ。
- 前記凹部と凸部の表面は、Si熱酸化膜による二酸化珪素膜の絶縁層で覆われていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンズ。
- 前記電極は、シリコンウエハ、若しくは、該シリコンウエハに二酸化珪素の層を含むSOIウエハに形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンズ。
- 前記開口の内壁と、該開口の周辺部にはAuのスパッタリングにより導電体膜が成膜されることを特徴とする請求項1に記載の電子レンズ。
- 前記SOIウエハに形成される開口には、熱酸化膜が形成されないことを特徴とする請求項4に記載の電子レンズ。
- 前記3枚の電極は、各々略同一の断面形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子レンズ。 - 荷電粒子線露光装置であって、
荷電粒子線を放射する荷電粒子源と、
電子レンズを有し、該電子レンズにより前記荷電粒子源の中間像を複数形成する第1の電子光学系と、
前記第1の電子光学系によって形成される複数の中間像を基板上に投影する第2の電子光学系と、
前記基板を保持し、所定の位置に駆動して、位置決めする位置決め装置と、を備え、
前記電子レンズは、開口を配置した電極、少なくとも3枚より構成される、マルチ荷電ビームを形成し、該各々の電極が
他の電極と嵌め合うための凹部及び凸部を有し、
前記凹部が他の電極の凸部と、または、前記凸部が他の電極の凹部と勘合し、該勘合した少なくとも3枚の電極が一体に構成される
ことを特徴とする荷電粒子線露光装置。 - デバイスの製造方法であって、
荷電粒子線露光装置を含む複数の半導体製造装置を工場に設置する工程と、
前記複数の半導体製造装置を用いて半導体デバイスを製造する工程と、
を備え、該荷電粒子線露光装置は、
荷電粒子線を放射する荷電粒子源と、
電子レンズを有し、該電子レンズにより前記荷電粒子源の中間像を複数形成する第1の電子光学系と、
前記第1の電子光学系によって形成される複数の中間像を基板上に投影する第2の電子光学系と、
前記基板を保持し、所定の位置に駆動して、位置決めする位置決め装置と、を備え、
前記電子レンズは、開口を配置した電極、少なくとも3枚より構成される、マルチ荷電ビームを形成し、該各々の電極が
他の電極と嵌め合うための凹部及び凸部を有し、
前記凹部が他の電極の凸部と、または、前記凸部が他の電極の凹部と勘合し、該勘合した少なくとも3枚の電極が一体に構成される
ことを特徴とするデバイスの製造方法。
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