JP2004162616A - ガス化複合発電プラント - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のガス化複合発電プラントでは、シンガスをクエンチ水で冷却する際にシンガスの保有する熱エネルギーがクエンチ水で奪われてしまうので、シンガスを冷却せずにガスタービンに導く場合に比べてプラントの熱効率が低下する。
【解決手段】シンガスを生成し排出するガス化炉と、このガス化炉から排出されたシンガスを脱硫するシンガス脱硫装置と、このシンガス脱硫装置により脱硫したシンガスを燃料とするガスタービン、このガスタービンの排ガスの熱エネルギーにより給水を加熱する排熱回収ボイラ、この排熱回収ボイラから出力された蒸気により駆動される蒸気タービン、これらガスタービン、蒸気タービンにより駆動される発電機を備えた複合発電設備と、からなるガス化複合発電プラントにおいて、前記ガス化炉の出口側にガス化炉から排出されるシンガスの有する熱エネルギーを熱交換媒体によって回収するシンガス冷却装置を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】シンガスを生成し排出するガス化炉と、このガス化炉から排出されたシンガスを脱硫するシンガス脱硫装置と、このシンガス脱硫装置により脱硫したシンガスを燃料とするガスタービン、このガスタービンの排ガスの熱エネルギーにより給水を加熱する排熱回収ボイラ、この排熱回収ボイラから出力された蒸気により駆動される蒸気タービン、これらガスタービン、蒸気タービンにより駆動される発電機を備えた複合発電設備と、からなるガス化複合発電プラントにおいて、前記ガス化炉の出口側にガス化炉から排出されるシンガスの有する熱エネルギーを熱交換媒体によって回収するシンガス冷却装置を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガス化複合発電プラントに係わり、特に高いプラント熱効率での運転を可能とするガス化複合発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
重質油を用いたガス化複合発電プラントは、ガス化炉中に重質油と酸素を吹き込み、重質油を部分的に酸化させることによる高温下で重質油をシンガスに転換し、このシンガスを脱硫したのち、ガスタービンに燃料として供給し複合発電設備を運転するものである。
【0003】
ガス化炉から排出されるシンガスは前述のように非常に高温で、そのままでは下流側での取り扱いが困難であるため、通常ガス化炉出口にクエンチ装置と呼ばれるシンガス冷却装置(以下、クエンチ装置という)を設け、高温のシンガスと熱交換媒体であるクエンチ水とを直接接触させることによりシンガスの冷却を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の重質油ガス化複合発電プラントでは、シンガスをクエンチ水で冷却する際にシンガスの保有する熱エネルギーがクエンチ水で奪われてしまうので、シンガスを冷却せずにガスタービンに導く場合に比べてプラントの熱効率が低下する欠点がある。
そこで、本発明は熱効率の低下を防ぎ、かつガス化炉から排出された後のシンガスの取り扱い性に優れたガス化複合発電プラントを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係るガス化複合発電プラントの発明は、シンガスを生成し排出するガス化炉と、このガス化炉から排出されたシンガスを脱硫するシンガス脱硫装置と、このシンガス脱硫装置により脱硫したシンガスを燃料とするガスタービン、このガスタービンの排ガスの熱エネルギーにより給水を加熱する排熱回収ボイラ、この排熱回収ボイラから出力された蒸気により駆動される蒸気タービン、これらガスタービン、蒸気タービンにより駆動される発電機を備えた複合発電設備と、からなるガス化複合発電プラントにおいて、前記ガス化炉の出口側にガス化炉から排出されるシンガスの有する熱エネルギーを回収するシンガス冷却装置を設けることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明によるガス化複合発電プラントの第1の実施の形態を示す構成図である。図1において、まず本プラントの全体構成を説明する。1はガス化炉であり、重質油aを酸素、空気等の酸化剤bと共に吹き込み、重質油aを部分的に酸化させることにより高温のシンガスc1を生成し排出するように構成されている。2はこのガス化炉から排出されたシンガスc1を熱交換媒体であるクエンチ水dと接触させて冷却するシンガス冷却装置(クエンチ装置)2である。
そして、このクエンチ装置2の出口配管にはシンガスc1をシンガス系熱交換器3およびシンガスc1の減圧を行うシンガス減圧装置4を直列にして設置する。
【0007】
前記シンガス系熱交換器3は前記シンガスc1と、後述する複合発電設備20の排熱回収ボイラ(以降、HRSGと表示する)12に供給される給水eとを熱交換させる。
【0008】
そして、前記シンガス減圧装置4で減圧されたシンガスc1はその後、シンガス脱硫装置5により脱硫されてシンガスc2となり、複合発電設備20を構成するガスタービン6の燃料として燃焼器7に導かれる。なお、便宜上、前記ガス化炉1の出口配管からクエンチ装置2、シンガス系熱交換器3、シンガス減圧装置4およびシンガス脱硫装置5を経て燃焼器7に至る配管系統8をシンガス系統と称する。
【0009】
前記シンガス系熱交換器3ではシンガスc1中に含まれる蒸気が凝縮した際にドレンfが生じるが、このドレンfはドレン回収系統10によりクエンチ装置2に回収させる。
【0010】
前記ガスタービン6は燃焼器7からの燃焼ガスによって膨張仕事をして回転し、発電機11を駆動すると同時に、高温の排ガスgをHRSG12に供給する。このHRSG12で発生した高温高圧の蒸気hによって蒸気タービン13を駆動し、蒸気タービン発電機14から電力を発生させる。なお、ガスタービン6、排熱回収ボイラ12、蒸気タービン13、発電機11、14、空気圧縮機18等を備えた設備を複合発電設備20という。
【0011】
蒸気タービン13で膨張仕事を終えた蒸気iは復水器15により復水となり、前記HRSG12の給水系統16上に設置した給水ポンプ17により加圧されて給水eとなり、前記シンガス系熱交換器3に供給される。
【0012】
さらに、この給水eは前記クエンチ装置2で多量の熱エネルギーを保有するようになったクエンチ水dの熱エネルギーを回収するために設置した給水系熱交換器18にも分岐して供給される。
以上、本プラントの全体構成を説明したので、次に本実施の形態における構成上の特徴的な部分について説明する。
【0013】
(1)給水系熱交換器18の設置による特徴
この第1実施の形態は、クエンチ装置2においてシンガスc1とクエンチ水dとを直接熱交換させてシンガスc1の持つ多量の熱エネルギーをクエンチ水dで回収させ、さらに給水系統16上に設置した給水系熱交換器18において給水eにクエンチ水dの熱エネルギーを回収させるように構成したことを特徴の1つとしている。
この構成により、従来系外に放出されていた熱エネルギーを蒸気サイクルに取り込み、プラントの熱効率を向上させるという作用効果を奏することができる。
【0014】
(2)シンガス系熱交換器3の設置による特徴
この第1実施の形態は、復水器15からHRSG12に復水を供給する給水系統16上にシンガスc1と給水eとの熱交換を行うシンガス系熱交換器3を設け、ガス化炉1から当該熱交換器3を経由してシンガス脱硫装置5へシンガスc1を供給するシンガス用配管系統8を設けるように構成したことを特徴の1つとしている。
このシンガス系熱交換器3によって、シンガスc1の有する熱量を給水eで回収することができるので、プラントの熱効率の低下を防止することができる。
【0015】
(3)シンガス減圧装置4の設置による特徴
この第1実施の形態は、クエンチ装置2からシンガス脱硫装置5に至るシンガス系統配管8のシンガス系熱交換器3とシンガス脱硫装置5の間にシンガス減圧装置4を設置し、このシンガス減圧装置4によりガス化炉1およびクエンチ装置2の圧力を、シンガス脱硫装置5の出力に関係なく設定し得るように構成したことを特徴の1つとしている。
このシンガス減圧装置4により、ガス化炉1の圧力を重質油aのガス化反応効率の高い圧力に設定でき、またクエンチ装置2の圧力を高めることによって、クエンチ水dの温度を高め、蒸気サイクルに回収する熱エネルギーを増加することができ、プラントの熱効率を向上させることができる。
【0016】
(4)シンガス系熱交換器3のドレン回収系統10による特徴
クエンチ装置2からシンガス脱硫装置3に至るシンガス系統8上に設けたシンガス系熱交換器3内では、シンガスc1中に含まれる蒸気が凝縮してドレンfとなる。
この第1実施の形態では、このドレンfをクエンチ装置2に回収するドレン回収系統10を設けたことを特徴の1つとしており、ドレンfの持つ熱エネルギーをドレン回収系統10経由クエンチ装置2で回収するので、プラントの熱効率を向上させることができる。
【0017】
(第2の実施の形態)
図2は本発明の第2の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
複合発電プラントが大容量化すると、サイクル効率の向上やHRSG12の熱交換効率向上のため、HRSG12を高圧および低圧の蒸気系を併設して複圧化する場合がある。
【0018】
この第2実施の形態の場合、図2のように復水器15からHRSG12に至る給水系統16に複数の給水ポンプ17−1、17−2をカスケードに接続し、給水ポンプ17−2から吐出された低圧の給水はHRSG12の低圧のドラムDLに、給水ポンプ17−1から吐出された高圧の給水は高圧のドラムDHにそれぞれ供給されるように構成する。なお、2つの給水ポンプをカスケードに接続する代わりに、1台の給水ポンプの中段から低圧を吐出させ、最終段から高圧を吐出させるようにしてもよい。
【0019】
そして、前記複数の給水系統16−1、16−2の構成に対応するように、クエンチ装置2に設けた給水系熱交換器も給水系統毎に18−1、18−2の如く複数個設置し、しかもクエンチ水dが温度の高い高圧給水側の熱交換器18−1に先に流入し、その後温度の低い低圧給水側の熱交換器18−2に流入するように構成する。
【0020】
さらに、この第2実施の形態は、クエンチ装置2からシンガス脱硫装置5に至るシンガス系統8上に設ける熱交換器についても、HRSG12の複圧化に伴い圧力の異なる給水系統毎に熱交換器3−1、3−2を設置し、かつシンガスc1を高圧給水側の熱交換器から先に通し、次に低圧給水側の熱交換器に導くように構成する。
【0021】
この第2実施の形態によれば、複圧HRSGを使用する場合においても、クエンチ装置のクエンチ水の持つ熱エネルギーおよびシンガスの持つ熱エネルギーを効率よく蒸気サイクルに回収し、よってプラントの熱効率を向上することができる。
【0022】
(第3の実施の形態)
図3は本発明の第3の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
この第3実施の形態は、シンガス脱硫装置5入口のシンガス温度がシンガス脱硫装置5内部作動流体の温度制限の関係から一定温度以上にすることができない場合、シンガス系統8に新たに熱交換器3−3を設けてこの熱交換器3−3によりシンガス脱硫装置5入口側と出口側のシンガスを熱交換させ、シンガス脱硫装置5を通るときだけ、シンガスの温度を制限温度まで低下させるように構成したものである。
【0023】
この第3実施の形態によれば、シンガス脱硫装置におけるシンガスの喪失熱量を低減することによってシンガスの冷却設備の効率化を図ることができるとともに、シンガス系から出ていく熱量を減らすことによってプラントの熱効率を向上することができる。
【0024】
(第4の実施の形態)
図4は本発明の第4の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
本実施の形態は、シンガス減圧装置4を第4の実施の形態によるシンガス熱交換器3−1とシンガス脱硫装置5との中間のシンガス系統8上に設けるように構成したものである。
【0025】
この第4実施の形態によれば、シンガス脱硫装置5入口のシンガスの持つ熱エネルギーを、シンガス脱硫装置5の出口側のシンガスc2に効率よく移転するようにし、シンガス脱硫装置におけるシンガスの喪失熱量を低減し、サイクルから出ていく熱量を減らすことによってプラントの熱効率を向上することができる。
【0026】
(第5の実施の形態)
図5は本発明の第5の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
本実施の形態は、シンガス脱硫装置5から前記シンガス熱交換器3−3に至るシンガス系統8上に新たにシンガス加湿装置19を設置するようにしたものである。
【0027】
この第5実施の形態によれば、加湿装置19を設けたことにより、シンガスの脱硫プロセスでの熱量の損失を最小にし、シンガス熱交換器の効率を向上させ、プラントの熱効率を向上することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ガス化炉から排出される高温のシンガスを減温し、下流側のシンガス脱硫装置やガスタービンに適した温度にすることができ、併せて本来系外に放出されていた熱エネルギーを蒸気サイクルに取り込むことによって、プラントの熱効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るガス化複合発電プラントの構成図。
【図2】本発明の第2実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【図3】本発明の第3実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【図4】本発明の第4実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【図5】本発明の第5実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【符号の説明】
1…ガス化炉、2…シンガス冷却装置(クエンチ装置)、3,3−1,3−2…シンガス系熱交換器、4…シンガス減圧装置、5…シンガス脱硫装置、6…ガスタービン、7…燃焼器、8…シンガス系統、9空気圧縮機、10…ドレン回収系統、11…ガスタービン発電機、12…HRSG、13…蒸気タービン、14…蒸気タービン発電機、15…復水器、16,16−1,16−2…給水系配管、17,17−1,17−2…給水ポンプ、18,18−1,18−2…給水系熱交換器、19…加湿器、a…重質油、b…酸化剤、c1,c2…シンガス、d…熱交換媒体(クエンチ水)、e…給水、f…ドレン、g…ガスタービン排ガス、h…蒸気、i…蒸気。
【発明の属する技術分野】
本発明はガス化複合発電プラントに係わり、特に高いプラント熱効率での運転を可能とするガス化複合発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
重質油を用いたガス化複合発電プラントは、ガス化炉中に重質油と酸素を吹き込み、重質油を部分的に酸化させることによる高温下で重質油をシンガスに転換し、このシンガスを脱硫したのち、ガスタービンに燃料として供給し複合発電設備を運転するものである。
【0003】
ガス化炉から排出されるシンガスは前述のように非常に高温で、そのままでは下流側での取り扱いが困難であるため、通常ガス化炉出口にクエンチ装置と呼ばれるシンガス冷却装置(以下、クエンチ装置という)を設け、高温のシンガスと熱交換媒体であるクエンチ水とを直接接触させることによりシンガスの冷却を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の重質油ガス化複合発電プラントでは、シンガスをクエンチ水で冷却する際にシンガスの保有する熱エネルギーがクエンチ水で奪われてしまうので、シンガスを冷却せずにガスタービンに導く場合に比べてプラントの熱効率が低下する欠点がある。
そこで、本発明は熱効率の低下を防ぎ、かつガス化炉から排出された後のシンガスの取り扱い性に優れたガス化複合発電プラントを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係るガス化複合発電プラントの発明は、シンガスを生成し排出するガス化炉と、このガス化炉から排出されたシンガスを脱硫するシンガス脱硫装置と、このシンガス脱硫装置により脱硫したシンガスを燃料とするガスタービン、このガスタービンの排ガスの熱エネルギーにより給水を加熱する排熱回収ボイラ、この排熱回収ボイラから出力された蒸気により駆動される蒸気タービン、これらガスタービン、蒸気タービンにより駆動される発電機を備えた複合発電設備と、からなるガス化複合発電プラントにおいて、前記ガス化炉の出口側にガス化炉から排出されるシンガスの有する熱エネルギーを回収するシンガス冷却装置を設けることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明によるガス化複合発電プラントの第1の実施の形態を示す構成図である。図1において、まず本プラントの全体構成を説明する。1はガス化炉であり、重質油aを酸素、空気等の酸化剤bと共に吹き込み、重質油aを部分的に酸化させることにより高温のシンガスc1を生成し排出するように構成されている。2はこのガス化炉から排出されたシンガスc1を熱交換媒体であるクエンチ水dと接触させて冷却するシンガス冷却装置(クエンチ装置)2である。
そして、このクエンチ装置2の出口配管にはシンガスc1をシンガス系熱交換器3およびシンガスc1の減圧を行うシンガス減圧装置4を直列にして設置する。
【0007】
前記シンガス系熱交換器3は前記シンガスc1と、後述する複合発電設備20の排熱回収ボイラ(以降、HRSGと表示する)12に供給される給水eとを熱交換させる。
【0008】
そして、前記シンガス減圧装置4で減圧されたシンガスc1はその後、シンガス脱硫装置5により脱硫されてシンガスc2となり、複合発電設備20を構成するガスタービン6の燃料として燃焼器7に導かれる。なお、便宜上、前記ガス化炉1の出口配管からクエンチ装置2、シンガス系熱交換器3、シンガス減圧装置4およびシンガス脱硫装置5を経て燃焼器7に至る配管系統8をシンガス系統と称する。
【0009】
前記シンガス系熱交換器3ではシンガスc1中に含まれる蒸気が凝縮した際にドレンfが生じるが、このドレンfはドレン回収系統10によりクエンチ装置2に回収させる。
【0010】
前記ガスタービン6は燃焼器7からの燃焼ガスによって膨張仕事をして回転し、発電機11を駆動すると同時に、高温の排ガスgをHRSG12に供給する。このHRSG12で発生した高温高圧の蒸気hによって蒸気タービン13を駆動し、蒸気タービン発電機14から電力を発生させる。なお、ガスタービン6、排熱回収ボイラ12、蒸気タービン13、発電機11、14、空気圧縮機18等を備えた設備を複合発電設備20という。
【0011】
蒸気タービン13で膨張仕事を終えた蒸気iは復水器15により復水となり、前記HRSG12の給水系統16上に設置した給水ポンプ17により加圧されて給水eとなり、前記シンガス系熱交換器3に供給される。
【0012】
さらに、この給水eは前記クエンチ装置2で多量の熱エネルギーを保有するようになったクエンチ水dの熱エネルギーを回収するために設置した給水系熱交換器18にも分岐して供給される。
以上、本プラントの全体構成を説明したので、次に本実施の形態における構成上の特徴的な部分について説明する。
【0013】
(1)給水系熱交換器18の設置による特徴
この第1実施の形態は、クエンチ装置2においてシンガスc1とクエンチ水dとを直接熱交換させてシンガスc1の持つ多量の熱エネルギーをクエンチ水dで回収させ、さらに給水系統16上に設置した給水系熱交換器18において給水eにクエンチ水dの熱エネルギーを回収させるように構成したことを特徴の1つとしている。
この構成により、従来系外に放出されていた熱エネルギーを蒸気サイクルに取り込み、プラントの熱効率を向上させるという作用効果を奏することができる。
【0014】
(2)シンガス系熱交換器3の設置による特徴
この第1実施の形態は、復水器15からHRSG12に復水を供給する給水系統16上にシンガスc1と給水eとの熱交換を行うシンガス系熱交換器3を設け、ガス化炉1から当該熱交換器3を経由してシンガス脱硫装置5へシンガスc1を供給するシンガス用配管系統8を設けるように構成したことを特徴の1つとしている。
このシンガス系熱交換器3によって、シンガスc1の有する熱量を給水eで回収することができるので、プラントの熱効率の低下を防止することができる。
【0015】
(3)シンガス減圧装置4の設置による特徴
この第1実施の形態は、クエンチ装置2からシンガス脱硫装置5に至るシンガス系統配管8のシンガス系熱交換器3とシンガス脱硫装置5の間にシンガス減圧装置4を設置し、このシンガス減圧装置4によりガス化炉1およびクエンチ装置2の圧力を、シンガス脱硫装置5の出力に関係なく設定し得るように構成したことを特徴の1つとしている。
このシンガス減圧装置4により、ガス化炉1の圧力を重質油aのガス化反応効率の高い圧力に設定でき、またクエンチ装置2の圧力を高めることによって、クエンチ水dの温度を高め、蒸気サイクルに回収する熱エネルギーを増加することができ、プラントの熱効率を向上させることができる。
【0016】
(4)シンガス系熱交換器3のドレン回収系統10による特徴
クエンチ装置2からシンガス脱硫装置3に至るシンガス系統8上に設けたシンガス系熱交換器3内では、シンガスc1中に含まれる蒸気が凝縮してドレンfとなる。
この第1実施の形態では、このドレンfをクエンチ装置2に回収するドレン回収系統10を設けたことを特徴の1つとしており、ドレンfの持つ熱エネルギーをドレン回収系統10経由クエンチ装置2で回収するので、プラントの熱効率を向上させることができる。
【0017】
(第2の実施の形態)
図2は本発明の第2の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
複合発電プラントが大容量化すると、サイクル効率の向上やHRSG12の熱交換効率向上のため、HRSG12を高圧および低圧の蒸気系を併設して複圧化する場合がある。
【0018】
この第2実施の形態の場合、図2のように復水器15からHRSG12に至る給水系統16に複数の給水ポンプ17−1、17−2をカスケードに接続し、給水ポンプ17−2から吐出された低圧の給水はHRSG12の低圧のドラムDLに、給水ポンプ17−1から吐出された高圧の給水は高圧のドラムDHにそれぞれ供給されるように構成する。なお、2つの給水ポンプをカスケードに接続する代わりに、1台の給水ポンプの中段から低圧を吐出させ、最終段から高圧を吐出させるようにしてもよい。
【0019】
そして、前記複数の給水系統16−1、16−2の構成に対応するように、クエンチ装置2に設けた給水系熱交換器も給水系統毎に18−1、18−2の如く複数個設置し、しかもクエンチ水dが温度の高い高圧給水側の熱交換器18−1に先に流入し、その後温度の低い低圧給水側の熱交換器18−2に流入するように構成する。
【0020】
さらに、この第2実施の形態は、クエンチ装置2からシンガス脱硫装置5に至るシンガス系統8上に設ける熱交換器についても、HRSG12の複圧化に伴い圧力の異なる給水系統毎に熱交換器3−1、3−2を設置し、かつシンガスc1を高圧給水側の熱交換器から先に通し、次に低圧給水側の熱交換器に導くように構成する。
【0021】
この第2実施の形態によれば、複圧HRSGを使用する場合においても、クエンチ装置のクエンチ水の持つ熱エネルギーおよびシンガスの持つ熱エネルギーを効率よく蒸気サイクルに回収し、よってプラントの熱効率を向上することができる。
【0022】
(第3の実施の形態)
図3は本発明の第3の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
この第3実施の形態は、シンガス脱硫装置5入口のシンガス温度がシンガス脱硫装置5内部作動流体の温度制限の関係から一定温度以上にすることができない場合、シンガス系統8に新たに熱交換器3−3を設けてこの熱交換器3−3によりシンガス脱硫装置5入口側と出口側のシンガスを熱交換させ、シンガス脱硫装置5を通るときだけ、シンガスの温度を制限温度まで低下させるように構成したものである。
【0023】
この第3実施の形態によれば、シンガス脱硫装置におけるシンガスの喪失熱量を低減することによってシンガスの冷却設備の効率化を図ることができるとともに、シンガス系から出ていく熱量を減らすことによってプラントの熱効率を向上することができる。
【0024】
(第4の実施の形態)
図4は本発明の第4の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
本実施の形態は、シンガス減圧装置4を第4の実施の形態によるシンガス熱交換器3−1とシンガス脱硫装置5との中間のシンガス系統8上に設けるように構成したものである。
【0025】
この第4実施の形態によれば、シンガス脱硫装置5入口のシンガスの持つ熱エネルギーを、シンガス脱硫装置5の出口側のシンガスc2に効率よく移転するようにし、シンガス脱硫装置におけるシンガスの喪失熱量を低減し、サイクルから出ていく熱量を減らすことによってプラントの熱効率を向上することができる。
【0026】
(第5の実施の形態)
図5は本発明の第5の実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図である。
本実施の形態は、シンガス脱硫装置5から前記シンガス熱交換器3−3に至るシンガス系統8上に新たにシンガス加湿装置19を設置するようにしたものである。
【0027】
この第5実施の形態によれば、加湿装置19を設けたことにより、シンガスの脱硫プロセスでの熱量の損失を最小にし、シンガス熱交換器の効率を向上させ、プラントの熱効率を向上することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ガス化炉から排出される高温のシンガスを減温し、下流側のシンガス脱硫装置やガスタービンに適した温度にすることができ、併せて本来系外に放出されていた熱エネルギーを蒸気サイクルに取り込むことによって、プラントの熱効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るガス化複合発電プラントの構成図。
【図2】本発明の第2実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【図3】本発明の第3実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【図4】本発明の第4実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【図5】本発明の第5実施の形態に係るガス化複合発電プラントの一部を示す構成図。
【符号の説明】
1…ガス化炉、2…シンガス冷却装置(クエンチ装置)、3,3−1,3−2…シンガス系熱交換器、4…シンガス減圧装置、5…シンガス脱硫装置、6…ガスタービン、7…燃焼器、8…シンガス系統、9空気圧縮機、10…ドレン回収系統、11…ガスタービン発電機、12…HRSG、13…蒸気タービン、14…蒸気タービン発電機、15…復水器、16,16−1,16−2…給水系配管、17,17−1,17−2…給水ポンプ、18,18−1,18−2…給水系熱交換器、19…加湿器、a…重質油、b…酸化剤、c1,c2…シンガス、d…熱交換媒体(クエンチ水)、e…給水、f…ドレン、g…ガスタービン排ガス、h…蒸気、i…蒸気。
Claims (11)
- シンガスを生成し排出するガス化炉と、このガス化炉から排出されたシンガスを脱硫するシンガス脱硫装置と、このシンガス脱硫装置により脱硫したシンガスを燃料とするガスタービン、このガスタービンの排ガスの熱エネルギーにより給水を加熱する排熱回収ボイラ、この排熱回収ボイラから出力された蒸気により駆動される蒸気タービン、これらガスタービン、蒸気タービンにより駆動される発電機を備えた複合発電設備と、からなるガス化複合発電プラントにおいて、
前記ガス化炉の出口側にガス化炉から排出されるシンガスの有する熱エネルギーを熱交換媒体によって回収するシンガス冷却装置を設けることを特徴としたガス化複合発電プラント。 - 前記複合発電設備に設けられた復水器から排熱回収ボイラに至る給水系統上に、前記シンガス冷却装置内の熱交換媒体によって給水を加熱する給水系熱交換器を設けたことを特徴とする請求項1記載のガス化複合発電プラント。
- 前記シンガス冷却装置からガスタービンに至るシンガス系統上にシンガスによって前記排熱回収ボイラに供給する給水を加熱するシンガス系熱交換器を設けたことを特徴とする請求項1記載のガス化複合発電プラント。
- 前記シンガス冷却装置からガスタービンに至るシンガス系統上にシンガスの脱硫を行うシンガス脱硫装置を設けたことを特徴とする請求項3記載のガス化複合発電プラント。
- 前記シンガス系熱交換器と前記シンガス脱硫装置の間にシンガスの減圧を行うシンガス減圧装置を設けることを特徴とする請求項4記載の重質油ガス化複合発電プラント。
- 前記シンガス系熱交換器と前記シンガス冷却装置との間に前記シンガス系熱交換器内で生じたドレンを回収するドレン回収系統を設けたことを特徴とする請求項3記載の重質油ガス化複合発電プラント。
- 前記排熱回収ボイラを複圧式とし、復水器から排熱回収ボイラに圧力の異なる復水を供給する複数の給水系統を備え、各々の給水系統上に前記シンガス冷却装置の熱交換媒体によって前記排熱回収ボイラの給水を加熱する冷却器をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載のガス化複合発電プラント。
- 前記排熱回収ボイラを複圧式とし、復水器から排熱回収ボイラに圧力の異なる復水を供給する複数の給水系統を備え、各々の給水系統上に給水とシンガスの熱交換を行うシンガス系熱交換器をガス化炉側から給水圧力の高い順に設けることを特徴とする請求項3記載のガス化複合発電プラント。
- 前記ガス化炉からシンガス脱硫装置に至るシンガス系統上に脱硫前と脱硫後のシンガスの熱交換を行うシンガス系熱交換器を設けたことを特徴とする請求項1記載の重質油ガス化複合発電プラント。
- 前記重質油ガス化複合発電プラントにおいて、ガス化炉からシンガス脱硫装置に至るシンガス系統上の脱硫前と脱硫後のシンガスの熱交換を行う熱交換器とシンガス脱硫装置の間にシンガスの減圧を行うシンガス減圧装置を設けることを特徴とする請求項9記載の重質油ガス化複合発電プラント。
- 前記シンガス脱硫装置からガスタービンに至るシンガス系統上のシンガス脱硫装置と脱硫前と脱硫後のシンガスの熱交換を行う熱交換器の間にシンガスを加湿する加湿装置を設けたことを特徴とする請求項9記載のガス化複合発電プラント。
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JP2018520227A (ja) * | 2015-05-11 | 2018-07-26 | ミレーナ−オルガ ジョイント イノベーション アセッツ ベローステン フェンノートシャップMILENA−OLGA Joint Innovation Assets B.V. | 合成ガスを処理するための方法及びシステム |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002329747A patent/JP2004162616A/ja not_active Withdrawn
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JP2021130827A (ja) * | 2015-05-11 | 2021-09-09 | ミレーナ−オルガ ジョイント イノベーション アセッツ ベスローテン フェンノートシャップMILENA−OLGA Joint Innovation Assets B.V. | 合成ガスを処理するための方法及びシステム |
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