JP2004135864A - 模様形成体 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射光による眩惑を防止すると共に、立体感のある模様を形成することのできる模様形成体を提供すること
【解決手段】本体22aの表面部を形成する湾曲面に沿い、微細な間隔で多数の微細筋目状凹凸30を形成した細線状模様部28と、これらの凹凸を維持した状態でこの細線状模様部に形成される光反射層32と、この光反射層の外側に位置し、光反射層からの反射光を立体模様として外部から視認可能な有色の装飾層34とを備える模様形成体。
【選択図】 図3
【解決手段】本体22aの表面部を形成する湾曲面に沿い、微細な間隔で多数の微細筋目状凹凸30を形成した細線状模様部28と、これらの凹凸を維持した状態でこの細線状模様部に形成される光反射層32と、この光反射層の外側に位置し、光反射層からの反射光を立体模様として外部から視認可能な有色の装飾層34とを備える模様形成体。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば釣竿、リール等の釣り用品あるいはゴルフクラブ等のスポーツ用品の湾曲した表面部に模様を形成する模様形成体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、釣竿等の釣り用品、あるいは、ゴルフシャフト等のゴルフ用物品の外観を向上させるため、種々の装飾を施した模様形成体が提案されている。
例えばゴルフクラブシャフト、釣竿、スキーポール等の管状体、リール、ルアー等の釣り道具、テニスラケット、自転車フレーム等の各種スポーツ用品を含むこれらの物品の金属装飾層の光輝性を抑制するため、このような物品に粗面化した下地層を形成し、この上に金属被膜層を物理蒸着するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この金属被膜層が、下地層の凹凸が残る状態に形成されることにより、光を乱反射させ、光輝性が抑制され、下地層を粗面化してない部分との金属光沢の差による模様を形成する。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−237622 (第2,3頁、図1−3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の物品は、下地層を粗面化することで、この上に形成する金属被膜層の光輝性を抑制することは可能であるとしても、あらゆる方向に光を反射させるため、この表面に有色の塗膜層、特に濃い色の塗膜層を形成するほど、内部からの光の反射を視認することが困難となる。また、光輝性を抑制した部分は、その金属光沢の差による模様を形成するとしても、平面的な模様であるため、その予測が容易で意外性に欠ける。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、反射光による眩惑を防止すると共に、立体感のある模様を形成することのできる模様形成体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の模様形成体は、本体の表面部を形成する湾曲面に沿い、微細な間隔で多数の微細筋目状凹凸を形成した細線状模様部と、これらの凹凸を維持した状態でこの細線状模様部に形成される光反射層と、この光反射層の外側に位置し、光反射層からの反射光を立体模様として外部から視認可能な有色の装飾層とを備えることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1から図3は、本発明の模様形成体における好ましい実施形態によるゴルフクラブ10を示す。本実施形態のゴルフクラブは10は、例えば繊維強化樹脂あるいは金属で中空構造に形成したシャフト12の先端にクラブヘッド14を取付け、基端にグリップ16を取付けたウッドクラブとして形成してある。
【0009】
図2に示すように、本実施形態のクラブヘッド14は、ボールを打球する高弾性かつ高強度のクラブフェースすなわちフェース18から、バック20を大きく突出させたヘッド幅の大きな構造を有し、クラウン部22のヒール側24でシャフト12の先端に止着されている。なお、符号26は、クラブヘッド14のトウ側を示す。
【0010】
このようなクラブヘッド14は、その本体部を例えばステンレス鋼、純チタン、チタン合金、アルミ合金、マルエージング鋼等の金属で形成することが好ましい。また、繊維強化金属、あるいは繊維強化樹脂で形成することもできる。更には、中空の外殻構造に形成される場合もある。いずれの場合も、クラウン部22は、フェース・バック方向およびトウ・ヒール方向に沿って緩やかな凸状に湾曲した湾曲面で形成される。
【0011】
本実施形態では、クラウン部22の表面部の一部に、このフェース18に近接して延びる細線状模様部28が形成されている。この細線状模様部28は、ライ角通りにヘッドを地面に置いた場合に、シャフト12の中心軸12cの延長線と重なる位置でヒール側24とトウ側26とに延びるシャフト12の径よりも幅狭の細長い領域を形成する。勿論、このような細長い形状の他にも、弧状、円形状等その表面部の湾曲に応じて適宜の形状に形成することが可能である。
【0012】
この細線状模様部28は、クラウン部22の表面部を形成する湾曲面に沿い、微細な間隔でフェース・バック方向に延びる比較的短い多数の微細筋目状凹凸30で形成してある。これらの微細筋目状凹凸30は、フェース18に対して90°±15°の範囲が好ましい略直交した方向に延びる。図2に示す実施形態では、ヒール側24とトウ側26との間の中間部では、他の部分よりもより90°に近い方向に延び、ヒール側24に近接した部分では、フェース・バック方向から僅かにヒール側24に傾斜しており、したがって、ヒール側24から見たときに、フェース18に対して90°よりも小さな角度を形成する。
【0013】
このような微細筋目状凹凸30により、表面部の光輝感を押えるためには、1mm当り複数本が配置される密度に形成することが好ましい。また、例えば直射日光等の高照度の光を反射させたときに、このような微細筋目状凹凸30が形成する細線状模様部28の外形形状あるいは模様を外部から視認可能とするため、粗さの程度については、深さを9μm以下で、特に、5μm以下に形成することが好ましい。ここで、微細筋目状凹凸とは、平坦面に凹設して形成した溝状の凹部、および、平坦面から突出する突条状の凸部間に形成される凹部も含むものであり、したがって、微細筋目状凹凸の間隔は隣接する凸部の間隔と等しく、また、微細筋目状凹凸の深さは、このような微細筋目状の凹部あるいは凸部を区画する壁部あるいは突条の高さに等しい。
【0014】
細線状模様部28を形成するこのような微細筋目状凹凸30は、特定方向の細線状の研磨目をクラウン部22の表面部に残したサテン目粗しあるいは筋目状粗しとして形成することができる。サンダーベルト、サンドペーパあるいは砥石を用いて形成する場合には、50番から320番程度又は80番から250番程度の粗さのものを用いることが好ましい。これらの微細筋目状凹凸30は、特定方向に揃えて形成するだけでなく、特定方向の微細筋目状凹凸30よりも目立たない筋目状の溝状凹部あるいは突条状の凸部(図示しない)を、この特定方向の微細筋目状凹凸30と交差する方向に形成してもよい。この場合には、細線状模様部28が、特定方向の微細筋目状凹凸30を主体とした模様に、これよりも目立たない微細な交差方向の溝あるいは突条の形成する模様が組合わされ、更に複雑な模様を形成することができる。なお、微細筋目状凹凸30よりも目立たない溝あるいは突条には、微細筋目状凹凸30よりも深さ、幅及び間隔に関する寸法がより小さな凹部を形成する溝あるいは突条の集まりだけでなく、その数が少なくあるいは間隔が大きく形成されことにより、微細筋目状凹凸30が形成する細線状模様部28の外観が維持される場合には、微細筋目状凹凸30よりも深さあるいは幅が大きな凹部を形成する溝あるいは突条も含まれる。要は、微細筋目状凹凸より目立たない第2,第3の模様を形成してもよいのである。
【0015】
図3は、このような細線状模様部28を拡大して示す。
本実施形態では、微細筋目状凹凸30を、クラブヘッド14すなわちクラウン部20の金属製本体22aの表面に直接形成してある。このように本体22aに直接形成することに代え、本体22aの表面にこれと密着性の良好な図示しない被膜を形成し、この被膜に微細筋目状凹凸形成してもよい。本体22aとの間に被膜等の部材を介在させる場合は、例えば木、繊維強化金属、繊維強化樹脂等で本体を形成することもできる。
【0016】
微細筋目状凹凸30で形成した細線状模様部28の上には、光反射層32を形成してある。この光反射層32は、本体22aの全表面あるいは細線状模様部28を含む所要の部分のみに形成してもよく、いずれの場合も、微細筋目状凹凸30を外部から視認できるように維持する、例えば1μm以下で0.8〜0.01μmの範囲の厚さの被膜で形成するのが好ましい。また、外部から視認可能な凹凸を維持できるものであれば、光反射層32を形成する被膜は、単層あるいは複数層で形成してもよい。このような光反射層32を形成する被膜は、例えばイオンプレーティング、スパッタリング、プラズマCVDあるいは窒化処理等のドライプレーティングによって形成することができる。また、メッキ等の湿式方法でもこのような被膜を形成することも可能である。
【0017】
この光反射層32を形成する被膜の材料は、これに限定されるものではないが、例えばチタン、アルミニウム、ジルコニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。細線状模様部28を形成する本体22aが例えばチタン系材料で形成される場合、窒化チタン、酸化チタン、炭化チタン等、本体22aと同類のチタン系材料を含有する被膜を形成するのが好ましい。同様に、本体22aがアルミ系材料で形成されている場合には、同類のアルミ系材料を含有する被膜を形成し、ステンレス鋼系の場合には、同類のステンレス系の材料を含有する被膜を形成するのが好ましい。このように、本体と同系の材料を含有する被膜を用いることにより、被膜の密着性、耐久性を向上することができる。また、窒化ジルコニウムを用いると腐食に強く、密着性が特によいので、密着性が低下し易い細線状模様部の上には特に好ましい。なお、このような被膜の色は、材料そのものの色の他、虹色のような干渉光色、虹を形成する7色の内のいずれかの一色による単色として形成することもできる。
【0018】
このような光反射層32は、微細筋目状凹凸30の凹凸をその外面に維持するため、図3に符号rで示す入射光の全てを特定方向に反射させるのではなく、一部のみを微細筋目状凹凸30の延在する方向に応じた特定方向に反射させると同時に、一部をランダムな方向に反射する。これにより、反射光による眩惑を防止する。
【0019】
更に、装飾層34が光反射層32の外側に位置する。
この装飾層34は、例えば日中の屋外等の高照度の下で、光反射層32からの反射光を立体模様として外部から視認可能な透明性を有する有色に形成し、例えば染料を混合したカラークリヤー層で形成することが好ましい。また、顔料あるいは粒子を混合した有色のクリヤー層として形成することもできる。この装飾層34は、装飾性および軽量化の観点から、5μm以上で、特に10〜100μmの範囲に形成するのが好ましく、後述する表面層36を形成する場合には、この表面層との密着性を向上させるために外周面を平滑に形成することが好ましい。
【0020】
このような装飾層34で光反射層32を覆うことにより、一部をランダムな方向に反射すると共に一部を特定方向に反射する光反射層32が、極めて明るい直射日光の下でも、少しぼやけた感じの反射にとどめる。そして、細線状模様部28の光反射層32から特定方向に反射した光は、この装飾層34を通して外部から視認され、これにより、装飾層34の色彩を強調すると共に、細線状模様部28が実際の位置よりもより深い位置に配置された状態に見える立体模様として視認することができる。すなわち、細線状模様部28は、実際の装飾層34および表面層36の厚さ以上の深い位置で装飾層34の色彩を強調させて視認させ、クラブヘッド14のクラウン部22に立体感を感じさせる優れた外観のゴルフクラブ10を形成する。
【0021】
本実施形態では、このような装飾層34の外側に、更に表面層36を形成してある。
この表面層36は、装飾層34よりも淡く、隠蔽性の少ない有色の透明状、あるいは完全に透明に形成するのが好ましい。また、表面層36の硬度は、装飾層34よりも硬く、耐傷性および耐磨耗性の高い材料で形成することが好ましい。このような表面層36を装飾層34に重ねて形成することにより、例え表面が傷付いても装飾層34の色彩を損なうことを防止し、長期間にわたって装飾層34の色彩およびこの装飾層34を通した細線状模様部28の立体模様を維持することができる。なお、この表面層36は、必要な場合には、省略することも可能である。
【0022】
図4は、変形例による細線状模様部28aを示す。この細線状模様部28aは、隣接する微細筋目状凹凸30間の凸部あるいは壁部38の頂部を平坦状に形成したもので、図3に示す細線状模様部28よりも光輝感を向上させることができる。このため、濃い色あるいは隠蔽性の高い装飾層を形成することができ、外観仕様の自由度を大きくすることができる。他の点は、上述の実施形態と同様である。
【0023】
このような細線状模様部28,28aを形成する微細筋目状凹凸30は、上述のようにクラウン部22のフェース・バック方向に延設することに代え、トウ・ヒール方向、すなわちフェース18に対して0°±15°の範囲が好ましい略平行した方向に延設してもよい。微細筋目状凹凸30をフェース18に対して略直交した方向あるいは略平行した方向に延設することにより、高照度の太陽光が反射した際、細線状模様部28,28aがフェース18と関連性の高い方向に立体模様を形成し、見るものに違和感を与えるようなフェース18に対して傾斜する方向あるいは斑状の模様を形成するのが防止される。
【0024】
また、装飾層34が有色であるため、例えば室内等の低照度の光の下では、細線状模様部28,28aが視認し難く、一方、日中の屋外等の高照度の光の下ではこのような細線状模様部による立体模様が浮かび上がり、意外性の高い優れた外観を形成する。
【0025】
なお、上述の説明では、本発明の模様形成体について、クラブヘッド14のクラウン部22に用いた例について説明してきたが、クラブヘッド14の他の部分あるいはシャフト12等にも応用することが可能である。更に、ゴルフクラブに限らず、テニスラケット、スキーポール、自転車フレーム等のスポーツ用品、釣竿、魚釣用リール等の釣り用品にも用いることが可能である。魚釣り用のリールあるいは釣竿の竿管に用いる場合には、リールの部材あるいは竿管の延在方向に沿う略平行な方向あるいはこれと略直交する方向に形成することにより、ケース等から取出した際に意外性のある模様が浮き上がっても、通常の使用状態で違和感なく用いることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上明らかなように、本発明の模様形成体によると、反射光による眩惑を防止すると共に、立体感のある模様を形成することのできる。しかも、この立体感のある模様が高照度の下で浮び上がることにより、意外性の高い優れた外観を形成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の模様形成体における好ましい実施形態のゴルフクラブの説明図。
【図2】図1のゴルフクラブのクラブヘッドを拡大した説明図。
【図3】図2のクラブヘッドに形成した細線状模様部の拡大断面図。
【図4】変形例による細線状模様部の拡大断面図。
【符号の説明】
10…ゴルフクラブ、14…クラブヘッド、22…クラウン部(本体)、28…細線状模様部、30…微細筋目状凹凸。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば釣竿、リール等の釣り用品あるいはゴルフクラブ等のスポーツ用品の湾曲した表面部に模様を形成する模様形成体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、釣竿等の釣り用品、あるいは、ゴルフシャフト等のゴルフ用物品の外観を向上させるため、種々の装飾を施した模様形成体が提案されている。
例えばゴルフクラブシャフト、釣竿、スキーポール等の管状体、リール、ルアー等の釣り道具、テニスラケット、自転車フレーム等の各種スポーツ用品を含むこれらの物品の金属装飾層の光輝性を抑制するため、このような物品に粗面化した下地層を形成し、この上に金属被膜層を物理蒸着するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この金属被膜層が、下地層の凹凸が残る状態に形成されることにより、光を乱反射させ、光輝性が抑制され、下地層を粗面化してない部分との金属光沢の差による模様を形成する。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−237622 (第2,3頁、図1−3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の物品は、下地層を粗面化することで、この上に形成する金属被膜層の光輝性を抑制することは可能であるとしても、あらゆる方向に光を反射させるため、この表面に有色の塗膜層、特に濃い色の塗膜層を形成するほど、内部からの光の反射を視認することが困難となる。また、光輝性を抑制した部分は、その金属光沢の差による模様を形成するとしても、平面的な模様であるため、その予測が容易で意外性に欠ける。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、反射光による眩惑を防止すると共に、立体感のある模様を形成することのできる模様形成体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の模様形成体は、本体の表面部を形成する湾曲面に沿い、微細な間隔で多数の微細筋目状凹凸を形成した細線状模様部と、これらの凹凸を維持した状態でこの細線状模様部に形成される光反射層と、この光反射層の外側に位置し、光反射層からの反射光を立体模様として外部から視認可能な有色の装飾層とを備えることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1から図3は、本発明の模様形成体における好ましい実施形態によるゴルフクラブ10を示す。本実施形態のゴルフクラブは10は、例えば繊維強化樹脂あるいは金属で中空構造に形成したシャフト12の先端にクラブヘッド14を取付け、基端にグリップ16を取付けたウッドクラブとして形成してある。
【0009】
図2に示すように、本実施形態のクラブヘッド14は、ボールを打球する高弾性かつ高強度のクラブフェースすなわちフェース18から、バック20を大きく突出させたヘッド幅の大きな構造を有し、クラウン部22のヒール側24でシャフト12の先端に止着されている。なお、符号26は、クラブヘッド14のトウ側を示す。
【0010】
このようなクラブヘッド14は、その本体部を例えばステンレス鋼、純チタン、チタン合金、アルミ合金、マルエージング鋼等の金属で形成することが好ましい。また、繊維強化金属、あるいは繊維強化樹脂で形成することもできる。更には、中空の外殻構造に形成される場合もある。いずれの場合も、クラウン部22は、フェース・バック方向およびトウ・ヒール方向に沿って緩やかな凸状に湾曲した湾曲面で形成される。
【0011】
本実施形態では、クラウン部22の表面部の一部に、このフェース18に近接して延びる細線状模様部28が形成されている。この細線状模様部28は、ライ角通りにヘッドを地面に置いた場合に、シャフト12の中心軸12cの延長線と重なる位置でヒール側24とトウ側26とに延びるシャフト12の径よりも幅狭の細長い領域を形成する。勿論、このような細長い形状の他にも、弧状、円形状等その表面部の湾曲に応じて適宜の形状に形成することが可能である。
【0012】
この細線状模様部28は、クラウン部22の表面部を形成する湾曲面に沿い、微細な間隔でフェース・バック方向に延びる比較的短い多数の微細筋目状凹凸30で形成してある。これらの微細筋目状凹凸30は、フェース18に対して90°±15°の範囲が好ましい略直交した方向に延びる。図2に示す実施形態では、ヒール側24とトウ側26との間の中間部では、他の部分よりもより90°に近い方向に延び、ヒール側24に近接した部分では、フェース・バック方向から僅かにヒール側24に傾斜しており、したがって、ヒール側24から見たときに、フェース18に対して90°よりも小さな角度を形成する。
【0013】
このような微細筋目状凹凸30により、表面部の光輝感を押えるためには、1mm当り複数本が配置される密度に形成することが好ましい。また、例えば直射日光等の高照度の光を反射させたときに、このような微細筋目状凹凸30が形成する細線状模様部28の外形形状あるいは模様を外部から視認可能とするため、粗さの程度については、深さを9μm以下で、特に、5μm以下に形成することが好ましい。ここで、微細筋目状凹凸とは、平坦面に凹設して形成した溝状の凹部、および、平坦面から突出する突条状の凸部間に形成される凹部も含むものであり、したがって、微細筋目状凹凸の間隔は隣接する凸部の間隔と等しく、また、微細筋目状凹凸の深さは、このような微細筋目状の凹部あるいは凸部を区画する壁部あるいは突条の高さに等しい。
【0014】
細線状模様部28を形成するこのような微細筋目状凹凸30は、特定方向の細線状の研磨目をクラウン部22の表面部に残したサテン目粗しあるいは筋目状粗しとして形成することができる。サンダーベルト、サンドペーパあるいは砥石を用いて形成する場合には、50番から320番程度又は80番から250番程度の粗さのものを用いることが好ましい。これらの微細筋目状凹凸30は、特定方向に揃えて形成するだけでなく、特定方向の微細筋目状凹凸30よりも目立たない筋目状の溝状凹部あるいは突条状の凸部(図示しない)を、この特定方向の微細筋目状凹凸30と交差する方向に形成してもよい。この場合には、細線状模様部28が、特定方向の微細筋目状凹凸30を主体とした模様に、これよりも目立たない微細な交差方向の溝あるいは突条の形成する模様が組合わされ、更に複雑な模様を形成することができる。なお、微細筋目状凹凸30よりも目立たない溝あるいは突条には、微細筋目状凹凸30よりも深さ、幅及び間隔に関する寸法がより小さな凹部を形成する溝あるいは突条の集まりだけでなく、その数が少なくあるいは間隔が大きく形成されことにより、微細筋目状凹凸30が形成する細線状模様部28の外観が維持される場合には、微細筋目状凹凸30よりも深さあるいは幅が大きな凹部を形成する溝あるいは突条も含まれる。要は、微細筋目状凹凸より目立たない第2,第3の模様を形成してもよいのである。
【0015】
図3は、このような細線状模様部28を拡大して示す。
本実施形態では、微細筋目状凹凸30を、クラブヘッド14すなわちクラウン部20の金属製本体22aの表面に直接形成してある。このように本体22aに直接形成することに代え、本体22aの表面にこれと密着性の良好な図示しない被膜を形成し、この被膜に微細筋目状凹凸形成してもよい。本体22aとの間に被膜等の部材を介在させる場合は、例えば木、繊維強化金属、繊維強化樹脂等で本体を形成することもできる。
【0016】
微細筋目状凹凸30で形成した細線状模様部28の上には、光反射層32を形成してある。この光反射層32は、本体22aの全表面あるいは細線状模様部28を含む所要の部分のみに形成してもよく、いずれの場合も、微細筋目状凹凸30を外部から視認できるように維持する、例えば1μm以下で0.8〜0.01μmの範囲の厚さの被膜で形成するのが好ましい。また、外部から視認可能な凹凸を維持できるものであれば、光反射層32を形成する被膜は、単層あるいは複数層で形成してもよい。このような光反射層32を形成する被膜は、例えばイオンプレーティング、スパッタリング、プラズマCVDあるいは窒化処理等のドライプレーティングによって形成することができる。また、メッキ等の湿式方法でもこのような被膜を形成することも可能である。
【0017】
この光反射層32を形成する被膜の材料は、これに限定されるものではないが、例えばチタン、アルミニウム、ジルコニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。細線状模様部28を形成する本体22aが例えばチタン系材料で形成される場合、窒化チタン、酸化チタン、炭化チタン等、本体22aと同類のチタン系材料を含有する被膜を形成するのが好ましい。同様に、本体22aがアルミ系材料で形成されている場合には、同類のアルミ系材料を含有する被膜を形成し、ステンレス鋼系の場合には、同類のステンレス系の材料を含有する被膜を形成するのが好ましい。このように、本体と同系の材料を含有する被膜を用いることにより、被膜の密着性、耐久性を向上することができる。また、窒化ジルコニウムを用いると腐食に強く、密着性が特によいので、密着性が低下し易い細線状模様部の上には特に好ましい。なお、このような被膜の色は、材料そのものの色の他、虹色のような干渉光色、虹を形成する7色の内のいずれかの一色による単色として形成することもできる。
【0018】
このような光反射層32は、微細筋目状凹凸30の凹凸をその外面に維持するため、図3に符号rで示す入射光の全てを特定方向に反射させるのではなく、一部のみを微細筋目状凹凸30の延在する方向に応じた特定方向に反射させると同時に、一部をランダムな方向に反射する。これにより、反射光による眩惑を防止する。
【0019】
更に、装飾層34が光反射層32の外側に位置する。
この装飾層34は、例えば日中の屋外等の高照度の下で、光反射層32からの反射光を立体模様として外部から視認可能な透明性を有する有色に形成し、例えば染料を混合したカラークリヤー層で形成することが好ましい。また、顔料あるいは粒子を混合した有色のクリヤー層として形成することもできる。この装飾層34は、装飾性および軽量化の観点から、5μm以上で、特に10〜100μmの範囲に形成するのが好ましく、後述する表面層36を形成する場合には、この表面層との密着性を向上させるために外周面を平滑に形成することが好ましい。
【0020】
このような装飾層34で光反射層32を覆うことにより、一部をランダムな方向に反射すると共に一部を特定方向に反射する光反射層32が、極めて明るい直射日光の下でも、少しぼやけた感じの反射にとどめる。そして、細線状模様部28の光反射層32から特定方向に反射した光は、この装飾層34を通して外部から視認され、これにより、装飾層34の色彩を強調すると共に、細線状模様部28が実際の位置よりもより深い位置に配置された状態に見える立体模様として視認することができる。すなわち、細線状模様部28は、実際の装飾層34および表面層36の厚さ以上の深い位置で装飾層34の色彩を強調させて視認させ、クラブヘッド14のクラウン部22に立体感を感じさせる優れた外観のゴルフクラブ10を形成する。
【0021】
本実施形態では、このような装飾層34の外側に、更に表面層36を形成してある。
この表面層36は、装飾層34よりも淡く、隠蔽性の少ない有色の透明状、あるいは完全に透明に形成するのが好ましい。また、表面層36の硬度は、装飾層34よりも硬く、耐傷性および耐磨耗性の高い材料で形成することが好ましい。このような表面層36を装飾層34に重ねて形成することにより、例え表面が傷付いても装飾層34の色彩を損なうことを防止し、長期間にわたって装飾層34の色彩およびこの装飾層34を通した細線状模様部28の立体模様を維持することができる。なお、この表面層36は、必要な場合には、省略することも可能である。
【0022】
図4は、変形例による細線状模様部28aを示す。この細線状模様部28aは、隣接する微細筋目状凹凸30間の凸部あるいは壁部38の頂部を平坦状に形成したもので、図3に示す細線状模様部28よりも光輝感を向上させることができる。このため、濃い色あるいは隠蔽性の高い装飾層を形成することができ、外観仕様の自由度を大きくすることができる。他の点は、上述の実施形態と同様である。
【0023】
このような細線状模様部28,28aを形成する微細筋目状凹凸30は、上述のようにクラウン部22のフェース・バック方向に延設することに代え、トウ・ヒール方向、すなわちフェース18に対して0°±15°の範囲が好ましい略平行した方向に延設してもよい。微細筋目状凹凸30をフェース18に対して略直交した方向あるいは略平行した方向に延設することにより、高照度の太陽光が反射した際、細線状模様部28,28aがフェース18と関連性の高い方向に立体模様を形成し、見るものに違和感を与えるようなフェース18に対して傾斜する方向あるいは斑状の模様を形成するのが防止される。
【0024】
また、装飾層34が有色であるため、例えば室内等の低照度の光の下では、細線状模様部28,28aが視認し難く、一方、日中の屋外等の高照度の光の下ではこのような細線状模様部による立体模様が浮かび上がり、意外性の高い優れた外観を形成する。
【0025】
なお、上述の説明では、本発明の模様形成体について、クラブヘッド14のクラウン部22に用いた例について説明してきたが、クラブヘッド14の他の部分あるいはシャフト12等にも応用することが可能である。更に、ゴルフクラブに限らず、テニスラケット、スキーポール、自転車フレーム等のスポーツ用品、釣竿、魚釣用リール等の釣り用品にも用いることが可能である。魚釣り用のリールあるいは釣竿の竿管に用いる場合には、リールの部材あるいは竿管の延在方向に沿う略平行な方向あるいはこれと略直交する方向に形成することにより、ケース等から取出した際に意外性のある模様が浮き上がっても、通常の使用状態で違和感なく用いることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上明らかなように、本発明の模様形成体によると、反射光による眩惑を防止すると共に、立体感のある模様を形成することのできる。しかも、この立体感のある模様が高照度の下で浮び上がることにより、意外性の高い優れた外観を形成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の模様形成体における好ましい実施形態のゴルフクラブの説明図。
【図2】図1のゴルフクラブのクラブヘッドを拡大した説明図。
【図3】図2のクラブヘッドに形成した細線状模様部の拡大断面図。
【図4】変形例による細線状模様部の拡大断面図。
【符号の説明】
10…ゴルフクラブ、14…クラブヘッド、22…クラウン部(本体)、28…細線状模様部、30…微細筋目状凹凸。
Claims (3)
- 本体の表面部を形成する湾曲面に沿い、微細な間隔で多数の微細筋目状凹凸を形成した細線状模様部と、これらの凹凸を維持した状態でこの細線状模様部に形成される光反射層と、この光反射層の外側に位置し、光反射層からの反射光を立体模様として外部から視認可能な有色の装飾層とを備えることを特徴とする模様形成体。
- 前記装飾層の外側に位置する透明状の補強層を有することを特徴とする請求項1に記載の模様形成体。
- クラブヘッドのクラウン部の表面上に、フェース・バック方向、又は、トウ・ヒール方向に沿って微細な間隔で多数の微細筋目状凹凸を形成した細線状模様部と、これらの凹凸を維持した状態でこの細線状模様部に形成される光反射層と、この光反射層の外側に位置し、光反射層からの反射光を立体模様として外部から視認可能な有色の装飾層とを備えることを特徴とするゴルフクラブ。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010088373A (ja) * | 2008-10-09 | 2010-04-22 | Globeride Inc | スポーツ用品 |
JP2016054992A (ja) * | 2014-09-11 | 2016-04-21 | グローブライド株式会社 | 管状体の表面形成方法、及び管状体 |
-
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- 2002-10-17 JP JP2002303203A patent/JP2004135864A/ja active Pending
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