JP2004154401A - Mr位相画像の再構成方法、mr強度画像の再構成方法及びその方法を用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

Mr位相画像の再構成方法、mr強度画像の再構成方法及びその方法を用いた磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高速撮像法のMR画像における組織境界の判別精度を向上する。
【解決手段】TrueFISP法と位相エンコードステップを間引いて計測するパラレルイメージング法とを組み合わせてなるパルスシーケンスにより撮像するステップ(S1)と、各受信コイルにより計測されたNMR信号の位相情報に基づいてそれぞれ位相画像を再構成するステップ(S2、S3)と、各受信コイルにより計測されたNMR信号に基づいて再構成された各位相画像の画素の位相情報が一定に範囲に属する隣接画素を同一領域として領域分割する領域拡張処理を施すステップ(S8)と、この領域分割された各位相画像に対して補正量Δφ(x、y)=ax+ayを求めて各位相画像を補正するステップ(S5)と、補正された位相画像を加算合成するステップ(S6)とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に係り、具体的には、MR位相画像の再構成方法またはMR強度画像の再構成方法の画像処理プログラムに特徴を有する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージング(MRI)は、静磁場中に置かれた被検体に、その被検体を構成する特定の原子核(例えば、水素)に対応した特定周波数の高周波磁場パルス(以下、RFパルスと称する)を照射して、その核に磁気共鳴現象を起こさせ、その核の磁化に基づく磁気共鳴(NMR)信号を計測してその核の密度分布などを求め、これに基づいて被検体の断面等を画像化する技術である。
【0003】
このようなMRIにおいて、近年、TrueFISP(True Fast Imaging with Steady State Precession)法などのように定常状態自由歳差運動(SSFP)状態におけるNMR信号を取得して高速撮像する方法や、SENSEやSMASHなどように位相エンコードステップを間引きして撮像するパラレルイメージング(Parallel Imaging)法などの高速撮像法が実現化され、いわゆるリアルタイム撮像が可能になってきている。また、TrueFISP法とパラレルイメージング法を組み合わせた撮像法では、既に、2〜3心拍で一断面の心臓シネ画像の撮像が可能になっている。
【0004】
このような高速撮像法のMRI技術は、超音波診断装置並みの容易さで、心臓などの生体組織の機能を定量的に計測ないし評価が行なえるものとして期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、TrueFISP撮像法によれば、心筋と心内腔とのコントラストが高くなりそれらの境界が明確になったものの、心筋と肺野との境界は明確さが十分でない。そのため、心臓領域を同定するためには、用手法的にMR画像を修正することが必要とされている。特に、リアルタイムの高速撮像法により得られるMR画像は、時間及び空間の分解能が共に低いために臓器や生体組織などの境界を自動的にトレースすることが困難であることから、撮像時間は大幅に短縮されるものの、定量評価のための画像処理にかかる時間が長くなるという問題がある。
【0006】
また、パラレルイメージング法では、位相エンコードステップを間引いて撮像することにより撮像時間を短縮し、位相エンコードステップを間引くことにより生ずる画像の折り返しを除去するために、複数の受信コイルから得られる画像データを独立に扱うことから、SN(信号/ノイズ)比が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、高速撮像法のMR画像において、組織境界の判別精度を向上することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、MRIの位相画像に着目したことを特徴とする。すなわち、MRIは、歳差運動により回転する例えば水素の原子核スピンの空間的変化を画像化するものであり、得られるMR画像の各ピクセル(または各ボクセル)は回転する磁化ベクトルの大きさと角度の値(複素数)を持った複素画像となる。通常、MR画像としては、複素数のNMR信号の強度成分のみを画像化した強度画像が用いられているが、磁化ベクトルの回転角(位相)を画像化した位相画像を再構成することも知られている。しかし、位相画象はMRIガントリー内の不均一磁場の影響を大きく受けるため一様な画像とならず、従来はそのまま利用されることがなかった。ところが、MRI技術の進歩により、撮像の高速化が進み、かつ磁場の不均一性が十分に小さくなったことから、位相画像の乱れが小さくなくなり、位相画像も利用可能になってきた。
【0009】
そこで、本発明のMR位相画像の再構成方法は、静磁場に置かれた被検体をRFパルスにより定常状態に励起させて複数の受信コイルにより計測されたNMR信号を取り込むステップと、前記各受信コイルにより計測された前記NMR信号の位相情報に基づいてそれぞれ位相画像を再構成するステップと、該再構成された複数の位相画像を合成して合成位相画像を作成するステップとを有してなることを特徴とし、コンピュータを含んで構成される制御装置をプログラムによって動作させることにより実施する。
【0010】
このように、RFパルスを短い周期TRで連続して印加すると縦磁化及び横磁化が定常状態になる。この定常状態におけるNMR信号をグラジエントエコー(GRE)パルスシーケンス等によって計測することにより、高速でMR画像を得ることができる。その結果、磁場の不均一性の影響を受けにくく、位相画像の乱れを小さくできることから、位相画像も利用可能になってきた。また、プロトン密度を計測対象とする場合、プロトン密度が十分に高い部位は信号値が高いのでノイズの影響が相対的に低くなり位相が均一になる。逆に、プロトン密度が低いとノイズの影響が大きくなり位相がランダムになる。例えば、位相画像において、心筋部位では位相が一様になるのに対し、肺野などの背景部位では位相がランダムに変化する。したがって、心筋と肺野の境界を判別する精度が向上し、心臓領域を自動的に抽出する領域分割が可能となる。また、位相が一様になるか、ランダムになるかは、心臓と肺野の関係だけでなく、他の臓器と背景組織との関係によっても相違があるから、それらの臓器領域と他の組織領域とを識別して画像上で組織領域を自動分割することが可能になる。
【0011】
なお、定常状態におけるNMR信号を計測するパルスシーケンスとしては、FISP、FAST、FLASH、等が知られている。特に、TrueFISP法などのSSFP(定常状態自由歳差運動)を基礎としたパルスシーケンスにより得られる位相画象は、原理的に磁場不均一性の影響を受けにくいので好ましい。
【0012】
ところで、上述したように、SSFPを基礎としたパルスシーケンスにより得られる位相画象は磁場不均一性の影響が小さいが、実際に得られる位相画像は、受信コイルの感度特性、傾斜磁場歪、RFパルス浸透性等により、必ずしも均一な位相画像が得られない場合がある。すなわち、同一の組織と思われる領域内に、位相情報の異なるピクセルが点在する等の不均一な画像となる場合がある。
【0013】
そこで、本発明のMR位相画像の再構成方法においては、複数の受信コイルにより計測されたNMR信号に基づいて再構成されたそれぞれの位相画像に対して、数3の評価関数E(a,d)を最小にする補正量Δφ(x、y)=ax+ayを求め、この補正量に基づいて各位相画像を補正することが好ましい。これにより、画像の全ての領域で、位相を均一化することができる。
【0014】
【数3】
E(a,d)=Σ{φ(x、y)−Δφ(x、y)−d
ここで、aはベクトル(a、a),dはベクトル(d1、d2、…、dn)であり、nは領域拡張法で分割された領域の数である。また、φ(x、y)は位相画像、x、yはそれぞれ画素の座標、dは画素(x、y)が属するi番目の領域の補正後の位相である。
【0015】
さらに、後述する領域拡張法(region Growing法)による処理を施した後、上述の位相補正を施すことが好ましい。領域拡張法は、後述するが、肺野や体外部分の位相がランダムになることを利用して、各画素(ピクセル)の位相情報が近似しているか否か判断しながら、位相情報が近似する画素が隣接する領域を順次拡張し、位相画像を位相情報が近似する画素群からなる複数の領域に分割する処理である。これにより、肺野と背景部分、脂肪部分、他の組織に分割することができる。特に、点在する構成画素数の少ない領域を除外することにより、画質を一層向上させることができる。また、例えば、True FISP撮像法により得られる位相画像の場合は、理論上、水と脂肪の間で180度の位相差が生じるため、領域拡張法の画像処理によって脂肪に対応する画素を除去することにより、脂肪を完全に抑制することができる。つまり、脂肪を抑制する他の撮像法を採用することなく、後処理により脂肪を抑制した画像を得ることができる。
【0016】
また、本発明のMR強度画像の再構成方法は、静磁場に置かれた被検体をRFパルスにより定常状態に励起し、前記被検体を構成する所定の原子核に係る磁化の自由歳差運動に基づくNMR信号を複数の受信コイルで計測し、複数の受信コイルにより計測されたNMR信号に基づいてそれぞれ複素画像を再構成し、該再構成された複数の複素画像を加算合成して強度画像を作成することができる。
【0017】
これにより、複数の受信コイルにより計測されたNMR信号に基づいてそれぞれ強度画像を再構成した後に加算合成した強度画像に比べて、SN比を増加させることができる。すなわち、MR画像のノイズはもともと複素数であるのに対し、従来はそれを全て強度という正の数になおして足し合わせるため、ノイズが加算されてしまう。これに対し、本発明のように複素数で加算することにより、プラスとマイナスのノイズを相殺してノイズを減少させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施の形態に基づいて説明する。図1に本発明に係るMR位相画像の再構成方法の一実施形態の処理手順をフローチャートにして示す。図2に本発明に係るMR位相画像の再構成方法を実施する一実施形態の磁気共鳴イメージング装置の全体構成図を示し、図3に本発明に用いる一実施形態の受信コイルの構成例を示す。
【0019】
図2に示すMRI装置は、本発明に係るMR位相画像の再構成方法を適用可能な典型的な例であり、被検体が置かれる周囲の空間に静磁場を発生する磁石1と、この静磁場空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル2と、この静磁場空間に高周波(RF)磁場を発生する送信コイルおよび被検体が発生するNMR信号を検出する受信コイルからなるRFプロープ3とを備えて構成されている。被検体は、体軸を水平方向にRFプロープ3内に挿入される。なお、図示例では、静磁場が図中左右に発生している水平磁場のMRI装置を示しているが、被検体の体軸方向に垂直な磁場を発生するMRI装置であってもよい。
【0020】
傾斜磁場コイル2は、X、Y、Zの直交3方向の傾斜磁場を発生する複数のコイルで構成され、傾斜磁場電源4から供給される駆動電流に応じて各方向の傾斜磁場を発生するようになっている。RFプロープ3内の送信コイルは、送受信回路5から出力される信号に応じて高周波磁場を発生する。RFプロープ3内の受信コイルにより受信されるNMR信号は送受信回路5において信号処理された後、撮像シーケンスに基づいてシーケンサ16によりサンプリングされ、演算処理装置を構成するコンピュータ7に取り込まれる。コンピュータ7は、サンプリングされたNMR信号に基づいて画像を再構成し、表示部を構成するモニタ8に表示させるようになっている。コンピュータ7には、キーボードやマウス等の入力装置9から各種の指令が入力されるようになっている。また、シーケンサ6は、コンピュータ7から与えられる指令に基づいて、一般にパルスシーケンスと呼ばれる撮像シーケンスにしたがって斜磁場電源4や送受信回路5を駆動制御することにより、例えば、被検体の所望部位のMR断層像等を撮像するようになっている。
【0021】
本発明のMRI装置のRFプローブ3は、図3に示すように、複数の受信コイルを備えたマルチプルRF受信コイルが適用されている。図3に示すように、マルチプルRF受信コイルは、4つの8の字型受信コイルを有し、例えば、XY平面上に受信コイル11a,bを配置し、これに対して所定の距離を挟んでXY平面上に受信コイル12a、bを対向配置して構成される。そして、このマルチプルRF受信コイルに囲まれる空間内に置かれる被検体からのNMR信号を受信するようになっている。
【0022】
次に、本発明の特徴であるMR位相画像の再構成方法を用いた一実施形態の処理手順を、図1のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、周知のTrueFISP法とパラレルイメージング(PI)法を組み合わせた撮像シーケンスによりMR位相画像を得る。TrueFISP法は、周知の様に、RFパルスを横磁化緩和時間T2よりも十分に短い周期で印加し、これにより発生する定常状態自由歳差運動(SSFP)におけるスピンエコー信号(NMR信号)を取得して高速撮像する方法である。また、PI法は、周知のSENSEのように、複数の受信コイルを用い、位相エンコードステップを間引きして撮像時間を短縮する高速撮像法である。したがって、TrueFISP法とPI法を組み合せることにより、一層高速撮像を行なうことができ、例えば、2〜3心拍で一断面の心臓シネ画像の撮像が可能である。
(ステップS1)
まず、例えば、被検体の心臓を挟むように、図3の受信コイル11a、bを胸側に、受信コイル12a、bを背中側に配置し、TrueFISP法とPI法を組み合わせた撮像シーケンスを実行する。
【0023】
ここで、TrueFISP法などのSSFP(定常状態自由歳差運動)を基礎としたパルスシーケンスにより得られる位相画象は、原理的に磁場不均一性の影響を受けにくいことについて説明する。技術文献(EM Haacke, “Magnetic Resonance Imaging”, J.Wiley & Sons., 1999)によれば、静磁場不均一によるTR(=2TE:エコータイム)間における位相ずれとTE時の位相ずれの関係が記載されている。この関係を図示すると、図4のようになる。図において、横軸がTR間における位相ずれ表し、縦軸がTE時の位相ずれを表す。同図からTE時の位相は0かπの2値となり、TRが短いTrueFISP法により得られる画像では、φが小さいために位相が均一になることが分かる。また、脂肪組織のように化学シフトにより|φ|がπ以上になる部位は、他の組織に比べて位相が反転することが分かる。
(ステップS2)
ステップS1の撮像実行に合せて、複数の受信コイル11a、bおよび12a、bにより受信されるNMR信号に基づいて、各受信コイルに対応する位相画像(本例では、4つの位相画像)を再構成する。
(ステップS3)
再構成された各位相画像は、PI法により位相エンコードステップを等間隔に間引いて撮像されることから、画像に折り返しアーチファクトが生ずる。つまり、異なる領域の信号成分が折り返し部に重なって計測される。この画像の折り返しを除去する画像処理法として、例えばSENSE等が知られており、複数の受信コイル(11a、b、12a、b)のNMR信号と、各受信コイル(11a、b、12a、b)の感度分布と、撮影断面の複数点の信号成分との相関に従って連立方程式を立て、その連立方程式を行列演算により解いて、折り返えし部分の重なった領域の信号成分を分離して求める。これにより、画像の折り返し部を展開した位相画像を取得することができる。
【0024】
このようにして4つの受信コイルから得られた強度画像を図5(A)〜(D)に示し、これらに対応する位相画像を図6(A)〜(D)に示す。図5の4つの画像を位相情報も含めて加算合成した複素画像の強度画像を図7(A)に示し、図6の4つの位相画像を加算合成した画像を図7(B)に示す。図7(B)に示す位相画像は、緩やかな位相変化に起因して画像の上下で信号強度が落ちている。
【0025】
なお、一般的に、PI法によれば、行列演算に用いる受信コイルの数Nの分だけ、位相エンコードステップ数を間引くことができるから、撮影時間を1/N倍に短縮できる。
(ステップS4)
前述したように、TrueFISP法によれば、均一成磁場が位相画像に与える影響は小さいが、実際に得られる位相画像は受信コイル回路特性、傾斜磁場歪、PFパルス浸透性等により均一にはならない。そこで、ステップS4およびS5における領域拡張法と線形補正法とにより位相画像を補正して同一組織における位相を均一化する。
【0026】
まず、ステップS4においては、折り返しが除去されたそれぞれの位相画像に対して、公知の領域拡張法(Region Growing 法)による画像処理を施す。この領域拡張法は、画像上で隣り合う画素の値(画素値)が一定の範囲内にある画素同士をグループ化して、画素値が異なる複数の領域に分割することにより、ノイズなどに起因する特異点を除去することを狙いとする。
【0027】
具体的には、抽出したい臓器(例えば、心臓の左心室内腔や大動脈など)の一点(注目点)を画像上に自動または手動で設定する。そして、設定された注目点を基準として、その注目点の画素値と周辺の画素(例えば、8画素)の画素値の差の絶対値を求め、その差の絶対値が一定の範囲にある画素を同一グループに入れる。次に、新たに加えた画素を注目点として、同様の処理を繰り返すことにより、同一グループに属する画素を加えて行くことにより、同一組織に係る画像領域を拡張する。ある注目点の周辺の画素(例えば、8画素)について同一グループに加える点が見つからない場合は、領域拡張処理を終了する。これにより、最初に設定した注目点と同一の組織に係る領域(例えば、左心室内腔)を抽出することができる。
【0028】
さらに、位相画像を複数の領域に分割する場合は、一の領域の拡張が終了した後、同様に次の注目点を自動または手動により設定して領域拡張処理を行なう。つまり、全画素のうち、先に求めたいずれの領域にも属さない画素を出発点として領域拡張を行ない、画像上の全ての画素が何れかの領域に属するまで繰り返す。この場合、画素数の少ない領域を除外することにより、領域分割が鮮明になる。これらの領域拡張処理の結果を、図8に示す。図8(A)は図6の1つの画像に領域拡張処理を施した例であり、図8(B)は同図(A)の画素数の少ない領域を削除した例である。なお、領域拡張処理を全ての画素について行なうと、処理時間がかかり過ぎる場合は、一定の閾値を定め、画素値が低い画素は処理対象から除く。
(ステップS5)
ステップS4で領域分割処理された位相画像に基づいて、各位相画像の位相を補正する。すなわち、位相画像上では、受信コイルに近い部位ほど均一性が増し、背景部分や肺野など空気が占め割合が大きな領域では、位相がランダムに変化した画像になる。また、各受信コイルにより得られる位相画像は、位相が緩やかに変化している。したがって、領域分割処理された各位相画像をそのまま加算合成すると、画像の上下端において、位相が均一でなくなる。
【0029】
そこで、画像の全領域で位相を均一化するために、次に説明する位相補正を行なう。すなわち、数4に示す評価関数E(a,d)を最小にする位相の補正量Δφ(x、y)=ax+ayを求め、この補正量に基づいて各位相画像を補正する。
【0030】
【数4】
E(a,d)=Σ{φ(x、y)−Δφ(x、y)−d
ここで、aはベクトル(a、a),dはベクトル(d1、d2、…、dn)であり、nは領域拡張法で分割された領域の数である。a、aが求めたい数である。また、φ(x、y)は位相画像、x、yはそれぞれ画素の座標、dは画素(x、y)が属するi番目の領域の補正後の位相である。
【0031】
数4は、各画素の位相は、その画素が属する領域固有の位相と、空間的に線形に変化する位相変化分と、ノイズとの和として、次式の数5により表されるというモデルに基づいて導出される。
【0032】
【数5】
φ(x、y)=d+Δφ(x、y)+ε
いま、数5のノイズεが正規分布をなすものと仮定すると、数4を最小にする一意的に決まるベクトルa,dを求め、補正量Δφ(x、y)=ax+ayを求めることによって、位相画像φ(x、y)をd+Δφ(x、y)で最もフィッティングできることになる。なお、位相画像φ(x、y)からΔφ(x、y)を引くと、その領域の位相はd+εとなる関係になっている。
【0033】
すなわち、図9に示すように、補正前の位相画像(同図(A))に、上記式で求めた補正量Δφ(x、y)の画像(同図(B))を加算すことにより、補正後の位相画像(同図(C))が得られる。このようにして、4つの受信コイルに対応する4つの位相画像に線形補正を施して得られる補正後の位相画像を図10(A)〜(D)に示す。図から分かるように、図6と比較してやや位相が均一になっている。
(ステップS6)
ここで、図10の補正後の位相画像を加算合成する。これにより合成された位相画像を、図11(B)に示す。なお、図11(A)は、位相補正後の複素画像の強度画像を示している。図11(B)から分かるように、補正前でも心臓周辺の位相は均一であるが、補正によって画像のほぼ全領域で位相が均一化されている。なお、図11(A)の複素画像の強度画像は、通常の強度画像を変わらないが、図11(B)の補正後の位相画像は、図7(B)の補正前のものと比較して、位相が十分に均一になっている。
【0034】
ここで、図11(B)の位相画像から、水を多く含む組織は灰色に、脂肪を多く含む組織は白か黒(灰色部分と180度の位相差がある)に、肺野や体外部分の位相がランダムになることが分かる。この性質を利用して、補正後の位相画像(図12(A))に対して、領域拡張法による領域分割を再度施し、各領域の面積で領域分割することにより、図12(B)に示す様に、肺野と背景部分、脂肪部分、他の組織に領域分割することができる。
【0035】
なお、図7(A)、図11(A)に示したように、複素画像を加算合成して強度画像を再構成した場合、従来の強度画像を加算合成する場合よりもSN比を向上できる。なぜなら、元々、MR画像のノイズは複素数であるから、単に強度という正の数に直して加算する従来の方法によると、ノイズが加算される一方である。これに対して、複素数のまま取扱うことにより、プラスとマイナスのノイズで相殺されるから、ノイズが減少してSN比が改善されるのである。
【0036】
また、本発明の実施形態の位相画像の補正は、TrueFISP画像のみならず、一般の臨床で使用されているFRASH法などのグラディエントエコー型撮像法により得られる画像にも応用可能である。
【0037】
また、本発明の実施形態によれば、位相の均一な位相画象が得られるので、例えば次のような種々の応用が考えられる。
(1)肝癌の診断や、臓器の脂肪含有量の推定
(2)心筋灌流画像(心筋perfusion画像)における呼吸によって移動する心臓の位置補正
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、高速撮像法のMR画像において、組織境界の判別精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るMR位相画像の再構成方法の一実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係るMR位相画像の再構成方法を適用可能な一実施形態の磁気共鳴イメージング装置の全体構成図である。
【図3】本発明に用いる一実施形態のマルチプルRF受信コイルの構成例を示す図である。
【図4】静磁場不均一によるスピンの位相ずれを説明する線図である。
【図5】本発明に係る一実施形態のTrueFISP法およびPI法のパルスシーケンスにより得られる強度画像の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る一実施形態のTrueFISP法およびPI法のパルスシーケンスにより得られる位相画像の一例を示す図であり、図5の強度画像に対応するものである。
【図7】図5の4つの強度画像と図6の4つ位相画像を加算合成した画像の例であり、同図(A)は強度画像、同図(B)は位相画像である。
【図8】位相画像に領域拡張による領域分割処理を施した例を示す図であり、同図(A)は領域拡張による領域分割処理された一例の画像、同図(B)は画素数の少ない領域を除去した画像である。
【図9】位相画像の位相補正の様子を説明する図であり、同図(A)は補正前の位相画像、同図(B)は補正量の画像、同図(C)は補正後の位相画像である。
【図10】位相補正された4つの位相画像を示す図である。
【図11】4つの画像を加算合成した画像であり、同図(A)は複素画像の強度画像を合成した例、同図(B)は補正後の位相画像を合成した例である。
【図12】位相補正後の合成画像に対してさらに領域分割処理を施す例を説明する図であり、同図(A)は補正後の位相画像、同図(B)は補正後の位相画像にさらに領域分割処理を施した位相画像である。
【符号の説明】
1 磁石
2 傾斜磁場コイル
3 RFプローブ
5 送受信回路
6 シーケンサ
7 コンピュータ
8 モニタ
9 入力装置

Claims (8)

  1. 静磁場に置かれた被検体をRFパルスにより定常状態に励起させて複数の受信コイルにより計測されるNMR信号を取り込むステップと、
    前記各受信コイルにより計測された前記NMR信号の位相情報に基づいてそれぞれ位相画像を再構成するステップと、
    該再構成された複数の位相画像を合成して合成位相画像を作成するステップとを有してなるMR位相画像の再構成方法。
  2. 前記NMR信号を計測するパルスシーケンスは、TrueFISP法と位相エンコードステップを間引いて計測するパラレルイメージング法とを組み合わせてなることを特徴とする請求項1に記載のMR位相画像の再構成方法。
  3. 前記各受信コイルにより計測された前記NMR信号に基づいて再構成された各位相画像の画素の位相情報が一定に範囲に属する隣接画素を同一領域として領域分割する領域拡張処理を施すステップと、この領域分割された各位相画像に対して下記数1を最小にする補正量Δφ(x、y)=ax+ayを求め、この補正量に基づいて各位相画像を補正するステップを有することを特徴とする請求項1または2に記載のMR位相画像の再構成方法。
    Figure 2004154401
    ここで、aはベクトル(a、a),dはベクトル(d1、d2、…、dn)、nは領域拡張処理で分割された領域の数、φ(x、y)は位相画像、x、yはそれぞれ画素の座標、dは画素(x、y)が属するi番目の領域の補正後の位相である。
  4. 前記補正された位相画像に対し、さらに領域拡張処理を施して、各領域の面積で領域分割することにより、異なる組織ごとに領域を分割することを特徴とする請求項3に記載のMR位相画像の再構成方法。
  5. 静磁場に置かれた被検体にRFパルスを印加するRFパルス印加手段と、前記RFパルスを短い周期で印加して前記被検体を構成する所定の原子核を定常状態に励起するパルスシーケンスを実行するシーケンサと、前記原子核の磁化に基づくNMR信号を計測する複数の受信コイルと、前記各受信コイルにより計測された前記NMR信号の位相情報に基づいてそれぞれ位相画像を再構成する画像再構成手段と、再構成された複数の位相画像を合成する位相画像合成手段とを有してなる磁気共鳴イメージング装置。
  6. 前記パルスシーケンスは、TrueFISP法と位相エンコードステップを間引いて計測するパラレルイメージング法とを組み合わせてなることを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  7. 前記画像再構成手段は、前記各受信コイルにより計測された前記NMR信号に基づいて再構成された各位相画像の画素の位相情報が一定に範囲に属する隣接画素を同一領域として領域分割する領域拡張処理手段と、この領域拡張処理手段により領域分割された各位相画像に対して下記数1を最小にする補正量Δφ(x、y)=ax+ayを求め、この補正量に基づいて各位相画像を補正する位相画像補正手段とを有することを特徴とする請求項5または6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
    【数2】
    ここで、aはベクトル(a、a),dはベクトル(d1、d2、…、dn)、nは領域拡張処理で分割された領域の数、φ(x、y)は位相画像、x、yはそれぞれ画素の座標、dは画素(x、y)が属するi番目の領域の補正後の位相である。
  8. 静磁場に置かれた被検体にRFパルスを印加するRFパルス印加手段と、前記RFパルスを短い周期で印加して前記被検体を構成する所定の原子核を定常状態に励起するパルスシーケンスを実行するシーケンサと、前記被検体を構成する所定の原子核の磁化スピンに基づくNMR信号を計測する複数の受信コイルと、前記各受信コイルにより計測された前記NMR信号に基づいてそれぞれ複素画像を再構成する画像再構成手段と、再構成された複数の複素画像を加算して強度画像を作成する画像合成手段とを有してなる磁気共鳴イメージング装置。
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