JP2004147130A - 同期信号発生装置及び方法、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機、並びに無線通信装置 - Google Patents
同期信号発生装置及び方法、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機、並びに無線通信装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004147130A JP2004147130A JP2002310418A JP2002310418A JP2004147130A JP 2004147130 A JP2004147130 A JP 2004147130A JP 2002310418 A JP2002310418 A JP 2002310418A JP 2002310418 A JP2002310418 A JP 2002310418A JP 2004147130 A JP2004147130 A JP 2004147130A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transmission line
- phase
- standing wave
- signal
- intermediate frequency
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
Abstract
【課題】伝送線路に沿って設けられる発振器を自由な位置や間隔で配置することができる同期信号発生装置及び方法を提供する。
【解決手段】基準発振器1に接続された一端と、伝送線路10の特性インピーダンスと一致しないインピーダンスを有する負荷2に接続された他端とを有する伝送線路10において、発生される注入基準信号の定在波11を検出するために、複数N個のプローブ21−1乃至21−Nが設けられる。各発振器20−1乃至20−Nは、各プローブ21−1乃至21−Nにそれぞれ接続され、検出された定在波に基づいて注入同期して発振し、注入基準信号に注入同期した注入同期信号を発生する。
【選択図】 図1
【解決手段】基準発振器1に接続された一端と、伝送線路10の特性インピーダンスと一致しないインピーダンスを有する負荷2に接続された他端とを有する伝送線路10において、発生される注入基準信号の定在波11を検出するために、複数N個のプローブ21−1乃至21−Nが設けられる。各発振器20−1乃至20−Nは、各プローブ21−1乃至21−Nにそれぞれ接続され、検出された定在波に基づいて注入同期して発振し、注入基準信号に注入同期した注入同期信号を発生する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、注入同期発振器を用いた同期信号発生装置及び方法、並びに、それぞれ上記同期信号発生装置を用いたアンテナ装置、無線送信機、無線受信機及び無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクティブアンテナは、位相制御された発振器をアンテナ素子毎に分散配置したアレーアンテナである。特許文献1及び2や非特許文献1において、その従来例が開示されている。アクティブアンテナは、複雑な給電回路や高周波ビームフォーミングネットワークを必要としないので、放射効率の高いフェーズドアレーアンテナを構成できる。例えば、非特許文献1において、直列給電によるビーム走査アンテナが開示されている。
【0003】
非特許文献1記載の従来例のアクティブアンテナにおいて、電界効果トランジスタ(以下、FETという。)と、FETのドレイン端子からゲート端子への帰還回路とにより発振器を構成し、当該アクティブアンテナは、当該発振器と、帰還回路内に直列に挿入されたパッチアンテナと、基準信号を伝送する伝送線路と、帰還回路及び伝送線路に直列に挿入された方向性結合器とにより構成されている。このアクティブアンテナにおいては、上記伝送線路上を進行波として伝搬する基準信号を、方向性結合器を用いて、当該基準信号の管内波長λgの整数m倍間隔で直列に取り出し、アンテナ素子毎に設けられた発振器回路への注入基準信号として用いている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−111636号
【特許文献2】
特開2001−320231号
【非特許文献1】
Hidehisa Shiomi et al., ”Quasi−Optical Patch Resonator Antenna Array,”1997 Asia Pacific Microwave Conference, pp. 945−948, Hong−Kong, December 1997
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1においては、伝送線路を進行波として伝搬する基準信号を取り出す地点の間隔は管内波長の整数倍m×λg毎の1点に限定されるため、発振器間の物理長と動作周波数、アンテナ素子間隔、ビーム形成方向を独立に設定できず、以下のような問題点が発生する。
(1)アンテナ素子間隔が制限される。
(2)ビームスキャン時に周波数が変化する。
(3)逆に周波数が変化するとビーム方向が変化する。
【0006】
従って、特に、通信用途のアダプティブアレーアンテナへの適用が困難になるという問題点があった。これにより、伝送線路を伝搬する基準信号を取り出す地点、基準信号が注入される発振器、及び上記発振器に接続されたアンテナ素子を配置する位置を自由に決めることができなかった。
【0007】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、伝送線路に沿って設けられる発振器を自由な位置や間隔で配置することができる同期信号発生装置及び方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、それぞれ当該同期信号発生装置を用いたアンテナ装置、無線送信機、無線受信機及び無線通信装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る同期信号発生装置は、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、
上記伝送線路に発生する定在波を検出する少なくとも1つの定在波検出手段と、
上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生する少なくとも1つの発振器手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る同期信号発生装置は、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、
互いに異なる定在波の腹部又はその近傍の位置に設けられ、上記伝送線路に発生する定在波をそれぞれ検出する複数の定在波検出手段と、
上記各定在波検出手段に接続され、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号をそれぞれ発生する複数の発振器手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る同期信号発生装置は、基準信号を発生する基準信号発生手段と、
上記基準信号発生手段に接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する各負荷が接続された他端とをそれぞれ有する複数の伝送線路と、
上記各伝送線路に設けられ、互いに異なる定在波の腹部又はその近傍の位置に設けられ、上記伝送線路に発生する定在波をそれぞれ検出する複数の定在波検出手段と、
上記各伝送線路に設けられた上記各定在波検出手段に接続され、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号をそれぞれ発生する複数の発振器手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記同期信号発生装置において、上記複数の定在波検出手段と、それらに対応して接続された複数の発振器手段とは2次元形状で設けられたことを特徴とする。
【0013】
また、上記同期信号発生装置において、上記各伝送線路は、中空の直方体形状キャビティ筐体内において電気壁により仕切られた矩形導波管であることを特徴とする。
【0014】
第4の発明に係る同期信号発生方法は、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端を有する伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷を、上記伝送線路の他端に接続することと、
上記伝送線路に発生する定在波を検出することと、
上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生することとを含むことを特徴とする。
【0015】
第5の発明に係るアンテナ装置は、上記同期信号発生装置と、
上記各発振器手段に接続された少なくとも1つのアンテナ素子とを備えたことを特徴とする。
【0016】
上記アンテナ装置において、上記定在波検出手段と、上記発振器手段と、アンテナ素子とを1組のアンテナ回路とする複数組のアンテナ回路を、上記伝送線路の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、上記伝送線路の片側において定在波の腹部の1つ置きに配置したことを特徴とする。
【0017】
もしくは、上記アンテナ装置において、上記定在波検出手段と、上記発振器手段と、アンテナ素子とを1組のアンテナ回路とする複数組のアンテナ回路を、上記伝送線路の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、上記伝送線路の両側において定在波の腹部に対して交互に配置したことを特徴とする。
【0018】
第6の発明に係る無線送信機は、上記同期信号発生装置と、
入力される中間周波信号を複数の中間周波信号に同相分配して出力する同相分配手段と、
上記同相分配手段から出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力する複数の移相手段と、
上記各移相手段からそれぞれ出力される各中間周波信号と、上記各移相手段に対応した上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力する複数の混合手段と、
上記各混合手段から出力される各混合信号を、送信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して送信する複数の第1のろ波手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
第7の発明に係る無線受信機は、上記同期信号発生装置と、
受信された無線信号と、上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力する複数の混合手段と、
上記各混合手段から出力される各混合信号を、受信周波数帯に対応する中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して各中間周波信号として出力する複数の第2のろ波手段と、
上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力する複数の移相手段と、
上記各移相手段から出力される各中間周波信号を同相合成して出力する同相合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
第8の発明に係る無線通信装置は、上記同期信号発生装置と、同相分配合成手段と、複数の移相手段と、複数の混合手段と、複数の第1のろ波手段と、複数の第2のろ波手段とを備えた無線通信装置であって、
送信時において、
上記同相分配合成手段は、入力される中間周波信号を複数の中間周波信号に同相分配して出力し、
上記複数の移相手段はそれぞれ、上記同相分配手段から出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけ移相して出力し、
上記複数の第2のろ波手段は、上記各移相手段から出力される各中間周波信号を、送受信周波数帯に対応する中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して出力し、
上記複数の混合手段は、上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号と、上記各移相手段に対応した上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力し、
上記複数の第1のろ波手段は、上記各混合手段から出力される各混合信号を、送受信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して送信し、
受信時において、
上記複数の第1のろ波手段は、受信された無線信号を、上記送受信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して出力し、
上記複数の混合手段は、上記各第1のろ波手段から出力される各無線信号と、上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力し、
上記複数の第2のろ波手段は、上記各混合手段から出力される各混合信号を、上記中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して各中間周波信号として出力し、
上記複数の移相手段は、上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力し、
上記同相分配合成手段は、上記各移相手段から出力される各中間周波信号を同相合成して出力することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の図面において、同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期信号発生装置100の構成を示すブロック図である。この実施形態に係る同期信号発生装置100は、
(a)自由空間波長λ0の注入基準信号を発生する基準発振器1と、
(b)インピーダンスZを有する負荷2と、
(c)基準発振器1に接続された一端と、負荷2に接続された他端とを有する伝送線路10と、
(d)伝送線路10において発生される注入基準信号の定在波11を検出する複数N個のプローブ21−1乃至21−N(以下、総称してプローブ21と表記する。)と、
(e)各プローブ21−1乃至21−Nにそれぞれ接続され、検出された定在波に基づいて注入同期して発振し、注入基準信号に注入同期した注入同期信号を発生する発振器20−1乃至20−N(以下、総称して発振器20と表記する。)とを備えて構成したことを特徴としている。
【0023】
図1において、伝送線路10は、例えば、1対の導線10a,10bからなり、所定の特性インピーダンスZ0を有する平衡型伝送線路であって、その一端の端子P1,P2には基準発振器1が接続される一方、その他端の端子P3,P4には負荷2が接続される。従って、基準発振器1は注入基準信号を発生して伝送線路10に出力する。ここで、負荷2のインピーダンスZは、詳細後述するように、伝送線路10において周期λg/2(λgは伝送線路10における管内波長である。)の定在波11が発生するように、伝送線路10の特性インピーダンスZ0に一致しないように設定され、例えば、伝送線路10の他端は短絡又は開放であってもよい。ここで、伝送線路10の他端におけるVSWRは、例えば、3以上であることが好ましく、より好ましくは4以上であることが好ましく、さらに好ましくは6以上であることが好ましい。また、複数N個のプローブ21−1乃至21−Nは、伝送線路10の伝送方向である長手方向に沿ってかつ伝送線路10に近接して電磁的に結合するように所定の間隔dで並置され、各プローブ21−1乃至21−Nはそれぞれ、伝送線路10上の定在波を検出してその高周波信号を発振器20−1乃至20−Nに出力する。さらに、各発振器20−1乃至20−Nは、所定の自由発振周波数で自励発振する自励発振器であり、所定の同期周波数範囲を有する注入同期発振器であり、入力される定在波の高周波信号に注入同期して発振し、上記基準信号に注入同期した注入同期信号を発生してそれぞれ負荷装置22−1乃至22−Nに出力する。なお、注入基準信号の周波数は、各発振器20−1乃至20−Nの同期周波数範囲内で予め選択される。また、負荷装置22−1乃至22−Nは、例えば、高周波信号を放射するアンテナ素子である。
【0024】
以上のように構成された同期信号発生装置100において、負荷2のインピーダンスZは、伝送線路10の特性インピーダンスZ0とは次式となるように、すなわち、不整合状態となるように選択されて設定されている。
【数1】
Z≠Z0
【0025】
基準発振器1が発生した注入基準信号は伝送線路10をその伝送方向に沿って伝搬し、伝送線路10に対して不整合になっている終端の負荷2によって反射され、これにより、伝送線路10において、端子P1,P2の入力端から端子P3,P4の終端側に向う注入基準信号の進行波と、端子P3,P4の終端側から端子P1,P2の入力端に向うその反射波とが発生し、この2つの波の合成波である定在波11が伝送線路10上に発生する。ここで、互いに等間隔dで並置された各プローブ21はそれぞれ、伝送線路10上の注入基準信号の定在波11を検出し、検出した定在波11の注入基準信号をそれぞれ各発振器20に入力することにより注入同期させる。各発振器20の同期位相は各プローブ21により検出される注入基準信号の位相から決まるので、各プローブ21は、詳細後述するように、同相又は逆相で同期できる同期領域に配置される。
【0026】
なお、プローブ21の代わりに方向性結合器を用いることはできない。方向性結合器では、伝送線路10上の進行波又は反射波のみが検出されて発振器20への注入信号となるので、本発明に係る作用効果は得られないからである。また、本実施形態において、複数のプローブ21を等間隔dで並置しているが、本発明はこれに限らず、等間隔dで並置する必要はなく、少なくとも上記同期領域に配置すればよい。
【0027】
インピーダンスZを有する負荷2によって終端された、実質的に無損失である伝送線路10上に発生する進行波と反射波をそれぞれΓe−jβz,Γejβzとおき、図1において伝送線路10の右端の反射端の位置をz=0としたとき、伝送線路10上の位置zにあるプローブ21により検出される定在波11の注入基準信号の振幅|E(z)|と位相φはそれぞれ次式で表される。
【0028】
【数2】
【数3】
【数4】
【0029】
ここで、
【数5】
は反射係数であり、
【数6】
の関係にある。
【0030】
図2と図3は、基準発振器1から伝送線路10を見たときの電圧定在波比(VSWR)をパラメータとして、注入基準信号の管内波長λgで正規化された伝送線路10上の伝送方向の位置zに対する注入基準信号の振幅|E(z)|と位相φとをそれぞれ数2及び数3を用いて計算した結果を示すグラフである。
【0031】
まず、VSWRが無限大のとき、すなわち、伝送線路10の右端において全反射するときを考える。図3から明らかなように、定在波11の位相φは、mを任意の自然数とし、2πを法として、次の関係を満たす。
【0032】
【数7】
【0033】
ここで、各プローブ21から所定の信号振幅を有する同相又は逆相の注入基準信号が得られる領域を「同期領域」と定義する。VSWRが無限大の場合、定在波11の節の部分では信号振幅が非常に小さくなるのでプローブ21を配置できない。例えば、信号振幅が信号の腹(又はピーク)の位置の振幅の10%以上である領域を同期領域(腹部とその近傍の領域)とすると、同期領域に含まれる位置zは、mを任意の自然数として、次の不等式を満たす。
【0034】
【数8】
−0.484×λg―(m−1)×λg/2
<z<−0.016×λg−(m−1)×λg/2
【0035】
図4は、各プローブ21−1乃至21−Nにおける、互いに隣接するプローブ21の間隔dと、伝送線路10上の定在波11との関係を説明するためのブロック図であり、図4において、図1の負荷装置22−1乃至22−Nは省略されている。定在波11上の同期領域の幅をLで表し、同期領域に含まれない領域(以下、不可同期領域という。)の幅をaで表す。上記数8の例では、同期領域幅L=0.468×λgであり、不可同期領域幅a=0.016である。また、δは、プローブ21の間隔dと伝送線路10上の定在波11の半波長分の長さλg/2との差である。本実施形態のように、プローブ21、発振器20、及びアンテナ素子(図示せず。)を等間隔dの直線アレー状に配列する場合、アンテナ素子間隔を直接に決定するプローブ21の間隔dが取りうる範囲は、自由空間に対する伝送線路10上の伝搬速度比ξと定在波11上の同相領域幅Lとにより制限され、次の不等式を満たす必要がある。
【0036】
【数9】
【0037】
ここで、pは、互いに隣接するプローブ21間に存在する、定在波11の節の数であり、
【数10】
λg=ξ×λ0
は、伝送線路10を伝搬する電波の波長、すなわち、注入基準信号の管内波長である。
【0038】
また、アンテナの素子数(すなわち、発振器20及びプローブ21の個数)Nも同様に制限される。もし、数9の項d/λ0とp×ξ/2の差が蓄積されて、自由空間波長で正規化された同相領域幅L/λ0以上になると、発振器20−1乃至20−Nが同期状態を保持できなくなる。従って、アンテナの素子数Nは、次の不等式を満たす素子数でなければならない。
【0039】
【数11】
【0040】
図5は、図1の伝送線路10上の定在波11が、同相領域と逆相領域とを含むことを説明するためのブロック図である。ここで、プローブ21間の定在波11の節の数pが奇数の場合、図5に示す定在波11の位相関係から、互いに隣接するプローブ21で検出される2つの信号は逆相で同期し、互いに隣接するプローブ21間の定在波11の節の数pが偶数の場合、互いに隣接するプローブ21で検出される2つの信号は同相で同期する。従って、発振器20を同相で注入同期させるために、逆相状態になった発振器20には位相反転手段を用いて入力信号を反転することが好ましい。
【0041】
図6(a)は互いに隣接するプローブ21間の定在波11の節の数pが奇数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図であり、図6(b)は互いに隣接するプローブ21間の定在波11の節の数pが偶数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図であり、図6において、図1の負荷装置22−1乃至22−Nは省略されている。図6(a)及び(b)の配置は、位相反転手段を用いることなく各発振器20を同相で注入同期するための配置である。
【0042】
図6に示すように、導線10a,10bにてなる平衡型伝送線路である伝送線路10を用いた場合で考える。図6(a)のように、プローブ間隔dの条件に従って、プローブ間の定在波11の節の数pが奇数のとき、プローブ21−2,21−4,…,21−2n,…と、それに隣接するプローブ21−1,21−3,…,21−(2n+1),…とが、定在波11の互いに逆相の同期領域において並置されるときは、プローブ21−1,21−3,…,21−(2n+1),…を伝送線路10上に発生する反射波の反射方向に向って、伝送線路10の右側に並置する一方、プローブ21−2,21−4,…,21−2n,…を上記反射波の反射方向に向って、伝送線路10の左側に並置することにより、各発振器20にはそれぞれ注入基準信号が同相で注入同期される。すなわち、プローブ21及び発振器20が、伝送線路10の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、伝送線路10の両側において定在波の腹部に対して交互に配置している。
【0043】
また、図6(b)のように、プローブ間隔dの条件に従って、プローブ間の定在波11の節の数pが偶数のときは、各プローブ21−1,21−2,…,21−n,…を上記反射波の反射方向に向って、例えば、伝送線路10の右側(左側であってもよい)に並置することによって、各発振器20にはそれぞれ注入基準信号が同相で注入同期される。すなわち、プローブ21及び発振器20が、伝送線路10の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、伝送線路10の片側において定在波の腹部の1つ置きに配置している。
【0044】
実際には、伝送線路10の損失や発振器20への信号注入などの影響で基準発振器1の端子から伝送線路10を見たときの伝送線路10のVSWRは有限の値を持ち、位相誤差δφが発生し、当該位相誤差δφはVSWRが無限大のときの注入基準信号の位相からの誤差である。ここで、位相誤差の許容量(すなわち最大値)をΔφとすると、次の不等式を満たすような伝送線路10上の位置zの範囲を同期領域とする。
【0045】
【数12】
|δφ|<Δφ
【0046】
図3においては、nを自然数として、次の不等式を満たす位置zの範囲が同期領域である。
【0047】
【数13】
|φ|<(n−1)π±δφ
【0048】
図7は、図1の伝送線路10上の定在波11の位相誤差の許容量Δφに対する、伝送線路10上の正規化された同期領域幅L/λ0を示すグラフである。図7のグラフは、VSWRを変化させたときの位相誤差の許容量Δφと同期領域幅Lとの関係を数3を用いて計算した結果である。数3及び図7から明らかなように、また、後述の表1から、一般にVSWRを大きくするか、もしくは、位相誤差の許容量Δφを大きくすれば同期領域幅Lは大きくなることがわかる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の同期信号発生装置100によれば、基準発振器1に接続された一端と、負荷2に接続された他端とを有する伝送線路10と、伝送線路10において発生される注入基準信号の定在波11を検出する複数N個のプローブ21−1乃至21−Nと、各プローブ21−1乃至21−Nにそれぞれ接続され、検出された定在波に基づいて注入同期して発振し、注入基準信号に注入同期した注入同期信号を発生する発振器20−1乃至20−Nとを備えて構成したので、定在波11を検出するプローブ21及びそれに接続される発振器20をより自由な位置や間隔で並置することができる。
【0050】
<第2の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図であり、図8において、発振器20−1−1乃至20−N−4に接続される負荷装置は省略されている。この実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は基準発振器1と4個の同期信号発生装置100−1乃至100−4とを備えたことを特徴としている。
【0051】
図8において、基準発振器1からの注入基準信号を端子P9,P10において2分配し、2分配した注入基準信号の一方を端子P5,P6においてさらに2分配した後、伝送線路10−1及び10−2に出力するとともに、端子P9,P10において2分配した注入基準信号の他方を端子P7,P8においてさらに2分配した後、伝送線路10−3及び10−4に出力する。
【0052】
伝送線路10−1においては、基準発振器1からの注入基準信号が端子P1−1,P2−1を介して伝送線路10−1に入力され、伝送線路10−1の特性インピーダンスは負荷2−1のインピーダンスとは一致しないように設定されているので、伝送線路10−1において定在波11−1が発生する。伝送線路10−1の伝送方向に沿って電磁的に結合するようにその同期領域において並置されたプローブ21−1−1乃至21−N−1はそれぞれ定在波11−1を検出して各発振器20−1−1乃至20−N−1に出力して、当該発振器20−1−1乃至20−N−1を定在波11−1の注入基準信号により注入同期させ、当該注入同期信号を発生して出力する。
【0053】
また、伝送線路10−2においては、伝送線路10−1と同様に、基準発振器1からの注入基準信号が端子P1−2,P2−2を介して伝送線路10−2に入力され、伝送線路10−2の特性インピーダンスは負荷2−2のインピーダンスとは一致しないように設定されているので、伝送線路10−2において定在波11−2が発生する。伝送線路10−2の伝送方向に沿って電磁的に結合するようにその同期領域において並置されたプローブ21−1−2乃至21−N−2はそれぞれ定在波11−2を検出して各発振器20−1−2乃至20−N−2に出力して、当該発振器20−1−2乃至20−N−2を定在波11−2の注入基準信号により注入同期させ、当該注入同期信号を発生して出力する。
【0054】
さらに、伝送線路10−3及び10−4において、伝送線路10−1及び10−2と同様に構成され、同様に動作する。
【0055】
以上のように構成された2次元アレー型同期信号発生装置においては、プローブ21−1−1乃至21−N−4を2次元で配列することができるとともに、発振器20−1−1乃至20−N−4の直線状アレーと基準発振器1の間の伝送距離が最も短くなる構成で、給電回路の損失を防止し、進行波と反射波の振幅差を小さくすることでVSWRを大きく保ち、同期領域の範囲を広くできるほか、周波数帯域が広くなるという特有の作用効果を有する。
【0056】
<第3の実施形態>
図9は、本発明の第3の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図である。この実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は基準発振器1と8個の同期信号発生装置100−5乃至100−12とを備えたことを特徴としている。図8に図示された第2の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置においては、注入基準信号を放射状に(スター形状で)4分配して4つの伝送線路10−1乃至10−14に出力しているが、この第3の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は、注入基準信号を放射状に(スター形状で)8分配して8つの伝送線路10−5乃至10−12に出力している。
【0057】
以上のように構成された2次元アレー型同期信号発生装置においては、プローブ21−1−1乃至21−N−4を2次元で配列することができるとともに、発振器20−1−1乃至20−N−4の直線状アレーと基準発振器1の間の伝送距離が最も短くなる構成で、給電回路の損失を大幅に軽減することができ、進行波と反射波の振幅差を小さくすることでVSWRを大きく保ち、同期領域の範囲を広くできるほか、周波数帯域が広くなるという特有の作用効果を有する。
【0058】
<第4の実施形態>
図10は本発明の第4の実施形態に係る、キャビティ筐体60を用いて構成された2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示す図であって、図11のA−A’線に沿って破断したときの一部破断斜視図であり、図11は図10の2次元アレー型同期信号発生装置の上面図であり、図12は図10の2次元アレー型同期信号発生装置の下面図である。なお、図10はキャビティ筐体60の半分の部分のみを破断して図示している。この第4の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は、同期信号発生装置のために伝送線路として、中空の直方体形状キャビティ筐体60内において、横断面が十字形状である電気壁61(図10及び図11参照)により仕切られた矩形導波管を用いたことを特徴としている。
【0059】
図10において、金属にてなる中空の直方体形状を有するキャビティ筐体60の下面中央部に配置されたプローブ21a(図12参照)を介して基準発振器1から注入基準信号を出力することにより、キャビティ筐体60内で定在波11aを発生して励振する一方、図11に示すように、キャビティ筐体60の上面において、キャビティ筐体60の辺に平行な直交座標の仮想的な格子点において、互いに等間隔で2次元形状で、上記定在波11aを検出するプローブ21が接続された複数の発振器20が並置されている。
【0060】
以上のように構成された2次元アレー型同期信号発生装置において、基準発振器1からの注入基準信号をキャビティ筐体60内に注入することにより、キャビティ筐体60内部の縦方向及び横方向に、注入基準信号の2次元の定在波11aが発生し、さらに、定在波11aの節の部分に選択的に電気壁61を設けることで、所望の伝送モードで励振することができる。ここで、各電気壁61は、図10及び図11に示すように、横断面において十字形状を有し、各電気壁61によりキャビティ筐体60の各辺に対して平行となる伝送方向を有する複数の矩形導波管を形成できる。そして、複数のプローブ21により定在波11aを検出してそれぞれ各発振器20に入力することにより注入同期させ、注入同期信号を発生させる。当該2次元アレー型同期信号発生装置においては、給電構造が簡単で、直接に2次元の定在波11aを発生させるため、基準発振器1と各発振器20の距離が近く、これにより、給電回路の損失を大幅に軽減することができ、進行波と反射波の振幅差を小さくすることでVSWRを大きく保ち、同期領域の範囲を広くできるほか、周波数帯域が広くなるという特有の作用効果を有する。
【0061】
<第5の実施形態>
図13は本発明の第5の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。この実施形態に係るアレーアンテナ装置110は、同期信号発生装置の伝送線路としてマイクロストリップ線路35を用い、各発振器20の負荷装置として矩形のパッチ導体23−1乃至23−(n+1),…で構成されたパッチアンテナを用い、互いに隣接するプローブ間の定在波の節の数pが奇数個の場合の装置であり、マイクロストリップ線路35に接続される基準発振器1及び負荷2の図示を省略している。
【0062】
図13において、アレーアンテナ装置110は、表面と裏面の全面に金属導体層が形成された誘電体基板30の表面に、プリント配線基板の製作に係る公知のエッチング技術等を用いて、マイクロストリップ導体32と、アンテナの放射素子となるパッチ導体23−1乃至23−(n+1),…とを形成し、さらに、誘電体基板30の表面上に、各パッチ導体23−1乃至23−(n+1),…に接続された発振器20−1乃至20−(n+1),…とプローブ21−1乃至21−(n+1),…を設けることによって製造される。誘電体基板30の裏面の金属導体層は接地導体31となる。ここで、誘電体基板30を挟設する接地導体31とマイクロストリップ導体32とにより、マイクロストリップ線路35を構成し、当該マイクロストリップ線路35は注入基準信号を伝送するための伝送線路として用いられる。
【0063】
以上のように構成されたアレーアンテナ装置110においては、プローブ21−1と発振器20−1とパッチ導体23−1とにより1組のアンテナ回路70−1を構成し、プローブ21−2と発振器20−2とパッチ導体23−2とにより1組のアンテナ回路70−2を構成し、以下同様にして、プローブ21−nと発振器20−nとパッチ導体23−nとにより1組のアンテナ回路70−nを構成している(n=3,4,…,2n,2n+1,…)。そして、これら複数組のアンテナ回路70−1,70−2,…,70−(2n+1),…は、伝送線路であるマイクロストリップ線路35の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、マイクロストリップ線路35の両側において定在波の腹部に対して交互に配置している。
【0064】
この場合、プローブ21−2,21−4,…,21−2n,…と、隣接するプローブ21−1,21−3,…,21−(2n+1),…とは、マイクロストリップ線路35に発生される定在波の互いに逆相の同期領域において配置され、すなわち、発振器20−2,…,20−2n,…と発振器20−1,…,20−(2n+1),…とが互いに逆相で同期している一方、パッチ導体23−2,…,23−2n,…の各給電点は、パッチ導体23−1,…,23−(2n+1),…の各給電点とは逆相給電になるような位置に設けられる。従って、互いに逆相で同期した発振器20−2,…,20−2n,…と発振器20−1,…,20−(2n+1),…との出力を、各パッチ導体23−2,…,23−2n,…及び23−1,…,23−(2n+1),…の互いに逆相の各給電点から給電することで、当該各パッチアンテナから放射される電波又は各パッチアンテナで受信される電波は同相になる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、より小さい面積の誘電体基板30上において、本発明に係る同期信号発生装置を用いて、位相反転手段を用いないで、同相で直線偏波の電波を放射可能な複数組のアンテナ回路70−1,70−2,…,70−(2n+1),…を2次元形状で配置することにより、小型・軽量化してなるアレーアンテナ装置110を構成できる。
【0066】
<第6の実施形態>
図14は、本発明の第6の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置120の構成を示す斜視図である。この第6の実施形態に係るアレーアンテナ装置120は、図13に図示されたアレーアンテナ装置110に比較して、図8のパッチ導体23−1,23−2,…,23−(2n+1),…に代わって、正方形の1対の対角にそれぞれ切欠部25a及び25bを有するパッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…を備え、円偏波の電波を放射するように構成したことを特徴としている。以下、相違点について詳細説明する。
【0067】
図14において、各パッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…上の切欠部25a及び25bは、パッチアンテナのための縮退分離素子として動作し、パッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…上の直交する2つのモードが互いに90度異なる位相を有するように、正方形形状のパッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…から切り取られる。このとき、縮退分離素子である切欠部25a及び25bは、互いに逆相で給電されるパッチ導体24−2,…,24−2n,…とパッチ導体24−1,…,24−(2n+1),…との両方に対して、図13と同様の位置関係で形成されることで、当該パッチアンテナから放射される電波又はパッチアンテナで受信される電波は同相になる。
【0068】
以上のように構成されたアレーアンテナ装置120においては、プローブ21−1と発振器20−1とパッチ導体24−1とにより1組のアンテナ回路71−1を構成し、プローブ21−2と発振器20−2とパッチ導体24−2とにより1組のアンテナ回路71−2を構成し、以下同様にして、プローブ21−nと発振器20−nとパッチ導体24−nとにより1組のアンテナ回路71−nを構成している(n=3,4,…,2n,2n+1,…)。そして、これら複数組のアンテナ回路71−1,71−2,…,71−(2n+1),…は、伝送線路であるマイクロストリップ線路35の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、マイクロストリップ線路35の両側において定在波の腹部に対して交互に配置している。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、より小さい面積の誘電体基板30上において、本発明に係る同期信号発生装置を用いて、位相反転手段を用いないで、同相で円偏波の電波を放射可能な複数組のアンテナ回路71−1,71−2,…,71−(2n+1),…を2次元形状で配置することにより、小型・軽量化してなるアレーアンテナ装置120を構成できる。
【0070】
<第7の実施形態>
図15は、本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成を示すブロック図である。この実施形態に係る無線通信装置200は、図1の同期信号発生装置100を用いて無線通信装置200を構成し、中間周波信号発振器40からの中間周波信号をベースバンド信号に従って変調する変調器41を備えたことを特徴としている。
【0071】
図15において、無線通信装置200では、図1と同様の各発振器20−1乃至20−Nの出力に、混合器52−1乃至52−Nと帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nとアンテナ素子54−1乃至54−Nにてなる負荷装置を接続している。各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、局部発振端子、無線周波数端子及び中間周波数端子を備える。各混合器52−1乃至52−Nの局部発振端子はそれぞれ、プローブ21を介して入力された注入基準信号によって注入同期する発振器20−1乃至20−Nに接続され、各混合器52−1乃至52−Nの無線周波数端子は、送受信周波数帯に対応した帯域通過ろ波帯域を有する帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介して、リニアアレーアンテナを構成しているアンテナ素子54−1乃至54−Nにそれぞれ接続され、さらに、各混合器52−1乃至52−Nの中間周波数端子は、中間周波数帯に対応した帯域通過ろ波帯域を有する帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを介して移相器51−1乃至51−Nの一方の端子に接続される。各移相器51−1乃至51−Nの他方の端子は同相分配合成回路50に接続されている。また、送受信切替スイッチSWの接点a側は、変調器41を介して中間周波信号発振器40が接続され、送受信切替スイッチSWの接点b側は、中間周波増幅器42を介して復調器43に接続されている。
【0072】
以上のように構成された無線通信装置100における受信時及び送信時の動作について以下に説明する。
【0073】
まず、受信時においては、送受信切替スイッチSWはコントローラ(図示せず。)により接点b側に切り替えられる。アンテナ素子54−1乃至54−Nにてなるアレーアンテナによって受信された無線信号は、各アンテナ素子54−1乃至54−Nからそれぞれ、帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介して混合器52−1乃至52−Nに入力され、各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、上記受信した無線信号を、発振器20−1乃至20−Nで発生された局部発振信号と混合することにより、それら2つの信号の和や差の周波数成分などを含む混合信号を発生した後、例えば差の周波数成分である中間周波成分のみを帯域通過ろ波する帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを介して移相器51−1乃至51−Nに出力する。このとき、各発振器20−1乃至20−Nは第1の実施形態で説明されたように同期して発振し、各発振器20−1乃至20−Nからの局部発振信号は互いに同相であるので、各アンテナ素子54−1乃至54−Nに到達したときの無線信号の位相は、各中間周波信号に保存される。さらに、移相器51−1乃至51−Nは、所望のビームパターンとなるよう各中間周波信号を移相して、移相された中間周波信号は同相分配合成回路50により同相合成された後、同相合成された中間周波信号は送受信切替スイッチSWの接点b側を介して中間周波増幅器42に出力する。中間周波増幅器42は入力された中間周波信号を増幅して復調器43に出力し、復調器43は入力された中間周波信号を復調して、復調されたベースバンド信号を出力する。
【0074】
一方、送信時においては、送受信切替スイッチSWはコントローラ(図示せず。)により接点a側に切り替えられる。変調器41は、中間周波信号発振器40より発生された中間周波信号をベースバンド信号に従って、例えば、PSKやQAMなどのディジタル変調方式で変調して、変調された中間周波信号を送受信切替スイッチSWの接点a側を介して同相分配合成回路50に出力する。次いで、同相分配合成回路50は入力される中間周波信号をN分配した後、N分配された各中間周波信号は移相器51−1乃至51−Nに出力される。さらに、各移相器51−1乃至51−Nは、N分配された中間周波信号を所望のビームパターンとなるような移相量でそれぞれ移相した後、帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを介して混合器52−1乃至52−Nに出力する。各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、入力される中間周波信号と、互いに注入同期した発振器20−1乃至20−Nから得られた局部発振信号とを混合することにより、それら2つの信号の和や差の周波数成分などを含む混合信号を発生した後、例えば和の周波数成分(送受信周波数帯域)である無線信号成分のみを帯域通過ろ波する帯域通過フィルタ53−1乃至55−Nを介して無線信号を得て、アンテナ素子54−1乃至54−Nから自由空間に放射される。このとき、第1の実施形態で説明されたように局部発振信号が互いに同期して同相であるので、移相器51−1乃至51−Nから出力されたときの中間周波信号の位相は、各アンテナ素子54−1乃至54−Nにて保存されている。
【0075】
以上のように構成された無線通信装置200においては、ベースバンド信号に従って変調された複数の中間周波信号と、上記各局部発振信号とを混合する複数の混合器52−1乃至52−Nにより、混合後の信号成分のうち和の周波数を有する搬送波の無線信号が発生されて、各アンテナ素子54−1乃至54−Nから放射される。放射方向は、移相器51−1乃至51−Nを制御することによって、任意の方向へ即時に変更することができる。さらに、受信時において、各アンテナ素子54−1乃至54−Nにより無線信号を受信すると、復調されたベースバンド信号が復調器43の出力信号として得られる。このとき、アレーアンテナの最大感度方向は送信時と同様、任意の方向へ即時に変更することができる。
【0076】
以上の実施形態においては、送受信切替スイッチSWを用いているが、本発明はこれに限らず、送信信号と受信信号とを分離するためにサーキュレータを用いてもよい。また、以上の実施形態においては、無線送信機と無線受信機を合体した無線通信装置を構成しているが、本発明はこれに限らず、無線送信機と、無線受信機とを別々に構成してもよい。なお、無線送信機のみを構成する場合、帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを備えなくてもよい。また、無線受信機のみを構成する場合、帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを備えなくてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、同期信号発生装置100を用いて無線通信装置200を構成したので、きわめて簡単な構成で互いに同相である複数の局部発振信号を発生することができ、しかも移相器51−1乃至51−Nを用いてアレーアンテナの放射方向を変更できるという特有の効果を有している。
【0078】
<第8の実施形態>
図16は本発明の第8の実施形態に係る無線通信装置210を示すブロック図である。この第8の実施形態に係る無線通信装置210は、図15に図示された無線通信装置200と比較して、中間周波信号発振器40の後段に設けられた変調器41に代えて、基準発振器1と伝送線路10との間に変調器44を設けたことを特徴としている。
【0079】
図16において、変調器44は、基準発振器1から出力される注入基準信号を、ベースバンド信号に従って、例えばPSK又はQAMなどのディジタル変調方式で変調して、変調後の注入基準信号を伝送線路10に出力する。従って、各発振器20−1乃至20−Nは、変調された注入基準信号で注入同期して、変調された注入基準信号に同期した局部発振信号を発生して混合器52−1乃至52−Nに出力する。同期領域の範囲内であれば、ベースバンド信号の位相を保存したまま各発振器20−1乃至20−Nは、注入基準信号と同様の波形で発振し、変調された局部発振信号を発生する。変調された局部発振信号は混合器52−1乃至52−Nに入力され、各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、この局部発振信号と中間周波信号とを混合して無線信号を生成する。無線信号は帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介してアンテナ素子54−1乃至54−Nに入力され、自由空間に放射される。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、同期信号発生装置100を用いて無線通信装置210を構成したので、きわめて簡単な構成で、ベースバンド信号に従って変調されかつ互いに同相である複数の局部発振信号を発生することができ、しかも移相器51−1乃至51−Nを用いてアレーアンテナの放射方向を変更できるという特有の効果を有している。
【0081】
<第9の実施形態>
図17は本発明の第9の実施形態に係る無線通信装置220を示すブロック図である。この第9の実施形態に係る無線通信装置220は、図15に図示された無線通信装置200と比較して、中間周波信号発振器40の後段に設けられた変調器41に代えて、各発振器20−1乃至20−Nのバイアス電圧をベースバンド信号に従って変調することにより、局部発振信号をベースバンド信号に従って変調することを特徴としている。
【0082】
図17において、ベースバンド信号を各発振器20−1乃至20−Nのバイアス電圧に重畳することにより、各発振器20−1乃至20−Nの自励発振信号の周波数が変化するため、局部発振信号の同期位相が変調される。従って、各発振器20−1乃至20−Nはそれぞれ、ベースバンド信号に従って位相変調されかつ互いに同期した局部発振信号を発生して、混合器52−1乃至52−Nに出力する。次いで、各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、入力される中間周波信号と位相変調された局部発振信号とを混合することにより、無線信号を生成する。このとき、無線信号の位相は局部発振信号の位相と中間周波信号の位相との和であり、無線信号は帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介してアンテナ素子54−1乃至54−Nに入力され、自由空間に放射される。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、同期信号発生装置100を用いて無線通信装置220を構成したので、きわめて簡単な構成で、ベースバンド信号に従って変調されかつ互いに同相である複数の局部発振信号を発生することができ、しかも移相器51−1乃至51−Nを用いてアレーアンテナの放射方向を変更できるという特有の効果を有している。
【0084】
【実施例】
主ビーム方向の最大角度(主ビーム方向を最大に変化できる角度をいい、正の角度を代表して用いる。)が45度で、アンテナ素子数が4個であって、伝送線路として第5の実施形態に係るマイクロストリップ線路35を用いるアレーアンテナ装置を構成する場合、マイクロストリップ線路35が形成される誘電体基板の比誘電率εrは以下の手順で選ばれる。設計に必要なパラメータは、プローブ間隔d、位相誤差の許容量Δφ、及びVSWRである。
【0085】
プローブ間隔dの下限はアンテナのサイズから制限され、概ね0.25×λ0程度であり、上限は主ビーム方向の最大角度から制限される。一般に、最大ビーム方向をθm(ラジアン)としたとき、プローブ間隔dは次式を満たす必要がある。
【0086】
【数14】
【0087】
ここでは、主ビーム方向の最大角度が45度なので、取りうるプローブ間隔は
【数15】
d<0.58579λ0
であり、例えばd=0.5×λ0をプローブ間隔とする。
【0088】
プローブ間隔d、アンテナ素子数N、及びアンテナ素子の指向性から放射指向性が求まり、許容する主ビーム方向の利得変動量ΔGmが決まると、許容される主ビーム方向の変化量Δθmが決まり、位相誤差の許容量Δφが求まる。プローブ間隔d=0.5,プローブ21の個数N=4,利得変動量ΔGm=3dBのとき、位相誤差の許容量Δφ=40.985度である。
【0089】
位相誤差の許容量ΔφとVSWRが決まると、数3より伝送線路上の同期領域幅Lが決まる。ここで、VSWR=6であり、位相誤差の許容量Δφ=40.985度であるとすると、同期領域幅L=0.43967となる。さらに、数7及び数11を用いて、同期領域幅Lとアンテナ素子数Nから伝送線路10の波長短縮率ξの許容範囲が計算され、誘電体基板30の比誘電率εrの許容範囲が得られる。位相誤差の許容量Δφ=40.985度のとき、
【数16】
0.70689<ξ<1.0
(n=1のとき)
又は
【数17】
0.35344<ξ<0.5
(n=2のとき)
であり、比誘電率εr=2.2程度であるテフロン(登録商標)素材の基板、又は比誘電率εr=6.0程度であるアルミナ樹脂複合材料の基板を用いるとよい。
【0090】
また、位相誤差の許容量Δφ=40.985の場合の同相領域幅を表1に示した。本実施形態においてVSWR=10としたとき、進行波を用いる従来方式(VSWR=1)と比較して2倍以上の同期範囲を得られる。
【0091】
【表1】
位相誤差の許容量Δφ=40.985(度)の場合の同期領域幅L
――――――――――――――――――――――――
VSWR 同期領域幅L[λ0]
――――――――――――――――――――――――
1 0.22769
2 0.33378
3 0.38339
4 0.41082
6 0.43967
10 0.46352
――――――――――――――――――――――――
【0092】
以上説明したように本実施形態によれば、伝送線路に沿って設けられる発振器を自由な位置や間隔で配置することができ、しかも同期領域幅を広く取れる同期信号発生装置及び方法を提供することができる。この同期信号発生装置を用いて、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機及び無線通信装置を提供することができる。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る同期信号発生装置によれば、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、上記伝送線路に発生する定在波を検出する少なくとも1つの定在波検出手段と、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生する少なくとも1つの発振器手段とを備える。従って、本発明によれば、伝送線路を伝搬する基準信号を取り出す地点を自由に決定することができ、基準信号が注入される発振器、及び上記発振器に接続されたアンテナ素子を配置する位置を自由に決めることができる。アクティブアンテナのアンテナ素子を従来技術よりも広い間隔又は狭い間隔で自由に配置することができ、各発振器を同相で注入同期するように当該発振器を配置できる範囲を大幅に広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る同期信号発生装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の同期信号発生装置100において、管内波長λgで正規化された伝送線路10上に位置に対する注入基準信号の振幅|E(z)|を示すグラフである。
【図3】図1の同期信号発生装置100において、管内波長λgで正規化された伝送線路10上に位置に対する注入基準信号の位相φを示すグラフである。
【図4】図1の同期信号発生装置100において、プローブ21−1乃至21−Nにおける互いに隣接するプローブの間隔dと、伝送線路10上の定在波11との関係及び同期領域幅Lを説明するためのブロック図、及び伝送線路10上の位置zに対する定在波11の波形を示すグラフである。
【図5】図1の伝送線路10上の定在波11が、同相領域と逆相領域とを含むことを説明するためのブロック図である。
【図6】(a)は図1の互いに隣接するプローブ間の定在波の節の数pが奇数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図であり、(b)は図1の互いに隣接するプローブ間の定在波の節の数pが偶数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図である。
【図7】図1の伝送線路10上の定在波11の位相誤差の許容量Δφに対する、伝送線路10上の正規化された同期領域幅L/λ0を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る、キャビティ筐体60を用いて構成された2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示す図であって、図11のA−A’線に沿って破断したときの一部破断斜視図である。
【図11】図10の2次元アレー型同期信号発生装置の上面図である。
【図12】図10の2次元アレー型同期信号発生装置の下面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置120の構成を示す斜視図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第8の実施形態に係る無線通信装置210を示すブロック図である。
【図17】本発明の第9の実施形態に係る無線通信装置220を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…基準発振器、
2,2−1乃至2−12…負荷、
10,10−1乃至10−12…伝送線路、
10a,10b…導線、
11,11−1乃至11−12…定在波、
20,20−1乃至20−N,20−1−1乃至20−N−12…発振器、
21−1乃至21−N,21−1−1乃至21−N−12…プローブ、
22−1乃至22−N…負荷装置、
23−1乃至23−(2n+1),24−1乃至24−(2n+1)…パッチ導体、
25a,25b…切欠部、
30…誘電体基板、
31…接地導体、
32…マイクロストリップ導体、
35…マイクロストリップ線路、
40…中間周波信号発振器、
41,44…変調器、
42…中間周波増幅器、
43…復調器、
50…同相分配合成回路、
51−1乃至51−N…移相器、
52−1乃至52−N…混合器、
53−1乃至53−N,55−1乃至55−N…帯域通過フィルタ、
54−1乃至54−N…アンテナ素子、
60…キャビティ筐体、
61…電気壁、
70−1乃至70−(2n+1),71−1乃至71−(2n+1)…アンテナ回路、
100,100−1乃至100−12,110,120…同期信号発生装置、
200,210,220…アレーアンテナ装置、
P1乃至P20,P1−1乃至P4−12…端子、
SW…送受信切替スイッチ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、注入同期発振器を用いた同期信号発生装置及び方法、並びに、それぞれ上記同期信号発生装置を用いたアンテナ装置、無線送信機、無線受信機及び無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクティブアンテナは、位相制御された発振器をアンテナ素子毎に分散配置したアレーアンテナである。特許文献1及び2や非特許文献1において、その従来例が開示されている。アクティブアンテナは、複雑な給電回路や高周波ビームフォーミングネットワークを必要としないので、放射効率の高いフェーズドアレーアンテナを構成できる。例えば、非特許文献1において、直列給電によるビーム走査アンテナが開示されている。
【0003】
非特許文献1記載の従来例のアクティブアンテナにおいて、電界効果トランジスタ(以下、FETという。)と、FETのドレイン端子からゲート端子への帰還回路とにより発振器を構成し、当該アクティブアンテナは、当該発振器と、帰還回路内に直列に挿入されたパッチアンテナと、基準信号を伝送する伝送線路と、帰還回路及び伝送線路に直列に挿入された方向性結合器とにより構成されている。このアクティブアンテナにおいては、上記伝送線路上を進行波として伝搬する基準信号を、方向性結合器を用いて、当該基準信号の管内波長λgの整数m倍間隔で直列に取り出し、アンテナ素子毎に設けられた発振器回路への注入基準信号として用いている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−111636号
【特許文献2】
特開2001−320231号
【非特許文献1】
Hidehisa Shiomi et al., ”Quasi−Optical Patch Resonator Antenna Array,”1997 Asia Pacific Microwave Conference, pp. 945−948, Hong−Kong, December 1997
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1においては、伝送線路を進行波として伝搬する基準信号を取り出す地点の間隔は管内波長の整数倍m×λg毎の1点に限定されるため、発振器間の物理長と動作周波数、アンテナ素子間隔、ビーム形成方向を独立に設定できず、以下のような問題点が発生する。
(1)アンテナ素子間隔が制限される。
(2)ビームスキャン時に周波数が変化する。
(3)逆に周波数が変化するとビーム方向が変化する。
【0006】
従って、特に、通信用途のアダプティブアレーアンテナへの適用が困難になるという問題点があった。これにより、伝送線路を伝搬する基準信号を取り出す地点、基準信号が注入される発振器、及び上記発振器に接続されたアンテナ素子を配置する位置を自由に決めることができなかった。
【0007】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、伝送線路に沿って設けられる発振器を自由な位置や間隔で配置することができる同期信号発生装置及び方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、それぞれ当該同期信号発生装置を用いたアンテナ装置、無線送信機、無線受信機及び無線通信装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る同期信号発生装置は、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、
上記伝送線路に発生する定在波を検出する少なくとも1つの定在波検出手段と、
上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生する少なくとも1つの発振器手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る同期信号発生装置は、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、
互いに異なる定在波の腹部又はその近傍の位置に設けられ、上記伝送線路に発生する定在波をそれぞれ検出する複数の定在波検出手段と、
上記各定在波検出手段に接続され、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号をそれぞれ発生する複数の発振器手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る同期信号発生装置は、基準信号を発生する基準信号発生手段と、
上記基準信号発生手段に接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する各負荷が接続された他端とをそれぞれ有する複数の伝送線路と、
上記各伝送線路に設けられ、互いに異なる定在波の腹部又はその近傍の位置に設けられ、上記伝送線路に発生する定在波をそれぞれ検出する複数の定在波検出手段と、
上記各伝送線路に設けられた上記各定在波検出手段に接続され、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号をそれぞれ発生する複数の発振器手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記同期信号発生装置において、上記複数の定在波検出手段と、それらに対応して接続された複数の発振器手段とは2次元形状で設けられたことを特徴とする。
【0013】
また、上記同期信号発生装置において、上記各伝送線路は、中空の直方体形状キャビティ筐体内において電気壁により仕切られた矩形導波管であることを特徴とする。
【0014】
第4の発明に係る同期信号発生方法は、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端を有する伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷を、上記伝送線路の他端に接続することと、
上記伝送線路に発生する定在波を検出することと、
上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生することとを含むことを特徴とする。
【0015】
第5の発明に係るアンテナ装置は、上記同期信号発生装置と、
上記各発振器手段に接続された少なくとも1つのアンテナ素子とを備えたことを特徴とする。
【0016】
上記アンテナ装置において、上記定在波検出手段と、上記発振器手段と、アンテナ素子とを1組のアンテナ回路とする複数組のアンテナ回路を、上記伝送線路の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、上記伝送線路の片側において定在波の腹部の1つ置きに配置したことを特徴とする。
【0017】
もしくは、上記アンテナ装置において、上記定在波検出手段と、上記発振器手段と、アンテナ素子とを1組のアンテナ回路とする複数組のアンテナ回路を、上記伝送線路の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、上記伝送線路の両側において定在波の腹部に対して交互に配置したことを特徴とする。
【0018】
第6の発明に係る無線送信機は、上記同期信号発生装置と、
入力される中間周波信号を複数の中間周波信号に同相分配して出力する同相分配手段と、
上記同相分配手段から出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力する複数の移相手段と、
上記各移相手段からそれぞれ出力される各中間周波信号と、上記各移相手段に対応した上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力する複数の混合手段と、
上記各混合手段から出力される各混合信号を、送信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して送信する複数の第1のろ波手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
第7の発明に係る無線受信機は、上記同期信号発生装置と、
受信された無線信号と、上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力する複数の混合手段と、
上記各混合手段から出力される各混合信号を、受信周波数帯に対応する中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して各中間周波信号として出力する複数の第2のろ波手段と、
上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力する複数の移相手段と、
上記各移相手段から出力される各中間周波信号を同相合成して出力する同相合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
第8の発明に係る無線通信装置は、上記同期信号発生装置と、同相分配合成手段と、複数の移相手段と、複数の混合手段と、複数の第1のろ波手段と、複数の第2のろ波手段とを備えた無線通信装置であって、
送信時において、
上記同相分配合成手段は、入力される中間周波信号を複数の中間周波信号に同相分配して出力し、
上記複数の移相手段はそれぞれ、上記同相分配手段から出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけ移相して出力し、
上記複数の第2のろ波手段は、上記各移相手段から出力される各中間周波信号を、送受信周波数帯に対応する中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して出力し、
上記複数の混合手段は、上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号と、上記各移相手段に対応した上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力し、
上記複数の第1のろ波手段は、上記各混合手段から出力される各混合信号を、送受信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して送信し、
受信時において、
上記複数の第1のろ波手段は、受信された無線信号を、上記送受信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して出力し、
上記複数の混合手段は、上記各第1のろ波手段から出力される各無線信号と、上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力し、
上記複数の第2のろ波手段は、上記各混合手段から出力される各混合信号を、上記中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して各中間周波信号として出力し、
上記複数の移相手段は、上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力し、
上記同相分配合成手段は、上記各移相手段から出力される各中間周波信号を同相合成して出力することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の図面において、同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期信号発生装置100の構成を示すブロック図である。この実施形態に係る同期信号発生装置100は、
(a)自由空間波長λ0の注入基準信号を発生する基準発振器1と、
(b)インピーダンスZを有する負荷2と、
(c)基準発振器1に接続された一端と、負荷2に接続された他端とを有する伝送線路10と、
(d)伝送線路10において発生される注入基準信号の定在波11を検出する複数N個のプローブ21−1乃至21−N(以下、総称してプローブ21と表記する。)と、
(e)各プローブ21−1乃至21−Nにそれぞれ接続され、検出された定在波に基づいて注入同期して発振し、注入基準信号に注入同期した注入同期信号を発生する発振器20−1乃至20−N(以下、総称して発振器20と表記する。)とを備えて構成したことを特徴としている。
【0023】
図1において、伝送線路10は、例えば、1対の導線10a,10bからなり、所定の特性インピーダンスZ0を有する平衡型伝送線路であって、その一端の端子P1,P2には基準発振器1が接続される一方、その他端の端子P3,P4には負荷2が接続される。従って、基準発振器1は注入基準信号を発生して伝送線路10に出力する。ここで、負荷2のインピーダンスZは、詳細後述するように、伝送線路10において周期λg/2(λgは伝送線路10における管内波長である。)の定在波11が発生するように、伝送線路10の特性インピーダンスZ0に一致しないように設定され、例えば、伝送線路10の他端は短絡又は開放であってもよい。ここで、伝送線路10の他端におけるVSWRは、例えば、3以上であることが好ましく、より好ましくは4以上であることが好ましく、さらに好ましくは6以上であることが好ましい。また、複数N個のプローブ21−1乃至21−Nは、伝送線路10の伝送方向である長手方向に沿ってかつ伝送線路10に近接して電磁的に結合するように所定の間隔dで並置され、各プローブ21−1乃至21−Nはそれぞれ、伝送線路10上の定在波を検出してその高周波信号を発振器20−1乃至20−Nに出力する。さらに、各発振器20−1乃至20−Nは、所定の自由発振周波数で自励発振する自励発振器であり、所定の同期周波数範囲を有する注入同期発振器であり、入力される定在波の高周波信号に注入同期して発振し、上記基準信号に注入同期した注入同期信号を発生してそれぞれ負荷装置22−1乃至22−Nに出力する。なお、注入基準信号の周波数は、各発振器20−1乃至20−Nの同期周波数範囲内で予め選択される。また、負荷装置22−1乃至22−Nは、例えば、高周波信号を放射するアンテナ素子である。
【0024】
以上のように構成された同期信号発生装置100において、負荷2のインピーダンスZは、伝送線路10の特性インピーダンスZ0とは次式となるように、すなわち、不整合状態となるように選択されて設定されている。
【数1】
Z≠Z0
【0025】
基準発振器1が発生した注入基準信号は伝送線路10をその伝送方向に沿って伝搬し、伝送線路10に対して不整合になっている終端の負荷2によって反射され、これにより、伝送線路10において、端子P1,P2の入力端から端子P3,P4の終端側に向う注入基準信号の進行波と、端子P3,P4の終端側から端子P1,P2の入力端に向うその反射波とが発生し、この2つの波の合成波である定在波11が伝送線路10上に発生する。ここで、互いに等間隔dで並置された各プローブ21はそれぞれ、伝送線路10上の注入基準信号の定在波11を検出し、検出した定在波11の注入基準信号をそれぞれ各発振器20に入力することにより注入同期させる。各発振器20の同期位相は各プローブ21により検出される注入基準信号の位相から決まるので、各プローブ21は、詳細後述するように、同相又は逆相で同期できる同期領域に配置される。
【0026】
なお、プローブ21の代わりに方向性結合器を用いることはできない。方向性結合器では、伝送線路10上の進行波又は反射波のみが検出されて発振器20への注入信号となるので、本発明に係る作用効果は得られないからである。また、本実施形態において、複数のプローブ21を等間隔dで並置しているが、本発明はこれに限らず、等間隔dで並置する必要はなく、少なくとも上記同期領域に配置すればよい。
【0027】
インピーダンスZを有する負荷2によって終端された、実質的に無損失である伝送線路10上に発生する進行波と反射波をそれぞれΓe−jβz,Γejβzとおき、図1において伝送線路10の右端の反射端の位置をz=0としたとき、伝送線路10上の位置zにあるプローブ21により検出される定在波11の注入基準信号の振幅|E(z)|と位相φはそれぞれ次式で表される。
【0028】
【数2】
【数3】
【数4】
【0029】
ここで、
【数5】
は反射係数であり、
【数6】
の関係にある。
【0030】
図2と図3は、基準発振器1から伝送線路10を見たときの電圧定在波比(VSWR)をパラメータとして、注入基準信号の管内波長λgで正規化された伝送線路10上の伝送方向の位置zに対する注入基準信号の振幅|E(z)|と位相φとをそれぞれ数2及び数3を用いて計算した結果を示すグラフである。
【0031】
まず、VSWRが無限大のとき、すなわち、伝送線路10の右端において全反射するときを考える。図3から明らかなように、定在波11の位相φは、mを任意の自然数とし、2πを法として、次の関係を満たす。
【0032】
【数7】
【0033】
ここで、各プローブ21から所定の信号振幅を有する同相又は逆相の注入基準信号が得られる領域を「同期領域」と定義する。VSWRが無限大の場合、定在波11の節の部分では信号振幅が非常に小さくなるのでプローブ21を配置できない。例えば、信号振幅が信号の腹(又はピーク)の位置の振幅の10%以上である領域を同期領域(腹部とその近傍の領域)とすると、同期領域に含まれる位置zは、mを任意の自然数として、次の不等式を満たす。
【0034】
【数8】
−0.484×λg―(m−1)×λg/2
<z<−0.016×λg−(m−1)×λg/2
【0035】
図4は、各プローブ21−1乃至21−Nにおける、互いに隣接するプローブ21の間隔dと、伝送線路10上の定在波11との関係を説明するためのブロック図であり、図4において、図1の負荷装置22−1乃至22−Nは省略されている。定在波11上の同期領域の幅をLで表し、同期領域に含まれない領域(以下、不可同期領域という。)の幅をaで表す。上記数8の例では、同期領域幅L=0.468×λgであり、不可同期領域幅a=0.016である。また、δは、プローブ21の間隔dと伝送線路10上の定在波11の半波長分の長さλg/2との差である。本実施形態のように、プローブ21、発振器20、及びアンテナ素子(図示せず。)を等間隔dの直線アレー状に配列する場合、アンテナ素子間隔を直接に決定するプローブ21の間隔dが取りうる範囲は、自由空間に対する伝送線路10上の伝搬速度比ξと定在波11上の同相領域幅Lとにより制限され、次の不等式を満たす必要がある。
【0036】
【数9】
【0037】
ここで、pは、互いに隣接するプローブ21間に存在する、定在波11の節の数であり、
【数10】
λg=ξ×λ0
は、伝送線路10を伝搬する電波の波長、すなわち、注入基準信号の管内波長である。
【0038】
また、アンテナの素子数(すなわち、発振器20及びプローブ21の個数)Nも同様に制限される。もし、数9の項d/λ0とp×ξ/2の差が蓄積されて、自由空間波長で正規化された同相領域幅L/λ0以上になると、発振器20−1乃至20−Nが同期状態を保持できなくなる。従って、アンテナの素子数Nは、次の不等式を満たす素子数でなければならない。
【0039】
【数11】
【0040】
図5は、図1の伝送線路10上の定在波11が、同相領域と逆相領域とを含むことを説明するためのブロック図である。ここで、プローブ21間の定在波11の節の数pが奇数の場合、図5に示す定在波11の位相関係から、互いに隣接するプローブ21で検出される2つの信号は逆相で同期し、互いに隣接するプローブ21間の定在波11の節の数pが偶数の場合、互いに隣接するプローブ21で検出される2つの信号は同相で同期する。従って、発振器20を同相で注入同期させるために、逆相状態になった発振器20には位相反転手段を用いて入力信号を反転することが好ましい。
【0041】
図6(a)は互いに隣接するプローブ21間の定在波11の節の数pが奇数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図であり、図6(b)は互いに隣接するプローブ21間の定在波11の節の数pが偶数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図であり、図6において、図1の負荷装置22−1乃至22−Nは省略されている。図6(a)及び(b)の配置は、位相反転手段を用いることなく各発振器20を同相で注入同期するための配置である。
【0042】
図6に示すように、導線10a,10bにてなる平衡型伝送線路である伝送線路10を用いた場合で考える。図6(a)のように、プローブ間隔dの条件に従って、プローブ間の定在波11の節の数pが奇数のとき、プローブ21−2,21−4,…,21−2n,…と、それに隣接するプローブ21−1,21−3,…,21−(2n+1),…とが、定在波11の互いに逆相の同期領域において並置されるときは、プローブ21−1,21−3,…,21−(2n+1),…を伝送線路10上に発生する反射波の反射方向に向って、伝送線路10の右側に並置する一方、プローブ21−2,21−4,…,21−2n,…を上記反射波の反射方向に向って、伝送線路10の左側に並置することにより、各発振器20にはそれぞれ注入基準信号が同相で注入同期される。すなわち、プローブ21及び発振器20が、伝送線路10の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、伝送線路10の両側において定在波の腹部に対して交互に配置している。
【0043】
また、図6(b)のように、プローブ間隔dの条件に従って、プローブ間の定在波11の節の数pが偶数のときは、各プローブ21−1,21−2,…,21−n,…を上記反射波の反射方向に向って、例えば、伝送線路10の右側(左側であってもよい)に並置することによって、各発振器20にはそれぞれ注入基準信号が同相で注入同期される。すなわち、プローブ21及び発振器20が、伝送線路10の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、伝送線路10の片側において定在波の腹部の1つ置きに配置している。
【0044】
実際には、伝送線路10の損失や発振器20への信号注入などの影響で基準発振器1の端子から伝送線路10を見たときの伝送線路10のVSWRは有限の値を持ち、位相誤差δφが発生し、当該位相誤差δφはVSWRが無限大のときの注入基準信号の位相からの誤差である。ここで、位相誤差の許容量(すなわち最大値)をΔφとすると、次の不等式を満たすような伝送線路10上の位置zの範囲を同期領域とする。
【0045】
【数12】
|δφ|<Δφ
【0046】
図3においては、nを自然数として、次の不等式を満たす位置zの範囲が同期領域である。
【0047】
【数13】
|φ|<(n−1)π±δφ
【0048】
図7は、図1の伝送線路10上の定在波11の位相誤差の許容量Δφに対する、伝送線路10上の正規化された同期領域幅L/λ0を示すグラフである。図7のグラフは、VSWRを変化させたときの位相誤差の許容量Δφと同期領域幅Lとの関係を数3を用いて計算した結果である。数3及び図7から明らかなように、また、後述の表1から、一般にVSWRを大きくするか、もしくは、位相誤差の許容量Δφを大きくすれば同期領域幅Lは大きくなることがわかる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の同期信号発生装置100によれば、基準発振器1に接続された一端と、負荷2に接続された他端とを有する伝送線路10と、伝送線路10において発生される注入基準信号の定在波11を検出する複数N個のプローブ21−1乃至21−Nと、各プローブ21−1乃至21−Nにそれぞれ接続され、検出された定在波に基づいて注入同期して発振し、注入基準信号に注入同期した注入同期信号を発生する発振器20−1乃至20−Nとを備えて構成したので、定在波11を検出するプローブ21及びそれに接続される発振器20をより自由な位置や間隔で並置することができる。
【0050】
<第2の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図であり、図8において、発振器20−1−1乃至20−N−4に接続される負荷装置は省略されている。この実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は基準発振器1と4個の同期信号発生装置100−1乃至100−4とを備えたことを特徴としている。
【0051】
図8において、基準発振器1からの注入基準信号を端子P9,P10において2分配し、2分配した注入基準信号の一方を端子P5,P6においてさらに2分配した後、伝送線路10−1及び10−2に出力するとともに、端子P9,P10において2分配した注入基準信号の他方を端子P7,P8においてさらに2分配した後、伝送線路10−3及び10−4に出力する。
【0052】
伝送線路10−1においては、基準発振器1からの注入基準信号が端子P1−1,P2−1を介して伝送線路10−1に入力され、伝送線路10−1の特性インピーダンスは負荷2−1のインピーダンスとは一致しないように設定されているので、伝送線路10−1において定在波11−1が発生する。伝送線路10−1の伝送方向に沿って電磁的に結合するようにその同期領域において並置されたプローブ21−1−1乃至21−N−1はそれぞれ定在波11−1を検出して各発振器20−1−1乃至20−N−1に出力して、当該発振器20−1−1乃至20−N−1を定在波11−1の注入基準信号により注入同期させ、当該注入同期信号を発生して出力する。
【0053】
また、伝送線路10−2においては、伝送線路10−1と同様に、基準発振器1からの注入基準信号が端子P1−2,P2−2を介して伝送線路10−2に入力され、伝送線路10−2の特性インピーダンスは負荷2−2のインピーダンスとは一致しないように設定されているので、伝送線路10−2において定在波11−2が発生する。伝送線路10−2の伝送方向に沿って電磁的に結合するようにその同期領域において並置されたプローブ21−1−2乃至21−N−2はそれぞれ定在波11−2を検出して各発振器20−1−2乃至20−N−2に出力して、当該発振器20−1−2乃至20−N−2を定在波11−2の注入基準信号により注入同期させ、当該注入同期信号を発生して出力する。
【0054】
さらに、伝送線路10−3及び10−4において、伝送線路10−1及び10−2と同様に構成され、同様に動作する。
【0055】
以上のように構成された2次元アレー型同期信号発生装置においては、プローブ21−1−1乃至21−N−4を2次元で配列することができるとともに、発振器20−1−1乃至20−N−4の直線状アレーと基準発振器1の間の伝送距離が最も短くなる構成で、給電回路の損失を防止し、進行波と反射波の振幅差を小さくすることでVSWRを大きく保ち、同期領域の範囲を広くできるほか、周波数帯域が広くなるという特有の作用効果を有する。
【0056】
<第3の実施形態>
図9は、本発明の第3の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図である。この実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は基準発振器1と8個の同期信号発生装置100−5乃至100−12とを備えたことを特徴としている。図8に図示された第2の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置においては、注入基準信号を放射状に(スター形状で)4分配して4つの伝送線路10−1乃至10−14に出力しているが、この第3の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は、注入基準信号を放射状に(スター形状で)8分配して8つの伝送線路10−5乃至10−12に出力している。
【0057】
以上のように構成された2次元アレー型同期信号発生装置においては、プローブ21−1−1乃至21−N−4を2次元で配列することができるとともに、発振器20−1−1乃至20−N−4の直線状アレーと基準発振器1の間の伝送距離が最も短くなる構成で、給電回路の損失を大幅に軽減することができ、進行波と反射波の振幅差を小さくすることでVSWRを大きく保ち、同期領域の範囲を広くできるほか、周波数帯域が広くなるという特有の作用効果を有する。
【0058】
<第4の実施形態>
図10は本発明の第4の実施形態に係る、キャビティ筐体60を用いて構成された2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示す図であって、図11のA−A’線に沿って破断したときの一部破断斜視図であり、図11は図10の2次元アレー型同期信号発生装置の上面図であり、図12は図10の2次元アレー型同期信号発生装置の下面図である。なお、図10はキャビティ筐体60の半分の部分のみを破断して図示している。この第4の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置は、同期信号発生装置のために伝送線路として、中空の直方体形状キャビティ筐体60内において、横断面が十字形状である電気壁61(図10及び図11参照)により仕切られた矩形導波管を用いたことを特徴としている。
【0059】
図10において、金属にてなる中空の直方体形状を有するキャビティ筐体60の下面中央部に配置されたプローブ21a(図12参照)を介して基準発振器1から注入基準信号を出力することにより、キャビティ筐体60内で定在波11aを発生して励振する一方、図11に示すように、キャビティ筐体60の上面において、キャビティ筐体60の辺に平行な直交座標の仮想的な格子点において、互いに等間隔で2次元形状で、上記定在波11aを検出するプローブ21が接続された複数の発振器20が並置されている。
【0060】
以上のように構成された2次元アレー型同期信号発生装置において、基準発振器1からの注入基準信号をキャビティ筐体60内に注入することにより、キャビティ筐体60内部の縦方向及び横方向に、注入基準信号の2次元の定在波11aが発生し、さらに、定在波11aの節の部分に選択的に電気壁61を設けることで、所望の伝送モードで励振することができる。ここで、各電気壁61は、図10及び図11に示すように、横断面において十字形状を有し、各電気壁61によりキャビティ筐体60の各辺に対して平行となる伝送方向を有する複数の矩形導波管を形成できる。そして、複数のプローブ21により定在波11aを検出してそれぞれ各発振器20に入力することにより注入同期させ、注入同期信号を発生させる。当該2次元アレー型同期信号発生装置においては、給電構造が簡単で、直接に2次元の定在波11aを発生させるため、基準発振器1と各発振器20の距離が近く、これにより、給電回路の損失を大幅に軽減することができ、進行波と反射波の振幅差を小さくすることでVSWRを大きく保ち、同期領域の範囲を広くできるほか、周波数帯域が広くなるという特有の作用効果を有する。
【0061】
<第5の実施形態>
図13は本発明の第5の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。この実施形態に係るアレーアンテナ装置110は、同期信号発生装置の伝送線路としてマイクロストリップ線路35を用い、各発振器20の負荷装置として矩形のパッチ導体23−1乃至23−(n+1),…で構成されたパッチアンテナを用い、互いに隣接するプローブ間の定在波の節の数pが奇数個の場合の装置であり、マイクロストリップ線路35に接続される基準発振器1及び負荷2の図示を省略している。
【0062】
図13において、アレーアンテナ装置110は、表面と裏面の全面に金属導体層が形成された誘電体基板30の表面に、プリント配線基板の製作に係る公知のエッチング技術等を用いて、マイクロストリップ導体32と、アンテナの放射素子となるパッチ導体23−1乃至23−(n+1),…とを形成し、さらに、誘電体基板30の表面上に、各パッチ導体23−1乃至23−(n+1),…に接続された発振器20−1乃至20−(n+1),…とプローブ21−1乃至21−(n+1),…を設けることによって製造される。誘電体基板30の裏面の金属導体層は接地導体31となる。ここで、誘電体基板30を挟設する接地導体31とマイクロストリップ導体32とにより、マイクロストリップ線路35を構成し、当該マイクロストリップ線路35は注入基準信号を伝送するための伝送線路として用いられる。
【0063】
以上のように構成されたアレーアンテナ装置110においては、プローブ21−1と発振器20−1とパッチ導体23−1とにより1組のアンテナ回路70−1を構成し、プローブ21−2と発振器20−2とパッチ導体23−2とにより1組のアンテナ回路70−2を構成し、以下同様にして、プローブ21−nと発振器20−nとパッチ導体23−nとにより1組のアンテナ回路70−nを構成している(n=3,4,…,2n,2n+1,…)。そして、これら複数組のアンテナ回路70−1,70−2,…,70−(2n+1),…は、伝送線路であるマイクロストリップ線路35の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、マイクロストリップ線路35の両側において定在波の腹部に対して交互に配置している。
【0064】
この場合、プローブ21−2,21−4,…,21−2n,…と、隣接するプローブ21−1,21−3,…,21−(2n+1),…とは、マイクロストリップ線路35に発生される定在波の互いに逆相の同期領域において配置され、すなわち、発振器20−2,…,20−2n,…と発振器20−1,…,20−(2n+1),…とが互いに逆相で同期している一方、パッチ導体23−2,…,23−2n,…の各給電点は、パッチ導体23−1,…,23−(2n+1),…の各給電点とは逆相給電になるような位置に設けられる。従って、互いに逆相で同期した発振器20−2,…,20−2n,…と発振器20−1,…,20−(2n+1),…との出力を、各パッチ導体23−2,…,23−2n,…及び23−1,…,23−(2n+1),…の互いに逆相の各給電点から給電することで、当該各パッチアンテナから放射される電波又は各パッチアンテナで受信される電波は同相になる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、より小さい面積の誘電体基板30上において、本発明に係る同期信号発生装置を用いて、位相反転手段を用いないで、同相で直線偏波の電波を放射可能な複数組のアンテナ回路70−1,70−2,…,70−(2n+1),…を2次元形状で配置することにより、小型・軽量化してなるアレーアンテナ装置110を構成できる。
【0066】
<第6の実施形態>
図14は、本発明の第6の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置120の構成を示す斜視図である。この第6の実施形態に係るアレーアンテナ装置120は、図13に図示されたアレーアンテナ装置110に比較して、図8のパッチ導体23−1,23−2,…,23−(2n+1),…に代わって、正方形の1対の対角にそれぞれ切欠部25a及び25bを有するパッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…を備え、円偏波の電波を放射するように構成したことを特徴としている。以下、相違点について詳細説明する。
【0067】
図14において、各パッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…上の切欠部25a及び25bは、パッチアンテナのための縮退分離素子として動作し、パッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…上の直交する2つのモードが互いに90度異なる位相を有するように、正方形形状のパッチ導体24−1,24−2,…,24−(2n+1),…から切り取られる。このとき、縮退分離素子である切欠部25a及び25bは、互いに逆相で給電されるパッチ導体24−2,…,24−2n,…とパッチ導体24−1,…,24−(2n+1),…との両方に対して、図13と同様の位置関係で形成されることで、当該パッチアンテナから放射される電波又はパッチアンテナで受信される電波は同相になる。
【0068】
以上のように構成されたアレーアンテナ装置120においては、プローブ21−1と発振器20−1とパッチ導体24−1とにより1組のアンテナ回路71−1を構成し、プローブ21−2と発振器20−2とパッチ導体24−2とにより1組のアンテナ回路71−2を構成し、以下同様にして、プローブ21−nと発振器20−nとパッチ導体24−nとにより1組のアンテナ回路71−nを構成している(n=3,4,…,2n,2n+1,…)。そして、これら複数組のアンテナ回路71−1,71−2,…,71−(2n+1),…は、伝送線路であるマイクロストリップ線路35の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、マイクロストリップ線路35の両側において定在波の腹部に対して交互に配置している。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、より小さい面積の誘電体基板30上において、本発明に係る同期信号発生装置を用いて、位相反転手段を用いないで、同相で円偏波の電波を放射可能な複数組のアンテナ回路71−1,71−2,…,71−(2n+1),…を2次元形状で配置することにより、小型・軽量化してなるアレーアンテナ装置120を構成できる。
【0070】
<第7の実施形態>
図15は、本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成を示すブロック図である。この実施形態に係る無線通信装置200は、図1の同期信号発生装置100を用いて無線通信装置200を構成し、中間周波信号発振器40からの中間周波信号をベースバンド信号に従って変調する変調器41を備えたことを特徴としている。
【0071】
図15において、無線通信装置200では、図1と同様の各発振器20−1乃至20−Nの出力に、混合器52−1乃至52−Nと帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nとアンテナ素子54−1乃至54−Nにてなる負荷装置を接続している。各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、局部発振端子、無線周波数端子及び中間周波数端子を備える。各混合器52−1乃至52−Nの局部発振端子はそれぞれ、プローブ21を介して入力された注入基準信号によって注入同期する発振器20−1乃至20−Nに接続され、各混合器52−1乃至52−Nの無線周波数端子は、送受信周波数帯に対応した帯域通過ろ波帯域を有する帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介して、リニアアレーアンテナを構成しているアンテナ素子54−1乃至54−Nにそれぞれ接続され、さらに、各混合器52−1乃至52−Nの中間周波数端子は、中間周波数帯に対応した帯域通過ろ波帯域を有する帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを介して移相器51−1乃至51−Nの一方の端子に接続される。各移相器51−1乃至51−Nの他方の端子は同相分配合成回路50に接続されている。また、送受信切替スイッチSWの接点a側は、変調器41を介して中間周波信号発振器40が接続され、送受信切替スイッチSWの接点b側は、中間周波増幅器42を介して復調器43に接続されている。
【0072】
以上のように構成された無線通信装置100における受信時及び送信時の動作について以下に説明する。
【0073】
まず、受信時においては、送受信切替スイッチSWはコントローラ(図示せず。)により接点b側に切り替えられる。アンテナ素子54−1乃至54−Nにてなるアレーアンテナによって受信された無線信号は、各アンテナ素子54−1乃至54−Nからそれぞれ、帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介して混合器52−1乃至52−Nに入力され、各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、上記受信した無線信号を、発振器20−1乃至20−Nで発生された局部発振信号と混合することにより、それら2つの信号の和や差の周波数成分などを含む混合信号を発生した後、例えば差の周波数成分である中間周波成分のみを帯域通過ろ波する帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを介して移相器51−1乃至51−Nに出力する。このとき、各発振器20−1乃至20−Nは第1の実施形態で説明されたように同期して発振し、各発振器20−1乃至20−Nからの局部発振信号は互いに同相であるので、各アンテナ素子54−1乃至54−Nに到達したときの無線信号の位相は、各中間周波信号に保存される。さらに、移相器51−1乃至51−Nは、所望のビームパターンとなるよう各中間周波信号を移相して、移相された中間周波信号は同相分配合成回路50により同相合成された後、同相合成された中間周波信号は送受信切替スイッチSWの接点b側を介して中間周波増幅器42に出力する。中間周波増幅器42は入力された中間周波信号を増幅して復調器43に出力し、復調器43は入力された中間周波信号を復調して、復調されたベースバンド信号を出力する。
【0074】
一方、送信時においては、送受信切替スイッチSWはコントローラ(図示せず。)により接点a側に切り替えられる。変調器41は、中間周波信号発振器40より発生された中間周波信号をベースバンド信号に従って、例えば、PSKやQAMなどのディジタル変調方式で変調して、変調された中間周波信号を送受信切替スイッチSWの接点a側を介して同相分配合成回路50に出力する。次いで、同相分配合成回路50は入力される中間周波信号をN分配した後、N分配された各中間周波信号は移相器51−1乃至51−Nに出力される。さらに、各移相器51−1乃至51−Nは、N分配された中間周波信号を所望のビームパターンとなるような移相量でそれぞれ移相した後、帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを介して混合器52−1乃至52−Nに出力する。各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、入力される中間周波信号と、互いに注入同期した発振器20−1乃至20−Nから得られた局部発振信号とを混合することにより、それら2つの信号の和や差の周波数成分などを含む混合信号を発生した後、例えば和の周波数成分(送受信周波数帯域)である無線信号成分のみを帯域通過ろ波する帯域通過フィルタ53−1乃至55−Nを介して無線信号を得て、アンテナ素子54−1乃至54−Nから自由空間に放射される。このとき、第1の実施形態で説明されたように局部発振信号が互いに同期して同相であるので、移相器51−1乃至51−Nから出力されたときの中間周波信号の位相は、各アンテナ素子54−1乃至54−Nにて保存されている。
【0075】
以上のように構成された無線通信装置200においては、ベースバンド信号に従って変調された複数の中間周波信号と、上記各局部発振信号とを混合する複数の混合器52−1乃至52−Nにより、混合後の信号成分のうち和の周波数を有する搬送波の無線信号が発生されて、各アンテナ素子54−1乃至54−Nから放射される。放射方向は、移相器51−1乃至51−Nを制御することによって、任意の方向へ即時に変更することができる。さらに、受信時において、各アンテナ素子54−1乃至54−Nにより無線信号を受信すると、復調されたベースバンド信号が復調器43の出力信号として得られる。このとき、アレーアンテナの最大感度方向は送信時と同様、任意の方向へ即時に変更することができる。
【0076】
以上の実施形態においては、送受信切替スイッチSWを用いているが、本発明はこれに限らず、送信信号と受信信号とを分離するためにサーキュレータを用いてもよい。また、以上の実施形態においては、無線送信機と無線受信機を合体した無線通信装置を構成しているが、本発明はこれに限らず、無線送信機と、無線受信機とを別々に構成してもよい。なお、無線送信機のみを構成する場合、帯域通過フィルタ55−1乃至55−Nを備えなくてもよい。また、無線受信機のみを構成する場合、帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを備えなくてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、同期信号発生装置100を用いて無線通信装置200を構成したので、きわめて簡単な構成で互いに同相である複数の局部発振信号を発生することができ、しかも移相器51−1乃至51−Nを用いてアレーアンテナの放射方向を変更できるという特有の効果を有している。
【0078】
<第8の実施形態>
図16は本発明の第8の実施形態に係る無線通信装置210を示すブロック図である。この第8の実施形態に係る無線通信装置210は、図15に図示された無線通信装置200と比較して、中間周波信号発振器40の後段に設けられた変調器41に代えて、基準発振器1と伝送線路10との間に変調器44を設けたことを特徴としている。
【0079】
図16において、変調器44は、基準発振器1から出力される注入基準信号を、ベースバンド信号に従って、例えばPSK又はQAMなどのディジタル変調方式で変調して、変調後の注入基準信号を伝送線路10に出力する。従って、各発振器20−1乃至20−Nは、変調された注入基準信号で注入同期して、変調された注入基準信号に同期した局部発振信号を発生して混合器52−1乃至52−Nに出力する。同期領域の範囲内であれば、ベースバンド信号の位相を保存したまま各発振器20−1乃至20−Nは、注入基準信号と同様の波形で発振し、変調された局部発振信号を発生する。変調された局部発振信号は混合器52−1乃至52−Nに入力され、各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、この局部発振信号と中間周波信号とを混合して無線信号を生成する。無線信号は帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介してアンテナ素子54−1乃至54−Nに入力され、自由空間に放射される。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、同期信号発生装置100を用いて無線通信装置210を構成したので、きわめて簡単な構成で、ベースバンド信号に従って変調されかつ互いに同相である複数の局部発振信号を発生することができ、しかも移相器51−1乃至51−Nを用いてアレーアンテナの放射方向を変更できるという特有の効果を有している。
【0081】
<第9の実施形態>
図17は本発明の第9の実施形態に係る無線通信装置220を示すブロック図である。この第9の実施形態に係る無線通信装置220は、図15に図示された無線通信装置200と比較して、中間周波信号発振器40の後段に設けられた変調器41に代えて、各発振器20−1乃至20−Nのバイアス電圧をベースバンド信号に従って変調することにより、局部発振信号をベースバンド信号に従って変調することを特徴としている。
【0082】
図17において、ベースバンド信号を各発振器20−1乃至20−Nのバイアス電圧に重畳することにより、各発振器20−1乃至20−Nの自励発振信号の周波数が変化するため、局部発振信号の同期位相が変調される。従って、各発振器20−1乃至20−Nはそれぞれ、ベースバンド信号に従って位相変調されかつ互いに同期した局部発振信号を発生して、混合器52−1乃至52−Nに出力する。次いで、各混合器52−1乃至52−Nはそれぞれ、入力される中間周波信号と位相変調された局部発振信号とを混合することにより、無線信号を生成する。このとき、無線信号の位相は局部発振信号の位相と中間周波信号の位相との和であり、無線信号は帯域通過フィルタ53−1乃至53−Nを介してアンテナ素子54−1乃至54−Nに入力され、自由空間に放射される。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、同期信号発生装置100を用いて無線通信装置220を構成したので、きわめて簡単な構成で、ベースバンド信号に従って変調されかつ互いに同相である複数の局部発振信号を発生することができ、しかも移相器51−1乃至51−Nを用いてアレーアンテナの放射方向を変更できるという特有の効果を有している。
【0084】
【実施例】
主ビーム方向の最大角度(主ビーム方向を最大に変化できる角度をいい、正の角度を代表して用いる。)が45度で、アンテナ素子数が4個であって、伝送線路として第5の実施形態に係るマイクロストリップ線路35を用いるアレーアンテナ装置を構成する場合、マイクロストリップ線路35が形成される誘電体基板の比誘電率εrは以下の手順で選ばれる。設計に必要なパラメータは、プローブ間隔d、位相誤差の許容量Δφ、及びVSWRである。
【0085】
プローブ間隔dの下限はアンテナのサイズから制限され、概ね0.25×λ0程度であり、上限は主ビーム方向の最大角度から制限される。一般に、最大ビーム方向をθm(ラジアン)としたとき、プローブ間隔dは次式を満たす必要がある。
【0086】
【数14】
【0087】
ここでは、主ビーム方向の最大角度が45度なので、取りうるプローブ間隔は
【数15】
d<0.58579λ0
であり、例えばd=0.5×λ0をプローブ間隔とする。
【0088】
プローブ間隔d、アンテナ素子数N、及びアンテナ素子の指向性から放射指向性が求まり、許容する主ビーム方向の利得変動量ΔGmが決まると、許容される主ビーム方向の変化量Δθmが決まり、位相誤差の許容量Δφが求まる。プローブ間隔d=0.5,プローブ21の個数N=4,利得変動量ΔGm=3dBのとき、位相誤差の許容量Δφ=40.985度である。
【0089】
位相誤差の許容量ΔφとVSWRが決まると、数3より伝送線路上の同期領域幅Lが決まる。ここで、VSWR=6であり、位相誤差の許容量Δφ=40.985度であるとすると、同期領域幅L=0.43967となる。さらに、数7及び数11を用いて、同期領域幅Lとアンテナ素子数Nから伝送線路10の波長短縮率ξの許容範囲が計算され、誘電体基板30の比誘電率εrの許容範囲が得られる。位相誤差の許容量Δφ=40.985度のとき、
【数16】
0.70689<ξ<1.0
(n=1のとき)
又は
【数17】
0.35344<ξ<0.5
(n=2のとき)
であり、比誘電率εr=2.2程度であるテフロン(登録商標)素材の基板、又は比誘電率εr=6.0程度であるアルミナ樹脂複合材料の基板を用いるとよい。
【0090】
また、位相誤差の許容量Δφ=40.985の場合の同相領域幅を表1に示した。本実施形態においてVSWR=10としたとき、進行波を用いる従来方式(VSWR=1)と比較して2倍以上の同期範囲を得られる。
【0091】
【表1】
位相誤差の許容量Δφ=40.985(度)の場合の同期領域幅L
――――――――――――――――――――――――
VSWR 同期領域幅L[λ0]
――――――――――――――――――――――――
1 0.22769
2 0.33378
3 0.38339
4 0.41082
6 0.43967
10 0.46352
――――――――――――――――――――――――
【0092】
以上説明したように本実施形態によれば、伝送線路に沿って設けられる発振器を自由な位置や間隔で配置することができ、しかも同期領域幅を広く取れる同期信号発生装置及び方法を提供することができる。この同期信号発生装置を用いて、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機及び無線通信装置を提供することができる。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る同期信号発生装置によれば、基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、上記伝送線路に発生する定在波を検出する少なくとも1つの定在波検出手段と、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生する少なくとも1つの発振器手段とを備える。従って、本発明によれば、伝送線路を伝搬する基準信号を取り出す地点を自由に決定することができ、基準信号が注入される発振器、及び上記発振器に接続されたアンテナ素子を配置する位置を自由に決めることができる。アクティブアンテナのアンテナ素子を従来技術よりも広い間隔又は狭い間隔で自由に配置することができ、各発振器を同相で注入同期するように当該発振器を配置できる範囲を大幅に広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る同期信号発生装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の同期信号発生装置100において、管内波長λgで正規化された伝送線路10上に位置に対する注入基準信号の振幅|E(z)|を示すグラフである。
【図3】図1の同期信号発生装置100において、管内波長λgで正規化された伝送線路10上に位置に対する注入基準信号の位相φを示すグラフである。
【図4】図1の同期信号発生装置100において、プローブ21−1乃至21−Nにおける互いに隣接するプローブの間隔dと、伝送線路10上の定在波11との関係及び同期領域幅Lを説明するためのブロック図、及び伝送線路10上の位置zに対する定在波11の波形を示すグラフである。
【図5】図1の伝送線路10上の定在波11が、同相領域と逆相領域とを含むことを説明するためのブロック図である。
【図6】(a)は図1の互いに隣接するプローブ間の定在波の節の数pが奇数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図であり、(b)は図1の互いに隣接するプローブ間の定在波の節の数pが偶数のときのプローブ21の配置の一例を示すブロック図である。
【図7】図1の伝送線路10上の定在波11の位相誤差の許容量Δφに対する、伝送線路10上の正規化された同期領域幅L/λ0を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る、キャビティ筐体60を用いて構成された2次元アレー型同期信号発生装置の構成を示す図であって、図11のA−A’線に沿って破断したときの一部破断斜視図である。
【図11】図10の2次元アレー型同期信号発生装置の上面図である。
【図12】図10の2次元アレー型同期信号発生装置の下面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置110の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る、マイクロストリップ線路35を伝送線路とするアレーアンテナ装置120の構成を示す斜視図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第8の実施形態に係る無線通信装置210を示すブロック図である。
【図17】本発明の第9の実施形態に係る無線通信装置220を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…基準発振器、
2,2−1乃至2−12…負荷、
10,10−1乃至10−12…伝送線路、
10a,10b…導線、
11,11−1乃至11−12…定在波、
20,20−1乃至20−N,20−1−1乃至20−N−12…発振器、
21−1乃至21−N,21−1−1乃至21−N−12…プローブ、
22−1乃至22−N…負荷装置、
23−1乃至23−(2n+1),24−1乃至24−(2n+1)…パッチ導体、
25a,25b…切欠部、
30…誘電体基板、
31…接地導体、
32…マイクロストリップ導体、
35…マイクロストリップ線路、
40…中間周波信号発振器、
41,44…変調器、
42…中間周波増幅器、
43…復調器、
50…同相分配合成回路、
51−1乃至51−N…移相器、
52−1乃至52−N…混合器、
53−1乃至53−N,55−1乃至55−N…帯域通過フィルタ、
54−1乃至54−N…アンテナ素子、
60…キャビティ筐体、
61…電気壁、
70−1乃至70−(2n+1),71−1乃至71−(2n+1)…アンテナ回路、
100,100−1乃至100−12,110,120…同期信号発生装置、
200,210,220…アレーアンテナ装置、
P1乃至P20,P1−1乃至P4−12…端子、
SW…送受信切替スイッチ。
Claims (12)
- 基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、
上記伝送線路に発生する定在波を検出する少なくとも1つの定在波検出手段と、
上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生する少なくとも1つの発振器手段とを備えたことを特徴とする同期信号発生装置。 - 基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷が接続された他端とを有する伝送線路と、
互いに異なる定在波の腹部又はその近傍の位置に設けられ、上記伝送線路に発生する定在波をそれぞれ検出する複数の定在波検出手段と、
上記各定在波検出手段に接続され、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号をそれぞれ発生する複数の発振器手段とを備えたことを特徴とする同期信号発生装置。 - 基準信号を発生する基準信号発生手段と、
上記基準信号発生手段に接続された一端と、伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する各負荷が接続された他端とをそれぞれ有する複数の伝送線路と、
上記各伝送線路に設けられ、互いに異なる定在波の腹部又はその近傍の位置に設けられ、上記伝送線路に発生する定在波をそれぞれ検出する複数の定在波検出手段と、
上記各伝送線路に設けられた上記各定在波検出手段に接続され、上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号をそれぞれ発生する複数の発振器手段とを備えたことを特徴とする同期信号発生装置。 - 上記複数の定在波検出手段と、それらに対応して接続された複数の発振器手段とは2次元形状で設けられたことを特徴とする請求項3記載の同期信号発生装置。
- 上記各伝送線路は、中空の直方体形状キャビティ筐体内において電気壁により仕切られた矩形導波管であることを特徴とする請求項2乃至4のうちのいずれか1つに記載の同期信号発生装置。
- 基準信号を発生する基準信号発生手段が接続された一端を有する伝送線路に定在波が発生するように伝送線路の特性インピーダンスに一致しないインピーダンスを有する負荷を、上記伝送線路の他端に接続することと、
上記伝送線路に発生する定在波を検出することと、
上記検出された定在波により注入同期して発振し、上記基準信号に同期した同期信号を発生することとを含むことを特徴とする同期信号発生方法。 - 請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の同期信号発生装置と、
上記各発振器手段に接続された少なくとも1つのアンテナ素子とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。 - 上記定在波検出手段と、上記発振器手段と、アンテナ素子とを1組のアンテナ回路とする複数組のアンテナ回路を、上記伝送線路の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、上記伝送線路の片側において定在波の腹部の1つ置きに配置したことを特徴とする請求項7記載のアンテナ装置。
- 上記定在波検出手段と、上記発振器手段と、アンテナ素子とを1組のアンテナ回路とする複数組のアンテナ回路を、上記伝送線路の長手方向に沿って、それぞれ互いに同相の定在波で注入同期するように、上記伝送線路の両側において定在波の腹部に対して交互に配置したことを特徴とする請求項7記載のアンテナ装置。
- 請求項2乃至5のうちのいずれか1つに記載の同期信号発生装置と、
入力される中間周波信号を複数の中間周波信号に同相分配して出力する同相分配手段と、
上記同相分配手段から出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力する複数の移相手段と、
上記各移相手段からそれぞれ出力される各中間周波信号と、上記各移相手段に対応した上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力する複数の混合手段と、
上記各混合手段から出力される各混合信号を、送信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して送信する複数の第1のろ波手段とを備えたことを特徴とする無線送信機。 - 請求項2乃至5のうちのいずれか1つに記載の同期信号発生装置と、
受信された無線信号と、上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力する複数の混合手段と、
上記各混合手段から出力される各混合信号を、受信周波数帯に対応する中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して各中間周波信号として出力する複数の第2のろ波手段と、
上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力する複数の移相手段と、
上記各移相手段から出力される各中間周波信号を同相合成して出力する同相合成手段とを備えたことを特徴とする無線受信機。 - 請求項2乃至5のうちのいずれか1つに記載の同期信号発生装置と、同相分配合成手段と、複数の移相手段と、複数の混合手段と、複数の第1のろ波手段と、複数の第2のろ波手段とを備えた無線通信装置であって、
送信時において、
上記同相分配合成手段は、入力される中間周波信号を複数の中間周波信号に同相分配して出力し、
上記複数の移相手段はそれぞれ、上記同相分配手段から出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけ移相して出力し、
上記複数の第2のろ波手段は、上記各移相手段から出力される各中間周波信号を、送受信周波数帯に対応する中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して出力し、
上記複数の混合手段は、上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号と、上記各移相手段に対応した上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力し、
上記複数の第1のろ波手段は、上記各混合手段から出力される各混合信号を、送受信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して送信し、
受信時において、
上記複数の第1のろ波手段は、受信された無線信号を、上記送受信周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して出力し、
上記複数の混合手段は、上記各第1のろ波手段から出力される各無線信号と、上記各発振器手段からそれぞれ出力される各基準信号とを混合して、当該各混合信号をそれぞれ出力し、
上記複数の第2のろ波手段は、上記各混合手段から出力される各混合信号を、上記中間周波数帯に対応した帯域でそれぞれ帯域通過ろ波して各中間周波信号として出力し、
上記複数の移相手段は、上記各第2のろ波手段からそれぞれ出力される各中間周波信号を、所定の各移相量だけそれぞれ移相して出力し、
上記同相分配合成手段は、上記各移相手段から出力される各中間周波信号を同相合成して出力することを特徴とする無線通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002310418A JP2004147130A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 同期信号発生装置及び方法、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機、並びに無線通信装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002310418A JP2004147130A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 同期信号発生装置及び方法、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機、並びに無線通信装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004147130A true JP2004147130A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32455908
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002310418A Pending JP2004147130A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 同期信号発生装置及び方法、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機、並びに無線通信装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004147130A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010506484A (ja) * | 2006-10-03 | 2010-02-25 | ビーム ネットワークス リミテッド | 移相発振器およびアンテナ |
WO2010059792A1 (en) * | 2008-11-19 | 2010-05-27 | Harris Corporation | Systems for distributing a reference signal along a transmission media |
WO2010059713A1 (en) * | 2008-11-19 | 2010-05-27 | Harris Corporation | Methods for determining a reference signal at any location along a transmission media |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002310418A patent/JP2004147130A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010506484A (ja) * | 2006-10-03 | 2010-02-25 | ビーム ネットワークス リミテッド | 移相発振器およびアンテナ |
WO2010059792A1 (en) * | 2008-11-19 | 2010-05-27 | Harris Corporation | Systems for distributing a reference signal along a transmission media |
WO2010059713A1 (en) * | 2008-11-19 | 2010-05-27 | Harris Corporation | Methods for determining a reference signal at any location along a transmission media |
US8170088B2 (en) | 2008-11-19 | 2012-05-01 | Harris Corporation | Methods for determining a reference signal at any location along a transmission media |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
York et al. | Injection-and phase-locking techniques for beam control [antenna arrays] | |
JP3875592B2 (ja) | 多素子アレー型の平面アンテナ | |
US4737793A (en) | Radio frequency antenna with controllably variable dual orthogonal polarization | |
US9048544B2 (en) | Reflectarray antenna system | |
JP4118835B2 (ja) | 機能平面アレーアンテナ | |
TW560196B (en) | Quadrature generator with image reject mixer | |
US10320075B2 (en) | Monolithic phased-array antenna system | |
JP3842645B2 (ja) | 多素子アレー型の平面アンテナ | |
Sahu et al. | Recent advances in theory and applications of substrate‐integrated waveguides: a review | |
GB2342507A (en) | Compensating unwanted coupling | |
JP2009517904A (ja) | 円偏波共用アンテナ・アレイ | |
CA2287936A1 (en) | Microwave antenna system and method | |
KR102242123B1 (ko) | 통합된 원형 편파 피드를 가지는 삼극 전류 루프 방사 소자 | |
KR20130049714A (ko) | 재구성가능한 편광 안테나 | |
JP2004007034A (ja) | 2素子及び多素子アレー型スロットアンテナ | |
US5977874A (en) | Relating to motion detection units | |
JP2007282174A (ja) | 双周波帯円偏波アンテナ | |
JP2004147130A (ja) | 同期信号発生装置及び方法、アンテナ装置、無線送信機、無線受信機、並びに無線通信装置 | |
EP3422465B1 (en) | Hybrid circuit, power supply circuit, antenna device, and power supply method | |
JPH05251941A (ja) | マイクロ波回路 | |
RU2400880C1 (ru) | Печатная антенна | |
JPH08172313A (ja) | 円偏波マイクロストリップアンテナ | |
CN116864980A (zh) | 双极化阵列天线、信号传输系统及方法 | |
KR102641158B1 (ko) | 이중대역 이중편파 안테나 복사소자 | |
Kuhn et al. | Power combining by means of harmonic injection locking |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050308 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050322 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050823 |