JP2004136219A - 光触媒部材の製造方法 - Google Patents

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高塩 稔
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Abstract

【課題】表面の吸着性が低く、室内の紫外線量が微弱な場所においても光触媒活性を発現でき、かつ、基材表面の透明性、意匠性を損なうことのない光触媒部材を提供することを目的とする。
【解決手段】基材表面に、チタン酸ストロンチウムの前駆体を含む塗膜を形成する工程と、前記塗膜を550℃以上の熱処理を行う工程を備える製造方法によって製造される光触媒性部材であって、太陽光または室内光に含まれる紫外線の照射により前記塗膜が光励起され、表面が清浄化されることを特徴とする光触媒性部材を提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒性部材に関する。より具体的にはチタン酸ストロンチウムからなり、ガス状物質、空中浮遊粉塵に対する吸着性が低く、透明な光触媒部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
防汚もしくは自己浄化(セルフクリーニング)に関する技術には、光触媒のもつ有機物分解性を利用したものがある。アナターゼ型の酸化チタンを用いて、カーボン系の汚れ成分を分解する自己洗浄作用や、アミン化合物、アルデヒド化合物等の悪臭成分を分解する脱臭作用、それらの機能を備えた部材が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
また、酸化チタンのもつ高度な親水性を利用し、部材表面が水との接触角に換算して10°以下、好ましくは5°以下にすることで、降雨により自己浄化する機能
や、水洗いによる易清掃性防汚を備えた部材が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、酸化チタンは、親水性と親油性を示す材料であるために、親水性汚れ成分や親油性汚れ成分に対して吸着性を示し、汚れ成分が付着しやすいという面もある(例えば、非特許文献1参照)。一般的に光触媒のもつ有機物分解能は、光触媒で吸収されるフォトン数に依存する。吸収されるフォトン数に対して表面に吸着される汚れ成分が多い場合、汚れ成分が徐々に堆積する。従って、光量が微弱な室内では汚れ成分が付着しやすい酸化チタンを用いた防汚部材は、吸収フォトン数が汚れ物質の分子数を大幅に上回ることはなく、次第に汚れがつきやすくなってしまう。光量を補うために、紫外線を発する人工灯を設けることは安全面から不適切な場合が多い。
【0004】
また、酸化チタンに吸着される汚れ成分の量は表面積に依存し、一般的に表面積が小さい程、汚れの吸着量は制御される。市販の酸化チタン(酸化チタン)粉末のBET法で測定した比表面積は、例えば、P−25(Degussa社)は50m/g、ST01(石原産業)は300m/gといずれも大きく、汚れの吸着量は多いと考えられる。
一方、顔料としての酸化チタンの表面積は、5〜10m/gが報告されているが、チョーキングを防ぐために、高温熱処理によって結晶構造がルチル化されている。ルチル化した酸化チタンでは、光触媒活性が低下することは周知の事実である。
【0005】
一方、酸化チタン以外に、光触媒活性が高く安定な光触媒として、ペロブスカイト型結晶のチタン酸ストロンチウムが知られている。チタン酸ストロンチウムは複合酸化物であるため、酸化物ないし炭酸塩を出発原料とした固相反応による粉体として合成されている。しかし、固相反応による粉体では透明性に欠けるため、基材表面にコーティングした場合、基材の透明性や意匠性を損ない不適切である(例えば、非特許文献2参照)。
また、チタン酸ストロンチウム単結晶光触媒による水分解に関して報告されているが、単結晶を製造するにはコストがかかり、実用性に欠ける(例えば、非特許文献3参照)。
【0006】
また、チタン酸ストロンチウムは古くから、電極にはさまれた膜構造体として、強誘電体メモリ等に利用される誘電体として用いられてきた。しかし、安定な誘電特性を発現させるために、太陽光及び人工灯からの光を遮蔽しているのが一般的である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−187322号公報(第6−14頁、第5図)
【特許文献2】
特開2001−152051号公報(第21−22頁、第7表)
【非特許文献1】
A.Nakajima,Langmuir 16.7048 (2000)
【非特許文献2】
H.Tsubomura et.al.J.Electrochem.Soc.130,326(1983)
【非特許文献3】
J.G.Mavroides et.al.Appl.Phys.Lett.28,241(1976)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のごとく、部材表面に光触媒膜を形成し、表面が汚れることの防止、または、表面の自己浄化(セルフクリーニング)技術は提案されているが、紫外線が微弱な室内においては光量が限られており、光触媒部材表面に汚れ成分が接触しやすいと、次第に汚れてしまう。特に室内において防汚機能を発現させるには、光触媒部材表面と接触する物質量を低減させる必要がある。
【0009】
そこで、本発明では上記事情に鑑み、表面の吸着性が低く、室内の紫外線量が微弱な場所においても光触媒活性を発現でき、かつ、基材表面の透明性、意匠性を損なうことのない光触媒部材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、基材表面に、チタン酸ストロンチウムの前駆体を含む塗膜を形成する工程と、前記塗膜を550℃以上の熱処理を行う工程を備える製造方法によって製造される光触媒性部材であって、太陽光または室内光に含まれる紫外線の照射により前記塗膜が光励起され、表面が清浄化されることを特徴とする光触媒性部材を提供する。
【0011】
チタン酸ストロンチウムは薄膜では550℃程度の熱処理で十分結晶化させることができ、緻密で透明性に優れた膜を得ることが可能である。
ペロブスカイト型のチタン酸ストロンチウムは、従来から使われている酸化チタンのもつ光触媒活性と同等、またはそれ以上の光触媒活性を示す上、酸化チタンよりも表面積を小さくすることが可能となり、炭化水素類、カルボン酸類、フッ素化合物などのガス状物質や、アスベスト、アレルゲン、タバコ煙、細菌などの空中浮遊粉塵の吸着を抑えることができる。
また、ここで室内光には蛍光灯、白熱電球などからの光がある。蛍光灯の方が白熱電球より紫外線を多く含むので光触媒の光励起を起こすのに適している。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、前記チタン酸ストロンチウムの前駆体が、Ti原子を含むアルコキシドまたはTi原子を含む有機酸の少なくとも1つと、Sr原子を含むアルコキシドまたはSr原子を含む有機酸の少なくとも1つを含む液である。
【0013】
本発明の一様態においては、基材表面に、100〜350℃の温度の水熱処理によって合成したチタン酸ストロンチウムを含む液を塗布して、塗膜を形成することによって製造される光触媒性部材であって、太陽光または室内光に含まれる紫外線の照射により前記塗膜が光励起され、表面が清浄化されることを特徴とする光触媒性部材を提供する。
チタン酸ストロンチウムは水熱処理では100〜350℃の低温で、十分結晶化させることが可能となる。また、バインダーを用いて塗膜を形成する場合、チタン酸ストロンチウム以外の材料と組み合わせることも可能となる。
【0014】
本発明の一様態においては、基材表面を、100〜600℃の温度に加熱し気相成膜法によりチタン酸ストロンチウム塗膜を形成することによって製造される光触媒性部材であって、太陽光または室内光に含まれる紫外線の照射により前記塗膜が光励起され、表面が清浄化されることを特徴とする光触媒性部材を提供する。
チタン酸ストロンチウムは気相成膜法では、基材を100〜600℃にすることで、十分結晶化させることが可能で、また、緻密な膜とすることができる。気相成長法として、例えば、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、CVD、レーザーアブレージョン法等が利用できる。なお、原料の供給源としては電子ビーム蒸着方、イオンプレーティング法においてはTi金属単体ターゲットとSr金属単体ターゲット、または複合酸化物からなるターゲットを用いることができる。スパッタ法においては、Ti金属からなる蒸着材とSr金属からなる蒸着材、または複合酸化物からなる蒸着材、CVD法においては有機チタネートと有機ストロンチウムを用いることが出来る。
【0015】
本発明の好ましい態様においては、前記塗膜を550℃〜1000℃の温度で熱処理することによって結晶化させる。
550℃〜1000℃の温度で熱処理することで異常粒成長を起こすことなく、更に結晶性を良くすることができる。
【0016】
本発明の好ましい態様においては、基材表面と前記チタン酸ストロンチウムの塗膜の間に、パッシベーション層を備える。
パッシベーション層を備えることによって、熱処理の際に基材に含まれるアルカリ成分などが塗膜中に拡散するのを防ぐことができ、高度な光触媒活性を発現することができる。
【0017】
本発明の好ましい態様においては、室内に用いられることを特徴とする光触媒性部材を提供する。
本発明における光触媒性部材は汚れの付着を少なくすることが出来るため、紫外線量の少ない室内においても長期間防汚効果を発揮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明が適用可能な基材としては、セラミック、陶磁器材料、金属、ガラス等の耐熱性のある基材が好適に使用できる。また、本発明に記載の水熱合成によって作製した粉末を担持する場合、前記基材に加え、プラスチック、フィルム、化粧合板、繊維等の有機物も使用することができる。基材の形状はどのようなものでも良く、例えば、タイル、壁材、床材等の板状物や、球状物、円柱状物、円筒状物、棒状物、角状物、中空の角柱状物などの単純形状のものでも、衛生陶器、洗面台、浴槽、流し台等およびその付属品などの複雑形状の物でも良い。
【0019】
本発明に記載のアルコキシドとして、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジエトキシストロンチウム、ジ−i−プロポキシストロンチウム、ジ−n−プロポキシストロンチウム、ジ−n−ブトキシストロンチウムからなる群から、選択される少なくとも一つを好適に使用することができる。
本発明に記載の有機酸として、チタンキレート、アセチルアセトンチタン、エトキシチタン、タイタニウムエチラート、ジエチルヘキサン酸ストロンチウムトルエン溶液、ステアリン酸ストロンチウム、テトラシクロヘキシル酪酸ストロンチウム、カプリル酸ストロンチウムトルエン溶液、ストロンチウムジ(メトキシエトキシド)、ストロンチウムメトキシエトキシド、ストロンチウムメトキシエチラート、ストロンチウムジピバロイルメタナート、n−オクタン酸ストロンチウムトルエン溶液からなる群から、選択される少なくとも一つを好適に使用することができる。
【0020】
本発明に記載の塩として、四塩化チタン、硫酸チタン、炭酸チタン、水素化チタン、四塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、ふっ化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、過酸化ストロンチウムからなる群から選択される少なくとも一つを好適に使用することができる。
本発明に記載の水酸化物として、水酸化チタン、水酸化ストロンチウム、を好適に使用することができる。
【0021】
本発明に記載の、塗膜を形成する方法として、例えば、スプレーコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法等が好適に使用できる。
【0022】
本発明に記載のチタン酸ストロンチウム塗膜の結晶化は、550℃〜1000℃の温度で熱処理する。この温度範囲で加熱処理することによって、異常粒成長することなく結晶化する。
本発明の光触媒性部材は、従来から知られるアナターゼ型酸化チタンと同等、ないし、それ以上の光触媒活性を示す。
光触媒活性とは、伝導電子帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きいエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射することで、価電子帯中の電子の励起(光励起)によって、電子と正孔を生成し、それぞれが外部の系に対し、還元、酸化作用を及ぼす。
前記光触媒活性は、光触媒機能を有する物質のバンド構造により決まる。ペロブスカイト型チタン酸ストロンチウムのバンド構造は、伝導電子帯がTi−3d軌道、価電子帯がO−2p軌道からなり、電子の還元力、正孔の酸化力は強く、付着した有機物を完全分解することができる。
【0023】
光触媒活性の評価方法としては、光触媒製品フォーラム(光触媒材料及び製品を製造・販売する多方面の民間企業が参画したフォーラム)で提案されている、湿式メチレンブルー分解試験や、高見ら.工業材料.1998.Vol.46 P102に示される乾式メチレンブルー分解試験が、好適に利用される。
【0024】
本発明に記載のパッシベーション層として、シリカ、アルミノシリケート、マグネシア、アルミナ、ジルコニア等の絶縁部材が好適に利用できる。基材がナトリウムのようなアルカリ網目修飾イオンを含むガラスや施釉タイルの場合には、熱処理中にアルカリ網目修飾イオンが基材から表面層へ拡散することを防止し、光触媒活性がよりよく発揮される。
【0025】
本発明に記載の水熱処理の際、結晶化したチタン酸ストロンチウムを得るためには100℃〜350℃の温度条件が好ましい。水熱処理で得た粉末の基材への固定は、バインダーを介することにより充分な膜強度を有する部材となる。ここで、バインダーには耐候性に優れた釉薬、シリカ、シリコーン、フッ素樹脂が好ましい。また、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂なども利用できる。
【0026】
本発明の光触媒部材が吸着しにくいと考えられるガス状物質としてとして、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、オクタン、ガソリン、キシレン、シクロヘキサン、ジエチルベンゼン、スチレン、デカン、灯油、トルエン、ブタン、プロパン、ヘキサンなどの炭化水素類、
アリルクロリド、塩化アミル、塩化イソプロピル、塩化エチル、塩化ブチル、塩化メチル、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化アリル、臭化イソプロピル、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類、
アリルアルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコール、エタノール、
ノルマルプロパノール、ノルマルヘキサノール、メタノールなどのアルコール類、
アニソール、エチルイソアミルエーテル、エチルベンジルエーテル、酸化プロピレン、ジイソアミルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、などのエーテル・アセタール類、
アクロレイン、アセチルアセトン、アセトアルデヒト、アセトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサン、などのケトン・アルデヒト類、
イソ吉草酸、吉草酸、イソ酪酸、2−エチルヘキサン酸、酢酸、乳酸などのカルボン酸類、
アリルアミン、イソブチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、
ジエエタノールアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノエチルアミン、モノメチルアミン、などの含窒素化合物、
ジエチル硫酸、ジメチルスルホキシド、ジメチル硫酸、二硫化炭素などの含硫黄化合物、
1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、ドデカフルオロシクロヘキサン、トリクロロフルオロメタン、トリフルオロ酢酸などのフッ素化合物、
アンモニア、液体炭酸、塩酸、硝酸、硫酸などの無機溶媒からなる物質があげられる。
また、本発明の光触媒部材が吸着しにくいと考えられる空中浮遊粉塵として、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、マンソライト、アクティノライトなどのアスベスト、
ダニ虫体およびその排泄物、黴、ソバガラ、花粉等のアレルゲン、
タバコ煙、真菌、細菌などからなる浮遊粉塵などが挙げられる。これらの物質は従来から使用されている酸化チタンでは吸着しやすいが、本発明の光触媒性部材は、粒成長させ表面積を小さくすることで、吸着しにくい部材表面とすることができる。
【0027】
ガス状物質の吸着濃度を測定するには、ガスモニター、ガスクロマトグラフ、検知管などが好適に利用できる。例えば、密封された容器内に吸着濃度を評価する部材を設置し、前記容器に注入するガス濃度から、前記容器から採取されたガス濃度を差し引く方法や、または、ガスが流れる通路の中間に部材を設置し、前記部材を通過する前のガス濃度から、前記部材を通過した後のガス濃度を差し引く方法などで、部材の吸着濃度を評価することができる。
【0028】
本発明の光触媒性部材は、驚くべきことに、紫外線が微弱な室内環境において、高度な防汚特性を示す。本発明における光触媒性部材は汚れの付着を少なくすることが出来るため、紫外線量の少ない室内においても長期間防汚効果を発揮することができる。また、前記光触媒性部材は実質的に透明で干渉色が無いため、いかなる基材にコーティングしてもその意匠性を損ねることはない。
【0029】
室内での微弱な紫外線は、主に蛍光灯から発せられるものである。一般的に蛍光灯照明下では100μW/cm前後の紫外線量がある。更に、太陽光が差し込む場所においては、紫外線量が多くなり、より光触媒活性を発現することは言うまでもない。
【0030】
(実施例1)
7.5cm×5cmのホウケイ酸ガラス板を、シリカコーティング剤(日本曹達NDH500A)に浸漬後、毎分25cmの速度で引き上げて、溶液をディップコーティング法により、ガラス板の表面に塗布し、乾燥させ、500℃で30分熱処理を行った。ここまでの工程により、テトラエトキシシランは加水分解を受けてまずシラノールになり、続いてシラノールの脱水縮重合により無定型シリカの薄膜がガラス板の表面に形成させ、#1試料を得た。このシリカはガラス中のアルカリ成分の拡散を抑制する機能があるパッシベーション層である。
次に、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業)4重量%、2−エチルヘキサン酸ストロンチウムのトルエン溶液(和光純薬工業)64重量%、イソプロパノール32重量%を混合して、コーティング組成物とした。
次に、前記コーティング組成物を#1試料の表面に滴下し、スピンコート法(500rpm−15秒と1000rpm−15秒の連続回転)により表面に塗布し、600℃
で30分熱処理した。膜厚が100nm〜200nmになるように、前記工程をくり返し、#2試料を得た。
次に、前記コーティング組成物を#1試料の表面に滴下し、スピンコート法(500rpm−15秒と1000rpm−15秒の連続回転)により表面に塗布し、550℃
で30分熱処理した。膜厚が100nm〜200nmになるように、前記工程をくり返し、#3試料を得た。
次に、前記コーティング組成物を#1試料の表面に滴下し、スピンコート法(500rpm−15秒と1000rpm−15秒の連続回転)により表面に塗布し、500℃
で30分熱処理した。膜厚が100nm〜200nmになるように、前記工程をくり返し、#4試料を得た。
比較試料としてアナターゼ型酸化チタンを用いた。まず、#1試料を、酸化チタンコーティング剤(日本曹達NDH−510C)に浸漬後、毎分30cmの速度で引き上げて、溶液をディップコーティング法により表面に塗布し、乾燥させ、500℃で30分熱処理した。膜厚が100nm〜200nmになるように、前記工程をくり返し、#5試料とした。
【0031】
#2試料、#3試料及び#4試料を、X線回折装置(マックサイエンス MXP−18)を使用し、θ軸固定(θ=0.5°)による2θスキャン法により、X線源CuKα線、スキャン範囲20〜80°、サンプリング間隔0.02°、スキャン速度2°/minの条件で結晶性を分析した。ピークが検出されることで、結晶化していることを示す。
図1に結果を示す。#2試料及び#3試料ではチタン酸ストロンチウムが結晶化しており、#4試料ではチタン酸ストロンチウムが結晶化しないことが判明した。
【0032】
#2試料及び#5試料について表面組織を比較した。表面組織は走査電子顕微鏡(日立製作所 S4100)により観察を行った。
結果を図2に示す。チタン酸ストロンチウムの粒子径は約100nmであるのに対し、TiOの粒子径は約20nmであり、粒成長による表面積の違いが観察できる。
【0033】
ガスの吸着特性は、マルチガスモニター(INNOVA社 1312型)を用い、イソプロパノール、アセトアルデヒト、酢酸及び、アンモニアのガスで評価した。 試料を800mlのガラスセルに設置、セル内を合成空気で置換した後に、イソプロパノールのガスを初期濃度100ppmに調整し注入、暗所で1時間放置した場合の濃度低下(吸着量)を測定した。前記方法で、各ガス毎に測定を行い、#2試料及び#4試料を評価した。前記合成空気は、乾燥状態(Dry Air)、湿度50%の状態(Humid Air)に調整した。吸着量が低いほど、部材表面に物質が付着しないことを示す。
図3にガス吸着特性を示す。チタン酸ストロンチウムはいずれのガスに対してもTiOに比べ吸着量が低い結果となった。
【0034】
(実施例2)
実施例1で作製した#2試料、#4試料及び#5試料のメチレンブルー分解試験をおこなった。#2試料、#4試料及び#5試料をメチレンブルー1mmol/L溶液に1時間浸漬し、試料表面を染色させ、暗所にて2時間乾燥した。光触媒活性は吸光度を指標とし、吸光度の測定は、UV−vis(島津製作所 UV−1200)を用いた。紫外線の照射はBLBランプ(三共電機 FL20S)を用い、紫外線強度を2mW/cm(照度計:トプコンUVR−2)に調整し、0.5〜30分照射後、暗所に2時間放置して、吸光度を測定した。この評価を、BLB照射時間が累積1.5時間になるまでくり返した。
図4にメチレンブルーの吸光度変化を示す。結晶化していないチタン酸ストロンチウムでは、光触媒活性が見られないが、チタン酸ストロンチウムが結晶化すると、TiOよりも高い光触媒活性を示した。
【0035】
(実施例3)
#2試料及び#4試料を室内空間に暴露した場合の、ヘイズ値を指標とした汚れ付着を評価した。前記室内空間は、紫外線量3μW/cm(照度計:トプコンUD36)以下であり、任意に喫煙できる空間である。ヘイズは、haze−gard plus(ビックケミージャパン社)で評価した。
図5に結果を示す。ヘイズの増加が少ないほど初期の透明性を維持している。チタン酸ストロンチウムはTiOよりも付着物が少なく、高い防汚性を有していることが判明した。
【0036】
(参考例1)
市販のチタン酸ストロンチウム粉末(和光純薬工業)0.3gを、800mlのガラスセルに設置、セル内を乾燥した合成空気で置換した後に、イソプロパノールのガスを初期ガス濃度500ppmに調整し注入、暗所で45分放置した場合の濃度低下(吸着量)を測定した。濃度低下が低いほど、部材表面に物質が付着しないことを示す。測定装置として、マルチガスモニター(INNOVA社 1312型)を用いた。比較として、TiO粉末(石原産業 ST01)0.3gを用い、前記方法で評価した。
図6に暗所における粉末のイソプロパノールの濃度変化を示す。イソプロパノールはTiO粉末には強く吸着するが、チタン酸ストロンチウム粉末に対してはほとんど吸着しないことが判明した。
【0037】
(参考例2)
参考例1で用いた市販のチタン酸ストロンチウム粉末の光触媒による酸化分解活性を、イソプロパノールの分解を指標として用い評価した。チタン酸ストロンチウム粉末(和光純薬工業)0.3gを、800mlのガラスセルに設置、セル内を乾燥した合成空気で置換した後に、500ppm相当のイソプロパノールを注入し、濃度が安定するまで暗所に保管した。この後、紫外線照射した場合のガス濃度の変化をマルチガスモニター(INNOVA社 1312型)で評価した。光源は150W Hg−Xe lampを用い、紫外線を4mW/cm(照度計:トプコンUVR−2)になるように照射した。ガス濃度の測定は、イソプロパノール以外にも、分解生成物であるアセトン、COの変化を測定した。
図7にガスの濃度変化の結果を示す。この結果、イソプロパノールの分解性生物であるアセトンが生成し、そのアセトンも光照射によって二酸化炭素まで分解することがわかった。最終的には、イソプロパノールの初期濃度の3倍等量に相当する1500ppmの二酸化炭素が発生し、イソプロパノールが光触媒作用によって完全分解したことが確認できた。
【0038】
【発明の効果】
基材表面に、チタン酸ストロンチウムの前駆体を塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を550℃以上の熱処理を行う工程によって製造され、太陽光及び人工灯から紫外線を照射することで、前記塗膜が光励起することを特徴とする光触媒性部材
とすることで室内に適した防汚部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒性部材の結晶性を示す図である。
【図2】本発明の光触媒性部材のSEM観察による表面組織を示す図である。
【図3】本発明の光触媒性部材のガス吸着特性を示す図である。
【図4】本発明の光触媒性部材のメチレンブルーの分解活性を示す図である。
【図5】本発明の光触媒性部材の室内における汚れ付着を示す図である。
【図6】参考例の粉末でのガス吸着特性を示す図である。
【図7】参考例の粉末でのイソプロパノール分解を示す図である。

Claims (7)

  1. 基材表面に、チタン酸ストロンチウムの前駆体を含む塗膜を形成する工程と、前記塗膜を550℃以上の熱処理を行う工程を備える製造方法によって製造される光触媒性部材であって、太陽光または室内光に含まれる紫外線の照射により前記塗膜が光励起され、表面が清浄化されることを特徴とする光触媒性部材。
  2. 前記チタン酸ストロンチウムの前駆体が、Ti原子を含むアルコキシドまたはTi原子を含む有機酸の少なくとも1つと、Sr原子を含むアルコキシドまたはSr原子を含む有機酸の少なくとも1つを含む液であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性部材。
  3. 基材表面に、100〜350℃の温度での水熱処理によって合成したチタン酸ストロンチウムを含む液を塗布して、塗膜を形成することによって製造される光触媒性部材であって、太陽光または室内光に含まれる紫外線の照射により前記塗膜が光励起され、表面が清浄化されることを特徴とする光触媒性部材。
  4. 基材表面を、100〜600℃の温度に加熱し気相成膜法によりチタン酸ストロンチウム塗膜を形成することによって製造される光触媒性部材であって、太陽光または室内光に含まれる紫外線の照射により前記塗膜が光励起され、表面が清浄化されることを特徴とする光触媒性部材。
  5. 前記塗膜を550〜1000℃の温度で熱処理することによって結晶化させることを特徴とする請求項3または4に記載の光触媒性部材。
  6. 基材表面と前記チタン酸ストロンチウムの塗膜の間に、パッシベーション層を備えることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項に記載の光触媒性部材。
  7. 室内に用いられることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一項に記載の光触媒性部材。
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JP2009207979A (ja) * 2008-03-03 2009-09-17 Univ Of Tsukuba 触媒製造方法および触媒

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