JP2004132512A - 制振ジョイント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対の金属板でなる曲げ弾性板101および102を複数の結合部材103で結合し、各曲げ弾性板の中心には、構造体との結合を行うための結合部材105と106を配置する。各曲げ弾性板の対向面には制振材料108を配置する。この制振ジョイントは、構造体同士の連結等に用いられる。一方の構造体の振動は、制振ジョイントに伝わり、この制振ジョイントに伝わる振動は、曲げ弾性板101に振動を生じさせる。その際、振動のエネルギーが制振材料108で消費される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振ジョイントに関する。本発明は、特に結合部の結合強度および剛性が高く、さらに薄型である制振ジョイントに関する。
【0002】
【従来の技術】
図10〜図12に従来技術における受動型の制振ジョイントの例を示す。図10は、シリコーンゴム等の制振材料201の両端に円板202と円板203を接着した構造を有する制振ジョイントである。円板202には雄ネジ204が固定され、円板203には雄ネジ205が固定されている。構造体同士の固定は、雄ネジ204と205にそれぞれ構造体を結合させて行う。図10の制振ジョイントは、制振材料を直接結合部材として用いた構造である。
【0003】
図11は、構造体210と構造体211とを結合させる構造であって、制振材料214、215および216をボルト212とナット213で挟み込んで締結した構造を有する制振ジョイントである。
【0004】
図12は、223および224でなる2分割されたシリンダー型の収納構造の中にピストン型の結合部材221と222をOリング形状または球形状の制振材料226によって保持した構造を有する制振ジョイントである。図12の制振ジョイントでは、結合部材221と222にそれぞれ結合しようとする構造体を固定することで構造体同士の結合を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図10の構造は、結合する構造体が直接制振材料201で結合されるので、制振材料201に結合に耐える強度や剛性が要求される。しかし、制振材料201は、その性質上強度や剛性が低い。よって、構造体同士の結合強度を高くできず、ジョイントとしての信頼性を高くできない。また、制振材料201が結合部材となるので、制振材料の温度特性がジョイントの剛性に直接影響を与え、制振ジョイントで結合した構造体の振動特性が不安定となる問題がある。
【0006】
図11の構造は、締結具の締付け状態によって剛性特性が変化し易く、取り付け作業の仕方によって、制振性能にばらつきが生じ易い。よって、安定した性能を得る点で不安がある。また、図11の構造においても図10の構造と同様に、制振材料の温度特性がジョイント部の剛性に直接影響を与え、環境の温度によって制振ジョイントで結合した構造体の振動特性が不安定となる問題がある。
【0007】
図12の構造は、223および224でなる収納構造により、結合部におけるある程度の強度や剛性は確保できる。しかし、227で示される1次元方向の振動しか制振できない。
【0008】
本発明の目的は、結合部の剛性および強度に優れた制振用ジョイントの提供にある。本発明の他の目的は、結合された構造体の振動特性の温度依存性を小さくできる制振用ジョイントの提供にある。本発明の他の目的は、振動の方向に関係なく制振効果が得られる制振用ジョイントの提供にある。本発明の他の目的は、薄型の制振用ジョイントの提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明その他を説明する。第1の発明は、制振材料が固定された第1曲げ弾性板と、前記第1曲げ弾性板の一方の面に配置され、前記第1曲げ弾性板を第1の部材と結合させるための第1結合手段と、前記第1曲げ弾性板の他方の面に配置され、前記第1曲げ弾性板を第2の部材と結合させるための複数の第2結合手段と、を含む制振ジョイントである。
【0010】
制振材料は、弾性を有し、振動を吸収する材料である。制振材料としては、シリコーンゴム等の各種材料、ゲル材料等が挙げられる。制振材料は、制振用あるいは防振用として市販されている材料を利用できる。また、制振材料として、硬化した状態で弾性を有する接着材料、あるいは完全に硬化しない状態(半硬化の状態)で接着機能を維持し同時に弾性材料して機能する接着材料を用いることもできる。このような接着材料として、例えばゴム系あるいはシリコーン系の接着材料が挙げられる。接着材料を用いる場合、曲げ弾性板に未硬化状態の接着材料を塗布し、硬化あるいは半硬化させればよい。また、この接着材料を後述する拘束部材の接着に利用してもよい。この場合、接着材料が制振材料として機能するので、別に制振材料を用意しなくてもよい。
【0011】
曲げ弾性板は、曲げることが可能な弾性を有する板状の部材をいう。曲げ弾性板は、薄型を追求するために、平板であることが好ましい。薄さを多少犠牲にするならば、深さの浅い円錐状や皿のような形状であってもよい。曲げ弾性板は、強度と剛性を確保するために硬質な材料を選択できる。曲げ弾性板として、金属、セラミックス、硬質な樹脂または複合材料等が選択できる。
【0012】
第1の部材としては、例えばジョイントする対象である2つの構造体の一方、または別の曲げ弾性板が挙げられる。また、第2の部材としては、例えばジョイントする対象である2つの構造体の他方、または別の曲げ弾性板が挙げられる。結合手段とは、部材同士を互いに固定する手段をいう。部材という語意には、各種の部品や構造体の一部または全部が含まれる。
【0013】
結合手段には、雄ネジや雌ネジといったネジ部材、フックで相手部材に固定される構造、あるいはフックを受ける構造、嵌め込み式で固定される構造の一方(嵌め込みを受ける側または嵌め込む側の構造)が挙げられる。また、結合手段には、溶接、ロウ付け、接着により相手部材と固定される構造、あるいはマグネットやリベットによって相手部材と固定される構造も含まれる。
【0014】
第1の発明によれば、第1曲げ弾性板を振動させ、その振動エネルギーを制振材料で吸収させることで、第1の部材と第2の部材との間で伝播する振動を低減できる。曲げ弾性板は、金属等の硬質な材料で構成できるので、ジョイントとして利用した場合のジョイント部の強度と剛性を確保できる。また、曲げ弾性板の変形によって振動を吸収するので、振動の方向によらず制振できる。また、曲げ弾性板は薄い寸法とできるので、ジョイント方向における寸法を小さくでき、第1の部材と第2の部材とが近接している場合でも対応できる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、第1曲げ弾性板に対向して配置された第2曲げ弾性板と、第2曲げ弾性板の第1曲げ弾性板に対向する面と反対側の面に配置され、第2曲げ弾性板を第3の部材と結合させるための第3結合手段と、第2曲げ弾性板に固定された制振材料と、をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
第2の発明によれば、第1および第2曲げ弾性板において制振作用が得られ、第1の部材と第3の部材との間で伝わる振動を低減できる。
【0017】
第3の発明は、第1または第2の発明において、第1曲げ弾性板が平板であることを特徴とする。曲げ弾性板を平板とすることで、ジョイントとしての厚さを薄くでき、結合する部材の隙間がせまくても制振ジョイントを配置できる。
【0018】
第4の発明は、第1〜3の発明の何れか一つにおいて、制振材料に接して拘束部材が固定されていることを特徴とする。拘束部材は、制振材料に固定され、振動を受けるに従って発生する制振材料表面の伸びや縮みを拘束する。拘束部材は、拘束力を発揮する程度の剛性を有しているのが好ましい。制振材料に拘束部材を固定することで、制振材料が振動を受けた際にその内部において、振動部分と拘束を受けた部分との間で周期的なせん断変形が生じ、振動をより効率良く吸収できる。
【0019】
第5の発明は、第1〜4の何れか一つの発明において、第1曲げ弾性板の一方の面または両面に溝または突起が形成されており、溝または突起が形成された面、または溝の内部、または突起の側面に制振材料が固定されていることを特徴とする。
【0020】
第5の発明において、溝が形成された面という語意には、溝の内部の面は含まれない。また、突起が形成された面とは、突起上部の面をいう。曲げ弾性板に溝が形成されていると、曲げ弾性板の厚み方向における振動時の歪中心が溝の形成されていない面側に偏り、他方で溝が形成されている面側の歪が大きくなる。これにより、溝が形成されている面あるいは溝の内部に固定された制振材料に加わる歪を大きくでき、制振効果を高くできる。突起は、溝とは逆に曲げ弾性板の表面に凸状に出た形状をいう。なお、溝の幅を広くしていった場合における、溝でない部分を突起と捉えることもできる。突起が形成されていると、突起が形成されていない面側に歪中心が偏り、突起上面の歪が大きくなる。これにより、突起が形成された面、あるいは突起の側面に固定された制振材料に加わる歪を大きくでき、制振効果を高くできる。
【0021】
第6の発明は、第1〜5の発明の何れか一つにおいて、第1曲げ弾性板は、円形、楕円形または多角形であり、第1結合部材は、第1曲げ弾性板の中心または中心近傍に配置され、第2結合部材は、第1曲げ弾性板の中心または中心近傍を囲む複数の位置に配置されていることを特徴とする。
【0022】
中心近傍とは、中心からのズレが全体の寸法比率から見て、30%以内の位置、好ましくは10%以内の位置をいう。中心または中心近傍を囲む複数の位置は、それぞれ中心または中心近傍から等距離にあることが好ましい。
【0023】
第6の発明によれば、第1結合部材による結合位置と第2結合部材による結合位置との間で加わる力によって、曲げ弾性板を効果的に変形させ、受けた振動エネルギーによって効率よく曲げ弾性板を振動させることができる。これにより、制振をより効果的に行える。
【0024】
第7の発明は、第5または第6の発明において、溝または突起は、第1結合部材が配置された位置を中心とした放射状または同心円状に形成されていることを特徴とする。第7の発明によれば、振動状態に応じた位置に溝または突起が形成されので、溝または突起を形成することで得られる効果をより高くできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。なお、全体を通して同じ要素には同じ番号を付するものとする。
【0026】
図1は、本発明の制振ジョイントの一例を示す斜視図である。図1には、曲げ弾性板101、曲げ弾性板102、第1結合部材105、ビス104、第2結合部材103、第3結合部材106、制振材料108および制振材料110が記載されている。図1(a)は曲げ弾性板101側からみた斜視図であり、図1(b)は曲げ弾性板102側から見た斜視図である。
【0027】
図2は、図1に示す制振ジョイントの側面図である。図2(a)は一対の曲げ弾性板を結合させた状態の側面図であり、図2(b)は組み上げる状態を示す側面図である。図2には、制振材料108に接して配置された拘束部材109と、制振材料110に接して配置された拘束部材111とが記載されている。
【0028】
曲げ弾性板101および曲げ弾性板102は、薄板金属で構成され、円形の形状を有する。
【0029】
第1結合部材105は、曲げ弾性板101の中心部に固定された雄ネジである。第1結合部材105は、曲げ弾性板101を図示しない構造体に結合させるための部材である。
【0030】
第2結合部材103は、円柱形状の金属製で、両端に図示しない雌ネジ構造が形成されている。第2結合部材103は、ネジ104によって曲げ弾性板101と曲げ弾性板102とを結合する。この例では、第2結合部材103は6個あり、曲げ弾性板101と曲げ弾性板102とは、第2結合部材103により6箇所において互いに結合される。
【0031】
曲げ弾性板101において、第1結合部材105は、第2結合部材103による6箇所の結合位置の中心に位置している。
【0032】
第3結合部材106は、曲げ弾性板102を図示しない他の構造体に結合させるための部材である。曲げ弾性板102において、第3結合部材106は、第2結合部材103による6箇所の結合位置の中心に位置している。
【0033】
制振材料108および110は、制振性の高い弾性材料である。制振材料としては、例えば制振用途に市販されているシリコーンゴムや合成ゴムが利用できる。制振材料108は、円形の平板形状に加工されている。制振材料108および制振材料110は、それぞれ曲げ弾性板101および102に接着剤によって固定されている。拘束部材109および111は、円形の金属板である。拘束部材としては、鉛等の比重の大きい材質が利用できる。拘束部材109および111は、それぞれ制振材料108および制振材料110に接着剤で固定されている。
【0034】
なお、制振材料108および制振材料110として、硬化または完全に硬化せず半硬化した状態で接着機能を維持し、同時に弾性を有する接着材料を用いることもできる。この場合、接着材料によって弾性板に拘束部材を接着し、硬化または半硬化した接着材料は制振材料として機能する。
【0035】
図3は、曲げ弾性板101の対向面(曲げ弾性板102に向かい合う面)の構造を示す斜視図である。図3(a)は、制振材料108と拘束部材109とをそれぞれ固定していない状態を示す斜視図である。図3(b)は、制振材料108を曲げ弾性板101に固定し、拘束部材109を制振材料108に固定した状態を示す斜視図である。
【0036】
図3(a)に示されるように、曲げ弾性板101の対向面には、溝113が同心円状および放射状に形成されている。溝113は、後述するように制振材料110に効率良く振動エネルギーを吸収させる役割を有する。なお、説明は省略するが、曲げ弾性板102の曲げ弾性板101へ対向する面の構造も上述の曲げ弾性板101と同じである。
【0037】
図4は、図1に例示した制振ジョイントの使用状態の一例を示す図である。図4には、台座122の上に制振台121が制振ジョイント120を介して固定された状態を示されている。図4の例では、制振台121は下面の4隅において制振ジョイント120によって台座122に固定される。制振台121は、例えば振動を極力排除する必要がある機器等を載せる台である。
【0038】
図5は、台座122上に制振台121を固定する手順を示す図である。まず、台座122上に制振台121を位置させ、4隅において、両者の間に制振ジョイント120を位置させる。さらに、制振ジョイント120の雌ネジ106を台座122に固定された雄ネジ123に回し込み、同時に制振ジョイント120の雄ネジ105を図示しない制振台121の雌ネジに回し込む。この作業は、台座122と制振台121の4隅において同時に行う。こうして、制振台121は、4つの制振ジョイント120によって、台座122に固定される。
【0039】
ここでは、制振ジョイントを用いて台座に制振台を固定する例を説明したが、制振ジョイントの利用はこの例に限定されるものではない。例えば、振動を発生する機器からの振動を他に伝えないために、制振ジョイントを介して機器を筐体や床等に固定する例が挙げられる。また、振動を発する機器の内部に振動を嫌う装置を格納する際に、制振ジョイントを介してこの装置を機器内に固定する例が挙げられる。また、制振ジョイントを介して振動を発生する装置を機器内に固定し格納する例が挙げられる。このように、制振ジョイントは、振動を伝えたくない、あるいは振動の伝達を抑制したい部分の結合手段として広く利用できる。
【0040】
次に、曲げ弾性板に溝を形成する効果について説明する。図6は、曲げ弾性板の断面図の一例である。図6(A)は、曲げ弾性板601の一方の表面に溝602が形成された状態が示されている。溝602が形成されていると、溝602が形成されていない面側の偏った位置603が振動時における歪中心となる。ちなみに、溝602が形成されていなければ、歪中心は、曲げ弾性板601の厚さ方向の中心部分となる。なお、ここで曲げ弾性板は均質な材質であるとする。図6(A)のように歪中心が溝602の形成されていない面側に偏ると、曲げ弾性板601の振動時において、溝602が形成された面側の歪が604で示されるように大きくなる。なお、溝602で挟まれた凸状の部分を突起部と捉えることもできる。
【0041】
図6(B)は、曲げ弾性板601の溝602が形成されている側の面に制振材料605が固定され、さらにその上に拘束部材606が固定された状態を示す断面図である。
【0042】
図6(B)の状態では、溝602は埋められず、充填物がない空間として残っている。曲げ弾性板601が振動すると、制振材料605の曲げ弾性板601に接触する面は、曲げ弾性板601の振動によって、繰り返し引っ張り応力および圧縮応力を受ける。制振材料は、弾性構造を有しているので、歪が加わった際に抵抗力を発生し、歪エネルギーは熱エネルギーに変換される。これにより、曲げ弾性板601の振動エネルギーが制振材料605によって消費され、制振作用が得られる。この時、溝602が形成されていると、制振材料605と接触している曲げ弾性板601の表面の歪が大きくなるので、より強い歪が制振材料605に伝わる。この結果、溝602が形成されていない場合に比較してより多くの振動エネルギーが制振材料605で消費される。
【0043】
この制振作用は、拘束部材606が取り付けられている場合に特に顕著になる。上述したように、溝602が形成されることで、曲げ弾性板601の振動時に溝602が形成された面側の歪が大きくなる。この歪は曲げ弾性板601に接する制振材料605に伝わる。他方で、制振材料605の歪を受ける面と反対の面は、拘束部材606が固定されているので、歪の発生が抑制される。つまり、拘束部材606が固定されている面は、伸びまたは縮みの変形が拘束部材によって拘束される。これにより、制振材料605の内部において、繰り返しの周期的なせん断変形が生じ、拘束部材606を取り付けない場合に比較して、制振材料605内においてより高い効率で振動のエネルギーが消費される。
【0044】
このように、曲げ弾性板に溝を形成することで、振動のエネルギーを効果的に制振材料で吸収できる。また、拘束部材の効果をより高く発揮できる。以上の作用効果は、曲げ弾性板に突起を形成した場合でも同様に指摘できる。
【0045】
図6(C)は、曲げ弾性板601の表面に形成された溝602内に制振材料607を充填した構造の例を示す断面図である。図6(c)に例示するような構成とした場合も、曲げ弾性板601の振動時に、溝602が形成された面側の歪が大きくなり、この歪が溝内の制振材料607に加わる。これにより、曲げ弾性板601に生じる振動を制振できる。図6(c)に例示する構成は、制振ジョイントをより薄型にする場合に有用である。
【0046】
なお、図6(b)に例示する構成と図6(c)に例示する構成を組み合わせた構成を採用してもよい。つまり、曲げ弾性板の表面に溝を形成し、この面と溝の内部に接触させて制振材料を配置した構成としてもよい。この場合も拘束部材をさらに制振材料の表面に固定することが好ましい。
【0047】
次に溝の形状(溝によって曲げ弾性板の表面に描かれる形状)の効果について説明する。図1〜3に例示する構造では、曲げ弾性板101の中心部と、そこから等距離にある第2結合部材による曲げ弾性板102との6箇所の結合部分との間に力が加わり、曲げ弾性板101が振動する。この際、曲げ弾性板101に発生する振動パターンは、第1結合部材が固定された点(曲げ弾性板101の中心点)を中心に対称性を有するパターンとなる。
【0048】
図6で説明した作用は、振動時に歪が集中する位置が溝に沿って線状に分布している場合に最も有効となる。前述したように振動パターンは、第1結合部材が固定された点に対して対称性を有するから、歪が集中する位置も第1結合部材が固定された点に対して対称性を有する。従って、溝113のパターンを第1結合物が固定された点を中心とした対称性のある放射状や円周状のパターンとすることで、図6で説明した作用をより効果的に得られる。
【0049】
以上は曲げ弾性板101について説明したが、曲げ弾性板102においても同様のことが指摘できる。
【0050】
次に図1〜3に例示する制振ジョイントの制振作用について説明する。図7および図8は、制振ジョイントでの制振作用を説明するためのモデル図である。なお、図7および図8では理解を助けるために曲げ弾性板の変形を誇張して記載している。また、以下においては、基本的な振動のモードを例にとり説明を加える。
【0051】
図7は、曲げ弾性板に垂直な方向に振幅を有する振動が加わった場合の様子を示すモデル図である。図7(a)は、曲げ弾性板101と曲げ弾性板102とを引き離す方向に力が加わった状態を示す。図7(b)は、(a)の場合と逆に曲げ弾性板101と曲げ弾性板102とを近づける方向に力が加わった状態を示す。曲げ弾性板101および102に垂直な方向に加わる振動は、図7に例示されるような変形を曲げ弾性板101および102に繰り返し周期的に生じさせる。この曲げ弾性板101および102の繰り返し周期的に生じる変形は、制振材料108および110にそれぞれ加わる。そして、そのエネルギーは、制振材料108および110で消費される。こうして、曲げ弾性板101および102に垂直な方向に加わる振動が制振される。
【0052】
図8は、曲げ弾性板の面に平行な方向の振幅の振動が制振ジョイントに加わった場合の様子を示すモデル図である。図8(a)は、第1結合部材105と第3結合部材106に逆方向の力が加わった場合の状態を示す。図8(b)は、第1結合部材105と第3結合部材106に同方向の力が加わった場合の状態を示す。
【0053】
曲げ弾性板101および102の面に平行な方向に加わる振動は、図8に例示されるような変形を曲げ弾性板101および102に生じさせる。この曲げ弾性板101および102の変形は、繰り返し周期的に発生し、それは制振材料108および110にそれぞれ加わる。その結果、各曲げ弾性板の振動エネルギーは、制振材料108および110でそれぞれ消費される。こうして、曲げ弾性板101および102の面に平行な方向に加わる振動が制振される。
【0054】
このように、図1〜3に例示する制振ジョイントは、振動の振幅方向に関係なく、制振効果を得ることができる。
【0055】
図1〜3で例示する制振ジョイントは、ゴム等の制振材料を結合部材として利用しないので、構造体同士の結合部における剛性および強度を確保できる。つまり、曲げ弾性板101と102は曲げ弾性板として機能する部材であるが、ゴム部材等の制振材料に比較すればはるかに剛性のある材料を使用可能であり、また曲げ弾性板101と102とは、第2結合部材103によって複数箇所で結合されるので、構造体同士の結合部分における高い強度と剛性を得ることができる。
【0056】
また、曲げ弾性板として力学的物性の温度依存性が比較的小さい材質を採用することで、本発明を利用した制振ジョイントで結合された構造体の振動特性の温度依存性を小さくできる。
【0057】
また、図7および8の例で説明したように、3次元方向の振動を制振できる。つまり、振動の方向に関係なく制振効果が得られる。また、制振用ジョイントの厚みは、隙間を空けて曲げ弾性板を対向させる寸法でよく、薄型の制振ジョイントが得られる。これにより、制振ジョイントを介して結合する構造体同士の隙間が狭い場合でも利用できる。
【0058】
また、制振ジョイントの剛性や制振特性(制振対象とする振動の周波数等)は、曲げ弾性板の材質、曲げ弾性板の厚さ、曲げ弾性板の直径、曲げ弾性板の形状、結合部材の数によって、適宜設定でき、広い範囲に適用できる。
【0059】
図9は、本発明の他の一例を示す斜視図である。図9に示すのは、1枚の曲げ弾性板を介して2つの構造体を連結する構成の制振ジョイントの例である。図9(A)は側面図であり、図9(B)は斜視図である。図9には、曲げ弾性板101、第1結合部材105、第2結合部材103、ネジ104および構造体131が示されている。
【0060】
曲げ弾性板101には、図1〜3で例示したように、溝が形成され、制振材料108と拘束部材109が固定されている。第1結合部材105は、構造体131の結合相手となる図示しない構造体に結合される。曲げ弾性板101と構造体131との結合は、第2結合部材103によって行われる。図9の例示では、第2結合部材103は円筒構造を有しており、第2結合部材103を貫通させてビス104を構造体131の図示しないネジ孔に回し入れることで、第2結合部材103による曲げ弾性板101の構造体131への固定が行われる。
【0061】
この制振ジョイントは、図示しない一方の構造体を第1結合部材105に結合し、他方の構造体(この場合は構造体131)を第2結合部材103に結合することで、2つの構造体の結合を行う。図9に例示する制振ジョイントにおいても、曲げ弾性板101に発生する振動が制振材料108で熱エネルギーに変換され、制振が行われる。
【0062】
以上本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
本願で開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果は、以下の通りである。すなわち、本発明により、結合部の剛性および強度に優れた制振用ジョイントが提供される。また、本発明により、結合された構造体の振動特性の温度依存性を小さくできる制振用ジョイントが提供される。また、本発明により、振動の方向に関係なく制振効果が得られる制振用ジョイントが提供される。また、本発明により、薄型の制振用ジョイントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発名の制振ジョイントの一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す制振ジョイントの断面図である。
【図3】曲げ弾性板の一例を示す斜視図である。
【図4】図1に例示した制振ジョイントの使用状態の一例を示す図である。
【図5】図1に例示した制振ジョイントの使用手順の一例を示す図である。
【図6】曲げ弾性板の断面図の一例である。
【図7】曲げ弾性板に垂直な方向に振幅を有する振動が加わった場合の様子を示すモデル図である。
【図8】曲げ弾性板の面に平行な方向の振幅の振動が制振ジョイントに加わった場合の様子を示すモデル図である。
【図9】本発明の他の一例を示す斜視図である。
【図10】従来技術における制振ジョイントの一例である。
【図11】従来技術における制振ジョイントの一例である。
【図12】従来技術における制振ジョイントの一例である。
【符号の説明】
101…曲げ弾性板、102…曲げ弾性板、103…第2結合部材、104…ビス、105…第1結合部材106…第3結合部材、108…制振材料、109…拘束部材、110…制振材料、111…拘束部材、113…溝、120…制振ジョイント、121…制振台、122…台座、123…雄ネジ、131…構造体、201…制振材料、202…円板、203…円板、204…雄ネジ、205…雄ネジ、212…ボルト、213…ナット、214…制振材料、221…結合部材、222…結合部材、226…制振材料、601…曲げ弾性板、602…溝、603…歪中心の位置、605…制振材料、606…拘束部材、607…制振材料。
Claims (7)
- 制振材料が固定された第1曲げ弾性板と、
前記第1曲げ弾性板の一方の面に配置され、前記第1曲げ弾性板を第1の部材と結合させるための第1結合手段と、
前記第1曲げ弾性板の他方の面に配置され、前記第1曲げ弾性板を第2の部材と結合させるための複数の第2結合手段と、
を含む制振ジョイント。 - 前記第1曲げ弾性板に対向して配置された第2曲げ弾性板と、
前記第2曲げ弾性板の前記第1曲げ弾性板に対向する面と反対側の面に配置され、前記第2曲げ弾性板を第3の部材と結合させるための第3結合手段と、
前記第2曲げ弾性板に固定された制振材料と、
をさらに含む請求項1に記載の制振ジョイント。 - 前記第1曲げ弾性板が平板である請求項1または2に記載の制振ジョイント。
- 前記制振材料に接して拘束部材が固定されている請求項1〜3何れか一項に記載の制振ジョイント。
- 前記第1曲げ弾性板の一方の面または両面に溝または突起が形成されており、前記溝または突起が形成された面、または前記溝の内部、または前記突起の側面に前記制振材料が固定されている請求項1〜4何れか一項に記載の制振ジョイント。
- 前記第1曲げ弾性板は、円形、楕円形または多角形であり、
前記第1結合部材は、前記第1曲げ弾性板の中心または中心近傍に配置され、
前記第2結合部材は、前記第1曲げ弾性板の中心または中心近傍を囲む複数の位置に配置されている請求項1〜5何れか一項記載の制振ジョイント。 - 前記溝または突起は、前記第1結合部材が配置された位置を中心とした放射状または同心円状に形成されている請求項5または6に記載の制振ジョイント。
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