【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体電解質型燃料電池用燃料極に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するためエネルギーロスが少なく、また、発電時に汚染物質(NOxやSOx等)を発生しないことから、高効率でクリーンな環境調和型の新しい発電システムとして期待されている。この燃料電池には、電解質膜の種類によって、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型(固体酸化物型)や固体高分子型等に分類される。
【0003】
これらの燃料電池のうち、酸化物イオン導電性を有する固体電解質を介して酸化還元反応を生じさせて起電力を得る固体電解質型(固体酸化物型)燃料電池(以下、単に「SOFC」ともいう。)は、固体材料で構成されるので、取扱いが容易でかつ耐久性に優れるとともに設置箇所の制限が少ないという特徴を有する。
【0004】
現在開発中のSOFCの多くは、使用される燃料極等の特性により、その作動温度が1000℃付近に設定されている。
【0005】
しかし、1000℃付近で作動させる場合、その温度では、燃料電池のセルの構成材料が劣化しやすく、長期間使用する場合の耐久性や信頼性に問題がある。また、上記作動温度に適合させるためには、燃料電池の構成材料の材質が限定されるという問題もある。
【0006】
そこで、近年、SOFCの作動温度を例えば800℃程度に下げ、低温で作動可能なSOFCの可能性が検討されている。しかし、作動温度を下げると、電極における化学反応抵抗が大きくなるとともに、電解質における電気抵抗が大きくなる。このため、低温作動SOFCの実用化には、低温域でも十分な性能を有する高性能な燃料極の開発が必要不可欠である。
【0007】
このような低温域でも十分な電極性能を示す燃料極として、金属粒子と、電子伝導性及び酸化物イオン伝導性を有する混合伝導性複合酸化物粒子とからなるものが知られている。なお、この混合伝導性複合酸化物粒子には、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)やイットリウム(Y)の酸化物を表面にドープしたセリア(CeO2 )系のセラミックス粉末が用いられている。
【0008】
例えば、特許文献1には、高分散された金属粒子及びセリア系の混合伝導性複合酸化物粒子よりなる高分散型複合粒子を素材として得られた燃料極であって、均質な混合状態を形成するように高分散された金属粒子と混合伝導性複合酸化物粒子とからなるものが開示されている。
【0009】
この燃料極の素材となる高分散型複合粒子は、金属粒子及び混合伝導性複合酸化物粒子のカチオンを含む塩類を水又は有機溶媒に溶解させた原料溶液から、噴霧熱分解法等により合成されたもので、粒径が0.1〜10μmであり、金属粒子及び混合伝導性複合酸化物粒子が高分散された0.1μm以下の非常に微細な一次粒子から構成されている。そして、この高分散型複合微粒子を900〜1100℃で仮焼きした後、結合剤及び溶剤をよく混合してペースト状とし、これをスクリーン印刷等により固体電解質表面に塗布し、溶剤を蒸発させた後に焼き付けることにより、燃料極が作製される。
【0010】
こうして得られた燃料極では、金属粒子及び混合伝導性複合酸化物粒子が均質な混合状態を形成するように高分散され、混合伝導性複合酸化物粒子が金属粒子を取り囲むネットワーク構造をなす。このため、金属粒子と混合伝導性複合酸化物粒子との界面が増大して有効な反応サイトが増え、また、電子伝導パスも維持される。したがって、800℃程度の低温域で十分な電極性能を示す(特許文献1参照)。
【0011】
また、特許文献2には、ニッケルやコバルト等の金属粉体と、この金属粉体の表面に付着されたセリア系の混合伝導性複合酸化物粉体とからなる被覆型複合粉体を素材として得られた燃料極が開示されている。
【0012】
この燃料極の素材となる被覆型複合粉体は、高速気流中衝撃法によって、金属粉体に対して物理的に混合伝導性複合酸化物粉体を付着して合成されたものである。金属粉体の平均粒径は3〜10μmであり、混合伝導性複合酸化物粉体の平均粒径も金属粉体とほぼ同じか、それよりも小さいものである。そして、この被覆型複合粉体にバインダを混合してスラリーとし、固体電解質にコートし、乾燥させた後、約1400℃で焼成することにより、燃料極が作製される。
【0013】
こうして得られた燃料極では、金属粒子の表面に混合伝導性複合酸化物粒子が付着しているために、焼成により金属粒子同士が互いにくっつき合って巨大粒子に成長することがなく、材料粉体とほぼ等しい粒径の粒子のままにとどまっている組織構造をなす。このため、焼成による金属粒子の巨大化により燃料、金属粒子及び混合伝導性複合酸化物粒子が同時に接触する三相界面の面積が小さくなるようなことがなく、また、金属粒子表面の混合伝導性複合酸化物粒子の高電子伝導性により電子伝導パスも確保することができるため、優れた分極特性を得ることができる(特許文献2参照)。
【0014】
【特許文献1】
特開平11−297333号公報(第3−5頁、図5、図8)
【特許文献2】
特開平11−54131号公報(第3−5頁、図2、図5)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、SOFCを例えば自動車用電源として適用する場合、起動性及び信頼性等の著しい向上が求められる。そのためにはSOFCの作動温度を可能な限り低くする必要がある。SOFCの作動温度が低くなれば、起動性の向上だけでなく、金属セパレータ等の金属材料の使用が可能になるなど構成材料の選択の自由度が広がり、信頼性の向上にも繋がるからである。このため、例えば600℃程度以下の低温域でも十分な電極性能を示す燃料極が求められる。
【0016】
ここに、600℃程度の低温域でも高性能な燃料極とするには、反応場(電子、酸化物イオン及び燃料が接する部位。以下、同様)面積がさらに大きくなるような電極構造が必要である。
【0017】
ところが、上記特許文献1の燃料極は、600℃程度の低温域でも十分に大きな反応場面積を確保することができるような電極構造となっていない。このため、上記特許文献1の燃料極では、800℃程度の低温域なら十分な電極性能を発揮し得ても、600℃程度の低温域になると十分な電極性能を発揮することができない。
【0018】
すなわち、上記特許文献1に開示された燃料極は、燃料極の素材となる高分散型複合粒子が、高分散された金属粒子及び混合伝導性複合酸化物粒子よりなる微細な一次粒子の集合体である。このため、各高分散型複合粒子内においては高分散された金属粒子と混合伝導性複合酸化物粒子とがそれぞれランダムに存在していると考えられる。したがって、焼成後の燃料極構造においても、主な反応場となり得る、反応の活性な界面(電解質と燃料極との界面)で、金属粒子と混合伝導性複合酸化物粒子とがそれぞれランダムに存在していると考えられ、電解質と金属粒子との間に混合伝導性複合酸化物粒子が優先的に存在しているわけではない。よって、上記界面に存在する混合伝導性複合酸化物粒子が少なく、混合伝導性複合酸化物粒子と電解質との接触面積が小さくなり、反応な活性な界面で上記反応場面積を十分に拡大することができない。
【0019】
一方、上記特許文献2に開示された燃料極は、金属粒子が隣接する金属粒子とくっつき合うことがなく、個々の金属粒子が混合伝導性複合酸化物粒子によって表面を覆われた構造である。このような燃料極構造の場合、金属粒子同士が接触していないことから、金属粒子表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子のみによって電子伝導パスが確保されることになる。しかし、この混合伝導性複合酸化物粒子の電子伝導性は600℃程度の低温域になると低下する。このため、混合伝導性複合酸化物粒子のみによって電子伝導パスが確保されるこの燃料極は、600℃程度の低温域になると導電特性が低下する。
【0020】
また、上記特許文献2に開示された燃料極では、燃料極の素材となる被覆型複合粉体を構成する金属粉体の平均粒径が3〜10μmと大きいことから、燃料極構造においても金属粒子の表面積が小さく、上記反応場面積を十分に拡大することができない。
【0021】
したがって、上記特許文献2に開示された燃料極も、600℃程度の低温域になると十分な電極性能を発揮することができない。
【0022】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、600℃程度の低温域においても、反応場面積及び導電特性を十分に確保して十分な電極性能を発揮することのできる固体電解質型燃料電池用燃料極を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の固体電解質型燃料電池用燃料極は、金属粉体又は金属酸化物粉体と、該金属粉体又は該金属酸化物粉体の表面に付着された混合伝導性複合酸化物粉体とからなる被覆型複合粉体を素材として得られた固体電解質型燃料電池用燃料極であって、金属粒子同士が互いに接触し合うとともに、該金属粒子の表面に付着された混合伝導性複合酸化物粒子同士が互いに接触し合うような組織構造をなし、該金属粒子の表面を覆う該混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が75〜95%であり、かつ、常温における比抵抗が1×10−4Ω・cm以下であることを特徴とするものである。
【0024】
好適な態様において、前記金属粒子の平均粒径が1〜4μmである。
【0025】
好適な態様において、前記金属粉体又は前記金属酸化物粉体の平均粒径が0.7〜2.5μmであるとともに、前記混合伝導性複合酸化物粉体の平均粒径が0.2〜0.5μmであり、該混合伝導性複合酸化物粉体の該金属粉体又は該金属酸化物粉体中の金属重量に対する重量比が(混合伝導性複合酸化物粉体):(金属粉体又は金属酸化物粉体中の金属重量)=3:7〜6:4である。
【0026】
好適な態様において、前記金属粒子はNi、Co及びCuよりなる群から選ばれる1種よりなり、前記混合伝導性複合酸化物粒子は(CeO2 )1−X (LnO1.5 )X (LnはSm、Gd、Pr、Nd及びYよりなる群から選ばれる1種であり、0.1≦X≦0.3)で表されるセリア系複合酸化物よりなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の固体電解質型燃料電池用燃料極は、金属粒子同士が互いに接触し合うとともに、該金属粒子の表面に付着された混合伝導性複合酸化物粒子同士が互いに接触し合うような組織構造をなしている。この組織構造により、金属粒子と混合伝導性複合酸化物粒子との界面が増大して有効な反応場が増えるとともに、金属粒子のネットワーク及び混合伝導性複合酸化物粒子のネットワークにより燃料極内における電子伝導性及び酸化物イオン伝導性を高く維持することができる。
【0028】
そして、本発明の固体電解質型燃料電池用燃料極は、金属粒子の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が75〜95%であり、かつ、常温における比抵抗が1×10−4Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0029】
このように金属粒子の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が75%以上で、金属粒子の表面に付着された混合伝導性複合酸化物粒子同士が互いに接触し合っていることから、金属粒子の表面に存在する混合伝導性複合酸化物粒子同士のつながりによるネットワークが確実に形成され、このネットワークにより燃料極の内部における酸化物イオン伝導パスを確実に確保することができる。また、金属粒子と混合伝導性複合酸化物粒子との接触による反応場面積も増大する。さらに、燃料極と電解質との界面には混合伝導性複合酸化物粒子を優先的に存在させることができることから、電解質と混合伝導性複合酸化物粒子との接触面積が増大し、電解質から燃料極への酸化物イオン伝導性を効果的に向上させることが可能となり、主な反応場である、反応の活性な界面近傍における反応場面積を極めて効果的に拡大させることができる。
【0030】
また、金属粒子の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が95%以下であり、かつ、金属粒子同士が互いに接触し合って常温における比抵抗が1×10−4Ω・cm以下であることから、600℃程度の低温域で混合伝導性複合酸化物粒子による電子伝導性が低下した場合であっても、金属粒子のネットワークにより電子伝導パスを確実に確保することができる。
【0031】
したがって、本発明の固体電解質型燃料電池用燃料極では、600℃程度又はそれ以下の低温域であっても、反応場面積及び導電特性を十分に確保して十分な電極性能を発揮することができる。
【0032】
本発明の固体電解質型燃料電池用燃料極は、金属粉体又は金属酸化物粉体と、該金属粉体又は該金属酸化物粉体の表面に付着された混合伝導性複合酸化物粉体とからなる被覆型複合粉体を素材として得られる。
【0033】
上記被覆型複合粉体を構成する金属粉体又は金属酸化物粉体を構成する金属としては、Ni、Co及びCuよりなる群から選ばれる1種を好適に採用することができる。
【0034】
なお、燃料極の素材となる被覆型複合粉体を電解質に焼付けた後、還元雰囲気下で加熱する等の還元処理することにより、還元された金属粒子(金属粉体又は金属酸化物粉体を構成する金属よりなる金属粒子)が燃料極を構成することになる。
【0035】
上記金属粉体又は金属酸化物粉体の平均粒径が小さすぎると、燃料極の製造時に焼結が進みやすくなるため巨大化により金属粒子の比表面積が小さくなり、十分な反応場面積を確保する上で不利になるとともに、燃料極となった状態において気孔径が小さくなるためガスの拡散性が低下する。一方、上記金属粉体等の平均粒径が大きすぎると、燃料極となった状態においても金属粒子の比表面積が小さくなるため十分な反応場面積を確保する上で不利になる。そこで、上記金属粉体又は金属酸化物粉体の平均粒径は、0.7〜2.5μm程度とすることが好ましい。
【0036】
上記金属粉体又は金属酸化物粉体の形状は特に限定されず、略球状、略矩形状又はフィラメント状等とすることができる。
【0037】
上記被覆型複合粉体を構成する混合伝導性複合酸化物粉体としては、(CeO2 )1−X (LnO1.5 )X (LnはSm、Gd、Pr、Nd及びYよりなる群から選ばれる1種であり、0.1≦X≦0.3)で表されるセリア系複合酸化物粒子を好適に採用することができる。なお、この混合伝導性複合酸化物粉体は、固相法や共沈法等の種々の方法で得ることができる。
【0038】
上記混合伝導性複合酸化物粉体の平均粒径が小さすぎると、上記被覆型複合粉体を製造する際に均一な分散が困難となり、金属粉体等の表面に混合伝導性複合酸化物粉体を均一に被覆することが困難となる。一方、上記混合伝導性複合酸化物粉体の平均粒径が大きすぎると、金属粉体又は金属酸化物粉体との粒径差が小さくなるため、被覆型複合粉体を製造することが困難となる。そこで、上記混合伝導性複合酸化物粉体の平均粒径は、0.2〜0.5μm程度とすることが好ましい。
【0039】
上記被覆型複合粉体における上記混合伝導性複合酸化物粉体の上記金属粉体又は金属酸化物粉体の金属重量に対する重量比が小さすぎると、燃料極となった状態において、金属粒子の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が75%未満になり、酸化物イオン伝導パスの確保や反応場面積の拡大を十分に図ることが困難となる。一方、混合伝導性複合酸化物粉体の金属粉体又は金属酸化物粉体の金属重量に対する重量比が大きすぎると、燃料極となった状態において、金属粒子の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が95%を超え、金属粒子同士の接触が不十分となって常温における燃料極の比抵抗を1×10−4Ω・cm以下とすることが困難となる。そこで、上記被覆型複合粉体における上記混合伝導性複合酸化物粉体の上記金属粉体又は金属酸化物粉体中の金属重量に対する重量比は、(混合伝導性複合酸化物粉体):(金属粉体又は金属酸化物粉体中の金属重量)=3:7〜6:4とすることが好ましい。
【0040】
上記被覆型複合粉体を製造するには、機械的方法により原料粉体を複合化する機械的粉体構造制御技術を利用することが量産性や環境性等の点で好ましい。機械的方法により複合化する技術の一つとして高速気流中衝撃法があるが、この方法では、衝突時の衝撃により原料粉体の形状が崩れるおそれがある。そこで、原料粉体同士を圧接するとともに原料粉体に剪断応力を与える圧密・剪断作用(摩擦的作用)により原料粉体を複合化することが好ましい。圧密・剪断作用(摩擦的作用)により原料粉体を複合化すれば、原料粉体の元の形状を維持したまま複合化することができるので、被覆型複合粉体の構造制御が容易となる。
【0041】
また、上記圧密・剪断作用を利用した機械的複合化処理によって被覆型複合粉体を得る場合に、混合伝導性複合酸化物粉体を金属粉体又は金属酸化物粉体の表面により均一に分散させた状態で付着させてより均一な表面構造とするべく、両粉体の間で所定の粒径差を設けることが好ましい。具体的には、金属粉体又は金属酸化物粉体の平均粒径(Dx)と、混合伝導性複合酸化物粉体の平均粒径(Dr)の比(Dx/Dr)が、3〜15程度であることが好ましい。
【0042】
上記被覆型複合粉体から燃料極を製造するには、被覆型複合粉体を適量のバインダ(例えば、ポリエチレングリコール)と混合してペースト化し、得られたペーストをスクリーン印刷等により電解質表面に塗布した後、所定温度で焼成する。これにより、電解質表面に燃料極を成膜することができる。なお、焼成温度が高すぎると焼結により金属粒子が巨大化してしまうので、焼成温度は1150〜1350℃程度とすることが好ましい。成膜した燃料極は、水素等の還元雰囲気下で所定温度(600〜800℃程度)に加熱すること等の還元処理により還元して金属粉体又は金属酸化物粉体を構成する金属よりなる金属粒子とする。
【0043】
ここに、本発明の固体電解質型燃料電池用燃料極は、燃料極になった状態の組織構造において、金属粒子の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が75〜95%である。このような組織構造とするには、上記被覆型複合粉体の状態において、金属粉体又は金属酸化物粉体の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粉体の表面被覆率を75〜95%とすればよい。そして、燃料極になった状態の組織構造において、金属粒子の表面を覆う混合伝導性複合酸化物粒子の表面被覆率が75%〜95であれば、電解質との界面における金属粒子の面積率(金属粒子が直接電解質に接触する面積率)が5〜25%になるとともに、電解質との界面における混合伝導性複合酸化物粒子の面積率が75〜95%となる。
【0044】
また、燃料極になった状態の組織構造において、金属粒子の平均粒径が大きすぎると、金属粒子の比表面積が小さくなるため十分な反応場面積を確保する上で不利になる。そこで、燃料極になった状態の組織構造において、金属粒子の平均粒径は、1〜4μmとすることが好ましく、1〜3μmとすることがより好ましい。
【0045】
また、燃料極になった状態の組織構造において、混合伝導性複合酸化物粒子の平均粒径が大きすぎると、3相界面が小さくなるため、十分な反応場面積を確保する上で不利となる。そこで、燃料極になった状態の組織構造において、混合伝導性複合酸化物粒子の平均粒径は、0.3〜3μmとすることが好ましく、0.3〜1μmとすることがより好ましい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0047】
(実施例1)
図1に示される工程図に基づいて、本実施例に係る固体電解質型燃料電池を製造した。
【0048】
<被覆型複合粉体の製造>
金属酸化物粉体として、平均粒径1.8μmの酸化ニッケル(NiO)粉体を準備した。一方、混合伝導性複合酸化物粉体として、平均粒径0.3μmの(CeO2 )0.8 (SmO1.5 )0.2 (以下、SDCという)粉体を準備した。
【0049】
上記NiO粉体と上記SDC粉体とを所定の割合で配合し、圧密・剪断作用を利用した機械的複合化処理によって被覆型複合粉体を得た。
【0050】
本実施例では、SDC粉体のNiO粉体中のNi重量に対する重量比を(SDC粉体):(NiO粉体中のNi重量)=1:1とした。
【0051】
また、この機械的複合化処理は、機械的粒子複合化装置(徳寿製作所製シータコンポーザー)を用いて、ベッセル回転数50rpm、ロータ回転数2000rpm、処理時間15minの条件で行った。
【0052】
なお、この機械的粒子複合化装置は、原料粉体が供給される低速回転可能な容器(ベッセル)と、この容器内に高速回転可能に配設されたシータ型の楕円ロータとを備えている。この装置では、容器内のロータが高速回転するとともに容器自体も反対方向に低速回転する。このため、容器内に投入された原料粉体が容器内壁とロータとの間の間隙部で圧密・剪断作用(摩擦的作用)を受け、これにより平均粒径の大きなNiO粉体の表面に平均粒径の小さなSDC粉体が付着して複合化が進行し、両原料粉体の配合割合に応じた表面被覆率でSDC粉体がNiO粉体表面を被覆する被覆型複合粉体を得ることができる。
【0053】
こうして得られた被覆型複合粉体(被覆型NiO−SDC複合粉体)は、平均粒径が1.9μmで、NiO粉体の表面を覆うSDC粉体の表面被覆率が92.0%であった。
【0054】
<燃料極の作製>
得られた被覆型複合粉体を素材として、以下のようにして電解質1の一面に燃料極(アノード)2を製造した。なお、電解質1としてはLa0.9 Sr0.1 Ga0.8 Mg0.2 O(3−8) よりなる厚さ300μmの固体電解質を用いた。
【0055】
まず、上記被覆型複合粉体を1000℃で5時間仮焼後、バインダとしてのポリエチレングリコールと混合してペースト化した。そして、このペーストをスクリーン印刷により電解質1の一面に塗布した後、1250℃で2時間焼成して焼付けた。その後、水素による還元雰囲気下で800℃程度に加熱してNiOを還元し、Ni粒子とした。こうして電解質1の一面に厚さ15μmの燃料極2を作製した。
【0056】
得られた燃料極2は、図2にその組織構造を模式的に示すとともに、図3に走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示すように、Ni粒子3同士が互いに接触し合うとともに、このNi粒子3の表面に付着されたSDC粒子4同士が互いに接触し合うような組織構造をなしていた。
【0057】
この燃料極2の組織構造において、Ni粒子3の平均粒径は1.5μmであり、SDC粒子4の平均粒径は1.2μmであった。また、Ni粒子3の表面を覆うSDC粒子4の表面被覆率が92.0%であった。さらに、電解質1との界面におけるNi面積率は8.0%であった。
【0058】
なお、上記平均粒径は、上記表面被覆率及び上記Ni面積率は、燃料極2のSEM像から実測することにより求めた。
【0059】
加えて、この燃料極2の常温における比抵抗を調べたところ、0.7×10−4Ω・cmであった。なお、この常温における燃料極2の比抵抗は、同組成の電極材料を成形、焼成してペレット化し、直流4端子法により測定した。
【0060】
<空気極の作製>
次に、Sm(Sr)CoO3 からなる粉体をバインダとしてのポリエチレングリコールと混合してペースト化した。そして、このペーストをスクリーン印刷により電解質の他面に塗布した後、1000℃で4時間焼成して焼付け、電解質の他面に厚さ15μmの空気極を作製した。
【0061】
こうして実施例1に係る固体電解質型燃料電池を製造した。
【0062】
(比較例1)
被覆型複合粉体を製造する際の原料粉体として平均粒径1.8μmのNiO粉体を用いる代わりに平均粒径3μmのNi粉体を用いること以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る固体電解質型燃料電池を製造した。
【0063】
なお、SDC粉体のNi粉体に対する重量比は(SDC粉体):(Ni粉体)=1:1である。
【0064】
この比較例1に係る固体電解質型燃料電池は、燃料極の組織構造において、Ni粒子の平均粒径が4.2μmであり、SDC粒子の平均粒径が1.2μmであった。また、Ni粒子の表面に付着されたSDC粒子同士は互いに接触し合っていたが、Ni粒子同士が互いに接触し合う組織構造とはなっていなかった。
【0065】
また、Ni粒子の表面を覆うSDC粒子の表面被覆率は98%であり、電解質との界面におけるNi面積率は2%であった。
【0066】
さらに、この燃料極の常温における比抵抗を調べたところ、57×10−4Ω・cmであった。
【0067】
(比較例2)
被覆型複合粉体の製造を行わずに、金属酸化物粉体としての平均粒径1.8μmのNiO粉体と、混合伝導性複合酸化物粉体としての平均粒径0.3μmのSDC粉体とを単に混合して、混合粉体を得た。
【0068】
なお、SDC粉体のNiO粉体のNi重量に対する重量比は(SDC粉体):(NiO粉体のNi重量)=1:1である。
【0069】
そして、この混合粉体を素材として、上記実施例1と同様にして、燃料極及び空気極の作製を行い、比較例2に係る固体電解質型燃料電池を製造した。
【0070】
この比較例2に係る固体電解質型燃料電池は、燃料極の組織構造において、Ni粒子の平均粒径が6.2μmであり、SDC粒子の平均粒径が2.0μmであった。また、Ni粒子及びSDC粒子が均一に分散しておらず、所々で凝集が見られるという組織構造になっていた。
【0071】
また、Ni粒子の表面を覆うSDC粒子の表面被覆率は45%であり、電解質との界面におけるNi面積率は55%であった。
【0072】
さらに、この燃料極の常温における比抵抗を調べたところ、0.5×10−4Ω・cmであった。
【0073】
(燃料極の電極性能評価)
前記実施例1、比較例1及び比較例2に係る固体電解質型燃料電池について、燃料ガスとして水分を3%含む25℃の加湿水素ガスを用いるとともに酸化剤ガスとして空気を用い、カレントインターラプション法により、600℃の作動温度における燃料極の電気化学的分極値(ηa)を求めた。こうして求めた600℃における燃料極の電極性能を図4に示す。
【0074】
図4からわかるように、本実施例1に係る燃料極は、電流密度2A/cm2 のときの電気化学的分極値(ηa)が、ηa=約0.22Vと非常に小さく、600℃の低温作動でも電極性能が非常に優れたものであった。
【0075】
一方、比較例1に係る燃料極は、電流密度0.4A/cm2 のときの電気化学的分極値(ηa)が、ηa=約0.2Vであり、低温作動用燃料極としては不十分な性能であった。このように平均粒径が3μmと大きなNi粉体を用いて得られた比較例1に係る燃料極で、低温作動時の電極性能が不十分となった理由は、Ni粒子の粒径が3μmと大きくなったことで、Ni粒子の比表面積が減少し、これにより反応場面積が減少するとともに、Ni表面積に対してSDC粒子が多くなったことにより導電パスが不完全になったためと考えられる。
【0076】
また、比較例2に係る燃料極は、電流密度0.5A/cm2 のときの電気化学的分極値(ηa)が、ηa=約0.36Vであり、低温作動用燃料極としては不十分な性能であった。このようにNi粉体とSDC粉体との混合粉体を素材として得られた比較例2に係る燃料極で、低温作動時の電極性能が不十分となった理由は、以下のとおりと考えられる。
【0077】
すなわち、比較例2に係る燃料極では、Ni粒子表面に存在しないSDC粒子がある分だけ、Ni粒子の表面を覆うSDC粒子の表面被覆率が低下して45%となっている。このため、Ni粒子とSDC粒子との接触による反応場面積が減少していると考えられる。また、電解質との界面におけるSDC粒子の存在比が低下している分だけ、電解質とSDC粒子との接触面積が減少し、電解質から燃料極への酸化物イオン伝導性が低下するとともに界面における反応場面積が減少していると考えられる。
【0078】
(Ni粒子の表面を覆うSDC粒子の表面被覆率と電極性能との関係)
前記実施例1において、被覆型複合粉体を製造する際にSDC粉体(平均粒径0.25μm)のNiO粉体(平均粒径1.8μm)中のNi重量に対する重量比を(SDC粉体):(NiO粉体中のNi重量)=1:9〜6:4と種々変更して固体電解質型燃料電池を製造した。
【0079】
そして、各固体電解質型燃料電池の燃料極の組織構造において、上記と同様に、Ni粒子3の表面を覆うSDC粒子4の表面被覆率と、燃料極2と電解質1との界面におけるNi面積率とを測定した。なお、上記の原料粉体の平均粒径が変わった場合は、重量比に対する表面被覆率、Ni面積率は変化する。
【0080】
また、各固体電解質型燃料電池について、上記と同様に、カレントインターラプション法により、600℃の作動温度における燃料極の電気化学的分極値(ηa)を求めた。
【0081】
これらの結果を表1及び図5に示す。なお、図5に示す燃料極分極値は電流密度が0.4A/cm2 のときの値である。
【0082】
【表1】
【0083】
表1及び図5からわかるように、原料となるSDC粉体、NiO粉体の粒径がそれぞれ0.25μm、1.8μmの場合、SDC粉体のNiO粉体中のNi重量に対する重量比を(SDC粉体):(NiO粉体中のNi重量)=38:62〜6:4のときに、Ni粒子3の表面を覆うSDC粒子4の表面被覆率が75〜95%(燃料極2と電解質1との界面におけるNi面積率が5〜25%)程度となり、そのときの燃料極の電気化学的分極値(ηa)がηa=約0.2V以下となって、600℃の低温作動でも十分な電極性能を示した。
【0084】
また、(SDC粉体):(NiO粉体中のNi重量)=39:61〜6:4のときに、Ni粒子3の表面を覆うSDC粒子4の表面被覆率が77〜95%(燃料極2と電解質1との界面におけるNi面積率が5〜23%)程度となり、そのときの燃料極の電気化学的分極値(ηa)がηa=約0.165V以下となって好ましく、(SDC粉体):(NiO粉体中のNi重量)=41:59〜1:1のときに、表面被覆率が80〜92%(Ni面積率が8〜20%)程度となり、そのときの燃料極の電気化学的分極値(ηa)がηa=約0.15V程度以下となってより好ましいことがわかる。
【0085】
(金属粉体及び金属粒子の平均粒径と電極性能との関係)
前記実施例1において、被覆型複合粉体を製造する際の原料粉体としてNiO粉体の代わりにNi粉体を用い、そのNi粉体の平均粒径を0.3μm、0.7μm、1.8μm、2.5μm、3μm、5μmと種々変更して固体電解質型燃料電池を製造した。
【0086】
なお、SDC粉体のNi粉体に対する重量比は(SDC粉体):(Ni粉体)=1:1で、焼付温度は1250℃の一定温度とした。
【0087】
そして、各固体電解質型燃料電池について、上記と同様に、カレントインターラプション法により、600℃の作動温度における燃料極の電気化学的分極値(ηa)を求めた。その結果を図6に示す。なお、図6に示す燃料極分極値は電流密度が0.4A/cm2 のときの値である。
【0088】
また、各固体電解質型燃料電池の燃料極において、Ni粒子3の平均粒径及びSDC粒子4の平均粒径をそれぞれ求めた。その結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
表2及び図6からわかるように、被覆型複合粉体を製造する際の原料粉体としてのNi粉体の平均粒径が0.7〜2.5μmのときに、燃料極の組織構造におけるNi粒子の平均粒径が1.2〜3.5μmとなって、燃料極の電気化学的分極値(ηa)がηa=約0.165V以下となり、600℃の低温作動でも十分な電極性能を示した。
【0091】
以上の結果より、固体酸化物型燃料電池用燃料極において、600℃程度以下の低温域での電極性能をより向上させるためには、燃料極の素材となる被覆型複合粉体における混合伝導性複合酸化物粉体の表面被覆率、この被覆型複合粉体を構成する原料粉体の粒径や配合割合、燃料極となった状態における金属粒子の粒径等を総合的に考慮することにより、燃料極構造を適正に制御することが極めて重要であることがわかる。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る固体電解質型燃料電池用燃料極は、特定の燃料極構造により、反応場面積を極めて効果的に拡大することができるとともに低温域でも電子伝導パスを確実に確保することができるので、600℃程度又はそれ以下の低温域であっても、反応場面積及び導電特性を十分に確保して十分な電極性能を発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る固体電解質型燃料電池用燃料極の製造工程を示す工程図である。
【図2】本実施例に係る固体電解質型燃料電池用燃料極の燃料極構造を模式的に示す断面図である。
【図3】本実施例に係る固体電解質型燃料電池用燃料極の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、(a)燃料極の表面を示すもので、(b)は電解質との界面付近の断面を示すものである。
【図4】実施例1、比較例1、比較例2の固体電解質型燃料電池用燃料極の電極性能としてについて、600℃の作動温度における燃料極の電気化学的分極値を示すグラフである。
【図5】燃料極と電解質との界面におけるNi面積率と、600℃の作動温度における燃料極の電気化学的分極値との関係を示すグラフである。
【図6】原料粉末となるNi粉体の平均粒径と、600℃の作動温度における燃料極の電気化学的分極値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…電解質 2…燃料極
3…Ni粒子(金属粒子)
4…SDC粒子(混合伝導性複合酸化物粒子)[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a fuel electrode for a solid oxide fuel cell.
[0002]
[Prior art]
Fuel cells directly convert the chemical energy of fuel into electric energy, so there is little energy loss, and there is no generation of pollutants (NOx, SOx, etc.) at the time of power generation. It is expected as a system. This fuel cell is classified into a phosphoric acid type, a molten carbonate type, a solid electrolyte type (solid oxide type), a solid polymer type, and the like, depending on the type of the electrolyte membrane.
[0003]
Among these fuel cells, a solid electrolyte type (solid oxide type) fuel cell (hereinafter, also referred to simply as “SOFC”) that generates an electromotive force by causing an oxidation-reduction reaction via a solid electrolyte having oxide ion conductivity. )) Is characterized by being easy to handle and excellent in durability because it is made of a solid material, and with few restrictions on the installation location.
[0004]
The operating temperature of many SOFCs currently under development is set at around 1000 ° C. due to the characteristics of the fuel electrode and the like used.
[0005]
However, when operated at around 1000 ° C., at that temperature, the constituent materials of the cells of the fuel cell are apt to deteriorate, and there is a problem in durability and reliability in long-term use. In addition, there is also a problem that the material of the constituent material of the fuel cell is limited in order to match the operating temperature.
[0006]
Therefore, in recent years, the possibility of lowering the operating temperature of the SOFC to, for example, about 800 ° C. and operating at a low temperature has been studied. However, lowering the operating temperature increases the chemical resistance at the electrodes and the electrical resistance at the electrolyte. For this reason, development of a high-performance fuel electrode having sufficient performance even in a low temperature range is indispensable for practical use of a low-temperature operating SOFC.
[0007]
As a fuel electrode exhibiting sufficient electrode performance even in such a low temperature range, a fuel electrode composed of metal particles and mixed conductive composite oxide particles having electron conductivity and oxide ion conductivity is known. The mixed conductive composite oxide particles include ceria (CeO) having a surface doped with an oxide of samarium (Sm), gadolinium (Gd), or yttrium (Y). 2 ) -Based ceramic powder is used.
[0008]
For example, Patent Literature 1 discloses a fuel electrode obtained by using highly dispersed composite particles composed of highly dispersed metal particles and ceria-based mixed conductive composite oxide particles as raw materials, and forms a homogeneous mixed state. Thus, there is disclosed a material composed of highly dispersed metal particles and mixed conductive composite oxide particles.
[0009]
The highly-dispersed composite particles serving as the material of the fuel electrode are synthesized by a spray pyrolysis method or the like from a raw material solution in which salts containing cations of metal particles and mixed conductive composite oxide particles are dissolved in water or an organic solvent. It is composed of extremely fine primary particles of 0.1 μm or less in which metal particles and mixed conductive composite oxide particles are highly dispersed. After calcining the high-dispersion composite fine particles at 900 to 1100 ° C., a binder and a solvent were mixed well to form a paste, which was applied to the surface of the solid electrolyte by screen printing or the like, and the solvent was evaporated. By baking later, a fuel electrode is produced.
[0010]
In the fuel electrode thus obtained, the metal particles and the mixed conductive composite oxide particles are highly dispersed so as to form a homogeneous mixed state, and the mixed conductive composite oxide particles form a network structure surrounding the metal particles. For this reason, the interface between the metal particles and the mixed conductive composite oxide particles increases, so that effective reaction sites increase, and the electron conduction path is maintained. Therefore, sufficient electrode performance is exhibited in a low temperature range of about 800 ° C. (see Patent Document 1).
[0011]
Patent Document 2 discloses a coated composite powder composed of a metal powder such as nickel or cobalt and a ceria-based mixed conductive composite oxide powder adhered to the surface of the metal powder as a material. The resulting anode is disclosed.
[0012]
The coated composite powder used as the material of the fuel electrode is synthesized by physically adhering the mixed conductive composite oxide powder to the metal powder by a high-speed air impact method. The average particle size of the metal powder is 3 to 10 μm, and the average particle size of the mixed conductive composite oxide powder is almost the same as or smaller than that of the metal powder. Then, a binder is mixed with the coated composite powder to form a slurry, coated on a solid electrolyte, dried, and fired at about 1400 ° C., thereby producing a fuel electrode.
[0013]
In the fuel electrode thus obtained, the mixed conductive composite oxide particles adhere to the surface of the metal particles, so that the metal particles do not stick to each other by sintering and grow into giant particles. It has a tissue structure in which the particles have a particle size substantially equal to that of. Therefore, the area of the three-phase interface where the fuel, the metal particles, and the mixed conductive composite oxide particles simultaneously come into contact with each other due to the enlargement of the metal particles due to firing does not decrease, and the mixed conductive surface of the metal particles does not decrease. Since the electron conduction path can be secured by the high electron conductivity of the composite oxide particles, excellent polarization characteristics can be obtained (see Patent Document 2).
[0014]
[Patent Document 1]
JP-A-11-297333 (pages 3-5, FIGS. 5, 8)
[Patent Document 2]
JP-A-11-54131 (pages 3 to 5, FIGS. 2 and 5)
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, when the SOFC is applied, for example, as a power source for a vehicle, a remarkable improvement in startability and reliability is required. For that purpose, it is necessary to make the operating temperature of the SOFC as low as possible. If the operating temperature of the SOFC is lowered, not only the startability is improved, but also the use of a metal material such as a metal separator becomes possible, so that the degree of freedom in selecting a constituent material is expanded, which leads to an improvement in reliability. . For this reason, for example, a fuel electrode showing sufficient electrode performance even in a low temperature range of about 600 ° C. or less is required.
[0016]
Here, in order to obtain a high-performance fuel electrode even at a low temperature range of about 600 ° C., an electrode structure that further increases the area of a reaction field (a portion where electrons, oxide ions, and fuel are in contact; the same applies hereinafter) is required. is there.
[0017]
However, the fuel electrode of Patent Document 1 does not have an electrode structure capable of securing a sufficiently large reaction field area even in a low temperature range of about 600 ° C. For this reason, the fuel electrode disclosed in Patent Document 1 cannot exhibit sufficient electrode performance in a low temperature range of about 800 ° C., but cannot exhibit sufficient electrode performance in a low temperature range of about 600 ° C.
[0018]
That is, the fuel electrode disclosed in Patent Document 1 is an aggregate of fine primary particles in which highly dispersed composite particles serving as a material of the fuel electrode are composed of highly dispersed metal particles and mixed conductive composite oxide particles. It is. Therefore, it is considered that highly dispersed metal particles and mixed conductive composite oxide particles are present at random in each highly dispersed composite particle. Therefore, even in the fuel electrode structure after firing, the metal particles and the mixed conductive composite oxide particles are randomly present at the active interface of the reaction (the interface between the electrolyte and the fuel electrode), which can be a main reaction field. It is considered that the mixed conductive composite oxide particles are preferentially present between the electrolyte and the metal particles. Therefore, the mixed conductive complex oxide particles present at the interface are small, the contact area between the mixed conductive complex oxide particles and the electrolyte is reduced, and the reaction field area is sufficiently enlarged at the reactive active interface. Can not.
[0019]
On the other hand, the fuel electrode disclosed in Patent Literature 2 has a structure in which metal particles do not stick to adjacent metal particles, and each metal particle has its surface covered with mixed conductive composite oxide particles. In the case of such an anode structure, since the metal particles are not in contact with each other, an electron conduction path is secured only by the mixed conductive composite oxide particles covering the surface of the metal particles. However, the electron conductivity of the mixed conductive composite oxide particles decreases at a low temperature of about 600 ° C. For this reason, the fuel electrode, in which an electron conduction path is secured only by the mixed conductive composite oxide particles, has a deteriorated conductive property when the temperature falls to a low temperature range of about 600 ° C.
[0020]
In the fuel electrode disclosed in Patent Document 2, the average particle diameter of the metal powder constituting the coated composite powder used as the material of the fuel electrode is as large as 3 to 10 μm. The surface area of the particles is so small that the reaction field area cannot be sufficiently enlarged.
[0021]
Therefore, the fuel electrode disclosed in Patent Document 2 cannot exhibit sufficient electrode performance in a low temperature range of about 600 ° C.
[0022]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and even in a low temperature range of about 600 ° C., a solid oxide fuel cell capable of sufficiently securing a reaction field area and conductive properties and exhibiting sufficient electrode performance. It is a technical problem to be solved to provide a fuel electrode for use.
[0023]
[Means for Solving the Problems]
A fuel electrode for a solid oxide fuel cell according to the present invention, which solves the above problems, comprises a metal powder or a metal oxide powder and a mixed conductive composite attached to the surface of the metal powder or the metal oxide powder. A fuel electrode for a solid oxide fuel cell obtained using a coated composite powder composed of an oxide powder as a raw material, wherein the metal particles are in contact with each other, and the mixed particles adhered to the surface of the metal particles. The conductive composite oxide particles have a tissue structure in which they contact each other, the surface coverage of the mixed conductive composite oxide particles covering the surfaces of the metal particles is 75 to 95%, and at room temperature. Specific resistance is 1 × 10 -4 Ω · cm or less.
[0024]
In a preferred embodiment, the metal particles have an average particle size of 1 to 4 μm.
[0025]
In a preferred embodiment, the metal powder or the metal oxide powder has an average particle diameter of 0.7 to 2.5 μm, and the mixed conductive composite oxide powder has an average particle diameter of 0.2 to 2.5 μm. 0.5 μm, and the weight ratio of the mixed conductive composite oxide powder to the metal powder or the metal weight in the metal oxide powder is (mixed conductive composite oxide powder) :( metal powder Or metal weight in metal oxide powder) = 3: 7 to 6: 4.
[0026]
In a preferred embodiment, the metal particles are made of one selected from the group consisting of Ni, Co, and Cu, and the mixed conductive composite oxide particles are (CeO). 2 ) 1-X (LnO 1.5 ) X (Ln is one selected from the group consisting of Sm, Gd, Pr, Nd, and Y, and is made of a ceria-based composite oxide represented by 0.1 ≦ X ≦ 0.3).
[0027]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The solid oxide fuel cell fuel electrode of the present invention has a structure in which the metal particles are in contact with each other and the mixed conductive composite oxide particles attached to the surface of the metal particles are in contact with each other. No. Due to this structure, the interface between the metal particles and the mixed conductive composite oxide particles is increased to increase the effective reaction field, and the network of the metal particles and the mixed conductive composite oxide particles is used to generate electrons in the fuel electrode. The conductivity and oxide ion conductivity can be kept high.
[0028]
In the fuel electrode for a solid oxide fuel cell according to the present invention, the mixed conductive composite oxide particles covering the surface of the metal particles have a surface coverage of 75 to 95% and a specific resistance at room temperature of 1 × 10 5. -4 Ω · cm or less.
[0029]
The mixed conductive complex oxide particles covering the surface of the metal particles have a surface coverage of 75% or more, and the mixed conductive complex oxide particles adhered to the surface of the metal particles are in contact with each other. Therefore, a network formed by the connection of the mixed conductive composite oxide particles existing on the surface of the metal particle is reliably formed, and the oxide ion conduction path inside the fuel electrode can be reliably secured by this network. Further, the area of the reaction field due to the contact between the metal particles and the mixed conductive composite oxide particles also increases. Further, since the mixed conductive composite oxide particles can preferentially exist at the interface between the fuel electrode and the electrolyte, the contact area between the electrolyte and the mixed conductive composite oxide particles increases, and It is possible to effectively improve the oxide ion conductivity to oxides, and it is possible to extremely effectively increase the area of the reaction field in the vicinity of the interface where the reaction is active, which is the main reaction field.
[0030]
Further, the surface coverage of the mixed conductive composite oxide particles covering the surfaces of the metal particles is 95% or less, and the metal particles are in contact with each other and have a specific resistance of 1 × 10 5 at room temperature. -4 Since it is Ω · cm or less, even when the electron conductivity due to the mixed conductive composite oxide particles is reduced at a low temperature range of about 600 ° C., an electron conduction path is reliably secured by a network of metal particles. Can be.
[0031]
Therefore, in the fuel electrode for a solid oxide fuel cell of the present invention, even in a low temperature range of about 600 ° C. or lower, it is possible to sufficiently secure a reaction field area and conductive properties and exhibit sufficient electrode performance. it can.
[0032]
The fuel electrode for a solid oxide fuel cell of the present invention is a metal powder or a metal oxide powder, and a mixed conductive composite oxide powder attached to the surface of the metal powder or the metal oxide powder. The coated composite powder consisting of
[0033]
As the metal constituting the coating type composite powder or the metal constituting the metal oxide powder, one selected from the group consisting of Ni, Co and Cu can be suitably employed.
[0034]
After baking the coated composite powder, which is a material for the fuel electrode, on the electrolyte, the reduced metal particles (metal powder or metal oxide powder are reduced by heating in a reducing atmosphere or the like. The metal particles of the constituent metals) constitute the fuel electrode.
[0035]
If the average particle diameter of the metal powder or the metal oxide powder is too small, sintering tends to proceed during the production of the fuel electrode, so that the specific surface area of the metal particles is reduced due to enlargement, and a sufficient reaction field area is secured. In addition to this, the pore diameter becomes small in a state where the fuel electrode is used, and the gas diffusivity is reduced. On the other hand, if the average particle diameter of the metal powder or the like is too large, the specific surface area of the metal particles becomes small even in the state of the fuel electrode, which is disadvantageous in securing a sufficient reaction field area. Therefore, it is preferable that the average particle diameter of the metal powder or the metal oxide powder is about 0.7 to 2.5 μm.
[0036]
The shape of the metal powder or the metal oxide powder is not particularly limited, and may be a substantially spherical shape, a substantially rectangular shape, a filament shape, or the like.
[0037]
As the mixed conductive composite oxide powder constituting the above-mentioned coated composite powder, (CeO 2 ) 1-X (LnO 1.5 ) X (Ln is one selected from the group consisting of Sm, Gd, Pr, Nd, and Y, and preferably employs ceria-based composite oxide particles represented by 0.1 ≦ X ≦ 0.3). it can. The mixed conductive composite oxide powder can be obtained by various methods such as a solid phase method and a coprecipitation method.
[0038]
If the average particle size of the mixed conductive composite oxide powder is too small, uniform dispersion becomes difficult when the coated composite powder is produced, and the mixed conductive composite oxide powder is deposited on the surface of a metal powder or the like. It becomes difficult to coat the body evenly. On the other hand, when the average particle diameter of the mixed conductive composite oxide powder is too large, the difference in particle diameter from the metal powder or the metal oxide powder becomes small, so that it is difficult to produce a coated composite powder. It becomes. Therefore, the average particle diameter of the mixed conductive composite oxide powder is preferably about 0.2 to 0.5 μm.
[0039]
If the weight ratio of the mixed conductive composite oxide powder to the metal weight of the metal powder or metal oxide powder in the coated composite powder is too small, the surface of the metal particles in the state of a fuel electrode The surface coverage of the mixed conductive composite oxide particles covering the surface is less than 75%, which makes it difficult to secure an oxide ion conduction path and sufficiently expand the reaction field area. On the other hand, if the weight ratio of the mixed conductive composite oxide powder to the metal weight of the metal powder or the metal oxide powder is too large, the mixed conductive composite oxide covering the surface of the metal particles in the state of being the fuel electrode is formed. The surface coverage of the material particles exceeds 95%, the contact between the metal particles becomes insufficient, and the specific resistance of the fuel electrode at room temperature becomes 1 × 10 -4 It is difficult to reduce the resistance to Ω · cm or less. Therefore, the weight ratio of the mixed conductive composite oxide powder to the metal weight in the metal powder or metal oxide powder in the coated composite powder is (mixed conductive composite oxide powder): ( (Metal weight in metal powder or metal oxide powder) = 3: 7 to 6: 4.
[0040]
In order to produce the above-mentioned coated composite powder, it is preferable to use a mechanical powder structure control technique of compounding the raw material powder by a mechanical method in terms of mass productivity, environmental friendliness, and the like. As one of the techniques of compounding by a mechanical method, there is a high-speed air impact method, but in this method, the shape of the raw material powder may be lost due to the impact at the time of collision. Therefore, it is preferable to combine the raw material powders by pressing and pressing the raw material powders together with a compacting / shearing action (frictional action) for applying a shear stress to the raw material powders. If the raw material powder is composited by the consolidation and shearing action (frictional action), the composite can be formed while maintaining the original shape of the raw material powder, so that the structure of the coated composite powder can be easily controlled. .
[0041]
In addition, when a coated composite powder is obtained by mechanical compounding utilizing the above-mentioned compaction and shearing action, the mixed conductive composite oxide powder is more uniformly dispersed on the surface of the metal powder or the metal oxide powder. It is preferable to provide a predetermined particle size difference between the two powders so that the powders are adhered in a state where they are made to have a more uniform surface structure. Specifically, the ratio (Dx / Dr) of the average particle diameter (Dx) of the metal powder or the metal oxide powder to the average particle diameter (Dr) of the mixed conductive composite oxide powder is 3 to 15 It is preferred that it is about.
[0042]
To produce a fuel electrode from the coated composite powder, the coated composite powder is mixed with an appropriate amount of a binder (eg, polyethylene glycol) to form a paste, and the obtained paste is applied to the surface of the electrolyte by screen printing or the like. After that, firing is performed at a predetermined temperature. Thereby, a fuel electrode can be formed on the electrolyte surface. Note that if the firing temperature is too high, the metal particles become large due to sintering, so the firing temperature is preferably about 1150 to 1350 ° C. The formed fuel electrode is made of a metal constituting a metal powder or a metal oxide powder by being reduced by a reduction treatment such as heating to a predetermined temperature (about 600 to 800 ° C.) in a reducing atmosphere such as hydrogen. Metal particles.
[0043]
In the fuel electrode for a solid oxide fuel cell according to the present invention, the mixed conductive composite oxide particles covering the surface of the metal particles have a surface coverage of 75 to 95% in the structure of the fuel electrode. is there. To achieve such a texture structure, the surface coverage of the mixed conductive composite oxide powder covering the surface of the metal powder or metal oxide powder in the state of the coated composite powder is 75 to 95%. And it is sufficient. If the surface coverage of the mixed conductive composite oxide particles covering the surfaces of the metal particles is 75% to 95 in the structure of the fuel electrode, the area ratio of the metal particles at the interface with the electrolyte ( The area ratio of the mixed conductive composite oxide particles at the interface with the electrolyte becomes 75 to 95% while the area ratio of the metal particles in direct contact with the electrolyte becomes 5 to 25%.
[0044]
On the other hand, if the average particle size of the metal particles is too large in the structure of the fuel electrode, the specific surface area of the metal particles becomes small, which is disadvantageous in securing a sufficient reaction field area. Therefore, in the structure of the fuel electrode, the average particle size of the metal particles is preferably 1 to 4 μm, more preferably 1 to 3 μm.
[0045]
In addition, if the average particle size of the mixed conductive composite oxide particles is too large in the structure of the fuel electrode, the three-phase interface becomes small, which is disadvantageous in securing a sufficient reaction field area. . Therefore, in the structure of the fuel electrode, the average particle diameter of the mixed conductive composite oxide particles is preferably from 0.3 to 3 μm, more preferably from 0.3 to 1 μm.
[0046]
【Example】
Hereinafter, examples of the present invention will be specifically described.
[0047]
(Example 1)
A solid oxide fuel cell according to this example was manufactured based on the process chart shown in FIG.
[0048]
<Production of coated composite powder>
Nickel oxide (NiO) powder having an average particle size of 1.8 μm was prepared as the metal oxide powder. On the other hand, as mixed conductive composite oxide powder, (CeO 2 ) 0.8 (SmO 1.5 ) 0.2 A powder (hereinafter referred to as SDC) was prepared.
[0049]
The NiO powder and the SDC powder were blended in a predetermined ratio, and a coated composite powder was obtained by a mechanical composite treatment utilizing a compaction / shear action.
[0050]
In this embodiment, the weight ratio of the SDC powder to the Ni weight in the NiO powder was (SDC powder) :( Ni weight in the NiO powder) = 1: 1.
[0051]
The mechanical compounding treatment was performed using a mechanical particle compounding device (Theta Composer, manufactured by Tokuju Seisakusho) under the conditions of a vessel rotation speed of 50 rpm, a rotor rotation speed of 2000 rpm, and a processing time of 15 min.
[0052]
In addition, this mechanical particle compounding apparatus includes a container (vessel) that can be rotated at a low speed to which the raw material powder is supplied, and a theta-shaped elliptical rotor that is arranged in the container so as to be rotatable at a high speed. . In this device, the rotor in the container rotates at a high speed and the container itself rotates at a low speed in the opposite direction. For this reason, the raw material powder charged into the container undergoes a compaction / shearing action (frictional action) in the gap between the inner wall of the container and the rotor, thereby causing the surface of the NiO powder having a large average particle size to have an average To obtain a coated composite powder in which SDC powder having a small particle diameter adheres and composite formation proceeds, and the SDC powder covers the NiO powder surface at a surface coverage according to the mixing ratio of both raw material powders. Can be.
[0053]
The thus obtained coated composite powder (coated NiO-SDC composite powder) had an average particle size of 1.9 μm and a surface coverage of 92.0% of the SDC powder covering the surface of the NiO powder. there were.
[0054]
<Preparation of fuel electrode>
Using the obtained coated composite powder as a raw material, a fuel electrode (anode) 2 was produced on one surface of the electrolyte 1 as follows. The electrolyte 1 is La 0.9 Sr 0.1 Ga 0.8 Mg 0.2 O (3-8) A solid electrolyte having a thickness of 300 μm was used.
[0055]
First, the coated composite powder was calcined at 1000 ° C. for 5 hours, and then mixed with polyethylene glycol as a binder to form a paste. Then, the paste was applied to one surface of the electrolyte 1 by screen printing, and then baked at 1250 ° C. for 2 hours. Thereafter, the particles were heated to about 800 ° C. in a reducing atmosphere with hydrogen to reduce NiO to obtain Ni particles. Thus, a fuel electrode 2 having a thickness of 15 μm was formed on one surface of the electrolyte 1.
[0056]
In the obtained fuel electrode 2, as shown schematically in FIG. 2 and its scanning electron microscope (SEM) photograph as shown in FIG. 3, the Ni particles 3 are in contact with each other, and The tissue structure was such that the SDC particles 4 attached to the surfaces of the particles 3 were in contact with each other.
[0057]
In the structure of the fuel electrode 2, the average particle size of the Ni particles 3 was 1.5 μm, and the average particle size of the SDC particles 4 was 1.2 μm. The surface coverage of the SDC particles 4 covering the surface of the Ni particles 3 was 92.0%. Furthermore, the Ni area ratio at the interface with the electrolyte 1 was 8.0%.
[0058]
In addition, the said average particle diameter calculated | required the said surface coverage and the said Ni area ratio by actually measuring from the SEM image of the fuel electrode 2. FIG.
[0059]
In addition, when the specific resistance of the fuel electrode 2 at ordinary temperature was examined, it was found that the specific resistance was 0.7 × 10 -4 Ω · cm. The specific resistance of the fuel electrode 2 at normal temperature was determined by molding and firing an electrode material having the same composition into a pellet, and measuring it by a DC four-terminal method.
[0060]
<Production of air electrode>
Next, Sm (Sr) CoO 3 Was mixed with polyethylene glycol as a binder to form a paste. Then, this paste was applied to the other surface of the electrolyte by screen printing, baked at 1000 ° C. for 4 hours, and baked to produce a 15 μm thick air electrode on the other surface of the electrolyte.
[0061]
Thus, the solid oxide fuel cell according to Example 1 was manufactured.
[0062]
(Comparative Example 1)
Except for using Ni powder having an average particle size of 3 μm instead of using NiO powder having an average particle size of 1.8 μm as a raw material powder when producing a coated composite powder, the same procedure as in Example 1 was performed. A solid oxide fuel cell according to Comparative Example 1 was manufactured.
[0063]
The weight ratio of SDC powder to Ni powder is (SDC powder) :( Ni powder) = 1: 1.
[0064]
In the solid oxide fuel cell according to Comparative Example 1, the average particle size of the Ni particles was 4.2 μm and the average particle size of the SDC particles was 1.2 μm in the structure of the fuel electrode. The SDC particles attached to the surface of the Ni particles were in contact with each other, but did not have a structure in which the Ni particles were in contact with each other.
[0065]
The surface coverage of the SDC particles covering the surface of the Ni particles was 98%, and the Ni area ratio at the interface with the electrolyte was 2%.
[0066]
Further, when the specific resistance of this fuel electrode at normal temperature was examined, it was found that 57 × 10 -4 Ω · cm.
[0067]
(Comparative Example 2)
Without producing a coated composite powder, a NiO powder having an average particle diameter of 1.8 μm as a metal oxide powder and an SDC powder having an average particle diameter of 0.3 μm as a mixed conductive composite oxide powder The mixture was simply mixed with the body to obtain a mixed powder.
[0068]
The weight ratio of the SDC powder to the Ni weight of the NiO powder is (SDC powder) :( Ni weight of NiO powder) = 1: 1.
[0069]
Then, using this mixed powder as a material, a fuel electrode and an air electrode were produced in the same manner as in Example 1 above, and a solid oxide fuel cell according to Comparative Example 2 was produced.
[0070]
In the solid oxide fuel cell according to Comparative Example 2, the average particle size of the Ni particles was 6.2 μm and the average particle size of the SDC particles was 2.0 μm in the structure of the fuel electrode. In addition, the structure was such that the Ni particles and the SDC particles were not uniformly dispersed, and aggregation was observed in some places.
[0071]
The surface coverage of the SDC particles covering the surface of the Ni particles was 45%, and the Ni area ratio at the interface with the electrolyte was 55%.
[0072]
Further, when the specific resistance of the fuel electrode at normal temperature was examined, it was found that the specific resistance was 0.5 × 10 -4 Ω · cm.
[0073]
(Evaluation of fuel electrode performance)
For the solid oxide fuel cells according to Example 1 and Comparative Examples 1 and 2, current interruption was performed by using a humidified hydrogen gas at 25 ° C. containing 3% moisture as the fuel gas and air as the oxidant gas. The electrochemical polarization value (ηa) of the fuel electrode at an operating temperature of 600 ° C. was determined by the method. FIG. 4 shows the electrode performance of the fuel electrode at 600 ° C. thus determined.
[0074]
As can be seen from FIG. 4, the fuel electrode according to the first embodiment has a current density of 2 A / cm. 2 In this case, the electrochemical polarization value (ηa) was very small, ηa = about 0.22 V, and the electrode performance was very excellent even at a low temperature of 600 ° C.
[0075]
On the other hand, the fuel electrode according to Comparative Example 1 had a current density of 0.4 A / cm. 2 In this case, the electrochemical polarization value (ηa) was ηa = about 0.2 V, which was insufficient performance as a fuel electrode for low-temperature operation. The reason why the electrode performance at the time of low-temperature operation was insufficient in the fuel electrode according to Comparative Example 1 obtained by using the Ni powder having a large average particle size of 3 μm was that the particle size of the Ni particles was 3 μm. It is considered that the specific surface area of the Ni particles was reduced due to the increase, and the area of the reaction field was reduced, and the conductive path became incomplete due to the increase of the SDC particles relative to the Ni surface area. .
[0076]
The fuel electrode according to Comparative Example 2 had a current density of 0.5 A / cm. 2 In this case, the electrochemical polarization value (ηa) was ηa = 0.36 V, which was insufficient performance as a fuel electrode for low-temperature operation. The reason why the electrode performance at the time of low-temperature operation was insufficient in the fuel electrode according to Comparative Example 2 obtained by using the mixed powder of the Ni powder and the SDC powder as a material is considered as follows. Can be
[0077]
That is, in the fuel electrode according to Comparative Example 2, the surface coverage of the SDC particles covering the surface of the Ni particles is reduced to 45% by the amount of the SDC particles not present on the surface of the Ni particles. Therefore, it is considered that the reaction field area due to the contact between the Ni particles and the SDC particles is reduced. In addition, as the abundance ratio of SDC particles at the interface with the electrolyte is reduced, the contact area between the electrolyte and the SDC particles is reduced, the oxide ion conductivity from the electrolyte to the fuel electrode is reduced, and the reaction at the interface is reduced. It is considered that the field area has decreased.
[0078]
(Relationship between surface coverage of SDC particles covering the surface of Ni particles and electrode performance)
In Example 1, when producing the coated composite powder, the weight ratio of the SDC powder (average particle diameter 0.25 μm) to the Ni weight in the NiO powder (average particle diameter 1.8 μm) was set to (SDC powder Body): (Ni weight in NiO powder) = 1: 9 to 6: 4 with various changes to produce a solid oxide fuel cell.
[0079]
Then, in the structure of the fuel electrode of each solid oxide fuel cell, the surface coverage of the SDC particles 4 covering the surface of the Ni particles 3 and the Ni area ratio at the interface between the fuel electrode 2 and the electrolyte 1 in the same manner as described above. And were measured. When the average particle size of the raw material powder changes, the surface coverage ratio and the Ni area ratio with respect to the weight ratio change.
[0080]
Further, for each solid oxide fuel cell, the electrochemical polarization value (ηa) of the fuel electrode at an operating temperature of 600 ° C. was determined by the current interruption method in the same manner as described above.
[0081]
The results are shown in Table 1 and FIG. The fuel electrode polarization value shown in FIG. 5 is such that the current density is 0.4 A / cm. 2 It is the value at the time of.
[0082]
[Table 1]
[0083]
As can be seen from Table 1 and FIG. 5, when the particle diameters of the raw material SDC powder and NiO powder are 0.25 μm and 1.8 μm, respectively, the weight ratio of the SDC powder to the Ni weight in the NiO powder is (SDC powder): When (weight of Ni in NiO powder) = 38: 62 to 6: 4, the surface coverage of SDC particles 4 covering the surface of Ni particles 3 is 75 to 95% (fuel electrode 2 The area ratio of Ni at the interface between the anode and the electrolyte 1 is about 5 to 25%), the electrochemical polarization value (ηa) of the fuel electrode at that time becomes ηa = about 0.2 V or less, and the low-temperature operation at 600 ° C. However, it showed sufficient electrode performance.
[0084]
When (SDC powder) :( Ni weight in NiO powder) = 39: 61 to 6: 4, the surface coverage of SDC particles 4 covering the surface of Ni particles 3 is 77 to 95% (fuel The Ni area ratio at the interface between the electrode 2 and the electrolyte 1 is about 5 to 23%), and the electrochemical polarization value (ηa) of the fuel electrode at that time is preferably ηa = about 0.165 V or less. Powder): (Ni weight in NiO powder) = 41: 59-1: 1, the surface coverage is about 80-92% (Ni area ratio is 8-20%), and the fuel It can be seen that the electrochemical polarization value (ηa) of the pole is more preferably ηa = about 0.15 V or less.
[0085]
(Relationship between average particle size of metal powder and metal particles and electrode performance)
In Example 1, Ni powder was used instead of NiO powder as a raw material powder when producing the coated composite powder, and the average particle diameter of the Ni powder was 0.3 μm, 0.7 μm, A solid oxide fuel cell was manufactured by changing variously to 0.8 μm, 2.5 μm, 3 μm, and 5 μm.
[0086]
The weight ratio of the SDC powder to the Ni powder was (SDC powder) :( Ni powder) = 1: 1, and the baking temperature was 1250 ° C.
[0087]
Then, for each solid oxide fuel cell, the electrochemical polarization value (ηa) of the fuel electrode at an operating temperature of 600 ° C. was determined by the current interruption method in the same manner as described above. FIG. 6 shows the result. The fuel electrode polarization value shown in FIG. 6 is such that the current density is 0.4 A / cm. 2 It is the value at the time of.
[0088]
In addition, the average particle size of the Ni particles 3 and the average particle size of the SDC particles 4 at the fuel electrode of each solid oxide fuel cell were determined. Table 2 shows the results.
[0089]
[Table 2]
[0090]
As can be seen from Table 2 and FIG. 6, when the average particle size of the Ni powder as the raw material powder when producing the coated composite powder is 0.7 to 2.5 μm, the structure of the fuel electrode The average particle diameter of the Ni particles becomes 1.2 to 3.5 μm, the electrochemical polarization value (ηa) of the fuel electrode becomes ηa = about 0.165 V or less, and sufficient electrode performance can be obtained even at a low temperature operation of 600 ° C. Indicated.
[0091]
From the above results, in order to further improve the electrode performance of the fuel electrode for a solid oxide fuel cell in a low temperature range of about 600 ° C. or lower, the mixed conductivity of the coated composite powder used as a material of the fuel electrode is required. By comprehensively considering the surface coverage of the composite oxide powder, the particle size and blending ratio of the raw material powder that constitutes the coated composite powder, and the particle size of the metal particles when the fuel electrode is used It is understood that it is extremely important to properly control the fuel electrode structure.
[0092]
【The invention's effect】
As described in detail above, the fuel electrode for a solid oxide fuel cell according to the present invention can extremely effectively expand the reaction field area and ensure an electron conduction path even at a low temperature region by a specific fuel electrode structure. Therefore, even in a low temperature range of about 600 ° C. or lower, it is possible to sufficiently secure the reaction field area and the conductive properties and exhibit sufficient electrode performance.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a process chart showing a manufacturing process of a fuel electrode for a solid oxide fuel cell according to an embodiment.
FIG. 2 is a cross-sectional view schematically showing a fuel electrode structure of a fuel electrode for a solid oxide fuel cell according to the present embodiment.
FIG. 3 is a scanning electron microscope (SEM) photograph of a fuel electrode for a solid oxide fuel cell according to this example, in which (a) shows the surface of the fuel electrode, and (b) shows the vicinity of the interface with the electrolyte. 1 shows a cross section of FIG.
FIG. 4 is a graph showing the electrochemical polarization value of the fuel electrode at an operating temperature of 600 ° C. as the electrode performance of the fuel electrode for a solid oxide fuel cell of Example 1, Comparative Example 1, and Comparative Example 2.
FIG. 5 is a graph showing a relationship between a Ni area ratio at an interface between a fuel electrode and an electrolyte and an electrochemical polarization value of the fuel electrode at an operating temperature of 600 ° C.
FIG. 6 is a graph showing a relationship between an average particle diameter of Ni powder as a raw material powder and an electrochemical polarization value of a fuel electrode at an operating temperature of 600 ° C.
[Explanation of symbols]
1: Electrolyte 2: Fuel electrode
3 ... Ni particles (metal particles)
4: SDC particles (mixed conductive composite oxide particles)