JP2004153770A - デジタル映画システム - Google Patents
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Abstract
【課題】一般の人でも映画の視聴のみに参加するだけでなく、その中に能動的に参加ができるデジタル映画システムを提供することにある。
【解決手段】デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部6と、該デジタル映画の前記デジタル情報組込み部に組込む画像情報を登録する顧客データ登録手段10と、該登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段9と、該集計・選出手段により集計・選出された顧客情報を加工して事前に用意された前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段9と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部6と、該デジタル映画の前記デジタル情報組込み部に組込む画像情報を登録する顧客データ登録手段10と、該登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段9と、該集計・選出手段により集計・選出された顧客情報を加工して事前に用意された前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段9と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特に観衆からのデータを用いて進行する参加型デジタル映像システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
視聴者参加型テレビ番組のなかには、テレビ局のスタジオにて、多数の参加者を相手に司会者が質問を投げかけて、各参加者は手元の回答装置を用いて質問に回答し、スタジオの集計装置にその集計結果を表示しながら、参加者の意見を見ながら番組を進めていく方式がある。
また、テレビ番組のなかでテレビを見ている視聴者宛に質問を投げかけ、各家庭にいる各視聴者はその質問に対し電話で回答し、その結果がテレビ局側で集計され、番組のなかで表やグラフとなって現れる視聴者参加型番組がある。
【0003】
さらに都会の繁華街では、テレビレポータが世の中の出来事や番組の内容に合わせて放送に先駆けて、レポータが事前に道行く人を捕まえてインタビューする光景が見られ、その内容はテレビカメラに収められる。そしてインタビューを受けた人は自分のインタビューがその番組に採用されるかも知れないという期待感が高まり、高揚感を感じるものである。
【0004】
このように各視聴者や観衆の意見等が採用されて、番組等が進行していくことは、単に一方的に流れてくる番組を受け取るというだけではなく、自分からも情報を発信するというインターラクティブ性があり、自分が主体的にそこに参加できるという点においては、参加意識も高まり、自分ならどうするという観点で積極的に参加でき、さらにそれが自分以外の人々にもアピールする場となるのである。
しかしながら、こうした参加の機会は非常に少ないのが現状であり、一般の人にとってはめったにこのようなチャンスがないのである。
【0005】
また従来型の映画では、映画の上映前にその上映劇場がある街中の商店や飲食店等の広告が上映されていた。これは映画広告会社によって作成されたものであり、上映される本編の映画とは何ら関係がないものであった。したがって観客にとってこれらの広告映画は、本編の映画とは切り離して受け取られていたのであった。
【0006】
本願出願人は先に多数の参加者が同時にアトラクションを体験できる多人数型のアトラクションシステムにおいて、各参加者の中から特定人物を選んでアトラクションを進行させることができるようにし、各プレイヤがアトラクションに参加しているという実感が得られるようにした特定人物選定機能を有するアトラクションシステムを提案した(特許文献1)。
【0007】
これは、入力端末装置から入力された各参加者の入力個人情報を集計し、その集計結果に基づいてアトラクションの当該テーマでの所定条件に適合する特定の人物を各参加の中から選定し、選定された特定の人物の端末装置に点灯指令を送出し、端末装置の投光手段によって携帯物に対し光を照射し、携帯物の内面から光を放つようにするものである。
このシステムでは多数の参加者の中から特定の条件に合う人物を選定し、その選定された人物の携帯物を投光により通知するだけであった。その特定された人物はそれに対するアクションを起すようなことはせず、受動的であった。
【0008】
さらにまた、対話型映画システムとして、シーンを構成する映像および音声を出力して、前記シーンを生成する生成手段と、前記生成されたシーンに対するユーザの感情を認識する認識手段と、前記認識手段で認識された前記感情に基づき、前記生成されたシーンの次に遷移する前記シーンを、複数の前記シーンの候補の中から決定するスクリプト制御手段と、前記決定されたシーンに基づき、前記生成手段を制御し、さらに、前記決定されたシーンに対応する所定のタイミングで、前記決定されたシーンに基づき前記認識手段を制御する手段とを備えている。この認識手段はユーザの音声に含まれる感情を認識している。
【0009】
これによりインタラクションの結果に応じてストーリーが展開され、ユーザが映画の主人公になり、映画の中のキャラクターとユーザの音声に含まれる感情を交えたインタラクションによって、ユーザが現実に体験しているようなストーリーを展開する(特許文献2参照)のである。
しかしユーザの音声や感情認識は一人の人の音声や感情を認識しているのに過ぎない。
【00010】
【特許文献1】
特開平7−236772号公報(第3−4頁、第3−4図)
【0011】
【特許文献2】
特許第2874858号公報(第2−7頁、第1−9図、第14−16図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願では一般の人でも番組や映画の視聴のみに参加するだけでなく、その中に能動的に参加ができるシステムを提供することにある。
さらに本発明では、多数の観客を対象者にしてそれらの固有情報を集計・検索し、その結果が映像に反映されて進行するデジタル映像システムを提供することにある。
【0013】
さらに本発明では、本編のデジタル映画の中に広告スペースを設けておき、宣伝広告を入れるようにすることにより、より顧客に対する宣伝効果を得られるシステムをえることにある。
さらに本発明では、多数の観客を対象にして、その観客の自然な態度による意思表示を基にしてストーリーが進展していくデジタル映画システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によるデジタル映画システムは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部と、該デジタル映画の前記デジタル情報組込み部に組込む画像情報を登録する顧客データ登録手段と、該顧客データ登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段と、該集計・選出手段により集計・選出された顧客情報を加工して事前に用意された前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部に組込むために、上映前に顧客データを顧客データ登録手段から登録しておき、上映映画が求める情報を顧客データベースから収集して、最適の情報を選び出してその情報を加工して前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル組込み手段から構成されており、顧客情報を上映映画の中に組込むのである。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項2記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、顧客データベースを集計した集計結果を基に、予め用意された音声情報を選択してデジタル情報組込み部に組込むことを特徴としている。
この発明によれば、顧客データベースを集計した集計結果を、音声としてデジタル映画のデジタル情報組込み部に組込むことができるのである。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項3記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索した結果を基に、予め用意された音声情報を選択してデジタル情報組込み部に組込むことを特徴としている。
この発明によれば、予め用意された検索条件で顧客データベースを検索し、その結果を予め用意された音声情報の中から選び出してデジタル情報組込み部に組込まれ、違和感のない音声情報として再現する。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項4記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、適合する顧客の画像データを、予め用意されたデジタル情報組込み部に組込むことを特徴としている。
この発明によれば、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、その結果から該当する顧客の画像データを予め用意されたデジタル情報組込み部に組込み、映像情報とするのである。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項5記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、適合する顧客の電話番号情報を通信ソフトに設定し、デジタル映画の進行に伴い、予め設定された場面になると、前前記通信ソフトを用いて電話を掛けることを特徴とする。
この発明によれば、予め用意された検索条件を用いて検索された顧客データベースの中から選ばれた顧客の電話番号を通信ソフトに設定し、予め設定された場面になると電話を掛けるのである。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項6記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、顧客データベースのなかから採用された顧客の名前データを、予め用意されたスタッフロールのデータ書き込み部に登録し上映することを特徴とする。
この発明によれば、請求項1から5までなかで用いられた顧客データベースのなかから採用された顧客の名前データを、デジタル映画のスタッフロールの部分に登録して、上映時に採用者の名前を上映する。
【0021】
上記目的を達成するために、請求項7記載の発明によるデジタル映画システムは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部と、該デジタル映画の上映前に事前に広告情報をデジタル情報として登録する登録手段と、該登録手段において登録した広告情報を前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、デジタル映画のストーリー中に予め設けたデジタル情報組込み部を広告スペースとして用い、上映前に事前に広告情報をデジタル情報として登録しておき、この広告情報をデジタル情報組込み部に組込むのである。
【0022】
上記目的を達成するために、請求項8記載の発明によるデジタル映画システムは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられているストーリーを制御できるストーリー制御部と、前記デジタル映画を上映する劇場内に設けられ劇場内の観客の状況を把握する観客状況認識部と、該観客状況認識部で収集した観客状況を基に該デジタル映画のストーリー制御部に反映する顧客状況反映部と、該観客状況反映部の反映による該ストーリー制御部の制御結果が、ストーリーの次の展開を予め用意された複数の展開ストーリーの中から、何れを選択するかを決める選択手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、デジタル映画のストーリーを制御できるストーリー制御部に対し、劇場内の設けられた観客状況認識部にて観客の状況を収集して、該ストーリー制御部に収集した観客の状況に基づき顧客情報を反映して、ストーリー制御を行いその結果が、次のストーリーの展開を予め用意されたストーリーの中から選択するのである。これにより、観客が能動的にデジタル映画を見ているだけで、観客の状況を認識することができ、観客の行動様式を予測してストーリが展開できるのである。
【0024】
上記目的を達成するために請求項9によるデジタル映画システムでは、請求項8において観客状況認識部は、少なくとも劇場内の観客が発した音を認識する集音マイクであることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、デジタル映画を見ている劇場内の観客が発した音である声援や拍手等を集音マイクで捕え、それを元にストーリー展開を行っていくことができるのである。これにより、劇場内の観客が発した意志表示を音として捕えてデジタル映画のストーリーに反映することができるのである。
【0026】
上記目的を達成するために請求項10によるデジタル映画システムでは、請求項8において、観客状況認識部は、劇場内の観客の動向を各種のパラメータを用いて、総合的に認識することを特徴とする。
この発明によれば、デジタル映画を見ている劇場内の観客の状況を各種のパラメータを用いて認識でき、顧客の状況を多角的に認識できるのである。これにより、顧客の状況をいろんな観点から認識でき、それを元にデジタル映画のストーリーを展開することができるのである。
【0027】
上記目的を達成するために請求項11によるデジタル映画システムでは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたストーリー分岐部と、ストーリー分岐部において分岐可能に予め用意された複数のストーリーと、事前に顧客の固有情報を登録する顧客データ登録手段と、該デジタル映画上映時に来場している顧客を対象に前記顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出する集計・選出手段と、該集計・選出手段によって集計された結果に基づき、前記ストーリー分岐部から次のストーリーを選択して分岐する分岐手段とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして顧客データを集計・選出し、集計・選出結果をもとにストーリー分岐部から次のストーリーを選択することができる。
これにより、顧客の嗜好にあったストーリーを展開することができ、顧客の満足度を増すことができるのである。
【0029】
上記目的を達成するために請求項12によるデジタル映画システムでは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられた情報組込み部と、前記情報組み込み部に対応して予め用意されている複数の組込み情報と、事前に顧客の固有情報を登録する顧客データ登録手段と、該顧客データ登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段と、該集計・選出手段により集計・選出された顧客に対応する組込み情報を前記複数の組込み情報から選択する選択手段と、該選択手段により選択された組込み情報を前記情報組込み部に組込む組込み手段とを備えたことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、デジタル映画のストーリーに予め設けられた情報組込み部に対して、予め用意されている複数の組込み情報があるので、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして前記情報組込み部に適合する顧客データを集計・選出して、選出された顧客に対応する組込み情報を前記複数の組込み情報から選択して、選択された情報を前記情報組込み部に組込むことで、予め用意されている情報であるが、来場している観客に対応する情報を組込むことができるのである。これにより選出された観客は、自分の属性が映画上に表れるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0031】
上記目的を達成するために請求項12におけるデジタル映画システムでは、情報組込み部に組込む情報はデジタル映画上映時に来場している顧客を対象に顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出された顧客の名前の音声情報であることを特徴とする。
これにより選出された観客は、自分の名前が呼ばれるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るデジタル映画システムの実施形態を図面に図示した実施例を参照して詳細に説明する。
【0033】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細に説明する。図1は、参加型デジタル映像システム全体の概要図である。
【0034】
本来、映画とは銀塩フイルムに映像・音響情報が固定され、常に同一の順序にで映像・音響がもたらされるものであったが、ここでいうデジタル映画とは、コンピュータの大容量の記憶装置に映像情報、音声情報がデジタル信号として記憶されているのみならず、コンピュータプログラムによって映像情報をその場でリアルタイムに計算させて発生させたり、記憶装置内に細切れにして映像情報や音声情報を記憶しておき、上映時にこれらの映像情報等を連続的につなぎ合わせたり、あるいは合成したりすることで、デジタル技術を用い自在に編集可能な映像・音響を発生させながら、上映時に従来の映画同様に一本のストーリーに仕立てて上映することができるものをいう。
【0035】
先ず、同図を用いてシステム全体の概略を説明する。デジタル映像配給会社1は、デジタル映画等のコンテンツ情報をコンピュータ2の記憶装置3に有しており、超高速回線4を通じ、デジタル映画の上映を行う各劇場5に配信する。配信情報は、映画の映像、音声はもとより、配信先の劇場のコンピュータを動作させるソフトウエアが含まれる。
記憶装置3としては、ハードディスクやフラッシュラム等、大規模なデジタル情報が書込、消去が可能で、即座にアクセス可能な媒体が用いられる。
【0036】
各劇場5では、配給会社1から配信されてきたコンテンツ情報をコンテンツ保存用大容量の記憶装置6にダウンロードする。超高速回線4は、電気通信業者の回線・送信設備であるブロードバンドのDSL(Digital Subscriber Line:デジタル加入者線)、CATV(ケーブルテレビ)、光ファイバーケーブルや通信衛星を用いる。
【0037】
各劇場5では、コンテンツ保存用大容量の記憶装置6に納められている映像・音響情報をプロジェクタ等の上映装置7からスクリーン8に上映する。
各映画館5ではパソコン等の運行管理端末9にて、上映管理を行う。映画館では上映にあたり、記憶装置6に納められているコンテンツ情報の中から、今回上映する映画、次回上映の予告編、広告映画、ニュース映画等の各種コンテンツを用いてその映画館独自の上映プログラムを組んだり、複数の上映室がある場合では、どの上映室にどの映画を上映するかを、運行管理する。
【0038】
さらに顧客管理として、顧客から提出された登録申請用紙を入出力装置11を用いて映画館独自の会員カードを発行し、顧客情報を顧客データベース10に収集する。
各映画館5では、顧客データの収集をするために事前に映画友の会としての会員登録をしてもらい、登録申請用紙に、登録者の住所、名前、生年月日、血液型、ドナー登録の有無、嗜好、好きなジュース、好きな俳優、好きな映画のジャンル、衣類の好み、等を記載してもらい写真を貼って申請してもらう。登録申請用紙と引き換えに会員には機械読取り可能なID情報が入った写真付きの会員カード12を本人に渡しておく。
【0039】
これにより、映画館側では、これらのデータを顧客データベース10に記憶して、顧客管理を行うことができる。この顧客データベース10に登録した会員が映画を観る際に、受付で入出力装置11を用いて顧客が提示した会員カード12を読み取り、読み取ったID情報から顧客を特定して会員価格で映画を提供するとともに、どの会員がどの映画を観るのか把握することができる。これにより、各会員毎の嗜好を把握することができ、その会員の嗜好に応じて映画の案内等ができるようになり、様々なサービスを提供することができる。
【0040】
次に顧客のデータを登録するための各種の方法を示す。例えば、顧客が保有する携帯電話13を用いて会員登録することができる。この携帯電話13は、インターネットを利用して配給会社あるいは映画館のホームページにアクセスして、会員登録をする。このホームページには、顧客の住所、電話番号、生年月日、血液型、氏名、嗜好、好きな飲み物、好きな俳優、好きな映画、衣類の好み、好きな色、等を記載して貰い、自分の顔写真を取り込み、登録することで会員登録を行い、ID情報を携帯電話13に登録する。
【0041】
この携帯電話13では、映画館で映画を見る際に会員登録した際に、発行されたID情報を携帯電話の記憶部あるいは、先ほどのホームページにアクセスしてIDを携帯電話の画像表示部にバーコード等の機械読取り可能な状態にして、映画館の受付に提示し、受付ではその顧客の画像表示部に表示されたID情報を入出力装置11を用いて、会員であることを確認する。あるいは携帯電話の赤外線通信機能を活用にして、会員が赤外線通信で入出力装置11に会員番号のデータを送信する方式でもよい。
これにより映画館では、会員であることがチェックでき、会員価格あるいは、会員サービスにて映画を提供することができる。
【0042】
さらに会員カードの代わりとして次世代クレジットカードや次世代の免許証をIDカードとして用いる方法を述べる。これは事前に次世代クレジットカードや次世代免許証等のIDが内蔵されたIDカード14に顔写真を含む個人情報を登録しておき、上記会員カードの説明で用いられた情報項目のみを入出力装置11で読み取るようにしてある。
【0043】
あるいは会員登録時にID番号と会員の顔写真が印刷された会員チケット15を登録会員に渡しておき、映画を鑑賞する際には、この会員チケット15とともに受け付けに提出することを義務付けておく。この会員チケット15の提出が映画の鑑賞時の割引券となっており、他人への譲渡は無効としてある。このチェックは会員チケット15の顔写真が印刷されているので受付時にチェックが可能である。
【0044】
劇場の受付では、顧客がこの会員チケット15を提出すると、その鑑賞料金を会損価格で徴収するとともに、入出力装置11にかけることにより、会員番号をID番号から読み取り、どの会員が入場したかを把握するとともに、ID番号から顧客データベース10に照会し、会員登録時に登録した顧客データを把握することができるのである。これらのID情報は入出力装置11を用いて接触的にあるいは非接触的に読取可能となっている。非接触で読み取るにはバーコード式やコイルを内蔵したIDを採用している。
【0045】
会員価格とは通常料金より料金を割り引いたり、会員サービスとはその映画のポスターやグッズ16をもれなく、あるいは抽選でプレゼントしたり、または顧客データベースの情報を用いて上映映画に特別出演することができるのである。
例えば子供向けの映画では子供にもれなくグッズ16をプレゼントする。あるいは、抽選でプレゼントするのである。
抽選でプレゼントするには、顧客のID情報を入出力装置11で読み取った際に、顧客にも公平性が判るようにして実際に、あるいはモニター画面に映し出される籖やルーレットあるいはサイコロ等を用いて行われる。
【0046】
次に上映映画に観客が特別出演する形態について図2を用いて述べる。デジタル映像配給会社1は、デジタル映画等のコンテンツ情報をコンピュータ2の記憶装置3に有しており、超高速回線4を通じ、デジタル映画の上映を行う各劇場5に配信する。この映画は予めデジタル映像配給会社1において、観客参加型映画として作られており、予め映画の内容が固定ではなく、その一部に各劇場の観客18が参加できるように、顧客データベース10の情報がはめ込み、あるいは顧客データベース10の特定の情報を用いて上映内容が分岐するように作られている。
【0047】
デジタル映像配給会社1では、映画情報を各劇場に配信するあたり、各劇場で受付けた観覧者の顧客データベース10を取り込むソフトウエア(コンピュータプログラム)とともに配信してある。
そして劇場の観覧席17に座っている観客18に対し、運行管理端末9から上映指示を行うことで、映画情報を記録した記憶装置6から上映する映画のストーリーに沿ってデジタル信号を読出して順次、上映装置7からスクリーン8に映画を上映する。
【0048】
各劇場の運行管理端末9では、その映画を観覧している観客18が受付の入出力装置11にて把握されている。この把握は、上述したとおり劇場への入場の際の鑑賞チケットの販売時や、鑑賞チケットの回収時に、あるいは上映に際してCM上映中に顧客に対して、登録用紙への記入でもよいし、さらには各顧客がIDを内蔵した携帯電話やIDカードや携帯情報端末PDAを保有しているのであれば、入出力装置11から必要とする顧客データを顧客データベースに読み取れるのである。この入出力装置11は劇場の受付に設けておかなくても、劇場内に設置し、顧客が各自のデータを登録したり、あるいは無線アンテナを用いて各顧客の携帯電話等から顧客データを収集してもよい。
【0049】
このデジタル映画は配給会社1から配信されてきたソフトウエアを用いて、現在、その劇場で当該映画を観覧している顧客の顧客データベース10から、該ソフトウエアにより指示される情報に適合する観客の一人のある情報を選択して、あるいは現在の観客のうち顧客データベース10に登録されている顧客全部のデータを加工し、映画の一部に組み込み上映するのである。
【0050】
図3に記憶媒体内に記録されたデジタル情報を示す。これは配給会社の記憶装置から配信されて劇場の記憶装置6に記憶されるのである。記憶装置は、大容量の記憶容量を有するデジタルハードディスクやフラッシュラム等、大規模なデジタル情報が書込、消去が可能で、即座にアクセス可能な媒体が用いられる。これにより、大量のデジタル情報を保管し、非常に高速で検索でき、またどのような順番でも検索が可能である。
【0051】
記憶装置6では、この映画に用いるソフトウエア(コンピュータプログラム)Sや、その映画の映像情報(1)、(2)・・とその映像情報に対応する音声情報(1)、(2)・・がデジタル信号として記録されており、その情報は全てアドレス情報(1)、(2)・・によりその部分が記憶装置の記憶領域のどの範囲に記憶されているか、さらにそれに続く次の部分がどこの領域に記憶されているかかの情報が記憶されている。
【0052】
これはアドレス情報部にスタート番地、終了番地、次のシーンの番地等が記憶おり、スタート番地を指定することでその映画シーンの頭出しができ、次のシーンの番地を指定することで、そのシーンに続く次のシーンの頭出しができる。実際にはこれらの映画シーンの情報が2次元的に記憶され、いずれの映画シーンにも番地を指定することで並んでいる順番に無関係に瞬時にアクセスされる。
【0053】
このアドレスの情報により、記憶装置に映画の各シーンが連続して記憶されていなくても次の場面を検索でき、一連の映画として再生できるのである。映画の上映速度よりもデジタル情報の検索速度が速いので、映画が途中で切れることなく再生が可能である。 これにより映画シーンM1が上映されると、映画シーンM1を再生した後に次に再生する映画シーンの頭にジャンプするためのジャンプ先となる映画の開始番地の情報を記録しておくことにより、映画シーンM2を上映するか、あるいは映画シーンM3を上映するかの分岐をすることが可能となる。
【0054】
次のジャンプ先の記憶場所は記憶装置の記憶領域内で隣接している必要はなく、記憶領域のどこにあっても映画の上映が途切れることなく再生できる。これはコンピュータが記憶装置から読み出したデジタル情報を高速転送させるためにキャッシュメモリを用いて、映画として再生している間に次にデジタル情報にアクセスすることで実現される。
【0055】
これにより、劇場のコンピュータで記憶装置に記憶されている各々のアドレス部分の次の再生領域を示すジャンプ先情報を変えることで、各場面をどの順番で再生するかを分岐させることができるのである。例えば映画シーン(1)の次は、映画シーン(4)、その次は映画シーン(2)部分というように各映画シーンの終了後の次のジャンプ先を決めることで行われる。これにより映画の流れのなかに、予め用意された選択可能な分岐部分を差込んで、映画を連続的に上映することができる。
【0056】
<第1実施例>
上映映画の第1実施例として、題名「君といた夏」について図4のスクリプト(脚本)と図5のフローチャートに従い説明する。スクリプト中、顧客データベース10からの情報を組み入れる個所は「DB」で示す。
上映劇場には、デジタル映画「君といた夏」がデジタル情報として、その映画のコンピュータプログラムPとともに劇場の記憶装置6に配信され、劇場のコンピュータ9にコンピュータプログラムを取り込み、前回上映時に操作した各種情報を初期値に戻しスタートする。
【0057】
観客は劇場の入場時に会員番号をチェックされる(ステップ1)。この映画は恋愛映画であり、この映画で星占いをするシーンが含まれており、映画情報とともに配信されているコンピュータプログラムにより、本日の最高の運勢の人の誕生日の日付を確定し記憶しておく(ステップ2)。
上映時刻になると、記憶装置6に納められているデジタル映画情報を上映装置7からスクリーン8に映画が映し出される。
【0058】
運行管理端末9では、受付で現在この映画を観覧している顧客のうち、会員カードあるいは携帯電話等により、会員であることをチェックできた顧客に対しては既に顧客データベース10に予め登録されている各種のデータのなかから、この映画のソフトウエアにより、この映画の分岐シーンにて必要とされるデータを抽出する。
【0059】
この映画ではヒロインの星座が乙女座であり、毎回上映毎に入場者のなかで、乙女座の人数について、述べるシーンがある。スクリプトのDB1で示す部分である。このため、入場者のなかから乙女座の人数を顧客データベースから把握している(ステップ3)。そして予め設定した人数N人より多いかどうかを算定し(ステップ4)、多ければ映画分岐データ1にヒロインがスクリーンを見ている観客を観ながら「今日は乙女座が多く、満足しているわ。」というシーンを選び(ステップ5)、少なければ映画分岐データ1にヒロインが観客を観ながら「今日は乙女座は少ないわね。」というシーンを選んでおく(ステップ6)。これは分岐直前のシーンにおける映画シーンのアドレスに記録されている次のジャンプ先情報を選ぶことで行われる。
【0060】
次にステップ1での星占いの結果、その日の最高の運勢が9月10日になった場合、顧客データベース10の中から、生年月日が9月10日生まれの人を選び出し、携帯電話の番号を把握し(ステップ7)、そこで選ばれた人の性別を判定する(ステップ8)。ここで選ばれた人が男性ならば、映画分岐シーン2にヒロインが観客席を正面に見据えて「そこの彼氏!」と呼びかけるシーンを選び(ステップ9)、選ばれた人が女性ならば映画分岐シーン2にヒロインが観客席を見据えて「そこの彼女!」と呼びかけるシーンを選んでおく(ステップ10)。スクリプトのDB2、DB3で示す部分である。ここでも前回同様に、直前の映画シーンにおけるアドレスの次のジャンプ先情報をいずれかに選ぶことで行われる。
【0061】
さらに顧客データベース10の中から、携帯電話を保有している男性客の一人を選び出しておき、通信ソフトに電話番号を設定しておく(ステップ11)。この男性客は観客の中から任意に選んでもよいが、対象となる観客が多数いる場合では、年齢制限を設けてその中から選ぶほうがより、年齢的に違和感なく相応しくなる。
【0062】
映画のストーリーが進んで、ヒロインが女性雑誌の星占いの項目を見つめるシーンがスクリーン8に映し出される。そこでヒロインは「今日の星占いは・・私は乙女座と・・。」
ここで、映画の分岐シーンに移る。先ほど顧客データベースから、乙女座の人数から映画分岐シーン1が決められている。
【0063】
そしてヒロインの顔が劇場の観客席を向きながら「乙女座と言えば:映画分岐シーン1」(ステップ12)が流れる。つまり今回の観客のなかで乙女座の人が多ければ、ヒロインは「今日は乙女座が多く、満足しているわ」という分岐映像シーン(ステップ5)が流れ、乙女座の人が少なければ「今日は乙女座は少ないわね」という分岐映像シーン(ステップ6)が流れる。これも直前のシーンのアドレスの次のジャンプ先を選ぶことにより、これらの映像は、映像に途切れなく、記憶装置6にて映像が連続的に読み出され、映画を観ている観客には映画が分岐しているのさえ、判らないようになっている。
【0064】
ヒロインは次に女性雑誌を食いいるように見つめながら「今日の最高の運は・・:分岐シーン2 のそこの:分岐シーン3」と観客席を見るシーンになる。スクリプトのDB2、DB3の部分が上映される。ここでステップ1にて「9月10生まれ」という分岐シーンが算定されており、ステップ7において9月10日生まれに該当する観客の性別と携帯電話の番号が把握されている。
【0065】
もし、観客が女性であれば、ヒロインは2つの分岐シーンを連続した映像のように「今日の最高の運は・・9月10日生まれのそこの彼女!」というせりふを言う(ステップ13)。さらにその直後に該当する観客の携帯電話が鳴る。そして、観客が携帯電話に出ると、「今日の最高の運勢はあなたよ!」と当該客に音声あるいはメールにて知らせる(ステップ14)。
もし、観客が男性であれば,ヒロインのせりふは「今日の最高の運は・・9月10日生まれのそこの彼氏!」となる。これも直前の映画シーンのアドレスの次のジャンプ先を選択することで実現されている。
【0066】
さらに映画が進行して、ヒロインの友達が友達に電話をかけるシーンになる。ヒロインの友達が「あ、ちょっと待って! タカシ君に電話をかけるね・・」という台詞とともに、電話をかけるシーンになる。すると観客のうち、ステップ11で選定されている観覧している男性客のうちの一人の携帯電話13が鳴る。ストーリーボードのDB4の部分である。
【0067】
図5に映画を鑑賞している観客の一人の携帯電話が鳴るシステムを示す。
これは、コンピュータ9が自動的にステップ11において、顧客データベース10の中から、携帯電話を保有している男性客の一人を選び出して通信ソフトに登録してあるので、上映中にタイミングを計り、その携帯電話に自動的に電話を掛けるのである(ステップ15)。これはスクリーン8にヒロインが電話を掛ける映像を映写機から大写しで映し出し、そのタイミングに合わせ観客15aの一人に電話をしているのである。
携帯電話の鳴った男性客15aが電話に出た瞬間、劇場内に設けた入出力装置11であるアンテナがそれを検出し、あるいは電話にでなくても映画のシーンはヒロインの友達が「タカシ君、いないみたいね・・」といって電話を切るシーンとなる。
【0068】
ここで劇場内では、劇場外からの携帯電話の呼び出し電波を除去する装置を設置しておき、上映中に不意に外部からの呼び出し音が鳴らないようにしてあってもよい。この場合は、映画の進行上、上記通信ソフトに登録してある劇場内にいる映画鑑賞者に対しては劇場内に設置されてあるアンテナの入出力装置11により、呼び出し信号が発信されるのである。この方が映画の鑑賞にあたり、顧客の有する携帯電話が不意に鳴って、鑑賞の邪魔をすることが防げるのである。
【0069】
やがて映画はクライマックスを迎え、映画が終わりスタッフロールが流れると、出演者の特別出演の項目に今回の映画上映にあたり、本日の最高の運勢の9月10日生まれの彼女の名前(ステップ16)、ヒロインの友達が電話した不在の彼氏タカシの名前(ステップ17)が流れる。スクリプトのDB5、DB6の部分である。これにより、映画に登場した本人は、映画の最後のスタッフロールに自分の名前を発見するのである。
【0070】
これらはデータベースから当該者の名前が把握されており、図5のスクリプトのスタッフロール画面に示すように映画のエンディングのスタッフロールの特別出演の項目に表示されるのである。該当者は自分の名前が載っていることで満足感を得ることができる。これは図3に示す記憶装置のスタッフロール部分の映像信号に名前を加えることで実現される。
無論、劇場側ではこれらの特別出演者を把握できるので、映画が終わった際に該当者が会員カード12あるいは携帯電話13に会員である旨の画面を出して受付に提示することや、次世代IDカードを提示することで、入出力装置11でチェックして(ステップ17)、記念品やサービスチケットを配布してもよい。
【0071】
<第2実施例>
映画の第2実施例として、顧客のデータをデジタル映画の中に登場させることについて述べる。
題名「沈黙の007」について図7のスクリプト(脚本)と図8のフローチャートに従い説明する。
この映画はアクション映画であり、この映画ではヒーローがスパイに追われて、走りぬける背景のホスターに観客の顔写真が使われるシーンと、手術で血液を提供するドナー登録者を選ぶためカルテで観客の顔写真を用いるシーンがある。
【0072】
上映劇場には、デジタル映画「沈黙の007」がデジタル情報として、その映画のコンピュータプログラムPとともに劇場の記憶装置6に配信され、劇場のコンピュータ9にコンピュータプログラムを取り込み、前回上映時に操作した各種情報を初期値に戻しスタートする。
観客は劇場の入場時に会員番号をチェックされる(ステップ21)。会員は、予め、血液型、ドナー登録の有無、顔写真が顧客データベースに登録されている。顔写真の登録の有無を調べ(ステップ22)、登録されていなければ入場の際に受付で顔写真がある免許証等の提示を受け、またはその場で顔写真を撮影し顧客データベース10に登録してもよい(ステップ23)。上映時刻になると、記憶装置6に納められているデジタル映画情報を上映装置7からスクリーン8に映画が映し出される。
【0073】
運行管理端末9では、受付で現在この映画を観覧している顧客のうち、会員カードあるいは携帯電話等により、会員であることをチェックできた顧客や、入場の際に氏名、血液型、ドナーカードの有無、顔写真が登録することができた顧客の各種データが顧客データベース10に登録されている。
【0074】
顧客データベース10に予め登録された各種のデータのなかから、配給会社から配信されたこの映画のソフトウエア(コンピュータプログラム)により、この映画の観客出演シーンにて必要とされるデータを抽出する。この映画では、顧客の顔写真が映画の背景となるポスターに用いられる。顧客データベース10には、各顧客の顔写真がデジタル画像で登録されており、その中から映画で使われる顔写真を全顧客データベースの中から選び出す(ステップ24)。
【0075】
このポスターは主人公がスパイから追われ、街中を走り抜ける際に、街角に貼られているポスターである。図7に示すスクリプトのP1の部分である。そのため顧客データベース10の中から年齢、性別等の条件で選別された顧客の顔写真を選び出し、その顔写真画像に対し映画のポスターに違和感なく適合するように自動的に補正され、各コマに組み込み処理を自動的に行い、記憶装置6に記録する(ステップ25)。これは予め組込みシーンのヘッダー情報が判っており、このシーンの映像情報を読み出して、各コマ毎に顧客の顔写真を画像の色調や明度やカラーバランス等を調整し違和感なくさせる自動補正を行い組込み合成するのである。その自動補正の一例としては、予め基準となるポスターを用意しておき、これと同じカラーバランスになるように補正するのである。このシーンは組込み処理が完了したら、記憶装置6に記憶する。
【0076】
この補正は例えばポスターが白黒調であれば、モノクロ2階調にモード変換させて、当該シーンで用いられるポスターに適合させる。もちろん映画では、そのポスターが映るシーンでは、ポスターは必ずしも正面からみたカメラ位置とはならないので、見た目に違和感なく見えるように、カメラ視点から見えるように変形した画像となることがあるので、当該画像もそれに適合させるべく各コマ毎に変形させて、そのポスターが映る各コマ毎に組み込み処理を自動的に行うのである。
【0077】
これはコンピュータが記憶装置から読み出したデジタル情報を高速転送させるためにキャッシュメモリを用いて、映画として再生している間に次にデジタル情報にアクセスすることで実現される。
この組込み処理は際に顧客写真を合成したシーンを記憶した記憶装置の記憶領域のアドレスにアクセスできるように、記憶装置に記憶されている直前シーンのアドレスに記録されている次のジャンプ先の情報と連動させる。ここでは組込みシーンに対して顧客画像を組込み、記憶装置の別の場所に記憶させるので、直前の映画シーンのアドレスのなかの次のジャンプ先情報を画像組込した新たな映画シーンの開始番地として指定するのである。
そして予定されたコマ数に達するまで各コマ毎に補正しながら組込み処理を行い、予定されたコマ数の組込み処理が行われたなら次に進む(ステップ26)。
【0078】
次に、スクリプトのP2に示すカルテにドナー登録者として観客の名前と顔写真が用いられるシーン用に、顧客データベース10の登録データから、年齢的に献血が可能でドナー登録してある人のなかから、血液型がAB型の顧客を選び出す(ステップ27)。
選び出された顧客データから名前のローマ字と顔写真データを映画で用いられるカルテに合わせて、違和感ないように顔写真画像にカラーバランスや色調等を自動的に調整し、各コマに組込み、記録装置6に記憶する(ステップ28)。
【0079】
ここでの名前はカルテであるので、手書きの文字書体にしてある。カルテの写真が映る各コマに合わせて、カメラ視点からみて違和感ないように名前のローマ字と当該顔写真画像を変形させてカルテに組み込む処理を自動的に行うのである。これにより、顧客の手書きの名前と写真が貼り付けられたカルテが得られるのである。
【0080】
ここは、看護婦がカルテを選び出して医者に「彼の血敵なら大丈夫かと・・」と言いながら手渡し、医者が手にしたカルテには前記顧客の名前が手書きで書かれ、顔写真が貼られているシーンである。従って、名前と顔写真はカルテの動きに対して、自然な動きで見えるように各コマ毎に、名前の字体、顔写真ついて、カルテの周囲に合わせカラーバランスや色調整、反射を各コマ毎にカルテの動きに合わせなら、カメラ視点を一致させる補正を自動的に行い、記録装置6に組込み処理を行う。ここでも記憶装置の新たな記憶領域に組込み処理された映画シーンを記憶するので、この映画シーンの開始番地を直前の映画シーンのジャンプ先にしておく。
【0081】
そして予定されたコマ数に達するまで各コマ毎に補正しながら組込み処理を行い、予定されたコマ数の組込み処理が行われたなら次に進む(ステップ29)。
上記で選出された顧客の名前をオープニングのスタッフロールに出演者の特別出演の項目に名前を載せるべく、採用された顧客の名前を予め記憶装置6に記録しておく(ステップ30)。これはオープニングスタッフロールのシーンに顧客の名前を合成し、記憶装置の顧客名入りのオープニングスタッフロールの記憶領域に記憶し、直前のスタッフロールシーンのアドレス情報のうち、次のジャンプ先を新たに更新しておくのである。
【0082】
そして映画が上演された時点で流れるオープニングスタッフのなかに図7のスクリプト中のN1、N2に示すように出演者の氏名が流れるのである(ステップ30)。つまり、主人公がスパイから追われ、街中を走り抜ける際に、街角に貼られているポスターのモデルとなる顧客の名前がN1に、そしてカルテの顔写真に採用され血液を提供するドナー役の顧客の名前がN2に表示される。
【0083】
オープニングのスタッフロールは映画開始直後に流れ(ステップ31)、この段階で観客が注意してスタッフロールを見ていれば、自分がこの映画のどこかで出演することがわかり、どこのシーンで出てくるのかドキドキしながら映画を観ることができるのである。
【0084】
そして映画は主人公がスパイに追われて街角を走り抜ける場面(ステップ32)においてステップ25で加工処理された観客の顔写真を加工したポスターが周囲と違和感なく映像として映し出される。ここで、先ほどの顧客は自分の顔写真がポスター調となって映し出されるのを観て驚くとともに、映像としての出来具合を堪能するのである。
【0085】
そして映画のストーリーは進み、主人公の親友のマイクがスパイに撃たれ、瀕死の重傷となっている。病院で手術をするために輸血が必要となってくる。手術に先立ちドナーを探し出すためドナー登録者を探すシーンになる。
医担当は血液検査結果を見ながら看護婦に対し「彼の血液型はAB型・・ドナー登録者は?」と尋ねる。
【0086】
看護婦はドナーを探し出すためドナー登録者のカルテの束をめくり、やがて一枚のカルテで手が止まり「彼の血液型なら大丈夫かと・・」と言いながら担当医にカルテを見せる。医者に見せたカルテが大写しになる。するとそこに貼られている顔写真と名前が、ステップ28で組込処理された観客の一人の名前と顔写真がカルテの動きに合わせて違和感なく、映し出されるのである(ステップ33)。
ここも直前シーンのアドレスの次のジャンプ先が顧客の顔写真が合成されたシーンの開始番地に変更してある。
【0087】
これを観た観客は、自分の名前と顔写真がスクリーンに大写しになることで、いかにも映画出演をしているように感じることができる。その後のシーンは自分の血液の輸血により主人公のマイクを助けられるので、ドナー登録しておいた甲斐があったと思うようになるのである。これにより、ドナー登録者は自分が映画の主人公を助けたヒーローになった気分で、映画に引き込まれ没頭できるのである。
【0088】
やがて映画はクライマックスを迎え、映画が終了しスタッフロールが流れると(ステップ34)、出演者の特別出演の項目に自分の名前を再度確認することができ、該当者は自分の名前が載っていることで満足感を得ることができる。
劇場側ではこれらの特別出演者を把握できるので、映画が終わった際に該当者が会員カード12あるいは携帯電話13に会員である旨の画面を出して受付に提示することで(ステップ35)、記念品やサービスチケットを配布してもよい。
尚、上記実施形態では静止画を組込んだが、勿論、顧客の動画が用意できれば、例えば街中を歩くエキストラとしての動画像でもよいし、顧客の声だけの音声での出演とすることも可能である。
【0089】
顧客の顔写真を違和感なく用いる例として、例えば犯罪組織を長年捜査している捜査員達の捜査会議が開かれている。その犯罪組織の実体解明をするために、犯罪組織のメンバーを特定するために、長年その犯罪組織を追っており、様々なところにそのメンバーが出現しており、捜査会議の中では目撃された不特定多数の人達のなかに犯罪組織のメンバーが紛れ込んでいる設定をしておく。捜査会議では、その不特定多数の人々の中から犯罪組織のメンバーと目される者を特定する会議が行われている。長年の捜査により、ある程度メンバーは解って来たが、十分ではなく、会議はその会場を訪れた人達の写真映像を見ながら、犯罪メンバー認定を行っている。その模様は、一人一人の顔写真が映し出されるモニターを見ながら、一般人か犯罪メンバーかを特定するのである。
【0090】
モニターには、犯罪組織のメンバーと一般人とが混在しており、モニター画面に順次映し出され、白黒をつけていくのである。
その中で、一般人の顔写真のなかに、来場している観客の顔写真を用いるのである。この方法は、前記したカルテの顔写真のところで述べたとおりである。この設定は各地で目撃された一般人の設定であるから、写真映りが同一では不自然であり、むしろ、事前に登録した顧客の顔写真がごく自然に見えるのである。効することにより、映し出される顔写真にモニターの枠が付くので、顧客の顔写真の画像の色調や明度やカラーバランスが異なっていても違和感がないのである。
【0091】
<第3実施例>
本願の実施例においては、顧客参加を主として説明してきたが、次に広告宣伝や伝言に用いる第3実施例を説明する。
デジタル映画の街中の風景にある広告ポスターにおいて、主人公がその広告を背景にしてタバコを吸い、しばらくその場面が固定されるようにしておくことで、ポスター部分が映画の観客が見入るような場面設定をしておく。
さらに主人公がゆっくりと歩く街中の背景にポスターがあるような場面を設けておいてもよい。
【0092】
これにより事前にポスター部分を組替え可能としておくことにより、たとえばその劇場や配給会社が広告を募集し、依頼主の広告映像を組込むことが可能となる。
この場合は事前に広告代理店等を会して広告を募集してもよいし、あるいは直接劇場で広告を募集してもよく、依頼主が事前に持ち込んだポスター等の映像をデジタル映画の中のポスター画面に自然に見えるように画像処理を施し組込むことが可能となる。
【0093】
事前に劇場の顧客データベースには、顧客の嗜好に関するデータが登録されているので、上映映画における集客された観客に対して効率よい宣伝が可能となり、それは広告主に対するアピールとなる。
例えば、顧客データ登録にあたり予め好きなジュースのデータがあるので、飲料メーカが広告を出すにあたり、事前に広告を受け取る対象者の嗜好を把握でき、どのような広告を出すべきかを事前に検討できるのであり、対象者に的を得た広告を出すことが可能となるのである。
【0094】
これにより、配給会社あるいは劇場では、広告主に対し来場者の嗜好を伝えて広く広告主を募集することができる。さらに広告主にとっては対象者の嗜好が事前にわかり効率的な広告を行え、劇場側としても広告収入を得ることができ、一挙両得となるのである。
【0095】
あるいは、依頼主はポスターの背景は事前に用意された中から選択し、その上に文字で広告を入れるようにしてもよく、この場合は簡単にポスター画像上に依頼主の文字広告を入れることが可能となる。これは配給会社側や劇場側で依頼主の希望にそった文字を縦書きや横書き、デザイン文字を用いてポスターに入れることにより行われるのである。勿論、ポスターでなくとも、その映画で映し出される小物、例えば酒瓶のラベルに広告文字を入れるようにしてもよい。この場合、依頼主から依頼されたラベル用の絵や文字を、酒瓶のラベルに違和感なく嵌め込むために、画像処理ソフトにて加工して組込むのである。
勿論、広告は商業用の有料広告でなくても、政府広報等や無料の広告でもよい。
【0096】
文字を組込む例として駅の伝言板について記載する。主人公が、駅にある伝言板から、ある伝言を読む場面設定がある。伝言板は、不特定多数の人が、書き込むのであるから、それぞれの伝言内容は関連する必要がまったくない。
ここでは、顧客が事前に劇場の受付で、映画のなかに現われる伝言板にメッセージを書き入れることができるのである。事前、このことは来客に対し公示しておき、伝言板に書き入れたい内容を伝言板を模した用紙に書いて劇場の受付に提出し、劇場では受付係りが図2に示す入出力装置11のスキャナ機能を用いてデジタルデータとして取り込み、映画で映し出される伝言板の中に組込むのである。映画では、伝言板の内容を上からパンして全部映し出し、最後に主人公が必要とする伝言を大写ししてストーリーが展開されるようになっている。
【0097】
このようにして顧客が書いたメッセージがそのまま、映画の伝言板に組込まれるので、それを提出した顧客は、ある重要なメッセージを大勢の観客の前で伝えるチャンスを得るのである。例えば、そのメッセージは恋人への告白であったり、家族への感謝のメッセージであったりするのである。例えば「裕輝さん、愛している。OO子」と入れることで、恋人への告白を行うのである。
映画のストーリー上は、意味のないエキストラのメッセージではあるが、当人同志にとっては、大変重要なメッセージを大勢の観客の前で披露するのである。
【0091】
さらに主人公が、駅にある伝言板から、ある伝言を読む場面設定がある。伝言板は、不特定多数の人が、書き込むのであるから、それぞれの伝言内容は関連する必要がまったくない。
ここでは、顧客が事前に劇場の受付で、映画のなかに現われる伝言板にメッセージを書き入れることができるのである。事前、このことは来客に対し公示しておき、伝言板に書き入れたい内容を伝言板を模した用紙に書いて劇場の受付に提出し、劇場では図2に示す入出力装置11のスキャナ機能を用いてデジタルデータとして取り込み、顧客データベース10に登録され、複数の顧客から提出されたメッセージのなかから、上映に際して適合するメッセージを選出し、映画で映し出される伝言板の中に組込むのである。上映に際して適合する条件としては、メッセージの字数であったり、大きさであったり、伝言板に組込んだ際に違和感がないようにするためである。あるいは劇場側で、今回のメッセージ上映は女性ファンサービスと謳っているなら、会員が女性である人のメッセージを対象にする。これらのチェック機能は伝言板。
映画では、伝言板の内容を上からパンして全部映し出し、最後に主人公が必要とする伝言を大写ししてストーリーが展開されるようになっている。
【0092】
このようにして顧客が書いたメッセージがそのまま、映画の伝言板に組込まれるので、それを提出した顧客は、ある重要なメッセージを大勢の観客の前で伝えるチャンスを得るのである。例えば、そのメッセージは恋人への告白であったり、家族への感謝のメッセージであったりするのである。例えば「祐輝さん、愛している。OO子」と入れることで、恋人への告白を行うのである。
映画のストーリー上は、意味のないエキストラのメッセージではあるが、当人同志にとっては、大変重要なメッセージを大勢の観客の前で披露するのである。
【0093】
さらに、このメッセージを携帯電話のメール機能を用いて、劇場内の顧客ID送受信装置を介して送ってもよい。この場合、送受信装置でメールで送られたメッセージはデジタル情報であるから、伝言板に表示するには手書き文字の書体を用いて置き換えて、伝言板に組込む。複数人からのメッセージを伝言板に組込むには、それぞれ手書き文字の字体が同一に無いようにするために、異なる手書き文字書体を用いるほうがよい。
【0098】
さらに、このメッセージを携帯電話のメール機能を用いて、劇場内の顧客ID送受信装置11を介して送ってもよい。この場合、運行管理端末9では予め配給会社から配信されているメール伝言掲載機能ソフトを用いて会員番号、メールの字数や、禁止用語等のチェックを行い、上映可能なメッセージを選出し、メールで送られたメッセージを伝言板に表示するために事前にメール伝言掲載機能ソフトの手書き文字の書体を用いて置き換えて、ストーリー中の伝言板に組込む。複数人からのメッセージを伝言板に組込むには、それぞれ手書き文字の字体が同一にならないようにするために、異なる手書文字の書体を用いるほうがよい。
【0099】
<第4実施例>
映画の第4実施例としてコンピュータグラフィックス(CG)を用いたアニメ映画について説明する。図9にCGアニメ映画のストーリーの流れ図、図10にCGアニメ映画での綱引きの場面、図11に同フローチャートを示し説明する。
本実施例では、事前に顧客のデータとして顧客自ら積極的にデータを登録することを要しない。
【0100】
この映画は、子供用アニメ映画であり、主人公のキャラクターが敵方のモンスターをやつける内容となっている。
記憶装置6に記録されたデジタル映画の情報を運行管理端末9において読み出し上映装置7からすクリーン8に映し出し、スクリーン8には映画のストーリーSが展開し、主人公と敵方モンスターの一味と綱引きをする場面Fになる。
【0101】
映画のストーリーSが展開され(ステップ40)、そして段々と盛り上がって主人公とモンスターが綱引き勝負をする場面設定Fに移る。綱引きの場面は主人公とモンスターが左右に分れ綱を引く場面であり、映画のナレーションの音声は観客席17にいる観客18に対し、皆で応援しようと呼びかける(スップ41)。すると観客の子供達18aはそれに応えて「ガンバレー、ガンバレー」と声援を張り上げ、それを集音マイク19aで集音して(ステップ42)、声援の大きさが綱引きの映像に反映されるのである(ステップ43)。つまり声援が大きいと主人公側に綱が引かれ(ステップ44)、声が小さいとモンスター側に綱が引かれる(ステップ45)ように映像を変化させるのである。
映像が主人公に不利な場合は映画のナレーションの音声は、観客に対し声援をさらに呼びかけ(ステップ46)、勝負が着くまでステップ43に戻り、声援の大きさに主人公ががんばり、綱引きが続けられる(ステップ47)。
【0102】
勝負の結果(ステップ48)、主人公が綱引きに勝った場合には、綱引きに勝った場合のストーリーAが選ばれ(ステップ49)、引き分けの場合は引き分けになったストーリーB(ステップ50)、負けてしまった場合は負けたストーリーCが選ばれる(ステップ51)のである。
このように声援による応援いかんで、その後のストーリーが最高に声援できた場合、つまり綱引きに勝った場合のストーリーA、引き分けになった場合のストーリーB、負けてしまった場合のストーリーCが用意されており、勝敗結果によりそれぞれその後のストーリーが展開するようになっている。
【0103】
上述の説明では事前に顧客のデータとして顧客自ら積極的にデータを登録する必要はなく、その場面での観客の声援の大きさにより映画のストーリーに参加することができるようになっている。ステップ43での声援の大きさの処理について、以下のようにしてもよい。
【0104】
つまり観客(子供)の入場数に応じて、変化させるのである。ここでは入場者として、子供用切符(小人)で入場した人数は劇場の受付で把握できるので、綱引きの場面での子供の人数と集音マイクの位置に応じ、子供達の声援の大きさの基準を決めるのである。つまり子供の人数が少なくとも一生懸命声援している場合と人数が多く一生懸命応援している場合とでは集音マイクで集音される音の大きさは違うがこれは子供の人数、劇場の広さに対する関数として処理することで音の大きさの基準が作られる。これは予め劇場の反響測定等により求めることができる。
【0105】
このようにして子供の入場者数の多い少ないに限らず、一生懸命声援した場合は主人公が勝ち、声援が少ない場合には主人公は負けてしまうように設定してもよい。これには集音マイクからの入力音が一定以上の音のレベルを検出することで声援があったとしてもよい。集音マイクは劇場内の観客が発する音のみを検出するために、指向性マイクであるほうがよい。それでも同映画の上映に合わせて出力される音響を拾ってしまう場合は、その音響を打ち消す処理を集音した音に施したり、あるいは音響に無音状態を設けておき、その時に集音される音を測定してもよい。
【0106】
<第5実施例>
次に本発明の第5実施例として、寄席を題材にした演芸映画を例にして説明する。この映画は通常、寄席で行われる漫才や落語のネタ毎に一つのストーリーと数え、多数のネタが記憶装置内に記憶されている。
図12は演芸映画のストーリー展開を表す概略図である。事前に映画館側では図1の説明で述べた方法にて入出力装置11を用いて観客の顧客情報を顧客管理データベース10に取り込んである。これにより、来場している観覧者個々人の住所、出生地、名前、性別、生年月日、血液型、携帯電話の番号、等が把握されている。これらのデータを元に運行管理端末9は記憶装置6に複数用意されている演芸のストーリーの中から、観客にあった演芸映画のストーリーを選択する。
【0107】
記憶装置6内に複数用意されているストーリーには、各ネタ毎に属性情報として演題の種別(落語、漫才、浪曲、奇術等)、芸人情報(芸人名、出身地、年齢、性別)、ネタの地域性(大阪人向け、東京人向け、)ネタの対象年齢(若向き、中年向き、高年向き)、ネタの対象性別(男性向け、女性向け)等の属性データが割り当てられている。
【0108】
これにより、例えば、映画館が若者の街として知られる東京は渋谷にある場合、来場している顧客の層は生年月日のデータの集計から若人が多くなる。この場合、運行管理端末9は顧客データベース10を基に来場客の年齢を集計し、年齢層の大半が若年層であると判定したなら、人気若手芸人のネタを上映する。これにより入場客の若者にあったスタイリッシュでかっこいい演題を提供するので、顧客受けする人気のある番組が提供できる。
【0109】
次に映画館が年配の婦人が集まることで知られる巣鴨や、下町にある浅草にある場合は、来場者の層も年配者の場合が多い。この場合の運行管理端末9は顧客データベース10を基に来場客の年齢を集計し、年齢層が年配者であると判定したなら、ベテランの落語を上映し、人情噺で涙を誘い観客を引きつけるのである。
尚、上映映画館が関西にある場合では、出演者を上方の芸人の上方落語や漫才等のネタにするのである。
【0110】
次に顧客データベースの中から顧客の住所を基にして演題を決める方法について述べる。
これは運行管理端末9で顧客データベース10の顧客情報の住居情報を集計して判断される。
東京や大阪といった地域性を反映するために顧客の住居データの集計結果から、来場客の住居は関西圏の人が多いとなった場合には、運行管理端末9は大阪出身の芸人の映画を上映して顧客の層にあった上映を行うことにより、大阪人の気質にあったお笑いを提供する。もし来場客が関東圏の人が多いとなれば、運行管理端末では東京出身の芸人の演芸ストーリーを上映するのである。
【0111】
例えば、大阪の劇場では、顧客の大半が大阪人であろうが、その中に関東からの観光客が一部混ざっている場合、運行管理端末9では、大阪人向けのネタの中に関東圏向けのネタを入れることにより、関東からの観光客向けのネタを上映するのである。運行管理端末9は、顧客データベース10の集計を基にして顧客の居住地域のデータの割合から上映する映画のネタの地域種別を選択する。これには顧客の居住地域の比率を勘案して選び出す。例えば、来場客の比率が大阪と東京で90対10の割合の場合では、そのまま上映されるネタの対象地域が90対10としてもよいが、80対20というように大阪ネタが過半数となる範囲で調整してもよい。
【0112】
このように、上映映画の内容に地域の属性(芸人の出身地、ネタの地域性等、ネタの対象年齢、ネタの対象性別)を入れておくことにより、来場客の趣向にあった映画を上映するのである。これにより予めご当地ネタをいろいろな地域毎に用意しておくことで、その対象地域の来客がいればご当地ネタを披露することができるのである。
【0113】
<第6実施例>
次に第6実施例として漫才勝抜き映画について述べる。図13には漫才勝抜き戦の進行図を示し、図14に勝ち抜き戦のフローチャートを示す。この映画は若手漫才師の登竜門である漫才勝ち抜き戦を題材にしている。予め、全国の若手漫才師のネタが各芸人P1、P2、P3・・Pnごとに一定のネタ数分が収録されており、劇場では開始ストーリーS1が流れルール説明が行われる(ステップ60)。
【0114】
ここでは、勝敗は二組の芸人のネタが終了後に来場客の拍手で決めると案内しておき、先行の芸人P1(挑戦者)の演題が上映される(ステップ61)。次に後行の芸人P2(応戦者)の演題が上映される(ステップ62)。これらの二つの上演後終了後に判定ストーリーが上映され、挑戦者の芸人P1が良かったと思う来場客に拍手を求め劇場内の集音マイクで拍手を集音して測定し(ステップ63)、拍手の大きさを数値やグラフ等で映像に表示する(ステップ64)。
【0115】
次に応戦者の芸人P2が良かったと思う人に拍手を求め劇場内に設けられた集音マイクで集音され測定され(ステップ65)、拍手の大きさを数値やグラフ等で映像表示される(ステップ66)。そして、どちらの芸人への拍手が大きかったかで勝敗を決めるのである(ステップ67)。ここで応戦者が勝った場合は勝数1を加えられ勝者となる(ステップ68)。挑戦者が勝った場合は次回の参加が決定となる(ステップ69)。そして予定された上映時間がきたかどうかにより(ステップ70)、時間内なら次のラウンドの対戦案内し、応戦者なら勝ち抜き数を、挑戦者ならその旨を告げて(ステップ71)、ステップ61に戻り、新たな兆戦者である芸人P3のネタが先に上映される(ステップ61)。以下、ステップ68又は69まで前回同様に進行する。そしてステップ70で予定されている終了時間となっている場合は、後日上演の予定の案内を行う終了ストーリーの上映を行い(ステップ72)、終了となる。
【0116】
以上述べたとおり、漫才勝ち抜き映画では、多数の芸人のネタをそれぞれ勝抜分用意しておく必要があるが、予め1回の上映時間での連続勝ち抜き回数を決めておけば、一芸人あたりの必要ネタ数が決まるので、各劇場がこの漫才映画を1週間ごとに上映する場合では、各劇場での勝ち抜き芸人は次の1週間の間に、次回のネタを仕入れ、映画配給会社において、漫才の各ネタ毎に映画撮影して、必要な劇場に配信することで、次回の勝ち抜き芸人の新しいネタが用意できる。
【0117】
また、漫才勝抜き映画の例では、挑戦者と応戦者の2人としたが、これは、観客が後から後から入場して来た場合に、後からネタを披露した方の芸人が有利になるからである。なぜなら、先にネタを披露した場合に観客の入りが少なく、後からネタを披露した方が観客の入りが多いと、拍手は当然後のほうが大きくなる可能性があるからである。
【0118】
この観客の入りの差が殆どない場合では、5組の芸人のタを披露して、最後に各組ごとに拍手をしてもらい拍手の大きさを測定してもよいし、あるいは、各組が終了毎に拍手の大きさを測定してもよい。そして一番拍手が多かった芸人をその回のチャンピオンとして選んでもよい。こうすることで、各芸人の予め収録するネタは少なくてすみ、時事ネタ等の新鮮なネタを披露することで、観客の心を掴むことができ、多大な拍手を得ることができる。
【0119】
このようにその劇場での予選を勝ち抜いた芸人情報をデジタル映画配給会社のコンピュータに送ることで、デジタル映画配給会社は、ネタの無くなった応戦者の次のネタを撮影収録して準備でき、また負けた芸人は別のネタを収録することで、巻土重来、次の新作ネタで新たに兆戦することができるのである。このようにして各劇場毎に、地域性あるいは観客の層の違いにより、勝ち抜いていく芸人が違うことでその劇場にあったネタを提供することができ、観客の年代、地域性、話題性等、の分野別で勝ち進んでいく芸人が異なるのである。
【0120】
<第7実施例>
次に第7実施例として、劇場に来ている観客を呼びかける場面について述べる。
その場面は、例えば学校の教室で出欠を取る場面や、病院等の待合室で患者を呼び上げるシーンにて採用される。図1のデジタル映画システム全体の概要図とともに説明する。
【0121】
図15には学校の教室で先生が生徒の出欠を取る場面が示される。この学園ものの映画において、ある教室での朝の出欠を取るために教卓で先生Tが生徒Hの名前を呼ぶのであるが、スクリーン8には映っていないエキストラ役の生徒の名前に、観覧席17に座っている観客18のデータを採用するのである。観客18のデータは図1の説明で述べた如く、顧客のデータを登録するための各種の方法にて、事前に劇場の顧客データベース10に登録してある。この学園ものの映画配給にあたり、この場面のために予め、数多くの名前を呼ぶ音声が事前に配給会社1で収録しておき記憶装置3に記録しておき、この映画のデジタル情報とともに劇場側のコンピュータの記憶装置6に配信されている。
【0122】
劇場の顧客データベース10には、現在この映画を見ている観客の個々人の名前がデータとして登録されているので、劇場の運行管理端末9ではこの名前のデータと予め配給会社から事前に配信されている名前の音声データと一致するか否かを検索し、同一の名前が事前に音声データとしてあれば、名前を呼ぶシーンでその音声データを用いて先生Tが名前を呼ぶのである。そして呼ばれた生徒(例えばイケダ)の名前は、その劇場に来ている観客18aの名前になっているのである。例えば、その映画館の会員である観客18aに池田という名前の人が来ている場合に、映画の中で先生は「池田!」と呼び、それに応えて映画のエキストラ役の生徒が「はい!」と返事をするのである。このように数人の生徒の出欠場面において、現在その劇場に来ている観客18aの名前とするのである。
【0123】
これにより、それに気づいた観客18aは自分の名前が呼ばれてうれしくなり、会員サービスとなるのである。この場面は、映画のストーリーが逸脱しない範囲で行うのである。出欠場面であるから、当然、欠席の生徒Haもいるのであり、その名前は事前に映画で用意されている名前を呼び、先生は、「休みか」と言って次の人の名前を呼ぶのである。
【0124】
図16には、出欠に観客の名前を用いる一連の流れのフローチャートを示す。まず、観客は劇場の入場時に会員番号をチェックされ(ステップ80)、その都度劇場のコンピュータの会員データに照合して名前、年齢、性別の各属性をチェックする(ステップ81)。次に事前に配給会社から配給されている音声データの属性(名前、年齢、性別)とを照合する(ステップ82)。
【0125】
その結果、完全一致するものを選び出して候補者として、採用人数分に見合うかどうかを判定し(ステップ83)、採用人数より多い場合は、候補者を劇場の来場回数に応じて選出する(ステップ84)。来場回数に応じて選出することで上得意の観客サービスとなる。勿論ランダムに選出してもよい。ステップ83での照合の結果、採用人数に満たない場合は、条件を緩和して年齢に幅を持たせて該当する者を照合する(ステップ85)。その結果、充足する人数に足りたかどうかを判定し(ステップ86)、充足人数を満たした場合は、完全一致者を全て採用するとともに、条件緩和者の中から候補者を選出する(ステップ87)。これは来場回数で選出してもよいしランダムでもよい。
【0126】
そして採用人数に見合う条件を緩和したにも関わらず採用人数に満たない場合は、採用人数に満たない分を事前に用意してある音声データで賄い、完全一致者、条件緩和者を全て採用する(ステップ88)。
【0127】
そして出欠シーンにおいて、先生が生徒の名前を呼び上げるシーンにおいて、来場している観客データから適合する名前を呼び上げるべく、事前に配給会社から配信されているストーリーの中に名前順にして組み込む処理を行う(ステップ89)。これにて音声データの観客データの組込み処理が完了する。
【0128】
この組み込み処理は、予め準備されて出席をとるシーンにおいて、図15に示すように、事前に配給されている映画では、例えば、先生が「井上!」と呼び、男の生徒が「はい」と応えるシーンにおいて、その劇場に来場している観客の中に、その生徒の年齢と同一の男性(属性が完全一致)の名前が池田というのであれば、事前に用意されている音声データの中から池田という音声データに入れ替えるのである。そして実際には、先生はそのシーンで、「池田」と読み上げ、それに応答して映画のなかでは男の生徒役の俳優が「はい」と返事をするのである。
【0129】
学園ものの教室の出席を取る実施例では、観客のデータの属性のうち年齢に限定が生じるが、これが病院の待合室等で名前を呼び上げるような場合では、老若男女の入り乱れていても不自然でないので、年齢層も幅広く選出することができる。これにより選出された観客は、自分の名前が呼ばれるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0130】
<第8実施例>
次に第8実施例として映画中での二者択一シーンでの観客データの使用例について述べる。ここでは、対象となる観客の立場にたち、自分ならこうするであろうと思われる行動様式を推測し映画を展開する方法を述べる。
映画の回顧録のなかでのストーリーで、ヒロインの恋人役が沈没が近づいている豪華客船から逃げ出すシーン設定について、事前のシーンでこの恋人役がさそり座であると判明している。
【0131】
このシーンに観客のデータが用いられるのである。観客のデータは第1実施形態に示した如く顧客のデータの登録するための各種の方法にて、事前に劇場のコンピュータ内に登録してある。
ここでは恋人はさそり座であるので、来場している顧客データの生年月日からさそり座の観客をリストアップし、その観客たちが裕福層であるか、否かにより、もし自分たちがその立場に置かれたら取るであろう行動に沿って映画が展開するようにしてある。事前の登録カードとして次世代クレジットカードとして裕福層の人にしか発行されないゴールドカード保持者であれば、裕福層と判定する。
さそり座の複数の観客のうち、裕福層が多い場合には、映画の恋人役はそこで高価なお金を支払って救命ボートに乗るのである。この行動は裕福層ならば自然とするであろう行動をするのである。
【0132】
逆に観客に裕福層が少ない場合は救命ボートには乗れず、海に浮かんだ板を摑んで漂流して救助を待つ道を選ぶことにある。これも現実の世界で、裕福でない層で正直なものであればそうするであろう行動をするのである。
これらにより、ストーリーは見ている観客の大部分に、より現実味のある映画となるのである。
【0133】
<第9実施例>
次に第9実施例として、観客の全体像がどのような感情を抱いているのかを様々な観点から捉える観客状況認識装置について説明する。
図17は劇場の概略システムを示す。劇場では運行管理端末9から上映指示を行うことで、記憶装置6に記録された映画情報のデジタル信号を読み出し、上映装置7からスクリーン8に投影して上映する。
図2で示した読取器11では、顧客が保有しているIDを内蔵携帯電話やIDカードを読み取って顧客データベース10に照合をして処理していたが、本実施例ではこの読取器11の代わりに顧客状況認識装置19を劇場内に取り付ける。観覧席17にいる観客18が映画を見ていて、大部分の観客が笑っているのか、あるいは泣いているのか、それとも興奮しているのかの状況を認識するために劇場内の壁や天井、または観覧席17に集音マイク19a、サーモスタット19b(温度計)、テレビカメラ19cがそれぞれ備え付けられており、観客全体あるいはサンプルとして一部の観客を観察できるようになっている。
【0134】
この集音マイク19aには顧客が発する音を収録して劇場に設置したスピーカからの映画音楽を拾わないように第4実施例同様に指向性のマイクを用いるのが好ましい。各装置はそれぞれ単独で劇場の前方の壁に設けてもよいし、又は天井部のみに設けてもよく、こうすることで、多数の観客の状況を認識することができるのである。観客個々人の状況を把握する場合には椅子等にこれらの認識装置を付けてもよい。
【0135】
これにより集音マイク19aで集音した音が静まりかえっているのか、ざわついているのか、騒いでいるのかを判定する。さらにサーモスタット(温度計)19bで観客の発する体温による劇場内の温度の変化を観測する。テレビカメラ19cでは、観客の動きを画像として捉え、動きがあるのかどうかを観察する。
【0136】
これらの各種の異なる情報から、例えば、観客が笑っている場合は、集音マイクから笑い声が検出されるとともに、温度変化はあまりないものの、観客の動きは微妙に顔の部分が揺れるのをテレビカメラ19cで認識する。観客が泣いている場合は、集音マイク19aからはしくしくとした泣き声が集音されるとともに、温度変化はあまりなく、観客の動きもあまりないのがカメラ19cで認識される。観客が興奮している場合は、集音マイク19aでザワツキの音を検出するとともに、サーモスタット19bでの温度変化は興奮で高まり、観客の動きに一部変化が見られる。観客が興奮して騒いでいる場合は、集音マイク19aで騒ぎ声が検出されるとともに、サーモスタット19bで検出される温度変化が興奮で高まり、観客の動きが大きくなっているのがテレビカメラ19cで認識される。
【0137】
これらの各種機器からの入力情報としてのパラメータの変化は、予め用意されているデータと検出された情報データを比較することで、どのデータパターンに近いか検出することで判定される。例えば、集音マイクからの集音では、笑い声、泣き声、興奮状態のざわつき音などを事前にデータパターンとして用意しておき、集音された音データのパターンと比較して、どのパターンに当てはまるかをコンピュータシステムにより自動判定するのである。これらの判定ソフトは事前に配給会社から配信されて劇場コンピュータに組み込まれており、デジタル映画の進行に合わせて稼動されるのである。
【0138】
このように様々なパラメータから観客の状況を認識して、第4実施例での声の大きさ、第6実施例の拍手の大きさだけではなく、複数のパラメータを用いることで、より観客の状況の把握が多点的にしかも多数の顧客の感情を把握でき、その最大公約数的な様々な観客の動向(笑う、泣く、悲しむ、驚く、恐れる、興奮する等)により、それぞれ違ったストーリーを用意しておき展開してもよい。
【0139】
上記実施例では読取器11の代わりに顧客状況認識装置19として、集音マイク、サーモスタット、テレビカメラをもとに述べたが、これだけに限る必要はなく、様々な機器の組合せあるいは単独で用いても良いし。勿論、第2実施例の読取器11と顧客状況認識装置を同列にして用いることでも良い。
【0140】
【発明の効果】
一般の人でも番組や映画の視聴に参加するだけでなく、事前に顧客データベースに登録しておくことにより、デジタル映画の一部に映画を見ている観客が能動的に参加ができるのである。
さらに観客全員のデータを集計したうえで、映画が分岐していくシーンがあるので、その映画の上映毎に分岐内容が異なり、観客は自分達が映画の進行に影響を与えており、受身の姿勢からより能動的に映画を鑑賞できるのである。
【0141】
さらにまた、不特定多数の顧客の中から自分が選出されてその映画に参加できる期待感とともに映画を鑑賞することができるのである。
上映毎にストーリーの分岐部分が差込となっており、何度も見る観客にとっても同一の内容とならず、その分、次は自分が特別出演するかも知れないという気分でワクワクしながら映画を楽しむことができるのである。
【0142】
また上映映画の本編の中に広告スペースを設けてあるので、広告を出したい依頼主は、事前に用意したポスターや宣伝文句等を用いて簡単に広告を出すことができる。しかも映画の本編の中で広告が出せるので、顧客に対するアピール性が高まるのである。
【0143】
さらに事前にどのような嗜好を有する観客であるかが顧客データベースの嗜好情報から把握できるので劇場側が広告主にそれをアピールすることで、広告主にとっては広告戦略を立てやすく広告効率の高まりが期待できるのである。
【0144】
さらにまた、デジタル映画のストーリーを制御できるストーリー制御部に対し、劇場内の設けられた観客状況認識部にて観客の状況を収集して、該ストーリー制御部に収集した観客の状況に基づき顧客情報を反映して、ストーリー制御を行いその結果が、次のストーリーの展開を予め用意されたストーリーの中から選択するので、観客が能動的にデジタル映画を見ているだけで、観客の状況を認識することができ、観客の行動様式を予測してストーリーが展開できるのである。
【0145】
さらにまた、デジタル映画を見ている劇場内の観客が発した音である声援や拍手等を集音マイクで捕え、それを元にストーリー展開を行っていくことができるのである。これにより、劇場内の観客が発した意志表示を音として捕えてデジタル映画のストーリーに反映することができるのである。
【0146】
さらに集音マイク以外にもさまざまな機器を用いており、デジタル映画を見ている劇場内の観客の状況を各種のパラメータを用いて認識でき、顧客の状況を多角的に認識できるのである。これにより、顧客の状況をいろんな観点から認識でき、それを元にデジタル映画のストーリーを展開することができるのである。
【0147】
さらにまた、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして顧客データを集計・選出し、集計・選出結果をもとにストーリー分岐部から次のストーリーを選択することができる。
これにより、顧客の嗜好にあったストーリーを展開することができ、顧客の満足度を増すことができるのである。
【0148】
デジタル映画のストーリーに予め設けられた情報組込み部に対して、予め用意されている複数の組込み情報があるので、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして前記情報組込み部に適合する顧客データを集計・選出して、選出された顧客に対応する組込み情報を前記複数の組込み情報から選択して、選択された情報を前記情報組込み部に組込むことで、予め用意されている情報であるが、来場している観客に対応する情報を組込むことができるのである。これにより選出された観客は、自分の属性が映画上に表れるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0149】
デジタル映画システムの情報組込み部に組込む情報はデジタル映画上映時に来場している顧客を対象に顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出された顧客の名前の音声情報であり、これにより選出された観客は、自分の名前が呼ばれるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面とすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタル映画システム全体の概要図である。
【図2】上映映画に観客が特別出演する形態を示す図である。
【図3】記憶装置内のデジタル情報を示す図である。
【図4】題名「君といた夏」についてスクリプト(脚本)である。
【図5】題名「君といた夏」についてのフローチャートである。
【図6】映画を鑑賞している観客の一人の携帯電話が鳴るシステムを示す図である。
【図7】題名「沈黙の007」についてのスクリプト(脚本)である。
【図8】題名「沈黙の007」についてのフローチャートである。
【図9】CGアニメ映画のストーリーの流れ図である。
【図10】CGアニメ映画の綱引きの場面である。
【図11】CGアニメ映画のフローチャートである。
【図12】演芸映画のストーリー展開を表す概略図である。
【図13】漫才勝抜き戦の進行図である。
【図14】漫才勝抜き戦のフローチャートである。
【図15】学校の教室で先生が生徒の出欠を取る場面である。
【図16】出欠に観客の名前を用いる一連の流れのフローチャートである。
【図17】顧客状況認識装置の一例である。
【符号の説明】
1…配給会社
2…コンピュータ
3…記憶装置
4…高速通信回線
5…劇場
6…記憶装置
7…上映装置
8…スクリーン
9…運行管理端末
10…顧客データベース
11…入出力装置(アンテナ)
12…会員カード
13…携帯電話
14…次世代IDカード
15…会員チケット
16…グッズ(粗品)
17…観覧席
18…観客
19…顧客状況認識部
【産業上の利用分野】
本発明は、特に観衆からのデータを用いて進行する参加型デジタル映像システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
視聴者参加型テレビ番組のなかには、テレビ局のスタジオにて、多数の参加者を相手に司会者が質問を投げかけて、各参加者は手元の回答装置を用いて質問に回答し、スタジオの集計装置にその集計結果を表示しながら、参加者の意見を見ながら番組を進めていく方式がある。
また、テレビ番組のなかでテレビを見ている視聴者宛に質問を投げかけ、各家庭にいる各視聴者はその質問に対し電話で回答し、その結果がテレビ局側で集計され、番組のなかで表やグラフとなって現れる視聴者参加型番組がある。
【0003】
さらに都会の繁華街では、テレビレポータが世の中の出来事や番組の内容に合わせて放送に先駆けて、レポータが事前に道行く人を捕まえてインタビューする光景が見られ、その内容はテレビカメラに収められる。そしてインタビューを受けた人は自分のインタビューがその番組に採用されるかも知れないという期待感が高まり、高揚感を感じるものである。
【0004】
このように各視聴者や観衆の意見等が採用されて、番組等が進行していくことは、単に一方的に流れてくる番組を受け取るというだけではなく、自分からも情報を発信するというインターラクティブ性があり、自分が主体的にそこに参加できるという点においては、参加意識も高まり、自分ならどうするという観点で積極的に参加でき、さらにそれが自分以外の人々にもアピールする場となるのである。
しかしながら、こうした参加の機会は非常に少ないのが現状であり、一般の人にとってはめったにこのようなチャンスがないのである。
【0005】
また従来型の映画では、映画の上映前にその上映劇場がある街中の商店や飲食店等の広告が上映されていた。これは映画広告会社によって作成されたものであり、上映される本編の映画とは何ら関係がないものであった。したがって観客にとってこれらの広告映画は、本編の映画とは切り離して受け取られていたのであった。
【0006】
本願出願人は先に多数の参加者が同時にアトラクションを体験できる多人数型のアトラクションシステムにおいて、各参加者の中から特定人物を選んでアトラクションを進行させることができるようにし、各プレイヤがアトラクションに参加しているという実感が得られるようにした特定人物選定機能を有するアトラクションシステムを提案した(特許文献1)。
【0007】
これは、入力端末装置から入力された各参加者の入力個人情報を集計し、その集計結果に基づいてアトラクションの当該テーマでの所定条件に適合する特定の人物を各参加の中から選定し、選定された特定の人物の端末装置に点灯指令を送出し、端末装置の投光手段によって携帯物に対し光を照射し、携帯物の内面から光を放つようにするものである。
このシステムでは多数の参加者の中から特定の条件に合う人物を選定し、その選定された人物の携帯物を投光により通知するだけであった。その特定された人物はそれに対するアクションを起すようなことはせず、受動的であった。
【0008】
さらにまた、対話型映画システムとして、シーンを構成する映像および音声を出力して、前記シーンを生成する生成手段と、前記生成されたシーンに対するユーザの感情を認識する認識手段と、前記認識手段で認識された前記感情に基づき、前記生成されたシーンの次に遷移する前記シーンを、複数の前記シーンの候補の中から決定するスクリプト制御手段と、前記決定されたシーンに基づき、前記生成手段を制御し、さらに、前記決定されたシーンに対応する所定のタイミングで、前記決定されたシーンに基づき前記認識手段を制御する手段とを備えている。この認識手段はユーザの音声に含まれる感情を認識している。
【0009】
これによりインタラクションの結果に応じてストーリーが展開され、ユーザが映画の主人公になり、映画の中のキャラクターとユーザの音声に含まれる感情を交えたインタラクションによって、ユーザが現実に体験しているようなストーリーを展開する(特許文献2参照)のである。
しかしユーザの音声や感情認識は一人の人の音声や感情を認識しているのに過ぎない。
【00010】
【特許文献1】
特開平7−236772号公報(第3−4頁、第3−4図)
【0011】
【特許文献2】
特許第2874858号公報(第2−7頁、第1−9図、第14−16図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願では一般の人でも番組や映画の視聴のみに参加するだけでなく、その中に能動的に参加ができるシステムを提供することにある。
さらに本発明では、多数の観客を対象者にしてそれらの固有情報を集計・検索し、その結果が映像に反映されて進行するデジタル映像システムを提供することにある。
【0013】
さらに本発明では、本編のデジタル映画の中に広告スペースを設けておき、宣伝広告を入れるようにすることにより、より顧客に対する宣伝効果を得られるシステムをえることにある。
さらに本発明では、多数の観客を対象にして、その観客の自然な態度による意思表示を基にしてストーリーが進展していくデジタル映画システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によるデジタル映画システムは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部と、該デジタル映画の前記デジタル情報組込み部に組込む画像情報を登録する顧客データ登録手段と、該顧客データ登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段と、該集計・選出手段により集計・選出された顧客情報を加工して事前に用意された前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部に組込むために、上映前に顧客データを顧客データ登録手段から登録しておき、上映映画が求める情報を顧客データベースから収集して、最適の情報を選び出してその情報を加工して前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル組込み手段から構成されており、顧客情報を上映映画の中に組込むのである。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項2記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、顧客データベースを集計した集計結果を基に、予め用意された音声情報を選択してデジタル情報組込み部に組込むことを特徴としている。
この発明によれば、顧客データベースを集計した集計結果を、音声としてデジタル映画のデジタル情報組込み部に組込むことができるのである。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項3記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索した結果を基に、予め用意された音声情報を選択してデジタル情報組込み部に組込むことを特徴としている。
この発明によれば、予め用意された検索条件で顧客データベースを検索し、その結果を予め用意された音声情報の中から選び出してデジタル情報組込み部に組込まれ、違和感のない音声情報として再現する。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項4記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、適合する顧客の画像データを、予め用意されたデジタル情報組込み部に組込むことを特徴としている。
この発明によれば、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、その結果から該当する顧客の画像データを予め用意されたデジタル情報組込み部に組込み、映像情報とするのである。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項5記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、適合する顧客の電話番号情報を通信ソフトに設定し、デジタル映画の進行に伴い、予め設定された場面になると、前前記通信ソフトを用いて電話を掛けることを特徴とする。
この発明によれば、予め用意された検索条件を用いて検索された顧客データベースの中から選ばれた顧客の電話番号を通信ソフトに設定し、予め設定された場面になると電話を掛けるのである。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項6記載の発明によるデジタル映画システムは、請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、顧客データベースのなかから採用された顧客の名前データを、予め用意されたスタッフロールのデータ書き込み部に登録し上映することを特徴とする。
この発明によれば、請求項1から5までなかで用いられた顧客データベースのなかから採用された顧客の名前データを、デジタル映画のスタッフロールの部分に登録して、上映時に採用者の名前を上映する。
【0021】
上記目的を達成するために、請求項7記載の発明によるデジタル映画システムは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部と、該デジタル映画の上映前に事前に広告情報をデジタル情報として登録する登録手段と、該登録手段において登録した広告情報を前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、デジタル映画のストーリー中に予め設けたデジタル情報組込み部を広告スペースとして用い、上映前に事前に広告情報をデジタル情報として登録しておき、この広告情報をデジタル情報組込み部に組込むのである。
【0022】
上記目的を達成するために、請求項8記載の発明によるデジタル映画システムは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられているストーリーを制御できるストーリー制御部と、前記デジタル映画を上映する劇場内に設けられ劇場内の観客の状況を把握する観客状況認識部と、該観客状況認識部で収集した観客状況を基に該デジタル映画のストーリー制御部に反映する顧客状況反映部と、該観客状況反映部の反映による該ストーリー制御部の制御結果が、ストーリーの次の展開を予め用意された複数の展開ストーリーの中から、何れを選択するかを決める選択手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、デジタル映画のストーリーを制御できるストーリー制御部に対し、劇場内の設けられた観客状況認識部にて観客の状況を収集して、該ストーリー制御部に収集した観客の状況に基づき顧客情報を反映して、ストーリー制御を行いその結果が、次のストーリーの展開を予め用意されたストーリーの中から選択するのである。これにより、観客が能動的にデジタル映画を見ているだけで、観客の状況を認識することができ、観客の行動様式を予測してストーリが展開できるのである。
【0024】
上記目的を達成するために請求項9によるデジタル映画システムでは、請求項8において観客状況認識部は、少なくとも劇場内の観客が発した音を認識する集音マイクであることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、デジタル映画を見ている劇場内の観客が発した音である声援や拍手等を集音マイクで捕え、それを元にストーリー展開を行っていくことができるのである。これにより、劇場内の観客が発した意志表示を音として捕えてデジタル映画のストーリーに反映することができるのである。
【0026】
上記目的を達成するために請求項10によるデジタル映画システムでは、請求項8において、観客状況認識部は、劇場内の観客の動向を各種のパラメータを用いて、総合的に認識することを特徴とする。
この発明によれば、デジタル映画を見ている劇場内の観客の状況を各種のパラメータを用いて認識でき、顧客の状況を多角的に認識できるのである。これにより、顧客の状況をいろんな観点から認識でき、それを元にデジタル映画のストーリーを展開することができるのである。
【0027】
上記目的を達成するために請求項11によるデジタル映画システムでは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられたストーリー分岐部と、ストーリー分岐部において分岐可能に予め用意された複数のストーリーと、事前に顧客の固有情報を登録する顧客データ登録手段と、該デジタル映画上映時に来場している顧客を対象に前記顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出する集計・選出手段と、該集計・選出手段によって集計された結果に基づき、前記ストーリー分岐部から次のストーリーを選択して分岐する分岐手段とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして顧客データを集計・選出し、集計・選出結果をもとにストーリー分岐部から次のストーリーを選択することができる。
これにより、顧客の嗜好にあったストーリーを展開することができ、顧客の満足度を増すことができるのである。
【0029】
上記目的を達成するために請求項12によるデジタル映画システムでは、デジタル映画のストーリー中に予め設けられた情報組込み部と、前記情報組み込み部に対応して予め用意されている複数の組込み情報と、事前に顧客の固有情報を登録する顧客データ登録手段と、該顧客データ登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段と、該集計・選出手段により集計・選出された顧客に対応する組込み情報を前記複数の組込み情報から選択する選択手段と、該選択手段により選択された組込み情報を前記情報組込み部に組込む組込み手段とを備えたことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、デジタル映画のストーリーに予め設けられた情報組込み部に対して、予め用意されている複数の組込み情報があるので、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして前記情報組込み部に適合する顧客データを集計・選出して、選出された顧客に対応する組込み情報を前記複数の組込み情報から選択して、選択された情報を前記情報組込み部に組込むことで、予め用意されている情報であるが、来場している観客に対応する情報を組込むことができるのである。これにより選出された観客は、自分の属性が映画上に表れるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0031】
上記目的を達成するために請求項12におけるデジタル映画システムでは、情報組込み部に組込む情報はデジタル映画上映時に来場している顧客を対象に顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出された顧客の名前の音声情報であることを特徴とする。
これにより選出された観客は、自分の名前が呼ばれるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るデジタル映画システムの実施形態を図面に図示した実施例を参照して詳細に説明する。
【0033】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細に説明する。図1は、参加型デジタル映像システム全体の概要図である。
【0034】
本来、映画とは銀塩フイルムに映像・音響情報が固定され、常に同一の順序にで映像・音響がもたらされるものであったが、ここでいうデジタル映画とは、コンピュータの大容量の記憶装置に映像情報、音声情報がデジタル信号として記憶されているのみならず、コンピュータプログラムによって映像情報をその場でリアルタイムに計算させて発生させたり、記憶装置内に細切れにして映像情報や音声情報を記憶しておき、上映時にこれらの映像情報等を連続的につなぎ合わせたり、あるいは合成したりすることで、デジタル技術を用い自在に編集可能な映像・音響を発生させながら、上映時に従来の映画同様に一本のストーリーに仕立てて上映することができるものをいう。
【0035】
先ず、同図を用いてシステム全体の概略を説明する。デジタル映像配給会社1は、デジタル映画等のコンテンツ情報をコンピュータ2の記憶装置3に有しており、超高速回線4を通じ、デジタル映画の上映を行う各劇場5に配信する。配信情報は、映画の映像、音声はもとより、配信先の劇場のコンピュータを動作させるソフトウエアが含まれる。
記憶装置3としては、ハードディスクやフラッシュラム等、大規模なデジタル情報が書込、消去が可能で、即座にアクセス可能な媒体が用いられる。
【0036】
各劇場5では、配給会社1から配信されてきたコンテンツ情報をコンテンツ保存用大容量の記憶装置6にダウンロードする。超高速回線4は、電気通信業者の回線・送信設備であるブロードバンドのDSL(Digital Subscriber Line:デジタル加入者線)、CATV(ケーブルテレビ)、光ファイバーケーブルや通信衛星を用いる。
【0037】
各劇場5では、コンテンツ保存用大容量の記憶装置6に納められている映像・音響情報をプロジェクタ等の上映装置7からスクリーン8に上映する。
各映画館5ではパソコン等の運行管理端末9にて、上映管理を行う。映画館では上映にあたり、記憶装置6に納められているコンテンツ情報の中から、今回上映する映画、次回上映の予告編、広告映画、ニュース映画等の各種コンテンツを用いてその映画館独自の上映プログラムを組んだり、複数の上映室がある場合では、どの上映室にどの映画を上映するかを、運行管理する。
【0038】
さらに顧客管理として、顧客から提出された登録申請用紙を入出力装置11を用いて映画館独自の会員カードを発行し、顧客情報を顧客データベース10に収集する。
各映画館5では、顧客データの収集をするために事前に映画友の会としての会員登録をしてもらい、登録申請用紙に、登録者の住所、名前、生年月日、血液型、ドナー登録の有無、嗜好、好きなジュース、好きな俳優、好きな映画のジャンル、衣類の好み、等を記載してもらい写真を貼って申請してもらう。登録申請用紙と引き換えに会員には機械読取り可能なID情報が入った写真付きの会員カード12を本人に渡しておく。
【0039】
これにより、映画館側では、これらのデータを顧客データベース10に記憶して、顧客管理を行うことができる。この顧客データベース10に登録した会員が映画を観る際に、受付で入出力装置11を用いて顧客が提示した会員カード12を読み取り、読み取ったID情報から顧客を特定して会員価格で映画を提供するとともに、どの会員がどの映画を観るのか把握することができる。これにより、各会員毎の嗜好を把握することができ、その会員の嗜好に応じて映画の案内等ができるようになり、様々なサービスを提供することができる。
【0040】
次に顧客のデータを登録するための各種の方法を示す。例えば、顧客が保有する携帯電話13を用いて会員登録することができる。この携帯電話13は、インターネットを利用して配給会社あるいは映画館のホームページにアクセスして、会員登録をする。このホームページには、顧客の住所、電話番号、生年月日、血液型、氏名、嗜好、好きな飲み物、好きな俳優、好きな映画、衣類の好み、好きな色、等を記載して貰い、自分の顔写真を取り込み、登録することで会員登録を行い、ID情報を携帯電話13に登録する。
【0041】
この携帯電話13では、映画館で映画を見る際に会員登録した際に、発行されたID情報を携帯電話の記憶部あるいは、先ほどのホームページにアクセスしてIDを携帯電話の画像表示部にバーコード等の機械読取り可能な状態にして、映画館の受付に提示し、受付ではその顧客の画像表示部に表示されたID情報を入出力装置11を用いて、会員であることを確認する。あるいは携帯電話の赤外線通信機能を活用にして、会員が赤外線通信で入出力装置11に会員番号のデータを送信する方式でもよい。
これにより映画館では、会員であることがチェックでき、会員価格あるいは、会員サービスにて映画を提供することができる。
【0042】
さらに会員カードの代わりとして次世代クレジットカードや次世代の免許証をIDカードとして用いる方法を述べる。これは事前に次世代クレジットカードや次世代免許証等のIDが内蔵されたIDカード14に顔写真を含む個人情報を登録しておき、上記会員カードの説明で用いられた情報項目のみを入出力装置11で読み取るようにしてある。
【0043】
あるいは会員登録時にID番号と会員の顔写真が印刷された会員チケット15を登録会員に渡しておき、映画を鑑賞する際には、この会員チケット15とともに受け付けに提出することを義務付けておく。この会員チケット15の提出が映画の鑑賞時の割引券となっており、他人への譲渡は無効としてある。このチェックは会員チケット15の顔写真が印刷されているので受付時にチェックが可能である。
【0044】
劇場の受付では、顧客がこの会員チケット15を提出すると、その鑑賞料金を会損価格で徴収するとともに、入出力装置11にかけることにより、会員番号をID番号から読み取り、どの会員が入場したかを把握するとともに、ID番号から顧客データベース10に照会し、会員登録時に登録した顧客データを把握することができるのである。これらのID情報は入出力装置11を用いて接触的にあるいは非接触的に読取可能となっている。非接触で読み取るにはバーコード式やコイルを内蔵したIDを採用している。
【0045】
会員価格とは通常料金より料金を割り引いたり、会員サービスとはその映画のポスターやグッズ16をもれなく、あるいは抽選でプレゼントしたり、または顧客データベースの情報を用いて上映映画に特別出演することができるのである。
例えば子供向けの映画では子供にもれなくグッズ16をプレゼントする。あるいは、抽選でプレゼントするのである。
抽選でプレゼントするには、顧客のID情報を入出力装置11で読み取った際に、顧客にも公平性が判るようにして実際に、あるいはモニター画面に映し出される籖やルーレットあるいはサイコロ等を用いて行われる。
【0046】
次に上映映画に観客が特別出演する形態について図2を用いて述べる。デジタル映像配給会社1は、デジタル映画等のコンテンツ情報をコンピュータ2の記憶装置3に有しており、超高速回線4を通じ、デジタル映画の上映を行う各劇場5に配信する。この映画は予めデジタル映像配給会社1において、観客参加型映画として作られており、予め映画の内容が固定ではなく、その一部に各劇場の観客18が参加できるように、顧客データベース10の情報がはめ込み、あるいは顧客データベース10の特定の情報を用いて上映内容が分岐するように作られている。
【0047】
デジタル映像配給会社1では、映画情報を各劇場に配信するあたり、各劇場で受付けた観覧者の顧客データベース10を取り込むソフトウエア(コンピュータプログラム)とともに配信してある。
そして劇場の観覧席17に座っている観客18に対し、運行管理端末9から上映指示を行うことで、映画情報を記録した記憶装置6から上映する映画のストーリーに沿ってデジタル信号を読出して順次、上映装置7からスクリーン8に映画を上映する。
【0048】
各劇場の運行管理端末9では、その映画を観覧している観客18が受付の入出力装置11にて把握されている。この把握は、上述したとおり劇場への入場の際の鑑賞チケットの販売時や、鑑賞チケットの回収時に、あるいは上映に際してCM上映中に顧客に対して、登録用紙への記入でもよいし、さらには各顧客がIDを内蔵した携帯電話やIDカードや携帯情報端末PDAを保有しているのであれば、入出力装置11から必要とする顧客データを顧客データベースに読み取れるのである。この入出力装置11は劇場の受付に設けておかなくても、劇場内に設置し、顧客が各自のデータを登録したり、あるいは無線アンテナを用いて各顧客の携帯電話等から顧客データを収集してもよい。
【0049】
このデジタル映画は配給会社1から配信されてきたソフトウエアを用いて、現在、その劇場で当該映画を観覧している顧客の顧客データベース10から、該ソフトウエアにより指示される情報に適合する観客の一人のある情報を選択して、あるいは現在の観客のうち顧客データベース10に登録されている顧客全部のデータを加工し、映画の一部に組み込み上映するのである。
【0050】
図3に記憶媒体内に記録されたデジタル情報を示す。これは配給会社の記憶装置から配信されて劇場の記憶装置6に記憶されるのである。記憶装置は、大容量の記憶容量を有するデジタルハードディスクやフラッシュラム等、大規模なデジタル情報が書込、消去が可能で、即座にアクセス可能な媒体が用いられる。これにより、大量のデジタル情報を保管し、非常に高速で検索でき、またどのような順番でも検索が可能である。
【0051】
記憶装置6では、この映画に用いるソフトウエア(コンピュータプログラム)Sや、その映画の映像情報(1)、(2)・・とその映像情報に対応する音声情報(1)、(2)・・がデジタル信号として記録されており、その情報は全てアドレス情報(1)、(2)・・によりその部分が記憶装置の記憶領域のどの範囲に記憶されているか、さらにそれに続く次の部分がどこの領域に記憶されているかかの情報が記憶されている。
【0052】
これはアドレス情報部にスタート番地、終了番地、次のシーンの番地等が記憶おり、スタート番地を指定することでその映画シーンの頭出しができ、次のシーンの番地を指定することで、そのシーンに続く次のシーンの頭出しができる。実際にはこれらの映画シーンの情報が2次元的に記憶され、いずれの映画シーンにも番地を指定することで並んでいる順番に無関係に瞬時にアクセスされる。
【0053】
このアドレスの情報により、記憶装置に映画の各シーンが連続して記憶されていなくても次の場面を検索でき、一連の映画として再生できるのである。映画の上映速度よりもデジタル情報の検索速度が速いので、映画が途中で切れることなく再生が可能である。 これにより映画シーンM1が上映されると、映画シーンM1を再生した後に次に再生する映画シーンの頭にジャンプするためのジャンプ先となる映画の開始番地の情報を記録しておくことにより、映画シーンM2を上映するか、あるいは映画シーンM3を上映するかの分岐をすることが可能となる。
【0054】
次のジャンプ先の記憶場所は記憶装置の記憶領域内で隣接している必要はなく、記憶領域のどこにあっても映画の上映が途切れることなく再生できる。これはコンピュータが記憶装置から読み出したデジタル情報を高速転送させるためにキャッシュメモリを用いて、映画として再生している間に次にデジタル情報にアクセスすることで実現される。
【0055】
これにより、劇場のコンピュータで記憶装置に記憶されている各々のアドレス部分の次の再生領域を示すジャンプ先情報を変えることで、各場面をどの順番で再生するかを分岐させることができるのである。例えば映画シーン(1)の次は、映画シーン(4)、その次は映画シーン(2)部分というように各映画シーンの終了後の次のジャンプ先を決めることで行われる。これにより映画の流れのなかに、予め用意された選択可能な分岐部分を差込んで、映画を連続的に上映することができる。
【0056】
<第1実施例>
上映映画の第1実施例として、題名「君といた夏」について図4のスクリプト(脚本)と図5のフローチャートに従い説明する。スクリプト中、顧客データベース10からの情報を組み入れる個所は「DB」で示す。
上映劇場には、デジタル映画「君といた夏」がデジタル情報として、その映画のコンピュータプログラムPとともに劇場の記憶装置6に配信され、劇場のコンピュータ9にコンピュータプログラムを取り込み、前回上映時に操作した各種情報を初期値に戻しスタートする。
【0057】
観客は劇場の入場時に会員番号をチェックされる(ステップ1)。この映画は恋愛映画であり、この映画で星占いをするシーンが含まれており、映画情報とともに配信されているコンピュータプログラムにより、本日の最高の運勢の人の誕生日の日付を確定し記憶しておく(ステップ2)。
上映時刻になると、記憶装置6に納められているデジタル映画情報を上映装置7からスクリーン8に映画が映し出される。
【0058】
運行管理端末9では、受付で現在この映画を観覧している顧客のうち、会員カードあるいは携帯電話等により、会員であることをチェックできた顧客に対しては既に顧客データベース10に予め登録されている各種のデータのなかから、この映画のソフトウエアにより、この映画の分岐シーンにて必要とされるデータを抽出する。
【0059】
この映画ではヒロインの星座が乙女座であり、毎回上映毎に入場者のなかで、乙女座の人数について、述べるシーンがある。スクリプトのDB1で示す部分である。このため、入場者のなかから乙女座の人数を顧客データベースから把握している(ステップ3)。そして予め設定した人数N人より多いかどうかを算定し(ステップ4)、多ければ映画分岐データ1にヒロインがスクリーンを見ている観客を観ながら「今日は乙女座が多く、満足しているわ。」というシーンを選び(ステップ5)、少なければ映画分岐データ1にヒロインが観客を観ながら「今日は乙女座は少ないわね。」というシーンを選んでおく(ステップ6)。これは分岐直前のシーンにおける映画シーンのアドレスに記録されている次のジャンプ先情報を選ぶことで行われる。
【0060】
次にステップ1での星占いの結果、その日の最高の運勢が9月10日になった場合、顧客データベース10の中から、生年月日が9月10日生まれの人を選び出し、携帯電話の番号を把握し(ステップ7)、そこで選ばれた人の性別を判定する(ステップ8)。ここで選ばれた人が男性ならば、映画分岐シーン2にヒロインが観客席を正面に見据えて「そこの彼氏!」と呼びかけるシーンを選び(ステップ9)、選ばれた人が女性ならば映画分岐シーン2にヒロインが観客席を見据えて「そこの彼女!」と呼びかけるシーンを選んでおく(ステップ10)。スクリプトのDB2、DB3で示す部分である。ここでも前回同様に、直前の映画シーンにおけるアドレスの次のジャンプ先情報をいずれかに選ぶことで行われる。
【0061】
さらに顧客データベース10の中から、携帯電話を保有している男性客の一人を選び出しておき、通信ソフトに電話番号を設定しておく(ステップ11)。この男性客は観客の中から任意に選んでもよいが、対象となる観客が多数いる場合では、年齢制限を設けてその中から選ぶほうがより、年齢的に違和感なく相応しくなる。
【0062】
映画のストーリーが進んで、ヒロインが女性雑誌の星占いの項目を見つめるシーンがスクリーン8に映し出される。そこでヒロインは「今日の星占いは・・私は乙女座と・・。」
ここで、映画の分岐シーンに移る。先ほど顧客データベースから、乙女座の人数から映画分岐シーン1が決められている。
【0063】
そしてヒロインの顔が劇場の観客席を向きながら「乙女座と言えば:映画分岐シーン1」(ステップ12)が流れる。つまり今回の観客のなかで乙女座の人が多ければ、ヒロインは「今日は乙女座が多く、満足しているわ」という分岐映像シーン(ステップ5)が流れ、乙女座の人が少なければ「今日は乙女座は少ないわね」という分岐映像シーン(ステップ6)が流れる。これも直前のシーンのアドレスの次のジャンプ先を選ぶことにより、これらの映像は、映像に途切れなく、記憶装置6にて映像が連続的に読み出され、映画を観ている観客には映画が分岐しているのさえ、判らないようになっている。
【0064】
ヒロインは次に女性雑誌を食いいるように見つめながら「今日の最高の運は・・:分岐シーン2 のそこの:分岐シーン3」と観客席を見るシーンになる。スクリプトのDB2、DB3の部分が上映される。ここでステップ1にて「9月10生まれ」という分岐シーンが算定されており、ステップ7において9月10日生まれに該当する観客の性別と携帯電話の番号が把握されている。
【0065】
もし、観客が女性であれば、ヒロインは2つの分岐シーンを連続した映像のように「今日の最高の運は・・9月10日生まれのそこの彼女!」というせりふを言う(ステップ13)。さらにその直後に該当する観客の携帯電話が鳴る。そして、観客が携帯電話に出ると、「今日の最高の運勢はあなたよ!」と当該客に音声あるいはメールにて知らせる(ステップ14)。
もし、観客が男性であれば,ヒロインのせりふは「今日の最高の運は・・9月10日生まれのそこの彼氏!」となる。これも直前の映画シーンのアドレスの次のジャンプ先を選択することで実現されている。
【0066】
さらに映画が進行して、ヒロインの友達が友達に電話をかけるシーンになる。ヒロインの友達が「あ、ちょっと待って! タカシ君に電話をかけるね・・」という台詞とともに、電話をかけるシーンになる。すると観客のうち、ステップ11で選定されている観覧している男性客のうちの一人の携帯電話13が鳴る。ストーリーボードのDB4の部分である。
【0067】
図5に映画を鑑賞している観客の一人の携帯電話が鳴るシステムを示す。
これは、コンピュータ9が自動的にステップ11において、顧客データベース10の中から、携帯電話を保有している男性客の一人を選び出して通信ソフトに登録してあるので、上映中にタイミングを計り、その携帯電話に自動的に電話を掛けるのである(ステップ15)。これはスクリーン8にヒロインが電話を掛ける映像を映写機から大写しで映し出し、そのタイミングに合わせ観客15aの一人に電話をしているのである。
携帯電話の鳴った男性客15aが電話に出た瞬間、劇場内に設けた入出力装置11であるアンテナがそれを検出し、あるいは電話にでなくても映画のシーンはヒロインの友達が「タカシ君、いないみたいね・・」といって電話を切るシーンとなる。
【0068】
ここで劇場内では、劇場外からの携帯電話の呼び出し電波を除去する装置を設置しておき、上映中に不意に外部からの呼び出し音が鳴らないようにしてあってもよい。この場合は、映画の進行上、上記通信ソフトに登録してある劇場内にいる映画鑑賞者に対しては劇場内に設置されてあるアンテナの入出力装置11により、呼び出し信号が発信されるのである。この方が映画の鑑賞にあたり、顧客の有する携帯電話が不意に鳴って、鑑賞の邪魔をすることが防げるのである。
【0069】
やがて映画はクライマックスを迎え、映画が終わりスタッフロールが流れると、出演者の特別出演の項目に今回の映画上映にあたり、本日の最高の運勢の9月10日生まれの彼女の名前(ステップ16)、ヒロインの友達が電話した不在の彼氏タカシの名前(ステップ17)が流れる。スクリプトのDB5、DB6の部分である。これにより、映画に登場した本人は、映画の最後のスタッフロールに自分の名前を発見するのである。
【0070】
これらはデータベースから当該者の名前が把握されており、図5のスクリプトのスタッフロール画面に示すように映画のエンディングのスタッフロールの特別出演の項目に表示されるのである。該当者は自分の名前が載っていることで満足感を得ることができる。これは図3に示す記憶装置のスタッフロール部分の映像信号に名前を加えることで実現される。
無論、劇場側ではこれらの特別出演者を把握できるので、映画が終わった際に該当者が会員カード12あるいは携帯電話13に会員である旨の画面を出して受付に提示することや、次世代IDカードを提示することで、入出力装置11でチェックして(ステップ17)、記念品やサービスチケットを配布してもよい。
【0071】
<第2実施例>
映画の第2実施例として、顧客のデータをデジタル映画の中に登場させることについて述べる。
題名「沈黙の007」について図7のスクリプト(脚本)と図8のフローチャートに従い説明する。
この映画はアクション映画であり、この映画ではヒーローがスパイに追われて、走りぬける背景のホスターに観客の顔写真が使われるシーンと、手術で血液を提供するドナー登録者を選ぶためカルテで観客の顔写真を用いるシーンがある。
【0072】
上映劇場には、デジタル映画「沈黙の007」がデジタル情報として、その映画のコンピュータプログラムPとともに劇場の記憶装置6に配信され、劇場のコンピュータ9にコンピュータプログラムを取り込み、前回上映時に操作した各種情報を初期値に戻しスタートする。
観客は劇場の入場時に会員番号をチェックされる(ステップ21)。会員は、予め、血液型、ドナー登録の有無、顔写真が顧客データベースに登録されている。顔写真の登録の有無を調べ(ステップ22)、登録されていなければ入場の際に受付で顔写真がある免許証等の提示を受け、またはその場で顔写真を撮影し顧客データベース10に登録してもよい(ステップ23)。上映時刻になると、記憶装置6に納められているデジタル映画情報を上映装置7からスクリーン8に映画が映し出される。
【0073】
運行管理端末9では、受付で現在この映画を観覧している顧客のうち、会員カードあるいは携帯電話等により、会員であることをチェックできた顧客や、入場の際に氏名、血液型、ドナーカードの有無、顔写真が登録することができた顧客の各種データが顧客データベース10に登録されている。
【0074】
顧客データベース10に予め登録された各種のデータのなかから、配給会社から配信されたこの映画のソフトウエア(コンピュータプログラム)により、この映画の観客出演シーンにて必要とされるデータを抽出する。この映画では、顧客の顔写真が映画の背景となるポスターに用いられる。顧客データベース10には、各顧客の顔写真がデジタル画像で登録されており、その中から映画で使われる顔写真を全顧客データベースの中から選び出す(ステップ24)。
【0075】
このポスターは主人公がスパイから追われ、街中を走り抜ける際に、街角に貼られているポスターである。図7に示すスクリプトのP1の部分である。そのため顧客データベース10の中から年齢、性別等の条件で選別された顧客の顔写真を選び出し、その顔写真画像に対し映画のポスターに違和感なく適合するように自動的に補正され、各コマに組み込み処理を自動的に行い、記憶装置6に記録する(ステップ25)。これは予め組込みシーンのヘッダー情報が判っており、このシーンの映像情報を読み出して、各コマ毎に顧客の顔写真を画像の色調や明度やカラーバランス等を調整し違和感なくさせる自動補正を行い組込み合成するのである。その自動補正の一例としては、予め基準となるポスターを用意しておき、これと同じカラーバランスになるように補正するのである。このシーンは組込み処理が完了したら、記憶装置6に記憶する。
【0076】
この補正は例えばポスターが白黒調であれば、モノクロ2階調にモード変換させて、当該シーンで用いられるポスターに適合させる。もちろん映画では、そのポスターが映るシーンでは、ポスターは必ずしも正面からみたカメラ位置とはならないので、見た目に違和感なく見えるように、カメラ視点から見えるように変形した画像となることがあるので、当該画像もそれに適合させるべく各コマ毎に変形させて、そのポスターが映る各コマ毎に組み込み処理を自動的に行うのである。
【0077】
これはコンピュータが記憶装置から読み出したデジタル情報を高速転送させるためにキャッシュメモリを用いて、映画として再生している間に次にデジタル情報にアクセスすることで実現される。
この組込み処理は際に顧客写真を合成したシーンを記憶した記憶装置の記憶領域のアドレスにアクセスできるように、記憶装置に記憶されている直前シーンのアドレスに記録されている次のジャンプ先の情報と連動させる。ここでは組込みシーンに対して顧客画像を組込み、記憶装置の別の場所に記憶させるので、直前の映画シーンのアドレスのなかの次のジャンプ先情報を画像組込した新たな映画シーンの開始番地として指定するのである。
そして予定されたコマ数に達するまで各コマ毎に補正しながら組込み処理を行い、予定されたコマ数の組込み処理が行われたなら次に進む(ステップ26)。
【0078】
次に、スクリプトのP2に示すカルテにドナー登録者として観客の名前と顔写真が用いられるシーン用に、顧客データベース10の登録データから、年齢的に献血が可能でドナー登録してある人のなかから、血液型がAB型の顧客を選び出す(ステップ27)。
選び出された顧客データから名前のローマ字と顔写真データを映画で用いられるカルテに合わせて、違和感ないように顔写真画像にカラーバランスや色調等を自動的に調整し、各コマに組込み、記録装置6に記憶する(ステップ28)。
【0079】
ここでの名前はカルテであるので、手書きの文字書体にしてある。カルテの写真が映る各コマに合わせて、カメラ視点からみて違和感ないように名前のローマ字と当該顔写真画像を変形させてカルテに組み込む処理を自動的に行うのである。これにより、顧客の手書きの名前と写真が貼り付けられたカルテが得られるのである。
【0080】
ここは、看護婦がカルテを選び出して医者に「彼の血敵なら大丈夫かと・・」と言いながら手渡し、医者が手にしたカルテには前記顧客の名前が手書きで書かれ、顔写真が貼られているシーンである。従って、名前と顔写真はカルテの動きに対して、自然な動きで見えるように各コマ毎に、名前の字体、顔写真ついて、カルテの周囲に合わせカラーバランスや色調整、反射を各コマ毎にカルテの動きに合わせなら、カメラ視点を一致させる補正を自動的に行い、記録装置6に組込み処理を行う。ここでも記憶装置の新たな記憶領域に組込み処理された映画シーンを記憶するので、この映画シーンの開始番地を直前の映画シーンのジャンプ先にしておく。
【0081】
そして予定されたコマ数に達するまで各コマ毎に補正しながら組込み処理を行い、予定されたコマ数の組込み処理が行われたなら次に進む(ステップ29)。
上記で選出された顧客の名前をオープニングのスタッフロールに出演者の特別出演の項目に名前を載せるべく、採用された顧客の名前を予め記憶装置6に記録しておく(ステップ30)。これはオープニングスタッフロールのシーンに顧客の名前を合成し、記憶装置の顧客名入りのオープニングスタッフロールの記憶領域に記憶し、直前のスタッフロールシーンのアドレス情報のうち、次のジャンプ先を新たに更新しておくのである。
【0082】
そして映画が上演された時点で流れるオープニングスタッフのなかに図7のスクリプト中のN1、N2に示すように出演者の氏名が流れるのである(ステップ30)。つまり、主人公がスパイから追われ、街中を走り抜ける際に、街角に貼られているポスターのモデルとなる顧客の名前がN1に、そしてカルテの顔写真に採用され血液を提供するドナー役の顧客の名前がN2に表示される。
【0083】
オープニングのスタッフロールは映画開始直後に流れ(ステップ31)、この段階で観客が注意してスタッフロールを見ていれば、自分がこの映画のどこかで出演することがわかり、どこのシーンで出てくるのかドキドキしながら映画を観ることができるのである。
【0084】
そして映画は主人公がスパイに追われて街角を走り抜ける場面(ステップ32)においてステップ25で加工処理された観客の顔写真を加工したポスターが周囲と違和感なく映像として映し出される。ここで、先ほどの顧客は自分の顔写真がポスター調となって映し出されるのを観て驚くとともに、映像としての出来具合を堪能するのである。
【0085】
そして映画のストーリーは進み、主人公の親友のマイクがスパイに撃たれ、瀕死の重傷となっている。病院で手術をするために輸血が必要となってくる。手術に先立ちドナーを探し出すためドナー登録者を探すシーンになる。
医担当は血液検査結果を見ながら看護婦に対し「彼の血液型はAB型・・ドナー登録者は?」と尋ねる。
【0086】
看護婦はドナーを探し出すためドナー登録者のカルテの束をめくり、やがて一枚のカルテで手が止まり「彼の血液型なら大丈夫かと・・」と言いながら担当医にカルテを見せる。医者に見せたカルテが大写しになる。するとそこに貼られている顔写真と名前が、ステップ28で組込処理された観客の一人の名前と顔写真がカルテの動きに合わせて違和感なく、映し出されるのである(ステップ33)。
ここも直前シーンのアドレスの次のジャンプ先が顧客の顔写真が合成されたシーンの開始番地に変更してある。
【0087】
これを観た観客は、自分の名前と顔写真がスクリーンに大写しになることで、いかにも映画出演をしているように感じることができる。その後のシーンは自分の血液の輸血により主人公のマイクを助けられるので、ドナー登録しておいた甲斐があったと思うようになるのである。これにより、ドナー登録者は自分が映画の主人公を助けたヒーローになった気分で、映画に引き込まれ没頭できるのである。
【0088】
やがて映画はクライマックスを迎え、映画が終了しスタッフロールが流れると(ステップ34)、出演者の特別出演の項目に自分の名前を再度確認することができ、該当者は自分の名前が載っていることで満足感を得ることができる。
劇場側ではこれらの特別出演者を把握できるので、映画が終わった際に該当者が会員カード12あるいは携帯電話13に会員である旨の画面を出して受付に提示することで(ステップ35)、記念品やサービスチケットを配布してもよい。
尚、上記実施形態では静止画を組込んだが、勿論、顧客の動画が用意できれば、例えば街中を歩くエキストラとしての動画像でもよいし、顧客の声だけの音声での出演とすることも可能である。
【0089】
顧客の顔写真を違和感なく用いる例として、例えば犯罪組織を長年捜査している捜査員達の捜査会議が開かれている。その犯罪組織の実体解明をするために、犯罪組織のメンバーを特定するために、長年その犯罪組織を追っており、様々なところにそのメンバーが出現しており、捜査会議の中では目撃された不特定多数の人達のなかに犯罪組織のメンバーが紛れ込んでいる設定をしておく。捜査会議では、その不特定多数の人々の中から犯罪組織のメンバーと目される者を特定する会議が行われている。長年の捜査により、ある程度メンバーは解って来たが、十分ではなく、会議はその会場を訪れた人達の写真映像を見ながら、犯罪メンバー認定を行っている。その模様は、一人一人の顔写真が映し出されるモニターを見ながら、一般人か犯罪メンバーかを特定するのである。
【0090】
モニターには、犯罪組織のメンバーと一般人とが混在しており、モニター画面に順次映し出され、白黒をつけていくのである。
その中で、一般人の顔写真のなかに、来場している観客の顔写真を用いるのである。この方法は、前記したカルテの顔写真のところで述べたとおりである。この設定は各地で目撃された一般人の設定であるから、写真映りが同一では不自然であり、むしろ、事前に登録した顧客の顔写真がごく自然に見えるのである。効することにより、映し出される顔写真にモニターの枠が付くので、顧客の顔写真の画像の色調や明度やカラーバランスが異なっていても違和感がないのである。
【0091】
<第3実施例>
本願の実施例においては、顧客参加を主として説明してきたが、次に広告宣伝や伝言に用いる第3実施例を説明する。
デジタル映画の街中の風景にある広告ポスターにおいて、主人公がその広告を背景にしてタバコを吸い、しばらくその場面が固定されるようにしておくことで、ポスター部分が映画の観客が見入るような場面設定をしておく。
さらに主人公がゆっくりと歩く街中の背景にポスターがあるような場面を設けておいてもよい。
【0092】
これにより事前にポスター部分を組替え可能としておくことにより、たとえばその劇場や配給会社が広告を募集し、依頼主の広告映像を組込むことが可能となる。
この場合は事前に広告代理店等を会して広告を募集してもよいし、あるいは直接劇場で広告を募集してもよく、依頼主が事前に持ち込んだポスター等の映像をデジタル映画の中のポスター画面に自然に見えるように画像処理を施し組込むことが可能となる。
【0093】
事前に劇場の顧客データベースには、顧客の嗜好に関するデータが登録されているので、上映映画における集客された観客に対して効率よい宣伝が可能となり、それは広告主に対するアピールとなる。
例えば、顧客データ登録にあたり予め好きなジュースのデータがあるので、飲料メーカが広告を出すにあたり、事前に広告を受け取る対象者の嗜好を把握でき、どのような広告を出すべきかを事前に検討できるのであり、対象者に的を得た広告を出すことが可能となるのである。
【0094】
これにより、配給会社あるいは劇場では、広告主に対し来場者の嗜好を伝えて広く広告主を募集することができる。さらに広告主にとっては対象者の嗜好が事前にわかり効率的な広告を行え、劇場側としても広告収入を得ることができ、一挙両得となるのである。
【0095】
あるいは、依頼主はポスターの背景は事前に用意された中から選択し、その上に文字で広告を入れるようにしてもよく、この場合は簡単にポスター画像上に依頼主の文字広告を入れることが可能となる。これは配給会社側や劇場側で依頼主の希望にそった文字を縦書きや横書き、デザイン文字を用いてポスターに入れることにより行われるのである。勿論、ポスターでなくとも、その映画で映し出される小物、例えば酒瓶のラベルに広告文字を入れるようにしてもよい。この場合、依頼主から依頼されたラベル用の絵や文字を、酒瓶のラベルに違和感なく嵌め込むために、画像処理ソフトにて加工して組込むのである。
勿論、広告は商業用の有料広告でなくても、政府広報等や無料の広告でもよい。
【0096】
文字を組込む例として駅の伝言板について記載する。主人公が、駅にある伝言板から、ある伝言を読む場面設定がある。伝言板は、不特定多数の人が、書き込むのであるから、それぞれの伝言内容は関連する必要がまったくない。
ここでは、顧客が事前に劇場の受付で、映画のなかに現われる伝言板にメッセージを書き入れることができるのである。事前、このことは来客に対し公示しておき、伝言板に書き入れたい内容を伝言板を模した用紙に書いて劇場の受付に提出し、劇場では受付係りが図2に示す入出力装置11のスキャナ機能を用いてデジタルデータとして取り込み、映画で映し出される伝言板の中に組込むのである。映画では、伝言板の内容を上からパンして全部映し出し、最後に主人公が必要とする伝言を大写ししてストーリーが展開されるようになっている。
【0097】
このようにして顧客が書いたメッセージがそのまま、映画の伝言板に組込まれるので、それを提出した顧客は、ある重要なメッセージを大勢の観客の前で伝えるチャンスを得るのである。例えば、そのメッセージは恋人への告白であったり、家族への感謝のメッセージであったりするのである。例えば「裕輝さん、愛している。OO子」と入れることで、恋人への告白を行うのである。
映画のストーリー上は、意味のないエキストラのメッセージではあるが、当人同志にとっては、大変重要なメッセージを大勢の観客の前で披露するのである。
【0091】
さらに主人公が、駅にある伝言板から、ある伝言を読む場面設定がある。伝言板は、不特定多数の人が、書き込むのであるから、それぞれの伝言内容は関連する必要がまったくない。
ここでは、顧客が事前に劇場の受付で、映画のなかに現われる伝言板にメッセージを書き入れることができるのである。事前、このことは来客に対し公示しておき、伝言板に書き入れたい内容を伝言板を模した用紙に書いて劇場の受付に提出し、劇場では図2に示す入出力装置11のスキャナ機能を用いてデジタルデータとして取り込み、顧客データベース10に登録され、複数の顧客から提出されたメッセージのなかから、上映に際して適合するメッセージを選出し、映画で映し出される伝言板の中に組込むのである。上映に際して適合する条件としては、メッセージの字数であったり、大きさであったり、伝言板に組込んだ際に違和感がないようにするためである。あるいは劇場側で、今回のメッセージ上映は女性ファンサービスと謳っているなら、会員が女性である人のメッセージを対象にする。これらのチェック機能は伝言板。
映画では、伝言板の内容を上からパンして全部映し出し、最後に主人公が必要とする伝言を大写ししてストーリーが展開されるようになっている。
【0092】
このようにして顧客が書いたメッセージがそのまま、映画の伝言板に組込まれるので、それを提出した顧客は、ある重要なメッセージを大勢の観客の前で伝えるチャンスを得るのである。例えば、そのメッセージは恋人への告白であったり、家族への感謝のメッセージであったりするのである。例えば「祐輝さん、愛している。OO子」と入れることで、恋人への告白を行うのである。
映画のストーリー上は、意味のないエキストラのメッセージではあるが、当人同志にとっては、大変重要なメッセージを大勢の観客の前で披露するのである。
【0093】
さらに、このメッセージを携帯電話のメール機能を用いて、劇場内の顧客ID送受信装置を介して送ってもよい。この場合、送受信装置でメールで送られたメッセージはデジタル情報であるから、伝言板に表示するには手書き文字の書体を用いて置き換えて、伝言板に組込む。複数人からのメッセージを伝言板に組込むには、それぞれ手書き文字の字体が同一に無いようにするために、異なる手書き文字書体を用いるほうがよい。
【0098】
さらに、このメッセージを携帯電話のメール機能を用いて、劇場内の顧客ID送受信装置11を介して送ってもよい。この場合、運行管理端末9では予め配給会社から配信されているメール伝言掲載機能ソフトを用いて会員番号、メールの字数や、禁止用語等のチェックを行い、上映可能なメッセージを選出し、メールで送られたメッセージを伝言板に表示するために事前にメール伝言掲載機能ソフトの手書き文字の書体を用いて置き換えて、ストーリー中の伝言板に組込む。複数人からのメッセージを伝言板に組込むには、それぞれ手書き文字の字体が同一にならないようにするために、異なる手書文字の書体を用いるほうがよい。
【0099】
<第4実施例>
映画の第4実施例としてコンピュータグラフィックス(CG)を用いたアニメ映画について説明する。図9にCGアニメ映画のストーリーの流れ図、図10にCGアニメ映画での綱引きの場面、図11に同フローチャートを示し説明する。
本実施例では、事前に顧客のデータとして顧客自ら積極的にデータを登録することを要しない。
【0100】
この映画は、子供用アニメ映画であり、主人公のキャラクターが敵方のモンスターをやつける内容となっている。
記憶装置6に記録されたデジタル映画の情報を運行管理端末9において読み出し上映装置7からすクリーン8に映し出し、スクリーン8には映画のストーリーSが展開し、主人公と敵方モンスターの一味と綱引きをする場面Fになる。
【0101】
映画のストーリーSが展開され(ステップ40)、そして段々と盛り上がって主人公とモンスターが綱引き勝負をする場面設定Fに移る。綱引きの場面は主人公とモンスターが左右に分れ綱を引く場面であり、映画のナレーションの音声は観客席17にいる観客18に対し、皆で応援しようと呼びかける(スップ41)。すると観客の子供達18aはそれに応えて「ガンバレー、ガンバレー」と声援を張り上げ、それを集音マイク19aで集音して(ステップ42)、声援の大きさが綱引きの映像に反映されるのである(ステップ43)。つまり声援が大きいと主人公側に綱が引かれ(ステップ44)、声が小さいとモンスター側に綱が引かれる(ステップ45)ように映像を変化させるのである。
映像が主人公に不利な場合は映画のナレーションの音声は、観客に対し声援をさらに呼びかけ(ステップ46)、勝負が着くまでステップ43に戻り、声援の大きさに主人公ががんばり、綱引きが続けられる(ステップ47)。
【0102】
勝負の結果(ステップ48)、主人公が綱引きに勝った場合には、綱引きに勝った場合のストーリーAが選ばれ(ステップ49)、引き分けの場合は引き分けになったストーリーB(ステップ50)、負けてしまった場合は負けたストーリーCが選ばれる(ステップ51)のである。
このように声援による応援いかんで、その後のストーリーが最高に声援できた場合、つまり綱引きに勝った場合のストーリーA、引き分けになった場合のストーリーB、負けてしまった場合のストーリーCが用意されており、勝敗結果によりそれぞれその後のストーリーが展開するようになっている。
【0103】
上述の説明では事前に顧客のデータとして顧客自ら積極的にデータを登録する必要はなく、その場面での観客の声援の大きさにより映画のストーリーに参加することができるようになっている。ステップ43での声援の大きさの処理について、以下のようにしてもよい。
【0104】
つまり観客(子供)の入場数に応じて、変化させるのである。ここでは入場者として、子供用切符(小人)で入場した人数は劇場の受付で把握できるので、綱引きの場面での子供の人数と集音マイクの位置に応じ、子供達の声援の大きさの基準を決めるのである。つまり子供の人数が少なくとも一生懸命声援している場合と人数が多く一生懸命応援している場合とでは集音マイクで集音される音の大きさは違うがこれは子供の人数、劇場の広さに対する関数として処理することで音の大きさの基準が作られる。これは予め劇場の反響測定等により求めることができる。
【0105】
このようにして子供の入場者数の多い少ないに限らず、一生懸命声援した場合は主人公が勝ち、声援が少ない場合には主人公は負けてしまうように設定してもよい。これには集音マイクからの入力音が一定以上の音のレベルを検出することで声援があったとしてもよい。集音マイクは劇場内の観客が発する音のみを検出するために、指向性マイクであるほうがよい。それでも同映画の上映に合わせて出力される音響を拾ってしまう場合は、その音響を打ち消す処理を集音した音に施したり、あるいは音響に無音状態を設けておき、その時に集音される音を測定してもよい。
【0106】
<第5実施例>
次に本発明の第5実施例として、寄席を題材にした演芸映画を例にして説明する。この映画は通常、寄席で行われる漫才や落語のネタ毎に一つのストーリーと数え、多数のネタが記憶装置内に記憶されている。
図12は演芸映画のストーリー展開を表す概略図である。事前に映画館側では図1の説明で述べた方法にて入出力装置11を用いて観客の顧客情報を顧客管理データベース10に取り込んである。これにより、来場している観覧者個々人の住所、出生地、名前、性別、生年月日、血液型、携帯電話の番号、等が把握されている。これらのデータを元に運行管理端末9は記憶装置6に複数用意されている演芸のストーリーの中から、観客にあった演芸映画のストーリーを選択する。
【0107】
記憶装置6内に複数用意されているストーリーには、各ネタ毎に属性情報として演題の種別(落語、漫才、浪曲、奇術等)、芸人情報(芸人名、出身地、年齢、性別)、ネタの地域性(大阪人向け、東京人向け、)ネタの対象年齢(若向き、中年向き、高年向き)、ネタの対象性別(男性向け、女性向け)等の属性データが割り当てられている。
【0108】
これにより、例えば、映画館が若者の街として知られる東京は渋谷にある場合、来場している顧客の層は生年月日のデータの集計から若人が多くなる。この場合、運行管理端末9は顧客データベース10を基に来場客の年齢を集計し、年齢層の大半が若年層であると判定したなら、人気若手芸人のネタを上映する。これにより入場客の若者にあったスタイリッシュでかっこいい演題を提供するので、顧客受けする人気のある番組が提供できる。
【0109】
次に映画館が年配の婦人が集まることで知られる巣鴨や、下町にある浅草にある場合は、来場者の層も年配者の場合が多い。この場合の運行管理端末9は顧客データベース10を基に来場客の年齢を集計し、年齢層が年配者であると判定したなら、ベテランの落語を上映し、人情噺で涙を誘い観客を引きつけるのである。
尚、上映映画館が関西にある場合では、出演者を上方の芸人の上方落語や漫才等のネタにするのである。
【0110】
次に顧客データベースの中から顧客の住所を基にして演題を決める方法について述べる。
これは運行管理端末9で顧客データベース10の顧客情報の住居情報を集計して判断される。
東京や大阪といった地域性を反映するために顧客の住居データの集計結果から、来場客の住居は関西圏の人が多いとなった場合には、運行管理端末9は大阪出身の芸人の映画を上映して顧客の層にあった上映を行うことにより、大阪人の気質にあったお笑いを提供する。もし来場客が関東圏の人が多いとなれば、運行管理端末では東京出身の芸人の演芸ストーリーを上映するのである。
【0111】
例えば、大阪の劇場では、顧客の大半が大阪人であろうが、その中に関東からの観光客が一部混ざっている場合、運行管理端末9では、大阪人向けのネタの中に関東圏向けのネタを入れることにより、関東からの観光客向けのネタを上映するのである。運行管理端末9は、顧客データベース10の集計を基にして顧客の居住地域のデータの割合から上映する映画のネタの地域種別を選択する。これには顧客の居住地域の比率を勘案して選び出す。例えば、来場客の比率が大阪と東京で90対10の割合の場合では、そのまま上映されるネタの対象地域が90対10としてもよいが、80対20というように大阪ネタが過半数となる範囲で調整してもよい。
【0112】
このように、上映映画の内容に地域の属性(芸人の出身地、ネタの地域性等、ネタの対象年齢、ネタの対象性別)を入れておくことにより、来場客の趣向にあった映画を上映するのである。これにより予めご当地ネタをいろいろな地域毎に用意しておくことで、その対象地域の来客がいればご当地ネタを披露することができるのである。
【0113】
<第6実施例>
次に第6実施例として漫才勝抜き映画について述べる。図13には漫才勝抜き戦の進行図を示し、図14に勝ち抜き戦のフローチャートを示す。この映画は若手漫才師の登竜門である漫才勝ち抜き戦を題材にしている。予め、全国の若手漫才師のネタが各芸人P1、P2、P3・・Pnごとに一定のネタ数分が収録されており、劇場では開始ストーリーS1が流れルール説明が行われる(ステップ60)。
【0114】
ここでは、勝敗は二組の芸人のネタが終了後に来場客の拍手で決めると案内しておき、先行の芸人P1(挑戦者)の演題が上映される(ステップ61)。次に後行の芸人P2(応戦者)の演題が上映される(ステップ62)。これらの二つの上演後終了後に判定ストーリーが上映され、挑戦者の芸人P1が良かったと思う来場客に拍手を求め劇場内の集音マイクで拍手を集音して測定し(ステップ63)、拍手の大きさを数値やグラフ等で映像に表示する(ステップ64)。
【0115】
次に応戦者の芸人P2が良かったと思う人に拍手を求め劇場内に設けられた集音マイクで集音され測定され(ステップ65)、拍手の大きさを数値やグラフ等で映像表示される(ステップ66)。そして、どちらの芸人への拍手が大きかったかで勝敗を決めるのである(ステップ67)。ここで応戦者が勝った場合は勝数1を加えられ勝者となる(ステップ68)。挑戦者が勝った場合は次回の参加が決定となる(ステップ69)。そして予定された上映時間がきたかどうかにより(ステップ70)、時間内なら次のラウンドの対戦案内し、応戦者なら勝ち抜き数を、挑戦者ならその旨を告げて(ステップ71)、ステップ61に戻り、新たな兆戦者である芸人P3のネタが先に上映される(ステップ61)。以下、ステップ68又は69まで前回同様に進行する。そしてステップ70で予定されている終了時間となっている場合は、後日上演の予定の案内を行う終了ストーリーの上映を行い(ステップ72)、終了となる。
【0116】
以上述べたとおり、漫才勝ち抜き映画では、多数の芸人のネタをそれぞれ勝抜分用意しておく必要があるが、予め1回の上映時間での連続勝ち抜き回数を決めておけば、一芸人あたりの必要ネタ数が決まるので、各劇場がこの漫才映画を1週間ごとに上映する場合では、各劇場での勝ち抜き芸人は次の1週間の間に、次回のネタを仕入れ、映画配給会社において、漫才の各ネタ毎に映画撮影して、必要な劇場に配信することで、次回の勝ち抜き芸人の新しいネタが用意できる。
【0117】
また、漫才勝抜き映画の例では、挑戦者と応戦者の2人としたが、これは、観客が後から後から入場して来た場合に、後からネタを披露した方の芸人が有利になるからである。なぜなら、先にネタを披露した場合に観客の入りが少なく、後からネタを披露した方が観客の入りが多いと、拍手は当然後のほうが大きくなる可能性があるからである。
【0118】
この観客の入りの差が殆どない場合では、5組の芸人のタを披露して、最後に各組ごとに拍手をしてもらい拍手の大きさを測定してもよいし、あるいは、各組が終了毎に拍手の大きさを測定してもよい。そして一番拍手が多かった芸人をその回のチャンピオンとして選んでもよい。こうすることで、各芸人の予め収録するネタは少なくてすみ、時事ネタ等の新鮮なネタを披露することで、観客の心を掴むことができ、多大な拍手を得ることができる。
【0119】
このようにその劇場での予選を勝ち抜いた芸人情報をデジタル映画配給会社のコンピュータに送ることで、デジタル映画配給会社は、ネタの無くなった応戦者の次のネタを撮影収録して準備でき、また負けた芸人は別のネタを収録することで、巻土重来、次の新作ネタで新たに兆戦することができるのである。このようにして各劇場毎に、地域性あるいは観客の層の違いにより、勝ち抜いていく芸人が違うことでその劇場にあったネタを提供することができ、観客の年代、地域性、話題性等、の分野別で勝ち進んでいく芸人が異なるのである。
【0120】
<第7実施例>
次に第7実施例として、劇場に来ている観客を呼びかける場面について述べる。
その場面は、例えば学校の教室で出欠を取る場面や、病院等の待合室で患者を呼び上げるシーンにて採用される。図1のデジタル映画システム全体の概要図とともに説明する。
【0121】
図15には学校の教室で先生が生徒の出欠を取る場面が示される。この学園ものの映画において、ある教室での朝の出欠を取るために教卓で先生Tが生徒Hの名前を呼ぶのであるが、スクリーン8には映っていないエキストラ役の生徒の名前に、観覧席17に座っている観客18のデータを採用するのである。観客18のデータは図1の説明で述べた如く、顧客のデータを登録するための各種の方法にて、事前に劇場の顧客データベース10に登録してある。この学園ものの映画配給にあたり、この場面のために予め、数多くの名前を呼ぶ音声が事前に配給会社1で収録しておき記憶装置3に記録しておき、この映画のデジタル情報とともに劇場側のコンピュータの記憶装置6に配信されている。
【0122】
劇場の顧客データベース10には、現在この映画を見ている観客の個々人の名前がデータとして登録されているので、劇場の運行管理端末9ではこの名前のデータと予め配給会社から事前に配信されている名前の音声データと一致するか否かを検索し、同一の名前が事前に音声データとしてあれば、名前を呼ぶシーンでその音声データを用いて先生Tが名前を呼ぶのである。そして呼ばれた生徒(例えばイケダ)の名前は、その劇場に来ている観客18aの名前になっているのである。例えば、その映画館の会員である観客18aに池田という名前の人が来ている場合に、映画の中で先生は「池田!」と呼び、それに応えて映画のエキストラ役の生徒が「はい!」と返事をするのである。このように数人の生徒の出欠場面において、現在その劇場に来ている観客18aの名前とするのである。
【0123】
これにより、それに気づいた観客18aは自分の名前が呼ばれてうれしくなり、会員サービスとなるのである。この場面は、映画のストーリーが逸脱しない範囲で行うのである。出欠場面であるから、当然、欠席の生徒Haもいるのであり、その名前は事前に映画で用意されている名前を呼び、先生は、「休みか」と言って次の人の名前を呼ぶのである。
【0124】
図16には、出欠に観客の名前を用いる一連の流れのフローチャートを示す。まず、観客は劇場の入場時に会員番号をチェックされ(ステップ80)、その都度劇場のコンピュータの会員データに照合して名前、年齢、性別の各属性をチェックする(ステップ81)。次に事前に配給会社から配給されている音声データの属性(名前、年齢、性別)とを照合する(ステップ82)。
【0125】
その結果、完全一致するものを選び出して候補者として、採用人数分に見合うかどうかを判定し(ステップ83)、採用人数より多い場合は、候補者を劇場の来場回数に応じて選出する(ステップ84)。来場回数に応じて選出することで上得意の観客サービスとなる。勿論ランダムに選出してもよい。ステップ83での照合の結果、採用人数に満たない場合は、条件を緩和して年齢に幅を持たせて該当する者を照合する(ステップ85)。その結果、充足する人数に足りたかどうかを判定し(ステップ86)、充足人数を満たした場合は、完全一致者を全て採用するとともに、条件緩和者の中から候補者を選出する(ステップ87)。これは来場回数で選出してもよいしランダムでもよい。
【0126】
そして採用人数に見合う条件を緩和したにも関わらず採用人数に満たない場合は、採用人数に満たない分を事前に用意してある音声データで賄い、完全一致者、条件緩和者を全て採用する(ステップ88)。
【0127】
そして出欠シーンにおいて、先生が生徒の名前を呼び上げるシーンにおいて、来場している観客データから適合する名前を呼び上げるべく、事前に配給会社から配信されているストーリーの中に名前順にして組み込む処理を行う(ステップ89)。これにて音声データの観客データの組込み処理が完了する。
【0128】
この組み込み処理は、予め準備されて出席をとるシーンにおいて、図15に示すように、事前に配給されている映画では、例えば、先生が「井上!」と呼び、男の生徒が「はい」と応えるシーンにおいて、その劇場に来場している観客の中に、その生徒の年齢と同一の男性(属性が完全一致)の名前が池田というのであれば、事前に用意されている音声データの中から池田という音声データに入れ替えるのである。そして実際には、先生はそのシーンで、「池田」と読み上げ、それに応答して映画のなかでは男の生徒役の俳優が「はい」と返事をするのである。
【0129】
学園ものの教室の出席を取る実施例では、観客のデータの属性のうち年齢に限定が生じるが、これが病院の待合室等で名前を呼び上げるような場合では、老若男女の入り乱れていても不自然でないので、年齢層も幅広く選出することができる。これにより選出された観客は、自分の名前が呼ばれるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0130】
<第8実施例>
次に第8実施例として映画中での二者択一シーンでの観客データの使用例について述べる。ここでは、対象となる観客の立場にたち、自分ならこうするであろうと思われる行動様式を推測し映画を展開する方法を述べる。
映画の回顧録のなかでのストーリーで、ヒロインの恋人役が沈没が近づいている豪華客船から逃げ出すシーン設定について、事前のシーンでこの恋人役がさそり座であると判明している。
【0131】
このシーンに観客のデータが用いられるのである。観客のデータは第1実施形態に示した如く顧客のデータの登録するための各種の方法にて、事前に劇場のコンピュータ内に登録してある。
ここでは恋人はさそり座であるので、来場している顧客データの生年月日からさそり座の観客をリストアップし、その観客たちが裕福層であるか、否かにより、もし自分たちがその立場に置かれたら取るであろう行動に沿って映画が展開するようにしてある。事前の登録カードとして次世代クレジットカードとして裕福層の人にしか発行されないゴールドカード保持者であれば、裕福層と判定する。
さそり座の複数の観客のうち、裕福層が多い場合には、映画の恋人役はそこで高価なお金を支払って救命ボートに乗るのである。この行動は裕福層ならば自然とするであろう行動をするのである。
【0132】
逆に観客に裕福層が少ない場合は救命ボートには乗れず、海に浮かんだ板を摑んで漂流して救助を待つ道を選ぶことにある。これも現実の世界で、裕福でない層で正直なものであればそうするであろう行動をするのである。
これらにより、ストーリーは見ている観客の大部分に、より現実味のある映画となるのである。
【0133】
<第9実施例>
次に第9実施例として、観客の全体像がどのような感情を抱いているのかを様々な観点から捉える観客状況認識装置について説明する。
図17は劇場の概略システムを示す。劇場では運行管理端末9から上映指示を行うことで、記憶装置6に記録された映画情報のデジタル信号を読み出し、上映装置7からスクリーン8に投影して上映する。
図2で示した読取器11では、顧客が保有しているIDを内蔵携帯電話やIDカードを読み取って顧客データベース10に照合をして処理していたが、本実施例ではこの読取器11の代わりに顧客状況認識装置19を劇場内に取り付ける。観覧席17にいる観客18が映画を見ていて、大部分の観客が笑っているのか、あるいは泣いているのか、それとも興奮しているのかの状況を認識するために劇場内の壁や天井、または観覧席17に集音マイク19a、サーモスタット19b(温度計)、テレビカメラ19cがそれぞれ備え付けられており、観客全体あるいはサンプルとして一部の観客を観察できるようになっている。
【0134】
この集音マイク19aには顧客が発する音を収録して劇場に設置したスピーカからの映画音楽を拾わないように第4実施例同様に指向性のマイクを用いるのが好ましい。各装置はそれぞれ単独で劇場の前方の壁に設けてもよいし、又は天井部のみに設けてもよく、こうすることで、多数の観客の状況を認識することができるのである。観客個々人の状況を把握する場合には椅子等にこれらの認識装置を付けてもよい。
【0135】
これにより集音マイク19aで集音した音が静まりかえっているのか、ざわついているのか、騒いでいるのかを判定する。さらにサーモスタット(温度計)19bで観客の発する体温による劇場内の温度の変化を観測する。テレビカメラ19cでは、観客の動きを画像として捉え、動きがあるのかどうかを観察する。
【0136】
これらの各種の異なる情報から、例えば、観客が笑っている場合は、集音マイクから笑い声が検出されるとともに、温度変化はあまりないものの、観客の動きは微妙に顔の部分が揺れるのをテレビカメラ19cで認識する。観客が泣いている場合は、集音マイク19aからはしくしくとした泣き声が集音されるとともに、温度変化はあまりなく、観客の動きもあまりないのがカメラ19cで認識される。観客が興奮している場合は、集音マイク19aでザワツキの音を検出するとともに、サーモスタット19bでの温度変化は興奮で高まり、観客の動きに一部変化が見られる。観客が興奮して騒いでいる場合は、集音マイク19aで騒ぎ声が検出されるとともに、サーモスタット19bで検出される温度変化が興奮で高まり、観客の動きが大きくなっているのがテレビカメラ19cで認識される。
【0137】
これらの各種機器からの入力情報としてのパラメータの変化は、予め用意されているデータと検出された情報データを比較することで、どのデータパターンに近いか検出することで判定される。例えば、集音マイクからの集音では、笑い声、泣き声、興奮状態のざわつき音などを事前にデータパターンとして用意しておき、集音された音データのパターンと比較して、どのパターンに当てはまるかをコンピュータシステムにより自動判定するのである。これらの判定ソフトは事前に配給会社から配信されて劇場コンピュータに組み込まれており、デジタル映画の進行に合わせて稼動されるのである。
【0138】
このように様々なパラメータから観客の状況を認識して、第4実施例での声の大きさ、第6実施例の拍手の大きさだけではなく、複数のパラメータを用いることで、より観客の状況の把握が多点的にしかも多数の顧客の感情を把握でき、その最大公約数的な様々な観客の動向(笑う、泣く、悲しむ、驚く、恐れる、興奮する等)により、それぞれ違ったストーリーを用意しておき展開してもよい。
【0139】
上記実施例では読取器11の代わりに顧客状況認識装置19として、集音マイク、サーモスタット、テレビカメラをもとに述べたが、これだけに限る必要はなく、様々な機器の組合せあるいは単独で用いても良いし。勿論、第2実施例の読取器11と顧客状況認識装置を同列にして用いることでも良い。
【0140】
【発明の効果】
一般の人でも番組や映画の視聴に参加するだけでなく、事前に顧客データベースに登録しておくことにより、デジタル映画の一部に映画を見ている観客が能動的に参加ができるのである。
さらに観客全員のデータを集計したうえで、映画が分岐していくシーンがあるので、その映画の上映毎に分岐内容が異なり、観客は自分達が映画の進行に影響を与えており、受身の姿勢からより能動的に映画を鑑賞できるのである。
【0141】
さらにまた、不特定多数の顧客の中から自分が選出されてその映画に参加できる期待感とともに映画を鑑賞することができるのである。
上映毎にストーリーの分岐部分が差込となっており、何度も見る観客にとっても同一の内容とならず、その分、次は自分が特別出演するかも知れないという気分でワクワクしながら映画を楽しむことができるのである。
【0142】
また上映映画の本編の中に広告スペースを設けてあるので、広告を出したい依頼主は、事前に用意したポスターや宣伝文句等を用いて簡単に広告を出すことができる。しかも映画の本編の中で広告が出せるので、顧客に対するアピール性が高まるのである。
【0143】
さらに事前にどのような嗜好を有する観客であるかが顧客データベースの嗜好情報から把握できるので劇場側が広告主にそれをアピールすることで、広告主にとっては広告戦略を立てやすく広告効率の高まりが期待できるのである。
【0144】
さらにまた、デジタル映画のストーリーを制御できるストーリー制御部に対し、劇場内の設けられた観客状況認識部にて観客の状況を収集して、該ストーリー制御部に収集した観客の状況に基づき顧客情報を反映して、ストーリー制御を行いその結果が、次のストーリーの展開を予め用意されたストーリーの中から選択するので、観客が能動的にデジタル映画を見ているだけで、観客の状況を認識することができ、観客の行動様式を予測してストーリーが展開できるのである。
【0145】
さらにまた、デジタル映画を見ている劇場内の観客が発した音である声援や拍手等を集音マイクで捕え、それを元にストーリー展開を行っていくことができるのである。これにより、劇場内の観客が発した意志表示を音として捕えてデジタル映画のストーリーに反映することができるのである。
【0146】
さらに集音マイク以外にもさまざまな機器を用いており、デジタル映画を見ている劇場内の観客の状況を各種のパラメータを用いて認識でき、顧客の状況を多角的に認識できるのである。これにより、顧客の状況をいろんな観点から認識でき、それを元にデジタル映画のストーリーを展開することができるのである。
【0147】
さらにまた、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして顧客データを集計・選出し、集計・選出結果をもとにストーリー分岐部から次のストーリーを選択することができる。
これにより、顧客の嗜好にあったストーリーを展開することができ、顧客の満足度を増すことができるのである。
【0148】
デジタル映画のストーリーに予め設けられた情報組込み部に対して、予め用意されている複数の組込み情報があるので、事前に登録されている顧客データの中から、来場している顧客を対象にして前記情報組込み部に適合する顧客データを集計・選出して、選出された顧客に対応する組込み情報を前記複数の組込み情報から選択して、選択された情報を前記情報組込み部に組込むことで、予め用意されている情報であるが、来場している観客に対応する情報を組込むことができるのである。これにより選出された観客は、自分の属性が映画上に表れるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面となるのである。
【0149】
デジタル映画システムの情報組込み部に組込む情報はデジタル映画上映時に来場している顧客を対象に顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出された顧客の名前の音声情報であり、これにより選出された観客は、自分の名前が呼ばれるので、その場面により親しみが沸き、印象に残る場面とすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタル映画システム全体の概要図である。
【図2】上映映画に観客が特別出演する形態を示す図である。
【図3】記憶装置内のデジタル情報を示す図である。
【図4】題名「君といた夏」についてスクリプト(脚本)である。
【図5】題名「君といた夏」についてのフローチャートである。
【図6】映画を鑑賞している観客の一人の携帯電話が鳴るシステムを示す図である。
【図7】題名「沈黙の007」についてのスクリプト(脚本)である。
【図8】題名「沈黙の007」についてのフローチャートである。
【図9】CGアニメ映画のストーリーの流れ図である。
【図10】CGアニメ映画の綱引きの場面である。
【図11】CGアニメ映画のフローチャートである。
【図12】演芸映画のストーリー展開を表す概略図である。
【図13】漫才勝抜き戦の進行図である。
【図14】漫才勝抜き戦のフローチャートである。
【図15】学校の教室で先生が生徒の出欠を取る場面である。
【図16】出欠に観客の名前を用いる一連の流れのフローチャートである。
【図17】顧客状況認識装置の一例である。
【符号の説明】
1…配給会社
2…コンピュータ
3…記憶装置
4…高速通信回線
5…劇場
6…記憶装置
7…上映装置
8…スクリーン
9…運行管理端末
10…顧客データベース
11…入出力装置(アンテナ)
12…会員カード
13…携帯電話
14…次世代IDカード
15…会員チケット
16…グッズ(粗品)
17…観覧席
18…観客
19…顧客状況認識部
Claims (13)
- デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部と、
該デジタル映画の前記デジタル情報組込み部に組込む情報を登録する顧客データ登録手段と、
該顧客データ登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段と、
該集計・選出手段により集計・選出された顧客情報を加工して事前に用意された前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段と、
を備えたデジタル映画システム。 - 請求項1において、顧客データベースを集計した集計結果を基に、予め用意された音声情報を選択してデジタル情報組込み部に組込む、
ことを特徴とするデジタル映画システム。 - 請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索した結果を基に、予め用意された音声情報を選択してデジタル情報組込み部に組込む、
ことを特徴とするデジタル映画システム。 - 請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、適合する顧客の画像データを、予め用意されたデジタル情報組込み部に組込む、
ことを特徴とするデジタル映画システム。 - 請求項1において、予め用意された検索条件を用いて顧客データベースを検索し、適合する顧客の電話番号情報を通信ソフトに設定し、
デジタル映画の進行に伴い、予め設定された場面になると、前記通信ソフトを用いて電話を掛ける、
ことを特徴とするデジタル映画システム。 - 請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、顧客データベースのなかから採用された顧客の名前データを、
予め用意されたスタッフロールのデータ書き込み部に登録し上映する、
ことを特徴とするデジタル映画システム。 - デジタル映画のストーリー中に予め設けられたデジタル情報組込み部と、
該デジタル映画の上映前に事前に広告情報をデジタル情報として登録する登録手段と、
該登録手段において登録した広告情報を前記デジタル情報組込み部に組込むデジタル情報組込み手段と、
を備えたデジタル映画システム。 - デジタル映画のストーリー中に予め設けられているストーリーリを制御できるストーリー制御部と、
前記デジタル映画を上映する劇場内に設けられ劇場内の観客の状況を把握する観客状況認識部と、
該観客状況認識部で収集した観客状況を基に該デジタル映画のストーリー制御部に反映する顧客状況反映部と、
該観客状況反映部の反映による該ストーリー制御部の制御結果が、ストーリーの次の展開を予め用意された複数の展開ストーリーの中から、何れを選択するかを決める選択手段を備えたことを特徴とするデジタル映画システム。 - 請求項8において、観客状況認識部は、少なくとも劇場内の観客が発した音を認識する集音マイクであることを特徴とするデジタル映画システム。
- 請求項8において、観客状況認識部は、劇場内の観客の動向を各種のパラメータを用いて、総合的に認識することを特徴とするデジタル映画システム。
- デジタル映画のストーリー中に予め設けられたストーリー分岐部と、
ストーリー分岐部において分岐可能に予め用意された複数のストーリーと、
事前に顧客の固有情報を登録する顧客データ登録手段と、該デジタル映画上映時に来場している顧客を対象に前記顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出する集計・選出手段と、
該集計・選出手段によって集計された結果に基づき、前記ストーリー分岐部から次のストーリーを選択して分岐する分岐手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル映画システム。 - デジタル映画のストーリー中に予め設けられた情報組込み部と、
前記情報組み込み部に対応して予め用意されている複数の組込み情報と、
事前に顧客の固有情報を登録する顧客データ登録手段と、
該登録手段において登録した顧客データベースの固有情報の中から、該デジタル映画の上映に際して適合する固有情報を集計・選出する集計・選出手段と、
該集計・選出手段により集計・選出された顧客に対応する組込み情報を前記複数の組込み情報から選択する選択手段と、
該選択手段により選択された組込み情報を前記情報組込み部に組込む組込み手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル映画システム。 - 請求項12において、情報組込み部に組込む情報はデジタル映画上映時に来場している顧客を対象に顧客データ登録手段に登録された情報を集計・選出された顧客の名前の音声情報であることを特徴とするデジタル映画システム。
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