JP2004163030A - 水素燃焼器 - Google Patents
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Abstract
【課題】水滴が触媒に送り込まれないようにして、触媒反応に悪影響を及ぼすのを防止するようにした水素燃焼器を提供する。
【解決手段】混合ガスの流れ方向に対して水素燃焼触媒20の上流側で、この水素燃焼触媒20の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材40を設け、この水滴除去部材40を通過した混合ガスを水素燃焼触媒20に供給することにより、水素燃焼触媒20に水滴が接触するのを防止するとともに、水滴除去部材40に付着した水滴を蒸発させて水素燃焼触媒20に悪影響を与えるのを防止することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】混合ガスの流れ方向に対して水素燃焼触媒20の上流側で、この水素燃焼触媒20の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材40を設け、この水滴除去部材40を通過した混合ガスを水素燃焼触媒20に供給することにより、水素燃焼触媒20に水滴が接触するのを防止するとともに、水滴除去部材40に付着した水滴を蒸発させて水素燃焼触媒20に悪影響を与えるのを防止することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素ガスの触媒による酸化反応熱を発生させるようにした水素燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水素燃焼器としては、水素ガスと空気の混合ガスを触媒に触れさせて酸化発熱させ、この熱を熱源として取り出すようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この場合、水素燃焼器の始動時に触媒を酸化反応に適した温度にするため、触媒に導入する混合ガスを電気加熱触媒で予め加熱燃焼させて、その燃焼ガスで燃焼触媒を加熱するようになっている
また、前記電気加熱触媒の上流側には、供給される水素ガスと空気をむら無く混合するための混合器を配置して、電気加熱触媒内で混合ガスにヒートスポットが発生するのを防止するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−122311号公報(第4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の水素燃焼器では触媒に供給される水素ガス中に水滴が含まれる場合があり、この水滴が混合ガスとともに送られて燃焼中の触媒に接触すると、その接触部分で触媒の急激な温度低下が発生して触媒燃焼が停止する。
【0006】
すると、その燃焼停止した部分で水素ガスが未燃焼となるため未燃ガスが発生し、その未燃ガスがそのまま排出されたり、または未燃ガスが爆発して触媒層の剥離等が誘起されてしまう。
【0007】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて、水滴が触媒に送り込まれないようにして、触媒反応に悪影響を及ぼすのを防止するようにした水素燃焼器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1の発明は、供給された空気と水素ガスの混合ガスを水素燃焼触媒に供給して酸化反応熱を発生させるようにした水素燃焼器において、混合ガスの流れ方向に対して前記水素燃焼触媒の上流側で、この水素燃焼触媒の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材を設け、この水滴除去部材を通過した混合ガスを水素燃焼触媒に供給することを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、供給された空気と水素ガスの混合ガスを電気加熱触媒に供給して酸化反応熱を発生させるとともに、この電気加熱触媒の中心部に配置した一方の電極を混合ガスの流れ方向に対して上流側に延設した水素燃焼器において、混合ガスの流れ方向に対して前記電気加熱触媒の上流側に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材を設けるとともに、この水滴除去部材に前記電極を貫通させて、水滴除去部材を電気加熱触媒の近傍に配置し、この水滴除去部材を通過した混合ガスを電気加熱触媒に供給することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の水素燃焼器において、水滴除去部材に貫通した電極の貫通部分上流側に、電極を伝って下流方向に移動する水滴を止める遮蔽板を設けたことを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
以上の構成により請求項1に記載の発明によれば、水素燃焼触媒の上流側に設けた水滴除去部材によって水滴の通過を遮断して混合ガスのみを通過させることができ、水素燃焼触媒に水滴が接触するのを防止することができる。
【0012】
また、前記水滴除去部材は水素燃焼触媒の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に設けたことにより、この水素燃焼触媒の燃焼輻射熱によって水滴除去部材が加熱されるため、この水滴除去部材に付着した水滴を蒸発させて水素燃焼触媒に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に示す水素燃焼触媒が電気加熱触媒であって、低温状態にある水素燃焼器の始動時に電気加熱触媒の電極に電流を印加することにより、触媒の酸化反応に適した温度まで加熱することができるようになっており、そして、前記電気加熱触媒の上流側に水滴除去部材を設けたことにより、水滴が電気加熱触媒に供給されるのを防止することができる。
【0014】
この場合に、電気加熱触媒の中心部から上流側に延設した一方の電極を前記水滴除去部材に貫通させたので、電気加熱触媒と水滴除去部材との間の間隔を小さくできることから、水素燃焼器の全体長を短くして装置全体を小型化することができる。
【0015】
勿論、この場合にあっても水滴除去部材を電気加熱触媒の近傍に配置したことにより、水滴除去部材を輻射熱で加熱してこれに付着した水滴を蒸発させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて、水滴除去部材に貫通した電極の貫通部分上流側に遮蔽板を設けて、電極を伝って下流方向に移動する水滴を止めることができるので、水滴除去部材が電極を貫通した部分から浸入した水滴が電気加熱触媒に供給されてしまうのを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図3は本発明の水素燃焼器の第1実施形態を示し、図1は水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す斜視図、図2は水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図、図3は電気加熱触媒の斜視図である。
【0019】
この第1実施形態の水素燃焼器は、水素ガスを燃料として燃焼熱を発生させる装置であり、水素供給源(圧縮水素タンク)から供給される水素ガスと送風機からの空気とを、図1,図2に示す混合器10で均一な混合ガスとし、これを電気加熱触媒20で加熱燃焼した際に発生する燃焼ガスを、この電気加熱触媒20の下流側(図中右側)に設けた図外の燃焼触媒に送って、この燃焼触媒を触媒反応に十分な温度に加熱するようになっている(ここで、前記電気加熱触媒20および前記燃焼触媒が本発明でいう水素燃焼触媒を意味する。)。
【0020】
そして、十分に加熱された燃焼触媒で更に混合ガスを酸化反応させて高熱の燃焼ガスを発生し、この燃焼ガスを熱交換器に通して熱交換媒体(純水)と熱交換し、この熱交換媒体によって燃焼媒体で発生する燃焼熱を取り出すようになっている(特開2002−122311号公報参照)。
【0021】
前記混合器10は、図1,図2に示すように、水素ガスと空気の混合ガスが導入される円筒状のケーシング30内に、複数(本実施形態では2枚)の第1,第2混合板11,12を、それぞれの面方向がケーシング1の中心軸と直角を成すように配置しつつ、各混合板11,12間に適宜間隔を設けて取り付けることにより構成してある。
【0022】
混合ガスの導入方向に対して最上流側(図中左側)に配置した第1混合板11は、中央部に大径D1の開口部11aを設けたドーナツ形状に形成するとともに、その後流側に配置した第2混合板12は周囲に4個の中径D2の開口部12aを設けて形成してある。例えば、ケーシング30の内径57.5mmに対して、D1は35mm、D2は19mmとする。
【0023】
そして、図中左方から流入した混合ガスは、第1混合板11の開口部11aを通過した後、第2混合板12の開口部12aで分流される間に水素ガスと酸素とが混合される。
【0024】
電気加熱触媒20は、図3に示すように白金(Pt)1%、残部アルミナ(Al2O3)からなる触媒を担持した平板21と波板22を重ねて巻回して、複数箇所をロー付けした後にケーシング30に圧入して構成し、平板21と波板22との間に混合ガスを通過させる多数のセル23を形成してある。
【0025】
そして、電気加熱触媒20の中心部に一方の電極24を取り付けるとともに、外周部に他方の電極25を取り付け、水素燃焼器の始動時にこれら両電極24,25間に電流を印加することにより、電気加熱触媒20を発熱させるようになっている。
【0026】
一方の電極24は、図1,図2に示すように電気加熱触媒20から混合ガスの導入方向(図中左方)に延設部24aを介して一旦延設した後に、その先端部24bを絶縁部材26を介してケーシング30の外方へと取り出してあり、また、他方の電極25は、図3に示すように絶縁部材27を介してケーシング30の外方へと取り出してある。
【0027】
ここで、この第1実施形態では混合ガスの流れ方向に対して前記電気加熱触媒20の上流側で、この電気加熱触媒20の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材としての多孔板40を設け、この多孔板40を通過した混合ガスを電気加熱触媒20に供給するようになっている。
【0028】
多孔板40は、ケーシング30の内周に隙間無く取り付けられる円盤状を成し、その多孔板40の全域に、混合ガス中の水滴よりも小径の孔41を無数に設けることにより形成してあり、その無数の小孔41は混合ガスの通過を許容しつつ水滴を取り残すようになっている。
【0029】
この実施形態では、前記多孔板40を混合器10の第2混合板12の下流側に適宜間隔を設けて配置してあり、第2混合板12の開口部12aを通過した混合ガスが多孔板40を通過する際にも攪拌されるため、この多孔板40を含めて前記混合器10を構成するようになっている。
【0030】
このとき、前記多孔板40と電気加熱触媒20との間に、前記一方の電極24を配置するための間隔Sを設けてある。
【0031】
以上の構成によりこの実施形態の水素燃焼器によれば、電気加熱触媒20の上流側に設けた多孔板40によって混合ガス中の水滴の通過を取り残して、混合ガスのみを通過させることができ、この混合ガスが電気加熱触媒20に供給された際にも、この電気加熱触媒20に水滴が接触するのを防止することができる。
【0032】
また、前記多孔板40は電気加熱触媒20との間に間隔Sを設けた場合にも、この電気加熱触媒20の燃焼輻射熱が大きく及ぶようになっているため、この電気加熱触媒20の燃焼輻射熱によって多孔板40が加熱されるため、この多孔板40に付着した水滴を蒸発させて混合ガスとともに下流側に流すことができる。
【0033】
このとき、水蒸気が電気加熱触媒20に供給されることになるが、水蒸気は電気加熱触媒20に悪影響を与えることはない。
【0034】
(第2実施形態)
図4,図5は本発明の第2実施形態を示し、前記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0035】
図4は水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図、図5は水滴除去部材の斜視図であり、この第2実施形態では電気加熱触媒20を水素燃焼触媒として特定した場合で、図4に示すように水滴除去部材としての多孔板40に、電気加熱触媒20の中心部に配置した一方の電極24の延設部24aを貫通させて、この多孔板40を電気加熱触媒20の近傍に配置するようになっている。
【0036】
多孔板40は、図5に示すように第1実施形態と同様にケーシング30の内側形状に沿った円盤状となっており、その中心部に電極24を挿通するための貫通孔42を形成してある。
【0037】
この場合、前記電極24は延設部24aと先端部24bとの間に直角部24cが形成されており、厚肉状の多孔板40を装着するにあたって、貫通孔42を電極24の先端部24bから挿入して直角部分24cを経て延設部24aへと配置するようになっており、従って、貫通孔42は直角部分24cを通過させるため、電極24の一般径よりも若干大径に形成してある。
【0038】
このため、多孔板40を延設部24aに配置した状態では、貫通孔42内周と電極24と間に隙間が発生するが、この実施形態では多孔板40に貫通した電極24の貫通部分上流側に、電極24を伝って下流方向に移動する水滴を止める遮蔽板43を設けるようになっている。
【0039】
遮蔽板43は、薄肉円板の中央部に電極24と略同径の円形開口部43aを形成したドーナツ状に形成され、薄肉としたことにより円形開口部43aを電極24と略同径とした場合にも前記直角部24cの通過が許容される。
【0040】
従って、この第2実施形態にあっても、電気加熱触媒20の上流側に多孔板40を配置したことにより、第1実施形態と同様に混合ガス中の水滴を除去して電気加熱触媒20の酸化燃焼を正常に行わせることができるのは勿論のこと、多孔板40に電極24を貫通させたので、この多孔板40と電気加熱触媒20との間の間隔Sを小さくできるようになり、ひいては、混合器10の第1,第2混合板11,12を全体的に電気加熱触媒20側に寄せることができるため、水素燃焼器の全体長を短くして装置全体を小型化することができる。
【0041】
勿論、この場合にあっても多孔板40を電気加熱触媒20の近傍に配置したことにより、多孔板40を電気加熱触媒20の輻射熱で加熱して、これに付着した水滴を蒸発させることができる。
【0042】
また、多孔板40に貫通した電極24の貫通部分上流側に遮蔽板43を設けて、電極24を伝って下流方向に移動する水滴を止めることができるので、多孔板40の貫通孔42内周と電極24と間の隙間から水滴が電気加熱触媒に供給されてしまうのを防止することができる。
【0043】
ところで、本発明の水素燃焼器は前記第1,第2実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採ることができ、例えば、水滴除去部材としては多孔板40に代えて金網等を用いることもできる。勿論、水滴除去部材は触媒の輻射熱に十分に耐え得る材質で形成することはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態における水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図。
【図3】本発明の第1実施形態における電気加熱触媒の斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態における水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図。
【図5】本発明の第2実施形態における水滴除去部材の斜視図。
【符号の説明】
10 混合器
20 電気加熱触媒(水素燃焼触媒)
24 一方の電極
40 多孔板(水滴除去部材)
43 遮蔽板
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素ガスの触媒による酸化反応熱を発生させるようにした水素燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水素燃焼器としては、水素ガスと空気の混合ガスを触媒に触れさせて酸化発熱させ、この熱を熱源として取り出すようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この場合、水素燃焼器の始動時に触媒を酸化反応に適した温度にするため、触媒に導入する混合ガスを電気加熱触媒で予め加熱燃焼させて、その燃焼ガスで燃焼触媒を加熱するようになっている
また、前記電気加熱触媒の上流側には、供給される水素ガスと空気をむら無く混合するための混合器を配置して、電気加熱触媒内で混合ガスにヒートスポットが発生するのを防止するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−122311号公報(第4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の水素燃焼器では触媒に供給される水素ガス中に水滴が含まれる場合があり、この水滴が混合ガスとともに送られて燃焼中の触媒に接触すると、その接触部分で触媒の急激な温度低下が発生して触媒燃焼が停止する。
【0006】
すると、その燃焼停止した部分で水素ガスが未燃焼となるため未燃ガスが発生し、その未燃ガスがそのまま排出されたり、または未燃ガスが爆発して触媒層の剥離等が誘起されてしまう。
【0007】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて、水滴が触媒に送り込まれないようにして、触媒反応に悪影響を及ぼすのを防止するようにした水素燃焼器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1の発明は、供給された空気と水素ガスの混合ガスを水素燃焼触媒に供給して酸化反応熱を発生させるようにした水素燃焼器において、混合ガスの流れ方向に対して前記水素燃焼触媒の上流側で、この水素燃焼触媒の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材を設け、この水滴除去部材を通過した混合ガスを水素燃焼触媒に供給することを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、供給された空気と水素ガスの混合ガスを電気加熱触媒に供給して酸化反応熱を発生させるとともに、この電気加熱触媒の中心部に配置した一方の電極を混合ガスの流れ方向に対して上流側に延設した水素燃焼器において、混合ガスの流れ方向に対して前記電気加熱触媒の上流側に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材を設けるとともに、この水滴除去部材に前記電極を貫通させて、水滴除去部材を電気加熱触媒の近傍に配置し、この水滴除去部材を通過した混合ガスを電気加熱触媒に供給することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の水素燃焼器において、水滴除去部材に貫通した電極の貫通部分上流側に、電極を伝って下流方向に移動する水滴を止める遮蔽板を設けたことを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
以上の構成により請求項1に記載の発明によれば、水素燃焼触媒の上流側に設けた水滴除去部材によって水滴の通過を遮断して混合ガスのみを通過させることができ、水素燃焼触媒に水滴が接触するのを防止することができる。
【0012】
また、前記水滴除去部材は水素燃焼触媒の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に設けたことにより、この水素燃焼触媒の燃焼輻射熱によって水滴除去部材が加熱されるため、この水滴除去部材に付着した水滴を蒸発させて水素燃焼触媒に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に示す水素燃焼触媒が電気加熱触媒であって、低温状態にある水素燃焼器の始動時に電気加熱触媒の電極に電流を印加することにより、触媒の酸化反応に適した温度まで加熱することができるようになっており、そして、前記電気加熱触媒の上流側に水滴除去部材を設けたことにより、水滴が電気加熱触媒に供給されるのを防止することができる。
【0014】
この場合に、電気加熱触媒の中心部から上流側に延設した一方の電極を前記水滴除去部材に貫通させたので、電気加熱触媒と水滴除去部材との間の間隔を小さくできることから、水素燃焼器の全体長を短くして装置全体を小型化することができる。
【0015】
勿論、この場合にあっても水滴除去部材を電気加熱触媒の近傍に配置したことにより、水滴除去部材を輻射熱で加熱してこれに付着した水滴を蒸発させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて、水滴除去部材に貫通した電極の貫通部分上流側に遮蔽板を設けて、電極を伝って下流方向に移動する水滴を止めることができるので、水滴除去部材が電極を貫通した部分から浸入した水滴が電気加熱触媒に供給されてしまうのを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図3は本発明の水素燃焼器の第1実施形態を示し、図1は水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す斜視図、図2は水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図、図3は電気加熱触媒の斜視図である。
【0019】
この第1実施形態の水素燃焼器は、水素ガスを燃料として燃焼熱を発生させる装置であり、水素供給源(圧縮水素タンク)から供給される水素ガスと送風機からの空気とを、図1,図2に示す混合器10で均一な混合ガスとし、これを電気加熱触媒20で加熱燃焼した際に発生する燃焼ガスを、この電気加熱触媒20の下流側(図中右側)に設けた図外の燃焼触媒に送って、この燃焼触媒を触媒反応に十分な温度に加熱するようになっている(ここで、前記電気加熱触媒20および前記燃焼触媒が本発明でいう水素燃焼触媒を意味する。)。
【0020】
そして、十分に加熱された燃焼触媒で更に混合ガスを酸化反応させて高熱の燃焼ガスを発生し、この燃焼ガスを熱交換器に通して熱交換媒体(純水)と熱交換し、この熱交換媒体によって燃焼媒体で発生する燃焼熱を取り出すようになっている(特開2002−122311号公報参照)。
【0021】
前記混合器10は、図1,図2に示すように、水素ガスと空気の混合ガスが導入される円筒状のケーシング30内に、複数(本実施形態では2枚)の第1,第2混合板11,12を、それぞれの面方向がケーシング1の中心軸と直角を成すように配置しつつ、各混合板11,12間に適宜間隔を設けて取り付けることにより構成してある。
【0022】
混合ガスの導入方向に対して最上流側(図中左側)に配置した第1混合板11は、中央部に大径D1の開口部11aを設けたドーナツ形状に形成するとともに、その後流側に配置した第2混合板12は周囲に4個の中径D2の開口部12aを設けて形成してある。例えば、ケーシング30の内径57.5mmに対して、D1は35mm、D2は19mmとする。
【0023】
そして、図中左方から流入した混合ガスは、第1混合板11の開口部11aを通過した後、第2混合板12の開口部12aで分流される間に水素ガスと酸素とが混合される。
【0024】
電気加熱触媒20は、図3に示すように白金(Pt)1%、残部アルミナ(Al2O3)からなる触媒を担持した平板21と波板22を重ねて巻回して、複数箇所をロー付けした後にケーシング30に圧入して構成し、平板21と波板22との間に混合ガスを通過させる多数のセル23を形成してある。
【0025】
そして、電気加熱触媒20の中心部に一方の電極24を取り付けるとともに、外周部に他方の電極25を取り付け、水素燃焼器の始動時にこれら両電極24,25間に電流を印加することにより、電気加熱触媒20を発熱させるようになっている。
【0026】
一方の電極24は、図1,図2に示すように電気加熱触媒20から混合ガスの導入方向(図中左方)に延設部24aを介して一旦延設した後に、その先端部24bを絶縁部材26を介してケーシング30の外方へと取り出してあり、また、他方の電極25は、図3に示すように絶縁部材27を介してケーシング30の外方へと取り出してある。
【0027】
ここで、この第1実施形態では混合ガスの流れ方向に対して前記電気加熱触媒20の上流側で、この電気加熱触媒20の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材としての多孔板40を設け、この多孔板40を通過した混合ガスを電気加熱触媒20に供給するようになっている。
【0028】
多孔板40は、ケーシング30の内周に隙間無く取り付けられる円盤状を成し、その多孔板40の全域に、混合ガス中の水滴よりも小径の孔41を無数に設けることにより形成してあり、その無数の小孔41は混合ガスの通過を許容しつつ水滴を取り残すようになっている。
【0029】
この実施形態では、前記多孔板40を混合器10の第2混合板12の下流側に適宜間隔を設けて配置してあり、第2混合板12の開口部12aを通過した混合ガスが多孔板40を通過する際にも攪拌されるため、この多孔板40を含めて前記混合器10を構成するようになっている。
【0030】
このとき、前記多孔板40と電気加熱触媒20との間に、前記一方の電極24を配置するための間隔Sを設けてある。
【0031】
以上の構成によりこの実施形態の水素燃焼器によれば、電気加熱触媒20の上流側に設けた多孔板40によって混合ガス中の水滴の通過を取り残して、混合ガスのみを通過させることができ、この混合ガスが電気加熱触媒20に供給された際にも、この電気加熱触媒20に水滴が接触するのを防止することができる。
【0032】
また、前記多孔板40は電気加熱触媒20との間に間隔Sを設けた場合にも、この電気加熱触媒20の燃焼輻射熱が大きく及ぶようになっているため、この電気加熱触媒20の燃焼輻射熱によって多孔板40が加熱されるため、この多孔板40に付着した水滴を蒸発させて混合ガスとともに下流側に流すことができる。
【0033】
このとき、水蒸気が電気加熱触媒20に供給されることになるが、水蒸気は電気加熱触媒20に悪影響を与えることはない。
【0034】
(第2実施形態)
図4,図5は本発明の第2実施形態を示し、前記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0035】
図4は水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図、図5は水滴除去部材の斜視図であり、この第2実施形態では電気加熱触媒20を水素燃焼触媒として特定した場合で、図4に示すように水滴除去部材としての多孔板40に、電気加熱触媒20の中心部に配置した一方の電極24の延設部24aを貫通させて、この多孔板40を電気加熱触媒20の近傍に配置するようになっている。
【0036】
多孔板40は、図5に示すように第1実施形態と同様にケーシング30の内側形状に沿った円盤状となっており、その中心部に電極24を挿通するための貫通孔42を形成してある。
【0037】
この場合、前記電極24は延設部24aと先端部24bとの間に直角部24cが形成されており、厚肉状の多孔板40を装着するにあたって、貫通孔42を電極24の先端部24bから挿入して直角部分24cを経て延設部24aへと配置するようになっており、従って、貫通孔42は直角部分24cを通過させるため、電極24の一般径よりも若干大径に形成してある。
【0038】
このため、多孔板40を延設部24aに配置した状態では、貫通孔42内周と電極24と間に隙間が発生するが、この実施形態では多孔板40に貫通した電極24の貫通部分上流側に、電極24を伝って下流方向に移動する水滴を止める遮蔽板43を設けるようになっている。
【0039】
遮蔽板43は、薄肉円板の中央部に電極24と略同径の円形開口部43aを形成したドーナツ状に形成され、薄肉としたことにより円形開口部43aを電極24と略同径とした場合にも前記直角部24cの通過が許容される。
【0040】
従って、この第2実施形態にあっても、電気加熱触媒20の上流側に多孔板40を配置したことにより、第1実施形態と同様に混合ガス中の水滴を除去して電気加熱触媒20の酸化燃焼を正常に行わせることができるのは勿論のこと、多孔板40に電極24を貫通させたので、この多孔板40と電気加熱触媒20との間の間隔Sを小さくできるようになり、ひいては、混合器10の第1,第2混合板11,12を全体的に電気加熱触媒20側に寄せることができるため、水素燃焼器の全体長を短くして装置全体を小型化することができる。
【0041】
勿論、この場合にあっても多孔板40を電気加熱触媒20の近傍に配置したことにより、多孔板40を電気加熱触媒20の輻射熱で加熱して、これに付着した水滴を蒸発させることができる。
【0042】
また、多孔板40に貫通した電極24の貫通部分上流側に遮蔽板43を設けて、電極24を伝って下流方向に移動する水滴を止めることができるので、多孔板40の貫通孔42内周と電極24と間の隙間から水滴が電気加熱触媒に供給されてしまうのを防止することができる。
【0043】
ところで、本発明の水素燃焼器は前記第1,第2実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採ることができ、例えば、水滴除去部材としては多孔板40に代えて金網等を用いることもできる。勿論、水滴除去部材は触媒の輻射熱に十分に耐え得る材質で形成することはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態における水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図。
【図3】本発明の第1実施形態における電気加熱触媒の斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態における水素燃焼器の電気加熱触媒およびその上流部分を示す断面図。
【図5】本発明の第2実施形態における水滴除去部材の斜視図。
【符号の説明】
10 混合器
20 電気加熱触媒(水素燃焼触媒)
24 一方の電極
40 多孔板(水滴除去部材)
43 遮蔽板
Claims (3)
- 供給された空気と水素ガスの混合ガスを水素燃焼触媒(20)に供給して酸化反応熱を発生させるようにした水素燃焼器において、
混合ガスの流れ方向に対して前記水素燃焼触媒(20)の上流側で、この水素燃焼触媒(20)の燃焼輻射熱が大きく及ぶ範囲内に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材(40)を設け、この水滴除去部材(40)を通過した混合ガスを水素燃焼触媒(20)に供給することを特徴とする水素燃焼器。 - 供給された空気と水素ガスの混合ガスを電気加熱触媒(20)に供給して酸化反応熱を発生させるとともに、この電気加熱触媒(20)の中心部に配置した一方の電極(24)を混合ガスの流れ方向に対して上流側に延設した水素燃焼器において、
混合ガスの流れ方向に対して前記電気加熱触媒(20)の上流側に、混合ガス中に混入した水滴を取り除く水滴除去部材(40)を設けるとともに、この水滴除去部材(40)に前記電極(24)を貫通させて、水滴除去部材(40)を電気加熱触媒(20)の近傍に配置し、この水滴除去部材(40)を通過した混合ガスを電気加熱触媒(20)に供給することを特徴とする水素燃焼器。 - 水滴除去部材(40)に貫通した電極(24)の貫通部分上流側に、電極(24)を伝って下流方向に移動する水滴を止める遮蔽板(43)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の水素燃焼器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP2002330651A JP2004163030A (ja) | 2002-11-14 | 2002-11-14 | 水素燃焼器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009510382A (ja) * | 2005-09-30 | 2009-03-12 | インデシット カンパニー ソシエタ ペル アチオニ | 半透過性部材を有するガスバーナを備えたクッキングトップ |
CN103732991A (zh) * | 2011-08-17 | 2014-04-16 | 大阳日酸株式会社 | H2用燃烧器及h2用燃烧器的燃烧方法 |
-
2002
- 2002-11-14 JP JP2002330651A patent/JP2004163030A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP2009510382A (ja) * | 2005-09-30 | 2009-03-12 | インデシット カンパニー ソシエタ ペル アチオニ | 半透過性部材を有するガスバーナを備えたクッキングトップ |
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