JP2004161634A - 新規ピラゾール化合物 - Google Patents

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Hiroyuki Nakahira
博之 中平
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

【課題】自己免疫疾患の治療剤を提供する。
【解決手段】式(1):
【化1】
Figure 2004161634

[式中、Rは、−COR10(R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。)等を表し、R及びRは、独立して、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子等を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子等を表し、nは0〜3の整数を表す。]
で表されるピラゾール化合物、又はその薬学上許容される塩。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なピラゾール化合物に関する。詳しくは、免疫応答の異常亢進を伴う疾患の治療薬として有効なピラゾール化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体は、外部からの異物、微生物などの侵入に対して、防御機構を持っている。すなわち免疫とは、自己と非自己を判別し、自己の生体機能を守るために、「非自己」を攻撃する、生体に必要な反応である。炎症は、このような細菌やウイルスの感染などに対する自己防衛反応の結果生じ、外敵の侵入による異常を解消し、生体機能の回復を図るために、生体にとって必要なものである。しかし、それが過度になると、2次的に痛み、発熱などの種々の障害をもたらす。
免疫応答の異常亢進による疾患は、本来生体に害を及ぼさないものに対し、自己防衛反応を示す疾患である。たとえば、本来、生体に害を及ぼさない、環境由来のものに対して免疫応答反応を起こしてしまう、アレルギー性疾患(例えば、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等)、自己の構成物に対して免疫応答反応を起こしてしまう、自己免疫疾患(潰瘍性大腸炎、慢性関節リウマチ、多発性硬化症等)等が挙げられる。これらの疾患において、炎症は重大な障害となっている。
また、臓器や皮膚移植時に、移植片は通常免疫応答により拒絶される。このため移植時には薬剤によって免疫応答を抑制する必要がある。
【0003】
上記の、免疫応答の異常亢進を伴う疾患の要因としては、リンパ球の活性化の異常、免疫統御系の異常等が挙げられるが、発症のメカニズムについてはよくわかっていない点も多い。
免疫応答の異常亢進を伴う疾患の中でも、自己免疫疾患は、病因が不明であり、決め手となる薬剤が無い状況にあるが、現在二次的な炎症を抑える薬剤として抗炎症剤が、また、免疫応答の異常をコントロールする薬剤として免疫抑制剤が用いられている。
【0004】
抗炎症剤としては、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド等のステロイド性抗炎症剤、インドメタシン、イブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)等が挙げられる。免疫抑制剤としては、古くから用いられているメソトレキセート等の代謝拮抗剤、シクロスポリン、タクロリムス等のイムノフィリン阻害剤等が用いられている。
ステロイド性抗炎症剤は、炎症に関与する各種メディエーターの産生、遊離、あるいは作用を抑制すると同時に、免疫グロブリン産生を低下させるなど免疫抑制作用をも有する。しかし、副作用として、投薬中止による、症状の増悪、全身倦怠感、もしくは関節痛等のステロイド離脱症候群(リバウンド)、免疫力の低下による易感染、消化性潰瘍、又は骨粗鬆症等が挙げられている。
非ステロイド性抗炎症剤は、シクロオキシゲナーゼを阻害し、炎症へのプロスタグランジン類の関与を遮断する薬剤であるが、副作用として、胃腸障害が挙げられている。
メトトレキセート等の代謝拮抗剤は、核酸合成を抑制することによって効果を示すが、副作用として、顆粒球減少、血小板減少、又は嘔吐等が挙げられる。
また、イムノフィリン阻害剤は、IL−2及び他のサイトカインの発現を抑制する薬剤であるが、副作用として、腎毒性、又は易感染等が挙げられる。
上記のように、既存の薬剤は、効果の点で不十分な上、それぞれに問題点があり、より安全な慢性疾患を対象とした治療剤の開発が求められていた。
一方、抗炎症作用を有するピラゾール類としては、ビフェニル骨格もしくはベンゾフェノン骨格を有する化合物が知られている(特許文献1)が、薬理作用や物性等が優れた化合物が求められている。
【特許文献1】
国際公開第01/05774号パンフレット
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、免疫応答異常を伴う疾患に有効な、新規な医薬品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を解決するために、疾患の原因となる免疫応答反応を制御する化合物を見出すべく、マウスにおけるリンパ球増殖抑制活性を指標としてスクリーニングを行った。鋭意検討を重ねた結果、新規なピラゾール化合物が、優れたリンパ球増殖抑制活性を示し、かつ自己免疫疾患動物モデルでも有効であり、自己免疫疾患をはじめとする免疫応答の異常を伴う疾患の治療薬として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
[1] 式(1):
【化5】
Figure 2004161634
[式中、Rは、水素原子、−R10、−COR10、−SO10(R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。)、又は
−C(=NR11)NR1213(R11は水素原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R13は、水素原子、−R10、−COR10、もしくは−SO10(R10は、前記と同義である。)を表すか、又はR11、R12、及びR13のうち、任意の2個がいっしょになって、置換もしくは無置換の5〜7員の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)を表し、
及びRは、独立して、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、
及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表すか、又はR及びRは、いっしょになって、0〜2の酸素原子を含む9もしくは10員の2環性の縮合ベンゼン環を形成してもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、
nは0〜3の整数を表す。]
で表されるピラゾール化合物、又はその薬学上許容される塩、
[2] 式(2):
【化6】
Figure 2004161634
(式中、n、R、R、R、R、R及びRは、前項と同義である。)で表される[1]に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[3] 式(1)又は式(2)において、R及びRが、独立して、水素原子又はハロゲン原子である、[1]又は[2]に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[4] 式(3):
【化7】
Figure 2004161634
(式中、n、R、R、R及びRは、前項と同義であり、
mは1又は2を表し、
X及びYは独立して酸素原子又はメチレンを表す。)
で表される、[1]に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[5] X及びYが酸素原子である、[4]に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[6] 式(1)〜式(3)において、Rが、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、[1]〜[5]のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[7] 式(1)〜式(3)において、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、[1]〜[6]のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[8] 式(1)〜式(3)において、Rが水素原子、−R10’又は−COR10’ (R10’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルケニル基又は置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルキニル基を表す。)である、[1]〜[7]のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[9] 式(1)〜式(3)において、Rが−C(=NR11)NR1213である、[1]〜[7]のいずれか記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[10] R11が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はシアノ基であり、R12が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、
13が水素原子、又は−R10’(R10’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルケニル基又は置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルキニル基を表す。)である、[9]に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[11] R10’における置換アルキル基、置換アルケニル基及び置換アルキニル基における置換基が、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、置換もしくは無置換のウレイド基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアリール基又は置換もしくは無置換のヘテロ環基である、[8]又は[10]に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[12] R12及びR13がいっしょになって、隣接する窒素原子とともに、式(4):
【化8】
Figure 2004161634
[式中、Zは、結合、メチレン、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR15−(R15は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルスルホニル基を表す。)を表し、
qは0〜4の整数を表し、
14は、水酸基、カルボキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜4のアルキルスルホニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なる炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基又は1もしくは2の同一もしくは異なる炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を表す。]
で表される含窒素へテロ環を形成している、[9]に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[13] nが1である、[1]〜[12]のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[14] Rが水素原子又はハロゲン原子である、[1]〜[13]のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩、
[15] [1]〜[14]のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩を、有効成分として含有する医薬組成物、
[16] [1]〜[14]のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩を、有効成分として含有する自己免疫疾患治療剤、予防剤、又は進行防止剤、
に関する。
【0008】
【本発明の実施の形態】
以下に、本発明の態様について詳細に説明する。
「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、特に好ましくはフッ素、又は塩素である。
「アルキル基」としては、炭素数1から6の直鎖又は分枝のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、又は1,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0009】
「アルキルチオ基」、「アルキルカルボニル基」、「アルキルカルボニルオキシ基」、「アルキルスルホニル基」、「アルキルカルボニルアミノ基」、「アルコキシカルボニルアミノ基」、及び「アルキルスルホニルアミノ基」におけるアルキルとしては、上記アルキル基と同じものが挙げられる。
「ハロアルキル基」としては、同一又は異なるハロゲン原子が1〜5個結合したアルキル基が挙げられる。具体的には、トリフルオロメチル基、トリクロロエチル基、又はペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0010】
「アルコキシ基」としては、炭素数1から6の直鎖又は分枝のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、2−メチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、又は2,3−ジメチルブトキシ基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」におけるアルコキシとしては、上記のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
「ハロアルコキシ基」としては、同一又は異なるハロゲン原子が1〜5個結合したアルコキシ基が挙げられる。具体的には、トリフルオロメトキシ基、トリクロロエトキシ基、又はペンタフルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0011】
「アルケニル基」としては、1又は2個の2重結合を有する炭素数2から6の直鎖又は分枝状のアルケニル基が挙げられる。具体的には、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、4−ペンテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、又は2−ヘキセニル基等が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のアルケニル基が挙げられる。
「アルケニルオキシ基」、「アルケニルチオ基」、「アルケニルカルボニル基」、「アルケニルカルボニルオキシ基」、「アルケニルオキシカルボニル基」、及び「アルケニルスルホニル基」におけるアルキルとしては、上記アルキル基と同じものが挙げられる。
「アルキニル基」としては、1又は2個の2重結合を有する炭素数2から6の直鎖状又は分枝状のアルキニル基が挙げられる。具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、5−ペンチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、1−ヘキシニル基、又は2−ヘキシニル基等が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のアルキニル基が挙げられる。
「アルキニルオキシ基」、「アルキニルチオ基」、「アルキニルカルボニル基」、「アルキニルカルボニルオキシ基」、「アルキニルオキシカルボニル基」、及び「アルキニルスルホニル基」におけるアルキニルとしては、上記アルキニル基と同じものが挙げられる。
【0012】
「シクロアルキル基」としては、炭素数3から8の単環のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、又はシクロオクチル基が挙げられる。
「シクロアルキルチオ基」、「シクロアルキルカルボニル基」、「シクロアルキルカルボニルオキシ基」、及び「シクロアルキルスルホニル基」におけるシクロアルキルとしては、上記シクロアルキル基と同じものが挙げられる。
「シクロアルコキシ基」としては、炭素数3から8のシクロアルコキシ基が挙げられる。具体的には、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペントキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、又はシクロオクチルオキシ基が挙げられる。
「シクロアルコキシカルボニル基」におけるシクロアルコキシとしては、上記のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
「シクロアルケニル基」としては、1又は2個の2重結合を有する炭素数4から8のシクロアルケニル基が挙げられる。具体的には、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、又はシクロヘプタジエニル等が挙げられる。
「シクロアルケニルオキシ基」、「シクロアルケニルチオ基」、「シクロアルケニルカルボニル基」、「シクロアルケニルカルボニルオキシ基」、「シクロアルケニルオキシカルボニル基」、及び「シクロアルケニルスルホニル基」におけるシクロアルケニルとしては、上記シクロアルケニル基と同じものが挙げられる。
【0013】
「アリール基」としては、フェニル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基が挙げられる。
「アリールオキシ基」、「アリールチオ基」、「アリールカルボニル基」、「アリールオキシカルボニル基」、「アリールカルボニルオキシ基」、及び「アリールスルホニル基」における「アリール」としては前記アリール基と同じものが挙げられる。
「ヘテロ環基」としては、0〜3の窒素原子、0〜1の酸素原子、0〜1の硫黄原子(該硫黄原子は1もしくは2の酸素原子で酸化されていてもよい。)から選択される1〜3のヘテロ原子を含む、5〜10員の、単環性もしくは2環性のヘテロ環基が挙げられる。該ヘテロ環基におけるヘテロ環としては、具体的には、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、ピラゾール、イミダゾール、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、チアゾール、又はオキサゾール等の芳香族へテロ環や、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン−1−オキシド、又はチオモルホリン−1,1−ジオキシド等の脂肪族へテロ環等が挙げられる。ここで結合位置は特に限定されず、任意の窒素原子もしくは炭素原子上で結合していてもよい。
「ヘテロ環オキシ基」、「ヘテロ環チオ基」、「ヘテロ環カルボニル基」、「ヘテロ環オキシカルボニル基」、「ヘテロ環カルボニルオキシ基」、及び「ヘテロ環スルホニル基」における「ヘテロ環」としては前記ヘテロ環基と同じものが挙げられる。
【0014】
本明細書において、置換アミノ基における置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はヘテロ環スルホニル基[この群の基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、1〜3の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基されていてもよいスルファモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいウレイド基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよく、同一もしくは異なるものが1又は2個置換していてもよい。]が挙げられ、同一又は異なる基が1又は複数の基で置換されていてもよい。
【0015】
又は、置換アミノ基における2個の置換基がいっしょになって、置換もしくは無置換の5〜7員の含窒素へテロ環を形成していてもよい。
【0016】
本明細書において、置換カルバモイル基及び置換スルファモイル基における置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基又はヘテロ環基[この群の基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、1〜3の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基されていてもよいスルファモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいウレイド基、又は1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基で置換されていてもよく、同一又は異なるものが1又は2個置換していてもよい。]が挙げられ、同一又は異なる基が1又は複数の基で置換されていてもよい。
【0017】
又は、置換カルバモイル基及び置換スルファモイル基における2個の置換基がいっしょになって、置換もしくは無置換の5〜7員の含窒素へテロ環を形成していてもよい。
【0018】
置換ウレイド基及び置換アミノカルボニルオキシ基における置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、又はシクロアルケニル基等が挙げられ、同一又は異なるものが1又は2個置換していてもよい。
【0019】
前記置換アミノ基、置換カルバモイル基及び置換スルファモイル基における2個の置換基がいっしょになって形成する置換もしくは無置換の5〜7員の含窒素へテロ環としては、1〜3の窒素原子、0〜1の酸素原子、及び0〜1の硫黄原子(1又は2個の酸素原子で酸化されていてもよい)から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する、5〜7員の飽和もしくは不飽和の含窒素ヘテロ環が挙げられる。前記含窒素へテロ環が置換されている場合、1〜3の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい。該置換基の結合位置は特に限定されず、任意の窒素原子もしくは炭素原子上で結合していてもよい。該置換基としては、以下のa1)又はa2):
a1) ハロゲン原子、オキソ基、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、1〜3の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基されていてもよいスルファモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいウレイド基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基
a2) アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アリール基、ヘテロ環基、
(この群の基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、1〜3の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいスルファモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいウレイド基、又は1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。)
等が挙げられる。
【0020】
前記置換アミノ基、置換カルバモイル基及び置換スルファモイル基における2個の置換基がいっしょになって形成する置換もしくは無置換の5〜7員の含窒素へテロ環として、好ましくは、以下の式(4):
【化9】
Figure 2004161634
(式中、Z、R14、及びqは前記と同義である。)
で表される含窒素へテロ環が挙げられる。
【0021】
本明細書において、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルスルホニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環カルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、ヘテロ環カルボニルオキシ基、及びヘテロ環スルホニル基の置換基としては、以下のb1)〜b3):
b1) ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のウレイド基、
b2) シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基、シクロアルコキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、
(この群の基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、1〜3の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいスルファモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいウレイド基、又は1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。)
b3) アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、
(この群の基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、1〜3の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいスルファモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいウレイド基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基、又は前記b2)に記載された基で置換されていてもよい。)
から選択される任意の置換基が挙げられ、同一又は異なる置換基が1又は複数個置換していてもよい。
【0022】
本明細書において、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基の置換基としては、以下のc1)〜c3):
c1) ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、メルカプト基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のウレイド基、
c2) シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルコキシカルボニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルケニルスルホニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基、ヘテロ環カルボニル基、ヘテロ環カルボニルオキシ基、ヘテロ環オキシカルボニル基、ヘテロ環スルホニル基、
(この群の基は、上記b1)〜b3)より選択される1又は複数の置換基で置換されていてもよい。)
c3) アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルオキシ基、アルケニルチオ基、アルケニルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルオキシ基、アルキニルチオ基、アルキニルオキシ基、アルキニルカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、アルキニルスルホニル基、
(この群の基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、1〜3の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいスルファモイル基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいウレイド基、1もしくは2の同一もしくは異なるアルキル基で置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基、又は前記b2)に記載された基で置換されていてもよい。)
から選択される任意の置換基が挙げられ、同一又は異なる置換基が1又は複数個置換していてもよい。
【0023】
及びRにおけるアルキル基として、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、又はプロピル基を例示することができる。
及びRが置換されている場合の置換基として好ましくは、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換のアミノ基等が挙げられる。
【0024】
及びRにおけるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子又は塩素原子を表す。
及びRにおけるアルキル基の置換基として、好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換のアミノ基等が挙げられる。
及びRが、いっしょになって形成する「0〜2の酸素原子を含む9もしくは10員の2環性の縮合ベンゼン環」としては、以下の式(5):
【化10】
Figure 2004161634
(式中、X及びYは独立して、酸素原子又はメチレンを表し、mは0又は1を表す。)
で表される縮合ベンゼン環が挙げられる。式(5)において、X及びYは好ましくは酸素原子を表し、mは好ましくは1を表す。
【0025】
10におけるアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基の置換基として、好ましくは水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、置換もしくは無置換のウレイド基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアリール基又は置換もしくは無置換のヘテロ環基が挙げられる。ここで、該へテロ環基は好ましくは芳香族へテロ環基である。
10におけるシクロアルキル基及びシクロアルケニル基の置換基として、好ましくは水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換のアミノ基が挙げられる。
10におけるアリール基及びヘテロ環基の置換基として、好ましくはハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換のアミノ基が挙げられる。
10におけるアリール基は好ましくはフェニル基を表す。
10におけるヘテロ環基は好ましくは、芳香族へテロ環基を表す。該芳香族へテロ環基は好ましくは、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、又は4−ピリジル基を表す。
【0026】
11及びR12におけるアルキル基の置換基として、好ましくは、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換もしくは無置換のアミノ基が挙げられる。
11、R12及びR13のうち、任意の2個がいっしょになって形成する5〜7員の含窒素へテロ環としては、具体的には以下のものが挙げられる。すなわち、R11及びR13がいっしょになって、隣接する2個の窒素原子及び1個の炭素原子とともに形成する5〜7員の含窒素ヘテロ環としては、好ましくは、以下の式(6):
【化11】
Figure 2004161634
(式中、q及びR14は前記と同義であり、rは1〜3の整数を表し、R15は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
で表される含窒素へテロ環が挙げられる。
また、R12及びR13がいっしょになって、隣接する1個の窒素原子とともに形成する5〜7員の含窒素ヘテロ環としては、以下の式(4):
【化12】
Figure 2004161634
(式中、Z、R14、及びqは前記と同義である。)
で表される含窒素へテロ環が挙げられる。具体的には、モルホリン、チオモルホリン、1−オキソチオモルホリン、1,1−ジオキソチオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジン、4−アルキルカルボニルピペラジン、4−アルコキシカルボニルピペラジン、4−アルキルスルホニルピペラジン、又はピペリジン(前記アルキル及びアルコキシとしては炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル及びアルコキシが挙げられる。)を例示することができる。
【0027】
11は、好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はシアノ基を表す。
12は、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R13は好ましくは水素原子又は−R10を表す。あるいは、R12及びR13がいっしょになって、隣接する1個の窒素原子とともに5〜7員の含窒素ヘテロ環を形成している場合も、好ましい態様の一つである。
【0028】
における置換アルキル基の置換基としては、好ましくは、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、置換もしくは無置換のウレイド基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、又は置換もしくは無置換のカルバモイル基が挙げられる。
は、好ましくは水素原子又はハロゲン原子を表し、該ハロゲン原子として好ましくは塩素原子が挙げられる。
nは好ましくは1を表す。
【0029】
本発明のピラゾール化合物は、置換基の種類によっては、全ての互変異性体、幾何異性体、光学異性体を含む概念であり、それらの混合物であってもよい。
【0030】
本発明のピラゾール化合物は、酸性基、又は塩基性基を有する場合、薬学上許容される塩にすることができる。薬学上許容される塩としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩等が挙げられ、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの塩基性あるいは酸性アミノ酸といったアミノ酸塩が挙げられる。また、本発明には、ピラゾール化合物の薬学上許容される塩の水和物、又はエタノール和物等の溶媒和物も含まれる。
【0031】
本発明の化合物は、以下の製造方法により、製造することができる。
製造法1:一般式(1)の化合物の合成
【化13】
Figure 2004161634
(式中、n、R、R、R、R、R及びRは、前記と同義である。)
式(1)の化合物は、式(1−1)の化合物から以下の方法で製造することができる。
(1)Rが−R10、−COR10、−SO10で表される場合:
【化14】
Figure 2004161634
(式中、n、R、R、R、R、R及びRは前記と同義であり、Eは脱離基を表す。)
式(1)の化合物は、式(1−1)の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下に式(1−2)の化合物と反応させることにより製造することができる。ここで、式(1−2)中、Eとして具体的には、ヨウ素原子、臭素原子もしくは塩素原子等のハロゲン原子、又は、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基もしくはp−トルエンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基等が挙げられる。塩基としては、炭酸カリウムもしくは水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩、トリエチルアミン等の有機塩基、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属、又はt−ブトキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属等が挙げられる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒、又は、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約0℃〜約150℃の範囲から選択される。
【0032】
尚、Rが−COR10で表される場合、Eは水酸基を表していてもよく、その場合、式(1)の化合物は、式(1−1)の化合物を、不活性溶媒中、縮合剤及び必要に応じて塩基の存在下に、式(1−2)の化合物と反応させることにより製造することができる。また、場合によっては相関移動触媒を用いることもできる。ここで塩基としては、通常の反応において塩基として使用されるものであれば特に限定されないが、例えばN−メチルモルホリン等の有機塩基、又は、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、もしくは水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。相間移動触媒としては、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩、又は、18−クラウン−6−エーテル等のクラウンエーテル等が挙げられる。縮合剤としては、実験化学講座(日本化学会編、丸善)22巻に記載されているものなどが挙げられる。例えば、シアノリン酸ジエチル等のリン酸エステル類、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩もしくはジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド類、2,2’−ジピリジルジスルフィド等のジスルフィド類及びトリフェトリフェニルホスフィン等のホスフィン類を組み合わせたもの、N, N’−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィニッククロリド等のリンハライド類、アゾジカルボン酸ジエチル等のアゾジカルボン酸ジエステル及びトリフェニルホスフィン等のホスフィン類を組み合わせたもの、又は、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨーダイド等の2−ハロ−1−低級アルキルピリジニウムハライド類等が挙げられる。不活性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、又は、N, N’−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約−70℃〜約80℃の範囲から選択される。
【0033】
(2)Rが−C(=R11)NR1213で表される場合:
実施例に記載された方法、又は国際特許公開98/47880号もしくは国際特許公開01/05774号に記載された方法等を用いて製造することができる。すなわち、以下の方法が挙げられる。
【化15】
Figure 2004161634
(式中、n、R、R、R、R、R、R12及びR13は、前記と同義である。)
すなわち、式(1−1)の化合物に、水素化ナトリウム等の塩基の存在下に式(1−3)等のシアノ化アミン類と反応させることにより、式(1−4)の化合物を製造することができる。
【0034】
式(1−2)の化合物及び式(1−3)の化合物は、市販品を用いるか、「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989」に記載された方法等、当業者にとってよく知られた方法で製造することができる。
【0035】
製造法2:式(1−1)の化合物の製造
式(1−1)の化合物は以下の方法で製造することができる。
【化16】
Figure 2004161634
(式中、n、E、R、R、R、R及びRは、前記と同義であり、Eは脱離基を表し、Eは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。)
(1)工程1
式(2−3)の化合物は、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(2−1)の化合物及び式(2−2)の化合物を反応させて製造することができる。ここで、式(2−2)の化合物におけるE及びEとして、具体的には、臭素原子、ヨウ素原子もしくは塩素原子等のハロゲン原子、又はメタンスルホニルオキシ基もしくはp−トルエンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基が挙げられ、好ましくは臭素原子が挙げられる。塩基としては、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属、t−ブトキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属、エチルマグネシウムブロマイド等のグリニヤ試薬又はブチルリチウム等の有機リチウム試薬等が挙げられる。不活性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒、又はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約0℃〜約80℃の範囲から選択される。
【0036】
(2)工程2
式(2−4)の化合物は、市販品を用いるか、あるいは公知の方法で製造することができる。具体的には、国際特許公開WO98/04517号に示されている方法や、以下に例示する方法等が挙げられる。
すなわち、式(2−4)の化合物は式(2−3)の化合物を、不活性溶媒中、酸加水分解又は塩基加水分解することより製造することができる。酸としては、塩酸、又は硫酸等が挙げられる。塩基としては、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属、又は水酸化アルカリ金属の水溶液等が挙げられる。酸加水分解時の不活性溶媒としては、水溶媒、又は酢酸等の有機酸が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。塩基加水分解時の不活性溶媒としては、水溶媒、エタノールもしくはエチレングリコール等のアルコール性溶媒、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約50℃〜約250℃の範囲から選択される。
(3)工程3
式(2−5)の化合物は、例えば式(2−4)の化合物を、酸存在下でアルコールと反応させて製造することができる。ここで、式(2−5)におけるEとしては、具体的には、メチル基、又はエチル基等が挙げられる。すなわちアルコールとしてはメタノール、又はエタノール等が用いられ、通常溶媒を兼ねている。酸としては、硫酸、塩酸、又はp−トルエンスルホン酸等が挙げられ、式(2−4)の化合物に対して通常0.1〜10当量用いる。反応温度は、約0℃〜約150℃の範囲から選択され、通常加熱還流下に反応を行う。また、式(2−8)の化合物は、N,N’−ジメチルアミノピリジン等の添加剤の存在下にジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いてアルコールと縮合する方法、又はトリエチルアミン等の塩基の存在下ヨウ化メチル等のハロゲン化物と反応させる方法で製造することもできる。
【0037】
(4)工程4
式(2−7)の化合物はそれ自体公知か、公知の方法(例えば、特開昭63−152368、又はTetrahedron 53, 1729 (1997)に記載された方法が挙げられる。)により合成できる。また、式(2−7)の化合物は、式(2−6)で表されるニトリル誘導体を不活性溶媒中、塩基で処理し、式(2−5)の化合物と反応させて製造することができる。塩基としては、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属、ナトリウムエトキシド等のアルコキシアルカリ金属、エチルマグネシウムブロマイド等のグリニヤ試薬、ナトリウムアミド等のアミド類、又は、ブチルリチウム等の有機リチウム試薬等が挙げられる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、又はジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約−80℃〜約150℃の範囲から選択される。
また、式(2−7)の化合物は、式(2−5)の化合物の代わりに、式(2−4)の化合物のカルボキシ基を活性化した化合物を反応させて製造することもできる。該活性化の方法としては、通常用いられるものが使用可能であり、例えば、「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989)」に記載の方法に従って実施することができる。例えば、酸アジド法、酸ハライド法、酸無水物法、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル等を用いる活性エステル法、又はクロロ蟻酸イソブチル等を用いる混合酸無水物法等が挙げられる。例えば、混合酸無水物法は、式(2−4)の化合物に対して1.0〜1.5当量のクロロ蟻酸アルキルを使用し、N−メチルモルホリン等の塩基(1〜3当量)の存在下に、テトラヒドロフランもしくはジクロロメタン等の不活性溶媒中で反応させる。反応温度としては、約−78℃〜約30℃の範囲が挙げられる。式(2−4)のカルボキシ基を活性化した後、式(2−6)の化合物を塩基で処理したものと反応させる。ここで式(2−6)の化合物は、式(2−4)の化合物に対して通常1〜5当量用いる。反応溶媒としては、例えばカルボキシ基の活性化反応で使用した溶媒と同し媒が使用でき、応温度としては、例えば約−78℃〜約50℃の範囲が挙げられる。
【0038】
式(2−7)の化合物は、以下に示す方法でも合成できる。
【化17】
Figure 2004161634
(式中、n、R、R、R及びEは前記と同義である。R51は、−(CH51として、−Rを表す基である。)
すなわち、式(2−10)の化合物を前記と同様の方法で合成した後、これを、不活性溶媒中、式(2−11)の化合物、又は式(2−20)の化合物と塩基の存在下で反応させることによって製造することができる。Eにおける脱離基としては、前記と同じものが挙げられる。塩基としては、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、ナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド、又はナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコラート等が挙げられる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒、トルエン等の炭化水素、又はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約0℃〜約100℃の範囲から選択される。
【0039】
(5)工程5
式(2−9)の化合物は、式(2−7)の化合物を、不活性溶媒中、式(2−8)の化合物と反応させて製造することができる。式(2−8)の化合物は、式(2−7)の化合物に対して、通常1〜20当量用いる。不活性溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒、塩酸等の無機酸、又は酢酸等の有機酸等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約15℃〜約120℃の範囲から選択されるが、通常還流下に反応を行う。
式(2−9)の化合物は、他に、当業者に知られている方法(例えばA.R.Katritkzky et. al., ”Comprehensive Heterocyclic Chemistry Vol5”, 273−291(1984)記載の方法等)に従って製造することもできる。
【0040】
(6)工程6
がハロゲン原子を表す場合、Rが水素原子である化合物から、J. Heterocyclic Chem. 32, 1351 (1995)に記載された方法等を用いてハロゲン原子を導入することができる。
【化18】
Figure 2004161634
(式中、n、R、R、R及びRは、前記と同義であり、Xは、ハロゲン原子を表す。)
すなわち、式(2−11)の化合物は、式(2−10)の化合物を、不活性溶媒中、N−クロロこはく酸イミド、N−ブロモこはく酸イミド、又はN−ヨードこはく酸イミド等のハロゲン化物と反応させることにより製造することができる。不活性溶媒としては、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの混合溶媒であってもよい。反応温度は、約−10℃〜約50℃の範囲から選択される。
【0041】
(7)工程7〜9
式(2−1)の化合物は、市販品を用いるか、公知の方法で製造するなどして、容易に得ることができ、例えば、以下の工程7〜工程10に示す方法で製造できる。
【化19】
Figure 2004161634
(式中、R、R、及びEは前記と同義である。)
ここで式(2−12)の化合物は、市販品を用いるか、公知の方法で製造するなどして、容易に得ることができる。合成方法については、「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989)」に記載された方法等を用いることができる。
式(2−12)の化合物、式(2−12)のカルボキシ基をエステル化した化合物、又は式(2−12)のカルボキシ基を活性化した化合物を、不活性溶媒中で、水素化アルミニウムリチウム等のヒドリド試薬と反応させることによって、式(2−13)の化合物を製造することができる。ここで不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等が挙げられる。反応温度は、約−20℃〜約80℃の範囲から選択される。カルボキシル基のエステル化又は活性化は、上記と同様の方法で行うことができる。
式(2−13)の化合物は、「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989)」に記載された方法等、当業者によく知られている方法を用いて式(2−14)の化合物へ導くことができる。例えば、式(2−13)の化合物における水酸基を、適当な溶媒中、トリフェニルホスフィン及び四塩化炭素もしくは四臭化炭素等と反応させることによって、式(2−14)の化合物へ導くことができる。ここで、溶媒としては、通常前記の四塩化炭素もしくは四臭化炭素を、溶媒を兼ねて用いるが、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、又はテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等の不活性溶媒を用いることもできる。反応温度は、約−70℃〜約80℃の範囲から選択される。
式(2−14)の化合物は、「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989)」に記載された方法等、当業者にとってよく知られた方法で、式(2−1)の化合物へ導くことができる。具体的には、例えば、塩基の存在下、不活性溶媒中、シアン化ナトリウム等と、置換反応を行うことができる。ここで塩基としては、トリエチルアミン等の有機アミン、又は、炭酸カリウムもしくは水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。不活性溶媒としては、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、又はジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒等が挙げられる。反応温度は、約−80℃〜約150℃の範囲から選択される。
【0042】
式(2−2)の化合物、式(2−6)の化合物、式(2−8)の化合物、式(2−11)、及び式(2−20)等の化合物は、市販品を用いるか、公知の方法で製造するなどして、容易に得ることができる。合成方法については、「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989)に記載された方法等を用いることができる。
【0043】
本発明の化合物、その中間体、又はその原料化合物が官能基を有している場合、必要に応じて、適当な工程、すなわち製造法1又は2で示された各製造方法の途中の段階等で、当業者の常法に従い、置換基を導入する反応、又は官能基変換反応等を行うことができる。これらについては「実験化学講座(日本化学会編、丸善)」、又は「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989)」等に記載された方法等を用いることができる。
官能基変換反応としては、例えば、酸ハライドもしくはスルホニルハライド等を用いてアシル化もしくはスルホニル化を行う反応、ハロゲン化アルキル等のアルキル化剤を反応させる反応、加水分解反応、Friedel−Crafts反応やWittig反応等の炭素−炭素結合形成反応、又は酸化もしくは還元反応等が挙げられる。
また、本発明の化合物又はその中間体がアミノ基、カルボキシ基、水酸基、アミジノ基、グアニジノ基、又はオキソ基等の官能基を有している場合、必要に応じて保護基を導入する工程、又は脱保護する工程も含んでいる。好適な保護基、保護する方法、及び脱保護する方法としては、「Protective Groups in Organic Synthesis 2nd Edition (John Wiley & Sons, Inc.)」などに記載された方法を用いることができる。
【0044】
本発明のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩は、上記の製造法1又は2に記載された方法等を用いて合成反応を行った後、必要に応じて、再結晶、クロマトグラフィー(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、もしくはイオン交換クロマトグラフィー)等で精製しすることにより、製造することができる。具体的には、実験化学講座(日本化学会編、丸善)1巻に記載された方法等を用いることができる。
【0045】
本発明のピラゾール化合物において、1つ以上の不斉点がある場合は、通常の方法に従って、その不斉点を有する原料を用いるか、又は途中の段階で導入することで、製造することができる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割などを行うことで得ることができる。光学分割法としては、本発明のピラゾール化合物もしくはその中間体を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、もしくは2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、又はアセトニトリル等、及びこれらの混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N−ベンジルオキシアラニン、もしくは乳酸などのモノカルボン酸、酒石酸、o−ジイソプロピリデン酒石酸、もしくはリンゴ酸などのジカルボン酸、又は、カンファースルフォン酸もしくはブロモカンファースルフォン酸などのスルフォン酸)と塩を形成させることもできる。
本発明のピラゾール化合物もしくはその中間体がカルボキシ基等の酸性置換基を有する場合は光学活性なアミン(例えばα−フェネチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)と塩を形成させることもできる。
【0046】
塩を形成させる温度としては、室温から溶媒の沸点の範囲が挙げられる。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取するまえに必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸又はアミンの使用量は、基質に対し約0.5〜約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲が適当である。必要に応じ結晶を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリル等及びこれらの混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。必要に応じ、得られた塩を通常の方法で酸又は塩基と処理しフリー体を得ることもできる。
【0047】
前述のとおり、本発明のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩は、優れたリンパ球の増殖抑制作用を示し、更に、自己免疫疾患モデルの一つである、潰瘍性大腸炎モデルにおいて、有効であった。
以上のように本発明のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩は、自己免疫疾患治療薬(例えば、潰瘍性大腸炎、慢性関節リュウマチ、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、全身性強皮症、シェーグレン症候群、橋本病、重症筋無力症、バセドー病、アジソン病、若年性糖尿病(I型糖尿病)、自己免疫性血液性疾患(例えば、再生不良性貧血、溶血性貧血、突発性血小板減少症等)、慢性活動型肝炎、糸球体腎炎、又は間質性肺繊維症等)、炎症性疾患(例えば変形性関節炎、痛風、乾癬等)、又はアレルギー性疾患(アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等)などの治療薬、予防薬として有用である。また、臓器もしくは皮膚移植後の、拒絶反応を抑制するために用いることもできる。
更に、本発明のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩は、その生理活性を評価するにあたって、スーパー抗原の一つである、SEBの刺激によるリンパ球の増殖を抑制するか否かを一つの指標としていているので、SEBの関与が示唆されている、川崎病、新生児TSS用発疹症、黄色ぶどう球菌などの感染症等の疾患の治療剤としても有効である。
【0048】
本発明のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩は、これを医薬として用いるにあたり、経口的又は非経口的(例えば、静脈内、皮下、もしくは筋肉内注射、局所的、経直腸的、経皮的、又は経鼻的)に投与することができる。経口投与のための形体としては、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤又は懸濁剤などが挙げられ、非経口投与のための形体としては、例えば、注射用水性剤もしくは油性剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤、坐剤、貼付剤などが挙げられる。これらの製剤は、従来公知の技術を用いて調製され、許容される通常の担体、賦形剤、結合剤、安定剤等を含有することができる。また、注射剤形で用いる場合には許容される緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等を添加することもできる。
本発明のピラゾール化合物又はその医薬上許容される塩の投与量、投与回数は、患者の症状、性別、年令、もしくは体重、又は、投与形態によって異なるが、例えば、成人に対して経口で、本発明化合物の有効成分量として、1日あたり約1〜2000mg、好ましくは10〜500mgを1回又は数回に分けて投与することができる。
【0049】
以下、本発明の化合物を具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化20】
Figure 2004161634
【化21】
Figure 2004161634
【化22】
Figure 2004161634
【化23】
Figure 2004161634
【化24】
Figure 2004161634
【化25】
Figure 2004161634
【0050】
【化26】
Figure 2004161634
【実施例】
以下に実施例及び参考例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。
以下の実施例における略号は以下のとおりである。
t:ターシャリー
Boc:t−ブトキシカルボニル
実施例1
N−{3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−イル}アセトアミド
【化27】
Figure 2004161634
5℃下、アセチルクロライド(0.38 ml)を参考例2の化合物(1.73 g)のピリジン(20ml)溶液に滴下し、25℃で、22時間攪拌した。反応溶液を1N塩酸(300ml)に移し、酢酸エチル(200 mlx2)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣を1,4−ジオキサン(40 ml)に溶かし、この溶液に対し2N 水酸化ナトリウム水溶液(10 ml)を加え、100℃下、4時間攪拌した。反応溶液を25℃に冷却し、飽和食塩水(300 ml)に移し、酢酸エチル(200 mlx2)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ヘキサン/酢酸エチル= 5/1)で精製し、目的物(480 mg)を白色固体として得た。
H NMR (400 MHz,CDCl)δ:ppm 8.07 (br, 1H), 7.38−7.21 (m, 3H), 7.20−7.13 (m, 1H), 6.73 (br, 1H), 2.85−2.70 (m, 4H), 2.36−2.20 (m, 1H), 2.13 (s,
3H), 1.95−1.83 (m, 1H).
MS (FAB+) 290 (M+1, 100%). HRMS calcd for C1517ONCl 290.1060, found 290.1054.
【0051】
実施例1と同様の方法で、実施例2〜実施例6の化合物を合成した。
実施例2
N−{3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−イル}シクロプロパンカルボキシアミド
【化28】
Figure 2004161634
H NMR (400 MHz, DMSO−d)δ:ppm 12.17 (s, 1H), 10.55 (s, 1H), 7.37−7.30(m, 2H), 7.24 (m, 1H), 6.23 (s, 1H), 2.75−2.65 (m, 4H), 2.05 (m, 1H), 1.81−1.76 (m, 2H), 0.70 (m, 4H).
【0052】
実施例3
N−{3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−イル}ニコチンアミド
【化29】
Figure 2004161634
H NMR (400 MHz, DMSO−d)δ:ppm 12.39 (s, 1H), 11.01 (s, 1H), 9.08 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.27 (d, J=7.0Hz, 1H), 7.51−7.26 (m, 2H), 7.24 (m, 5H), 6.43 (s, 1H), 2.78−2.69 (m, 4H), 2.10 (m, 1H), 1.83 (m, 1H).
【0053】
実施例4
N−{3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−イル}−2−フランアミド
【化30】
Figure 2004161634
H NMR (400 MHz, DMSO−d)δ:ppm 12.33 (s, 1H), 10.58 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.52−7.23 (m, 5H), 6.34 (s, 1H), 2.77−2.67 (m, 4H), 2.09 (m, 1H), 1.82 (m, 1H).
【0054】
実施例5
N−{3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−イル}アセトアミド
【化31】
Figure 2004161634
H NMR(400MHz, CDCl) δ:ppm 7.31−7.29 (m, 2H), 7.18−7.16 (m, 2H), 6.10(s, 1H), 2.73−2.52 (m, 4H), 2.48 (s, 3H), 2.27−2.15 (m, 1H), 2.02−1.89 (m, 1H).
【0055】
実施例6
N−{3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−イル}−2−メチルアクリルアミド
【化32】
Figure 2004161634
H NMR(400MHz, CDCl) δ:ppm 8.88 (s, 1), 7.32−7.29 (m, 2H), 7.23−7.20 (m, 2H), 6.76 (s, 1H), 5.87 (br, 1H), 5.49 (br, 1H), 3.70 (s, 3H), 2.72−2.68 (m, 4H), 2.27−2.17 (m, 1H), 2.02−1.92 (m, 1H).
MS (FAB+) 316 (M+1, 53%). HRMS calcd for C1719ONCl 316.1216, found 316.1217.
【0056】
実施例7
N−{3−[1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−イル}アセトアミド
【化33】
Figure 2004161634
25℃下、ベンゼンスルホニルクロライド(0.889 ml)をN−3−[1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−アミン(1.73 g)及びトリエチルアミン(0.904 ml)のジクロロメタン(50ml)溶液に滴下し、25℃で、13時間攪拌した。反応溶液を飽和食塩水(300 ml)に移し、クロロホルム(200 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ヘキサン/酢酸エチル= 1/1)で精製し、生成物(1.84 g)を得た。本生成物をピリジン(30 ml)に溶解し、5℃に冷却した。本溶液に対し、アセチルクロライド(0.427 ml)を滴下し、25℃で、30時間攪拌した。反応溶液を1N塩酸(300 ml)に移し、酢酸エチル(150 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をクロライドカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ヘキサン/酢酸エチル= 2/1)で精製し、生成物(1.27 g)を得た。1,4−ジオキサン(50 ml)に溶かし、この溶液に対し2N 水酸化ナトリウム水溶液(10 ml)を加え、100℃下、3時間攪拌した。反応溶液を25℃に冷却し、飽和食塩水(300 ml)に移し、酢酸エチル(150 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロロホルム/メタノール = 20/1)で精製し、目的物(421 mg)を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl) δ:ppm 7.79 (br, 1H), 6.99−6.66 (m, 3H), 5.95 (s, 2H), 5.94 (s, 1H), 2.67−2.59 (m, 4H), 2.26−2.17 (m, 1H), 2.15 (s, 3H), 1.98−1.86 (m, 1H).
MS (FAB+) 300 (M+1, 57%). HRMS calcd for C1618 300.1348, found 300.1370.
【0057】
実施例8
N−{3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}アセトアミド
【化34】
Figure 2004161634
5℃下、アセチルクロライド(0.09 ml)を3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−アミン(0.22 g)のピリジン(10 ml)溶液に滴下し、25℃で、17時間攪拌した。反応溶液を1N塩酸(200 ml)に移し、酢酸エチル(100 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロロホルム/メタノール= 50/1)で精製し、目的物(129 mg)を白色固体として得た。
H NMR (400 MHz,CDCl)δ:ppm 7.43−7.36 (m, 1H), 7.29−7.18 (m, 2H), 7.17−7.08 (m, 1H), 6.91 (br, 1H), 5.96 (s, 1H), 3.67 (s, 3H), 2.88−2.78 (m, 2H), 2.78−2.64 (m, 2H), 2.28−2.12 (m, 1H), 2.14 (s, 3H), 1.90−1.80 (m, 1H).
MS (FAB+) 304 (M+1, 42%). HRMS calcd for C1619ONCl 304.1216, found 304.1202.
【0058】
実施例9
N−{3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}エチルアミン
【化35】
Figure 2004161634
25℃下、水素化リチウムアルミニウム(0.131 g)をN−{3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}アセトアミド(0.50 g)のテトラヒドロフラン(20 ml)溶液に加え、25℃で、18時間攪拌した。反応混合物を飽和食塩水(200 ml)に移し、酢酸エチル(100 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロロホルム/メタノール= 100/1)で精製し、目的物(75 mg)を白色固体として得た。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ:ppm 7.30−7.13 (m, 4H), 5.61 (s, 1H), 3.16 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.82−2.55 (m, 4H), 2.28−2.17 (m, 1H), 1.94−1.83 (m, 1H), 1.20 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
【0059】
実施例10
N−{3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}モルホリン−4−カルボキシイミダミド
【化36】
Figure 2004161634
N−{3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}アミン(3.08 g)及びベンゾイルイソチオシアネート(2.0 ml)の1,2−ジクロロエタン(80ml)溶液を80℃で、3時間攪拌した。反応溶液を25℃に冷却後、飽和食塩水(600 ml)に移し、酢酸エチル(200 mlx2)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をメタノール(100 ml)に溶解させ、炭酸カリウム(1.89 g)を加えた。この混合物を80℃で5時間攪拌した。反応溶液を25℃に冷却後、飽和食塩水(600 ml)に移し、酢酸エチル(300 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をアセトン(100 ml)に溶解させ、ヨウ化メチル(1.0 ml)、炭酸カリウム(3.42 g)を加えた。この混合物を25℃で5時間攪拌した。反応溶液を飽和食塩水(600 ml)に移し、酢酸エチル(300 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をモルホリン(50ml)に溶解させ、130℃で8時間攪拌した。反応溶液を25℃に冷却後、飽和食塩水(500 ml)に移し、酢酸エチル(300 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロロホルム/メタノール= 3/1)で精製し、生成物(1.78 g)を白色固体として得た。
H NMR (400 MHz,CDCl)δ:ppm 7.32−7.16 (m, 4H), 6.13 (br, 2H), 6.00 (s,1H), 3.74−3.71 (m, 4H), 3.44−3.41 (m, 4H), 2.80−2.70 (m, 4H), 2.36−2.18(m, 1H), 1.96−1.88 (m, 1H).
MS (FAB+) 360 (M+1, 91%). HRMS calcd for C1823ONCl 360.1590, found 360.1612.
【0060】
実施例11
実施例10と同様の方法で、合成した。
N’−{3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}モルホリン−4−カルボキシイミダミド
【化37】
Figure 2004161634
H NMR (400 MHz,CDCl)δ:ppm 7.31−7.27 (m, 2H), 7.20−7.16 (m, 2H), 5.94(s, 1H), 3.74−3.72 (m, 4H), 3.45−3.42 (m, 4H), 2.67−2.61 (m, 4H), 2.25−2.16 (m, 1H), 2.00−1.86 (m, 1H).
MS (FAB+) 360 (M+1, 91%). HRMS calcd for C1823ONCl 360.1590, found 360.1591.
【0061】
実施例12
N’−{3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}−N−シアノモルホリン−4−カルボキシイミダミド
【化38】
Figure 2004161634
25℃下、水素化ナトリウム(60%油性, 290 mg)をN−{3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル}アミン (900 mg)のテトラヒドロフラン(15 ml)溶液に加え、30分間攪拌した。さらに、シアノモルホリン(488 mg)を加え、25時間攪拌した。反応溶液を、飽和食塩水(300 ml)に移し、酢酸エチル(150 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロロホルム/メタノール= 20/1→クロロホルム/メタノール/トリエチルアミン = 5/1/1)で精製し、生成物(0.319 g)を白色固体として得た。
H NMR (400 MHz,CDCl)δ:ppm 7.24−7.15 (m, 4H), 5.66 (s, 1H), 3.76−3.69(m, 8H), 2.85−2.81 (m, 2H), 2.66−2.61 (m, 2H), 2.19−2.07 (m, 1H), 1.99−1.85 (m, 1H).
MS (FAB+) 385 (M+1, 66%). HRMS calcd for C1922ONCl 385.1543, found 385.1544.
参考例1
3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1−フェニルスルホニル−1H−ピラゾール−5−アミン
【化39】
Figure 2004161634
5℃下、ベンゼンスルホニルクロライド(1.56 g)を3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−1H−ピラゾール−5−アミン(2.0 g)及びトリエチルアミン(1.7 3 ml)のジクロロメタン(50 ml)溶液に加え、25℃で、1時間攪拌した。反応混合物を飽和食塩水(500 ml)に移し、クロロホルム(200 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ヘキサン/酢酸エチル = 2/1)で精製し、目的物(2.20 g)を薄茶オイルとして得た。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ:ppm 7.94−7.92 (m, 2H), 7.62−7.59 (m, 1H), 7.51−7.46 (m, 2H), 7.18−7.16 (m, 2H), 7.05−7.02 (m, 2H), 4.96 (s, 1H), 4.85 (s, 2H), 2.69−2.65 (m, 2H), 2.52−2.40 (m, 2H), 1.96−1.87 (m, 1H), 1.86−1.75 (m, 1H).
MS (FAB+) 388 (M+1, 64%). HRMS calcd for C1919ClS 388.0886, found 388.0862.
【0062】
参考例2
3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−フェニルスルホニル−1H−ピラゾール−5−アミン
【化40】
Figure 2004161634
H NMR (400 MHz, CDCl) δ:ppm 7.92−7.89 (m, 2H), 7.62−7.55 (m, 1H), 7.48−7.41 (m, 2H), 7.35−7.24 (m, 1H), 7.24−7.16 (m, 2H), 7.12−7.08 (m, 1H), 4.98 (s, 1H), 4.78 (br, 2H), 2.78−2.72 (m, 2H), 2.60−2.53 (m, 2H), 2.18−2.12 (m, 1H), 1.82−1.72 (m, 1H).
【0063】
参考例3
3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−アミン
【化41】
Figure 2004161634
3−[1−(2−クロロフェニル)シクロブチル]−3−オキソプロパンニトリル(0.73 g)とメチルヒドラジン(0.199 ml)の酢酸(2 ml)及びエタノール(20 ml)溶液を100℃下、10時間攪拌した。反応混合物を25℃に冷却後、飽和食塩水(250 ml)に移し、酢酸エチル(150 ml)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロロホルム/メタノール=40/1)で精製し、目的物(0.22 g)を白色固体として得た。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ:ppm 7.38−7.36 (m, 1H), 7.26−7.20 (m, 2H), 7.13−7.10 (m, 1H), 5.32 (s, 1H), 3.62 (s, 3H), 3.32 (br, 2H), 2.84−2.79 (m, 2H), 2.70−2.63 (m, 2H), 2.87−2.80 (m, 2H), 2.72−2.63 (m, 2H), 2.29−2.15 (m, 1H), 1.87−1.78 (m, 1H).
MS (FAB+) 262 (M+1, 93%). HRMS calcd for C1417Cl 262.1110, found 262.1106.
【0064】
試験例1
リンパ球増殖抑制試験
BALB/cマウスの左右後肢足蹠に、生理食塩水で200ug/mlに調製したSEBを0.1 mlずつ皮下注射した。被験化合物50 mg/kgをメチルセルロース(MC)の0.5%注射用蒸留水溶液に懸濁して、SEB感作直後から1日1回、連続3日間投与した(被験化合物投与群)。また、ブランクとして上記と同量のメチルセルロース(MC)の0.5%注射用蒸留水溶液をSEB感作直後から1日1回、連続3日間経口投与した(MC投与群)。また、最終投与の24時間後に膝窩リンパ節を摘出し、重量を測定した。各被験化合物の活性はリンパ節腫大抑制活性として、以下の式から求めた。その結果を表1に示す。
【数1】
(MC投与群の値)−(被験化合物投与群の値)/(MC投与群の値)−(未処置動物群の値)x100
【表1】
Figure 2004161634
括弧内は、Welch又はStudent’s t−testによる優位差検定の結果を示す。*: p<0.1; **: p<0.01; ***: p<0.001.
【0065】
【発明の効果】
本発明により、自己免疫疾患等の免疫異常亢進を伴う疾患に対する治療薬・予防薬として有用な、ピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩の提供が可能になった。
【0066】

Claims (16)

  1. 式(1):
    Figure 2004161634
    [式中、Rは、水素原子、−R10、−COR10、−SO10(R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。)、又は
    −C(=NR11)NR1213(R11は水素原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R13は、水素原子、−R10、−COR10、もしくは−SO10(R10は、前記と同義である。)を表すか、又はR11、R12、及びR13のうち、任意の2個がいっしょになって、置換もしくは無置換の5〜7員の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)を表し、
    及びRは、独立して、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、
    及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表すか、又はR及びRは、いっしょになって、0〜2の酸素原子を含む9もしくは10員の2環性の縮合ベンゼン環を形成してもよく、
    は、水素原子、ハロゲン原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、
    nは0〜3の整数を表す。]
    で表されるピラゾール化合物、又はその薬学上許容される塩。
  2. 式(2):
    Figure 2004161634
    (式中、n、R、R、R、R、R及びRは、前項と同義である。)で表される請求項1に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  3. 式(1)又は式(2)において、R及びRが、独立して、水素原子又はハロゲン原子である、請求項1又は2に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  4. 式(3):
    Figure 2004161634
    (式中、n、R、R、R及びRは、前項と同義であり、
    mは1又は2を表し、
    X及びYは独立して酸素原子又はメチレンを表す。)
    で表される、請求項1に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  5. X及びYが酸素原子である、請求項4に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  6. 式(1)〜式(3)において、Rが、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1〜5のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  7. 式(1)〜式(3)において、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1〜6のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  8. 式(1)〜式(3)において、Rが水素原子、−R10’又は−COR10’ (R10’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルケニル基又は置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルキニル基を表す。)である、請求項1〜7のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  9. 式(1)〜式(3)において、Rが−C(=NR11)NR1213である、請求項1〜7のいずれか記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  10. 11が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はシアノ基であり、
    12が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、
    13が水素原子、又は−R10’(R10’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルケニル基又は置換もしくは無置換の炭素数2〜4のアルキニル基を表す。)である、請求項9に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  11. 10’における置換アルキル基、置換アルケニル基及び置換アルキニル基における置換基が、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、置換もしくは無置換のウレイド基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアリール基又は置換もしくは無置換のヘテロ環基である、請求項8又は10に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  12. 12及びR13がいっしょになって、隣接する窒素原子とともに、式(4):
    Figure 2004161634
    [式中、Zは、結合、メチレン、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR15−(R15は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルスルホニル基を表す。)を表し、
    qは0〜4の整数を表し、
    14は、水酸基、カルボキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜4のアルキルスルホニルアミノ基、1もしくは2の同一もしくは異なる炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基又は1もしくは2の同一もしくは異なる炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を表す。]
    で表される含窒素へテロ環を形成している、請求項9に記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  13. nが1である、請求項1〜12のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩。
  14. が水素原子又はハロゲン原子である、請求項1〜13のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩を、有効成分として含有する医薬組成物。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載のピラゾール化合物又はその薬学上許容される塩を、有効成分として含有する自己免疫疾患治療剤、予防剤、又は進行防止剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016523840A (ja) * 2013-05-23 2016-08-12 バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト 害虫防除剤としての既知ヘテロ環式化合物及び新規ヘテロ環式化合物

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