JP2004163897A - 画像表示装置、画像表示方法及び画像表示プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】低解像度画像データを解像度変換して表示する際に、視野角を改善することにより違和感の無い高解像度画像データを作成することが可能な、画像データの解像度変換手法を提供する。
【解決手段】取得した元画像データを構成する各画素からそれぞれ複数の画素を作成して画素数を増加させることにより、解像度を増加させた解像度変換画像データを生成する。そうして得られた解像度変換画像データについて、視野角の調整が行われる。具体的には、解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素について、両者の階調値が異なるように各々の階調値を設定する。これにより、解像度変換画像データは、明るい画素と暗い画素とが上下方向に隣接して配置される。これにより、上下方向の視野角が拡大される。以上より、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合には、変換後の画像データを広視野角化することができる。
【選択図】図1
【解決手段】取得した元画像データを構成する各画素からそれぞれ複数の画素を作成して画素数を増加させることにより、解像度を増加させた解像度変換画像データを生成する。そうして得られた解像度変換画像データについて、視野角の調整が行われる。具体的には、解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素について、両者の階調値が異なるように各々の階調値を設定する。これにより、解像度変換画像データは、明るい画素と暗い画素とが上下方向に隣接して配置される。これにより、上下方向の視野角が拡大される。以上より、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合には、変換後の画像データを広視野角化することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データの解像度変換手法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年では、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置に搭載する表示装置の大画面サイズ化、高解像度化が進んでおり、従来より画素数の多い高解像度の画像データをより大きな画面上に表示することが可能となっている。
【0003】
しかし、そのような大画面表示又は高解像度表示(以下、単純に「高解像度表示」と呼ぶ。)に対応する高解像度画像データはそのデータ量も多い。このため、高解像度画像データを常に送受信していたのでは、通信費が必要以上に高価になってしまうという欠点がある。また、携帯端末装置に各種のコンテンツを提供するサービス提供者側も、既存の画面サイズに対応する画像データに加えて、高解像度画像データを用意し、高解像度の表示装置を有する利用者に対しては高解像度画像データを提供する必要がある。このため、サービス提供者側もいくつもの画像データを用意し、保存しなければならず、開発費や設備コストが増大するという欠点がある。
【0004】
このような点から、既存の携帯端末装置の画面サイズに対応する画像データと、高解像度画像データとを使い分ける方法が考えられている。即ち、通常の画面サイズの画像データの使用で十分な種類のコンテンツ提供サービスの場合には既存の画面サイズに対応する画像データ(以下、便宜上「低解像度画面データ」と呼ぶ。)を送受信し、高解像度画像を表示することが要求されるコンテンツ提供サービスの場合には高解像度画像データを送受信する。
【0005】
高解像度に対応した携帯端末装置は、高解像度画像データを受信した場合にはそれをそのまま表示する。一方、低解像度画像データを受信した場合には、携帯端末装置内部で解像度変換処理を施し、違和感の無い高解像度画像データを作成して表示するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような携帯端末装置の表示装置としては、小型、軽量であることなどの理由から液晶表示装置が広く使用されている。しかし、液晶表示装置には本質的に視野角の問題があり、液晶パネルに対する観察方向に依存して色特性が変化したりコントラストが低下する。また、TN(Twisted-Nematic)モード液晶の場合には、特に上下方向の視野角が狭いという性質がある。
【0007】
本発明は、低解像度画像データを解像度変換して表示する際に、視野角を改善することにより違和感の無い高解像度画像データを作成することが可能な、画像データの解像度変換手法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、画像表示装置は、表示部と、元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換手段と、前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整手段と、前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示手段と、を備える。
【0009】
上記の画像表示装置は、例えば携帯電話やPDAなどに搭載することができ、外部から送信された画像データなどを処理して表示する。具体的には、取得した元画像データを構成する各画素からそれぞれ複数の画素を作成して画素数を増加させることにより、解像度を増加させた解像度変換画像データを生成する。これは、例えば元画像データ中の各画素を、縦横2倍して4画素とすることにより行われる。そうして得られた解像度変換画像データについて、視野角の調整が行われる。具体的には、解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素について、両者の階調値が異なるように各々の階調値を設定する。これにより、解像度変換画像データは、明るい画素と暗い画素とが上下方向に隣接して配置され、上下方向の視野角が拡大される。そして、解像度変換画像データが表示部に表示される。以上より、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合には、変換後の画像データを広視野角化することができる。
【0010】
上記の画像表示装置の一態様では、前記視野角調整手段は、前記上下方向に隣接する画素の階調値を、所定の階調値以上異ならせることができる。このように、所定の階調値以上の差異を設けることにより、視野角を確実に改善することが可能となる。
【0011】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、前記表示部の表示特性に基づいて、前記各画素の階調値を設定することができる。これによれば、実際に画像データを表示する表示部の特性に基づいて各画素の階調値を設定するので、解像度変換がなされ、かつ視野角が改善された画像データを正しい明るさや色で表示することが可能となる。
【0012】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、前記表示部の表示特性を記憶したルックアップテーブルと、前記ルックアップテーブルを参照して前記各画素の階調値を決定する手段と、を備えることができる。これにより、予め表示部特性を記憶したルックアップテーブルから画素値を取得するという単純な処理により、表示特性に従って各画素の階調値を決定することができる。
【0013】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、前記解像度変換画像データ中の各画素を構成するサブピクセルの階調値を、上下方向に隣接するサブピクセルが異なる階調値を有するように設定することができる。これによれば、サブピクセル単位で上下方向に階調値が異なるので視野角が改善されるとともに、上下方向に隣接するサブピクセル間の階調値の違いを人間の視覚上目立たなくすることができる。
【0014】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、R、G、Bの各色毎に前記表示部の表示特性を記憶したルックアップテーブルと、前記ルックアップテーブルを参照して、各色毎に前記サブピクセルの階調値を決定する手段と、を備えることができる。
【0015】
視野角特性は厳密にはR、G、Bの各色毎に異なることが知られているので、R、G、Bの各色毎の表示特性に従って各色のサブピクセルの階調値を決定することにより、より適切に視野角を改善することが可能となる。
【0016】
上記の画像表示装置の他の一態様は、広視野角モードと狭視野角モードの選択指示を受け取る入力手段をさらに備え、前記表示手段は、前記広視野角モードが選択されている場合には前記視野角調整手段による調整が行われた前記解像度変換画像データを表示し、前記狭視野角モードが選択されている場合には前記視野角調整手段による調整が行われていない前記解像度変換画像データを表示する。
【0017】
この態様によれば、画像表示装置の利用者は、自らの好みに応じて、広視野角モードと狭視野角モードのいずれかを選択することができる。広視野角モードが選択されているときには、解像度変換画像データを構成する画素に上下方向に階調差を与えて視野角を改善する。一方、狭視野角モードが選択されているときには、そのような階調差を与えないこととして、視野角を拡大することなく画像データを表示する。
【0018】
本発明の他の観点では、表示部を備える画像表示装置において実行される画像表示方法は、元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換工程と、前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整工程と、前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示工程と、を有する。
【0019】
この画像表示方法によれば、上述の画像表示装置と同様に、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合に変換後の画像データを広視野角化することができる。
【0020】
また、本発明の他の観点では、表示部及びコンピュータを備える画像表示装置において実行される画像表示プログラムは、前記コンピュータを、元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換手段、前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整手段、前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示手段、として機能させる。
【0021】
この画像表示プログラムを、表示部を有する画像表示装置内のコンピュータにより実行させることで、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合に変換後の画像データを広視野角化することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0023】
[携帯端末装置の構成]
図1に、本発明の実施形態にかかる解像度変換手法を適用した携帯端末装置の概略構成を示す。図1において、携帯端末装置210は、例えば携帯電話やPDAなどの端末装置である。携帯端末装置210は、表示装置212と、送受信部214と、CPU216と、入力部218と、プログラムROM220と、RAM224とを備える。
【0024】
表示装置212は、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)などの軽量、薄型の表示装置とすることができ、表示エリア内に画像データを表示する。表示装置212は、例えば横方向と縦方向の画素数が240×320ドットなどの高解像度表示が可能なものである。
【0025】
送受信部214は、外部から画像データを受信する。画像データの受信は、例えば利用者が携帯端末装置210を操作してコンテンツ提供サービスを行うサーバ装置などに接続し、所望の画像データをダウンロードする指示を入力することにより行われる。また、他の利用者の携帯端末装置から、顔画像データなどを受信する場合にも、送受信部214がその画像データを受信する。送受信部214が受信した画像データはRAM224に保存することができる。
【0026】
入力部218は、携帯電話であれば各種の操作ボタンなど、PDAであればタッチペンなどによる接触を検出するタブレットなどにより構成することができ、ユーザが各種の指示、選択を行う際に使用される。入力部218に対して入力された指示、選択などは、電気信号に変換されてCPU216へ送られる。
【0027】
プログラムROM220は、携帯端末装置210の各種機能を実行するための各種プログラムを記憶し、特に本実施形態では画像データを表示装置212に表示するための画像表示プログラム、低解像度画像データを高解像度画像データに変換し、表示装置212に表示させるための解像度変換プログラムなどを記憶している。
【0028】
RAM224は、解像度変換プログラムに従って低解像度画像データを高解像度画像データに変換する際などに作業用メモリとして使用される。また、前述のように、送受信部214が受信した外部からの画像データを必要に応じて保存することもできる。
【0029】
CPU216は、プログラムROM220内に記憶されている各種プログラムを実行することにより、携帯端末装置210の各種機能を実行する。特に、本実施形態では、プログラムROM220内に記憶されている解像度変換プログラムを読み出して実行することにより、低解像度画像データを高解像度画像データに変換する。また、同じくプログラムROM220内に記憶されている画像表示プログラムを読み出して実行することにより、画像データ(低解像度画像データ及び高解像度画像データを含む)を表示装置212上に表示させる。また、CPU216は、これら以外に各種のプログラムを実行することにより携帯端末装置210の各種機能を実現するが、それらは本発明とは直接の関連を有しないので、説明を省略する。
【0030】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、例えば横方向及び縦方向が120×160画素程度の既存の画面サイズに対応する画像データを低解像度画像データと呼び、横方向及び縦方向が240×320画素程度の画面サイズに対応する画像データを高解像度画像データと呼ぶ。また、低解像度データを本発明の解像度変換方法により変換して得られた240×320画素程度の画面サイズに対応する画像データを解像度変換画像データと呼ぶ。
【0031】
[解像度変換処理]
次に、本実施形態による解像度変換処理、及びそれに伴う視野角調整処理について説明する。
【0032】
(単純な解像度変換)
まず、図2(a)に、視野角調整を伴わない単純な解像度変換処理を模式的に示す。図2(a)の例は、1画素を縦方向及び横方向に2倍に拡大して4画素とする解像度変換の例である。この場合、処理前の1画素を単純に4つ隣接させて4画素の画像データを作成する。単純な解像度変換処理では、処理前後の画素の階調値は変化しない。例えば図2(a)の例で、変換前の1画素の階調値が「16」であるとすると、解像度変換処理後の4つの画素の階調値はいずれも「16」のままである。よって、特に視野角の改善は得られない。
【0033】
(基本的な視野角調整)
次に、基本的な視野角調整を適用した解像度変換処理方法を図2(b)に模式的に示す。前述のように、TNモード液晶の場合、上下方向の視野角が狭いという性質がある。よって、上下方向の視野角を広げる手法として、上下方向に配置する画素に階調差を与える方向が知られている。1つの典型的な例では、図2(b)に示すように、1つの画素を解像度変換処理において拡大する際に、上下方向に配列される画素の階調値に差を与える。図2(b)の例では、解像度変換の対象となる画素の階調値が「16」であるとし、その1画素を縦方向及び横方向に2倍して4画素とする際に、4つの画素の階調値を「16」のままではなく、例えば「24」と「8」というように差を設ける。そして、階調値が異なる画素のペアを上下方向に並ぶように配置する。図2(b)の例では、階調値「8」の画素と階調値「24」の画素とが上下方向に並ぶように配置されている。
【0034】
このように、上下方向に配置される画素の階調値が異なるように、1画素を拡大して解像度変換を行うことにより、上下方向の視野角を改善することができる。なお、基本的には、上下方向に隣接して配置される画素の階調値差が大きいほど、視野角の増加度合いは大きくなる。よって、解像度変換処理を行う際に、上下方向に隣接配置される画素の階調値差を調整することにより、視野角の改善度合いを調整することができる。また、上下方向に隣接する画素間に、少なくとも所定の階調値差を与えることにより、解像度の改善効果が確実に得られるようにすることができる。
【0035】
(RGB毎の視野角調整)
上述のように、解像度変換処理により1画素を例えば2×2の4画素に拡大する場合、上下方向に位置する画素の階調値が異なるように画素を配置することにより、上下方向の視野角を改善することができる。
【0036】
しかし、実際のTNモード液晶においては、R(赤)、G(緑)、B(青)の色毎に、視野角依存性が異なることが測定によりわかっている。1画素は、R、G、B各色のサブピクセルにより構成されているので、解像度変換処理により上下方向に配置されるサブピクセルの階調値を、R、G、Bの各色毎に個別に設定することにより、各色毎に適切な視野角調整を行うことができる。
【0037】
図3は、RGBのサブピクセル毎に階調値を調整する解像度変換処理の例を示している。解像度変換前の1画素の階調値がRGBともに「127」であったとする。図3に示す解像度変換後の4画素において、最も左のRのサブピクセルは上側が階調値「64」、下側が階調値「188」であるのに対し、その右側のGのサブピクセルは上側が階調値「68」、下側が階調値「186」である。また、さらにその右側のBのサブピクセルは上側が階調値「70」、下側が階調値「184」である。このように、RGBの色毎に、解像度変換後の各サプピクセルの階調値の割り当てを異ならせることにより、各色毎に適切な視野角調整を行うことができる。その結果、視野角によって現れる不要な色のモワレなどを除去することができる。
【0038】
(表示特性を考慮した視野角調整)
次に、表示装置の表示特性、具体的にはガンマ(γ)特性やトーン特性などを考慮した視野角調整方法を説明する。上述の視野角調整方法では、上下方向に配置される画素の階調値に階調値の差、即ち明暗の差を与えて視野角を広げている。しかし、実際にどの程度の階調値差を与えるのがよいかは、実験的あるいは統計的に決定されるものであった。
【0039】
これに対し、実際にどの程度の階調値差を与えるかを、表示装置の物理的な表示特性、具体的にはガンマ特性やトーン特性を考慮して決定すれば、使用する表示装置に適合した視野角調整が可能となる。この方法について、以下に説明する。
【0040】
図4(a)に、あるTNモード液晶パネルの透過率特性(トーン特性)例を示す。なお、トーン特性とは、対象となる液晶パネルに対して、あるレベル(階調値)の入力を与えたときに、実際にどのレベル(階調値)の出力が得られるかを示す特性であり、図4(a)に示すように、横軸に入力階調値、縦軸に出力階調値が示される。
【0041】
図4(a)において、特性C1は液晶パネル面に対して垂直方向(0度方向とする)から人間が観察した場合のトーン特性であり、特性C2は液晶パネル面に対して−30度方向から人間が観察した場合のトーン特性であり、特性C3は液晶パネル面に対して+30度方向から人間が観察した場合のトーン特性である。
【0042】
なお、液晶パネル面と特性C1〜C3に対応する観察方向との関係を図4(d)に模式的に示している。図4(d)において、液晶パネル面Pに対して、垂直、−30度及び+30度で観察した特性がそれぞれ特性C1〜C3である。
【0043】
図4(a)に示すように、0度の観察方向に対応する特性C1は入力階調度と出力階調度とがほぼ比例関係にあるのに対し、−30度の観察方向に対応する特性C2は出力画素値が明るい側に湾曲しており、逆に+30度の観察方向に対応する特性C3は出力画素値が暗い側に湾曲している。つまり、0度の観察方向から液晶パネル面Pを見ると、入力画素値にほぼ比例した明るさである画素を観察することができるが、人間が−30度の観察方向から観察すると同じ画素がかなり明るく見える。また、人間が+30度の観察方向から観察すると同じ画素がかなり暗く見える。
【0044】
実際に人間が液晶パネルを観察する際には、観察方向が±30度ぐらい変化することは多いので、その程度の観察方向の変化があった場合でも、ある画素がなるべく同じ明るさで見えること、又は、少なくとも極端に明るく見えたり暗く見えたりすることがないことが好ましい。
【0045】
そこで、本例では、図5(a)及び(b)に示すように、解像度変換により1画素を4画素に拡大する際に、上下方向に隣接する2つの画素のうち一方を特性C2に対応する階調値とし、他方を特性C3に対応する階調値とする。こうすることにより、液晶パネルを観察する人間は、特性C2による階調値と特性C3による階調値の平均的な階調値(つまり、平均的な明るさ)で画素を観察することになる。
【0046】
例えば、図4(a)のトーン特性において、階調値が「a」である1画素を解像度変換して4画素を構成した場合、図5(c)に示すように、特性C2に対応する画素の階調値は「La2」となり、特性C3に対応する画素の階調値は「La3」となる。よって、人間はこの4画素をまとめて見た場合には両者の平均値である階調値「La」でその画素を認識することになり(図4(a)の点Paに対応する)、特性C2とC3の中間にある階調値で画素を認識することになる。
【0047】
上記の例では、入力階調値「a」が中間的な輝度レベルであったが、例えば入力階調値が暗めの輝度レベル「b」であった場合を図4(b)に示す。この場合、図5(d)に示すように、特性C2に対応する画素の階調値は「Lb2」となり、特性C3に対応する画素の階調値は「Lb3」となる。よって、人間はこの4画素をまとめて見た場合には両者の平均値である階調値「Lb」でその画素を認識することになり(図4(b)の点Pbに対応する)、特性C2とC3の中間にある階調値で画素を認識することになる。この例の場合、特性C3よる出力階調値Lb3はかなり暗いが、特性C2による出力階調値Lb2は明るいので、特性C3のみの場合のように画素が暗すぎる状態で表示されるという不具合がなくなる。
【0048】
逆に、例えば入力階調値が明るめの輝度レベル「c」であった場合を図4(c)に示す。この場合、図5(e)に示すように、特性C2に対応する画素の階調値は「Lc2」となり、特性C3に対応する画素の階調値は「Lc3」となる。よって、人間はこの4画素をまとめて見た場合には両者の平均値である階調値「Lc」でその画素を認識することになり(図4(c)の点Pcに対応する)、特性C2とC3の中間にある階調値で画素を認識することになる。この例の場合、特性C2よる出力階調値Lc2は、それのみではかなり明るいが、特性C3による出力階調値Lc3はそれより暗いので、特性C2のみの場合のように画素が明るすぎる状態で表示されるという不具合がなくなる。
【0049】
以上のように、解像度変換により1画素を4画素に拡大する際、上下に隣接する画素の一方を−30度の観察方向に対応するトーン特性C2に対応する階調値とし、他方を+30度の観察方向に対応するトーン特性C3に対応する階調値とすることにより、拡大後の4画素を観察する人間は特性C2とC3の平均的な輝度レベル(明るさ)で画素を認識することになり、画素が暗く又は明るく見えすぎるという不具合は生じない。また、実際には、観察時に液晶パネルの方向や人間の視線方向などが多少変化するが、観察中にそれらが多少(厳密には±30度の範囲内で)変化しても人間の目で観察される画素の明るさは特性C2とC3の間に維持されるので、画素が暗く又は明るく見えすぎるという不具合は生じない。よって、この方法は、対象となる液晶パネルの物理的な特性に基づいて、その液晶パネルに対して適切な視野角調整を可能とする方法である。
【0050】
なお、実際の階調値の決定処理としては、まず、図4(a)に示す特性C2及びC3を予めルックアップテーブル(LUT)などに記憶しておく。そして、解像度変換により拡大の対象となる1画素が決まると、LUTを参照し、特性C2及びC3においてその階調値に対応する出力階調値を取得して、拡大後の4画素の階調値に割り当てればよい(図5参照)。
【0051】
また、以上の説明では、図4(a)に示すトーン特性をRGB3色共通のものとしている。実際には、前述のように、RGBの各色毎に視野角特性が異なることがわかっているので、上記のトーン特性もRGB毎に異なるものを用意してLUTに記憶しておき、各色毎に階調値を設定することがより好ましい。なお、その場合には、1画素を構成するRGBのサブピクセル毎に対応するLUT中のトーン特性を参照して階調値を決定することになる。
【0052】
また、上記の例では、液晶パネル面Pに対して±30度の観察方法に対応する特性を利用しているが、この角度に限らず、本発明を適用する携帯端末装置の構造や用途などに応じて、利用者が観察する可能性が高い特定の角度における特性を考慮して階調値を決定することが望ましい。
【0053】
(視野角改善パターン)
次に、視野角を改善するためのパターンについて説明する。既に述べたように、基本的には、解像度変換により得られる画素について、上下方向に隣接する画素が十分離れた階調値を有すれば、視野角の改善効果が得られる。例えば前述のように、解像度変換により1画素を4画素に拡大する場合には、図6に示すような幾つかのパターンが考えられる。
【0054】
図6におけるパターン40は、上下方向に隣接する画素の階調値の差がない又は少ないパターンであり、視野角の改善効果は得られない。
【0055】
パターン41及び42は、画素単位で上下方向に隣接する画素の階調値に差を与えたものである。具体的には、パターン41では左上の画素41a及び右下41dの画素の階調値が低く、左下の画素41b及び右上の画素41cの階調値が高い。また、パターン42では、上側2つの画素42a及び42cの階調値が低く、下側2つの画素42b及び42dの階調値が高い。なお、これと逆に、上側2つの画素42a及び42cの階調値が高く、下側2つの画素42b及び42dの階調値が低いパターンも考えられる。このように画素単位で上下方向に階調差を与える手法では、解像度の改善効果が得られる。基本的には、上下方向の画素の階調差が大きいほど解像度の改善効果は大きくなる。
【0056】
パターン43及び44は、画素単位ではなく、サブピクセル単位で上下方向に階調差を与えたものである。サブピクセルとは、1画素を構成する単位であり、通常はR、G、B色のいずれかの色の表示領域により構成される。R、G、Bのサブピクセルが集合して1画素が構成される。
【0057】
図6に示すパターン43では、左上の画素43aのR及びBのサブピクセルの階調値が低く、Gのサブピクセルの階調値が高い。一方、左下の画素43bのR及びBのサブピクセルの階調値は高く、Gのサブピクセルの階調値は低い。このように、サブピクセル単位で上下方向に階調差を与えることによっても、上下方向の視野角が改善される。パターン44は、上側2つの画素44a及び44cを構成する全てのサブピクセルの階調値が低く、下側2つの画素44b及び44dを構成する全てのサブピクセルの階調値が高い。これも、上下方向を逆にしたパターンとしてもよい。
【0058】
このように、サブピクセル単位で上下方向に階調差を与える方法は、画素単位で上下方向に階調差を与える方法と比較して、階調差を設けたパターンを人間の目に目立ちにくくすることができるという利点がある。即ち、人間の目の解像度を超える空間周波数でとパターンの解像度を設定することができれば、そのパターンにおける階調差、即ちサブピクセルの明暗は人間の目では認識しにくくなる。よって、サブピクセル単位で上下方向の階調差を与えたパターンを使用すれば、パターン中における明暗の変化が目立たないようにし、かつ、視野角を改善することが可能になる。
【0059】
なお、解像度変換により縦横方向に2倍の拡大を行う際に、パターン42又は44のように横方向に階調値が同一の画素を配置する場合は、液晶表示パネルの駆動方式次第では、隣接する2つの画素で同一のデータを共有して画素を駆動し、表示を行うことができるので、その場合にはパターン42又は44を使用すると低消費電力化が可能となる。
【0060】
[表示制御処理]
次に、上記の解像度変換処理を利用した表示制御処理について説明する。なお、以下に説明する表示制御処理は、図1に示す携帯端末装置210のCPU216が、プログラムROM220に予め用意された表示制御プログラム及び解像度変換プログラムを実行することにより行われる。
【0061】
図7に、携帯端末装置210にて行われる表示制御処理のフローチャートを示す。まず、携帯端末装置210は、外部のサーバその他から、表示の対象となる画像データを受信する(ステップS1)。なお、この場合、受信する画像データは、携帯端末装置210内の表示装置212の解像度より低い画素数を有する低解像度画像データであるとする。
【0062】
CPU1は、受信した低解像度画像データに対して、解像度変換を行う(ステップS2)。具体的には、図2〜図6などに例示したいずれかの方法で、例えば1画素を4画素に拡大する処理を行うとともに、同時に上下方向に画素又はサブピクセル単位で階調差を与えて視野角の改善を行った結果の画像データ(「解像度変換画像データ」と呼ぶ。)を作成する(ステップS2)。そして、CPU1は、そうして作成された解像度変換画像データを表示装置212に供給し、表示させる(ステップS3)。こうして、携帯端末装置210は、低解像度画像データを受信してそれを高解像度の画像データに変換し、違和感なく表示することができる。また、その際に、先に述べたいずれかの手法で視野角の改善処理を施すので、解像度変換後に表示される画像データを広視野角化することができる。
【0063】
次に、同一の携帯端末装置210で、広視野角モードと狭視野角モードのモード選択を可能とした場合の表示制御処理について説明する。液晶パネルを利用した携帯端末装置では、通常は利用者が見やすくなるので視野角が広い方が好ましい。しかし、例えば携帯電話などの場合、電車の中など回りに人が大勢いるような環境で表示内容を見ることも多く、隣や向かい側にいる人に表示内容が見られることのないように、あえて視野角を狭くしたいという要求もある。そこで、以下の表示制御処理では、広視野角モードと狭視野角モードを利用者が選択可能とする。
【0064】
図8は、そのような視野角モード選択を採り入れた表示制御処理のフローチャートである。まず、CPU1は外部のサーバなどから、表示対象となる画像データを受信する(ステップS11)。そして、受信した画像データが、高解像度画像データであるか、低解像度画像データであるかを判定する(ステップS12)。なお、高解像度画像データとは、当該携帯端末装置210内の表示装置212が有する表示画素数に適合した画素数を有する画像データである。
【0065】
高解像度画像データを受信した場合(ステップS12;Yes)には、その画像データをそのまま表示すればよく、解像度変換を行う必要はないので、処理は後述のステップS16へ進む。一方、低解像度画像データを受信した場合(ステップS12;No)、CPU1はその時点で利用者が広視野角モードを選択しているか否かを判定する(ステップS13)。なお、利用者は、広視野角モードと低視野角モードの選択を、携帯端末装置210の入力部218を操作することにより行うことができる。
【0066】
そして、広視野角モードが選択されている場合(ステップS13;Yes)、CPU1は図7の表示制御処理の場合と同様に、解像度変換を行うとともに、上下方向の画素に階調差を与えて解像度改善処理を行う(ステップS14)。
【0067】
一方、狭視野角モードが選択されている場合(ステップS13;No)、CPU1は視野角改善処理を伴わずに解像度変換を行う(ステップSS15)。なお、視野角改善処理を行わない場合の解像度変換処理は、例えば図2(a)に示すように、拡大後の画素が上下方向に階調差を有しない、又は、小さな階調差しか有しないように画素の拡大を行うものである。
【0068】
そして、CPU1は最後に、得られた高解像度画像データを表示装置212に供給し、表示させる。以上の処理により、利用者が広視野角モードを選択している場合には、解像度変換後の画像データは広視野角となり、利用者が低視野角モードを選択している場合には、解像度返還後の画像データは視野角の改善がなされていない結果、低視野角となる。
【0069】
[変形例]
以上の説明は、基本的にTNモード液晶の上下方向の視野角が狭いという性質を考慮して上下方向の視野角を改善する例であった。しかし、同様の手法により左右方向の視野角を改善することも可能である。その場合には、解像度変換後に得られる画素のうち左右方向に隣接する画素の階調値に同様に十分な階調差を与えればよい。
【0070】
上述した実施形態では、電気光学材料として、液晶(LC)を用いた電気光学素子を例に説明した。液晶としては、例えば、TN(Twisted Nematic)型のほか、180以上のねじれ配向を有するSTN(Super Twisted Nematic)型、BTN(Bi-stable Twisted Nematic)型、強誘電型等のメモリ性を有する双安定型、高分子分散型、ゲストホスト型等を含めて、周知なものを広く用いることができる。また、本発明は、3端子スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)以外に、例えばTFD(Thin Film Diode)といった2端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス型パネルに対しても適用可能である。それとともに、本発明は、スイッチング素子を用いないパッシブマトリクス型パネルに対しても適用可能である。さらに、液晶以外の電気光学材料、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、或いは、プラズマ発光や電子放出による蛍光等を用いた様々な電気光学素子に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の解像度変換処理を適用した携帯端末装置の概略構成を示す。
【図2】単純な解像度変換処理、及び、視野角調整を伴う解像度変換方法を模式的に示す。
【図3】RGB毎の視野角調整を伴う解像度変換方法を模式的に示す。
【図4】表示装置の表示特性を考慮した視野角調整方法の概念を説明するための図である。
【図5】表示装置の表示特性を考慮した視野角調整方法を模式的に示す。
【図6】視野角の改善が可能なパターン例を示す。
【図7】携帯端末装置による表示制御処理のフローチャートである。
【図8】視野角のモード選択が可能な表示制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
210 携帯端末装置、 212 表示装置、 214 処理フォントメモリ、 216 CPU、 218 入力部、 220 プログラムROM、 224 RAM
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データの解像度変換手法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年では、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置に搭載する表示装置の大画面サイズ化、高解像度化が進んでおり、従来より画素数の多い高解像度の画像データをより大きな画面上に表示することが可能となっている。
【0003】
しかし、そのような大画面表示又は高解像度表示(以下、単純に「高解像度表示」と呼ぶ。)に対応する高解像度画像データはそのデータ量も多い。このため、高解像度画像データを常に送受信していたのでは、通信費が必要以上に高価になってしまうという欠点がある。また、携帯端末装置に各種のコンテンツを提供するサービス提供者側も、既存の画面サイズに対応する画像データに加えて、高解像度画像データを用意し、高解像度の表示装置を有する利用者に対しては高解像度画像データを提供する必要がある。このため、サービス提供者側もいくつもの画像データを用意し、保存しなければならず、開発費や設備コストが増大するという欠点がある。
【0004】
このような点から、既存の携帯端末装置の画面サイズに対応する画像データと、高解像度画像データとを使い分ける方法が考えられている。即ち、通常の画面サイズの画像データの使用で十分な種類のコンテンツ提供サービスの場合には既存の画面サイズに対応する画像データ(以下、便宜上「低解像度画面データ」と呼ぶ。)を送受信し、高解像度画像を表示することが要求されるコンテンツ提供サービスの場合には高解像度画像データを送受信する。
【0005】
高解像度に対応した携帯端末装置は、高解像度画像データを受信した場合にはそれをそのまま表示する。一方、低解像度画像データを受信した場合には、携帯端末装置内部で解像度変換処理を施し、違和感の無い高解像度画像データを作成して表示するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような携帯端末装置の表示装置としては、小型、軽量であることなどの理由から液晶表示装置が広く使用されている。しかし、液晶表示装置には本質的に視野角の問題があり、液晶パネルに対する観察方向に依存して色特性が変化したりコントラストが低下する。また、TN(Twisted-Nematic)モード液晶の場合には、特に上下方向の視野角が狭いという性質がある。
【0007】
本発明は、低解像度画像データを解像度変換して表示する際に、視野角を改善することにより違和感の無い高解像度画像データを作成することが可能な、画像データの解像度変換手法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、画像表示装置は、表示部と、元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換手段と、前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整手段と、前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示手段と、を備える。
【0009】
上記の画像表示装置は、例えば携帯電話やPDAなどに搭載することができ、外部から送信された画像データなどを処理して表示する。具体的には、取得した元画像データを構成する各画素からそれぞれ複数の画素を作成して画素数を増加させることにより、解像度を増加させた解像度変換画像データを生成する。これは、例えば元画像データ中の各画素を、縦横2倍して4画素とすることにより行われる。そうして得られた解像度変換画像データについて、視野角の調整が行われる。具体的には、解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素について、両者の階調値が異なるように各々の階調値を設定する。これにより、解像度変換画像データは、明るい画素と暗い画素とが上下方向に隣接して配置され、上下方向の視野角が拡大される。そして、解像度変換画像データが表示部に表示される。以上より、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合には、変換後の画像データを広視野角化することができる。
【0010】
上記の画像表示装置の一態様では、前記視野角調整手段は、前記上下方向に隣接する画素の階調値を、所定の階調値以上異ならせることができる。このように、所定の階調値以上の差異を設けることにより、視野角を確実に改善することが可能となる。
【0011】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、前記表示部の表示特性に基づいて、前記各画素の階調値を設定することができる。これによれば、実際に画像データを表示する表示部の特性に基づいて各画素の階調値を設定するので、解像度変換がなされ、かつ視野角が改善された画像データを正しい明るさや色で表示することが可能となる。
【0012】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、前記表示部の表示特性を記憶したルックアップテーブルと、前記ルックアップテーブルを参照して前記各画素の階調値を決定する手段と、を備えることができる。これにより、予め表示部特性を記憶したルックアップテーブルから画素値を取得するという単純な処理により、表示特性に従って各画素の階調値を決定することができる。
【0013】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、前記解像度変換画像データ中の各画素を構成するサブピクセルの階調値を、上下方向に隣接するサブピクセルが異なる階調値を有するように設定することができる。これによれば、サブピクセル単位で上下方向に階調値が異なるので視野角が改善されるとともに、上下方向に隣接するサブピクセル間の階調値の違いを人間の視覚上目立たなくすることができる。
【0014】
上記の画像表示装置の他の一態様では、前記視野角調整手段は、R、G、Bの各色毎に前記表示部の表示特性を記憶したルックアップテーブルと、前記ルックアップテーブルを参照して、各色毎に前記サブピクセルの階調値を決定する手段と、を備えることができる。
【0015】
視野角特性は厳密にはR、G、Bの各色毎に異なることが知られているので、R、G、Bの各色毎の表示特性に従って各色のサブピクセルの階調値を決定することにより、より適切に視野角を改善することが可能となる。
【0016】
上記の画像表示装置の他の一態様は、広視野角モードと狭視野角モードの選択指示を受け取る入力手段をさらに備え、前記表示手段は、前記広視野角モードが選択されている場合には前記視野角調整手段による調整が行われた前記解像度変換画像データを表示し、前記狭視野角モードが選択されている場合には前記視野角調整手段による調整が行われていない前記解像度変換画像データを表示する。
【0017】
この態様によれば、画像表示装置の利用者は、自らの好みに応じて、広視野角モードと狭視野角モードのいずれかを選択することができる。広視野角モードが選択されているときには、解像度変換画像データを構成する画素に上下方向に階調差を与えて視野角を改善する。一方、狭視野角モードが選択されているときには、そのような階調差を与えないこととして、視野角を拡大することなく画像データを表示する。
【0018】
本発明の他の観点では、表示部を備える画像表示装置において実行される画像表示方法は、元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換工程と、前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整工程と、前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示工程と、を有する。
【0019】
この画像表示方法によれば、上述の画像表示装置と同様に、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合に変換後の画像データを広視野角化することができる。
【0020】
また、本発明の他の観点では、表示部及びコンピュータを備える画像表示装置において実行される画像表示プログラムは、前記コンピュータを、元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換手段、前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整手段、前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示手段、として機能させる。
【0021】
この画像表示プログラムを、表示部を有する画像表示装置内のコンピュータにより実行させることで、元画像データに対して解像度の変換処理を行う場合に変換後の画像データを広視野角化することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0023】
[携帯端末装置の構成]
図1に、本発明の実施形態にかかる解像度変換手法を適用した携帯端末装置の概略構成を示す。図1において、携帯端末装置210は、例えば携帯電話やPDAなどの端末装置である。携帯端末装置210は、表示装置212と、送受信部214と、CPU216と、入力部218と、プログラムROM220と、RAM224とを備える。
【0024】
表示装置212は、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)などの軽量、薄型の表示装置とすることができ、表示エリア内に画像データを表示する。表示装置212は、例えば横方向と縦方向の画素数が240×320ドットなどの高解像度表示が可能なものである。
【0025】
送受信部214は、外部から画像データを受信する。画像データの受信は、例えば利用者が携帯端末装置210を操作してコンテンツ提供サービスを行うサーバ装置などに接続し、所望の画像データをダウンロードする指示を入力することにより行われる。また、他の利用者の携帯端末装置から、顔画像データなどを受信する場合にも、送受信部214がその画像データを受信する。送受信部214が受信した画像データはRAM224に保存することができる。
【0026】
入力部218は、携帯電話であれば各種の操作ボタンなど、PDAであればタッチペンなどによる接触を検出するタブレットなどにより構成することができ、ユーザが各種の指示、選択を行う際に使用される。入力部218に対して入力された指示、選択などは、電気信号に変換されてCPU216へ送られる。
【0027】
プログラムROM220は、携帯端末装置210の各種機能を実行するための各種プログラムを記憶し、特に本実施形態では画像データを表示装置212に表示するための画像表示プログラム、低解像度画像データを高解像度画像データに変換し、表示装置212に表示させるための解像度変換プログラムなどを記憶している。
【0028】
RAM224は、解像度変換プログラムに従って低解像度画像データを高解像度画像データに変換する際などに作業用メモリとして使用される。また、前述のように、送受信部214が受信した外部からの画像データを必要に応じて保存することもできる。
【0029】
CPU216は、プログラムROM220内に記憶されている各種プログラムを実行することにより、携帯端末装置210の各種機能を実行する。特に、本実施形態では、プログラムROM220内に記憶されている解像度変換プログラムを読み出して実行することにより、低解像度画像データを高解像度画像データに変換する。また、同じくプログラムROM220内に記憶されている画像表示プログラムを読み出して実行することにより、画像データ(低解像度画像データ及び高解像度画像データを含む)を表示装置212上に表示させる。また、CPU216は、これら以外に各種のプログラムを実行することにより携帯端末装置210の各種機能を実現するが、それらは本発明とは直接の関連を有しないので、説明を省略する。
【0030】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、例えば横方向及び縦方向が120×160画素程度の既存の画面サイズに対応する画像データを低解像度画像データと呼び、横方向及び縦方向が240×320画素程度の画面サイズに対応する画像データを高解像度画像データと呼ぶ。また、低解像度データを本発明の解像度変換方法により変換して得られた240×320画素程度の画面サイズに対応する画像データを解像度変換画像データと呼ぶ。
【0031】
[解像度変換処理]
次に、本実施形態による解像度変換処理、及びそれに伴う視野角調整処理について説明する。
【0032】
(単純な解像度変換)
まず、図2(a)に、視野角調整を伴わない単純な解像度変換処理を模式的に示す。図2(a)の例は、1画素を縦方向及び横方向に2倍に拡大して4画素とする解像度変換の例である。この場合、処理前の1画素を単純に4つ隣接させて4画素の画像データを作成する。単純な解像度変換処理では、処理前後の画素の階調値は変化しない。例えば図2(a)の例で、変換前の1画素の階調値が「16」であるとすると、解像度変換処理後の4つの画素の階調値はいずれも「16」のままである。よって、特に視野角の改善は得られない。
【0033】
(基本的な視野角調整)
次に、基本的な視野角調整を適用した解像度変換処理方法を図2(b)に模式的に示す。前述のように、TNモード液晶の場合、上下方向の視野角が狭いという性質がある。よって、上下方向の視野角を広げる手法として、上下方向に配置する画素に階調差を与える方向が知られている。1つの典型的な例では、図2(b)に示すように、1つの画素を解像度変換処理において拡大する際に、上下方向に配列される画素の階調値に差を与える。図2(b)の例では、解像度変換の対象となる画素の階調値が「16」であるとし、その1画素を縦方向及び横方向に2倍して4画素とする際に、4つの画素の階調値を「16」のままではなく、例えば「24」と「8」というように差を設ける。そして、階調値が異なる画素のペアを上下方向に並ぶように配置する。図2(b)の例では、階調値「8」の画素と階調値「24」の画素とが上下方向に並ぶように配置されている。
【0034】
このように、上下方向に配置される画素の階調値が異なるように、1画素を拡大して解像度変換を行うことにより、上下方向の視野角を改善することができる。なお、基本的には、上下方向に隣接して配置される画素の階調値差が大きいほど、視野角の増加度合いは大きくなる。よって、解像度変換処理を行う際に、上下方向に隣接配置される画素の階調値差を調整することにより、視野角の改善度合いを調整することができる。また、上下方向に隣接する画素間に、少なくとも所定の階調値差を与えることにより、解像度の改善効果が確実に得られるようにすることができる。
【0035】
(RGB毎の視野角調整)
上述のように、解像度変換処理により1画素を例えば2×2の4画素に拡大する場合、上下方向に位置する画素の階調値が異なるように画素を配置することにより、上下方向の視野角を改善することができる。
【0036】
しかし、実際のTNモード液晶においては、R(赤)、G(緑)、B(青)の色毎に、視野角依存性が異なることが測定によりわかっている。1画素は、R、G、B各色のサブピクセルにより構成されているので、解像度変換処理により上下方向に配置されるサブピクセルの階調値を、R、G、Bの各色毎に個別に設定することにより、各色毎に適切な視野角調整を行うことができる。
【0037】
図3は、RGBのサブピクセル毎に階調値を調整する解像度変換処理の例を示している。解像度変換前の1画素の階調値がRGBともに「127」であったとする。図3に示す解像度変換後の4画素において、最も左のRのサブピクセルは上側が階調値「64」、下側が階調値「188」であるのに対し、その右側のGのサブピクセルは上側が階調値「68」、下側が階調値「186」である。また、さらにその右側のBのサブピクセルは上側が階調値「70」、下側が階調値「184」である。このように、RGBの色毎に、解像度変換後の各サプピクセルの階調値の割り当てを異ならせることにより、各色毎に適切な視野角調整を行うことができる。その結果、視野角によって現れる不要な色のモワレなどを除去することができる。
【0038】
(表示特性を考慮した視野角調整)
次に、表示装置の表示特性、具体的にはガンマ(γ)特性やトーン特性などを考慮した視野角調整方法を説明する。上述の視野角調整方法では、上下方向に配置される画素の階調値に階調値の差、即ち明暗の差を与えて視野角を広げている。しかし、実際にどの程度の階調値差を与えるのがよいかは、実験的あるいは統計的に決定されるものであった。
【0039】
これに対し、実際にどの程度の階調値差を与えるかを、表示装置の物理的な表示特性、具体的にはガンマ特性やトーン特性を考慮して決定すれば、使用する表示装置に適合した視野角調整が可能となる。この方法について、以下に説明する。
【0040】
図4(a)に、あるTNモード液晶パネルの透過率特性(トーン特性)例を示す。なお、トーン特性とは、対象となる液晶パネルに対して、あるレベル(階調値)の入力を与えたときに、実際にどのレベル(階調値)の出力が得られるかを示す特性であり、図4(a)に示すように、横軸に入力階調値、縦軸に出力階調値が示される。
【0041】
図4(a)において、特性C1は液晶パネル面に対して垂直方向(0度方向とする)から人間が観察した場合のトーン特性であり、特性C2は液晶パネル面に対して−30度方向から人間が観察した場合のトーン特性であり、特性C3は液晶パネル面に対して+30度方向から人間が観察した場合のトーン特性である。
【0042】
なお、液晶パネル面と特性C1〜C3に対応する観察方向との関係を図4(d)に模式的に示している。図4(d)において、液晶パネル面Pに対して、垂直、−30度及び+30度で観察した特性がそれぞれ特性C1〜C3である。
【0043】
図4(a)に示すように、0度の観察方向に対応する特性C1は入力階調度と出力階調度とがほぼ比例関係にあるのに対し、−30度の観察方向に対応する特性C2は出力画素値が明るい側に湾曲しており、逆に+30度の観察方向に対応する特性C3は出力画素値が暗い側に湾曲している。つまり、0度の観察方向から液晶パネル面Pを見ると、入力画素値にほぼ比例した明るさである画素を観察することができるが、人間が−30度の観察方向から観察すると同じ画素がかなり明るく見える。また、人間が+30度の観察方向から観察すると同じ画素がかなり暗く見える。
【0044】
実際に人間が液晶パネルを観察する際には、観察方向が±30度ぐらい変化することは多いので、その程度の観察方向の変化があった場合でも、ある画素がなるべく同じ明るさで見えること、又は、少なくとも極端に明るく見えたり暗く見えたりすることがないことが好ましい。
【0045】
そこで、本例では、図5(a)及び(b)に示すように、解像度変換により1画素を4画素に拡大する際に、上下方向に隣接する2つの画素のうち一方を特性C2に対応する階調値とし、他方を特性C3に対応する階調値とする。こうすることにより、液晶パネルを観察する人間は、特性C2による階調値と特性C3による階調値の平均的な階調値(つまり、平均的な明るさ)で画素を観察することになる。
【0046】
例えば、図4(a)のトーン特性において、階調値が「a」である1画素を解像度変換して4画素を構成した場合、図5(c)に示すように、特性C2に対応する画素の階調値は「La2」となり、特性C3に対応する画素の階調値は「La3」となる。よって、人間はこの4画素をまとめて見た場合には両者の平均値である階調値「La」でその画素を認識することになり(図4(a)の点Paに対応する)、特性C2とC3の中間にある階調値で画素を認識することになる。
【0047】
上記の例では、入力階調値「a」が中間的な輝度レベルであったが、例えば入力階調値が暗めの輝度レベル「b」であった場合を図4(b)に示す。この場合、図5(d)に示すように、特性C2に対応する画素の階調値は「Lb2」となり、特性C3に対応する画素の階調値は「Lb3」となる。よって、人間はこの4画素をまとめて見た場合には両者の平均値である階調値「Lb」でその画素を認識することになり(図4(b)の点Pbに対応する)、特性C2とC3の中間にある階調値で画素を認識することになる。この例の場合、特性C3よる出力階調値Lb3はかなり暗いが、特性C2による出力階調値Lb2は明るいので、特性C3のみの場合のように画素が暗すぎる状態で表示されるという不具合がなくなる。
【0048】
逆に、例えば入力階調値が明るめの輝度レベル「c」であった場合を図4(c)に示す。この場合、図5(e)に示すように、特性C2に対応する画素の階調値は「Lc2」となり、特性C3に対応する画素の階調値は「Lc3」となる。よって、人間はこの4画素をまとめて見た場合には両者の平均値である階調値「Lc」でその画素を認識することになり(図4(c)の点Pcに対応する)、特性C2とC3の中間にある階調値で画素を認識することになる。この例の場合、特性C2よる出力階調値Lc2は、それのみではかなり明るいが、特性C3による出力階調値Lc3はそれより暗いので、特性C2のみの場合のように画素が明るすぎる状態で表示されるという不具合がなくなる。
【0049】
以上のように、解像度変換により1画素を4画素に拡大する際、上下に隣接する画素の一方を−30度の観察方向に対応するトーン特性C2に対応する階調値とし、他方を+30度の観察方向に対応するトーン特性C3に対応する階調値とすることにより、拡大後の4画素を観察する人間は特性C2とC3の平均的な輝度レベル(明るさ)で画素を認識することになり、画素が暗く又は明るく見えすぎるという不具合は生じない。また、実際には、観察時に液晶パネルの方向や人間の視線方向などが多少変化するが、観察中にそれらが多少(厳密には±30度の範囲内で)変化しても人間の目で観察される画素の明るさは特性C2とC3の間に維持されるので、画素が暗く又は明るく見えすぎるという不具合は生じない。よって、この方法は、対象となる液晶パネルの物理的な特性に基づいて、その液晶パネルに対して適切な視野角調整を可能とする方法である。
【0050】
なお、実際の階調値の決定処理としては、まず、図4(a)に示す特性C2及びC3を予めルックアップテーブル(LUT)などに記憶しておく。そして、解像度変換により拡大の対象となる1画素が決まると、LUTを参照し、特性C2及びC3においてその階調値に対応する出力階調値を取得して、拡大後の4画素の階調値に割り当てればよい(図5参照)。
【0051】
また、以上の説明では、図4(a)に示すトーン特性をRGB3色共通のものとしている。実際には、前述のように、RGBの各色毎に視野角特性が異なることがわかっているので、上記のトーン特性もRGB毎に異なるものを用意してLUTに記憶しておき、各色毎に階調値を設定することがより好ましい。なお、その場合には、1画素を構成するRGBのサブピクセル毎に対応するLUT中のトーン特性を参照して階調値を決定することになる。
【0052】
また、上記の例では、液晶パネル面Pに対して±30度の観察方法に対応する特性を利用しているが、この角度に限らず、本発明を適用する携帯端末装置の構造や用途などに応じて、利用者が観察する可能性が高い特定の角度における特性を考慮して階調値を決定することが望ましい。
【0053】
(視野角改善パターン)
次に、視野角を改善するためのパターンについて説明する。既に述べたように、基本的には、解像度変換により得られる画素について、上下方向に隣接する画素が十分離れた階調値を有すれば、視野角の改善効果が得られる。例えば前述のように、解像度変換により1画素を4画素に拡大する場合には、図6に示すような幾つかのパターンが考えられる。
【0054】
図6におけるパターン40は、上下方向に隣接する画素の階調値の差がない又は少ないパターンであり、視野角の改善効果は得られない。
【0055】
パターン41及び42は、画素単位で上下方向に隣接する画素の階調値に差を与えたものである。具体的には、パターン41では左上の画素41a及び右下41dの画素の階調値が低く、左下の画素41b及び右上の画素41cの階調値が高い。また、パターン42では、上側2つの画素42a及び42cの階調値が低く、下側2つの画素42b及び42dの階調値が高い。なお、これと逆に、上側2つの画素42a及び42cの階調値が高く、下側2つの画素42b及び42dの階調値が低いパターンも考えられる。このように画素単位で上下方向に階調差を与える手法では、解像度の改善効果が得られる。基本的には、上下方向の画素の階調差が大きいほど解像度の改善効果は大きくなる。
【0056】
パターン43及び44は、画素単位ではなく、サブピクセル単位で上下方向に階調差を与えたものである。サブピクセルとは、1画素を構成する単位であり、通常はR、G、B色のいずれかの色の表示領域により構成される。R、G、Bのサブピクセルが集合して1画素が構成される。
【0057】
図6に示すパターン43では、左上の画素43aのR及びBのサブピクセルの階調値が低く、Gのサブピクセルの階調値が高い。一方、左下の画素43bのR及びBのサブピクセルの階調値は高く、Gのサブピクセルの階調値は低い。このように、サブピクセル単位で上下方向に階調差を与えることによっても、上下方向の視野角が改善される。パターン44は、上側2つの画素44a及び44cを構成する全てのサブピクセルの階調値が低く、下側2つの画素44b及び44dを構成する全てのサブピクセルの階調値が高い。これも、上下方向を逆にしたパターンとしてもよい。
【0058】
このように、サブピクセル単位で上下方向に階調差を与える方法は、画素単位で上下方向に階調差を与える方法と比較して、階調差を設けたパターンを人間の目に目立ちにくくすることができるという利点がある。即ち、人間の目の解像度を超える空間周波数でとパターンの解像度を設定することができれば、そのパターンにおける階調差、即ちサブピクセルの明暗は人間の目では認識しにくくなる。よって、サブピクセル単位で上下方向の階調差を与えたパターンを使用すれば、パターン中における明暗の変化が目立たないようにし、かつ、視野角を改善することが可能になる。
【0059】
なお、解像度変換により縦横方向に2倍の拡大を行う際に、パターン42又は44のように横方向に階調値が同一の画素を配置する場合は、液晶表示パネルの駆動方式次第では、隣接する2つの画素で同一のデータを共有して画素を駆動し、表示を行うことができるので、その場合にはパターン42又は44を使用すると低消費電力化が可能となる。
【0060】
[表示制御処理]
次に、上記の解像度変換処理を利用した表示制御処理について説明する。なお、以下に説明する表示制御処理は、図1に示す携帯端末装置210のCPU216が、プログラムROM220に予め用意された表示制御プログラム及び解像度変換プログラムを実行することにより行われる。
【0061】
図7に、携帯端末装置210にて行われる表示制御処理のフローチャートを示す。まず、携帯端末装置210は、外部のサーバその他から、表示の対象となる画像データを受信する(ステップS1)。なお、この場合、受信する画像データは、携帯端末装置210内の表示装置212の解像度より低い画素数を有する低解像度画像データであるとする。
【0062】
CPU1は、受信した低解像度画像データに対して、解像度変換を行う(ステップS2)。具体的には、図2〜図6などに例示したいずれかの方法で、例えば1画素を4画素に拡大する処理を行うとともに、同時に上下方向に画素又はサブピクセル単位で階調差を与えて視野角の改善を行った結果の画像データ(「解像度変換画像データ」と呼ぶ。)を作成する(ステップS2)。そして、CPU1は、そうして作成された解像度変換画像データを表示装置212に供給し、表示させる(ステップS3)。こうして、携帯端末装置210は、低解像度画像データを受信してそれを高解像度の画像データに変換し、違和感なく表示することができる。また、その際に、先に述べたいずれかの手法で視野角の改善処理を施すので、解像度変換後に表示される画像データを広視野角化することができる。
【0063】
次に、同一の携帯端末装置210で、広視野角モードと狭視野角モードのモード選択を可能とした場合の表示制御処理について説明する。液晶パネルを利用した携帯端末装置では、通常は利用者が見やすくなるので視野角が広い方が好ましい。しかし、例えば携帯電話などの場合、電車の中など回りに人が大勢いるような環境で表示内容を見ることも多く、隣や向かい側にいる人に表示内容が見られることのないように、あえて視野角を狭くしたいという要求もある。そこで、以下の表示制御処理では、広視野角モードと狭視野角モードを利用者が選択可能とする。
【0064】
図8は、そのような視野角モード選択を採り入れた表示制御処理のフローチャートである。まず、CPU1は外部のサーバなどから、表示対象となる画像データを受信する(ステップS11)。そして、受信した画像データが、高解像度画像データであるか、低解像度画像データであるかを判定する(ステップS12)。なお、高解像度画像データとは、当該携帯端末装置210内の表示装置212が有する表示画素数に適合した画素数を有する画像データである。
【0065】
高解像度画像データを受信した場合(ステップS12;Yes)には、その画像データをそのまま表示すればよく、解像度変換を行う必要はないので、処理は後述のステップS16へ進む。一方、低解像度画像データを受信した場合(ステップS12;No)、CPU1はその時点で利用者が広視野角モードを選択しているか否かを判定する(ステップS13)。なお、利用者は、広視野角モードと低視野角モードの選択を、携帯端末装置210の入力部218を操作することにより行うことができる。
【0066】
そして、広視野角モードが選択されている場合(ステップS13;Yes)、CPU1は図7の表示制御処理の場合と同様に、解像度変換を行うとともに、上下方向の画素に階調差を与えて解像度改善処理を行う(ステップS14)。
【0067】
一方、狭視野角モードが選択されている場合(ステップS13;No)、CPU1は視野角改善処理を伴わずに解像度変換を行う(ステップSS15)。なお、視野角改善処理を行わない場合の解像度変換処理は、例えば図2(a)に示すように、拡大後の画素が上下方向に階調差を有しない、又は、小さな階調差しか有しないように画素の拡大を行うものである。
【0068】
そして、CPU1は最後に、得られた高解像度画像データを表示装置212に供給し、表示させる。以上の処理により、利用者が広視野角モードを選択している場合には、解像度変換後の画像データは広視野角となり、利用者が低視野角モードを選択している場合には、解像度返還後の画像データは視野角の改善がなされていない結果、低視野角となる。
【0069】
[変形例]
以上の説明は、基本的にTNモード液晶の上下方向の視野角が狭いという性質を考慮して上下方向の視野角を改善する例であった。しかし、同様の手法により左右方向の視野角を改善することも可能である。その場合には、解像度変換後に得られる画素のうち左右方向に隣接する画素の階調値に同様に十分な階調差を与えればよい。
【0070】
上述した実施形態では、電気光学材料として、液晶(LC)を用いた電気光学素子を例に説明した。液晶としては、例えば、TN(Twisted Nematic)型のほか、180以上のねじれ配向を有するSTN(Super Twisted Nematic)型、BTN(Bi-stable Twisted Nematic)型、強誘電型等のメモリ性を有する双安定型、高分子分散型、ゲストホスト型等を含めて、周知なものを広く用いることができる。また、本発明は、3端子スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)以外に、例えばTFD(Thin Film Diode)といった2端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス型パネルに対しても適用可能である。それとともに、本発明は、スイッチング素子を用いないパッシブマトリクス型パネルに対しても適用可能である。さらに、液晶以外の電気光学材料、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、或いは、プラズマ発光や電子放出による蛍光等を用いた様々な電気光学素子に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の解像度変換処理を適用した携帯端末装置の概略構成を示す。
【図2】単純な解像度変換処理、及び、視野角調整を伴う解像度変換方法を模式的に示す。
【図3】RGB毎の視野角調整を伴う解像度変換方法を模式的に示す。
【図4】表示装置の表示特性を考慮した視野角調整方法の概念を説明するための図である。
【図5】表示装置の表示特性を考慮した視野角調整方法を模式的に示す。
【図6】視野角の改善が可能なパターン例を示す。
【図7】携帯端末装置による表示制御処理のフローチャートである。
【図8】視野角のモード選択が可能な表示制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
210 携帯端末装置、 212 表示装置、 214 処理フォントメモリ、 216 CPU、 218 入力部、 220 プログラムROM、 224 RAM
Claims (9)
- 表示部と、
元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換手段と、
前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整手段と、
前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする画像表示装置。 - 前記視野角調整手段は、前記上下方向に隣接する画素の階調値を、所定の階調値以上異ならせることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記視野角調整手段は、前記表示部の表示特性に基づいて、前記各画素の階調値を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記視野角調整手段は、
前記表示部の表示特性を記憶したルックアップテーブルと、
前記ルックアップテーブルを参照して前記各画素の階調値を決定する手段と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。 - 前記視野角調整手段は、前記解像度変換画像データ中の各画素を構成するサブピクセルの階調値を、上下方向に隣接するサブピクセルが異なる階調値を有するように設定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記視野角調整手段は、R、G、Bの各色毎に前記表示部の表示特性を記憶したルックアップテーブルと、
前記ルックアップテーブルを参照して、各色毎に前記サブピクセルの階調値を決定する手段と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。 - 広視野角モードと狭視野角モードの選択指示を受け取る入力手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記広視野角モードが選択されている場合には前記視野角調整手段による調整が行われた前記解像度変換画像データを表示し、前記狭視野角モードが選択されている場合には前記視野角調整手段による調整が行われていない前記解像度変換画像データを表示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像表示装置。 - 表示部を備える画像表示装置において実行される画像表示方法であって、
元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換工程と、
前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整工程と、
前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示工程と、を有することを特徴とする画像表示方法。 - 表示部及びコンピュータを備える画像表示装置において実行される画像表示プログラムであって、前記コンピュータを、
元画像データの各画素から複数の画素を作成し、作成された複数の画素を含む解像度変換画像データを生成する解像度変換手段、
前記解像度変換画像データ中の上下方向に隣接する画素の階調値が異なるように、前記解像度変換画像データ中の各画素の階調値を設定する視野角調整手段、
前記解像度変換画像データを前記表示部に表示する表示手段、として機能させることを特徴とする画像表示プログラム。
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-
2003
- 2003-08-28 JP JP2003209427A patent/JP2004163897A/ja not_active Withdrawn
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