JP2004139007A - 光情報記録装置、光情報記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)の反射光が回折してできた回折光を、記録媒体の記録容量の減少および情報光を利用できる効率の低下を抑制しながら処理する。
【解決手段】ミラー38から空間変調器40に入射されてきた光を、真上(シャッター42の方)に反射させる光っているミラー(真上から見て)410aによりONを表し、右斜め上に反射させる光っていないミラー410bによりOFFを表す。このとき、ダイ420の法線420nと、ONの時の反射方向(真上)とは異なっており、その差異は、ONの時の反射光の回折したものの一部がONの時の反射光と進行方向が一致するようになっている。これにより、光軸付近を通る情報を表す反射光の強度を高めることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】ミラー38から空間変調器40に入射されてきた光を、真上(シャッター42の方)に反射させる光っているミラー(真上から見て)410aによりONを表し、右斜め上に反射させる光っていないミラー410bによりOFFを表す。このとき、ダイ420の法線420nと、ONの時の反射方向(真上)とは異なっており、その差異は、ONの時の反射光の回折したものの一部がONの時の反射光と進行方向が一致するようになっている。これにより、光軸付近を通る情報を表す反射光の強度を高めることができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間光変調器としてDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を使用した場合に、DMDから反射されてきた光の回折光の処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録するホログラフィック記録は、一般的に、イメージ情報を持った情報光と参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を記録媒体に書き込むことによって行われる。記録された情報の再生時には、その記録媒体に参照光を照射することにより、干渉縞による回折によりイメージ情報が再生される。
【0003】
イメージ情報を持った情報光を生成するためには、光強度によって光を空間的に変調する。例えば、特許文献1にホログラフィック記録および光の変調についての記載がある。特許文献1によれば、光の変調には液晶素子を用いることができるとある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−311938号公報(段落番号0024)
【発明が解決しようとする課題】
ここで、光を空間的に変調するための素子として、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を使用することも考えられる。DMDは、入射した光を画素ごとに反射方向を変えて反射することができる。
【0005】
しかしながら、DMDは、周期構造を持った微小なミラーの集合体であるため、一種の回折格子を形成してしまう。よって、DMDからは、冗長な回折光も出射されてしまう。このような回折光をも情報光として使用すれば、情報を記録するために要するホログラフィが大きくなりすぎ、記録媒体の記録容量が減少する。そこで、回折光を遮断すれば、ホログラフィが大きくなりすぎることを防止できる。しかし、光を遮断するので、情報光が暗くなり、情報光を利用できる効率が低くなる。
【0006】
このように、光を空間的に変調するための素子として、DMDを使用した場合、反射光が回折してできた回折光の処理に困ることになる。
【0007】
そこで、本発明は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)の反射光が回折してできた回折光を、記録媒体の記録容量の減少および情報光を利用できる効率の低下を抑制しながら処理することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、入射光を反射するミラーおよびミラーを支持するダイを有し、入射光が反射した反射光の進行方向により情報を表現する情報表現手段と、情報表現手段から情報光を取得する情報光取得手段と、情報光取得手段から取得した情報光を参照光と干渉させ、光情報記録媒体にホログラフィを形成するホログラフィ形成手段とを備え、情報表現手段は、反射光の進行方向とダイの法線の方向とが異なっており、反射光が回折した回折光の少なくとも一部の進行方向と反射光の進行方向とが一致するようになっているように構成される。
【0009】
上記のように構成された発明によれば、情報光は反射光の集合体であり、回折光は不要な存在である。しかし、あえて不要な回折光の一部と反射光との進行方向を一致させることで、情報光の強度を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、情報光取得手段は、情報光から、回折光であってその進行方向が反射光の進行方向と一致していないものの少なくとも一部を除去する回折光除去手段を有するように構成される。
【0011】
上記のように構成された発明によれば、回折光であってその進行方向が反射光の進行方向と一致していないものが情報光から除去されるため、ホログラフィが大きくなりすぎない。しかも、情報光の強度が向上しているので、回折光の一部を除去しても、情報光の利用効率の低下を抑制できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、情報表現手段は、入射光と反射光の進行方向が一致するように構成される。
【0013】
上記のように構成された発明によれば、入射光と反射光の進行方向が異なるものよりも、情報光の強度をさらに向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、入射光を反射するミラーおよびミラーを支持するダイを有し、入射光が反射した反射光の進行方向により情報を表現する情報表現手段と、情報表現手段から情報光を取得する情報光取得手段と、情報光取得手段から取得した情報光を記録用参照光と干渉させ、光情報記録媒体にホログラフィを形成するホログラフィ形成手段と、ホログラフィに再生用参照光を照射する再生用参照光照射手段と、再生用参照光の照射によりホログラフィから出射される再生光を取得する再生光取得手段と、再生光から情報を再生する情報再生手段とを備え、情報表現手段は、反射光の進行方向とダイの法線の方向とが異なっており、反射光が回折した回折光の少なくとも一部の進行方向と反射光の進行方向とが一致するようになっているように構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る光情報記録再生装置の構成を示す説明図である。なお、光情報記録再生装置は、光情報記録装置と光情報再生装置とを含んでいる。また、本発明の実施形態では光情報記録媒体として円盤状の光ディスクを用いているが、カード状の記録媒体を用いることができる。さらに、光情報記録再生装置はピックアップ11を有する。
【0017】
光情報記録媒体の構成
始めに、図1を参照して、本発明の実施形態における光情報記録媒体の構成について説明する。この光情報記録媒体1は、ポリカーボネート等によって形成された円板状の透明基板2の一面に、ボリュームホログラフィを利用して情報が記録される情報記録層としてのホログラム記録層3と、反射膜5と、基板(保護層)8とを、この順番で積層して構成されている。
【0018】
ホログラム記録層3は、光が照射されたときに光の強度に応じて屈折率、誘電率、反射率等の光学的特性が変化するホログラム材料によって形成されている。ホログラム材料としては、例えば、デュポン(Dupont)社製フォトポリマ(photopolymers)HRF−600(製品名)等が使用される。
【0019】
反射膜5は、光(再生用参照光など)を反射する膜である。反射膜5は、例えばアルミニウムによって形成されている。
【0020】
基板(保護層)8は、例えば、インジェクションで作成されたアドレス付基板である。基板(保護層)8には、図示省略したアドレス・サーボエリアおよびデータエリアが設けられている。アドレス・サーボエリアを使用して、光情報記録媒体1への光の照射位置をサーボ制御できる。データエリアには、光情報記録媒体1に記録させる情報をホログラフィの形式で書き込める。
【0021】
ピックアップの構成
ピックアップ11は、参照光および情報光を光情報記録媒体1に照射し、光情報記録媒体1からの再生光を受けるためのものである。ピックアップ11は、対物レンズ12、アクチュエータ13、四分の一波長板14、ハーフミラー26、レンズ27a、b、光検出器28、レーザ光源32、コリメータレンズ34、二分の一波長板35、偏光ビームスプリッタ36、ミラー38、空間光変調器(情報表現手段)40、シャッター42、レンズ44a、b、絞り46、二分の一波長板48、ハーフミラー50、ミラー52、ミラー54、レンズ56を備える。
【0022】
なお、情報光とは、記録したい情報を担持した光である。図1においては、情報光は、レーザ光源32が生成したレーザ光を、空間光変調器40により変調したものであり、光情報記録媒体1に照射される。また、参照光には、情報光と干渉させホログラフィを形成するための記録用参照光およびホログラフィから情報を再生するための再生用参照光がある。さらに、再生光とは、光情報記録媒体1に再生用参照光を入射した場合に、光情報記録媒体1からピックアップ11に戻る光をいう。再生光は、光情報記録媒体1から再生された情報を担持したものとなる。
【0023】
対物レンズ12は、光情報記録媒体1の透明基板2側に位置するものである。参照光および情報光は、対物レンズ12を透過して、光情報記録媒体1に入射する。光情報記録媒体1からの再生光は、対物レンズ12を透過して、ハーフミラー26に向かって進行する。
【0024】
アクチュエータ13は、対物レンズ12を光情報記録媒体1の厚み方向および半径方向に移動するためのものである。
【0025】
四分の一波長板14は、P偏光やS偏光のように直線偏光の光が入射し、その直線偏光の方位が四分の一波長板14における結晶の光学軸に対してなす角度が45度のとき、通過光を直線偏光から円偏光の光にするものである。情報光はP偏光であり、四分の一波長板14を通過すると円偏光となり、光情報記録媒体1に入射される。再生光は円偏光であるが、四分の一波長板14を通過するとS偏光となり、レンズ27a、bを介して光検出器28に到達する。
【0026】
ハーフミラー26は、情報光を透過させて四分の一波長板14に向かって進行させ、再生光を反射してレンズ27a、bに向かって進行させる。レンズ27a、bは、ハーフミラー26から再生光を受けて、光検出器28に入射させる。光検出器28は、再生光を受けて検出する。これにより、光情報記録媒体1に記録された情報を再生できる。
【0027】
レーザ光源32は、レーザ光を生成する。このレーザ光は、情報光および参照光の基となる。コリメータレンズ34は、レーザ光源32からレーザ光を受けて、平行光線にする。二分の一波長板35は、コリメータレンズ34から平行光線を受け、P偏光およびS偏光とする。偏光ビームスプリッタ36は、二分の一波長板35からP偏光およびS偏光を受け、P偏光は透過させ、S偏光は反射する。透過したP偏光はミラー38へ向かい、反射したS偏光はレンズ44aに向かう。このP偏光が情報光の基となり、S偏光が参照光の基となる。ミラー38は、P偏光を受けて、空間光変調器40に向けて反射する。
【0028】
空間光変調器(情報表現手段)40は、ミラー38からP偏光を受けて反射することにより、情報光を生成する。生成された情報光は、シャッター42および偏光ビームスプリッタ36を透過して、レンズ44aに向かう。なお、空間光変調器40は、後述するように、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を使用する。このため、空間光変調器40からは、情報光のみならず、反射光が回折した回折光も出射される。なお、DMDは、入射した光を反射する方向により情報を表現できる。すなわち、入射光を空間的に変調できる。
【0029】
シャッター42は、光情報記録媒体1に情報を記録するときは開いており、光情報記録媒体1から情報を再生するときは閉じる(図2参照)。レンズ44aは、空間光変調器40から回折光(情報光)を受け、絞り46の上に像を結ぶ。このとき、回折光(情報光)および回折光の内でも光軸に近いものは、絞り46の穴46aを通過する。しかし、回折光の内でも光軸から遠いものは、絞り46を通過できない。なお、レンズ44aと絞り46との距離=レンズ44bと絞り46との距離=空間光変調器40からレンズ44aまでの距離=レンズ44bからミラー52までの距離=f=焦点距離である。二分の一波長板48は、偏光ビームスプリッタ36により反射されたS偏光をP偏光にする。これが、参照光となる。
【0030】
ハーフミラー50は、情報光を反射し、ハーフミラー26へ進行させる。また、参照光を透過し、ミラー52に向けて進行させる。ミラー52は、光情報記録媒体1と向かい合うミラー54に向けて参照光を反射させる。ミラー54は参照光を反射して、レンズ56に進行させる。レンズ56は、参照光を光情報記録媒体1よりも前で焦点を結ばせるようにして屈折させる。
【0031】
光情報の記録および再生の動作
情報を光情報記録媒体1に記録する場合には、レーザ光源32が生成したレーザ光が、コリメータレンズ34、二分の一波長板35、偏光ビームスプリッタ36を透過し、ミラー38により反射されて、空間光変調器40に向かう。そして、空間光変調器40によりレーザ光が情報光となり、シャッター42、偏光ビームスプリッタ36、レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48を通過し、ハーフミラー50で反射され、四分の一波長板14を透過し、対物レンズ12に向かう。空間光変調器40から対物レンズ12までの光学要素(レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48、ハーフミラー50など)が、空間光変調器40から情報光を取得する情報光取得手段に相当する。
【0032】
また、レーザ光源32が生成したレーザ光が、コリメータレンズ34、二分の一波長板35を透過し、偏光ビームスプリッタ36で反射され記録用参照光となる。記録用参照光は、レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48、ハーフミラー50を通過し、ミラー52、54で反射され、レンズ56により屈折しながら、対物レンズ12に向かう。
【0033】
対物レンズ(ホログラフィ形成手段)12は、情報光および記録用参照光を光情報記録媒体1のホログラム記録層3において干渉させ、ホログラフィを形成させる。
【0034】
光情報記録媒体1から情報を再生する場合には、図2を参照して、レーザ光源32が生成したレーザ光が、コリメータレンズ34、二分の一波長板35を透過し、偏光ビームスプリッタ36で反射され再生用参照光となる。再生用参照光は、レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48、ハーフミラー50を通過し、ミラー52、54で反射され、レンズ56により屈折しながら、対物レンズ12に向かう。
【0035】
対物レンズ(再生用参照光照射手段)12は、再生用参照光を屈折させ、ホログラム記録層3に照射する。これにより、光情報記録媒体1のホログラム記録層3から再生対象の情報を担持した再生光が生じる。再生光は、対物レンズ12、四分の一波長板14を透過し、ハーフミラー26により反射され、レンズ27a、bを透過してから、光検出器28に与えられる。光検出器28は再生光を入射光として受けて検出し、情報を取得する。対物レンズ12、四分の一波長板14、ハーフミラー26、レンズ27a、bが再生光を取得する再生光取得手段に相当する。光検出器28は、再生光を受けて情報を再生する情報再生手段に相当する。光検出器28は、例えばCMOSセンサあるいはCCDアレイセンサである。
【0036】
本発明の実施形態の特徴的な部分は、空間光変調器(情報表現手段)40およびレンズ44a、b、絞り46の構造にあり、以下、空間光変調器40およびレンズ44a、b、絞り46について説明する。
【0037】
図3は、空間光変調器40の平面図(図3(a))、断面図(図3(b))である。空間光変調器40は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)である。空間光変調器40は、ミラー38から入射された光を反射する微小なミラー410およびミラー410を支持するダイ420を有する。図3(a)を参照して、空間光変調器40をシャッター42の側から見ると、ミラー410のなかでも、光っているミラー410aと光っていないミラー410bとに分かれる。これは、ミラー410の、入射された光に対する角度を異ならせているからである。図3(b)を参照して、光っているミラー410aは反射光が真上(シャッター42の方)へ進行するように傾斜している一方で、光っていないミラー410bは反射光が真上には進行しないように傾斜角が設定されている。ここで、光っているミラー410aをON(あるいは“1”)に、光っていないミラー410bをOFF(あるいは“0”)に割り当てれば、ミラー410ごとに1ビットの情報を、空間光変調器40の反射光に持たせることができる。これにより、レーザ光源32からのレーザ光を空間的に変調することができる。なお、ダイ420の法線420nの方向は、光っているミラー410aの反射光の進行方向(シャッター42の方)と異なっている。この方向の差異は、光っているミラー410aの反射光の進行方向と、この反射光が回折した回折光の内の一部(例えば、−11次成分)の進行方向とが一致するように定められている。決定法については後述する。
【0038】
図4は、ミラー410の傾斜角を決定する機構を示す図である。ミラー410は、中央部分を中央柱430(高さh0)で、左端を左側柱432(高さh1)で支えられている。ONを表現する場合は、左側柱432を低く(h1<h0)して、ミラー410を左側に傾斜させる。また、OFFを表現する場合は、左側柱432を中央柱430と同じ高さ(h1=h0)にして、ミラー410を水平にする。ただし、左側柱432を中央柱430よりも高くし(h1>h0)、ミラー410を右に傾斜させてもよい。
【0039】
図5は、ミラー410の傾斜角およびダイ420の法線420nの方向の決定法を説明するための図である。
【0040】
光っているミラー410aはダイ420に対して角度φだけ傾斜している。すると、ダイ420の法線420nと、光っているミラー410aの法線410nとなす角度もまたφである。また、ミラー38から入射する光の、法線410nとなす角度をθとする。シャッター42に向けて反射する光の、法線410nとなす角度もまたθとなる。ここで、ミラー38から入射する光の法線420nとなす角度をα、シャッター42に向けて反射する光の法線420nとなす角度をβとする。すると、シャッター42に向けて反射する光と、法線420nとのなす角度はβとなる。
【0041】
ここで、上述したように、光っているミラー410aの反射光の進行方向と、この反射光が回折した回折光の内の一部(例えば、−11次成分)の進行方向とが一致するようにφ等を定めなければならない。このようにすれば、光軸付近を通る反射光の強度を高くし、レーザ光源32の生成するレーザ光の内、情報光として利用できるものの割合(利用効率)を高めることができる。
【0042】
空間光変調器40は周期構造を持った微小なミラー410の集合体であり、回折格子として機能する。よって、反射光が回折して強め合うための条件は、
d(sinα+sinβ)=nλ
として表される。ただし、λ=入射光の波長、n=回折光の次数、d=ミラー410の長さ×cosφ=ピッチである。
【0043】
また、図5を参照して(ただし、反時計回りを正とする)、
α−β=2θ
α=θ+φ
β=−θ+φ
となる。
【0044】
さらに、
sinα+sinβ=2sin((α+β)/2)cos((α−β)/2)
である。
【0045】
よって、
である。
【0046】
一般的に、回折光の次数n、入射光の波長λ、ピッチd、ミラー38から入射する光の法線410nとなす角度θは所与のものであるため、角度φを決定できる。
【0047】
例えば、n=−11、λ=532nm、d=13.7μm、θ=0(θ=0の時が、そうでないときに比べて、情報光の利用効率が高い)とすると、φ=12.3度となる。
【0048】
このときの、光っているミラー410a、ダイ420、入射光、反射光の位置関係を図6(a)に、光っていないミラー410bとダイ420等との位置関係を図6(b)に示す。
【0049】
図6(a)に示すように、ONの場合は、入射光と反射光の進行方向が一致している(θ=0)。この時が、情報光の利用効率が高い。なお、図6(b)に示すように、OFFの場合は、光っていないミラー410bを右に傾斜させれば、反射光は右に向かって進行するため、シャッター42の方へは進行しない。
【0050】
図7は、レンズ44a、bおよび絞り46の構成を示す図である。レンズ44aと絞り46との距離fは、空間変調器40の反射光たる回折光(情報光)および情報光と進行方向が一致する回折光の焦点が、絞り46の穴46aになるように決められている。よって、情報光等は絞り46を通過できる。しかし、その他の次数の回折光は、焦点が穴46aの内に無い。よって、絞り46を通過できない。よって、不要な次数の回折光を、レンズ44aおよび絞り46によって除去できる。これらが、回折光除去手段に相当する。
【0051】
本発明の実施形態によれば、情報光は空間変調器40の反射光の集合体であり、光軸から遠い次数の回折光は不要な存在である。ミラー面による光の反射方向と、ある回折次数の回折方向を一致させることで、光軸付近の情報光の強度を向上させることができる。
【0052】
つまり、入射光と反射光の進行方向を一致させれば、入射光と反射光の進行方向が異なるものよりも、情報光の強度をさらに向上することができる。従って、回折光であって、その進行方向が反射光の進行方向と一致していない回折光(n次以外のn−1次、n+1次等)が情報光から除去されるためホログラムが大きくなり過ぎなくて済むのである。しかも、情報光の強度が向上しているので、回折光の一部を除去しても情報光の利用効率の低下を抑制することもできる。
【0053】
以上、本発明の構成および動作をその原理と実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されず、発明の本旨を逸脱しない範囲において、様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光情報記録再生装置の構成を示す説明図である。
【図2】光情報記録媒体1から情報を再生する場合の光情報記録再生装置の動作を示す説明図である。
【図3】空間光変調器40の平面図(図3(a))、断面図(図3(b))である。
【図4】ミラー410の傾斜角を決定する機構を示す図である。
【図5】ミラー410の傾斜角およびダイ420の法線420nの方向の決定法を説明するための図である。
【図6】光っているミラー410aの位置(図6(a))、光っていないミラー410bの位置(図6(b))に示す図である。
【図7】レンズ44a、bおよび絞り46の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 光情報記録媒体
3 ホログラム記録層
12 対物レンズ
14 四分の一波長板
26 ハーフミラー
27a、b レンズ
28 光検出器
32 レーザ光源
40 空間光変調器(情報表現手段)
410 ミラー
410a 光っているミラー
410b 光っていないミラー
420 ダイ
44a、b レンズ
46 絞り
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間光変調器としてDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を使用した場合に、DMDから反射されてきた光の回折光の処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録するホログラフィック記録は、一般的に、イメージ情報を持った情報光と参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を記録媒体に書き込むことによって行われる。記録された情報の再生時には、その記録媒体に参照光を照射することにより、干渉縞による回折によりイメージ情報が再生される。
【0003】
イメージ情報を持った情報光を生成するためには、光強度によって光を空間的に変調する。例えば、特許文献1にホログラフィック記録および光の変調についての記載がある。特許文献1によれば、光の変調には液晶素子を用いることができるとある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−311938号公報(段落番号0024)
【発明が解決しようとする課題】
ここで、光を空間的に変調するための素子として、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を使用することも考えられる。DMDは、入射した光を画素ごとに反射方向を変えて反射することができる。
【0005】
しかしながら、DMDは、周期構造を持った微小なミラーの集合体であるため、一種の回折格子を形成してしまう。よって、DMDからは、冗長な回折光も出射されてしまう。このような回折光をも情報光として使用すれば、情報を記録するために要するホログラフィが大きくなりすぎ、記録媒体の記録容量が減少する。そこで、回折光を遮断すれば、ホログラフィが大きくなりすぎることを防止できる。しかし、光を遮断するので、情報光が暗くなり、情報光を利用できる効率が低くなる。
【0006】
このように、光を空間的に変調するための素子として、DMDを使用した場合、反射光が回折してできた回折光の処理に困ることになる。
【0007】
そこで、本発明は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)の反射光が回折してできた回折光を、記録媒体の記録容量の減少および情報光を利用できる効率の低下を抑制しながら処理することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、入射光を反射するミラーおよびミラーを支持するダイを有し、入射光が反射した反射光の進行方向により情報を表現する情報表現手段と、情報表現手段から情報光を取得する情報光取得手段と、情報光取得手段から取得した情報光を参照光と干渉させ、光情報記録媒体にホログラフィを形成するホログラフィ形成手段とを備え、情報表現手段は、反射光の進行方向とダイの法線の方向とが異なっており、反射光が回折した回折光の少なくとも一部の進行方向と反射光の進行方向とが一致するようになっているように構成される。
【0009】
上記のように構成された発明によれば、情報光は反射光の集合体であり、回折光は不要な存在である。しかし、あえて不要な回折光の一部と反射光との進行方向を一致させることで、情報光の強度を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、情報光取得手段は、情報光から、回折光であってその進行方向が反射光の進行方向と一致していないものの少なくとも一部を除去する回折光除去手段を有するように構成される。
【0011】
上記のように構成された発明によれば、回折光であってその進行方向が反射光の進行方向と一致していないものが情報光から除去されるため、ホログラフィが大きくなりすぎない。しかも、情報光の強度が向上しているので、回折光の一部を除去しても、情報光の利用効率の低下を抑制できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、情報表現手段は、入射光と反射光の進行方向が一致するように構成される。
【0013】
上記のように構成された発明によれば、入射光と反射光の進行方向が異なるものよりも、情報光の強度をさらに向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、入射光を反射するミラーおよびミラーを支持するダイを有し、入射光が反射した反射光の進行方向により情報を表現する情報表現手段と、情報表現手段から情報光を取得する情報光取得手段と、情報光取得手段から取得した情報光を記録用参照光と干渉させ、光情報記録媒体にホログラフィを形成するホログラフィ形成手段と、ホログラフィに再生用参照光を照射する再生用参照光照射手段と、再生用参照光の照射によりホログラフィから出射される再生光を取得する再生光取得手段と、再生光から情報を再生する情報再生手段とを備え、情報表現手段は、反射光の進行方向とダイの法線の方向とが異なっており、反射光が回折した回折光の少なくとも一部の進行方向と反射光の進行方向とが一致するようになっているように構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る光情報記録再生装置の構成を示す説明図である。なお、光情報記録再生装置は、光情報記録装置と光情報再生装置とを含んでいる。また、本発明の実施形態では光情報記録媒体として円盤状の光ディスクを用いているが、カード状の記録媒体を用いることができる。さらに、光情報記録再生装置はピックアップ11を有する。
【0017】
光情報記録媒体の構成
始めに、図1を参照して、本発明の実施形態における光情報記録媒体の構成について説明する。この光情報記録媒体1は、ポリカーボネート等によって形成された円板状の透明基板2の一面に、ボリュームホログラフィを利用して情報が記録される情報記録層としてのホログラム記録層3と、反射膜5と、基板(保護層)8とを、この順番で積層して構成されている。
【0018】
ホログラム記録層3は、光が照射されたときに光の強度に応じて屈折率、誘電率、反射率等の光学的特性が変化するホログラム材料によって形成されている。ホログラム材料としては、例えば、デュポン(Dupont)社製フォトポリマ(photopolymers)HRF−600(製品名)等が使用される。
【0019】
反射膜5は、光(再生用参照光など)を反射する膜である。反射膜5は、例えばアルミニウムによって形成されている。
【0020】
基板(保護層)8は、例えば、インジェクションで作成されたアドレス付基板である。基板(保護層)8には、図示省略したアドレス・サーボエリアおよびデータエリアが設けられている。アドレス・サーボエリアを使用して、光情報記録媒体1への光の照射位置をサーボ制御できる。データエリアには、光情報記録媒体1に記録させる情報をホログラフィの形式で書き込める。
【0021】
ピックアップの構成
ピックアップ11は、参照光および情報光を光情報記録媒体1に照射し、光情報記録媒体1からの再生光を受けるためのものである。ピックアップ11は、対物レンズ12、アクチュエータ13、四分の一波長板14、ハーフミラー26、レンズ27a、b、光検出器28、レーザ光源32、コリメータレンズ34、二分の一波長板35、偏光ビームスプリッタ36、ミラー38、空間光変調器(情報表現手段)40、シャッター42、レンズ44a、b、絞り46、二分の一波長板48、ハーフミラー50、ミラー52、ミラー54、レンズ56を備える。
【0022】
なお、情報光とは、記録したい情報を担持した光である。図1においては、情報光は、レーザ光源32が生成したレーザ光を、空間光変調器40により変調したものであり、光情報記録媒体1に照射される。また、参照光には、情報光と干渉させホログラフィを形成するための記録用参照光およびホログラフィから情報を再生するための再生用参照光がある。さらに、再生光とは、光情報記録媒体1に再生用参照光を入射した場合に、光情報記録媒体1からピックアップ11に戻る光をいう。再生光は、光情報記録媒体1から再生された情報を担持したものとなる。
【0023】
対物レンズ12は、光情報記録媒体1の透明基板2側に位置するものである。参照光および情報光は、対物レンズ12を透過して、光情報記録媒体1に入射する。光情報記録媒体1からの再生光は、対物レンズ12を透過して、ハーフミラー26に向かって進行する。
【0024】
アクチュエータ13は、対物レンズ12を光情報記録媒体1の厚み方向および半径方向に移動するためのものである。
【0025】
四分の一波長板14は、P偏光やS偏光のように直線偏光の光が入射し、その直線偏光の方位が四分の一波長板14における結晶の光学軸に対してなす角度が45度のとき、通過光を直線偏光から円偏光の光にするものである。情報光はP偏光であり、四分の一波長板14を通過すると円偏光となり、光情報記録媒体1に入射される。再生光は円偏光であるが、四分の一波長板14を通過するとS偏光となり、レンズ27a、bを介して光検出器28に到達する。
【0026】
ハーフミラー26は、情報光を透過させて四分の一波長板14に向かって進行させ、再生光を反射してレンズ27a、bに向かって進行させる。レンズ27a、bは、ハーフミラー26から再生光を受けて、光検出器28に入射させる。光検出器28は、再生光を受けて検出する。これにより、光情報記録媒体1に記録された情報を再生できる。
【0027】
レーザ光源32は、レーザ光を生成する。このレーザ光は、情報光および参照光の基となる。コリメータレンズ34は、レーザ光源32からレーザ光を受けて、平行光線にする。二分の一波長板35は、コリメータレンズ34から平行光線を受け、P偏光およびS偏光とする。偏光ビームスプリッタ36は、二分の一波長板35からP偏光およびS偏光を受け、P偏光は透過させ、S偏光は反射する。透過したP偏光はミラー38へ向かい、反射したS偏光はレンズ44aに向かう。このP偏光が情報光の基となり、S偏光が参照光の基となる。ミラー38は、P偏光を受けて、空間光変調器40に向けて反射する。
【0028】
空間光変調器(情報表現手段)40は、ミラー38からP偏光を受けて反射することにより、情報光を生成する。生成された情報光は、シャッター42および偏光ビームスプリッタ36を透過して、レンズ44aに向かう。なお、空間光変調器40は、後述するように、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を使用する。このため、空間光変調器40からは、情報光のみならず、反射光が回折した回折光も出射される。なお、DMDは、入射した光を反射する方向により情報を表現できる。すなわち、入射光を空間的に変調できる。
【0029】
シャッター42は、光情報記録媒体1に情報を記録するときは開いており、光情報記録媒体1から情報を再生するときは閉じる(図2参照)。レンズ44aは、空間光変調器40から回折光(情報光)を受け、絞り46の上に像を結ぶ。このとき、回折光(情報光)および回折光の内でも光軸に近いものは、絞り46の穴46aを通過する。しかし、回折光の内でも光軸から遠いものは、絞り46を通過できない。なお、レンズ44aと絞り46との距離=レンズ44bと絞り46との距離=空間光変調器40からレンズ44aまでの距離=レンズ44bからミラー52までの距離=f=焦点距離である。二分の一波長板48は、偏光ビームスプリッタ36により反射されたS偏光をP偏光にする。これが、参照光となる。
【0030】
ハーフミラー50は、情報光を反射し、ハーフミラー26へ進行させる。また、参照光を透過し、ミラー52に向けて進行させる。ミラー52は、光情報記録媒体1と向かい合うミラー54に向けて参照光を反射させる。ミラー54は参照光を反射して、レンズ56に進行させる。レンズ56は、参照光を光情報記録媒体1よりも前で焦点を結ばせるようにして屈折させる。
【0031】
光情報の記録および再生の動作
情報を光情報記録媒体1に記録する場合には、レーザ光源32が生成したレーザ光が、コリメータレンズ34、二分の一波長板35、偏光ビームスプリッタ36を透過し、ミラー38により反射されて、空間光変調器40に向かう。そして、空間光変調器40によりレーザ光が情報光となり、シャッター42、偏光ビームスプリッタ36、レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48を通過し、ハーフミラー50で反射され、四分の一波長板14を透過し、対物レンズ12に向かう。空間光変調器40から対物レンズ12までの光学要素(レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48、ハーフミラー50など)が、空間光変調器40から情報光を取得する情報光取得手段に相当する。
【0032】
また、レーザ光源32が生成したレーザ光が、コリメータレンズ34、二分の一波長板35を透過し、偏光ビームスプリッタ36で反射され記録用参照光となる。記録用参照光は、レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48、ハーフミラー50を通過し、ミラー52、54で反射され、レンズ56により屈折しながら、対物レンズ12に向かう。
【0033】
対物レンズ(ホログラフィ形成手段)12は、情報光および記録用参照光を光情報記録媒体1のホログラム記録層3において干渉させ、ホログラフィを形成させる。
【0034】
光情報記録媒体1から情報を再生する場合には、図2を参照して、レーザ光源32が生成したレーザ光が、コリメータレンズ34、二分の一波長板35を透過し、偏光ビームスプリッタ36で反射され再生用参照光となる。再生用参照光は、レンズ44a、絞り46、レンズ44b、二分の一波長板48、ハーフミラー50を通過し、ミラー52、54で反射され、レンズ56により屈折しながら、対物レンズ12に向かう。
【0035】
対物レンズ(再生用参照光照射手段)12は、再生用参照光を屈折させ、ホログラム記録層3に照射する。これにより、光情報記録媒体1のホログラム記録層3から再生対象の情報を担持した再生光が生じる。再生光は、対物レンズ12、四分の一波長板14を透過し、ハーフミラー26により反射され、レンズ27a、bを透過してから、光検出器28に与えられる。光検出器28は再生光を入射光として受けて検出し、情報を取得する。対物レンズ12、四分の一波長板14、ハーフミラー26、レンズ27a、bが再生光を取得する再生光取得手段に相当する。光検出器28は、再生光を受けて情報を再生する情報再生手段に相当する。光検出器28は、例えばCMOSセンサあるいはCCDアレイセンサである。
【0036】
本発明の実施形態の特徴的な部分は、空間光変調器(情報表現手段)40およびレンズ44a、b、絞り46の構造にあり、以下、空間光変調器40およびレンズ44a、b、絞り46について説明する。
【0037】
図3は、空間光変調器40の平面図(図3(a))、断面図(図3(b))である。空間光変調器40は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)である。空間光変調器40は、ミラー38から入射された光を反射する微小なミラー410およびミラー410を支持するダイ420を有する。図3(a)を参照して、空間光変調器40をシャッター42の側から見ると、ミラー410のなかでも、光っているミラー410aと光っていないミラー410bとに分かれる。これは、ミラー410の、入射された光に対する角度を異ならせているからである。図3(b)を参照して、光っているミラー410aは反射光が真上(シャッター42の方)へ進行するように傾斜している一方で、光っていないミラー410bは反射光が真上には進行しないように傾斜角が設定されている。ここで、光っているミラー410aをON(あるいは“1”)に、光っていないミラー410bをOFF(あるいは“0”)に割り当てれば、ミラー410ごとに1ビットの情報を、空間光変調器40の反射光に持たせることができる。これにより、レーザ光源32からのレーザ光を空間的に変調することができる。なお、ダイ420の法線420nの方向は、光っているミラー410aの反射光の進行方向(シャッター42の方)と異なっている。この方向の差異は、光っているミラー410aの反射光の進行方向と、この反射光が回折した回折光の内の一部(例えば、−11次成分)の進行方向とが一致するように定められている。決定法については後述する。
【0038】
図4は、ミラー410の傾斜角を決定する機構を示す図である。ミラー410は、中央部分を中央柱430(高さh0)で、左端を左側柱432(高さh1)で支えられている。ONを表現する場合は、左側柱432を低く(h1<h0)して、ミラー410を左側に傾斜させる。また、OFFを表現する場合は、左側柱432を中央柱430と同じ高さ(h1=h0)にして、ミラー410を水平にする。ただし、左側柱432を中央柱430よりも高くし(h1>h0)、ミラー410を右に傾斜させてもよい。
【0039】
図5は、ミラー410の傾斜角およびダイ420の法線420nの方向の決定法を説明するための図である。
【0040】
光っているミラー410aはダイ420に対して角度φだけ傾斜している。すると、ダイ420の法線420nと、光っているミラー410aの法線410nとなす角度もまたφである。また、ミラー38から入射する光の、法線410nとなす角度をθとする。シャッター42に向けて反射する光の、法線410nとなす角度もまたθとなる。ここで、ミラー38から入射する光の法線420nとなす角度をα、シャッター42に向けて反射する光の法線420nとなす角度をβとする。すると、シャッター42に向けて反射する光と、法線420nとのなす角度はβとなる。
【0041】
ここで、上述したように、光っているミラー410aの反射光の進行方向と、この反射光が回折した回折光の内の一部(例えば、−11次成分)の進行方向とが一致するようにφ等を定めなければならない。このようにすれば、光軸付近を通る反射光の強度を高くし、レーザ光源32の生成するレーザ光の内、情報光として利用できるものの割合(利用効率)を高めることができる。
【0042】
空間光変調器40は周期構造を持った微小なミラー410の集合体であり、回折格子として機能する。よって、反射光が回折して強め合うための条件は、
d(sinα+sinβ)=nλ
として表される。ただし、λ=入射光の波長、n=回折光の次数、d=ミラー410の長さ×cosφ=ピッチである。
【0043】
また、図5を参照して(ただし、反時計回りを正とする)、
α−β=2θ
α=θ+φ
β=−θ+φ
となる。
【0044】
さらに、
sinα+sinβ=2sin((α+β)/2)cos((α−β)/2)
である。
【0045】
よって、
である。
【0046】
一般的に、回折光の次数n、入射光の波長λ、ピッチd、ミラー38から入射する光の法線410nとなす角度θは所与のものであるため、角度φを決定できる。
【0047】
例えば、n=−11、λ=532nm、d=13.7μm、θ=0(θ=0の時が、そうでないときに比べて、情報光の利用効率が高い)とすると、φ=12.3度となる。
【0048】
このときの、光っているミラー410a、ダイ420、入射光、反射光の位置関係を図6(a)に、光っていないミラー410bとダイ420等との位置関係を図6(b)に示す。
【0049】
図6(a)に示すように、ONの場合は、入射光と反射光の進行方向が一致している(θ=0)。この時が、情報光の利用効率が高い。なお、図6(b)に示すように、OFFの場合は、光っていないミラー410bを右に傾斜させれば、反射光は右に向かって進行するため、シャッター42の方へは進行しない。
【0050】
図7は、レンズ44a、bおよび絞り46の構成を示す図である。レンズ44aと絞り46との距離fは、空間変調器40の反射光たる回折光(情報光)および情報光と進行方向が一致する回折光の焦点が、絞り46の穴46aになるように決められている。よって、情報光等は絞り46を通過できる。しかし、その他の次数の回折光は、焦点が穴46aの内に無い。よって、絞り46を通過できない。よって、不要な次数の回折光を、レンズ44aおよび絞り46によって除去できる。これらが、回折光除去手段に相当する。
【0051】
本発明の実施形態によれば、情報光は空間変調器40の反射光の集合体であり、光軸から遠い次数の回折光は不要な存在である。ミラー面による光の反射方向と、ある回折次数の回折方向を一致させることで、光軸付近の情報光の強度を向上させることができる。
【0052】
つまり、入射光と反射光の進行方向を一致させれば、入射光と反射光の進行方向が異なるものよりも、情報光の強度をさらに向上することができる。従って、回折光であって、その進行方向が反射光の進行方向と一致していない回折光(n次以外のn−1次、n+1次等)が情報光から除去されるためホログラムが大きくなり過ぎなくて済むのである。しかも、情報光の強度が向上しているので、回折光の一部を除去しても情報光の利用効率の低下を抑制することもできる。
【0053】
以上、本発明の構成および動作をその原理と実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されず、発明の本旨を逸脱しない範囲において、様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光情報記録再生装置の構成を示す説明図である。
【図2】光情報記録媒体1から情報を再生する場合の光情報記録再生装置の動作を示す説明図である。
【図3】空間光変調器40の平面図(図3(a))、断面図(図3(b))である。
【図4】ミラー410の傾斜角を決定する機構を示す図である。
【図5】ミラー410の傾斜角およびダイ420の法線420nの方向の決定法を説明するための図である。
【図6】光っているミラー410aの位置(図6(a))、光っていないミラー410bの位置(図6(b))に示す図である。
【図7】レンズ44a、bおよび絞り46の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 光情報記録媒体
3 ホログラム記録層
12 対物レンズ
14 四分の一波長板
26 ハーフミラー
27a、b レンズ
28 光検出器
32 レーザ光源
40 空間光変調器(情報表現手段)
410 ミラー
410a 光っているミラー
410b 光っていないミラー
420 ダイ
44a、b レンズ
46 絞り
Claims (4)
- 入射光を反射するミラーおよび前記ミラーを支持するダイを有し、前記入射光が反射した反射光の進行方向により情報を表現する情報表現手段と、
前記情報表現手段から情報光を取得する情報光取得手段と、
前記情報光取得手段から取得した前記情報光を参照光と干渉させ、光情報記録媒体にホログラフィを形成するホログラフィ形成手段と、
を備え、
前記情報表現手段は、
前記反射光の進行方向と前記ダイの法線の方向とが異なっており、前記反射光が回折した回折光の少なくとも一部の進行方向と前記反射光の進行方向とが一致するようになっている、
光情報記録装置。 - 請求項1に記載の光情報記録装置であって、
前記情報光取得手段は、
前記情報光から、前記回折光であってその進行方向が前記反射光の進行方向と一致していないものの少なくとも一部を除去する回折光除去手段を有する、
光情報記録装置。 - 請求項1に記載の光情報記録装置であって、
前記情報表現手段は、前記入射光と前記反射光の進行方向が一致する、
光情報記録装置。 - 入射光を反射するミラーおよび前記ミラーを支持するダイを有し、前記入射光が反射した反射光の進行方向により情報を表現する情報表現手段と、
前記情報表現手段から情報光を取得する情報光取得手段と、
前記情報光取得手段から取得した前記情報光を記録用参照光と干渉させ、光情報記録媒体にホログラフィを形成するホログラフィ形成手段と、
前記ホログラフィに再生用参照光を照射する再生用参照光照射手段と、
前記再生用参照光の照射により前記ホログラフィから出射される再生光を取得する再生光取得手段と、
前記再生光から情報を再生する情報再生手段と、
を備え、
前記情報表現手段は、
前記反射光の進行方向と前記ダイの法線の方向とが異なっており、前記反射光が回折した回折光の少なくとも一部の進行方向と前記反射光の進行方向とが一致するようになっている、
光情報記録再生装置。
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
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JP2006133602A (ja) * | 2004-11-08 | 2006-05-25 | Sony Corp | ホログラム記録再生装置及びホログラム記録再生方法 |
JP2007122800A (ja) * | 2005-10-27 | 2007-05-17 | Optware:Kk | 光情報記録装置、記録方法、再生装置および再生方法 |
JP2010139620A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | National Institute Of Information & Communication Technology | 複数波長光による画像記録再生装置 |
-
2003
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