JP2004152837A - 半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光特性を高く維持することができる信頼性の高い半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】pn接合を有する発光層1を一対の反射層2で挟持するとともに、該各反射層2−発光層1間に非晶質層3をそれぞれ介在させた半導体レーザ素子を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】pn接合を有する発光層1を一対の反射層2で挟持するとともに、該各反射層2−発光層1間に非晶質層3をそれぞれ介在させた半導体レーザ素子を形成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用の光源等に好適に用いられる半導体レーザ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光通信等の分野で好適に用いられる光源として半導体レーザ素子が知られている。
【0003】
かかる従来の半導体レーザ素子としては、pn接合を有した単結晶状態のInGaAsPからなる発光層を、単結晶状態のAlAs及びGaAsを交互に周期的に積層して形成される一対の反射層で挟持した構造のものが知られており、前記発光層に図示しない電極を介して所定の電力を印加し、発光層の内部で光を発生させるとともに、該発生させた光を前記一対の反射層間で共振・増幅させ、これを前記反射層の一方側よりレーザ光として出射させることによって半導体レーザ素子として機能する。
【0004】
このような半導体レーザ素子は、発光層を構成するInGaAsPと反射層を構成するAlAsやGaAsとは格子定数が大幅に異なっており、発光層上に格子欠陥の少ない良好な反射層を直に成長させることが困難であることから、一般的に以下のような方法で製造される。
(1)まず、InPからなる第一半導体基板と、GaAsからなる第二及び第三半導体基板を準備し、
(2)次に、前記第一半導体基板上にInPと格子定数が近いInGaAsPを成長させてpn接合を有する発光層を形成するとともに、前記第二及び第三半導体基板上にGaAsと格子定数と同じもしくは近いAlAsやGaAsを交互に周期的に積層させて反射層を形成し、
(3)次に、第一半導体基板の発光層と第二半導体基板の反射層とを貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して発光層を露出させ、
(4)次に、露出した発光層に対して第三半導体基板の反射層を貼り合わせて発光層を一対の反射層で挟持するとともに、第二及び第三半導体基板を除去して一対の反射層を露出させ、
(5)最後に、前記一対の反射層に図示しない電極を被着させることによって半導体レーザ素子が完成する。
【0005】
なお、前記発光層と反射層とを貼り合わせる際には、両者の表面に親水化処理を施して水酸基を付着させ、しかる後、発光層と反射層とを圧接した状態で加熱することが行なわれており、発光層と反射層の表面に付着させた水酸基を介して両者を接着させるようにしていた。
【0006】
【特許文献1】
特願平1992−240565号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の半導体レーザ素子においては、発光層と反射層は単結晶状態であり、比較的硬いことから、上述した製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層−反射層間に線膨張係数の違いに起因した熱応力が発生すると、かかる熱応力によって発光層や反射層に歪が生じ、半導体レーザ素子の発光特性が低下する欠点を誘発する。
【0008】
また、上述した従来の半導体レーザ素子の製造方法においては、発光層及び反射層の表面に親水化処理を施して水酸基を付着させる際、発光層や反射層の表面には水酸基が付着しにくいことから、水酸基を介して発光層と反射層とを強固に接着することが難しく、両者間の接着強度が不足する傾向にあり、それ故、従来の半導体レーザ素子の製造方法を用いて製作された半導体レーザ素子に熱応力や外部からの外力が印加されたりすると、かかる熱応力や外力によって反射層が発光層より剥がれ、半導体レーザ素子を良好に機能させることができず、最悪の場合、半導体レーザ素子を使用することが不可となる欠点を有していた。
【0009】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたものであり、その目的は発光特性を高く維持することができる信頼性の高い半導体レーザ素子及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザ素子は、pn接合を有する発光層を一対の反射層で挟持するとともに、該各反射層−発光層間に非晶質層をそれぞれ介在させたことを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、第一半導体基板の上面に発光層及び非晶質層を順次積層するとともに、第二及び第三半導体基板の上面に反射層及び非晶質層をそれぞれ順次積層する工程1と、該工程1で積層した第一半導体基板の非晶質層と第二半導体基板の非晶質層を対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して発光層を露出させる工程2と、該工程2で露出させた発光層の表面に非晶質層を積層する工程3と、該工程3で積層した非晶質層と工程1で得た第三半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせる工程4と、前記第二半導体基板及び第三半導体基板を除去して反射層を露出させる工程5と、を含むことを特徴とするものである。
【0012】
更に本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、第一半導体基板の上面に非晶質層、発光層及び非晶質層を順次積層するとともに、第二及び第三半導体基板の上面に反射層及び非晶質層をそれぞれ順次積層する工程1と、該工程1で積層した第一半導体基板の最上層の非晶質層と第二半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して第一半導体基板の最下層の非晶質層を露出させる工程2と、該工程2で露出させた第一半導体基板の最下層の非晶質層と工程1で得た第三半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせる工程3と、前記第二半導体基板及び第三半導体基板を除去して反射層を露出させる工程4と、を含むことを特徴とするものである。
【0013】
また更に本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、前記非晶質層同士を貼り合わせる際に、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施すとともに、これら非晶質層同士を圧接させた状態で両者を400℃〜700℃に加熱したことを特徴とするものである。
【0014】
更にまた本発明は、上述の発光層、反射層が単結晶化合物半導体からなることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の半導体レーザ素子によれば、発光層と反射層との間に非晶質層を介在させたことから、製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層−反射層間に熱応力が加えられても、かかる熱応力が非晶質層でもって良好に吸収されることとなり、それ故、発光層や反射層を歪の少ない良好な膜質に保持することができ、半導体レーザ素子の発光特性を高く維持することが可能となる。
【0016】
また本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、発光層及び反射層をそれぞれ別個の半導体基板に形成するとともに、これら発光層及び反射層の表面に非晶質層を形成し、これらの非晶質層同士を貼り合わせるようにしたことから、該貼り合わせ時、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施す際に、非晶質層に水酸基が良好に付着し、かかる水酸基を介して発光層と反射層とを強固に接着させることができるようになる。従って、半導体レーザ素子を長時間にわたり連続して使用し、半導体レーザ素子が過度の熱を発したとしても、反射層が発光層より剥がれることを有効に防止することができ、半導体レーザ素子を長期にわたり良好に機能させて半導体レーザ素子の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる半導体レーザ素子の断面図、図2は半導体レーザ素子の第一の製造方法を説明するための各工程における断面図であり、図1に示す半導体レーザ素子は発光層1を一対の反射層2で挟持し、該反射層2−発光層1間に非晶質層3を介在させた構造を有している。
【0018】
前記発光層1は、InGaAsPやInGaAs等のようなInGaAs系の単結晶化合物半導体からなるp型半導体層とn型半導体層を順次積層することにより0.6μm〜5μmの厚みに形成されており、その内部にpn接合を有しているため、かかる発光層1に図示しない電極を介して所定の電力が印加されると、n型半導体層中に正孔が、p型半導体層中に電子がそれぞれ注入され、正孔と電子をpn接合付近で再結合させることによって光を発生し、該発生した光を発光層1の内部で共振・増幅させて、これをレーザ光として外部へ放出するようになっている。尚、前記発光層1をInGaAsPで形成した場合、放出されるレーザ光の波長は1.3μm〜1.5μmとなる。
【0019】
また前記発光層1を挟持する一対の反射層2は、GaAsやAlAs等、発光層1を構成する単結晶化合物半導体と格子定数が異なる複数種類(本実施形態においては2種類)の単結晶化合物半導体薄膜を交互に周期的(20周期〜30周期)に積層させることにより3μm〜10μm形成されており、前記発光層1の内部で発生した光をこれら一対の反射層2によって発光層側に反射させることにより、発光層1の内部で光を共振・増幅させるとともに、該共振・増幅させた光を反射層2の一方側よりレーザ光として外部に出射させる作用を為している。
【0020】
そして本実施形態において重要なことは、先に述べた如く、前記発光層1−反射層2間に非晶質層3を介在させた点である。
【0021】
前記非晶質層3は、例えばSiやGe等の半導体材料により0.02μm〜2μmの厚みに形成されており、その内部の結晶状態は、その名の通り、無秩序なアモルファス状態にあり、原子同士が規則性なくランダムに結合していることから、半導体レーザ素子の発光時に生じる熱によって発光層1−反射層2間に発生した熱応力を内部で良好に吸収するようになっている。
【0022】
従って、製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層1−反射層2間に熱応力が加えられても、かかる熱応力が非晶質層3でもって良好に吸収されることとなり、それ故、発光層1や反射層2を歪の少ない良好な膜質に保持することができ、半導体レーザ素子の発光特性を長期にわたり高く維持することが可能となる。
【0023】
また、前記発光層1をInGaAsPにより、反射層2をGaAs及びAlAsにより、非晶質層3をSiによりそれぞれ形成しておけば、InGaAsPからなる発光層1の発するレーザ光(波長領域1.3μm〜1.5μm)が非晶質層3や反射層2によって吸収される光量を大幅に低減させることができ、レーザ光の取り出し効率が高い高性能の半導体レーザ装置の実現が可能となる。
【0024】
かくして上述した半導体レーザ素子は、前記発光層1に図示しない電極を介して所定の電力を印加し、発光層1の内部で光を発生させるとともに、該発生させた光を前記一対の反射層2間で共振・増幅させ、該共振・増幅させた光を前記反射層2の一方側よりレーザ光として出射させることによって半導体レーザ素子として機能する。
【0025】
次に、上述した半導体レーザ素子の第一の製造方法を図2を用いて詳細に説明する。
【0026】
(1)まず、第一、第二、第三半導体基板4,5,6を準備する(図2(i))。
【0027】
前記第一半導体基板4は、InP等のように発光層1を構成する単結晶化合物半導体に対して格子定数が近い単結晶化合物半導体により形成され、一方、第二及び第三半導体基板5,6は、GaAs等のように反射層2を構成する単結晶層化合物半導体に対して格子定数が同じかもしくは近い単結晶化合物半導体により形成されており、これら第一乃至第三半導体基板4,5,6は円形状や三角形状、四角形状等、種々の形状に形成される。尚、これら第一乃至第三半導体基板4,5,6は、従来周知のバーチカル・ブリッジマン(VB法)等によって形成したInPやGaAsのインゴット(塊)を所定厚みにスライスし、これを表面研磨することによって製作される。
【0028】
(2)次に、前記第一半導体基板4上に発光層1及び非晶質層3aを順次積層し、一方、前記第二半導体基板5上に反射層2及び非晶質層3bを、第三半導体基板6上に反射層2及び非晶質層3cをそれぞれ順次積層する(図2(ii))。
【0029】
前記発光層1は、例えば従来周知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等を採用することにより、上述したInGaAsP等の単結晶化合物半導体薄膜を第一半導体基板4上にエピタキシャル成長させることによって所定厚み(0.6μm〜5μm)に形成される。
【0030】
また前記反射層2は、例えば、従来周知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等を採用することにより、GaAs及びAlAsなどの複数種類の単結晶化合物半導体薄膜を第二及び第三半導体基板5,6上に周期的にエピタキシャル成長させることによって3μm〜10μmの厚みに形成される。
【0031】
一方、前記非晶質層3a、3b、3cは、Siからなる場合、例えば、従来周知のプラズマCVD法、具体的には、シラン(SiH4)や水素(H2)等の原料ガスを反応室内に導入するとともに、該反応室に高周波電力を印加してグロー放電を生起させ、上記原料ガスを分解し、しかる後、該分解した原料ガスを200℃〜400℃の温度に加熱された第1乃至第3半導体基板4,5,6の発光層1、反射層2上にそれぞれ被着させることによって形成され、これによって非晶質層3a、3b、3cは発光層1や反射層2の上面にそれぞれ0.01μm〜1μmの厚みに形成される。
【0032】
(3)次に、第一半導体基板の非晶質層3aと第二半導体基板5の非晶質層3bとを貼り合わせるとともに、第一半導体基板4を除去して発光層1を露出させる(図2(iii))。
【0033】
前記非晶質層3aと非晶質層3bとの貼り合わせは、一方、もしくは双方の非晶質層3a、3bをHF溶液に浸漬させることで親水化処理を施し、一方、もしくは双方の非晶質層3a、3bに水酸基(OH−)を付着させるとともに、これら水酸基を付着させた非晶質層3a、3b同士を0.1kgf/cm2〜10kgf/cm2の圧力で圧接させ、この状態で両者を400℃〜700℃に加熱することによって行なわれ、これによって非晶質層3a、3bが良好に接合され、第一半導体基板4上の発光層1と第二半導体基板上の反射層2とが強固に接着される。
【0034】
また前記第一半導体基板4の除去は、該第一半導体基板4をHCl等からなるエッチング液に所定時間浸漬させることによって行なわれる。
【0035】
(4)次に(2)で露出させた発光層1の表面に非晶質層3dを積層する(図2(iv))。
【0036】
前記非晶質層3dは、先に述べた非晶質層3a、3b、3cと同質の材料により同様の方法により製作される。
【0037】
(5)次に、(4)で積層した非晶質層3dと前記第三半導体基板6の非晶質層3cとを対面させるように貼り合わせる(図2(v))。
【0038】
前記非晶質層3c、3dとの貼り合わせは、上述した非晶質層3aと非晶質層3bとの貼り合わせと同様の方法が採用され、これによって非晶質層3c、3dを良好に接合して第一半導体基板4上の発光層1と第三半導体基板6上の反射層2とが強固に接着される。
【0039】
(6)最後に、第二半導体基板5及び第三半導体基板6を除去して一対の反射層2を露出させ、該露出させた一対の反射層2に図示しない電極をそれぞれ被着させることによって半導体レーザ素子が完成する(図2(vi))。
【0040】
前記第二、第三半導体基板5,6を除去するには、これらの半導体基板5,6をH2SO4やH2O2からなるエッチング液に所定時間浸漬させることによって行なわれる。
【0041】
また図示しない電極は、従来周知の薄膜形成技術、具体的にはスパッタリング、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術等を採用することによって、アルミニウム等の金属材料を各反射層2上に所定パターン被着させることによって形成される。
【0042】
以上のような本実施形態の製造方法によれば、発光層1及び反射層2をそれぞれ別個の半導体基板に形成するとともに、これら発光層1及び反射層2の表面に非晶質層3a、3b、3c、3dを形成し、これらの非晶質層同士を貼り合わせて発光層1と反射層2とを接着するようにしたことから、該貼り合わせ時、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施す際に、非晶質層に水酸基が良好に付着し、かかる水酸基を介して発光層1と反射層2とを強固に接着させることができるようになる。従って、半導体レーザ素子を長時間にわたり連続して使用し、半導体レーザ素子が過度の熱を発したとしても、反射層2が発光層1より剥がれることを有効に防止することができ、半導体レーザ素子を長期にわたり良好に機能させて半導体レーザ素子の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
【0043】
次に上述した半導体レーザ素子の第二の製造方法について図3を用いて詳細に説明する。尚、第一の製造方法と同様の構成要素には同一の参照符を用い、重複する説明を省略する。
【0044】
図3は半導体レーザ素子の第二の製造方法を説明するための各工程における断面図であり、第二の製造方法が第一の製造方法と異なる点は、第一半導体基板4上に、発光層1を挟持する非晶質層3e、3fを積層したことである。具体的には以下の工程を経て半導体レーザ素子を完成させる。
【0045】
(1’)まず、第一の製造方法と同様に第一乃至第三半導体基板4,5,6を準備する(図3(i))。
【0046】
(2’)次に、第一半導体基板4の上面に非晶質層3e、発光層1及び非晶質層3fを順次積層するとともに、第二半導体基板5の上面に反射層2及び非晶質層3gを、第三半導体基板6の上面に反射層2及び非晶質層3hをそれぞれ順次積層する(図3(ii))。
【0047】
(3’)次に、前記第一半導体基板4の最上層の非晶質層3fと第二半導体基板5の非晶質層3gとを対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板4を除去して第一半導体基板4の最下層の非晶質層3gを露出させる(図3(iii))。
【0048】
(4’)次に、(3’)で露出させた第一半導体基板4の最下層の非晶質層3eと第三半導体基板6の非晶質層3hとを対面させるように貼り合わせる(図3(iv))。
【0049】
(5’)最後に、前記第二半導体基板5及び第三半導体基板6を除去して反射層2を露出させ、しかる後、反射層2上に図示しない電極を被着させる(図3(v))。
【0050】
以上のような半導体レーザ素子の第二の製造方法よっても、上述した半導体レーザ素子を完成させることが可能となる。
【0051】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良・変更が可能である。
【0052】
例えば上述の実施形態において、前記非晶質層3にP(燐)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等の不純物を1×1019〜5×1020原子/cm3の量だけドーピングするようにすれば、かかる不純物がドナーとして機能するため、非晶質層3の比抵抗を低くなすことができる。従って、発光層1−反射層2間に非晶質層3を介在させても、かかる非晶質層3の近傍で大きな電力損失が発生するのを有効に防止することができ、半導体レーザ素子の消費電力を小さく維持することが可能となる。
【0053】
ここで、非晶質層3にドーピングする上記不純物の量が1×1019原子/cm3よりも小さいと、非晶質層3の比抵抗を効果的に低くすることができず、半導体レーザ素子の消費電力が大きくなる傾向にあり、一方、非晶質3にドーピングする不純物の量が5×1020原子/cm3よりも大きいと、もはや不純物がドナーとして寄与せず、逆に非晶質層3の抵抗値を増加し、やはり半導体レーザ素子の消費電力が大きくなる傾向にある。従って、前記非晶質層3にP(燐)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等の不純物を1×1019〜5×1020原子/cm3の量だけドーピングするようにすることが好ましい。
【0054】
また上述の実施形態においては、第二半導体基板5及び第三半導体基板6を同時に除去するようにしたが、これに代えて、これら2つの半導体基板5,6を別々に分けて除去するようにしても良い。
【0055】
更に上述の実施形態においては、第二半導体基板5及び第三半導体基板6を最後の工程にて除去するようにしたが、これに代えて、これらの半導体基板5,6上に反射層や非晶質層を積層した後であれば、どの工程で除去するようにしても構わない。
【0056】
【発明の効果】
本発明の半導体レーザ素子によれば、発光層と反射層との間に非晶質層を介在させたことから、製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層−反射層間に熱応力が加えられても、かかる熱応力が非晶質層でもって良好に吸収されることとなり、それ故、発光層や反射層を歪の少ない良好な膜質に保持することができ、半導体レーザ素子の発光特性を高く維持することが可能となる。
【0057】
また本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、発光層及び反射層をそれぞれ別個の半導体基板に形成するとともに、これら発光層及び反射層の表面に非晶質層を形成し、これらの非晶質層同士を貼り合わせるようにしたことから、該貼り合わせ時、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施す際に、非晶質層に水酸基が良好に付着し、かかる水酸基を介して発光層と反射層とを強固に接着させることができるようになる。従って、半導体レーザ素子を長時間にわたり連続して使用し、半導体レーザ素子が過度の熱を発したとしても、反射層が発光層より剥がれることを有効に防止することができ、半導体レーザ素子を長期にわたり良好に機能させて半導体レーザ素子の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる半導体レーザ素子の断面図である。
【図2】図1に示す半導体レーザ素子の第一の製造方法を説明するための各工程における断面図である。
【図3】図1に示す半導体レーザ素子の第二の製造方法を説明するための各工程における断面図である。
【符号の説明】
1・・・発光層
2・・・反射層
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h・・・非晶質層
4・・・第一半導体基板
5・・・第二半導体基板
6・・・第三半導体基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用の光源等に好適に用いられる半導体レーザ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光通信等の分野で好適に用いられる光源として半導体レーザ素子が知られている。
【0003】
かかる従来の半導体レーザ素子としては、pn接合を有した単結晶状態のInGaAsPからなる発光層を、単結晶状態のAlAs及びGaAsを交互に周期的に積層して形成される一対の反射層で挟持した構造のものが知られており、前記発光層に図示しない電極を介して所定の電力を印加し、発光層の内部で光を発生させるとともに、該発生させた光を前記一対の反射層間で共振・増幅させ、これを前記反射層の一方側よりレーザ光として出射させることによって半導体レーザ素子として機能する。
【0004】
このような半導体レーザ素子は、発光層を構成するInGaAsPと反射層を構成するAlAsやGaAsとは格子定数が大幅に異なっており、発光層上に格子欠陥の少ない良好な反射層を直に成長させることが困難であることから、一般的に以下のような方法で製造される。
(1)まず、InPからなる第一半導体基板と、GaAsからなる第二及び第三半導体基板を準備し、
(2)次に、前記第一半導体基板上にInPと格子定数が近いInGaAsPを成長させてpn接合を有する発光層を形成するとともに、前記第二及び第三半導体基板上にGaAsと格子定数と同じもしくは近いAlAsやGaAsを交互に周期的に積層させて反射層を形成し、
(3)次に、第一半導体基板の発光層と第二半導体基板の反射層とを貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して発光層を露出させ、
(4)次に、露出した発光層に対して第三半導体基板の反射層を貼り合わせて発光層を一対の反射層で挟持するとともに、第二及び第三半導体基板を除去して一対の反射層を露出させ、
(5)最後に、前記一対の反射層に図示しない電極を被着させることによって半導体レーザ素子が完成する。
【0005】
なお、前記発光層と反射層とを貼り合わせる際には、両者の表面に親水化処理を施して水酸基を付着させ、しかる後、発光層と反射層とを圧接した状態で加熱することが行なわれており、発光層と反射層の表面に付着させた水酸基を介して両者を接着させるようにしていた。
【0006】
【特許文献1】
特願平1992−240565号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の半導体レーザ素子においては、発光層と反射層は単結晶状態であり、比較的硬いことから、上述した製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層−反射層間に線膨張係数の違いに起因した熱応力が発生すると、かかる熱応力によって発光層や反射層に歪が生じ、半導体レーザ素子の発光特性が低下する欠点を誘発する。
【0008】
また、上述した従来の半導体レーザ素子の製造方法においては、発光層及び反射層の表面に親水化処理を施して水酸基を付着させる際、発光層や反射層の表面には水酸基が付着しにくいことから、水酸基を介して発光層と反射層とを強固に接着することが難しく、両者間の接着強度が不足する傾向にあり、それ故、従来の半導体レーザ素子の製造方法を用いて製作された半導体レーザ素子に熱応力や外部からの外力が印加されたりすると、かかる熱応力や外力によって反射層が発光層より剥がれ、半導体レーザ素子を良好に機能させることができず、最悪の場合、半導体レーザ素子を使用することが不可となる欠点を有していた。
【0009】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたものであり、その目的は発光特性を高く維持することができる信頼性の高い半導体レーザ素子及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザ素子は、pn接合を有する発光層を一対の反射層で挟持するとともに、該各反射層−発光層間に非晶質層をそれぞれ介在させたことを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、第一半導体基板の上面に発光層及び非晶質層を順次積層するとともに、第二及び第三半導体基板の上面に反射層及び非晶質層をそれぞれ順次積層する工程1と、該工程1で積層した第一半導体基板の非晶質層と第二半導体基板の非晶質層を対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して発光層を露出させる工程2と、該工程2で露出させた発光層の表面に非晶質層を積層する工程3と、該工程3で積層した非晶質層と工程1で得た第三半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせる工程4と、前記第二半導体基板及び第三半導体基板を除去して反射層を露出させる工程5と、を含むことを特徴とするものである。
【0012】
更に本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、第一半導体基板の上面に非晶質層、発光層及び非晶質層を順次積層するとともに、第二及び第三半導体基板の上面に反射層及び非晶質層をそれぞれ順次積層する工程1と、該工程1で積層した第一半導体基板の最上層の非晶質層と第二半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して第一半導体基板の最下層の非晶質層を露出させる工程2と、該工程2で露出させた第一半導体基板の最下層の非晶質層と工程1で得た第三半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせる工程3と、前記第二半導体基板及び第三半導体基板を除去して反射層を露出させる工程4と、を含むことを特徴とするものである。
【0013】
また更に本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、前記非晶質層同士を貼り合わせる際に、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施すとともに、これら非晶質層同士を圧接させた状態で両者を400℃〜700℃に加熱したことを特徴とするものである。
【0014】
更にまた本発明は、上述の発光層、反射層が単結晶化合物半導体からなることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の半導体レーザ素子によれば、発光層と反射層との間に非晶質層を介在させたことから、製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層−反射層間に熱応力が加えられても、かかる熱応力が非晶質層でもって良好に吸収されることとなり、それ故、発光層や反射層を歪の少ない良好な膜質に保持することができ、半導体レーザ素子の発光特性を高く維持することが可能となる。
【0016】
また本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、発光層及び反射層をそれぞれ別個の半導体基板に形成するとともに、これら発光層及び反射層の表面に非晶質層を形成し、これらの非晶質層同士を貼り合わせるようにしたことから、該貼り合わせ時、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施す際に、非晶質層に水酸基が良好に付着し、かかる水酸基を介して発光層と反射層とを強固に接着させることができるようになる。従って、半導体レーザ素子を長時間にわたり連続して使用し、半導体レーザ素子が過度の熱を発したとしても、反射層が発光層より剥がれることを有効に防止することができ、半導体レーザ素子を長期にわたり良好に機能させて半導体レーザ素子の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる半導体レーザ素子の断面図、図2は半導体レーザ素子の第一の製造方法を説明するための各工程における断面図であり、図1に示す半導体レーザ素子は発光層1を一対の反射層2で挟持し、該反射層2−発光層1間に非晶質層3を介在させた構造を有している。
【0018】
前記発光層1は、InGaAsPやInGaAs等のようなInGaAs系の単結晶化合物半導体からなるp型半導体層とn型半導体層を順次積層することにより0.6μm〜5μmの厚みに形成されており、その内部にpn接合を有しているため、かかる発光層1に図示しない電極を介して所定の電力が印加されると、n型半導体層中に正孔が、p型半導体層中に電子がそれぞれ注入され、正孔と電子をpn接合付近で再結合させることによって光を発生し、該発生した光を発光層1の内部で共振・増幅させて、これをレーザ光として外部へ放出するようになっている。尚、前記発光層1をInGaAsPで形成した場合、放出されるレーザ光の波長は1.3μm〜1.5μmとなる。
【0019】
また前記発光層1を挟持する一対の反射層2は、GaAsやAlAs等、発光層1を構成する単結晶化合物半導体と格子定数が異なる複数種類(本実施形態においては2種類)の単結晶化合物半導体薄膜を交互に周期的(20周期〜30周期)に積層させることにより3μm〜10μm形成されており、前記発光層1の内部で発生した光をこれら一対の反射層2によって発光層側に反射させることにより、発光層1の内部で光を共振・増幅させるとともに、該共振・増幅させた光を反射層2の一方側よりレーザ光として外部に出射させる作用を為している。
【0020】
そして本実施形態において重要なことは、先に述べた如く、前記発光層1−反射層2間に非晶質層3を介在させた点である。
【0021】
前記非晶質層3は、例えばSiやGe等の半導体材料により0.02μm〜2μmの厚みに形成されており、その内部の結晶状態は、その名の通り、無秩序なアモルファス状態にあり、原子同士が規則性なくランダムに結合していることから、半導体レーザ素子の発光時に生じる熱によって発光層1−反射層2間に発生した熱応力を内部で良好に吸収するようになっている。
【0022】
従って、製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層1−反射層2間に熱応力が加えられても、かかる熱応力が非晶質層3でもって良好に吸収されることとなり、それ故、発光層1や反射層2を歪の少ない良好な膜質に保持することができ、半導体レーザ素子の発光特性を長期にわたり高く維持することが可能となる。
【0023】
また、前記発光層1をInGaAsPにより、反射層2をGaAs及びAlAsにより、非晶質層3をSiによりそれぞれ形成しておけば、InGaAsPからなる発光層1の発するレーザ光(波長領域1.3μm〜1.5μm)が非晶質層3や反射層2によって吸収される光量を大幅に低減させることができ、レーザ光の取り出し効率が高い高性能の半導体レーザ装置の実現が可能となる。
【0024】
かくして上述した半導体レーザ素子は、前記発光層1に図示しない電極を介して所定の電力を印加し、発光層1の内部で光を発生させるとともに、該発生させた光を前記一対の反射層2間で共振・増幅させ、該共振・増幅させた光を前記反射層2の一方側よりレーザ光として出射させることによって半導体レーザ素子として機能する。
【0025】
次に、上述した半導体レーザ素子の第一の製造方法を図2を用いて詳細に説明する。
【0026】
(1)まず、第一、第二、第三半導体基板4,5,6を準備する(図2(i))。
【0027】
前記第一半導体基板4は、InP等のように発光層1を構成する単結晶化合物半導体に対して格子定数が近い単結晶化合物半導体により形成され、一方、第二及び第三半導体基板5,6は、GaAs等のように反射層2を構成する単結晶層化合物半導体に対して格子定数が同じかもしくは近い単結晶化合物半導体により形成されており、これら第一乃至第三半導体基板4,5,6は円形状や三角形状、四角形状等、種々の形状に形成される。尚、これら第一乃至第三半導体基板4,5,6は、従来周知のバーチカル・ブリッジマン(VB法)等によって形成したInPやGaAsのインゴット(塊)を所定厚みにスライスし、これを表面研磨することによって製作される。
【0028】
(2)次に、前記第一半導体基板4上に発光層1及び非晶質層3aを順次積層し、一方、前記第二半導体基板5上に反射層2及び非晶質層3bを、第三半導体基板6上に反射層2及び非晶質層3cをそれぞれ順次積層する(図2(ii))。
【0029】
前記発光層1は、例えば従来周知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等を採用することにより、上述したInGaAsP等の単結晶化合物半導体薄膜を第一半導体基板4上にエピタキシャル成長させることによって所定厚み(0.6μm〜5μm)に形成される。
【0030】
また前記反射層2は、例えば、従来周知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等を採用することにより、GaAs及びAlAsなどの複数種類の単結晶化合物半導体薄膜を第二及び第三半導体基板5,6上に周期的にエピタキシャル成長させることによって3μm〜10μmの厚みに形成される。
【0031】
一方、前記非晶質層3a、3b、3cは、Siからなる場合、例えば、従来周知のプラズマCVD法、具体的には、シラン(SiH4)や水素(H2)等の原料ガスを反応室内に導入するとともに、該反応室に高周波電力を印加してグロー放電を生起させ、上記原料ガスを分解し、しかる後、該分解した原料ガスを200℃〜400℃の温度に加熱された第1乃至第3半導体基板4,5,6の発光層1、反射層2上にそれぞれ被着させることによって形成され、これによって非晶質層3a、3b、3cは発光層1や反射層2の上面にそれぞれ0.01μm〜1μmの厚みに形成される。
【0032】
(3)次に、第一半導体基板の非晶質層3aと第二半導体基板5の非晶質層3bとを貼り合わせるとともに、第一半導体基板4を除去して発光層1を露出させる(図2(iii))。
【0033】
前記非晶質層3aと非晶質層3bとの貼り合わせは、一方、もしくは双方の非晶質層3a、3bをHF溶液に浸漬させることで親水化処理を施し、一方、もしくは双方の非晶質層3a、3bに水酸基(OH−)を付着させるとともに、これら水酸基を付着させた非晶質層3a、3b同士を0.1kgf/cm2〜10kgf/cm2の圧力で圧接させ、この状態で両者を400℃〜700℃に加熱することによって行なわれ、これによって非晶質層3a、3bが良好に接合され、第一半導体基板4上の発光層1と第二半導体基板上の反射層2とが強固に接着される。
【0034】
また前記第一半導体基板4の除去は、該第一半導体基板4をHCl等からなるエッチング液に所定時間浸漬させることによって行なわれる。
【0035】
(4)次に(2)で露出させた発光層1の表面に非晶質層3dを積層する(図2(iv))。
【0036】
前記非晶質層3dは、先に述べた非晶質層3a、3b、3cと同質の材料により同様の方法により製作される。
【0037】
(5)次に、(4)で積層した非晶質層3dと前記第三半導体基板6の非晶質層3cとを対面させるように貼り合わせる(図2(v))。
【0038】
前記非晶質層3c、3dとの貼り合わせは、上述した非晶質層3aと非晶質層3bとの貼り合わせと同様の方法が採用され、これによって非晶質層3c、3dを良好に接合して第一半導体基板4上の発光層1と第三半導体基板6上の反射層2とが強固に接着される。
【0039】
(6)最後に、第二半導体基板5及び第三半導体基板6を除去して一対の反射層2を露出させ、該露出させた一対の反射層2に図示しない電極をそれぞれ被着させることによって半導体レーザ素子が完成する(図2(vi))。
【0040】
前記第二、第三半導体基板5,6を除去するには、これらの半導体基板5,6をH2SO4やH2O2からなるエッチング液に所定時間浸漬させることによって行なわれる。
【0041】
また図示しない電極は、従来周知の薄膜形成技術、具体的にはスパッタリング、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術等を採用することによって、アルミニウム等の金属材料を各反射層2上に所定パターン被着させることによって形成される。
【0042】
以上のような本実施形態の製造方法によれば、発光層1及び反射層2をそれぞれ別個の半導体基板に形成するとともに、これら発光層1及び反射層2の表面に非晶質層3a、3b、3c、3dを形成し、これらの非晶質層同士を貼り合わせて発光層1と反射層2とを接着するようにしたことから、該貼り合わせ時、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施す際に、非晶質層に水酸基が良好に付着し、かかる水酸基を介して発光層1と反射層2とを強固に接着させることができるようになる。従って、半導体レーザ素子を長時間にわたり連続して使用し、半導体レーザ素子が過度の熱を発したとしても、反射層2が発光層1より剥がれることを有効に防止することができ、半導体レーザ素子を長期にわたり良好に機能させて半導体レーザ素子の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
【0043】
次に上述した半導体レーザ素子の第二の製造方法について図3を用いて詳細に説明する。尚、第一の製造方法と同様の構成要素には同一の参照符を用い、重複する説明を省略する。
【0044】
図3は半導体レーザ素子の第二の製造方法を説明するための各工程における断面図であり、第二の製造方法が第一の製造方法と異なる点は、第一半導体基板4上に、発光層1を挟持する非晶質層3e、3fを積層したことである。具体的には以下の工程を経て半導体レーザ素子を完成させる。
【0045】
(1’)まず、第一の製造方法と同様に第一乃至第三半導体基板4,5,6を準備する(図3(i))。
【0046】
(2’)次に、第一半導体基板4の上面に非晶質層3e、発光層1及び非晶質層3fを順次積層するとともに、第二半導体基板5の上面に反射層2及び非晶質層3gを、第三半導体基板6の上面に反射層2及び非晶質層3hをそれぞれ順次積層する(図3(ii))。
【0047】
(3’)次に、前記第一半導体基板4の最上層の非晶質層3fと第二半導体基板5の非晶質層3gとを対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板4を除去して第一半導体基板4の最下層の非晶質層3gを露出させる(図3(iii))。
【0048】
(4’)次に、(3’)で露出させた第一半導体基板4の最下層の非晶質層3eと第三半導体基板6の非晶質層3hとを対面させるように貼り合わせる(図3(iv))。
【0049】
(5’)最後に、前記第二半導体基板5及び第三半導体基板6を除去して反射層2を露出させ、しかる後、反射層2上に図示しない電極を被着させる(図3(v))。
【0050】
以上のような半導体レーザ素子の第二の製造方法よっても、上述した半導体レーザ素子を完成させることが可能となる。
【0051】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良・変更が可能である。
【0052】
例えば上述の実施形態において、前記非晶質層3にP(燐)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等の不純物を1×1019〜5×1020原子/cm3の量だけドーピングするようにすれば、かかる不純物がドナーとして機能するため、非晶質層3の比抵抗を低くなすことができる。従って、発光層1−反射層2間に非晶質層3を介在させても、かかる非晶質層3の近傍で大きな電力損失が発生するのを有効に防止することができ、半導体レーザ素子の消費電力を小さく維持することが可能となる。
【0053】
ここで、非晶質層3にドーピングする上記不純物の量が1×1019原子/cm3よりも小さいと、非晶質層3の比抵抗を効果的に低くすることができず、半導体レーザ素子の消費電力が大きくなる傾向にあり、一方、非晶質3にドーピングする不純物の量が5×1020原子/cm3よりも大きいと、もはや不純物がドナーとして寄与せず、逆に非晶質層3の抵抗値を増加し、やはり半導体レーザ素子の消費電力が大きくなる傾向にある。従って、前記非晶質層3にP(燐)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等の不純物を1×1019〜5×1020原子/cm3の量だけドーピングするようにすることが好ましい。
【0054】
また上述の実施形態においては、第二半導体基板5及び第三半導体基板6を同時に除去するようにしたが、これに代えて、これら2つの半導体基板5,6を別々に分けて除去するようにしても良い。
【0055】
更に上述の実施形態においては、第二半導体基板5及び第三半導体基板6を最後の工程にて除去するようにしたが、これに代えて、これらの半導体基板5,6上に反射層や非晶質層を積層した後であれば、どの工程で除去するようにしても構わない。
【0056】
【発明の効果】
本発明の半導体レーザ素子によれば、発光層と反射層との間に非晶質層を介在させたことから、製造工程中に加えられる熱や半導体レーザ素子の発光時に発生する熱によって発光層−反射層間に熱応力が加えられても、かかる熱応力が非晶質層でもって良好に吸収されることとなり、それ故、発光層や反射層を歪の少ない良好な膜質に保持することができ、半導体レーザ素子の発光特性を高く維持することが可能となる。
【0057】
また本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、発光層及び反射層をそれぞれ別個の半導体基板に形成するとともに、これら発光層及び反射層の表面に非晶質層を形成し、これらの非晶質層同士を貼り合わせるようにしたことから、該貼り合わせ時、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施す際に、非晶質層に水酸基が良好に付着し、かかる水酸基を介して発光層と反射層とを強固に接着させることができるようになる。従って、半導体レーザ素子を長時間にわたり連続して使用し、半導体レーザ素子が過度の熱を発したとしても、反射層が発光層より剥がれることを有効に防止することができ、半導体レーザ素子を長期にわたり良好に機能させて半導体レーザ素子の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる半導体レーザ素子の断面図である。
【図2】図1に示す半導体レーザ素子の第一の製造方法を説明するための各工程における断面図である。
【図3】図1に示す半導体レーザ素子の第二の製造方法を説明するための各工程における断面図である。
【符号の説明】
1・・・発光層
2・・・反射層
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h・・・非晶質層
4・・・第一半導体基板
5・・・第二半導体基板
6・・・第三半導体基板
Claims (6)
- pn接合を有する発光層を一対の反射層で挟持するとともに、該各反射層−発光層間に非晶質層をそれぞれ介在させたことを特徴とする半導体レーザ素子。
- 前記発光層、反射層は単結晶化合物半導体からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
- 第一半導体基板の上面に発光層及び非晶質層を順次積層するとともに、第二及び第三半導体基板の上面に反射層及び非晶質層をそれぞれ順次積層する工程1と、
該工程1で積層した第一半導体基板の非晶質層と第二半導体基板の非晶質層を対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して発光層を露出させる工程2と、
該工程2で露出させた発光層の表面に非晶質層を積層する工程3と、
該工程3で積層した非晶質層と工程1で得た第三半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせる工程4と、
前記第二半導体基板、第三半導体基板を除去して反射層を露出させる工程5と、を含む半導体レーザ素子の製造方法。 - 第一半導体基板の上面に非晶質層、発光層及び非晶質層を順次積層するとともに、第二及び第三半導体基板の上面に反射層及び非晶質層をそれぞれ順次積層する工程1と、
該工程1で積層した第一半導体基板の最上層の非晶質層と第二半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせるとともに、第一半導体基板を除去して第一半導体基板の最下層の非晶質層を露出させる工程2と、
該工程2で露出させた第一半導体基板の最下層の非晶質層と工程1で得た第三半導体基板の非晶質層とを対面させるように貼り合わせる工程3と、
前記第二半導体基板、第三半導体基板を除去して反射層を露出させる工程4と、を含む半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記非晶質層同士を貼り合わせる際に、一方、もしくは双方の非晶質層に親水化処理を施すとともに、これら非晶質層同士を圧接させた状態で両者を400℃〜700℃に加熱したことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
- 前記発光層及び反射層が単結晶化合物半導体からなることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の半導体レーザ素子の製造方法。
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