JP2004144104A - 歯車減速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】減速比が高く、伝達効率が良い構成とする。
【解決手段】モータ10のモータ出力軸10aにモータ出力軸10aと一体回転を行うカム4を嵌める。カム4の外径には、回転規制部5bbと内歯5baを有するカム4と一体回転を行う揺動歯車5を設け、揺動歯車5はカム回転時に周方向への回転がハウジング2に設けられた突起部2cによって規制されて揺動を行う。一方、揺動歯車5の内歯5baに噛合する外歯6cを有し、モータ回転軸10aと同軸で回転を行う出力部材6を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】モータ10のモータ出力軸10aにモータ出力軸10aと一体回転を行うカム4を嵌める。カム4の外径には、回転規制部5bbと内歯5baを有するカム4と一体回転を行う揺動歯車5を設け、揺動歯車5はカム回転時に周方向への回転がハウジング2に設けられた突起部2cによって規制されて揺動を行う。一方、揺動歯車5の内歯5baに噛合する外歯6cを有し、モータ回転軸10aと同軸で回転を行う出力部材6を設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車減速装置に関するものであり、特に、内部にカムと揺動歯車を備えたハイポサイクロイド歯車減速装置の構造に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来からの歯車減速装置は、ウォームとウォームに噛合するウォームホイールを備えた歯車が、公知である(例えば、特許文献1参照。)。この構造では、比較的簡単な構成により、1/20をこえる減速比を作り出す事ができるが、ウォームとウォームホイールとの噛合面でのすべりが大きく、伝達効率が良くない。
【0003】
また、歯車減速装置には波動歯車により減速を行うものが、公知である(例えば、特許文献2参照。)。後者に示される装置は、入力軸に取り付けられて、楕円状カムの外周に、薄肉のベアリングが嵌り、ベアリングの内輪はカムに固定され、外輪はボールを介して弾性変形するウォーブ・ジェネレータと、出力軸に取り付けられ、薄肉カップ状の金属弾性体から成り、外周に外歯が形成されたフレススプラインと、ケーシングに固定され、剛体リングに内歯が形成され、フレクスプラインよりも歯数が数歯(例えば、2歯)多いサーキュラ・スプラインと称される3部品で構成されている。この構成のものは、1/80以上の高減速比を高伝達効率(55〜70%)で実現することが可能であるが、薄肉カップ状の変形を伴うフレクスプラインは耐久性が良くない。
【0004】
この様な薄肉カップ状の部材を使用することなく、耐久性をもたせたものとして、ハイポサイクロイド歯車減速装置が知られている(例えば、住友重機械工業(株)からサイクロ減速機4000#シリーズとして市販されている)。ここに示される装置では、例えば、モータに接続される高速軸に偏心状のカムが取り付けられている。カムは曲線板の中央に形成された動力の入力となる孔に嵌り、カムと曲線板は一体回転する様になっている。しかし、曲線板の外周には、曲線板の中心を基準とした周方向の回転を規制する外ローラーが、曲線板よりも外径側において周方向に複数設けられており、外ローラーは所定位置の回転を行わない固定部に内接する事が自在となっており、曲線板の回転が固定部により規制される構成となっている。曲線板は固定部にて周方向の回転が規制されると、固定部内において揺動する。一方、曲線板の中には周方向において、出力側へ動力伝達を行う6つの孔が形成されている。また、曲線板から動力が伝達される出力部材の一端は円盤状を呈し、この端面には、周方向に突出して、曲線板に形成された6つの孔にそれぞれ挿通される6つの内ローラーが設けられており、この構成の装置は内ローラと孔との係合(6箇所のカップリング)により、曲線板の揺動運動を出力部材に対して、回転運動として伝達することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−5248号公報 (第2〜7頁、図1〜5)。
【0006】
【特許文献2】
特開2002−21948号公報 (第2〜4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した構成の如く、例えば、6箇所のカップリングにより出力側に動力伝達を行う場合、カップリングによって伝達効率が低下してしまう。つまり、伝達効率の低下の要因は、噛合する歯面、軸支持部、カップリング等により、すべりに伴う摩擦力の発生、接触面積の増大による摩擦力の増大、ドルク負荷に起因する変位によるアライメント誤差が原因となって起こると考えられ、特に、多くの箇所にてカップリングを行うことによって、動力伝達を行う構成では伝達効率が良くないものとなってしまう。
【0008】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、伝達効率が良い歯車減速装置を提供することを技術的課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために講じた第1の技術的手段は、ハウジングと、ハウジング内部の所定位置に設けられた固定突起と、モータ回転軸と一体回転を行うカムと、内歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記固定突起によって規制されて揺動を行う揺動歯車と、該揺動歯車の内歯に噛合する外歯を有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことである。
【0010】
上記した手段によれば、モータ回転軸とカムは一体回転し、カムは揺動歯車を回転させる。カムの回転により揺動歯車は動かされ、揺動歯車は周方向に回転しようとするが、揺動歯車はハウジング内部の所定箇所に設けられた固定突起によって、周方向への回転が規制され、揺動を行う。そして、揺動歯車の内歯には、内歯と歯数の異なる外歯(内歯より数歯多い)を有した出力部材が噛合して、揺動歯車の揺動が出力部材に伝達される。出力部材はモータ回転軸と同軸で回転を行うので、揺動歯車の揺動は出力部材の回転運動に効率良く変換され、出力部材が効率良く回転する構成とすることが可能である。この場合、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しないので、効率良く動力伝達が行える。
【0011】
この場合、固定突起は複数設けられ、揺動歯車の外周面には固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、半円弧部は固定突起に内接するので揺動歯車は固定突起に対して動きが規制され、安定した状態で揺動が可能となる。
【0012】
また、上記した課題を解決するために講じた第2の技術的手段は、ハウジングと、該ハウジングの内部の所定位置に設けられた第1固定突起および第2固定突起と、第1カム面を有し、モータ回転軸と一体回転を行うカムと、第1内歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記第1固定突起によって規制されて揺動を行う第1揺動歯車と、前記第1内歯と歯数が異なり、該第1内歯と噛合する第1外歯と、第2カム面とを有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行うカム歯車と、第2内歯を有し、前記カム歯車の回転時に周方向の回転が前記第2固定突起によって規制されて揺動を行う第2揺動歯車と、前記第2内歯と歯数が異なり、前記第2内歯と噛合する第2外歯を有し、前記カム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことである。
【0013】
上記した手段によれば、モータ回転軸と第1カム面を有するカムは一体回転し、カムは第1揺動歯車を回転させる。カムの回転により第1揺動歯車は動かされ、第1揺動歯車は周方向に回転しようとするが、第1揺動歯車はハウジング内部の所定箇所に設けられた第1固定突起によって、周方向への回転が規制され、揺動を行う。そして、第1揺動歯車の第1内歯には、第1内歯と歯数の異なる第1外歯(内歯より数歯多い)を有したカム歯車が噛合して、第1揺動歯車の揺動がカム歯車に伝達される。この場合、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しても2ヶ所のみであり、従来の構成よりも伝達効率が良くなる。
【0014】
更に、カム歯車の回転により第2揺動歯車は動かされ、第2揺動歯車は周方向に回転しようとするが、第2揺動歯車はハウジング内部の所定箇所に設けられた第2固定突起によって、周方向への回転が規制され、揺動を行う。そして、第2揺動歯車の第2内歯には、第2内歯と歯数の異なる第2外歯(内歯より数歯多い)を有した出力部材が噛合して、第2揺動歯車の揺動が出力部材に伝達される。出力部材はモータ回転軸と同軸で回転を行うので、揺動歯車の揺動は出力部材の回転運動に効率良く変換され、出力部材が効率良く回転する構成となる。
【0015】
この場合、第1固定突起は2つ設けられ、第1揺動歯車には第1固定突起がそれぞれ内接する孔が形成されれば、第1揺動歯車に形成された2つの孔に第1固定突起は内接させ、第1揺動歯車を安定した状態で揺動させることが可能である。
【0016】
また、第2固定突起は複数設けられ、第2揺動歯車の外周面には第2固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、複数の第2固定突起は第2揺動歯車の外周に形成された半円弧部を内接させ、第2揺動歯車を安定した状態で揺動させることが可能である。
【0017】
更に、カムは、回転バランスを取るバランス部を有すれば、カム回転時にバランス部により振動の発生が防止され、安定した回転を行うことが可能である。
【0018】
尚、上記した各技術的手段において、内歯と外歯とを相互に置き換えても良いことは勿論である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する本実施形態における歯車減速装置1は、ハイポサイクロイド減速歯車装置を応用した構成であり、第1実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0020】
図1に示す歯車減速装置1は、ハウジング2、3の中にモータ10、カム4、歯車(後述する揺動歯車)5が配設され、動力源となるモータ3からの回転は、内部の歯車により減速されて、出力部材6により外部に伝達される構成となっている。
【0021】
ハウジングは、ボルト31およびナット32と言った締結部材により固定される、樹脂より成り立った2つのハウジング2,3から構成されている。ハウジング2は、図1に示す左側にモータ10が配設される凹部2aが形成され、右側にはカム4および揺動歯車5が配設される凹部2bが形成されている。そして、両凹部2a,2bは径方向における中央位置で連通している。ハウジング2には、後述する揺動歯車5の外径位置において、軸方向に突出する突起部(固定突起)2cが周方向に4つハウジング2に一体で形成されている。一方、ハウジング3は、断面が凸状の中空となっており、径方向の中央には貫通孔が形成され、貫通孔にはベアリング14が嵌っている。尚、本実施形態では突起部2cをハウジング一体で形成したが、これに限定されるものではなく、ハウジング2とは別部材(突起部材)であり、その突起部材を回転しない側に設けても良い。
【0022】
モータ10は、凹部2aの中に配設され、軸方向においてビス等の固定部材11によりハウジング2に固定された状態で、モータ10の回転を行うモータ軸回転軸10aは、凹部2b側に突出する。凹部2bに突出したモータ回転軸10aには、カム4が圧入等により取り付けられる。カム4はモータ回転軸10aと一致するカム軸を中心として回転し、形状に関しては、径方向において小径部4aと大径部4bとを有した形状を呈し、カム4の外形は、図2に示す、偏心したカム面4eとなっている。図1に示す如く、小径部4aは軸方向において大径部4bよりも長くなっており、カム4の重心位置がカム軸上にくる設計となっている。これによって、カム4が回転した場合、小径部4aおよび大径部4bはカム4の回転を安定させるウェイトバランス機能をもつ。また、カム4はモータ回転軸10aと反対側に凹部4dが形成されている。カム4の径方向における外周面であるカム面4eにはベアリング12が配設されており、ベアリング12を介して揺動運動を行わせる歯車(揺動歯車)5が配設される。
【0023】
揺動歯車5は軸方向断面が略U字状の環状となった歯車であり、内径部5aと外形部5bとを有する。内径部5aはベアリング12に周面で当接して、カム4と一体回転を行う。また、外径部5bには歯数が42歯の内歯5baが形成されて、外径部5bの外周面には4つの回転規制部5bbが中心に対して90度の位置において一体で形成されている(図2を参照)。この回転規制部5bbには半円形状をした半円弧部5bcが外周の一部に形成され、ハウジング2に形成された突起部2cに対して内接自在となっている。回転規制部5bbの半円弧部5bcは、カム4が回転し、カム4の回転によってカム4と一体回転する揺動歯車5が回転を行おうとすると、ハウジング2に形成された4つの突起部2cに対して、4つの半円弧部5bcの円弧面が内接して揺動歯車5の回転運動が規制される。この為、揺動歯車5は4つの突起部2cにより動きが規制された揺動運動を行う。
【0024】
そして、この揺動歯車5の内歯5baには、内歯5baの歯数よりも2歯少ない40歯の外歯6cを有し、モータ10の回転を減速して外部に出力する出力部材6が、モータ回転軸10aと同軸で配設される。出力部材6は軸方向断面が、図1に示す如く、カム側に凹部をもつ凸状を呈する。出力部材6は、カム側から図1に示す右側に行くに従って、段階的に径が小さくなってゆく大径部6d、中径部6e、小径部6fを有する。出力部材6は、大径部6dの内径まで延在した軸方向端部6aが、カム4の軸中心に形成された凹部4dに、ベアリング13を介して嵌っている。出力部材6の出力端6bは、ハウジング3の中央に形成された貫通孔を貫通し、貫通孔の内側から設けられたベアリング14によって、モータ回転軸10aと同軸で軸支されている。よって、揺動歯車5の揺動運動は、揺動歯車5の内歯5baと出力部材6の外歯6cとの噛合によって、図2に示す様に出力部材6に伝達され、出力部材6が回転運動する構成となっている。
【0025】
次に、第1実施形態における歯車減速装置1の動作について説明する。モータ10に対して、図示しない外部電源より通電を行うと、モータ10のモータ回転軸10aは通電量または通電形態により回転する。モータ回転軸10aの回転によって、モータ回転軸10aに嵌められた偏心形状をしたカム4は、カム軸(モータ回転軸10aと同軸)を中心として回転する。カム4が回転すると、カム4にベアリング12を介して嵌められた揺動歯車5が、カム軸を中心としてカム4と一体で偏心回転する。しかし、この場合、揺動歯車5には、揺動歯車5に当接する様に、周状に設けられた4つの回転規制部5bbがハウジング2に形成された突起部2cにより規制される。この為、揺動歯車5の周方向へ回転しようとしてもその揺動歯車5の揺動歯車5の中心を軸とした周方向への回転が規制され、揺動歯車5は、周状に形成された4つの半円弧部5bcに、それぞれ内接する突起部2cを移動限界とした運動(例えば、同径で形成された4つの半円弧部5bcの径に一致した円運動をここでは揺動と称す)を行う。
【0026】
そして、揺動を行う揺動歯車5の内歯5baに出力部材6の外歯6cが、図2の如く噛合するが、この場合、図1に示す様に、出力部材6はモータ回転軸10aと同軸でハウジング3に対してベアリング14を介して回転自在に支持されているので、出力部材6は揺動運動するのではなく、回転運動を行う。これによって、モータ10が1回転すれば、揺動歯車5の内歯5baと出力部材6の外歯6cとの歯数の差分だけ、出力軸6が回転し、高減速比を実現できる。
【0027】
上記した構成では、従来のハイポサイクロイド歯車減速装置における伝達効率の低下を、カム4により偏心回転を行おうとする揺動歯車5に対して、揺動歯車5の回転を複数の突起部2cに回転規制部5bbの半円弧部5bcを内接させて規制することを特徴としており、この構成では、モータ回転軸10aのトルクを出力する出力部材6に、伝達効率が低下させるカップリングの構造をもたない為、伝達効率を良くすることができる。また、揺動歯車5を正確に揺動運動させるため、複数の突起部2cを出力部材6に動力伝達を行う噛合面よりも外径側に設けたことにより、内径側で揺動回転を規制するよりも安定した状態で、揺動を規制して減速を行うことができる。更に、カム4は編肉形状にしてウェイトバランス機能を持たせているので、カム4が回転を行う場合に回転による振動等が発せず、安定した回転をさせることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、図3を参照して、第2実施形態について説明する。図3に示す構造では、図1に示す揺動歯車5を軸方向に対して2段として、上記した揺動歯車5の動作の如く、カム4により揺動する揺動歯車5の周方向への回転を規制することで、図1と同じ様な揺動運動を行う2つの歯車(揺動歯車)15,25を備える。尚、第2実施形態では、動力伝達過程において、モータ10から揺動歯車15に噛合して出力を取り出す噛合部材(後述するカム歯車14)までの伝達過程を第1段とし、第1段の出力にカム機能を一体で持たせる構成として、第1段の出力であるカム歯車26から歯車減速装置1のトルクを取り出す出力部材6までを第2段と定義して、モータ回転軸10aの回転を、高減速比且つ高効率で実現させる構成とした。また、図3に示す構成図では、図1と同じ部材は第1実施形態と対比できる様、同じ図番を用いた。
【0029】
図3に示す歯車減速装置1は、外形がハウジング22,3によって構成され、ハウジング22,3の中には、主として、モータ3、カム4、歯車(第1揺動歯車,第2揺動歯車)15,25、カム歯車26、環状部材27が配設されている。この図3に示す構成では、モータ10の回転は上記した複数の歯車によって第1段および第2段の複数の歯車によって減速され、トルクを出力する出力軸6まで伝達される。
【0030】
ハウジングは、ボルト31およびナット32と言った締結部材により互いに固定される、2つの樹脂より成り立つハウジング22,3から構成されている。ハウジング22には、図3に示す左側にモータ10が配設される凹部22aが形成され、右側にはカム4および揺動歯車15等が配設される凹部22bが形成されている。そして、両凹部22a,22bは径方向における中央位置で連通している。一方、ハウジング3は、軸方向にいおける断面が凸状の中空となっており、中央には貫通孔が形成され、貫通孔にはベアリング14が圧入されて嵌っている。
【0031】
ハウジング2の凹部22bには2つのピン孔が形成され(図1では1つのみを示す)、それぞれのピン孔にフランジを有する円柱状のピン16が圧入されている。ピン16はフランジを介して一方の側は圧入され、他方の側は凹部22b内で軸方向に突出している。ハウジング22の凹部には、環状部材27が圧入されて軸方向における最深位置に配設されている。環状部材27のハウンジグ3側の端面には端面に形成された凹部に円柱状のピン17が圧入され、ピン17の一方の端部が軸方向に突出した状態となっている。よって、凹部22b内において、ピン16は回転を行わない第1固定突起と成り、ピン17も回転を行わない第2固定突起と成っている。また、ピン17は後述する揺動歯車25の外周径よりも若干外側に設けられる。
【0032】
モータ10は、凹部22aの中に配設され、軸方向においてビス等の固定部材11によりハウジング2に固定され、モータ回転軸10aが凹部22b側に突出する。凹部22bに突出したモータ回転軸10aにはカム面(第1カム面)4eを有するカム4が圧入され、モータ回転軸10aとカム4は一体回転する。カム4は径方向においてカム面4eは図4に示す如く偏心している。カム4の小径となった部位は軸方向において大径となった部位よりも長くなっており、カム4の重心がカム軸(モータ回転軸10aと一致)上にある設計となっている。これにより、カム4がカム軸を中心として回転した場合に、カム4の回転を安定させるウェイトバランス機能を、偏肉形状とすることにより実現している。また、カム4はモータ回転軸10aと反対側に凹部4dが形成される。カム4の径方向における外周面であるカム面4eにはベアリング12が配設されており、ベアリング12を介して外側に揺動歯車15が配設される。
【0033】
第1段の揺動歯車15は、図3および図4に示す様に、軸方向断面が略U字状の環状は歯車であり、内径部15aはベアリング12に周面で当接して、カム4と一体回転を行う。また、外径部15bには歯数が42歯の内歯15baが形成されている。更に、揺動歯車15の内径部15aと外径部15bの中間位置、(例えば、揺動歯車15の中心に対して対象位置)には、孔(回転規制部)15bbが2つ形成されている。この2つの孔15bbは、カム4の回転によりベアリング12を介して一体回転する揺動歯車15が回転を行おうとした場合に、その回転を規制する機能を有する。つまり、それぞれの孔15bbの中にはピン16が、図4に示す如く軸方向に挿通され、2つのピン16により揺動歯車15の回転が規制される。これにより、揺動歯車15は揺動歯車の中心に対して周方向には回転せず、ピン16が孔15bbの周面に常に摺接した状態で円運動を行いながら、揺動運動を行う。
【0034】
一方、この揺動歯車15の内歯15baには、内歯15baの歯数よりも2歯少ない40歯の外歯26cを有した歯車26が、モータ回転軸10aと同軸で配設される。この場合、歯車26は後述する出力部材6のモータ側へと延在する支持部6gにより、ベアリング18を介して支持される。また、この歯車26は、図3において軸方向における中央から左側の部分が、図1で示した出力部材6の動力伝達を行う機能を有すると共に、右側の部分が図1に示すカム4と略同じ形状(例えば、小径部と大径部を有し、小径部が大径部よりも軸方向に長く、カム軸がモータ回転軸と同じ)および機能(ウェイトバランス機能等)を有する。それ故、歯車26は出力側にカム面(第2カム面)26eを有するカム歯車となっている。
【0035】
カム面26eにはベアリング19が配設されており、ベアリング19を介して外径に揺動運動を行わせる第2段の揺動歯車25が配設される。
【0036】
揺動歯車25は軸方向断面が略U字状の環状の歯車であり、内径部25aはベアリング19に周面で当接して、カム歯車26と一体回転を行う。また、揺動歯車25の外径部25bには歯数が42歯の内歯25baが形成されて、外径部25bの外周面には4つの回転規制部25bbが揺動歯車25の中心に対して、90度の位置で形成されている。この回転規制部25bbには半円形状をした半円弧部25bcが外周に形成されている。回転規制部25bbの半円弧部25bcは、カム歯車26の回転により揺動歯車25が回転を行おうとすると、ハウジング22の凹部22b内に圧入された環状部材27に設けられた4つのピン17に対して、4つの半円弧部25bcの円弧面で内接して、揺動部材25の中心を基準とした周方向の回転運動が規制されるので、揺動歯車25は4つのピン17により動きが規制(図6を参照)された状態下で揺動運動を行う。この揺動歯車25の内歯25baには、内歯25baの歯数よりも2歯少ない40歯の外歯を有してモータ10の回転を外部に出力する出力部材6が、モータ回転軸10aと同軸で配設される。
【0037】
出力部材6の軸方向断面は、図3に示す如くカム側に凹部をもつ凸状を呈し、カム側から右側に行くに従って段階的に大径部6d、中径部6e、小径部6fを一体で有する。出力部材6は、カム4まで延在した軸方向端部6aが、カム4に形成された凹部4dにベアリング13を介して嵌っている。出力部材6の出力端6bは、ハウジング3に形成された貫通孔を貫通し、貫通孔に設けられたベアリング14によりモータ回転軸10aと同軸で軸支されている。よって、揺動歯車25の揺動運動は、揺動歯車25の内歯25baと出力部材6の外歯6cとの噛合によって出力部材6に伝達され、出力部材6が回転運動する。
【0038】
次に、第2実施形態における歯車減速装置1の動作について説明する。モータ10に図示しない外部電源より通電を行うと、モータ回転軸10aが回転を行う。モータ回転軸10aの回転によって、偏心形状をしたカム4はカム軸(モータ回転軸10aと同軸)を中心として回転する。カム4が回転すると、カム4にベアリング12を介して嵌められる揺動歯車15が、カム軸を中心として偏心回転しようとする。しかし、この場合、揺動歯車15は周状に設けられた回転規制部となる2つの孔15bbに挿通される、ハウジング2に固定されたピン16により規制される事から、揺動歯車15はその中心を基準として周方向へ回転しようとしても、その回転が2つのピン16によって規制される為、揺動歯車15は2つの孔15bbを移動限界とした運動(揺動)を行う。そして、図5の如く、揺動を行う揺動歯車15の内歯15baにカム歯車26の外歯26cが噛合するが、この場合、カム歯車26はモータ回転軸10aと同軸で、ハウジング3に対してベアリング18を介して出力部材6の支持部6gによって、回転自在に支持されている為、カム歯車26は回転運動を行う。
【0039】
これによって、モータ10が1回転すれば、揺動歯車5の内歯5baと出力部材6の外歯6cとの歯数の差分だけ、カム歯車26が回転する(第1減速比)。このカム歯車26の回転により得られた第1段の出力は、第2段へと伝達される。
【0040】
第2段ではカム歯車26が回転すると、カム歯車26の小径部にベアリング19を介して嵌められる揺動歯車25が、モータ回転軸10aと一致するカム軸を中心として偏心回転しようとする。しかし、この場合、揺動歯車25は揺動歯車25に外接する様、周状に設けられた4つの回転規制部25bbがハウジング側に設けられた4つのピン17により規制されるので、揺動歯車25は周方向へ回転しようとしてもその回転が規制される。このため、揺動歯車25は4つのピン17を移動限界とした運動(例えば、同径の4つの半円弧部25bcの径に一致した円運動をここでは揺動と称す)を行う。そして、揺動を行う揺動歯車25の内歯25baに出力部材6の外歯6cが噛合するが、この場合、出力部材6はモータ回転軸10aと同軸でハウジング3に対してベアリング14を介し回転自在に支持されている為、出力部材6は回転運動を行う。
【0041】
これによって、カム歯車26が1回転すれば、揺動歯車25の内歯25baと出力部材6の外歯6cとの歯数の差分だけ、出力軸6が回転する(第2減速比)。よって、以上の様な構成により、第1段で得られる第1減速比と、第2段で得られる第2減速比により、高減速比(第2実施形態での減速比=第1段の第1減速比×第2段の第2減速比)が得られる構成となる。
【0042】
以上、説明した様に、上記した構成により、ハイポサイクロイド歯車減速装置の動力伝達系を2段として、動力伝達効率の低下を、第1段では孔15bbとピン16との係合により動力伝達箇所(カップリング)により揺動運動を作り出す構成とした。この場合、カップリングの箇所を2ヶ所としたので、2ヶ所のカップリングにより揺動部材15に対して、摩擦力をできるだけ抑えた状態で揺動を行わせることが可能であり、しかも、カップリング箇所を3箇所以上設ける場合よりも伝達効率の低下を図ることができる。また、第2段では出力軸6の外歯6cとそれに噛合する内歯25baを有する揺動歯車52を揺動させ、カム歯車26と揺動歯車25の回転を4つのピン17により規制することにより、高効率化を図った。この構成によれば、トルクの出力軸である出力部材6には伝達効率が低下するカップリングの構造をもたない為、伝達効率を良くすることができる。また、揺動歯車5を正確に揺動させるため、複数の突起部2cを出力部材6に動力伝達を行う噛合面よりも外径側に設けることにより、内径側に設けるよりも揺動歯車5を安定した状態で回転させて減速を行うことができる。また、カム4は編肉にしてウェイトバランス機能を持たせているので、回転を行う場合に振動等が発せず、安定した回転をさせることができる。
【0043】
尚、上記した実施形態の変形例として、内歯と外歯とを相互に置き換えたものも採用することが出来る。
【0044】
【発明の効果】
第1の発明によれば、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しないので、効率良く動力伝達が行える。
【0045】
この場合、固定突起は複数設けられ、揺動歯車の外周面には固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、半円弧部は固定突起に内接するので揺動歯車は固定突起に対して動きが規制され、安定した状態で揺動ができる。
【0046】
また、第2の発明によれば、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しても2ヶ所のみであり、従来の構成よりも伝達効率を良くすることができる。
【0047】
この場合、第1固定突起は2つ設けられ、第1揺動歯車には第1固定突起がそれぞれ内接する孔が形成されれば、第1揺動歯車に形成された2つの孔に第1固定突起は内接させ、第1揺動歯車を安定した状態で揺動させることができる。
【0048】
また、第2固定突起は複数設けられ、第2揺動歯車の外周面には第2固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、複数の第2固定突起は第2揺動歯車の外周に形成された半円弧部を内接させ、第2揺動歯車を安定した状態で揺動させることができる。
【0049】
更に、カムは、回転バランスを取るバランス部を有すれば、カム回転時にバランス部により振動の発生が防止され、安定した回転を行うことができる。
【0050】
尚、第3の発明は第1の発明と同様の効果を奏し、また、第4の発明は第2の発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における歯車減速装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すA−A断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における歯車減速装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示すA−A断面での揺動歯車の内側の噛合状態を示す説明図である。
【図5】図3に示すB−B断面での揺動歯車の内側の噛合状態を示す説明図である。
【図6】図3に示すC−C断面での揺動歯車の内側の噛合状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 歯車減速装置
2,3, 22 ハウジング
2c 突起部(固定突起)
4 カム
4a 小径部(バランス部)
4b 大径部(バランス部)
4e カム面(第1カム面)
5 歯車(揺動歯車)
5ba 内歯
5bb 回転規制部
5bc 半円弧部
6 出力部材
6c 外歯(第2外歯)
15 揺動歯車(第1揺動歯車)
15ba 内歯(第1内歯)
16 ピン(第1突起)
17 ピン(第2突起)
25 揺動歯車(第2揺動歯車)
25ba 内歯(第2内歯)
25bb 回転規制部
5bc 半円弧部26 歯車(カム歯車)
26c 外歯(第1外歯)
26e カム面(第2カム面)
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車減速装置に関するものであり、特に、内部にカムと揺動歯車を備えたハイポサイクロイド歯車減速装置の構造に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来からの歯車減速装置は、ウォームとウォームに噛合するウォームホイールを備えた歯車が、公知である(例えば、特許文献1参照。)。この構造では、比較的簡単な構成により、1/20をこえる減速比を作り出す事ができるが、ウォームとウォームホイールとの噛合面でのすべりが大きく、伝達効率が良くない。
【0003】
また、歯車減速装置には波動歯車により減速を行うものが、公知である(例えば、特許文献2参照。)。後者に示される装置は、入力軸に取り付けられて、楕円状カムの外周に、薄肉のベアリングが嵌り、ベアリングの内輪はカムに固定され、外輪はボールを介して弾性変形するウォーブ・ジェネレータと、出力軸に取り付けられ、薄肉カップ状の金属弾性体から成り、外周に外歯が形成されたフレススプラインと、ケーシングに固定され、剛体リングに内歯が形成され、フレクスプラインよりも歯数が数歯(例えば、2歯)多いサーキュラ・スプラインと称される3部品で構成されている。この構成のものは、1/80以上の高減速比を高伝達効率(55〜70%)で実現することが可能であるが、薄肉カップ状の変形を伴うフレクスプラインは耐久性が良くない。
【0004】
この様な薄肉カップ状の部材を使用することなく、耐久性をもたせたものとして、ハイポサイクロイド歯車減速装置が知られている(例えば、住友重機械工業(株)からサイクロ減速機4000#シリーズとして市販されている)。ここに示される装置では、例えば、モータに接続される高速軸に偏心状のカムが取り付けられている。カムは曲線板の中央に形成された動力の入力となる孔に嵌り、カムと曲線板は一体回転する様になっている。しかし、曲線板の外周には、曲線板の中心を基準とした周方向の回転を規制する外ローラーが、曲線板よりも外径側において周方向に複数設けられており、外ローラーは所定位置の回転を行わない固定部に内接する事が自在となっており、曲線板の回転が固定部により規制される構成となっている。曲線板は固定部にて周方向の回転が規制されると、固定部内において揺動する。一方、曲線板の中には周方向において、出力側へ動力伝達を行う6つの孔が形成されている。また、曲線板から動力が伝達される出力部材の一端は円盤状を呈し、この端面には、周方向に突出して、曲線板に形成された6つの孔にそれぞれ挿通される6つの内ローラーが設けられており、この構成の装置は内ローラと孔との係合(6箇所のカップリング)により、曲線板の揺動運動を出力部材に対して、回転運動として伝達することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−5248号公報 (第2〜7頁、図1〜5)。
【0006】
【特許文献2】
特開2002−21948号公報 (第2〜4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した構成の如く、例えば、6箇所のカップリングにより出力側に動力伝達を行う場合、カップリングによって伝達効率が低下してしまう。つまり、伝達効率の低下の要因は、噛合する歯面、軸支持部、カップリング等により、すべりに伴う摩擦力の発生、接触面積の増大による摩擦力の増大、ドルク負荷に起因する変位によるアライメント誤差が原因となって起こると考えられ、特に、多くの箇所にてカップリングを行うことによって、動力伝達を行う構成では伝達効率が良くないものとなってしまう。
【0008】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、伝達効率が良い歯車減速装置を提供することを技術的課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために講じた第1の技術的手段は、ハウジングと、ハウジング内部の所定位置に設けられた固定突起と、モータ回転軸と一体回転を行うカムと、内歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記固定突起によって規制されて揺動を行う揺動歯車と、該揺動歯車の内歯に噛合する外歯を有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことである。
【0010】
上記した手段によれば、モータ回転軸とカムは一体回転し、カムは揺動歯車を回転させる。カムの回転により揺動歯車は動かされ、揺動歯車は周方向に回転しようとするが、揺動歯車はハウジング内部の所定箇所に設けられた固定突起によって、周方向への回転が規制され、揺動を行う。そして、揺動歯車の内歯には、内歯と歯数の異なる外歯(内歯より数歯多い)を有した出力部材が噛合して、揺動歯車の揺動が出力部材に伝達される。出力部材はモータ回転軸と同軸で回転を行うので、揺動歯車の揺動は出力部材の回転運動に効率良く変換され、出力部材が効率良く回転する構成とすることが可能である。この場合、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しないので、効率良く動力伝達が行える。
【0011】
この場合、固定突起は複数設けられ、揺動歯車の外周面には固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、半円弧部は固定突起に内接するので揺動歯車は固定突起に対して動きが規制され、安定した状態で揺動が可能となる。
【0012】
また、上記した課題を解決するために講じた第2の技術的手段は、ハウジングと、該ハウジングの内部の所定位置に設けられた第1固定突起および第2固定突起と、第1カム面を有し、モータ回転軸と一体回転を行うカムと、第1内歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記第1固定突起によって規制されて揺動を行う第1揺動歯車と、前記第1内歯と歯数が異なり、該第1内歯と噛合する第1外歯と、第2カム面とを有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行うカム歯車と、第2内歯を有し、前記カム歯車の回転時に周方向の回転が前記第2固定突起によって規制されて揺動を行う第2揺動歯車と、前記第2内歯と歯数が異なり、前記第2内歯と噛合する第2外歯を有し、前記カム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことである。
【0013】
上記した手段によれば、モータ回転軸と第1カム面を有するカムは一体回転し、カムは第1揺動歯車を回転させる。カムの回転により第1揺動歯車は動かされ、第1揺動歯車は周方向に回転しようとするが、第1揺動歯車はハウジング内部の所定箇所に設けられた第1固定突起によって、周方向への回転が規制され、揺動を行う。そして、第1揺動歯車の第1内歯には、第1内歯と歯数の異なる第1外歯(内歯より数歯多い)を有したカム歯車が噛合して、第1揺動歯車の揺動がカム歯車に伝達される。この場合、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しても2ヶ所のみであり、従来の構成よりも伝達効率が良くなる。
【0014】
更に、カム歯車の回転により第2揺動歯車は動かされ、第2揺動歯車は周方向に回転しようとするが、第2揺動歯車はハウジング内部の所定箇所に設けられた第2固定突起によって、周方向への回転が規制され、揺動を行う。そして、第2揺動歯車の第2内歯には、第2内歯と歯数の異なる第2外歯(内歯より数歯多い)を有した出力部材が噛合して、第2揺動歯車の揺動が出力部材に伝達される。出力部材はモータ回転軸と同軸で回転を行うので、揺動歯車の揺動は出力部材の回転運動に効率良く変換され、出力部材が効率良く回転する構成となる。
【0015】
この場合、第1固定突起は2つ設けられ、第1揺動歯車には第1固定突起がそれぞれ内接する孔が形成されれば、第1揺動歯車に形成された2つの孔に第1固定突起は内接させ、第1揺動歯車を安定した状態で揺動させることが可能である。
【0016】
また、第2固定突起は複数設けられ、第2揺動歯車の外周面には第2固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、複数の第2固定突起は第2揺動歯車の外周に形成された半円弧部を内接させ、第2揺動歯車を安定した状態で揺動させることが可能である。
【0017】
更に、カムは、回転バランスを取るバランス部を有すれば、カム回転時にバランス部により振動の発生が防止され、安定した回転を行うことが可能である。
【0018】
尚、上記した各技術的手段において、内歯と外歯とを相互に置き換えても良いことは勿論である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する本実施形態における歯車減速装置1は、ハイポサイクロイド減速歯車装置を応用した構成であり、第1実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0020】
図1に示す歯車減速装置1は、ハウジング2、3の中にモータ10、カム4、歯車(後述する揺動歯車)5が配設され、動力源となるモータ3からの回転は、内部の歯車により減速されて、出力部材6により外部に伝達される構成となっている。
【0021】
ハウジングは、ボルト31およびナット32と言った締結部材により固定される、樹脂より成り立った2つのハウジング2,3から構成されている。ハウジング2は、図1に示す左側にモータ10が配設される凹部2aが形成され、右側にはカム4および揺動歯車5が配設される凹部2bが形成されている。そして、両凹部2a,2bは径方向における中央位置で連通している。ハウジング2には、後述する揺動歯車5の外径位置において、軸方向に突出する突起部(固定突起)2cが周方向に4つハウジング2に一体で形成されている。一方、ハウジング3は、断面が凸状の中空となっており、径方向の中央には貫通孔が形成され、貫通孔にはベアリング14が嵌っている。尚、本実施形態では突起部2cをハウジング一体で形成したが、これに限定されるものではなく、ハウジング2とは別部材(突起部材)であり、その突起部材を回転しない側に設けても良い。
【0022】
モータ10は、凹部2aの中に配設され、軸方向においてビス等の固定部材11によりハウジング2に固定された状態で、モータ10の回転を行うモータ軸回転軸10aは、凹部2b側に突出する。凹部2bに突出したモータ回転軸10aには、カム4が圧入等により取り付けられる。カム4はモータ回転軸10aと一致するカム軸を中心として回転し、形状に関しては、径方向において小径部4aと大径部4bとを有した形状を呈し、カム4の外形は、図2に示す、偏心したカム面4eとなっている。図1に示す如く、小径部4aは軸方向において大径部4bよりも長くなっており、カム4の重心位置がカム軸上にくる設計となっている。これによって、カム4が回転した場合、小径部4aおよび大径部4bはカム4の回転を安定させるウェイトバランス機能をもつ。また、カム4はモータ回転軸10aと反対側に凹部4dが形成されている。カム4の径方向における外周面であるカム面4eにはベアリング12が配設されており、ベアリング12を介して揺動運動を行わせる歯車(揺動歯車)5が配設される。
【0023】
揺動歯車5は軸方向断面が略U字状の環状となった歯車であり、内径部5aと外形部5bとを有する。内径部5aはベアリング12に周面で当接して、カム4と一体回転を行う。また、外径部5bには歯数が42歯の内歯5baが形成されて、外径部5bの外周面には4つの回転規制部5bbが中心に対して90度の位置において一体で形成されている(図2を参照)。この回転規制部5bbには半円形状をした半円弧部5bcが外周の一部に形成され、ハウジング2に形成された突起部2cに対して内接自在となっている。回転規制部5bbの半円弧部5bcは、カム4が回転し、カム4の回転によってカム4と一体回転する揺動歯車5が回転を行おうとすると、ハウジング2に形成された4つの突起部2cに対して、4つの半円弧部5bcの円弧面が内接して揺動歯車5の回転運動が規制される。この為、揺動歯車5は4つの突起部2cにより動きが規制された揺動運動を行う。
【0024】
そして、この揺動歯車5の内歯5baには、内歯5baの歯数よりも2歯少ない40歯の外歯6cを有し、モータ10の回転を減速して外部に出力する出力部材6が、モータ回転軸10aと同軸で配設される。出力部材6は軸方向断面が、図1に示す如く、カム側に凹部をもつ凸状を呈する。出力部材6は、カム側から図1に示す右側に行くに従って、段階的に径が小さくなってゆく大径部6d、中径部6e、小径部6fを有する。出力部材6は、大径部6dの内径まで延在した軸方向端部6aが、カム4の軸中心に形成された凹部4dに、ベアリング13を介して嵌っている。出力部材6の出力端6bは、ハウジング3の中央に形成された貫通孔を貫通し、貫通孔の内側から設けられたベアリング14によって、モータ回転軸10aと同軸で軸支されている。よって、揺動歯車5の揺動運動は、揺動歯車5の内歯5baと出力部材6の外歯6cとの噛合によって、図2に示す様に出力部材6に伝達され、出力部材6が回転運動する構成となっている。
【0025】
次に、第1実施形態における歯車減速装置1の動作について説明する。モータ10に対して、図示しない外部電源より通電を行うと、モータ10のモータ回転軸10aは通電量または通電形態により回転する。モータ回転軸10aの回転によって、モータ回転軸10aに嵌められた偏心形状をしたカム4は、カム軸(モータ回転軸10aと同軸)を中心として回転する。カム4が回転すると、カム4にベアリング12を介して嵌められた揺動歯車5が、カム軸を中心としてカム4と一体で偏心回転する。しかし、この場合、揺動歯車5には、揺動歯車5に当接する様に、周状に設けられた4つの回転規制部5bbがハウジング2に形成された突起部2cにより規制される。この為、揺動歯車5の周方向へ回転しようとしてもその揺動歯車5の揺動歯車5の中心を軸とした周方向への回転が規制され、揺動歯車5は、周状に形成された4つの半円弧部5bcに、それぞれ内接する突起部2cを移動限界とした運動(例えば、同径で形成された4つの半円弧部5bcの径に一致した円運動をここでは揺動と称す)を行う。
【0026】
そして、揺動を行う揺動歯車5の内歯5baに出力部材6の外歯6cが、図2の如く噛合するが、この場合、図1に示す様に、出力部材6はモータ回転軸10aと同軸でハウジング3に対してベアリング14を介して回転自在に支持されているので、出力部材6は揺動運動するのではなく、回転運動を行う。これによって、モータ10が1回転すれば、揺動歯車5の内歯5baと出力部材6の外歯6cとの歯数の差分だけ、出力軸6が回転し、高減速比を実現できる。
【0027】
上記した構成では、従来のハイポサイクロイド歯車減速装置における伝達効率の低下を、カム4により偏心回転を行おうとする揺動歯車5に対して、揺動歯車5の回転を複数の突起部2cに回転規制部5bbの半円弧部5bcを内接させて規制することを特徴としており、この構成では、モータ回転軸10aのトルクを出力する出力部材6に、伝達効率が低下させるカップリングの構造をもたない為、伝達効率を良くすることができる。また、揺動歯車5を正確に揺動運動させるため、複数の突起部2cを出力部材6に動力伝達を行う噛合面よりも外径側に設けたことにより、内径側で揺動回転を規制するよりも安定した状態で、揺動を規制して減速を行うことができる。更に、カム4は編肉形状にしてウェイトバランス機能を持たせているので、カム4が回転を行う場合に回転による振動等が発せず、安定した回転をさせることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、図3を参照して、第2実施形態について説明する。図3に示す構造では、図1に示す揺動歯車5を軸方向に対して2段として、上記した揺動歯車5の動作の如く、カム4により揺動する揺動歯車5の周方向への回転を規制することで、図1と同じ様な揺動運動を行う2つの歯車(揺動歯車)15,25を備える。尚、第2実施形態では、動力伝達過程において、モータ10から揺動歯車15に噛合して出力を取り出す噛合部材(後述するカム歯車14)までの伝達過程を第1段とし、第1段の出力にカム機能を一体で持たせる構成として、第1段の出力であるカム歯車26から歯車減速装置1のトルクを取り出す出力部材6までを第2段と定義して、モータ回転軸10aの回転を、高減速比且つ高効率で実現させる構成とした。また、図3に示す構成図では、図1と同じ部材は第1実施形態と対比できる様、同じ図番を用いた。
【0029】
図3に示す歯車減速装置1は、外形がハウジング22,3によって構成され、ハウジング22,3の中には、主として、モータ3、カム4、歯車(第1揺動歯車,第2揺動歯車)15,25、カム歯車26、環状部材27が配設されている。この図3に示す構成では、モータ10の回転は上記した複数の歯車によって第1段および第2段の複数の歯車によって減速され、トルクを出力する出力軸6まで伝達される。
【0030】
ハウジングは、ボルト31およびナット32と言った締結部材により互いに固定される、2つの樹脂より成り立つハウジング22,3から構成されている。ハウジング22には、図3に示す左側にモータ10が配設される凹部22aが形成され、右側にはカム4および揺動歯車15等が配設される凹部22bが形成されている。そして、両凹部22a,22bは径方向における中央位置で連通している。一方、ハウジング3は、軸方向にいおける断面が凸状の中空となっており、中央には貫通孔が形成され、貫通孔にはベアリング14が圧入されて嵌っている。
【0031】
ハウジング2の凹部22bには2つのピン孔が形成され(図1では1つのみを示す)、それぞれのピン孔にフランジを有する円柱状のピン16が圧入されている。ピン16はフランジを介して一方の側は圧入され、他方の側は凹部22b内で軸方向に突出している。ハウジング22の凹部には、環状部材27が圧入されて軸方向における最深位置に配設されている。環状部材27のハウンジグ3側の端面には端面に形成された凹部に円柱状のピン17が圧入され、ピン17の一方の端部が軸方向に突出した状態となっている。よって、凹部22b内において、ピン16は回転を行わない第1固定突起と成り、ピン17も回転を行わない第2固定突起と成っている。また、ピン17は後述する揺動歯車25の外周径よりも若干外側に設けられる。
【0032】
モータ10は、凹部22aの中に配設され、軸方向においてビス等の固定部材11によりハウジング2に固定され、モータ回転軸10aが凹部22b側に突出する。凹部22bに突出したモータ回転軸10aにはカム面(第1カム面)4eを有するカム4が圧入され、モータ回転軸10aとカム4は一体回転する。カム4は径方向においてカム面4eは図4に示す如く偏心している。カム4の小径となった部位は軸方向において大径となった部位よりも長くなっており、カム4の重心がカム軸(モータ回転軸10aと一致)上にある設計となっている。これにより、カム4がカム軸を中心として回転した場合に、カム4の回転を安定させるウェイトバランス機能を、偏肉形状とすることにより実現している。また、カム4はモータ回転軸10aと反対側に凹部4dが形成される。カム4の径方向における外周面であるカム面4eにはベアリング12が配設されており、ベアリング12を介して外側に揺動歯車15が配設される。
【0033】
第1段の揺動歯車15は、図3および図4に示す様に、軸方向断面が略U字状の環状は歯車であり、内径部15aはベアリング12に周面で当接して、カム4と一体回転を行う。また、外径部15bには歯数が42歯の内歯15baが形成されている。更に、揺動歯車15の内径部15aと外径部15bの中間位置、(例えば、揺動歯車15の中心に対して対象位置)には、孔(回転規制部)15bbが2つ形成されている。この2つの孔15bbは、カム4の回転によりベアリング12を介して一体回転する揺動歯車15が回転を行おうとした場合に、その回転を規制する機能を有する。つまり、それぞれの孔15bbの中にはピン16が、図4に示す如く軸方向に挿通され、2つのピン16により揺動歯車15の回転が規制される。これにより、揺動歯車15は揺動歯車の中心に対して周方向には回転せず、ピン16が孔15bbの周面に常に摺接した状態で円運動を行いながら、揺動運動を行う。
【0034】
一方、この揺動歯車15の内歯15baには、内歯15baの歯数よりも2歯少ない40歯の外歯26cを有した歯車26が、モータ回転軸10aと同軸で配設される。この場合、歯車26は後述する出力部材6のモータ側へと延在する支持部6gにより、ベアリング18を介して支持される。また、この歯車26は、図3において軸方向における中央から左側の部分が、図1で示した出力部材6の動力伝達を行う機能を有すると共に、右側の部分が図1に示すカム4と略同じ形状(例えば、小径部と大径部を有し、小径部が大径部よりも軸方向に長く、カム軸がモータ回転軸と同じ)および機能(ウェイトバランス機能等)を有する。それ故、歯車26は出力側にカム面(第2カム面)26eを有するカム歯車となっている。
【0035】
カム面26eにはベアリング19が配設されており、ベアリング19を介して外径に揺動運動を行わせる第2段の揺動歯車25が配設される。
【0036】
揺動歯車25は軸方向断面が略U字状の環状の歯車であり、内径部25aはベアリング19に周面で当接して、カム歯車26と一体回転を行う。また、揺動歯車25の外径部25bには歯数が42歯の内歯25baが形成されて、外径部25bの外周面には4つの回転規制部25bbが揺動歯車25の中心に対して、90度の位置で形成されている。この回転規制部25bbには半円形状をした半円弧部25bcが外周に形成されている。回転規制部25bbの半円弧部25bcは、カム歯車26の回転により揺動歯車25が回転を行おうとすると、ハウジング22の凹部22b内に圧入された環状部材27に設けられた4つのピン17に対して、4つの半円弧部25bcの円弧面で内接して、揺動部材25の中心を基準とした周方向の回転運動が規制されるので、揺動歯車25は4つのピン17により動きが規制(図6を参照)された状態下で揺動運動を行う。この揺動歯車25の内歯25baには、内歯25baの歯数よりも2歯少ない40歯の外歯を有してモータ10の回転を外部に出力する出力部材6が、モータ回転軸10aと同軸で配設される。
【0037】
出力部材6の軸方向断面は、図3に示す如くカム側に凹部をもつ凸状を呈し、カム側から右側に行くに従って段階的に大径部6d、中径部6e、小径部6fを一体で有する。出力部材6は、カム4まで延在した軸方向端部6aが、カム4に形成された凹部4dにベアリング13を介して嵌っている。出力部材6の出力端6bは、ハウジング3に形成された貫通孔を貫通し、貫通孔に設けられたベアリング14によりモータ回転軸10aと同軸で軸支されている。よって、揺動歯車25の揺動運動は、揺動歯車25の内歯25baと出力部材6の外歯6cとの噛合によって出力部材6に伝達され、出力部材6が回転運動する。
【0038】
次に、第2実施形態における歯車減速装置1の動作について説明する。モータ10に図示しない外部電源より通電を行うと、モータ回転軸10aが回転を行う。モータ回転軸10aの回転によって、偏心形状をしたカム4はカム軸(モータ回転軸10aと同軸)を中心として回転する。カム4が回転すると、カム4にベアリング12を介して嵌められる揺動歯車15が、カム軸を中心として偏心回転しようとする。しかし、この場合、揺動歯車15は周状に設けられた回転規制部となる2つの孔15bbに挿通される、ハウジング2に固定されたピン16により規制される事から、揺動歯車15はその中心を基準として周方向へ回転しようとしても、その回転が2つのピン16によって規制される為、揺動歯車15は2つの孔15bbを移動限界とした運動(揺動)を行う。そして、図5の如く、揺動を行う揺動歯車15の内歯15baにカム歯車26の外歯26cが噛合するが、この場合、カム歯車26はモータ回転軸10aと同軸で、ハウジング3に対してベアリング18を介して出力部材6の支持部6gによって、回転自在に支持されている為、カム歯車26は回転運動を行う。
【0039】
これによって、モータ10が1回転すれば、揺動歯車5の内歯5baと出力部材6の外歯6cとの歯数の差分だけ、カム歯車26が回転する(第1減速比)。このカム歯車26の回転により得られた第1段の出力は、第2段へと伝達される。
【0040】
第2段ではカム歯車26が回転すると、カム歯車26の小径部にベアリング19を介して嵌められる揺動歯車25が、モータ回転軸10aと一致するカム軸を中心として偏心回転しようとする。しかし、この場合、揺動歯車25は揺動歯車25に外接する様、周状に設けられた4つの回転規制部25bbがハウジング側に設けられた4つのピン17により規制されるので、揺動歯車25は周方向へ回転しようとしてもその回転が規制される。このため、揺動歯車25は4つのピン17を移動限界とした運動(例えば、同径の4つの半円弧部25bcの径に一致した円運動をここでは揺動と称す)を行う。そして、揺動を行う揺動歯車25の内歯25baに出力部材6の外歯6cが噛合するが、この場合、出力部材6はモータ回転軸10aと同軸でハウジング3に対してベアリング14を介し回転自在に支持されている為、出力部材6は回転運動を行う。
【0041】
これによって、カム歯車26が1回転すれば、揺動歯車25の内歯25baと出力部材6の外歯6cとの歯数の差分だけ、出力軸6が回転する(第2減速比)。よって、以上の様な構成により、第1段で得られる第1減速比と、第2段で得られる第2減速比により、高減速比(第2実施形態での減速比=第1段の第1減速比×第2段の第2減速比)が得られる構成となる。
【0042】
以上、説明した様に、上記した構成により、ハイポサイクロイド歯車減速装置の動力伝達系を2段として、動力伝達効率の低下を、第1段では孔15bbとピン16との係合により動力伝達箇所(カップリング)により揺動運動を作り出す構成とした。この場合、カップリングの箇所を2ヶ所としたので、2ヶ所のカップリングにより揺動部材15に対して、摩擦力をできるだけ抑えた状態で揺動を行わせることが可能であり、しかも、カップリング箇所を3箇所以上設ける場合よりも伝達効率の低下を図ることができる。また、第2段では出力軸6の外歯6cとそれに噛合する内歯25baを有する揺動歯車52を揺動させ、カム歯車26と揺動歯車25の回転を4つのピン17により規制することにより、高効率化を図った。この構成によれば、トルクの出力軸である出力部材6には伝達効率が低下するカップリングの構造をもたない為、伝達効率を良くすることができる。また、揺動歯車5を正確に揺動させるため、複数の突起部2cを出力部材6に動力伝達を行う噛合面よりも外径側に設けることにより、内径側に設けるよりも揺動歯車5を安定した状態で回転させて減速を行うことができる。また、カム4は編肉にしてウェイトバランス機能を持たせているので、回転を行う場合に振動等が発せず、安定した回転をさせることができる。
【0043】
尚、上記した実施形態の変形例として、内歯と外歯とを相互に置き換えたものも採用することが出来る。
【0044】
【発明の効果】
第1の発明によれば、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しないので、効率良く動力伝達が行える。
【0045】
この場合、固定突起は複数設けられ、揺動歯車の外周面には固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、半円弧部は固定突起に内接するので揺動歯車は固定突起に対して動きが規制され、安定した状態で揺動ができる。
【0046】
また、第2の発明によれば、モータから出力部材への動力伝達系においては、カップリングが存在しても2ヶ所のみであり、従来の構成よりも伝達効率を良くすることができる。
【0047】
この場合、第1固定突起は2つ設けられ、第1揺動歯車には第1固定突起がそれぞれ内接する孔が形成されれば、第1揺動歯車に形成された2つの孔に第1固定突起は内接させ、第1揺動歯車を安定した状態で揺動させることができる。
【0048】
また、第2固定突起は複数設けられ、第2揺動歯車の外周面には第2固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されれば、複数の第2固定突起は第2揺動歯車の外周に形成された半円弧部を内接させ、第2揺動歯車を安定した状態で揺動させることができる。
【0049】
更に、カムは、回転バランスを取るバランス部を有すれば、カム回転時にバランス部により振動の発生が防止され、安定した回転を行うことができる。
【0050】
尚、第3の発明は第1の発明と同様の効果を奏し、また、第4の発明は第2の発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における歯車減速装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すA−A断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における歯車減速装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示すA−A断面での揺動歯車の内側の噛合状態を示す説明図である。
【図5】図3に示すB−B断面での揺動歯車の内側の噛合状態を示す説明図である。
【図6】図3に示すC−C断面での揺動歯車の内側の噛合状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 歯車減速装置
2,3, 22 ハウジング
2c 突起部(固定突起)
4 カム
4a 小径部(バランス部)
4b 大径部(バランス部)
4e カム面(第1カム面)
5 歯車(揺動歯車)
5ba 内歯
5bb 回転規制部
5bc 半円弧部
6 出力部材
6c 外歯(第2外歯)
15 揺動歯車(第1揺動歯車)
15ba 内歯(第1内歯)
16 ピン(第1突起)
17 ピン(第2突起)
25 揺動歯車(第2揺動歯車)
25ba 内歯(第2内歯)
25bb 回転規制部
5bc 半円弧部26 歯車(カム歯車)
26c 外歯(第1外歯)
26e カム面(第2カム面)
Claims (12)
- ハウジングと、
ハウジング内部の所定位置に設けられた固定突起と、
モータ回転軸と一体回転を行うカムと、
内歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記固定突起によって規制されて揺動を行う揺動歯車と、
該揺動歯車の内歯に噛合する外歯を有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことを特徴とする歯車減速装置。 - 前記固定突起は複数設けられ、前記揺動歯車の外周面には、前記固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の歯車減速装置。
- ハウジングと、
該ハウジングの内部の所定位置に設けられた第1固定突起および第2固定突起と、
第1カム面を有し、モータ回転軸と一体回転を行うカムと、
第1内歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記第1固定突起によって規制されて揺動を行う第1揺動歯車と、
前記第1内歯と歯数が異なり、該第1内歯と噛合する第1外歯と、第2カム面とを有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行うカム歯車と、
第2内歯を有し、前記カム歯車の回転時に周方向の回転が前記第2固定突起によって規制されて揺動を行う第2揺動歯車と、
前記第2内歯と歯数が異なり、前記第2内歯と噛合する第2外歯を有し、前記カム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことを特徴とする歯車減速装置。 - 前記第1固定突起は2つ設けられ、前記第1揺動歯車には前記第1固定突起がそれぞれ内接する孔が形成されることを特徴とする請求項3に記載の歯車減速装置。
- 前記第2固定突起は複数設けられ、前記第2揺動歯車の外周面には、前記第2固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されたことを特徴とする請求項4に記載の歯車減速装置。
- 前記カムは、回転バランスを取るバランス部を有することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の歯車減速装置。
- ハウジングと、
ハウジング内部の所定位置に設けられた固定突起と、
モータ回転軸と一体回転を行うカムと、
外歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記固定突起によって規制されて揺動を行う揺動歯車と、
該揺動歯車の外歯に噛合する内歯を有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことを特徴とする歯車減速装置。 - 前記固定突起は複数設けられ、前記揺動歯車の外周面には、前記固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されたことを特徴とする請求項7に記載の歯車減速装置。
- ハウジングと、
該ハウジングの内部の所定位置に設けられた第1固定突起および第2固定突起と、
第1カム面を有し、モータ回転軸と一体回転を行うカムと、
第1外歯を有し、前記カムの回転時に周方向への回転が前記第1固定突起によって規制されて揺動を行う第1揺動歯車と、
前記第1外歯と歯数が異なり、該第1外歯と噛合する第1内歯と、第2カム面とを有し、前記カムのカム軸と同軸で配設されて回転を行うカム歯車と、
第2外歯を有し、前記カム歯車の回転時に周方向の回転が前記第2固定突起によって規制されて揺動を行う第2揺動歯車と、
前記第2外歯と歯数が異なり、前記第2外歯と噛合する第2内歯を有し、前記カム軸と同軸で配設されて回転を行う出力部材とを備えたことを特徴とする歯車減速装置。 - 前記第1固定突起は2つ設けられ、前記第1揺動歯車には前記第1固定突起がそれぞれ内接する孔が形成されることを特徴とする請求項9に記載の歯車減速装置。
- 前記第2固定突起は複数設けられ、前記第2揺動歯車の外周面には、前記第2固定突起と内接する複数の半円弧部が形成されたことを特徴とする請求項10に記載の歯車減速装置。
- 前記カムは、回転バランスを取るバランス部を有することを特徴とする請求項7または請求項9に記載の歯車減速装置。
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JP2002271933A JP2004144104A (ja) | 2002-08-30 | 2002-09-18 | 歯車減速装置 |
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JP2002271933A JP2004144104A (ja) | 2002-08-30 | 2002-09-18 | 歯車減速装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022064726A1 (ja) * | 2020-09-24 | 2022-03-31 | 日本電産株式会社 | サイクロイド減速装置及び電気機器 |
-
2002
- 2002-09-18 JP JP2002271933A patent/JP2004144104A/ja active Pending
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