JP2004163128A - 電気時計の位置検出システム - Google Patents

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正己 福田
Seiki Igarashi
清貴 五十嵐
Shinichi Komine
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Abstract

【課題】薄型構造で消費電力が少なく、信頼性の高い電気時計の位置検出システムを実現する。
【解決手段】プリント基板8に形成される送信信号を送信する複数の送信電極12、13と、同一プリント基板8に形成される受信電極11と、送信電極12、13と受信電極11に対向して配置される伝達電極6を有する検出車5と、伝達電極6に誘起される伝達信号を受信電極11で受信信号として受信し、該受信信号を入力して基準信号と位相比較して輪列の角度回転位置を検出する位置検出回路を含んだIC10によって構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水晶発振回路を基準信号源として時刻やカレンダー情報を機械的に表示する電気時計において、輪列等の回転角度や回転位置を電場検出により検出し、機械的な誤動作を防止して正確な時刻情報を表示する電気時計の位置検出システムの構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気時計の低電力化技術が確立され、電気時計の電力源としては、小型の1次電池が使用されている。しかしながら、1次電池は使い捨て電池であり、その電池交換の煩わしさもさることながら、1次電池の使い捨てによる地球環境汚染が将来的にますます問題になると予測される。このような背景から、1次電池に替わるものとして、太陽電池によるソーラー発電、大気中の温度と腕の温度差を利用した熱電発電、回転錘による機械的発電等のエネルギー源からの発電エネルギーを2次電池等に充電して使用する発電式電気時計が実用化されている。
【0003】
しかるに、上記発電式電気時計は、地球環境に優しいという利点はあるものの、採取できるエネルギーに余裕がなく、2次電池に充電される充電エネルギーの欠乏は時刻保持に対する信頼性を損なうという潜在的な問題があった。特に機械式のアナログ腕時計においては、エネルギー消費をできるだけ少なくするために最小限の駆動トルクで輪列機構を駆動している。このため指針の形状が大きいと衝撃や外乱等を受けて指針の時刻表示にズレを生じる恐れがあり、これを防止するために指針の形状や大きさに一定の制限があった。
【0004】
さらに、機械的な指針で時刻を表示する機械式電気時計のカレンダー表示機構において、日付表示部の月末処理を、ほぼ2ヶ月毎に手動で日付修正する必要があるため、非常に煩わしく使い難いという問題があった。複雑な機構を用いれば月末自動修正機能の追加は可能であるが、このような機能は機構が複雑なため組み立てコストが高くなり、また、長期間の安定動作に対する信頼性も低下する。更に消費電力が増加するため、充電エネルギーで無停止動作させることが困難であった。これを防止するために、日付部のみ電気光学的な液晶表示にすると、時刻表示面にデザイン上の違和感が生じてしまう。
【0005】
上記の欠点を解決するためには、指針式表示やカレンダー表示の機械的角度や回転位置を検出する機能が必要である。従来提案されている技術としては、(1)回転する輪列の一部に機械的スイッチを設けている(例えば、特許文献1参照)。また、(2)発光素子と受光素子とを穴を有する回転輪列を挟んで配置して回転時の穴の有無を受光素子によって検出するものがある(例えば、特許文献2参照)。さらに、(3)回転部材を利用して電極間の容量変化を電子検出手段で読み取る容量値検出によるものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−67877号公報(第2頁、図2)
【特許文献2】
特開平8−179058号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献3】
特表2001−524206号公報(特許請求の範囲、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、今までに提案されている位置検出機構にはそれぞれ多くの課題を有していた。上記(1)の機械的接触スイッチ機構を利用する位置検出は、輪列等の回転運動部材に接触して位置を検出する構造のため、駆動エネルギーを多く必要とするという課題がある。特に発電エネルギーに余裕の少ない発電式電気時計には大きな問題であり、位置検出を行なうためにかえって位置ズレ発生の原因にもなりかねず、また、接触式のスイッチ機構は接触部材の磨耗劣化の恐れがあり、信頼性が低いという課題があった。
【0008】
また、上記(2)の光学的センサを利用した構造においては、発光素子と受光素子を回転運動する部材の上下面に配置する必要があるので、時計の厚みが増加してしまうという課題があり、このため、薄型の腕時計への適応は不可能であった。また発光素子や受光素子等の光学素子を動作させるためにはかなりの消費電力が必要になり、そのため一日に1回程度の検出頻度しか応用できない。また発光のためには一定値以上の高い閾値電圧の駆動電圧が必要なため高電圧制約があり、電源電圧の変動の大きい発電式電気時計には適応しづらいという課題もあった。
【0009】
さらに、上記(3)の回転部材を利用して電極間の容量変化を直接検出する構成については、腕時計サイズのごく小さな位置検出部品から検出される容量値の変化は微小であるために検出精度が低く、構成部品の携帯姿勢による位置変化や温度変化等の外部環境からの影響を受けやすく、位置検出の信頼性が極めて低いという課題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決して、大きなエネルギーを必要とせず、接点式検出機構の経時変化による信頼性の低下を防止し、また、光学的センサ方式と比較して薄型構造を実現し、且つ発光素子を駆動するための高電圧を必要とせず、さらに、静電容量値や磁力の絶対量の変化の検出方式と比較して温度等外部環境からの影響を受けない、高い信頼性の位置検出システムにより、機械的保持時刻と電気的保持時刻との時刻差異を確実に検出できる実現性のある高信頼性の電気時計の位置検出システムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、時計内部の稼動機構の角度回転位置の検出機構を有する電気時計の位置検出システムにおいて、複数の送信信号を出力する送信回路と、絶縁部材上に形成されて前記送信信号を送信する複数の送信電極と、前記絶縁部材上に形成される受信電極と、前記稼動機構と機械的結合して回転する回転体と、前記複数の送信電極と受信電極に対向して前記回転体に配置される伝達電極と、該伝達電極に誘起される伝達信号を前記受信電極で受信信号として受信し、該受信信号を入力して前記稼動機構の機械的回転位置を検出する位置検出回路を有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、一枚のプリント基板等の絶縁部材上に複数の送信電極と受信電極を形成し、稼動機構と機械的結合して回転する回転体に前記複数の送信電極と受信電極に対向して伝達電極を配置し、該伝達電極に誘起される伝達信号を前記受信電極で受信信号として受信することにより、該受信信号を入力して前記稼動機構の機械的回転位置を検出する為、大きなエネルギーを必要とせず、経時変化のない、高い信頼性の位置検出システムを構成することができる。
又、送信電極と受信電極を同一の絶縁部材面に形成している為、余分なプリント基板等の絶縁部材を必要とせず、位置検出システムの構造を簡単にできると共に薄型化を可能とし、位置検出システムのコストダウンも図ることができる。
【0013】
また、前記複数の送信電極は前記絶縁部材上に略扇形状に配列形成され、前記受信電極は前記複数の送信電極と同一面の絶縁部材上に略円形に形成され、該複数の送信電極と受信電極は同心円の位置関係にあることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、略扇形状に配列形成された複数の送信電極と略円形に形成された受信電極とを同心円の位置関係とすることにより、伝達電極が回転してもその近接面積は変化せず、容量結合も変化しない。また、位相検出によって位置検出を行こなうに当たっては隣り合う送信電極の位相を大きく変化させることが可能であり、検出電極において大きな位相変化として検出でき、検出精度が高く信頼性に優れた位置検出システムを提供することが出来る。
【0015】
また、前記複数の送信電極と受信電極が形成される前記絶縁部材の同心円中心部に車軸孔を設け、該車軸孔に前記回転体の車軸を貫通して配置し、該回転体が前記絶縁部材上の複数の送信電極と受信電極に、非接触近接して回転することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、絶縁部材の同心円中心部に設けた車軸孔に回転体の車軸を貫通して配置することにより、前記回転体と前記絶縁部材上の複数の送信電極と受信電極と近接して回転させることができる為、受信電極に誘起される受信信号のレベルを大きくし、受信信号のS/N比を向上させる事ができる。
【0017】
また、前記伝達電極は前記回転体の回転面に配設され、該回転体が一回転する期間に少なくとも一回以上前記複数の送信電極の特定の送信電極と選択的に重なり、該伝達電極と該特定の送信電極との電気的容量結合が最大になることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、回転体が一回転する期間に少なくとも一回以上、複数の送信電極の特定の送信電極と伝達電極とを選択的に重ねた時に、前記伝達電極と前記特定の送信電極との電気的容量結合を最大になる様にした為、電気的容量結合が最大になる位置のみを検出する事によって、検出精度の高い位置検出システムを提供することが出来る。
【0019】
また、前記絶縁部材の車軸孔は導電部材によってなるスルホール部を有し、前記回転体の車軸は前記伝達電極と電気的に接続する導電部材によって成る伝達車軸部を有し、該伝達車軸部と前記絶縁部材の車軸孔のスルホール部が非接触近接して電気的容量結合し、伝達車軸部に誘起される伝達信号を前記スルホール部で受信信号として受信することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、伝達車軸部と絶縁部材の車軸孔のスルホール部が非接触近接して電気的容量結合することにより、伝達車軸部に誘起される伝達信号が前記スルホール部でも受信信号として受信できる為、受信信号の信号レベルが上昇し、S/N比が改善されて位置検出ミスを防止する事ができる。
【0021】
また、前記絶縁部材に形成される複数の送信電極と受信電極との隙間に、電気的接地電極を有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、絶縁部材に形成される複数の送信電極と受信電極との隙間に、電気的接地電極が配置される為、前記受信電極は前記接地電極によってシールドされるので、受信電極へのノイズの混入を防止でき、受信電極に誘起される受信信号のS/N比を大幅に向上させることが出来る。
【0023】
また、前記複数の送信電極と受信電極を形成した同一絶縁部材に、前記送信回路と前記位置検出回路を含む集積回路を実装したことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、同一絶縁部材に送信回路と位置検出回路を含む集積回路を実装できる為、集積回路と受信電極との距離を短くする事が可能となり、集積回路と受信電極間のノイズの混入を防止できる。
【0025】
また、前記稼動機構は輪列機構である事を特徴とする。
【0026】
この構成によれば、輪列機構の位置検出が可能となり、機能付き時計の針位置検出に利用可能となり、ストップウオッチ機能の0位置合せや機能針の位置合せとして利用できる。
【0027】
また、前記輪列機構は時刻情報を表示する為の輪列機構である事を特徴とする。
【0028】
この構成によれば、時刻情報を表示する為の輪列機構の位置検出が可能となり、電気時計の機械的保持時刻と電気的保持時刻との時刻差異を検出する事によって正しい時刻に修正でき、電波修正時計の標準電波信号受信時の時刻合せや太陽電池式時計の節電モードからの通常モードの復帰時における自動時刻修正にも利用できる。
【0029】
さらに、前記稼動機構はカレンダー機構である事を特徴とする。
【0030】
この構成によれば、カレンダー機構の位置検出が可能となり、電気的保持時刻による大の月小の月の判定結果を利用してカレンダー送りを行こなう月末無修正のカレンダー構造を構成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態である電気時計の位置検出システムの部分断面図であり、図2は図1の電気時計の位置検出システムの構成部品を矢視A方向から見た平面図であって、図2(a)は回転体としての検出車の平面図、図2(b)は送信電極と受信電極の平面図である。
【0032】
図1と図2により本発明の第1の実施形態である電気時計の位置検出システムの構成を説明する。2はロータ、3はステータで、図示されていないコイルと共に電気時計の動力源としてのステップモータを構成している。4はロータ2の回転を減速する為の五番車で、該五番車4は秒針を駆動する為の図示されていない四番車に回転を減速伝達する。
【0033】
5はプラスチック等からなる絶縁体で構成された回転体としての検出車で、前記五番車4から図示されていない四番車までの減速比と同一の減速比で前記五番車4から該検出車5に減速伝達される。6は検出車5の回転面5aに配置された板状の導電部材により成る伝達電極であり、その形状は図2(a)の斜線で示すように放射状に3方向に広がっている。7は導電体により成る検出車5の車軸である。14はプラスチック等の絶縁体により成る地板、15はプラスチック等の絶縁体によって成る輪列受で、地板14及び輪列受15によってロータ2、五番車4等の輪列及び検出車5の車軸7を支えている。
【0034】
8は前記検出車5に近接して配置された絶縁部材により成るプリント基板であり、9は前記検出車5の車軸7を通すために設けられたプリント基板8の車軸孔である。10は前記プリント基板8に実装される各制御回路を含む集積回路(以下ICと略す)である。11は前記プリント基板8の車軸孔9を中心として円形状に形成された銅箔よりなる受信電極であり、該受信電極11は図2(b)で示す受信信号ライン11aによって前記IC10と電気的に接続されている。
【0035】
12、13は前記プリント基板8の表面に銅箔よって形成され複数の送信信号を出力する二組の送信電極であり、その詳細な構成を図2(b)に示す。一方の送信電極12は、送信電極12a、12b、12cの三つの略扇形状のパターンにより構成され、前記プリント基板8の裏面を通る送信電極接続ライン12dによって互いに電気的に接続され、さらに送信信号ライン12eによって前記IC10と接続される。他方の送信電極13は、送信電極13a、13b、13cの三つの略扇形状のパターンにより構成され、前記プリント基板8に形成された送信電極接続ライン13dによって互いに電気的に接続され、さらに送信信号ライン13eによってIC10と接続される。
【0036】
また、前記複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13cは、前記円形状の受信電極11を囲むように該受信電極11と同心円の位置関係で配列し形成される。また、前記検出車5はその車軸7が前記プリント基板8の車軸孔9を貫通して配置されるので、前記検出車5の回転面に配置される伝達電極6と、前記プリント基板8に形成される前記複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13c及び前記受信電極11とは、互いに対向して配置され非接触近接している。
【0037】
この結果、前記複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13cと前記受信電極11は前記検出車5の前記伝達電極6と電気的に容量結合する。
【0038】
次に、図1と図2により本発明の電気時計の位置検出システムの基本動作の概略を説明する。IC10から図示されていないステップモータのコイルに1秒毎に駆動信号(図示せず)が出力されると、ロータ2は回転を開始し、その回転力は五番車4に減速伝達される。さらにその回転力は検出車5と図示されていない四番車に同一減速比で伝達され、検出車5と四番車は1秒毎に6度ずつ回転する。一方、IC10には、ロータ2を駆動するごとに計数値が加算される時刻計数回路(図示せず)やカレンダー回路(図示せず)等を有し、電気的に時刻やカレンダー情報が保持されている。
【0039】
ここで検出車5が回転すると、該検出車5の回転面5aにある伝達電極6も、複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13cと受信電極11に対して非接触で近接しながら1秒毎に6度ずつ回転する。この結果、伝達電極6と複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13cは近接する面積が変化するので、両電極間の電気的な容量結合が1秒毎に変化する。しかしながら、伝達電極6と受信電極11が近接する面は共に円形であるので、伝達電極6が回転してもその近接面積は変化せず、容量結合も変化しない。
【0040】
次に図3に基づいて、本発明の電気時計の位置検出システムの電気的構成と電気的動作を説明する。図3は位置検出システムの電気的構成を示すブロック図である。位置検出システムの構成は各出力信号を発生する発振分周回路20と、2つのバンドパスフィルタ型増幅回路(以下BPF増幅回路と略記する)21と22とからなる送信回路23と、前記受信電極11と前記送信電極12,13と、前記検出車5と検出車5に配置される伝達電極6と、増幅回路によってなる受信回路24と、コンデンサ25とコンデンサ26と増幅回路27からなる基準信号発生回路28と、位置検出回路30とから構成される。
【0041】
次に図3に於いて位置検出システムの電気的な接続関係を説明する。発振分周回路20は各種の制御信号(図示せず)や駆動信号(図示せず)を出力すると共に、位相が45度進んだ出力パルスPa(+45°)と位相が45度遅れた出力パルスPb(−45°)を出力する(以後Pa(+45°)はPa、Pb(−45°)はPbと略記)。送信回路23のBPF増幅回路21は出力パルスPaを入力して送信信号φaを出力し、送信回路23のBPF増幅回路22は出力パルスPbを入力して送信信号φbを出力する。
【0042】
送信信号φaは送信電極12とコンデンサ25に入力し、送信信号φbは送信電極13とコンデンサ26に入力する。受信電極11は伝達電極6を介して受信信号φcを出力し、受信回路24は受信信号φc入力して受信パルス信号Pcを出力する。基準信号発生回路28は二つのコンデンサ25、26を介して二つの送信信号φa、φbを合成した合成信号φabを、増幅回路27に入力し位相の進み遅れのない基準信号Pab(0°)を出力する(以降Pab(0°)はPabと略記)。位置検出回路30は受信パルス信号Pcと基準信号Pabを入力して位置信号Pdを出力する。
【0043】
次に図3に於いて位置検出システムの電気的な動作を説明する。発振分周回路20は内部の水晶発振回路(図示せず)とロジック回路(図示せず)により、π/2位相ずれた2つの出力パルスPaとPbとを出力する。送信回路23の二つのBPF増幅回路21、22は、それぞれ出力パルスPa、Pbを入力し、高調波成分を除去して基本波成分のみを増幅して、正弦波であって位相がπ/2ずれた二つの送信信号φa、φbを生成する。
【0044】
生成された二つの送信信号φa、φbは、それぞれ送信電極12、13から送信さる。尚、送信電極12、13は、きわめて小さな静電容量を有する高インピーダンスの負荷であるので、送信回路23の消費電力は非常に少ない。ここで、前述した如く検出車5は1秒毎に回転角6度で回転するので、検出車5の回転に応じて伝達電極6と送信電極12、13の電気的容量結合が変化し、この結果、伝達電極6には検出車5の回転に応じて変調された伝達信号が誘起される。
【0045】
ここで、受信電極11は前述した如く、伝達電極6と非接触近接して電気的容量結合し、且つ、検出車5が回転してもその電気的容量結合は変化しない。この結果、伝達電極6に誘起された伝達信号は、伝達電極6と電気的容量結合している受信電極11に変調されることなく受信信号φcとして伝達される。更に受信信号φcは受信回路24によって飽和増幅され、受信信号φcの位相情報をそのまま保持する受信パルス信号Pcとして生成される。
【0046】
次に基準信号Pabを生成する基準信号発生回路28の動作を説明する。基準信号発生回路28の二つのコンデンサ25、26は位相が45°進んだ送信信号φaと位相が45°遅れた送信信号φbを入力し、合成信号φabを生成するが、コンデンサ25と26の容量値が等しいので、合成信号φabの位相は、二つの送信信号φaとφbの位相の中間点である位相角零度の正弦波となる。増幅回路27は合成信号φabを飽和増幅して位相角零度のパルス信号である基準信号Pabを生成する。
【0047】
次に図3に於いて位置検出回路30の動作を説明する。位置検出回路30は、一実施例としてデータ入力型フリップフロップ30a(以降D−FFと略す)によって構成し、受信パルス信号Pcをデータ入力端子Dに入力し、基準信号Pabをクロック端子CLに入力する。また、D−FF30aの出力端子Qから位置信号Pdを出力する。
【0048】
ここで、D−FF30aのデータ入力端子Dに入力される受信パルス信号Pcがクロック端子CLに入力される基準信号Pabより位相が進んでいる場合は、その出力端子Qの論理レベルは論理“H”となり、データ入力端子Dに入力される受信パルス信号Pcがクロック端子CLに入力される基準信号Pabより位相が遅れている場合は、その出力端子Qの論理レベルは論理“L”となる。この結果、位置信号Pdの論理レベルにより、基準信号Pabに対する受信パルス信号Pcの位相の進み遅れを知ることが出来る。
【0049】
次に伝達電極6と複数の送信電極12、13の位置関係の変化と該位置関係の変化に伴う受信信号φcの位相の変化を説明する。図4は検出車5に配置された伝達電極6が車軸7を中心として一回転する時の前記伝達電極6と前記複数の送信電極12、13との位置関係の変化を示す平面図で、図4(A)〜(I)は一回転を40度ステップ毎の状態に分け、前記位置関係の変化を示した。尚、前述した如く、送信電極12は位相が45度進んだ送信信号φaを送信し、送信電極13は位相が45度遅れている送信信号φbを送信している。また、伝達電極6は送信電極12、13に対して右回転しているものとする。
【0050】
図4(A)の状態に於いて斜線部で示す伝達電極6は、3方向に広がる羽の部分の二つが送信電極12aと12bに近接して重なり、他の一つが送信電極13bと近接して重なっている。この結果、送信信号φaを送信する送信電極12は、送信信号φbを送信する送信電極13より2倍の面積比で伝達電極6と近接して重なることになる。従って、伝達電極6に誘起される伝達信号は、送信信号φaとφbの合成波となるが、その合成比は送信信号φa:送信信号φb=2:1となって送信信号φaが2倍の影響を及ぼすので、伝達信号の位相は送信信号φaの影響を2倍受けることになり、この結果、基準信号Pabの位相を零度基準とすると伝達信号の位相はプラス15度となる。
【0051】
図4(B)は、図4(A)より前記伝達電極6が右方向に約40度回転した状態を示している。ここでは伝達電極6は、3方向に広がる羽の部分の二つが送信電極12aと12bと近接して重なり、他の一つが送信電極13aと近接して重なっている。この結果、図4(A)と同様に伝達電極6に誘起される伝達信号の合成比は、送信信号φa:送信信号φb=2:1となり、基準信号Pabの位相を零度基準とすると伝達信号の位相はプラス15度となる。以下同様に、図4の(C)、(G)、(H)、(I)の位置関係に於いては、伝達信号の合成比は、送信信号φa:送信信号φb=2:1となるので、基準信号Pabの位相を零度基準とすると伝達信号の位相はプラス15度となる。
【0052】
図4(D)の状態に於いては、伝達電極6は、3方向に広がる羽の部分がすべて送信電極12のグループである送信電極12a、12b、12cと近接して重なっている。従って、伝達信号は送信信号φaの影響のみを受け、その位相は送信信号φaに等しいプラス45度となる。同様に、図4(F)の状態に於いては伝達電極6は、3方向に広がる羽の部分がすべて送信電極12のグループである送信電極12a、12b、12cと近接して重なるので、伝達信号は送信信号φaの影響のみを受け、その位相は送信信号φaに等しいプラス45度となる。
【0053】
また、図4(E)の状態に於いては、伝達電極6は、3方向に広がる羽の部分がすべて送信電極13のグループである送信電極13a、13b、13cと近接して重なっている。従って、伝達信号は送信信号φbの影響のみを受け、その位相は送信信号φbに等しくマイナス45度となる。ここで、前述した如く、受信電極11に誘起される受信信号φcは、伝達電極6に誘起される伝達信号がそのまま変調されることなく伝達されるので、受信信号φcと伝達信号の位相情報は常に等しい。
なお、上記図4の説明は、リークの無い理想的な構造の場合の位相の変化について記載したものであり、実際の位相変化はもう少し小さくなる。
【0054】
図5は、図4で示した伝達電極6と複数の送信電極12、13の位置関係の変化による送信信号φa、φbと受信信号φcの位相の変化を示している。図5(a)は図4(A)で代表される受信電極φcの位相がプラス15度である場合の送信信号φaとφbとの位相関係を示している。図5(b)は図4(D)、(F)で示した受信電極φcの位相が送信信号Φaと等しくプラス45度である場合の送信信号φaとφbとの位相関係を示している。図5(c)は 図4(E)で示した受信電極φcの位相が送信信号φbと等しくマイナス45度である場合の送信信号φaとφbとの位相関係を示している。このように受信信号φcは、伝達電極6と送信電極12、13の位置関係に対応して、送信信号φa、φbが変調された信号となる。
【0055】
図6(a)は検出車5の回転量と受信信号φcの位相の関係を1秒運針毎にサンプリングしたグラフであり、X軸が検出車5の回転量(秒数)を示しY軸が受信信号φcの位相角を示している。ここで、グラフ上の黒丸が1秒毎の受信信号φcの位相を示しており、グラフ下部で検出車位置番号と記載したA〜Iは図4(A)〜(I)で示した伝達電極6の位置に対応している。
【0056】
すなわち、図4(A)の検出車5の位置を図6(a)のグラフ上の出発点(すなわち左隅)とし、1秒毎に検出車5を右回転させると図4(A)〜(C)に対応する期間の位相はプラス15度を維持し、図4(D)に対応する期間はピークがプラス45度となり、図4(E)に対応する期間はピークが反転してマイナス45度となり、図4(F)に対応する期間は再びピークが反転してプラス45度となり、図4(G)以降の期間は再びプラス15度を維持する。
なお、図4でも説明した通り、リークの無い理想的な構造の場合の位相の変化について記載したものであり、実際の位相変化はもう少し小さくなる。
【0057】
図6(b)は、図6(a)で示した受信信号Φcの位相変化に対応した位置検出回路30の出力である位置信号Pdの波形を示している。ここで、位置信号Pdは、前述した如く受信信号φcがプラス側に進んでいる期間は論理“H”を出力し、受信信号φcがマイナス側に遅れている期間は論理“L”を出力するので、図6(a)の検出車位置番号がDからEに移動するときには、位置信号Pdが論理“H”から論理“L”に変化し、また、検出車位置番号がEからFに移動するときには、位置信号Pdが論理“L”から論理“H”に変化する。よって、この位置信号Pdの論理変化を捉えることによって、検出車5の正確な回転位置を1秒単位の精度で見つけることが出来る。
【0058】
ここで、位置検出回路30は、1秒運針毎に位相検出して位置信号Pdを出力するが、受信信号のφcの位相がちょうど零度を通過する付近に検出車5が停止して位相検出が行われると、輪列や検出車5のガタによって、位相が零度付近を中心に瞬時に進み遅れを生じ位置検出ミスを起こす危険性がある。よって、輪列や検出車に多少のガタがあっても、位置検出ミスを起こさないようにするため、基準信号Pabや送信信号φa、φbの位相を微調整するなどして、位相の測定ポイントである図6(a)の黒丸の位置が、位相零度付近にならないように調整すると良い。
【0059】
図6(a)に於いて、位相零度を通過する黒丸の位置がプラス10度及びマイナス10度付近にあるのは、この調整を実施したことによるものであり、この結果、輪列や検出車に多少のガタがあっても位置検出ミスを起こすことは無い。また、本発明の位置検出方式は、静電容量値の絶対値や位相角の絶対値の変化を検出するものではなく、位相の異なる複数の送信信号を基準として相対的な位相の変化を検出するため、温度変化や経時変化、その他の外乱による影響は複数の送信信号が互いにキャンセルするので、高精度で信頼性の高い位置検出が可能である。
【0060】
次に、位置検出回路30の出力である位置信号Pdを用いて、電気時計の時刻修正方法を説明する。ここで例えば、図6(b)で示す位置信号Pdが論理“L”から論理“H”になる瞬間の検出車5の位置を零秒原点と定め、この位置で四番車に取り付ける秒針の位置を12時00分00秒とする。そして、この零秒原点の位置で、IC10に内蔵する電気的保持時刻を記憶する時刻計数回路(図示せず)をリセットし、そこから電気時計をスタートさせる。
【0061】
電気時計は1秒運針を継続し、IC10に内蔵される時刻計数回路も1秒毎に計数するので、機械的保持時刻としての指針の表示位置と電気的保持時刻を記憶する時刻計数回路の情報がずれることはないが、衝撃やその他の外乱によって、輪列の1秒運針が誤動作すると、指針の表示位置とIC10に内蔵する時刻計数回路の時刻情報に狂いが生じる。
【0062】
ここで、IC10の制御回路(図示せず)は、常に時刻計数回路の時刻情報と位置検出回路30からの出力される位置信号Pdが示す零秒原点をモニターしており、時刻計数回路の時刻情報と位置信号Pdが示す零秒原点にずれが生じたときは、ロータ2を正転または逆転して時刻計数回路の時刻情報と位置信号Pdが示す零秒原点を一致させるように修正する。
【0063】
以上のように、第1の実施形態によれば、同一のプリント基板等の絶縁部材面に送信電極と受信電極を形成し、検出車に配置された伝達電極との電気的容量結合変化を利用した位相検出手段によって輪列の位置検出を行うことにより、電気時計の機械的保持時刻と電気的保持時刻との時刻差異を検出し、正しい時刻に修正できる。また、同一の絶縁部材面に送信電極と受信電極を形成し、検出車に配置された伝達電極との電気的容量結合変化を利用した位相検出手段を採用しており、位置検出システムの構造が簡単であり、その為薄型化が可能であり、位置検出システムのコストダウンを図ることもできる。又、日板や曜板の機械的位置検出に利用すれば月末自動修正機能付腕時計を構成することができる。
【0064】
次に位置検出の信頼性を更に高める本発明の第2の実施形態を説明する。
図7は本発明の第2の実施形態である送信電極と受信電極の構成を示す平面図である。なお、図2(b)と共通する部分の説明は省略する。17は、電気的接地に接続される接地電極であり、複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13cと受信電極11の境界部の隙間に配置される。また更に、接地電極17は受信信号φcを伝搬する受信信号ライン11aの周辺部を覆うように配置される。
【0065】
以上のように、第2の実施形態によれば、複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13cと受信電極11の境界部の隙間に接地電極17を配置することによって、受信電極11と受信信号ライン11aは接地電極17によってシールドされ電気的に分離されるので、複数の送信電極12a、12b、12c、13a、13b、13cから送信される送信信号φa、φbが受信電極11にリークすることもなくなり、受信電極11や受信信号ライン11aにノイズとして混入することが防止でき、受信電極11に誘起される受信信号φcのS/N比を大幅に向上させることが出来る。
【0066】
次に伝達電極と受信電極の容量結合度を改善した本発明の第3の実施形態を説明する。図8は本発明の第3の実施の形態である電気時計の位置検出システムの部分断面図であり、図1と共通する部分の説明は省略する。7aは車軸7と一体加工された導電部材によって成る伝達車軸部であり、該伝達車軸部7aは検出車5の回転面5aに配置される伝達電極6と電気的に接続している。11bはプリント基板8の車軸孔9の内側表面に形成され受信電極11と電気的に接続している導電部材によってなるスルホール部であり、伝達車軸部7aの円周面7bと非接触で近接している。
【0067】
次に本発明の第3の実施形態の動作を説明する。送信電極12、13より伝達電極6に誘起された伝達信号(図示せず)は、伝達電極6と電気的に接続している伝達車軸部7aにも伝達される。ここで、伝達車軸部7aの円周面7bは車軸孔9に形成されたスルホール部11bと電気的容量結合しているので、伝達信号は伝達車軸部7aの円周面7bからスルホール部11bに受信信号φcとして伝達される。
【0068】
一方、第1の実施形態の動作で説明した如く、伝達信号は伝達電極6からプリント基板8に形成される受信電極11に対しても受信信号φcとして伝達されている。ここで、伝達車軸部7aによって伝達される受信信号をφc1とし、伝達電極6によって伝達される受信信号をφc2とすると、IC10に入力される受信信号φcは、φc=φc1+φc2となる。この結果、受信信号φcの信号レベルが上昇し、S/N比が改善されて位置検出ミスの防止に有効である。
【0069】
また、検出車5の車軸7は導電部材であるため車軸7にも伝達信号が伝達されるが、車軸7を上下で受ける地板14と輪列受15はプラスチック等の絶縁部材によってなるので、地板14や輪列受15を介して他の部品から伝達信号にノイズが混入することはない。また、地板14と輪列受15が金属等による導電部材である場合は、それぞれの軸受け部を絶縁部材である貴石等で受ける構造にすればよい。
【0070】
また、電気時計の小型化要求が強く有り、検出車5の外形サイズを極力小さくしなければならない場合などは、この第3の実施形態がきわめて有効である。すなわち、プリント基板8から受信電極11を削除し、車軸孔9のスルホール部11bだけで受信信号φcを受信するようにする。このようにすると、検出車5の回転面の伝達電極6は、送信電極12、13にだけ対向する形状にすればよく、この結果、検出車5の外形を小さくできるので、電気時計の更なる小型化に有効である。
【0071】
以上のように、第3の実施形態によれば、伝達電極6と受信電極11との間で伝達される受信信号だけでなく、伝達車軸部7aの円周面7bと車軸孔9に形成されたスルホール部11bとの間で伝達される受信信号が追加される為、受信信号の信号レベルが上昇し、S/N比が改善されて位置検出ミスを防止する事ができる。さらに、第2の実施形態と組み合わせて実施すれば、受信信号のS/Nは更に向上し、位置検出の検出精度を更に高めることができ、信頼性の優れた位置検出システムとする事ができる。
【0072】
次に本発明の位置検出システムの構造を更に単純化した第4の実施形態を説明する。図9は本発明の第4の実施の形態である電気時計の位置検出システムの部分断面図であり、図1と共通する部分の説明は省略する。16は第1の実施形態と同様なプラスチック等の絶縁部材によってなる輪列受であるが、その輪列受下面部16aに導電性の膜を形成し、その一部を送信電極12、13と受信電極11とする。また、輪列受下面部16aにIC10を直接実装し、導電性の膜によって送信電極12、13と受信電極11等を接続する。
【0073】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態でのプリント基板8が不要となるので、電気時計の薄型化、部品コスト削減等が更に可能となる。また、輪列受16自身を反り等が少ないガラス混入部材等のプリント基板に置き換え、通常のエッチング技術によって送信電極12、13や受信電極11を形成することも可能である。
【0074】
次に送信電極と受信電極及び伝達電極の電極形状が異なる本発明の第5の実施形態を説明する。図10は本発明の第5の実施形態である送信電極と受信電極及び伝達電極の形状と位置関係を示した平面図である。図10(a)に於いて、40は絶縁部材によってなるプリント基板であり、40aはプリント基板40に設けられた車軸孔である。41aと41bはそれぞれ略扇形形状をした銅箔等によってなる送信電極であり、送信電極41aは送信信号φaを送信し、送信電極41bは送信信号φbを送信する。42は略扇形形状をした銅箔等によってなる受信電極であり、送信電極41aと41bの間に位置する。
【0075】
図10(b)に於いて、43は絶縁部材によってなる検出車であり、43aは車軸である。44は略扇形形状した導電部材によってなる伝達電極であり、検出車43の裏面に配置される。ここで、検出車43の車軸43aはプリント基板40の車軸孔40aに挿入され、検出車43は送信電極41a、41b、受信電極42に対して非接触で近接しながら回転するので、伝達電極44と送信電極41a、41b及び受信電極42は電気的容量結合が検出車43の回転に応じて変化する。
【0076】
次に図10(c)〜(f)は検出車43の伝達電極44と送信電極41a、41b、受信電極42との位置関係の変化を示している。図10(c)の状態では伝達電極44が送信電極41aと受信電極42の両方にまたがった位置で重なり、受信電極42には送信信号φaと同じ45度位相が進んだ受信信号φcが伝達される。図10(d)の状態では伝達電極44が受信電極42を中心に送信電極41aと送信電極41bの両方にまたがった位置で重なり、受信電極42には二つの送信信号φaとφbの合成された位相角零度の受信信号φcが伝達される。
【0077】
また、図10(e)の状態では伝達電極44が送信電極41bと受信電極42の両方にまたがった位置で重なり、受信電極42には送信信号φbと同じ45度位相が遅れた受信信号φcが伝達される。更に図10(f)の状態では伝達電極44は、送信電極41a,41bや受信電極42のどの電極に対しても重なっていないので、受信信号φcは無信号となる。ここで、前述の位相検出回路30は受信信号φcの位相角が零度となる瞬間を検出できるので、検出車43が図10(d)の位置を通過した瞬間を検出し、このポイントを検出車の零秒原点に決めることができる。
【0078】
以上のように、第5の実施形態によれば、受信信号φcの信号レベルが検出車43の回転位置によって変化してしまうという不利な点はあるが、送信電極の形状を単純にすることが出来るので製造時のコストダウン等が可能となる。また、受信電極42や送信電極41a、41bの形状は略扇形に限ることは無く、受信信号φcが検出車43の回転に対応して変調されるならば、どのような形状であっても良い。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように本発明の電気時計の位置検出システムは、一枚のプリント基板等の絶縁部材面に送信電極と受信電極を形成し、検出車に配置された伝達電極との電気的容量結合変化を利用した位相検出手段によって輪列の位置検出を行い、電気時計の機械的保持時刻と電気的保持時刻との時刻差異を検出し修正できるので、位置検出システムの構造が簡単で薄型化に適し、位置検出機能を応用した自動修正機能付腕時計の薄型化やコストダウンに、その効果はきわめて大きい。
【0080】
また、この位置検出システムは、高インピーダンスの送信電極を駆動するだけでよいので消費電力が少なく、電力的に余裕のない発電式電気時計への応用が簡単に実現できる。更には、シールド構造の追加や受信電極と伝達電極等の改良により、S/N比を向上させ、且つ、受信信号レベルも大きく出来るので、検出精度が高く信頼性に優れた位置検出システムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である電気時計の位置検出システムの部分断面図である。
【図2】図1の電気時計の位置検出システムの構成部品を矢視A方向から見た平面図であって、図2(a)は回転体としての検出車の平面図、図2(b)は送信電極と受信電極の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態である電気時計の位置検出システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態である検出車5に配置された伝達電極6が車軸7を中心として一回転する時の伝達電極と複数の送信電極との位置関係の変化を示す平面図で、図4(A)〜(I)は40度ステップ毎の状態図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態である送信信号と受信信号の位相関係を示すグラフであり、図5(a)は受信信号がプラス15度のときの位相関係を示し、図5(b)は受信信号がプラス45度のときの位相関係を示し、図5(c)は受信信号がマイナス45度のときの位相関係を示す。
【図6】図6(a)は本発明の第1の実施の形態である検出車の回転量に対する1秒毎の受信信号の位相変化を示したグラフであり、図6(b)は受信信号に対応する位置信号Pdの波形である。
【図7】本発明の第2の実施の形態である送信電極と受信電極の構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態である電気時計の位置検出システムの部分断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態である電気時計の位置検出システムの部分断面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態である送信電極と受信電極及び伝達電極の形状と位置関係を示した平面図で、図10(a)は送信電極と受信電極の平面図、図10(b)は検出車に配置される伝達電極の平面図、図10(c)〜(f)は送信電極と受信電極及び伝達電極の位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
1 位置検出システム
2 ロータ
3 ステータ
4 五番車
5、43 検出車
5a 回転面
6、44 伝達電極
7、43a 車軸
7a 伝達車軸部
7b 円周面
8、40 プリント基板
9、40a 車軸孔
10 IC
11、42 受信電極
11a 受信信号ライン
11b スルホール部
12、12a、12b、12c 送信電極
13、13a、13b、13c 送信電極
12d、13d 送信電極接続ライン
12e、13e 送信信号ライン
14 地板
15、16 輪列受
16a 輪列受下面部
17 接地電極
20 発振分周回路
21、22 BPF増幅回路
23 送信回路
24 受信回路
25、26 コンデンサ
27 増幅回路
28 基準信号発生回路
30 位置検出回路
30a D−FF
41a、41b 送信電極

Claims (10)

  1. 時計内部の稼動機構の角度回転位置の検出機構を有する電気時計の位置検出システムにおいて、複数の送信信号を出力する送信回路と、絶縁部材上に形成されて前記送信信号を送信する複数の送信電極と、前記絶縁部材上に形成される受信電極と、前記稼動機構と機械的結合して回転する回転体と、前記複数の送信電極と受信電極に対向して前記回転体に配置される伝達電極と、該伝達電極に誘起される伝達信号を前記受信電極で受信信号として受信し、該受信信号を入力して前記稼動機構の機械的回転位置を検出する位置検出回路を有することを特徴とする電気時計の位置検出システム。
  2. 前記複数の送信電極は前記絶縁部材上に略扇形状に配列形成され、前記受信電極は前記複数の送信電極と同一面の絶縁部材上に略円形に形成され、該複数の送信電極と受信電極は同心円の位置関係にあることを特徴とする請求項1記載の電気時計の位置検出システム。
  3. 前記複数の送信電極と受信電極が形成される前記絶縁部材の同心円中心部に車軸孔を設け、該車軸孔に前記回転体の車軸を貫通して配置し、該回転体が前記絶縁部材上の複数の送信電極と受信電極に、非接触近接して回転することを特徴とする請求項1乃至請求項2いずれかに記載の電気時計の位置検出システム。
  4. 前記伝達電極は前記回転体の回転面に配設され、該回転体が一回転する期間に少なくとも一回以上前記複数の送信電極の特定の送信電極と選択的に重なり、該伝達電極と該特定の送信電極との電気的容量結合が最大になることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電気時計の位置検出システム。
  5. 前記絶縁部材の車軸孔は導電部材によってなるスルホール部を有し、前記回転体の車軸は前記伝達電極と電気的に接続する導電部材によって成る伝達車軸部を有し、該伝達車軸部と前記絶縁部材の車軸孔のスルホール部が非接触近接して電気的容量結合し、伝達車軸部に誘起される伝達信号を前記スルホール部で受信信号として受信することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電気時計の位置検出システム。
  6. 前記絶縁部材に形成される複数の送信電極と受信電極との隙間に、電気的接地電極を有することを特徴とする請求項1記載の電気時計の位置検出システム。
  7. 前記複数の送信電極と受信電極を形成した同一絶縁部材に、前記送信回路と前記位置検出回路を含む集積回路を実装したことを特徴とする請求項1記載の電気時計の位置検出システム。
  8. 前記稼動機構は輪列機構である事を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電気時計の位置検出システム。
  9. 前記輪列機構は時刻情報を表示する為の輪列機構である事を特徴とする請求項8記載の電気時計の位置検出システム。
  10. 前記稼動機構はカレンダー機構である事を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電気時計の位置検出システム。
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