JP2004160480A - 亜鉛メッキ鋼板の溶接方法及びレーザ・アーク複合溶接ヘッド - Google Patents
亜鉛メッキ鋼板の溶接方法及びレーザ・アーク複合溶接ヘッド Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】溶接方向で先行する位置でアーク電極によるアーク8aにより亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキを蒸発させ、前記アーク電極に遅れて溶接方向に走行するレーザ光2により亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は亜鉛メッキ鋼板の溶接方法及びレーザ・アーク複合溶接ヘッドに関し、特に亜鉛メッキ鋼板同士の突合せ溶接及び重ね溶接等に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛メッキ鋼板は良好な耐蝕性を有するものとして、例えば自動車用鋼板として汎用されている。そして、かかる亜鉛メッキ鋼板同士は、レーザ溶接、アーク溶接及びレーザ・アーク複合溶接ヘッドによる複合溶接で突合せ溶接及び重ね溶接等を行って接合している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術に係る亜鉛メッキ鋼板同士の溶接においては、メッキされた亜鉛の融点が、鋼板母材に比べて極めて低いので、鋼板溶融部が蒸発する亜鉛ガスによって乱される結果、溶接ビードの品質の低下を生起している。すなわち、鋼板母材よりも先に溶融する亜鉛により発生する亜鉛ガスを鋼板溶融部に巻き込む等してポロシティと呼称される欠陥を発生するばかりでなく、視認性も悪くなる。
【0004】
本願発明に関連する特許文献1として特開2001−96365を挙げることができる。これは、レーザ光がアーク放電により発生したプラズマによる阻害を受けず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶接材の十分な溶け込みを得ることができる複合溶接方法を提案するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−96365
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑み、亜鉛メッキの蒸発による溶接ビードへの影響を除去して高品質の溶接を実現し得る亜鉛メッキ鋼板の溶接方法及びレーザ・アーク複合溶接ヘッドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0008】
1) 亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
溶接方向で先行する位置で熱源による熱により亜鉛メッキ鋼板の亜鉛メッキを蒸発させ、前記熱源に遅れて溶接方向に走行する溶接ヘッドにより亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接すること。
【0009】
2) 上記1)に記載する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
熱源としてアーク電極が発生するアークを利用するとともに、溶接ヘッドとしてレーザ溶接ヘッドを利用したこと。
【0010】
3) 亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
中央部にアーク電極を有するとともに、このアーク電極を中心として溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるレーザ・アーク複合溶接ヘッドを用い、
先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接すること。
【0011】
4) 亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、2分割した両レーザ光の中央部よりも後行するレーザ光側へ偏位した位置にアークを発生するアーク電極を有するレーザ・アーク複合溶接ヘッドを用い、
先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接すること。
【0012】
5) レーザ光の照射とアーク放電とを行うことができるように構成したレーザ・アーク複合溶接ヘッドにおいて、
中央部にアーク電極を有するとともに、このアーク電極を中心として溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するように構成したこと。
【0013】
6) レーザ光の照射とアーク放電とを行うことができるように構成したレーザ・アーク複合溶接ヘッドにおいて、
溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、2分割した両レーザ光の中央部よりも後行するレーザ光側へ偏位した位置にアークを発生するアーク電極を占位させ、先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するように構成したこと。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッドを示す断面図である。同図に示すように、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIの本体上部には光ファイバ1の先端部が接続されている。光ファイバ1の基端部は図示しないYAGレーザ発振器に接続されており、このYAGレーザ発振器から発振されたレーザ光2を、光ファイバ1により伝送して当該溶接ヘッドI内へと導入するようになっている。
【0016】
光ファイバ1の先端から出たレーザ光2は、溶接ヘッドI内に設けられた各種レンズ群3の内の集光レンズ群により最終的に集光されて鋼板などの被溶接材に照射されるようになっている。本形態の場合、被溶接材としては亜鉛メッキ鋼板を対象としている。図にはこの厚さが異なる2種類の亜鉛メッキ鋼板4a、4bを突合せ溶接する場合の態様を示している。したがって、図に示す場合には、レーザ光照射位置2aは亜鉛メッキ鋼板4a、4bの突き合わせ部である溶接線l上にくるように調整してある。
【0017】
上下に分割されたノズル5a,5bの内の下方ノズル5bの内面には、リング状のアーク電極支持部材6が押えナット7を介して固設され、このアーク電極支持部材6にアーク電極8が支持されている。このアーク電極8は、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIによる溶接方向(図中に矢印で示すように、図の右側から左側に向かう方向)でレーザ光照射位置2aに先行する位置にアーク8aを形成することができるよう、そのレーザ光照射位置2aに対する相対位置を調整してある。すなわち、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIの走行に伴う溶接の際には、レーザ光2に先行してアーク8aにより亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキを溶融・蒸発させ、レーザ光では、鋼板母材のみを溶接することができるような状態にする相対位置関係を保持してある。
【0018】
本形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッドIを用いる亜鉛メッキ鋼板4a、4bの溶接の際には、図1(b)に示すように、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIの溶接線lに沿う走行に伴い、アーク電極8が亜鉛メッキ鋼板4a、4bにアーク8aを照射する。この結果、亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキ層が溶融して蒸発する。これに後行してレーザ光照射位置2aを溶接線lに沿わせ、レーザ光2で鋼板母材を溶接する。
【0019】
この結果、ポロシティ等の欠陥を除去し、また視認性も良好に確保し得る溶接ビード9を形成することができる。
【0020】
なお、上記実施の形態では、レーザ・アーク複合溶接ヘッドIを用いてアーク8aをレーザ光2に先行させて、亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキを溶融・蒸発させるようにしたが、これに限るものではない。個別に形成したアーク溶接ヘッド及びレーザ溶接ヘッドを一体化するとともに、何れか一方を先行させて亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキを溶融・蒸発させ、その後、後行する溶接ヘッドで鋼板母材の溶接を行うものであれば、本願発明の技術思想に包含される。
【0021】
<第2の実施の形態>
図2は本発明の第2の実施の形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッドを示す断面図である。同図に示すように、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIIは、その上部に光ファイバ1の先端部が接続されている。光ファイバ1の基端部は図示しないYAGレーザ発振器に接続されており、このYAGレーザ発振器から発振されたレーザ光2を、光ファイバ1により伝送して当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドII内へと導入するようになっている。
【0022】
光ファイバ1の先端から出たレーザ光2は、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドII内に設けた光分割部14で2分割される。この結果、横断面が円形のレーザ光2が、横断面が半円形の第1分割レーザ光12aと第2分割レーザ光12bとが形成され、これらの分割レーザ光12a,12bの間に空間部16が形成される。
【0023】
分割レーザ光12a,12bは、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドII内に設けた集光レンズ群17により集光されて鋼板等の被溶接材に照射される。本形態の場合も、第1の実施の形態と同様に、被溶接材としては亜鉛メッキ鋼板4a、4bを対象としている。
【0024】
分割レーザ光12a,12bの間の空間部16には、タングステンなどからなる棒状のアーク電極(アークロッド)20が配置されており、このことによってレーザ光2(分割レーザ光12a,12b)とアーク電極20とが同軸状となっている。すなわち、アーク電極20は分割レーザ光12a,12b間の中央部に位置している。アーク電極20はアーク電極支持部材21から下方に突出させて支持してある。また、アーク電極支持部材21はロッド21aを介してノズル部22に支持してある。
【0025】
かくして、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIIによる溶接方向(図中に矢印で示すように、図の右側から左側に向かう方向)で溶接線lに沿って先行する位置から順に、分割レーザ光12aによるレーザ光照射位置12c、アーク電極20によるアーク20a、分割レーザ光12bによるレーザ光照射位置12dが占位する。ここで、アーク20aの中心は、レーザ光照射位置12c、12d間の中央に位置するが、レーザ光照射位置12cとアーク20aとの位置関係は次の点を考慮して決定する。すなわち、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIIの走行に伴う溶接の際に、アーク電極20に先行して分割レーザ光12aにより亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキを溶融・蒸発させ、アーク20a及び分割レーザ光12bでは、鋼板母材のみを溶接することができるような状態にする相対位置関係としてある。
【0026】
本形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッドIIを用いる亜鉛メッキ鋼板4a、4bの溶接の際には、図2(b)に示すように、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIIの溶接線lに沿う走行に伴い、分割レーザ光12aがレーザ光照射位置12cに照射される。この結果、亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキ層が溶融して蒸発する。これに後行してアーク20a及び分割レーザ光12bを溶接線lに沿わせ、これらで鋼板母材を溶接する。すなわち、この際の溶接は、アーク20aと分割レーザ光12bによる複合溶接である。
【0027】
この結果、ポロシティ等の欠陥を除去し、また視認性も良好に確保し得る溶接ビード9を形成することができる。また、レーザ・アークの複合溶接で効率の良い溶接を行うことができる。
【0028】
<第3の実施の形態>
図3は本発明の第3の実施の形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッドを示す断面図である。同図に示すように、本形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッドIIIは、図2に示すレーザ・アーク複合溶接ヘッドIIのアーク電極20の位置を変えたものである。他の構成は当該レーザ・アーク複合溶接ヘッドIIと同様である。そこで、図2と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0029】
図3に示すように、本形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッド IIIのアーク電極20は、図2に示すアーク電極20と同様に、アーク電極支持部材21を介してノズル部22に支持されているが、溶接方向(図中に矢印で示すように、図の右側から左側に向かう方向)に関し、後側の分割レーザ光12b側に偏位させて配設してある。すなわち、分割レーザ光12bのレーザ光照射位置12dがアーク電極20によるアーク20aの中心位置と可及的に一致するようにアーク電極20の位置を調整してある。
【0030】
本形態に係るレーザ・アーク複合溶接ヘッド IIIを用いる場合は、図2に示すレーザ・アーク複合溶接ヘッドIIを用いる場合とほぼ同様の態様で溶接が行われる。すなわち、図3(b)に示すように、当該レーザ・アーク複合溶接ヘッド IIIの溶接線lに沿う走行に伴い、分割レーザ光12aがレーザ光照射位置12cに照射される。この結果、亜鉛メッキ鋼板4a、4bの亜鉛メッキ層が溶融して蒸発する。これに後行してアーク20a及び分割レーザ光12bを溶接線lに沿わせ、これらで鋼板母材を溶接する。すなわち、この際の溶接は、アーク20aと分割レーザ光12bによる複合溶接である。しかも、本形態の場合、アーク20aの中心と分割レーザ光12bのレーザ光照射位置12dとが一致しているので、当該部分に両者の熱を集中させることができ効率の良い溶接を行うことができる。
【0031】
この結果、ポロシティ等の欠陥を除去し、また視認性も良好に確保し得る溶接ビード9を形成することができる。また、図2に示す実施の形態よりもさらに効率の良い溶接を行うことができる。
【0032】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
溶接方向で先行する位置で熱源による熱により亜鉛メッキ鋼板の亜鉛メッキを蒸発させ、前記熱源に遅れて溶接方向に走行する溶接ヘッドにより亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するので、
溶接時には鋼板母材のみを対象として溶接することができる。すなわち、溶接時に亜鉛メッキが溶融して発生する亜鉛ガスを鋼板溶融部に巻き込むことはない。
この結果、本発明によれば、視認性が良好で、且つポロシティ等の欠陥の発生のない高品質の溶接ビードを有する溶接部を形成することができる。
【0033】
〔請求項2〕に記載する発明は、〔請求項1〕に記載する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
熱源としてアーク電極が発生するアークを利用するとともに、溶接ヘッドとしてレーザ溶接ヘッドを利用したので、
アークにより亜鉛メッキを蒸発させ、その後レーザ溶接により鋼板母材を溶接することができる。
この結果、本願発明によれば、〔請求項1〕に記載する発明の効果を良好に得ることができる。
【0034】
〔請求項3〕に記載する発明は、亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
中央部にアーク電極を有するとともに、このアーク電極を中心として溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるレーザ・アーク複合溶接ヘッドを用い、
先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するので、
分割して照射する先行する一方のレーザ光により亜鉛メッキを蒸発させ、その後、後行するアーク電極のアーク及び分割して照射する後行する他方のレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接することができる。
この結果、本願発明によれば、視認性が良好で、且つポロシティ等の欠陥の発生のない高品質の溶接ビードを有する溶接部を形成することができる。
【0035】
〔請求項4〕に記載する発明は、亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、2分割した両レーザ光の中央部よりも後行するレーザ光側へ偏位した位置にアークを発生するアーク電極を有するレーザ・アーク複合溶接ヘッドを用い、
先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極のアーク及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するので、
分割して照射する先行する一方のレーザ光により亜鉛メッキを蒸発させ、その後、後行するアーク電極のアーク及び分割して照射する後行する他方のレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接することができる。このとき、鋼板母材を溶接するためのアーク及び前記他方のレーザ光は近接しているので、〔請求項3〕に記載する発明に較べ、その分狭い範囲にアーク及びレーザ光による熱を集中させることができる。
この結果、本願発明によれば、視認性が良好で、且つポロシティ等の欠陥の発生のない高品質の溶接ビードを有する溶接部を形成することができる。この際、〔請求項3〕に記載する発明よりも溶接品質を、さらに向上させることができる。
【0036】
〔請求項5〕に記載する発明は、レーザ光の照射とアーク放電とを行うことができるように構成したレーザ・アーク複合溶接ヘッドにおいて、
中央部にアーク電極を有するとともに、このアーク電極を中心として溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するように構成したので、
分割して照射する先行する一方のレーザ光により亜鉛メッキを蒸発させ、その後、後行するアーク電極のアーク及び分割して照射する後行する他方のレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接することができる。
この結果、本願発明によれば、視認性が良好で、且つポロシティ等の欠陥の発生のない高品質の溶接ビードを有する溶接部を形成することができる。
【0037】
〔請求項6〕に記載する発明は、レーザ光の照射とアーク放電とを行うことができるように構成したレーザ・アーク複合溶接ヘッドにおいて、
溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、2分割した両レーザ光の中央部よりも後行するレーザ光側へ偏位した位置にアークを発生するアーク電極を占位させ、先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するように構成したので、
分割して照射する先行する一方のレーザ光により亜鉛メッキを蒸発させ、その後、後行するアーク電極のアーク及び分割して照射する後行する他方のレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接することができる。このとき、鋼板母材を溶接するためのアーク及び前記他方のレーザ光は近接しているので、〔請求項5〕に記載する発明に較べ、その分狭い範囲にアーク及びレーザ光による熱を集中させることができる。
この結果、本願発明によれば、視認性が良好で、且つポロシティ等の欠陥の発生のない高品質の溶接ビードを有する溶接部を形成することができる。この際、〔請求項5〕に記載する発明よりも溶接品質を、さらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る図で、(a)はそのレーザ・アーク複合溶接ヘッドを示す断面図、(b)はその溶接ビードの状態を示す説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る図で、(a)はそのレーザ・アーク複合溶接ヘッドを示す断面図、(b)はその溶接ビードの状態を示す説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る図で、(a)はそのレーザ・アーク複合溶接ヘッドを示す断面図、(b)はその溶接ビードの状態を示す説明図である。
【符号の説明】
I、II、 III レーザ・アーク複合溶接ヘッド
l 溶接線
2 レーザ光
2a レーザ光照射位置
4a、4b 亜鉛メッキ鋼板
8 アーク電極
8a アーク
9 溶接ビード
12a、12b 分割レーザ光
12c、12d レーザ光照射位置
20 アーク電極
20a アーク
Claims (6)
- 亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
溶接方向で先行する位置で熱源による熱により亜鉛メッキ鋼板の亜鉛メッキを蒸発させ、前記熱源に遅れて溶接方向に走行する溶接ヘッドにより亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接することを特徴とする亜鉛メッキ鋼板の溶接方法。 - 〔請求項1〕に記載する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
熱源としてアーク電極が発生するアークを利用するとともに、溶接ヘッドとしてレーザ溶接ヘッドを利用したことを特徴とする亜鉛メッキ鋼板の溶接方法。 - 亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
中央部にアーク電極を有するとともに、このアーク電極を中心として溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるレーザ・アーク複合溶接ヘッドを用い、
先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接することを特徴とする亜鉛メッキ鋼板の溶接方法。 - 亜鉛メッキ鋼板同士を溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法において、
溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、2分割した両レーザ光の中央部よりも後行するレーザ光側へ偏位した位置にアークを発生するアーク電極を有するレーザ・アーク複合溶接ヘッドを用い、
先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接することを特徴とする亜鉛メッキ鋼板の溶接方法。 - レーザ光の照射とアーク放電とを行うことができるように構成したレーザ・アーク複合溶接ヘッドにおいて、
中央部にアーク電極を有するとともに、このアーク電極を中心として溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するように構成したことを特徴とするレーザ・アーク複合溶接ヘッド。 - レーザ光の照射とアーク放電とを行うことができるように構成したレーザ・アーク複合溶接ヘッドにおいて、
溶接方向に関する前後位置に、途中で2分割したレーザ光を集光光学系でそれぞれ集光させるとともに、2分割した両レーザ光の中央部よりも後行するレーザ光側へ偏位した位置にアークを発生するアーク電極を占位させ、先行するレーザ光を熱源として亜鉛メッキを蒸発させ、後行するアーク電極及び後行するレーザ光で亜鉛メッキが除去された状態の鋼板母材を溶接するように構成したことを特徴とするレーザ・アーク複合溶接ヘッド。
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2002
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