JP2004141441A - 移植用靭帯組織の張力付加装置 - Google Patents

移植用靭帯組織の張力付加装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来、手作業で移植用靭帯組織に張力を付加し、適宜の長さに伸長して伸びを抑えるようにしていたが、付加した張力が不明確なために、体内に埋入したとき弛みや伸びを生じた。
【解決手段】布状或いは組紐状の移植用靭帯組織を固定側の挟持部と移動可能な挟持部に夫々固定し、固定軸及びネジ軸に装着して設けた押圧用摺動片の移動により押圧される押圧用バネのバネ力を利用して前記移動可能な挟持部を押圧して移動させることにより、移植用靭帯組織が所要長さ伸長され、且つ適宜の張力と伸びが付加されるもので、これによって生体内での弛み及び伸びを予め抑えることが可能となり、形態安定性や品質に優れた移植用靭帯組織が得られるようにしたものである。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移植用靱帯組織に所要の張力を付加し、生体内での弛み及び伸びを予め抑えることを可能にした張力付加装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、生体内での移植用靱帯組織の弛み及び伸びを抑える手段として、例えば手作業により移植用靱帯組織に張力を付加し、適宜の長さに伸長して伸びを抑えるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら上記のように手作業で移植用靭帯組織に張力を付加し、適宜の長さに伸長した場合、付加した張力の内容が不明確なために、体内に埋入したときの弛みや伸びにバラツキを生じ、従って予め移植用靭帯組織の伸びを確実にしかも均一に抑えることが極めて困難であるという課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような課題を解決するために、織物状(布状)或いは組紐状の移植用靭帯組織を固定側の挟持部と移動可能な挟持部に夫々固定し、固定軸及びネジ軸に装着して設けた押圧用摺動片の移動により押圧される押圧用バネのバネ力を介して前記移動可能な挟持部を押圧して移動させることにより、移動可能な挟持部の移植用靭帯組織が所要長さ伸長され、且つ適宜の張力と伸びが付加され、これによって生体内での弛み及び伸びを予め抑えることが可能となり、形態安定性や品質に優れた移植用靭帯組織が得られるようにしたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の内容を以下図例に基づいて説明する。図1において、1は靱帯用張力付加装置で60は固定板、61は同板60の裏面に固定した脚部、2、3は夫々固定板60上に固定した一対の固定片である。5は雄ネジ6を有するネジ軸で固定片2、3間に回動可能に設けてあり、7、8は夫々固定軸で固定片2、3間に夫々固定してある。10は雌ネジを有する押圧用摺動片で固定軸7、8に夫々摺動自在に遊嵌してある。同摺動片10はネジ軸5に嵌合し、図5に示すように、雌ネジ12とネジ軸5の雄ネジ6とを噛み合わせ、ネジ軸5の回動により、押圧用摺動片10を左右方向に往復動可能としてある。11は遊動片でネジ軸5及び固定軸7、8に対して夫々摺動自在に遊嵌してある。
【0006】
20、21は固定片2及び遊動片11の上方位置に夫々設けた圧着片で、圧着片20の裏面及び固定片2の表面中央部には夫々鋸状の突起部23、24を設けてサンプル用挟持部25を形成し、移植用靭帯組織である所要長さの布状或いは組紐状サンプルの一端を固定して挟持するようにしてある。また圧着片21の裏面及び遊動片11の表面中央部には同様に鋸状の突起部26、27を設けてサンプル用挟持部28を形成し、サンプルの他端を固定して挟持するようにしてある。
【0007】
30,30は夫々圧着片20と固定片2間並びに圧着片21と遊動片11間に夫々貫通して設けたねじ軸で、これにナット35、35が螺合してある。
【0008】
各ねじ軸30には夫々圧着用バネ37が嵌装される。該構成において、ナット35をねじ込むことにより、固定片2側では突起部23を圧着用バネ37を介して突起部24側に圧着して移植用靭帯組織である所要長さの織物状或いは組紐状のサンプルをマイルドに、しかもしっかりと挟持し、また遊動片11側でも同様に突起部26を圧着用バネ37を介して突起部27側に圧着して織物状或いは組紐状のサンプルをマイルドにしっかり挟持する。
【0009】
押圧用摺動片10と遊動片11間の固定軸7,8には押圧バネ40、41が嵌装されており、図3の如く、押圧用摺動片10の前進時(点線図示)に押圧用バネ40、41の押圧力を介して遊動片11が押圧され、織物状や組紐状の移植用靭帯組織に適宜の伸びと張力が付与されるようにしてある。
【0010】
42は遊動片11に固定した目盛表示用ロッドで、同ロッド42に適宜の目盛43を付設すると共に、押圧用摺動片10の挿通用孔45内に挿通してある。46は手回し用ハンドルで、ネジ軸5に固定したアーム47に同ハンドル46を回動自在に軸支してあり、同ハンドル46を手動で廻すことにより、ネジ軸5が回動され、押圧用摺動片10が左右方向に移動するようになっている。
【0011】
尚、押圧用摺動片10が図3の如く、右方向に移動する際、同摺動片10のスタート位置は、目盛表示用ロッド42における目盛43がゼロの位置の状態からスタートし、次いで押圧用摺動片10が目盛表示用ロッド42の目盛上を通過しながら右方向に移動するとき、即ち目盛表示用ロッド42における所定の目盛の位置に到達したとき、押圧用摺動片10の移動を停止することにより、遊動片11は押圧用バネ40,41を介して所要の長さ移動しており、この結果織物状或いは組紐状の移植用靭帯組織が所要長さ伸長されて適宜の張力と伸びが付与されるようにしてある。
【0012】
尚、上記遊動片11の移動量が、移植用靭帯組織に付与される張力と伸びに相当し、押圧用バネ40,41によるバネ力が加算され、合成された合成押圧力(反発力)、即ち同バネ40、41の変形量が、移植用靭帯組織に付与される張力となるのである。また前記目盛表示用ロッド42における単位目盛当たりの合成押圧力については、押圧用バネ40,41の強さと付加される張力の関係を予め実測などにより測定しておき、必要な張力に相当する目盛の位置まで押圧用摺動片10を移動させることにより、移植用靭帯組織に必要な張力及び伸びが付加され、伸び止めが行われるようになっている。
【0013】
また、前記押圧用バネ40,41のバネ定数を変化させることにより、付与できる圧力をコントロールができる。即ち、これの選択により加圧の大小、微細なコントロールが可能となる。
【0014】
本発明装置に適用される靭帯素材としては、靱帯の損傷に対しては、人工靭帯、人体から取り出した移植用靱帯組織(自家腱)と靭帯補強材(人工靱帯)を繋ぎ合わせ複合化したもの、又は自家腱そのもの等、任意であり、これを処理した後、体内に埋入して靭帯の再建を図る。なお、靱帯補強材としては例えば織物状や組紐状に編組された生体内非吸収性或いは生体内分解吸収性ポリマーによる帯状の生地で、例えば、生体内非吸収性ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロンなど、生体内分解吸収性ポリマーとしては、L―乳酸、グリコール酸、ジオキサノン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネートなどのホモポリマー或いは共重合体より成る靱帯補強材が例示できる。
【0015】
具体的に移植用靱帯組織に張力を付加する手段について説明すると、先ず図3の如く所要長さで且つ組紐状の移植用靱帯組織50を固定片2と圧着片20間並びに遊動片11と圧着片21間に挿入し、同靱帯組織50を引っ張らずにほぼ無張力の状態で配置した状態でナット35回してねじ軸30にねじ込み、固定片2側において突起部23を突起部24側に圧着すると共に、遊動片11側においては突起部26を突起部27側に圧着してサンプル用挟持部25及び28の位置で組紐状の移植用靱帯組織50を夫々挟持圧着し、固定する。
【0016】
次いで手回し用ハンドル46を介してネジ軸5を廻すことにより、押圧用摺動片10が図3及び図4の如く、位置Jから右方向に移動を始め、一方、無負荷状態の遊動片11も押圧用バネ40、41の押圧力により、位置Pから右方向に移動を始める。次いで押圧用摺動片10の位置が、目盛表示用ロッド42における所定の目盛の位置に到達したとき、即ち押圧用摺動片10が位置Kの位置に到達したとき、同摺動片10の移動を停止することにより、遊動片11は位置Qで停止し、この結果組紐状の移植用靭帯組織50が所要長さ伸長されて適宜の張力と伸びが付与されるのである。
【0017】
【発明の効果】
本発明は上述の如く、例えば、靭帯、腱、織物状(布状)或いは組紐状の移植用靭帯組織を固定側の挟持部と移動可能な挟持部に夫々固定し、固定軸及びネジ軸に装着して設けた押圧用摺動片の移動により押圧される押圧用バネのバネ力を介して間接的に前記移動可能な挟持部を押圧して移動させることにより、移動可能な挟持部の移植用靭帯組織が所要長さ伸長され、且つ適宜の張力と伸びが付加されるもので、これによってマイルドな張力が付与され、生体内での弛み及び伸びを予め抑えることが可能となり形態安定性や品質に優れた移植用靭帯組織が得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における装置の概略斜視図である。
【図2】本発明における遊動片の一部断面による概略側面図である。
【図3】本発明における織物状或いは組紐状の移植用靭帯組織への張力付加作動説明用概略正面図である。
【図4】本発明における織物状或いは組紐状の移植用靭帯組織への張力付加作動説明用概略平面図である。
【図5】本発明における押圧用摺動片の一部断面による概略断面図である。
【符号の説明】
2、3 固定片
5  ネジ軸
7  固定軸
8  固定軸
10 押圧用摺動片
11 遊動片
20、21 圧着片
23、24、26、27 鋸状の突起部
25、28 サンプル用挟持部
30 ねじ軸
35 ナット
37 押圧用バネ
40、41 押圧用バネ
50 移植用靭帯組織

Claims (3)

  1. 適宜設けた一対の固定片間にネジ軸及び固定軸を設け、且つ同ネジ軸及び固定軸にネジ軸を介して移動する押圧用摺動片を装着すると共に、ネジ軸及び固定軸に夫々遊嵌した遊動片を設け、更に一方の固定片と移動可能な遊動片に布状或いは組紐状の移植用靭帯組織を固定するための挟持部を夫々設けると共に、押圧用摺動片と遊動片間で且つ固定軸に押圧用バネを設け、押圧用摺動片の移動により押圧される押圧用バネのバネ力を介して前記移動可能な挟持部を押圧して移動させることにより、移植用靭帯組織が所要長さ伸長され、且つ適宜の張力と伸びが付加されるように構成したことを特徴とする移植用靭帯組織の張力付加装置。
  2. ネジ軸及び一対の固定軸に夫々設けた押圧用摺動片と遊動片の間で、且つ一対の固定軸にバネ力の異なった押圧用バネを設けて構成してなる請求項1における移植用靭帯組織の張力付加装置。
  3. 遊動片に目盛表示用ロッドを固定し、且つ同ロッドの先端側を押圧用摺動片に挿通するように構成してなる請求項1における移植用靭帯組織の張力付加装置。
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