JP2004163227A - コンクリートの中性化深度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリートに損傷を与えることなく、コンクリートの中性化深度の測定を可能にする。
【解決手段】コンクリート2の測定面3と接触する振動検出点Q1の近傍位置を打撃して振動を発生させ、該振動検出点Q1及びQ2で衝撃弾性波を検出し、振動検出点Q1で弾性波を検出してから振動検出点Q2で弾性波を検出するまでの時間を測定し、該時間と、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lから弾性波速度を求める。コンクリート2の初期の弾性波速度と経年変化後に測定した弾性波速度を比較して弾性波速度変化率を求め、該弾性波速度変化率と、弾性波速度変化率と中性化深度の相関を示す関係式に基づいて中性化深度を演算し、出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】コンクリート2の測定面3と接触する振動検出点Q1の近傍位置を打撃して振動を発生させ、該振動検出点Q1及びQ2で衝撃弾性波を検出し、振動検出点Q1で弾性波を検出してから振動検出点Q2で弾性波を検出するまでの時間を測定し、該時間と、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lから弾性波速度を求める。コンクリート2の初期の弾性波速度と経年変化後に測定した弾性波速度を比較して弾性波速度変化率を求め、該弾性波速度変化率と、弾性波速度変化率と中性化深度の相関を示す関係式に基づいて中性化深度を演算し、出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートの中性化深さを測定するコンクリートの中性化深度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートは、セメントの水和反応により生成された水酸化カルシウムの強アルカリ性により内部の鉄筋の発錆を防止している。しかし、このようなコンクリートが長期間大気にさらされていると、水酸化カルシウムが大気中に含まれる僅かな二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムに変化するため、強アルカリ性が弱アルカリ性に変わり、鉄筋の発錆防止作用を失う。この変化を、コンクリートの中性化という。このコンクリートの中性化は、コンクリートの表面から内部に向かって徐々に進行する。
【0003】
コンクリートの中性化深さを測定する方法としては、一般に、測定対象となるコンクリートからコアボーリングやダイアモンドカッタ等でコンクリートの内部試料を取り出すか、該コンクリートの表層部を削って内部を露出させ、フェノールフタレイン等の試薬を塗布して発色度合いを測定することが行われている。
【0004】
測定対象となるコンクリートに損傷を与えることなく、コンクリートの性状を調査、診断する方法として、コンクリートの常時微動を測定対象となるコンクリート構造物に付設した振動センサで計測し、計測したコンクリートの常時微動の振動数―強度分布に基づいて、測定対象となったコンクリート構造物の性状を調査、診断する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−148244号公報 (第3−4ページ 図1)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1は、コンクリート構造物の性状を調査、診断する物理的手段として常時微動の振動数―強度分布を用いている。しかしながら、前記特許文献1には、コンクリートの中性化深度をどのように調査、診断するのか、具体的にはなにも開示されていない。
【0007】
前記の事情に鑑み、本発明は、測定対象となるコンクリートに損傷を与えることなく、該コンクリートの中性化深さを弾性波速度の経年変化率を用いて推定することができるようにしたコンクリートの中性化深度測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、測定対象となるコンクリート(2)の測定面の表層部を伝播する弾性波速度(Vt)を、所定の期間を置いて少なくとも2回測定し、
最初に測定された弾性波速度(Vt1)を初期値とし、2回目以降に測定された弾性波速度(Vtn)を前記初期値と比較して弾性波速度変化率(R)を演算し、
前記弾性波速度変化率(R)と中性化深度の関係式に基づいて、2回目以降の測定時における前記コンクリート(2)の測定面(3)からの中性化深さを演算するようにした。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記コンクリート(2)の測定面(3)に所定の間隔で第1及び第2のセンサ(15,16)を配置し、
前記コンクリート(2)の測定面を打撃して、該コンクリート(2)に振動を発生させ、
前記打撃位置に近い第1のセンサ(15)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波に含まれ、該コンクリート(2)の厚さ方向に振動する弾性波の立ち上りを検出し、
前記打撃位置から遠い第2のセンサ(16)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波に含まれ、該コンクリート(2)の表層部を伝播する弾性波の立ち上りを検出し、
前記第1のセンサ(15)と第2のセンサ(16)との間の距離(L)と、該第1のセンサ(15)が弾性波の立ち上りを検出してから該第2のセンサ(16)が弾性波の立ち上りを検出するまでの時間(T)に基づいて、前記コンクリート(2)の測定面(3)の表層部を伝播する弾性波速度(Vtn)を測定するようにした。
【0010】
請求項3に係る発明は、中性化深さの測定対象となるコンクリート(2)の測定面(3)上に所定の間隔で第1及び第2のセンサ(15、16)を接触させ、該第1のセンサ(15)の近傍で、該コンクリート(2)の測定面(3)を打撃して振動を発生させ、
前記第1のセンサ(15)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波の内、厚さ方向に振動する弾性波を検出し、
前記第2のセンサ(16)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波の内、表層部を伝播する弾性波を検出すると共に、
前記第1のセンサ(15)で厚さ方向の弾性波を検出してから、前記第2のセンサ(16)で表層部を伝播する弾性波を検出するまでの時間(T)を測定し、
前記測定された時間(T)と、前記第1のセンサ(15)と第2のセンサ(16)との間隔(L)に基づいて前記コンクリート(2)の表層部を伝播する弾性波速度(Vtn)を演算し、記録すると共に、
前記測定操作を所定の期間を置いて少なくとも2回行い、最初に記録された弾性波速度(Vt1)を初期値とし、2回目以降に記録された弾性波速度(Vtn)を前記初期値と比較して、弾性波速度変化率(R)を演算し、
予め記録されている弾性波速度変化率(R)と中性化深度の関係式に基づいて、2回目以降の測定時における前記コンクリート(2)の測定面(3)からの中性化深さを演算するようにした。
【0011】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであって、特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、コンクリートの測定面の表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度を、所定の期間を置いて少なくとも2回測定し、最初に測定された弾性波速度に対する2回目以降に測定された弾性波速度の変化率に基づいて、各測定時における前記測定面からの中性化深さを演算するようにしたので、測定対象となるコンクリートの中性化深さを非破壊的に推定することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、前記打撃位置に近い第1のセンサで、比較的波形が安定した弾性波(せん断波)の立ち上りを検出し、前記打撃位置から遠い第2のセンサで、伝播速度が速い弾性波(粗密波)の立ち上りを検出し、前記第1及び第2のセンサの間の距離と、第1センサが弾性波(せん断波)を検出してから第2のセンサが弾性波(粗密波)を検出するまでの時間に基づいて、前記測定面の表層部を伝播する弾性波(粗密波)の速度を測定するようにしたので、弾性波の速度を正確に測定することができる。また、前記第1及び第2のセンサの間隔は、第2のセンサで伝播速度の速い弾性波(粗密波)の立ち上りを検出することができればよいので、小さくすることができ、測定面が狭くても2個のセンサを設置するスペースがあれば測定を可能にすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、測定対象となるコンクリートの表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度を、所定の期間を置いて少なくとも2回検出し、該コンクリートの初期の弾性波速度に対する2回目以降の弾性波速度の変化率により、該コンクリートの中性化深さを求めるようにしたので、該コンクリートに損傷を与えることなく、中性化深さを推定することができる。また、前記第1及び第2のセンサの間隔は、第2のセンサで伝播速度の速い弾性波(粗密波)の立ち上りを検出することができればよいので、小さくすることができ、測定面が狭くても2個のセンサを設置するスペースがあれば測定を可能にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の実施の一形態を示すもので、図1は、本発明によるコンクリートの中性化深度測定方法に使用する制御装置を含む測定装置の一例を示す側面図、図2は、図1に示す制御装置の測定結果記録部における記録用のテーブルの一例を示す構成図、図3は、弾性波速度変化率から中性化深度を推定する関係式の一例を示す特性図である。
【0017】
前述したように、コンクリートが長期間大気にさらされていると、コンクリートに含まれる水酸化カルシウムが大気中に含まれる僅かな二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムに変化し中性化する。このとき、コンクリートの表面には微細なひび割れが発生する。その結果、微細なひび割れによって、コンクリートの表層部における弾性波の伝播が阻害され、弾性波は、ひび割れが進行していないコンクリートの内部を経由して伝播するようになるため、弾性波の伝播経路が増加し、見かけ上、弾性波の伝播速度が減少する。
【0018】
測定対象となるコンクリートが健全なとき(例えば、コンクリート構造物の完成時)の弾性波速度に対する2回目以降の測定時における弾性波速度の変化率と、コンクリートの中性化深度の間には、図3に示すような相関関係がある。
【0019】
図1において、測定装置1は、測定対象となるコンクリート2の測定面3(中性化方向(通常は厚さ方向)に対する垂直面)に配置され、該測定面3を打撃することによって発生する衝撃弾性波のうち、該測定面3の表層部に沿って伝播する弾性波(粗密波)と、厚さ方向に振動する衝撃弾性波(せん断波)を検出するための振動検出部10と、該振動検出部10の検出結果に基づいて、前記コンクリート2の中性化度合いを演算する制御装置30を有し、該振動検出部10に、打撃手段20が支持されている。
【0020】
前記振動検出部10は、前記コンクリート2より弾性波の伝播速度が遅い合成樹脂等で棒状に形成され、取っ手を兼用するフレーム11と、該フレーム11の両端部に所定の間隔で固定され、前記コンクリート2の測定面3に接触させるプローブを兼ねる一対の脚部プレート12a、12bを有している。
【0021】
前記脚部プレート12aには、ブラケット13を介して第1のセンサ15が、矢印A方向に振動する弾性波(せん断波)を検出するように固定されている。また、前記脚部プレート12bには、第2のセンサ16が矢印B方向に振動する弾性波(粗密波)を検出するように固定されている。
【0022】
前記打撃手段20は、前記フレーム11に、該フレーム11の軸方向に移動可能に装着され、所要の位置に固定された支持部材21と、一端が該支持部材21の端面(図1では、支持部材21の右側の端面)に固定されたばね部材22(例えば、板ばね)と、一端が該ばね部材22の端部(図1では、ばね部材の右側の端部)に固定されたロッド23と、該ロッド23の端部(図1では、ロッド23の右側の端部)に固定された金属製の打撃ヘッド25とを有している。
【0023】
前記打撃ヘッド25は、図1で示す例では、前記第1のセンサ15と第2のセンサ16(即ち、前記脚部プレート12aと脚部プレート12bが前記コンクリート2の測定面3と接触する振動検出点Q1と振動検出点Q2)を結ぶ直線の延長線上で、該第1のセンサ15(即ち、該振動検出点Q1)の近傍位置に位置するように配置されている。該振動検出点Q1と前記打撃ヘッド25がコンクリート2の計測面3を打撃する打撃点Pとの間隔lは、1〜2cm程度であるが、該間隔lは小さいほど望ましい。
【0024】
前記制御装置30には、フィルタ・増幅器31を介して前記第1のセンサ15が接続され、フィルタ・増幅器32を介して前記センサ16が接続されている。また、該制御装置30には、主制御部35が設けられ、該主制御部35には、波形解析部36、時間計測部37、弾性波速度演算部39、測定結果記録部40、弾性波速度変化率演算部41、関係式記録部42、中性化深度演算部43及び表示部42等が接続されている。
【0025】
前記波形解析部36、時間計測部37及び弾性波速度演算部39で、前記コンクリート2の測定面3を前記打撃ヘッド25で打撃して発生する弾性波の速度を演算する弾性波速度演算部を構成し、前記弾性波速度変化率演算部41、関係式記録部42及び中性化深度演算部43で、前記コンクリート2の中性化深さを演算する中性化深度演算部を構成している。
【0026】
なお、前記関係式記憶部42には、図3に示すような、コンクリート2の中性化によって、コンクリート2の表層部を伝播する弾性波の伝播速度が遅くなることを示す弾性波速度変化率とコンクリート2の中性化深度の相関関係を推定する関係式が記憶されている。
【0027】
前述したように、コンクリートが長期間大気にさらされていると、コンクリートに含まれる水酸化カルシウムが、大気中に含まれる僅かな二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムに変化し中性化する。このとき、コンクリートの表面には微細なひび割れが発生する。その結果、微細なひび割れによって、コンクリートの表層部における弾性波の伝播が阻害され、弾性波は、ひび割れが進行していないコンクリートの内部を経由して伝播するようになるため、弾性波の伝播経路が増加し、見かけ上、弾性波速度が減少する。
【0028】
前記図3に示す関係式は、測定対象となるコンクリートが健全なとき(例えば、コンクリート構造物の完成時)の弾性波速度に対する2回目以降の測定時における弾性波速度の変化率と、コンクリートの中性化深度の間の相関関係を示している。
【0029】
本実施の形態におけるコンクリート2の測定装置1は、前記のように構成されているので、先ず、コンクリート2で構成される構造物の完成時に弾性波速度を測定して、その測定結果を初期値として、図2に示すようなテーブル(測定結果記憶部40内の記憶エリアに設定されたテーブル、なお、該テーブルの記録項目としては、例えば、構造物の名称、所在地、測定年月日、構造体(部位)、測定位置、弾性波速度、中性化深さ等であり、その他の項目を加えておくこともできる)に記録しておく。そして、適宜期間(例えば、1〜数年)ごとに定期的にコンクリート2の測定面3における弾性波速度の測定を行い、その測定結果を前記初期値と比較することによりコンクリート2の中性化深度を推定する。
【0030】
前記測定装置1による測定は、先ず、測定対象となる構造物の最初の測定を行う場合には、制御装置30に接続されたキーボード等の入力手段(図示せず)により、測定結果記録部40からなにも記録されていないテーブルを呼び出し、構造物名称、所在地、測定日、構造体(部位)、測定位置等の情報を入力し記録させると共に、測定結果の入力先を指定しておく。また、測定対象となる構造物の2回目以降の測定の場合には、構造物の名称、所在地等を指定して、既に前回までの測定結果が記録されているテーブルを呼び出し、今回の測定日を入力すると共に、測定結果の入力先を指定しておく。
【0031】
一方の手(例えば、左手)で、振動検出部10を保持し、測定しようとするコンクリート2の測定面3に設置する。振動検出部10の設置に際しては、測定用プローブを兼ねる脚部プレート12a、12bが、測定対象となるコンクリート2の測定面3の測定位置に当接するように配置する。なお、各脚部プレート12a、12bがコンクリート2の測定面3と接触する振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lは、事前に測定され既知となっている。
【0032】
次いで、振動検出部10を一方の手(例えば、左手)でコンクリート2の測定面3に押し付けた状態で、他方の手(例えば、右手)で打撃ヘッド25を保持し、ばね部材22を撓ませながら打撃ヘッド25を矢印C方向に移動させる。このとき、フレーム11もしくは脚部プレート12aに、打撃ヘッド25の矢印C方向の移動端を示すマーカー(図示せず)や、移動を規制するストッパ(図示せず)を設けておくことにより、コンクリート2に対する打撃力を略一定にすることができる。そして、打撃ヘッド25を所要の位置まで移動させた後、打撃ヘッド25を開放すると、打撃ヘッド25はばね部材22のばね力によって反矢印C方向に移動して、コンクリート2の測定面3に衝突(打撃)し、コンクリート2に衝撃弾性波を発生させる。
【0033】
打撃ヘッド25の打撃によって発生した衝撃弾性波の内、測定面3の表層部に沿って伝播される弾性波には僅かな粗密波が含まれている。打撃点Pで発生した粗密波は、コンクリート2の測定面3の表層部を同心円状に広がりながら振動検出点Q1、振動検出点Q2を順次通過して行く。同様に、コンクリート2の測定面3に対して垂直な方向に振動するせん断波も、コンクリート2の測定面3の表層部を同心円状に広がりながら振動検出点Q1、振動検出点Q2を順次通過して行く。
【0034】
打撃によって発生する前記粗密波とせん断波とは、コンクリート2における伝播速度が異なり、それらの速度の間には、粗密波の速度>せん断波の速度、の関係がある。しかし、打撃点Pに近い振動検出点Q1には、粗密波とせん断波とが殆ど同時に到達する。
【0035】
そして、振動検出点Q1では、到達した振動が脚部フレーム12a及びブラケット13を介して第1のセンサ15に伝達され、該第1のセンサ15で検出される。このとき、第1のセンサ15は、その振動検出方向が矢印A方向に設定されているため、測定面3に対して垂直な矢印A方向(紙面の上下方向)に振動するせん断波を検出する。
【0036】
第1のセンサ15で検出されたせん断波の振動データは、フィルタ・増幅器31に印加され、該フィルタ・増幅器31により目標とする周波数帯域のデータが抽出され増幅されて主制御部35に送られる。主制御部35は、フィルタ・増幅器31から送られてきたデータを波形解析部36に送る。該波形解析部36は、主制御部31から送られてきたデータに基づいて、せん断波の立ち上り位置を抽出して主制御部35に送る。このとき、第1のセンサ15で検出されるせん断波の波頭部には、粗密波が含まれ、厳密にはせん断波の波形が乱されているが、粗密波は、せん断波に比べ極めて僅かであり、せん断波の波頭部を乱すほどにはならないので、せん断波の立ち上りの検出精度を低下させることはない。
【0037】
一方、打撃点Pで発生した粗密波とせん断波が、振動検出点Q2に到達するときには、コンクリート2におけるそれぞれの伝播速度の差と、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔により、伝播速度の速い粗密波が先に到達し、伝播速度の遅いせん断波は、粗密波に重畳した形で遅れて到達する。
【0038】
振動検出点Q2では、到達した振動が脚部プレート12bを介して第2のセンサ16に伝達され、第2のセンサ16で検出される。このとき、第2のセンサ16は、その振動検出方向が矢印B方向に設定されているため、前記コンクリート2の測定面3に対して平行な矢印B方向(紙面の左右方向)の粗密波の立ち上り位置を検出する。なお、粗密波の立ち上りを検出するのに必要な粗密波の波頭部(波形の立ち上りから最初の極大値を超えるまでの部分、最長でも粗密波の波長の1/4波長を越えるところまで)以降は、粗密波の波形が遅れて到達するせん断波によって乱されていても、測定精度に影響を与えることはない。
【0039】
ここで、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔を30cm、粗密波とせん断波の速度比を1.6、粗密波の伝播速度を4000m/secとすると、粗密波が30cm伝播する時間は、0.075msec、せん断波が30cm伝播する時間は、0.120msecとなる。従って、粗密波とせん断波が、振動検出点Q1を同時に通過したとしても、粗密波とせん断波が振動検出点Q2に到達する時間には、0.045msecの時間差が発生する。
【0040】
また、粗密波を正弦波と仮定し、その周波数を8000Hzとすると、その波長は50cmであり、1波長分が伝播する時間は、0.125msecとなる。よって、前記時間差の0.45msecがあれば、振動検出点Q2に到達する粗密波とせん断波の間に、粗密波の1/4波長分以上の1.5/4(0.045/0.120)波長の差があることになる。従って、振動検出点Q2において、粗密波の立ち上りを検出するための波頭部を、遅れて到達するせん断波に乱されることなく確実に検出することができる。
【0041】
第2のセンサ16で検出された粗密波の波頭部のデータは、フィルタ・増幅器32に印加され、該フィルタ・増幅器32により目標とする周波数帯域のデータが抽出され、増幅されて主制御部35に送られる。主制御部35は、フィルタ・増幅器32から送られてきたデータを波形解析部36に送る。波形解析部36は、主制御部35から送られてきたデータに基づいて、粗密波の立ち上り位置を抽出して主制御部35に送る。
【0042】
主制御部35は、波形解析部36から第1のセンサ15及び第2のセンサ16の波の立ち上り位置のデータが送られてくると、時間測定部37に対し時間の測定を指示する。時間測定部36は、第1のセンサ15及び第2のセンサ16で捕捉された波の立ち上り位置から伝達時間差(時間)Tを算出して主制御部35に送る。
【0043】
主制御部35は、予め入力されている振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lと、時間測定部37から入力された時間Tを弾性波速度演算部39に送る。弾性波速度演算部39では、主制御部35から送られてきた前記間隔Lと時間Tとに基づいて、コンクリート2の測定面3の表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度Vtを、Vt=L/T、で演算し、その結果を主制御部35へ送る。すると、主制御部35は、構造物名称、所在地、測定日、構造体(部位)、測定位置等の情報が入力された、テーブル(図2参照)の対応する位置に弾性波速度を記録する。
【0044】
前記コンクリート2の測定装置1では、振動検出点Q1でせん断波の立ち上りを検出し、振動検出点Q2で粗密波の立ち上りを検出して、コンクリート2の表層部を伝播する粗密波の速度を弾性波速度Vtとして演算している。しかし、打撃点Pの位置と振動検出点Q1との位置の間に間隔lがあるため、振動検出点Q1に到達するせん断波の立ち上りと粗密波の立ち上りとは、必ずしも一致していない。
【0045】
例えば、前記例示したように、粗密波とせん断波の速度比を1.6、粗密波の速度を4000m/sec、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lを30cmとすると、粗密波が30cm伝播する時間は、0.075msecとなり、せん断波が30cm伝播する時間は、0.120msecとなる。そして、打撃点Pと振動検出点Q1との間隔lを1cmとする(打撃点Pが振動検出点Q1と振動検出点Q2を結ぶ直線の延長線上にあるとした場合)と、打撃点Pを打撃してから粗密波が振動検出点Q1に到達するまでの時間は、0.0025msec、打撃点Pを打撃してからせん断波が振動検出点Q1に到達するまでの時間は、0.0040msecとなる。よって、振動検出点Q1にせん断波が到達するのは、粗密波より0.0015msec遅れることになる。
【0046】
この0.0015msecの遅れは、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔L(30cm)を粗密波が伝播する時間0.075msecの2%に相当し、弾性波速度Vtが実際の速度より2%速くなったように検出されることになる。しかし、この振動検出点Q1に到達する粗密波に対するせん断波の遅れ時間0.0015msecは、打撃点Pと振動検出点Q1の間隔lを予め決めておけば、計算により平均的な補正を行うことができる。従って、振動検出点Q1でせん断波の立ち上りを検出し、振動検出点Q2で粗密波の立ち上りを検出して弾性波速度Vtを演算しても、そこで発生する誤差は、実用上差し支えないものとすることができる。なお、本明細書では、こうした簡易的な方法による弾性波速度の概略的な演算についても、「弾性波速度を演算する」動作と定義して用いている。
【0047】
コンクリート2の中性化の深さを測定する場合、先ず、コンクリート2の構造物の完成時に測定を行い、その測定結果(弾性波速度)を構造物の名称、所在地、測定日、構造体(部位)、測定位置と共に初期値として記録する。そして所定の期間(例えば、1〜数年)経過した後、前記記録されている前記構造物の構造体(部位)、測定位置に基づいて弾性波速度の測定を行い、その測定結果を前記と同様に記録すると共に、弾性波速度の初期値と新たに測定した測定結果に基づいて、コンクリート2の中性化深さを演算し、記録する。
【0048】
従って、現在行っている測定が、測定対象となるコンクリート2の構造物に対して初回である場合には、弾性波速度を記録したところで測定を終了する。また、測定対象となるコンクリート2の構造物に対して2回目以降の測定である場合には、コンクリート2の中性化深さを演算する。このコンクリート2の中性化深さの演算は、以下のようにして行う。
【0049】
主制御部35は、測定対象となっているコンクリート2の構造物名称、所在地、構造体(部位)、測定位置に基づいて、測定結果記録部40に記録されている初回の測定結果(弾性波速度Vt1)をテーブル(図2参照)から呼び出すと共に、同じ測定位置の2回目以降の測定結果(弾性波速度Vtn)を該テーブルから呼び出して、弾性波速度変化率演算部41に送る。
【0050】
弾性波速度変化率演算部41では、主制御部35から送られてきた初回の弾性波速度Vt1と今回測定した弾性波速度Vtnとに基づいて、コンクリート2の表層部における弾性波速度変化率Rを、R=Vtn/Vt1、で算出し、その結果を主制御部35へ送る。すると、主制御部35は、関係式記憶部42から図3に示す関係式を呼び出して、弾性波速度変化率Rと関係式を中性化深度演算部43に送る。
【0051】
中性化深度演算部43では、主制御部35から送られてきた関係式に弾性波速度変化率Rを当てはめて、コンクリート2の中性化深さを演算し、その結果を主制御部35へ送る。主制御部35は、中性化深度演算部43から送られてきたコンクリート2の中性化深さを測定結果記録部40のテーブル(図2参照)の所定の位置に記憶させると共に、表示部45に表示させる。
【0052】
前記のように、本実施の形態によれば、測定対象となるコンクリート2の測定面3を打撃することにより発生する衝撃弾性波の内、前記測定面3の表層部を伝播する弾性波速度を測定し、コンクリート2の初期における弾性波速度Vt1に対する測定時の弾性波速度Vtnとの比である弾性波速度変化率Rを求め、該弾性波速度変化率Rに基づいて、コンクリート2の中性化深さを演算するようにしているので、測定対象となるコンクリートの測定面3に損傷を与えることなく、中性化深さを推定することができる。
【0053】
なお、前記の実施の形態においては、前記測定面3の表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度Vtnを測定して、弾性波速度速度変化率Rを求めるようにしているが、測定対象となるコンクリート2の厚さD(図1参照)が判っている場合、前記弾性波(粗密波)速度Vtnを測定すると共に、厚さ方向の弾性波(厚さ方向で重複反射する粗密波)を測定し、該弾性波の周波数分析を行い、コンクリート2の厚さ方向の粗密波の1次共振振動数f1を求め、コンクリート2の厚さDと1次共振振動数から、厚さD方向の弾性波速度Vtdを、
Vtd=2・f1・D
で演算し、前記弾性波速度変化率Rを、
R=Vt1/Vtd
として演算し、中性化深さを演算するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコンクリートの中性化深度測定方法に使用する制御装置を含む測定装置の一例を示す側面図及び中性化度合いの演算・制御のブロック図の一例。
【図2】図1に示す制御装置の測定結果記録部における記録用のテーブルの一例を示す構成図。
【図3】弾性波速度変化率から中性化深度を推定する関係式の一例を示す特性図。
【符号の説明】
2…コンクリート
3…測定面
15…第1のセンサ
16…第2のセンサ
Vt1…初期の弾性波速度
Vtn…2回目以降の弾性波速度
L…間隔
R…弾性波速度変化率
T…時間
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートの中性化深さを測定するコンクリートの中性化深度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートは、セメントの水和反応により生成された水酸化カルシウムの強アルカリ性により内部の鉄筋の発錆を防止している。しかし、このようなコンクリートが長期間大気にさらされていると、水酸化カルシウムが大気中に含まれる僅かな二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムに変化するため、強アルカリ性が弱アルカリ性に変わり、鉄筋の発錆防止作用を失う。この変化を、コンクリートの中性化という。このコンクリートの中性化は、コンクリートの表面から内部に向かって徐々に進行する。
【0003】
コンクリートの中性化深さを測定する方法としては、一般に、測定対象となるコンクリートからコアボーリングやダイアモンドカッタ等でコンクリートの内部試料を取り出すか、該コンクリートの表層部を削って内部を露出させ、フェノールフタレイン等の試薬を塗布して発色度合いを測定することが行われている。
【0004】
測定対象となるコンクリートに損傷を与えることなく、コンクリートの性状を調査、診断する方法として、コンクリートの常時微動を測定対象となるコンクリート構造物に付設した振動センサで計測し、計測したコンクリートの常時微動の振動数―強度分布に基づいて、測定対象となったコンクリート構造物の性状を調査、診断する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−148244号公報 (第3−4ページ 図1)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1は、コンクリート構造物の性状を調査、診断する物理的手段として常時微動の振動数―強度分布を用いている。しかしながら、前記特許文献1には、コンクリートの中性化深度をどのように調査、診断するのか、具体的にはなにも開示されていない。
【0007】
前記の事情に鑑み、本発明は、測定対象となるコンクリートに損傷を与えることなく、該コンクリートの中性化深さを弾性波速度の経年変化率を用いて推定することができるようにしたコンクリートの中性化深度測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、測定対象となるコンクリート(2)の測定面の表層部を伝播する弾性波速度(Vt)を、所定の期間を置いて少なくとも2回測定し、
最初に測定された弾性波速度(Vt1)を初期値とし、2回目以降に測定された弾性波速度(Vtn)を前記初期値と比較して弾性波速度変化率(R)を演算し、
前記弾性波速度変化率(R)と中性化深度の関係式に基づいて、2回目以降の測定時における前記コンクリート(2)の測定面(3)からの中性化深さを演算するようにした。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記コンクリート(2)の測定面(3)に所定の間隔で第1及び第2のセンサ(15,16)を配置し、
前記コンクリート(2)の測定面を打撃して、該コンクリート(2)に振動を発生させ、
前記打撃位置に近い第1のセンサ(15)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波に含まれ、該コンクリート(2)の厚さ方向に振動する弾性波の立ち上りを検出し、
前記打撃位置から遠い第2のセンサ(16)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波に含まれ、該コンクリート(2)の表層部を伝播する弾性波の立ち上りを検出し、
前記第1のセンサ(15)と第2のセンサ(16)との間の距離(L)と、該第1のセンサ(15)が弾性波の立ち上りを検出してから該第2のセンサ(16)が弾性波の立ち上りを検出するまでの時間(T)に基づいて、前記コンクリート(2)の測定面(3)の表層部を伝播する弾性波速度(Vtn)を測定するようにした。
【0010】
請求項3に係る発明は、中性化深さの測定対象となるコンクリート(2)の測定面(3)上に所定の間隔で第1及び第2のセンサ(15、16)を接触させ、該第1のセンサ(15)の近傍で、該コンクリート(2)の測定面(3)を打撃して振動を発生させ、
前記第1のセンサ(15)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波の内、厚さ方向に振動する弾性波を検出し、
前記第2のセンサ(16)で、前記コンクリート(2)に発生した衝撃弾性波の内、表層部を伝播する弾性波を検出すると共に、
前記第1のセンサ(15)で厚さ方向の弾性波を検出してから、前記第2のセンサ(16)で表層部を伝播する弾性波を検出するまでの時間(T)を測定し、
前記測定された時間(T)と、前記第1のセンサ(15)と第2のセンサ(16)との間隔(L)に基づいて前記コンクリート(2)の表層部を伝播する弾性波速度(Vtn)を演算し、記録すると共に、
前記測定操作を所定の期間を置いて少なくとも2回行い、最初に記録された弾性波速度(Vt1)を初期値とし、2回目以降に記録された弾性波速度(Vtn)を前記初期値と比較して、弾性波速度変化率(R)を演算し、
予め記録されている弾性波速度変化率(R)と中性化深度の関係式に基づいて、2回目以降の測定時における前記コンクリート(2)の測定面(3)からの中性化深さを演算するようにした。
【0011】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであって、特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、コンクリートの測定面の表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度を、所定の期間を置いて少なくとも2回測定し、最初に測定された弾性波速度に対する2回目以降に測定された弾性波速度の変化率に基づいて、各測定時における前記測定面からの中性化深さを演算するようにしたので、測定対象となるコンクリートの中性化深さを非破壊的に推定することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、前記打撃位置に近い第1のセンサで、比較的波形が安定した弾性波(せん断波)の立ち上りを検出し、前記打撃位置から遠い第2のセンサで、伝播速度が速い弾性波(粗密波)の立ち上りを検出し、前記第1及び第2のセンサの間の距離と、第1センサが弾性波(せん断波)を検出してから第2のセンサが弾性波(粗密波)を検出するまでの時間に基づいて、前記測定面の表層部を伝播する弾性波(粗密波)の速度を測定するようにしたので、弾性波の速度を正確に測定することができる。また、前記第1及び第2のセンサの間隔は、第2のセンサで伝播速度の速い弾性波(粗密波)の立ち上りを検出することができればよいので、小さくすることができ、測定面が狭くても2個のセンサを設置するスペースがあれば測定を可能にすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、測定対象となるコンクリートの表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度を、所定の期間を置いて少なくとも2回検出し、該コンクリートの初期の弾性波速度に対する2回目以降の弾性波速度の変化率により、該コンクリートの中性化深さを求めるようにしたので、該コンクリートに損傷を与えることなく、中性化深さを推定することができる。また、前記第1及び第2のセンサの間隔は、第2のセンサで伝播速度の速い弾性波(粗密波)の立ち上りを検出することができればよいので、小さくすることができ、測定面が狭くても2個のセンサを設置するスペースがあれば測定を可能にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の実施の一形態を示すもので、図1は、本発明によるコンクリートの中性化深度測定方法に使用する制御装置を含む測定装置の一例を示す側面図、図2は、図1に示す制御装置の測定結果記録部における記録用のテーブルの一例を示す構成図、図3は、弾性波速度変化率から中性化深度を推定する関係式の一例を示す特性図である。
【0017】
前述したように、コンクリートが長期間大気にさらされていると、コンクリートに含まれる水酸化カルシウムが大気中に含まれる僅かな二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムに変化し中性化する。このとき、コンクリートの表面には微細なひび割れが発生する。その結果、微細なひび割れによって、コンクリートの表層部における弾性波の伝播が阻害され、弾性波は、ひび割れが進行していないコンクリートの内部を経由して伝播するようになるため、弾性波の伝播経路が増加し、見かけ上、弾性波の伝播速度が減少する。
【0018】
測定対象となるコンクリートが健全なとき(例えば、コンクリート構造物の完成時)の弾性波速度に対する2回目以降の測定時における弾性波速度の変化率と、コンクリートの中性化深度の間には、図3に示すような相関関係がある。
【0019】
図1において、測定装置1は、測定対象となるコンクリート2の測定面3(中性化方向(通常は厚さ方向)に対する垂直面)に配置され、該測定面3を打撃することによって発生する衝撃弾性波のうち、該測定面3の表層部に沿って伝播する弾性波(粗密波)と、厚さ方向に振動する衝撃弾性波(せん断波)を検出するための振動検出部10と、該振動検出部10の検出結果に基づいて、前記コンクリート2の中性化度合いを演算する制御装置30を有し、該振動検出部10に、打撃手段20が支持されている。
【0020】
前記振動検出部10は、前記コンクリート2より弾性波の伝播速度が遅い合成樹脂等で棒状に形成され、取っ手を兼用するフレーム11と、該フレーム11の両端部に所定の間隔で固定され、前記コンクリート2の測定面3に接触させるプローブを兼ねる一対の脚部プレート12a、12bを有している。
【0021】
前記脚部プレート12aには、ブラケット13を介して第1のセンサ15が、矢印A方向に振動する弾性波(せん断波)を検出するように固定されている。また、前記脚部プレート12bには、第2のセンサ16が矢印B方向に振動する弾性波(粗密波)を検出するように固定されている。
【0022】
前記打撃手段20は、前記フレーム11に、該フレーム11の軸方向に移動可能に装着され、所要の位置に固定された支持部材21と、一端が該支持部材21の端面(図1では、支持部材21の右側の端面)に固定されたばね部材22(例えば、板ばね)と、一端が該ばね部材22の端部(図1では、ばね部材の右側の端部)に固定されたロッド23と、該ロッド23の端部(図1では、ロッド23の右側の端部)に固定された金属製の打撃ヘッド25とを有している。
【0023】
前記打撃ヘッド25は、図1で示す例では、前記第1のセンサ15と第2のセンサ16(即ち、前記脚部プレート12aと脚部プレート12bが前記コンクリート2の測定面3と接触する振動検出点Q1と振動検出点Q2)を結ぶ直線の延長線上で、該第1のセンサ15(即ち、該振動検出点Q1)の近傍位置に位置するように配置されている。該振動検出点Q1と前記打撃ヘッド25がコンクリート2の計測面3を打撃する打撃点Pとの間隔lは、1〜2cm程度であるが、該間隔lは小さいほど望ましい。
【0024】
前記制御装置30には、フィルタ・増幅器31を介して前記第1のセンサ15が接続され、フィルタ・増幅器32を介して前記センサ16が接続されている。また、該制御装置30には、主制御部35が設けられ、該主制御部35には、波形解析部36、時間計測部37、弾性波速度演算部39、測定結果記録部40、弾性波速度変化率演算部41、関係式記録部42、中性化深度演算部43及び表示部42等が接続されている。
【0025】
前記波形解析部36、時間計測部37及び弾性波速度演算部39で、前記コンクリート2の測定面3を前記打撃ヘッド25で打撃して発生する弾性波の速度を演算する弾性波速度演算部を構成し、前記弾性波速度変化率演算部41、関係式記録部42及び中性化深度演算部43で、前記コンクリート2の中性化深さを演算する中性化深度演算部を構成している。
【0026】
なお、前記関係式記憶部42には、図3に示すような、コンクリート2の中性化によって、コンクリート2の表層部を伝播する弾性波の伝播速度が遅くなることを示す弾性波速度変化率とコンクリート2の中性化深度の相関関係を推定する関係式が記憶されている。
【0027】
前述したように、コンクリートが長期間大気にさらされていると、コンクリートに含まれる水酸化カルシウムが、大気中に含まれる僅かな二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムに変化し中性化する。このとき、コンクリートの表面には微細なひび割れが発生する。その結果、微細なひび割れによって、コンクリートの表層部における弾性波の伝播が阻害され、弾性波は、ひび割れが進行していないコンクリートの内部を経由して伝播するようになるため、弾性波の伝播経路が増加し、見かけ上、弾性波速度が減少する。
【0028】
前記図3に示す関係式は、測定対象となるコンクリートが健全なとき(例えば、コンクリート構造物の完成時)の弾性波速度に対する2回目以降の測定時における弾性波速度の変化率と、コンクリートの中性化深度の間の相関関係を示している。
【0029】
本実施の形態におけるコンクリート2の測定装置1は、前記のように構成されているので、先ず、コンクリート2で構成される構造物の完成時に弾性波速度を測定して、その測定結果を初期値として、図2に示すようなテーブル(測定結果記憶部40内の記憶エリアに設定されたテーブル、なお、該テーブルの記録項目としては、例えば、構造物の名称、所在地、測定年月日、構造体(部位)、測定位置、弾性波速度、中性化深さ等であり、その他の項目を加えておくこともできる)に記録しておく。そして、適宜期間(例えば、1〜数年)ごとに定期的にコンクリート2の測定面3における弾性波速度の測定を行い、その測定結果を前記初期値と比較することによりコンクリート2の中性化深度を推定する。
【0030】
前記測定装置1による測定は、先ず、測定対象となる構造物の最初の測定を行う場合には、制御装置30に接続されたキーボード等の入力手段(図示せず)により、測定結果記録部40からなにも記録されていないテーブルを呼び出し、構造物名称、所在地、測定日、構造体(部位)、測定位置等の情報を入力し記録させると共に、測定結果の入力先を指定しておく。また、測定対象となる構造物の2回目以降の測定の場合には、構造物の名称、所在地等を指定して、既に前回までの測定結果が記録されているテーブルを呼び出し、今回の測定日を入力すると共に、測定結果の入力先を指定しておく。
【0031】
一方の手(例えば、左手)で、振動検出部10を保持し、測定しようとするコンクリート2の測定面3に設置する。振動検出部10の設置に際しては、測定用プローブを兼ねる脚部プレート12a、12bが、測定対象となるコンクリート2の測定面3の測定位置に当接するように配置する。なお、各脚部プレート12a、12bがコンクリート2の測定面3と接触する振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lは、事前に測定され既知となっている。
【0032】
次いで、振動検出部10を一方の手(例えば、左手)でコンクリート2の測定面3に押し付けた状態で、他方の手(例えば、右手)で打撃ヘッド25を保持し、ばね部材22を撓ませながら打撃ヘッド25を矢印C方向に移動させる。このとき、フレーム11もしくは脚部プレート12aに、打撃ヘッド25の矢印C方向の移動端を示すマーカー(図示せず)や、移動を規制するストッパ(図示せず)を設けておくことにより、コンクリート2に対する打撃力を略一定にすることができる。そして、打撃ヘッド25を所要の位置まで移動させた後、打撃ヘッド25を開放すると、打撃ヘッド25はばね部材22のばね力によって反矢印C方向に移動して、コンクリート2の測定面3に衝突(打撃)し、コンクリート2に衝撃弾性波を発生させる。
【0033】
打撃ヘッド25の打撃によって発生した衝撃弾性波の内、測定面3の表層部に沿って伝播される弾性波には僅かな粗密波が含まれている。打撃点Pで発生した粗密波は、コンクリート2の測定面3の表層部を同心円状に広がりながら振動検出点Q1、振動検出点Q2を順次通過して行く。同様に、コンクリート2の測定面3に対して垂直な方向に振動するせん断波も、コンクリート2の測定面3の表層部を同心円状に広がりながら振動検出点Q1、振動検出点Q2を順次通過して行く。
【0034】
打撃によって発生する前記粗密波とせん断波とは、コンクリート2における伝播速度が異なり、それらの速度の間には、粗密波の速度>せん断波の速度、の関係がある。しかし、打撃点Pに近い振動検出点Q1には、粗密波とせん断波とが殆ど同時に到達する。
【0035】
そして、振動検出点Q1では、到達した振動が脚部フレーム12a及びブラケット13を介して第1のセンサ15に伝達され、該第1のセンサ15で検出される。このとき、第1のセンサ15は、その振動検出方向が矢印A方向に設定されているため、測定面3に対して垂直な矢印A方向(紙面の上下方向)に振動するせん断波を検出する。
【0036】
第1のセンサ15で検出されたせん断波の振動データは、フィルタ・増幅器31に印加され、該フィルタ・増幅器31により目標とする周波数帯域のデータが抽出され増幅されて主制御部35に送られる。主制御部35は、フィルタ・増幅器31から送られてきたデータを波形解析部36に送る。該波形解析部36は、主制御部31から送られてきたデータに基づいて、せん断波の立ち上り位置を抽出して主制御部35に送る。このとき、第1のセンサ15で検出されるせん断波の波頭部には、粗密波が含まれ、厳密にはせん断波の波形が乱されているが、粗密波は、せん断波に比べ極めて僅かであり、せん断波の波頭部を乱すほどにはならないので、せん断波の立ち上りの検出精度を低下させることはない。
【0037】
一方、打撃点Pで発生した粗密波とせん断波が、振動検出点Q2に到達するときには、コンクリート2におけるそれぞれの伝播速度の差と、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔により、伝播速度の速い粗密波が先に到達し、伝播速度の遅いせん断波は、粗密波に重畳した形で遅れて到達する。
【0038】
振動検出点Q2では、到達した振動が脚部プレート12bを介して第2のセンサ16に伝達され、第2のセンサ16で検出される。このとき、第2のセンサ16は、その振動検出方向が矢印B方向に設定されているため、前記コンクリート2の測定面3に対して平行な矢印B方向(紙面の左右方向)の粗密波の立ち上り位置を検出する。なお、粗密波の立ち上りを検出するのに必要な粗密波の波頭部(波形の立ち上りから最初の極大値を超えるまでの部分、最長でも粗密波の波長の1/4波長を越えるところまで)以降は、粗密波の波形が遅れて到達するせん断波によって乱されていても、測定精度に影響を与えることはない。
【0039】
ここで、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔を30cm、粗密波とせん断波の速度比を1.6、粗密波の伝播速度を4000m/secとすると、粗密波が30cm伝播する時間は、0.075msec、せん断波が30cm伝播する時間は、0.120msecとなる。従って、粗密波とせん断波が、振動検出点Q1を同時に通過したとしても、粗密波とせん断波が振動検出点Q2に到達する時間には、0.045msecの時間差が発生する。
【0040】
また、粗密波を正弦波と仮定し、その周波数を8000Hzとすると、その波長は50cmであり、1波長分が伝播する時間は、0.125msecとなる。よって、前記時間差の0.45msecがあれば、振動検出点Q2に到達する粗密波とせん断波の間に、粗密波の1/4波長分以上の1.5/4(0.045/0.120)波長の差があることになる。従って、振動検出点Q2において、粗密波の立ち上りを検出するための波頭部を、遅れて到達するせん断波に乱されることなく確実に検出することができる。
【0041】
第2のセンサ16で検出された粗密波の波頭部のデータは、フィルタ・増幅器32に印加され、該フィルタ・増幅器32により目標とする周波数帯域のデータが抽出され、増幅されて主制御部35に送られる。主制御部35は、フィルタ・増幅器32から送られてきたデータを波形解析部36に送る。波形解析部36は、主制御部35から送られてきたデータに基づいて、粗密波の立ち上り位置を抽出して主制御部35に送る。
【0042】
主制御部35は、波形解析部36から第1のセンサ15及び第2のセンサ16の波の立ち上り位置のデータが送られてくると、時間測定部37に対し時間の測定を指示する。時間測定部36は、第1のセンサ15及び第2のセンサ16で捕捉された波の立ち上り位置から伝達時間差(時間)Tを算出して主制御部35に送る。
【0043】
主制御部35は、予め入力されている振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lと、時間測定部37から入力された時間Tを弾性波速度演算部39に送る。弾性波速度演算部39では、主制御部35から送られてきた前記間隔Lと時間Tとに基づいて、コンクリート2の測定面3の表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度Vtを、Vt=L/T、で演算し、その結果を主制御部35へ送る。すると、主制御部35は、構造物名称、所在地、測定日、構造体(部位)、測定位置等の情報が入力された、テーブル(図2参照)の対応する位置に弾性波速度を記録する。
【0044】
前記コンクリート2の測定装置1では、振動検出点Q1でせん断波の立ち上りを検出し、振動検出点Q2で粗密波の立ち上りを検出して、コンクリート2の表層部を伝播する粗密波の速度を弾性波速度Vtとして演算している。しかし、打撃点Pの位置と振動検出点Q1との位置の間に間隔lがあるため、振動検出点Q1に到達するせん断波の立ち上りと粗密波の立ち上りとは、必ずしも一致していない。
【0045】
例えば、前記例示したように、粗密波とせん断波の速度比を1.6、粗密波の速度を4000m/sec、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔Lを30cmとすると、粗密波が30cm伝播する時間は、0.075msecとなり、せん断波が30cm伝播する時間は、0.120msecとなる。そして、打撃点Pと振動検出点Q1との間隔lを1cmとする(打撃点Pが振動検出点Q1と振動検出点Q2を結ぶ直線の延長線上にあるとした場合)と、打撃点Pを打撃してから粗密波が振動検出点Q1に到達するまでの時間は、0.0025msec、打撃点Pを打撃してからせん断波が振動検出点Q1に到達するまでの時間は、0.0040msecとなる。よって、振動検出点Q1にせん断波が到達するのは、粗密波より0.0015msec遅れることになる。
【0046】
この0.0015msecの遅れは、振動検出点Q1と振動検出点Q2との間隔L(30cm)を粗密波が伝播する時間0.075msecの2%に相当し、弾性波速度Vtが実際の速度より2%速くなったように検出されることになる。しかし、この振動検出点Q1に到達する粗密波に対するせん断波の遅れ時間0.0015msecは、打撃点Pと振動検出点Q1の間隔lを予め決めておけば、計算により平均的な補正を行うことができる。従って、振動検出点Q1でせん断波の立ち上りを検出し、振動検出点Q2で粗密波の立ち上りを検出して弾性波速度Vtを演算しても、そこで発生する誤差は、実用上差し支えないものとすることができる。なお、本明細書では、こうした簡易的な方法による弾性波速度の概略的な演算についても、「弾性波速度を演算する」動作と定義して用いている。
【0047】
コンクリート2の中性化の深さを測定する場合、先ず、コンクリート2の構造物の完成時に測定を行い、その測定結果(弾性波速度)を構造物の名称、所在地、測定日、構造体(部位)、測定位置と共に初期値として記録する。そして所定の期間(例えば、1〜数年)経過した後、前記記録されている前記構造物の構造体(部位)、測定位置に基づいて弾性波速度の測定を行い、その測定結果を前記と同様に記録すると共に、弾性波速度の初期値と新たに測定した測定結果に基づいて、コンクリート2の中性化深さを演算し、記録する。
【0048】
従って、現在行っている測定が、測定対象となるコンクリート2の構造物に対して初回である場合には、弾性波速度を記録したところで測定を終了する。また、測定対象となるコンクリート2の構造物に対して2回目以降の測定である場合には、コンクリート2の中性化深さを演算する。このコンクリート2の中性化深さの演算は、以下のようにして行う。
【0049】
主制御部35は、測定対象となっているコンクリート2の構造物名称、所在地、構造体(部位)、測定位置に基づいて、測定結果記録部40に記録されている初回の測定結果(弾性波速度Vt1)をテーブル(図2参照)から呼び出すと共に、同じ測定位置の2回目以降の測定結果(弾性波速度Vtn)を該テーブルから呼び出して、弾性波速度変化率演算部41に送る。
【0050】
弾性波速度変化率演算部41では、主制御部35から送られてきた初回の弾性波速度Vt1と今回測定した弾性波速度Vtnとに基づいて、コンクリート2の表層部における弾性波速度変化率Rを、R=Vtn/Vt1、で算出し、その結果を主制御部35へ送る。すると、主制御部35は、関係式記憶部42から図3に示す関係式を呼び出して、弾性波速度変化率Rと関係式を中性化深度演算部43に送る。
【0051】
中性化深度演算部43では、主制御部35から送られてきた関係式に弾性波速度変化率Rを当てはめて、コンクリート2の中性化深さを演算し、その結果を主制御部35へ送る。主制御部35は、中性化深度演算部43から送られてきたコンクリート2の中性化深さを測定結果記録部40のテーブル(図2参照)の所定の位置に記憶させると共に、表示部45に表示させる。
【0052】
前記のように、本実施の形態によれば、測定対象となるコンクリート2の測定面3を打撃することにより発生する衝撃弾性波の内、前記測定面3の表層部を伝播する弾性波速度を測定し、コンクリート2の初期における弾性波速度Vt1に対する測定時の弾性波速度Vtnとの比である弾性波速度変化率Rを求め、該弾性波速度変化率Rに基づいて、コンクリート2の中性化深さを演算するようにしているので、測定対象となるコンクリートの測定面3に損傷を与えることなく、中性化深さを推定することができる。
【0053】
なお、前記の実施の形態においては、前記測定面3の表層部を伝播する弾性波(粗密波)速度Vtnを測定して、弾性波速度速度変化率Rを求めるようにしているが、測定対象となるコンクリート2の厚さD(図1参照)が判っている場合、前記弾性波(粗密波)速度Vtnを測定すると共に、厚さ方向の弾性波(厚さ方向で重複反射する粗密波)を測定し、該弾性波の周波数分析を行い、コンクリート2の厚さ方向の粗密波の1次共振振動数f1を求め、コンクリート2の厚さDと1次共振振動数から、厚さD方向の弾性波速度Vtdを、
Vtd=2・f1・D
で演算し、前記弾性波速度変化率Rを、
R=Vt1/Vtd
として演算し、中性化深さを演算するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコンクリートの中性化深度測定方法に使用する制御装置を含む測定装置の一例を示す側面図及び中性化度合いの演算・制御のブロック図の一例。
【図2】図1に示す制御装置の測定結果記録部における記録用のテーブルの一例を示す構成図。
【図3】弾性波速度変化率から中性化深度を推定する関係式の一例を示す特性図。
【符号の説明】
2…コンクリート
3…測定面
15…第1のセンサ
16…第2のセンサ
Vt1…初期の弾性波速度
Vtn…2回目以降の弾性波速度
L…間隔
R…弾性波速度変化率
T…時間
Claims (3)
- 測定対象となるコンクリートの測定面の表層部を伝播する弾性波速度を、所定の期間を置いて少なくとも2回測定し、
最初に測定された弾性波速度を初期値とし、2回目以降に測定された弾性波速度を前記初期値と比較して弾性波速度変化率を演算し、
前記弾性波速度変化率と中性化深度の関係式に基づいて、2回目以降の測定時における前記コンクリートの測定面からの中性化深さを演算する、ことを特徴とする、コンクリートの中性化深度測定方法。 - 前記コンクリートの測定面に所定の間隔で第1及び第2のセンサを配置し、
前記コンクリートの測定面を打撃して、該コンクリートに振動を発生させ、
前記打撃位置に近い第1のセンサで、前記コンクリートに発生した衝撃弾性波に含まれ、該コンクリートの厚さ方向に振動する弾性波の立ち上りを検出し、
前記打撃位置から遠い第2のセンサで、前記コンクリートに発生した衝撃弾性波に含まれ、該コンクリートの表層部を伝播する弾性波の立ち上りを検出し、
前記第1のセンサと第2のセンサとの間の距離と、該第1のセンサが弾性波の立ち上りを検出してから前記第2のセンサが弾性波の立ち上りを検出するまでの時間に基づいて、前記コンクリートの測定面の表層部を伝播する弾性波の速度を測定する、ことを特徴とする、請求項1記載のコンクリート中性化深度測定方法。 - 中性化深さの測定対象となるコンクリートの測定面上に所定の間隔で第1及び第2のセンサを接触させ、該第1のセンサの近傍で、該コンクリートの測定面を打撃して振動を発生させ、
前記第1のセンサで、前記コンクリートに発生した衝撃弾性波の内、厚さ方向に振動する弾性波を検出し、
前記第2のセンサで、前記コンクリートに発生した衝撃弾性波の内、表層部を伝播する弾性波を検出すると共に、
前記第1のセンサで厚さ方向の弾性波を検出してから、前記第2のセンサで表層部を伝播する弾性波を検出するまでの時間を測定し、
前記測定された時間と、前記第1のセンサと第2のセンサとの間隔に基づいて前記コンクリートの表層部を伝播する弾性波速度を演算し、記録すると共に、
前記測定操作を所定の期間を置いて少なくとも2回行い、最初に記録された弾性波速度を初期値とし、2回目以降に記録された弾性波速度を前記初期値と比較して、弾性波速度変化率を演算し、
予め記録されている弾性波速度変化率と中性化深度の関係式に基づいて、2回目以降の測定時における前記コンクリートの測定面からの中性化深さを演算する、ことを特徴とする、コンクリートの中性化深度測定方法。
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JP2013044523A (ja) * | 2011-08-20 | 2013-03-04 | Dia Consultant:Kk | コンクリート管の診断方法 |
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CN107271563A (zh) * | 2017-08-21 | 2017-10-20 | 兰州交通大学 | 隔振垫性能实验装置及方法 |
JP2018124205A (ja) * | 2017-02-02 | 2018-08-09 | 株式会社東芝 | 劣化診断方法、劣化診断システム及びセンサ |
-
2002
- 2002-11-12 JP JP2002328754A patent/JP2004163227A/ja active Pending
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