JP2004145773A - 通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、従来の特定観察環境下での色再現システムに対して、分光情報に基づく色再現を行う。例えば、RGB色再現システムにおいて、商品11の画像をカメラ12によって光源#1(13)下で撮影し、得られたRGB値に対して更に分光反射率に変換して観測光源#2(20)に対応させた後、再びRGB値に戻すことで色再現を行う。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子商取引システムなどの通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法に係り、特に、従来のRGBあるいはCMYKに基づく色再現技術に対して互換性の高い、分光情報に基づく色再現方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子商取引システムでは、顧客に容易に商品の画像を送信することができるようになり、その画像は顧客が商品を購入する際の重要な情報となりつつある。そのため、その重要な情報の一つである商品の色を正確に再現することが求められている。
【0003】
従来、電子商取引などで利用されることが期待されている、デバイスに依存しない色再現手法としては、ICCプロファイル(下記非特許文献〔1〕)やsRGB色空間(下記非特許文献〔2〕)に基づいた手法がある。
【0004】
【非特許文献1】
ICC(International Color Conortium),“Spec ICC.1:1998−09,File Format for Color Profiles,”(1998).
【非特許文献2】
IEC61966−2−1“Multimedia systems andequipment−Colour measurement and management−Part2−1:Colour management−Default RGB colour space−sRGB”(1999).
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの色再現手法は特定の観測環境下のみでしかその正確さが保証されない。これは顧客の観測環境を制限することの困難さを考えると、実用的ではない。
【0006】
一方、観測者の視覚の一状態である色順応モデルに基づいた、観測環境に依存しない色再現手法は、異なる観測環境下で一定の色を再現することができる。しかし、実際には、この色順応モデルに基づいた色再現手法は、撮影された光源下での商品の色を、そのまま顧客の観測環境下において再現することができるのみで、顧客が実際の商品を見る時の色の再現ができない。
【0007】
そこで、入力機器から得られた画素値から物体の分光反射率を推定して、照明変換処理を行う色再現手法が、任意の観測環境下における正確な色再現を目的として提案されている。
【0008】
以下、参考文献1−9を示す。
【0009】
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このとき物体の分光反射率は、撮影画像と分光反射率のサンプルデータの関係から推定することができる。また、推定された物体の分光反射率と、観測環境の光源の分光放射輝度分布を用いることで、物体の正確な色が計算され、測色的色再現手法によりディスプレイ、あるいはハードコピー上に再現される。このような分光情報に基づいた色再現手法は、この15年の間に多くの研究者によって提案されてきた。しかし、実際にはそのほとんどが実用的には利用されていない。
【0010】
この原因としては、従来のRGBやCMYKに基づく技術の蓄積やそれに対応したデバイスが豊富であるために、これらと互換性のない分光的情報処理方式に移行するのが困難であるからだと考えられる。
【0011】
本発明は、上記状況に鑑みて、従来の技術との互換性が高く、実際の観測環境の照明光等を考慮して色変換することにより、異なる環境下での物体の正確な色再現ができる通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、RGBあるいはCMYKに基づく商品画像の色再現方法に対して高い互換性を有する分光情報に基づく色再現を行うことを特徴とする。
【0013】
〔2〕上記〔1〕記載の通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、限定された観察光源下での色再現が管理された表示装置に、限定されたものとは異なる観察光源下での色の見えを正確に再現することを特徴とする。
【0014】
〔3〕上記〔2〕記載の通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、限定された観察光源下での色再現が管理されたRGB値を分光反射率へ逆方向に色変換し、光源の交換後にRGB値に戻すことを特徴とする。
【0015】
〔4〕上記〔3〕記載の通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、前記分光反射率への逆方向の色変換は、色順応、カラーアピアランスなどの視覚特性や、対象とする画像の統計的性質を用いることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0017】
まず、分光情報に基づいた色再現の全体的な流れについて説明する。
【0018】
図1は本発明に適用した従来の分光情報に基づいた色再現の全体的な流れを示す図である。
【0019】
この図において、1は商品、2はNバンドカメラ、3は光源#1、4,7は様々なデバイスプロファイル、5は分光反射率画像、6は色順応及びカラーアピアランス変換、8は3原色ディスプレイ(3原色表示装置)、9は白色点#3、10は光源#2である。なお、TL2 は光源#2への色変換を示す。
【0020】
図1に示すように、商品1はNバンドカメラ2によって光源#1(3)下で撮影される。得られたNバンド画像は分光反射率画像5に変換される。分光反射率画像5は、観測光源#2(10)を考慮した色順応及びカラーアピアランス変換6を行ったうえで様々なデバイス、例えば3原色ディスプレイ8に表示もしくは印刷される。
【0021】
図1では、色は従来の3原色ディスプレイ8や(4原色以上の)マルチ原色ディスプレイ、従来のハードコピーや分光再現が可能なハードコピーなどに色再現される。なお、図1では例として3原色ディスプレイ8のみにおける処理を示している。
【0022】
以下、上記分光情報に基づいた色再現の詳細について説明する。
【0023】
〔A〕Nバンドカメラによる画像取得および分光反射率の推定
図1におけるNバンドカメラ2の画素値mi は次のように表せる。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで、L1 (λ),r(λ),si (λ)はそれぞれ、光源#1(3)の分光放射輝度、物体(商品1)の分光反射率、iバンドの分光感度を示す。市販されているカメラにおいては、センサ応答に対してガンマ補正が通常適用されるが、ここでは、デバイスの入出力特性を記述するデバイスプロファイル4が得られるか、あらかじめ測定されており、Nバンドカメラ2からの出力信号がそのデバイスプロファイル4に基づいて上記式(1)の画素値mi に変換されると仮定する。
【0026】
分光反射率画像5は、分光反射率の統計的な特性に基づいて画像から推定される。主成分分析(PCA)、Wiener推定法あるいは重回帰分析法が、この推定に良く用いられる。
r=L1 −1Wm …(2)
と表すことができる。ここでL1 は光源#1(3)の分光放射輝度の対角行列、Wは画素値ベクトルm=[m1 ,m2 ,…,mN ]t から分光放射輝度ベクトルへの変換行列を示す。行列L1 −1Wは推定法によって直接得られるが、上記式(2)では光源行列の逆行列L1 −1は明示的に示されている。
【0027】
〔B〕Nバンド画像のソフトコピー
推定された分光反射率は光源#2(10)下の三刺激値に変換される。すなわち、本物の商品1が光源#1(3)と異なる任意の光源#2(10)の下で観察されると仮定される。
【0028】
三刺激値のベクトルx=[X,Y,Z]t は
x=TL2 r …(3)
として表される。ここで、L2 は分光放射輝度の光源#2(10)の対角行列で、Tはカラーマッチング関数の行列である。もし、本物の商品1を観察するときとディスプレイ8を観察するときの観察者の色順応などの状態が同じならば、この三刺激値はディスプレイ8上で本物の商品1〔光源#2(10)下〕と同じ色を再現するための適切な色を与える。これを、ここでは、分光情報に基づいた測色的色再現と呼ぶ。しかしながら、実際の人間の色順応などの状態では、ディスプレイ8上の白色点#3(9)に順応しているため、観察者にはディスプレイ8上で再現された色が、実際の商品1の光源#2(10)下での色と異なって見えてしまう。したがって、観察者の視覚の状態を考慮して適切な色を再現するためには、色順応およびカラーアピアランスを考慮する必要がある。この順応などを考慮した三刺激値のベクトルx′=[X′,Y′,Z′]t は次のように表すこと
ができる。
【0029】
x′=A3 −1A2 x …(4)
ここで、A2 ,A3 はそれぞれの光源#2(10)および白色点#3(9)のための色順応およびカラーアピアランス変換6のオペレーターである。
【0030】
図1に示されるように、色域圧縮は、上記式(4)における視環境に依存しない色空間で適用される。オペレーターAは、使用するカラーアピアランスモデルに依存する。ここでは、簡単に説明するために、RLABモデル〔上記参考文献1〕の中の色順応モデルを用いて説明する。
【0031】
また、後述の図3の実験でも使用されているRLABモデル中の色順応モデルでは、光源#2(10)の下のオペレーターA2 が次のように表される。
【0032】
A2 =RA2 M …(5)
行列Mは錐体応答への変換行列、行列Aは色順応処理、行列Rは参照観測条件への変換である。RLABモデル中の色順応モデルにおいては、不完全順応が考慮されている。白色点#3(9)のためのオペレーターA3 も計算され、下記に示す式(6)として表される。
【0033】
A3 =RA3 M …(6)
したがって、上記式(4)は書き直されて、下記に示す式(7)として表される。
【0034】
x′=(RA3 M)−1RA2 Mx …(7)
これらの三刺激値は、予め与えられるか測定されたデバイスプロファイル7に基づいて、ディスプレイ8に表示するためのディジタル値に変換される。すると、ディスプレイ8上に再現された色は、光源#2(10)下の本物の商品1の色と見えが一致する。これは分光情報に基づいた対応的色再現と言える。
【0035】
これより、本発明の特徴点である、従来の限定された観察光源下での色再現が管理されたシステムとの互換性、つまり、スペクトルターンについて詳細に説明する。
【0036】
これまで述べた分光情報に基づく色再現技術〔参考文献1−9〕は非常に有効な技術であるにも関わらず、これまで実用的には使われなかった。その理由は、従来のRGBあるいはCMYKに基づく色再現技術には多くの蓄積やそれに対応する豊富なデバイスがあることから、それらを捨てて分光情報に基づく色再現技術を導入することが困難であった、つまり互換性の問題があったためである。
【0037】
本発明は、sRGBシステムに基づいたイメージングシステムのプロセスを例に取り、従来のシステムへ分光情報に基づいた技術を適用する方法に関するものである。
【0038】
図2は本発明の実施例を示すsRGB色再現システムを分光情報に基づいた技術に適用するための処理のプロセスを示す図である。
【0039】
この図において、11は商品、12はsRGB対応のカメラ、12Aは仮定する色順応およびカラーアピアランス変換部分、12Bは仮定する照明変換による測色的色再現部分、13は光源#1、14はsRGB値、15はsRGB対応の3原色表示装置、16は分光反射率画像、17はスペクトルターン、18は再度のsRGB値、19は分光キャリブレーション付き3原色表示装置、20は光源#2、21は白色点#3である。
【0040】
ここでは、sRGBシステムがsRGB観測条件下のsRGBディスプレイに、撮影光源下の色の見えを正確に再現する(従来法による色再現が実現される)ように設計されていると仮定する。
【0041】
図1に示される分光情報に基づいた色再現のプロセスを参照すれば分かるが、sRGB対応のカメラ12の中のプロセスは、図2の破線で囲まれたプロセスとして仮定することができる。このカメラプロセスでは、図1と同様に測色的な色再現部分12Bと色順応およびカラーアピアランス変換部分12Aとに仮想的に分割することができる。しかし、実際には、カメラ12から出力されるsRGB値14は、sRGB対応の3原色表示装置15にsRGB環境下で再現するように入力されているだけである。つまり、光源#1(13)には対応していると言えるが、任意の光源#2(20)には全く対応していないため、光源#2(20)下では見えが異なってしまう。そこで、sRGB値14を光源#2(20)下の色と一致させるために、図2に示すように、sRGB値14を分光反射率画像16へ逆方向に色変換し、光源#1(13)の分光放射輝度の対角行列であるL1 を光源#2(20)の行列L2 に交換した後に再度sRGB値18に戻すことが必要である。
【0042】
このように、限定された観察光源下での色再現が管理されたRGB値14を分光情報に戻して、光源#1から光源#2に交換し、再度RGB値18に戻って望みのRGB値を得る手法はこれまで全く提案されておらず、ここでは、この技術をスペクトルターン17と名付けた。また、この時、分光反射率画像16を推定するために適切なサンプルを使用すれば、従来の色補正技術を越えることが十分できる。
【0043】
さらに、この技術の有効性を確認するための予備実験を行った。Macbeth−Gretag Color Checkerを、商用的に利用可能なディジタルカメラによってD65光源下で撮影した。
【0044】
まず、撮影された画像はsRGB環境下のsRGBディスプレイ上で再現し、両眼隔壁法により、sRGBディスプレイ上で正確に再現されることを確認した。その後、撮影した画像をスペクトルターンによってA光源下で撮影されると予測される画像に変換した。
【0045】
図3(a)にD65光源下で撮影された元の画像を、図3(b)にスペクトルターンによりA光源下と色の見えが一致するように処理された画像をそれぞれ示す。3人の被験者によって、両眼隔壁法により評価した(カラーチェッカーはA光源によって照らされる)。主観評価実験の結果、大部分の色が本発明による色再現法を用いた(b)によってより良く再現されることが分かった。
【0046】
このように、本発明のスペクトルターン手法は、従来の色再現技術に対して高い互換性を持っており、従来の色再現システムにおいて分光情報に基づいた色再現を実現することができた。
【0047】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、RGBなどに基づく従来の色再現手法に対して高い互換性を持ち、かつ任意の観測環境においても正確に色再現が可能な方法を提供することができる。すなわち、本発明は、従来の色再現技術に加えて、撮影時、観測時の照明光、人間の視覚特性を考慮または仮定することにより、sRGB画像から分光反射率画像に変換することを可能にする。このとき、撮影された商品の分光反射率の統計的性質を効率よく利用することで、推定精度は大きく向上する。推定された分光反射率画像を入力とし、実際の観測環境の照明光を考慮して色変換することにより異なる環境下での正確な色再現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用した分光情報に基づいた色再現の全体的な流れを示す図である。
【図2】本発明の実施例を示すsRGB色再現システムを分光情報に基づいた技術に適用するための処理のプロセスを示す図である。
【図3】D65光源下で撮影された元の画像、スペクトルターンによりA光源下と色の見えが一致するように処理された画像をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
1,11 商品
2 Nバンドカメラ
3,13 光源#1
4,7 デバイスプロファイル
5,16 分光反射率画像
6 色順応及びカラーアピアランス変換
8 3原色ディスプレイ(3原色表示装置)
9,21 白色点#3
10,20 光源#2
12 sRGB対応のカメラ
12A 仮定する色順応およびカラーアピアランス変換部分
12B 仮定する照明変換による測色的色再現部分
14 sRGB値
15 sRGB対応の3原色表示装置
17 スペクトルターン
18 再度のsRGB値
19 分光キャリブレーション付き3原色表示装置
Claims (4)
- 通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、RGBあるいはCMYKに基づく商品画像の色再現方法に対して高い互換性を有する分光情報に基づく色再現を行うことを特徴とする通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法。
- 請求項1記載の通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、限定された観察光源下での色再現が管理された表示装置に、限定されたものとは異なる観察光源下での色の見えを正確に再現することを特徴とする通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法。
- 請求項2記載の通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、限定された観察光源下での色再現が管理されたRGB値を分光反射率へ逆方向に色変換し、光源の交換後にRGB値に戻すことを特徴とする通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法。
- 請求項3記載の通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法において、前記分光反射率への逆方向の色変換は、色順応、カラーアピアランスなどの視覚特性や、対象とする画像の統計的性質を用いることを特徴とする通信ネットワークを介した商品画像の色再現方法。
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