JP2004134938A - 画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】符号化/復号化処理に際し各々処理単位となる複数のタイルに分割された圧縮画像データを復号化する場合に、各タイル毎に、該タイルに関する周波数成分変換係数に基づき、圧縮画像データ内に設定されたROIの存在状況を検出し、その存在状況に基づき、各タイルが、ROIのみからなるROIタイル,非ROIのみからなる非ROIタイル,ROI及び非ROIが混在するROI境界タイルのいずれかであるかを判別し、判別されたROIタイル及びROI境界タイルに対して、該ROI境界タイルからの距離を反映した重み付け量を設定し、該重み付け量に基づき、各ROIタイル及びROI境界タイル内のROI及び非ROIに対応する周波数成分変換係数に対し、所定の処理を行う。
【選択図】 図13
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機,プリンタ,スキャナ等の画像データを扱う画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、静止画圧縮符号方式としては、画像データを離散コサイン変換して圧縮するJPEG方式が広く普及しているが、更なる圧縮性能の改善と機能拡張を図り、画像データをウェーブレット変換して圧縮するJPEG2000方式の開発及び普及が進められている。このJPEG2000方式の特徴の1つに、画像データ中の特定の領域を、初期伝送段階でその概要を認識可能とすべく他領域より優先的に符号化する、若しくは、他の領域よりも高画質に符号化することにより、関心領域(以下、ROIと表記)として任意に設定し得ることが知られている
【0003】
かかる特徴に関連して、ROIが設定されたJPEG2000ファイルをプリントアウトする場合に、ROIとその周辺の領域との画質の違いにより違和感のある画像となることがある。これに対処して、従来では、復元された画像に対して領域境界付近で平滑処理等を施すことにより、境界での不連続性を緩和することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−117447号公報 (第4頁,第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法では、画像データ上での領域境界の位置を把握するために、ウェーブレット変換係数の量子化値からROIに関するマスク情報を生成し、ビットマップ展開する必要があり、この場合には、ROIに関するマスク情報を記憶するために非常に多くのメモリ容量が必要になる。
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、特に多くのメモリ容量を要することなく、ROIとその周辺の領域との画質不連続性を抑制し、画像の違和感を軽減し得る画像処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、符号化/復号化処理に際し各々処理単位となる複数のタイルに分割された圧縮画像データを復号化する画像処理装置において、上記各タイル毎に、該タイルに関する周波数成分変換係数より、上記圧縮画像データ内に設定された関心領域の存在状況を検出する検出手段と、該検出手段により検出された関心領域の存在状況に基づき、各タイルが、関心領域のみからなる関心領域タイル,非関心領域のみからなる非関心領域タイル,関心領域及び非関心領域が混在する関心領域境界タイルのいずれかであるかを判別する判別手段と、該判別手段により判別された関心領域タイル及び関心領域境界タイルに対して、該関心領域境界タイルからの距離を反映した重み付け量を設定する設定手段と、該設定手段により設定された重み付け量に基づき、上記各関心領域タイル及び関心領域境界タイル内に設定された関心領域及び非関心領域に対応する周波数成分変換係数に対し、所定の処理を行う処理手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0008】
また、本願の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明において、上記処理手段が、上記各関心領域タイル及び関心領域境界タイル内の関心領域に対応する周波数成分変換係数に対して、その下位から所定の範囲まで0に置き換える処理を行ない、上記関心領域境界タイルからの距離が大きくなるほど、0に置き換える範囲を小さくすることを特徴としたものである。
【0009】
更に、本願の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2に係る発明において、上記処理手段が、圧縮画像データが符号化時の周波数成分変換によって分解されてなるサブバンドのうちの高周波成分側のサブバンドのみに対して処理を行うことを特徴としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。この図では、JPEG2000ファイルが、インターネット若しくは他のコンピュータからネットワーク経由で画像処理装置1に対して直接に供給され、処理された上でプリント出力される、所謂ダイレクトプリントが行なわれる例が示されている。なお、ダイレクトプリントにおけるJPEG2000ファイルの供給源としては、これに限定されることなく、例えばデジタルカメラ,スキャナ等の外部機器、又は、コンパクトフラッシュ(TM),スマートメディア(TM)等の記録媒体を用いてもよい。
【0011】
この画像処理装置1は、共通のバス8に接続されるCPU2,メモリブロック3,JPEG2000ファイル用のコーデック4,プリンタI/F5,プリンタ部6,ネットワークI/F7を有している。この装置1では、CPU2を除く各構成とメモリブロック3との間におけるデータ転送が、ダイレクトメモリアクセス(DMA)で行なわれ、CPU2が、DMA起動の制御を行うことで、ファイル入力からプリントデータの出力までを制御する。
【0012】
画像処理装置1では、ネットワーク経由で外部よりJPEG2000ファイルが入力されると、そのファイルは、まず、ネットワークI/F7から経路aを通過してメモリブロック3へ転送される。メモリブロック3では、JPEG2000ファイルを構成する符号データが格納され、この符号データは、順次、経路bを通過してコーデック4へ転送される。
【0013】
コーデック4では、符号データが復号化される。詳しくは後述するが、このコーデック4では、ROIを含むJPEG2000ファイルを扱う場合に、必要に応じて、ROIとその周辺の領域の画質不連続性を抑制する処理を実行することが可能である。復号化後のデータは、経路cを通過してメモリブロック3へ転送される。
【0014】
メモリブロック3では、転送されてきた復号化後のデータに基づき、所定の領域に、ビットマップデータが作成される。このビットマップデータは、それが1ページ分作成された時点で、経由dを通過してプリンタI/F5へ転送され、その後、プリントデータとしてプリンタ部6へ出力される。
【0015】
図2は、画像処理装置1内のコーデック4によるJPEG2000ファイルの復号化処理の流れを示す図である。ここでは、画像データを各々ウェーブレット変換の基本処理単位となる複数の矩形タイルに分割し、各タイル毎に、ROIのみからなるタイル(以下、ROIタイルという),非関心領域(以下、非ROIと表記)のみからなるタイル(以下、非ROIタイルという)、若しくは、ROIの境界に存在し、ROI及び非ROIが混在するタイル(以下、ROI境界タイルという)のいずれであるかを判定しつつ処理を行なう場合について説明する。
【0016】
コーデック4に入力されたJPEG2000ファイルは、まず、フォーマッティング解除される。このフォーマッティング解除では、JPEG2000ファイルの符号化列が解析され、符号化列に含まれるヘッダに記述されるROI情報が読み取られる。図5を参照して後述するが、通常、ROIを含むJPEG2000ファイルは、ROIに対応する周波数成分変換係数(ウェーブレット変換係数)の量子化値が非ROIのそれに比べて最上位ビット(MSB)側にSビット分だけシフトされた状態で符号化されている。上記のROI情報とは、ROIに対応する変換係数の量子化値がシフトされているビットシフト量Sをあらわす情報である。
【0017】
フォーマッティング解除後の符号データは、エントロピー復号化される。復号化されたデータは、互いに並列する複数のビットプレーン,サブビットプレーンに分けられた状態にある。この状態から、係数ビットモデリングが解除され、これにより、変換係数が取得される。
【0018】
このように取得された変換係数に基づき、ROIを解析する。ここでは、まず、取得された変換係数から、現在処理中のタイル内におけるROIの存在状況を検出し、更に、その検出結果に基づいて、タイルがROIのみからなるタイル(以下、ROIタイルという),非ROIのみからなるタイル(以下、非ROIタイルという)、若しくは、ROI及び非ROIが混在するタイル(以下、ROI境界タイルという)のいずれであるかを判別する。
【0019】
その後、ROIタイル及びROI境界タイルと判別されたタイルに対して重み付け処理を行なう。重み付け処理については、図4を参照して後述する。そして、この重み付け処理の結果及びファイル入力に際して読み取られたROI情報に基づき、係数ビットモデリング解除後の変換係数が所定のビットシフト量(例えばビットシフト量S)だけシフトさせられてなる変換係数が取得される。
【0020】
JPEG2000ファイルが予め量子化されているものであれば、引き続き、上記の変換係数が逆量子化される。その後、データが逆ウェーブレット変換(IDWT)されることにより、各色成分が生成される。
【0021】
図3は、ROI10を含む画像データの一例を示す。この図では、任意の形状で設定されるROI10を除く領域が、非ROIとして符号12で示される。
【0022】
また、図4は、図3中にてROI10及び非ROI12を含む領域を囲むフレームXを拡大して示す図である。この図4から分かるように、画像データは、各々ウェーブレット変換の基本処理単位となる複数のタイルに分割されている。このタイルサイズは、その処理系によって異なるが、画像処理装置1として例えばMFP(Multifunction Peripherals)が採用される場合には、メモリ容量の制約から、このサイズとして約128×128が適切である。
【0023】
図4では、各タイルの左上に、タイルの種類をあらわす記号A,B,Cのいずれかが付されている。具体的には、タイルAが、ROI10及び非ROI12を含むROI境界タイルであり、タイルBが、ROI10のみからなるROIタイルであり、タイルCが、非ROI12のみからなる非ROIタイルである。
【0024】
図2を参照して説明したように、この実施の形態では、JPEG2000ファイルの復号化に際して、タイルの判別を行なった後に、ROI境界タイルA及びROIタイルBと判別されたタイルに対して重み付け処理を行なう。この重み付け処理は、ROI境界タイルA及びROIタイルBに対して、ROI境界タイルAからの距離を反映する情報を設定するもので、図4では、ROI境界タイルAに対して「1」を設定し、他方、ROIタイルBに対しては、ROI境界タイルAから離れるにしたがい、「2」,「3」,「4」を設定する例が示されている。
【0025】
ところで、前述したように、ROIを含むJPEG2000ファイルは、ROIに対応するウェーブレット変換係数の量子化値が非ROIのそれに比べてMSB側にSビット分だけシフトされた状態で符号化されているが、これは、JPEG2000ファイルにおいてROIと非ROIとを区別する方式としては典型的なmax−shift方式を採用する結果である。図5は、かかるmax−shift方式の概念図である。
【0026】
通常、JPEG2000ファイルにROIが設定される場合には、まず、ROIに指定される画素の位置を示すマスク情報が生成され、次に、ビットシフト量Sが決定され、全画素についてのウェーブレット変換係数の量子化値がMSB側へSビット分だけシフトさせられる。その後、予め生成されたマスク情報に基づき、ROIに指定される画素を除く画素について、ウェーブレット変換係数の量子化値がLSB側へSビット分だけシフトさせられる。結果的に、図5の左側に示すように、ROIに指定された画素のみについて、そのウェーブレット変換係数の量子化値がMSB側にSビット分だけシフトさせられた状態になる。そして、この状態のまま符号化が行なわれる。
【0027】
かかるJPEG2000ファイルの復号化に際しては、2S以上のウェーブレット変換係数の量子化値がROIに対応するものとして認識され、これらが、図5の右側に示すように、最下位ビット(LSB)側にSビット分だけシフトさせられて、max−shift方式によるシフトが解除されるようになっている。
【0028】
この実施の形態では、必要に応じて、非ROIタイルCに対して、図5に示す通常のビットシフト処理を施し、他方、ROI境界タイルA及びROIタイルBに対しては、図6〜9に示すように、前述した重み付け量に基づいたビットシフト処理を施すことにより、ROI10とその周辺の非ROI12の画質不連続性を軽減することができる。
【0029】
以下、図6〜9を参照して、それぞれ、重み付け量「1」,「2」,「3」,「4」に基づいて施されるビットシフト処理について説明する。
【0030】
図6は、重み付け量「1」が付されたROI境界タイルAに対して施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。重み付け量「1」が設定されたROI境界タイルAについては、2S以上のウェーブレット変換係数の量子化値がROIに対応するものとして認識されるに伴い、変換係数の量子化値の下位Sビット目,(S+1)ビット目,(S+2)ビット目が0に置き換えられる。その後、上記のROIに対応するウェーブレット変換係数の量子化値がLSB側へSビット分シフトさせられる。
【0031】
図7は、重み付け量「2」が設定されたROIタイルBに対して施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。重み付け量「2」が設定されたROIタイルBに対しては、2S以上のウェーブレット変換係数の量子化値がROIに対応するものとして認識されるに伴い、変換係数の量子化値の下位Sビット目,(S+1)ビット目が0に置き換えられる。その後、上記のROIに対応するウェーブレット変換係数の量子化値がLSB側へSビット分シフトさせられる。
【0032】
図8は、重み付け量「3」が設定されたROIタイルBに対して施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。重み付け量「3」が設定されたROIタイルBに対しては、2S以上のウェーブレット変換係数の量子化値がROIに対応するものとして認識されるに伴い、変換係数の量子化値の下位Sビット目が0に置き換えられる。その後、ROIに対応するウェーブレット変換係数の量子化値がLSB側へSビット分シフトさせられる。
【0033】
図9は、重み付け量「4」が設定されたROIタイルBに対して施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。重み付け量「4」が設定されたROIタイルBに対しては、2S以上のウェーブレット変換係数の量子化値がROIに対応するものとして認識され、これらのROIに対応するウェーブレット変換係数の量子化値がLSB側へSビット分シフトさせられる。このビットシフト処理は、図5に示す通常のビットシフト処理と同様である。
【0034】
このように、ROI境界タイルA及びROIタイルBに対して重み付け量に基づいた特定のビットシフト処理を行なうことにより、ROI境界タイル及びその近傍のタイルにおける情報量が削減され、その結果、ROI10と非ROI12の画質差を抑制することができ、画像の違和感を軽減することが可能である。
【0035】
なお、以上の処理を、ウェーブレット変換係数のうちの高周波成分のみに対して行なうことにより、画質低下の抑制を図ることが考えられる。例えば、画像データがウェーブレット分解レベル2で符号化されている場合には、復号化されるデータは、周波数成分変換により、図10に示すようなサブバンドに分解された状態にある。この図で、LLは、水平・垂直低周波成分,LHは、水平低周波成分・垂直高周波成分,HLは、水平高周波成分・垂直低周波成分,HHは、水平・垂直高周波成分をあらわす。すなわち、かかるサブバンドのうちの高周波成分側のサブバンド(ハッチングを付して示すHH2,HL2,LH2,HH1)のみに対して、前述した処理を行なうことにより、画質低下の抑制を図ることができる。
【0036】
図11は、各タイルのROI境界判別処理についてのフローチャートである。この処理では、まず、S21で、係数ビットモデリングが解除された周波数成分変換係数(ウェーブレット変換係数)が生成される。次に、S22では、生成されたウェーブレット変換係数のダイナミックレンジ(下限〜上限)が解析される。すなわち、各ウェーブレット変換係数が何ビットであるかが検出される。続いて、S23では、検出されたダイナミックレンジが、JPEG2000ファイルの符号化列に含まれるヘッダから読み取られた上記のmax−shift方式によるビットシフト量S以上であるか否かが判定される。
【0037】
S23での結果、ダイナミックレンジがS以上でないと判定された場合には、S27へ進み、現在処理中のタイルが非ROIタイルCと判別される。その後、S28へ進む。
【0038】
他方、S23での結果、ダイナミックレンジがS以上であると判定された場合には、S24へ進み、引き続き、タイル内にSビット未満のウェーブレット変換係数が存在するか否かが判定される。その結果、Sビット未満のウェーブレット変換係数が存在しないと判定された場合には、S26へ進み、現在処理中のタイルがROIタイルBと判別され、更に、そのタイルの画像データ中の位置情報が保存される。その後、S28へ進む。
【0039】
他方、S24での結果、Sビット未満のウェーブレット変換係数が存在すると判定された場合には、S25へ進み、現在処理中のタイルがROI境界タイルAと判別され、更に、そのタイルの画像データ中の位置情報が保存される。その後、S28へ進む。
【0040】
S28では、全タイルの処理が終了したか否かを判定する。終了していないと判定された場合には、S21へ戻り、次のタイルについて、それ以降の処理を繰り返す。他方、終了したと判定された場合には、S29へ進む。
【0041】
S29では、ROI境界タイルA及びROIタイルBに対して、保存された位置情報に基づき、重み付け処理が行なわれる。更に、S30では、重み付け処理により各タイルに設定された重み付け量に基づき、各タイルについてのウェーブレット変換係数に対して所定のビットシフト処理が行なわれる。以上で、処理が終了する。
【0042】
図12は、ROIタイルA及びROIタイルBに対する重み付け処理(図11のS29)の詳細についてのフローチャートである。この処理では、まず、S31において、処理中のタイルがROI境界タイルAであるか否かが判定される。その結果、ROI境界タイルAであると判定された場合には、S32へ進み、重み付け量「1」が設定された上で、処理が終了する。
【0043】
他方、処理中のタイルがROI境界タイルAでないと判定された場合には、S33へ進み、引き続き、処理中のタイルがROIタイルBであるか否かが判定される。その結果、ROIタイルBでない(すなわち非ROIタイルである)と判定された場合には、S39へ進み、重み付け量を設定せずに、処理が終了する。
【0044】
他方、S33の結果、ROIタイルBであると判定された場合には、S34へ進み、引き続き、図11のS26にて保存された位置情報に基づいて、処理中のタイルがROI境界タイルAに隣接するタイルであるか否かが判定される。その結果、ROI境界タイルAに隣接するタイルであると判定された場合には、S35へ進み、重み付け量「2」が設定された上で、処理が終了する。
【0045】
他方、S34の結果、ROI境界タイルAに隣接するタイルでないと判定された場合には、S36へ進み、引き続き、図11のS26にて保存された位置情報に基づいて、処理中のタイルのROI境界タイルAからの距離が値X以下であるか否かが判定される。基準となるROI境界タイルAとしては、処理中のタイルから最も近傍にあるものが用いられる。その結果、ROI境界タイルAからの距離が値X以下であると判定された場合には、S37へ進み、重み付け量「3」が設定された上で、処理が終了する。
【0046】
他方、S36の結果、ROI境界タイルAからの距離が値Xより大きいと判定された場合には、S38へ進み、重み付け量「4」が設定された上で、処理が終了する。
【0047】
また、図13は、各タイルに対する変換係数処理(図11のS30)の詳細についてのフローチャートである。この処理では、まず、S51において、処理中のタイルについての重み付け量が検出される。
重み付け量が「1」である場合には、S54へ進み、図6に示したように、ウェーブレット変換係数の下位Sビット目,(S+1)ビット目,(S+2)ビット目を0にした上で、S55へ進む。
【0048】
また、重み付け量が「2」である場合には、S53へ進み、図7に示したように、ウェーブレット変換係数の下位Sビット目,(S+1)ビット目を0にした上で、S55へ進む。
【0049】
更に、重み付け量が「3」である場合には、S52へ進み、図8に示したように、ウェーブレット変換係数の下位Sビット目を0にした上で、S55へ進む。
【0050】
また、更に、重み付け量が「4」である若しくは重み付け量が設定されていない場合には、そのまま、S55へ進む。
【0051】
S55では、ROIに対応するものとして認識されたウェーブレット変換係数がLSB側にSビット分シフトさせられる。以上で、処理が終了する。
【0052】
なお、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本願の請求項1に係る発明によれば、符号化/復号化処理に際し各々処理単位となる複数のタイルに分割された圧縮画像データを復号化する画像処理装置において、各タイル毎に、該タイルに関する周波数成分変換係数に基づき、上記圧縮画像データ内に設定された関心領域の存在状況を検出し、検出された関心領域の存在状況に基づき、各タイルが、関心領域のみからなる関心領域タイル,非関心領域のみからなる非関心領域タイル,関心領域及び非関心領域が混在する関心領域境界タイルのいずれかであるかを判別し、判別された関心領域タイル及び関心領域境界タイルに対して、該関心領域境界タイルからの距離を反映した重み付け量を設定し、更に、設定された重み付け量に基づき、上記各関心領域タイル及び関心領域境界タイル内の関心領域及び非関心領域に対応する周波数成分変換係数に対し所定の処理を行うので、各タイル毎に、関心領域と非関心領域との間の画質不連続性を抑制し、画像の違和感を軽減するような処理が可能である。
【0054】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、上記所定の処理として、上記各関心領域タイル及び関心領域境界タイル内の関心領域に対応する周波数成分変換係数に対して、その下位から所定の範囲まで0に置き換える処理を行ない、上記関心領域境界タイルからの距離が大きくなるほど、0に置き換える範囲を小さくするので、関心領域境界タイル及びその近傍のタイルにおける情報量が削減され、その結果、関心領域と非関心領域の画質差を抑制することができ、画像の違和感を軽減することが可能である。
【0055】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、上記所定の処理において、圧縮画像データが符号化時の周波数成分変換によって分解されてなるサブバンドのうちの高周波成分側のサブバンドのみに対して処理を行うので、関心領域境界タイル及びその近傍のタイルにおける情報量が削減される一方で、画質低下の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】上記画像処理装置内のコーデックによるJPEG2000ファイルの復号化処理の流れを示す図である。
【図3】ROIを含む画像データを示す図である。
【図4】図4中のフレームX内の拡大図である。
【図5】JPEG2000ファイルにおいてROIと非ROIを区別する方式として典型的なmax−shift方式の概念図である。
【図6】重み付け量「1」が設定されたタイルに施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。
【図7】重み付け量「2」が設定されたタイルに施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。
【図8】重み付け量「3」が設定されたタイルに施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。
【図9】重み付け量「4」が設定されたタイルに施されるビットシフト処理を概念的に示す図である。
【図10】ウェーブレット分解レベル2で符号化された画像データが、サブバンドに分解されている態様を示す図である。
【図11】各タイルのROI境界判別処理についてのフローチャートである。
【図12】各タイルの重み付け処理(図11のS29)についてのフローチャートである。
【図13】変換係数処理(図11のS30)についてのフローチャートである。
【符号の説明】
1…画像処理装置
2…CPU
3…メモリブロック
4…コーデック
5…プリンタI/F
6…プリンタ部
7…ネットワークI/F
8…バス
10…ROI
12…非ROI
Claims (3)
- 符号化/復号化処理に際し各々処理単位となる複数のタイルに分割された圧縮画像データを復号化する画像処理装置において、
上記各タイル毎に、該タイルに関する周波数成分変換係数より、上記圧縮画像データ内に設定された関心領域の存在状況を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された関心領域の存在状況に基づき、各タイルが、関心領域のみからなる関心領域タイル,非関心領域のみからなる非関心領域タイル,関心領域及び非関心領域が混在する関心領域境界タイルのいずれかであるかを判別する判別手段と、
上記判別手段により判別された関心領域タイル及び関心領域境界タイルに対して、該関心領域境界タイルからの距離を反映した重み付け量を設定する設定手段と、
上記設定手段により設定された重み付け量に基づき、上記各関心領域タイル及び関心領域境界タイル内の関心領域及び非関心領域に対応する周波数成分変換係数に対し、所定の処理を行う処理手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 上記処理手段が、上記各関心領域タイル及び関心領域境界タイル内の関心領域に対応する周波数成分変換係数に対して、その下位から所定の範囲まで0に置き換える処理を行ない、上記関心領域境界タイルからの距離が大きくなるほど、0に置き換える範囲を小さくすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 上記処理手段が、圧縮画像データが符号化時の周波数成分変換によって分解されてなるサブバンドのうちの高周波成分側のサブバンドのみに対して処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
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