JP2004163573A - 光パルス信号認識方法、光パルス信号認識装置、及び光分配器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で高速な光信号の複数ビットを一括して認識することができ、且つ一括認識する信号の識別能力向上を図る。
【解決手段】光ファイバー12から射出されたシリアル信号光は、レンズ14により平行信号光26とされ、1ビット分の信号光を透過又は遮断する透過部及び非透過部を互いに異なるパターンとなるように配置した複数のマスクパターンが形成されたマスク部材16を介して光スイッチ薄膜18に照射される。光スイッチ薄膜18では、制御光25が入射されると、各マスクパターンを透過した平行信号光26を透過すると共にパラレル信号に変換し、光検出器列24の当該マスクパターンに対応する光検出器により各々検出される。このとき各マスクパターンの透過部の個数(透過ビット数)に応じて透過率が異なるフィルター40を介することにより各光検出器の検出感度を調整し、各々の光検出強度を比較して信号光のビットパターンを特定する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバー12から射出されたシリアル信号光は、レンズ14により平行信号光26とされ、1ビット分の信号光を透過又は遮断する透過部及び非透過部を互いに異なるパターンとなるように配置した複数のマスクパターンが形成されたマスク部材16を介して光スイッチ薄膜18に照射される。光スイッチ薄膜18では、制御光25が入射されると、各マスクパターンを透過した平行信号光26を透過すると共にパラレル信号に変換し、光検出器列24の当該マスクパターンに対応する光検出器により各々検出される。このとき各マスクパターンの透過部の個数(透過ビット数)に応じて透過率が異なるフィルター40を介することにより各光検出器の検出感度を調整し、各々の光検出強度を比較して信号光のビットパターンを特定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムに用いる光パルス信号について、その全部または一部(例えば、パケット信号におけるヘッダー信号)を認識し得る光パルス信号認識方法、光パルス信号認識装置、及び光分配器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットを初めとするネットワークシステムにおけるデータ通信のより一層の高速化が要求されており、1Tb/s(テラビット/秒=1012ビット/秒)級の超高速光通信システムの必要性が高まっている。この1Tb/s級の超高速光通信システムの伝送方式としては、波長多重法、時分割多重法、及びパケット信号を伝送する方法等が考えられている。
【0003】
波長多重法は、10〜40Gbps(ギガビット/秒=109ビット/秒)の速度を持つ複数チャンネルの信号光の波長を少しずつ変えて多重化した上で光ファイバ伝送路に送出し、受光側で信号光を複数チャンネルに分配した上で読みとる方法である。この方法は、多重化前及び分配後の信号は、パケット信号になっている。
【0004】
時分割多重法は、10〜40Gb/sの速度を持つ複数チャンネルの信号光を時間的にシリアルな信号光に多重化して光ファイバ伝送路に送出し、受信側で信号光を複数チャンネルに分配した上で読み取る方法である。この方法も、多重化前及び分配後の信号は、パケット信号になっている。また、この方法は、多重化前及び分配後の信号を電気的に制御できる利点を有するが、多重化及び分配の際にはチャンネル間のタイミング制御を行わなければならない。
【0005】
それに対して、テラビット信号(テラビット級の信号をいう。)をパケットとして伝送する方法(パケット伝送方式)は、パケットごとに信号を処理できるので送受信のロジックを簡単化することができる。
【0006】
パケット信号を受信・分配する場合、各パケット信号の伝送先を認識し、そのパケット信号を伝送先の伝送路に振り分けなければならない。そのため、各パケット信号は、伝送先のアドレス情報を含んだヘッダー部分(ヘッダー信号)と、送信したい情報であるパケット信号本体(ペイロード)とから構成される。
【0007】
従来、ヘッダー信号を認識するためには、ヘッダー信号を一旦電気信号に変換した上で電気的に認識していた。
【0008】
しかしながら、現状では電気的処理速度は10Gbpsあるいは40Gbps程度が上限であって、それより高速の100Gbpsあるいは1Tbpsの信号を処理することはできない。仮に電気的に処理できるようになったとしても、多段階の演算が必要になるため、ヘッダー信号を電気的に認識するためのヘッダー認識装置の構成は複雑にならざるを得ず、認識速度が遅くなる。
【0009】
この問題を解決するための技術として、従来より、パケット信号に含まれているヘッダー情報を光信号のままで処理して認識する技術がある。この技術では、ヘッダー情報を表す光信号をシリアル−パラレル変換することにより、信号光パルスとアドレス信号とを1ビットずつ比較可能としている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−62558号公報
【特許文献2】
特開2001−305590号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、信号光パルスとアドレス信号とを1ビットずつ比較する技術では、多数の演算光回路を必要とするので構成が複雑であり、一括して処理と認識を行うことができない、という問題があった。
【0012】
このため、シリアル−パラレル変換した光信号を透過部及び非透過部の組合せから成るマスクパターンを介して検出するようにし、ヘッダー情報とマスクパターンとが一致するか否かの論理演算、すなわち排他的論理和(XOR)演算を実施して、ヘッダ情報を一義的に認識することも考えられるが、この場合、ビット値が「1」(又は「0」)のビット数が異なるビットパターンの識別が困難であるため、ヘッダー情報及びマスクパターンの種類に限定を加える必要がある。具体的には、以下の2つの限定方法がある。第1の限定方法は、1ビットで表現される論理値(True/False)を、2ビットの信号で表現する。第2の限定方法は、nビット(n:正の整数)の情報を2nビットの信号で表現し、且つ2nビットの信号のうち、「1」のビット数をn個、「0」のビットをn個とする。
【0013】
しかしながら、このようにヘッダー情報及びマスクパターンの種類に限定を加えると、信号のビット数に比べて、識別可能な信号のビットパターン(コード)数が少なくなってしまうという問題がある。例えば、4ビットの信号の場合、通常の2進法では16(=24)種類のビットパターンを表現可能であるにも係わらず、第1の限定方法では4種類、第2の限定方法では6種類のビットパターンしか識別できなくなってしまう。
【0014】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、簡単な構成で高速な光信号の複数ビットを一括して認識することができ、且つ一括認識する信号の識別能力向上を図ることができる光パルス信号認識方法、光パルス信号認識装置、及び光分配器を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のパルス信号認識装置は、非線形光学媒質を備え、該非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、照射されたシリアル信号光と前記制御光の重複領域において前記シリアル信号光を透過又は反射すると共にパラレル信号光に変換する光スイッチ手段と、前記シリアル信号光と同期し、且つ前記シリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、前記シリアル信号光と所定角度を成して前記光スイッチ手段に照射する制御光照射手段と、前記光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンにより検出する検出手段と、前記所定パターンにおいて検出可能な前記信号光の個数に応じて、前記検出手段の検出感度を調整する調整手段と、を有すること特徴としている。
【0016】
請求項1に記載のパルス信号認識装置は、高速応答性を有する非線形光学媒質を備えている。すなわち、この非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、光の吸収率や屈折率等が変化する。光スイッチ手段には、シリアル信号光が信号光照射手段等により照射される。そして、照射されたシリアル信号光と制御光の重複領域においては、非線形光学効果により、シリアル信号光が透過又は反射されると共にパラレル信号光に変換される。
【0017】
制御光照射手段は、シリアル信号光と同期し、かつシリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、シリアル信号光と所定角度を成して光スイッチ手段に照射する。これにより、制御光とシリアル信号光の重複領域がシリアル信号光の周期に同期して移動し、シリアル信号光から所定数の各信号光(パルス)が分離して取り出され、パラレル信号光が得られる。制御光の所定周期は、パラレル信号光の各信号光の数やシリアル信号光の周期等に基づいて定められる。
【0018】
検出手段は、光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組み合わせからなる予め定めた所定パターンにより検出する。この検出手段は、例えば、前記パラレル信号光の各信号光に対応した透過部及び非透過部から成るマスクパターンを備えたマスク部材と、前記パラレル信号光の光強度を検出する光強度検出手段とを含むように構成することができる。
【0019】
所定パターンによりパラレル信号光の各信号光を検出又は非検出することで、検出した信号光の個数、すなわち検出した光強度により、パラレル信号光のビットパターンがマスクパターンに一致するか否かを検出可能である。
【0020】
ここで、ビット値が「1」(又は「0」)のビット数が異なるパラレル信号光の場合、所定パターンにより検出される信号光の個数が同一になる可能性があるが、検出手段の検出感度は、調整手段により所定パターンにより検出可能な信号光の個数に応じて調整されるので、たとえ検出した信号光の個数が同一であっても、検出される光強度が異なるので、パラレル信号光のビットパターンを特定可能である。
【0021】
このように、パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンによりパラレル信号光を検出するため、簡単な構成で、且つ高速にパラレル信号光の各信号光、すなわちシリアルに入力された光パルス信号(シリアル信号光)の複数ビットを一括認識することができる。また、所定パターンにより検出可能な信号光の個数に応じて検出感度を調整するため、同一のビット数を一括認識するのであれば、従来よりも多くの種類のビットパターンを識別可能である。
【0022】
なお、上記の光パルス信号認識装置においては、請求項2に記載されているように、前記検出手段は、前記所定パターンにおける検出可能な信号光の個数をkとし、且つ該所定パターンによる前記パラレル信号光の検出感度をQkとして、
【0023】
【数3】
【0024】
を満たすように前記検出感度を調整するとよい。
【0025】
また、上記の光パルス信号認識装置においては、請求項3に記載されているように、前記検出手段は、互いに異なる複数の前記所定パターンによる検出結果の最大値を検出する最大値検出手段を備え、前記最大値検出手段により検出した最大値を得た前記所定パターンにより前記パラレル信号光のビットパターンを特定するようにするとよい。この場合、請求項4に記載されているように、前記検出手段は、少なくとも1つのビット値が「1」であるビットパターンのパラレル信号光を特定するようにし、識別対象のビットパターンから全てのビット値が「0」のビットパターンを除外するようにしてもよいし、請求項5に記載されているように、前記検出手段は、前記最大値検出手段により検出された前記最大値が予め定められた所定値よりも小さい場合、前記パラレル信号光はビット値が全て「0」の信号であると特定するようにしてもよい。
【0026】
なお、上記の光パルス信号認識装置は、以下のような光分配器に使用可能である。すなわち、請求項6に記載の光分配器は、前記請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光パルス信号認識装置と、前記シリアル信号光を前記光パルス信号認識装置による処理時間に応じて所定時間遅延して出力する遅延手段と、前記遅延手段から出力されたシリアル信号光を光パルス信号認識装置による認識結果に基づいて分配する切替スイッチと、を有することを特徴としている。
【0027】
この光分配器では、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光パルス信号認識装置を用いて、シリアル信号光(全て又は一部)を複数ビット一括認識すると共に、遅延手段により、シリアル信号光を光パルス信号認識装置による処理時間に応じて所定時間遅延して出力する。この遅延時間は、一括認識するパラレル信号光の各信号光の数やシリアル信号光の周期などに基づいて定められる。この遅延手段から出力されたシリアル信号光は、切替スイッチにより、光パルス信号認識装置による認識結果に基づいて分配される。このように、請求項1〜5の何れか1項に記載の光パルス信号認識装置を用いているため、高速にシリアル信号光を分配することができ、且つより多数に分配可能である。
【0028】
また、上記の光パルス信号認識装置により、以下の光パルス信号認識方法を容易に実現可能である。すなわち、請求項7に記載されているように、非線形光学媒質を備え、該非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、照射されたシリアル信号光と前記制御光の重複領域において前記シリアル信号光を透過又は反射すると共にパラレル信号光に変換する光スイッチ手段に対して、前記シリアル信号光と同期し、且つ前記シリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、前記シリアル信号光と所定角度を成して前記光スイッチ手段に照射し、前記光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンにより検出する光パルス信号認識方法において、前記所定パターンにおいて検出可能な信号光の個数に応じて、前記パラレル信号光の検出感度を調整する、ことを特徴とする。
【0029】
上記の光パルス信号認識方法においては、請求項8に記載されているように、前記所定パターンにおける検出可能な信号光の個数をkとし、且つ該所定パターンによる前記パラレル信号光の前記検出感度をQkとし、
【0030】
【数4】
【0031】
を満たすように前記検出感度を調整するとよい。
【0032】
また、請求項9に記載されているように、互いに異なる複数の前記所定パターンにより前記パラレル信号光の光量を検出し、検出光量が最大値を得た前記所定パターンにより前記パラレル信号光のビットパターンを特定するようにするとよい。この場合、請求項10に記載されているように、少なくとも1つのビット値が「1」であるビットパターンのパラレル信号光を特定するようにし、識別対象のビットパターンから全てのビット値が「0」のビットパターンを除外するようにしてもよいし、請求項11に記載されているように、前記最大値が予め定められた所定値よりも小さい場合、前記パラレル信号光はビット値が全て「0」の信号であると特定するようにしてもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明に係る実施形態の1例を詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の光パルス信号認識装置10を示す概略構成図である。光パルス信号認識装置10は、図1に示すように、信号光を射出する光ファイバー12と、光ファイバー12から射出された信号光パルス列であるシリアル信号光を平行化するレンズ14と、レンズ14を透過した信号光の一部を所定のパターンに従って透過させるためのマスクパターンが形成されたマスク部材16と、制御光が照射されることにより光透過率が変化する光スイッチ手段としての光スイッチ薄膜18と、制御光発生手段(不図示)からの光を射出する光ファイバー20及びレンズ22等を含んで構成される制御光照射手段としての制御光照射装置23と、光スイッチ薄膜18を透過した信号光を検出する光検出器列24と、から構成される。
【0035】
なお、本実施形態において、信号光は、光パルスがある時を「1」、無い時を「0」として各ビット値を表す。
【0036】
レンズ14は、光パルス信号であるテラビット級の光パルス列からなるパケット信号(シリアル信号)から、進行方向に垂直な面内で広がりがあり(進行方向に対して、面で進行する)、かつ、断面積が変動しない平行信号光26を形成するものである。すなわち、光ファイバー12等から射出された光パルス信号は、射出とともに拡大しレンズ14に到達すると、平行信号光26にされる。当該機能を有するものであれば、特にその構成は限定されるものではない。本実施形態においては、繰り返し周期1ps、パルス幅300fsの光パルス信号であるパケット信号のヘッダー信号を、レンズ14によりビーム径20mmの平行信号光26とした。
【0037】
マスク部材16には、詳細は後述するが、予め定めた所定のマスクパターンが形成されている。
【0038】
光スイッチ薄膜18は、所謂光空間スイッチであり、制御光25が入射中に光透過率が増加し、平行信号光26を透過し得る機能を有する。
【0039】
本発明に用いられる光スイッチ薄膜18としては、例えば特開平11−15031号公報に示されているように1Tbit/s以上のシリアル信号を空間的に1次元又は2次元の多チャンネルのパラレル信号に変換するものを用いればよい。具体的には、特開平11−282034号公報の段落番号0009〜段落番号0019間に開示されているスクエアリリウムJ会合体からなる色素会合体薄膜が好ましいものとして挙げられる。また、特願平11−125254号の段落番号0039〜段落番号0074間に開示されている色素会合体膜、並びに第1〜5の実施の形態の色素会合体Aからなる光スイッチも、好ましいものとして挙げられる。
【0040】
その他、高速光応答性を持つ光スイッチ薄膜の材料として、MQW(多重量子井戸構造)化合物半導体、フタロシアニン類の色素、ポリジアセチレンやポリチオフェンなどのπ共役系高分子、スクエアリリウムなどの色素会合体、C60やC70などのフラーレン薄膜などを用いることができる。また、波長変換材料であるBBO(β−BaB2O4)などを用いることもできる。
【0041】
本実施形態において、光スイッチ薄膜18としては、特願平11−125254号の段落番号0055に記載の色素会合体A(スクエアリリウムJ会合体薄膜)を用いた。当該色素会合体Aは、非線形光学効果がある非線形光学媒質であり、エネルギー密度0.1J/m2以上の光パルスが入射されると光透過率が増大する。
【0042】
制御光照射装置23は、平行信号光26と同期し、かつ光パルス信号である前記パケット信号よりも周期の長い、進行方向に垂直な面内で広がりのある(具体的には、ビーム径20mmの平行光である)制御光25を形成し、平行信号光26と所定の角度を以って光スイッチ薄膜18に照射する。本実施形態において、制御光25のエネルギーは50μJ(エネルギー密度として、約0.64J/m2)とした。
【0043】
なお、本実施形態において、光スイッチ薄膜18の膜面に対して、平行信号光26は垂直に入射し、制御光25は斜めに入射するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、両者の光が為す角が所定角度で一定であればよく、具体的に、本実施形態において、平行信号光26と制御光25との為す角としては、17°とした。なお、本発明において、詳細は後述するが、上記「所定角度」は、光パルス信号のうちパラレル信号光として切り出すべきビット数、光スイッチ薄膜18の面積、所望とするチャンネル数、光パルス信号(または平行信号光26)および制御光25の繰り返し周期・波長、平行信号光26および制御光25のビーム径、等から決定される。
【0044】
「平行信号光と同期」するとは、パケット信号光から変換された、制御すべき平行信号光26と同時に光スイッチ薄膜18に照射されるように、タイミングを合わせて制御光25が照射されることを示す。制御光25は、平行信号光26よりも周期(繰り返し周期)が長くなるように設定される。例えば、パケット信号のうち一部の信号(例えばヘッダー信号)のみを一括して認識するような場合には、ヘッダー信号が光スイッチ薄膜18に照射するときだけ制御光25が照射されればよいため、パケット信号のパケット長をAビット、平行信号光26の繰返し周期をB(ps)とすると、制御光25の繰返し周期Cは、C=B×A(ps)となる。また、パケット信号全てをDビットづつに分割して認識する場合には、制御光25はDビット毎に照射されればよいため、制御光25の繰返し周期Eは、E=B×D(ps)となる。なお、制御光25の波長は、使用する光スイッチ薄膜18の種類により異なり、光スイッチ薄膜18が光スイッチングされるものを適宜選択すればよい。
【0045】
光検出器列24には、詳細は後述するが、マスク部材16に形成されたマスクパターンの数と同じ数だけ光検出器が設けられ、それぞれが検出した光強度を光検出信号として出力する。
【0046】
次に、本実施形態の光パルス信号認識装置を用いて光パルス信号を認識する方法について説明する。まず、従来のようにマスク部材16が設けられていない場合の認識方法について説明する。
【0047】
光ファイバー12の端部からテラビット級の光パルス信号が射出されると、光パルス信号は拡大(拡散)する。当該拡大した光パルス信号、射出とともに拡大する。そしてレンズ14に照射されると、その屈折率によりビーム径20mmの平行信号光26に変換される。
【0048】
平行信号光26はそのまま進行し、光スイッチ薄膜18に照射される。また、平行信号光26と同期し、かつ光パルス信号である前記パケット信号よりも周期の長い、進行方向に垂直な面内で広がりのある制御光25を、平行信号光26と所定の角度を以って光スイッチ薄膜18に照射する。平行信号光26は選択的に光スイッチ薄膜18を透過し、ビット数n(nは正の整数)のパラレル信号光27が形成される。
【0049】
次に、一例として4ビットのパラレル信号光が形成される様子について図2を参照して説明する。
【0050】
平行信号光26は、光スイッチ薄膜18に対して垂直に照射される。一方、同様に波面を広げた制御光25は、光スイッチ薄膜18に対して傾斜した方向から、平行信号光と所定角度θを成して照射される(図2(A))。
【0051】
光スイッチ薄膜18に対して傾斜して入射する制御光25の光路差のため、制御光25が光スイッチ薄膜18に照射される時刻は、光スイッチ薄膜18の位置により異なる。すなわち、図2(B)に示すように、制御光25は最初にP点に当たり、経時とともに照射箇所が図2における上方へ移動し、図2(C)〜(E)に示すように、一定時間経過後にQ点、R点、S点に次々と照射されることになる。
【0052】
制御光25がP点に照射されるのと同時に平行信号光26の第1パルス26−1が照射されると、P点のみが制御光25の作用で光透過率が増加しているため、P点に当たった第1パルス26−1のみが光スイッチ薄膜18を透過し、その他の部分に当たった第1パルス26−1は、透過率が低いため光スイッチ薄膜18に吸収されてしまい透過しない。このようにして、第1パルス26−1のうちP点に当たった部分のみが切り出される(図2(B))。
【0053】
次に、制御光25がQ点に照射されるのと同時に平行信号光26の第2パルス26−2が照射され、上記第1パルス26−1の場合と同様、第2パルス26−2のうちQ点に当たった部分のみが切り出される(図2(C))。次にR点においても同様に、第3パルス26−3のうちR点に当たった部分のみが切り出され、パラレル信号光27が形成される(図2(D))。さらに、S点においても同様に、第4パルス26−4のうちS点に当たった部分のみが切り出され、パラレル信号光27が形成される(図2(E))。
【0054】
以上のようにして形成されたパラレル信号光27の各ビットは、図8に示すマスク部材がない従来構成の光パルス信号認識装置100では、対応するビットごとにそれぞれ独立して設けられた光論理演算素子により論理演算を行うことにより認識していた。この場合、多数の演算光回路を必要とするので構成が複雑であり、一括して処理と認識を行うことができない。
【0055】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、光スイッチ薄膜18の光入射面にマスク部材16を設けることにより、数ビット分の信号光を一括認識するように構成している。このマスク部材16には、図3(A)に示すように、入射光を透過させると透過部28Aと入射光を遮断する非透過部28Bを任意に組合せた複数のマスクパターンが形成されている。
【0056】
詳しくは、透過部28Aまたは非透過部28Bは伝送ビット1ビット分に対応し、マスクパターンは、光を透過する透過部28Aを「1」、光を透過しない非透過部28Bを「0」としてビット値を表している。マスク部材16には、認識対象の光信号のビット数をnとして、全ビットが「0」となるビットパターンを除いた(2n−1)種類分のマスクパターンが、各々のビットパターンをY軸方向に一致させた状態で、Z軸方向に沿って配列されている。なお、光スイッチ薄膜18面に対して垂直方向(信号光出力方向)をX軸方向、光スイッチ薄膜18面上における制御光25の照射位置移動方向をY軸方向、Y軸方向と直交する方向をZ軸方向としている。また、各マスクパターンを透過した光強度を検出するために、光スイッチ薄膜18の光出力方向には、(2n−1)個の光検出器をZ軸方向に沿って配列した光検出器列24が配置されている。
【0057】
具体的に、図3(A)は、パケット信号光に含まれているヘッダー情報のビット長を4ビットとした場合を示しており、マスク部材16には、15種類(=24−1)のマスクパターン16_1〜15がZ軸方向に沿って形成される。また、この場合、図3(B)に示すように、光検出器列24では、マスクパターン16_1〜15の各々に対応して15個の光検出器24_1〜15がZ軸方向に沿って配置される。なお、マスクパターン及び光検出器の符号末尾の数字1〜15は、マスク番号jを示している。
【0058】
本実施形態では、マスク周期、すなわち1つの透過部又は非透過部の幅(図3(B)においてY軸方向の長さ)を1mmとし、長さ(図3(A)においてZ軸方向の長さ)を1mm弱としており、マスクパターン16_1〜15全体におけるZ軸方向の長さが約15mmとなるように各マスクパターンを配置している。平行信号光26のビーム径は20mmであるため、マスクパターン16_1〜15の1ビット目(図3(A)において一番左側のビット)全てに平行信号光が同時に照射され、その後順に2〜4ビット目(図3(A)において一番右側のビット)まで照射される。平行信号光26は、マスク部材16の左側から右側へ向かって1mm/psの速度で順に照射される。
【0059】
このようなマスク部材16を介することにより、光スイッチ薄膜18からの出力光は、信号光パルス列のビットとマスクパターンのビットとの掛け算(AND)結果を示すものとなる。すなわち、信号光のi番目のビットをsi、マスクパターンのi番目のビットをmi、出力光のi番目のビットoiは、次式により表すことができる。
【0060】
oi=si∩mi …(1)
ところで、本実施形態では、所定角度を17°としたが、この所定角度は、以下のようにして決定される。
【0061】
図4に示すように、信号光と制御光との成す角度をθ、光速をc(m/s)、光スイッチ薄膜18上における制御光の速度をv(m/s)とすると、速度vは次式で表される。
【0062】
v=c/sinθ …(2)
また、信号光のパルス周期をT(ps)、マスク周期(マスク1ビット分の幅)をd(mm)とすると、マスク周期dは次式で表される。
【0063】
d=T・v=T・c/sinθ …(3)
ここで、本実施形態では、T=1(ps)、d=1(mm)であり、c=3×10−8(m/s)であるから、sinθは約0.3である必要があり、θは約17°となる。
【0064】
光検出器24_1〜15は、マスクパターン16_1〜15とその大きさが略同一となっており、マスクパターン16_1を透過した信号光は、光検出器24_1によりその光強度(に対応する物理量)が検出され、同様にマスクパターン16_2〜15を透過した信号光は、光検出器24_2〜15によりそれぞれ光強度が検出される。ここで、光検出器24_1〜15が同一感度の場合、例えば、光信号の伝送ビットパターン(すなわち入力信号)が「1110」の場合、「1111」のマスクパターン16_1と、「1110」のマスクパターン16_2のAND演算結果は同値となり、光検出器24_1、24_2で検出される光強度は同一となるため、光信号の伝送ビットパターンが「1111」なのか「1110」なのかを区別することができない。
【0065】
そこで、本実施形態においては、光検出器24_1〜15の感度が、各々対応するマスクパターン16_1〜15の光を透過する透過部28Aの個数、すなわち各マスクパターンにおける「1」のビット数(以下、透過ビット数)に応じて異なるように予め定められている。
【0066】
以下、光検出器の感度の設定例について詳細に説明する。なお、以下では、認識対象の光信号のビット数をnとし、nビットのうちk個が「1」、(n−1)個が「0」であるような信号光のことを、k次の信号光と称す。また、マスクパターンについては、透過部を「1」、非透過部を「0」として、マスクパターンのビット値を表し、nビットのうちk個が「1」、(n−1)個が「0」であるようなマスクパターンのことを、k次のマスクパターンと称す。
【0067】
k次のマスクパターンに対応する光検出器Dkとし、その感度をQkとすると、光検出器Dkの感度Qkをkに応じて変えて、kが大きいほどQkは小さくなるように設定する。詳しくは、D1の感度をQ1とし、k≧2については以下の条件式(4)のように設定すればよい。
【0068】
【数5】
【0069】
上記の条件式(4)を満たすQkとしては、例えば、次式のようなものがある。
【0070】
【数6】
【0071】
ここでk≧1、Cは定数である。
【0072】
詳しく説明すると、式(5)では、k=1に対しては、Q1=C/2なので、
【0073】
【数7】
【0074】
となる。したがって、k≧2の場合は、
【0075】
【数8】
【0076】
であるから、
【0077】
【数9】
【0078】
が成り立つ。また、
【0079】
【数10】
【0080】
であるから、
【0081】
【数11】
【0082】
が成り立つ。したがって、式(5)のQkは、条件式(4)を満足していると言える。
【0083】
また、条件式(4)を満たすQkとしては、例えば、次式のようなものもある。
【0084】
【数12】
【0085】
とする。ここでk≧1、Cは定数である。
【0086】
詳しく説明すると、式(6)では、k=1に対しては、Q1=Cなので、
【0087】
【数13】
【0088】
となる。したがって、k≧2の場合は、
【0089】
【数14】
【0090】
であるから、
【0091】
【数15】
【0092】
が成り立つ。また、
【0093】
【数16】
【0094】
であるから、
【0095】
【数17】
【0096】
が成り立つ。したがって、式(6)のQkは、条件式(4)を満足している。
【0097】
次に、前述した式(5)のように、Qkを設定した場合について、さらに具体的に説明する。
【0098】
k次の信号及びk次のマスクパターンにおけるビット値「1」が全て一致したときには、k個の光パルスが並列的に当該k次のマスクパターンから出力される。1つのパルスの強度をIとすると、k個のパルスによりkIの強度の光が対応する光検出器Dkに入力され、その出力Ok(k)は、次式のようになる。
【0099】
【数18】
【0100】
ここで、Ok(i)でkはマスクの次数、iはマスクを透過した光パルスの数を表す。
【0101】
上記と同一のk次の信号のビット値「1」が、(k−1)次のマスクパターンの全ての「1」と一致したときには、(k−1)個の光パルスが並列に当該(k−1)次のマスクパターンから出力される。その結果として、(k−1)Iの強度の光が光検出器Dk−1に入力され、その出力Ok−1(k−1)は、次式のようになる。
【0102】
【数19】
【0103】
上記式(7)、(8)より、k>1とすると、
【0104】
【数20】
【0105】
なので、明らかに、
Ok(k)>Ok−1(k−1)
が成り立っている。
【0106】
また、上記と同一のk次の信号のビット値「1」が、(k+1)次のマスクパターンのうちのk個のビット値「1」と一致したときには、k個の光パルスが並列に当該(k+1)次のマスクパターンから出力される。その結果として、kIの強度の光が光検出器Dk+1に入力され、その出力Ok+1(k)は、次式のようになる。
【0107】
【数21】
【0108】
上記式(7)、(9)より、k>1とすると、
【0109】
【数22】
【0110】
なので、明らかに、
Ok(k)>Ok+1(k)
が成り立っている。
【0111】
また、同一のk次の信号のビット値「1」が、k次のマスクパターンの(k−1)個のビット値「1」と一致したときには、(k−1)個の光パルスが並列に当該k次のマスクパターンから出力される。その結果として、(k−1)Iの強度の光が光検出器Dkに入力され、その出力Ok(k−1)は、次式のようになる。
【0112】
【数23】
【0113】
上記式(7)、(10)より、
【0114】
【数24】
【0115】
となり、明らかに、
Ok(k)>Ok(k−1)
が成り立っている。
【0116】
次に、条件式(4)が満たされない場合について説明する。条件式(4)が満たされない場合としては、例えば、感度一定、すなわち、Qkが次式のような場合がある。
【0117】
【数25】
【0118】
この場合、Ok(k)とOk+1(k)とが等しくなって(Ok(k)=Ok+1(k))、複数の光検出器が同一の最大出力を示すことになり、入力信号パターンを特定することが出来ない。
【0119】
また、条件式(4)が満たされない場合としては、例えば、Qkが次式のような場合もある。
【0120】
【数26】
【0121】
この場合、Ok(k)とOk−1(k−1)とが等しくなって(Ok(k)=Ok−1(k−1))、複数の光検出器が同一の最大出力を示すことになり、入力信号パターンを特定(区別)することが出来ない。
【0122】
上記以外の場合も含めて、光検出器出力の大小関係を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
上記の表からも分かるように、条件式(4)を満たす場合は、k次の信号とk次のマスクパターンのビット値「1」が全て一致したときの光検出器Dkの出力Ok(k)が、他の光検出器の出力よりも必ず大きくなる。したがって、最大出力を示す光検出器は唯一であって、最大出力を得た光検出器を特定することにより、光信号の伝送ビットパターンを特定することができる。すなわち、光検出器の出力を比較することで、光信号の伝送ビットパターンとマスクパターンとが一致するか否かの論理演算(排他的非論理和)、或いは不一致であるか否かの論理演算(排他的論理和)の演算を行うことができる。これにより、伝送ビットを複数ビット一括して認識することができ、パケット信号の一部、例えばヘッダー情報を一括認識したり、パケット信号を所定ビットずつ一括認識することができる
また、上記のように光検出器の感度を調整する方法としては、例えば、光検出器に入射する光量をパターン毎に制御する、光検出器の感度を印加バイアス電圧などにより調整する、増幅率調整などにより、光検出器の出力に所定の係数を掛ける演算を行う、などが挙げられる。
【0125】
本実施形態においては、具体的に、前述の式(5)に従って各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の感度を設定し、且つ、図1に示すように、光検出器列24の光入射面側に調整手段としてフィルター40を設けて、各光検出器24_jに入射する光量を制御することで、各々設定した感度となるように感度調整を行った。すなわち、光検出器24_1には透過率50%、光検出器24_2〜5には透過率58%、光検出器24_6〜11には透過率71%、光検出器24_12〜15には透過率100%のフィルター40をそれぞれ取り付けている。なお、光検出器24_12〜15については、フィルター40を省略しても同様である。
【0126】
これにより、ある4ビットの入力信号(光信号の伝送ビットパターン)Sに対して、光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)から最大の信号が得られた場合、マスクパターン16_j(jはマスク番号、1〜15の整数)のビットパターンをMjとして、S=Mjであると特定することができる。すなわち、入力信号が4ビットの場合は、15(=24)種類のビットパターンを識別可能である。
【0127】
例えば、入力信号が4次の信号、すなわちS=1111の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力(光検出信号の大きさ)は、次の表のようになる。
【0128】
【表2】
【0129】
この表から分かるように、j=1、すなわち光検出器24_1の出力(=2.00I)が最大となるため、
S=M1=1111
であると特定することができる。
【0130】
また、入力信号が3次の信号、例えばS=1110の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0131】
【表3】
【0132】
この表から分かるように、j=2、すなわち光検出器24_2の出力(=1.73I)が最大となるため、
S=M2=1110
であると特定することができる。
【0133】
また、入力信号が2次の信号、例えばS=1100の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0134】
【表4】
【0135】
この表から分かるように、j=6、すなわち光検出器24_6の出力(=1.41I)が最大となるため、
S=M6=1100
であると特定することができる。
【0136】
また、入力信号が1次の信号、例えばS=1000の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0137】
【表5】
【0138】
この表から分かるように、j=12、すなわち光検出器24_12の出力(=1.00I)が最大となるため、
S=M12=1000
であると特定することができる。
【0139】
このため本実施形態においては、図5に示すように、光検出器24_1〜15は、最大値検出器36と接続されており、光検出器24_1〜15により検出された光強度は、各々光検出信号35_1〜15として、最大値検出器36に入力されるようになっている(なお、図5では、光検出器及び最大値検出器以外の部材は省略している)。最大値検出器36は、最大値検出手段として機能するものであり、光検出信号35_1〜15を比較し、最大の値を有する光検出信号のみを出力する。或いは、最大値検出器36は、出力が最大であった光検出器を特定するための信号を出力するようにしてもよい。すなわち、最大値検出器36の出力により、入力信号を特定することができる。なお、本実施形態においては、この最大値検出器36、前述のマスク部材16及び光検出器列24により、本発明の検出手段が構成される。
【0140】
次に、上記の光パルス信号認識装置を用いた光分配器の具体的な構成例を説明する。図5に示すように、光分配器30は、上記で説明した光パルス信号認識装置10、遅延メモリー32、及び切替スイッチ34で構成されている。
【0141】
遅延メモリー32は、基幹ネットワークから送信されたパケット信号を、光パルス信号認識装置10の認識速度に応じて、所定時間遅延させて切替スイッチ34へ出力する。例えば、図3で示したように、マスク部材16に形成された各マスクパターンのビット数が4ビットの場合には、光スイッチ薄膜18によりパラレル信号光27に変換され、これが各光検出器24_1〜15で検出されて光検出信号が切替スイッチ34へ出力されるのに約4psかかるため、遅延メモリー32によるパケット信号の遅延時間は4psに設定される。すなわち、遅延メモリー32による遅延時間は、光パルス信号認識装置10により一括認識できる信号の認識時間と略一致するように設定される。
【0142】
光パルス信号認識装置10は、切替スイッチ34と接続されており、切替スイッチ34には、最大値検出器36の出力信号が入力されるようになっている。
【0143】
切替スイッチ34は、各光検出器、すなわち各マスクパターンに対応したスイッチ(SW)(図示省略)を含んで構成されており、各スイッチには、スイッチング信号として、各々対応する光検出信号35_1〜15が(必要に応じて増幅されて)入力され、スイッチング信号が入力された場合にのみ、スイッチをオンして遅延メモリー32から入力されたパケット信号を対応する自己のLAN又は基幹ネットワークへ送出し、スイッチング信号の入力がない場合には、スイッチをオフする機能を有する。
【0144】
すなわち、切替スイッチ34により、例えば、パケット信号がマスクパターン16_1〜14の何れかと一致した場合には、自己のLANへパケット信号が取り込まれ、パケット信号がマスクパターン16_15と一致した場合には、基幹ネットワークへパケット信号が送出される。なお、最大値検出器36が、出力が最大であった光検出器を特定するための信号を切替スイッチ34へ送出する場合は、切替スイッチ34では、この信号に基づいてパケット信号を分配するように構成すればよい。
【0145】
このように、本実施形態では、識別対象の入力信号(伝送ビットパターン)の種類毎に、当該信号のビットパターンと同一のマスクパターンが複数形成されたマスク部材を設けると共に、各マスクパターンに対応して光検出器を設け、各光検出器の感度を対応するマスクパターンの透過ビット数(「1」のビット数)に応じて変えたので、それぞれの光検出強度を比較するだけで容易に光スイッチ薄膜18からのパラレル信号光のビットパターンを検出することができる。従って、図8に示すようなマスク部材がない従来構成の光パルス信号認識装置100と比較して、簡単な構成で、かつ光信号のままで複数ビットを認識することができる。また、従来のように、ヘッダー情報やマスクパターンの種類に限定を加える必要もないため、信号のビット数に対する識別可能なビットパターンの種類を従来よりも多くすることができる。具体的に、例えば4ビット信号の場合、15(=24−1)種類のビットパターンを識別可能である。
【0146】
なお、本実施形態では、光スイッチ薄膜18にマスク部材16を重ね合わせた構成となっているが、これに限らず、マスク部材16を光スイッチ薄膜18から離間させ、光検出器列24との間に設けてもよい。また、平行化された制御光25あるいは平行化された信号光26の光路中に設けてもよい。また、図6に示すように、各光検出器24_1〜15をマスクパターンと同一形状にする、すなわち、マスクパターンの透過部に対応する位置にのみ光検出器の受光部を配置するようにし、マスク部材16を省略するようにしてもよい。
【0147】
また、本実施形態では、光パルス信号として、繰り返し周期1psのパルス列を用いており、このようにフェムト秒パルスの光パルス信号の認識をすることが勿論可能であるが、本発明においてはフェムト秒オーダーには限定されず、例えば、繰り返し周期10ps以下の光パルス列からなる光パルス信号について認識をすることも当然可能である。
【0148】
なお、本発明において空間光スイッチとしては、上記光スイッチ薄膜18の如き、平行信号光を選択的に透過する透過型のものには限定されず、平行信号光を選択的に反射する反射型の光スイッチであっても構わない。反射型の光スイッチを空間光スイッチとして用いた場合、制御光を反射面に対して垂直に、かつ、平行信号光を制御光に対して所定の角度を以って当該空間光スイッチに照射させる。該空間光スイッチは、制御光が入射しないときには、平行信号光の反射率は0に近く、制御光が入射している間だけ平行信号光26の反射率が増加する。
【0149】
このような反射型の光スイッチは、反射体表面あるいは透明な基板の裏面等に、光スイッチ薄膜を形成した構成である。例えば、光スイッチ薄膜自体、本実施形態で用いている光スイッチ薄膜18と同一のものを用い、反射体表面にこれを形成したものや、シリコン基板上に形成した低温成長Beドープ歪InGaAs/InAlAsのMQW(多重量子井戸)等を挙げることができる。
【0150】
以上、光パルス信号認識装置及び光分配器について説明したが、上記実施形態は、あくまでも例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、従来公知の如何なる構成をも転用および/または付加することができる。特に、上記実施形態における具体的な数値は、いずれも構成を説明するために便宜的に用いたものであり、本発明を具現化するに当たり、当業者は、所望とする作用・効果に応じて自由に設計することができる。例えば、認識に用いたパケット信号(光パルス信号)のヘッダー信号(光パルス信号の一部)のビット数は、任意のビット数に設定でき、その場合には、かかるビット数に応じたビット数のパラレル信号光を形成し、これに対応したマスクパターン、該マスクパターンに対応した光検出器を用意して、パラレル信号光のビットパターンを認識すればよい。
【0151】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0152】
上記第1実施形態では、0次の信号光、すなわち全ビットが「0」となるビットパターンを除いた場合を説明したが、第2実施形態では、0次の信号光も識別可能とした場合について説明する。信号光が0次の場合、光検出器の出力は何れも0となり、このことを利用して、0次の信号光を特定することができる。
【0153】
詳しくは、図7に示すように、0次のマスクパターンに対応する光検出器24_16を設けることで実現できる。なお、0次のマスクパターンは全ビットの信号光を遮光するものであるため、光検出器24_16には光は入射されない。したがって、光検出器24_16は、他の光検出器24_1〜15のように、光強度を検出する機能は必須ではなく、所定レベルの光検出信号を出力するもので代替することもでき、図7もこの場合を示している。また、この場合、0次のマスクパターンについても省略可能である。また、光パルス信号認識装置10の光検出器及び最大値検出器以外の構成については、第1実施形態と同様であるため、図7では省略している。
【0154】
この光検出器24_16の出力、すなわち0次のマスクパターンに対応する光検出器の出力O0は、次式を満たすように予め設定しておく。
【0155】
0<O0<O1(1) …(13)
例えば、次式のように設定すればよい。
【0156】
【数27】
【0157】
1次の入力信号があるときには、入力信号と一致する1次のマスクパターンに対応する光検出器の出力は、
O1(1)=I・Q1>O0
となり、1次の光検出器の出力は、0次の光検出器の出力よりも大きい。2次以上の入力信号があるときにも同様に、入力信号と一致する2次以上のマスクパターンの光検出器出力は、0次の光検出器出力よりも大きいので、最大出力を示す光検出器を特定することにより入力信号パターンを特定することが出来る。
【0158】
一方、0次の信号が入力すると、
O1(0)=0
なので、
O1(0)<O0
である。従って、0次の光検出器の出力が最大となって、0次の信号が入力したと特定できる。
【0159】
例えば、入力信号が4ビットであり、光検出器24_16が信号光入射のタイミングに合わせて、0.50Iの信号を出力するように設定した場合、入力信号が4次〜1次の信号ときに、各光検出器24_1〜15から得られる出力(光検出信号35_1〜15の値)の最大値は、表2〜5に示したように0.50Iよりも大きく、光検出器24_16の出力(=0.50I)が加わっても、最大出力が得られる光検出器及びマスクパターンが変わることはない。すなわち、入力信号が4次〜1次の信号の場合、特定される信号Sは第1実施形態と同じである。
【0160】
一方、入力信号が0次の信号、すなわちS=0000の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜16の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0161】
【表6】
【0162】
この表から分かるように、j=16、すなわち光検出器24_16の出力(=0.5I)が最大となるため、
S=M16=0000
であると特定することができる。
【0163】
最大値検出器36では、光パルス信号認識装置10の光検出器24_1〜16により検出された光強度を示す光検出信号35_1〜16を比較し、第1実施形態と同様に、最大の光検出信号を切替スイッチ34へ出力する。或いは、入力信号と一致するマスクパターンを特定するための信号を切替スイッチへ送出する。切替スイッチ34では、第1実施形態と同様に、この最大値検出器36からの信号に基づいて、遅延メモリー32から入力されたパケット信号をLAN又は基幹ネットワークへ分配する。
【0164】
このように、本実施形態では、0次の信号光も識別することができ、第1実施形態と比べて、さらに多くの種類のビットパターンを識別可能である。具体的に、例えば4ビットの信号の場合、16(=24)種類のビットパターン、すなわち4ビットで表現可能な全ビットパターンを識別可能である。
【0165】
なお、上記では、光検出器の出力の最大値を検出することで入力信号を特定できるように各光検出器の感度を定めた場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各光検出器の感度は、次数の異なる信号光を識別可能なように、マスクパターンの透過ビットに応じて適宜定めることができる。例えば、光検出器の出力の最小値を検出したり、或いは予め定められた所定値の出力を検出することで入力信号を特定できるように各光検出器の感度を定めてもよい。
【0166】
【発明の効果】
上記に示したように、本発明は、簡単な構成で高速な光信号の複数ビットを一括して認識することができ、且つ一括認する信号の識別能力を向上可能である、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るパルス信号認識装置の概略構成図である。
【図2】(A)〜(E)は、光スイッチ薄膜において、パラレル信号光が形成される様子を説明するための模式図である。
【図3】(A)はマスク部材16の平面図、(B)は、光検出器の配置を示す図である。
【図4】信号光と制御光とが成す角度について説明するための図である。
【図5】光検出器のほかの形態を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る光分配器の概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る光分配器の概略構成図である。
【図8】従来例に係るパルス信号認識装置の概略構成図である。
【符号の説明】
10 光パルス信号認識装置
12 光ファイバー
14 レンズ
16 マスク部材
16_1〜15 マスクパターン
18 光スイッチ薄膜
20 光ファイバー
22 レンズ
23 制御光照射装置
24 光検出器列
24_1〜16 光検出器
25 制御光
26 平行信号光
26_1〜4 パルス
27 パラレル信号光
28A 透過部
28B 非透過部
30 光分配器
32 遅延メモリー
34 切替スイッチ
35_1〜16 光検出信号
36 最大値検出器
40 フィルター
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムに用いる光パルス信号について、その全部または一部(例えば、パケット信号におけるヘッダー信号)を認識し得る光パルス信号認識方法、光パルス信号認識装置、及び光分配器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットを初めとするネットワークシステムにおけるデータ通信のより一層の高速化が要求されており、1Tb/s(テラビット/秒=1012ビット/秒)級の超高速光通信システムの必要性が高まっている。この1Tb/s級の超高速光通信システムの伝送方式としては、波長多重法、時分割多重法、及びパケット信号を伝送する方法等が考えられている。
【0003】
波長多重法は、10〜40Gbps(ギガビット/秒=109ビット/秒)の速度を持つ複数チャンネルの信号光の波長を少しずつ変えて多重化した上で光ファイバ伝送路に送出し、受光側で信号光を複数チャンネルに分配した上で読みとる方法である。この方法は、多重化前及び分配後の信号は、パケット信号になっている。
【0004】
時分割多重法は、10〜40Gb/sの速度を持つ複数チャンネルの信号光を時間的にシリアルな信号光に多重化して光ファイバ伝送路に送出し、受信側で信号光を複数チャンネルに分配した上で読み取る方法である。この方法も、多重化前及び分配後の信号は、パケット信号になっている。また、この方法は、多重化前及び分配後の信号を電気的に制御できる利点を有するが、多重化及び分配の際にはチャンネル間のタイミング制御を行わなければならない。
【0005】
それに対して、テラビット信号(テラビット級の信号をいう。)をパケットとして伝送する方法(パケット伝送方式)は、パケットごとに信号を処理できるので送受信のロジックを簡単化することができる。
【0006】
パケット信号を受信・分配する場合、各パケット信号の伝送先を認識し、そのパケット信号を伝送先の伝送路に振り分けなければならない。そのため、各パケット信号は、伝送先のアドレス情報を含んだヘッダー部分(ヘッダー信号)と、送信したい情報であるパケット信号本体(ペイロード)とから構成される。
【0007】
従来、ヘッダー信号を認識するためには、ヘッダー信号を一旦電気信号に変換した上で電気的に認識していた。
【0008】
しかしながら、現状では電気的処理速度は10Gbpsあるいは40Gbps程度が上限であって、それより高速の100Gbpsあるいは1Tbpsの信号を処理することはできない。仮に電気的に処理できるようになったとしても、多段階の演算が必要になるため、ヘッダー信号を電気的に認識するためのヘッダー認識装置の構成は複雑にならざるを得ず、認識速度が遅くなる。
【0009】
この問題を解決するための技術として、従来より、パケット信号に含まれているヘッダー情報を光信号のままで処理して認識する技術がある。この技術では、ヘッダー情報を表す光信号をシリアル−パラレル変換することにより、信号光パルスとアドレス信号とを1ビットずつ比較可能としている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−62558号公報
【特許文献2】
特開2001−305590号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、信号光パルスとアドレス信号とを1ビットずつ比較する技術では、多数の演算光回路を必要とするので構成が複雑であり、一括して処理と認識を行うことができない、という問題があった。
【0012】
このため、シリアル−パラレル変換した光信号を透過部及び非透過部の組合せから成るマスクパターンを介して検出するようにし、ヘッダー情報とマスクパターンとが一致するか否かの論理演算、すなわち排他的論理和(XOR)演算を実施して、ヘッダ情報を一義的に認識することも考えられるが、この場合、ビット値が「1」(又は「0」)のビット数が異なるビットパターンの識別が困難であるため、ヘッダー情報及びマスクパターンの種類に限定を加える必要がある。具体的には、以下の2つの限定方法がある。第1の限定方法は、1ビットで表現される論理値(True/False)を、2ビットの信号で表現する。第2の限定方法は、nビット(n:正の整数)の情報を2nビットの信号で表現し、且つ2nビットの信号のうち、「1」のビット数をn個、「0」のビットをn個とする。
【0013】
しかしながら、このようにヘッダー情報及びマスクパターンの種類に限定を加えると、信号のビット数に比べて、識別可能な信号のビットパターン(コード)数が少なくなってしまうという問題がある。例えば、4ビットの信号の場合、通常の2進法では16(=24)種類のビットパターンを表現可能であるにも係わらず、第1の限定方法では4種類、第2の限定方法では6種類のビットパターンしか識別できなくなってしまう。
【0014】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、簡単な構成で高速な光信号の複数ビットを一括して認識することができ、且つ一括認識する信号の識別能力向上を図ることができる光パルス信号認識方法、光パルス信号認識装置、及び光分配器を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のパルス信号認識装置は、非線形光学媒質を備え、該非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、照射されたシリアル信号光と前記制御光の重複領域において前記シリアル信号光を透過又は反射すると共にパラレル信号光に変換する光スイッチ手段と、前記シリアル信号光と同期し、且つ前記シリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、前記シリアル信号光と所定角度を成して前記光スイッチ手段に照射する制御光照射手段と、前記光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンにより検出する検出手段と、前記所定パターンにおいて検出可能な前記信号光の個数に応じて、前記検出手段の検出感度を調整する調整手段と、を有すること特徴としている。
【0016】
請求項1に記載のパルス信号認識装置は、高速応答性を有する非線形光学媒質を備えている。すなわち、この非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、光の吸収率や屈折率等が変化する。光スイッチ手段には、シリアル信号光が信号光照射手段等により照射される。そして、照射されたシリアル信号光と制御光の重複領域においては、非線形光学効果により、シリアル信号光が透過又は反射されると共にパラレル信号光に変換される。
【0017】
制御光照射手段は、シリアル信号光と同期し、かつシリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、シリアル信号光と所定角度を成して光スイッチ手段に照射する。これにより、制御光とシリアル信号光の重複領域がシリアル信号光の周期に同期して移動し、シリアル信号光から所定数の各信号光(パルス)が分離して取り出され、パラレル信号光が得られる。制御光の所定周期は、パラレル信号光の各信号光の数やシリアル信号光の周期等に基づいて定められる。
【0018】
検出手段は、光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組み合わせからなる予め定めた所定パターンにより検出する。この検出手段は、例えば、前記パラレル信号光の各信号光に対応した透過部及び非透過部から成るマスクパターンを備えたマスク部材と、前記パラレル信号光の光強度を検出する光強度検出手段とを含むように構成することができる。
【0019】
所定パターンによりパラレル信号光の各信号光を検出又は非検出することで、検出した信号光の個数、すなわち検出した光強度により、パラレル信号光のビットパターンがマスクパターンに一致するか否かを検出可能である。
【0020】
ここで、ビット値が「1」(又は「0」)のビット数が異なるパラレル信号光の場合、所定パターンにより検出される信号光の個数が同一になる可能性があるが、検出手段の検出感度は、調整手段により所定パターンにより検出可能な信号光の個数に応じて調整されるので、たとえ検出した信号光の個数が同一であっても、検出される光強度が異なるので、パラレル信号光のビットパターンを特定可能である。
【0021】
このように、パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンによりパラレル信号光を検出するため、簡単な構成で、且つ高速にパラレル信号光の各信号光、すなわちシリアルに入力された光パルス信号(シリアル信号光)の複数ビットを一括認識することができる。また、所定パターンにより検出可能な信号光の個数に応じて検出感度を調整するため、同一のビット数を一括認識するのであれば、従来よりも多くの種類のビットパターンを識別可能である。
【0022】
なお、上記の光パルス信号認識装置においては、請求項2に記載されているように、前記検出手段は、前記所定パターンにおける検出可能な信号光の個数をkとし、且つ該所定パターンによる前記パラレル信号光の検出感度をQkとして、
【0023】
【数3】
【0024】
を満たすように前記検出感度を調整するとよい。
【0025】
また、上記の光パルス信号認識装置においては、請求項3に記載されているように、前記検出手段は、互いに異なる複数の前記所定パターンによる検出結果の最大値を検出する最大値検出手段を備え、前記最大値検出手段により検出した最大値を得た前記所定パターンにより前記パラレル信号光のビットパターンを特定するようにするとよい。この場合、請求項4に記載されているように、前記検出手段は、少なくとも1つのビット値が「1」であるビットパターンのパラレル信号光を特定するようにし、識別対象のビットパターンから全てのビット値が「0」のビットパターンを除外するようにしてもよいし、請求項5に記載されているように、前記検出手段は、前記最大値検出手段により検出された前記最大値が予め定められた所定値よりも小さい場合、前記パラレル信号光はビット値が全て「0」の信号であると特定するようにしてもよい。
【0026】
なお、上記の光パルス信号認識装置は、以下のような光分配器に使用可能である。すなわち、請求項6に記載の光分配器は、前記請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光パルス信号認識装置と、前記シリアル信号光を前記光パルス信号認識装置による処理時間に応じて所定時間遅延して出力する遅延手段と、前記遅延手段から出力されたシリアル信号光を光パルス信号認識装置による認識結果に基づいて分配する切替スイッチと、を有することを特徴としている。
【0027】
この光分配器では、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光パルス信号認識装置を用いて、シリアル信号光(全て又は一部)を複数ビット一括認識すると共に、遅延手段により、シリアル信号光を光パルス信号認識装置による処理時間に応じて所定時間遅延して出力する。この遅延時間は、一括認識するパラレル信号光の各信号光の数やシリアル信号光の周期などに基づいて定められる。この遅延手段から出力されたシリアル信号光は、切替スイッチにより、光パルス信号認識装置による認識結果に基づいて分配される。このように、請求項1〜5の何れか1項に記載の光パルス信号認識装置を用いているため、高速にシリアル信号光を分配することができ、且つより多数に分配可能である。
【0028】
また、上記の光パルス信号認識装置により、以下の光パルス信号認識方法を容易に実現可能である。すなわち、請求項7に記載されているように、非線形光学媒質を備え、該非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、照射されたシリアル信号光と前記制御光の重複領域において前記シリアル信号光を透過又は反射すると共にパラレル信号光に変換する光スイッチ手段に対して、前記シリアル信号光と同期し、且つ前記シリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、前記シリアル信号光と所定角度を成して前記光スイッチ手段に照射し、前記光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンにより検出する光パルス信号認識方法において、前記所定パターンにおいて検出可能な信号光の個数に応じて、前記パラレル信号光の検出感度を調整する、ことを特徴とする。
【0029】
上記の光パルス信号認識方法においては、請求項8に記載されているように、前記所定パターンにおける検出可能な信号光の個数をkとし、且つ該所定パターンによる前記パラレル信号光の前記検出感度をQkとし、
【0030】
【数4】
【0031】
を満たすように前記検出感度を調整するとよい。
【0032】
また、請求項9に記載されているように、互いに異なる複数の前記所定パターンにより前記パラレル信号光の光量を検出し、検出光量が最大値を得た前記所定パターンにより前記パラレル信号光のビットパターンを特定するようにするとよい。この場合、請求項10に記載されているように、少なくとも1つのビット値が「1」であるビットパターンのパラレル信号光を特定するようにし、識別対象のビットパターンから全てのビット値が「0」のビットパターンを除外するようにしてもよいし、請求項11に記載されているように、前記最大値が予め定められた所定値よりも小さい場合、前記パラレル信号光はビット値が全て「0」の信号であると特定するようにしてもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明に係る実施形態の1例を詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の光パルス信号認識装置10を示す概略構成図である。光パルス信号認識装置10は、図1に示すように、信号光を射出する光ファイバー12と、光ファイバー12から射出された信号光パルス列であるシリアル信号光を平行化するレンズ14と、レンズ14を透過した信号光の一部を所定のパターンに従って透過させるためのマスクパターンが形成されたマスク部材16と、制御光が照射されることにより光透過率が変化する光スイッチ手段としての光スイッチ薄膜18と、制御光発生手段(不図示)からの光を射出する光ファイバー20及びレンズ22等を含んで構成される制御光照射手段としての制御光照射装置23と、光スイッチ薄膜18を透過した信号光を検出する光検出器列24と、から構成される。
【0035】
なお、本実施形態において、信号光は、光パルスがある時を「1」、無い時を「0」として各ビット値を表す。
【0036】
レンズ14は、光パルス信号であるテラビット級の光パルス列からなるパケット信号(シリアル信号)から、進行方向に垂直な面内で広がりがあり(進行方向に対して、面で進行する)、かつ、断面積が変動しない平行信号光26を形成するものである。すなわち、光ファイバー12等から射出された光パルス信号は、射出とともに拡大しレンズ14に到達すると、平行信号光26にされる。当該機能を有するものであれば、特にその構成は限定されるものではない。本実施形態においては、繰り返し周期1ps、パルス幅300fsの光パルス信号であるパケット信号のヘッダー信号を、レンズ14によりビーム径20mmの平行信号光26とした。
【0037】
マスク部材16には、詳細は後述するが、予め定めた所定のマスクパターンが形成されている。
【0038】
光スイッチ薄膜18は、所謂光空間スイッチであり、制御光25が入射中に光透過率が増加し、平行信号光26を透過し得る機能を有する。
【0039】
本発明に用いられる光スイッチ薄膜18としては、例えば特開平11−15031号公報に示されているように1Tbit/s以上のシリアル信号を空間的に1次元又は2次元の多チャンネルのパラレル信号に変換するものを用いればよい。具体的には、特開平11−282034号公報の段落番号0009〜段落番号0019間に開示されているスクエアリリウムJ会合体からなる色素会合体薄膜が好ましいものとして挙げられる。また、特願平11−125254号の段落番号0039〜段落番号0074間に開示されている色素会合体膜、並びに第1〜5の実施の形態の色素会合体Aからなる光スイッチも、好ましいものとして挙げられる。
【0040】
その他、高速光応答性を持つ光スイッチ薄膜の材料として、MQW(多重量子井戸構造)化合物半導体、フタロシアニン類の色素、ポリジアセチレンやポリチオフェンなどのπ共役系高分子、スクエアリリウムなどの色素会合体、C60やC70などのフラーレン薄膜などを用いることができる。また、波長変換材料であるBBO(β−BaB2O4)などを用いることもできる。
【0041】
本実施形態において、光スイッチ薄膜18としては、特願平11−125254号の段落番号0055に記載の色素会合体A(スクエアリリウムJ会合体薄膜)を用いた。当該色素会合体Aは、非線形光学効果がある非線形光学媒質であり、エネルギー密度0.1J/m2以上の光パルスが入射されると光透過率が増大する。
【0042】
制御光照射装置23は、平行信号光26と同期し、かつ光パルス信号である前記パケット信号よりも周期の長い、進行方向に垂直な面内で広がりのある(具体的には、ビーム径20mmの平行光である)制御光25を形成し、平行信号光26と所定の角度を以って光スイッチ薄膜18に照射する。本実施形態において、制御光25のエネルギーは50μJ(エネルギー密度として、約0.64J/m2)とした。
【0043】
なお、本実施形態において、光スイッチ薄膜18の膜面に対して、平行信号光26は垂直に入射し、制御光25は斜めに入射するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、両者の光が為す角が所定角度で一定であればよく、具体的に、本実施形態において、平行信号光26と制御光25との為す角としては、17°とした。なお、本発明において、詳細は後述するが、上記「所定角度」は、光パルス信号のうちパラレル信号光として切り出すべきビット数、光スイッチ薄膜18の面積、所望とするチャンネル数、光パルス信号(または平行信号光26)および制御光25の繰り返し周期・波長、平行信号光26および制御光25のビーム径、等から決定される。
【0044】
「平行信号光と同期」するとは、パケット信号光から変換された、制御すべき平行信号光26と同時に光スイッチ薄膜18に照射されるように、タイミングを合わせて制御光25が照射されることを示す。制御光25は、平行信号光26よりも周期(繰り返し周期)が長くなるように設定される。例えば、パケット信号のうち一部の信号(例えばヘッダー信号)のみを一括して認識するような場合には、ヘッダー信号が光スイッチ薄膜18に照射するときだけ制御光25が照射されればよいため、パケット信号のパケット長をAビット、平行信号光26の繰返し周期をB(ps)とすると、制御光25の繰返し周期Cは、C=B×A(ps)となる。また、パケット信号全てをDビットづつに分割して認識する場合には、制御光25はDビット毎に照射されればよいため、制御光25の繰返し周期Eは、E=B×D(ps)となる。なお、制御光25の波長は、使用する光スイッチ薄膜18の種類により異なり、光スイッチ薄膜18が光スイッチングされるものを適宜選択すればよい。
【0045】
光検出器列24には、詳細は後述するが、マスク部材16に形成されたマスクパターンの数と同じ数だけ光検出器が設けられ、それぞれが検出した光強度を光検出信号として出力する。
【0046】
次に、本実施形態の光パルス信号認識装置を用いて光パルス信号を認識する方法について説明する。まず、従来のようにマスク部材16が設けられていない場合の認識方法について説明する。
【0047】
光ファイバー12の端部からテラビット級の光パルス信号が射出されると、光パルス信号は拡大(拡散)する。当該拡大した光パルス信号、射出とともに拡大する。そしてレンズ14に照射されると、その屈折率によりビーム径20mmの平行信号光26に変換される。
【0048】
平行信号光26はそのまま進行し、光スイッチ薄膜18に照射される。また、平行信号光26と同期し、かつ光パルス信号である前記パケット信号よりも周期の長い、進行方向に垂直な面内で広がりのある制御光25を、平行信号光26と所定の角度を以って光スイッチ薄膜18に照射する。平行信号光26は選択的に光スイッチ薄膜18を透過し、ビット数n(nは正の整数)のパラレル信号光27が形成される。
【0049】
次に、一例として4ビットのパラレル信号光が形成される様子について図2を参照して説明する。
【0050】
平行信号光26は、光スイッチ薄膜18に対して垂直に照射される。一方、同様に波面を広げた制御光25は、光スイッチ薄膜18に対して傾斜した方向から、平行信号光と所定角度θを成して照射される(図2(A))。
【0051】
光スイッチ薄膜18に対して傾斜して入射する制御光25の光路差のため、制御光25が光スイッチ薄膜18に照射される時刻は、光スイッチ薄膜18の位置により異なる。すなわち、図2(B)に示すように、制御光25は最初にP点に当たり、経時とともに照射箇所が図2における上方へ移動し、図2(C)〜(E)に示すように、一定時間経過後にQ点、R点、S点に次々と照射されることになる。
【0052】
制御光25がP点に照射されるのと同時に平行信号光26の第1パルス26−1が照射されると、P点のみが制御光25の作用で光透過率が増加しているため、P点に当たった第1パルス26−1のみが光スイッチ薄膜18を透過し、その他の部分に当たった第1パルス26−1は、透過率が低いため光スイッチ薄膜18に吸収されてしまい透過しない。このようにして、第1パルス26−1のうちP点に当たった部分のみが切り出される(図2(B))。
【0053】
次に、制御光25がQ点に照射されるのと同時に平行信号光26の第2パルス26−2が照射され、上記第1パルス26−1の場合と同様、第2パルス26−2のうちQ点に当たった部分のみが切り出される(図2(C))。次にR点においても同様に、第3パルス26−3のうちR点に当たった部分のみが切り出され、パラレル信号光27が形成される(図2(D))。さらに、S点においても同様に、第4パルス26−4のうちS点に当たった部分のみが切り出され、パラレル信号光27が形成される(図2(E))。
【0054】
以上のようにして形成されたパラレル信号光27の各ビットは、図8に示すマスク部材がない従来構成の光パルス信号認識装置100では、対応するビットごとにそれぞれ独立して設けられた光論理演算素子により論理演算を行うことにより認識していた。この場合、多数の演算光回路を必要とするので構成が複雑であり、一括して処理と認識を行うことができない。
【0055】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、光スイッチ薄膜18の光入射面にマスク部材16を設けることにより、数ビット分の信号光を一括認識するように構成している。このマスク部材16には、図3(A)に示すように、入射光を透過させると透過部28Aと入射光を遮断する非透過部28Bを任意に組合せた複数のマスクパターンが形成されている。
【0056】
詳しくは、透過部28Aまたは非透過部28Bは伝送ビット1ビット分に対応し、マスクパターンは、光を透過する透過部28Aを「1」、光を透過しない非透過部28Bを「0」としてビット値を表している。マスク部材16には、認識対象の光信号のビット数をnとして、全ビットが「0」となるビットパターンを除いた(2n−1)種類分のマスクパターンが、各々のビットパターンをY軸方向に一致させた状態で、Z軸方向に沿って配列されている。なお、光スイッチ薄膜18面に対して垂直方向(信号光出力方向)をX軸方向、光スイッチ薄膜18面上における制御光25の照射位置移動方向をY軸方向、Y軸方向と直交する方向をZ軸方向としている。また、各マスクパターンを透過した光強度を検出するために、光スイッチ薄膜18の光出力方向には、(2n−1)個の光検出器をZ軸方向に沿って配列した光検出器列24が配置されている。
【0057】
具体的に、図3(A)は、パケット信号光に含まれているヘッダー情報のビット長を4ビットとした場合を示しており、マスク部材16には、15種類(=24−1)のマスクパターン16_1〜15がZ軸方向に沿って形成される。また、この場合、図3(B)に示すように、光検出器列24では、マスクパターン16_1〜15の各々に対応して15個の光検出器24_1〜15がZ軸方向に沿って配置される。なお、マスクパターン及び光検出器の符号末尾の数字1〜15は、マスク番号jを示している。
【0058】
本実施形態では、マスク周期、すなわち1つの透過部又は非透過部の幅(図3(B)においてY軸方向の長さ)を1mmとし、長さ(図3(A)においてZ軸方向の長さ)を1mm弱としており、マスクパターン16_1〜15全体におけるZ軸方向の長さが約15mmとなるように各マスクパターンを配置している。平行信号光26のビーム径は20mmであるため、マスクパターン16_1〜15の1ビット目(図3(A)において一番左側のビット)全てに平行信号光が同時に照射され、その後順に2〜4ビット目(図3(A)において一番右側のビット)まで照射される。平行信号光26は、マスク部材16の左側から右側へ向かって1mm/psの速度で順に照射される。
【0059】
このようなマスク部材16を介することにより、光スイッチ薄膜18からの出力光は、信号光パルス列のビットとマスクパターンのビットとの掛け算(AND)結果を示すものとなる。すなわち、信号光のi番目のビットをsi、マスクパターンのi番目のビットをmi、出力光のi番目のビットoiは、次式により表すことができる。
【0060】
oi=si∩mi …(1)
ところで、本実施形態では、所定角度を17°としたが、この所定角度は、以下のようにして決定される。
【0061】
図4に示すように、信号光と制御光との成す角度をθ、光速をc(m/s)、光スイッチ薄膜18上における制御光の速度をv(m/s)とすると、速度vは次式で表される。
【0062】
v=c/sinθ …(2)
また、信号光のパルス周期をT(ps)、マスク周期(マスク1ビット分の幅)をd(mm)とすると、マスク周期dは次式で表される。
【0063】
d=T・v=T・c/sinθ …(3)
ここで、本実施形態では、T=1(ps)、d=1(mm)であり、c=3×10−8(m/s)であるから、sinθは約0.3である必要があり、θは約17°となる。
【0064】
光検出器24_1〜15は、マスクパターン16_1〜15とその大きさが略同一となっており、マスクパターン16_1を透過した信号光は、光検出器24_1によりその光強度(に対応する物理量)が検出され、同様にマスクパターン16_2〜15を透過した信号光は、光検出器24_2〜15によりそれぞれ光強度が検出される。ここで、光検出器24_1〜15が同一感度の場合、例えば、光信号の伝送ビットパターン(すなわち入力信号)が「1110」の場合、「1111」のマスクパターン16_1と、「1110」のマスクパターン16_2のAND演算結果は同値となり、光検出器24_1、24_2で検出される光強度は同一となるため、光信号の伝送ビットパターンが「1111」なのか「1110」なのかを区別することができない。
【0065】
そこで、本実施形態においては、光検出器24_1〜15の感度が、各々対応するマスクパターン16_1〜15の光を透過する透過部28Aの個数、すなわち各マスクパターンにおける「1」のビット数(以下、透過ビット数)に応じて異なるように予め定められている。
【0066】
以下、光検出器の感度の設定例について詳細に説明する。なお、以下では、認識対象の光信号のビット数をnとし、nビットのうちk個が「1」、(n−1)個が「0」であるような信号光のことを、k次の信号光と称す。また、マスクパターンについては、透過部を「1」、非透過部を「0」として、マスクパターンのビット値を表し、nビットのうちk個が「1」、(n−1)個が「0」であるようなマスクパターンのことを、k次のマスクパターンと称す。
【0067】
k次のマスクパターンに対応する光検出器Dkとし、その感度をQkとすると、光検出器Dkの感度Qkをkに応じて変えて、kが大きいほどQkは小さくなるように設定する。詳しくは、D1の感度をQ1とし、k≧2については以下の条件式(4)のように設定すればよい。
【0068】
【数5】
【0069】
上記の条件式(4)を満たすQkとしては、例えば、次式のようなものがある。
【0070】
【数6】
【0071】
ここでk≧1、Cは定数である。
【0072】
詳しく説明すると、式(5)では、k=1に対しては、Q1=C/2なので、
【0073】
【数7】
【0074】
となる。したがって、k≧2の場合は、
【0075】
【数8】
【0076】
であるから、
【0077】
【数9】
【0078】
が成り立つ。また、
【0079】
【数10】
【0080】
であるから、
【0081】
【数11】
【0082】
が成り立つ。したがって、式(5)のQkは、条件式(4)を満足していると言える。
【0083】
また、条件式(4)を満たすQkとしては、例えば、次式のようなものもある。
【0084】
【数12】
【0085】
とする。ここでk≧1、Cは定数である。
【0086】
詳しく説明すると、式(6)では、k=1に対しては、Q1=Cなので、
【0087】
【数13】
【0088】
となる。したがって、k≧2の場合は、
【0089】
【数14】
【0090】
であるから、
【0091】
【数15】
【0092】
が成り立つ。また、
【0093】
【数16】
【0094】
であるから、
【0095】
【数17】
【0096】
が成り立つ。したがって、式(6)のQkは、条件式(4)を満足している。
【0097】
次に、前述した式(5)のように、Qkを設定した場合について、さらに具体的に説明する。
【0098】
k次の信号及びk次のマスクパターンにおけるビット値「1」が全て一致したときには、k個の光パルスが並列的に当該k次のマスクパターンから出力される。1つのパルスの強度をIとすると、k個のパルスによりkIの強度の光が対応する光検出器Dkに入力され、その出力Ok(k)は、次式のようになる。
【0099】
【数18】
【0100】
ここで、Ok(i)でkはマスクの次数、iはマスクを透過した光パルスの数を表す。
【0101】
上記と同一のk次の信号のビット値「1」が、(k−1)次のマスクパターンの全ての「1」と一致したときには、(k−1)個の光パルスが並列に当該(k−1)次のマスクパターンから出力される。その結果として、(k−1)Iの強度の光が光検出器Dk−1に入力され、その出力Ok−1(k−1)は、次式のようになる。
【0102】
【数19】
【0103】
上記式(7)、(8)より、k>1とすると、
【0104】
【数20】
【0105】
なので、明らかに、
Ok(k)>Ok−1(k−1)
が成り立っている。
【0106】
また、上記と同一のk次の信号のビット値「1」が、(k+1)次のマスクパターンのうちのk個のビット値「1」と一致したときには、k個の光パルスが並列に当該(k+1)次のマスクパターンから出力される。その結果として、kIの強度の光が光検出器Dk+1に入力され、その出力Ok+1(k)は、次式のようになる。
【0107】
【数21】
【0108】
上記式(7)、(9)より、k>1とすると、
【0109】
【数22】
【0110】
なので、明らかに、
Ok(k)>Ok+1(k)
が成り立っている。
【0111】
また、同一のk次の信号のビット値「1」が、k次のマスクパターンの(k−1)個のビット値「1」と一致したときには、(k−1)個の光パルスが並列に当該k次のマスクパターンから出力される。その結果として、(k−1)Iの強度の光が光検出器Dkに入力され、その出力Ok(k−1)は、次式のようになる。
【0112】
【数23】
【0113】
上記式(7)、(10)より、
【0114】
【数24】
【0115】
となり、明らかに、
Ok(k)>Ok(k−1)
が成り立っている。
【0116】
次に、条件式(4)が満たされない場合について説明する。条件式(4)が満たされない場合としては、例えば、感度一定、すなわち、Qkが次式のような場合がある。
【0117】
【数25】
【0118】
この場合、Ok(k)とOk+1(k)とが等しくなって(Ok(k)=Ok+1(k))、複数の光検出器が同一の最大出力を示すことになり、入力信号パターンを特定することが出来ない。
【0119】
また、条件式(4)が満たされない場合としては、例えば、Qkが次式のような場合もある。
【0120】
【数26】
【0121】
この場合、Ok(k)とOk−1(k−1)とが等しくなって(Ok(k)=Ok−1(k−1))、複数の光検出器が同一の最大出力を示すことになり、入力信号パターンを特定(区別)することが出来ない。
【0122】
上記以外の場合も含めて、光検出器出力の大小関係を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
上記の表からも分かるように、条件式(4)を満たす場合は、k次の信号とk次のマスクパターンのビット値「1」が全て一致したときの光検出器Dkの出力Ok(k)が、他の光検出器の出力よりも必ず大きくなる。したがって、最大出力を示す光検出器は唯一であって、最大出力を得た光検出器を特定することにより、光信号の伝送ビットパターンを特定することができる。すなわち、光検出器の出力を比較することで、光信号の伝送ビットパターンとマスクパターンとが一致するか否かの論理演算(排他的非論理和)、或いは不一致であるか否かの論理演算(排他的論理和)の演算を行うことができる。これにより、伝送ビットを複数ビット一括して認識することができ、パケット信号の一部、例えばヘッダー情報を一括認識したり、パケット信号を所定ビットずつ一括認識することができる
また、上記のように光検出器の感度を調整する方法としては、例えば、光検出器に入射する光量をパターン毎に制御する、光検出器の感度を印加バイアス電圧などにより調整する、増幅率調整などにより、光検出器の出力に所定の係数を掛ける演算を行う、などが挙げられる。
【0125】
本実施形態においては、具体的に、前述の式(5)に従って各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の感度を設定し、且つ、図1に示すように、光検出器列24の光入射面側に調整手段としてフィルター40を設けて、各光検出器24_jに入射する光量を制御することで、各々設定した感度となるように感度調整を行った。すなわち、光検出器24_1には透過率50%、光検出器24_2〜5には透過率58%、光検出器24_6〜11には透過率71%、光検出器24_12〜15には透過率100%のフィルター40をそれぞれ取り付けている。なお、光検出器24_12〜15については、フィルター40を省略しても同様である。
【0126】
これにより、ある4ビットの入力信号(光信号の伝送ビットパターン)Sに対して、光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)から最大の信号が得られた場合、マスクパターン16_j(jはマスク番号、1〜15の整数)のビットパターンをMjとして、S=Mjであると特定することができる。すなわち、入力信号が4ビットの場合は、15(=24)種類のビットパターンを識別可能である。
【0127】
例えば、入力信号が4次の信号、すなわちS=1111の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力(光検出信号の大きさ)は、次の表のようになる。
【0128】
【表2】
【0129】
この表から分かるように、j=1、すなわち光検出器24_1の出力(=2.00I)が最大となるため、
S=M1=1111
であると特定することができる。
【0130】
また、入力信号が3次の信号、例えばS=1110の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0131】
【表3】
【0132】
この表から分かるように、j=2、すなわち光検出器24_2の出力(=1.73I)が最大となるため、
S=M2=1110
であると特定することができる。
【0133】
また、入力信号が2次の信号、例えばS=1100の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0134】
【表4】
【0135】
この表から分かるように、j=6、すなわち光検出器24_6の出力(=1.41I)が最大となるため、
S=M6=1100
であると特定することができる。
【0136】
また、入力信号が1次の信号、例えばS=1000の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜15の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0137】
【表5】
【0138】
この表から分かるように、j=12、すなわち光検出器24_12の出力(=1.00I)が最大となるため、
S=M12=1000
であると特定することができる。
【0139】
このため本実施形態においては、図5に示すように、光検出器24_1〜15は、最大値検出器36と接続されており、光検出器24_1〜15により検出された光強度は、各々光検出信号35_1〜15として、最大値検出器36に入力されるようになっている(なお、図5では、光検出器及び最大値検出器以外の部材は省略している)。最大値検出器36は、最大値検出手段として機能するものであり、光検出信号35_1〜15を比較し、最大の値を有する光検出信号のみを出力する。或いは、最大値検出器36は、出力が最大であった光検出器を特定するための信号を出力するようにしてもよい。すなわち、最大値検出器36の出力により、入力信号を特定することができる。なお、本実施形態においては、この最大値検出器36、前述のマスク部材16及び光検出器列24により、本発明の検出手段が構成される。
【0140】
次に、上記の光パルス信号認識装置を用いた光分配器の具体的な構成例を説明する。図5に示すように、光分配器30は、上記で説明した光パルス信号認識装置10、遅延メモリー32、及び切替スイッチ34で構成されている。
【0141】
遅延メモリー32は、基幹ネットワークから送信されたパケット信号を、光パルス信号認識装置10の認識速度に応じて、所定時間遅延させて切替スイッチ34へ出力する。例えば、図3で示したように、マスク部材16に形成された各マスクパターンのビット数が4ビットの場合には、光スイッチ薄膜18によりパラレル信号光27に変換され、これが各光検出器24_1〜15で検出されて光検出信号が切替スイッチ34へ出力されるのに約4psかかるため、遅延メモリー32によるパケット信号の遅延時間は4psに設定される。すなわち、遅延メモリー32による遅延時間は、光パルス信号認識装置10により一括認識できる信号の認識時間と略一致するように設定される。
【0142】
光パルス信号認識装置10は、切替スイッチ34と接続されており、切替スイッチ34には、最大値検出器36の出力信号が入力されるようになっている。
【0143】
切替スイッチ34は、各光検出器、すなわち各マスクパターンに対応したスイッチ(SW)(図示省略)を含んで構成されており、各スイッチには、スイッチング信号として、各々対応する光検出信号35_1〜15が(必要に応じて増幅されて)入力され、スイッチング信号が入力された場合にのみ、スイッチをオンして遅延メモリー32から入力されたパケット信号を対応する自己のLAN又は基幹ネットワークへ送出し、スイッチング信号の入力がない場合には、スイッチをオフする機能を有する。
【0144】
すなわち、切替スイッチ34により、例えば、パケット信号がマスクパターン16_1〜14の何れかと一致した場合には、自己のLANへパケット信号が取り込まれ、パケット信号がマスクパターン16_15と一致した場合には、基幹ネットワークへパケット信号が送出される。なお、最大値検出器36が、出力が最大であった光検出器を特定するための信号を切替スイッチ34へ送出する場合は、切替スイッチ34では、この信号に基づいてパケット信号を分配するように構成すればよい。
【0145】
このように、本実施形態では、識別対象の入力信号(伝送ビットパターン)の種類毎に、当該信号のビットパターンと同一のマスクパターンが複数形成されたマスク部材を設けると共に、各マスクパターンに対応して光検出器を設け、各光検出器の感度を対応するマスクパターンの透過ビット数(「1」のビット数)に応じて変えたので、それぞれの光検出強度を比較するだけで容易に光スイッチ薄膜18からのパラレル信号光のビットパターンを検出することができる。従って、図8に示すようなマスク部材がない従来構成の光パルス信号認識装置100と比較して、簡単な構成で、かつ光信号のままで複数ビットを認識することができる。また、従来のように、ヘッダー情報やマスクパターンの種類に限定を加える必要もないため、信号のビット数に対する識別可能なビットパターンの種類を従来よりも多くすることができる。具体的に、例えば4ビット信号の場合、15(=24−1)種類のビットパターンを識別可能である。
【0146】
なお、本実施形態では、光スイッチ薄膜18にマスク部材16を重ね合わせた構成となっているが、これに限らず、マスク部材16を光スイッチ薄膜18から離間させ、光検出器列24との間に設けてもよい。また、平行化された制御光25あるいは平行化された信号光26の光路中に設けてもよい。また、図6に示すように、各光検出器24_1〜15をマスクパターンと同一形状にする、すなわち、マスクパターンの透過部に対応する位置にのみ光検出器の受光部を配置するようにし、マスク部材16を省略するようにしてもよい。
【0147】
また、本実施形態では、光パルス信号として、繰り返し周期1psのパルス列を用いており、このようにフェムト秒パルスの光パルス信号の認識をすることが勿論可能であるが、本発明においてはフェムト秒オーダーには限定されず、例えば、繰り返し周期10ps以下の光パルス列からなる光パルス信号について認識をすることも当然可能である。
【0148】
なお、本発明において空間光スイッチとしては、上記光スイッチ薄膜18の如き、平行信号光を選択的に透過する透過型のものには限定されず、平行信号光を選択的に反射する反射型の光スイッチであっても構わない。反射型の光スイッチを空間光スイッチとして用いた場合、制御光を反射面に対して垂直に、かつ、平行信号光を制御光に対して所定の角度を以って当該空間光スイッチに照射させる。該空間光スイッチは、制御光が入射しないときには、平行信号光の反射率は0に近く、制御光が入射している間だけ平行信号光26の反射率が増加する。
【0149】
このような反射型の光スイッチは、反射体表面あるいは透明な基板の裏面等に、光スイッチ薄膜を形成した構成である。例えば、光スイッチ薄膜自体、本実施形態で用いている光スイッチ薄膜18と同一のものを用い、反射体表面にこれを形成したものや、シリコン基板上に形成した低温成長Beドープ歪InGaAs/InAlAsのMQW(多重量子井戸)等を挙げることができる。
【0150】
以上、光パルス信号認識装置及び光分配器について説明したが、上記実施形態は、あくまでも例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、従来公知の如何なる構成をも転用および/または付加することができる。特に、上記実施形態における具体的な数値は、いずれも構成を説明するために便宜的に用いたものであり、本発明を具現化するに当たり、当業者は、所望とする作用・効果に応じて自由に設計することができる。例えば、認識に用いたパケット信号(光パルス信号)のヘッダー信号(光パルス信号の一部)のビット数は、任意のビット数に設定でき、その場合には、かかるビット数に応じたビット数のパラレル信号光を形成し、これに対応したマスクパターン、該マスクパターンに対応した光検出器を用意して、パラレル信号光のビットパターンを認識すればよい。
【0151】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0152】
上記第1実施形態では、0次の信号光、すなわち全ビットが「0」となるビットパターンを除いた場合を説明したが、第2実施形態では、0次の信号光も識別可能とした場合について説明する。信号光が0次の場合、光検出器の出力は何れも0となり、このことを利用して、0次の信号光を特定することができる。
【0153】
詳しくは、図7に示すように、0次のマスクパターンに対応する光検出器24_16を設けることで実現できる。なお、0次のマスクパターンは全ビットの信号光を遮光するものであるため、光検出器24_16には光は入射されない。したがって、光検出器24_16は、他の光検出器24_1〜15のように、光強度を検出する機能は必須ではなく、所定レベルの光検出信号を出力するもので代替することもでき、図7もこの場合を示している。また、この場合、0次のマスクパターンについても省略可能である。また、光パルス信号認識装置10の光検出器及び最大値検出器以外の構成については、第1実施形態と同様であるため、図7では省略している。
【0154】
この光検出器24_16の出力、すなわち0次のマスクパターンに対応する光検出器の出力O0は、次式を満たすように予め設定しておく。
【0155】
0<O0<O1(1) …(13)
例えば、次式のように設定すればよい。
【0156】
【数27】
【0157】
1次の入力信号があるときには、入力信号と一致する1次のマスクパターンに対応する光検出器の出力は、
O1(1)=I・Q1>O0
となり、1次の光検出器の出力は、0次の光検出器の出力よりも大きい。2次以上の入力信号があるときにも同様に、入力信号と一致する2次以上のマスクパターンの光検出器出力は、0次の光検出器出力よりも大きいので、最大出力を示す光検出器を特定することにより入力信号パターンを特定することが出来る。
【0158】
一方、0次の信号が入力すると、
O1(0)=0
なので、
O1(0)<O0
である。従って、0次の光検出器の出力が最大となって、0次の信号が入力したと特定できる。
【0159】
例えば、入力信号が4ビットであり、光検出器24_16が信号光入射のタイミングに合わせて、0.50Iの信号を出力するように設定した場合、入力信号が4次〜1次の信号ときに、各光検出器24_1〜15から得られる出力(光検出信号35_1〜15の値)の最大値は、表2〜5に示したように0.50Iよりも大きく、光検出器24_16の出力(=0.50I)が加わっても、最大出力が得られる光検出器及びマスクパターンが変わることはない。すなわち、入力信号が4次〜1次の信号の場合、特定される信号Sは第1実施形態と同じである。
【0160】
一方、入力信号が0次の信号、すなわちS=0000の場合、各光検出器24_j(jはマスク番号、1〜16の整数)の出力は、次の表のようになる。
【0161】
【表6】
【0162】
この表から分かるように、j=16、すなわち光検出器24_16の出力(=0.5I)が最大となるため、
S=M16=0000
であると特定することができる。
【0163】
最大値検出器36では、光パルス信号認識装置10の光検出器24_1〜16により検出された光強度を示す光検出信号35_1〜16を比較し、第1実施形態と同様に、最大の光検出信号を切替スイッチ34へ出力する。或いは、入力信号と一致するマスクパターンを特定するための信号を切替スイッチへ送出する。切替スイッチ34では、第1実施形態と同様に、この最大値検出器36からの信号に基づいて、遅延メモリー32から入力されたパケット信号をLAN又は基幹ネットワークへ分配する。
【0164】
このように、本実施形態では、0次の信号光も識別することができ、第1実施形態と比べて、さらに多くの種類のビットパターンを識別可能である。具体的に、例えば4ビットの信号の場合、16(=24)種類のビットパターン、すなわち4ビットで表現可能な全ビットパターンを識別可能である。
【0165】
なお、上記では、光検出器の出力の最大値を検出することで入力信号を特定できるように各光検出器の感度を定めた場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各光検出器の感度は、次数の異なる信号光を識別可能なように、マスクパターンの透過ビットに応じて適宜定めることができる。例えば、光検出器の出力の最小値を検出したり、或いは予め定められた所定値の出力を検出することで入力信号を特定できるように各光検出器の感度を定めてもよい。
【0166】
【発明の効果】
上記に示したように、本発明は、簡単な構成で高速な光信号の複数ビットを一括して認識することができ、且つ一括認する信号の識別能力を向上可能である、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るパルス信号認識装置の概略構成図である。
【図2】(A)〜(E)は、光スイッチ薄膜において、パラレル信号光が形成される様子を説明するための模式図である。
【図3】(A)はマスク部材16の平面図、(B)は、光検出器の配置を示す図である。
【図4】信号光と制御光とが成す角度について説明するための図である。
【図5】光検出器のほかの形態を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る光分配器の概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る光分配器の概略構成図である。
【図8】従来例に係るパルス信号認識装置の概略構成図である。
【符号の説明】
10 光パルス信号認識装置
12 光ファイバー
14 レンズ
16 マスク部材
16_1〜15 マスクパターン
18 光スイッチ薄膜
20 光ファイバー
22 レンズ
23 制御光照射装置
24 光検出器列
24_1〜16 光検出器
25 制御光
26 平行信号光
26_1〜4 パルス
27 パラレル信号光
28A 透過部
28B 非透過部
30 光分配器
32 遅延メモリー
34 切替スイッチ
35_1〜16 光検出信号
36 最大値検出器
40 フィルター
Claims (11)
- 非線形光学媒質を備え、該非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、照射されたシリアル信号光と前記制御光の重複領域において前記シリアル信号光を透過又は反射すると共にパラレル信号光に変換する光スイッチ手段と、
前記シリアル信号光と同期し、且つ前記シリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、前記シリアル信号光と所定角度を成して前記光スイッチ手段に照射する制御光照射手段と、
前記光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンにより検出する検出手段と、
前記所定パターンにおいて検出可能な前記信号光の個数に応じて、前記検出手段の検出感度を調整する調整手段と、
を有することを備えた光パルス信号認識装置。 - 前記検出手段は、互いに異なる複数の前記所定パターンによる検出結果の最大値を検出する最大値検出手段を備え、前記最大値検出手段により検出した最大値を得た前記所定パターンにより前記パラレル信号光のビットパターンを特定する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光パルス信号認識装置。
- 前記検出手段は、少なくとも1つのビット値が「1」であるビットパターンの前記パラレル信号光を特定する、ことを特徴とする請求項3に記載の光パルス信号認識装置。
- 前記検出手段は、前記最大値検出手段により検出された前記最大値が予め定められた所定値よりも小さい場合、前記パラレル信号光は全てのビット値が「0」の信号であると特定する、ことを特徴とする請求項3に記載の光パルス信号認識装置。
- 前記請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光パルス信号認識装置と、
前記シリアル信号光を前記光パルス信号認識装置による処理時間に応じて所定時間遅延して出力する遅延手段と、
前記遅延手段から出力されたシリアル信号光を光パルス信号認識装置による認識結果に基づいて分配する切替スイッチと、
を有することを特徴とする光分配器。 - 非線形光学媒質を備え、該非線形光学媒質に制御光が照射されることにより、照射されたシリアル信号光と前記制御光の重複領域において前記シリアル信号光を透過又は反射すると共にパラレル信号光に変換する光スイッチ手段に対して、前記シリアル信号光と同期し、且つ前記シリアル信号光よりも長い所定周期の制御光を、前記シリアル信号光と所定角度を成して前記光スイッチ手段に照射し、
前記光スイッチ手段からのパラレル信号光を、該パラレル信号光の各信号光の検出及び非検出の組合せからなる予め定めた所定パターンにより検出する光パルス信号認識方法において、
前記所定パターンにおいて検出可能な信号光の個数に応じて、前記パラレル信号光の検出感度を調整する、
ことを特徴とする光パルス信号認識方法。 - 互いに異なる複数の前記所定パターンにより前記パラレル信号光の光量を検出し、検出光量が最大値を得た前記所定パターンにより前記パラレル信号光のビットパターンを特定する、ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の光パルス信号認識方法。
- 少なくとも1つのビット値が「1」であるビットパターンの前記パラレル信号光を検出する、ことを特徴とする請求項9に記載の光パルス信号認識方法。
- 前記最大値が予め定められた所定値よりも小さい場合、前記パラレル信号光はビット値が全て「0」の信号であると特定する、ことを特徴とする請求項9に記載の光パルス信号認識方法。
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