JP2004141957A - 溶融金属鋳造用タンディッシュ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、溶融金属連続鋳造用タンディッシュ内や浸漬ノズル内で偏流を生ずることなく、それによって浸漬ノズル内孔部でのアルミナ閉塞を防止することができる溶融金属連続鋳造用タンディッシュを提供することにある。
【解決手段】本発明の溶融金属鋳造用タンディッシュは、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部に設けられたノズル孔の周囲の敷部表面が凹凸形状を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の溶融金属鋳造用タンディッシュは、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部に設けられたノズル孔の周囲の敷部表面が凹凸形状を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属鋳造用タンディッシュに関し、更に詳細には、ノズル孔の周囲の敷部表面が特定の形状を有する溶融金属鋳造用タンディッシュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属の連続鋳造における課題の一つに、上ノズル及び/または浸漬ノズル内孔部にアルミナが付着することによる孔部の閉塞の問題がある。この問題を解決する手段の一つとして、上ノズル、浸漬ノズルの内孔部の形状が検討されている。例えば、特許文献1には、タンディッシュ内の溶湯をモールド内に注入するものにおいて、少なくとも溶湯に浸漬する下端部分の溶湯流通路を下端に向って末広がりの形状としたことを特徴とする連続鋳造ノズルが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ノズル孔の内面に、断面円弧状をなす波方の襞が溶湯の流れる方向へ4山以上連ねて設けられ、該襞は山から山までの間隔が4〜25cmで、山から谷までの深さが0.3〜2cmであることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。
【0004】
更に、特許文献3には、少なくとも内孔表層部が溶鋼との接触角を90度以下とする耐火物材料であり、且つ、内孔表面が凹凸状の形状であることを特徴とする鋼の連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、最外周から中心部へ螺旋上に形成された円形流路と、前記流路の最外周に設けられた取鍋からの溶鋼を不活性ガス雰囲気の密閉室を介して受ける湯落し口と、前記流路の中心部に設けられ前記溶鋼を鋳型へ注入するノズル口と、前記流路の底部に設けられた不活性ガス吹込み用のポーラスプラグと、前記流路に設けられ混入したスラグおよび浮上した介在物を排出するスキンマーと、前記流路の上部を被覆する蓋と、を有して成ることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−60055号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平6−269913号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開2001−105106号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平3−226339号公報 (特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、種々の連続鋳造用ノズル等が開示されているが、いずれもノズル内孔部のアルミナ付着を防止するためには充分な効果を発揮していない。また、螺旋状に形成された円形流路を有するタンディッシュを開示している特許文献4は、溶鋼中の介在物浮上を目的としているために、溶鋼のタンディッシュ内での滞留時間を長くできる流路間では溶鋼が遮断されている。そのために偏流が生じて浸漬ノズル内孔部でのアルミナ閉塞の問題は解決できない。
【0008】
従って、本発明の目的は、溶融金属連続鋳造用タンディッシュ内や浸漬ノズル内で偏流を生ずることなく、それによって浸漬ノズル内孔部でのアルミナ閉塞を防止することができる溶融金属連続鋳造用タンディッシュを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の溶融金属鋳造用タンディッシュは、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部に設けられたノズル孔の周囲の敷部表面が凹凸形状を有することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明の溶融金属鋳造用タンディッシュは、凹凸形状が、ノズル孔を中心にした右巻き螺旋形状、左巻き螺旋形状、放射状形状またはコブ状形状から選択される1種または2種以上を組み合わせた形状であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュは、凹凸形状の高さの差が、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部から溶鋼の上面までの高さの50%以下であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
現在、浸漬ノズル内孔部へのアルミナ付着のメカニズムは充分には解明されていないが、浸漬ノズル内の溶鋼流が偏流になっていることが原因の一つと考えられている。従来の浸漬ノズルは、この偏流を浸漬ノズル内で整流化するため、浸漬ノズル内を種々の形状としていたが、浸漬ノズルの長さが高々1m程度であるのに対して、浸漬ノズル内孔部を流れる溶鋼の速さは数m/分以上あり、偏流を整流化するには、浸漬ノズルの長さが短すぎる。また、浸漬ノズル内における溶鋼流の偏流は、主として浸漬ノズルの上流側に位置する流量制御用スライディングプレートとタンディッシュの影響によるものである。
【0013】
一例として、以下の図15に記載する慣用の連続鋳造装置を用いて溶鋼流の偏流について説明する。連続鋳造装置は、タンディッシュ(a)、上ノズル(b)、スライディングプレート(c)、浸漬ノズル(d)より構成されており、タンディッシュ(a)の内部には、湯当たり部(e)が設置されている。タンディッシュ(a)から上ノズル(b)に流れ込む溶鋼は、上ノズル(b)の口元において、通常は既に偏流となっている。更に、溶鋼がスライディングプレート(c)を通過する際に、スライディングプレートの開度に応じて、その偏流が増幅されていく。本発明者らの検討では、タンディッシュ(a)から上ノズル(b)の口元に溶鋼が流れ込む際に既に生じている偏流をコントロールできれば、下流に位置するスライディングプレート(c)、浸漬ノズル(d)内での偏流を抑制できることが判った。
【0014】
そこで、本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュでは、タンディッシュから上ノズルに溶鋼が流れ込む口元において、溶鋼の流れをコントロールすることにより、浸漬ノズル内での溶鋼流を整流化し、浸漬ノズル内孔部へのアルミナ付着を抑制するものであり、それによって安定した連続鋳造操業が可能となるものである。
【0015】
本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュにおいて、溶融金属連続鋳造用タンディッシュの敷部に設けられた上ノズル孔の周囲の敷部表面を凹凸形状とするものである。これによって、溶融金属連続鋳造用タンディッシュから上ノズルに溶鋼が流れ込む口元において、溶鋼の流れをコントロールすることが可能となる。
【0016】
更に、該凹凸形状が、上ノズル孔を中心にして右巻き螺旋形状、左巻き螺旋形状、放射状形状、コブ状形状の何れかを単独でまたは複数組み合わせた形状とすることにより、溶鋼流の偏流を更に抑制することができる。
【0017】
次に、本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの実施態様を図にて説明する。図1は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を右巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が連続した形状のものである。なお、図2は、図1のA−A’線における断面図である。また、図4は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を右巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が不連続な形状のものである。ここで、実線は凸部の稜線を示し、破線は凹部の谷を示し、一点鎖線は上ノズルの孔部(1)の上面の縁を示す。また、斜線部はそれと接する実線または破線と同じ高さを示す平坦部を表し、点で表した部分は螺旋の外周部を表している。谷、稜線等の高さは、上ノズルの孔部上面を基準として計るものとする。図1では、谷の高さが螺旋部分の外周部のタンディッシュ(a)の敷部の高さと同じになっているが、稜線が外周部のタンディッシュ(a)の敷部の高さと同じであっても良い。その場合には、谷は外周部より低くなり、更に、上ノズルの孔部上面もそれに連れて低くなる。また、螺旋内の各谷部及び/または各稜線の高さが上ノズルの孔部に向かって傾斜していても良い。更に、図では、稜線及び谷は線状の幅しか持っていないが、任意の幅を持たせることが可能である。図3は、図1に示す凹凸形状を有するタンディッシュ内での溶鋼流の流れを模式的に示した図であり、凸部(稜線)の直上での流れを示している。特徴的なことは、螺旋形状の凹凸形状を受けて溶鋼が螺旋的に流れていることと、螺旋間を短絡で流れてくる流線が存在することである。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。なお、図4に示すタンディッシュにおいても、同様の溶鋼流が生ずる。
【0018】
図5は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を左巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が連続した形状のものである。また、図6は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心として敷部表面を右巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が不連続な形状のものである。図5及び6の見方は、図1ないし4と同様であり、右巻きと左巻きの違い以外は同様である。図7は、図5及び6に示す形状を有するタンディッシュ内での溶鋼流の流れを模式的に示した図であり、溶鋼の流れ方も図3とは反対の左巻きになっている。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0019】
図8は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を放射状に稜線と谷が延びた凹凸形状としたものであり、凹凸形状が連続した形状のものである。また、図9は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を放射状に稜線と谷が延びた凹凸形状としたものであり、凹凸形状が不連続な形状のものである。ここで、放射状に伸びた稜線及び谷の数は、図8及び9に記載の態様に限定されるものではなく、任意に作成することができる。また、稜線と谷の間隔も均等である必要はなく、稜線、谷の幅も任意に選択することができる。図10は、図8に示すタンディッシュ内での溶鋼流の流れを模式的に示した図であり、凸部(稜線)の直上での流れを示している。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0020】
図11は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を突起状の凹凸形状としたものである。図12は、図11に示すタンディッシュのA−A’ 線における断面図である。図13は、図11に示すタンディッシュ内での溶鋼流れを模式的に示した図であり、凸部の直上での溶鋼流を示すものである。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0021】
図14は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面に、螺旋形状と放射形状を組み合わせた凹凸形状とした構成を示す図であり、このような構成により上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0022】
なお、上述のような種々の形状を有する凹凸形状の高さの差が、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部から溶鋼の上面での高さの50%以下、好ましくは20%以下とすることが望ましい。該高さの差が50%を超えると、上ノズルの孔部(1)での溶鋼流の流れが整流化されず、下流側の浸漬ノズル内孔部のアルミナ付着防止効果が充分に得られないことがあるために好ましくない。
【0023】
上述のような本発明の溶鋼金属連続鋳造用タンディッシュの敷部表面の形状は次のようにして作製することができる。
タンディッシュの内張り材のウェアーランニングは、キャスタブルを用いて通常施工されている。タンディッシュの敷部を施工する際に、予め用意した所定の表面形状を有する枠を敷部表面に押し当てて型を取り、キャスタブルが適当な強度を持ったところで、脱枠することにより、上述のような所望の形状を有する敷部を得ることができる。
【0024】
また、別法として、所定の表面形状を有するプレキャストブロックを作製し、該プレキャストブロックをタンディッシュの敷部に施工することによっても、上述のような所望の形状を有する敷部を得ることができる。プレキャストブロックは、所定の表面形状を有する型枠中に不定形材料を流し込み、乾燥、焼成することにより作製することができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュを更に説明する。
実施例
鋳造機、鋳造速度、鋳造量等の鋳造条件を同一として、低炭アルミキルド鋼を鋳造した時の上ノズル及び浸漬ノズルの内孔部へのアルミナ付着状況を本発明品の溶融金属連続鋳造用タンディッシュと、比較品のタンディッシュにおいて比較した。また、アルミナの付着状況から見て、鋳造可能な最大連々数を見積もった。結果を表1〜3に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
表1では、上ノズル、浸漬ノズルの形状で、「常用形状」とは、通常良く利用されている内孔部が溶鋼の流路に沿ってストレート形状になっているものを示し、タンディッシュでは、凹凸のない滑らかな形状を示す。高さ比率とは、タンディッシュの敷部から溶鋼の上面までの高さに対する敷部の凹凸形状の凸部までの高さの比率(%)を示すものである。アルミナ付着厚み比率(上ノズル)、アルミナ付着厚み比率(浸漬ノズル)は、それぞれ上ノズル、浸漬ノズルについて、比較品1の場合のアルミナ付着量を100とした時の比率で表現した。数字が小さい程、アルミナの付着量が少なく、良好であることを示す。また、連々数比率は、同じく比較品1の場合の鋳造可能な最大連々数を100とした時の比率で表現したものであり、数字が大きい程連々数がアップし、良好であることを示す。表から判るように、いずれも本発明品が優れている。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部に設けられたノズル孔の周囲の敷部表面を凹凸形状としたことにより、溶融金属連続鋳造用タンディッシュ内や浸漬ノズル内で偏流を生ずることなく、それによって浸漬ノズル内孔部でのアルミナ閉塞を防止することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの1実施態様を示す図である。
【図2】図1に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュのA−A’線における断面図である。
【図3】図1に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図4】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの他の実施態様を示す図である。
【図5】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図6】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図7】図5及び6に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図8】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図9】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図10】図8及び9に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図11】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図12】図11に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュのA−A’線における断面図である。
【図13】図11に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図14】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図15】従来の連続鋳造装置の概略図である。
【符号の説明】
a タンディッシュ
b 上ノズル
c スライディングプレート
d 浸漬ノズル
e 湯当たり部
1 上ノズルの孔部
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属鋳造用タンディッシュに関し、更に詳細には、ノズル孔の周囲の敷部表面が特定の形状を有する溶融金属鋳造用タンディッシュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属の連続鋳造における課題の一つに、上ノズル及び/または浸漬ノズル内孔部にアルミナが付着することによる孔部の閉塞の問題がある。この問題を解決する手段の一つとして、上ノズル、浸漬ノズルの内孔部の形状が検討されている。例えば、特許文献1には、タンディッシュ内の溶湯をモールド内に注入するものにおいて、少なくとも溶湯に浸漬する下端部分の溶湯流通路を下端に向って末広がりの形状としたことを特徴とする連続鋳造ノズルが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ノズル孔の内面に、断面円弧状をなす波方の襞が溶湯の流れる方向へ4山以上連ねて設けられ、該襞は山から山までの間隔が4〜25cmで、山から谷までの深さが0.3〜2cmであることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。
【0004】
更に、特許文献3には、少なくとも内孔表層部が溶鋼との接触角を90度以下とする耐火物材料であり、且つ、内孔表面が凹凸状の形状であることを特徴とする鋼の連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、最外周から中心部へ螺旋上に形成された円形流路と、前記流路の最外周に設けられた取鍋からの溶鋼を不活性ガス雰囲気の密閉室を介して受ける湯落し口と、前記流路の中心部に設けられ前記溶鋼を鋳型へ注入するノズル口と、前記流路の底部に設けられた不活性ガス吹込み用のポーラスプラグと、前記流路に設けられ混入したスラグおよび浮上した介在物を排出するスキンマーと、前記流路の上部を被覆する蓋と、を有して成ることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−60055号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平6−269913号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開2001−105106号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平3−226339号公報 (特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、種々の連続鋳造用ノズル等が開示されているが、いずれもノズル内孔部のアルミナ付着を防止するためには充分な効果を発揮していない。また、螺旋状に形成された円形流路を有するタンディッシュを開示している特許文献4は、溶鋼中の介在物浮上を目的としているために、溶鋼のタンディッシュ内での滞留時間を長くできる流路間では溶鋼が遮断されている。そのために偏流が生じて浸漬ノズル内孔部でのアルミナ閉塞の問題は解決できない。
【0008】
従って、本発明の目的は、溶融金属連続鋳造用タンディッシュ内や浸漬ノズル内で偏流を生ずることなく、それによって浸漬ノズル内孔部でのアルミナ閉塞を防止することができる溶融金属連続鋳造用タンディッシュを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の溶融金属鋳造用タンディッシュは、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部に設けられたノズル孔の周囲の敷部表面が凹凸形状を有することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明の溶融金属鋳造用タンディッシュは、凹凸形状が、ノズル孔を中心にした右巻き螺旋形状、左巻き螺旋形状、放射状形状またはコブ状形状から選択される1種または2種以上を組み合わせた形状であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュは、凹凸形状の高さの差が、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部から溶鋼の上面までの高さの50%以下であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
現在、浸漬ノズル内孔部へのアルミナ付着のメカニズムは充分には解明されていないが、浸漬ノズル内の溶鋼流が偏流になっていることが原因の一つと考えられている。従来の浸漬ノズルは、この偏流を浸漬ノズル内で整流化するため、浸漬ノズル内を種々の形状としていたが、浸漬ノズルの長さが高々1m程度であるのに対して、浸漬ノズル内孔部を流れる溶鋼の速さは数m/分以上あり、偏流を整流化するには、浸漬ノズルの長さが短すぎる。また、浸漬ノズル内における溶鋼流の偏流は、主として浸漬ノズルの上流側に位置する流量制御用スライディングプレートとタンディッシュの影響によるものである。
【0013】
一例として、以下の図15に記載する慣用の連続鋳造装置を用いて溶鋼流の偏流について説明する。連続鋳造装置は、タンディッシュ(a)、上ノズル(b)、スライディングプレート(c)、浸漬ノズル(d)より構成されており、タンディッシュ(a)の内部には、湯当たり部(e)が設置されている。タンディッシュ(a)から上ノズル(b)に流れ込む溶鋼は、上ノズル(b)の口元において、通常は既に偏流となっている。更に、溶鋼がスライディングプレート(c)を通過する際に、スライディングプレートの開度に応じて、その偏流が増幅されていく。本発明者らの検討では、タンディッシュ(a)から上ノズル(b)の口元に溶鋼が流れ込む際に既に生じている偏流をコントロールできれば、下流に位置するスライディングプレート(c)、浸漬ノズル(d)内での偏流を抑制できることが判った。
【0014】
そこで、本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュでは、タンディッシュから上ノズルに溶鋼が流れ込む口元において、溶鋼の流れをコントロールすることにより、浸漬ノズル内での溶鋼流を整流化し、浸漬ノズル内孔部へのアルミナ付着を抑制するものであり、それによって安定した連続鋳造操業が可能となるものである。
【0015】
本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュにおいて、溶融金属連続鋳造用タンディッシュの敷部に設けられた上ノズル孔の周囲の敷部表面を凹凸形状とするものである。これによって、溶融金属連続鋳造用タンディッシュから上ノズルに溶鋼が流れ込む口元において、溶鋼の流れをコントロールすることが可能となる。
【0016】
更に、該凹凸形状が、上ノズル孔を中心にして右巻き螺旋形状、左巻き螺旋形状、放射状形状、コブ状形状の何れかを単独でまたは複数組み合わせた形状とすることにより、溶鋼流の偏流を更に抑制することができる。
【0017】
次に、本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの実施態様を図にて説明する。図1は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を右巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が連続した形状のものである。なお、図2は、図1のA−A’線における断面図である。また、図4は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を右巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が不連続な形状のものである。ここで、実線は凸部の稜線を示し、破線は凹部の谷を示し、一点鎖線は上ノズルの孔部(1)の上面の縁を示す。また、斜線部はそれと接する実線または破線と同じ高さを示す平坦部を表し、点で表した部分は螺旋の外周部を表している。谷、稜線等の高さは、上ノズルの孔部上面を基準として計るものとする。図1では、谷の高さが螺旋部分の外周部のタンディッシュ(a)の敷部の高さと同じになっているが、稜線が外周部のタンディッシュ(a)の敷部の高さと同じであっても良い。その場合には、谷は外周部より低くなり、更に、上ノズルの孔部上面もそれに連れて低くなる。また、螺旋内の各谷部及び/または各稜線の高さが上ノズルの孔部に向かって傾斜していても良い。更に、図では、稜線及び谷は線状の幅しか持っていないが、任意の幅を持たせることが可能である。図3は、図1に示す凹凸形状を有するタンディッシュ内での溶鋼流の流れを模式的に示した図であり、凸部(稜線)の直上での流れを示している。特徴的なことは、螺旋形状の凹凸形状を受けて溶鋼が螺旋的に流れていることと、螺旋間を短絡で流れてくる流線が存在することである。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。なお、図4に示すタンディッシュにおいても、同様の溶鋼流が生ずる。
【0018】
図5は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を左巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が連続した形状のものである。また、図6は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心として敷部表面を右巻き螺旋形状の凹凸形状を有する構成としたもので、凹凸形状が不連続な形状のものである。図5及び6の見方は、図1ないし4と同様であり、右巻きと左巻きの違い以外は同様である。図7は、図5及び6に示す形状を有するタンディッシュ内での溶鋼流の流れを模式的に示した図であり、溶鋼の流れ方も図3とは反対の左巻きになっている。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0019】
図8は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を放射状に稜線と谷が延びた凹凸形状としたものであり、凹凸形状が連続した形状のものである。また、図9は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を放射状に稜線と谷が延びた凹凸形状としたものであり、凹凸形状が不連続な形状のものである。ここで、放射状に伸びた稜線及び谷の数は、図8及び9に記載の態様に限定されるものではなく、任意に作成することができる。また、稜線と谷の間隔も均等である必要はなく、稜線、谷の幅も任意に選択することができる。図10は、図8に示すタンディッシュ内での溶鋼流の流れを模式的に示した図であり、凸部(稜線)の直上での流れを示している。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0020】
図11は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面を突起状の凹凸形状としたものである。図12は、図11に示すタンディッシュのA−A’ 線における断面図である。図13は、図11に示すタンディッシュ内での溶鋼流れを模式的に示した図であり、凸部の直上での溶鋼流を示すものである。このような流れによって、上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0021】
図14は、タンディッシュ(a)の上ノズルの孔部(1)を中心とした敷部表面に、螺旋形状と放射形状を組み合わせた凹凸形状とした構成を示す図であり、このような構成により上ノズルの孔部(1)で、溶鋼流を整流化することができる。
【0022】
なお、上述のような種々の形状を有する凹凸形状の高さの差が、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部から溶鋼の上面での高さの50%以下、好ましくは20%以下とすることが望ましい。該高さの差が50%を超えると、上ノズルの孔部(1)での溶鋼流の流れが整流化されず、下流側の浸漬ノズル内孔部のアルミナ付着防止効果が充分に得られないことがあるために好ましくない。
【0023】
上述のような本発明の溶鋼金属連続鋳造用タンディッシュの敷部表面の形状は次のようにして作製することができる。
タンディッシュの内張り材のウェアーランニングは、キャスタブルを用いて通常施工されている。タンディッシュの敷部を施工する際に、予め用意した所定の表面形状を有する枠を敷部表面に押し当てて型を取り、キャスタブルが適当な強度を持ったところで、脱枠することにより、上述のような所望の形状を有する敷部を得ることができる。
【0024】
また、別法として、所定の表面形状を有するプレキャストブロックを作製し、該プレキャストブロックをタンディッシュの敷部に施工することによっても、上述のような所望の形状を有する敷部を得ることができる。プレキャストブロックは、所定の表面形状を有する型枠中に不定形材料を流し込み、乾燥、焼成することにより作製することができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュを更に説明する。
実施例
鋳造機、鋳造速度、鋳造量等の鋳造条件を同一として、低炭アルミキルド鋼を鋳造した時の上ノズル及び浸漬ノズルの内孔部へのアルミナ付着状況を本発明品の溶融金属連続鋳造用タンディッシュと、比較品のタンディッシュにおいて比較した。また、アルミナの付着状況から見て、鋳造可能な最大連々数を見積もった。結果を表1〜3に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
表1では、上ノズル、浸漬ノズルの形状で、「常用形状」とは、通常良く利用されている内孔部が溶鋼の流路に沿ってストレート形状になっているものを示し、タンディッシュでは、凹凸のない滑らかな形状を示す。高さ比率とは、タンディッシュの敷部から溶鋼の上面までの高さに対する敷部の凹凸形状の凸部までの高さの比率(%)を示すものである。アルミナ付着厚み比率(上ノズル)、アルミナ付着厚み比率(浸漬ノズル)は、それぞれ上ノズル、浸漬ノズルについて、比較品1の場合のアルミナ付着量を100とした時の比率で表現した。数字が小さい程、アルミナの付着量が少なく、良好であることを示す。また、連々数比率は、同じく比較品1の場合の鋳造可能な最大連々数を100とした時の比率で表現したものであり、数字が大きい程連々数がアップし、良好であることを示す。表から判るように、いずれも本発明品が優れている。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部に設けられたノズル孔の周囲の敷部表面を凹凸形状としたことにより、溶融金属連続鋳造用タンディッシュ内や浸漬ノズル内で偏流を生ずることなく、それによって浸漬ノズル内孔部でのアルミナ閉塞を防止することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの1実施態様を示す図である。
【図2】図1に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュのA−A’線における断面図である。
【図3】図1に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図4】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの他の実施態様を示す図である。
【図5】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図6】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図7】図5及び6に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図8】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図9】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図10】図8及び9に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図11】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図12】図11に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュのA−A’線における断面図である。
【図13】図11に示す溶融金属連続鋳造用タンディッシュの溶鋼流の流れを模式的に示す図である。
【図14】本発明の溶融金属連続鋳造用タンディッシュの更に他の実施態様を示す図である。
【図15】従来の連続鋳造装置の概略図である。
【符号の説明】
a タンディッシュ
b 上ノズル
c スライディングプレート
d 浸漬ノズル
e 湯当たり部
1 上ノズルの孔部
Claims (3)
- 溶融金属鋳造用タンディッシュにおいて、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部に設けられたノズル孔の周囲の敷部表面が凹凸形状を有することを特徴とする溶融金属鋳造用タンディッシュ。
- 凹凸形状が、ノズル孔を中心にした右巻き螺旋形状、左巻き螺旋形状、放射状形状またはコブ状形状から選択される1種または2種以上を組み合わせた形状である、請求項1記載の溶融金属鋳造用タンディッシュ。
- 凹凸形状の高さの差が、溶融金属鋳造用タンディッシュの敷部から溶鋼の上面までの高さの50%以下である、請求項1記載の溶融金属鋳造用タンディッシュ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002312505A JP2004141957A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 溶融金属鋳造用タンディッシュ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002312505A JP2004141957A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 溶融金属鋳造用タンディッシュ |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002312505A Pending JP2004141957A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 溶融金属鋳造用タンディッシュ |
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JP (1) | JP2004141957A (ja) |
-
2002
- 2002-10-28 JP JP2002312505A patent/JP2004141957A/ja active Pending
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