JP2004158849A - アクチュエータ及びその製造方法並びに印刷ヘッド - Google Patents

アクチュエータ及びその製造方法並びに印刷ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】組成バラツキのない圧電磁器からなる100μm以下のアクチュエータとその製造方法を提供し、また、それを用いたインクジェット印刷ヘッドを提供する。
【解決手段】基板2の表面に、圧電セラミック層4と該圧電セラミック層4を挟持する一対の電極5、6からなる変位素子7が設けられ、全体の厚みが100μm以下のアクチュエータ1において、前記圧電セラミック層4と前記基板2が、少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とし、且つ前記圧電セラミック層4の表面と前記基板2の内部とにおける組成比Pb/(Ti+Zr)の最大差が0.02以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、Pb、Zr及びTiを含む圧電セラミック層を主成分とする薄層の焼結体からなるアクチュエータ及びその製造方法、並びに文字や画像の印刷に用いるインクジェット記録装置に好適に用いられる印刷ヘッドに関する。
近年、パーソナルコンピューターの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置として、インクジェット方式の記録装置の利用が急速に拡大している。
かかるインクジェット方式の記録装置には、印刷ヘッドが搭載されており、この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、ヒーターによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、インク流として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔よりインク流として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
圧電方式を利用したインクジェット記録装置に用いられる印刷ヘッドは、例えば図3(a)に示したように、複数の溝がインク流路23aとして並設され、各インク流路23aを仕切る壁として隔壁23bを形成した流路部材23の上に、アクチュエータが設けられた構造を有する。
即ち、圧電セラミック層24の一方の主面に共通電極25を形成するとともに、他方の主面に複数の個別電極26を形成し、複数の変位素子27が設けられてなるアクチュエータが、流路部材23の開口部であるインク流路23aの直上に個別電極26を配置するように、アクチュエータと流路部材23とを接着する。
共通電極25と個別電極26との間に電圧を印加して変位素子27を振動させることによりインク流路23a内のインクを加圧し、流路部材23の底面に開口させたインク吐出孔28よりインク滴を吐出するような構造になっている。
また、図3(b)に示すように、圧電セラミック層24上に個別電極26を等ピッチで多数並設し、変位素子27を多数設けた印刷ヘッドを構成して各変位素子27を独立して制御することにより、インクジェットプリンタの高速化及び高精度化に寄与することが可能である。
特開平10−151739号公報
しかしながら、このようなアクチュエータをインクジェットプリンタの印刷ヘッドとして用いる場合はアクチュエータの変位バラツキを抑制することが重要であるが、焼結体を圧電セラミック層として用いた場合、特性バラツキが大きいことから、変位バラツキが大きくなり、その結果インクの吐出にバラツキが生じるため、記録される文字や画像にバラツキや鮮明度が悪くなり、さらに高速印刷が出来なくなるという問題があった。
また、変位素子7はアクチュエータとして十分に大きな変位を得るために、アクチュエータの厚みを100μm以下にする必要があるが、Pbを含む圧電焼結体からなる圧電セラミック層は、焼成時にPbが蒸発し、得られた焼結体の組成がバラツキ、その結果アクチュエータの特性バラツキを抑制することが十分ではないという問題があった。
さらに、100μm以下のアクチュエータを得るために、焼結によって得られた厚い圧電磁器からPbが蒸発した表面部を除去し、内部の均一な組成を利用しようとしても、100μm以下の薄い磁器に研削することは実際には困難であり、組成バラツキの無い薄層の磁器からなるアクチュエータの作製は困難であった。
本発明は、組成バラツキのない圧電磁器からなる100μm以下のアクチュエータ及びその製造方法並びに印刷ヘッドを提供することを目的とする。
本発明のアクチュエータは、基板の表面に、圧電セラミック層と該圧電セラミック層を挟持する一対の電極からなる変位素子が設けられ、全体の厚みが100μm以下のアクチュエータにおいて、前記圧電セラミック層と前記基板が、少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とし、且つ前記圧電セラミック層の表面と前記基板の内部とにおける組成比Pb/(Ti+Zr)の最大差が0.02以下であることを特徴とする。
特に、前記変位素子が、前記基板の表面に複数設けられていることが好ましい。
また、前記基板及び前記圧電セラミック層の気孔率が1%以下であることが好ましい。
本発明のアクチュエータの製造方法は、少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とするグリーンシートを積層して内部及び表面に電極を設けた積層体を作製し、該積層体を多孔質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納し、高濃度酸素雰囲気で焼成するアクチュエータの製造方法において、前記グリーンシートに含まれるPb量が、前記ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当するPb量よりも多いことを特徴とする。
特に、前記ペロブスカイト型結晶のAサイトとBサイトのモル比A/Bが1.01〜1.05であることを特徴とする請求項4記載のアクチュエータの製造方法。
本発明の他のアクチュエータの製造方法は、少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とするグリーンシートを積層して内部及び表面に電極を設けた積層体を作製し、該積層体を緻密質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納し、高濃度酸素雰囲気で焼成するアクチュエータの製造方法において、前記ペロブスカイト型結晶のAサイトとBサイトのモル比A/Bが0.99〜1.04であることを特徴とする。
また、前記グリーンシートの密度が4.2g/cm以上であることが好ましい。
また、前記積層体を900℃〜1100℃で焼成することが好ましい。
また、前記高濃度酸素雰囲気が、酸素を98%以上含むことが好ましい。
本発明の印刷ヘッドは、流路部材と、該流路部材の上に設けられた上記のアクチュエータとを具備し、前記アクチュエータを構成する前記変位素子の変位によって前記流路部材に設けられたインク流路に充填されたインクを吐出させることを特徴とする。
本発明は、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とする圧電体を用いたアクチュエータにおいて、Pb/(Ti+Zr)比を制御することによって、表面から厚み方向に発生する組成バラツキを大幅に低減できるという知見に基づき、その結果、特性バラツキの小さなアクチュエータを実現したものであり、その結果、アクチュエータの変位バラツキを低減でき、これをインクジェット用の印刷ヘッドに用いることによって、記録される文字や画像にバラツキがなく、鮮明度の高い高速印字の可能な印刷ヘッドを提供できる。
また、前記変位素子が、前記基板の表面に複数設けられているため、より高速でより精密な印刷に対応できる印刷ヘッドに応用することができる。
さらに、前記基板及び前記圧電セラミック層の気孔率が1%以下であるため、磁器へのインク染み込みによる不良を抑制できる。
本発明のアクチュエータの製造方法は、積層体を多孔質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納して焼成する場合、グリーンシートに含まれるPb量が、前記ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当するPb量よりも多くすることにより、本発明のアクチュエータを作製することができる。
特に、グリーンシート中のペロブスカイト型結晶のAサイトとBサイトのモル比A/Bが1.01〜1.05であるため、組成バラツキを効果的に抑制し、特性バラツキをさらに小さくすることが可能となる。
本発明の他のアクチュエータの製造方法は、AサイトとBサイトのモル比A/Bが0.99〜1.04のペロブスカイト型結晶からなる積層体を緻密質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納して焼成するため、本発明のアクチュエータを作製することができる。
また、前記グリーンシートの密度が4.2g/cm以上であることが好ましい。これにより、組成バラツキをより低減することが可能となる。
さらに、前記積層体を900℃〜1100℃で焼成することが好ましい。これにより、Pb蒸発を効果的に抑制できる。
さらにまた、前記高濃度酸素雰囲気が、酸素を98%以上含むことが好ましい。これにより、鉛酸化物の分解を抑制するため、アクチュエータとして特性バラツキをより小さくすることが可能となる。
また、本発明の印刷ヘッドは、流路部材と、該流路部材の上に設けられた上記のアクチュエータとを具備し、前記アクチュエータを構成する前記変位素子の変位によって前記流路部材に設けられたインク流路に充填されたインクを吐出させることを特徴とするものである。これによって、高速で高精度のインク吐出を実現できる。
本発明のアクチュエータは、例えば図1に示したように、基板2の表面に、圧電セラミック層4が共通電極5と個別電極6とで挟持されるように設けられた変位素子7が形成されてなり、アクチュエータ1の厚みがTで表わされている。
変位素子7を構成する圧電セラミック層4は、少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とすることが重要である。例えば、Aサイト構成元素としてPbを含有し、且つ、Bサイト構成元素としてZr及びTiを含有する結晶であり、このような組成にすることで、高い圧電定数を有する圧電セラミック層が得られる。
上記ペロブスカイト型結晶として、具体的に、PbZrTiOを例示できる。また、他の酸化物を混合しても良く、さらに、副成分として、特性に影響がない範囲であれば、Aサイト及び/又はBサイトに他元素が置換しても良い。例えば、副成分としてZn、Sb、Ni及びTeを添加し、Pb(Zn1/3Sb2/3)O及びPb(Ni1/2Te1/2)Oの固溶体であっても良い。
本発明によれば、上記ペロブスカイト型結晶におけるAサイト構成元素として、さらにアルカリ土類元素を含有することが望ましい。アルカリ土類元素としてはBa、Sr、Caなどが有り、特にBa、Srが高い変位を得られる点で好ましい。これにより、比誘電率が向上する結果、さらに高い圧電定数を示すことが可能となる。
具体的には、Pb1−x―ySrBa(Zn1/3Sb2/3(Ni1/2Te1/2Zr1−a−b−cTi+α質量%Pb1/2NbO(0≧x≧0.14、0≧y≧0.14、0.05≧a≧0.1、0.002≧b≧0.01、0.44≧c≧0.50、α=0.1〜1.0)で表される化合物を例示できる。
この他にもマグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、及びニッケルニオブ酸鉛(PNN系)等のPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を用いることができる。
本発明のアクチュエータ1は、圧電セラミック層4の表面のPb/(Ti+Zr)比と、基板2の内部のPb/(Ti+Zr)比との最大差が0.02以下に抑制することが重要である。この最大差が0.02よりも大きいと、表面部の組成のずれによって変位素子7の特性バラツキが発生する。
このように組成の制御されたアクチュエータを、圧電方式のインクジェットプリンタにおける印刷ヘッドとして応用した時に、インクの吐出バラツキを抑制することができ、印刷速度や鮮明さ等のプリンタ特性の向上に大きく寄与できる。
本発明によれば、個別電極6が単一であっても良いが、印刷速度及び印刷精度を高めるため、複数存在しているのが良い。
共通電極5、個別電極6の材質としては、導電性を有するものならば何れでも良く、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Alやそれらの合金などが用いられる。
また、電極5及、6の厚みとしては、導電性を有し且つ変位を妨げない程度である必要があり、0.5〜5μm、特に1〜3μm程度が好ましい。
本発明のアクチュエータ1の厚みTは100μm以下であることが大きな変位を得ることができ、アクチュエータ1としての特性を十分に発揮できる点で重要であり、特に80μm以下、更には65μm以下、より好適には50μm以下が好ましい。なお、アクチュエータ1の厚みTとは、基板2及び変位素子7の層厚みを示すものである。また、アクチュエータ1の厚みTの下限値は、十分な機械的強度を有し、取扱い及び作動中の破壊を防止するため、3μm、特に5μm、更には10μm、より好適には20μmであることが好ましい。
また、変位素子7は気孔率が1%以下、特に0.5%以下であることが好ましい。気孔率を低減させることによってアクチュエータ1の強度を高めるとともに、インクジェット印刷ヘッドとして用いる場合、磁器へのインクの染み込みによるインク漏れを効果的に抑制することが可能となる。
本発明のアクチュエータをインクジェットプリンタの印刷ヘッドとして用いる場合、圧電歪定数として、例えばd31モードを利用することができる。インクジェットプリンタの印刷ヘッドとして十分な吐出能力を発揮し、高速で精細な印刷を実現するために、d31が200pm/V以上、特に225pm/V以上、更には250pm/V以上であることが好ましい。
次に、本発明のアクチュエータの製造方法を、具体的にPbZrTiO系ペロブスカイト型結晶をインクジェットプリンタの印刷ヘッドに応用した場合を例として説明する。
先ず、原料粉末として、Pb、ZrO、TiO、BaCO、ZnO、SrCO、Sb、NiO、TeOを準備する。これらを、ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当する組成に調整し、混合する。特に、積層体を多孔質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納して焼成する場合、ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当するPb量よりも多く、特にモル比A/Bが1.01〜1.05になるように、また、積層体を緻密質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納して焼成する場合、モル比A/Bが0.99〜1.04、特に0.995〜1.01になるように調整することが、特性バラツキを低減してより優れた圧電特性を発現させる点で好ましい。
ここで、多孔質焼結体からなる焼成匣鉢を用いた場合、揮発成分であるPbが蒸発して匣鉢の外に排出されるため、焼結体中のPbはグリーンシート中のPb量よりも少なくなる。そのため、焼成匣鉢の内部又は外部にPbの蒸発源を設けておくと良い。
また、緻密質焼結体からなる焼成匣鉢を用いた場合、揮発成分であるPbが蒸発するが、匣鉢内で飽和し、グリーンシートからのPb蒸発量が抑制されるため、多孔質匣鉢を用いる時よりも少ないPb含有量で優れた特性を有するアクチュエータを得ることができる。
なお、多孔質焼結体とは、開気孔率が存在し、該開気孔を介してグリーンシート中の揮発成分が匣鉢の外に排出されることが可能なものであり、気孔率が約10体積%以上の焼結体を意味するものであり、十分に揮発成分の通気させるためには20〜40体積%の気孔率が望ましい。
また、緻密質焼結体とは、焼結体の一方の主面から、該主面に対向する他の主面に揮発成分が通過しない程度以上の緻密さを有し、具体的には気孔率が約8体積%以下の焼結体を意味するものであり、十分な気密性を有する為にはで、特に3%以下、更には1%以下
の気孔率が望ましい。
なお、モル比A/Bとは、Aサイトの全成分のモル数の和をBサイトの全成分のモル数の和で除したものであり、A/B比は化学量論のペロブスカイト型の酸化物では1であるのに対して、A/B比が1よりも多い場合には、AサイトがBサイトよりもモル比が多い状態となっており、また、A/B比が1よりも小さい場合には、AサイトよりもBサイトのモル比が多いことを意味する。
得られた混合粉末を、ロールコーター法、スリットコーターなどの一般的なテープ成形法により、圧電セラミック層と有機組成物からなるテープの成形を行い、グリーンシートを作製する。このグリーンシートには、Pbの含有量が、上記ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当するPb量よりも多いため、焼成後の磁器の組成バラツキを大幅に低減でき、本発明のアクチュエータを得るために重要である。
グリーンシートの一部には、その表面に共通電極及び個別電極を印刷法等により形成する。また、所望により、グリーンシートの一部にビアホールを形成し、その内部にビア導体を挿入する。
次いで、所望のグリーンシートを積層して積層体を作製し、さらに該グリーンシートと実質的に同一組成に有機組成物を加えた拘束シートを、上記積層体の両面若しくは片面に配置し、加圧密着を行う。
加圧密着後の積層体を、焼成炉の内部に配置し、高濃度酸素雰囲気下で焼成温度が900℃以上、特に940〜1100℃で焼成し、積層体中のPbの蒸発により組成が上記ペロブスカイト組成よりもPb不足になるのを防止することができ、その結果、組成比Pb/(Ti+Zr)比の最大差が0.02以下の圧電体磁器を得ることができる。
加圧密着後のグリーンシートの生密度は、4.2g/cm以上、特に4.5g/cm以上であることが、内部からのPb蒸発を低減するため、Pbの組成バラツキを更に容易に抑制することができ、好ましい。
また、焼成時の酸素雰囲気における酸素濃度は、98%以上、特に99%以上であることが好ましい。これによって、鉛酸化物の分解を抑制でき、よりPbの蒸発量を低減し、組成のバラツキを抑制する効果があり、アクチュエータとして変位バラツキをより小さくすることが可能となる。
このようにして作製したアクチュエータは、組成バラツキのない100μm以下の圧電磁器からなるアクチュエータを得ることができ、変位バラツキを10%以下に抑制することも容易であり、インクジェットプリンタの印刷ヘッドに用いるアクチュエータとして好適に利用することができる。
本発明の印刷ヘッドは、流路部材と、該流路部材の上に設けられた上記のアクチュエータとを具備し、前記アクチュエータを構成する前記変位素子の変位によって前記流路部材に設けられたインク流路に充填されたインクを吐出させるものである。
本発明の印刷ヘッドの一例を図2(a)を用いて説明する。複数の溝であるインク流路13aが隔壁13bによって仕切られた構造を有する流路部材13が、本発明のアクチュエータ11に接着されている。即ち、流路部材13の表面に、基板12が接着材によって接着され、基板12の上に複数の変位素子17が設けられている。そして、基板12の変位素子17に当接する部位が、流路部材13の開口部であるインク流路13aに重なるようにそれぞれ設けられている。
変位素子17は、圧電セラミック層14の一方の主面に共通電極15を、他方の主面に個別電極16を形成し、圧電セラミック層14を一対の電極15、16によって挟持された構造となっている。
また、変位素子17の共通電極15及び個別電極16は、外部の駆動回路に電気的に接続されており、駆動回路より共通電極15と個別電極16との間に電圧を印加すると、図2(b)に示したように、電圧が印加されて変位した変位素子17に対応するインク流路13a内のインクを加圧し、流路部材13の一端面に開口させたインク吐出孔18よりインク滴を吐出することができる。
なお、本発明の印刷ヘッドは、図3(b)に示したように、複数の変位素子が基板上に配列されており、個々の変位素子が独立に制御され、個々に変位が行なわれることは言うまでもない。
このような構成を採用することにより、高速で高精度なインク吐出を安定して行うことができ、鮮明な画像を高速で実現するプリンタに好適な印刷ヘッドを実現することができる。
原料粉末として高純度のPb、ZrO、TiO、BaCO、ZnO、SrCO、Sb、NiO、TeOの各原料粉末を、焼結体がPb1−x―ySrBa(Zn1/3Sb2/3(Ni1/2Te1/2Zr1−a−b−cTi(x=0.04、y=0.02、a=0.075、b=0.005、c=0.4.2)で表される組成となるように、所定量秤量し、さらに、この組成に対して表1に示す量比の過剰Pbを添加した。
上記の調製された粉体を、ボールミルにより湿式で20時間混合し、しかる後に、この混合物を脱水、乾燥した。その後、900℃で3時間仮焼し、得られた仮焼物を再びボールミルで湿式粉砕した。
その後、この粉砕物に有機バインダー、水、分散剤と可塑剤とを混合し、スラリーを作製し、薄いグリーンシートを成形するために一般的に用いられるロールコーター法により、焼成後の厚さが表に示すサイズになるように予め収縮率を考慮したグリーンシートを作製した。
この後、金型を用いて上記グリーンシートを短形状に打ち抜き、複数枚の短形状シートを用意した。次に、この短形状シート面に、共通電極及び個別電極をAg−Pdからなる電極用ペーストを用いてスクリーン印刷にて電極をグリーンシート表面に塗布した。
次いで、電極を塗布したグリーンシート及び電極を塗布していないグリーンシートを、図1に示す構造になるように、即ち基板の表面に複数の変位素子が形成されるように重ね、熱を加えて圧着し、積層アクチュエータ成形体を製作した。
最後に、この成形体を400℃で脱脂した後、表1に示した条件で2時間の焼成を行い、得られた焼結体から超音波洗浄にて拘束シートを除去し、アクチュエータを得た。
得られたアクチュエータの厚みはマイクロメータで測定し、Pb/(Ti+Zr)は、焼結体を切断し、断面をEPMAで観察し、圧電セラミック層の表面及び前記基板の内部におけるPb、Ti、Zrの定量測定を行うとともに、その差を算出した。
また、気孔率は、焼結体を切断し、その断面を鏡面状態に加工した後、顕微鏡で観察し、所定の面積内にある気孔の面積を求めて算出した。アクチュエータのd31は、インピーダンスアナライザーを用いた共振法で10箇所測定し、その平均値を算出し、絶対値を表1に示した。
次に、アクチュエータをインクジェット用の印刷ヘッドに適応した。その時の変位バラツキをレーザードップラー振動計にて10箇所の変位素子の変位量を測定し、その平均値からのバラツキを算出した。なお、各変位量と平均値の差の最も大きな値を平均値で除し、百分率表示したものをバラツキとした。結果を表1に示した。
なお、支持体として、ジルコニア、スピネル、マグネシア、ムライト、アルミナ、ビスマス層状化合物、タングステンブロンズ構造化合物、Pb系ペロブスカイト構造化合物、Nb系ペロブスカイト構造化合物、Ta系ペロブスカイト構造化合物を用いた。
Figure 2004158849
本発明の試料No.2〜15及び17〜19及び21〜25は、d31が200pm/V以上、変位バラツキが2%以下であった。これらの値はインクジェットプリンタとして十分に機能するものであることが確認できた。
一方、Pbが化学量論組成として調合された試料No.1は、組成比Pb/(Ti+Zr)の最大差が0.04と大きいため、d31が190pm/Vと低く、変位バラツキが8%と大きかった。
また、アクチュエータの厚みが150μmと大きく本発明の範囲外の試料No.16は、d31が150pm/Vと低く、インクジェットプリンタの印刷ヘッドとしては特性が十分ではなかった。
さらに、焼成温度が1200℃と高いため、組成比Pb/(Ti+Zr)の最大差が0.035と大きい本発明の範囲外の試料No.20は、変位バラツキが5.5%と大きかった。
本発明のアクチュエータを示す概略断面図である。 本発明の印刷ヘッドの構造を示すもので、(a)は概略断面図、(b)は変位素子が変位した状態を示す概略断面図である。 従来の印刷ヘッドの構造を示すもので、(a)は概略断面図、(b)は概略平面図である。
符号の説明
1、11・・・アクチュエータ
2、12・・・基板
4、14・・・圧電セラミック層
5、15・・・共通電極
6、16・・・個別電極
7、17・・・変位素子
13・・・流路部材
13a・・・インク流路
13b・・・隔壁
18・・・吐出孔

Claims (10)

  1. 基板の表面に、圧電セラミック層と該圧電セラミック層を挟持する一対の電極からなる変位素子が設けられ、全体の厚みが100μm以下のアクチュエータにおいて、前記圧電セラミック層と前記基板が、少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とし、且つ前記圧電セラミック層の表面と前記基板の内部とにおける組成比Pb/(Ti+Zr)の最大差が0.02以下であることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記変位素子が、前記基板の表面に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
  3. 前記基板及び前記圧電セラミック層の気孔率が1%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のアクチュエータ。
  4. 少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とするグリーンシートを積層して内部及び表面に電極を設けた積層体を作製し、該積層体を多孔質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納し、高濃度酸素雰囲気で焼成するアクチュエータの製造方法において、前記グリーンシートに含まれるPb量が、前記ペロブスカイト型結晶の化学量論組成に相当するPb量よりも多いことを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  5. 前記ペロブスカイト型結晶のAサイトとBサイトのモル比A/Bが1.01〜1.05であることを特徴とする請求項4記載のアクチュエータの製造方法。
  6. 少なくともPb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型結晶を主成分とするグリーンシートを積層して内部及び表面に電極を設けた積層体を作製し、該積層体を緻密質焼結体からなる焼成匣鉢内に収納し、高濃度酸素雰囲気で焼成するアクチュエータの製造方法において、前記ペロブスカイト型結晶のAサイトとBサイトのモル比A/Bが0.99〜1.04であることを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  7. 前記グリーンシートの密度が4.2g/cm以上であること特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  8. 前記積層体を900℃〜1100℃で焼成することを特徴とする請求項4〜7のいずれかにアクチュエータの製造方法。
  9. 前記高濃度酸素雰囲気が、酸素を98%以上含むことを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  10. 流路部材と、該流路部材の上に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載のアクチュエータとを具備し、前記アクチュエータを構成する前記変位素子の変位によって前記流路部材に設けられたインク流路に充填されたインクを吐出させることを特徴とする印刷ヘッド。

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