JP2004143602A - ポリアクリロニトリル系炭素繊維用プリカーサー - Google Patents

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尾山 太郎
Hidekazu Yoshikawa
吉川 秀和
Koichi Sakamoto
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Abstract

【課題】付与する水の調製に際しては、その調製設備が大がかりなものとなることなく、その水を付与した後、長期間保存してもバクテリアやカビの増殖を抑え、炭素繊維、及びその炭素繊維を用いたコンポジットの強度低下を防止するためのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維用プリカーサーを提供する。
【解決手段】電解質としてアミン塩等の金属イオンを含まない塩、好ましくはNHClを用いて調製された電解酸化水を0.5質量%以上付与されてなるPAN系炭素繊維用プリカーサー。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維用プリカーサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、PAN系プリカーサーを原料として高性能のPAN系炭素繊維が製造されることは知られており、航空機を始めとして、スポーツ用品まで幅広い範囲で使用されている。とりわけ、高強度・高弾性の炭素繊維は宇宙航空用途に使用されており、更なる高性能化が求められている。
【0003】
PAN系炭素繊維を製造するためには、PAN系プリカーサーを製造する工程と、そのプリカーサーを焼成(耐炎化、炭素化)して炭素繊維を製造する工程の2つの工程が必要となる。即ち、凝固・水洗・オイリング・乾燥・延伸工程を経てプリカーサーを生産する速度と、プリカーサーを焼成して炭素繊維を生産する速度が著しく異なることから、PAN系炭素繊維製造工程は連続工程を構成し得ず、2工程に分離している。
【0004】
そのため、PAN系炭素繊維を製造するに際しては、一度プリカーサーの状態で保存されることが一般的である。
【0005】
プリカーサーの保存方法としては、ロール等で巻き取って保存する方法や、容器に詰めて(バッグ詰めして)保存する方法等が一般的であり、原料であるプリカーサーの生産時期と、製品である炭素繊維の生産時期とが一致しないため、プリカーサーを長い間保存することもある。
【0006】
プリカーサーを長期保存する場合には、温度・水分などのコントロールが必要である。更にバクテリアやカビの発生にも気を付けなければならない。
【0007】
特に、高温多湿である日本の夏にはカビの発生が著しく多く、このカビがプリカーサーの表面へ発生することが問題となる。このプリカーサー表面のカビはコロニーとなり、コロニーとなったカビは、プリカーサーの焼成工程(耐炎化工程、炭素化工程)における繊維の膠着や切断の原因となる。このようにプリカーサー表面のカビは、焼成工程、特に耐炎化工程で生ずるトラブルの原因となる。
【0008】
この焼成工程で生ずるトラブルを防止するためには、バクテリアやカビの発生は絶対に抑制しなければならない。また、バクテリアやカビの発生を抑制しなければ高品位の炭素繊維も得ることができない。
【0009】
本発明者等の属する研究グループは、長期間保存した後でも繊維強度を低下しないプリカーサーの保存方法について検討を行った。
【0010】
この保存方法は、プリカーサーの長期間保存中におけるバクテリア、カビの発生を抑制する為に、脱酸素剤の封入、脱気処理、不活性ガス置換、加熱殺菌処理を行うことを特徴としている(特許文献1)。
【0011】
しかし、これらの処理は、プリカーサーの保存の前処理又は後処理としてする必要があり、処理操作が多くなるので問題である。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−240168号公報(第2〜4頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等の属する研究グループは、上記バクテリアやカビの発生抑制に関し、高い殺菌効果を持ち、環境及び人体に害を与えないNaCl水溶液の電解酸化水を用いたプリカーサーの殺菌について検討を行った。
【0014】
電解酸化水とは、一般に0.1〜1質量%程度の希薄食塩水が電解質水溶液として用いられ、この電解質水溶液を電気分解して陽極側で得られる水溶液である。この電解酸化水は、物理化学的には、pH2.5以下、酸化還元電位(ORP)1100mV以上、残留塩素濃度20ppm以上の水溶液である。この水に含まれるイオンは図2に示されるものが考えられる。
【0015】
電解酸化水の生成方式には、バッチ式と連続流水式とがあり、更に装置のタイプとしては、イオン交換膜などの隔膜で陽極槽と陰極槽とに仕切った図2のような2槽タイプのものと、隔膜の仕切を設けない1槽タイプのものとがある。
【0016】
どちらのタイプの電解酸化水生成装置の使用においても、ランニングコストは従来の紫外線、オゾンなどにより処理する殺菌方法に比べて安価であり、人体に害を及ぼさず、装置の維持保全も簡単である。
【0017】
なお、上記電解酸化水中に含まれる塩素成分は、電解酸化水が空気に接すると塩素ガスとして空気中に放出され、ただの水に戻るために、環境への害をほとんど与えないことが分かっている。
【0018】
この電解酸化水をプリカーサーへの付与水として用い、このプリカーサーを長期間保存した後、焼成して炭素繊維を製造してみた。しかし、得られた炭素繊維は、プリカーサーを保存することなく焼成して得られた炭素繊維と比べて、繊維強度が264MPa低下するという問題が生じた。
【0019】
本発明者等は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、電解酸化水の調製に用いる電解質が、NaCl、KCl等のアルカリ金属塩である場合、電解酸化水の調製時において陽極側の水(電解酸化水)には通常上記アルカリ金属イオンが残存するが、このアルカリ金属イオンの存在が得られる炭素繊維の強度を大きく低下させることを知得した。
【0020】
そこで、アルカリ金属を含む電解質水溶液を電解して得られる電解酸化水の調製時において陽極側の水中にアルカリ金属イオンが残存させないようにした。しかし、そのためには電解酸化水の調製設備が大がかりなものとなるので好ましくないことを知得した。
【0021】
以上の知見から本発明者等は、電解質として金属イオンを含まない塩を用いて調製された電解酸化水のプリカーサーへの付与量を所定範囲にすることより、プリカーサーの保存の前後に、脱酸素剤の封入等の処理をすることなく、長期間保存してもバクテリアやカビの増殖が抑えられ、更に、このプリカーサーを焼成して得られる炭素繊維は、その強度が高いことを知得し本発明を完成するに到った。
【0022】
よって、本発明の目的とするところは、プリカーサーに付与する水の調製に際しては、その調製設備が大がかりなものとなることなく、プリカーサーに水を付与した後、そのプリカーサーを長期間保存してもバクテリアやカビの増殖が抑えられ、炭素繊維、及びその炭素繊維を用いたコンポジットの強度低下も防止されるPAN系炭素繊維用プリカーサー、及びそのプリカーサー用いた炭素繊維を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
【0024】
〔1〕  電解質として金属イオンを含まない塩を用いて調製された電解酸化水を0.5質量%以上付与されてなるポリアクリロニトリル系炭素繊維用プリカーサー。
【0025】
〔2〕  電解質がNHClである〔1〕に記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維用プリカーサー。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明のPAN系炭素繊維用プリカーサーは、電解酸化水を0.5質量%以上、好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは1〜5質量%含む。
【0028】
電解酸化水のプリカーサーへの付与量が0.5質量%未満の場合は、プリカーサーの保存中にバクテリアやカビが増殖し、このプリカーサーを焼成して得られる炭素繊維の強度が低下するので好ましくない。
【0029】
上記電解酸化水を付与するPAN系プリカーサーは、アクリロニトリルを90質量%以上、好ましくは95質量%以上含有する単量体を重合した紡糸溶液を湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸した後、水洗・乾燥・延伸して得られるプリカーサーを用いることが好ましい。これらのプリカーサーは、従来公知のものが何ら制限なく使用できる。
【0030】
上記PAN系プリカーサーに付与する電解酸化水は、水にアミン塩等の金属イオンを含まない塩を0.1〜1質量%入れ、電解した陽極水が好ましい。
【0031】
電解酸化水の調製に用いる電解質は、アミン塩等の金属イオンを含まない塩、好ましくはNHClを用いる。
【0032】
得られる電解酸化水は、pH1.5〜3.0、ORP900〜1200mVとすることが好ましい。この電解酸化水を調製するための装置としては、特に限定されるものではないが、例えば前述の図2に示す電解酸化水調製装置を用いることができ、また強電解水生成器(1500ml/分以上の流量での生成が可能な電解酸化水の調製装置)を用いることもできる。
【0033】
なお、電解酸化水の生成条件の詳細については、特開平11−239791号公報、特開平11−221566号公報、特許第2036188号公報等が参考となる。
【0034】
上記アミン塩等の金属イオンを含まない塩としては、NHCl、NHClO、NHClO、NHClO、NHClOなどを用いることができる。これらの塩のうちでも、入手のしやすさからNHClが特に好ましい。
【0035】
本発明においては、プリカーサーへの付与水に上記電解酸化水を用いているので、プリカーサーの保存の前後に、脱酸素剤の封入等の処理をすることなく、たとえ長期間保存してもバクテリアやカビの増殖が抑えられ、更に、このプリカーサーを焼成して得られる炭素繊維は、膠着・毛羽が少なく、繊維強度も高いものである。
【0036】
電解酸化水をプリカーサーに付与する方法としては、公知の諸方法で行うことができるが、例えば図1に示す延伸ローラー出側の水噴霧部2を用いることにより、既存の装置においてノズル4に送る付与水を電解酸化水に交換するだけで、効率良く付与操作をすることができる。
【0037】
図1中、6は噴霧された電解酸化水であり、8は延伸ローラーである。
【0038】
電解酸化水が付与されたプリカーサーは、必要な期間密封状態で保存された後、焼成して炭素繊維にされる。密封は、ポリエチレン、ナイロン等のバッグなどを用いることによって行うことができる。
【0039】
また、この炭素繊維は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等と複合化させ、種々の形態のコンポジットに加工することができる。
【0040】
【実施例】
本発明を以下の実施例及び比較例により具体的に説明する。
【0041】
以下の実施例及び比較例の条件により電解酸化水、プリカーサー、炭素繊維、及びコンポジットを作製した。電解酸化水、プリカーサー、炭素繊維、及びコンポジットの諸物性値を、以下の方法により測定した。
【0042】
[金属含有量]
フレ−ム原子吸光〔日本ジャーレル・アッシュ(株)製:商品名AA−880〕により測定した。
【0043】
[バクテリア数]
プリカーサー付着バクテリア数の測定に際し、使用器具はすべて120℃、飽和蒸気圧条件に30〜60minさらし、殺菌処理を施したものを用いた。
測定手順
ア.プリカーサーストランド1mを滅菌生理食塩水200mlに浸し、1hr振盪。
イ.振盪終了後、懸濁液200μlを標準寒天培地プレートに播種(プレート法)。
ウ.バクテリア数が少なかった場合、以上の操作では検出されないことがあるので、残りの懸濁液をφ0.45μmの罫線入りメンブレンフィルターで濾過した後、メンブレンフィルターを標準寒天培地プレートに播種(フィルター法)。
エ.インキュベーターで一晩培養し、形成されたコロニー数を評価。
【0044】
バクテリア数が極端に多かった場合は、希釈して標準寒天培地プレートに播種し、形成コロニー数を測定するか、懸濁液を直接顕微鏡下に置き、バクテリア計算盤を用いてカウントを行い、評価した。通常、形成コロニー数は1プレート当たり30〜300の範囲に収まるように行うのが望ましい。
【0045】
[熱処理斑点数]
電解酸化水を付与したプリカーサー、又は未付与のプリカーサーについて、熱板又はヒートローラーを使用し、180℃の温度で1分間、直接プリカーサーを接触させた。この熱処理時に生じた斑点状の色むらを、連続的に30mの距離でカウントすることにより測定した。なお、斑点状の色むらは、バクテリアのコロニーが主体であることが確認できている。
【0046】
[比重]
アルキメデス法により、アセトンを用いて測定を行った。
【0047】
[繊維強度及び弾性率]
JIS R 7601に規定された方法により測定した。
【0048】
[膠着数]
炭素繊維ストランドを3mmの長さに切断し、アセトン10mlの入った100mlビーカーに投入し、超音波振動を10秒間以上付与し、光学顕微鏡にて20倍の倍率で観察することにより、融着箇所の数をカウントした。
【0049】
[層間剪断強度(ILSS)]
フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔チバガイギー社製、商品名:EPN1138〕70質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート834〕12質量部、ビスフェノールA型樹脂〔油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート1002〕18質量部の割合で混合した樹脂組成物に、更に硬化剤、促進剤を加えたプリプレグ用樹脂組成物を作製した。
【0050】
この樹脂組成物をフィルムコーターにより、剥離紙の上に塗布し、樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルム上に炭素繊維ストランドを等間隔に引き並べた後、加熱して樹脂を前記炭素繊維ストランドに含浸させ、炭素繊維目付け150g/mm、樹脂含有率37質量%のUDプリプレグを作製した。
【0051】
作製したUDプリプレグを厚みが3mmとなるように積層し、金型に入れ、180℃で2時間、0.69MPa−Gauge(7kgf/cm−Gauge)の圧力で成型し、10mm×3.0mm×21mmの繊維が1方向に配列した炭素繊維強化成型板(CFRP板:コンポジット)を作製した。このコンポジットについて、ASTM・D・2344(若しくはJIS K 7078)に準拠し、室温にてILSSの測定を行った。
【0052】
(プリカーサー付与用の電解酸化水の調製)
電解槽に強電解水生成器〔東洋金属(株)製、商品名:テクノ・スーパーW〕、電解質に表3に示す塩化物を用い、プリカーサー付与用の電解酸化水を調製した。電解条件は上記電解槽の標準の使用条件で行った。
【0053】
即ち、電解条件は、上記電解槽において電解質水溶液の電解質mol濃度2.5mol/Lの条件で電解酸化水を調製した。表3に示す何れの電解質を使用した場合も、有効塩素濃度30ppm、pH2.0、ORP1180mVに調整した。
【0054】
実施例1
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を湿式又は乾湿式紡糸し、水洗・乾燥・延伸・オイリングして0.98dのPAN系炭素繊維用プリカーサーを得た。
【0055】
図1に示す延伸ローラー出側の水噴霧部において、上記PAN系炭素繊維用プリカーサーに表1〜3に示す電解質がNHClの電解酸化水を5質量%付与した後、この水分率5質量%のプリカーサーを、密閉容器内に所定日数保存した。
【0056】
これら各保存日数のプリカーサーについて、バクテリア数、熱処理斑点数を測定した。その結果、表1〜2に示すようにバクテリアの発生が抑制されていることが認められた。
【0057】
保存日数50日のプリカーサーを、常法により240〜280℃の範囲内の温度勾配を有する熱風循環式耐炎化炉で60分間連続的に耐炎化処理した。次いで、窒素気流中350〜1600℃の温度勾配を有する炭素化炉で10分間処理して、炭素繊維とした。得られた結果を表3に示す。その結果、繊維強度は5211MPaと高強度であり、膠着数は9ヶ/30mと少ないものであった。
【0058】
この炭素繊維について、前述の測定方法に従ってコンポジット試験片のILSSを測定した。その結果を表3に示すようにILSSは高いものであった。
【0059】
実施例2
PAN系炭素繊維用プリカーサーに表1〜3に示す電解質がNHClの電解酸化水を10質量%付与した以外は、実施例1と同様にプリカーサーの作製及び保存、並びに、炭素繊維及びコンポジットの作製を行い、諸物性値を測定した。
【0060】
その結果、表1〜2に示すようにバクテリアの発生が抑制されていることが認められ、表3に示すように炭素繊維は強度が高く、膠着数が少ないものであり、コンポジットはILSSが高いものであった。
【0061】
実施例3
PAN系炭素繊維用プリカーサーに表1〜3に示す電解質がNHClの電解酸化水を0.5質量%付与した以外は、実施例1と同様にプリカーサーの作製及び保存を行い、諸物性値を測定した。
【0062】
その結果、表1〜2に示すようにバクテリアの発生が抑制されていることが認められた。
【0063】
比較例1
PAN系炭素繊維用プリカーサーに表1〜3に示す電解質がNHClの電解酸化水を0.3質量%付与した以外は、実施例1と同様にプリカーサーの作製及び保存を行い、諸物性値を測定した。
【0064】
その結果、表1〜2に示すようにバクテリアの発生が抑制されず、バクテリア及びそのコロニーが多数増殖していることが認められた。
【0065】
比較例2
PAN系炭素繊維用プリカーサーに電解酸化水を付与しなかった以外は、実施例1と同様にプリカーサーの作製及び保存、並びに、炭素繊維及びコンポジットの作製を行い、諸物性値を測定した。
【0066】
その結果、表1〜2に示すようにバクテリアの発生が抑制されず、バクテリア及びそのコロニーが多数増殖していることが認められ、表3に示すように炭素繊維は強度が低く、膠着数が多いものであった。
【0067】
実施例4
PAN系炭素繊維用プリカーサーに表1〜3に示す電解質がNHClの電解酸化水を20質量%付与した以外は、実施例1と同様にプリカーサーの作製及び保存、並びに、炭素繊維及びコンポジットの作製を行い、諸物性値を測定した。
【0068】
その結果、表3に示すように炭素繊維は強度が高く、膠着数が少ないものであり、コンポジットはILSSが高いものであった。
【0069】
比較例3
PAN系炭素繊維用プリカーサーに表3に示す電解質がNaClの電解酸化水を5質量%付与した以外は、実施例1と同様にプリカーサーの作製及び保存、並びに、炭素繊維及びコンポジットの作製を行い、諸物性値を測定した。
【0070】
その結果、表3に示すように炭素繊維は強度が低く、膠着数が多いものであり、コンポジットはILSSが低いものであった。
【0071】
比較例4
PAN系炭素繊維用プリカーサーに表3に示す電解質がKClの電解酸化水を5質量%付与した以外は、実施例1と同様にプリカーサーの作製及び保存、並びに、炭素繊維及びコンポジットの作製を行い、諸物性値を測定した。
【0072】
その結果、表3に示すように炭素繊維は強度が低く、膠着数が多いものであり、コンポジットはILSSが低いものであった。
【0073】
【表1】
Figure 2004143602
【0074】
【表2】
Figure 2004143602
【0075】
【表3】
Figure 2004143602
【0076】
【発明の効果】
本発明のPAN系炭素繊維用プリカーサーは、電解酸化水のプリカーサーへの付与量を所定範囲にし、且つ電解酸化水の調製に用いる電解質をアミン塩等の金属イオンを含まない塩、好ましくはNHClにしているので、アルカリ金属が付着して得られる炭素繊維強度を低下させることがない。また、プリカーサーの保存の前後に、脱酸素剤の封入等の処理をすることなく、3ヶ月以上長期間保存してもバクテリアやカビの増殖が抑えられる。更に、このプリカーサーを焼成して得られる炭素繊維、及びその炭素繊維を用いたコンポジットは、その強度が高いものである。なお、上記電解酸化水の調製に際しては、その調製設備は大がかりなものとはならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解酸化水をプリカーサーに付与するための延伸ローラー出側の水噴霧部の一例を示す概略図である。
【図2】2槽タイプの電解酸化水生成装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
2    延伸ローラー出側の水噴霧部
4    ノズル
6    噴霧された電解酸化水
8    延伸ローラー

Claims (2)

  1. 電解質として金属イオンを含まない塩を用いて調製された電解酸化水を0.5質量%以上付与されてなるポリアクリロニトリル系炭素繊維用プリカーサー。
  2. 電解質がNHClである請求項1に記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維用プリカーサー。
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