JP2004164151A - 画像素材データ集の作成/提供方法および作成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】利用者の作業負担を軽減し、高品質の状態で利用に供することが可能な画像素材データ集を提供する。
【解決手段】大きな画像サイズをもった原画像データPを用意し、これに種々の画質変換処理を種々のパラメータを適用して施すことにより、互いに異なる画質をもった複数通りの変換画像データQ1〜Q6を得る。次に、これらを画像素材データ集に収録するのに適した画像サイズをもった縮小画像データq1〜q6に変換した後、同一の原画像データPに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する。同様の処理を各原画像データについても実施し、個々の原画像ごとに、それぞれ画質の異なるバリエーション画像が用意されている画像素材データ集を作成する。
【選択図】 図2
【解決手段】大きな画像サイズをもった原画像データPを用意し、これに種々の画質変換処理を種々のパラメータを適用して施すことにより、互いに異なる画質をもった複数通りの変換画像データQ1〜Q6を得る。次に、これらを画像素材データ集に収録するのに適した画像サイズをもった縮小画像データq1〜q6に変換した後、同一の原画像データPに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する。同様の処理を各原画像データについても実施し、個々の原画像ごとに、それぞれ画質の異なるバリエーション画像が用意されている画像素材データ集を作成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像素材データ集の作成/提供方法および作成装置に関し、特に、CGの手法を用いて住宅内外装のシミュレーションや景観シミュレーションを行う場合に、建材柄のテクスチャー素材として利用されるデータの集合からなる画像素材データ集を作成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータハードウエアの性能向上およびCGソフトウエア技術の発展により、あらゆる産業分野において、コンピュータを利用した画像生成が行われるようになってきている。そして、このような画像生成処理を行うための素材として利用できるように、種々の画像素材データを集めた画像素材データ集が提供されている。たとえば、都市開発などの大規模プロジェクトでは、様々な景観シミュレーションがくり返し実行され、CGによるプレゼンテーションを行いながら、最終的なプランを練り上げてゆくのが一般的である。また、集合住宅や個人宅などの住宅建築を施工する場合やリフォームを行う場合にも、施工を請け負った工務店やインテリアコーディネータによって、CGのパース図などを施工主に提示するプレゼンテーションが行われることも少なくない。このようなプレゼンテーションを行う場合、建築物の内壁、外壁、床面などに、テクスチャー素材をマッピングする処理(いわゆるレンダリング処理)が行われる。マッピング対象となるテクスチャー素材を変えるだけで、住宅の内外装や景観のイメージは大きく異なってくるため、このようなプレゼンテーションでは、テクスチャーとして用いられる画像素材データが非常に重要な要素になる。
【0003】
現在、コンピュータ処理において素材として利用される種々の画像素材データは、CD−ROMなどの媒体として提供されたり、オンラインによるダウンロードで提供されたりしており、無償で提供されるものから有償のものまで多岐にわたっている。また、その内容も、平面上に繰り返し配置した場合に境界線を跨いで絵柄が連続するようにシームレス化処理が施されたものや、用途に合わせて最適な画像サイズのものを適宜用いることができるように、同一の画像について複数種類の画像サイズが用意されたものなど、使い勝手を向上させるための種々の配慮がなされたものも少なくない。
【0004】
画像素材データ集を作成する方法としては、木材などの実素材を撮影したり、印刷されたカタログからスキャナで取り込んだりする方法の他、CGの技術によって、自然界には実在しない絵柄を発生させる方法なども知られている。たとえば、下記の各特許文献には、木目柄をはじめとする種々の絵柄をCGにより人工的に発生させる技術が開示されている。
【特許文献1】
特開平08−016794号公報
【特許文献2】
特開平08−022538号公報
【特許文献3】
特開平08−272851号公報
【特許文献4】
特開平08−315182号公報
【特許文献5】
特開平09−277691号公報
【特許文献6】
特開平10−128880号公報
【特許文献7】
特開平10−129105号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、CGの技術を用いて何らかの画像を生成する場合、既存の画像素材データを利用した作業が行われることが多いが、実際には、既存の画像素材データがそのまま流用されるとは限らない。特に、住宅の内外装や景観のイメージを提示する商用プレゼンテーションの場合、専門のオペレータによって高品質のプレゼンテーション用画像を作成して顧客に提示するのが一般的であり、既存の画像素材データをマッピングする場合であっても、何らかの加工処理が施されることが多い。これは、住宅の内外装や景観のプレゼンテーションでは、三次元空間を二次元画像として提示する必要があり、マッピング対象となる面の三次元空間内での位置、向き、大きさなどによって、画像素材データに対して微調整を行う必要があるためである。また、あくまでも全体的なイメージを人間に伝えるためのプレゼンテーションであるため、必ずしも写実性が要求されるわけではなく、オペレータの主観を加味するための調整を行う必要がある場合もある。
【0006】
画像素材データに対する加工処理は、既に種々の方法が知られており、いわゆるフォトレタッチソフトウエアなどでは、フィルタ処理機能として、種々の加工処理機能が用意されている。たとえば、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理といった処理は、画像素材データに対する代表的な加工処理である。住宅の内外装をプレゼンテーションするオペレータは、既存の画像素材データを利用する場合であっても、たとえば、コントラストに変更を加えたり、スムージング処理を施したり、といった加工を施し、加工後の画像データをマッピングするようにし、より品質の高いプレゼンテーション用画像を作成するのが一般的である。通常、オペレータは、レンダリング処理を行った後の仕上がり画像を見ながら、どの部分をどのように修正すべきかを検討し、画像素材データに加工処理を加えた後、再びレンダリング処理を行う、という操作を試行錯誤的に繰り返し実行し、気に入った画像を作成する作業を行うことになる。
【0007】
しかしながら、このような従来の画像素材データ集を用いた作業には、次の2つの問題がある。第1の問題は、オペレータの作業負担である。近年、コンピュータの処理能力は飛躍的に向上し、一般の汎用パソコンを用いても、住宅の内外装などの商用プレゼンテーション画像を作成することが可能になってきた。しかしながら、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理といった画像データに加工を施す処理は、コンピュータにとっても演算負担が重い処理であり、既存の画像素材データに対して施行錯誤的に種々の加工処理を繰り返し実行することは、オペレータにとって大きな作業負担になる。第2の問題は、画像の品質の劣化である。一般に、画像データに対して種々の加工処理を繰り返し実行してゆくと、もとの画像の品質は徐々に損なわれてゆき、加工処理を繰り返せば繰り返すほど、品質の劣化は激しくなる。このため、既存の画像素材データの当初の品質でレンダリングを行うことは困難になる。
【0008】
そこで本発明は、利用者としてのオペレータの作業負担を軽減し、かつ、高品質の状態で利用に供することが可能な画像素材データ集の作成/提供方法および作成装置を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する画像素材データ集の作成方法において、
第1の画像サイズをもった原画像データを用意する段階と、
原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る段階と、
複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る段階と、
複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する段階と、
により画像素材データ集を作成するようにしたものである。
【0010】
(2) 本発明の第2の態様は、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を提供する画像素材データ集の提供方法において、
第1の画像サイズをもった原画像データを用意する段階と、
原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る段階と、
複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る段階と、
複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録してこれを利用者に配付するか、もしくは、通信回線を介して利用者の端末装置に提供する段階と、
により画像素材データ集を提供するようにしたものである。
【0011】
(3) 本発明の第3の態様は、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する画像素材データ集の作成装置において、
第1の画像サイズをもった原画像データを入力する原画像入力手段と、
原画像入力手段によって入力した原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを作成する画質変換手段と、
複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る画像縮小手段と、
複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する画像記録手段と、
を設けるようにしたものである。
【0012】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る画像素材データ集の作成装置において、
原画像入力手段によって入力した原画像データに対して、原画像を平面上に繰り返し配置した場合に境界線を跨いで絵柄が連続するようにシームレス化処理を施し、シームレス原画像を得る画像シームレス化手段を更に設け、
画質変換手段が、シームレス原画像に対して画質変換処理を施すようにし、シームレス化処理が施された状態の縮小画像がデータ記録媒体に記録されるようにしたものである。
【0013】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置において、
画質変換処理として、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理なる複数種類の処理群の中から選択された1種類もしくは複数種類の処理を行うようにしたものである。
【0014】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置において、
同一の原画像データについて、同一種類の画質変換処理を、複数の処理パラメータを用いて行うことにより、複数通りの変換画像データを得るようにしたものである。
【0015】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第6の態様に係る画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置において、
同一の原画像データに基づいて得られる複数N通りの縮小画像データの画像サイズが、実質的にほぼ同一のサイズとなるようにしたものである。
【0016】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1の態様に係る画像素材データ集の作成方法により作成された画像素材データ集を構成するデータを、コンピュータ読み取り可能な情報記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0018】
<<< §1. 本発明に係る方法の基本手順 >>>
図1は、本発明に係る画像素材データ集の作成方法の基本手順を示す流れ図であり、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する方法の手順が示されている。
【0019】
まず、ステップS1では、第1の画像サイズをもった原画像データが用意される。ここで、第1の画像サイズは、最終的に作成される画像素材データのサイズ(第2の画像サイズ)よりも大きな画像サイズになるようにしておく。ここに示す実施形態の場合、9600画素×7200画素という画像サイズを第1の画像サイズとし、640画素×480画素という画像サイズを第2の画像サイズとしている。最終的に画像素材データ集として提供される画像のサイズよりも原画像のサイズを十分に大きくしておくのは、画質変換処理による品質劣化をできるだけ抑えるためである。9600画素×7200画素という画像サイズは、一般的なデジタル画像のサイズとしてはかなり大きなものであるが、壁紙や床材といった建材に用いるために大手印刷会社などで用意されている印刷用の画像データとしては標準的な大きさのデータであり、実用上は、このような建材印刷用の画像データを原画像データとして用意すればよい。
【0020】
続くステップS2では、用意した原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る処理が行われる。図2は、図1の流れ図に基づく処理の概念を説明するための模式図である。この図2には、ステップS1で用意された原画像データPに対して、ステップS2において6通り(N=6)の画質変換処理を実行することにより、6通りの変換画像データQ1〜Q6を得た場合の例が示されている。ここでは、図示のとおり、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理なる3種類の画像変換処理が実行されている。3種類の画像変換処理にもかかわらず、合計6通りの変換画像データが得られているのは、同一の原画像データPについて、同一種類の画質変換処理を、複数の処理パラメータ(図示の例では2とおりの処理パラメータ)を用いて行っているからである。たとえば、変換画像データQ1,Q2は、いずれも同一の原画像データPに対して、コントラスト変更処理という同一種類の画像変換処理を行うことにより得られたデータであるが、変換処理に用いる処理パラメータの値が異なるため、互いに異なる画質をもった画像データになる。同様に、変換画像データQ3,Q4は、互いに異なる処理パラメータを用いたスムージング処理により得られたデータであり、変換画像データQ5,Q6は、互いに異なる処理パラメータを用いたシャープネス処理により得られたデータである。
【0021】
ステップS2では、同一の原画像データPに基づいて、互いに画質の異なる複数N通りの変換画像データを得る必要があるが、そのためには、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理といった異なる複数種類の画像変換処理を施すようにしてもかまわないし、1種類の画像変換処理を用いて処理パラメータを変えるようにしてもかまわない。もっとも、実用上は、図2に示す例のように、複数種類の画像変換処理を、それぞれ複数通りの処理パラメータを用いて実行するようにするのが好ましい。
【0022】
次に、ステップS3において、ステップS2で得られた複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る処理が行われる。ここに示す例では、前述したように、原画像データPは、9600画素×7200画素なる比較的大型のサイズの画像データであり、ステップS2の画質変換処理によって得られる各変換画像データQ1〜Q6も同じ大型サイズの画像データになる。ステップS3では、これら各変換画像データQ1〜Q6を縮小して、第2の画像サイズ(すなわち、640画素×480画素)に変換し、縮小画像データq1〜q6を得る処理が行われる。結局、縮小画像データq1〜q6は、同一の原画像データPに基づいて得られた画像データであるが、画像サイズは640画素×480画素という小型サイズであり、しかも互いに異なる画質をもった画像データということになる。
【0023】
最後に、ステップS4において、複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する処理が行われる。図2の例の場合、破線で囲った6通りの縮小画像データq1〜q6が、原画像データPに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、CD−ROMなどのデータ記録媒体に記録されることになり、この記録媒体が、画像素材データ集として提供されることになる。
【0024】
図2には、1つの原画像データPについて得られた6通りバリエーションとなる縮小画像データq1〜q6を媒体に記録する例しか示されていないが、実際には、多数の原画像データのそれぞれについて、同様に複数通りのバリエーションとなる縮小画像データが媒体に記録されることになる。しかも、各縮小画像データは、特定の原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で記録されることになる。具体的には、たとえば、同一の原画像データに基づいて作成されたバリエーションとなる複数通りの縮小画像データを同一のフォルダに格納して記録したり、各縮小画像データのファイル名を「原画像名+枝番号」というように命名して、枝番号のみが相違する画像データは、同一の原画像から作成された画像データであることが認識できるようにして記録したりすればよい。あるいは、データベースの形式で記録媒体に格納するのであれば、このデータベースを検索するプログラムによって、同一の原画像データに基づいて作成された複数の縮小画像データが同一グループの画像データとして検索されるような形態で格納すればよい。要するに、この記録媒体に格納された画像素材データ集を利用するオペレータが、一群の縮小画像データを、特定の原画像データに関するバリエーションを構成するグループであることを認識してアクセスすることができれば、どのような形態で記録してもかまわない。
【0025】
もちろん、こうして作成された画像素材データ集は、必ずしもCD−ROMのような記録媒体に記録した形で配付して提供する必要はなく、利用者の端末装置に対して、通信回線を介して提供することも可能である。但し、そのような提供形態を採る場合であっても、同一の原画像データに基づいて作成された複数の縮小画像データが、当該原画像データに関するバリエーションとしてアクセスされるようにする必要がある。
【0026】
<<< §2. 本発明に係る方法の具体的な手順 >>>
続いて、図1に示す方法におけるステップS2の画質変換処理およびステップS3の画像縮小処理の具体例を述べておく。まず、画質変換処理の具体的な手順を、図3を参照しながら説明する。画質変換処理は、図3の上段に示すように、原画像Pを構成する個々の画素の画素値P(x,y)に所定の関数fを作用させて、新たな画素値Q(x,y)に変換する処理である。ここで、xおよびyは、二次元マトリックス状に配列された画素の位置を示すパラメータであり、たとえば、(x,y)は、二次元マトリックスにおける第x列、第y行目の位置を示している。結局、変換画像を構成する第x列、第y行目の画素の画素値Q(x,y)は、Q(x,y)=f(P(x,y))なる演算により求まることになる。ここで、関数fは、画質変換処理の内容を定める関数であり、通常、1つまたは複数のパラメータを有している。
【0027】
コントラスト変更処理は、図示のとおり、原画像Pを構成する個々の画素値に、パラメータαを用いた演算式で定義される関数を作用させる処理である。パラメータαを複数通りに変えた処理を行うことにより、複数通りの変換画像が得られる。スムージング処理およびシャープネス処理も、図3に示すとおりの演算式で定義される関数を作用させる処理である。パラメータnは、ある1つの画素についての新たな画素値Q(x,y)を決定するために参照する周囲の画素の範囲を決定するパラメータであり、たとえば、n=1に設定した場合、当該画素およびその周囲に存在する合計9画素の画素値を参照する演算が行われることになり、n=2に設定した場合、当該画素およびその周囲に存在する合計25画素の画素値を参照する演算が行われることになる。この場合、遠い画素ほど影響が少なくなるように重み関数w(i,j)が設定されており、パラメータσは、この重み関数を定義するパラメータである。このような種々の画質変換処理は、既に公知の画像処理技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0028】
一方、図4は、図1の流れ図におけるステップS3の画像縮小処理の具体例を示す図である。ここでは、二次元マトリックス状に配列された各画素の位置を黒丸もしくは白丸で示すことにする。黒丸は、ステップS2の画質変換処理によって得られた変換画像Qの各画素を示しており、白丸は、ステップS3の画像縮小処理によって得られる縮小画像qの各画素を示している。前述したとおり、変換画像Q(黒丸)の画像サイズは原画像Pのサイズに等しく、解像度の高い画像(より多い画素で表現された画像)となっているのに対し、縮小画像q(白丸)の画像サイズは縮小処理により、解像度の低い画像(少ない画素で表現された画像)となっている。ステップS3の画像縮小処理は、図4に黒丸で示す各画素Qの画素値に基づいて、図4に白丸で示す各画素qの画素値を求める演算処理に他ならない。
【0029】
このような画像縮小処理の手法としては、いくつかのアルゴリズムが知られている。ここでは、バイリニア法と呼ばれている典型的な手法を簡単に説明する。いま、図5に示すように、任意の画素q(白丸で示される縮小画像qを構成する1画素)の画素値を求めることを考える。この場合、図示のとおり、この画素qに最も近い4つの黒丸、すなわち、変換画像Qを構成する画素に着目する。ここでは便宜上、これら4つの黒丸画素を、それぞれQα,Qβ,Qγ,Qδと呼ぶことにし、これらの画素の画素値も同じ符号を用いて示すことにする。この場合、白丸画素qは、4つの黒丸画素Qα,Qβ,Qγ,Qδを頂点とする正方形の内部の1点に位置することになる。ここで、この正方形の一辺の長さを基準値1とし、白丸画素qの位置が、この正方形の上辺をa:(1−a)に分割し、左辺をb:(1−b)に分割するものとする(但し、0≦a≦1,0≦b≦1)。この場合、白丸画素qの画素値qは、図示のとおり、q=(1−b)((1−a)・Qα+a・Qβ)+b((1−a)・Qγ+a・Qδ)なる式により求めることができる。すべての白丸画素について同様の演算を行い、それぞれ固有の画素値を求めれば、縮小画像qを得ることができる。
【0030】
<<< §3. 本発明に係る装置の基本構成 >>>
図6は、本発明に係る画像素材データ集の作成装置の基本構成を示すブロック図である。この装置は、図示のとおり、原画像入力手段10と、画像シームレス化手段20と、画質変換手段30と、画像縮小手段40と、画像記録手段50と、によって構成されている。原画像入力手段10は、図1に示すステップS1を実行するための手段であり、第1の画像サイズをもった原画像データPを入力する機能を有している。具体的には、天然木材やカタログ写真などの実素材に基づいて原画像を用意する機能をもったデジタルカメラやスキャナ装置によって原画像入力手段10を構成することも可能であるし、別なCGシステムで人為的に作成された画像データを蓄積した画像データベースから、所望の画像データを読み込むデータ読込装置によって原画像入力手段10を構成することも可能である。
【0031】
ここに示す実施形態では、原画像入力手段10によって入力された原画像Pは、画像シームレス化手段20によってシームレス化処理が施される。ここで、シームレス化処理とは、原画像を平面上に繰り返し配置した場合に境界線を跨いで絵柄が連続するように、主として原画像の輪郭近傍の画素値に対して修正を加える処理である。このシームレス化処理を行うことにより、いわゆるエンドレス絵柄あるいはリピータブル絵柄と呼ばれているシームレス原画像P′が得られることになる。このようなシームレス化処理の手法としては、種々のアルゴリズムが公知であるため、ここでは具体的な方法についての説明は省略する。
【0032】
なお、画像シームレス化手段20は、本発明の実施に必須の構成要素ではないので、シームレス化を行う必要がない場合には、設ける必要はない。また、画像データベースから入力した画像データがもともとシームレス化された画像であった場合にも、画像シームレス化手段20によるシームレス化処理は不要である。
【0033】
画質変換手段30は、こうして得られたシームレス原画像P′(もしくは、原画像P)に対して、図1に示すステップS2の画質変換処理を実行する構成要素である。ここで行われる画質変換処理の具体例は、図3に示したとおりである。この画質変換手段30において同一のシームレス原画像P′(もしくは原画像P)について複数N通りの画質変換処理が施され、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データが作成される。図示の例では、合計6通りの変換画像Q1〜Q6が作成されており、これらは互いに異なる画質をもった画像データということになる。
【0034】
画像縮小手段40は、これら複数N通り変換画像Q1〜Q6のサイズを縮小することにより、複数N通りの縮小画像q1〜q6を得る構成要素であり、図1に示すステップS3の画像縮小処理を実行する。ここに示す実施形態の場合、前述したように、9600画素×7200画素なる比較的大型のサイズの変換画像Q1〜Q6に対して画像縮小処理を実行することにより、640画素×480画素という小型サイズの縮小画像q1〜q6が得られることになる。ここで行われる画像縮小処理の具体例は、図4,図5に示したとおりである。
【0035】
画像記録手段50は、図1に示すステップS4の画像データ記録処理を実行する構成要素であり、CD−ROMなどの記録媒体60に対して、縮小画像q1〜q6を記録する処理が実行され、この記録媒体60が、画像素材データ集として提供されることになる。ただし、ここでは、同一の原画像データPに基づいて作成された複数N通りの縮小画像データを、当該原画像データPに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で記録されることになる。図6の記録媒体60内には、具体例として、絵柄1,2,3という3種類の絵柄が記録された状態が示されている。ここで、絵柄1としては、6通りの縮小画像q1〜q6が用意されているが、これらはいずれも同一の原画像データPに基づいて作成された画像であり、それぞれ異なる画質変換処理を施すことにより互いに異なる画質をもった画像となっている。絵柄2として用意された複数通りの画像も、同一の原画像データに基づいて作成された縮小画像であり、絵柄3として用意された複数通りの画像も同様である。
【0036】
結局、6通りの縮小画像q1〜q6は、原画像Pに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で記録されていることになり、この記録媒体60として提供された画像素材データ集の利用者は、絵柄1について複数通りのバリエーションが用意され、同様に、絵柄2,3についてもそれぞれ複数通りのバリエーションが用意されているものと認識した上で、この画像素材データ集を利用することができる。具体的には、前述したとおり、1つの絵柄のバリエーションを構成する複数通りの画像を同一のフォルダに格納して記録したり、1つの絵柄のバリエーションを構成する複数通りの画像のファイル名を、「原画像名+枝番号」というように命名するような手法を採ればよい。
【0037】
<<< §4. 本発明に係る画像素材データ集の利用形態 >>>
最後に、本発明に係る方法もしくは装置によって作成された画像素材データ集の利用形態の一例を示すことにより、本発明の作用効果を説明する。図7は、一般的なCG画像作成処理の手順を示す流れ図であり、たとえば、インテリアコーディネータが、顧客に対して、建物の内装を提示するプレゼンテーションを行う場合に用いる内装のパース図などを作成する際に行われる一般的な処理手順を示している。
【0038】
はじめに、ステップS11において、三次元形状のモデリングが行われる。建物の内装を示すパース図を作成する場合であれば、部屋の壁、床、天井、建具などの三次元形状を定義するデジタルデータを作成する処理が行われる。続くステップS12では、作成された三次元モデルに対するレンダリングを行うための種々のパラメータが設定される。具体的には、ステップS11のモデリングで定義された三次元形状を構成する各面の色、反射率等の表面属性や、視点位置、光源位置などがパラメータとして設定される。
【0039】
続いて、ステップS13において、各面にマッピングするテクスチャが選択されるが、本発明に係る画像素材データ集は、この段階において利用されることになる。たとえば、図6に示す記録媒体60内の絵柄1が杉の木目の絵柄であり、絵柄2がブナの木目の絵柄であり、絵柄3が花柄の絵柄であったとしよう。オペレータは、まず、マッピング対象となるテクスチャとして、いずれかの絵柄を選択することになる。ここでは、オペレータが、部屋の壁に、杉の木目の絵柄をマッピングすることにしたものとしよう。この場合、絵柄1として提供されている6種類の画像q1〜q6は、いずれも同一の原画像(特定の杉の木目絵柄の原画像)から作成された画像であるが、相互に画質が異なっていることになる。そこでオペレータは、絵柄1の中から、最も適当と思われる画質をもった画像を選択する操作を行う。ここでは、たとえば壁にマッピングするテクスチャ画像として、画像q4が選択されたものとしよう。
【0040】
こうして、部屋を構成する三次元モデルの各部にマッピングするテクスチャ画像を選択したら、ステップS14のプレビューを行う。すなわち、三次元モデルの各部に、選択されたテクスチャ画像を簡易的にマッピングする処理(粗いレンダリング処理)を行う。このプレビューによって不適切な部分があれば、ステップS15から分岐して、再びステップS12またはステップS13の処理からやり直しを行う。プレビューで問題がなければ、ステップS15からステップS16へと進み、精細レンダリングが行われる。この精細レンダリングの結果に不適切な部分があれば、ステップS17から分岐して、再びステップS12またはステップS13の処理からやり直しを行う。精細レンダリングの結果に問題がなければ、ステップS17からステップS18へと進み、レンダリングされた最終的な画像を紙面上に印刷するか、データとして出力する処理が行われる。
【0041】
この図7に示すような手順で、プレゼンテーション用の画像を作成する処理は、従来からも行われているが、本発明に係る画像素材データ集を利用した場合の特徴は、ステップS13のテクスチャ選択の処理にある。従来の画像素材データ集には、同一の原画像に基づいて作成された画像としては、画像サイズの異なる複数通りのものが用意されていることはあっても、相互に画質の異なる複数通りのものは用意されていない。このため、オペレータは、所望の絵柄の画像を選択した後、この画像の画質については調整作業を行う必要があった。たとえば、オペレータが、従来の一般的な画像素材データ集の中から、自分の気に入った模様パターンをもった杉の木目の絵柄を発見したとしよう。この場合、絵柄自体は気に入っていたとしても、実際に具体的な三次元モデルにマッピングを行い、プレビューや精細レンダリング後の画像を確認した場合、画質までオペレータの望みどおりの結果が得られることはむしろ稀である。したがって、実際には、画像素材データ集の中から選択した画像に対して、試行錯誤により、コントラスト調整処理、スムージング処理、シャープネス処理などの加工を施してマッピングをやり直し、プレビューや精細レンダリングを繰り返し実行し、最終的な仕上がりを確認する作業が行われていた。
【0042】
このような従来の方法には、オペレータの作業負担を増加させるという問題とともに、画像を劣化させるという問題があることは既に述べたとおりである。ところが、本発明に係る画像素材データ集には、同一の原画像に基づいて作成され、かつ、相互に画質の異なる複数通りの画像が用意されているため、これらの問題を解決することが可能になる。すなわち、ステップS13におけるテクスチャ選択の作業では、絵柄を選択するだけでなく、画質の選択も行うことができるようになる。たとえば、上述の例のように、壁にマッピングするテクスチャ画像として、特有の杉の木目模様をもった絵柄1が選択された場合を考えよう。この場合、オペレータは、絵柄1を選択するだけでなく、当該絵柄1の画質についての選択も行うことになる。たとえば、画像q4を選択したとすると、この画像q4は、図2に示す例の場合、特有の杉の木目の原画像Pに対して、特定のパラメータを定めたスムージング処理を実行することにより得られた画像ということになる。オペレータが、この画像q4を実際にマッピングした結果を見て、もし、スムージング処理が強すぎるため、もう少しスムージング処理の程度を弱めた画像をマッピングし直したいと考えた場合には、再度ステップS13を実行する際に、今度は、別なパラメータを用いたスムージング処理により得られた画像q3を選択するようにすればよい。
【0043】
上述の実施形態では、説明の便宜上、1つの原画像のバリエーションとして、互いに異なる画質をもった6通りの画像を作成する例が示されているが、実際には、より多数の画像を用意しておくことができる。たとえば、同一の原画像について、コントラスト変更処理を施したものを16通り、スムージング処理を施したものを16通り、シャープネス処理を施したものを16通り、それぞれ用意しておけば、合計48通りのバリエーション画像を提供することができる。
【0044】
この場合、たとえば、原画像の名前を「P001」として、コントラスト変更処理を施した画像については、「P001−CN01」〜「P001−CN16」のような枝番を付したファイル名をつけておき、スムージング処理を施した画像については、「P001−SM01」〜「P001−SM16」のような枝番を付したファイル名をつけておき、シャープネス処理を施した画像については、「P001−SH01」〜「P001−SH16」のような枝番を付したファイル名をつけておき、枝番の数値がパラメータ値の大きさに応じたものになるようにしておけば、オペレータは、画質を変更したい場合に、どの画像ファイルを選択し直せばよいかが直感的に把握できるので便利である。
【0045】
もちろん、画像素材データ集をデータベース化して提供できるようにし、データベースの検索ソフトウエアに、オペレータの選択作業を支援する機能を付加するようにしてもかまわない。たとえば、オペレータが絵柄1を選択すると、この絵柄1のバリエーションとなる48通りの画像の一覧がサムネイル形式でディスプレイ画面上に一覧表示され、所望のサムネイルをマウスクリックなどで選択することにより、特定の画質をもった画像が選択できるような支援機能を設けておくことができる。この場合、サムネイルの一覧表を二次元マトリックス状に配置し、一方向には、画質変換処理の種類の異なる画像が並ぶようにし、他方向には、画質変換処理に用いたパラメータの異なる画像が並ぶようにすると、選択作業が容易になる。たとえば、上述した48通りのバリエーション画像を一覧表示するのであれば、3行16列のマトリックス状にサムネイルを配置し、1行目には、コントラスト変更処理を施した16通りの画像を並べ、2行目には、スムージング処理を施した16通りの画像を並べ、3行目には、シャープネス処理を施した16通りの画像を並べるようにし、かつ、同一行の画像については、用いたパラメータ値に応じた順に並べるようにすればよい。
【0046】
このように、本発明に係る画像素材データ集には、同一の原画像に基づいて作成された複数通りの画質をもった画像が予め用意されているため、利用者は、同一の絵柄の画像についての複数通りのバリエーション画像の中から好みの画質をもった画像を選択することができる。したがって、従来の画像素材データ集を用いた場合のように、画質を変更するための加工処理作業を行う必要がなくなり、作業負担は大幅に軽減される。また、本発明に係る画像素材データ集を構成する複数通りのバリエーション画像は、よりサイズの大きな原画像をもとに画質変換処理を施し、その後に画像縮小処理を施して得られた画像であるため、画質変換処理による画質の劣化の影響が非常に少なく、いずれも高品質の画像になる。しかも、画像縮小処理が施された後は、ユーザによる画質変換処理が行われることなしに、高品質のまま利用されることになる。結局、本発明に係る画像素材データ集によれば、オペレータの作業負担が軽減し、かつ、高品質の状態での利用が可能になる。
【0047】
以上、本発明をいくつかの実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。たとえば、図3には3種類の画質変換処理を例示したが、本発明で用いる画質変換処理は、これら3種類に限定されるものではなく、この他にも、種々の画質変換処理を実行することが可能である。同様に、図4,図5では、バイリニア法による画像縮小処理を述べたが、本発明で用いる画像縮小処理は、バイリニア法に限定されるものではなく、この他にも、種々の方法で画像縮小処理を実行することが可能である。
【0048】
また、上述の実施形態では、画像縮小処理によって同一原画像のバリエーションとして得られる縮小画像は、すべてが同一のサイズのものであったが、本発明では、これらバリエーション画像は必ずしも正確に同一のサイズである必要はない。要するに、同一の原画像データに基づいて得られる複数N通りの縮小画像データの画像サイズが、利用者の便宜を考慮して実質的にほぼ同一のサイズとなっていれば、サイズに多少の差が生じていてもかまわない。たとえば、図6に示す記録媒体60には、絵柄1のバリエーション画像として、6種類の画像q1〜q6が用意されており、この例では、この6種類の画像はいずれも640画素×480画素という同一サイズの画像であった。しかしながら、これらの画像は、必ずしも正確に同一サイズである必要はなく、たとえば、1つの画像のサイズが、650画素×475画素というように若干異なっていたとしても、利用者の利用形態に支障が生じない範囲であれば問題はない。ただ、これら複数通りの画像は、特定の領域へのマッピング対象のバリエーションとして用意される画像であり、利用者の選択により代替可能となる画像である必要があるので、実用上は、完全に同一サイズの画像にするのが好ましい。
【0049】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る画像素材データ集の作成/提供方法および作成装置によれば、利用者としてのオペレータの作業負担を軽減し、かつ、高品質の状態で利用に供することが可能な画像素材データ集を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像素材データ集の作成方法の基本手順を示す流れ図である。
【図2】図1の流れ図に基づく処理全体の概念を説明するための模式図である。
【図3】図1の流れ図におけるステップS2の画質変換処理の具体例を示す図である。
【図4】図1の流れ図におけるステップS3の画像縮小処理の具体例を示す図である。
【図5】図4に示す画像縮小処理における縮小画像の画素値を演算する手法を示す図である。
【図6】本発明に係る画像素材データ集の作成装置の基本構成を示すブロック図である。
【図7】一般的なCG画像作成処理の手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
10…原画像入力手段
20…画像シームレス化手段
30…画質変換手段
40…画像縮小手段
50…画像記録手段
60…記録媒体
a,b…画素qの位置を示す按分係数
P…原画像データ
P′…シームレス原画像データ
P(x,y)…原画像を構成する1画素またはその画素値
Q,Qα,Qβ,Qγ,Qδ…変換画像の画素またはその画素値
Q1〜Q6…変換画像データ
Q(x,y)…変換画像を構成する1画素またはその画素値
q…縮小画像の画素またはその画素値
q1〜q6…縮小画像データ
S1〜S18…流れ図の各ステップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像素材データ集の作成/提供方法および作成装置に関し、特に、CGの手法を用いて住宅内外装のシミュレーションや景観シミュレーションを行う場合に、建材柄のテクスチャー素材として利用されるデータの集合からなる画像素材データ集を作成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータハードウエアの性能向上およびCGソフトウエア技術の発展により、あらゆる産業分野において、コンピュータを利用した画像生成が行われるようになってきている。そして、このような画像生成処理を行うための素材として利用できるように、種々の画像素材データを集めた画像素材データ集が提供されている。たとえば、都市開発などの大規模プロジェクトでは、様々な景観シミュレーションがくり返し実行され、CGによるプレゼンテーションを行いながら、最終的なプランを練り上げてゆくのが一般的である。また、集合住宅や個人宅などの住宅建築を施工する場合やリフォームを行う場合にも、施工を請け負った工務店やインテリアコーディネータによって、CGのパース図などを施工主に提示するプレゼンテーションが行われることも少なくない。このようなプレゼンテーションを行う場合、建築物の内壁、外壁、床面などに、テクスチャー素材をマッピングする処理(いわゆるレンダリング処理)が行われる。マッピング対象となるテクスチャー素材を変えるだけで、住宅の内外装や景観のイメージは大きく異なってくるため、このようなプレゼンテーションでは、テクスチャーとして用いられる画像素材データが非常に重要な要素になる。
【0003】
現在、コンピュータ処理において素材として利用される種々の画像素材データは、CD−ROMなどの媒体として提供されたり、オンラインによるダウンロードで提供されたりしており、無償で提供されるものから有償のものまで多岐にわたっている。また、その内容も、平面上に繰り返し配置した場合に境界線を跨いで絵柄が連続するようにシームレス化処理が施されたものや、用途に合わせて最適な画像サイズのものを適宜用いることができるように、同一の画像について複数種類の画像サイズが用意されたものなど、使い勝手を向上させるための種々の配慮がなされたものも少なくない。
【0004】
画像素材データ集を作成する方法としては、木材などの実素材を撮影したり、印刷されたカタログからスキャナで取り込んだりする方法の他、CGの技術によって、自然界には実在しない絵柄を発生させる方法なども知られている。たとえば、下記の各特許文献には、木目柄をはじめとする種々の絵柄をCGにより人工的に発生させる技術が開示されている。
【特許文献1】
特開平08−016794号公報
【特許文献2】
特開平08−022538号公報
【特許文献3】
特開平08−272851号公報
【特許文献4】
特開平08−315182号公報
【特許文献5】
特開平09−277691号公報
【特許文献6】
特開平10−128880号公報
【特許文献7】
特開平10−129105号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、CGの技術を用いて何らかの画像を生成する場合、既存の画像素材データを利用した作業が行われることが多いが、実際には、既存の画像素材データがそのまま流用されるとは限らない。特に、住宅の内外装や景観のイメージを提示する商用プレゼンテーションの場合、専門のオペレータによって高品質のプレゼンテーション用画像を作成して顧客に提示するのが一般的であり、既存の画像素材データをマッピングする場合であっても、何らかの加工処理が施されることが多い。これは、住宅の内外装や景観のプレゼンテーションでは、三次元空間を二次元画像として提示する必要があり、マッピング対象となる面の三次元空間内での位置、向き、大きさなどによって、画像素材データに対して微調整を行う必要があるためである。また、あくまでも全体的なイメージを人間に伝えるためのプレゼンテーションであるため、必ずしも写実性が要求されるわけではなく、オペレータの主観を加味するための調整を行う必要がある場合もある。
【0006】
画像素材データに対する加工処理は、既に種々の方法が知られており、いわゆるフォトレタッチソフトウエアなどでは、フィルタ処理機能として、種々の加工処理機能が用意されている。たとえば、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理といった処理は、画像素材データに対する代表的な加工処理である。住宅の内外装をプレゼンテーションするオペレータは、既存の画像素材データを利用する場合であっても、たとえば、コントラストに変更を加えたり、スムージング処理を施したり、といった加工を施し、加工後の画像データをマッピングするようにし、より品質の高いプレゼンテーション用画像を作成するのが一般的である。通常、オペレータは、レンダリング処理を行った後の仕上がり画像を見ながら、どの部分をどのように修正すべきかを検討し、画像素材データに加工処理を加えた後、再びレンダリング処理を行う、という操作を試行錯誤的に繰り返し実行し、気に入った画像を作成する作業を行うことになる。
【0007】
しかしながら、このような従来の画像素材データ集を用いた作業には、次の2つの問題がある。第1の問題は、オペレータの作業負担である。近年、コンピュータの処理能力は飛躍的に向上し、一般の汎用パソコンを用いても、住宅の内外装などの商用プレゼンテーション画像を作成することが可能になってきた。しかしながら、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理といった画像データに加工を施す処理は、コンピュータにとっても演算負担が重い処理であり、既存の画像素材データに対して施行錯誤的に種々の加工処理を繰り返し実行することは、オペレータにとって大きな作業負担になる。第2の問題は、画像の品質の劣化である。一般に、画像データに対して種々の加工処理を繰り返し実行してゆくと、もとの画像の品質は徐々に損なわれてゆき、加工処理を繰り返せば繰り返すほど、品質の劣化は激しくなる。このため、既存の画像素材データの当初の品質でレンダリングを行うことは困難になる。
【0008】
そこで本発明は、利用者としてのオペレータの作業負担を軽減し、かつ、高品質の状態で利用に供することが可能な画像素材データ集の作成/提供方法および作成装置を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する画像素材データ集の作成方法において、
第1の画像サイズをもった原画像データを用意する段階と、
原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る段階と、
複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る段階と、
複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する段階と、
により画像素材データ集を作成するようにしたものである。
【0010】
(2) 本発明の第2の態様は、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を提供する画像素材データ集の提供方法において、
第1の画像サイズをもった原画像データを用意する段階と、
原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る段階と、
複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る段階と、
複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録してこれを利用者に配付するか、もしくは、通信回線を介して利用者の端末装置に提供する段階と、
により画像素材データ集を提供するようにしたものである。
【0011】
(3) 本発明の第3の態様は、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する画像素材データ集の作成装置において、
第1の画像サイズをもった原画像データを入力する原画像入力手段と、
原画像入力手段によって入力した原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを作成する画質変換手段と、
複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る画像縮小手段と、
複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する画像記録手段と、
を設けるようにしたものである。
【0012】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る画像素材データ集の作成装置において、
原画像入力手段によって入力した原画像データに対して、原画像を平面上に繰り返し配置した場合に境界線を跨いで絵柄が連続するようにシームレス化処理を施し、シームレス原画像を得る画像シームレス化手段を更に設け、
画質変換手段が、シームレス原画像に対して画質変換処理を施すようにし、シームレス化処理が施された状態の縮小画像がデータ記録媒体に記録されるようにしたものである。
【0013】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置において、
画質変換処理として、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理なる複数種類の処理群の中から選択された1種類もしくは複数種類の処理を行うようにしたものである。
【0014】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置において、
同一の原画像データについて、同一種類の画質変換処理を、複数の処理パラメータを用いて行うことにより、複数通りの変換画像データを得るようにしたものである。
【0015】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第6の態様に係る画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置において、
同一の原画像データに基づいて得られる複数N通りの縮小画像データの画像サイズが、実質的にほぼ同一のサイズとなるようにしたものである。
【0016】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1の態様に係る画像素材データ集の作成方法により作成された画像素材データ集を構成するデータを、コンピュータ読み取り可能な情報記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0018】
<<< §1. 本発明に係る方法の基本手順 >>>
図1は、本発明に係る画像素材データ集の作成方法の基本手順を示す流れ図であり、コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する方法の手順が示されている。
【0019】
まず、ステップS1では、第1の画像サイズをもった原画像データが用意される。ここで、第1の画像サイズは、最終的に作成される画像素材データのサイズ(第2の画像サイズ)よりも大きな画像サイズになるようにしておく。ここに示す実施形態の場合、9600画素×7200画素という画像サイズを第1の画像サイズとし、640画素×480画素という画像サイズを第2の画像サイズとしている。最終的に画像素材データ集として提供される画像のサイズよりも原画像のサイズを十分に大きくしておくのは、画質変換処理による品質劣化をできるだけ抑えるためである。9600画素×7200画素という画像サイズは、一般的なデジタル画像のサイズとしてはかなり大きなものであるが、壁紙や床材といった建材に用いるために大手印刷会社などで用意されている印刷用の画像データとしては標準的な大きさのデータであり、実用上は、このような建材印刷用の画像データを原画像データとして用意すればよい。
【0020】
続くステップS2では、用意した原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る処理が行われる。図2は、図1の流れ図に基づく処理の概念を説明するための模式図である。この図2には、ステップS1で用意された原画像データPに対して、ステップS2において6通り(N=6)の画質変換処理を実行することにより、6通りの変換画像データQ1〜Q6を得た場合の例が示されている。ここでは、図示のとおり、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理なる3種類の画像変換処理が実行されている。3種類の画像変換処理にもかかわらず、合計6通りの変換画像データが得られているのは、同一の原画像データPについて、同一種類の画質変換処理を、複数の処理パラメータ(図示の例では2とおりの処理パラメータ)を用いて行っているからである。たとえば、変換画像データQ1,Q2は、いずれも同一の原画像データPに対して、コントラスト変更処理という同一種類の画像変換処理を行うことにより得られたデータであるが、変換処理に用いる処理パラメータの値が異なるため、互いに異なる画質をもった画像データになる。同様に、変換画像データQ3,Q4は、互いに異なる処理パラメータを用いたスムージング処理により得られたデータであり、変換画像データQ5,Q6は、互いに異なる処理パラメータを用いたシャープネス処理により得られたデータである。
【0021】
ステップS2では、同一の原画像データPに基づいて、互いに画質の異なる複数N通りの変換画像データを得る必要があるが、そのためには、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理といった異なる複数種類の画像変換処理を施すようにしてもかまわないし、1種類の画像変換処理を用いて処理パラメータを変えるようにしてもかまわない。もっとも、実用上は、図2に示す例のように、複数種類の画像変換処理を、それぞれ複数通りの処理パラメータを用いて実行するようにするのが好ましい。
【0022】
次に、ステップS3において、ステップS2で得られた複数N通りの変換画像データのサイズを、第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る処理が行われる。ここに示す例では、前述したように、原画像データPは、9600画素×7200画素なる比較的大型のサイズの画像データであり、ステップS2の画質変換処理によって得られる各変換画像データQ1〜Q6も同じ大型サイズの画像データになる。ステップS3では、これら各変換画像データQ1〜Q6を縮小して、第2の画像サイズ(すなわち、640画素×480画素)に変換し、縮小画像データq1〜q6を得る処理が行われる。結局、縮小画像データq1〜q6は、同一の原画像データPに基づいて得られた画像データであるが、画像サイズは640画素×480画素という小型サイズであり、しかも互いに異なる画質をもった画像データということになる。
【0023】
最後に、ステップS4において、複数N通りの縮小画像データを、原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する処理が行われる。図2の例の場合、破線で囲った6通りの縮小画像データq1〜q6が、原画像データPに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、CD−ROMなどのデータ記録媒体に記録されることになり、この記録媒体が、画像素材データ集として提供されることになる。
【0024】
図2には、1つの原画像データPについて得られた6通りバリエーションとなる縮小画像データq1〜q6を媒体に記録する例しか示されていないが、実際には、多数の原画像データのそれぞれについて、同様に複数通りのバリエーションとなる縮小画像データが媒体に記録されることになる。しかも、各縮小画像データは、特定の原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で記録されることになる。具体的には、たとえば、同一の原画像データに基づいて作成されたバリエーションとなる複数通りの縮小画像データを同一のフォルダに格納して記録したり、各縮小画像データのファイル名を「原画像名+枝番号」というように命名して、枝番号のみが相違する画像データは、同一の原画像から作成された画像データであることが認識できるようにして記録したりすればよい。あるいは、データベースの形式で記録媒体に格納するのであれば、このデータベースを検索するプログラムによって、同一の原画像データに基づいて作成された複数の縮小画像データが同一グループの画像データとして検索されるような形態で格納すればよい。要するに、この記録媒体に格納された画像素材データ集を利用するオペレータが、一群の縮小画像データを、特定の原画像データに関するバリエーションを構成するグループであることを認識してアクセスすることができれば、どのような形態で記録してもかまわない。
【0025】
もちろん、こうして作成された画像素材データ集は、必ずしもCD−ROMのような記録媒体に記録した形で配付して提供する必要はなく、利用者の端末装置に対して、通信回線を介して提供することも可能である。但し、そのような提供形態を採る場合であっても、同一の原画像データに基づいて作成された複数の縮小画像データが、当該原画像データに関するバリエーションとしてアクセスされるようにする必要がある。
【0026】
<<< §2. 本発明に係る方法の具体的な手順 >>>
続いて、図1に示す方法におけるステップS2の画質変換処理およびステップS3の画像縮小処理の具体例を述べておく。まず、画質変換処理の具体的な手順を、図3を参照しながら説明する。画質変換処理は、図3の上段に示すように、原画像Pを構成する個々の画素の画素値P(x,y)に所定の関数fを作用させて、新たな画素値Q(x,y)に変換する処理である。ここで、xおよびyは、二次元マトリックス状に配列された画素の位置を示すパラメータであり、たとえば、(x,y)は、二次元マトリックスにおける第x列、第y行目の位置を示している。結局、変換画像を構成する第x列、第y行目の画素の画素値Q(x,y)は、Q(x,y)=f(P(x,y))なる演算により求まることになる。ここで、関数fは、画質変換処理の内容を定める関数であり、通常、1つまたは複数のパラメータを有している。
【0027】
コントラスト変更処理は、図示のとおり、原画像Pを構成する個々の画素値に、パラメータαを用いた演算式で定義される関数を作用させる処理である。パラメータαを複数通りに変えた処理を行うことにより、複数通りの変換画像が得られる。スムージング処理およびシャープネス処理も、図3に示すとおりの演算式で定義される関数を作用させる処理である。パラメータnは、ある1つの画素についての新たな画素値Q(x,y)を決定するために参照する周囲の画素の範囲を決定するパラメータであり、たとえば、n=1に設定した場合、当該画素およびその周囲に存在する合計9画素の画素値を参照する演算が行われることになり、n=2に設定した場合、当該画素およびその周囲に存在する合計25画素の画素値を参照する演算が行われることになる。この場合、遠い画素ほど影響が少なくなるように重み関数w(i,j)が設定されており、パラメータσは、この重み関数を定義するパラメータである。このような種々の画質変換処理は、既に公知の画像処理技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0028】
一方、図4は、図1の流れ図におけるステップS3の画像縮小処理の具体例を示す図である。ここでは、二次元マトリックス状に配列された各画素の位置を黒丸もしくは白丸で示すことにする。黒丸は、ステップS2の画質変換処理によって得られた変換画像Qの各画素を示しており、白丸は、ステップS3の画像縮小処理によって得られる縮小画像qの各画素を示している。前述したとおり、変換画像Q(黒丸)の画像サイズは原画像Pのサイズに等しく、解像度の高い画像(より多い画素で表現された画像)となっているのに対し、縮小画像q(白丸)の画像サイズは縮小処理により、解像度の低い画像(少ない画素で表現された画像)となっている。ステップS3の画像縮小処理は、図4に黒丸で示す各画素Qの画素値に基づいて、図4に白丸で示す各画素qの画素値を求める演算処理に他ならない。
【0029】
このような画像縮小処理の手法としては、いくつかのアルゴリズムが知られている。ここでは、バイリニア法と呼ばれている典型的な手法を簡単に説明する。いま、図5に示すように、任意の画素q(白丸で示される縮小画像qを構成する1画素)の画素値を求めることを考える。この場合、図示のとおり、この画素qに最も近い4つの黒丸、すなわち、変換画像Qを構成する画素に着目する。ここでは便宜上、これら4つの黒丸画素を、それぞれQα,Qβ,Qγ,Qδと呼ぶことにし、これらの画素の画素値も同じ符号を用いて示すことにする。この場合、白丸画素qは、4つの黒丸画素Qα,Qβ,Qγ,Qδを頂点とする正方形の内部の1点に位置することになる。ここで、この正方形の一辺の長さを基準値1とし、白丸画素qの位置が、この正方形の上辺をa:(1−a)に分割し、左辺をb:(1−b)に分割するものとする(但し、0≦a≦1,0≦b≦1)。この場合、白丸画素qの画素値qは、図示のとおり、q=(1−b)((1−a)・Qα+a・Qβ)+b((1−a)・Qγ+a・Qδ)なる式により求めることができる。すべての白丸画素について同様の演算を行い、それぞれ固有の画素値を求めれば、縮小画像qを得ることができる。
【0030】
<<< §3. 本発明に係る装置の基本構成 >>>
図6は、本発明に係る画像素材データ集の作成装置の基本構成を示すブロック図である。この装置は、図示のとおり、原画像入力手段10と、画像シームレス化手段20と、画質変換手段30と、画像縮小手段40と、画像記録手段50と、によって構成されている。原画像入力手段10は、図1に示すステップS1を実行するための手段であり、第1の画像サイズをもった原画像データPを入力する機能を有している。具体的には、天然木材やカタログ写真などの実素材に基づいて原画像を用意する機能をもったデジタルカメラやスキャナ装置によって原画像入力手段10を構成することも可能であるし、別なCGシステムで人為的に作成された画像データを蓄積した画像データベースから、所望の画像データを読み込むデータ読込装置によって原画像入力手段10を構成することも可能である。
【0031】
ここに示す実施形態では、原画像入力手段10によって入力された原画像Pは、画像シームレス化手段20によってシームレス化処理が施される。ここで、シームレス化処理とは、原画像を平面上に繰り返し配置した場合に境界線を跨いで絵柄が連続するように、主として原画像の輪郭近傍の画素値に対して修正を加える処理である。このシームレス化処理を行うことにより、いわゆるエンドレス絵柄あるいはリピータブル絵柄と呼ばれているシームレス原画像P′が得られることになる。このようなシームレス化処理の手法としては、種々のアルゴリズムが公知であるため、ここでは具体的な方法についての説明は省略する。
【0032】
なお、画像シームレス化手段20は、本発明の実施に必須の構成要素ではないので、シームレス化を行う必要がない場合には、設ける必要はない。また、画像データベースから入力した画像データがもともとシームレス化された画像であった場合にも、画像シームレス化手段20によるシームレス化処理は不要である。
【0033】
画質変換手段30は、こうして得られたシームレス原画像P′(もしくは、原画像P)に対して、図1に示すステップS2の画質変換処理を実行する構成要素である。ここで行われる画質変換処理の具体例は、図3に示したとおりである。この画質変換手段30において同一のシームレス原画像P′(もしくは原画像P)について複数N通りの画質変換処理が施され、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データが作成される。図示の例では、合計6通りの変換画像Q1〜Q6が作成されており、これらは互いに異なる画質をもった画像データということになる。
【0034】
画像縮小手段40は、これら複数N通り変換画像Q1〜Q6のサイズを縮小することにより、複数N通りの縮小画像q1〜q6を得る構成要素であり、図1に示すステップS3の画像縮小処理を実行する。ここに示す実施形態の場合、前述したように、9600画素×7200画素なる比較的大型のサイズの変換画像Q1〜Q6に対して画像縮小処理を実行することにより、640画素×480画素という小型サイズの縮小画像q1〜q6が得られることになる。ここで行われる画像縮小処理の具体例は、図4,図5に示したとおりである。
【0035】
画像記録手段50は、図1に示すステップS4の画像データ記録処理を実行する構成要素であり、CD−ROMなどの記録媒体60に対して、縮小画像q1〜q6を記録する処理が実行され、この記録媒体60が、画像素材データ集として提供されることになる。ただし、ここでは、同一の原画像データPに基づいて作成された複数N通りの縮小画像データを、当該原画像データPに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で記録されることになる。図6の記録媒体60内には、具体例として、絵柄1,2,3という3種類の絵柄が記録された状態が示されている。ここで、絵柄1としては、6通りの縮小画像q1〜q6が用意されているが、これらはいずれも同一の原画像データPに基づいて作成された画像であり、それぞれ異なる画質変換処理を施すことにより互いに異なる画質をもった画像となっている。絵柄2として用意された複数通りの画像も、同一の原画像データに基づいて作成された縮小画像であり、絵柄3として用意された複数通りの画像も同様である。
【0036】
結局、6通りの縮小画像q1〜q6は、原画像Pに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で記録されていることになり、この記録媒体60として提供された画像素材データ集の利用者は、絵柄1について複数通りのバリエーションが用意され、同様に、絵柄2,3についてもそれぞれ複数通りのバリエーションが用意されているものと認識した上で、この画像素材データ集を利用することができる。具体的には、前述したとおり、1つの絵柄のバリエーションを構成する複数通りの画像を同一のフォルダに格納して記録したり、1つの絵柄のバリエーションを構成する複数通りの画像のファイル名を、「原画像名+枝番号」というように命名するような手法を採ればよい。
【0037】
<<< §4. 本発明に係る画像素材データ集の利用形態 >>>
最後に、本発明に係る方法もしくは装置によって作成された画像素材データ集の利用形態の一例を示すことにより、本発明の作用効果を説明する。図7は、一般的なCG画像作成処理の手順を示す流れ図であり、たとえば、インテリアコーディネータが、顧客に対して、建物の内装を提示するプレゼンテーションを行う場合に用いる内装のパース図などを作成する際に行われる一般的な処理手順を示している。
【0038】
はじめに、ステップS11において、三次元形状のモデリングが行われる。建物の内装を示すパース図を作成する場合であれば、部屋の壁、床、天井、建具などの三次元形状を定義するデジタルデータを作成する処理が行われる。続くステップS12では、作成された三次元モデルに対するレンダリングを行うための種々のパラメータが設定される。具体的には、ステップS11のモデリングで定義された三次元形状を構成する各面の色、反射率等の表面属性や、視点位置、光源位置などがパラメータとして設定される。
【0039】
続いて、ステップS13において、各面にマッピングするテクスチャが選択されるが、本発明に係る画像素材データ集は、この段階において利用されることになる。たとえば、図6に示す記録媒体60内の絵柄1が杉の木目の絵柄であり、絵柄2がブナの木目の絵柄であり、絵柄3が花柄の絵柄であったとしよう。オペレータは、まず、マッピング対象となるテクスチャとして、いずれかの絵柄を選択することになる。ここでは、オペレータが、部屋の壁に、杉の木目の絵柄をマッピングすることにしたものとしよう。この場合、絵柄1として提供されている6種類の画像q1〜q6は、いずれも同一の原画像(特定の杉の木目絵柄の原画像)から作成された画像であるが、相互に画質が異なっていることになる。そこでオペレータは、絵柄1の中から、最も適当と思われる画質をもった画像を選択する操作を行う。ここでは、たとえば壁にマッピングするテクスチャ画像として、画像q4が選択されたものとしよう。
【0040】
こうして、部屋を構成する三次元モデルの各部にマッピングするテクスチャ画像を選択したら、ステップS14のプレビューを行う。すなわち、三次元モデルの各部に、選択されたテクスチャ画像を簡易的にマッピングする処理(粗いレンダリング処理)を行う。このプレビューによって不適切な部分があれば、ステップS15から分岐して、再びステップS12またはステップS13の処理からやり直しを行う。プレビューで問題がなければ、ステップS15からステップS16へと進み、精細レンダリングが行われる。この精細レンダリングの結果に不適切な部分があれば、ステップS17から分岐して、再びステップS12またはステップS13の処理からやり直しを行う。精細レンダリングの結果に問題がなければ、ステップS17からステップS18へと進み、レンダリングされた最終的な画像を紙面上に印刷するか、データとして出力する処理が行われる。
【0041】
この図7に示すような手順で、プレゼンテーション用の画像を作成する処理は、従来からも行われているが、本発明に係る画像素材データ集を利用した場合の特徴は、ステップS13のテクスチャ選択の処理にある。従来の画像素材データ集には、同一の原画像に基づいて作成された画像としては、画像サイズの異なる複数通りのものが用意されていることはあっても、相互に画質の異なる複数通りのものは用意されていない。このため、オペレータは、所望の絵柄の画像を選択した後、この画像の画質については調整作業を行う必要があった。たとえば、オペレータが、従来の一般的な画像素材データ集の中から、自分の気に入った模様パターンをもった杉の木目の絵柄を発見したとしよう。この場合、絵柄自体は気に入っていたとしても、実際に具体的な三次元モデルにマッピングを行い、プレビューや精細レンダリング後の画像を確認した場合、画質までオペレータの望みどおりの結果が得られることはむしろ稀である。したがって、実際には、画像素材データ集の中から選択した画像に対して、試行錯誤により、コントラスト調整処理、スムージング処理、シャープネス処理などの加工を施してマッピングをやり直し、プレビューや精細レンダリングを繰り返し実行し、最終的な仕上がりを確認する作業が行われていた。
【0042】
このような従来の方法には、オペレータの作業負担を増加させるという問題とともに、画像を劣化させるという問題があることは既に述べたとおりである。ところが、本発明に係る画像素材データ集には、同一の原画像に基づいて作成され、かつ、相互に画質の異なる複数通りの画像が用意されているため、これらの問題を解決することが可能になる。すなわち、ステップS13におけるテクスチャ選択の作業では、絵柄を選択するだけでなく、画質の選択も行うことができるようになる。たとえば、上述の例のように、壁にマッピングするテクスチャ画像として、特有の杉の木目模様をもった絵柄1が選択された場合を考えよう。この場合、オペレータは、絵柄1を選択するだけでなく、当該絵柄1の画質についての選択も行うことになる。たとえば、画像q4を選択したとすると、この画像q4は、図2に示す例の場合、特有の杉の木目の原画像Pに対して、特定のパラメータを定めたスムージング処理を実行することにより得られた画像ということになる。オペレータが、この画像q4を実際にマッピングした結果を見て、もし、スムージング処理が強すぎるため、もう少しスムージング処理の程度を弱めた画像をマッピングし直したいと考えた場合には、再度ステップS13を実行する際に、今度は、別なパラメータを用いたスムージング処理により得られた画像q3を選択するようにすればよい。
【0043】
上述の実施形態では、説明の便宜上、1つの原画像のバリエーションとして、互いに異なる画質をもった6通りの画像を作成する例が示されているが、実際には、より多数の画像を用意しておくことができる。たとえば、同一の原画像について、コントラスト変更処理を施したものを16通り、スムージング処理を施したものを16通り、シャープネス処理を施したものを16通り、それぞれ用意しておけば、合計48通りのバリエーション画像を提供することができる。
【0044】
この場合、たとえば、原画像の名前を「P001」として、コントラスト変更処理を施した画像については、「P001−CN01」〜「P001−CN16」のような枝番を付したファイル名をつけておき、スムージング処理を施した画像については、「P001−SM01」〜「P001−SM16」のような枝番を付したファイル名をつけておき、シャープネス処理を施した画像については、「P001−SH01」〜「P001−SH16」のような枝番を付したファイル名をつけておき、枝番の数値がパラメータ値の大きさに応じたものになるようにしておけば、オペレータは、画質を変更したい場合に、どの画像ファイルを選択し直せばよいかが直感的に把握できるので便利である。
【0045】
もちろん、画像素材データ集をデータベース化して提供できるようにし、データベースの検索ソフトウエアに、オペレータの選択作業を支援する機能を付加するようにしてもかまわない。たとえば、オペレータが絵柄1を選択すると、この絵柄1のバリエーションとなる48通りの画像の一覧がサムネイル形式でディスプレイ画面上に一覧表示され、所望のサムネイルをマウスクリックなどで選択することにより、特定の画質をもった画像が選択できるような支援機能を設けておくことができる。この場合、サムネイルの一覧表を二次元マトリックス状に配置し、一方向には、画質変換処理の種類の異なる画像が並ぶようにし、他方向には、画質変換処理に用いたパラメータの異なる画像が並ぶようにすると、選択作業が容易になる。たとえば、上述した48通りのバリエーション画像を一覧表示するのであれば、3行16列のマトリックス状にサムネイルを配置し、1行目には、コントラスト変更処理を施した16通りの画像を並べ、2行目には、スムージング処理を施した16通りの画像を並べ、3行目には、シャープネス処理を施した16通りの画像を並べるようにし、かつ、同一行の画像については、用いたパラメータ値に応じた順に並べるようにすればよい。
【0046】
このように、本発明に係る画像素材データ集には、同一の原画像に基づいて作成された複数通りの画質をもった画像が予め用意されているため、利用者は、同一の絵柄の画像についての複数通りのバリエーション画像の中から好みの画質をもった画像を選択することができる。したがって、従来の画像素材データ集を用いた場合のように、画質を変更するための加工処理作業を行う必要がなくなり、作業負担は大幅に軽減される。また、本発明に係る画像素材データ集を構成する複数通りのバリエーション画像は、よりサイズの大きな原画像をもとに画質変換処理を施し、その後に画像縮小処理を施して得られた画像であるため、画質変換処理による画質の劣化の影響が非常に少なく、いずれも高品質の画像になる。しかも、画像縮小処理が施された後は、ユーザによる画質変換処理が行われることなしに、高品質のまま利用されることになる。結局、本発明に係る画像素材データ集によれば、オペレータの作業負担が軽減し、かつ、高品質の状態での利用が可能になる。
【0047】
以上、本発明をいくつかの実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。たとえば、図3には3種類の画質変換処理を例示したが、本発明で用いる画質変換処理は、これら3種類に限定されるものではなく、この他にも、種々の画質変換処理を実行することが可能である。同様に、図4,図5では、バイリニア法による画像縮小処理を述べたが、本発明で用いる画像縮小処理は、バイリニア法に限定されるものではなく、この他にも、種々の方法で画像縮小処理を実行することが可能である。
【0048】
また、上述の実施形態では、画像縮小処理によって同一原画像のバリエーションとして得られる縮小画像は、すべてが同一のサイズのものであったが、本発明では、これらバリエーション画像は必ずしも正確に同一のサイズである必要はない。要するに、同一の原画像データに基づいて得られる複数N通りの縮小画像データの画像サイズが、利用者の便宜を考慮して実質的にほぼ同一のサイズとなっていれば、サイズに多少の差が生じていてもかまわない。たとえば、図6に示す記録媒体60には、絵柄1のバリエーション画像として、6種類の画像q1〜q6が用意されており、この例では、この6種類の画像はいずれも640画素×480画素という同一サイズの画像であった。しかしながら、これらの画像は、必ずしも正確に同一サイズである必要はなく、たとえば、1つの画像のサイズが、650画素×475画素というように若干異なっていたとしても、利用者の利用形態に支障が生じない範囲であれば問題はない。ただ、これら複数通りの画像は、特定の領域へのマッピング対象のバリエーションとして用意される画像であり、利用者の選択により代替可能となる画像である必要があるので、実用上は、完全に同一サイズの画像にするのが好ましい。
【0049】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る画像素材データ集の作成/提供方法および作成装置によれば、利用者としてのオペレータの作業負担を軽減し、かつ、高品質の状態で利用に供することが可能な画像素材データ集を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像素材データ集の作成方法の基本手順を示す流れ図である。
【図2】図1の流れ図に基づく処理全体の概念を説明するための模式図である。
【図3】図1の流れ図におけるステップS2の画質変換処理の具体例を示す図である。
【図4】図1の流れ図におけるステップS3の画像縮小処理の具体例を示す図である。
【図5】図4に示す画像縮小処理における縮小画像の画素値を演算する手法を示す図である。
【図6】本発明に係る画像素材データ集の作成装置の基本構成を示すブロック図である。
【図7】一般的なCG画像作成処理の手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
10…原画像入力手段
20…画像シームレス化手段
30…画質変換手段
40…画像縮小手段
50…画像記録手段
60…記録媒体
a,b…画素qの位置を示す按分係数
P…原画像データ
P′…シームレス原画像データ
P(x,y)…原画像を構成する1画素またはその画素値
Q,Qα,Qβ,Qγ,Qδ…変換画像の画素またはその画素値
Q1〜Q6…変換画像データ
Q(x,y)…変換画像を構成する1画素またはその画素値
q…縮小画像の画素またはその画素値
q1〜q6…縮小画像データ
S1〜S18…流れ図の各ステップ
Claims (8)
- コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する方法であって、
第1の画像サイズをもった原画像データを用意する段階と、
前記原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る段階と、
前記複数N通りの変換画像データのサイズを、前記第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る段階と、
前記複数N通りの縮小画像データを、前記原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する段階と、
により画像素材データ集を作成することを特徴とする画像素材データ集の作成方法。 - コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を提供する方法であって、
第1の画像サイズをもった原画像データを用意する段階と、
前記原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを得る段階と、
前記複数N通りの変換画像データのサイズを、前記第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る段階と、
前記複数N通りの縮小画像データを、前記原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録してこれを利用者に配付するか、もしくは、通信回線を介して利用者の端末装置に提供する段階と、
により画像素材データ集を提供することを特徴とする画像素材データ集の提供方法。 - コンピュータ処理において素材として利用される画像素材データの集合からなる画像素材データ集を作成する装置であって、
第1の画像サイズをもった原画像データを入力する原画像入力手段と、
前記原画像入力手段によって入力した原画像データに対して、複数N通りの画質変換処理を施すことにより、互いに異なる画質をもった複数N通りの変換画像データを作成する画質変換手段と、
前記複数N通りの変換画像データのサイズを、前記第1の画像サイズよりも小さな第2の画像サイズに変換することにより、複数N通りの縮小画像データを得る画像縮小手段と、
前記複数N通りの縮小画像データを、前記原画像データに関するバリエーションとしてアクセス可能な態様で、データ記録媒体に記録する画像記録手段と、
を備えることを特徴とする画像素材データ集の作成装置。 - 請求項3に記載の作成装置において、
原画像入力手段によって入力した原画像データに対して、原画像を平面上に繰り返し配置した場合に境界線を跨いで絵柄が連続するようにシームレス化処理を施し、シームレス原画像を得る画像シームレス化手段を更に備え、
画質変換手段が、前記シームレス原画像に対して画質変換処理を施すようにし、シームレス化処理が施された状態の縮小画像がデータ記録媒体に記録されるようにしたことを特徴とする画像素材データ集の作成装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の作成/提供方法または作成装置において、
画質変換処理として、コントラスト変更処理、スムージング処理、シャープネス処理なる複数種類の処理群の中から選択された1種類もしくは複数種類の処理を行うことを特徴とする画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置。 - 請求項5に記載の作成/提供方法または作成装置において、同一の原画像データについて、同一種類の画質変換処理を、複数の処理パラメータを用いて行うことにより、複数通りの変換画像データを得ることを特徴とする画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の作成/提供方法または作成装置において、
同一の原画像データに基づいて得られる複数N通りの縮小画像データの画像サイズが、実質的にほぼ同一のサイズとなるようにすることを特徴とする画像素材データ集の作成/提供方法または作成装置。 - 請求項1に記載された作成方法により作成された画像素材データ集を構成するデータが記録されたコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
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2002
- 2002-11-12 JP JP2002327744A patent/JP2004164151A/ja active Pending
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