JP2004131024A - 船舶、再液化システム、船舶におけるボイルオフガスの再液化方法 - Google Patents

船舶、再液化システム、船舶におけるボイルオフガスの再液化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボイルオフガスや燃料油を効率良く使用できる船舶、再液化システム、船舶におけるボイルオフガスの再液化方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ボイラ23で燃料油やボイルオフガスの一部を燃焼させることで蒸気を発生させ、この蒸気で蒸気タービン26を駆動することで、これを再液化装置30における冷媒の作動エネルギとした。そして、燃料油とボイルオフガスのコストバランスに応じ、燃料油とボイルオフガスをフレキシブルに利用するようにした。また、燃料油やボイルオフガスの一部を燃焼させることで発生する蒸気は、ディーゼル主機10やディーゼル発電機11の排ガスの排熱を利用して加熱する構成を採用した。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化ガスを搭載した船舶に用いて好適な、再液化システム、船舶におけるボイルオフガスの再液化方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
LNG等の液化ガスを輸送する船舶において、液化ガスはカーゴタンクに大気圧状態で収められている。輸送中、カーゴタンクに対する外部からの侵入熱が僅かながらあるため、この侵入熱により、液化ガスが少しずつ蒸発し、カーゴタンク内の圧力が少しずつ上がってしまう。このため、蒸発したガス(これをボイルオフガスと称する)をカーゴタンクから抜く必要がある。
【0003】
このような船舶は、燃料油(重油)とガスを混焼できるボイラで発生させた蒸気で蒸気タービンを回し、その軸出力を推進力に用いている。
従来、カーゴタンクから抜いたボイルオフガスは、ボイラで燃焼させていた。つまり、ボイルオフガスを、船舶を推進させるために使用していたのである。
【0004】
また、燃料油と液化ガスの値段の関係で、液化ガスから発生したボイルオフガスの方が燃料油よりも割安な場合、燃料油の消費を抑えるため、カーゴタンク内の液化ガスを強制的に蒸発させてボイルオフガスを発生させ、これをボイラで燃焼させ、燃料油ではなく液化ガス(ボイルオフガス)を燃料として船舶を推進させることも行われている。
【0005】
一方、船舶に限る技術ではないが、ボイルオフガスを凝縮させて再液化する技術も存在する(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−132896号公報
【特許文献2】
特開2001−132899号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、2に示したような技術を船舶に適用しようとする場合、ボイルオフガスを再液化するための動力源としては、一般に燃料油を利用するディーゼル発電機を用いることが考えられる。しかし、そうなると、燃料油よりもボイルオフガスの方が割安な場合に、割高な燃料油を消費して割安なボイルオフガスを再液化することになり、これでは不経済である。このように、船舶の場合、燃料油とボイルオフガスのコストバランスが安定しないため、燃料油とボイルオフガスをフレキシブルに利用できる構成のシステムが望ましい。
【0008】
また、他の問題として、蒸気タービンは、ディーゼルエンジン等に比較して燃費が悪いため、船舶の推進に蒸気タービン以外のものを採用したいという要求もある。この場合、ボイルオフガスの取り扱いとうまくマッチングを図ることが困難である。
【0009】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、ボイルオフガスや燃料油を効率良く使用できる船舶、再液化システム、船舶におけるボイルオフガスの再液化方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明の船舶では、蒸気発生部で発生させた蒸気を、推進力を発生する内燃機関の排ガスから熱を回収することで排熱回収部にて加熱する。そして、加熱された蒸気により蒸気タービンを駆動し、この蒸気タービンの駆動により発生される駆動エネルギに基づいて、冷媒圧縮部にて冷媒を圧縮させる。このときに用いる駆動エネルギとしては、蒸気タービンの駆動力で冷媒圧縮部(コンプレッサ)を機械的に駆動することもできるし、蒸気タービンで発電機を作動させ、この発電機で発電した電力により、冷媒圧縮部を作動させるモータを駆動することもできる。そして、このように冷媒圧縮部で圧縮された冷媒と熱交換することで、ガス格納部に格納された液化ガスが気化して発生するボイルオフガスを、再液化部にて再液化させることができる。
なお、蒸気発生部としては、内燃機関の燃料またはボイルオフガスを燃焼させるボイラを用いることができる。さらにこのボイラでは、燃料とボイルオフガスを選択的に燃焼させることもできる。この場合、ボイルオフガスは、ガス格納部内の温度変化等に応じて自然に発生したものであっても良いし、液化ガスを強制的に蒸発させて発生させたものであっても良い。
また、上記したような内燃機関としては、船舶の推進に用いるディーゼルエンジンや、船舶内での動力(電力)を供給するディーゼル発電機を用いることができる。
ところで、船舶に電力を供給する内燃機関式の発電機をさらに備える場合、排熱回収部では、発電機で発生する排ガスから熱を回収することで、蒸気発生部で発生させた蒸気を加熱することもできる。
【0011】
また、本発明は、蒸気発生部において内燃機関の燃料またはボイルオフガスを選択的に燃焼して蒸気を発生し、この蒸気により蒸気タービンを駆動して、冷媒圧縮部にて冷媒を圧縮することで、ボイルオフガスを再液化部にて再液化させることを特徴とした船舶として捉えることもできる。
【0012】
本発明を再液化システムとして捉えると、この再液化システムは、液化ガスの貯槽から発生するボイルオフガスを冷却して再液化する再液化部と、再液化部でボイルオフガスを冷却するための冷熱源を発生させる冷熱源発生部と、外部の熱源から排出される排熱を回収することで蒸気を加熱する蒸気加熱部と、加熱された蒸気によって冷熱源発生部の駆動エネルギを発生させるエネルギ発生部と、を備えることを特徴とする。このような再液化システムは、船舶に限らず、液化ガスの貯槽からのボイルオフガスを外部の熱源を利用して再液化する場合に有効である。
このとき、外部の熱源としては、内燃機関で発生する排ガスを用いることができる。
【0013】
本発明は、液化ガスの貯槽を有した船舶にて貯槽から発生するボイルオフガスを再液化する方法として捉えることもでき、この方法は、蒸気を発生させる工程と、船舶に備えた内燃機関で発生する排ガスから熱を回収することで蒸気を加熱する工程と、加熱された蒸気により駆動される蒸気タービンで発生される駆動エネルギを利用して冷媒を圧縮する工程と、冷媒と熱交換することで、ボイルオフガスを再液化させる工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、ボイルオフガスの一部と、船舶の推進または動力供給に用いる燃料を選択的に燃焼させることで蒸気を発生させる工程と、発生した蒸気により蒸気タービンを駆動し、この蒸気タービンで発生される駆動エネルギを利用して冷媒を圧縮する工程と、冷媒と熱交換することで、ボイルオフガスを再液化させる工程と、を有することを特徴とすることもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における船舶の推進プラントの構成を説明するための図である。本実施の形態の船舶では、推進や発電のために用いるディーゼルエンジンの排ガスから熱を回収することで蒸気を発生させ、この蒸気で蒸気タービンを駆動する。そして、ボイルオフガスを凝縮させるための冷熱源となる冷媒を、蒸気タービンで駆動したコンプレッサにより圧縮する。
【0016】
図1に示すように、この船舶は、その推進に内燃機関であるディーゼルエンジン主機(以下、適宜ディーゼル主機と称する)10を用い、また船内の動力(電力)を賄うために、ディーゼルエンジン発電機(以下、適宜ディーゼル発電機と称する:内燃機関、内燃機関式の発電機、外部の熱源)11を用いる。
このような船舶において、ディーゼル主機10およびディーゼル発電機11の運転時に発生する排出ガスは、排出ガス回収ラインL1、L2を介し、排熱回収装置(排熱回収部、蒸気加熱部)20に送り込まれるようになっている。
【0017】
この推進プラントにおいて、冷媒を圧縮するコンプレッサを駆動するための蒸気の循環回路は、以下のようになっている。
すなわち、タンク21に貯溜した水は、給水ポンプ22により給水ラインL3を介してボイラ(蒸気発生部)23に送り込まれる。
ボイラ23は、図示しない燃料タンクから供給ラインL4を介して供給される燃料油と、図示しないカーゴタンク(ガス収納部、貯槽)から供給ラインL5を介して供給されるボイルオフガスを適宜選択して燃焼させることで、給水ラインL3から送り込まれた水を蒸発させ、蒸気を生成する。
【0018】
ボイラ23で生成された蒸気は、第一排熱回収ラインL6を通して排熱回収装置20内に送り込まれ、排出ガス回収ラインL1、L2から送り込まれた排出ガスと熱交換することで、加熱された後、ボイラ23に戻る。
第一排熱回収ラインL6を通して排熱回収装置20で加熱され、ボイラ23に戻った蒸気は、ボイラ23から蒸気送出ラインL7を通して送り出される。
【0019】
蒸気送出ラインL7には、排熱回収装置20内を通る第二排熱回収ラインL8と、排熱回収装置20内に入らないバイパスラインL9とが接続されており、これら第二排熱回収ラインL8とバイパスラインL9には、流量調整弁24、25が設けられている。そして、これら第二排熱回収ラインL8、バイパスラインL9は、蒸気タービン(エネルギ発生部)26に蒸気を供給する蒸気供給ラインL10に接続されている。
ボイラ23から蒸気送出ラインL7に送り出された蒸気は、流量調整弁24、25を開閉することで、第二排熱回収ラインL8またはバイパスラインL9に選択的に送り込まれる。また流量調整弁24、25の開度を調整することで、第二排熱回収ラインL8に送り込まれる蒸気の量とバイパスラインL9に送り込まれる蒸気の量を適宜分配調整することも可能である。
第二排熱回収ラインL8に送り込まれた蒸気は、排熱回収装置20内で、排出ガス回収ラインL1、L2から送り込まれた排出ガスとの熱交換によって加熱され、蒸気供給ラインL10に送り込まれる。一方、バイパスラインL9に送り込まれた蒸気は、排熱回収装置20内に入ることなく、蒸気供給ラインL10に送り込まれる。ここで、蒸気送出ラインL7に送り出された蒸気の温度があらかじめ決めた設定値よりも低い場合に、蒸気を第二排熱回収ラインL8に送り込み、排熱回収装置20で排ガスの熱を回収することでさらに加熱をするのである。
【0020】
蒸気供給ラインL10に、所定の設定値以上の温度で送り込まれた蒸気は、蒸気タービン26に送り込まれ、蒸気タービン26を駆動させる。この蒸気は、蒸気タービン26から排出された後、コンデンサ27において凝縮されて水となり、この水はタンク21に戻される。
【0021】
上記したような推進プラントの蒸気サイクルにより発生された蒸気を駆動源とし、蒸気タービン26が駆動されるようになっている。この蒸気タービン26では、以下に示すような再液化装置30において冷媒を圧縮する、例えば2段のコンプレッサ(冷媒圧縮部、冷熱源発生部)31A、31Bを駆動する。
図2に示す再液化装置30において、コンプレッサ31A、31Bは、変速ギヤボックス50を介し、蒸気タービン26の出力軸に接続されている。
また、このコンプレッサ31A、31Bは、ディーゼル発電機11で生成された動力によって駆動されるモータ51によっても駆動可能となっている。このモータ51も、変速ギヤボックス50を介し、コンプレッサ31A、31Bに接続されている。コンプレッサ31A、31Bは、このモータ51のみで駆動させても良いし、蒸気タービン26をモータ51でアシストして駆動させる構成としても良い。
【0022】
さて、この再液化装置30であるが、基本的に特開2001−132896号公報、特開2001−132899号公報に開示された再液化装置と同様の構成を備える。
すなわち、冷媒(例えば窒素)は、上記のコンプレッサ31Aにて第一段の圧縮がなされた後、圧縮に伴って温度が上昇するのでインタークーラ32にて冷却された後、コンプレッサ31Bにて第二段の圧縮がなされる。そして、圧縮された冷媒は、アフタクーラ33にて冷却された後、ブーストコンプレッサ34でさらに圧縮された後、アフタクーラ35にて冷却され、熱交換器(再液化部)36に送り込まれる。
【0023】
熱交換器36では、冷媒冷却部37において、冷媒が低温冷媒との熱交換により冷却される。熱交換器36を出た冷媒は、ブーストコンプレッサ34に連結されたエキスパンダ38に送られ、ここで減圧により膨張して冷熱を生成し、低温冷媒となって熱交換器36に再度送り込まれる。このエキスパンダ38で冷媒を減圧する際の仕事により、ブーストコンプレッサ34が駆動される。
つまり、前記の冷媒冷却部37では、エキスパンダ38から熱交換器36に送り込まれた低温冷媒で、アフタクーラ35から送り込まれた冷媒を冷却するのである。
【0024】
また、熱交換器36には、エキスパンダ38から送り込まれた低温冷媒を冷熱源とするコンデンサ39とクーラ40が設けられており、これらコンデンサ39、クーラ40でボイルオフガスの冷却を行う。
そして、このようにして熱交換器36で熱交換を行ない、温度が上昇した冷媒は、前記コンプレッサ31Aに循環されるようになっている。
【0025】
一方、図示しないカーゴタンクで発生したボイルオフガスは、再液化ラインL21を介して熱交換器36内に送り込まれ、コンデンサ39にてほぼ飽和状態にまで冷却された後、その下流側の気液分離ドラム41にて、飽和状態にある気液(液)から非凝縮成分(ガス成分)と凝縮成分(液)とが分離される。
なお、コンデンサ39にてボイルオフガスを冷却するに先立ち、特開2001−132899号公報に開示された技術のように、このボイルオフガスをコンプレッサで圧縮しても良い。
【0026】
気液分離ドラム41にて分離された非凝縮成分は、ガス成分排出ラインL22、排出ラインL23を介し、図1に示したボイラ23への供給ラインL4に送り込まれる。
また、気液分離ドラム41にて分離された凝縮成分は、液排出ラインL24を介して再度熱交換器36内に送り込まれ、クーラ40にて冷媒との熱交換によって冷却され、過冷却状態、つまり液化ガスに再液化されて、図示しないカーゴタンクに戻される。
なおここで、特開2001−132896号公報に開示された技術と同様の構成を採用し、再液化された液化ガスを、ミスト分離用ドラムに還流させる一方、このミスト分離用ドラムにカーゴタンクからのボイルオフガスを送り込み、還流させた液化ガスにフラッシュさせることで、液化ガス中に含まれる窒素などの不純物を分離させる構成とすることもできる。
【0027】
ところで、ボイルオフガスを図1に示した供給ラインL5を介してボイラ23に供給する場合、その供給量によっては、後述の如く、ボイルオフガスの一部を再液化装置30を通さず、バイパスラインL25を介し、排出ラインL23から供給ラインL4に供給することもできる。このため、再液化ラインL21、バイパスラインL25には、流量調整弁42、43が設けられており、その開度を調整することで、再液化ラインL21で再液化するボイルオフガスの量と、バイパスラインL25からボイラ23に送り込むボイルオフガスの量を調整できるようになっている。
【0028】
次に、上記に説明した船舶における、推進プラントの稼動方法について説明する。以下の説明では、種々の条件に応じて稼動モードを切り替えるが、それぞれの稼動モードにおける各部の運転は、あらかじめ用意されたプログラムに基づいて、図示しないコントローラが、推進プラントや再液化装置30の各部を制御することで自動的に行われる。また、各稼動モード間での切換は、オペレータがモードの選択を行うスイッチ等を操作することで行われる。
【0029】
[燃料油を利用するモード]
図3は、蒸気タービン26を駆動する蒸気を、燃料油をボイラ23で燃焼させることで発生する場合の例である。
この図3に示すように、この場合、燃料油を供給ラインL4からボイラ23に供給して燃焼させることで、給水ラインL3から供給された水を蒸発させ、蒸気を発生させる。
そして、発生した蒸気はボイラ23から送り出され、排熱回収装置20内の第一排熱回収ラインL6、第二排熱回収ラインL8にて、排出ガス回収ラインL1、L2から送り込まれた排出ガスと熱交換することで加熱された後、蒸気供給ラインL10から蒸気タービン26に送り込まれ、蒸気タービン26を駆動させる。
この蒸気は、蒸気タービン26から排出された後、コンデンサ27において凝縮されて水となり、この水はタンク21に戻される。
【0030】
この蒸気タービン26の駆動力により、図2に示した再液化装置30のコンプレッサ31A、31Bが駆動され、ボイルオフガスを熱交換器36で再液化するための冷媒を圧縮するのである。
この場合、ボイルオフガスの全量が、再液化装置30において再液化されることになる。
【0031】
[ボイルオフガスの一部を利用するモード]
図4は、蒸気タービン26を駆動する蒸気を、ボイルオフガスをボイラ23で燃焼させることで発生する場合の例である。
この図4に示すように、この場合、ボイルオフガスを供給ラインL5からボイラ23に供給して燃焼させることで、給水ラインL3から供給された水を蒸発させ、蒸気を発生させる。このとき、図2に示したように、カーゴタンクで発生したボイルオフガスは、流量調整弁42、43の開度が調整されることで、その一部がバイパスラインL25、排出ラインL23を介し、供給ラインL5からボイラ23に供給され、残部が再液化ラインL21から再液化装置30に送り込まれる。
【0032】
さて、ボイラ23で発生した蒸気は蒸気送出ラインL7に送り出され、排熱回収装置20内の第一排熱回収ラインL6、第二排熱回収ラインL8にて、排出ガス回収ラインL1、L2から送り込まれた排出ガスと熱交換することで加熱された後、蒸気供給ラインL10から蒸気タービン26に送り込まれ、蒸気タービン26を駆動させる。この蒸気は、蒸気タービン26から排出された後、コンデンサ27において凝縮されて水となり、この水はタンク21に戻される。
【0033】
一方、蒸気タービン26の駆動力により、図2に示した再液化装置30のコンプレッサ31A、31Bが駆動され、ボイルオフガスを熱交換器36で再液化するための冷媒を圧縮する。
この場合、ボイラ23に供給されたボイルオフガスの残部が、再液化装置30において再液化されることになる。
【0034】
上記の図3に示した燃料油を利用するモード、図4に示したボイルオフガスの一部を利用するモードは、燃料油とボイルオフガスのコストバランス等に基づき、適宜選択することができる。
【0035】
[ディーゼル主機およびディーゼル発電機停止中のモード]
図5は、ディーゼル主機10およびディーゼル発電機11の双方を停止している状態でのモード、つまり、排熱回収装置20に高温の排ガスが送り込まれない状態での稼動モードである。
この場合、ボイラ23にボイルオフガスの一部を供給ラインL5から供給して(あるいは燃料油を供給ラインL4から供給しても良い)燃焼させることで、給水ラインL3から供給された水を蒸発させ、蒸気を発生させる。
このとき、流量調整弁24を閉じ、流量調整弁25を開いておく。これにより、発生した蒸気はボイラ23から送り出され、第一排熱回収ラインL6を通った後、バイパスラインL9に送り込まれる。そして、この蒸気は蒸気供給ラインL10から蒸気タービン26に送り込まれ、蒸気タービン26を駆動させる。この蒸気タービン26の駆動力により、図2に示した再液化装置30のコンプレッサ31A、31Bが駆動され、ボイルオフガスを熱交換器36で再液化するための冷媒を圧縮する。
【0036】
[ディーゼル主機のみ停止中]
図6は、船舶の停泊中等、ディーゼル主機10を停止している状態でのモードである。
この場合、燃料油を供給ラインL4から供給して(あるいはボイラ23にボイルオフガスの一部を供給ラインL5から供給しても良い)燃焼させることで、給水ラインL3から供給された水を蒸発させ、蒸気を発生させる。
そして、発生した蒸気はボイラ23から送り出され、排熱回収装置20内の第一排熱回収ラインL6、第二排熱回収ラインL8にて、排出ガス回収ラインL2から送り込まれたディーゼル発電機11の排出ガスと熱交換することで加熱された後、蒸気供給ラインL10から蒸気タービン26に送り込まれ、蒸気タービン26を駆動させる。この蒸気タービン26の駆動力により、図2に示した再液化装置30のコンプレッサ31A、31Bが駆動され、ボイルオフガスを熱交換器36で再液化するための冷媒を圧縮する。
【0037】
上述したように、蒸気タービン26を駆動することで、これを再液化装置30における冷媒の作動エネルギとした。そして、蒸気タービン26を駆動する蒸気は、燃料油またはボイルオフガスの一部を燃焼させることで発生するようにした。これにより、燃料油とボイルオフガスのコストバランスに応じ、燃料油とボイルオフガスをフレキシブルに利用してボイルオフガスを再液化するシステムを実現できる。つまり、燃料油よりもボイルオフガスが割高な場合には、割安な燃料油を使用することで、積荷であるボイルオフガスの無駄な消費を防ぎ、燃料油よりもボイルオフガスが割安な場合には、割高な燃料油の無駄な消費を防ぎつつ、ボイルオフガスの余剰発生を抑えることができる。その結果、燃料油とボイルオフガスのコストバランスが不安定であるために実現が困難であった、再液化装置30を備える船舶を実現することが可能となる。
さらに、燃料油やボイルオフガスの一部を燃焼させることで発生する蒸気は、ディーゼル主機10やディーゼル発電機11の排ガスの排熱を利用して加熱する構成を採用した。これにより、ボイルオフガスの再液化するシステムとうまくマッチングを図りながら、従来船舶の推進に多く使用されていた蒸気タービンよりも燃費に優れるディーゼル主機10を採用することができる。その結果、船舶の運行コスト、つまり液化ガスの輸送コストを削減することができる。
【0038】
この他、ディーゼル発電機11で発生させた動力によって駆動されるモータ51により、再液化装置30のコンプレッサ31A、31Bを駆動したり、コンプレッサ31A、31Bを駆動する蒸気タービン26をアシストすることもできる。このディーゼル発電機11は、上記の燃料油とボイルオフガスのコストバランスや、船内での動力の余剰状況等に応じて適宜活用することができ、これによって上記したような効果を一層顕著なものとすることができる。
【0039】
なお、上記実施の形態において、図3、図4、図6に示した各モードでは、蒸気を第二排熱回収ラインL8に通す構成としたが、蒸気の温度(熱量)が十分であれば、流量調整弁24、25の開閉あるいは開度を調整することで、蒸気の一部ないし全部を、第二排熱回収ラインL8を通さずバイパスラインL9から直接蒸気タービン26に送り込むようにしても良い。
また、上記実施の形態において、稼動モードとして図3〜図6に示す4つのモードを例に挙げたが、その全てを稼動可能な状態としてシステムに具備する必要はなく、図3のモードのみ、図4のモードのみ、図3と図4のモードのみ、等、これらのモードの中から適宜取捨選択しても良い。
【0040】
さて、上記実施の形態では、再液化装置30のコンプレッサ31A、31Bを駆動するために蒸気タービン26やモータ51を用いる構成としたが、モータ51を省略する構成等、適宜変更を加えることが可能である。
また、蒸気タービン26やモータ51に代えて、図7および図8に示すように、蒸気供給ラインL10から供給される蒸気で駆動される蒸気タービン発電機(エネルギ発生部)60を備え、この蒸気タービン発電機60で発電した動力を用いてモータ61を駆動させ、このモータ61でコンプレッサ31A、31Bを駆動させる構成とすることもできる。この場合も、上記実施の形態で示したような各稼動モードで稼動を行うことができる。この場合も、ボイラ23で発生させた蒸気を用いて駆動されるコンプレッサ31A、31Bにより、ボイルオフガスを再液化するための冷媒を圧縮し、この冷媒の作動エネルギとすることができる。
【0041】
加えて、上記実施の形態では、ディーゼル主機10とディーゼル発電機11を備える構成としたが、それぞれの台数等は何ら限定するものではない。
また、船舶の推進にディーゼル主機10を用いる構成としたが、排熱回収装置20で排熱を利用することができるような高温の排ガスを排出するのであれば、例えばガスエンジン等、他の機関を推進に用いても良い。
この他、ディーゼル主機10と、ディーゼル発電機11を備える構成としたが、これに代え、ディーゼル発電機のみを備え、このディーゼル発電機で発生した動力により、推進のためのモータの駆動と、船内動力の供給の双方を賄うような構成にも本発明を適用できる。もちろん、この場合も、ディーゼル発電機の装備台数は何ら限定するものではない。
また、再液化装置30の構成については、コンプレッサ31A、31Bで圧縮した冷媒を冷熱源としてボイルオフガスを再液化するのであれば、例えばクーラ40を省略したり、他の構成を適宜付加する等、他の構成とすることも可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃料油やボイルオフガスの一部を燃焼させることで発生した蒸気を、再液化装置における冷媒の作動エネルギとした。これにより、燃料油とボイルオフガスのコストバランスに応じ、燃料油とボイルオフガスをフレキシブルに利用してボイルオフガスを再液化するシステムを実現できる。その結果、燃料油とボイルオフガスのコストバランスが不安定であるために実現が困難であった船舶にも再液化装置を備えることが可能となる。
さらに、燃料油やボイルオフガスの一部を燃焼させることで発生する蒸気は、船舶に備えた内燃機関の排ガスの排熱を利用して加熱する構成を採用した。これにより、ボイルオフガスの再液化するシステムとうまくマッチングを図りながら、従来船舶の推進に多く使用されていた蒸気タービンよりも燃費に優れる内燃機関を採用することができる。その結果、船舶の運行コスト、つまり液化ガスの輸送コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における推進プラントの構成を示す概略図である。
【図2】再液化装置の構成を示す概略図である。
【図3】燃料油を燃焼させるモードを示す図である。
【図4】ボイルオフガスの一部を燃焼させるモードを示す図である。
【図5】ディーゼル主機とディーゼル発電機が停止中のモードを示す図である。
【図6】ディーゼル主機が停止中のモードを示す図である。
【図7】推進プラントの他の一例を示す図である。
【図8】図7の推進プラントに対応した再液化装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10…ディーゼル主機(内燃機関)、11…ディーゼル発電機(内燃機関、内燃機関式の発電機、外部の熱源)、20…排熱回収装置(排熱回収部、蒸気加熱部)、23…ボイラ(蒸気発生部)、26…蒸気タービン(エネルギ発生部)、30…再液化装置、31A、31B…コンプレッサ(冷媒圧縮部、冷熱源発生部)、36…熱交換器(再液化部)、51…モータ、60…蒸気タービン発電機(エネルギ発生部)、61…モータ

Claims (11)

  1. 液化ガスを格納するガス格納部を有した船舶であって、
    推進力を発生する内燃機関と、
    蒸気を発生する蒸気発生部と、
    前記内燃機関で発生する排ガスから熱を回収することで、前記蒸気発生部で発生させた蒸気を加熱する排熱回収部と、
    前記排熱回収部で加熱された蒸気により駆動される蒸気タービンと、
    前記蒸気タービンの駆動により発生される駆動エネルギに基づいて、冷媒を圧縮させる冷媒圧縮部と、
    前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒と熱交換することで、前記ガス格納部の液化ガスが気化して発生するボイルオフガスを再液化させる再液化部と、
    を備えることを特徴とする船舶。
  2. 前記蒸気発生部は、前記内燃機関の燃料または前記ガス格納部の液化ガスが気化することで発生するボイルオフガスを燃焼させるボイラであることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
  3. 前記ボイラは、前記燃料と前記ボイルオフガスを選択的に燃焼させることができることを特徴とする請求項2に記載の船舶。
  4. 前記船舶に電力を供給する内燃機関式の発電機をさらに備え、
    前記排熱回収部は、前記発電機で発生する排ガスから熱を回収することで、前記蒸気発生部で発生させた蒸気を加熱できることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
  5. 前記内燃機関はディーゼルエンジンであることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
  6. 液化ガスを格納するガス格納部を有した船舶であって、
    推進力を発生する内燃機関と、
    前記内燃機関の燃料または前記ガス格納部の液化ガスが気化することで発生するボイルオフガスを選択的に燃焼して蒸気を発生する蒸気発生部と、
    前記蒸気により駆動される蒸気タービンと、
    前記蒸気タービンの駆動により発生される駆動エネルギに基づいて、冷媒を圧縮させる冷媒圧縮部と、
    前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒と熱交換することで、前記ガス格納部の液化ガスが気化して発生するボイルオフガスを再液化させる再液化部と、
    を備えることを特徴とする船舶。
  7. 液化ガスの貯槽から発生するボイルオフガスを冷却して再液化する再液化部と、
    前記再液化部でボイルオフガスを冷却するための冷熱源を発生させる冷熱源発生部と、
    外部の熱源から排出される排熱を回収することで蒸気を加熱する蒸気加熱部と、
    前記蒸気加熱部で加熱された蒸気によって前記冷熱源発生部の駆動エネルギを発生させるエネルギ発生部と、
    を備えることを特徴とする再液化システム。
  8. 前記外部の熱源は、内燃機関で発生する排ガスであることを特徴とする請求項7に記載の再液化システム。
  9. 液化ガスの貯槽を有した船舶にて前記貯槽から発生するボイルオフガスを再液化する方法であって、
    蒸気を発生させる工程と、
    前記船舶に備えた内燃機関で発生する排ガスから熱を回収することで、前記蒸気を加熱する工程と、
    前記加熱された蒸気により蒸気タービンを駆動し、当該蒸気タービンで発生される駆動エネルギを利用して冷媒を圧縮する工程と、
    前記冷媒と熱交換することで、前記ボイルオフガスを再液化させる工程と、
    を有することを特徴とする船舶におけるボイルオフガスの再液化方法。
  10. 前記蒸気を発生させる工程で、前記ボイルオフガスの一部と、前記船舶の推進または動力供給に用いる燃料を選択的に燃焼させることで蒸気を発生させることを特徴とする請求項9に記載の船舶におけるボイルオフガスの再液化方法。
  11. 液化ガスの貯槽を有した船舶にて前記貯槽から発生するボイルオフガスを再液化する方法であって、
    前記ボイルオフガスの一部と、前記船舶の推進または動力供給に用いる燃料を選択的に燃焼させることで蒸気を発生させる工程と、
    前記蒸気により蒸気タービンを駆動し、当該蒸気タービンで発生される駆動エネルギを利用して冷媒を圧縮する工程と、
    前記冷媒と熱交換することで、前記ボイルオフガスを再液化させる工程と、
    を有することを特徴とする船舶におけるボイルオフガスの再液化方法。
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