JP2004156144A - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メンテナンスが容易で、付着強度の高い膜の成膜ができ、小型なマグネトロンスパッタ装置を提供。
【解決手段】ターゲット材料7をスパッタにより蒸発させ基材2表面上に成膜するマグネトロンスパッタ装置20において、基材又は基材を載置する支持台22の回りに、かつ基材又は支持台の中心軸10を中心に、ターゲットと基材加熱用ヒーター3とを互いに干渉することなく周方向に設け、ターゲットと基材及び基材加熱用ヒーターと基材との間を遮断可能なシャッター4を設け、加熱時及びターゲット活性化時にターゲットと基材の間を遮断し、イオンボンバード時及び蒸着時には基材加熱用ヒーターとターゲットの間を遮断する。さらに、シャッターにアノード12を兼ねさせる。
【選択図】 図2

Description

本発明は各種半導体デバイスの製造、切削工具、耐摩耗部品への硬質膜の形成、耐食部品への耐食性被膜形成、工芸品や建材等の加飾膜の形成、プラスチックやレンズへの機能膜の形成に関わる薄膜形成装置に関する。
近年、切削工具や耐摩耗部品あるいは耐食性部品への硬質被膜の被覆処理においては、処理コストを削減するため、大量の部品をより低コストで被覆処理する技術の開発が望まれている。また、耐摩耗被膜や耐食被膜を蒸着する場合にはさらに密着性が高く、緻密で高硬度な膜が必要であるとともに、高度に組成制御された多元素膜を形成できる装置に対するニーズが高まってきている。
セラミック系硬質薄膜の形成方法としては、電子ビーム加熱真空蒸着法やアーク放電蒸着法が多く用いられているが、前者は多元素膜の蒸着が難しく、後者はマクロパーティクルと呼ばれる粗大粒子が被膜中に取り込まれるため膜の表面が粗く不均質であるという問題があった。
一方、スパッタ法では、グロー放電により発生させたAr等のイオンをターゲット表面に入射させ、そのエネルギーでターゲット材料をはじき出し、基材表面へ移着する。ターゲット材料と導入ガスの反応生成物を基材表面に生成する場合には反応性スパッタ法と呼ばれ、半導体の分野で成膜装置として多く用いられている。また、TiAlNやTiCrNなどの複数の金属元素が含まれる膜(以下、多元素膜と呼ぶ)の成膜に適している。
しかしながら、スパッタ法は電子ビーム加熱真空蒸着法やアーク放電蒸着法に較べ蒸着速度が遅く、そのため処理時間が長くなり、被覆処理コストが高くなるという問題点があり、硬質被膜の形成にはあまり用いられていなかった。しかし、スパッタ法においても蒸発速度を高める努力が行われ、ターゲットの背面に磁石を取り付けたマグネトロンスパッタが現在一般的に用いられている。例えば特許文献1乃至4等に開示され、半導体や磁気記録媒体の製造工程に用いられている。
しかしながら、マグネトロンスパッタによっても、依然として、スパッタ粒子の平均エネルギが低く、したがって基材に対する膜の付着強度が低く、膜の緻密さも低いという問題があった。さらに、前記2種類の方法に較べて蒸着速度が遅く、基材へ入射させるイオン電流が少ないため膜質の制御範囲が狭いという問題があった。また、多元素膜の蒸着において高度な組成制御と高速成膜が困難であった。
そこで、本発明者等はターゲット材料をスパッタ法にて蒸発させ、蒸発原子の数と運動エネルギーの分布を調べた。通常のスパッタリング現象では、アルゴン等の不活性ガスイオンがターゲット表面にほぼ垂直に入射し、その結果ターゲット表面で入射イオンとターゲット原子が多重衝突を起こし、これによりターゲット原子が表面からはじき出される。その時のターゲット原子の飛行方向はターゲット表面に垂直な方向より斜め方向に高いエネルギーを持った粒子が飛び出すことが知られている。本発明者等はさらに詳細に調査した結果、図1に示すように成膜すべき基材とターゲット表面のなす角度が20゜から75゜及び110゜から165゜の範囲に飛来する粒子が多く、特に25゜から65゜及び115゜から155゜の範囲の場合に膜厚が厚くなり、この範囲の膜は緻密であり、膜高度も高いということを知得した。さらに、実際に応用する場合にはワークの大きさを勘案すると20゜〜80゜が好ましいことを知得した。また、本発明者等は、基材とターゲット表面との配置を工夫することにより膜の成膜速度、厚み、緻密さ等を制御することが可能であり、特に2枚のターゲット材料を内側に対向させて配置することにより粒子の方向を斜めに集中させ安定して制御できることを見いだした。
かかる知得により、本発明者等は、ターゲット電極に固定されたターゲット材料をスパッタにより蒸発させ基材表面上に成膜するマグネトロンスパッタ装置において、ターゲット電極及びターゲット材料からなるターゲットを2枚1組とし、2枚のターゲット表面の交線と基材を載置する支持台の中心軸とで支持台−ターゲット間を結ぶ平面(以下、支持台−ターゲット平面という)が形成されるようにターゲット及び支持台を配置し、2枚のターゲット材料側の面がそれぞれ支持台−ターゲット平面側に傾斜して配置することによって、基材の方向へ高いエネルギーを持った粒子を多量に入射させ、さらに、ターゲット電位に対して正の電位を持つアノード(陽極)を設け、ターゲット近傍のプラズマからイオンを基材近くへ引き出すことを提案した。
特開平10−152774号公報 特開平10−8246号公報 特開平10−46330号公報 特開平3−79760号公報
しかし、従来のマグネトロンスパッタ装置や前述の本発明者等が提案したマグネトロンスパッタ装置においても、スパッタリング粒子が成膜室内に飛散しメンテナンスが面倒であるという問題があった。また、膜の付着強度を確保するためには、蒸着開始時の蒸発量コントロールがきわめて大切であるという問題があった。
本発明の課題は、かかる従来等の問題点に鑑みて、スパッタリング粒子の成膜室内の飛散を押さえ、メンテナンスが容易で、さらには、蒸着開始時の蒸発量のコントロールを容易にし、より効果的に付着強度の高い膜の成膜ができ、さらには小型なマグネトロンスパッタ装置を提供することである。
本発明においては、ターゲット電極に固定されたターゲット材料をスパッタにより蒸発させ基材表面上に成膜するマグネトロンスパッタ装置において、前記基材又は前記基材を載置する支持台の回りに、かつ前記基材又は前記支持台の中心軸を中心に、前記ターゲットと、前記基材を加熱する基材加熱用ヒーターと、が互いに干渉することなく円周方向に設けられ、前記ターゲットと前記基材及び前記基材加熱用ヒーターと前記基材との間を遮断可能なシャッターが設けられており、加熱時及びターゲット活性化時には前記ターゲットと前記基材の間を遮断し、イオンボンバード時及び蒸着時には前記基材加熱用ヒーターと前記ターゲットの間を遮断することができるようにされていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供することにより上記課題を解決した。
即ち、ターゲットと基材及び基材加熱用ヒーターと基材との間に設けられたシャッターにより、加熱時及びターゲット活性化時にはターゲットと基材の間を遮断し、基材への不純物の蒸着を防ぐようにし、一方、イオンボンバード時及び蒸着時にはヒーターとターゲットの間を遮断するようにして、加熱ヒーターへの膜の蒸着を押さえるようにした。
なお、基材加熱用ヒーターは基材加熱に用いるとともに蒸着容器内の脱ガスを早め、蒸着処理サイクルを短くするとともに、膜の付着強度確保に重要な役割を果たすものである。また、支持台の中心軸とは、基材を載置する支持台が回転可能にされているときはその回転軸であり、支持台が回転しないものであるときは、装置の幾何学中心、又は、配置される基材の重心位置である。また、シャッターは位置が固定された開閉シャッターや、ターゲットと基材及びヒーターと基材の間を移動可能にされた回転移動シャッター等適宜に設けられる。
さらに、可動シャッターは、蒸着処理時にターゲットを覆わない位置へ移動させるので、アノード電極を兼用させることが可能である。そこで、請求項2に記載の発明においては、前記シャッターが前記ターゲットに対してアノードを兼ねているマグネトロンスパッタ装置を提供する。これにより、特に成膜室の空間が狭い場合に、別にアノード電極を設置する必要がない。
本発明においては、ターゲットと基材の間にシャッターを設け、加熱時及びターゲット活性化時にはターゲットと基材の間を遮断し、イオンボンバード時及び蒸着時にはヒーターと基材との間を遮断するようにしてターゲット活性化時の基材表面の汚染を少なくすることにより高い付着強度を確保することができ、蒸着時のヒーターへの蒸着物質の付着も抑えられる。
さらに、請求項2に記載の発明においては、シャッターをアノードとして兼用させたので、アノードを別に設置する必要がなく成膜室内を効率よく使用できる。あるいは成膜室を小型にできる。また、メンテナンス性が非常によくなるという利点がある。以上に示されるように、本発明の傾斜ターゲット型マグネトロンスパッタ装置は従来のマグネトロンスパッタ装置に較べ様々な利点があり、産業上非常に有益なものとなった。
次に本発明の第一の実施の形態について説明する。図2はスパッタ装置の構成を説明する平面図、図3は基材、ターゲット、電磁石の配置を説明する平面図、図4は本発明の電磁石の構成を示し(a)が平面図、(b)が側面図、図5は電気配線図である。図2に示すように、マグネトロンスパッタ装置20は、成膜すべき基材が挿入され成膜室を形成する真空容器1に真空容器扉11が設けられており、真空容器内に成膜すべき基材2、基材を載置する支持台22が設けられ、支持台は中心軸10周りに回転可能にされている。中心軸10は、基材中心軸と一致し基材が中心軸周りに回転される。基材2は様々なものがあるので、支持台22に載置するに当たっては、その重心を通る軸が中心軸10となるように配置するのがよい。また、支持台22に載置せずに基材2そのものに回転中心軸10を設けるようにしてもよい。中心軸10を中心にして円周方向に広がる2個の基材加熱用ヒーター(以下、単にヒーターという)3が対称位置に配置され、一方のヒーターは真空容器扉11に固定されている。
傾斜した2枚1組で構成されたターゲット電極5とターゲット電極に固定されたターゲット材料7からなるターゲットが中心軸10を中心にして対称に2個配置されている。中心軸10と2枚1組のターゲット表面7a、7bの交線7cとで支持台−ターゲット平面11aを形成するようにターゲットが配置されている。ターゲット表面7a、7bはそれぞれ支持台−ターゲット平面11aと角度α、α′となるように傾斜して配置されている。
平面断面が弧上のシャッター4が中心軸10に対して対称位置に設けられ、ターゲット7と基材2間又はヒーター3と基材2間との間をそれぞれ遮断できるように回転移動可能にされている。またアノード12が基材2とシャッター4との間であって接触することなく、中心軸10に対して対称位置で、かつ、2枚1組のターゲットのほぼ中央位置に設置されている。
図3に示すように、ターゲット電極5は中央部にN極をターゲット表面7a、7bに向けて配置された中央部磁石(永久磁石)6aと、両側に中央部磁石とは逆極性のS極をターゲット表面に向けて配置された外周部磁石(永久磁石)6b、6bが設けられている。さらに、ターゲット周辺部に電気的にフローティング状態またはアース電位の金属シールド板8が設けられている。さらに、ターゲット電極の5の背面に電磁石9が設けられている。
電磁石9は図4(a)に示すように、真空容器壁1aを挟んでターゲット電極5の後方に配置され、図4の(b)に示すように支持台−ターゲット平面11aに直交する面に投影された1組のターゲット材料の外周7dに沿って電線9aが巻回されており、電流を流すことによって支持台−ターゲット平面11aに沿った磁界を発生させることができるようにされている。なお、アノード12は図2と同様に、2対からなる2枚1組のターゲット電極とバランス良く放電し得るように各ターゲット対の中央に設けられている。
図5に示すように、ヒーター3は交流電源31に接続され、通電加熱することにより真空容器1内の脱ガス速度を早めるとともに、基材を所定の温度に保つようにされている。さらに、基材2にバイアス電圧を印加するための基材電源21、ヒーターを加熱するためのヒーター電源31、ターゲットにバイアス電圧を印加するためのターゲット電源51、電磁石9に電流を流し磁界を発生させるための電磁石用電源91が設けられている。アノード電極12にはアノード電源13からプラス電圧を供給できるように接続されている。
(実施例1)
かかるマグネトロンスパッタ装置20を用いてTiAlN膜の被覆を行なった。第1の実施例においては、図2に示す装置において、7cm×25cm×5mmのチタン板のターゲット材料1枚と、同寸法のアルミ板のターゲット材料1枚の計2枚を1組としてターゲット電極5に取り付け、ターゲット表面7a、7bが支持台−ターゲット平面11aに対して45度傾いた角度で設置し、基材2をはさんで反対側にも同じ構成の一組のターゲットを設置した。基材2には直径10cm、高さ25cm、内径9.4cmのSUS304製円筒を用い、それを回転機構を持つ基材支持台上に載置した。このとき、基材の回転数は10rpmとした。なお、電磁石9は使用しなかった。この時アノード電極には+30Vの電圧を印加し、真空容器内のプラズマ密度を向上させた。
処理はまず真空容器1を1×10-6Torrまで真空に引き、同時にヒーター3を通電加熱して基材の温度を300℃まで上昇させた。このとき、2枚のシャッター4はそれぞれ2組のターゲットの前面に配置される。ついで、真空容器内にアルゴンガスを50ccmの流量で導入し、ターゲット表面7a,7bの付着物や反応生成物を除去するため、各ターゲットを−400V、5Aで10分間活性化した。その後、シャッター4をターゲット表面7a,7bからヒーター3の前面へ移動し、基材2に−450Vのバイアスをかけて20分間スパッタエッチングを行い基材表面を活性化した。しかる後に、真空容器内に窒素ガスを導入した。窒素ガス導入完了までアノード電圧は+30V一定のままとした。また、基材2の電圧を−100Vとして1時間の被覆処理を行なった。このとき、被覆開始から20秒間窒素ガスの導入量を押さえてチタンのみを蒸発させ、膜と基材界面にチタンのみの粘着層を形成した。その後は窒素ガスの導入量が50sccmになるまで徐々に増し、アルミの蒸発量もターゲット電流を調節して、チタンとアルミの原子比が1:1となるように蒸着した。
蒸着処理後、膜厚を調べたところ、4.5μmであった。これより膜成長速度は4.5μm/hとなり、従来のスパッタ法に比べ高速であった。また、スクラッチテストによる評価では、アコースティックエミッションの現れる臨界加重は75Nであり、密着性は実用上充分に高いものであった。さらに、マイクロビッカース硬度計により膜硬度を測定したところ、2550HvとなりTiAlN膜としては十分な硬さであった。アノード電圧をかけないままでは、膜厚4.5μm(膜成長速度:4.5μm/h)、臨界加重:70N、膜硬度:2450Hvであり、アノードに電圧をかけることにより、より緻密な膜が形成されたことがわかる。
比較のため、図7に示される従来方式のマグネトロンスパッタ装置30を用い、さらに基材2も同様なものを用いてTiAlN膜の蒸着を行った。このとき、ターゲット電極35に固定されるターゲット材料37にはTiとAlの比が1:1となるように作られた14cm×25cm×5mmの板を2枚対称に配置した。これを用いて同様にTiAlN膜の蒸着を1時間行った。ただし、比較装置では原理的に膜組成の傾斜化ができないので、膜は傾斜無しのTiAlN膜となっている。蒸着後の測定では膜厚は3μmであった。したがって、成膜速度は3μ/hであり、本発明の装置に比べ蒸着速度が遅かった。また、スクラッチ試験では臨界加重が50Nとなり、傾斜組成層を持つ本発明の装置に比べて付着強度が低いものであった。また、膜硬度は2100Hvとなり、本発明の装置に比べ低いものであった。
以上のように、本発明の装置では粘着層であるTi膜からTiAlN膜まで連続的に変化させることができ、したがって密着性の高い膜を形成することができた。また、ターゲットを傾斜させることにより、高速にかつ緻密で硬度の高い膜を得ることができ、かつアノードを設けることによりさらに緻密で硬度の高い膜を形成できた。
(第二の実施の形態)
次に本発明の第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態においては、図6に示される本発明のマグネトロンスパッタ装置20′を用いてアルミニウム材料にCrN膜の被覆を行なった。実施例一では基材が円筒状であったが、実施例二では図6に示すように基材2の形状が直方体である点、ターゲット材料7がすべて同じである点、取り付け角度がα=α′=60度である点、電磁石9を使用した点が異なるのみであり、同符号を付して説明を省略する。図6において、ターゲット2組の全てに7cm×25cm×5mmのクロム板を取り付け、各ターゲットの表面7a,7bが支持台−ターゲット平面11aに対して60度の傾きとなるように設置し、それらを図6に示されるように基材をはさんで反対側に設置した。基材2の寸法は縦25cm、横15cm、厚さ5cmで、図6のように基材支持台22上に載置し、基材回転は行わなかった。また、ターゲットの外側に設置された電磁石9に基材電流が増える方向へ電磁石電流を流した。なお、ここでは特にアノード電極としてはシャッターを併用し、真空容器などと電気的絶縁を保ちつつ、シャッターに+30Vの正電圧を印加し、真空容器内の放電プラズマ密度の向上を図った。
処理はまず、2枚のシャッター4をそれぞれ2組のターゲットの前面に配置した状態で、真空容器1を1×10-6Torrまで真空に引き、同時にヒーター3を通電加熱して基材2の温度を200℃まで上昇させた。以下は実施例1と同様な手順で蒸着前の工程をとり、スパッタエッチングまでを行った。このとき、電磁石電流は7A一定とし、基材電流は約2Aであった。その後、真空容器1内に窒素ガスを導入し、基材電圧を−120Vとして2時間の被覆処理を行なった。このとき、被覆開始から20秒間は窒素ガスの導入量を押さえ、その後徐々に導入量を増して所定の50ccmまで増加させた。これにより、膜と基材界面にクロムのみの粘着層を形成した。
蒸着処理後、膜厚を調べたところ、14μmであった。これより膜成長速度は7.0μm/hとなった。また、スクラッチテストによる評価では、CrN膜の臨界加重は約65Nとなり、十分に高い付着強度があった。さらに、マイクロビッカース硬度計による膜硬度は、2150Hvとなり緻密で硬質なCrN成分の多い膜ができていた。アノード電圧をかけないままでは、膜厚15μm(膜成長速度:7.5μm/h)、臨界加重:約60N、膜硬度:2000Hvであり、アノードに電圧をかけることにより、より緻密な膜が形成されたことがわかる。
比較のため、前述した図7に示される従来方式のマグネトロンスパッタ装置30を用いてCrN膜の蒸着を行った。このとき、ターゲットには14cm×25cm×5mmのクロム板を2枚用いた。このマグネトロンスパッタ装置を用いて前記と同様にCrN膜の蒸着を2時間行った。蒸着後の測定では膜厚は8μmであった。したがって、成膜速度は4μ/hであり、本発明の装置に比べ蒸着速度が遅かった。また、スクラッチ試験による臨界加重は60Nであった。また、膜硬度は1800Hvであり、Cr2N成分が多い膜であり、本発明のものより硬度が低かった。本発明の傾斜ターゲット型マグネトロンスパッタ装置は基材付近のプラズマ強度が強い上、基材方面へエネルギーの高いクロム原子が入射するため、本発明の方が硬度が高くなったと考えられる。
以上のように、本発明の装置では膜質の良好なCrN膜を高速で合成することができ、厚膜の要求されるCrN膜の被覆にも十分応えられることがわかった。また、ターゲットを傾斜させたことにより、緻密で硬度の高い膜を得ることができた。特にアノードを設けることによりより緻密な膜を形成することができた。
スパッタ現象における蒸発原子の角度分布図であり、(a)はスパッタ粒子の飛行方向(度)と基材へのTi蒸着速度(A/sec)との角度分布図、(b)はターゲット表面からのスパッタ粒子の飛行方向の角度を示す説明図である。 本発明の第一の実施の形態を示すマクネトロンスパッタ装置の構成を説明する平面図である。 基材、ターゲット(ターゲット電極、ターゲット材料)、電磁石の配置を説明する平面図である。 本発明に用いた電磁石の構成を示し(a)が平面図、(b)が側面図である。 図2に示す装置の電気配線例を示す電気配線図である。 本発明の第二の実施形態に用いるシャッターがアノードを兼用しているマグネトロンスパッタ装置の構成を説明する平面図である。 従来のマグネトロンスパッタ装置の構成を説明する平面図である。
符号の説明
1 真空容器(成膜室)
2 基材
3 基材加熱用ヒーター
4 シャッター
5 ターゲット電極
7 ターゲット材料
10 中心軸
12 アノード(陽極)
20、20′ マグネトロンスパッタ装置
22 支持台

Claims (2)

  1. ターゲット電極に固定されたターゲット材料をスパッタにより蒸発させ基材表面上に成膜するマグネトロンスパッタ装置において、前記基材又は前記基材を載置する支持台の回りに、かつ前記基材又は前記支持台の中心軸を中心に、前記ターゲットと、前記基材を加熱する基材加熱用ヒーターと、が互いに干渉することなく円周方向に設けられ、前記ターゲットと前記基材及び前記基材加熱用ヒーターと前記基材との間を遮断可能なシャッターが設けられており、加熱時及びターゲット活性化時には前記ターゲットと前記基材の間を遮断し、イオンボンバード時及び蒸着時には前記基材加熱用ヒーターと前記ターゲットの間を遮断することができるようにされていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  2. 前記シャッターが前記ターゲットに対してアノードを兼ねていることを特徴とする請求項1記載のマグネトロンスパッタ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019183213A (ja) * 2018-04-05 2019-10-24 株式会社クラフト スパッタリング装置

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