JP2004163405A - 化粧品の光拡散能力及び(又は)光吸収能力の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の方法は、a)物質(P)及び(又は)物質が塗布された支持体のゾーンを後方散乱スポットを形成するように入射光ビーム(20)で照明する段階と、b)スポットの像を得る段階と、c)この像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、物質の存在下における物質及び(又は)支持体の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階とを有している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
本発明は、化粧品が塗布された表面、特に、皮膚及び(又は)ケラチン繊維の光学的挙動の特性を量定する方法及びこの方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品という用語は、ECC指令76/768(1993年6月14日付け指令93/35により補正)に定義されているように任意の物質を覆うのに用いられるものである。
1999年7月1日付けでジャーナル『応用光学』で発表されたゴビン氏等の論文“Integrating the digitized back−scattered image to measure absorption of reduced−scattering coefficients in vivo ”は、実験室において露出した皮膚に対して実施された拡散係数及び吸収係数の測定法を記載している。
【考案の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、その特徴のうちの1つとして、任意的に支持体に塗布された化粧品又は皮膚用物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を測定する方法であって、a)物質及び(又は)物質が塗布された支持体のゾーンを後方散乱スポットを形成するように入射光ビームで照明する段階と、b)スポットの像を得る段階と、c)前記像をスポットの種々の箇所相互間の輝度(明るさ)のばらつきの関数として分析して、物質の存在下における物質及び(又は)支持体の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階とを有していることを特徴とする方法を提供する。
【0004】
この方法では、人体又は動物の体の治療が除外される。
一例を挙げると、入射光ビームによって照明される物質は、例えば受け具内に収容された比較的ぶ厚い物質を形成するのがよい。これは又、支持体の表面上に層を形成してもよく、かかる層は、比較的薄手のものであってもよい。物質は又、支持体によって吸収されてもよい。
かくして、本発明の具体的構成例では、換算拡散係数μ′ sを測定することは、スポットの種々の箇所、特に、スポットの中心から種々の距離を置いて位置した箇所の輝度のばらつきの関数として可能である。変形例として、又は追加例として、吸収係数μaを測定することも可能である。
【0005】
支持体は、ケラチン細胞及び(又は)繊維から成るのがよい。支持体は、不活性であってもよく、或いは、生体であってもよい。
入射光ビームによって照明される表面は、実質的に平らであるのがよく、或いは、凸凹を呈していてもよい。
物質は、例えば、0.5平方センチメートル(cm2)〜5cm2、特に1cm2〜2cm2の面積に及ぶよう支持体に塗布されるのがよい。
入射光ビームは、白色光のビームであるのがよく、或いは変形例として、単色光、特に、可視光、例えば赤色又は青色のビームであってよい。その波長は、例えば、支持体の性状及び(又は)測定される光学的性質の関数として選択できる。光ビームは、コヒーレント光のビームであってよい。
【0006】
光ビームの断面は、4マイクロメートル(μm)以下であるのがよく、好ましくは、2μm未満である。
入射光ビームの強度は好ましくは、その断面全体にわたって実質的に一定である。入射光ビームは光源により得られるので、空間フィルタを光源と物質との間に配置するのがよい。
物質の表面の法線に対する入射光ビームの入射角は、5°〜25°、特に、10°〜20°であるのがよい。
必要に応じて、鏡を入射光ビームの経路上に配置するのがよい。
有利には、生体内測定の場合には鏡を用いない器具を用いるのがよい。
【0007】
像は、種々の方法で、例えば、カメラにより、特に、単色電荷結合素子(CCD)カメラによって得ることができる。
データ処理を現地で行なうのがよいが、変形例として得た画像を遠隔に、特に、インターネットを介して分析目的の処理センタに伝送することができる。
像を可変倍率の光学系によって得ることができる。これにより、像を拡大して像が最もよい解像度を得るよう検出領域の大部分を占めるようにすることができる。
偏光子を光源と物質との間で入射光ビームの経路上に置くのがよく、像を物質とカメラとの間に配置された検光子を介して得ることができる。
【0008】
スポットを、干渉光の不存在下で観察するのがよいが、入射光ビームを変調し、像を同期して得るのがよく、かくして、干渉光の存在下でも測定値を得ることができる。
物質を例えば7μm〜20μmの厚さ、特に、実質的に一定の厚さで支持体に塗布するのがよい。
物質は、均質の組成のものであるのがよい。
一例を挙げると、物質は、ファンデーションメーキャップ、日焼け止め、脱色クリーム、しわ防止又はしわ取りクリーム、保湿剤から選択される。
物質は、例えば脱色クリームの場合のように、物質が塗布される支持体の物理化学的性質を変えるのに適しているのがよい。
【0009】
本発明は、別の特徴として、化粧品又は皮膚用物質の特性を決定する方法であって、a)皮膚及び(又は)ケラチン繊維に塗布された物質及びb)物質の不存在下における皮膚及び(又は)ケラチン繊維によってそれぞれ構成された2つの表面の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を、各表面について少なくとも次の段階、即ち、i)問題の表面のゾーンを後方散乱スポットを形成するように入射光ビームで照明する段階、ii)スポットの像を得る段階、及びiii)前記像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、前記物質、皮膚及び(又は)ケラチン繊維の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階を実施することにより測定する段階と、物質の少なくとも1つの性質を、物質が塗布された場合と物質が塗布されていない場合の皮膚及び(又は)ケラチン繊維について得られた情報の関数として決定する段階とを有していることを特徴とする方法を提供する。
【0010】
この方法では、人体又は動物の体の治療が除外される。
このようにして測定される物質の特性は、その被覆能力又はその定着力であるのがよい。
物質が日焼け止めである場合、確かめられる特性は、物質によって与えられる保護の有効性である。
物質が脱色クリームである場合、決定される特性は、その有効性である。
【0011】
本発明は、別の特徴として、化粧品又は皮膚用物質の特性が時間の経過につれてどのように変化するかを確かめる方法であって、a)物質(P)を支持体(S)に塗布する段階と、b)物質が塗布された支持体(S)のゾーンを後方散乱スポットを形成するように入射光ビームで照明する段階と、c)スポットの第1の像を得る段階と、d)第1の像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、最初の時点で、物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階と、e)スポットの第2の像を次の時点で得る段階と、f)第2の像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、前記次の時点で、物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階と、g)物質の特性が段階d)及び段階f)で得られた情報の関数として経時的にどのように変化するかを確かめる段階とを有することを特徴とする方法を提供する。
【0012】
この方法では、人体又は動物の体の治療が除外される。
本発明の具体的構成例では、この方法は、段階d)と段階e)との間に、物質及び(又は)支持体に作用、特に、洗浄作用或いは風又はUV放射線への暴露を施し、或いは、物質が移着される要素と接触させる段階を有する。
一例を挙げると、この作用は、支持体の洗浄である。これにより、例えば、日焼け止め又はメーキャップの水に耐える能力を測定することができる。他の幾つかの作用、例えば、風又は紫外線への暴露、或いは、メーキャップが移着される要素との接触を行なうことができる。
【0013】
本発明は別の特徴として、化粧品を処方し又は調製する方法であって、a)皮膚のゾーンを入射光ビームを照明して後方散乱スポットを形成する段階と、b)スポットの像を得る段階と、c)前記像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、皮膚の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階と、d)少なくとも前記情報項目の関数として、化粧品、特に、皮膚についてあらかじめ決定された能力に近い光拡散能力及び(又は)光吸収能力を持つ物質を処方する段階とを有することを特徴とする方法を提供する。
このように調製され又は処方される化粧品は、例えば、皮膚の欠陥を覆い隠すためであると共に、自然なメーキャップを達成することを目的としている。
【0014】
本発明は又、化粧品又は皮膚用物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を測定する装置であって、物質又は物質(P)が塗布された支持体(S)上に光スポットを形成できる光ビームを送り出すのに適した源と、スポットの少なくとも1つの像を得ることができるようにするカメラ、特に、単色CCDカメラと、前記像をスポットの種々の箇所、特に、スポットの中心から種々の距離を置いて位置した箇所での輝度のばらつきの関数として分析して、物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表わす少なくとも1つの情報項目を求めるための検光子装置とを有していることを特徴とする装置を提供する。
光源は、レーザであるのがよい。
【0015】
この装置は、光ビームを通過させる空間フィルタを有するのがよく、必要に応じ、光ビームの経路上に置かれた鏡を有するのがよい。
光源は、少なくとも2つの互いに異なる波長で任意的に同時に放出することができる。
検光子装置は、ネットワーク、特に、インターネットを介してカメラの像を受け取るよう構成されたものであるのがよい。
本発明は、添付の図面を参照して非限定的な以下の具体的な構成例についての詳細な説明を読むと一層よく理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、その特徴のうちの1つとして、化粧品が塗布された表面を観察することにより、少なくとも1つの換算拡散係数μ′ s及び(又は)少なくとも1つの光吸収係数μaを測定するのに役立つ。
換算拡散係数μ′ sは、表面又は媒体によって多数の方向に偏向したビーム(この場合、これを構成する単色光線の周波数を変化させないで)の空間分布の変化を表わしている。
【0017】
吸収係数μaは、材料を通過した際のビームの強度の減少を表わしており、その輻射エネルギは、他の或る形態のエネルギに変換されている。
図1は、化粧品Pの光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表わす値を測定する装置10を示している。物質である化粧品Pは、支持体Sに塗布されており、かかる支持体は、例えば、不活性支持体、人間の皮膚又はケラチン繊維によって構成されたものであるのがよいが、これらには限定されない。
図示の例では物質Pは、10μm〜15μmの厚さで支持体Sに塗布されている。
物質Pで被覆された支持体Sのゾーンは、後方散乱スポットを形成するために入射光ビーム20で照明される。
【0018】
図示の例では、光ビーム20は、単色であり、レーザ31によって送り出される。
図示の例では、レーザにより得られる波長は、約635ナノメートル(nm)であるが、入射光ビームを他の或るタイプの源によって得ること及び異なる波長、例えば、スペクトルの青色領域又はUV領域の波長を生じさせることは本発明の範囲から逸脱しない。一例を挙げると、ヘリウムネオン(HeNe)レーザ1以上の発光ダイオード(LED)又は白色光源を光源として用いてもよい。
光ビーム20は、ビームの光の強さの均一な分布を得るのに役立つ空間フィルタ32を通過する。
【0019】
今説明している例では、物質Pが塗布された支持体Sは、水平に配置され、レーザ31は、水平に対して僅かな角度をなして傾斜している。支持体Sを法線に対し僅かな角度をなして傾斜した光ビームで照明するため、鏡33が、入射光ビーム20の経路上に置かれており、この鏡は、垂直に対し約45°の角度で傾斜している。入射光ビームの向きは、場合によっては、構造体34に対する鏡33の勾配を変えることにより変えることができる。
カメラ40が、鏡33による反射後に光ビームによって作られるスポットのディジタル像を得るために用いられ、かかる像の一例が、図2に示されている。この例では、化粧品は、ファンデーションメーキャップである。
【0020】
図3は、化粧品を塗布する前に皮膚上に作られたスポットのディジタル像の例を示している。
かかる例では、カメラは、解像度が490×660画素の単色CCDカメラであるが、これとは異なる解像度を有するカメラ、場合によってはカラーカメラを用いることは本発明の範囲から逸脱しない。
カメラは、案内42に沿って支持体Sに平行に動くことができる架台41に固定されており、かくして、そのレンジと支持体Sとの間の距離を調節することができる。
支持体Sに塗布された物質Pを短波長の光ビームで照明した場合、後方散乱スポットは、吸収性が高いので比較的小さい。
【0021】
かかる状況下においては、レンズとサンプルとの間の距離を短くすることにより像を拡大するのがよい。
変形例として、カメラは、可変倍率をもたらすレンズを備えるのがよく、それにより、後方散乱スポットのサイズを光電性領域のサイズに一致させることができる。
カメラによってピックアップされた情報は、ケーブル51によってコンピュータ50に伝送される。
【0022】
コンピュータ50は、ディジタル像の各画素の輝度に基づいて物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表わす値を計算するよう構成されている。かくして、コンピュータ50は、吸収係数及び拡散係数を計算するようプログラムされたものであるのがよい。
【0023】
反射率R(r,ψ)、即ち、反射光の強度と入射光の強度の比を、スポットの中心を原点とする円柱座標の関数として計算することができる。R(r,ψ)をψの関数として積分すると、関数
が得られる。
【数式1】
図4は、半径rの関数として積分されたスポットの反射率
の値を示している。
【数式2】
半径の関数は、拡散係数及び吸収係数に接近できる定数を有するものとして得られる。
【数式3】
この場合、
【数式4】
上式において、a1,a2,b1,b2は、屈折率nだけで決まる。
ファンデーションメーキャップを塗布した後に得られた図2のスポットに相当する曲線2の場合、以下の値、即ち、μa=2.82cm−1、μ′ s=94.72cm−1が得られ、物質を塗布する前に得られた図3のスポットに相当する曲線3の場合、以下の値、即ち、μa=1.11cm−1、μ′ s=28.77cm−1が得られる。
【0024】
熱によるノイズの大部分を統計学的に除くために、スポットの像を黒色像から差し引くのがよい。
少なくとも1つの偏光子を光源と化粧品との間で入射光ビームの経路上に且つ(或いは)化粧品とカメラとの間で後方散乱光の経路上に置くことは本発明の範囲から逸脱しない。
一例を挙げると、図5は、入射光ビームを水平方向に偏光すると共に後方散乱光ビームを先ず最初に水平方向に及び(又は)第2に垂直方向に偏光することにより得られた像相互間の差を取ることによって結果的に得られた正規化像を示している。
【0025】
この操作により、2つの追加の光学的パラメータ即ち、異方性係数g及び純粋拡散係数μsを計算することができる。
この目的のため3つの像、即ち、偏光のない第1の像、入射光と後方散乱光の両方が水平方向に偏光された第2の像、及び入射光を水平方向に偏光し、後方散乱光を垂直方向に偏光させて得られた第3の像が得られる。
第1の像により、上述したように吸収係数μa及び換算拡散係数μ′ sを計算することができ、他の2つの像により、異方性係数g及び純粋拡散係数μsをμ′ sの計算により計算することができる。後方散乱スポットの像を得る携帯可能な装置を用いることは本発明の範囲から逸脱しない。
【0026】
一例を挙げると、図6は、ユニット61内に配置された光源及び例えばウェブカム(webcam)タイプのカメラを有する携帯可能な装置60を示している。ユニット61は、開口部62を有し光源から来た光ビーム20は、この開口部62を通って出て行き、又、像は、カメラによりこの開口部を介して得られる。
カメラによってピックアップされたデータを、コンピュータ53によりネットワーク52、特にインターネットを介して処理センタ54に伝送することができ、この処理センタはデータベース55に接続されていて、伝達された情報を処理し、換算拡散係数及び吸収係数を計算するよう構成されている。
【0027】
処理センタ54は又、伝送されたデータに応答して診断を行ない、適当な化粧品又はケア製品を推奨すると共にアドバイスを与えるよう実施される計算を行なうようプログラムされたものであるのがよい。
処理センタ54は又、例えば種々の化粧品の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表わす特性を含むデータバンクを構成するために種々のデータを集めることができるよう構成されたものであるのがよい。
携帯可能な装置60は、例えば、美容院又は店頭にあるのがよく、又、特にクライアントの皮膚の性状及び(又は)ケラチン繊維の関数として個人用化粧品及び(又は)ケア製品を提供する目的に使えるのがよい。
光学的性質が測定される物質は、例えば、ファンデーションメーキャップであるのがよい。
【0028】
かかる状況下においては、先ず最初に、何も付いていない剥き出しの皮膚の換算拡散係数及び吸収係数を計算するのがよい。しかる後、ファンデーションメーキャップを皮膚に塗布し、換算拡散係数及び吸収係数をファンデーション層が被着された皮膚上で測定する。ファンデーションを皮膚に塗布する前後で得られた値を比較することにより、ファンデーションの被覆能力を評価することができる。
また、これと同様な仕方で操作を進めることによりファンデーションと皮膚との適合性の特徴づけることもできる。ファンデーションの塗布前後における皮膚の換算拡散係数及び吸収係数を計算し、これら値を比較することにより、自然なメーキャップを達成する上でのファンデーションの能力に関する情報が得られる。
【0029】
また、本発明により、皮膚、又はケラチン繊維の特定のタイプにマッチした物質を推奨することができる。
これを行なうため、データバンク55は、或る範囲の物質の光拡散及び(又は)光吸収についての特性値をもっているのがよい。しかる後、特定の個人について、例えば、装置60を用いることにより、その人の皮膚及び(又は)ケラチン繊維の光吸収及び(又は)光拡散の特徴を示す値を求めることができる。これら値をデータバンク55に記憶されている値と比較するのがよく、そして、処理センタ54は、どの物質がその人にとって最適であるかを判定すると共にこの結果をネットワーク52を介してコンピュータ53に送るよう構成されたものであるのがよい。
【0030】
別の具体的構成例では、先ず最初に、物質を支持体に塗布し、次に、第1の(最初の)時点で第1の像を取り、そして第1の時点について換算拡散係数及び(又は)吸収係数を計算することができる。しかる後、第2の(次の)時点で、例えば、約1時間の時間間隔だけ第1の像から離れた第2の像を取り、そして、物質の換算拡散係数及び吸収係数を第2の時点について計算する。評価段階の際、これらの値を比較することにより、光吸収特性値及び光拡散特性値が経時的にどのように変化するかを求めることができる。
【0031】
これにより、例えば、化粧品の持続性を計測することができる。
第1の測定と第2の測定の間で、或る作用、例えば、物質を取り除こうとする行為又は作用を行なうことができる。これは、例えば、皮膚に塗布された日焼け止めによって構成でき、上述の行為は、洗浄であるのがよい。かくして、例えば日焼け止めの水に対する強さを測定することができる。
行なわれる行為又は作用は、物質及び(又は)支持体、特に、皮膚の物理的及び(又は)化学的性質を変えるのに役立つ作用であってもよい。かくして、例えば、物質と相互作用できる表皮の反応を考慮することにより、UV放射線への暴露中、日焼け止めにより得られる保護の有効性を特徴づけることができる。
【0032】
物質は、脱色クリームであってもよい。この場合、脱色クリームを皮膚に塗布した後における経時的な皮膚の色素の変化を測定し、その有効性を特徴づけることができる。
物質は、しわ取り又はしわ防止クリーム又は保湿剤であってもよい。本発明により、物質の調合の研究開発中、不活性支持体、皮膚又はケラチン繊維に塗布された物質の拡散及び吸収についての特性値を量定することができる。その目的は、或る特定の成分を添加した場合の影響を測定し、必要に応じ、形成をそれに応じて変えることができるようにすることにある。
当然のことながら、本発明は、上述の例には限定されない。
【0033】
かくして、換算拡散係数μ′ s及び吸収係数μa以外の物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表わす値を計算することは本発明の範囲から逸脱しない。
また、種々の上述の具体的構成例の特徴を互いに組み合わせることが可能である。
本明細書全体を通じ、部材個数に関し、「〜を有する又は含む(comprises a)」という用語は、特段の指定がなければ、「〜を少なくとも一つ有する又は含む(comprises at least of )」という表現と同義であると解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の方法の実施形態としての装置の略図である。
【図2】化粧品を塗布した後の皮膚上の後方散乱スポットの像の例を示す図である。
【図3】化粧品を塗布する前の皮膚上の後方散乱スポットの像の一例を示す図である。
【図4】換算拡散係数及び吸収係数を計算するグラフ図である。
【図5】水平に偏光された入射光及び水平又は垂直に偏光された後方散乱光において得られた像相互間の差を取ることによって結果的に得られた像の一例を示す図である。
【図6】本発明の方法の実施形態としての他の装置の略図である。
【符号の説明】
【0035】
10 測定装置
20 入射光ビーム
31 レーザ
32 空間フィルタ
33 鏡
34 構造体
40 カメラ
42 案内
50 コンピュータ
P 物質
S 支持体
Claims (38)
- 任意的に支持体に塗布された化粧品又は皮膚用物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を測定する方法であって、
a)物質(P)及び(又は)物質が塗布された支持体(S)のゾーンを後方散乱スポットを形成するように入射光ビーム(20)で照明する段階と、
b)スポットの像を得る段階と、
c)前記像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、物質の存在下における物質及び(又は)支持体の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階とを有していることを特徴とする方法。 - 換算拡散係数μ′ sは、スポットの種々の箇所、特に、スポットの中心から種々の距離のところに位置した箇所の輝度のばらつきの関数として測定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 吸収係数μaは、スポットの種々の箇所、特に、スポットの中心から種々の距離のところに位置した箇所の輝度のばらつきの関数として測定されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
- 支持体は、ケラチン繊維及び(又は)細胞から成ることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
- 支持体は、不活性であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
- 支持体は、凸凹を呈していることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一に記載の方法。
- 入射光ビームによって照明された表面は、実質的に平面であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一に記載の方法。
- 物質は、0.5cm2〜5cm2、特に1cm2〜2cm2の面積で支持体に塗布されることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
- 入射光ビームは、白色光のビームであることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一に記載の方法。
- 入射光ビームは、単色光、特に、赤色又は青色のビームであることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一に記載の方法。
- 入射光ビームの強度は、その断面全体にわたって実質的に一定であることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一に記載の方法。
- 入射光ビームは、光源によって得られ、空間フィルタが、光源と物質との間に配置されていることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 物質の表面の法線に対する入射光ビームの入射角は、5°〜25°、特に、10°〜20°であることを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか一に記載の方法。
- 鏡(33)が、入射光ビームの経路上に置かれていることを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記像は、カメラ(40)、特に、単色CCDカメラによって得られることを特徴とする請求項1〜14のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記得た像は、分析のために特にインターネットで処理センタ(54)に伝送されることを特徴とする請求項1〜15のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記像は、可変倍率の光学系によって得られることを特徴とする請求項1〜16のうちいずれか一に記載の方法。
- 入射光ビームは、光源によって得られ、偏光子が、光源と物質との間で入射光ビームの経路上に置かれていることを特徴とする請求項1〜17のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記像は、検光子によって得られることを特徴とする請求項18記載の方法。
- 前記像は、干渉光の不存在下で得られることを特徴とする請求項1〜19のうちいずれか一に記載の方法。
- 入射光ビームは、変調され、像の獲得は、同期して行なわれることを特徴とする請求項1〜20のうちいずれか一に記載の方法。
- 物質は、7μm〜20μmの厚さ、特に、実質的に一定の厚さで支持体に塗布されることを特徴とする請求項1〜21のうちいずれか一に記載の方法。
- 物質は、均質の組成のものであることを特徴とする請求項1〜22のうちいずれか一に記載の方法。
- 物質は、支持体の物理化学的性質を変えるのに適していることを特徴とする請求項1〜23のうちいずれか一に記載の方法。
- 物質は、ファンデーションメーキャップ、日焼け止め、脱色クリーム、しわ防止又はしわ取りクリーム、保湿剤から選択されることを特徴とする請求項1〜24のうちいずれか一に記載の方法。
- 化粧品又は皮膚用物質の特性を決定する方法であって、a)皮膚及び(又は)ケラチン繊維に塗布された物質及びb)物質の不存在下における皮膚及び(又は)ケラチン繊維によってそれぞれ構成された2つの表面の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を、各表面について少なくとも次の段階、即ち、
i)問題の表面のゾーンを後方散乱スポットを形成するように入射光ビームで照明する段階、
ii)スポットの像を得る段階、及び
iii)前記像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、前記物質、皮膚及び(又は)ケラチン繊維の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階を実施することにより測定する段階と、物質の少なくとも1つの性質を、物質が塗布された場合と物質が塗布されていない場合の皮膚及び(又は)ケラチン繊維について得られた情報の関数として決定する段階とを有していることを特徴とする方法。 - 化粧品又は皮膚用物質の特性が時間の経過につれてどのように変化するかを確かめる方法であって、
a)物質(P)を支持体(S)に塗布する段階と、
b)物質が塗布された支持体(S)のゾーンを後方散乱スポットを形成するように入射光ビームで照明する段階と、
c)スポットの第1の像を得る段階と、
d)第1の像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、最初の時点で、物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階と、
e)スポットの第2の像を次の時点で得る段階と、
f)第2の像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、前記次の時点で、物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階と、
g)物質の特性が段階d)及び段階f)で得られた情報の関数として経時的にどのように変化するかを確かめる段階とを有することを特徴とする方法。 - 段階d)と段階e)との間に、物質及び(又は)支持体に作用、特に、洗浄作用或いは風又はUV放射線への暴露を施し、或いは、物質が移着される要素と接触させる段階を有していることを特徴とする請求項27記載の方法。
- 決定される物質の特性は、その被覆性能であることを特徴とする請求項27又は28記載の方法。
- 物質は、日焼け止めであり、確かめられる特性は、時間の関数として物質によって与えられる保護の有効性であることを特徴とする請求項27又は28記載の方法。
- 物質は、脱色クリームであり、決定される特性は、その有効性であることを特徴とする請求項27又は28記載の方法。
- 化粧品を処方する方法であって、
a)皮膚のゾーンを入射光ビームを照明して後方散乱スポットを形成する段階と、
b)スポットの像を得る段階と、
c)前記像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、皮膚の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階と、
d)少なくとも前記情報項目の関数として、化粧品、特に、皮膚についてあらかじめ決定された能力に近い光拡散能力及び(又は)光吸収能力を持つ物質を処方する段階とを有することを特徴とする方法。 - 化粧品又は皮膚用物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を測定する装置であって、物質又は物質(P)が塗布された支持体(S)上に光スポットを形成できる光ビーム(20)を送り出すのに適した源(31)と、スポットの少なくとも1つの像を得ることができるようにするカメラ、特に、単色CCDカメラと、前記像をスポットの種々の箇所、特に、スポットの中心から種々の距離を置いて位置した箇所での輝度のばらつきの関数として分析して、物質の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表わす少なくとも1つの情報項目を求めるための検光子装置(50)とを有していることを特徴とする装置。
- 光源は、レーザから成ることを特徴とする請求項33記載の装置。
- 光ビームを通過させる空間フィルタ(32)を有していることを特徴とする請求項33又は34記載の装置。
- 光ビームの経路上に置かれた鏡(33)を有していることを特徴とする請求項33〜35のうちいずれか一に記載の装置。
- 検光子装置(50)は、ネットワーク、特に、インターネットを介してカメラの像を受け取るよう構成されていることを特徴とする請求項33〜36のうちいずれか一に記載の装置。
- 化粧品又は皮膚用物質を調製する方法であって、
a)皮膚のゾーンを入射光ビームを照明して後方散乱スポットを形成する段階と、
b)スポットの像を得る段階と、
c)前記像をスポットの種々の箇所相互間の輝度のばらつきの関数として分析して、皮膚の光拡散能力及び(又は)光吸収能力を表す少なくとも1つの情報項目を求める段階と、
d)少なくとも前記情報の関数として、特に皮膚についてあらかじめ決定された能力に近い光拡散能力及び(又は)光吸収能力を持つ化粧品又は皮膚用物質を調製する段階とを有していることを特徴とする方法。
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