JP2004160302A - 実験室用粉砕機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下端に一の磁石1を配した棒状のピストン2と、このピストン2の運動をピストン2の長手方向のみに規制しながらピストン2を保持するピストン容器3と、ピストン容器3の下方に設けられ、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させるピストンドライバー4とを備え、この周期的に働く斥力で一の磁石1を配したピストン2を周期的に上下運動させることにより、ピストン容器3の底部3bとピストン2の下端との間にある固体物質8を粉砕する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の実験室において少量の固体物質を粉砕するために採用される実験室用粉砕機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種の実験室において少量の固体物質を粉砕するために採用される実験室用粉砕機としては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示された技術のように、乳鉢などの容器と、棒状の乳棒と、乳鉢の側方に設けられ、乳棒を支える支持構造と、乳棒を駆動させるための駆動装置とを備え、乳棒を機械的に運動させることにより、容器の底部と乳棒の下端との間にある固体物質を粉砕するものが一般的である。また、その他、高速で回転する回転刃を備え、固体物質に回転刃を衝突させて粉砕するものなどが使用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−301056
【特許文献2】
特開平6−320041
【特許文献3】
特開平10−230446
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献に開示された実験室用粉砕機では、乳棒を機械的に駆動していたので、構造が複雑になったり、装置が大型化して高価なものになっていた。
【0005】
また、オープンエアーの状態では試料が飛散したり、飛散した試料の粉塵で使用場所の環境を損なう場合があるため、粉砕部を密封しなければならないが、このようにピストンを機械的に駆動する装置では、ピストンや駆動部をシールすることが困難であり粉砕部を効果的に密封できないという不具合があった。
【0006】
さらに、このような一般の実験室用粉砕機では、粉砕された微細粉が粗い未粉砕の固体物質と共存した状態になってしまい固体物質を効率良く粉砕することができないという不具合があった。
【0007】
その他、回転刃を固体物質に衝突させて粉砕するものは、高速で回転する回転刃で手などを傷つける恐れがあるなど、安全上問題があると言わざるを得なかった。
【0008】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、構造が簡単でコンパクトかつ安価であるとともに、粉砕部を容易に密封することが可能で、固体物質を微粒子に効率良く粉砕することができる安全な実験室用粉砕機を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、長手方向が略垂直になるように設けられ、下端に一の磁石を配した棒状のピストンと、このピストンの運動をピストンの長手方向のみに規制しながらピストンを保持するピストン容器と、ピストン容器の下方に設けられ、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させるピストンドライバーとを備え、この周期的に働く斥力で一の磁石を配したピストンを周期的に上下運動させることにより、ピストン容器の底部とピストンの下端との間にある固体物質を粉砕することを特徴とする実験室用粉砕機である(請求項1)。
【0010】
本発明によれば、ピストンを周期的に上下運動させてピストン容器の底部とピストンの下端との間にある固体物質を粉砕するにあたり、ピストン容器の下方に設けられたピストンドライバーで駆動磁場を発生させてピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くようにするので、ピストンを機械的に駆動することがない結果、構造が簡素化され、装置をコンパクトなものにすることができる。また、ピストンの上下運動で粉砕するので実験者にとって安全である。
【0011】
次に、上記ピストンドライバーは、ピストン下端に配された上記一の磁石に対して斥力を働かせる他の磁石と、この他の磁石の姿勢を周期的に変更可能な駆動手段とを備え、この駆動手段が前記他の磁石の姿勢を周期的に変更することにより、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることが好ましい(請求項2)。
【0012】
この好ましい態様によれば、駆動手段が他の磁石の姿勢を周期的に変更してピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることができるので、構造が簡単で、装置を安価なものにすることができる。
【0013】
また、上記駆動手段は、モーターを備え、このモーターを用いて上記他の磁石の磁極をモーターの軸から偏心した状態で回転させてこの他の磁石の姿勢を周期的に変更することにより、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることが好ましい(請求項3)。
【0014】
この好ましい態様によれば、モーターを用いて他の磁石の磁極をモーターの軸から偏心した状態で回転させるだけで、この他の磁石の姿勢を周期的に変更してピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることができるので、構造がより簡単で、装置をより安価なものにすることができる。
【0015】
さらに、上記ピストンドライバーは、実験室用マグネチックスターラにより、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることが好ましい(請求項4)。
【0016】
この好ましい態様によれば、ピストンドライバーとして既存あるいは既設の実験室用マグネチックスターラを採用することにより、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることができるので、新たに専用の装置を開発する必要がない結果、装置をより安価なものにすることができる。
【0017】
また、上記ピストン容器は、ピストン容器を密封して微細粒子がピストン容器の外に漏出することを防止する蓋部を備えることが好ましい(請求項5)。
【0018】
この好ましい態様によれば、蓋部がピストン容器を密封して微細粒子がピストン容器の外に漏出することを防止するので、試料の損失がなく、また試料の粉塵で使用場所の環境を損なうことがない。
【0019】
また、上記ピストン容器は、ピストン容器の底部の上方に連なり、ピストンの運動をピストンの長手方向のみに規制するピストン規制部と、ピストン規制部の上方に連なり、ピストンの下降に伴ってピストン規制部の内壁とピストン外壁との間を上昇する気流に随伴される微細粒子を捕捉可能とするように拡径された内壁を有する微細粒子捕捉部とを備えることが好ましい(請求項6)。
【0020】
この好ましい態様によれば、ピストン容器が、ピストンの下降に伴ってピストン規制部の内壁とピストン外壁との間を上昇する気流に随伴される微細粒子を捕捉可能とする微細粒子捕捉部を備えているので、粉砕後の微細な粒子のみを上昇する気流に随伴させて分離捕集することができる。
【0021】
また、別の好ましい態様は、上記ピストン容器は、ピストン容器の底部に連なり、ピストンの運動をピストンの長手方向のみに規制するピストン規制部と、ピストン規制部に連なり、ピストンの下降に伴ってピストン規制部の内壁とピストン外壁との間を上昇する気流に随伴する微細粒子をピストン規制部の内壁とピストン外壁との間に還流可能とするように勾配が設けられた微細粒子還流部とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の実験室用粉砕機である(請求項7)。
【0022】
この別の好ましい態様によれば、微細粒子を還流可能とするように勾配が設けられた微細粒子還流部を備えているので、ピストンの上昇に伴ってピストン規制部の内壁とピストン外壁との間を下降する気流に随伴させて粉砕後の微細な粒子を還流させ再度粉砕することにより、さらに微粒子に粉砕することができる。
【0023】
そして、上記ピストン容器は、ピストン容器内に気体を供給する気体供給孔と、供給された気体とこの供給された気体に随伴される浮遊粒子を排出する気体排出孔とを備えたことが好ましい。
【0024】
この別の好ましい態様によれば、ピストン容器が、気体供給孔と、気体排出孔とを備えているので、供給された気体に粉砕後の微細粒子を随伴させ、浮遊粒子として気体排出孔から排出してこれを分離捕集することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。図1は本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機10の構成を示す概念図である。また、図2は本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機10の部分図であり、(a)はピストン容器3の平面図である。また、(b)は、ピストン容器3の断面図であり、(c)は、ピストン2の断面図である。また、(d)は、装入チューブ5の側面図である。
【0026】
図1〜図2を参照して、図示の本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機10は、長手方向が略垂直になるように設けられ、下端に一の磁石1を配した棒状のピストン2と、このピストン2の運動をピストン2の長手方向のみに規制しながらピストン2を保持するピストン容器3と、ピストン容器3の下方に設けられ、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させるピストンドライバー4とを備えている。
【0027】
上記一の磁石1は、ピストン2を磁気的に駆動して構造を簡素化させ、装置をコンパクトなものにするために、ピストン2の下端に磁極を下方に向けて設けられるものであり、希土類系の永久磁石が採用され、この磁石1に対して周期的に働く斥力で一の磁石1を配したピストン2を上方向に変位させるようになっている。
【0028】
上記ピストン2は、図2(c)にも示すように、第一の実施の形態においては、温度計の保護管などに用いられる円筒形試験管状の有底のセラミック管が採用されており、上記一の磁石1を必要な数量だけ重ねて合成樹脂系の接着剤などの充填材で最下端に固定している。
【0029】
上記ピストン容器3は、図2(a)、(b)にも示すように、実験室用の乳鉢などに用いられるジリコニウム、アルミナなどのセラミック質の容器であり、第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機10においては、ピストン2を4本収容することができるように、上方開口の有底孔に形成されたピストン規制部3aを4個有している。そして、第一の実施の形態においては、粉砕した微細粒子の取り扱いを容易にするために、図2(d)に示す合成樹脂性の装入チューブ5をピストン規制部3aとピストン2との間に装入した状態で固体物質8を粉砕することが可能なようになっている。
【0030】
上記ピストンドライバー4は、ピストン2の下端に配された上記一の磁石1に対して斥力を働かせる他の磁石6と、この他の磁石6の姿勢を周期的に変更可能な駆動手段7とを備え、この駆動手段7が前記他の磁石6の姿勢を周期的に変更することにより、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させるように構成されている。そして、この周期的に働く斥力で一の磁石1を配したピストン2を周期的に上下運動させることにより、ピストン容器3の底部3bとピストン2の下端との間にある固体物質8を粉砕するように構成されている。
【0031】
上記他の磁石6は、上記一の磁石1同様、希土類系の永久磁石が採用され、一の磁石1に対して斥力を働かせることができるように、一の磁石1の下端の磁極1aと同一の磁極6aを上端に配置して、同一の磁極同士が相対向するようにしている。
【0032】
上記駆動手段7は、モーター7aと水平回転盤7bとを備え、上記他の磁石6を水平回転盤7bの上面周辺部に配置し、磁極6aをモーター7aの軸から偏心した状態で回転させてこの他の磁石6の姿勢を周期的に変更することにより、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させている。
【0033】
次に図1を参照して、本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機10の作用について説明する。
【0034】
図1を参照して、本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機10においては、図示のように、下端に一の磁石1を配した棒状のピストン2の運動をピストン2の長手方向のみに規制しながらピストン容器3にピストン2を保持する。
【0035】
次に、図示しないが、必要に応じて図2(d)に示す合成樹脂性の装入チューブ5をピストン規制部3aとピストン2との間に装入する。
【0036】
また、ピストンドライバー4の駆動手段7のモーター7aにより、水平回転盤7bを回転させて、水平回転盤7bの上面周辺部に配置された他の磁石6の磁極6aがモーター7aの軸から偏心した状態で回転するようにする。これにより、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることができる。
【0037】
そして、この周期的に働く斥力で一の磁石1を配したピストン2を周期的に上下運動させることにより、ピストン容器3の底部3bとピストン2の下端との間にある固体物質8を粉砕する。
【0038】
ここで、ピストンドライバー4の駆動回転数を増加させ、ピストン2の上下運動を例えば1000往復/分程度にするとそれだけピストン2の振幅が小さくなり、固体物質を微細粒子に微粉砕することができる。また、逆に、ピストンドライバー4の駆動回転数を減少させ、ピストン2の上下運動を例えば100往復/分程度にするとピストン2の振幅が大きくなり、固体物質を粗粒子に粉砕することができるなど、製品の粒度を調整することも可能である。
【0039】
以上説明したように、本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機10によれば、ピストン2を周期的に上下運動させてピストン容器3の底部3bとピストン2の下端との間にある固体物質8を粉砕するにあたり、ピストン容器3の下方に設けられたピストンドライバー4で駆動磁場を発生させてピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くようにするので、ピストン2を機械的に駆動することがない結果、構造が簡素化され、装置をコンパクトなものにすることができる。また、ピストン2の上下運動で粉砕するので実験者にとって安全である。
【0040】
また、駆動手段7が他の磁石6の姿勢を周期的に変更してピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることができるので、構造が簡単で、装置を安価なものにすることができる。
【0041】
また、モーター7aを用いて他の磁石6の磁極をモーター7aの軸から偏心した状態で回転させるだけで、この他の磁石6の姿勢を周期的に変更してピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることができるので、構造がより簡単で、装置をより安価なものにすることができる。
【0042】
次に図3、図4を参照しながら本発明の第二の実施の形態について詳述する。
図3は本発明の第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機20の蓋部21、ピストン2およびピストン容器3の構成を示す分解断面図であり、図4は本発明の第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機20の作用を示す概念図である。
【0043】
以下、第二の実施の形態の説明にあたっては、第一の実施の形態と重複する部分については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳述するものとする。
【0044】
図3を参照して、第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機20においては、上記ピストン容器3は、ピストン2を1本のみ収容することができるように、設計変更されている。
【0045】
また、第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機20は、試料の損失を防止するとともに、試料の粉塵で使用場所の環境を損なうことがないようにするために、ピストン容器3を密封して微細粒子がピストン容器3の外に漏出することを防止する蓋部21を備えている。
【0046】
上記蓋部21は、半球ドーム状の構造であり、上方から被せるようにしてピストン容器3に取り付けられる。また、透明合成樹脂製で形成されているので、外部からピストン2の動きやピストン2の周辺の微細粒子の状態が確認できるようになっている。
【0047】
次に、上記ピストン容器3は、ピストン容器3の底部3bの上方に連なり、ピストン2の運動をピストン2の長手方向のみに規制するピストン規制部3aと、ピストン規制部3aの上方に連なり、ピストン2の下降に伴ってピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を上昇する気流に随伴される微細粒子を捕捉可能とするように拡径された内壁3dを有する微細粒子捕捉部22とを備えている。
【0048】
上記微細粒子捕捉部22は、ピストン規制部3aの上方にテラス状に設けられた概ね水平な面上の部分であり、ピストン2の下降に伴ってピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を上昇する気流に随伴されて上方に移動した微細粒子を沈降させることにより、この微細粒子を捕捉部22に捕捉する。
【0049】
また、一の磁石1は、第二の実施の形態においては上面に鉄板の積層1bを配置することにより下方に磁力線を集中させてこの一の磁石1に対して働く斥力をより大きなものにしている。
【0050】
さらに、ピストン2の上端には、取手2aが設けられ、ピストン2のピストン容器3に対する着脱をより容易にしている。
【0051】
そして、図示しないが、ピストンドライバー4は、既存あるいは既設の装置を利用して、新たに専用の装置を開発する必要がないようにして、装置をより安価なものにすることができるようにするために、第二の実施の形態では、市場で容易に入手することができる実験室用マグネチックスターラを採用して、これにより、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させる。
【0052】
次に図4を参照して、本発明の第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機20の作用について説明する。
【0053】
図4を参照して、本発明の第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機20においては、固体物質8の粉砕にあたって、固体物質8とピストン2とをピストン容器3に収容した後、蓋部21をピストン容器3に装着してピストン容器3を密封する。
【0054】
次に、実験室用マグネチックスターラからなるピストンドライバー4により駆動磁場を発生させることにより、ピストン2を周期的に上下運動させて固体物質8を粉砕する。この時、ピストン2の下降に伴ってピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を上昇する気流に随伴されて微細粒子が上方に移動し、この上方に移動した微細粒子は、拡径された微細粒子捕捉部22において、沈降することにより捕捉される。
【0055】
このように、第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機20によれば、蓋部21がピストン容器3を密封して微細粒子がピストン容器3の外に漏出することを防止するので、試料の損失がなく、また試料の粉塵で使用場所の環境を損なうことがない。
【0056】
また、ピストン容器3が、ピストン2の下降に伴ってピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を上昇する気流に随伴される微細粒子を捕捉可能とする微細粒子捕捉部22を備えているので、粉砕後の微細な粒子のみを上昇する気流に随伴させて分離捕集することができる。
【0057】
そして、ピストンドライバー4として既存あるいは既設の実験室用マグネチックスターラを採用することにより、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることができるので、新たに専用の装置を開発する必要がない結果、装置をより安価なものにすることができる。
【0058】
次に図5、図6を参照しながら本発明の第三の実施の形態について詳述する。
図5は本発明の第三の実施の形態に係る実験室用粉砕機30の蓋部21、ピストン2およびピストン容器3の構成を示す分解断面図であり、図6は本発明の第三の実施の形態に係る実験室用粉砕機20の作用を示す概念図である。
【0059】
以下、第三の実施の形態の説明にあたっては、第一、第二の実施の形態と重複する部分については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳述するものとする。
【0060】
図5を参照して、図示の本発明の第三の実施の形態に係る実験室用粉砕機30においては、上記ピストン容器3は、ピストン2の下降に伴ってピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を上昇する気流に随伴する微細粒子をピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間に還流可能とするように勾配が設けられた微細粒子還流部31を備えている。
【0061】
そして、図6を参照して、第三の実施の形態に係る実験室用粉砕機30の作用を説明すると、ピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を上昇する気流に随伴されて上方に移動する微細粒子は、微細粒子還流部31において、沈降するが、この時、微細粒子還流部31に勾配が設けられているので、下方に堆積し、今度はピストン2の上昇に伴って下降する気流に随伴されて下方に移動する。そして、再びピストン容器3の底部3bに還流されて、ここでさらに微粉砕される。
【0062】
このように、本発明の第三の実施の形態に係る実験室用粉砕機30によれば、勾配が設けられた微細粒子還流部31を備えているので、ピストン2の上昇に伴ってピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を下降する気流に随伴させて粉砕後の微細な粒子を還流させ再度、微粒子に粉砕することができる。
【0063】
次に図7を参照しながら本発明の第四の実施の形態について詳述する。図7は本発明の第四の実施の形態に係る実験室用粉砕機40の蓋部21、ピストン2およびピストン容器3の構成を示す分解断面図である。
【0064】
図7を参照して、図示の本発明の第四の実施の形態に係る実験室用粉砕機40においては、ピストン容器3は、粉砕後の微細粒子を供給された気体に随伴させて、浮遊粒子として分離捕集することができるようにするために、ピストン容器3内に気体を供給する気体供給孔41と、供給された気体とこの供給された気体に随伴される浮遊粒子を排出する気体排出孔42とを蓋部21に備えている。
【0065】
また、蓋部21とピストン容器3との間には、気密性を向上させるための弾性部材3eが配されている。
【0066】
そして、本発明の第四の実施の形態に係る実験室用粉砕機40の作用を説明すると、実験室用粉砕機40においては、固体物質8が粉砕される際に、底部3bに還流されて微粉砕されることを繰返している微細粒子が、気体供給孔41から供給された気体に随伴されて浮遊粒子となり、気体排出孔42から排出されて図略の微細粒子捕集手段に到達し、ここで捕捉されることとなる。
【0067】
このように、本発明の第四の実施の形態に係る実験室用粉砕機40によれば、ピストン容器3が、気体供給孔41と、気体排出孔42とを備えているので、供給された気体に粉砕後の微細粒子を随伴させ、浮遊粒子として気体排出孔42から排出してこれを分離捕集することができる。
【0068】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0069】
例えば、上記一の磁石1と上記他の磁石6とは、必ずしも希土類系の永久磁石に限定されない。磁石の材質、仕様については種々の設計変更が可能である。また、第二〜第四の実施形態のように上面に鉄板の積層を配置することにより下方に磁力線を集中させてこの一の磁石1に対して働く斥力をより大きなものにするなど、ピストン2を磁気的に駆動することができるものであれば、任意に設計変更することが可能である。
【0070】
次に、上記ピストン2も、必ずしも円筒形試験管状の有底のセラミック管に限定されない。上記一の磁石1を必要な数量だけ重ねて最下端に固定することが可能なものであれば、種々の設計変更が可能である。
【0071】
また、上記ピストン容器3も、ピストン2の収容本数やピストン規制部3aの数量については、任意であり、必ずしもジリコニウム、アルミナなどのセラミック質の容器に限定されない。めのう、テフロン、その他プラスチック類も採用可能である。さらに、装入チューブ5を採用するかどうかも任意である。
【0072】
上記ピストンドライバー4も、必ずしも図示のように、モーター7aと水平回転盤7bとを備え、他の磁石6を水平回転盤7bの上面周辺部に配置したものに限定されない。モーター7aの回転軸を水平にし、他の磁石6を垂直回転盤の周辺部に配置して姿勢を周期的に変更するものでも採用可能である。
【0073】
また、第二〜第四の実施形態において市場で容易に入手することができる実験室用マグネチックスターラを採用したように、ピストン2の下端に配された一の磁石1に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させるように構成されているものであれば、種々の設計変更が可能である。
【0074】
上記蓋部21も、透明合成樹脂製の半球ドーム状に限定されない。材質は任意である。
【0075】
さらに、微細粒子捕捉部22も、必ずしも図示のようにピストン規制部3aの上方に設けられた概ね水平な面に限定されない。外側に向かって下方に勾配を有するなど、ピストン2の下降に伴ってピストン規制部3aの内壁3cとピストン外壁2bとの間を上昇する気流に随伴される微細粒子を捕捉可能とする形状であれば種々の設計変更が可能である。
【0076】
そして、気体供給孔41と、供給された気体に随伴させて浮遊粒子を排出する気体排出孔42とは必ずしも図示のように、蓋部21に設けられる必要はなく、例えばピストン容器3の微細粒子還流部31に直接設けられていてもよいなど、種々の設計変更が可能である。
【0077】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ピストンを機械的に駆動することなく、磁場の力で駆動することができるので、構造が簡単でコンパクトかつ安価であるとともに、安全であり、さらに粉砕部を容易に密封することが可能で、かつ固体物質8を微粒子に効率良く粉砕することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機の構成を示す概念図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機の構成品の説明図であり、(a)は本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機のピストン容器の平面図である。また、(b)は、本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機のピストン容器3の断面図であり、(c)は、本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機のピストン2の断面図である。また、(d)は、本発明の第一の実施の形態に係る実験室用粉砕機の装入チューブの側面図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機の蓋部、ピストンおよびピストン容器の構成を示す分解断面図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態に係る実験室用粉砕機の作用を示す概念図である。
【図5】本発明の第三の実施の形態に係る実験室用粉砕機の蓋部、ピストンおよびピストン容器の構成を示す分解断面図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態に係る実験室用粉砕機の作用を示す概念図である。
【図7】本発明の第四の実施の形態に係る実験室用粉砕機の蓋部、ピストンおよびピストン容器の構成を示す分解断面図である。
【符号の説明】
1 一の磁石
2 ピストン
3 ピストン容器
7 ピストンドライバー
3b 底部
8 固体物質
10 実験室用粉砕機
6 他の磁石
7 駆動手段
7a モーター
1a、6a 磁極
21 蓋部
3a ピストン規制部
3c、3d 内壁
2b ピストン外壁
22 微細粒子捕捉部
31 微細粒子還流部
41 気体供給孔
42 気体排出孔
Claims (8)
- 長手方向が略垂直になるように設けられ、下端に一の磁石を配した棒状のピストンと、
このピストンの運動をピストンの長手方向のみに規制しながらピストンを保持するピストン容器と、
ピストン容器の下方に設けられ、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させるピストンドライバーとを備え、
この周期的に働く斥力で一の磁石を配したピストンを周期的に上下運動させることにより、ピストン容器の底部とピストンの下端との間にある固体物質を粉砕することを特徴とする実験室用粉砕機。 - 上記ピストンドライバーは、ピストン下端に配された上記一の磁石に対して斥力を働かせる他の磁石と、
この他の磁石の姿勢を周期的に変更可能な駆動手段とを備え、
この駆動手段が前記他の磁石の姿勢を周期的に変更することにより、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることを特徴とする請求項1記載の実験室用粉砕機。 - 上記駆動手段は、モーターを備え、このモーターを用いて上記他の磁石の磁極をモーターの軸から偏心した状態で回転させてこの他の磁石の姿勢を周期的に変更することにより、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることを特徴とする請求項2記載の実験室用粉砕機。
- 上記ピストンドライバーは、実験室用マグネチックスターラにより、ピストン下端に配された一の磁石に対して周期的に斥力が働くように駆動磁場を発生させることを特徴とする請求項1記載の実験室用粉砕機。
- 上記ピストン容器は、ピストン容器を密封して微細粒子がピストン容器の外に漏出することを防止する蓋部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の実験室用粉砕機。
- 上記ピストン容器は、ピストン容器の底部の上方に連なり、ピストンの運動をピストンの長手方向のみに規制するピストン規制部と、
ピストン規制部の上方に連なり、ピストンの下降に伴ってピストン規制部の内壁とピストン外壁との間を上昇する気流に随伴される微細粒子を捕捉可能とするように拡径された内壁を有する微細粒子捕捉部とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の実験室用粉砕機。 - 上記ピストン容器は、ピストン容器の底部に連なり、ピストンの運動をピストンの長手方向のみに規制するピストン規制部と、
ピストン規制部に連なり、ピストンの下降に伴ってピストン規制部の内壁とピストン外壁との間を上昇する気流に随伴する微細粒子をピストン規制部の内壁とピストン外壁との間に還流可能とするように勾配が設けられた微細粒子還流部とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の実験室用粉砕機。 - 上記ピストン容器は、ピストン容器内に気体を供給する気体供給孔と、
供給された気体とこの供給された気体に随伴される浮遊粒子を排出する気体排出孔とを備えたことを特徴とする請求項7に記載の実験室用粉砕機。
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