JP2004144379A - バーナディフューザコーンおよびそれのボイラ炉内への取付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れるバーナディフューザコーンおよびそれのボイラ炉内への取付け方法を提供する。
【解決手段】円錐面状の拡開面4を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面4の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリット6を、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリット6の終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔7を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】円錐面状の拡開面4を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面4の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリット6を、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリット6の終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔7を設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重油や分解油、アスファルトの如き石油精製プロセスにおいて発生する残渣油などを燃料とするバーナの、とくに、火炎の保持並びに燃焼の安定化に寄与するバーナディフューザコーン、ならびにこのバーナディフューザコーンのボイラ炉内に設けた取付け治具への取付け方法に関するものである。
なお、本発明のバーナディフューザコーンは、天然ガスや軽質油を燃焼するボイラをはじめ、一般的な石油系燃料を熱源とする加熱燃焼炉用としても利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、火力発電用ボイラの燃焼室には、バーナディフューザコーンを備えたバーナーが複数個配設され、燃料の噴霧とその燃焼が連続的に行われている。ボイラでは、この燃焼エネルギーを用いて、鋼管の内部を流通するボイラ水を沸騰させて水蒸気を発生させるとともに、この水蒸気をさらに高温かつ高圧化させることによって、水蒸気タービンの駆動力を提供する役割りを果している。
【0003】
ボイラの熱源となるバーナには、バーナ着火領域に着火可能な気流の低速域を形成すると共に、該低速気流中で燃焼フレームを適正に保持して燃焼を安定化させるために、例えば耐熱合金製のバーナディフューザーコーンが装着されているのが通例である。
【0004】
このバーナディフューザコーンの一般的な構造を、図1に示す。同図に示すように、バーナディフューザコーン1は、内筒2aよび外筒2bによる二重筒状の直胴部2の先端に、リブ3を介して一体化した構造が一般的である。バーナディフューザコーン1は、切頭円錐面状に拡開して成り、例えばボイラ本体に取り付けられ、直胴部2の内筒2a内に配置された燃料供給管(図示せず)から、ディフューザコーン1の拡開方向に向けて燃料がボイラ本体内に噴射されるとともに、同様に内筒2a内に配置されたエアノズルから燃焼用空気が供給される結果、ボイラ本体内での燃焼が行われる。
【0005】
かような構成のディフューザコーン1は、その拡開面(表面)4が燃焼フレームからの強い輻射熱を受けるため、耐熱鋼や耐熱合金で形成され、また背面には直胴部2の内筒2aおよび外筒2b間の隙間から冷却用空気5を供給して、ディフューザコーン1の過熱を防ぐように工夫されている。
【0006】
しかしながら、このような対策を考慮したディフューザコーンであっても、長期間の運転によってディフューザコーンが焼損したり、過熱および裏面からの空気冷却の不均衡に起因して発生する熱歪の影響による、変形などが発生するため、6ケ月〜1年程度の運転で、その交換を余儀なくされている。
【0007】
かように、ボイラでの安定した燃焼や操業を実現するには、ディフューザコーンの寿命を延ばすことが有効であり、そのために、次に示す種々の改良や改善策が提案されている。
【0008】
まず、ディフューザコーンの材質を耐熱性に優れるセラミックスに変更したり、金属製のディフューザコーンの表面にセラミックス板を張り付けるなど、セラミックスを利用した技術としては、特開平5−26414号公報、実開昭56−132417号公報、実開昭61−131124号公報、実開昭61−34316号公報、実開昭61−34317号公報、実開昭61−34318号公報、実開昭61−58531号公報、実開昭61−58532号公報、実開昭61−74728号公報、実開昭61−84319号公報、実開昭61−89623号公報および実開平1−151026号公報などに開示のものがある。
【0009】
また、ディフューザコーンの構造を改良する技術については、例えばディフューザコーンを中空状態にして冷却機能を向上させることによって、温度の低下と温度分布を均等化させるものとして、特開昭58−95144号公報および特開平7−174315号公報に開示の技術があり、また冷却用空気の過冷却による熱歪の発生を抑制するものとして、実開昭58−95144号公報、特開平6−14718号公報、特開平9−210313号公報および特開平9−296915号公報などに提案の技術が知られている。
【0010】
さらに、セラミックス製ディフューザコーンに関して、熱歪の発生を最小限に抑えるため、円錐状のコーンを複数個に分割することが、実開昭61−34317号、実開昭61−74728号および特開昭61−58531号各公報などに開示があり、このような技術は、金属製のディフューザコーンに対しても古くから採用されている。
【0011】
しかしながら、前記のセラミックス製ディフューザコーンは、耐熱性に優れるものの熱歪の影響を受けて破損するなどの不利がある。また、構造を改善した金属製のディフューザコーンは、寿命が多少延びるものの、なお耐久性に乏しい状況にあり、さらなる改良、改善の必要性に迫られていた。
【0012】
特に、硫黄やバナジウムなどの腐食性成分を含む重質油を燃焼する環境では、非常に輻射熱が強い上、バーナディフューザコーンの表面に、油滴が付着して燃焼し、局部的にさらに過熱するとともに、油滴中に含まれている腐食成分による高温侵食作用が激しいため、従来技術に係るバーナディフューザコーンでは極めて短命であり、早急な対策の確立が求められている。
【0013】
また、従来、ガスタービンの如き高温被曝部材(例えば、燃焼器内筒、動静翼など)に、熱遮蔽コーティングを施す例がある。例えば、特許第2710075号公報、特開2000−144365号公報には、耐熱合金としてMCrAlX合金と呼ばれる皮膜をアンダーコートとして施工した後、その上にY2O3を添加したZrO2系セラミックス皮膜を形成して、高温の環境から基材の被曝を抑制しようとする技術を提案している。
【0014】
しかし、このような熱遮蔽コーティングは、ガスタービン用として開発された経緯があるため、ガスタービン燃料として汎用されている灯油、軽質油、天然ガスなどの良質な燃料ガス中では比較的良好な熱遮蔽性と耐久性を示す。しかしながら、VやSなどの腐食性化合物を多く含む重質油の燃焼ガス雰囲気中では、その寿命が著しく短くなるという欠点があった。このため、ガスタービン用として開発された従来の上記熱遮蔽コーティングをそのまま適用できないのが実情である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の耐熱金属製ディフューザコーンが抱えている上述した技術的課題、すなわち、バーナ使用環境下でも、過熱による熱変形や亀裂を発生したり、また耐熱性不足に起因する焼損現象の顕在化などによって、燃料の良好な燃焼条件が維持されないという問題点を解消し、とくにVやSなどの腐食性化合物を含む重質油の燃焼ガス雰囲気中での耐久性に優れるバーナディフューザコーンを提供すること、ならびにこのバーナディフューザコーンのボイラ炉内の取付け治具への有利な取付け方法を提案することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の従来技術の問題点を、主に形状を工夫することによって改善するものである。すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0017】
(2)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0018】
(3)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部から円錐面の母線中央部までの領域に、複数個の貫通孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0019】
(4)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、拡開面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0020】
(5)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、スリットとスリットとの間に少なくとも1個の貫通孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0021】
(6)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部から円錐面の母線中央部までの領域に、複数個の貫通孔を設けるとともに、円錐面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0022】
(7)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、スリットとスリットとの間に少なくとも1個の貫通孔を設け、さらに円錐面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0023】
(8)スリットは、幅が1〜10mmおよび長さが円錐母線長の40%以上であり、このスリットの6〜12本を外周縁の円周等分位置または不等分位置に配置したことを特徴とする前記(1)、(4)、(5)または(7)に記載のバーナディフューザコーン。
【0024】
(9)終端孔の径はスリット幅の2〜5倍であることを特徴とする前記(1)、(4)、(5)または(7)に記載のバーナディフューザコーン。
【0025】
(10)貫通孔は径が3〜40mmであり、この貫通孔の6〜20個を等間隔または不等間隔に配置したことを特徴とする前記(3)、(5)または(7)に記載のバーナディフューザコーン。
【0026】
(11)耐熱金属からなることを特徴とする前記(1)ないし(10)のいずれかに記載のバーナディフューザコーン。
【0027】
本発明のバーナディフューザコーンは、前記円錐面とその外周端部側面に、酸素含有量が0.5 mass%未満である耐熱合金溶射皮膜からなる厚み50〜500μmのアンダーコート、およびそのアンダーコートの上に50〜800μmの厚みで設けたZrO2系セラミックス溶射皮膜のトップコートとからなる複合皮膜を形成することが好ましい。
【0028】
また、本発明は、上述したバーナディフューザコーンを、ボイラ炉内に設けた耐熱鋼製取付け治具に取付けるに際し、該ディフューザコーンの円錐面外周端部と前記取付け治具の円形枠内周面との間に、冷却空気供給用間隙を介在させることを特徴とするのバーナディフューザコーンのボイラ炉内への取付け方法を提案する。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るバーナディフューザコーンについて、図面を参照して詳しく説明する。
まず、図2に示すバーナディフューザコーン1は、その拡開面4の外周縁4aを始端として円錐の頂点Oに向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とする、スリット6を、周方向に間隔を置いて複数本、図示例で8本有し、各スリット6の終端にはスリット幅より大径でバーナディフューザコーン1を貫通する終端孔7を設けて成る。以下、この図2に示す形状のバーナディフューザコーンをA型という。
【0030】
このA型のバーナディフュザコーンは、ボイラの運転中、すなわち燃料の燃焼環境下において、次に示す作用効果を発揮する。
一般に、燃料の燃焼環境下において受ける熱負荷の大部分は、輻射熱によるものであり、とくに、燃焼開始時やボイラ運転停止時や、ボイラの運転負荷の変動時などでは、該ディフュザコーンの受ける熱負荷は不均等になり易い。従って、ディフュザコーンの裏面から冷却用空気5(図1参照)を均等に送っていたとしても、結果的には冷却が不均等になりやすい。このため、ディフュザコーンが局部的に過熱されて焼損したり、大きく変形してディフュザコーン本来の機能が保持できなくなる結果、適切な燃焼が実現されないという事態に陥ることがある。
【0031】
この点、本発明のディフューザコーンは、前記の熱変形をスリット6を設けて吸収させることにより、その熱変形を局部的に限定させて、他に波及しないようにし、他の正常な拡開面4の部分に影響が及ばないという作用効果を有する。
【0032】
また、スリット6を介して、ディフューザコーンの裏面から送風される冷却空気の一部が、表面に漏洩することによって、ディフューザコーンの冷却が拡開面4側からも可能になるため、局部的過熱による変形の発生に対して、大きな抑制効果を発揮する。
【0033】
さらに、スリット6の先端に設けた円形の終端孔7は、ディフュザコーンの一部が過熱によって変形した際、熱変形時の応力集中を緩和して、スリット6の先端が割れや亀裂の発生起点となって伝播するのを抑制する作用を有する。
【0034】
ここで、各スリット6は、幅が1〜10mmおよび長さが円錐母線長の40%以上であり、このスリットの6〜12本を外周縁の円周等分位置または不等分位置に配置することが好ましい。なお、円錐母線長とは、拡開面を規定する円錐の母線上における、拡開面4の外周縁4aから内周円の端部dまでの長さを意味する。
【0035】
すなわち、スリット6の幅は、バーナディフューザコーンの拡開面積の大きさによって、決定することが望ましい。本発明が対象とする蒸気発生量300 t/h〜1500 t/h性能の火力発電用ボイラでは、スリット幅10 mm以上では、裏面から漏洩する冷却漏洩量が過大となって、燃焼フレームの安定性を阻害する。また、スリット幅1mm以下では、冷却空気量が少なくなるほか、機械加工が困難となるなどの問題点がある。このような理由から、1〜10 mmにすることが有利である。
【0036】
同様に、スリット6の長さも、バーナディフューザコーンの拡開面積の大きさによって、決定することが望ましいが、スリットの長さを80 mm以上とすると、拡開面部の構造強度を低下させて、機械的な損傷を促し、また、40 %より短くすると、局部過熱による拡開面の変形防止効果が少なくなる。この理由から、円錐母線長の40%以上、より好ましくは50〜80%とする。
【0037】
さらに、スリット6は、バーナディフューザコーンの拡開面積の大きさによって、決定することが望まし。スリット数が6本以下では、局部過熱による拡開面の変形部が大きくなって、燃焼フレームの安定性を損う。また、12本以上では、スリットの機械加工費の増加に見合うほどの効果が認められず経済的に得策でない。この理由から、6〜12本を外周縁の円周等分位置または不等分位置に配置することが好ましい。
【0038】
また、終端孔7は、バーナディフューザコーンの局部過熱による拡開面の熱変形に伴うスリット端部からの亀裂の発生を防ぐことを目的としているため、終端孔の直径がスリット幅では、その効果に乏しく、また、5倍以上の大きさにしても、その効果が増加することがない。この理由から、スリット幅の2〜5倍とすることが好ましい。
以上のスリットおよび終端孔に関する好適範囲から、ディフューザコーンの材質、燃料の種類および運転中の熱負荷の高低などによって、各設定値を適宜決定すればよい。
【0039】
図3に示すバーナディフューザコーン1は、拡開面4の外周部の一部を切除してなるものである。すなわち、図示例は、拡開面4の円周状外周部の中心点cを挟む対称位置をそれぞれ部分的に切除し、当該部分をそれぞれ弦8とした形状を有する。以下、この図3に示す形状のバーナディフューザコーンをB型という。
【0040】
このような構造のB型のバーナディフューザコーンは、ディフュザコーンの運転中に受ける熱負荷が不均等になるのを回避することができるものである。すなわち、B型のバーナディフューザコーンは、特にディフューザコーンの拡開面外周部の円弧部分を切除し、この切除部から多くの冷却用空気を拡開面の表面に流し込むことを所期したものである。この冷却用空気の導入強化によって、ディフューザコーンの冷却効果が向上して、過熱による焼損防止をはじめ、燃焼ガスや燃焼灰による腐食作用を緩和することができる。
【0041】
ここで、ディフュザコーンの拡開面外周部において切除する部分は、外周縁部4と拡開面の頂点(中心)C点を結んで得られる円錐面の半径を基準にし、切除部との最短距離が半径の5〜30 %とすることが好ましい。なぜなら、5%より少ない場合は、切除の効果に乏しく、また、30 %より大きくするとディフュザコーンとしての機能を消失するからである。
【0042】
図4に示すバーナディフューザコーン1は、拡開面4の外周部から円錐面の母線中央部までの領域の任意位置に、複数個の貫通孔9を設けて成るものである。以下、この図4に示す形状のバーナディフューザコーンをC型という。
【0043】
かような構造のC型のバーナディフューザコーンは、所定領域に設けた多数の貫通孔9を通して、冷却用の空気5がディフューザコーンの裏面から表面へ流出して、ディフュザコーンの冷却と燃焼ガス中の腐食成分(例えばSO2、SO3、H2S 、COSなど)や燃焼灰中の腐食成分(例えばバナジウム、ナトリウム、硫黄などの化合物など)の付着を防止したり、腐食作用を緩和させる作用を発揮する。
【0044】
ここで、貫通孔は径が3〜40 mmであり、この貫通孔の6〜20個を等間隔または不等間隔に配置することが好ましい。
すなわち、貫通孔の径は、3 mmより小さくすると、冷却空気の流通が少なく、また、40 mmより大きくすると、冷却空気の流入が過大となって、燃焼フレームの安定性を損うからである。この理由から、3〜40 mmとする。
【0045】
また、貫通孔の設置数は、6個より少なくすると、バーナディフュザコーン全体を適度にまた平均して冷却したり、燃焼フレームの安定性を向上させることができないおそれがある。この理由から、6〜20個とする。
この場合も、前記貫通孔に関する好適範囲から、ディフューザコーンの材質、燃料の種類および運転中の熱負荷の高低などによって、各設定値を適宜決定すればよい。
【0046】
図5に示すバーナディフューザコーン1は、前記のA型とB型とを複合したものであり、前記したA型およびB型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。以下、この図5に示す形状のバーナディフューザコーンをA+B型という。なお、スリット6および終端孔7、そして弦8については、前記A型およびB型の場合と同様である。
【0047】
図6に示すバーナディフューザコーンは、前記のA型とC型とを複合したものである。すなわち、スリット6と隣り合う、他のスリット6との間に少なくとも1個の貫通孔9を設けてなり、前記したA型およびC型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。この場合は、スリット6とスリット6と間に少なくとも1つの貫通孔9を配置すればよい。以下、この図6に示す形状のバーナディフューザコーンをA+C型という。なお、スリット6および終端孔7、そして弦8については、前記A型およびC型の場合と同様である。
【0048】
図7に示すバーナディフューザコーンは、前記のB型とC型とを複合したものであり、前記したB型およびC型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。以下、この図6に示す形状のバーナディフューザコーンをB+C型という。なお、弦8および貫通孔9については、前記B型およびC型の場合と同様である。
【0049】
図8に示すバーナディフューザコーンは、前記のA型とB型とC型とを複合したものであり、前記したA型、B型およびC型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。以下、この図8に示す形状のバーナディフューザコーンをA+B+C型という。なお、スリット6および終端孔7、弦8、そして貫通孔9については、前記A型、B型およびC型の場合と同様である。
【0050】
本発明のディフュザコーンの材質は、JIS G5121およびJIS G5122に規定されているステンレス鋳鋼や耐熱鋳鋼をはじめ、Co基合金(例えば23 mass%Ni−18 mass%Ti−1.1 mass%Zr−残Co)あるいはNi基合金(例えば19mass%C−18 mass%Fe−5mass%Nb−3 mass%Mo−残Ni)などが好適であり、またディフュザコーンの拡開面に対しては、耐熱性、耐酸化性を有する溶射皮膜やPVD皮膜、CVD皮膜または金属拡散処理皮膜などを施工することが好ましく、これらの処理は何ら制約を受けることなく実施できる。
【0051】
上述した形状を有するバーナディフュザコーンの円錐面の表面に対し、本発明では、溶射法によって、アンダーコートとしてMCrAlX合金を好適例とする耐熱合金の溶射皮膜を50〜500 μmの厚みに形成し、さらにそのアンダーコートの上に、トップコートとしてY2O3、CaO、CeO2、MgO、Yb2O3などの酸化物の1種以上を5〜35 mass%添加してなるZrO2系セラミックスの溶射皮膜を50〜800μmの厚みに形成してなる複合皮膜にて被覆することが望ましい。
【0052】
発明者らの研究によると、MCrAlX合金溶射皮膜のアンダーコートと、ZrO2系セラミックス溶射皮膜のトップコートとからなる複合皮膜は、しばしばその界面において剥離し、熱遮蔽特性が低下していることがわかった。その原因を追求した結果、アンダーコートとして施工したMCrAlX合金溶射皮膜中に含まれている酸素量が大きな影響を及ぼしていることが判明したので、これを規制することとした。
【0053】
すなわち、本発明においては、大気プラズマ溶射法などによって成膜されたMCrAlX合金の溶射皮膜中には、空気によってCr、Al、Ni、Co、Yなどの金属が酸化して存在し、特にCr2O3、NiO、CoOなどの酸化物がトップコートのZrO2系セラミックス皮膜との接合力を著しく低下させていることを発見した。
このため、本発明では、アンダーコートとする耐熱合金溶射皮膜中の酸素量を0.5 mass%以下に制御することにした。これによって、高温環境下において、アンダーコート溶射皮膜の表面には、緻密なAl2O3膜が生成し、該アンダーコートとの密着性に優れたものになるとともに、ZrO2系セラミックス皮膜との接合性にも良好な特性を発揮するようになる。
【0054】
なお、アンダーコートとなるMCrAlX合金溶射皮膜中の酸素量が0.5 mass%より多いと、アンダーコートの表面に形成するAl2O3の皮膜が不連続となったり、緻密性が失われるほか、耐熱性に劣るCr2O3、NiO、CoOなどの酸化物が共存しているため、トップコートであるZrO2系セラミックス溶射皮膜との接合力が低下し、トップコートのみが剥離しやくなって、バーナディフュザコーンの保護作用が消失する。
【0055】
なお、ボイラ運転中のバーナディフュザコーンは、燃焼炎からの強い輻射熱に曝露されることから、該バーナディフュザコーンの円錐状拡開面に対しては、酸素含有量を制御して、耐高温酸化性と密着性に優れた耐熱合金のアンダーコートを溶射法によって形成すると同時に、その上にZrO2系セラミックスの溶射皮膜を積層した複合皮膜を形成して、バーナディフュザコーンの耐熱性を向上させることは望ましいことである。
【0056】
本発明において、酸素量が0.5 mass%未満であるMCrAlX合金のアンダーコートの施工は、減圧プラズマ溶射法を適用することが好適であるが、高速フレーム溶射法によっても、熱源中を飛行する溶射粒子(MCrAlX合金)の速度を300 m/s以上に制御すれば施工することが可能である。一方、以上のようなMCrAlX合金のアンダーコートの膜厚は、50〜500 μmが好適であり、50μmよりも薄い場合にはデイフューザコーンの保護が十分でなく、また、500 μmよりも厚くしても格別その効果が認められないので、経済的でない。
【0057】
さらに、ZrO2系セラミックスのトップコートの膜厚は、100〜800 μmの範囲が適し、50 μmより薄膜では輻射炎による遮熱効果が十分でなく、800 μmより厚くするとセラミック皮膜自体の機械的強度が低下するので好ましいものではない。
【0058】
本発明において、さらに好ましい条件としては、トップコートの気孔率を4〜20 %に制御すべきである。トップコートの気孔は、断熱作用を示すため、表面からの強い燃焼炎の輻射熱に起因する熱の伝導を抑制して、アンダーコートと基材の温度の昇温を防ぐとともに、空気冷却されている基材の影響をトップコート表面に伝え難いため、ここでは高温の環境が維持され、燃料の燃焼に好適な環境が構成されるからである。気孔率が4%以下では、上記の作用が弱く20 %より多い場合には、トップコートの機械的強度が弱くなる欠点がある。
【0059】
以上のような要領でディフューザコーンの円錐面表面に施工したトップコートとしてのZrO2系溶射皮膜は、それ自体が多孔質であるうえ熱伝導率が低い(耐熱鋼が10〜20 W/m・Kであるのに対し、0.8〜1.2 W/m・K)ため、裏面からの空気冷却効果を金属基材のみにとどめ、溶射皮膜の表面に及ばない環境をつくり出すことができる。このため、その下層の円錐表面では比較的高い温度環境が構成される結果、重質油の燃焼が効果的に持続され、ディフューザコーン本来の保炎作用にも十分な性能を発揮することができる。
なお、ZrO2系セラミックス溶射皮膜の形成は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法が適し、高速フレーム溶射法は熱源温度が低いので、ZrO2粒子の溶融が十分でなく良好なトップコートの形成ができない。
【0060】
次に、本発明においてはまた、上述した特徴を有するバーナディフューザコーンについて、これをボイラの燃焼室に取付けるに際しても工夫を試みた。それは、該バーナディフューザコーンの焼損対策を取付け環境の面からさらに強化することにある。図9は、本発明に係るバーナディフューザコーンを、ボイラ炉内に設けられた取付け治具に取付けた状態の正面図である。即ち、本発明に係る取付け方法というのは、該バーナディフューザコーン91を取付け治具90の中央部の円形枠93内に配置し、該バーナディフューザコーン外周端部92と耐熱金属製の取付け治具90の円形枠93との間に、スペーサ94を介在させることによって、その両者が接触しないようにすると共に、冷却空気供給用間隙95が設けられている。バーナディフューザコーン91の円形枠93との間に設けられた前記間隙95は、ボイラ運転中(バーナが燃焼中)に冷却空気を供給するのに有効に作用し、バーナディフューザコーン91の冷却を一層効果的なものにする。なお、この間隙95は、バーナディフューザコーン91の直胴部にリブを設けることによっても可能であり、こうした間隙95の作り方については特に限定されるものではない。
【0061】
以上説明したように、本発明の形状および加工を施工したディフューザコーンは、スリット、拡開面の一部切除、そして貫通孔の配設などの因子を適宜組合わせることによって、ディフューザコーンの損傷原因となっている局部過熱による焼損や熱変形の防止、冷却効果の向上に伴う金属面温度の低下による燃焼ガス成分や燃焼灰に起因する腐食損傷の防止などに効果を発揮して、良好な燃料の燃焼条件を長期間にわたって維持し、ボイラの安定した連続運転に寄与することができる。
【0062】
【実施例】
実施例1
蒸発量1100t/h、過熱蒸気温度560 ℃の大型発電用ボイラのバーナディフュザコーンとして、本発明に係わる形状になるものと従来形状に係るものとを、約1年間(7000時間)にわたって連続運転に供して、その耐久性を比較した。ここで、本発明に係るディフュザコーンとしては、先に示したA型(図2)、C型(図3)およびA+B型(図4)であり、従来形状のものは図1に示したものである。ディフュザコーンの材質は、全て50 mass%Ni−49 mass%Cr−1mass%Nb合金とした。
【0063】
また、燃料は硫黄:1.5 〜2.5 mass%およびV:50〜100 mass ppmを含む重質油であり、ディフューザコーンが配列されているボイラの火炉燃焼室における燃焼雰囲気は低空気燃焼が行なわれる環境下とした。
【0064】
以上のような環境下で約1年間連続運転に供されたディフューザコーンの外観を調査した結果、従来のディフューザコーン(図1)は、その内、外周部分が高温酸化と過熱による焼損によって殆んど消耗し、初期の円錐形状は全く維持されていなかった。
【0065】
これに対し、本発明の技術に係るバーナディフューザコーンは、円錐の外周部が僅かに消耗しているものの全体としての形状はほぼ完全に維持されており、さらに長時間にわたって使用可能であることが判明した。
【0066】
実施例2
前記実施例1記載の性能を有する火力発電用ボイラのバーナディフューザコーンとして、本発明に係る形状をしたもの、および従来の形状のものを約1年間(6800時間)にわたって連続運転に供して、その耐久性を比較した。
【0067】
ここで、本発明に係るディフュザコーンの形状は、A型(図2)、A+C型(図6)およびB+C型(図7)であり、また従来型のディフューザコーンは、図1に示したものである。ディフュザコーンの材質は、全てJIS G5122規定のSCH22に相当する耐熱鋼とした。また、燃料は、硫黄:1.2 〜1.8 mass%およびV:40〜120 mass ppmを含む重質油であり、ボイラ内環境は実施例1と同様である。
【0068】
以上のような条件で約1年間使用されたディフューザコーンの外観状況を観察した結果、従来型のバーナディフューザは、円錐形状部の大部分が、焼損してバーナディフュザコーンとしての作用機能を消失した状態にあったが、本発明のバーナディフュザコーンは、円錐形状の外周部のみ若干の損耗が認められる程度であり、熱的な変形もほとんど認められなかった。
【0069】
実施例3
この実施例では、蒸発量800 t/h、過熱器出口蒸気温度561 ℃の火力発電用ボイラのバーナディフューザコーンとして、本発明に係るA+B型(図5)およびB+C型(図7)を用い、それぞれの拡開面(表面)に対し、溶射法によって次の(i)および(ii)に示す耐熱合金皮膜および耐熱セラミックス皮膜を、それぞれ300 μmの厚さで形成した。
(i)32 mass%Ni−21 mass%Cr、8 mass%Al−0.5 mass%Y−残部Co
(ii)前記(i)の合金を180 μm 施工した上に、8mass%Y2O3−92 mass%ZrO2を300 μm 厚に施工
【0070】
また、ボイラの燃料は、硫黄0.8 〜1.5 mass%およびV:20〜30 mass ppm を含む重質油であり、ボイラ内環境は実施例1と同様である。
【0071】
以上のような条件で約1年間使用されたディフューザコーンの外観状況を観察した結果、本発明のバーナディフューザコーンに、耐熱合金皮膜や、その上に耐熱性セラミックスを複合積層したものは、その外周部においても殆んど損傷が認められず健全な状態を維持していた。
【0072】
実施例4
この実施例では、 幅50 mm×長さ100 mm×厚さ5 mmのステンレス製テストピースの片面に、溶射法によって下記耐熱合金の溶射皮膜をアンダーコートとして形成するのに際し、該溶射皮膜中に含まれる酸素量を0.04〜1.2 mass%の範囲に変化させてなるアンダーコートを、100 μm厚に施工した。なお、このアンダーコート中の酸素含有量は、減圧プラズマ溶射法を0.04〜1.2 mass%、高速フレーム溶射法0.12〜0.5 mass%、大気プラズマ溶射法0.08〜1.2 mass%のように溶射法とその溶射条件を変化させて行った。
【0073】
▲1▼耐熱合金の化学組成とトップコートの形成
32 mass%Ni−21 mass%Cr−8mass%Al−0.5 mass%Y一残りCo(数字はmass%)
上記アンダーコートに8 mass%Y2O3−92 mass%ZrO2を300μm厚、大気プラズマ溶射法によってトップコートを形成した。
▲2▼熱衝撃試験条件
上記複合皮膜で被覆した試験片を1000 ℃に調整した電気炉に15分間装入し、その後直ちに、25 ℃の水中に投入する操作を1サイクルとし、計20回連続して行ないトップコート(ZrO2系セラミックス皮膜)の剥離状況を観察した。
▲3▼試験結果
試験結果をアンダーコートの酸素含有量を基準として要約すると、下記表1のような結果が得られ、酸素量0.5 mass%以下のアンダーコートは、優れた耐熱衝撃性能を示し、20サイクルの試験後もトップコート(ZrO2系セラミックス皮膜)の剥離は認められなかった。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例5
この実施例では、蒸発量800 t/h過熱器出口蒸気温度561 ℃の火力発電用ボイラのバーナディフューザコーンとして、本発明に係る図2に示したB型とD型を用い、それぞれの円錐部の開放面に対し、溶射法によって表2に示すような酸素含有量の異なる耐熱合金皮膜のアンダーコートとZrO2系セラミックス皮膜のトップコートからなる複合皮膜を形成した。
【0076】
(1)耐熱合金の化学組成とその酸素含有量
32 mass%Ni・21 mass%Cr・8 mass%Al・0.5 mass%Y残りCo(mass%)
【0077】
【表2】
【0078】
(2)ZrO2系セラミックス皮膜組成と厚さ
0.8 mass%Y2O3・92 mass%ZrO2(mass) 膜厚 300 μm
このボイラの燃料は、硫黄0.8〜1.5 mass%、V:20〜30 ppmであり、従来型のバーナディフューザコーン(図1)では4カ月〜6カ月の運転で、円錐部が消失していたものである。本発明のバーナディフューザコーンは、表3に示すように1年間連続使用した後でも、いずれのバーナディフューザコーンは健全な形状を維持し、さらに長時間の使用が可能であることがうかがえる。
しかも、円錐面の溶射皮膜の外観には明らかな差異がみとめられた。すなわち、本発明に係る試験No.1、2、4、5の皮膜はトップコートのZrO2系セラミックス皮膜の剥離は全く認められないのに対し、試験No.3、6では、トップコートの剥離が20〜30 %(面積比)認められ、アンダーコートの耐熱合金皮膜が露出するとともに、燃料灰が多量に付着し、高温腐食損傷の発生が随所に認められた。
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るバーナディフューザコーンは、拡開面の形状等を改良すること、ならびにボイラ取付け治具への間隙を介在させた取付け方法の工夫などにより、特に過酷な重質油系燃料の燃焼環境においても、ディフューザコーンの過熱による変形焼損などを、長期間にわたって防止することができる。
このことは、円錐面の酸素含有量を0.5 %未満の耐熱合金のアンダーコート溶射皮膜と、その上に耐熱遮蔽性に優れたZrO2系セラミックスのトップコート溶射皮膜とを、溶射法によって形成させ、円錐面の保温効果を向上させて、燃料の燃焼効率をその長期安定性を確保することとした点も併せて、本発明の効果をより一層顕著なものとしている。
従って、本発明に係るバーナディフューザコーンを、例えば火力発電用ボイラに配設した場合、該ボイラの燃焼環境を運転初期の良好な燃焼雰囲気に長期間にわたって維持することが可能であり、ボイラの安定運転および燃焼排ガスに起因する環境汚染の抑制に対して大きな効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のバーナディフューザコーンを示す斜視図である。
【図2】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図3】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図4】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図5】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図6】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図7】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図8】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図9】ボイラ炉内にバーナディフューザコーンを取付けたもようを示す正面図である。
【符号の説明】
1 バーナディフューザコーン
2 直胴部
2a 内筒
2b 外筒
3 リブ3
4 拡開面
5 冷却用空気
6 スリット
7 終端孔
8 弦
9 貫通孔
91 バーナディフューザコーン
92 バーナディフューザコーン外周端部
93 取付け治具の円形枠
94 スペーサ
95 間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、重油や分解油、アスファルトの如き石油精製プロセスにおいて発生する残渣油などを燃料とするバーナの、とくに、火炎の保持並びに燃焼の安定化に寄与するバーナディフューザコーン、ならびにこのバーナディフューザコーンのボイラ炉内に設けた取付け治具への取付け方法に関するものである。
なお、本発明のバーナディフューザコーンは、天然ガスや軽質油を燃焼するボイラをはじめ、一般的な石油系燃料を熱源とする加熱燃焼炉用としても利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、火力発電用ボイラの燃焼室には、バーナディフューザコーンを備えたバーナーが複数個配設され、燃料の噴霧とその燃焼が連続的に行われている。ボイラでは、この燃焼エネルギーを用いて、鋼管の内部を流通するボイラ水を沸騰させて水蒸気を発生させるとともに、この水蒸気をさらに高温かつ高圧化させることによって、水蒸気タービンの駆動力を提供する役割りを果している。
【0003】
ボイラの熱源となるバーナには、バーナ着火領域に着火可能な気流の低速域を形成すると共に、該低速気流中で燃焼フレームを適正に保持して燃焼を安定化させるために、例えば耐熱合金製のバーナディフューザーコーンが装着されているのが通例である。
【0004】
このバーナディフューザコーンの一般的な構造を、図1に示す。同図に示すように、バーナディフューザコーン1は、内筒2aよび外筒2bによる二重筒状の直胴部2の先端に、リブ3を介して一体化した構造が一般的である。バーナディフューザコーン1は、切頭円錐面状に拡開して成り、例えばボイラ本体に取り付けられ、直胴部2の内筒2a内に配置された燃料供給管(図示せず)から、ディフューザコーン1の拡開方向に向けて燃料がボイラ本体内に噴射されるとともに、同様に内筒2a内に配置されたエアノズルから燃焼用空気が供給される結果、ボイラ本体内での燃焼が行われる。
【0005】
かような構成のディフューザコーン1は、その拡開面(表面)4が燃焼フレームからの強い輻射熱を受けるため、耐熱鋼や耐熱合金で形成され、また背面には直胴部2の内筒2aおよび外筒2b間の隙間から冷却用空気5を供給して、ディフューザコーン1の過熱を防ぐように工夫されている。
【0006】
しかしながら、このような対策を考慮したディフューザコーンであっても、長期間の運転によってディフューザコーンが焼損したり、過熱および裏面からの空気冷却の不均衡に起因して発生する熱歪の影響による、変形などが発生するため、6ケ月〜1年程度の運転で、その交換を余儀なくされている。
【0007】
かように、ボイラでの安定した燃焼や操業を実現するには、ディフューザコーンの寿命を延ばすことが有効であり、そのために、次に示す種々の改良や改善策が提案されている。
【0008】
まず、ディフューザコーンの材質を耐熱性に優れるセラミックスに変更したり、金属製のディフューザコーンの表面にセラミックス板を張り付けるなど、セラミックスを利用した技術としては、特開平5−26414号公報、実開昭56−132417号公報、実開昭61−131124号公報、実開昭61−34316号公報、実開昭61−34317号公報、実開昭61−34318号公報、実開昭61−58531号公報、実開昭61−58532号公報、実開昭61−74728号公報、実開昭61−84319号公報、実開昭61−89623号公報および実開平1−151026号公報などに開示のものがある。
【0009】
また、ディフューザコーンの構造を改良する技術については、例えばディフューザコーンを中空状態にして冷却機能を向上させることによって、温度の低下と温度分布を均等化させるものとして、特開昭58−95144号公報および特開平7−174315号公報に開示の技術があり、また冷却用空気の過冷却による熱歪の発生を抑制するものとして、実開昭58−95144号公報、特開平6−14718号公報、特開平9−210313号公報および特開平9−296915号公報などに提案の技術が知られている。
【0010】
さらに、セラミックス製ディフューザコーンに関して、熱歪の発生を最小限に抑えるため、円錐状のコーンを複数個に分割することが、実開昭61−34317号、実開昭61−74728号および特開昭61−58531号各公報などに開示があり、このような技術は、金属製のディフューザコーンに対しても古くから採用されている。
【0011】
しかしながら、前記のセラミックス製ディフューザコーンは、耐熱性に優れるものの熱歪の影響を受けて破損するなどの不利がある。また、構造を改善した金属製のディフューザコーンは、寿命が多少延びるものの、なお耐久性に乏しい状況にあり、さらなる改良、改善の必要性に迫られていた。
【0012】
特に、硫黄やバナジウムなどの腐食性成分を含む重質油を燃焼する環境では、非常に輻射熱が強い上、バーナディフューザコーンの表面に、油滴が付着して燃焼し、局部的にさらに過熱するとともに、油滴中に含まれている腐食成分による高温侵食作用が激しいため、従来技術に係るバーナディフューザコーンでは極めて短命であり、早急な対策の確立が求められている。
【0013】
また、従来、ガスタービンの如き高温被曝部材(例えば、燃焼器内筒、動静翼など)に、熱遮蔽コーティングを施す例がある。例えば、特許第2710075号公報、特開2000−144365号公報には、耐熱合金としてMCrAlX合金と呼ばれる皮膜をアンダーコートとして施工した後、その上にY2O3を添加したZrO2系セラミックス皮膜を形成して、高温の環境から基材の被曝を抑制しようとする技術を提案している。
【0014】
しかし、このような熱遮蔽コーティングは、ガスタービン用として開発された経緯があるため、ガスタービン燃料として汎用されている灯油、軽質油、天然ガスなどの良質な燃料ガス中では比較的良好な熱遮蔽性と耐久性を示す。しかしながら、VやSなどの腐食性化合物を多く含む重質油の燃焼ガス雰囲気中では、その寿命が著しく短くなるという欠点があった。このため、ガスタービン用として開発された従来の上記熱遮蔽コーティングをそのまま適用できないのが実情である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の耐熱金属製ディフューザコーンが抱えている上述した技術的課題、すなわち、バーナ使用環境下でも、過熱による熱変形や亀裂を発生したり、また耐熱性不足に起因する焼損現象の顕在化などによって、燃料の良好な燃焼条件が維持されないという問題点を解消し、とくにVやSなどの腐食性化合物を含む重質油の燃焼ガス雰囲気中での耐久性に優れるバーナディフューザコーンを提供すること、ならびにこのバーナディフューザコーンのボイラ炉内の取付け治具への有利な取付け方法を提案することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の従来技術の問題点を、主に形状を工夫することによって改善するものである。すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0017】
(2)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0018】
(3)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部から円錐面の母線中央部までの領域に、複数個の貫通孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0019】
(4)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、拡開面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0020】
(5)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、スリットとスリットとの間に少なくとも1個の貫通孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0021】
(6)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部から円錐面の母線中央部までの領域に、複数個の貫通孔を設けるとともに、円錐面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0022】
(7)円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、スリットとスリットとの間に少なくとも1個の貫通孔を設け、さらに円錐面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
【0023】
(8)スリットは、幅が1〜10mmおよび長さが円錐母線長の40%以上であり、このスリットの6〜12本を外周縁の円周等分位置または不等分位置に配置したことを特徴とする前記(1)、(4)、(5)または(7)に記載のバーナディフューザコーン。
【0024】
(9)終端孔の径はスリット幅の2〜5倍であることを特徴とする前記(1)、(4)、(5)または(7)に記載のバーナディフューザコーン。
【0025】
(10)貫通孔は径が3〜40mmであり、この貫通孔の6〜20個を等間隔または不等間隔に配置したことを特徴とする前記(3)、(5)または(7)に記載のバーナディフューザコーン。
【0026】
(11)耐熱金属からなることを特徴とする前記(1)ないし(10)のいずれかに記載のバーナディフューザコーン。
【0027】
本発明のバーナディフューザコーンは、前記円錐面とその外周端部側面に、酸素含有量が0.5 mass%未満である耐熱合金溶射皮膜からなる厚み50〜500μmのアンダーコート、およびそのアンダーコートの上に50〜800μmの厚みで設けたZrO2系セラミックス溶射皮膜のトップコートとからなる複合皮膜を形成することが好ましい。
【0028】
また、本発明は、上述したバーナディフューザコーンを、ボイラ炉内に設けた耐熱鋼製取付け治具に取付けるに際し、該ディフューザコーンの円錐面外周端部と前記取付け治具の円形枠内周面との間に、冷却空気供給用間隙を介在させることを特徴とするのバーナディフューザコーンのボイラ炉内への取付け方法を提案する。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るバーナディフューザコーンについて、図面を参照して詳しく説明する。
まず、図2に示すバーナディフューザコーン1は、その拡開面4の外周縁4aを始端として円錐の頂点Oに向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とする、スリット6を、周方向に間隔を置いて複数本、図示例で8本有し、各スリット6の終端にはスリット幅より大径でバーナディフューザコーン1を貫通する終端孔7を設けて成る。以下、この図2に示す形状のバーナディフューザコーンをA型という。
【0030】
このA型のバーナディフュザコーンは、ボイラの運転中、すなわち燃料の燃焼環境下において、次に示す作用効果を発揮する。
一般に、燃料の燃焼環境下において受ける熱負荷の大部分は、輻射熱によるものであり、とくに、燃焼開始時やボイラ運転停止時や、ボイラの運転負荷の変動時などでは、該ディフュザコーンの受ける熱負荷は不均等になり易い。従って、ディフュザコーンの裏面から冷却用空気5(図1参照)を均等に送っていたとしても、結果的には冷却が不均等になりやすい。このため、ディフュザコーンが局部的に過熱されて焼損したり、大きく変形してディフュザコーン本来の機能が保持できなくなる結果、適切な燃焼が実現されないという事態に陥ることがある。
【0031】
この点、本発明のディフューザコーンは、前記の熱変形をスリット6を設けて吸収させることにより、その熱変形を局部的に限定させて、他に波及しないようにし、他の正常な拡開面4の部分に影響が及ばないという作用効果を有する。
【0032】
また、スリット6を介して、ディフューザコーンの裏面から送風される冷却空気の一部が、表面に漏洩することによって、ディフューザコーンの冷却が拡開面4側からも可能になるため、局部的過熱による変形の発生に対して、大きな抑制効果を発揮する。
【0033】
さらに、スリット6の先端に設けた円形の終端孔7は、ディフュザコーンの一部が過熱によって変形した際、熱変形時の応力集中を緩和して、スリット6の先端が割れや亀裂の発生起点となって伝播するのを抑制する作用を有する。
【0034】
ここで、各スリット6は、幅が1〜10mmおよび長さが円錐母線長の40%以上であり、このスリットの6〜12本を外周縁の円周等分位置または不等分位置に配置することが好ましい。なお、円錐母線長とは、拡開面を規定する円錐の母線上における、拡開面4の外周縁4aから内周円の端部dまでの長さを意味する。
【0035】
すなわち、スリット6の幅は、バーナディフューザコーンの拡開面積の大きさによって、決定することが望ましい。本発明が対象とする蒸気発生量300 t/h〜1500 t/h性能の火力発電用ボイラでは、スリット幅10 mm以上では、裏面から漏洩する冷却漏洩量が過大となって、燃焼フレームの安定性を阻害する。また、スリット幅1mm以下では、冷却空気量が少なくなるほか、機械加工が困難となるなどの問題点がある。このような理由から、1〜10 mmにすることが有利である。
【0036】
同様に、スリット6の長さも、バーナディフューザコーンの拡開面積の大きさによって、決定することが望ましいが、スリットの長さを80 mm以上とすると、拡開面部の構造強度を低下させて、機械的な損傷を促し、また、40 %より短くすると、局部過熱による拡開面の変形防止効果が少なくなる。この理由から、円錐母線長の40%以上、より好ましくは50〜80%とする。
【0037】
さらに、スリット6は、バーナディフューザコーンの拡開面積の大きさによって、決定することが望まし。スリット数が6本以下では、局部過熱による拡開面の変形部が大きくなって、燃焼フレームの安定性を損う。また、12本以上では、スリットの機械加工費の増加に見合うほどの効果が認められず経済的に得策でない。この理由から、6〜12本を外周縁の円周等分位置または不等分位置に配置することが好ましい。
【0038】
また、終端孔7は、バーナディフューザコーンの局部過熱による拡開面の熱変形に伴うスリット端部からの亀裂の発生を防ぐことを目的としているため、終端孔の直径がスリット幅では、その効果に乏しく、また、5倍以上の大きさにしても、その効果が増加することがない。この理由から、スリット幅の2〜5倍とすることが好ましい。
以上のスリットおよび終端孔に関する好適範囲から、ディフューザコーンの材質、燃料の種類および運転中の熱負荷の高低などによって、各設定値を適宜決定すればよい。
【0039】
図3に示すバーナディフューザコーン1は、拡開面4の外周部の一部を切除してなるものである。すなわち、図示例は、拡開面4の円周状外周部の中心点cを挟む対称位置をそれぞれ部分的に切除し、当該部分をそれぞれ弦8とした形状を有する。以下、この図3に示す形状のバーナディフューザコーンをB型という。
【0040】
このような構造のB型のバーナディフューザコーンは、ディフュザコーンの運転中に受ける熱負荷が不均等になるのを回避することができるものである。すなわち、B型のバーナディフューザコーンは、特にディフューザコーンの拡開面外周部の円弧部分を切除し、この切除部から多くの冷却用空気を拡開面の表面に流し込むことを所期したものである。この冷却用空気の導入強化によって、ディフューザコーンの冷却効果が向上して、過熱による焼損防止をはじめ、燃焼ガスや燃焼灰による腐食作用を緩和することができる。
【0041】
ここで、ディフュザコーンの拡開面外周部において切除する部分は、外周縁部4と拡開面の頂点(中心)C点を結んで得られる円錐面の半径を基準にし、切除部との最短距離が半径の5〜30 %とすることが好ましい。なぜなら、5%より少ない場合は、切除の効果に乏しく、また、30 %より大きくするとディフュザコーンとしての機能を消失するからである。
【0042】
図4に示すバーナディフューザコーン1は、拡開面4の外周部から円錐面の母線中央部までの領域の任意位置に、複数個の貫通孔9を設けて成るものである。以下、この図4に示す形状のバーナディフューザコーンをC型という。
【0043】
かような構造のC型のバーナディフューザコーンは、所定領域に設けた多数の貫通孔9を通して、冷却用の空気5がディフューザコーンの裏面から表面へ流出して、ディフュザコーンの冷却と燃焼ガス中の腐食成分(例えばSO2、SO3、H2S 、COSなど)や燃焼灰中の腐食成分(例えばバナジウム、ナトリウム、硫黄などの化合物など)の付着を防止したり、腐食作用を緩和させる作用を発揮する。
【0044】
ここで、貫通孔は径が3〜40 mmであり、この貫通孔の6〜20個を等間隔または不等間隔に配置することが好ましい。
すなわち、貫通孔の径は、3 mmより小さくすると、冷却空気の流通が少なく、また、40 mmより大きくすると、冷却空気の流入が過大となって、燃焼フレームの安定性を損うからである。この理由から、3〜40 mmとする。
【0045】
また、貫通孔の設置数は、6個より少なくすると、バーナディフュザコーン全体を適度にまた平均して冷却したり、燃焼フレームの安定性を向上させることができないおそれがある。この理由から、6〜20個とする。
この場合も、前記貫通孔に関する好適範囲から、ディフューザコーンの材質、燃料の種類および運転中の熱負荷の高低などによって、各設定値を適宜決定すればよい。
【0046】
図5に示すバーナディフューザコーン1は、前記のA型とB型とを複合したものであり、前記したA型およびB型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。以下、この図5に示す形状のバーナディフューザコーンをA+B型という。なお、スリット6および終端孔7、そして弦8については、前記A型およびB型の場合と同様である。
【0047】
図6に示すバーナディフューザコーンは、前記のA型とC型とを複合したものである。すなわち、スリット6と隣り合う、他のスリット6との間に少なくとも1個の貫通孔9を設けてなり、前記したA型およびC型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。この場合は、スリット6とスリット6と間に少なくとも1つの貫通孔9を配置すればよい。以下、この図6に示す形状のバーナディフューザコーンをA+C型という。なお、スリット6および終端孔7、そして弦8については、前記A型およびC型の場合と同様である。
【0048】
図7に示すバーナディフューザコーンは、前記のB型とC型とを複合したものであり、前記したB型およびC型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。以下、この図6に示す形状のバーナディフューザコーンをB+C型という。なお、弦8および貫通孔9については、前記B型およびC型の場合と同様である。
【0049】
図8に示すバーナディフューザコーンは、前記のA型とB型とC型とを複合したものであり、前記したA型、B型およびC型のバーナディフューザコーン1の作用を併せ持つ。以下、この図8に示す形状のバーナディフューザコーンをA+B+C型という。なお、スリット6および終端孔7、弦8、そして貫通孔9については、前記A型、B型およびC型の場合と同様である。
【0050】
本発明のディフュザコーンの材質は、JIS G5121およびJIS G5122に規定されているステンレス鋳鋼や耐熱鋳鋼をはじめ、Co基合金(例えば23 mass%Ni−18 mass%Ti−1.1 mass%Zr−残Co)あるいはNi基合金(例えば19mass%C−18 mass%Fe−5mass%Nb−3 mass%Mo−残Ni)などが好適であり、またディフュザコーンの拡開面に対しては、耐熱性、耐酸化性を有する溶射皮膜やPVD皮膜、CVD皮膜または金属拡散処理皮膜などを施工することが好ましく、これらの処理は何ら制約を受けることなく実施できる。
【0051】
上述した形状を有するバーナディフュザコーンの円錐面の表面に対し、本発明では、溶射法によって、アンダーコートとしてMCrAlX合金を好適例とする耐熱合金の溶射皮膜を50〜500 μmの厚みに形成し、さらにそのアンダーコートの上に、トップコートとしてY2O3、CaO、CeO2、MgO、Yb2O3などの酸化物の1種以上を5〜35 mass%添加してなるZrO2系セラミックスの溶射皮膜を50〜800μmの厚みに形成してなる複合皮膜にて被覆することが望ましい。
【0052】
発明者らの研究によると、MCrAlX合金溶射皮膜のアンダーコートと、ZrO2系セラミックス溶射皮膜のトップコートとからなる複合皮膜は、しばしばその界面において剥離し、熱遮蔽特性が低下していることがわかった。その原因を追求した結果、アンダーコートとして施工したMCrAlX合金溶射皮膜中に含まれている酸素量が大きな影響を及ぼしていることが判明したので、これを規制することとした。
【0053】
すなわち、本発明においては、大気プラズマ溶射法などによって成膜されたMCrAlX合金の溶射皮膜中には、空気によってCr、Al、Ni、Co、Yなどの金属が酸化して存在し、特にCr2O3、NiO、CoOなどの酸化物がトップコートのZrO2系セラミックス皮膜との接合力を著しく低下させていることを発見した。
このため、本発明では、アンダーコートとする耐熱合金溶射皮膜中の酸素量を0.5 mass%以下に制御することにした。これによって、高温環境下において、アンダーコート溶射皮膜の表面には、緻密なAl2O3膜が生成し、該アンダーコートとの密着性に優れたものになるとともに、ZrO2系セラミックス皮膜との接合性にも良好な特性を発揮するようになる。
【0054】
なお、アンダーコートとなるMCrAlX合金溶射皮膜中の酸素量が0.5 mass%より多いと、アンダーコートの表面に形成するAl2O3の皮膜が不連続となったり、緻密性が失われるほか、耐熱性に劣るCr2O3、NiO、CoOなどの酸化物が共存しているため、トップコートであるZrO2系セラミックス溶射皮膜との接合力が低下し、トップコートのみが剥離しやくなって、バーナディフュザコーンの保護作用が消失する。
【0055】
なお、ボイラ運転中のバーナディフュザコーンは、燃焼炎からの強い輻射熱に曝露されることから、該バーナディフュザコーンの円錐状拡開面に対しては、酸素含有量を制御して、耐高温酸化性と密着性に優れた耐熱合金のアンダーコートを溶射法によって形成すると同時に、その上にZrO2系セラミックスの溶射皮膜を積層した複合皮膜を形成して、バーナディフュザコーンの耐熱性を向上させることは望ましいことである。
【0056】
本発明において、酸素量が0.5 mass%未満であるMCrAlX合金のアンダーコートの施工は、減圧プラズマ溶射法を適用することが好適であるが、高速フレーム溶射法によっても、熱源中を飛行する溶射粒子(MCrAlX合金)の速度を300 m/s以上に制御すれば施工することが可能である。一方、以上のようなMCrAlX合金のアンダーコートの膜厚は、50〜500 μmが好適であり、50μmよりも薄い場合にはデイフューザコーンの保護が十分でなく、また、500 μmよりも厚くしても格別その効果が認められないので、経済的でない。
【0057】
さらに、ZrO2系セラミックスのトップコートの膜厚は、100〜800 μmの範囲が適し、50 μmより薄膜では輻射炎による遮熱効果が十分でなく、800 μmより厚くするとセラミック皮膜自体の機械的強度が低下するので好ましいものではない。
【0058】
本発明において、さらに好ましい条件としては、トップコートの気孔率を4〜20 %に制御すべきである。トップコートの気孔は、断熱作用を示すため、表面からの強い燃焼炎の輻射熱に起因する熱の伝導を抑制して、アンダーコートと基材の温度の昇温を防ぐとともに、空気冷却されている基材の影響をトップコート表面に伝え難いため、ここでは高温の環境が維持され、燃料の燃焼に好適な環境が構成されるからである。気孔率が4%以下では、上記の作用が弱く20 %より多い場合には、トップコートの機械的強度が弱くなる欠点がある。
【0059】
以上のような要領でディフューザコーンの円錐面表面に施工したトップコートとしてのZrO2系溶射皮膜は、それ自体が多孔質であるうえ熱伝導率が低い(耐熱鋼が10〜20 W/m・Kであるのに対し、0.8〜1.2 W/m・K)ため、裏面からの空気冷却効果を金属基材のみにとどめ、溶射皮膜の表面に及ばない環境をつくり出すことができる。このため、その下層の円錐表面では比較的高い温度環境が構成される結果、重質油の燃焼が効果的に持続され、ディフューザコーン本来の保炎作用にも十分な性能を発揮することができる。
なお、ZrO2系セラミックス溶射皮膜の形成は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法が適し、高速フレーム溶射法は熱源温度が低いので、ZrO2粒子の溶融が十分でなく良好なトップコートの形成ができない。
【0060】
次に、本発明においてはまた、上述した特徴を有するバーナディフューザコーンについて、これをボイラの燃焼室に取付けるに際しても工夫を試みた。それは、該バーナディフューザコーンの焼損対策を取付け環境の面からさらに強化することにある。図9は、本発明に係るバーナディフューザコーンを、ボイラ炉内に設けられた取付け治具に取付けた状態の正面図である。即ち、本発明に係る取付け方法というのは、該バーナディフューザコーン91を取付け治具90の中央部の円形枠93内に配置し、該バーナディフューザコーン外周端部92と耐熱金属製の取付け治具90の円形枠93との間に、スペーサ94を介在させることによって、その両者が接触しないようにすると共に、冷却空気供給用間隙95が設けられている。バーナディフューザコーン91の円形枠93との間に設けられた前記間隙95は、ボイラ運転中(バーナが燃焼中)に冷却空気を供給するのに有効に作用し、バーナディフューザコーン91の冷却を一層効果的なものにする。なお、この間隙95は、バーナディフューザコーン91の直胴部にリブを設けることによっても可能であり、こうした間隙95の作り方については特に限定されるものではない。
【0061】
以上説明したように、本発明の形状および加工を施工したディフューザコーンは、スリット、拡開面の一部切除、そして貫通孔の配設などの因子を適宜組合わせることによって、ディフューザコーンの損傷原因となっている局部過熱による焼損や熱変形の防止、冷却効果の向上に伴う金属面温度の低下による燃焼ガス成分や燃焼灰に起因する腐食損傷の防止などに効果を発揮して、良好な燃料の燃焼条件を長期間にわたって維持し、ボイラの安定した連続運転に寄与することができる。
【0062】
【実施例】
実施例1
蒸発量1100t/h、過熱蒸気温度560 ℃の大型発電用ボイラのバーナディフュザコーンとして、本発明に係わる形状になるものと従来形状に係るものとを、約1年間(7000時間)にわたって連続運転に供して、その耐久性を比較した。ここで、本発明に係るディフュザコーンとしては、先に示したA型(図2)、C型(図3)およびA+B型(図4)であり、従来形状のものは図1に示したものである。ディフュザコーンの材質は、全て50 mass%Ni−49 mass%Cr−1mass%Nb合金とした。
【0063】
また、燃料は硫黄:1.5 〜2.5 mass%およびV:50〜100 mass ppmを含む重質油であり、ディフューザコーンが配列されているボイラの火炉燃焼室における燃焼雰囲気は低空気燃焼が行なわれる環境下とした。
【0064】
以上のような環境下で約1年間連続運転に供されたディフューザコーンの外観を調査した結果、従来のディフューザコーン(図1)は、その内、外周部分が高温酸化と過熱による焼損によって殆んど消耗し、初期の円錐形状は全く維持されていなかった。
【0065】
これに対し、本発明の技術に係るバーナディフューザコーンは、円錐の外周部が僅かに消耗しているものの全体としての形状はほぼ完全に維持されており、さらに長時間にわたって使用可能であることが判明した。
【0066】
実施例2
前記実施例1記載の性能を有する火力発電用ボイラのバーナディフューザコーンとして、本発明に係る形状をしたもの、および従来の形状のものを約1年間(6800時間)にわたって連続運転に供して、その耐久性を比較した。
【0067】
ここで、本発明に係るディフュザコーンの形状は、A型(図2)、A+C型(図6)およびB+C型(図7)であり、また従来型のディフューザコーンは、図1に示したものである。ディフュザコーンの材質は、全てJIS G5122規定のSCH22に相当する耐熱鋼とした。また、燃料は、硫黄:1.2 〜1.8 mass%およびV:40〜120 mass ppmを含む重質油であり、ボイラ内環境は実施例1と同様である。
【0068】
以上のような条件で約1年間使用されたディフューザコーンの外観状況を観察した結果、従来型のバーナディフューザは、円錐形状部の大部分が、焼損してバーナディフュザコーンとしての作用機能を消失した状態にあったが、本発明のバーナディフュザコーンは、円錐形状の外周部のみ若干の損耗が認められる程度であり、熱的な変形もほとんど認められなかった。
【0069】
実施例3
この実施例では、蒸発量800 t/h、過熱器出口蒸気温度561 ℃の火力発電用ボイラのバーナディフューザコーンとして、本発明に係るA+B型(図5)およびB+C型(図7)を用い、それぞれの拡開面(表面)に対し、溶射法によって次の(i)および(ii)に示す耐熱合金皮膜および耐熱セラミックス皮膜を、それぞれ300 μmの厚さで形成した。
(i)32 mass%Ni−21 mass%Cr、8 mass%Al−0.5 mass%Y−残部Co
(ii)前記(i)の合金を180 μm 施工した上に、8mass%Y2O3−92 mass%ZrO2を300 μm 厚に施工
【0070】
また、ボイラの燃料は、硫黄0.8 〜1.5 mass%およびV:20〜30 mass ppm を含む重質油であり、ボイラ内環境は実施例1と同様である。
【0071】
以上のような条件で約1年間使用されたディフューザコーンの外観状況を観察した結果、本発明のバーナディフューザコーンに、耐熱合金皮膜や、その上に耐熱性セラミックスを複合積層したものは、その外周部においても殆んど損傷が認められず健全な状態を維持していた。
【0072】
実施例4
この実施例では、 幅50 mm×長さ100 mm×厚さ5 mmのステンレス製テストピースの片面に、溶射法によって下記耐熱合金の溶射皮膜をアンダーコートとして形成するのに際し、該溶射皮膜中に含まれる酸素量を0.04〜1.2 mass%の範囲に変化させてなるアンダーコートを、100 μm厚に施工した。なお、このアンダーコート中の酸素含有量は、減圧プラズマ溶射法を0.04〜1.2 mass%、高速フレーム溶射法0.12〜0.5 mass%、大気プラズマ溶射法0.08〜1.2 mass%のように溶射法とその溶射条件を変化させて行った。
【0073】
▲1▼耐熱合金の化学組成とトップコートの形成
32 mass%Ni−21 mass%Cr−8mass%Al−0.5 mass%Y一残りCo(数字はmass%)
上記アンダーコートに8 mass%Y2O3−92 mass%ZrO2を300μm厚、大気プラズマ溶射法によってトップコートを形成した。
▲2▼熱衝撃試験条件
上記複合皮膜で被覆した試験片を1000 ℃に調整した電気炉に15分間装入し、その後直ちに、25 ℃の水中に投入する操作を1サイクルとし、計20回連続して行ないトップコート(ZrO2系セラミックス皮膜)の剥離状況を観察した。
▲3▼試験結果
試験結果をアンダーコートの酸素含有量を基準として要約すると、下記表1のような結果が得られ、酸素量0.5 mass%以下のアンダーコートは、優れた耐熱衝撃性能を示し、20サイクルの試験後もトップコート(ZrO2系セラミックス皮膜)の剥離は認められなかった。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例5
この実施例では、蒸発量800 t/h過熱器出口蒸気温度561 ℃の火力発電用ボイラのバーナディフューザコーンとして、本発明に係る図2に示したB型とD型を用い、それぞれの円錐部の開放面に対し、溶射法によって表2に示すような酸素含有量の異なる耐熱合金皮膜のアンダーコートとZrO2系セラミックス皮膜のトップコートからなる複合皮膜を形成した。
【0076】
(1)耐熱合金の化学組成とその酸素含有量
32 mass%Ni・21 mass%Cr・8 mass%Al・0.5 mass%Y残りCo(mass%)
【0077】
【表2】
【0078】
(2)ZrO2系セラミックス皮膜組成と厚さ
0.8 mass%Y2O3・92 mass%ZrO2(mass) 膜厚 300 μm
このボイラの燃料は、硫黄0.8〜1.5 mass%、V:20〜30 ppmであり、従来型のバーナディフューザコーン(図1)では4カ月〜6カ月の運転で、円錐部が消失していたものである。本発明のバーナディフューザコーンは、表3に示すように1年間連続使用した後でも、いずれのバーナディフューザコーンは健全な形状を維持し、さらに長時間の使用が可能であることがうかがえる。
しかも、円錐面の溶射皮膜の外観には明らかな差異がみとめられた。すなわち、本発明に係る試験No.1、2、4、5の皮膜はトップコートのZrO2系セラミックス皮膜の剥離は全く認められないのに対し、試験No.3、6では、トップコートの剥離が20〜30 %(面積比)認められ、アンダーコートの耐熱合金皮膜が露出するとともに、燃料灰が多量に付着し、高温腐食損傷の発生が随所に認められた。
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るバーナディフューザコーンは、拡開面の形状等を改良すること、ならびにボイラ取付け治具への間隙を介在させた取付け方法の工夫などにより、特に過酷な重質油系燃料の燃焼環境においても、ディフューザコーンの過熱による変形焼損などを、長期間にわたって防止することができる。
このことは、円錐面の酸素含有量を0.5 %未満の耐熱合金のアンダーコート溶射皮膜と、その上に耐熱遮蔽性に優れたZrO2系セラミックスのトップコート溶射皮膜とを、溶射法によって形成させ、円錐面の保温効果を向上させて、燃料の燃焼効率をその長期安定性を確保することとした点も併せて、本発明の効果をより一層顕著なものとしている。
従って、本発明に係るバーナディフューザコーンを、例えば火力発電用ボイラに配設した場合、該ボイラの燃焼環境を運転初期の良好な燃焼雰囲気に長期間にわたって維持することが可能であり、ボイラの安定運転および燃焼排ガスに起因する環境汚染の抑制に対して大きな効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のバーナディフューザコーンを示す斜視図である。
【図2】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図3】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図4】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図5】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図6】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図7】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図8】本発明のバーナディフューザコーンの形状を示す図である。
【図9】ボイラ炉内にバーナディフューザコーンを取付けたもようを示す正面図である。
【符号の説明】
1 バーナディフューザコーン
2 直胴部
2a 内筒
2b 外筒
3 リブ3
4 拡開面
5 冷却用空気
6 スリット
7 終端孔
8 弦
9 貫通孔
91 バーナディフューザコーン
92 バーナディフューザコーン外周端部
93 取付け治具の円形枠
94 スペーサ
95 間隙
Claims (12)
- 円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
- 円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
- 円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部から円錐面の母線中央部までの領域に、複数個の貫通孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
- 円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、拡開面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
- 円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、スリットとスリットとの間に少なくとも1個の貫通孔を設けてなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
- 円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周部から円錐面の母線中央部までの領域に、複数個の貫通孔を設けるとともに、円錐面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
- 円錐面状の拡開面を有するバーナディフューザコーンにおいて、該拡開面の外周縁を始端として円錐の頂点に向って円錐面の母線上で延びて該母線の途上を終端とするスリットを、周方向に間隔を置いて複数本配置し、各スリットの終端にスリット幅より大径でバーナディフューザコーンを貫通する終端孔を設けるとともに、スリットとスリットとの間に少なくとも1個の貫通孔を設け、さらに円錐面の外周部の一部を切除してなることを特徴とするバーナディフューザコーン。
- スリットは、幅が1〜10mmおよび長さが円錐母線長の40%以上であり、このスリットの6〜12本を外周縁の円周等分位置または不等分位置に配置したことを特徴とする請求項1、4、5または7に記載のバーナディフューザコーン。
- 終端孔の径はスリット幅の2〜5倍であることを特徴とする請求項1、4、5または7に記載のバーナディフューザコーン。
- 貫通孔は径が3〜40mmであり、この貫通孔の6〜20個を等間隔または不等間隔に配置したことを特徴とする請求項3、5または7に記載のバーナディフューザコーン。
- 前記円錐面とその外周端部側面に、酸素含有量が0.5 mass%未満である耐熱合金溶射皮膜からなる厚み50〜500μmのアンダーコート、およびそのアンダーコートの上に50〜800μmの厚みで設けたZrO2系セラミックス溶射皮膜のトップコートとからなる複合皮膜を形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバーナディフューザコーン。
- 請求項1〜11いずれか1項に記載のバーナディフューザコーンを、ボイラ炉内に設けた耐熱鋼製取付け治具に取付けるに際し、該ディフューザコーンの円錐面外周端部と前記取付け治具の円形枠内周面との間に、冷却空気供給用間隙を介在させることを特徴とするのバーナディフューザコーンのボイラ炉内への取付け方法。
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