JP2004160363A - 窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器 - Google Patents
窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004160363A JP2004160363A JP2002329654A JP2002329654A JP2004160363A JP 2004160363 A JP2004160363 A JP 2004160363A JP 2002329654 A JP2002329654 A JP 2002329654A JP 2002329654 A JP2002329654 A JP 2002329654A JP 2004160363 A JP2004160363 A JP 2004160363A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nitrogen oxide
- electrodes
- oxide removing
- removing device
- active species
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A50/00—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
- Y02A50/20—Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters
Landscapes
- Treating Waste Gases (AREA)
- Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
- Catalysts (AREA)
Abstract
【課題】装置構成が簡易であり、居住空間の空気を汚染することなくNOxを除去できる窒素酸化物除去装置とこれを備えた燃焼機器を提供する。
【解決手段】間隔をあけて互いに対向するように配置された複数の平板状の電極とこれらの電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とからなる電界発生部と、電極間に生成した活性種を吸着する活性種吸着部とを備えた窒素酸化物除去装置と、この窒素酸化物除去装置を備えた燃焼機器である。ここで、活性種吸着部が電界発生部のガス下流側に設置されていることが好ましく、活性種吸着部のガス下流側にオゾンを分解するオゾン分解部が設置されていることがより好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】間隔をあけて互いに対向するように配置された複数の平板状の電極とこれらの電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とからなる電界発生部と、電極間に生成した活性種を吸着する活性種吸着部とを備えた窒素酸化物除去装置と、この窒素酸化物除去装置を備えた燃焼機器である。ここで、活性種吸着部が電界発生部のガス下流側に設置されていることが好ましく、活性種吸着部のガス下流側にオゾンを分解するオゾン分解部が設置されていることがより好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は窒素酸化物除去装置に関するものであるとともに、この特徴的な窒素酸化物除去装置を備えた燃焼機器(例えば、石油ファンヒータ、石油ストーブ、ガスファンヒータ、ガスストーブ等)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の顕在化や居住空間の高気密化に伴い、空気中の有害物質を取り除き、健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。この要望に応えるため、各種のフィルタを備えた空気清浄機が開発されている。これらの空気清浄機は、居住空間における空気を吸引してフィルタにより有害物質を吸着する方式を採用している。
【0003】
しかしながら、高気密化された居住空間の中で石油ファンヒータ等の燃焼機器を使用した場合には、石油等の燃焼によって大量に発生した窒素酸化物NOxが住居空間に放出されるため、従来の空気清浄機においては住居空間におけるNOx濃度の増加を十分に防ぐことができないという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、例えば、特許文献1においては、必要に応じてアンモニアガスを発生させ、このアンモニアガスとNOxとの触媒反応によって燃焼機器から排出される排ガス中のNOxを除去する装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−165042号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている除去装置においてアンモニガスを過剰に発生させてしまった場合には、未反応のアンモニアガスが排ガス中に含まれてしまうため、居住空間の空気が汚染されるという問題があった。その上、燃焼機器から発生するNOxの量に応じてアンモニアガスの供給量を調節する必要があるため、装置の構成が非常に複雑になり、装置の製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、装置構成が簡易であり、居住空間の空気を汚染することなくNOxを除去することができる窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、間隔をあけて互いに対向するように配置された複数の平板状の電極とこれらの電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とからなる電界発生部と、電極間に生成した活性種を担持する活性種担持部とを備えた窒素酸化物除去装置である。
【0009】
ここで、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、活性種担持部が電界発生部のガス下流側に設置されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、活性種担持部がゼオライトを含むフィルタからなることが好ましい。
【0011】
ここで、活性種担持部に含まれるゼオライトのSiO2/Al2O3モル比が50〜50000であることがより好ましい。
【0012】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、電極が絶縁体板上に金属板を設置することにより形成されており、互いに対向している電極の対向面の一方が絶縁体板面となるように電極を配置することができる。
【0013】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、電極が2枚の絶縁体板の間に金属板を挟み込むことにより形成されており、互いに対向している電極の対向面の双方が絶縁体板面となるように電極を配置することができる。
【0014】
ここで、電極を構成する絶縁体板が金属板よりも大きく、金属板の周縁が絶縁体板の周縁から後退させられていることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、電圧印加手段が電極間に交流電圧を印加するものであることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、活性種担持部のガス下流側に、オゾンを分解するオゾン分解部が設置されていることが好ましい。
【0017】
ここで、オゾン分解部は酸化マンガンを含むフィルタであることが好ましい。
さらに、本発明は、上記窒素酸化物除去装置を備えた燃焼機器である。
【0018】
【発明の実施の形態】
(窒素酸化物除去装置)
図1に本発明に係る窒素酸化物除去装置の好ましい一例の模式的な斜視図を示す。図1において、窒素酸化物除去装置1は、ケース9内に、平板状の電極2と、活性種担持部3と、オゾン分解部4とを含んでいる。図1中、矢印はガスが流れる方向を示している。ここで、活性種担持部3は電極2のガス下流側に設置され、オゾン分解部4は活性種担持部3のガス下流側に設置されている。
【0019】
本発明に係る窒素酸化物除去装置1は、このような構成をとっていることから、たとえば燃焼機器等の排出口からNOxを含む排ガスが矢印の方向に流れてきた場合に、電極2間に電圧を印加してNOxまたは空気等のガスが存在する電極2間の空間にプラズマを発生させ、そのプラズマ中のラジカル等の活性種をガス下流側に設置された活性種担持部3において担持することによって、または担持した活性種とNOxとを反応させることによって、NOxを除去できるのである。また、オゾン分解部4を活性種担持部3のガス下流側に設置することによって、活性種担持部3においてオゾンが担持されなかった場合でも、オゾン分解部4において不快な臭いを有するオゾンを分解することができる。
【0020】
(電極)
図2に電極2を拡大した模式的な斜視図を示す。図2において、電極2は、絶縁体板5上に金属板6を設置することによって形成されている。そして、複数の電極2が間隔をあけて互いに対向するように配置されている。ここで、互いに対向している電極2の対向面の一方が絶縁体板5面であることから、電極2は、絶縁体板5面−金属板6面からなる対向面の組み合わせが連続するように配置されている。このような構成で電極2間に電界を発生させた場合には、絶縁体板5の誘電率は電極2間の空間に存在するガスの誘電率よりも大きいことから、絶縁体板5が受ける電界の影響よりも電極2間に存在するガスが受ける電界の影響の方が大きくなる。しかも、電極2間に存在するガスの方が、絶縁体板5よりも低い電界強度で絶縁破壊を起こす。
【0021】
したがって、電極2間に印加する電圧を増加させて所定範囲の電圧にすると、電極2間に存在するガスの放電が穏やかに起きてプラズマが発生することとなる。ここで、電極2間に存在するガスが受ける電界強度は均一であるため、電極2間の空間に広く均一にプラズマを発生させることが可能となる。
【0022】
また、電極2においては、絶縁体板5が金属板6よりも大きく形成され、金属板6の周縁が絶縁体板5の周縁から後退させられていることが好ましい。この場合には、互いに対向する電極2の端面間に導電性の高い放電路が形成されて電極2間に大きな電流が流れることを防止することができる。
【0023】
また、電極2は、2枚の絶縁体板の間に金属板を挟み込むことにより形成されていることが好ましい。この場合には、電極2の対向面の双方が絶縁体板5面となるように電極2が配置されることとなる。したがって、対向する電極2の端面間に導電性の高い放電路が形成されて電流が流れることがない。
【0024】
また、電極2を2枚のみ用いてこれらの電極間に電界を発生させてもよいが、上述のように電極2を3枚以上用いてこれらの電極間に電界を発生させることが好ましい。この場合には、より広い空間にプラズマを発生させることができる。
【0025】
なお、絶縁体板5としては、例えば、ホウ珪酸ガラス等のガラス、セラミックス等の絶縁体薄板が用いられる。また、金属板6としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、タングステン等の金属薄板が用いられる。また、金属板6は、絶縁体板5の表面にアルミニウム、銅、タングステン等の金属薄膜を物理的または化学的に堆積させることにより形成されてもよい。
【0026】
(電界発生部)
図3に本発明に用いられる電界発生部の好ましい一例の模式的な概念図を示す。図3において、電界発生部7は、絶縁体板5上に金属板6が形成され、対向面の一方が絶縁体板5面となるように配置された複数の電極2と、これらの電極2間に電圧を印加するための電圧印加手段8とを含む。このような構成とすることにより、電圧印加手段8によって電極2間に電圧を印加して、電極2間にプラズマを発生させることができる。このとき、電極2間に存在する分子、イオン、電子のうち、電子は体積および質量が非常に小さいため、電極2間に印加された電圧により、電子が原子等から放出されてから他の分子等に衝突するまでに電界によって十分に加速されて非常に温度が高くなる。しかし、分子やイオンは体積および質量が大きいため、あまり加速されず温度が高くならない。すなわち、電極2間に交流電圧を印加すると、分子およびイオンと、電子との間に温度差がある非平衡プラズマが発生することとなる。そして、この非平衡プラズマによって、たとえば酸素原子ラジカル(・O)、窒素原子ラジカル(・N)、ヒドロキシラジカル(・OH)、ヒドロペルオキシドラジカル(・HO2)、オゾン(O3)等の高い反応性を持つ活性種が生成される。すなわち、電極2間の広い空間に一様にラジカル、オゾン等の活性種が生成されることとなる。
【0027】
ここで、電圧印加手段8は、電極2間に交流電圧を印加するものであることが好ましい。電極2間に印加される電圧が直流電圧である場合には、絶縁体板5の存在によって金属板6に流れ込めない電荷が絶縁体板5の表面に蓄積されていくことから、電極2間に存在するガスに影響を与える電界が減少して、電極2間に発生したプラズマがすぐに消失してしまう傾向にある。しかし、電極2間に印加される電圧が交流電圧である場合には、絶縁体板5の表面に電荷が蓄積されていかないことから、電極2間に安定してプラズマを維持することができる。
【0028】
なお、電界発生部7としては、たとえば図4に示すように、絶縁体板5の間に金属板6を挟み込んで形成した電極2を複数配置し、電極2間に電圧を印加する電圧印加手段8を備えたものも用いることができる。この場合にも電極2間の広い空間に非平衡プラズマを安定して維持することができる。
【0029】
(活性種担持部)
図1に示す活性種担持部3は、ゼオライトを含むフィルタであることが好ましい。燃焼機器の排ガスまたは空気中に含まれるNOxは電界発生部において活性種に分解されるか、電界発生部で分解されなかったNOxは活性種担持部3で吸着等によって担持される。すなわち、電界発生部においてNOxおよび空気が分解されて生成したラジカル等の活性種と、電界発生部で分解されなかったNOxとは、共にゼオライトが持つ細孔内に引き寄せられる。そして、この細孔内で、活性種とNOxとが反応を起こすと、NOxは窒素分子(N2)に還元されるか、硝酸(HNO3)等に酸化される。ここで、NOxが細孔内で酸化されて生成した硝酸(HNO3)等は、吸着等によってゼオライトの細孔内に確実に担持されるものと推察される。特に、ゼオライトが燃焼機器の排ガスとの接触により十分高温になっている場合には、ゼオライトの触媒活性が高くなっているため、細孔内における活性種とNOxとの反応が非常に起きやすくなる。したがって、活性種担持部3がゼオライトを含むフィルタである場合には、NOxは、電極2間および活性種担持部3を一回通過するだけで大部分が除去されることとなる。
【0030】
ここで、ゼオライトを含むフィルタは、例えば、ゼオライトの粉末を粘土等と混練したものを金型によってハニカム状に成型して作製してもよく、またはゼオライトの粉末をハニカム状担体に塗布して作製してもよい。
【0031】
また、ゼオライトとしては、SiO2/Al2O3モル比が50〜50000であるものを用いることが好ましく、より好ましくは上記モル比が500〜10000であるものを用いることが好ましく、さらに好ましくは上記モル比が2000〜5000であるものを用いることが好ましい。SiO2/Al2O3モル比が50未満である場合には水分子等の極性分子を吸着しやすくNOxを除去する能力が低下する傾向にあり、モル比が50000より大きい場合にはゼオライトの結晶構造内におけるアルミニウムの数が少な過ぎてゼオライトの吸着能が低下すると推察される。
【0032】
ゼオライトの結晶構造は、たとえばSi(珪素)を中心とし、O(酸素)が四面体の各頂点に配置されたSiO4四面体と、Al(アルミニウム)を中心とし、O(酸素)が四面体の各頂点に配置されたAlO4四面体とが、O(酸素)を共有しながら3次元的に配列した構造になっている。そして、ゼオライトの結晶構造内のAlに対するSiの割合が大きくなる程、ゼオライト細孔内に水分子等の極性分子が吸着しにくくなる。すなわち、ゼオライト細孔内に吸着した水分子等の極性分子は、ラジカル等の活性種とNOxとが細孔内で反応するのを妨害することから、ゼオライトの結晶構造内におけるAlに対するSiの割合が大きい程、NOxを除去する能力が高くなる。一方、ゼオライトの結晶構造内のAlの数が少な過ぎると、Si4+を置換する配位数4のAl3+の数が少なくなるため、ラジカル等の活性種とNOxを吸着する能力が低下し、ひいてはNOxを除去する能力が低下すると推察される。
【0033】
(オゾン分解部)
図1に示すように、本発明に係る窒素酸化物除去装置1においては、活性種担持部3のガス下流側に、オゾンを分解するオゾン分解部4が設置されていることが好ましい。非平衡プラズマによって生成したラジカル、オゾン等の活性種のうち、酸素原子ラジカル(・O)、窒素原子ラジカル(・N)、ヒドロキシラジカル(・OH)、ヒドロペルオキシドラジカル(・HO2)等は、反応活性が非常に高く生成してから消滅するまでの時間が非常に短いため活性種担持部3から放出されることはないが、オゾン(O3)は活性種担持部3で担持されず居住空間に放出されることがあり、オゾンが放出されると、不快なオゾン臭がする上、人体に悪い影響を及ぼす場合があるためである。ここで、オゾンはオゾン分解部4を通過する際に酸素分子(O2)に分解される。
【0034】
オゾン分解部4は、例えば、酸化マンガンの粉末を粘土等と混練したものを金型によってハニカム状に成型して作製してもよく、酸化マンガンの粉末をハニカム状担体に塗布して作製してもよい。また、オゾンを分解する効果を持つ触媒を用いてもよい。特に、酸化マンガンまたはオゾン分解触媒が燃焼機器の排ガスとの接触により十分高温になっている場合には、酸化マンガンまたはオゾン分解触媒の触媒活性が高くなっているため、非平衡プラズマによって発生したオゾンはオゾン分解部を通過する際にほぼ確実に分解されることとなる。
【0035】
(燃焼機器)
本発明に係る燃焼機器は、上述した窒素酸化物除去装置を石油ファンヒータ、石油ストーブ、ガスファンヒータ、ガスストーブ等の排ガス排出口に取り付けることによって作製される。したがって、本発明に係る燃焼機器はその構成が簡易であることから、容易に作製することができる。また、燃焼機器等からの排ガスは窒素酸化物除去装置によって除去されることから、本発明に係る燃焼機器は、居住空間の空気を汚染することなくNOxを除去することができる。
【0036】
【実施例】
(装置)
図1に示す窒素酸化物除去装置1を石油ファンヒータの排出口に取り付けて、NOx除去率を算出した。ここで、電極2の配列方向は、ガスの流れに対して直交する方向とし、電界発生部に送り込まれたガスは、電極2間の空間を通過するようにした。
【0037】
また、活性種担持部3は、ゼオライトの粉末と粘土とを混練したものを金型によってハニカム状に成型して作製し、オゾン分解部4は、酸化マンガンの粉末をアルミニウム製のハニカム状担体に塗布して作製した。
【0038】
なお、絶縁体板5にはガスの流れ方向の長さが50mm、厚み0.55mmのホウ珪酸ガラス板を用い、金属板6にはガスの流れ方向の長さが25mm、厚み0.05mmのステンレス板を用いて、絶縁体板5上に金属板6を設置することにより電極2を形成した。なお、電極2は、すべて平行になるように配置し、その配置間隔を1.1mmとした。また、電圧印加手段8に印加する電圧は、振幅7kV、周波数60Hzの交流電圧とした。
【0039】
(試験方法)
まず、窒素酸化物除去装置1を取り付けないで、石油ファンヒータの排出口から排出される排ガス中に含まれるNOxの濃度を測定した。
【0040】
次に、石油ファンヒータの排出口に外側から窒素酸化物除去装置1を取り付け、窒素酸化物除去装置1の電圧印加手段8に電圧を印加した時に、窒素酸化物除去装置1を通過した後の排ガス中に含まれるNOxの濃度を測定した。
【0041】
そして、窒素酸化物除去装置1によって除去されたNOxの割合、すなわち、NOx除去率を以下の計算式で算出した。
NOx除去率(%)=100×(窒素酸化物除去装置を取り付ける前の排ガス中のNOx濃度−窒素酸化物除去装置の通過後の排ガス中のNOx濃度)/(窒素酸化物除去装置を取り付ける前の排ガス中のNOx濃度)
なお、活性種担持部3の作製に用いるゼオライトとして、SiO2/Al2O3モル比が2、50、500および2000の4種類を用い、それぞれ別々に試験を行なって、NOx除去率の比較を行なった。
【0042】
(試験結果)
図5に試験結果を示す。図5は横軸にSiO2/Al2O3モル比を、縦軸にNOx除去率(単位:%)をとり、SiO2/Al2O3モル比とNOx除去率との関係を示している。
【0043】
図5に示すように、活性種担持部3の作製に用いるゼオライトのSiO2/Al2O3モル比が大きくなる程、NOx除去率が高かった。SiO2/Al2O3モル比が2である場合には石油ファンヒータから排出される排ガス中のNOxの約42%しか除去されなかったが、SiO2/Al2O3モル比が50である場合にはNOxの約67%が、モル比が500である場合にはNOxの約74%が、モル比が2000である場合にはNOxの約87%が除去された。
【0044】
また、上記の試験において、オゾン分解部4を通過後の排ガスに含まれるオゾンの濃度を測定したところ0.01ppm以下であった。すなわち、電界発生部が生成したオゾンは、オゾン分解部4を通過する際にほぼ確実に分解されていることがわかった。
【0045】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0046】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、装置構成が簡易であり、居住空間の空気を汚染することなくNOxを除去することができる窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒素酸化物除去装置の模式的な斜視図である。
【図2】本発明に用いられる電極の一例の模式的な斜視図である。
【図3】本発明に用いられる電界発生部の一例の模式的な概念図である。
【図4】本発明に用いられる電界発生部の他の例の模式的な概念図である。
【図5】実施例におけるSiO2/Al2O3モル比とNOx除去率との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 窒素酸化物除去装置、2 電極、3 活性種担持部、4 オゾン分解部、5 絶縁体板、6 金属板、7 電界発生部、8 電圧印加手段、9 ケース。
【発明の属する技術分野】
本発明は窒素酸化物除去装置に関するものであるとともに、この特徴的な窒素酸化物除去装置を備えた燃焼機器(例えば、石油ファンヒータ、石油ストーブ、ガスファンヒータ、ガスストーブ等)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の顕在化や居住空間の高気密化に伴い、空気中の有害物質を取り除き、健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。この要望に応えるため、各種のフィルタを備えた空気清浄機が開発されている。これらの空気清浄機は、居住空間における空気を吸引してフィルタにより有害物質を吸着する方式を採用している。
【0003】
しかしながら、高気密化された居住空間の中で石油ファンヒータ等の燃焼機器を使用した場合には、石油等の燃焼によって大量に発生した窒素酸化物NOxが住居空間に放出されるため、従来の空気清浄機においては住居空間におけるNOx濃度の増加を十分に防ぐことができないという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、例えば、特許文献1においては、必要に応じてアンモニアガスを発生させ、このアンモニアガスとNOxとの触媒反応によって燃焼機器から排出される排ガス中のNOxを除去する装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−165042号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている除去装置においてアンモニガスを過剰に発生させてしまった場合には、未反応のアンモニアガスが排ガス中に含まれてしまうため、居住空間の空気が汚染されるという問題があった。その上、燃焼機器から発生するNOxの量に応じてアンモニアガスの供給量を調節する必要があるため、装置の構成が非常に複雑になり、装置の製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、装置構成が簡易であり、居住空間の空気を汚染することなくNOxを除去することができる窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、間隔をあけて互いに対向するように配置された複数の平板状の電極とこれらの電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とからなる電界発生部と、電極間に生成した活性種を担持する活性種担持部とを備えた窒素酸化物除去装置である。
【0009】
ここで、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、活性種担持部が電界発生部のガス下流側に設置されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、活性種担持部がゼオライトを含むフィルタからなることが好ましい。
【0011】
ここで、活性種担持部に含まれるゼオライトのSiO2/Al2O3モル比が50〜50000であることがより好ましい。
【0012】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、電極が絶縁体板上に金属板を設置することにより形成されており、互いに対向している電極の対向面の一方が絶縁体板面となるように電極を配置することができる。
【0013】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、電極が2枚の絶縁体板の間に金属板を挟み込むことにより形成されており、互いに対向している電極の対向面の双方が絶縁体板面となるように電極を配置することができる。
【0014】
ここで、電極を構成する絶縁体板が金属板よりも大きく、金属板の周縁が絶縁体板の周縁から後退させられていることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、電圧印加手段が電極間に交流電圧を印加するものであることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る窒素酸化物除去装置においては、活性種担持部のガス下流側に、オゾンを分解するオゾン分解部が設置されていることが好ましい。
【0017】
ここで、オゾン分解部は酸化マンガンを含むフィルタであることが好ましい。
さらに、本発明は、上記窒素酸化物除去装置を備えた燃焼機器である。
【0018】
【発明の実施の形態】
(窒素酸化物除去装置)
図1に本発明に係る窒素酸化物除去装置の好ましい一例の模式的な斜視図を示す。図1において、窒素酸化物除去装置1は、ケース9内に、平板状の電極2と、活性種担持部3と、オゾン分解部4とを含んでいる。図1中、矢印はガスが流れる方向を示している。ここで、活性種担持部3は電極2のガス下流側に設置され、オゾン分解部4は活性種担持部3のガス下流側に設置されている。
【0019】
本発明に係る窒素酸化物除去装置1は、このような構成をとっていることから、たとえば燃焼機器等の排出口からNOxを含む排ガスが矢印の方向に流れてきた場合に、電極2間に電圧を印加してNOxまたは空気等のガスが存在する電極2間の空間にプラズマを発生させ、そのプラズマ中のラジカル等の活性種をガス下流側に設置された活性種担持部3において担持することによって、または担持した活性種とNOxとを反応させることによって、NOxを除去できるのである。また、オゾン分解部4を活性種担持部3のガス下流側に設置することによって、活性種担持部3においてオゾンが担持されなかった場合でも、オゾン分解部4において不快な臭いを有するオゾンを分解することができる。
【0020】
(電極)
図2に電極2を拡大した模式的な斜視図を示す。図2において、電極2は、絶縁体板5上に金属板6を設置することによって形成されている。そして、複数の電極2が間隔をあけて互いに対向するように配置されている。ここで、互いに対向している電極2の対向面の一方が絶縁体板5面であることから、電極2は、絶縁体板5面−金属板6面からなる対向面の組み合わせが連続するように配置されている。このような構成で電極2間に電界を発生させた場合には、絶縁体板5の誘電率は電極2間の空間に存在するガスの誘電率よりも大きいことから、絶縁体板5が受ける電界の影響よりも電極2間に存在するガスが受ける電界の影響の方が大きくなる。しかも、電極2間に存在するガスの方が、絶縁体板5よりも低い電界強度で絶縁破壊を起こす。
【0021】
したがって、電極2間に印加する電圧を増加させて所定範囲の電圧にすると、電極2間に存在するガスの放電が穏やかに起きてプラズマが発生することとなる。ここで、電極2間に存在するガスが受ける電界強度は均一であるため、電極2間の空間に広く均一にプラズマを発生させることが可能となる。
【0022】
また、電極2においては、絶縁体板5が金属板6よりも大きく形成され、金属板6の周縁が絶縁体板5の周縁から後退させられていることが好ましい。この場合には、互いに対向する電極2の端面間に導電性の高い放電路が形成されて電極2間に大きな電流が流れることを防止することができる。
【0023】
また、電極2は、2枚の絶縁体板の間に金属板を挟み込むことにより形成されていることが好ましい。この場合には、電極2の対向面の双方が絶縁体板5面となるように電極2が配置されることとなる。したがって、対向する電極2の端面間に導電性の高い放電路が形成されて電流が流れることがない。
【0024】
また、電極2を2枚のみ用いてこれらの電極間に電界を発生させてもよいが、上述のように電極2を3枚以上用いてこれらの電極間に電界を発生させることが好ましい。この場合には、より広い空間にプラズマを発生させることができる。
【0025】
なお、絶縁体板5としては、例えば、ホウ珪酸ガラス等のガラス、セラミックス等の絶縁体薄板が用いられる。また、金属板6としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、タングステン等の金属薄板が用いられる。また、金属板6は、絶縁体板5の表面にアルミニウム、銅、タングステン等の金属薄膜を物理的または化学的に堆積させることにより形成されてもよい。
【0026】
(電界発生部)
図3に本発明に用いられる電界発生部の好ましい一例の模式的な概念図を示す。図3において、電界発生部7は、絶縁体板5上に金属板6が形成され、対向面の一方が絶縁体板5面となるように配置された複数の電極2と、これらの電極2間に電圧を印加するための電圧印加手段8とを含む。このような構成とすることにより、電圧印加手段8によって電極2間に電圧を印加して、電極2間にプラズマを発生させることができる。このとき、電極2間に存在する分子、イオン、電子のうち、電子は体積および質量が非常に小さいため、電極2間に印加された電圧により、電子が原子等から放出されてから他の分子等に衝突するまでに電界によって十分に加速されて非常に温度が高くなる。しかし、分子やイオンは体積および質量が大きいため、あまり加速されず温度が高くならない。すなわち、電極2間に交流電圧を印加すると、分子およびイオンと、電子との間に温度差がある非平衡プラズマが発生することとなる。そして、この非平衡プラズマによって、たとえば酸素原子ラジカル(・O)、窒素原子ラジカル(・N)、ヒドロキシラジカル(・OH)、ヒドロペルオキシドラジカル(・HO2)、オゾン(O3)等の高い反応性を持つ活性種が生成される。すなわち、電極2間の広い空間に一様にラジカル、オゾン等の活性種が生成されることとなる。
【0027】
ここで、電圧印加手段8は、電極2間に交流電圧を印加するものであることが好ましい。電極2間に印加される電圧が直流電圧である場合には、絶縁体板5の存在によって金属板6に流れ込めない電荷が絶縁体板5の表面に蓄積されていくことから、電極2間に存在するガスに影響を与える電界が減少して、電極2間に発生したプラズマがすぐに消失してしまう傾向にある。しかし、電極2間に印加される電圧が交流電圧である場合には、絶縁体板5の表面に電荷が蓄積されていかないことから、電極2間に安定してプラズマを維持することができる。
【0028】
なお、電界発生部7としては、たとえば図4に示すように、絶縁体板5の間に金属板6を挟み込んで形成した電極2を複数配置し、電極2間に電圧を印加する電圧印加手段8を備えたものも用いることができる。この場合にも電極2間の広い空間に非平衡プラズマを安定して維持することができる。
【0029】
(活性種担持部)
図1に示す活性種担持部3は、ゼオライトを含むフィルタであることが好ましい。燃焼機器の排ガスまたは空気中に含まれるNOxは電界発生部において活性種に分解されるか、電界発生部で分解されなかったNOxは活性種担持部3で吸着等によって担持される。すなわち、電界発生部においてNOxおよび空気が分解されて生成したラジカル等の活性種と、電界発生部で分解されなかったNOxとは、共にゼオライトが持つ細孔内に引き寄せられる。そして、この細孔内で、活性種とNOxとが反応を起こすと、NOxは窒素分子(N2)に還元されるか、硝酸(HNO3)等に酸化される。ここで、NOxが細孔内で酸化されて生成した硝酸(HNO3)等は、吸着等によってゼオライトの細孔内に確実に担持されるものと推察される。特に、ゼオライトが燃焼機器の排ガスとの接触により十分高温になっている場合には、ゼオライトの触媒活性が高くなっているため、細孔内における活性種とNOxとの反応が非常に起きやすくなる。したがって、活性種担持部3がゼオライトを含むフィルタである場合には、NOxは、電極2間および活性種担持部3を一回通過するだけで大部分が除去されることとなる。
【0030】
ここで、ゼオライトを含むフィルタは、例えば、ゼオライトの粉末を粘土等と混練したものを金型によってハニカム状に成型して作製してもよく、またはゼオライトの粉末をハニカム状担体に塗布して作製してもよい。
【0031】
また、ゼオライトとしては、SiO2/Al2O3モル比が50〜50000であるものを用いることが好ましく、より好ましくは上記モル比が500〜10000であるものを用いることが好ましく、さらに好ましくは上記モル比が2000〜5000であるものを用いることが好ましい。SiO2/Al2O3モル比が50未満である場合には水分子等の極性分子を吸着しやすくNOxを除去する能力が低下する傾向にあり、モル比が50000より大きい場合にはゼオライトの結晶構造内におけるアルミニウムの数が少な過ぎてゼオライトの吸着能が低下すると推察される。
【0032】
ゼオライトの結晶構造は、たとえばSi(珪素)を中心とし、O(酸素)が四面体の各頂点に配置されたSiO4四面体と、Al(アルミニウム)を中心とし、O(酸素)が四面体の各頂点に配置されたAlO4四面体とが、O(酸素)を共有しながら3次元的に配列した構造になっている。そして、ゼオライトの結晶構造内のAlに対するSiの割合が大きくなる程、ゼオライト細孔内に水分子等の極性分子が吸着しにくくなる。すなわち、ゼオライト細孔内に吸着した水分子等の極性分子は、ラジカル等の活性種とNOxとが細孔内で反応するのを妨害することから、ゼオライトの結晶構造内におけるAlに対するSiの割合が大きい程、NOxを除去する能力が高くなる。一方、ゼオライトの結晶構造内のAlの数が少な過ぎると、Si4+を置換する配位数4のAl3+の数が少なくなるため、ラジカル等の活性種とNOxを吸着する能力が低下し、ひいてはNOxを除去する能力が低下すると推察される。
【0033】
(オゾン分解部)
図1に示すように、本発明に係る窒素酸化物除去装置1においては、活性種担持部3のガス下流側に、オゾンを分解するオゾン分解部4が設置されていることが好ましい。非平衡プラズマによって生成したラジカル、オゾン等の活性種のうち、酸素原子ラジカル(・O)、窒素原子ラジカル(・N)、ヒドロキシラジカル(・OH)、ヒドロペルオキシドラジカル(・HO2)等は、反応活性が非常に高く生成してから消滅するまでの時間が非常に短いため活性種担持部3から放出されることはないが、オゾン(O3)は活性種担持部3で担持されず居住空間に放出されることがあり、オゾンが放出されると、不快なオゾン臭がする上、人体に悪い影響を及ぼす場合があるためである。ここで、オゾンはオゾン分解部4を通過する際に酸素分子(O2)に分解される。
【0034】
オゾン分解部4は、例えば、酸化マンガンの粉末を粘土等と混練したものを金型によってハニカム状に成型して作製してもよく、酸化マンガンの粉末をハニカム状担体に塗布して作製してもよい。また、オゾンを分解する効果を持つ触媒を用いてもよい。特に、酸化マンガンまたはオゾン分解触媒が燃焼機器の排ガスとの接触により十分高温になっている場合には、酸化マンガンまたはオゾン分解触媒の触媒活性が高くなっているため、非平衡プラズマによって発生したオゾンはオゾン分解部を通過する際にほぼ確実に分解されることとなる。
【0035】
(燃焼機器)
本発明に係る燃焼機器は、上述した窒素酸化物除去装置を石油ファンヒータ、石油ストーブ、ガスファンヒータ、ガスストーブ等の排ガス排出口に取り付けることによって作製される。したがって、本発明に係る燃焼機器はその構成が簡易であることから、容易に作製することができる。また、燃焼機器等からの排ガスは窒素酸化物除去装置によって除去されることから、本発明に係る燃焼機器は、居住空間の空気を汚染することなくNOxを除去することができる。
【0036】
【実施例】
(装置)
図1に示す窒素酸化物除去装置1を石油ファンヒータの排出口に取り付けて、NOx除去率を算出した。ここで、電極2の配列方向は、ガスの流れに対して直交する方向とし、電界発生部に送り込まれたガスは、電極2間の空間を通過するようにした。
【0037】
また、活性種担持部3は、ゼオライトの粉末と粘土とを混練したものを金型によってハニカム状に成型して作製し、オゾン分解部4は、酸化マンガンの粉末をアルミニウム製のハニカム状担体に塗布して作製した。
【0038】
なお、絶縁体板5にはガスの流れ方向の長さが50mm、厚み0.55mmのホウ珪酸ガラス板を用い、金属板6にはガスの流れ方向の長さが25mm、厚み0.05mmのステンレス板を用いて、絶縁体板5上に金属板6を設置することにより電極2を形成した。なお、電極2は、すべて平行になるように配置し、その配置間隔を1.1mmとした。また、電圧印加手段8に印加する電圧は、振幅7kV、周波数60Hzの交流電圧とした。
【0039】
(試験方法)
まず、窒素酸化物除去装置1を取り付けないで、石油ファンヒータの排出口から排出される排ガス中に含まれるNOxの濃度を測定した。
【0040】
次に、石油ファンヒータの排出口に外側から窒素酸化物除去装置1を取り付け、窒素酸化物除去装置1の電圧印加手段8に電圧を印加した時に、窒素酸化物除去装置1を通過した後の排ガス中に含まれるNOxの濃度を測定した。
【0041】
そして、窒素酸化物除去装置1によって除去されたNOxの割合、すなわち、NOx除去率を以下の計算式で算出した。
NOx除去率(%)=100×(窒素酸化物除去装置を取り付ける前の排ガス中のNOx濃度−窒素酸化物除去装置の通過後の排ガス中のNOx濃度)/(窒素酸化物除去装置を取り付ける前の排ガス中のNOx濃度)
なお、活性種担持部3の作製に用いるゼオライトとして、SiO2/Al2O3モル比が2、50、500および2000の4種類を用い、それぞれ別々に試験を行なって、NOx除去率の比較を行なった。
【0042】
(試験結果)
図5に試験結果を示す。図5は横軸にSiO2/Al2O3モル比を、縦軸にNOx除去率(単位:%)をとり、SiO2/Al2O3モル比とNOx除去率との関係を示している。
【0043】
図5に示すように、活性種担持部3の作製に用いるゼオライトのSiO2/Al2O3モル比が大きくなる程、NOx除去率が高かった。SiO2/Al2O3モル比が2である場合には石油ファンヒータから排出される排ガス中のNOxの約42%しか除去されなかったが、SiO2/Al2O3モル比が50である場合にはNOxの約67%が、モル比が500である場合にはNOxの約74%が、モル比が2000である場合にはNOxの約87%が除去された。
【0044】
また、上記の試験において、オゾン分解部4を通過後の排ガスに含まれるオゾンの濃度を測定したところ0.01ppm以下であった。すなわち、電界発生部が生成したオゾンは、オゾン分解部4を通過する際にほぼ確実に分解されていることがわかった。
【0045】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0046】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、装置構成が簡易であり、居住空間の空気を汚染することなくNOxを除去することができる窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒素酸化物除去装置の模式的な斜視図である。
【図2】本発明に用いられる電極の一例の模式的な斜視図である。
【図3】本発明に用いられる電界発生部の一例の模式的な概念図である。
【図4】本発明に用いられる電界発生部の他の例の模式的な概念図である。
【図5】実施例におけるSiO2/Al2O3モル比とNOx除去率との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 窒素酸化物除去装置、2 電極、3 活性種担持部、4 オゾン分解部、5 絶縁体板、6 金属板、7 電界発生部、8 電圧印加手段、9 ケース。
Claims (11)
- 間隔をあけて互いに対向するように配置された複数の平板状の電極とこれらの電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とからなる電界発生部と、電極間に生成した活性種を担持する活性種担持部とを備えた窒素酸化物除去装置。
- 活性種担持部が電界発生部のガス下流側に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去装置。
- 活性種担持部はゼオライトを含むフィルタからなることを特徴とする請求項1または2に記載の窒素酸化物除去装置。
- ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比が50〜50000であることを特徴とする請求項3に記載の窒素酸化物除去装置。
- 電極が絶縁体板上に金属板を設置することにより形成されており、互いに対向している電極の対向面の一方が絶縁体板面となるように電極が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の窒素酸化物除去装置。
- 電極が2枚の絶縁体板の間に金属板を挟み込むことにより形成されており、互いに対向している電極の対向面の双方が絶縁体板面となるように電極が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の窒素酸化物除去装置。
- 絶縁体板が金属板よりも大きく、金属板の周縁が絶縁体板の周縁から後退させられていることを特徴とする請求項5または6に記載の窒素酸化物除去装置。
- 電圧印加手段は、電極間に交流電圧を印加するものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の窒素酸化物除去装置。
- 活性種担持部のガス下流側に、オゾンを分解するオゾン分解部が設置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の窒素酸化物除去装置。
- オゾン分解部は酸化マンガンを含むフィルタであることを特徴とする請求項9に記載の窒素酸化物除去装置。
- 請求項1から10のいずれかに記載の窒素酸化物除去装置を備えたことを特徴とする燃焼機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002329654A JP2004160363A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002329654A JP2004160363A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004160363A true JP2004160363A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32807590
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002329654A Withdrawn JP2004160363A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004160363A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005027593A1 (ja) * | 2003-09-12 | 2005-03-24 | Ngk Insulators, Ltd. | プラズマ発生電極及びプラズマ反応器 |
US7763206B2 (en) | 2004-06-30 | 2010-07-27 | Tri-Air Developments Limited | Air decontamination method |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002329654A patent/JP2004160363A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005027593A1 (ja) * | 2003-09-12 | 2005-03-24 | Ngk Insulators, Ltd. | プラズマ発生電極及びプラズマ反応器 |
US7589296B2 (en) | 2003-09-12 | 2009-09-15 | Ngk Insulators, Ltd. | Plasma generating electrode and plasma reactor |
US7763206B2 (en) | 2004-06-30 | 2010-07-27 | Tri-Air Developments Limited | Air decontamination method |
US8398923B2 (en) | 2004-06-30 | 2013-03-19 | Tri-Air Developments Limited | Air decontamination device |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100625425B1 (ko) | 방전장치 및 공기정화장치 | |
CN105864908A (zh) | 一种多级等离子体空气净化器 | |
JPWO2004112940A1 (ja) | 酸化触媒と低温プラズマとを利用する気体処理方法及び気体処理装置 | |
JP4718344B2 (ja) | 空気浄化装置およびそれを用いた空気浄化方法 | |
JP2009202137A (ja) | 空気処理装置 | |
WO2005021160A1 (ja) | ガス処理装置 | |
US20070053805A1 (en) | Gas decomposition apparatus | |
JP2009270560A (ja) | 排気ガス浄化装置 | |
RU94669U1 (ru) | Устройство для санитарно-гигиенической обработки воздуха | |
WO2013143080A1 (zh) | 一种空气净化装置及等离子发生器 | |
AU759432B2 (en) | Air purification device | |
JPH08266854A (ja) | 消臭装置 | |
CN108043182B (zh) | 一种采用多介质阻挡的放电基本单元及反应器及废气处理方法 | |
JP3632579B2 (ja) | 空気浄化装置 | |
KR100543529B1 (ko) | 공기정화시스템 및 정화방법 | |
US20060119278A1 (en) | Gas decomposition apparatus and gas treatment cartridge | |
JP2001179040A (ja) | ガス分解装置 | |
JP2004160363A (ja) | 窒素酸化物除去装置およびこれを備えた燃焼機器 | |
JP2004008517A (ja) | 空気浄化装置 | |
JP2004290882A (ja) | 空気浄化フィルタ及び空気浄化装置 | |
JP2004353491A (ja) | 排ガス浄化装置 | |
JP2001314730A (ja) | NOxの低減化方法および装置 | |
JP2002213228A (ja) | 内燃機関の排気浄化装置 | |
JP2001157816A (ja) | 排ガス処理装置 | |
JPH02251226A (ja) | 空気清浄器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060207 |