JP2004130062A - 有水晶体眼内レンズ及び有水晶体眼内レンズの移植方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規の前房有水晶体レンズ及び移植方法を提供する。
【解決手段】レンズの折り畳み可能な光学部の部分36は、眼の隅角に対して光学部外周から外側に伸びる一対の正反対を向いた脚部材32、34に固定される。脚部材32及び34はそれぞれ、細長いアーム部分32a、34a及び研摩された表面を有する内側への湾曲32c、34cを持つ遠位の円弧部分32b、34bを含む。本発明の有水晶体レンズは、レンズ脚の遠位終端が隅角に置かれるところで少量の瘢痕組織を誘導することによって隅角に固定される。従って、該新規の有水晶体レンズ及び移植方法は、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめる。
【選択図】図4
【解決手段】レンズの折り畳み可能な光学部の部分36は、眼の隅角に対して光学部外周から外側に伸びる一対の正反対を向いた脚部材32、34に固定される。脚部材32及び34はそれぞれ、細長いアーム部分32a、34a及び研摩された表面を有する内側への湾曲32c、34cを持つ遠位の円弧部分32b、34bを含む。本発明の有水晶体レンズは、レンズ脚の遠位終端が隅角に置かれるところで少量の瘢痕組織を誘導することによって隅角に固定される。従って、該新規の有水晶体レンズ及び移植方法は、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめる。
【選択図】図4
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、隅角に固定する改善された有水晶体レンズ及び移植のための小切開手術法に関する。
【背景技術】
【0002】
老視は、正常な加齢の課題であり、我々は、視覚的補助なしで読む能力を徐々に喪失するが、それは40歳ころに始まる。
【0003】
屈折矯正手術の起源は、1世紀ほど前、乱視の矯正に対するランズ(Lans)の先駆的な努力に辿りつくことができる。しかし、眼鏡の必要性を軽減する又は排除するように考案された手術への関心が急増してから、まだ20年ほどである。本発明は、乱視、近視及び芯取りの治療に多大な寄与をする屈折矯正手術の近代ルネッサンスの結果である。
【0004】
眼では、光を曲げ、明瞭な視力を与えるのに2つの要素:角膜及びヒト水晶体が関与している。角膜は、眼の表面におけるその好都合な位置のゆえに、屈折を変えるための最初の選択肢となることが最も多い。角膜は、眼において光を曲げる力の約3分の2の割合を占めており、角膜手術の相対的な容易さによって、結果的に屈折矯正手術では角膜の形状や湾曲を変えるための多数の手法が開発されてきた。
【0005】
眼の内部に位置する生来の水晶体は、光の屈曲を変えるための残りの位置にある。それは、眼の屈折力の残りの3分の1の割合を占める。人工のレンズによる生来の水晶体の矯正は、角膜屈折矯正手術と同様に、当然の眼の光屈折力を変える方法である。不十分となった水晶体の能力は、適正な力の眼内レンズを移植することによって、及び/又はレーシック(LASIK;レーザー光線による近視手術)のような角膜屈折矯正術により角膜の形状又は湾曲を変えることによって治療することができる。
【0006】
レーシック(LASIK)では、眼鏡の必要性を排除することを希望して、角膜組織を取り除いて屈折変化を達成するが、角膜は、厚さがわずか0.6mmの比較的薄い組織である。角膜屈折矯正術によって矯正することができる近視及び遠視の重症度は、角膜強度を維持するのに必要な組織の量によって限定される。一般に、15ジオプトリーを超える屈折の矯正(強度の近視)は、レーシック手術だけでは矯正できない。
【0007】
この点で、屈折矯正に関与する外科医は、角膜屈折矯正術(特にレーシック)が、角膜の非球面の輪郭を有害に変化させることなく、重度の屈折異常を矯正することができないことを実感してきた。この事実によって結果的にかかる外科医は有水晶体眼内レンズへの新しい関心に導かれた。
【0008】
有水晶体眼内レンズは、バイオプティクス(Bioptics)と呼ばれる手法において、強度の近視に対してレーシックと併用することができる。有水晶体眼内レンズのその他の利点には、極めて迅速な視力の回復が挙げられる。
【0009】
現在、眼内レンズは、種々の手術処置後のヒトの水晶体の屈折矯正及び交換において広く受け入れられている。
【0010】
米国特許第4,002,169号及び同第3,996,935号に記載されているような眼組織において比較的小さな切開を必要とする外科的技法の開発は、本発明の背景において特に興味深い。また、多数の熟練者が、米国特許第4,573,998号にあるように、眼での使用に好適なアクリル又はシリコーンのような折り畳み可能な材料の光学的部分を有する眼内レンズ構造を開示している。
【0011】
1949年頃、リドレイ(Ridley)が最初に人工レンズを埋め込んで以来、レンズの移植に付随する問題は、眼科医からの甚大な注目を引いてきた。様々な種類の人工レンズが提案され、適当な手術手技も開発されており、このことにより、患者の不快さを軽減するとともに手術後の合併症を軽減する一方で、明瞭な視力を達成するように努められている。この点に関して参照文献を以下のように挙げる:J.ジャフェ(Jaffe)らによる『人工水晶体』(Pseudophakos);D.P.チョイス(Choyce)らによる『眼内移植の歴史』(History of Intraocular Implants)(アナルズ オブ オフタルモロジー (Annals of Ophthalmology)、1973年10月);1976年11月16日フロム(Flom)に発行された米国特許第3、991、426号;1977年11月8日ケルマン(Kelman)に発行された米国特許第4,092,743号;1984年5月8日ブレーク(Blake)に発行された米国特許第4,446,581号;1984年9月4日ウーラー(Uhler)らに発行された米国特許第4,468,820号;1986年2月4日レイチャート(Reichert)に発行された米国特許第4,568,347号;1987年6月16日シーゲル(Schiegel)に発行された米国特許第4,673,406号;1993年3月9日ワースト(Worst)に発行された米国特許第5,192,319号;1996年11月5日デーコン(Deacon)らに発行された米国特許第5,571,177号;1999年7月27日ニガム(Nigam)に発行された米国特許第5,928,282号;2000年4月4日コリンズ(Collins)らに発行された米国特許第6,045,578号;2000年4月18日カミング(Cumming)に発行された米国特許第6,051,024号;2000年8月29日バラクール(Barraquer)に発行された米国特許第6,110,202号;2000年10月10日フェドロフ(Fedorov)に発行された米国特許第6,129,760号;及び2000年11月28日ノーダン(Nordan)に発行された米国特許第6,152,958号;これらの参照番号により上記に開示する。
【考案の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
虹彩の前に置かれる眼内レンズは、一般に「前房レンズ」と言われる。チョイスのレンズ及びケルマンのレンズは、これらの硬質前房レンズの例であるが、場合によっては、UGHと呼ばれる症候群を誘発し、虹彩の変形、角膜不全及び可能性としての眼の喪失を生じることがあることが知られている。
【0013】
従って、UGH症候群(ブドウ膜炎(uveitis)、緑内障(glaucoma)及び前房出血(hyphema)の3つの頭文字である)は、かかる前房眼内レンズの連続使用を妨害するものである。
【0014】
さらに最近、新しい素材、設計、製造法及び研摩技法により有水晶体眼内レンズは改善され、それによって合併症の比率が低下している。
【0015】
現在の前房眼内レンズ(前房IOL)には、4mmの光学部品を伴ったバイコフ(Baikoff)ZMBや、4.5mmの光学部品を伴い、さらに大きな光学部及び「隅角に対してさらに優しい脚(ハプティック)」を有する、ヌビタ(Nuvita)MA20レンズが挙げられる。ヌビタレンズの改変型がモルシャー(Morcher)ZSAL−4であり、5mmの光学部品を伴い、やや大きい光学部を有する。ノータッチ(No Touch)IOLも4mmの直径を有する。
【0016】
虹彩固定型レンズには、ワースト−フェクナー アイリス クロウ(Worst−Fechner Iris Claw)IOL、アーチザン(Artisan)IOL、及びクルメイク アクティブ クロージャー アイリス レンズ(Krumeich Active Closure Iris Lens)が挙げられる。最もよく知られているレンズの1つは、ビンクホースト(Binkhorst)レンズであり、レンズを虹彩に固定するクリップを有していた。しかしながら、瞳孔が拡張すると、レンズは眼の後に落ちてしまった。さらに、このような虹彩にクリップで止めるレンズは、虹彩を破壊する傾向を有していた。
【0017】
シアリング(Shearing)Jループ型後房レンズは、異なった大きさの眼にレンズを適合させることができる柔軟性のある『脚(ハプティクス;haptics)』を有することが、レンズの設計における主要な改良であった。この広く受け入れられているレンズの基礎となるデザインは、5〜6mmの間の硬質プラスチックの中央の丸い円板から、11〜14mmの外側に伸びるプロレン製又はその他の柔軟な材料の輪(ループ)であった。プラスチックレンズの材料は変化したが、シアリングレンズの基本デザインは同じままであり、白内障の水晶体嚢へのこのレンズの移植は、開業している眼科医の間で「水晶体乳化」がかかる重要性を得るという基本的な理由であった。
【0018】
現在の後房IOLには、フィオドルフ(Fyodorov)シリコーンIOL、0.1%のブタコラーゲンでできたスター(Staar)IOL、及び100%シリコーンでできたIVIメデニウム(Medennium)が挙げられる。
【0019】
有水晶体IOLで強度近視を矯正しようとする多数の独創的な試みは、乏しい技術、粘弾性物質の欠如、乏しいレンズ設計(極めて大きく且つ重い)、及び前房の解剖に関する知識の欠如のために上手く行かなかった。
【0020】
この点で、角度及び/又は溝に関する解剖学は、病態生理学的な変化を理解するのに必須である。これらの構造の圧迫は、血流を制限し、線維形成及び炎症を促す。
【0021】
ブドウ膜炎は、脈絡膜、毛様体及び虹彩から成るブドウ膜の炎症である。それは、前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎(毛様体扁平部炎)及び後部ブドウ膜炎(脈絡膜炎)に分類できる。前部ブドウ膜炎には、ブドウ膜の前の部分(すなわち、虹彩及び毛様体)が含まれる。「虹彩炎」は虹彩のみの炎症を言うが、「虹彩毛様体炎」は虹彩と毛様体の双方が含まれる。しかしながら、前部ブドウ膜炎、虹彩炎、及び虹彩毛様体炎という用語は同義的に使用されることが多い。前部ブドウ膜炎は、硝子体腔の前部から中間部におけるブドウ膜構造の眼内炎症である。結膜炎、角膜炎及び急性緑内障と共に、それは、共通して「目が充血した」と言われる一群の眼の症状の1つである。
【0022】
内部構造を視覚化することなく、前房有水晶体レンズの大きさを正確に設定するのは困難である。慎重に大きさを設定し、フットプレートを注意して仕上げたとしても、かかる従来の有水晶体レンズにより隅角に適用される圧力は、摩擦によって過剰になり、大抵、時間とともにフットプレートが摩滅して、固定を悪くする。
【0023】
従って、当業者は、予測可能性、安全性及び調節性を提供する眼の屈折矯正のための改善された有水晶体IOL、及びそれに付随する方法についての十分なニーズを認識している。本発明はこれらのニーズを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、新規の前房有水晶体レンズ構造体及び移植方法を提供する。レンズの折り畳み可能な光学部部分は、光学部から長手方向に伸びる、一対の正反対に向いた柔軟な脚部材に固定される。脚部材はそれぞれ、細長いアーム部分及び内側に湾曲した遠位円弧部分を含む。遠位円弧部分の外側表面は、例えば、研摩によって粗くされている。前房に入れると、脚の研摩された遠位終端は、目の隅角に置かれ、周囲の眼組織で誘導された穏かな線維形成によって保持される。
【0025】
具体化された形態の1つでは、前房有水晶体レンズは以下を含む:
(a) 眼の中に入れた後、平坦面が生来の水晶体に面し、光軸を有する、折り畳み可能な平凸又は平凹の光学部部分;及び
(b) 光学部部分の外周から眼の隅に向かって外側に伸びる一対の正反対を向いた柔軟な脚部材。脚部材はそれぞれ、前記光学部部分を通る正中線に平行関係で間隔をあけた細長いアーム部分及び光学部部分を通る正中線で終結する内側への湾曲を伴った遠位円弧部分を包含する。脚の遠位円弧部分は、粗い外側表面を有し、隅角の内壁から1〜4ミリメートル程伸びるように大きさが設定される。
【0026】
本発明のレンズの特徴は平坦であり、上下に湾曲することなく、平凸又は平凹の断面を有し、レンズの平面が生来の水晶体に向けて置かれるので、生来の水晶体への接触を回避することである。レンズの脚は、光学部品の大きさの割りには、相対的に長さが短く、外科的に設置するとちょうど隅角に伸び、返しを有さない。隅角に置かれる脚の遠位部分は、穏かな線維形成を誘導し、それがレンズの固定を助けるように、軽く研摩される。
【0027】
眼の屈折矯正のための新規の有水晶体レンズを移植する本発明の方法は、以下の工程を含む: (a) 光学部部分の外周から眼の隅に外側に伸びる一対の正反対を向いた脚部材に固定された折り畳み可能な平面の光学部部分を有し、その際、かかる脚部材の遠位部分が粗い表面を有する有水晶体レンズを提供する工程; (b) 応力を受けない状態で光学部品の断面直径の約80%以下の直径に光学部部分を折り畳むことにより有水晶体レンズを変形する工程; (c) 眼の前房に置くために眼組織に開けた相対的に小さな切開を通して眼内レンズを挿入する工程; (d) レンズの光学部部分を元の構造形、完全な大きさ及び固定された焦点距離に戻し、その際、レンズの平面が眼の生来の水晶体に向くようにする工程;及び(e) 眼の中への挿入後、隅角に置かれるレンズの脚の配置を達成し、それによって眼組織の血管に対して最低限の圧力にて有水晶体レンズの脚が手軽な取付装置を創る工程。
【0028】
従って、最低限の圧迫によってレンズの脚が隅角に置かれるところの穏かな線維形成によって、本発明の有水晶体レンズは所定位置に保持される。
【0029】
新規の有水晶体レンズ及び移植方法によって、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめる。
【0030】
本発明に基づいたレンズの光学部部分は、平凹であっても平凸であってもよく、例えば、シリコーン、アクリル、コラーゲンなどのような従来の折り畳み可能な光学材料から製造されてもよい。
【0031】
光学部部分は通常、例えば、ヒトの水晶体が無処置のままであるような矯正の種類のいかなる適当な光学特性を持ってもよい。
【0032】
従って、新規の有水晶体IOL及び眼内レンズ構造体の移植方法によって、外科的技法に付随する難しさで毛様体に著しい刺激を招きうる縫合糸の使用を回避し、虹彩への損傷をできるだけ抑える。しかしながら、本発明の脚の設計は、いったん眼の中に配置されると、レンズの位置を保持し、それによってさらに安全で且つ好都合な外科的処置を提供し、また眼に対するさらに心地よい適合を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
新規の前房有水晶体レンズ及び移植方法が提供される。レンズの折り畳み可能な光学部部分は、光学部の外周から眼の隅角に向かって外側に伸びる、一対の正反対を向いた柔軟な脚部材に固定される。脚部材はそれぞれ、細長いアーム部分及び内側に湾曲した遠位円弧部分を含む。円弧部分の外側表面は、例えば研摩によって粗くする。従って、レンズ脚の研摩した表面によって、レンズ脚の遠位終端が隅角に置かれるところに少量の瘢痕組織が誘導される。新規の有水晶体レンズ及び移植方法によって、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめられる。
【0034】
本発明のレンズ構造体は、屈折矯正のために、縫合せずに眼の前房にレンズを配置するのに利用してもよい。従って、移植後、レンズの面の範囲内で眼内レンズ構造体のズレをできるだけ抑えて、さらに安全な、好都合の、さらに心地よい外科処置が達成される。
【0035】
ヒトの水晶体は一般に、約5ミリメートルの厚さ及び約9ミリメートルの直径を有する透明な構造体であると認識されている。水晶体は、水晶体を毛様体に接続する毛様小帯線維によって虹彩の後側に吊るされている。水晶体嚢が水晶体を取り囲み、嚢の前の部分は一般に前嚢として知られ、後の部分は後嚢として知られる。
【0036】
ここで図1に示す図面を参照して、眼の主要な構成要素:虹彩11、瞳孔12、角膜輪部13、及び強膜14について説明する眼の断面の模式図を示す。
【0037】
さらに詳しくは、図1は、角膜輪部13にて強膜14に接続する透明組織から成る角膜16を描いている。眼の前部区分は、虹彩11と瞳孔12により2つの眼房に区分される。前房17は、角膜16と虹彩11との間の空間によって規定される。後眼房18は、虹彩11と硝子体19との間の空間によって規定される。
【0038】
白内障の嚢内摘出術として一般に知られている外科処置では、硝子体膜20によって後眼房18を留める。 白内障の嚢外摘出術として一般に知られている外科処置では、毛様小帯線維23により毛様体22に結合した後嚢21によって後眼房18を留める。前嚢の部分は皮弁24としてそのまま残ってもよく、後嚢21とともに一般に「嚢袋」として知られる嚢状部分を創ってもよい。虹彩11と毛様体22の延長との間の後眼房18の周辺領域は、毛様体溝26と言われる。角膜16と虹彩11との間の前房周辺領域は、眼の隅角27と言われる。強膜後部から虹彩の平面まで及び前部から硝子体19までの領域は、毛様体扁平部28と言われる。
【0039】
前述の引用した眼の構成要素を記憶に留めて、本発明の基本的な特長は、レンズが固定用の縫合を必要とせずに眼の中に配置されてもよいように、変形可能な(折り畳み可能な)光学部部分を持つ、様々な種類の有水晶体眼内レンズ構造体のために隅角での固定を提供することである。従って、配置手順は、UGH症候群(ブドウ膜炎、緑内障及び前房出血の3つの頭文字)に関連する重篤な危険をできるだけ抑える。
【0040】
ここで、図2に示す図面を参照して、本発明に係る改善された有水晶体眼内レンズ構造体の具体的形態の1つを示す。ここに描かれた実施態様では、レンズ(30で示す)は、光学軸を有する、折り畳み可能な平凸型の光学部部分の形態であり、眼に配置した後には、レンズの平坦な面が生来の水晶体に向くようにする。一対の正反対を向いた脚部材32及び34は、光学部部分36の外周から外側に、眼の隅角から時計の1時の分(約1〜4ミリメートル)まで伸びる。この点で、本発明のレンズは、脚の遠位部分が隅角内部38から1〜4ミリメートルに置かれるように前房の中で配置される。脚部材32及び34はそれぞれ、前記光学部部分36を通る正中線に平行な関係で間隔を空ける細長いアーム部分32a及び34a、並びに光学部部分36を通る正中線で終結する内側の湾曲32c及び34cを持つ遠位円弧部分32b及び34bを包含する。
【0041】
脚部材32及び34は眼の隅角において(虹彩の後側と毛様体突起の間の領域)時計の1時の位置を超えないで伸びるように適宜大きさが設定され、周辺の眼組織への圧迫をできるだけ抑える。
【0042】
光学部部分36は通常、屈折力に応じて約0.05ミリメートル〜約1.2ミリメートルの厚さを有し、約4ミリメートル〜約6ミリメートルの範囲で直径を有する。しかしながら、これらの寸法は単に本発明の具体的な形態の1つの説明として提供されるのであって、本発明の系の寸法又は構成という点で拘束するものではないことが明瞭に理解されるべきである。
【0043】
変形可能な光学部部分36は、レンズが変形されて、眼の相対的に大きさが小さい切開を介して固定され、さらに移植後、元の大きさ及び固定された焦点距離に戻ることができるように、望ましい記憶特性、適当な構造寸法が付与され、変形可能な材料により構成される。
【0044】
脚の材料の重要な特長の1つは、それが弾力性があって硬いが変形可能であり、且つ従順な柔軟性を持つという性質を持つことである。これらの特徴は、レンズ組立て体全体の直径よりも相対的に小さい眼組織または瞳孔に作った比較的小さい切開を通ってレンズ組立て体を配置するのを、変形させることにより容易にし、さらにいったん眼に入れると、レンズがその完全な大きさ及び構造形に戻るのを円滑にする。さらに、これらの性質は、レンズ組立て体が十分なずれる力にさらされるはずの配置のズレに対してレンズ組立て体の感度を低くする。脚の遠位部分の外側表面を粗くすることは、例えば、機械加工、研摩、又は成形若しくは押出しによる埋め込み等いかなる従来の手段によって達成してもよい。
【0045】
本発明によれば、レンズ構造体の光学部部分は、一般に折り畳み可能な材料で作られてもよい。この後者の点について、眼内レンズの光学部部分は、眼の中に挿入する間、光学部品の断面直径の80%未満の直径まで、光学部部分を圧迫する、丸める、折り畳む又は引っ張ることにより、レンズを変形することができ、さらにいったん眼に付与されると、その元の構造形、大きさ及び固定された焦点距離に戻ることができるように、記憶特性を持つ。通常、変形可能な光学部部分は、例えば、ポリウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、ヒドロゲルポリマー、コラーゲン化合物、有機又は合成のゲル化合物、及びそれらの組合せのような1又はそれより多くの好適な材料から製造される。
【0046】
本発明に係る眼内レンズ構造体は、ヒトの水晶体を取り除かずに屈折を矯正するために設計される。この点で、光学部部分は、平凸、平凹、又は適当な屈折矯正に好適なその他の横断面であってもよい。
【0047】
図3は、図2で描かれた眼内レンズ組立体の側面断面図であり、光学部部分36は、ヒトの水晶体の屈折矯正のために平凸型である。
【0048】
通常、本発明に基づいた本発明の眼内レンズ構造体は、約9ミリメートル〜約14ミリメートルの全長、約4ミリメートル〜約14ミリメートルの幅を有し、広い範囲の屈折率を有して製造することができる。光学部部分は通常、約0.1ミリメートル〜約1.0ミリメートルの厚さ及び約4ミリメートル〜約6ミリメートルの範囲の直径を有する。
【0049】
本発明のレンズ組立体を製造するのにいかなる従来の方法も本発明に基づいて利用して、レンズが所望の弾力性及びコンプライアンスを有することを保証することができる。例えば、圧迫成形、移送成形、射出成形、鋳造、機械加工又はこれらの技術の組合せを利用して本発明のレンズ組立体を製造してもよい。
【0050】
本IOLの光学部品は、いかなる好適な材料又は材料の組合せで構築してもよい。かかる材料には、例えば、シリコンベースの高分子材料、PMMAなどのアクリル高分子材料、ヒドロゲル形成ポリマーなど、その他の高分子材料、ガラス及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
脚部材は、種々の構造、構成及び材料であることができる。例えば、脚部材は、PMMA又はポリプロピレンなどの材料から構築してもよい。脚部材は好ましくは高分子材料から作られる。脚部材は、好ましくは光学部品と同一の材料で作られ、さらに好ましくは、光学部品と単一化されており、且つ一体化されている。好ましくは、脚部材は、一般に正反対の位置で光学部品に結合しており、例えば、一般に正反対の位置でレンズ本体に固定される。
【0052】
本発明に係る眼の屈折を矯正するための人工眼内レンズの移植方法、該方法は以下を含む:
眼の屈折を矯正するための新規の有水晶体レンズの本発明の移植方法は、以下の工程を含む: (a) 光学部部分の外周から眼の隅角に外側に向かって伸びる一対の正反対を向いた脚部材に固定された、折り畳み可能な平面の光学部部分を有し、その際、かかる脚部材の遠位部分が粗い表面を有する、有水晶体レンズを提供する工程; (b) 応力を受けない状態で光学部品の断面直径の約80%以下の直径に光学部部分を折り畳むことにより有水晶体レンズを変形する工程; (c)眼の前房に置くために眼組織に開けた相対的に小さな切開を通して眼内レンズを挿入する工程; (d) レンズの光学部部分を元の構造形、完全な大きさ及び固定された焦点距離に戻し、その際、レンズの平面が眼の生来の水晶体に面している工程;及び(e) 内壁から約1〜4ミリメートルの隅角に置かれるレンズの脚の配置を達成し、それによって隅角構造の血管に対して最低限の圧力にて有水晶体レンズが隅角における手軽な取付装置を創る工程。
【0053】
従って、柔軟性のある脚からの相対的に軽い圧力及びレンズ脚が隅角に置かれるところの穏かな線維形成によって、本発明の有水晶体レンズは所定の位置に保持される。線維形成の量は曲線部の終端を粗くすることによって達成される。
【0054】
新規の有水晶体レンズ及び移植方法は、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめる。
【0055】
移植技術は、一般に球後麻酔、眼球周囲麻酔、又は局所麻酔を用いる;2段階の6.2mmの角膜後部の切開を時計の12時の位置で中央とする。切開の第1の非貫通段階及び2つの垂直の中央傍の穿開を時計の10時及び2時の位置で行う。
【0056】
この工程は、好ましくは本発明者により設計されたダイアモンドナイフにより微小(2.7mm)の切開を行うことから開始する。この切開、すなわち「ブルーライン」切開は、匹敵する切開よりも閉鎖及び治癒という点で安全である。
【0057】
アセチルコリン及び粘弾性材料を皮内注入した後、切開の第2の段階を前房に対して行う。粘弾性物質の保護のもと、1処置でレンズを完全に導入し、その後、時計の3時から9時に沿って90度回転して水平な位置にする。
【0058】
前房の有水晶体レンズは好ましくは、オフテック(Ophtec)により提供される先の尖っていない30Gの特注形状の針によって固定される。
【0059】
いったん手術が完了すれば、眼は完全に治癒し、視力は著しく安定する。手術後、極めて多用な機能強化が可能である。これらの機能強化は4つのカテゴリーに分類される:乱視の矯正、手術後、水晶体における曇りを除くYAGレーザー、近視又は遠視を矯正するレーシック、及び希にしか必要ではないが、眼内レンズ自体の交換。
【0060】
本発明の特定の形態を説明し、記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の改変を行うのが可能であることは前述から明らかであろう。従って、本発明は、添付のクレームを除き、限定されることは意図されない。
【0001】
本発明は、隅角に固定する改善された有水晶体レンズ及び移植のための小切開手術法に関する。
【背景技術】
【0002】
老視は、正常な加齢の課題であり、我々は、視覚的補助なしで読む能力を徐々に喪失するが、それは40歳ころに始まる。
【0003】
屈折矯正手術の起源は、1世紀ほど前、乱視の矯正に対するランズ(Lans)の先駆的な努力に辿りつくことができる。しかし、眼鏡の必要性を軽減する又は排除するように考案された手術への関心が急増してから、まだ20年ほどである。本発明は、乱視、近視及び芯取りの治療に多大な寄与をする屈折矯正手術の近代ルネッサンスの結果である。
【0004】
眼では、光を曲げ、明瞭な視力を与えるのに2つの要素:角膜及びヒト水晶体が関与している。角膜は、眼の表面におけるその好都合な位置のゆえに、屈折を変えるための最初の選択肢となることが最も多い。角膜は、眼において光を曲げる力の約3分の2の割合を占めており、角膜手術の相対的な容易さによって、結果的に屈折矯正手術では角膜の形状や湾曲を変えるための多数の手法が開発されてきた。
【0005】
眼の内部に位置する生来の水晶体は、光の屈曲を変えるための残りの位置にある。それは、眼の屈折力の残りの3分の1の割合を占める。人工のレンズによる生来の水晶体の矯正は、角膜屈折矯正手術と同様に、当然の眼の光屈折力を変える方法である。不十分となった水晶体の能力は、適正な力の眼内レンズを移植することによって、及び/又はレーシック(LASIK;レーザー光線による近視手術)のような角膜屈折矯正術により角膜の形状又は湾曲を変えることによって治療することができる。
【0006】
レーシック(LASIK)では、眼鏡の必要性を排除することを希望して、角膜組織を取り除いて屈折変化を達成するが、角膜は、厚さがわずか0.6mmの比較的薄い組織である。角膜屈折矯正術によって矯正することができる近視及び遠視の重症度は、角膜強度を維持するのに必要な組織の量によって限定される。一般に、15ジオプトリーを超える屈折の矯正(強度の近視)は、レーシック手術だけでは矯正できない。
【0007】
この点で、屈折矯正に関与する外科医は、角膜屈折矯正術(特にレーシック)が、角膜の非球面の輪郭を有害に変化させることなく、重度の屈折異常を矯正することができないことを実感してきた。この事実によって結果的にかかる外科医は有水晶体眼内レンズへの新しい関心に導かれた。
【0008】
有水晶体眼内レンズは、バイオプティクス(Bioptics)と呼ばれる手法において、強度の近視に対してレーシックと併用することができる。有水晶体眼内レンズのその他の利点には、極めて迅速な視力の回復が挙げられる。
【0009】
現在、眼内レンズは、種々の手術処置後のヒトの水晶体の屈折矯正及び交換において広く受け入れられている。
【0010】
米国特許第4,002,169号及び同第3,996,935号に記載されているような眼組織において比較的小さな切開を必要とする外科的技法の開発は、本発明の背景において特に興味深い。また、多数の熟練者が、米国特許第4,573,998号にあるように、眼での使用に好適なアクリル又はシリコーンのような折り畳み可能な材料の光学的部分を有する眼内レンズ構造を開示している。
【0011】
1949年頃、リドレイ(Ridley)が最初に人工レンズを埋め込んで以来、レンズの移植に付随する問題は、眼科医からの甚大な注目を引いてきた。様々な種類の人工レンズが提案され、適当な手術手技も開発されており、このことにより、患者の不快さを軽減するとともに手術後の合併症を軽減する一方で、明瞭な視力を達成するように努められている。この点に関して参照文献を以下のように挙げる:J.ジャフェ(Jaffe)らによる『人工水晶体』(Pseudophakos);D.P.チョイス(Choyce)らによる『眼内移植の歴史』(History of Intraocular Implants)(アナルズ オブ オフタルモロジー (Annals of Ophthalmology)、1973年10月);1976年11月16日フロム(Flom)に発行された米国特許第3、991、426号;1977年11月8日ケルマン(Kelman)に発行された米国特許第4,092,743号;1984年5月8日ブレーク(Blake)に発行された米国特許第4,446,581号;1984年9月4日ウーラー(Uhler)らに発行された米国特許第4,468,820号;1986年2月4日レイチャート(Reichert)に発行された米国特許第4,568,347号;1987年6月16日シーゲル(Schiegel)に発行された米国特許第4,673,406号;1993年3月9日ワースト(Worst)に発行された米国特許第5,192,319号;1996年11月5日デーコン(Deacon)らに発行された米国特許第5,571,177号;1999年7月27日ニガム(Nigam)に発行された米国特許第5,928,282号;2000年4月4日コリンズ(Collins)らに発行された米国特許第6,045,578号;2000年4月18日カミング(Cumming)に発行された米国特許第6,051,024号;2000年8月29日バラクール(Barraquer)に発行された米国特許第6,110,202号;2000年10月10日フェドロフ(Fedorov)に発行された米国特許第6,129,760号;及び2000年11月28日ノーダン(Nordan)に発行された米国特許第6,152,958号;これらの参照番号により上記に開示する。
【考案の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
虹彩の前に置かれる眼内レンズは、一般に「前房レンズ」と言われる。チョイスのレンズ及びケルマンのレンズは、これらの硬質前房レンズの例であるが、場合によっては、UGHと呼ばれる症候群を誘発し、虹彩の変形、角膜不全及び可能性としての眼の喪失を生じることがあることが知られている。
【0013】
従って、UGH症候群(ブドウ膜炎(uveitis)、緑内障(glaucoma)及び前房出血(hyphema)の3つの頭文字である)は、かかる前房眼内レンズの連続使用を妨害するものである。
【0014】
さらに最近、新しい素材、設計、製造法及び研摩技法により有水晶体眼内レンズは改善され、それによって合併症の比率が低下している。
【0015】
現在の前房眼内レンズ(前房IOL)には、4mmの光学部品を伴ったバイコフ(Baikoff)ZMBや、4.5mmの光学部品を伴い、さらに大きな光学部及び「隅角に対してさらに優しい脚(ハプティック)」を有する、ヌビタ(Nuvita)MA20レンズが挙げられる。ヌビタレンズの改変型がモルシャー(Morcher)ZSAL−4であり、5mmの光学部品を伴い、やや大きい光学部を有する。ノータッチ(No Touch)IOLも4mmの直径を有する。
【0016】
虹彩固定型レンズには、ワースト−フェクナー アイリス クロウ(Worst−Fechner Iris Claw)IOL、アーチザン(Artisan)IOL、及びクルメイク アクティブ クロージャー アイリス レンズ(Krumeich Active Closure Iris Lens)が挙げられる。最もよく知られているレンズの1つは、ビンクホースト(Binkhorst)レンズであり、レンズを虹彩に固定するクリップを有していた。しかしながら、瞳孔が拡張すると、レンズは眼の後に落ちてしまった。さらに、このような虹彩にクリップで止めるレンズは、虹彩を破壊する傾向を有していた。
【0017】
シアリング(Shearing)Jループ型後房レンズは、異なった大きさの眼にレンズを適合させることができる柔軟性のある『脚(ハプティクス;haptics)』を有することが、レンズの設計における主要な改良であった。この広く受け入れられているレンズの基礎となるデザインは、5〜6mmの間の硬質プラスチックの中央の丸い円板から、11〜14mmの外側に伸びるプロレン製又はその他の柔軟な材料の輪(ループ)であった。プラスチックレンズの材料は変化したが、シアリングレンズの基本デザインは同じままであり、白内障の水晶体嚢へのこのレンズの移植は、開業している眼科医の間で「水晶体乳化」がかかる重要性を得るという基本的な理由であった。
【0018】
現在の後房IOLには、フィオドルフ(Fyodorov)シリコーンIOL、0.1%のブタコラーゲンでできたスター(Staar)IOL、及び100%シリコーンでできたIVIメデニウム(Medennium)が挙げられる。
【0019】
有水晶体IOLで強度近視を矯正しようとする多数の独創的な試みは、乏しい技術、粘弾性物質の欠如、乏しいレンズ設計(極めて大きく且つ重い)、及び前房の解剖に関する知識の欠如のために上手く行かなかった。
【0020】
この点で、角度及び/又は溝に関する解剖学は、病態生理学的な変化を理解するのに必須である。これらの構造の圧迫は、血流を制限し、線維形成及び炎症を促す。
【0021】
ブドウ膜炎は、脈絡膜、毛様体及び虹彩から成るブドウ膜の炎症である。それは、前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎(毛様体扁平部炎)及び後部ブドウ膜炎(脈絡膜炎)に分類できる。前部ブドウ膜炎には、ブドウ膜の前の部分(すなわち、虹彩及び毛様体)が含まれる。「虹彩炎」は虹彩のみの炎症を言うが、「虹彩毛様体炎」は虹彩と毛様体の双方が含まれる。しかしながら、前部ブドウ膜炎、虹彩炎、及び虹彩毛様体炎という用語は同義的に使用されることが多い。前部ブドウ膜炎は、硝子体腔の前部から中間部におけるブドウ膜構造の眼内炎症である。結膜炎、角膜炎及び急性緑内障と共に、それは、共通して「目が充血した」と言われる一群の眼の症状の1つである。
【0022】
内部構造を視覚化することなく、前房有水晶体レンズの大きさを正確に設定するのは困難である。慎重に大きさを設定し、フットプレートを注意して仕上げたとしても、かかる従来の有水晶体レンズにより隅角に適用される圧力は、摩擦によって過剰になり、大抵、時間とともにフットプレートが摩滅して、固定を悪くする。
【0023】
従って、当業者は、予測可能性、安全性及び調節性を提供する眼の屈折矯正のための改善された有水晶体IOL、及びそれに付随する方法についての十分なニーズを認識している。本発明はこれらのニーズを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、新規の前房有水晶体レンズ構造体及び移植方法を提供する。レンズの折り畳み可能な光学部部分は、光学部から長手方向に伸びる、一対の正反対に向いた柔軟な脚部材に固定される。脚部材はそれぞれ、細長いアーム部分及び内側に湾曲した遠位円弧部分を含む。遠位円弧部分の外側表面は、例えば、研摩によって粗くされている。前房に入れると、脚の研摩された遠位終端は、目の隅角に置かれ、周囲の眼組織で誘導された穏かな線維形成によって保持される。
【0025】
具体化された形態の1つでは、前房有水晶体レンズは以下を含む:
(a) 眼の中に入れた後、平坦面が生来の水晶体に面し、光軸を有する、折り畳み可能な平凸又は平凹の光学部部分;及び
(b) 光学部部分の外周から眼の隅に向かって外側に伸びる一対の正反対を向いた柔軟な脚部材。脚部材はそれぞれ、前記光学部部分を通る正中線に平行関係で間隔をあけた細長いアーム部分及び光学部部分を通る正中線で終結する内側への湾曲を伴った遠位円弧部分を包含する。脚の遠位円弧部分は、粗い外側表面を有し、隅角の内壁から1〜4ミリメートル程伸びるように大きさが設定される。
【0026】
本発明のレンズの特徴は平坦であり、上下に湾曲することなく、平凸又は平凹の断面を有し、レンズの平面が生来の水晶体に向けて置かれるので、生来の水晶体への接触を回避することである。レンズの脚は、光学部品の大きさの割りには、相対的に長さが短く、外科的に設置するとちょうど隅角に伸び、返しを有さない。隅角に置かれる脚の遠位部分は、穏かな線維形成を誘導し、それがレンズの固定を助けるように、軽く研摩される。
【0027】
眼の屈折矯正のための新規の有水晶体レンズを移植する本発明の方法は、以下の工程を含む: (a) 光学部部分の外周から眼の隅に外側に伸びる一対の正反対を向いた脚部材に固定された折り畳み可能な平面の光学部部分を有し、その際、かかる脚部材の遠位部分が粗い表面を有する有水晶体レンズを提供する工程; (b) 応力を受けない状態で光学部品の断面直径の約80%以下の直径に光学部部分を折り畳むことにより有水晶体レンズを変形する工程; (c) 眼の前房に置くために眼組織に開けた相対的に小さな切開を通して眼内レンズを挿入する工程; (d) レンズの光学部部分を元の構造形、完全な大きさ及び固定された焦点距離に戻し、その際、レンズの平面が眼の生来の水晶体に向くようにする工程;及び(e) 眼の中への挿入後、隅角に置かれるレンズの脚の配置を達成し、それによって眼組織の血管に対して最低限の圧力にて有水晶体レンズの脚が手軽な取付装置を創る工程。
【0028】
従って、最低限の圧迫によってレンズの脚が隅角に置かれるところの穏かな線維形成によって、本発明の有水晶体レンズは所定位置に保持される。
【0029】
新規の有水晶体レンズ及び移植方法によって、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめる。
【0030】
本発明に基づいたレンズの光学部部分は、平凹であっても平凸であってもよく、例えば、シリコーン、アクリル、コラーゲンなどのような従来の折り畳み可能な光学材料から製造されてもよい。
【0031】
光学部部分は通常、例えば、ヒトの水晶体が無処置のままであるような矯正の種類のいかなる適当な光学特性を持ってもよい。
【0032】
従って、新規の有水晶体IOL及び眼内レンズ構造体の移植方法によって、外科的技法に付随する難しさで毛様体に著しい刺激を招きうる縫合糸の使用を回避し、虹彩への損傷をできるだけ抑える。しかしながら、本発明の脚の設計は、いったん眼の中に配置されると、レンズの位置を保持し、それによってさらに安全で且つ好都合な外科的処置を提供し、また眼に対するさらに心地よい適合を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
新規の前房有水晶体レンズ及び移植方法が提供される。レンズの折り畳み可能な光学部部分は、光学部の外周から眼の隅角に向かって外側に伸びる、一対の正反対を向いた柔軟な脚部材に固定される。脚部材はそれぞれ、細長いアーム部分及び内側に湾曲した遠位円弧部分を含む。円弧部分の外側表面は、例えば研摩によって粗くする。従って、レンズ脚の研摩した表面によって、レンズ脚の遠位終端が隅角に置かれるところに少量の瘢痕組織が誘導される。新規の有水晶体レンズ及び移植方法によって、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめられる。
【0034】
本発明のレンズ構造体は、屈折矯正のために、縫合せずに眼の前房にレンズを配置するのに利用してもよい。従って、移植後、レンズの面の範囲内で眼内レンズ構造体のズレをできるだけ抑えて、さらに安全な、好都合の、さらに心地よい外科処置が達成される。
【0035】
ヒトの水晶体は一般に、約5ミリメートルの厚さ及び約9ミリメートルの直径を有する透明な構造体であると認識されている。水晶体は、水晶体を毛様体に接続する毛様小帯線維によって虹彩の後側に吊るされている。水晶体嚢が水晶体を取り囲み、嚢の前の部分は一般に前嚢として知られ、後の部分は後嚢として知られる。
【0036】
ここで図1に示す図面を参照して、眼の主要な構成要素:虹彩11、瞳孔12、角膜輪部13、及び強膜14について説明する眼の断面の模式図を示す。
【0037】
さらに詳しくは、図1は、角膜輪部13にて強膜14に接続する透明組織から成る角膜16を描いている。眼の前部区分は、虹彩11と瞳孔12により2つの眼房に区分される。前房17は、角膜16と虹彩11との間の空間によって規定される。後眼房18は、虹彩11と硝子体19との間の空間によって規定される。
【0038】
白内障の嚢内摘出術として一般に知られている外科処置では、硝子体膜20によって後眼房18を留める。 白内障の嚢外摘出術として一般に知られている外科処置では、毛様小帯線維23により毛様体22に結合した後嚢21によって後眼房18を留める。前嚢の部分は皮弁24としてそのまま残ってもよく、後嚢21とともに一般に「嚢袋」として知られる嚢状部分を創ってもよい。虹彩11と毛様体22の延長との間の後眼房18の周辺領域は、毛様体溝26と言われる。角膜16と虹彩11との間の前房周辺領域は、眼の隅角27と言われる。強膜後部から虹彩の平面まで及び前部から硝子体19までの領域は、毛様体扁平部28と言われる。
【0039】
前述の引用した眼の構成要素を記憶に留めて、本発明の基本的な特長は、レンズが固定用の縫合を必要とせずに眼の中に配置されてもよいように、変形可能な(折り畳み可能な)光学部部分を持つ、様々な種類の有水晶体眼内レンズ構造体のために隅角での固定を提供することである。従って、配置手順は、UGH症候群(ブドウ膜炎、緑内障及び前房出血の3つの頭文字)に関連する重篤な危険をできるだけ抑える。
【0040】
ここで、図2に示す図面を参照して、本発明に係る改善された有水晶体眼内レンズ構造体の具体的形態の1つを示す。ここに描かれた実施態様では、レンズ(30で示す)は、光学軸を有する、折り畳み可能な平凸型の光学部部分の形態であり、眼に配置した後には、レンズの平坦な面が生来の水晶体に向くようにする。一対の正反対を向いた脚部材32及び34は、光学部部分36の外周から外側に、眼の隅角から時計の1時の分(約1〜4ミリメートル)まで伸びる。この点で、本発明のレンズは、脚の遠位部分が隅角内部38から1〜4ミリメートルに置かれるように前房の中で配置される。脚部材32及び34はそれぞれ、前記光学部部分36を通る正中線に平行な関係で間隔を空ける細長いアーム部分32a及び34a、並びに光学部部分36を通る正中線で終結する内側の湾曲32c及び34cを持つ遠位円弧部分32b及び34bを包含する。
【0041】
脚部材32及び34は眼の隅角において(虹彩の後側と毛様体突起の間の領域)時計の1時の位置を超えないで伸びるように適宜大きさが設定され、周辺の眼組織への圧迫をできるだけ抑える。
【0042】
光学部部分36は通常、屈折力に応じて約0.05ミリメートル〜約1.2ミリメートルの厚さを有し、約4ミリメートル〜約6ミリメートルの範囲で直径を有する。しかしながら、これらの寸法は単に本発明の具体的な形態の1つの説明として提供されるのであって、本発明の系の寸法又は構成という点で拘束するものではないことが明瞭に理解されるべきである。
【0043】
変形可能な光学部部分36は、レンズが変形されて、眼の相対的に大きさが小さい切開を介して固定され、さらに移植後、元の大きさ及び固定された焦点距離に戻ることができるように、望ましい記憶特性、適当な構造寸法が付与され、変形可能な材料により構成される。
【0044】
脚の材料の重要な特長の1つは、それが弾力性があって硬いが変形可能であり、且つ従順な柔軟性を持つという性質を持つことである。これらの特徴は、レンズ組立て体全体の直径よりも相対的に小さい眼組織または瞳孔に作った比較的小さい切開を通ってレンズ組立て体を配置するのを、変形させることにより容易にし、さらにいったん眼に入れると、レンズがその完全な大きさ及び構造形に戻るのを円滑にする。さらに、これらの性質は、レンズ組立て体が十分なずれる力にさらされるはずの配置のズレに対してレンズ組立て体の感度を低くする。脚の遠位部分の外側表面を粗くすることは、例えば、機械加工、研摩、又は成形若しくは押出しによる埋め込み等いかなる従来の手段によって達成してもよい。
【0045】
本発明によれば、レンズ構造体の光学部部分は、一般に折り畳み可能な材料で作られてもよい。この後者の点について、眼内レンズの光学部部分は、眼の中に挿入する間、光学部品の断面直径の80%未満の直径まで、光学部部分を圧迫する、丸める、折り畳む又は引っ張ることにより、レンズを変形することができ、さらにいったん眼に付与されると、その元の構造形、大きさ及び固定された焦点距離に戻ることができるように、記憶特性を持つ。通常、変形可能な光学部部分は、例えば、ポリウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、ヒドロゲルポリマー、コラーゲン化合物、有機又は合成のゲル化合物、及びそれらの組合せのような1又はそれより多くの好適な材料から製造される。
【0046】
本発明に係る眼内レンズ構造体は、ヒトの水晶体を取り除かずに屈折を矯正するために設計される。この点で、光学部部分は、平凸、平凹、又は適当な屈折矯正に好適なその他の横断面であってもよい。
【0047】
図3は、図2で描かれた眼内レンズ組立体の側面断面図であり、光学部部分36は、ヒトの水晶体の屈折矯正のために平凸型である。
【0048】
通常、本発明に基づいた本発明の眼内レンズ構造体は、約9ミリメートル〜約14ミリメートルの全長、約4ミリメートル〜約14ミリメートルの幅を有し、広い範囲の屈折率を有して製造することができる。光学部部分は通常、約0.1ミリメートル〜約1.0ミリメートルの厚さ及び約4ミリメートル〜約6ミリメートルの範囲の直径を有する。
【0049】
本発明のレンズ組立体を製造するのにいかなる従来の方法も本発明に基づいて利用して、レンズが所望の弾力性及びコンプライアンスを有することを保証することができる。例えば、圧迫成形、移送成形、射出成形、鋳造、機械加工又はこれらの技術の組合せを利用して本発明のレンズ組立体を製造してもよい。
【0050】
本IOLの光学部品は、いかなる好適な材料又は材料の組合せで構築してもよい。かかる材料には、例えば、シリコンベースの高分子材料、PMMAなどのアクリル高分子材料、ヒドロゲル形成ポリマーなど、その他の高分子材料、ガラス及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
脚部材は、種々の構造、構成及び材料であることができる。例えば、脚部材は、PMMA又はポリプロピレンなどの材料から構築してもよい。脚部材は好ましくは高分子材料から作られる。脚部材は、好ましくは光学部品と同一の材料で作られ、さらに好ましくは、光学部品と単一化されており、且つ一体化されている。好ましくは、脚部材は、一般に正反対の位置で光学部品に結合しており、例えば、一般に正反対の位置でレンズ本体に固定される。
【0052】
本発明に係る眼の屈折を矯正するための人工眼内レンズの移植方法、該方法は以下を含む:
眼の屈折を矯正するための新規の有水晶体レンズの本発明の移植方法は、以下の工程を含む: (a) 光学部部分の外周から眼の隅角に外側に向かって伸びる一対の正反対を向いた脚部材に固定された、折り畳み可能な平面の光学部部分を有し、その際、かかる脚部材の遠位部分が粗い表面を有する、有水晶体レンズを提供する工程; (b) 応力を受けない状態で光学部品の断面直径の約80%以下の直径に光学部部分を折り畳むことにより有水晶体レンズを変形する工程; (c)眼の前房に置くために眼組織に開けた相対的に小さな切開を通して眼内レンズを挿入する工程; (d) レンズの光学部部分を元の構造形、完全な大きさ及び固定された焦点距離に戻し、その際、レンズの平面が眼の生来の水晶体に面している工程;及び(e) 内壁から約1〜4ミリメートルの隅角に置かれるレンズの脚の配置を達成し、それによって隅角構造の血管に対して最低限の圧力にて有水晶体レンズが隅角における手軽な取付装置を創る工程。
【0053】
従って、柔軟性のある脚からの相対的に軽い圧力及びレンズ脚が隅角に置かれるところの穏かな線維形成によって、本発明の有水晶体レンズは所定の位置に保持される。線維形成の量は曲線部の終端を粗くすることによって達成される。
【0054】
新規の有水晶体レンズ及び移植方法は、例えば、虹彩掻傷、緑内障、ブドウ膜炎、虹彩の変形、及び/又は角膜代償機能不全等のようなレンズに関連する病因を最小限にとどめる。
【0055】
移植技術は、一般に球後麻酔、眼球周囲麻酔、又は局所麻酔を用いる;2段階の6.2mmの角膜後部の切開を時計の12時の位置で中央とする。切開の第1の非貫通段階及び2つの垂直の中央傍の穿開を時計の10時及び2時の位置で行う。
【0056】
この工程は、好ましくは本発明者により設計されたダイアモンドナイフにより微小(2.7mm)の切開を行うことから開始する。この切開、すなわち「ブルーライン」切開は、匹敵する切開よりも閉鎖及び治癒という点で安全である。
【0057】
アセチルコリン及び粘弾性材料を皮内注入した後、切開の第2の段階を前房に対して行う。粘弾性物質の保護のもと、1処置でレンズを完全に導入し、その後、時計の3時から9時に沿って90度回転して水平な位置にする。
【0058】
前房の有水晶体レンズは好ましくは、オフテック(Ophtec)により提供される先の尖っていない30Gの特注形状の針によって固定される。
【0059】
いったん手術が完了すれば、眼は完全に治癒し、視力は著しく安定する。手術後、極めて多用な機能強化が可能である。これらの機能強化は4つのカテゴリーに分類される:乱視の矯正、手術後、水晶体における曇りを除くYAGレーザー、近視又は遠視を矯正するレーシック、及び希にしか必要ではないが、眼内レンズ自体の交換。
【0060】
本発明の特定の形態を説明し、記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の改変を行うのが可能であることは前述から明らかであろう。従って、本発明は、添付のクレームを除き、限定されることは意図されない。
Claims (12)
- 患者が生まれつき有する水晶体の屈折を矯正するために眼の前眼房の隅角に対して配置する有水晶体眼内レンズであって、
(a) 光学軸及び平坦面を有し、眼に配置した後、前記平坦面が患者の水晶体に面する折り畳み可能な光学部部分;及び
(b) 前記光学部部分の外周から眼の隅角に向かって外側に伸びる一対の正反対を向いた脚(ハプティク)部材であって、前記脚部材はそれぞれ、前記光学部部分を通る正中線に対して平行の関係で間隔を空けた細長いアーム部分、及び前記光学部部分を通る正中線で終結する内側の湾曲を持つ遠位円弧部分を有し、前記遠位円弧部分が粗い外側表面を有する脚部材、
を有する有水晶体眼内レンズ。 - 前記脚部材が眼の前眼房において時計の1時の角度内に固定するように配置され、大きさが設定される請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分がシリコーンエラストマーからなる請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分がヒドロゲルポリマーからなる請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分がコラーゲン化合物からなる請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分が有機ゲル化合物からなる請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分が合成ゲル化合物からなる請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分がアクリル化合物からなる請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分が平凸横断面を有する請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 前記光学部部分が平凹横断面を有する請求項1に記載の有水晶体眼内レンズ。
- 眼の屈折を矯正するために有水晶体眼内レンズを移植する方法であって、
(a) 光学部部分の外周から眼の隅角に向かって外側に伸び、脚部材の遠位部分が粗い外側表面を有する一対の正反対を向いた脚部材に固定された、折り畳み可能な平坦面の光学部部分を有する有水晶体レンズを提供する工程;
(b) 応力を受けない状態での光学部品の横断面直径の約80%以下の直径まで光学部部分を折り畳むことによって有水晶体レンズを変形する工程;
(c) 眼の前眼房に配置するために眼組織に作られた相対的に小さな切開を介して眼内レンズを挿入する工程;
(d) レンズの光学部部分を元の構造形、完全な大きさ及び固定された焦点距離に戻し、その際、レンズの平坦面が眼の患者自身が有する水晶体に面する工程;
(e) 内壁から約1〜4ミリメートルの隅角に置かれるレンズ脚の配置を達成し、それによって有水晶体レンズが、隅角構造における血管に対する最小限の圧力で隅角に手軽な取付装置を創る工程、を含む方法。 - 眼の虹彩及び瞳孔の前の位置にて、前記眼内レンズを挿入し、元の構造形、完全な大きさ及び固定された焦点距離に戻す請求項9に記載の移植方法。
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