JP2004147363A - 車両用交流電動発電機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流センサを排除でき、かつ既設のトランジスタを利用してDuty制御可能な車両用交流電動発電機の制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】制御装置1は、エンジンと動力授受するとともに、界磁コイル200を持つロータ20と、ステータコイル210を持つステータ21と、を有する車両用交流電動発電機2と、ステータコイル210とバッテリ5との間に配置され、トランジスタ30を有しステータコイル210とバッテリ5との間で直交双方向電力変換を行うインバータ3と、インバータ3を制御するコントローラ4と、を備える。制御装置1は、さらに、車両用交流電動発電機2によりエンジンを始動させる際にステータコイル210に流れるステータ電流を推定するステータ電流推定手段4を備え、コントローラ4は、トランジスタ30のキャリアDutyを、ステータ電流推定手段4の出力値から決定することを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】制御装置1は、エンジンと動力授受するとともに、界磁コイル200を持つロータ20と、ステータコイル210を持つステータ21と、を有する車両用交流電動発電機2と、ステータコイル210とバッテリ5との間に配置され、トランジスタ30を有しステータコイル210とバッテリ5との間で直交双方向電力変換を行うインバータ3と、インバータ3を制御するコントローラ4と、を備える。制御装置1は、さらに、車両用交流電動発電機2によりエンジンを始動させる際にステータコイル210に流れるステータ電流を推定するステータ電流推定手段4を備え、コントローラ4は、トランジスタ30のキャリアDutyを、ステータ電流推定手段4の出力値から決定することを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアイドルストップシステムに用いられる車両用交流電動発電機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用交流電動発電機は、モータとしての機能と発電機としての機能を併有している。車両用交流電動発電機は、インバータと接続されている。インバータは、パワーMOS(金属−酸化膜−半導体トランジスタ)と、パワーMOSを制御するコントローラと、を有している。パワーMOSは、車両用交流発電機のステータコイルと、バッテリとの間に配置され、ステータコイルとバッテリとの間で直交双方向電力変換を行っている。
【0003】
車両用交流発電機を、モータとして使用する場合は、パワーMOSを介して、バッテリからステータコイルに電流が流れる。この際、コントローラがパワーMOSでのスイッチングのタイミングを切り替えることにより、ステータコイルに交流電流を流している。
【0004】
しかしながら、車両用交流発電機の低速回転時における逆起電圧は非常に小さい。また、ステータコイルの固有抵抗も非常に小さい。このため、スイッチングにおいてパワーMOSをONした瞬間に、パワーMOSに過電流が流れ込んでくる。したがって、この過電流によりパワーMOSに不具合が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の車両用交流電動発電機の制御装置においては、ステータコイルに流れる電流すなわちステータ電流を電流センサにより実測して、この実測値を基にパワーMOSのON/OFFDutyを制御している。すなわち、Duty制御を行っている。そして、パワーMOSに過電流が流れることを抑制している。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−341594号公報(第3頁−4頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同文献記載の車両用交流電動発電機の制御装置によると、ステータ電流を実測する電流センサが必要となる。このため、車両用交流電動発電機の制御装置の製造コストが高くなる。
【0008】
ここで、電流センサを敢えて配置しないために、Duty制御を行わずに、ただ単にサイズの大きいパワーMOSを、バッテリとステータコイルとの間に配置することも考えられる。ところが、問題となる過電流が流れるのは、パワーMOSをONした瞬間だけである。それ以外の時期においては、ステータコイルの逆起電圧により、パワーMOSには比較的小さい電流が流れる。したがって、このようなサイズの大きいパワーMOSは、車両用交流電動発電機としては、過剰設備といえる。
【0009】
本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、電流センサを排除可能で、かつ既設のパワーMOSなどのトランジスタをそのまま利用してDuty制御を行うことができる車両用交流電動発電機の制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するため、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、エンジンと動力授受するとともに、界磁コイルを持つロータと、ステータコイルを持つステータと、を有する車両用交流電動発電機と、該ステータコイルとバッテリとの間に配置され、トランジスタを有し該ステータコイルと該バッテリとの間で直交双方向電力変換を行うインバータと、該インバータを制御するコントローラと、を備えてなる車両用交流電動発電機の制御装置であって、さらに、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に前記ステータコイルに流れるステータ電流を推定するステータ電流推定手段を備え、前記コントローラは、前記トランジスタのキャリアDutyを、該ステータ電流推定手段の出力値から決定することを特徴とする。
【0011】
図1に、車両用交流電動発電機をモータ利用する場合において、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置が行うDuty制御を、従来の車両用交流電動発電機の制御装置が行うDuty制御と比較してグラフで示す。グラフ中、横軸は車両用交流電動発電機の回転速度を、縦軸はステータ電流を、それぞれ示している。また、電流値I0は、ステータ電流の許容上限値を示す。許容上限値を超えた電流がステータコイルに流れると、車両用交流電動発電機又はインバータのスイッチングトランジスタに不具合が発生するおそれがある。また、電流値I1は、ステータ電流の許容下限値を示す。許容下限値未満の電流がステータコイルに流れると、車両用交流電動発電機が所望の電動トルクを出力できないおそれがある。車両用交流電動発電機の回転速度が大きくなると、逆起電圧も大きくなる。このため、ステータ電流は、回転速度が大きくなるにつれ、徐々に小さくなる。したがって、Duty制御が必要となるのは、車両用交流電動発電機の回転速度が、回転速度N0以下の期間だけである。
【0012】
ここで、従来の車両用交流電動発電機の制御装置は、上述したように、電流センサによりステータ電流を実測していた。そして、この実測値に基づき、図に示すように、ステータ電流値100を、許容上限値I0一杯に制御していた。この従来の制御は、ステータ電流を実測しフィードバックしているからこそ可能であった。
【0013】
しかしながら、ステータ電流の電流値は、車両用交流電動発電機が所望の電動トルクを出力できる許容下限値I1以上に確保されていれば充分である。また、ステータ電流の電流値は、車両用交流電動発電機に不具合が発生しない許容上限値I0以下に抑制されていれば充分である。すなわち、ステータ電流値は、許容下限値I1以上許容上限値I0以下の範囲内に納まるように制御されていればよい。このため、従来の制御のように、ステータ電流値100を敢えて許容上限値I0一杯に制御する必要はない。
【0014】
そこで、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、Duty制御時のステータ電流値を、実測値をフィードバックするのではなく、他のパラメータから推定している。そして、図に示すように、ステータ電流値101を、許容下限値I1以上許容上限値I0以下の範囲内に制御している。本発明の車両用交流電動発電機の制御装置によると、電流センサを排除することが可能である。このため、車両用交流電動発電機の制御装置の製造コストが低くなる。
【0015】
(2)好ましくは、前記ステータ電流推定手段は、前記ステータコイルの温度を決定するステータ温度決定手段を備え、前記キャリアDutyを、該ステータ温度決定手段の出力値に基づき決定する構成とする方がよい。
【0016】
つまり、本構成は、ステータ電流推定手段にステータ温度決定手段を配置するものである。ステータ電流は、ステータコイルの持つ抵抗が小さいほど大きくなる。また、ステータコイルの持つ抵抗は、ステータコイルの温度が低いほど小さくなる。したがって、ステータコイルの温度が低いほど、ステータ電流は大きくなる。
【0017】
このため、本構成では、ステータ温度決定手段によりステータコイルの温度を決定している。そして、ステータ温度決定手段の出力値に基づき、ステータ電流を推定し、キャリアDutyを決定している。本構成によると、比較的簡単にステータ電流を推定することができる。
【0018】
(3)好ましくは、前記ステータ電流推定手段は、前記インバータの入力直流電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記キャリアDutyを、該電圧検出手段の検出値に基づき決定する請求項1に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。
【0019】
つまり、本構成は、ステータ電流推定手段に電圧検出手段を配置するものである。ステータ電流は、インバータの入力直流電圧が高いほど大きくなる。このため、本構成では、電圧検出手段によりインバータの入力直流電圧を検出している。そして、この検出値に基づき、ステータ電流を推定し、キャリアDutyを決定している。本構成によると、比較的簡単にステータ電流を推定することができる。
【0020】
さらに、好ましくは、上記(2)の構成と上記(3)の構成とを、組み合わせた構成とする方がよい。すなわち、ステータ温度決定手段の出力値および電圧検出手段の検出値に基づき、キャリアDutyを決定する構成とする方がよい。
【0021】
ステータ電流は、ステータ電流=インバータの入力直流電圧/(ステータコイル抵抗+トランジスタ抵抗+インバータ内部および外部接続線抵抗)という式で表すことができる。ここで、インバータの入力直流電圧は、バッテリの蓄電状態により変動する。また、ステータコイル抵抗は、ステータコイルの温度により変動する。一方、トランジスタ抵抗、インバータ内部および外部接続線抵抗は、車種固有のパラメータである。したがって、車種が決定されれば、ほとんど変動しない。そこで、本構成は、比較的変動の大きいインバータの入力直流電圧およびステータコイル抵抗を、直接にあるいは間接に決定している。本構成によると、上記(2)の構成、または上記(3)の構成と比較して、ステータ電流の推定精度が高くなる。
【0022】
(4)好ましくは、上記(2)の構成において、前記コントローラは、前記車両用交流電動発電機と一体に配置され、前記ステータ温度決定手段は、該コントローラの回路基板の温度から前記ステータコイルの温度を決定する構成とする方がよい。
【0023】
つまり、本構成は、コントローラの回路基板の温度からステータコイルの温度を決定するものである。コントローラが車両用交流電動発電機と一体に配置されている場合、ステータコイルの温度は、コントローラの回路基板の温度とほぼ等しい。そこで、本構成においては、コントローラの回路基板の温度を検出し、この温度からステータコイルの温度を決定している。本構成によると、直接ステータコイルの温度を実測する場合と比較して、簡単にステータコイルの温度を決定することができる。また、ステータコイルの温度の推定精度も高い。
【0024】
(5)好ましくは、上記(2)の構成において、前記ステータ温度決定手段は、前記界磁コイルに流れる界磁電流から前記ステータコイルの温度を決定する構成とする方がよい。
【0025】
つまり、本構成は、界磁電流からステータコイルの温度を決定するものである。ステータコイルの温度は、近接する界磁コイルの温度とほぼ等しい。界磁コイルの抵抗は、界磁コイルの温度が低いほど小さくなる。そして、界磁電流は、界磁コイルの抵抗が小さいほど大きくなる。したがって、界磁電流は、界磁コイルの温度、言い換えるとステータコイルの温度が低いほど大きくなる。本構成によると、直接ステータコイルの温度を実測する場合と比較して、簡単にステータコイルの温度を決定することができる。また、コントローラが車両用交流電動発電機と別体に配置されている場合、本構成は特に有効である。
【0026】
(6)また、上記課題を解決するため、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、エンジンと動力授受するとともに、界磁コイルを持つロータと、三相のステータコイルを持つステータと、を有する車両用交流電動発電機と、該ステータコイルとバッテリとの間に配置され、トランジスタを有し該ステータコイルと該バッテリとの間で直交双方向電力変換を行うインバータと、該インバータを制御するコントローラと、該三相のステータコイルの通電角を、120゜通電と180゜通電とに切り替える通電角切り替え手段と、を備えてなる車両用交流電動発電機の制御装置であって、前記通電角切り替え手段は、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に、該車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間は通電角を120゜通電とし、回転速度が所定回転速度を超えると通電角を180゜通電に切り替えることを特徴とする。
【0027】
車両用交流電動発電機をモータ利用する場合、通電角を180゜とする方が、通電角を120゜とするよりも、大きな電動トルクを確保することができる。しかし、その反面、ステータコイルの等価抵抗が小さくなるため、通電角を180゜とする方が、通電角を120゜とするよりも、ステータ電流が大きくなる。このため、ステータコイルに過電流が流れやすい低速回転時においては、120゜通電とする方がよい。一方、高速回転時においては、所望の電動トルクを確保しやすいため、180゜通電とする方がよい。
【0028】
そこで、本構成の通電角切り替え手段は、車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間は通電角を120゜通電とし、回転速度が所定回転速度を超えると通電角を180゜通電に切り替えている。本構成によると、低速回転時においては、Duty制御による電流制限値を大きく設定することなく、トランジスタの不具合を抑制することができる。また、高速回転時においては所望の電動トルク、モータ出力を容易に確保することができる。
【0029】
さらに、図12のようにステータ電流を推定するステータ検出手段を持ち、通電角が180゜でも許容電流以下と判断される場合は、各相のステータコイルを直列接続にしてステータ電流を低減するための120゜にする必要はなく、初期値は180゜のままでエンジン始動する。ステータ電流の推定は図12に従うマップで判断される。つまり、温度が高くバッテリ電圧が低い条件ではステータ電流が小さくなるので低回転域から回転機パワーの出せる180゜を選択する。フローチャートを図11に示す。後出する図10のフローチャートに対して、ステータ電流推定結果によりマップで初期通電角を選定する(S40)。および、初期通電角が180゜の場合は、回転速度による切り替え(S7、S80)を通らない(S70)ことが異なる。
【0030】
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、さらに、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に前記ステータコイルに流れるステータ電流を実測あるいは推定するステータ電流決定手段を備え、前記コントローラは、前記トランジスタのキャリアDutyを該ステータ電流決定手段の出力値から決定するDuty制御を、該車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間だけ行い、前記通電角切り替え用の所定回転速度は、該Duty制御解除用の所定回転速度よりも、小さく設定されている構成とする方がよい。
【0031】
つまり、本構成は、実測あるいは推定したステータ電流値に基づくDuty制御を、車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間に限り行うものである。そして、前記通電角切り替え用の所定回転速度を、このDuty制御解除用の所定回転速度よりも、小さく設定するものである。
【0032】
図2に、本構成の車両用交流電動発電機の制御装置が行う通電角切り替え制御をグラフで示す。グラフ中、横軸は車両用交流電動発電機の回転速度を、縦軸はステータ電流を、それぞれ示している。また、電流値I2は、ステータ電流の許容上限値を示す。Duty制御を行うのは、車両用交流電動発電機の回転速度が、回転速度N2以下の期間だけである。
【0033】
ここで、通電角切り替え用の所定回転速度もN2に設定すると、スタータ電流は、102→103の経路を辿って変化することになる。そして、回転速度N2において、120゜通電から180゜通電に切り替えられることになる。
【0034】
これに対し、通電角切り替え用の所定回転速度をN2よりも低いN1に設定すると、スタータ電流は、102→104の経路を辿って変化することになる。したがって、通電角切り替え用の所定回転速度をDuty制御解除用の所定回転速度よりも低く設定する方が、ステータ電流が大きくなる。このため、本構成によると、より大きい電動トルクを確保することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置をアイドルストップシステムに組み込んで使用した場合の実施形態について説明する。
【0036】
(1)第一実施形態
まず、本実施形態の車両用交流電動発電機の制御装置(以下、適宜、単に「制御装置」と略称する。)の構成について説明する。図3に、本実施形態の制御装置の概要図を示す。図に示すように、制御装置1は、MG(モータジェネレータ)2とインバータ3とコントローラ4とを備えている。なお、これらMG2およびインバータ3およびコントローラ4は、一体に配置されている。
【0037】
MG2は、ロータ20とステータ21とを備えている。ロータ20は、界磁コイル200を有している。ステータ21は、三相のステータコイル210を有している。MG2のロータシャフト(図略)は、エンジンのクランクシャフト(図略)にベルト連結されている。MG2は、モータとしての機能と、発電機としての機能と、を併有している。MG2は、信号停止時や渋滞時などに一旦停止したエンジンを再始動させる際に、モータとして用いられる。なお、MG2は、本発明の車両用交流電動発電機に含まれる。
【0038】
インバータ3は、パワーMOS30を有している。パワーMOS30は、本発明のトランジスタに含まれる。インバータ3は、バッテリ5とステータコイル210との間に介装されている。
【0039】
コントローラ4は、界磁コイル駆動装置40と回転速度検出装置41とキャリアDuty決定装置42とゲート駆動装置43と入力電圧検出装置44と基板温度検出装置45とを備えている。ここで、コントローラ4は、本発明のステータ電流推定手段としての機能も有する。また、入力電圧検出装置44は、本発明の電圧検出手段に含まれる。また、基板温度検出装置45およびキャリアDuty決定装置42は、本発明のステータ温度決定手段に含まれる。
【0040】
界磁コイル駆動装置40は、コントローラ4外部に配置されたエコラン制御装置6に接続されている。また、界磁コイル駆動装置40は、界磁コイル200に接続されている。回転速度検出装置41は、ロータ20の磁極位置を検出する回転センサ7に接続されている。また、回転速度検出装置41は、キャリアDuty決定装置42に接続されている。キャリアDuty決定装置42は、回転速度検出装置41の他、入力電圧検出装置44および基板温度検出装置45およびゲート駆動装置43に接続されている。ゲート駆動装置43は、キャリアDuty決定装置42の他、パワーMOS30に接続されている。
【0041】
次に、本実施形態の制御装置のエンジン再始動時の動きについて説明する。図4に本実施形態の制御装置のフローチャートを示す。エコラン制御装置6が、車両が完全に停止したと判断すると(S1)、エンジンが停止されアイドルストップ状態になる(S2)。アイドルストップ状態になると、基板温度検出装置45が、コントローラ4の回路基板に配置された温度検出素子から、基板の温度を検出する。また、入力電圧検出装置44が、バッテリ5からインバータ3に入力される入力直流電圧を検出する(S3)。そして、キャリアDuty決定装置42は、検出された基板温度および入力直流電圧と、図5に示すマップとから、パワーMOS30のキャリアDutyを決定し記憶する(S4)。なお、マップには、ステータコイル210抵抗やインバータ3内部抵抗などの規格値が、予め入力されている。また、マップには、温度による抵抗変化量も、予め入力されている。その後、例えば、運転者がブレーキペダルをリリースすると、エコラン制御装置6からコントローラ4に始動開始信号が発信される(S5)。この信号を受けて、ゲート駆動装置43は、キャリアDuty決定装置42が記憶していたキャリアDutyをパワーMOS30に出力する。そして、ロータ20の磁極位置に対応するステータコイル210に、Duty制御されたステータ電流が流れ始める(S6)。ステータ電流が流れ始めると、ロータ20が回転し始める。ここで、前述したようにロータシャフトとエンジンのクランクシャフトとは、ベルト連結されている。したがって、ロータ20の回転開始を受けて、エンジンが再始動を開始する。ステータ電流のDuty制御は、回転センサ7から回転速度検出装置41に入力されるロータ回転速度つまりMG回転速度が、300rpm以下の間に限って行われる(S7)。MG回転速度が300rpmを超えると、コントローラ4により、Duty制御は解除される(S8)。エコラン制御装置6が、エンジンが自力回転できると判断すると、つまりエンジンの再始動が完了したと判断すると(S9)、MG2は、モータモードから発電機モードに切り替えられる。そして、MG2はバッテリ5の蓄電に用いられる(S10)。
【0042】
次に、本実施形態の制御装置の効果について説明する。本実施形態の制御装置1は、基板温度検出装置45および入力電圧検出装置44の検出値に基づいて、パワーMOS30のキャリアDutyを決定している。このため、電流センサが不要となる。したがって、制御装置1の製造コストが低くなる。また、基板温度検出装置45および入力電圧検出装置44という二つの検出装置の検出値に基づいて、ステータ電流を推定している。このため、単一の検出装置の検出値に基づいて、ステータ電流を推定する場合と比較して、推定精度が高くなる。
【0043】
また、本実施形態の制御装置1においては、MG2とコントローラ4とは、一体に配置されている。このため、コントローラ4の回路基板の温度と、ステータコイル210の温度とは、ほぼ等しくなる。そこで、本実施形態の制御装置1は、ステータコイル210の温度を実測せずに、コントローラ4の回路基板の温度を測定している。そして、コントローラ4の回路基板の温度を、ステータコイル210の温度と見なしている。本実施形態の制御装置1によると、直接ステータコイル210の温度を実測する場合と比較して、簡単にステータコイル210の温度を決定することができる。また、さらに温度検出手段を簡素化する方法として車両情報として既にセンサが設けられている外気温度やエンジン冷却水温度から推定してもよい。
【0044】
(2)第二実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、ステータ電流推定手段としての機能を持つコントローラ4が、検出装置として基板温度検出装置のみを有している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0045】
図6に、本実施形態の制御装置のDuty制御用のマップを示す。図に示すように、マップは、基板温度のみからキャリアDutyを決定している(図5参照)。すなわち、25℃と80℃とを境に、キャリアDutyを変更している。
【0046】
本実施形態の制御装置によると、バッテリからインバータに入力される入力直流電圧を検出する必要がない。したがって、入力電圧検出装置は不要である。このため、製造コストが低くなる。また、制御回路が簡単になる。
【0047】
(3)第三実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、ステータ電流推定手段としての機能を持つコントローラ4が、検出装置として入力電圧検出装置のみを有している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0048】
図7に、本実施形態の制御装置のDuty制御用のマップを示す。図に示すように、マップは、バッテリからインバータに入力される入力直流電圧のみからキャリアDutyを決定している(図5参照)。すなわち、12Vを境に、キャリアDutyを変更している。
【0049】
本実施形態の制御装置によると、基板温度を検出する必要がない。したがって、基板温度検出装置は不要である。このため、製造コストが低くなる。また、制御回路が簡単になる。
【0050】
(4)第四実施形態
本実施形態と第二実施形態との相違点は、ステータ電流推定手段としての機能を持つコントローラ4が、基板温度検出装置の代わりに、界磁電流検出装置を有している点である。また、コントローラ4が、MG2から離間して配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0051】
図8に、本実施形態の制御装置のDuty制御用のマップを示す。図に示すように、マップは、界磁コイルに流れる界磁電流のみからキャリアDutyを決定している(図5参照)。すなわち、8Aと10Aとを境に、キャリアDutyを変更している。なお、界磁電流の検出は、アイドルストップ中に、一旦、励磁用トランジスタをONにし、このときに流れる電流(バッテリ電圧と界磁コイル抵抗とにより決定される電流)を測定することにより行う。なお、本実施形態においては、界磁電流検出装置およびキャリアDuty決定装置が本発明のステータ温度決定手段に含まれる。
【0052】
コントローラ4が、MG2から離間して配置されていると、基板温度とステータコイルの温度との差異が大きくなる。このため、本実施形態の制御装置は、界磁電流を検出している。界磁電流を検出することにより、界磁コイルの温度が決定される。ここで、界磁コイルとステータコイルとは近接している。したがって、界磁コイルの温度はステータコイルの温度と見なすことができる。このようにして、本実施形態の制御装置は、ステータコイルの温度を決定している。本実施形態の制御装置によると、コントローラ4がMG2から離間して配置されているにもかかわらず、簡単にステータ電流を推定することができる。
【0053】
(5)第五実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、ハード回路によりパワーMOSのDuty制御が行われている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0054】
図9に、本実施形態の制御装置のハード回路を示す。ハード回路10は、複数のコンパレータや抵抗やダイオードなどから構成されている。コンパレータ11においては、基板温度検出装置により検出された基板温度の検出値と、比較値80℃とが比較される(図5参照)。同様に、コンパレータ12においては、基板温度検出装置により検出された基板温度の検出値と、比較値25℃とが比較される。一方、コンパレータ13においては、バッテリからインバータに入力される入力直流電圧と、比較値12Vとが比較される。比較後の基板温度および入力直流電圧に応じて、基準電圧が設定される。コンパレータ14において、この基準電圧と三角波とを比較することにより、パワーMOSのキャリアDutyが決定される。決定されたキャリアDutyは、MOSゲートへ出力される。本実施形態の制御装置によると、ハード回路10を用いることにより、第一実施形態と同様のDuty制御を行うことができる。
【0055】
(6)第六実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、コントローラが本発明の通電角切り替え手段としても機能する点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0056】
図10に、本実施形態の制御装置のフローチャートを示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。ステータ電流の通電開始時においては、ステータコイルの通電角は120゜通電に設定されている(S60)。MG回転数が300rpmを超えると(S7)、Duty制御が解除されるのと同時に、ステータコイルの通電角が180゜通電に切り替えられる(S80)。
【0057】
本実施形態の制御装置は、MGの回転速度が300rpm以下の間は通電角を120゜通電とし、回転速度が300rpmを超えると通電角を180゜通電に切り替えている。したがって、低速回転時においてはパワーMOSの不具合を抑制することができる。また、高速回転時においては所望の電動トルクを容易に確保することができる。
【0058】
(7)その他
以上、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態においては、アイドルストップシステムに本発明の車両用交流電動発電機の制御装置を組み込んだ。しかしながら、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、車両駆動用の他のシステムに組み込むことも可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては、基板温度検出装置が検出する基板温度、あるいは界磁電流検出装置が検出する界磁電流から、ステータコイル温度を決定した。しかしながら、ステータコイル温度検出装置を配置し、直接ステータコイル温度を実測してもよい。こうすると、ステータ電流の推定精度がさらに高くなる。
【0061】
また、上記実施形態においては、アイドルストップ中にキャリアDutyを決定した(図4、図10参照)。しかしながら、アイドルストップの際の車両停止時間は長くても数分間である場合が多い。そして、基板温度および入力直流電圧が、この数分間で大きく変動するおそれは小さい。したがって、アイドルストップ前に、予め基板温度検出および入力直流電圧検出を行い、キャリアDutyを決定しておいてもよい。
【0062】
また、第六実施形態においては、Duty制御解除用のMG回転速度と、通電角切り替え用のMG回転速度とを、共に300rpmに設定した。しかしながら、通電角切り替え用のMG回転速度を、Duty制御解除用のMG回転速度よりも低く設定してもよい。こうすると、より大きい電動トルクを確保することができる。
【0063】
また、第六実施形態においては、ステータ電流を推定せずに、従来の電流センサにより実測してもよい。この場合であっても、MG低速回転時において120゜通電とすることで、ステータコイルの等価抵抗を大きくすることができる。そして、パワーMOSなどのトランジスタに過電流が流れるのを抑制することができる。言い換えると、トランジスタの保護に効果的なDuty制御を行うことができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明によると、電流センサを排除可能で、かつ既設のパワーMOSなどのトランジスタをそのまま利用してDuty制御を行うことができる車両用交流電動発電機の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用交流電動発電機の制御装置が行うDuty制御を示すグラフである。
【図2】本発明の車両用交流電動発電機の制御装置が行う通電角切り替え制御を示すグラフである。
【図3】第一実施形態の制御装置の概要図である。
【図4】第一実施形態の制御装置のフローチャートである。
【図5】第一実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図6】第二実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図7】第三実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図8】第四実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図9】第五実施形態の制御装置のハード回路である。
【図10】第六実施形態の制御装置のフローチャートである。
【図11】通電角選定用のフローチャートである。
【図12】通電角選定用のマップである。
【符号の説明】
1:制御装置(車両用交流電動発電機の制御装置)、2:MG(車両用交流電動発電機)、20:ロータ、200:界磁コイル、21:ステータ、210:ステータコイル、3:インバータ、30:パワーMOS(トランジスタ)、4:コントローラ(ステータ電流推定手段)、40:界磁コイル駆動装置、41:回転速度検出装置、42:キャリアDuty決定装置、43:ゲート駆動装置、44:入力電圧検出装置(電圧検出手段)、45:基板温度検出装置、5:バッテリ、6:エコラン制御装置、7:回転センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアイドルストップシステムに用いられる車両用交流電動発電機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用交流電動発電機は、モータとしての機能と発電機としての機能を併有している。車両用交流電動発電機は、インバータと接続されている。インバータは、パワーMOS(金属−酸化膜−半導体トランジスタ)と、パワーMOSを制御するコントローラと、を有している。パワーMOSは、車両用交流発電機のステータコイルと、バッテリとの間に配置され、ステータコイルとバッテリとの間で直交双方向電力変換を行っている。
【0003】
車両用交流発電機を、モータとして使用する場合は、パワーMOSを介して、バッテリからステータコイルに電流が流れる。この際、コントローラがパワーMOSでのスイッチングのタイミングを切り替えることにより、ステータコイルに交流電流を流している。
【0004】
しかしながら、車両用交流発電機の低速回転時における逆起電圧は非常に小さい。また、ステータコイルの固有抵抗も非常に小さい。このため、スイッチングにおいてパワーMOSをONした瞬間に、パワーMOSに過電流が流れ込んでくる。したがって、この過電流によりパワーMOSに不具合が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の車両用交流電動発電機の制御装置においては、ステータコイルに流れる電流すなわちステータ電流を電流センサにより実測して、この実測値を基にパワーMOSのON/OFFDutyを制御している。すなわち、Duty制御を行っている。そして、パワーMOSに過電流が流れることを抑制している。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−341594号公報(第3頁−4頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同文献記載の車両用交流電動発電機の制御装置によると、ステータ電流を実測する電流センサが必要となる。このため、車両用交流電動発電機の制御装置の製造コストが高くなる。
【0008】
ここで、電流センサを敢えて配置しないために、Duty制御を行わずに、ただ単にサイズの大きいパワーMOSを、バッテリとステータコイルとの間に配置することも考えられる。ところが、問題となる過電流が流れるのは、パワーMOSをONした瞬間だけである。それ以外の時期においては、ステータコイルの逆起電圧により、パワーMOSには比較的小さい電流が流れる。したがって、このようなサイズの大きいパワーMOSは、車両用交流電動発電機としては、過剰設備といえる。
【0009】
本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、電流センサを排除可能で、かつ既設のパワーMOSなどのトランジスタをそのまま利用してDuty制御を行うことができる車両用交流電動発電機の制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するため、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、エンジンと動力授受するとともに、界磁コイルを持つロータと、ステータコイルを持つステータと、を有する車両用交流電動発電機と、該ステータコイルとバッテリとの間に配置され、トランジスタを有し該ステータコイルと該バッテリとの間で直交双方向電力変換を行うインバータと、該インバータを制御するコントローラと、を備えてなる車両用交流電動発電機の制御装置であって、さらに、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に前記ステータコイルに流れるステータ電流を推定するステータ電流推定手段を備え、前記コントローラは、前記トランジスタのキャリアDutyを、該ステータ電流推定手段の出力値から決定することを特徴とする。
【0011】
図1に、車両用交流電動発電機をモータ利用する場合において、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置が行うDuty制御を、従来の車両用交流電動発電機の制御装置が行うDuty制御と比較してグラフで示す。グラフ中、横軸は車両用交流電動発電機の回転速度を、縦軸はステータ電流を、それぞれ示している。また、電流値I0は、ステータ電流の許容上限値を示す。許容上限値を超えた電流がステータコイルに流れると、車両用交流電動発電機又はインバータのスイッチングトランジスタに不具合が発生するおそれがある。また、電流値I1は、ステータ電流の許容下限値を示す。許容下限値未満の電流がステータコイルに流れると、車両用交流電動発電機が所望の電動トルクを出力できないおそれがある。車両用交流電動発電機の回転速度が大きくなると、逆起電圧も大きくなる。このため、ステータ電流は、回転速度が大きくなるにつれ、徐々に小さくなる。したがって、Duty制御が必要となるのは、車両用交流電動発電機の回転速度が、回転速度N0以下の期間だけである。
【0012】
ここで、従来の車両用交流電動発電機の制御装置は、上述したように、電流センサによりステータ電流を実測していた。そして、この実測値に基づき、図に示すように、ステータ電流値100を、許容上限値I0一杯に制御していた。この従来の制御は、ステータ電流を実測しフィードバックしているからこそ可能であった。
【0013】
しかしながら、ステータ電流の電流値は、車両用交流電動発電機が所望の電動トルクを出力できる許容下限値I1以上に確保されていれば充分である。また、ステータ電流の電流値は、車両用交流電動発電機に不具合が発生しない許容上限値I0以下に抑制されていれば充分である。すなわち、ステータ電流値は、許容下限値I1以上許容上限値I0以下の範囲内に納まるように制御されていればよい。このため、従来の制御のように、ステータ電流値100を敢えて許容上限値I0一杯に制御する必要はない。
【0014】
そこで、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、Duty制御時のステータ電流値を、実測値をフィードバックするのではなく、他のパラメータから推定している。そして、図に示すように、ステータ電流値101を、許容下限値I1以上許容上限値I0以下の範囲内に制御している。本発明の車両用交流電動発電機の制御装置によると、電流センサを排除することが可能である。このため、車両用交流電動発電機の制御装置の製造コストが低くなる。
【0015】
(2)好ましくは、前記ステータ電流推定手段は、前記ステータコイルの温度を決定するステータ温度決定手段を備え、前記キャリアDutyを、該ステータ温度決定手段の出力値に基づき決定する構成とする方がよい。
【0016】
つまり、本構成は、ステータ電流推定手段にステータ温度決定手段を配置するものである。ステータ電流は、ステータコイルの持つ抵抗が小さいほど大きくなる。また、ステータコイルの持つ抵抗は、ステータコイルの温度が低いほど小さくなる。したがって、ステータコイルの温度が低いほど、ステータ電流は大きくなる。
【0017】
このため、本構成では、ステータ温度決定手段によりステータコイルの温度を決定している。そして、ステータ温度決定手段の出力値に基づき、ステータ電流を推定し、キャリアDutyを決定している。本構成によると、比較的簡単にステータ電流を推定することができる。
【0018】
(3)好ましくは、前記ステータ電流推定手段は、前記インバータの入力直流電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記キャリアDutyを、該電圧検出手段の検出値に基づき決定する請求項1に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。
【0019】
つまり、本構成は、ステータ電流推定手段に電圧検出手段を配置するものである。ステータ電流は、インバータの入力直流電圧が高いほど大きくなる。このため、本構成では、電圧検出手段によりインバータの入力直流電圧を検出している。そして、この検出値に基づき、ステータ電流を推定し、キャリアDutyを決定している。本構成によると、比較的簡単にステータ電流を推定することができる。
【0020】
さらに、好ましくは、上記(2)の構成と上記(3)の構成とを、組み合わせた構成とする方がよい。すなわち、ステータ温度決定手段の出力値および電圧検出手段の検出値に基づき、キャリアDutyを決定する構成とする方がよい。
【0021】
ステータ電流は、ステータ電流=インバータの入力直流電圧/(ステータコイル抵抗+トランジスタ抵抗+インバータ内部および外部接続線抵抗)という式で表すことができる。ここで、インバータの入力直流電圧は、バッテリの蓄電状態により変動する。また、ステータコイル抵抗は、ステータコイルの温度により変動する。一方、トランジスタ抵抗、インバータ内部および外部接続線抵抗は、車種固有のパラメータである。したがって、車種が決定されれば、ほとんど変動しない。そこで、本構成は、比較的変動の大きいインバータの入力直流電圧およびステータコイル抵抗を、直接にあるいは間接に決定している。本構成によると、上記(2)の構成、または上記(3)の構成と比較して、ステータ電流の推定精度が高くなる。
【0022】
(4)好ましくは、上記(2)の構成において、前記コントローラは、前記車両用交流電動発電機と一体に配置され、前記ステータ温度決定手段は、該コントローラの回路基板の温度から前記ステータコイルの温度を決定する構成とする方がよい。
【0023】
つまり、本構成は、コントローラの回路基板の温度からステータコイルの温度を決定するものである。コントローラが車両用交流電動発電機と一体に配置されている場合、ステータコイルの温度は、コントローラの回路基板の温度とほぼ等しい。そこで、本構成においては、コントローラの回路基板の温度を検出し、この温度からステータコイルの温度を決定している。本構成によると、直接ステータコイルの温度を実測する場合と比較して、簡単にステータコイルの温度を決定することができる。また、ステータコイルの温度の推定精度も高い。
【0024】
(5)好ましくは、上記(2)の構成において、前記ステータ温度決定手段は、前記界磁コイルに流れる界磁電流から前記ステータコイルの温度を決定する構成とする方がよい。
【0025】
つまり、本構成は、界磁電流からステータコイルの温度を決定するものである。ステータコイルの温度は、近接する界磁コイルの温度とほぼ等しい。界磁コイルの抵抗は、界磁コイルの温度が低いほど小さくなる。そして、界磁電流は、界磁コイルの抵抗が小さいほど大きくなる。したがって、界磁電流は、界磁コイルの温度、言い換えるとステータコイルの温度が低いほど大きくなる。本構成によると、直接ステータコイルの温度を実測する場合と比較して、簡単にステータコイルの温度を決定することができる。また、コントローラが車両用交流電動発電機と別体に配置されている場合、本構成は特に有効である。
【0026】
(6)また、上記課題を解決するため、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、エンジンと動力授受するとともに、界磁コイルを持つロータと、三相のステータコイルを持つステータと、を有する車両用交流電動発電機と、該ステータコイルとバッテリとの間に配置され、トランジスタを有し該ステータコイルと該バッテリとの間で直交双方向電力変換を行うインバータと、該インバータを制御するコントローラと、該三相のステータコイルの通電角を、120゜通電と180゜通電とに切り替える通電角切り替え手段と、を備えてなる車両用交流電動発電機の制御装置であって、前記通電角切り替え手段は、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に、該車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間は通電角を120゜通電とし、回転速度が所定回転速度を超えると通電角を180゜通電に切り替えることを特徴とする。
【0027】
車両用交流電動発電機をモータ利用する場合、通電角を180゜とする方が、通電角を120゜とするよりも、大きな電動トルクを確保することができる。しかし、その反面、ステータコイルの等価抵抗が小さくなるため、通電角を180゜とする方が、通電角を120゜とするよりも、ステータ電流が大きくなる。このため、ステータコイルに過電流が流れやすい低速回転時においては、120゜通電とする方がよい。一方、高速回転時においては、所望の電動トルクを確保しやすいため、180゜通電とする方がよい。
【0028】
そこで、本構成の通電角切り替え手段は、車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間は通電角を120゜通電とし、回転速度が所定回転速度を超えると通電角を180゜通電に切り替えている。本構成によると、低速回転時においては、Duty制御による電流制限値を大きく設定することなく、トランジスタの不具合を抑制することができる。また、高速回転時においては所望の電動トルク、モータ出力を容易に確保することができる。
【0029】
さらに、図12のようにステータ電流を推定するステータ検出手段を持ち、通電角が180゜でも許容電流以下と判断される場合は、各相のステータコイルを直列接続にしてステータ電流を低減するための120゜にする必要はなく、初期値は180゜のままでエンジン始動する。ステータ電流の推定は図12に従うマップで判断される。つまり、温度が高くバッテリ電圧が低い条件ではステータ電流が小さくなるので低回転域から回転機パワーの出せる180゜を選択する。フローチャートを図11に示す。後出する図10のフローチャートに対して、ステータ電流推定結果によりマップで初期通電角を選定する(S40)。および、初期通電角が180゜の場合は、回転速度による切り替え(S7、S80)を通らない(S70)ことが異なる。
【0030】
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、さらに、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に前記ステータコイルに流れるステータ電流を実測あるいは推定するステータ電流決定手段を備え、前記コントローラは、前記トランジスタのキャリアDutyを該ステータ電流決定手段の出力値から決定するDuty制御を、該車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間だけ行い、前記通電角切り替え用の所定回転速度は、該Duty制御解除用の所定回転速度よりも、小さく設定されている構成とする方がよい。
【0031】
つまり、本構成は、実測あるいは推定したステータ電流値に基づくDuty制御を、車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間に限り行うものである。そして、前記通電角切り替え用の所定回転速度を、このDuty制御解除用の所定回転速度よりも、小さく設定するものである。
【0032】
図2に、本構成の車両用交流電動発電機の制御装置が行う通電角切り替え制御をグラフで示す。グラフ中、横軸は車両用交流電動発電機の回転速度を、縦軸はステータ電流を、それぞれ示している。また、電流値I2は、ステータ電流の許容上限値を示す。Duty制御を行うのは、車両用交流電動発電機の回転速度が、回転速度N2以下の期間だけである。
【0033】
ここで、通電角切り替え用の所定回転速度もN2に設定すると、スタータ電流は、102→103の経路を辿って変化することになる。そして、回転速度N2において、120゜通電から180゜通電に切り替えられることになる。
【0034】
これに対し、通電角切り替え用の所定回転速度をN2よりも低いN1に設定すると、スタータ電流は、102→104の経路を辿って変化することになる。したがって、通電角切り替え用の所定回転速度をDuty制御解除用の所定回転速度よりも低く設定する方が、ステータ電流が大きくなる。このため、本構成によると、より大きい電動トルクを確保することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置をアイドルストップシステムに組み込んで使用した場合の実施形態について説明する。
【0036】
(1)第一実施形態
まず、本実施形態の車両用交流電動発電機の制御装置(以下、適宜、単に「制御装置」と略称する。)の構成について説明する。図3に、本実施形態の制御装置の概要図を示す。図に示すように、制御装置1は、MG(モータジェネレータ)2とインバータ3とコントローラ4とを備えている。なお、これらMG2およびインバータ3およびコントローラ4は、一体に配置されている。
【0037】
MG2は、ロータ20とステータ21とを備えている。ロータ20は、界磁コイル200を有している。ステータ21は、三相のステータコイル210を有している。MG2のロータシャフト(図略)は、エンジンのクランクシャフト(図略)にベルト連結されている。MG2は、モータとしての機能と、発電機としての機能と、を併有している。MG2は、信号停止時や渋滞時などに一旦停止したエンジンを再始動させる際に、モータとして用いられる。なお、MG2は、本発明の車両用交流電動発電機に含まれる。
【0038】
インバータ3は、パワーMOS30を有している。パワーMOS30は、本発明のトランジスタに含まれる。インバータ3は、バッテリ5とステータコイル210との間に介装されている。
【0039】
コントローラ4は、界磁コイル駆動装置40と回転速度検出装置41とキャリアDuty決定装置42とゲート駆動装置43と入力電圧検出装置44と基板温度検出装置45とを備えている。ここで、コントローラ4は、本発明のステータ電流推定手段としての機能も有する。また、入力電圧検出装置44は、本発明の電圧検出手段に含まれる。また、基板温度検出装置45およびキャリアDuty決定装置42は、本発明のステータ温度決定手段に含まれる。
【0040】
界磁コイル駆動装置40は、コントローラ4外部に配置されたエコラン制御装置6に接続されている。また、界磁コイル駆動装置40は、界磁コイル200に接続されている。回転速度検出装置41は、ロータ20の磁極位置を検出する回転センサ7に接続されている。また、回転速度検出装置41は、キャリアDuty決定装置42に接続されている。キャリアDuty決定装置42は、回転速度検出装置41の他、入力電圧検出装置44および基板温度検出装置45およびゲート駆動装置43に接続されている。ゲート駆動装置43は、キャリアDuty決定装置42の他、パワーMOS30に接続されている。
【0041】
次に、本実施形態の制御装置のエンジン再始動時の動きについて説明する。図4に本実施形態の制御装置のフローチャートを示す。エコラン制御装置6が、車両が完全に停止したと判断すると(S1)、エンジンが停止されアイドルストップ状態になる(S2)。アイドルストップ状態になると、基板温度検出装置45が、コントローラ4の回路基板に配置された温度検出素子から、基板の温度を検出する。また、入力電圧検出装置44が、バッテリ5からインバータ3に入力される入力直流電圧を検出する(S3)。そして、キャリアDuty決定装置42は、検出された基板温度および入力直流電圧と、図5に示すマップとから、パワーMOS30のキャリアDutyを決定し記憶する(S4)。なお、マップには、ステータコイル210抵抗やインバータ3内部抵抗などの規格値が、予め入力されている。また、マップには、温度による抵抗変化量も、予め入力されている。その後、例えば、運転者がブレーキペダルをリリースすると、エコラン制御装置6からコントローラ4に始動開始信号が発信される(S5)。この信号を受けて、ゲート駆動装置43は、キャリアDuty決定装置42が記憶していたキャリアDutyをパワーMOS30に出力する。そして、ロータ20の磁極位置に対応するステータコイル210に、Duty制御されたステータ電流が流れ始める(S6)。ステータ電流が流れ始めると、ロータ20が回転し始める。ここで、前述したようにロータシャフトとエンジンのクランクシャフトとは、ベルト連結されている。したがって、ロータ20の回転開始を受けて、エンジンが再始動を開始する。ステータ電流のDuty制御は、回転センサ7から回転速度検出装置41に入力されるロータ回転速度つまりMG回転速度が、300rpm以下の間に限って行われる(S7)。MG回転速度が300rpmを超えると、コントローラ4により、Duty制御は解除される(S8)。エコラン制御装置6が、エンジンが自力回転できると判断すると、つまりエンジンの再始動が完了したと判断すると(S9)、MG2は、モータモードから発電機モードに切り替えられる。そして、MG2はバッテリ5の蓄電に用いられる(S10)。
【0042】
次に、本実施形態の制御装置の効果について説明する。本実施形態の制御装置1は、基板温度検出装置45および入力電圧検出装置44の検出値に基づいて、パワーMOS30のキャリアDutyを決定している。このため、電流センサが不要となる。したがって、制御装置1の製造コストが低くなる。また、基板温度検出装置45および入力電圧検出装置44という二つの検出装置の検出値に基づいて、ステータ電流を推定している。このため、単一の検出装置の検出値に基づいて、ステータ電流を推定する場合と比較して、推定精度が高くなる。
【0043】
また、本実施形態の制御装置1においては、MG2とコントローラ4とは、一体に配置されている。このため、コントローラ4の回路基板の温度と、ステータコイル210の温度とは、ほぼ等しくなる。そこで、本実施形態の制御装置1は、ステータコイル210の温度を実測せずに、コントローラ4の回路基板の温度を測定している。そして、コントローラ4の回路基板の温度を、ステータコイル210の温度と見なしている。本実施形態の制御装置1によると、直接ステータコイル210の温度を実測する場合と比較して、簡単にステータコイル210の温度を決定することができる。また、さらに温度検出手段を簡素化する方法として車両情報として既にセンサが設けられている外気温度やエンジン冷却水温度から推定してもよい。
【0044】
(2)第二実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、ステータ電流推定手段としての機能を持つコントローラ4が、検出装置として基板温度検出装置のみを有している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0045】
図6に、本実施形態の制御装置のDuty制御用のマップを示す。図に示すように、マップは、基板温度のみからキャリアDutyを決定している(図5参照)。すなわち、25℃と80℃とを境に、キャリアDutyを変更している。
【0046】
本実施形態の制御装置によると、バッテリからインバータに入力される入力直流電圧を検出する必要がない。したがって、入力電圧検出装置は不要である。このため、製造コストが低くなる。また、制御回路が簡単になる。
【0047】
(3)第三実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、ステータ電流推定手段としての機能を持つコントローラ4が、検出装置として入力電圧検出装置のみを有している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0048】
図7に、本実施形態の制御装置のDuty制御用のマップを示す。図に示すように、マップは、バッテリからインバータに入力される入力直流電圧のみからキャリアDutyを決定している(図5参照)。すなわち、12Vを境に、キャリアDutyを変更している。
【0049】
本実施形態の制御装置によると、基板温度を検出する必要がない。したがって、基板温度検出装置は不要である。このため、製造コストが低くなる。また、制御回路が簡単になる。
【0050】
(4)第四実施形態
本実施形態と第二実施形態との相違点は、ステータ電流推定手段としての機能を持つコントローラ4が、基板温度検出装置の代わりに、界磁電流検出装置を有している点である。また、コントローラ4が、MG2から離間して配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0051】
図8に、本実施形態の制御装置のDuty制御用のマップを示す。図に示すように、マップは、界磁コイルに流れる界磁電流のみからキャリアDutyを決定している(図5参照)。すなわち、8Aと10Aとを境に、キャリアDutyを変更している。なお、界磁電流の検出は、アイドルストップ中に、一旦、励磁用トランジスタをONにし、このときに流れる電流(バッテリ電圧と界磁コイル抵抗とにより決定される電流)を測定することにより行う。なお、本実施形態においては、界磁電流検出装置およびキャリアDuty決定装置が本発明のステータ温度決定手段に含まれる。
【0052】
コントローラ4が、MG2から離間して配置されていると、基板温度とステータコイルの温度との差異が大きくなる。このため、本実施形態の制御装置は、界磁電流を検出している。界磁電流を検出することにより、界磁コイルの温度が決定される。ここで、界磁コイルとステータコイルとは近接している。したがって、界磁コイルの温度はステータコイルの温度と見なすことができる。このようにして、本実施形態の制御装置は、ステータコイルの温度を決定している。本実施形態の制御装置によると、コントローラ4がMG2から離間して配置されているにもかかわらず、簡単にステータ電流を推定することができる。
【0053】
(5)第五実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、ハード回路によりパワーMOSのDuty制御が行われている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0054】
図9に、本実施形態の制御装置のハード回路を示す。ハード回路10は、複数のコンパレータや抵抗やダイオードなどから構成されている。コンパレータ11においては、基板温度検出装置により検出された基板温度の検出値と、比較値80℃とが比較される(図5参照)。同様に、コンパレータ12においては、基板温度検出装置により検出された基板温度の検出値と、比較値25℃とが比較される。一方、コンパレータ13においては、バッテリからインバータに入力される入力直流電圧と、比較値12Vとが比較される。比較後の基板温度および入力直流電圧に応じて、基準電圧が設定される。コンパレータ14において、この基準電圧と三角波とを比較することにより、パワーMOSのキャリアDutyが決定される。決定されたキャリアDutyは、MOSゲートへ出力される。本実施形態の制御装置によると、ハード回路10を用いることにより、第一実施形態と同様のDuty制御を行うことができる。
【0055】
(6)第六実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、コントローラが本発明の通電角切り替え手段としても機能する点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0056】
図10に、本実施形態の制御装置のフローチャートを示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。ステータ電流の通電開始時においては、ステータコイルの通電角は120゜通電に設定されている(S60)。MG回転数が300rpmを超えると(S7)、Duty制御が解除されるのと同時に、ステータコイルの通電角が180゜通電に切り替えられる(S80)。
【0057】
本実施形態の制御装置は、MGの回転速度が300rpm以下の間は通電角を120゜通電とし、回転速度が300rpmを超えると通電角を180゜通電に切り替えている。したがって、低速回転時においてはパワーMOSの不具合を抑制することができる。また、高速回転時においては所望の電動トルクを容易に確保することができる。
【0058】
(7)その他
以上、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態においては、アイドルストップシステムに本発明の車両用交流電動発電機の制御装置を組み込んだ。しかしながら、本発明の車両用交流電動発電機の制御装置は、車両駆動用の他のシステムに組み込むことも可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては、基板温度検出装置が検出する基板温度、あるいは界磁電流検出装置が検出する界磁電流から、ステータコイル温度を決定した。しかしながら、ステータコイル温度検出装置を配置し、直接ステータコイル温度を実測してもよい。こうすると、ステータ電流の推定精度がさらに高くなる。
【0061】
また、上記実施形態においては、アイドルストップ中にキャリアDutyを決定した(図4、図10参照)。しかしながら、アイドルストップの際の車両停止時間は長くても数分間である場合が多い。そして、基板温度および入力直流電圧が、この数分間で大きく変動するおそれは小さい。したがって、アイドルストップ前に、予め基板温度検出および入力直流電圧検出を行い、キャリアDutyを決定しておいてもよい。
【0062】
また、第六実施形態においては、Duty制御解除用のMG回転速度と、通電角切り替え用のMG回転速度とを、共に300rpmに設定した。しかしながら、通電角切り替え用のMG回転速度を、Duty制御解除用のMG回転速度よりも低く設定してもよい。こうすると、より大きい電動トルクを確保することができる。
【0063】
また、第六実施形態においては、ステータ電流を推定せずに、従来の電流センサにより実測してもよい。この場合であっても、MG低速回転時において120゜通電とすることで、ステータコイルの等価抵抗を大きくすることができる。そして、パワーMOSなどのトランジスタに過電流が流れるのを抑制することができる。言い換えると、トランジスタの保護に効果的なDuty制御を行うことができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明によると、電流センサを排除可能で、かつ既設のパワーMOSなどのトランジスタをそのまま利用してDuty制御を行うことができる車両用交流電動発電機の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用交流電動発電機の制御装置が行うDuty制御を示すグラフである。
【図2】本発明の車両用交流電動発電機の制御装置が行う通電角切り替え制御を示すグラフである。
【図3】第一実施形態の制御装置の概要図である。
【図4】第一実施形態の制御装置のフローチャートである。
【図5】第一実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図6】第二実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図7】第三実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図8】第四実施形態の制御装置のDuty制御用のマップである。
【図9】第五実施形態の制御装置のハード回路である。
【図10】第六実施形態の制御装置のフローチャートである。
【図11】通電角選定用のフローチャートである。
【図12】通電角選定用のマップである。
【符号の説明】
1:制御装置(車両用交流電動発電機の制御装置)、2:MG(車両用交流電動発電機)、20:ロータ、200:界磁コイル、21:ステータ、210:ステータコイル、3:インバータ、30:パワーMOS(トランジスタ)、4:コントローラ(ステータ電流推定手段)、40:界磁コイル駆動装置、41:回転速度検出装置、42:キャリアDuty決定装置、43:ゲート駆動装置、44:入力電圧検出装置(電圧検出手段)、45:基板温度検出装置、5:バッテリ、6:エコラン制御装置、7:回転センサ。
Claims (8)
- エンジンと動力授受するとともに、界磁コイルを持つロータと、ステータコイルを持つステータと、を有する車両用交流電動発電機と、
該ステータコイルとバッテリとの間に配置され、トランジスタを有し該ステータコイルと該バッテリとの間で直交双方向電力変換を行うインバータと、
該インバータを制御するコントローラと、
を備えてなる車両用交流電動発電機の制御装置であって、
さらに、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に前記ステータコイルに流れるステータ電流を推定するステータ電流推定手段を備え、前記コントローラは、前記トランジスタのキャリアDutyを、該ステータ電流推定手段の出力値から決定することを特徴とする車両用交流電動発電機の制御装置。 - 前記ステータ電流推定手段は、前記ステータコイルの温度を決定するステータ温度決定手段を備え、前記キャリアDutyを、該ステータ温度決定手段の出力値に基づき決定する請求項1に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。
- 前記ステータ電流推定手段は、前記インバータの入力直流電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記キャリアDutyを、該電圧検出手段の検出値に基づき決定する請求項1に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。
- 前記コントローラは、前記車両用交流電動発電機と一体に配置され、前記ステータ温度決定手段は、該コントローラの回路基板の温度から前記ステータコイルの温度を決定する請求項2に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。
- 前記ステータ温度決定手段は、前記界磁コイルに流れる界磁電流から前記ステータコイルの温度を決定する請求項2に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。
- エンジンと動力授受するとともに、界磁コイルを持つロータと、三相のステータコイルを持つステータと、を有する車両用交流電動発電機と、該ステータコイルとバッテリとの間に配置され、トランジスタを有し該ステータコイルと該バッテリとの間で直交双方向電力変換を行うインバータと、
該インバータを制御するコントローラと、
該三相のステータコイルの通電角を、120゜通電と180゜通電とに切り替える通電角切り替え手段と、
を備えてなる車両用交流電動発電機の制御装置であって、
前記通電角切り替え手段は、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に、該車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間は通電角を120゜通電とし、回転速度が所定回転速度を超えると通電角を180゜通電に切り替えることを特徴とする車両用交流電動発電機の制御装置。 - さらに、前記車両用交流電動発電機により前記エンジンを始動させる際に前記ステータコイルに流れるステータ電流を実測あるいは推定するステータ電流決定手段を備え、
前記コントローラは、前記トランジスタのキャリアDutyを該ステータ電流決定手段の出力値から決定するDuty制御を、該車両用交流電動発電機の回転速度が所定回転速度以下の間だけ行い、
前記通電角切り替え用の所定回転速度は、該Duty制御解除用の所定回転速度よりも、小さく設定されている請求項6に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。 - さらに、ステータ電流値を推定するステータ電流推定手段を備え、180゜通電角でも許容電流以下であると判断した時は前記120゜通電を禁止することを特徴とする請求項6に記載の車両用交流電動発電機の制御装置。
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JP2002306231A JP2004147363A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 車両用交流電動発電機の制御装置 |
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JP2002306231A Pending JP2004147363A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 車両用交流電動発電機の制御装置 |
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2002
- 2002-10-21 JP JP2002306231A patent/JP2004147363A/ja active Pending
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