JP2004130341A - 板状体の両面加工装置 - Google Patents

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歌野 和弘
Michihiro Tamenori
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Abstract

【課題】表裏双方の観測カメラの、視野中心位置座標の相対値変化を迅速に修正する。
【解決手段】支持したワーク15の平面に沿って移動及び回動可能に設けられたワーク支持台14と、支持したワークの表面側を観測するように定位置に設けた表面観測カメラ3と、表面観測カメラが観測する部分に対応する裏面側を観測すように定位置に設けてありワーク支持台の部分を貫通した観測穴18、19を介して観測する裏面観測カメラ4と、表面観測カメラの視野内に照射点を位置させた加工用レーザビーム装置5と、表面観測カメラで表面を観測でき裏面観測カメラで裏面を観測できるようにワーク支持台の適所に設けた表裏で一致する校正マーク6と、を備えている。校正マークが、ワーク支持位置14から外れた位置に設けてある。ワークに設けた合わせマークを裏面観測カメラにより観測できるように観測穴を設けてある。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック基板等の板状体に、その両面に高精度で関連したレーザ加工等を施すことができる加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の装置として、例えば、電子機器で多用されるチップ抵抗の製造工程において、基板にレーザ加工によってスクライブラインを施すものがある。その製造工程の概略は、アルミナセラミック基板に酸化ルテニュウム等のチップ抵抗材料をスクリーン印刷技術によって方眼状に印刷し、焼結し、そして、方眼状に形成された多数の抵抗チップ集合体を、個別チップに分割するのである。その分割をするために、チップ間のストリート部にレーザ加工によってスクライブラインを施す。スクライブラインを施した後、分割器によって分割する。分割されたチップは、一般的には所定の厚さを有する長方形で、その周囲の4辺の部分が全て分割面である。スクライブラインは、分割器による分割を容易にするためと、分割面ができるだけ長方形に近いことが望まれることから、表裏両面に形成されることが多い。
【0003】
表裏両面にスクライブラインをレーザ加工する場合、通常、例えば、表面を加工した後、ワークをハンドによって反転させて裏面の加工を行なう。この加工は高品質とするために表裏のスクライブラインの位置が厳密に一致することが望まれる。つまり、表裏で位置ずれがあると、平面形状が大きくなって、ロボットハンドによりチップを掴むときに掴み難い問題などが生じるからでる。特に、最近チップ抵抗のチップ寸法が、1005(平面形状で1×0.5mm)から0603(同0.6×0.3mm)へ、さらには0402(0.4×0.2mm)へと微小化する傾向があるため、スクライブライン位置の高精度化は一層重要となっている。なお、チップの厚みは0.2mm程度である。
【0004】
従来の装置において、表裏の位置合わせを高精度で行なう方法として、ワークの表面の少なくとも1箇所に、印刷又はレーザ加工などによって合わせマークを設けておいて、表面を加工する時は表面観測用カメラで合わせマークの位置座標を読み、これを表面加工の位置基準とする。次に裏面を加工する時は、裏表反転したワークの合わせマークの位置座標を、裏面観測カメラで読んで裏面加工の位置基準とするが、この際に表裏観測カメラの視野中心位置の位置ずれに対する校正が必要となる。この表裏カメラの位置ずれの校正は、表又は裏観測用カメラの視野中心に一致した合わせマークの位置座標をパラメータとして変更しながら表裏の加工位置ずれを測定し、位置ずれが許容範囲に入るまでこれを繰り返すという、カットアンドトライ方式で行なわれていた。
【0005】
また別に、シリコンウエハーに両面加工を施すとき、例えば特許文献1に見られるように、ワークであるシリコンウエハーにレーザ加工により貫通孔を穿設し、この貫通孔を基準として互いに位置あわせをする方法がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−163136号公報(公開特許公報フロントページ)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の装置では、装置使用環境の温度変化や振動などの影響により、表裏の各観測カメラの、視野中心位置座標の相対値が経時的にずれて、表裏の加工位置にずれが生じても、これを迅速に修正することが困難であるという問題があった。また、ワークに貫通孔を穿設する方法は、加工工数が増大する点で問題がある。
本発明は、表裏双方の観測カメラの、視野中心位置座標の相対値変化を迅速に修正できる板状体の両面加工装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の板状体の両面加工装置は、板状のワークを支持しワークの平面に沿って移動及び回動可能に設けられたワーク支持台と、前記ワーク支持台に支持したワークの表面側を観測するように定位置に設けた表面観測カメラと、前記表面観測カメラが観測する部分に対応する裏面側を観測すように定位置に設けてあり前記ワーク支持台の部分を貫通した観測穴を介して観測する裏面観測カメラと、前記表面観測カメラの視野内に照射点を位置させた加工用レーザビーム装置と、前記表面観測カメラで表面を観測でき裏面観測カメラで裏面を観測できるように前記ワーク支持台の適所に設けた表裏で一致する校正マークと、を備えている。
【0009】
この手段では、例えば、レーザ加工前に表面観測カメラ及び裏面観測カメラの視野中心を夫々に校正マークに合わせて支持台の移動に対する(ワーク支持台に対応させた平面座標上で)同一位置を示す基準座標として記憶させ、実際には双方のカメラの視野中心が正確に一致していることは殆どなく位置ずれしていて差があるから、その差を計算に入れてソフト上で双方のカメラは夫々の観測値が、すなわち、視野中心が示す座標値が一致するようにしておく。つまり、校正した状態では、ワーク支持台が任意に移動した状態でも、表裏同じ位置では表面観測カメラが観測する視野中心位置の座標は、裏面側観測カメラが観測する視野中心位置の座標と一致する。ワークを反転させたときや交換したとき等に、前記基準座標の校正を行なうように校正マークを使用する。この校正により表面観測カメラと裏面観測カメラの位置関係が、何らかの原因で先に校正したときの位置関係からずれていた場合に、基準座標が校正されて、双方のカメラの視野中心位置で観測される表裏で同じ位置の座標が一致するようになる。通常双方の観測カメラは、位置ずれが起こらないように設けられるものであり、あまり急激に位置ずれが起こることはないから、適切な時間間隔で校正を行なうことにより、その校正量は常に許容誤差範囲内の大きさで行なうことができ、高精度を容易に確保できる。すなわち、校正を適切に行ないながら使用される加工装置は、例えば、表裏両面で一致するスクライブラインを加工する場合、高精度で一致した加工が可能となる。
【0010】
前記校正マークが、表裏両面で一致する校正マークを板体に表示したものを夫々の面に対応する前記表裏両側観測カメラにより観測できるように前記ワーク支持台のワーク支持位置から外れた位置に設けた構成とするのが良い。この構成では、ワークを支持している状態でも両カメラで校正マークを観測できるから、必要に応じて何時でも前記校正が可能となる。
【0011】
前記ワーク支持台のワーク支持部に、ワークに設けた合わせマークを前記裏面観測カメラにより観測できるように支持部を表裏に貫通した観測穴を設けた構成とするのが良い。この構成では、合わせマークの反対側の面にこれと一致するマークをレーザによる、例えば、スクライブ加工による十字マーク等を容易に正確に形成できるから、そのマークを形成しておいて別の加工工程、例えばパターン印刷における合わせマークとして使用でき、別の加工工程においても両面加工の整合性が得られるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図1を用いて説明する。この実施形態では厚膜チップ抵抗を製造する際の、セラミック基板の両面に、表裏で対応した基板分割用のスクライブラインをレーザー加工により形成する両面加工装置について説明する。この両面加工装置1は、ワーク支持台2、表面観測カメラ3、裏面観測カメラ4、加工用レーザビーム装置5、校正マーク6、等で構成されている。なお、表面観測カメラ3及び裏面観測カメラ4は何れも画像処理用のカメラである。
【0013】
ワーク支持台2は、ステージ10と、ステージの駆動部11とで構成されている。ステージ10は、適当な厚さを有し、下側に後述する反射鏡支持部12が位置する空間13を形成され、水平な上面の所定の支持位置14にワーク15を固定支持できるようになっており、支持したワーク15の合わせマーク16、17に対応して裏面カメラ観測用の上下に貫通した観測穴18、19が穿設されている。合わせマーク16、17は例えば印刷等によりワーク15の所定位置に予め設けられた十字マークである。ステージ10は水平面な上面20に沿ってステージ駆動部11により任意の方向に移動可能であり且つ所定の軸回りにも回転可能である。すなわち、ステージ10は、上面20が平面座標に対応しており、その直交するX軸とY軸の夫々の軸方向に、X軸方向駆動部21、Y軸方向駆動部22によって進退駆動されるようになっており、X−Y平面に直角な所定の軸の回りに回転駆動部23によって駆動されるようになっている。なお、夫々の駆動部にはパルスモータを使用してあり、微小寸法を高精度で移動させることができるようになっている。
【0014】
表面観測カメラ3は、前記ステージ10の上側に適当な間隔を隔てて下方に向けて定位置に設けてあり、ステージ10を移動させることにより上面のほぼ全域を観測できるようになっている。裏面観測カメラ4は、表面観測カメラ3とは異なる定位置に下向きに設けてあるが、定位置に設けた反射鏡支持部12の2枚の反射鏡24を介して表面観測カメラ3の観測位置を下側から観測できるように設けてある。つまり、ステージ10に上下方向に貫通した観測穴18、19を設けて、ステージ上面20に置かれる板をその観測穴18、19の部分では下面から観測できるようになっている。そして、この表面観測カメラ3及び裏面観測カメラ4は、ステージ10上に置かれる板の同じ部分の上面と下面とを観測できるように設置してある。
【0015】
加工用レーザビーム装置5は、レーザービームをワークに照射して適当な速度で相対移動させることによりスクライブ加工を施すもので、この場合レーザ装置5側を固定し、ワーク15側を移動させる。レーザービームの照射点が表面観測カメラ3の視野内中心にほぼ一致するように設けてあり、図中、25は半透光性のレーザー光反射鏡(ダイクロイックミラー)であり、レーザー光源26からのレーザービーム27を反射させてワーク15へ向かうように屈折させる。28はレーザ加工レンズである。
【0016】
校正マーク6は、例えば、正方形の薄い板材29の中心に直角方向に貫通させた状態で細いワイヤを埋設しその端面が両面に点状に露出するようにして、マークとしたもの、あるいは両面中心に十字マークを施したものなどで、板材29をワーク支持位置14から外れてステージ10に穿設した観測穴30の上端部のステージ上面20に固定してある。この校正マーク6は、表面観測カメラ3の視野中心に一致する位置にあるとき、下側からも裏面観測カメラ4で観測穴30を通して観測できる。
【0017】
このように構成された両面加工装置1は、予め一方の面に合わせマーク16、17として十字マークを印刷してあるワーク15の両面に、両面で一致するスクライブラインを施す加工に使用できる。十字マークは、双方のマークを結ぶ直線に平行にスクライブラインを施すように設けてある。その加工の概略を説明すると、最初に校正マーク6を表面観測カメラ3の視野中心に一致させそのときのステージ10の位置座標を表面観測カメラ3の基準位置とし、また、裏面観測カメラ4の視野中心を校正マーク6に一致させそのときのステージの位置座標を裏面観測カメラ4の基準位置とする。そしてこれにより双方の観測カメラ3、4の位置ずれをソフト上で校正しておく。
【0018】
まず、ワーク15をあわせマーク16、17のある側を上にして合わせマークが観察穴18、19の上に位置するようにステージ10の上面20に載置して固定する。表面観測カメラ3が、ワーク支持台2に載せたワーク15の2個の合わせマーク16、17を検出してマークを結ぶ直線をワーク支持台2の直線移動方向(x軸又はy軸方向)に一致させる。このときワーク支持台2が回動させられる。次に表面観測カメラ3が、レーザ照射位置を検知する。例えば、ワークの製品領域外の適当な部分でレーザ照射して点を加工し、その点と表面観測カメラ3の視野中心との位置ずれを検出し、その位置ずれ量を考慮した状態で加工開始点を指定し、予め登録されている表面加工パターンに従って表面のスクライブライン加工を行なう。
【0019】
表面の加工(ワーク支持第2x軸方向とy軸方向の格子状のスクライブライン加工)が終了した後でワーク15を裏返し、先に加工した反対側の面の加工を行なう。このときワーク支持台2の観測穴18、19の位置に夫々あわせマーク16、17を位置させ裏面観測カメラ4で観測できるようにする。裏面観測カメラ4が観測穴を通してあわせマーク16、17を検出してその座標値を表面観測カメラ3に与えると、表面観測カメラ3が自分で反対側のあわせマーク16、17の位置を観測したと同じことになり、先に加工したときと同様に、マークを結ぶ直線をワーク支持台2の直線移動方向(x軸又はy軸方向)に一致させる。そして表面観測カメラ3が、前記と同様にレーザ照射位置を検知し、表面観察カメラ3の視野中心との位置ずれ量を考慮した状態で加工開始点を指定し、予め登録されている裏面加工パターンに従って裏面のスクライブライン加工を行なう。
【0020】
以上は、一方の面にあわせマーク16、17を設けたワークの両面にスクライブラインを加工する場合の概略の手順である。しかし、実際の厚膜チップ抵抗体の製造工程では、あわせマーク16、17の反対側の面にも同じ位置に合わせマークを加工する工程を含み、ほぼ次のようになる。すなわち、新規セラミック基板の裏面に、裏面電極パターンと、画像処理用合わせマーク16、17とを同時に印刷焼成する。次にこの両面加工装置1よって、合わせマーク16、17を裏面観測カメラで観測し、反対側の面にも合わせマークをレーザ加工によって形成する。次に、レーザ加工された合わせマークを使って印刷座標合わせを行い、まずは表面電極を、続いて抵抗体パターンを、版を重ねて印刷焼結し、表裏で整合性の取れた印刷処理を行なう。そして、この両面加工装置1により、前述した手順で両面で整合性の取れたスクライブラインの加工を行い、個別チップに裁断する分割工程へ引き渡す。
【0021】
このような加工は、自動化され、昼夜を分かたず連続して行なわれることが多い。その場合に、この両面加工装置1は、徐々に変化する可能性のある表面観測カメラ3と裏面観測カメラ4の位置ずれを、適宜校正マーク6を使用して校正することにより、高精度で整合性のとれた両面加工が可能となる。
【0022】
本発明による前記両面加工装置1は、その使用方法について種々の使い方が考えられ、前述した使い方に限定されるものでないことは言うまでもない。また、用途としては、セラミック板の他に金属板、例えばステンシルマスク等の加工に適用できる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、表裏で一致する校正マークを使用し表裏両側観測カメラの各々で検出される座標値を基準値とし、この基準座標値を校正するようにできるから、双方のカメラ位置のずれ等を、ソフト面で、つまり演算上の操作のみで校正でき、これにより正確且つ迅速に校正でき、従って高精度の加工を能率よく行なうことができる効果を奏する。
請求項2に記載の発明は、必要に応じて何時でも校正が可能となる効果を奏する。
請求項3に記載の発明は、ワークの合わせマークのある反対側の面にこれと一致するマークを容易に正確に形成できるから、そのマークを形成して別の加工工程においても両面加工の整合性が得られるようになる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す両面加工装置の概略斜視図である。
【符号の説明】
1   両面加工装置
2   ワーク支持台
3   表面観測カメラ
4   裏面観測カメラ
5   レーザビーム装置
6   校正マーク
10  ステージ
11  駆動部
12  反射鏡支持部
13  空間
14  ワーク支持位置
15  ワーク
16、17  合わせマーク
18、19  観測穴
20  上面
21  x軸方向駆動部
22  y軸方向駆動部
23  回転駆動部
24  反射鏡
25  レーザ光反射鏡
26  レーザ光源
27  レーザビーム
28  レーザ加工レンズ
29  板材
30  観測穴

Claims (3)

  1. 板状のワークを支持しワークの平面に沿って移動及び回動可能に設けられたワーク支持台と、前記ワーク支持台に支持したワークの表面側を観測するように定位置に設けた表面観測カメラと、前記表面観測カメラが観測する部分に対応する裏面側を観測すように定位置に設けてあり前記ワーク支持台の部分を貫通した観測穴を介して観測する裏面観測カメラと、前記表面観測カメラの視野内に照射点を位置させた加工用レーザビーム装置と、前記表面観測カメラで表面を観測でき裏面観測カメラで裏面を観測できるように前記ワーク支持台の適所に設けた表裏で一致する校正マークと、を備えた板状体の両面加工装置。
  2. 前記校正マークが、表裏両面で一致する校正マークを板体に表示したものを夫々の面に対応する前記表裏両側観測カメラにより観測できるように前記ワーク支持台のワーク支持位置から外れた位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の板状体の両面加工装置。
  3. 前記ワーク支持台のワーク支持部に、ワークに設けた合わせマークを前記裏面観測カメラにより観測できるように支持部を表裏に貫通した観測穴を設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の板状体の両面加工装置。
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