JP2004136492A - インクジェット記録用シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】凝集物の発生を効果的に抑止することができ、液ロスや気泡の巻きこみ等の弊害、生産性の低下を伴うことがなく、均一なインク受容層を低エネルギー(低コスト)で塗設することができるインクジェット記録用シートの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の側に、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールと潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む塗布液を塗布してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、前記潤滑剤を含む潤滑剤分散液および前記アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液の少なくとも一方を、前記無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含む微粒子分散液の液中において直接添加する。
【選択図】 図1
【解決手段】支持体の少なくとも一方の側に、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールと潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む塗布液を塗布してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、前記潤滑剤を含む潤滑剤分散液および前記アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液の少なくとも一方を、前記無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含む微粒子分散液の液中において直接添加する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録が可能なシート状記録紙に関し、詳しくは、ドキュメントの記録に好適であって、絵や写真の記録にも適用し得るインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および装置も開発されて、各々実用化されている。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
インクジェット記録方法により記録を行なう場合、給紙トレイに収容された記録シートを装置のフィードロールによってピックアップし、所定の搬送路を搬送させながらインクを吐出することにより記録することができる。このとき、記録シートの表裏における摩擦係数が高いと、装置の給紙トレイから複数枚がピックアップされて2重送りが発生したり、フィードロールとの接触によりフィードロール汚れを起こすといった問題があった。
【0004】
かかる問題に対して、支持体のインクを受容するインク受容性被覆層が設けられた側とは逆側に滑剤を含む裏面被覆層を設けたインクジェット記録用紙が提案されており、プリンタでの重送や蛇行などのない優れた搬送性が得られることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、2重送りを抑える効果は得られるものの、滑剤が添加されているのは裏面のみであり、フィードロールは記録面で接してピックアップするため、記録面におけるフィードロール汚れまで防止することはできない。
【0005】
また、他の記録媒体と同様に、一般にインクジェット画像においても形成画像の高画質化が要求され、色濃度が高く、インク滲み(画像のニジミ)のないドキュメントの記録や画像の形成が求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−190620公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記に鑑み、インクを受容するインク受容層に潤滑剤やアニオン系界面活性剤を含有させることが有用であるとの知見を得た。この場合、インク受容層形成用の塗布液の調製は、例えば少なくとも無機顔料(無機微粒子)、媒染剤、ポリビニルアルコール、並びに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤の各成分を、通常個々の成分ごとに混合するための混合漕に順次添加、混合することで行なわれる。しかしながら、予め調製しておいた無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合する際、概して凝集が生じてしまう問題があった。この凝集物を含む塗布液を塗布しようとすると、塗設したインク受容層に異物状の凸部が形成され、商品としての品位を著しく損なう一因となる。
【0008】
したがって、予め凝集物を除去することが必要となるが、凝集物の除去のためにはフィルタを設置するなど無駄な投資やスペースが必要となる。また、フィルタを設置してもそのフィルタに凝集物が一旦詰まってしまうと、送液ラインを停止して分解、洗浄する作業が必要となり、生産性の悪化や液ロスを生ずるといった問題もあった。
【0009】
上記のような凝集物が発生するメカニズムとしては、いわゆるポリビニルアルコールショックによるものや、アニオン系界面活性剤とカチオン系ポリマーである潤滑剤との電気的相互作用によるものなどが考えられるが、いずれにおいても強撹拌下では凝集物の発生が抑制されることが判っている。これは、凝集開始の時点で撹拌による剪断力で凝集物が分散されていくためであると考えられている。
【0010】
したがって、従来より上記のような調製時における凝集物の発生を防止する手段として、予め調製しておいた無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを含む混合液に潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合する段階で強力な撹拌を行なうことが効果的である。
【0011】
しかしながら、撹拌を強力に行なうと、より多くの電力を消費すると共に、撹拌により渦を発生させて空気を巻きこむために、塗設した層中に気泡が発生してしまうなどの二次的な問題を招来することになる。したがって、単に撹拌性を変えるだけでなく、調製を行なうにあたっての抜本的な対策が求められていた。
【0012】
他方、前記2重送りなどの問題を改善するための潤滑剤として、ワックス系やシリコーン系等の滑剤を使用することも可能である。ところが、ワックス等を加えた場合には印画画質が悪化してしまうことがある懸念もある。
【0013】
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明は、無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合することによりインクを受容するインク受容層形成用の塗布液を調製する場合において、凝集物の発生を効果的に抑止することができ、液ロスや気泡の巻きこみ等の弊害、生産性の低下を伴うことがなく、均一なインク受容層を低エネルギー(低コスト)で塗設することができるインクジェット記録用シートの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合してインク受容層形成用の塗布液(インク受容層塗布液)を調製するに際し、前者の混合液中において直接後者の溶液を添加することが凝集物の発生を抑止する点で有効であるとの知見を得た。すなわち、本発明は、混合液中において直接添加することによって、一般に行われる液上添加の場合に比し、二液界面で起こる凝集開始が抑制されること、さらに液中添加後直ちに撹拌流動によって分散されると凝集が発生し難いこと、に基づくものである。
【0015】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体の少なくとも一方の側に、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールと潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む塗布液を塗布してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、前記潤滑剤を含む潤滑剤分散液および前記アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液の少なくとも一方を、前記無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含む微粒子分散液の液中において直接添加する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0016】
<2> 前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方を、流動する微粒子分散液の液中において添加するようにした前記<1>に記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
<3> 前記微粒子分散液を撹拌翼により撹拌流動させ、流動する微粒子分散液中における回転する攪拌翼の吸い込み側において前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方を添加する前記<2>に記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
<4> 前記無機微粒子が二酸化珪素を主成分に含み、前記ポリビニルアルコールの鹸化度が95%以上であり、かつ前記媒染剤がカチオン性ポリマーである前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0017】
<5> 前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方の固形分濃度が10〜30質量%である前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
<6> 前記潤滑剤が高級脂肪酸塩である前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法においては、潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を、加えようとする混合液の液中において直接添加することを特徴とする。以下、本発明のインクジェット記録用シートの製造方法について詳細に説明する。
【0019】
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法は、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールと潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを少なくとも含む塗布液を調製し、該塗布液を支持体の少なくとも一方の側に塗布してインク受容層を形成するものであり、特に前記塗布液の調製において、前記潤滑剤を含む潤滑剤分散液および前記アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液の少なくとも一方を、前記無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含む微粒子分散液の液中において直接添加する工程を有して構成される。
【0020】
本発明において、潤滑剤とアニオン系界面活性剤の両方を添加する場合には、必ずしも別個に調製された潤滑剤分散液および界面活性剤溶液の両方を添加する必要はなく、潤滑剤とアニオン系界面活性剤の両方を含む分散溶液を調製し、これを添加するようにすることができる。
【0021】
この工程では、あらかじめ無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含んで調製しておいた微粒子分散液の液中に、潤滑剤を含む潤滑剤分散液及び/又はアニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液をダイレクトに添加し、混合するため、二液界面での凝集挙動を効果的に抑制することができ、凝集物の発生を防止することができる。これにより、液ロスや気泡の巻きこみ等の弊害、生産性の低下を来さないだけでなく、表面凸部のない均一なインク受容層を低エネルギー(低コスト)で塗設することができる。
【0022】
さらに、潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液は、流動状態とした微粒子分散液の液中に添加することが望ましい。流動する液中に添加することにより、加えられた溶液は液中に添加された後直ちに撹拌流動によって分散されるため、より凝集の発生を抑止することができる。
【0023】
前記微粒子分散液を流動させる方法は、特に制限されるものではなく、回転力を与えて撹拌する方法や液を強制循環させる方法など、広く知られた方法を適用することができる。例えば、任意の回転数で回転できる回転軸に設けられた撹拌翼を用いて同心円状に回転させて撹拌してもよい。撹拌翼の種類としては、一般的なプロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、ディゾルバー翼、およびこれらを組合せたもの等が適用できる。
【0024】
流動はあまり強すぎない方が望ましく、撹拌する場合には、撹拌翼の回転速度としては、微粒子分散液に潤滑剤分散液および/または界面活性剤溶液を混合する混合漕の容量に依存するが、5〜200回/min程度が好ましい。上記範囲で流動させることにより、効果的に凝集物の発生を防止することができる。逆にあまり強撹拌しすぎると、被添加液である微粒子分散液に渦が発生して空気を巻き込んでしまい、気泡などの二次的故障を来す要因となることがある。
【0025】
前記微粒子分散液を撹拌翼により撹拌流動させた場合、潤滑剤分散液および/または界面活性剤溶液を微粒子分散液中に直接添加する際の添加位置としては、混合を行なう混合漕内に設けられた撹拌翼との関係で、該撹拌翼が回転したときに回転軸を中心に同心円に流動する微粒子分散液中における、回転する該攪拌翼から見て吸い込み側となる位置が望ましい。吸い込み側とは、液中で回転する撹拌翼から見て、その回転面の一方の側から他方の側に流れる液流の上流側(即ち一方の側)をさす。
【0026】
吸い込み側に添加されることにより、添加された潤滑剤分散液および/または界面活性剤溶液が直ちに撹拌翼が微粒子分散液中に作り出す液流に吸い込まれ、撹拌翼から吐出されるため、図2に示すような液上添加する場合のような二液界面の存在をなくすことができる。ここで、図2は、従来の液上添加により混合を行なう塗布液調製装置の一例を示す図である。
【0027】
さらに図1を用いて具体的に説明する。図1は、本発明のインクジェット記録用シートの製造方法を適用した塗布液調製装置の一例を示す図である。
塗布液調製装置は、図1に示すように、潤滑剤を含む潤滑剤分散液及び/又はアニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を収容する貯蔵漕1と、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを含む微粒子分散液を収容すると共に、回転軸の一端に撹拌翼5が設けられた攪拌器4を備えた混合漕6と、送液ポンプ2を備えかつ微粒子分散液7の液中に少なくとも一端が位置するように配置された添加装置3とで構成され、貯蔵漕1と混合漕6とは添加装置3によって連通されている。撹拌翼5は、各翼が傾斜角を有して回転軸の一端に設けられ、回転軸を中心に同心円上を回転させたときに矢印方向Aに液流ができるようになっている。添加装置3の前記一端は、矢印方向Aに液流ができるように設けられた撹拌翼5の、該撹拌翼から見て液面側、すなわち吸い込み側に配置されている。
【0028】
なお、上記の塗布液調製装置には、図示しないが、貯蔵漕や混合漕、添加装置に液面計、温度計、圧力計などの計装設備や、必要に応じて液温を一定に保持するための保温設備が備えられていてもよい。
【0029】
塗布液調製装置を起動すると、混合漕6に備えられた撹拌器4が所定の回転数で回転し、混合漕6中の微粒子分散液7を撹拌する。このとき、微粒子分散液7は撹拌器4の回転軸の回りを一定の向きに流動し、液中では矢印Aの方向に液流ができる。微粒子分散液7の流動若しくは液流状態がおよそ安定した後、送液ポンプ2が駆動されると、貯蔵漕1に収容された潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液が添加装置3を挿通して混合漕6に供給される。このとき、添加装置3の一端は微粒子分散液7中にある撹拌翼5の吸い込み側に位置するため、供給された潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液は微粒子分散液7中に直接添加されると、微粒子分散液7の液流方向Aに向って還流していき混合される。
【0030】
上記において、微粒子分散液に潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を添加して混合する混合漕としては、液体を収容できる容器であれば特に制限はないが、一般的な収容部(皿)が設けられた円筒漕が好ましい。
【0031】
微粒子分散液中に添加していく際の添加方法としては、特に制限なく公知の方法を適宜選択して適用でき、例えば、定量漕液ポンプ、遠心式ポンプ、チューブポンプ、回転式ポンプ、エアポンプ等を用いた方法が挙げられる。
【0032】
また、微粒子分散液を収容する混合漕と潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を収容する貯蔵漕とを繋ぐ添加装置としては、金属製若しくは樹脂製などの配管が好ましいが、例えば、ホースなどを適切な支持具に固定したものを微粒子分散液中に挿入するようにしてもよい。また更に、添加装置は、不使用時には取外し可能なように構成されていてもよい。
【0033】
上記の潤滑剤を含む潤滑剤分散液及び/又はアニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液の固形分濃度は、これら液の粘性と密接に関係しており、つまり固形分濃度が低い場合には粘性も低く、微粒子分散液に添加した際にその流動や液流によって容易に分散させることができる。また、これら液の固形分濃度が低いということは、これら液の単位容量に存在する有効成分間における分子間距離が長いことを意味し、添加したときの微粒子分散液中の成分との間で生じる相互作用が発生し難くなることを意味する。
【0034】
上記の点から、潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液の固形分濃度は重要な因子であり、具体的な固形分濃度としては、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が最も好ましい。下限としては、10質量%以上が好ましい。前記固形分濃度が、30質量%を超えると、空気の巻き込みのないような撹拌流動下では凝集の発生を充分に回避することができないことがあり、10質量%未満であると、必要以上に液が薄くなってしまい、支持体上に塗布する工程において乾燥負荷が著しく増大したり、塗布速度が著しく下げざるを得ないなど生産性の面で支障を来すことがある。
【0035】
次に、上記の潤滑剤分散液、界面活性剤溶液、および微粒子分散液に含有する成分について説明する。
【0036】
前記潤滑剤分散液は主として潤滑剤を含有してなり、前記界面活性剤溶液は主としてアニオン系界面活性剤を含んでなり、前記微粒子分散液は無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含んでなり、いずれにおいても更に他の成分を含んで構成することができる。なお、無機微粒子とポリビニルアルコールとは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。また、上記した分散溶液は、潤滑剤とアニオン性界面活性剤とを主として含有してなり、潤滑剤分散液、界面活性剤溶液と同様の他の成分を更に含んで構成することができる。
【0037】
−潤滑剤−
潤滑剤としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス系潤滑剤、シリコーンポリマー系潤滑剤、高級脂肪酸塩などが挙げられる。中でも特に、高級脂肪酸塩が好ましい。
【0038】
高級脂肪酸塩は固体の粒子状物質であり、インクの滲みなどに起因する画質の悪化を招くことなく、塗設される層(インク受容層)の表面性を改善できる。これにより、二枚同時に搬送しようとする2重送りの発生を防止して優れた走行性を確保できると共に、フィードロール汚れの発生をも防ぎ、印画画質に優れた画像を安定的に形成することができる。
【0039】
前記高級脂肪酸塩としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、およびこれらの複合体などが挙げられる。中でも、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0040】
前記高級脂肪酸塩の体積平均粒子径としては、1〜10μmが好ましい。前記平均粒子径が、1μm未満であると、記録時の2重送りやフィードロール汚れを充分に防止できないことがあり、10μmを超えると、印画画質の悪化を引き起こすことがある。
【0041】
前記高級脂肪酸塩の潤滑剤分散液における含有量としては既述の固形分濃度の範囲が好ましい。該含有量が、少なすぎると記録時の2重送りやフィードロール汚れを充分に防止できないことがあり、多すぎると印画濃度の低下、画像滲みの悪化を生ずることがある。
【0042】
−アニオン系界面活性剤−
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
【0043】
前記アニオン系界面活性剤の界面活性剤溶液における含有量としては既述の固形分濃度の範囲が好ましい。該含有量が、少なすぎると所定の界面活性剤を加えた際に塗布液が過剰に薄まり、塗布工程での乾燥負荷が増してエネルギーの浪費となることがあり、多すぎると凝集が発生し易くなることがある。
【0044】
−無機微粒子−
前記無機微粒子としては、例えば、気相法シリカや含水シリカ微粒子などのシリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、二酸化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミナ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、チタンホワイト、珪藻土、またはポリエチレン、ポリスチレン若しくは尿素樹脂の微粉末等が挙げられる。
【0045】
無機微粒子を含有することにより、本発明のインクジェット記録用シートの製造方法により調製された塗布液を塗布してなるインク受容層を多孔質構造に形成することができ、これによりインクの吸収性能を向上させ得ると共に、形成画像のインク滲みを効果的に防止することができる。
【0046】
上記のうち、本発明においては、二酸化珪素、合成非晶質シリカが好ましい。無機微粒子は、一次粒子のまま用いても、あるいは二次粒子を形成した状態で使用してもよい。
【0047】
合成非晶質シリカの平均二次粒子径としては2〜15μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。平均二次粒子径が上記範囲であると、インク吸収特性を効果的に向上させ得ると共に、インク受容層表面の光沢性を高めることができる。また、平均二次粒子径が、2μm未満であると、製造コストが高くなることがあり、15μmを超えると、フィードロール汚れが悪化したり、印画画質が悪化することがある。
【0048】
合成非晶質シリカは、通常その製造法により湿式法(沈殿法)粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。
本発明に係る合成非晶質シリカとしては、特に湿式法によるシリカ微粒子が好ましい。
【0049】
無機微粒子(好ましくは二酸化珪素、合成非晶質シリカ)のインク受容層における固形分含有量としては、55質量%以上が好ましく、60質量%を超える範囲がより好ましい。上記範囲とすることにより、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、充分なインク吸収性を備えると同時に、吸収されたインクの滲みを抑止し得るインクジェット記録用シートを得ることができる。ここで、合成非晶質シリカのインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
【0050】
また、無機微粒子は複数種を併用してもよい。特に、合成非晶質シリカと他の無機微粒子とを併用する場合には、他の無機微粒子および合成非晶質シリカの全質量に占める合成非晶質シリカの割合としては、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0051】
また、合成非晶質シリカ以外の他の無機微粒子の平均二次粒径としては、2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。特に、気相法シリカやアルミナ微粒子の平均二次粒径は20nm以下が好ましい。
【0052】
また、合成非晶質シリカの分散性を改善する目的で、該合成非晶質シリカ表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能基(例えば、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
【0053】
−ポリビニルアルコール−
前記ポリビニルアルコール(PVA)としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0054】
ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものも使用できる。
【0055】
ポリビニルアルコールの微粒子分散液における含有量としては、塗設乾燥後のインク受容層の全固形分質量に対し、9〜40質量%となる量が好ましく、12〜33質量%となる量がより好ましい。
【0056】
また、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド、並びに、解離性基としてカルボキシ基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等の他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコールとを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコールの含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0057】
インク受容層中における、無機微粒子 (x)とPVA(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度に大きな影響を与える。すなわち、質量含有比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明におけるPB比(x/y)としては、PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下やシリカ粉の落下を防止し、かつPB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0058】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記PB比(x/y)としては5:1以下がより好ましく、一方、インクジェットプリンターで高速インク吸収性を確保する観点からは、2:1以上であることがより好ましい。
【0059】
例えば、平均二次粒子径が2〜15μmの合成非晶質シリカとPVAとをPB比(x/y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ粒子においては二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0060】
−媒染剤−
本発明においては、形成画像の耐経時ニジミ及び耐水性の更なる向上を図る目的で媒染剤を併用する。
媒染剤としては、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤が好ましく、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)が特に好ましい。該媒染剤をインク受容層内の少なくとも上層に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用が働き該色材を安定化して、耐水性や耐経時ニジミを改善することができる。
【0061】
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0062】
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0063】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0064】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0065】
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0066】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0067】
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0068】
前記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
前記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0069】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
【0070】
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物等も好ましいものとして挙げることができる。
【0071】
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号の各公報に記載のもの等が挙げられる。中でも、ポリアリルアミン及びその誘導体が特に好ましい。さらに、経時ニジミの防止の観点から、質量平均分子量が100000以下のポリアリルアミン及びその誘導体が好ましい。
【0072】
−その他−
本発明に係る微粒子分散液、あるいは微粒子分散液に潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を添加して調製された塗布液(インク受容層塗布液)には、必要に応じ、更に架橋剤や公知の各種添加剤(例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、ニジミ防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等)を含有することができる。なお、上述の媒染剤には、紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの堅牢性向上剤を併用することが好ましい。
【0073】
〈架橋剤〉
本発明に係るインク受容層には、更に水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有することができ、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0074】
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg2B2O5、Co2B2O5)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na2B4O7・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB5O8・4H2O、Ca2B6O11・7H2O、CsB5O5)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0075】
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0076】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0077】
架橋剤は、インク受容層形成用の塗布液(インク受容層塗布液)を塗布する際にインク受容層塗布液中および/またはインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、前記インク受容層塗布液を塗布する、架橋剤非含有のインク受容層塗布液を塗布・乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする、等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の点から、インク受容層塗布液またはこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、インク受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。
【0078】
架橋剤の使用量は、層中の水溶性樹脂の質量に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0079】
〈各種添加剤〉
併用してもよい紫外線吸剤、酸化防止剤、ニジミ防止剤としては、アルキル化フェノール性化合物(ヒンダードフェノール性化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール性化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール性化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
【0080】
これらの中でも、アルキル化フェノール性化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物の内少なくても一種を組合せて用いるのが好ましい。
【0081】
本発明に係る微粒子分散液、あるいは微粒子分散液に潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を添加してなる塗布液(インク受容層塗布液)には、上記のアニオン系界面活性剤のほか、カチオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系界面活性剤を併用してもよい。
【0082】
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液及び第2の塗布液において使用することができる。また、前記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0083】
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。前記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0085】
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0086】
−支持体−
支持体としては、紙等の不透明材料からなる不透明支持体が好ましい。例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0087】
前記不透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い性の点で50〜300μmが好ましい。
【0088】
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0089】
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0090】
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0091】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0092】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0093】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0094】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0095】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0096】
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0097】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行なって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0098】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0099】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0100】
−インク受容層の形成方法−
インクジェット記録用シートを構成するインク受容層(および必要に応じて適宜設けられる下塗り層など各種層)を支持体上に形成する方法は、公知の方法から適宜選択することができる。好ましい方法としては、支持体上に層を構成する塗布液を塗布、乾燥する方法がある。
【0101】
本発明に係るインク受容層塗布液は以下のように調製できる。すなわち、
無機微粒子(好ましくは二酸化珪素、合成非晶質シリカ)と分散剤とを水中に添加(例えば、水中の合成非晶質シリカは10〜20質量%)して分散させ、水分散物とした後、PVA水溶液(例えば合成非晶質シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)と媒染剤とを加えて微粒子分散液を調製し、これに別途調製した潤滑剤(好ましくは高級脂肪酸塩)分散液及び/又はアニオン系界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を上記のように液中添加する。これにより、インク受容層塗布液が得られ、得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、インク受容層を形成することができる。
【0102】
インク受容層塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、ブレッドコータ、ロッドコータ、カーテンコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等を用いた公知の塗布方法により行なえ、中でもカーテンコータを用いた塗布方法が好ましい。
【0103】
本発明に係るインク受容層は、単層構成であってもよいし、複数の層で構成されてもよく、例えば二層で構成される場合、まず支持体上に、第一のインク受容層塗布液を塗布して受容層1を形成し、その後更に第二のインク受容層塗布液を塗布して受容層2を形成することができる。また、上記の受容層1および受容層2を同時塗布により形成することもできる。1回の塗布で層形成する同時塗布の方が好ましい。
ここで、インク受容層塗布液の総塗布量としては、10〜100g/m2が一般的であり、20〜80g/m2が好ましい。
【0104】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
【0105】
(実施例1)
−インク受容層塗布液の調製−
まず、図1に示すように構成された塗布液調製装置を用意した。
塗布液調製装置は、貯蔵漕1と、回転軸の一端に4枚の45°傾斜パドル翼5が設けられた攪拌器(スリーワンモータ、新東科学(株)製)4を備えた2リットルステンレス製ビーカ(混合漕)6と、送液ポンプ2を備えかつ添加口となる一端が液中となるように配置された添加装置3とで構成され、貯蔵漕1と混合漕6とは添加装置3によって連通されている。パドル翼5は、回転させたときに矢印方向Aに液流ができるようになっている。また、添加装置3の前記一端は、矢印方向Aに液流ができるように設けられたパドル翼5端部から液面側に2cmの位置となる、パドル翼から見て吸い込み側に配置されている。
【0106】
次に、沈殿法による非晶質シリカ含水二酸化珪素(無機微粒子;ファインシールX60、(株)トクヤマ製)40部と、カチオン系ポリマー(媒染剤;ネオフィックスR250、日華化学(株)製)21%水溶液40部とを水130部に分散し、この全量をポリビニルアルコール(PVA R1130;(株)クラレ製)9%水溶液130部に添加して微粒子分散液とし、混合漕6に収容した。
【0107】
続いて、アニオン系界面活性剤(Aerosol MA80、American Cynamid and Chemical Corporation社製)8.5%水溶液26部と、脂肪酸カルシウムポリオキシエチレングリコール(潤滑剤;DEF8001、日新化学研究所製)50%分散液10部とを予め混合した、総固形分濃度20%の分散溶液を調製し、貯蔵漕1に収容した。
【0108】
そして、塗布液調製装置を起動し、撹拌器4のパドル翼5を回転数120回/minで回転させながら、送液ポンプ2を駆動して貯蔵漕1から分散溶液を混合漕6に供給し、2分間かけて微粒子分散液7の液中において直接添加した。これにより、本発明に係るインク受容層塗布液を調製した。
【0109】
−塗布と評価−
調製したインク受容層塗布液を10分間放置した後、この塗布液中にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを3秒間浸漬して引き上げ、PETフィルム上に塗布した。そして、引き上げたPETフィルムの片側に付着している凝集物を目視により注意深く観察し、下記基準にしたがって評価した。評価の結果を下記表1に示す。
〈基準〉
○:凝集物の付着は全く認められなかった。
△:凝集物の付着が認められたが、実使用上問題ない程度であった。
×:0.5mmを超える凝集物を含め、多数の凝集物の付着が認められた。
【0110】
(実施例2〜3)
実施例1において、潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液の総固形分濃度を15%、30%に各々代えたこと以外、実施例1と同様にして、インク受容層塗布液を調製し、更に浸漬、目視評価を行なった。評価の結果を下記表1に示す。なお、実施例3では、微小な凝集物が無数に観察されたものの、その後撹拌を継続することにより消滅した。
【0111】
(比較例1)
実施例1において、インク受容層塗布液の調製に用いた塗布液調製装置(図1)を、図2に示すように添加口となる一端が液外に位置する添加装置9を有して構成された、液上添加を行なう塗布液調製装置に代えたこと以外、実施例1と同様にして、インク受容層塗布液を調製し、更に浸漬、目視評価を行なった。評価の結果を下記表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
上記表1に示すように、添加を液中において直接行なうようにした実施例では、凝集物の付着を効果的に抑止することができた。また、微小な凝集物が付着した実施例3においても更に撹拌を継続することで凝集物を消滅させることができた。
一方、液上添加を行なった比較例では、微小な凝集物が多数付着しただけでなく、粗大な凝集物の付着まで顕著に認められた。なお、撹拌を継続しても凝集物の全てを消滅させることはできなかった。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合することによりインクを受容するインク受容層形成用の塗布液を調製する場合において、凝集物の発生を効果的に抑止することができ、液ロスや気泡の巻きこみ等の弊害、生産性の低下を伴うことがなく、均一なインク受容層を低エネルギー(低コスト)で塗設することができるインクジェット記録用シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録用シートの製造方法を適用した塗布液調製装置の一例を示す図である。
【図2】従来の液上添加により混合を行なう塗布液調製装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…貯蔵漕
2…送液ポンプ
3,9…添加装置
4…撹拌器
5…撹拌翼
6…混合漕
7…微粒子分散液
8…潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤を含む分散液
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録が可能なシート状記録紙に関し、詳しくは、ドキュメントの記録に好適であって、絵や写真の記録にも適用し得るインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および装置も開発されて、各々実用化されている。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
インクジェット記録方法により記録を行なう場合、給紙トレイに収容された記録シートを装置のフィードロールによってピックアップし、所定の搬送路を搬送させながらインクを吐出することにより記録することができる。このとき、記録シートの表裏における摩擦係数が高いと、装置の給紙トレイから複数枚がピックアップされて2重送りが発生したり、フィードロールとの接触によりフィードロール汚れを起こすといった問題があった。
【0004】
かかる問題に対して、支持体のインクを受容するインク受容性被覆層が設けられた側とは逆側に滑剤を含む裏面被覆層を設けたインクジェット記録用紙が提案されており、プリンタでの重送や蛇行などのない優れた搬送性が得られることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、2重送りを抑える効果は得られるものの、滑剤が添加されているのは裏面のみであり、フィードロールは記録面で接してピックアップするため、記録面におけるフィードロール汚れまで防止することはできない。
【0005】
また、他の記録媒体と同様に、一般にインクジェット画像においても形成画像の高画質化が要求され、色濃度が高く、インク滲み(画像のニジミ)のないドキュメントの記録や画像の形成が求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−190620公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記に鑑み、インクを受容するインク受容層に潤滑剤やアニオン系界面活性剤を含有させることが有用であるとの知見を得た。この場合、インク受容層形成用の塗布液の調製は、例えば少なくとも無機顔料(無機微粒子)、媒染剤、ポリビニルアルコール、並びに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤の各成分を、通常個々の成分ごとに混合するための混合漕に順次添加、混合することで行なわれる。しかしながら、予め調製しておいた無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合する際、概して凝集が生じてしまう問題があった。この凝集物を含む塗布液を塗布しようとすると、塗設したインク受容層に異物状の凸部が形成され、商品としての品位を著しく損なう一因となる。
【0008】
したがって、予め凝集物を除去することが必要となるが、凝集物の除去のためにはフィルタを設置するなど無駄な投資やスペースが必要となる。また、フィルタを設置してもそのフィルタに凝集物が一旦詰まってしまうと、送液ラインを停止して分解、洗浄する作業が必要となり、生産性の悪化や液ロスを生ずるといった問題もあった。
【0009】
上記のような凝集物が発生するメカニズムとしては、いわゆるポリビニルアルコールショックによるものや、アニオン系界面活性剤とカチオン系ポリマーである潤滑剤との電気的相互作用によるものなどが考えられるが、いずれにおいても強撹拌下では凝集物の発生が抑制されることが判っている。これは、凝集開始の時点で撹拌による剪断力で凝集物が分散されていくためであると考えられている。
【0010】
したがって、従来より上記のような調製時における凝集物の発生を防止する手段として、予め調製しておいた無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを含む混合液に潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合する段階で強力な撹拌を行なうことが効果的である。
【0011】
しかしながら、撹拌を強力に行なうと、より多くの電力を消費すると共に、撹拌により渦を発生させて空気を巻きこむために、塗設した層中に気泡が発生してしまうなどの二次的な問題を招来することになる。したがって、単に撹拌性を変えるだけでなく、調製を行なうにあたっての抜本的な対策が求められていた。
【0012】
他方、前記2重送りなどの問題を改善するための潤滑剤として、ワックス系やシリコーン系等の滑剤を使用することも可能である。ところが、ワックス等を加えた場合には印画画質が悪化してしまうことがある懸念もある。
【0013】
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明は、無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合することによりインクを受容するインク受容層形成用の塗布液を調製する場合において、凝集物の発生を効果的に抑止することができ、液ロスや気泡の巻きこみ等の弊害、生産性の低下を伴うことがなく、均一なインク受容層を低エネルギー(低コスト)で塗設することができるインクジェット記録用シートの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合してインク受容層形成用の塗布液(インク受容層塗布液)を調製するに際し、前者の混合液中において直接後者の溶液を添加することが凝集物の発生を抑止する点で有効であるとの知見を得た。すなわち、本発明は、混合液中において直接添加することによって、一般に行われる液上添加の場合に比し、二液界面で起こる凝集開始が抑制されること、さらに液中添加後直ちに撹拌流動によって分散されると凝集が発生し難いこと、に基づくものである。
【0015】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体の少なくとも一方の側に、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールと潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む塗布液を塗布してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、前記潤滑剤を含む潤滑剤分散液および前記アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液の少なくとも一方を、前記無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含む微粒子分散液の液中において直接添加する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0016】
<2> 前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方を、流動する微粒子分散液の液中において添加するようにした前記<1>に記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
<3> 前記微粒子分散液を撹拌翼により撹拌流動させ、流動する微粒子分散液中における回転する攪拌翼の吸い込み側において前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方を添加する前記<2>に記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
<4> 前記無機微粒子が二酸化珪素を主成分に含み、前記ポリビニルアルコールの鹸化度が95%以上であり、かつ前記媒染剤がカチオン性ポリマーである前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0017】
<5> 前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方の固形分濃度が10〜30質量%である前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
<6> 前記潤滑剤が高級脂肪酸塩である前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法においては、潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を、加えようとする混合液の液中において直接添加することを特徴とする。以下、本発明のインクジェット記録用シートの製造方法について詳細に説明する。
【0019】
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法は、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールと潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを少なくとも含む塗布液を調製し、該塗布液を支持体の少なくとも一方の側に塗布してインク受容層を形成するものであり、特に前記塗布液の調製において、前記潤滑剤を含む潤滑剤分散液および前記アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液の少なくとも一方を、前記無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含む微粒子分散液の液中において直接添加する工程を有して構成される。
【0020】
本発明において、潤滑剤とアニオン系界面活性剤の両方を添加する場合には、必ずしも別個に調製された潤滑剤分散液および界面活性剤溶液の両方を添加する必要はなく、潤滑剤とアニオン系界面活性剤の両方を含む分散溶液を調製し、これを添加するようにすることができる。
【0021】
この工程では、あらかじめ無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含んで調製しておいた微粒子分散液の液中に、潤滑剤を含む潤滑剤分散液及び/又はアニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液をダイレクトに添加し、混合するため、二液界面での凝集挙動を効果的に抑制することができ、凝集物の発生を防止することができる。これにより、液ロスや気泡の巻きこみ等の弊害、生産性の低下を来さないだけでなく、表面凸部のない均一なインク受容層を低エネルギー(低コスト)で塗設することができる。
【0022】
さらに、潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液は、流動状態とした微粒子分散液の液中に添加することが望ましい。流動する液中に添加することにより、加えられた溶液は液中に添加された後直ちに撹拌流動によって分散されるため、より凝集の発生を抑止することができる。
【0023】
前記微粒子分散液を流動させる方法は、特に制限されるものではなく、回転力を与えて撹拌する方法や液を強制循環させる方法など、広く知られた方法を適用することができる。例えば、任意の回転数で回転できる回転軸に設けられた撹拌翼を用いて同心円状に回転させて撹拌してもよい。撹拌翼の種類としては、一般的なプロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、ディゾルバー翼、およびこれらを組合せたもの等が適用できる。
【0024】
流動はあまり強すぎない方が望ましく、撹拌する場合には、撹拌翼の回転速度としては、微粒子分散液に潤滑剤分散液および/または界面活性剤溶液を混合する混合漕の容量に依存するが、5〜200回/min程度が好ましい。上記範囲で流動させることにより、効果的に凝集物の発生を防止することができる。逆にあまり強撹拌しすぎると、被添加液である微粒子分散液に渦が発生して空気を巻き込んでしまい、気泡などの二次的故障を来す要因となることがある。
【0025】
前記微粒子分散液を撹拌翼により撹拌流動させた場合、潤滑剤分散液および/または界面活性剤溶液を微粒子分散液中に直接添加する際の添加位置としては、混合を行なう混合漕内に設けられた撹拌翼との関係で、該撹拌翼が回転したときに回転軸を中心に同心円に流動する微粒子分散液中における、回転する該攪拌翼から見て吸い込み側となる位置が望ましい。吸い込み側とは、液中で回転する撹拌翼から見て、その回転面の一方の側から他方の側に流れる液流の上流側(即ち一方の側)をさす。
【0026】
吸い込み側に添加されることにより、添加された潤滑剤分散液および/または界面活性剤溶液が直ちに撹拌翼が微粒子分散液中に作り出す液流に吸い込まれ、撹拌翼から吐出されるため、図2に示すような液上添加する場合のような二液界面の存在をなくすことができる。ここで、図2は、従来の液上添加により混合を行なう塗布液調製装置の一例を示す図である。
【0027】
さらに図1を用いて具体的に説明する。図1は、本発明のインクジェット記録用シートの製造方法を適用した塗布液調製装置の一例を示す図である。
塗布液調製装置は、図1に示すように、潤滑剤を含む潤滑剤分散液及び/又はアニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を収容する貯蔵漕1と、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを含む微粒子分散液を収容すると共に、回転軸の一端に撹拌翼5が設けられた攪拌器4を備えた混合漕6と、送液ポンプ2を備えかつ微粒子分散液7の液中に少なくとも一端が位置するように配置された添加装置3とで構成され、貯蔵漕1と混合漕6とは添加装置3によって連通されている。撹拌翼5は、各翼が傾斜角を有して回転軸の一端に設けられ、回転軸を中心に同心円上を回転させたときに矢印方向Aに液流ができるようになっている。添加装置3の前記一端は、矢印方向Aに液流ができるように設けられた撹拌翼5の、該撹拌翼から見て液面側、すなわち吸い込み側に配置されている。
【0028】
なお、上記の塗布液調製装置には、図示しないが、貯蔵漕や混合漕、添加装置に液面計、温度計、圧力計などの計装設備や、必要に応じて液温を一定に保持するための保温設備が備えられていてもよい。
【0029】
塗布液調製装置を起動すると、混合漕6に備えられた撹拌器4が所定の回転数で回転し、混合漕6中の微粒子分散液7を撹拌する。このとき、微粒子分散液7は撹拌器4の回転軸の回りを一定の向きに流動し、液中では矢印Aの方向に液流ができる。微粒子分散液7の流動若しくは液流状態がおよそ安定した後、送液ポンプ2が駆動されると、貯蔵漕1に収容された潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液が添加装置3を挿通して混合漕6に供給される。このとき、添加装置3の一端は微粒子分散液7中にある撹拌翼5の吸い込み側に位置するため、供給された潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液は微粒子分散液7中に直接添加されると、微粒子分散液7の液流方向Aに向って還流していき混合される。
【0030】
上記において、微粒子分散液に潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を添加して混合する混合漕としては、液体を収容できる容器であれば特に制限はないが、一般的な収容部(皿)が設けられた円筒漕が好ましい。
【0031】
微粒子分散液中に添加していく際の添加方法としては、特に制限なく公知の方法を適宜選択して適用でき、例えば、定量漕液ポンプ、遠心式ポンプ、チューブポンプ、回転式ポンプ、エアポンプ等を用いた方法が挙げられる。
【0032】
また、微粒子分散液を収容する混合漕と潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を収容する貯蔵漕とを繋ぐ添加装置としては、金属製若しくは樹脂製などの配管が好ましいが、例えば、ホースなどを適切な支持具に固定したものを微粒子分散液中に挿入するようにしてもよい。また更に、添加装置は、不使用時には取外し可能なように構成されていてもよい。
【0033】
上記の潤滑剤を含む潤滑剤分散液及び/又はアニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液の固形分濃度は、これら液の粘性と密接に関係しており、つまり固形分濃度が低い場合には粘性も低く、微粒子分散液に添加した際にその流動や液流によって容易に分散させることができる。また、これら液の固形分濃度が低いということは、これら液の単位容量に存在する有効成分間における分子間距離が長いことを意味し、添加したときの微粒子分散液中の成分との間で生じる相互作用が発生し難くなることを意味する。
【0034】
上記の点から、潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液の固形分濃度は重要な因子であり、具体的な固形分濃度としては、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が最も好ましい。下限としては、10質量%以上が好ましい。前記固形分濃度が、30質量%を超えると、空気の巻き込みのないような撹拌流動下では凝集の発生を充分に回避することができないことがあり、10質量%未満であると、必要以上に液が薄くなってしまい、支持体上に塗布する工程において乾燥負荷が著しく増大したり、塗布速度が著しく下げざるを得ないなど生産性の面で支障を来すことがある。
【0035】
次に、上記の潤滑剤分散液、界面活性剤溶液、および微粒子分散液に含有する成分について説明する。
【0036】
前記潤滑剤分散液は主として潤滑剤を含有してなり、前記界面活性剤溶液は主としてアニオン系界面活性剤を含んでなり、前記微粒子分散液は無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含んでなり、いずれにおいても更に他の成分を含んで構成することができる。なお、無機微粒子とポリビニルアルコールとは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。また、上記した分散溶液は、潤滑剤とアニオン性界面活性剤とを主として含有してなり、潤滑剤分散液、界面活性剤溶液と同様の他の成分を更に含んで構成することができる。
【0037】
−潤滑剤−
潤滑剤としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス系潤滑剤、シリコーンポリマー系潤滑剤、高級脂肪酸塩などが挙げられる。中でも特に、高級脂肪酸塩が好ましい。
【0038】
高級脂肪酸塩は固体の粒子状物質であり、インクの滲みなどに起因する画質の悪化を招くことなく、塗設される層(インク受容層)の表面性を改善できる。これにより、二枚同時に搬送しようとする2重送りの発生を防止して優れた走行性を確保できると共に、フィードロール汚れの発生をも防ぎ、印画画質に優れた画像を安定的に形成することができる。
【0039】
前記高級脂肪酸塩としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、およびこれらの複合体などが挙げられる。中でも、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0040】
前記高級脂肪酸塩の体積平均粒子径としては、1〜10μmが好ましい。前記平均粒子径が、1μm未満であると、記録時の2重送りやフィードロール汚れを充分に防止できないことがあり、10μmを超えると、印画画質の悪化を引き起こすことがある。
【0041】
前記高級脂肪酸塩の潤滑剤分散液における含有量としては既述の固形分濃度の範囲が好ましい。該含有量が、少なすぎると記録時の2重送りやフィードロール汚れを充分に防止できないことがあり、多すぎると印画濃度の低下、画像滲みの悪化を生ずることがある。
【0042】
−アニオン系界面活性剤−
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
【0043】
前記アニオン系界面活性剤の界面活性剤溶液における含有量としては既述の固形分濃度の範囲が好ましい。該含有量が、少なすぎると所定の界面活性剤を加えた際に塗布液が過剰に薄まり、塗布工程での乾燥負荷が増してエネルギーの浪費となることがあり、多すぎると凝集が発生し易くなることがある。
【0044】
−無機微粒子−
前記無機微粒子としては、例えば、気相法シリカや含水シリカ微粒子などのシリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、二酸化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミナ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、チタンホワイト、珪藻土、またはポリエチレン、ポリスチレン若しくは尿素樹脂の微粉末等が挙げられる。
【0045】
無機微粒子を含有することにより、本発明のインクジェット記録用シートの製造方法により調製された塗布液を塗布してなるインク受容層を多孔質構造に形成することができ、これによりインクの吸収性能を向上させ得ると共に、形成画像のインク滲みを効果的に防止することができる。
【0046】
上記のうち、本発明においては、二酸化珪素、合成非晶質シリカが好ましい。無機微粒子は、一次粒子のまま用いても、あるいは二次粒子を形成した状態で使用してもよい。
【0047】
合成非晶質シリカの平均二次粒子径としては2〜15μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。平均二次粒子径が上記範囲であると、インク吸収特性を効果的に向上させ得ると共に、インク受容層表面の光沢性を高めることができる。また、平均二次粒子径が、2μm未満であると、製造コストが高くなることがあり、15μmを超えると、フィードロール汚れが悪化したり、印画画質が悪化することがある。
【0048】
合成非晶質シリカは、通常その製造法により湿式法(沈殿法)粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。
本発明に係る合成非晶質シリカとしては、特に湿式法によるシリカ微粒子が好ましい。
【0049】
無機微粒子(好ましくは二酸化珪素、合成非晶質シリカ)のインク受容層における固形分含有量としては、55質量%以上が好ましく、60質量%を超える範囲がより好ましい。上記範囲とすることにより、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、充分なインク吸収性を備えると同時に、吸収されたインクの滲みを抑止し得るインクジェット記録用シートを得ることができる。ここで、合成非晶質シリカのインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
【0050】
また、無機微粒子は複数種を併用してもよい。特に、合成非晶質シリカと他の無機微粒子とを併用する場合には、他の無機微粒子および合成非晶質シリカの全質量に占める合成非晶質シリカの割合としては、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0051】
また、合成非晶質シリカ以外の他の無機微粒子の平均二次粒径としては、2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。特に、気相法シリカやアルミナ微粒子の平均二次粒径は20nm以下が好ましい。
【0052】
また、合成非晶質シリカの分散性を改善する目的で、該合成非晶質シリカ表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能基(例えば、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
【0053】
−ポリビニルアルコール−
前記ポリビニルアルコール(PVA)としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0054】
ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものも使用できる。
【0055】
ポリビニルアルコールの微粒子分散液における含有量としては、塗設乾燥後のインク受容層の全固形分質量に対し、9〜40質量%となる量が好ましく、12〜33質量%となる量がより好ましい。
【0056】
また、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド、並びに、解離性基としてカルボキシ基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等の他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコールとを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコールの含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0057】
インク受容層中における、無機微粒子 (x)とPVA(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度に大きな影響を与える。すなわち、質量含有比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明におけるPB比(x/y)としては、PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下やシリカ粉の落下を防止し、かつPB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0058】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記PB比(x/y)としては5:1以下がより好ましく、一方、インクジェットプリンターで高速インク吸収性を確保する観点からは、2:1以上であることがより好ましい。
【0059】
例えば、平均二次粒子径が2〜15μmの合成非晶質シリカとPVAとをPB比(x/y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ粒子においては二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0060】
−媒染剤−
本発明においては、形成画像の耐経時ニジミ及び耐水性の更なる向上を図る目的で媒染剤を併用する。
媒染剤としては、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤が好ましく、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)が特に好ましい。該媒染剤をインク受容層内の少なくとも上層に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用が働き該色材を安定化して、耐水性や耐経時ニジミを改善することができる。
【0061】
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0062】
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0063】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0064】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0065】
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0066】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0067】
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0068】
前記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
前記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0069】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
【0070】
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物等も好ましいものとして挙げることができる。
【0071】
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号の各公報に記載のもの等が挙げられる。中でも、ポリアリルアミン及びその誘導体が特に好ましい。さらに、経時ニジミの防止の観点から、質量平均分子量が100000以下のポリアリルアミン及びその誘導体が好ましい。
【0072】
−その他−
本発明に係る微粒子分散液、あるいは微粒子分散液に潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を添加して調製された塗布液(インク受容層塗布液)には、必要に応じ、更に架橋剤や公知の各種添加剤(例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、ニジミ防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等)を含有することができる。なお、上述の媒染剤には、紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの堅牢性向上剤を併用することが好ましい。
【0073】
〈架橋剤〉
本発明に係るインク受容層には、更に水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有することができ、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0074】
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg2B2O5、Co2B2O5)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na2B4O7・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB5O8・4H2O、Ca2B6O11・7H2O、CsB5O5)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0075】
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0076】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0077】
架橋剤は、インク受容層形成用の塗布液(インク受容層塗布液)を塗布する際にインク受容層塗布液中および/またはインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、前記インク受容層塗布液を塗布する、架橋剤非含有のインク受容層塗布液を塗布・乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする、等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の点から、インク受容層塗布液またはこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、インク受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。
【0078】
架橋剤の使用量は、層中の水溶性樹脂の質量に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0079】
〈各種添加剤〉
併用してもよい紫外線吸剤、酸化防止剤、ニジミ防止剤としては、アルキル化フェノール性化合物(ヒンダードフェノール性化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール性化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール性化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
【0080】
これらの中でも、アルキル化フェノール性化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物の内少なくても一種を組合せて用いるのが好ましい。
【0081】
本発明に係る微粒子分散液、あるいは微粒子分散液に潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を添加してなる塗布液(インク受容層塗布液)には、上記のアニオン系界面活性剤のほか、カチオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系界面活性剤を併用してもよい。
【0082】
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液及び第2の塗布液において使用することができる。また、前記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0083】
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。前記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0085】
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0086】
−支持体−
支持体としては、紙等の不透明材料からなる不透明支持体が好ましい。例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0087】
前記不透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い性の点で50〜300μmが好ましい。
【0088】
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0089】
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0090】
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0091】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0092】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0093】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0094】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0095】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0096】
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0097】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行なって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0098】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0099】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0100】
−インク受容層の形成方法−
インクジェット記録用シートを構成するインク受容層(および必要に応じて適宜設けられる下塗り層など各種層)を支持体上に形成する方法は、公知の方法から適宜選択することができる。好ましい方法としては、支持体上に層を構成する塗布液を塗布、乾燥する方法がある。
【0101】
本発明に係るインク受容層塗布液は以下のように調製できる。すなわち、
無機微粒子(好ましくは二酸化珪素、合成非晶質シリカ)と分散剤とを水中に添加(例えば、水中の合成非晶質シリカは10〜20質量%)して分散させ、水分散物とした後、PVA水溶液(例えば合成非晶質シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)と媒染剤とを加えて微粒子分散液を調製し、これに別途調製した潤滑剤(好ましくは高級脂肪酸塩)分散液及び/又はアニオン系界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液を上記のように液中添加する。これにより、インク受容層塗布液が得られ、得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、インク受容層を形成することができる。
【0102】
インク受容層塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、ブレッドコータ、ロッドコータ、カーテンコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等を用いた公知の塗布方法により行なえ、中でもカーテンコータを用いた塗布方法が好ましい。
【0103】
本発明に係るインク受容層は、単層構成であってもよいし、複数の層で構成されてもよく、例えば二層で構成される場合、まず支持体上に、第一のインク受容層塗布液を塗布して受容層1を形成し、その後更に第二のインク受容層塗布液を塗布して受容層2を形成することができる。また、上記の受容層1および受容層2を同時塗布により形成することもできる。1回の塗布で層形成する同時塗布の方が好ましい。
ここで、インク受容層塗布液の総塗布量としては、10〜100g/m2が一般的であり、20〜80g/m2が好ましい。
【0104】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
【0105】
(実施例1)
−インク受容層塗布液の調製−
まず、図1に示すように構成された塗布液調製装置を用意した。
塗布液調製装置は、貯蔵漕1と、回転軸の一端に4枚の45°傾斜パドル翼5が設けられた攪拌器(スリーワンモータ、新東科学(株)製)4を備えた2リットルステンレス製ビーカ(混合漕)6と、送液ポンプ2を備えかつ添加口となる一端が液中となるように配置された添加装置3とで構成され、貯蔵漕1と混合漕6とは添加装置3によって連通されている。パドル翼5は、回転させたときに矢印方向Aに液流ができるようになっている。また、添加装置3の前記一端は、矢印方向Aに液流ができるように設けられたパドル翼5端部から液面側に2cmの位置となる、パドル翼から見て吸い込み側に配置されている。
【0106】
次に、沈殿法による非晶質シリカ含水二酸化珪素(無機微粒子;ファインシールX60、(株)トクヤマ製)40部と、カチオン系ポリマー(媒染剤;ネオフィックスR250、日華化学(株)製)21%水溶液40部とを水130部に分散し、この全量をポリビニルアルコール(PVA R1130;(株)クラレ製)9%水溶液130部に添加して微粒子分散液とし、混合漕6に収容した。
【0107】
続いて、アニオン系界面活性剤(Aerosol MA80、American Cynamid and Chemical Corporation社製)8.5%水溶液26部と、脂肪酸カルシウムポリオキシエチレングリコール(潤滑剤;DEF8001、日新化学研究所製)50%分散液10部とを予め混合した、総固形分濃度20%の分散溶液を調製し、貯蔵漕1に収容した。
【0108】
そして、塗布液調製装置を起動し、撹拌器4のパドル翼5を回転数120回/minで回転させながら、送液ポンプ2を駆動して貯蔵漕1から分散溶液を混合漕6に供給し、2分間かけて微粒子分散液7の液中において直接添加した。これにより、本発明に係るインク受容層塗布液を調製した。
【0109】
−塗布と評価−
調製したインク受容層塗布液を10分間放置した後、この塗布液中にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを3秒間浸漬して引き上げ、PETフィルム上に塗布した。そして、引き上げたPETフィルムの片側に付着している凝集物を目視により注意深く観察し、下記基準にしたがって評価した。評価の結果を下記表1に示す。
〈基準〉
○:凝集物の付着は全く認められなかった。
△:凝集物の付着が認められたが、実使用上問題ない程度であった。
×:0.5mmを超える凝集物を含め、多数の凝集物の付着が認められた。
【0110】
(実施例2〜3)
実施例1において、潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む分散溶液の総固形分濃度を15%、30%に各々代えたこと以外、実施例1と同様にして、インク受容層塗布液を調製し、更に浸漬、目視評価を行なった。評価の結果を下記表1に示す。なお、実施例3では、微小な凝集物が無数に観察されたものの、その後撹拌を継続することにより消滅した。
【0111】
(比較例1)
実施例1において、インク受容層塗布液の調製に用いた塗布液調製装置(図1)を、図2に示すように添加口となる一端が液外に位置する添加装置9を有して構成された、液上添加を行なう塗布液調製装置に代えたこと以外、実施例1と同様にして、インク受容層塗布液を調製し、更に浸漬、目視評価を行なった。評価の結果を下記表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
上記表1に示すように、添加を液中において直接行なうようにした実施例では、凝集物の付着を効果的に抑止することができた。また、微小な凝集物が付着した実施例3においても更に撹拌を継続することで凝集物を消滅させることができた。
一方、液上添加を行なった比較例では、微小な凝集物が多数付着しただけでなく、粗大な凝集物の付着まで顕著に認められた。なお、撹拌を継続しても凝集物の全てを消滅させることはできなかった。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、無機顔料と媒染剤とポリビニルアルコールとを混合してなる混合液に、さらに潤滑剤及び/又はアニオン系界面活性剤を含む溶液を添加・混合することによりインクを受容するインク受容層形成用の塗布液を調製する場合において、凝集物の発生を効果的に抑止することができ、液ロスや気泡の巻きこみ等の弊害、生産性の低下を伴うことがなく、均一なインク受容層を低エネルギー(低コスト)で塗設することができるインクジェット記録用シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録用シートの製造方法を適用した塗布液調製装置の一例を示す図である。
【図2】従来の液上添加により混合を行なう塗布液調製装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…貯蔵漕
2…送液ポンプ
3,9…添加装置
4…撹拌器
5…撹拌翼
6…混合漕
7…微粒子分散液
8…潤滑剤分散液及び/又は界面活性剤溶液、又は潤滑剤とアニオン系界面活性剤を含む分散液
Claims (6)
- 支持体の少なくとも一方の側に、無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールと潤滑剤とアニオン系界面活性剤とを含む塗布液を塗布してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、
前記潤滑剤を含む潤滑剤分散液および前記アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤溶液の少なくとも一方を、前記無機微粒子と媒染剤とポリビニルアルコールとを少なくとも含む微粒子分散液の液中において直接添加する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法。 - 前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方を、流動する微粒子分散液の液中において添加するようにした請求項1に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
- 前記微粒子分散液を撹拌翼により撹拌流動させ、流動する微粒子分散液中における回転する攪拌翼の吸い込み側において前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方を添加する請求項2に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
- 前記無機微粒子が二酸化珪素を主成分に含み、前記ポリビニルアルコールの鹸化度が95%以上であり、かつ前記媒染剤がカチオン性ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
- 前記潤滑剤分散液および前記界面活性剤溶液の少なくとも一方の固形分濃度が10〜30質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
- 前記潤滑剤が高級脂肪酸塩である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
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-
2002
- 2002-10-16 JP JP2002301785A patent/JP2004136492A/ja active Pending
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