JP2004127563A - 有機el素子及びこれを用いた液晶モニタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プライムカラーに発光の極大を有することを特徴とする有機EL素子及び、少なくともプライムカラーに反射率の極小を有し、かつ、補助光源が、プライムカラーに発光の極大を有する有機EL素子であることを特徴とする有機EL素子を用いた液晶モニタを提供することにより前記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL素子及びこれを用いた液晶モニタに係り、特に、いわゆるプライムカラーに発光のピークを有する三波長型有機EL素子と、これをバックライトあるいは照明等の補助光源に用いる液晶モニタに関する。
【0002】
【従来の技術】
物の色の見え方は、光源の種類によって異なる。例えば、太陽光の下では自然に見える顔や衣服も、低圧ナトリウムランプ等のトンネル照明の下では、不自然な橙色になってしまう。すなわち、太陽光は物の色が自然に見える「良い照明」、トンネル照明は物の色が不自然に見える「悪い照明」と言える。
【0003】
このように光源の種類によって物の色が異なって見えることを「演色性」と言い、照明の善し悪しを判定する一つの目安となっている。この照明の善し悪しの基準となる「演色性」を定量化したものが演色評価数(Color Rendering Index)であり、CIE(国際照明委員会)あるいはJIS(日本工業規格)によって定式化されている。
【0004】
例えば、モニタの色再現性や蛍光灯の演色性を最大化するには、発光のピーク(発光極大)を、いわゆるプライムカラー(prime colors) に一致させることが望ましいと言われている。
なお、ここで、プライムカラーとは、人間の目の最も感度が高い、450nm、540nm及び610nmの近傍(例えばこれに±20nm)の波長の色を言い、詳しくは、W.A.Thornton,Matching lights,metamers,and human visual response,Journal of Color and Appearance,2(1),pp.23−29(1973) 、M.H.Brill G.D.Finlayson P.M.Hubel W.A.Thornton,Prime colors and color imaging,Proceedings of IS&T/SID 6th Color Imaging Conference,pp.33−42(1998) 、G.D.Finlayson P.M.Morovic ,Metamer crossovers of infinite metamer sets,Proceedings of IS&T/SID 8th Color Imaging Conference,pp.13−17(2000) 等に記載されている。
例えば、照明や液晶ディスプレイ等のバックライトに多く用いられている三波長型蛍光灯は、435nm、545nm及び610nmの3つの波長に発光ピークを持っている。
【0005】
また、有機物質を利用した有機発光素子、中でも有機EL素子(Oganic Electro Luminescense Device) は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。
有機EL素子は、陰極と陽極からなる2つの電極間に挟んだ有機化合物に電流を流すことによってその中に含まれる蛍光体または燐光性の有機分子を発光させる素子である。
この発光は、有機化合物の発光層を挟んだ両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔(ホール)が注入されて、この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0006】
このような、有機EL素子は、自発光ディスプレイや液晶モニタのバックライトあるいは照明等への展開が期待されているデバイスであり、これらのいずれの利用形態においても、その色再現性や演色性を最大にするには、やはりその発光極大がプライムカラーに一致していることが望ましい。
また、今述べたように、現在液晶モニタのバックライトとして有機EL素子を用いることが期待されているが、従来は、液晶モニタのバックライトには、三波長型蛍光灯が用いられていた。
【0007】
すなわち、液晶モニタは、反射防止膜と補助光源を有しており、液晶モニタの補助光源とは、透過型液晶の場合はバックライトであり、反射型液晶の場合は照明であり、半透過型液晶の場合はこれら両方である。
そして、従来は、反射防止膜には可視域の全域に亙って反射率の低いものが用いられ、補助光源として三波長型蛍光灯が用いられていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように有機EL素子は、自発光ディスプレイや液晶モニタのバックライトあるいは照明等様々な方面への展開が期待されているが、その発光極大がプライムカラーに一致しておらず、現行の素子では、これらの展開に十分ではないという問題があった。
【0009】
また、従来のように液晶モニタの反射防止膜として可視域の全域に亙って反射率の低いものを用いた場合には、人の目に入る光のほとんどが蛍光灯とブラウン管等のモニタからの光である昨今のオフィス環境の下では、その性能が十分ではなく、また、液晶モニタのバックライトに三波長型蛍光灯を用いた場合には、水銀や螢光塗料が用いられているため、エコロジー的に好ましくないという問題がある。
【0010】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであり、有機EL素子を照明や液晶モニタの補助光源等に用いる場合に、色再現性や演色性を最大にすることができ、昨今のオフィス環境下での性能が十分で、さらにエコロジー的な問題のない有機EL素子及びこれを用いた液晶モニタを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、プライムカラーに発光の極大を有することを特徴とする有機EL素子を提供する。
【0012】
また、少なくともプライムカラーに反射率の極小を有することが好ましい。
【0013】
さらに、前記少なくともプライムカラーに反射率の極小を有するという前記有機EL素子の反射機能は、少なくともプライムカラーに反射率の極小を有する反射防止膜を貼付することによって得られることが好ましい。
【0014】
また、同様に前記課題を解決するために、本発明の第二の態様は、少なくともプライムカラーに反射率の極小を有し、かつ、補助光源が、プライムカラーに発光の極大を有する有機EL素子であることを特徴とする有機EL素子を用いた液晶モニタを提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機EL素子及びこれを用いた液晶モニタについて、添付の図面に示される好適実施形態を基に詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、プライムカラーに発光の極大を有する有機EL素子に関するものである。
本実施形態の有機EL素子は、基板上に透明電極、有機化合物層及び背面電極を積層してなり、さらに、必要に応じて保護層等のその他の層を有して構成されている。
本実施形態では、有機化合物の発光層に、以下に示すような一重項発光材料を用いることで、プライムカラーに発光の極大を有するようにして三波長型有機EL素子を構成している。
【0017】
なお、プライムカラーとは、前にも述べたように、人間の目の最も感度が高い、450nm、540nm、610nmの近傍(前記波長の±20nm)の波長の色をいう。
さらに、本発明においては、プライムカラーとしては、440±10nm、540±190nm、610±10nmであることがより好ましい。
【0018】
まず、波長443nmに発光極大波長を有する、青色(B)蛍光発光を示す発光材料として、次の化学式(1)で示される化合物を用いる。
なお、この化合物については、詳しくは、特開2001−192653号公報に記載されている。
【化1】
【0019】
また、波長547nmに発光極大波長を有する、緑色(G)蛍光発光を示す発光材料として、次の化学式(2)で示される化合物を用いる。
なお、この化合物については、詳しくは、特開2001−354955号公報に記載されている。
【化2】
【0020】
また、波長615nmに発光極大波長を有する、赤色(R)蛍光発光を示す発光材料として、次の化学式(3)で示される化合物を用いる。
なお、この化合物については、詳しくは、特開2001−273977号公報に記載されている。
【化3】
【0021】
また、これらのB、G、Rに対応する発光材料の発光波形を図1に示す。
これらの発光材料を用いて有機EL素子を構成した。これにより、図1の発光波形が示すように、プライムカラーに発光極大を有する有機EL素子が実現される。
この有機EL素子について、普通型蛍光灯(F1〜F6)、高演色型蛍光灯(F7〜F9)及び三波長型蛍光灯(F10〜F12)の各種蛍光灯と、色温度をあわせて発光させ、各演色評価数を比較した結果を表1に示す。
【0022】
表1に示すように、本実施形態の有機EL素子は、演色性において、F7〜F9の高演色型蛍光灯には及ばないが、F1〜F6の普通型蛍光灯及びF10〜F12の三波長型蛍光灯より演色評価数が大きく、優れていることがわかる。
このように、本実施形態の有機EL素子は、プライムカラーに発光極大を有しているため、これを用いれば、色再現性を最大化し、高品質な自発光ディスプレイを構成することができる。
【0023】
【表1】
【0024】
次に本発明の第2実施形態について説明する。
上述したように、第1実施形態の有機EL素子を用いれば、高品質な自発光ディスプレイを構成することができるが、照明が三波長型蛍光灯であるような昨今のオフィス環境の下では、ディスプレイの画面への照明の映り込みにより、視認性が劣化する場合がある。
そこで、本第2実施形態では、上記第1実施形態の有機EL素子を用いたモニタの表面に450±20nm、540±20nm、610±20nmというプライムカラーに反射率の極小を有する反射防止膜を貼付した。
【0025】
このように、プライムカラーに反射率の極小を有する反射防止膜を貼付したことにより、プライムカラーに発光極大を有する三波長型蛍光灯等の照明光のモニタ表面での反射を抑制できるため、モニタ表面への映り込みを最小とすることができる。
また、その一方、プライムカラーに反射率の極小を有する反射防止膜を貼ったため、プライムカラーに発光の極大を有するように構成された本発明の(三波長型)有機EL素子が発光した光は、プライムカラーにおける反射が抑制されるため、反射防止膜の透過性が向上し、外へ出やすくなり、色再現性及び視認性が最大化される。
【0026】
次に本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態は、本発明の有機EL素子を用いて、昨今のオフィス環境下での性能が十分で、さらにエコロジー的な問題のない液晶モニタを構成するものである。
【0027】
本実施形態の液晶モニタは、モニタ表面にプライムカラーに反射率の極小を有する反射防止膜を貼付し、プライムカラーに発光の極大を有する第1実施形態の有機EL素子を補助光源に用いたものである。
液晶モニタの補助光源としては、前にも述べたように、液晶モニタが、透過型液晶の場合にはバックライトであり、反射型液晶の場合には照明であり、半透過型液晶の場合にはこれらの両方である。
【0028】
また、プライムカラーについても、前述したように、450±20nm、540±20nm、610±20nmの範囲であることが好ましく、さらには、440±10nm、540±190nm、610±10nmであることが、より好ましい。
【0029】
このように、本実施形態では、液晶モニタのモニタ表面にプライムカラーに反射率の極小を有する反射防止膜を貼付するとともに、その補助光源として、プライムカラーに発光の極大を有する有機EL素子を用いるようにしたため、モニタ表面への映り込みを最小化するとともに、視認性を最大化し、昨今のオフィス環境下で十分な性能を有しているととも、エコロジー的な問題もない。
【0030】
以上、本発明の有機EL素子及びこれを用いた液晶モニタについて、詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0031】
【発明の効果】
以上、説明した通り、本発明は、有機EL素子を照明や液晶モニタの補助光源等に用いる場合に、色再現性や演色性を最大にすることができ、昨今のオフィス環境下での性能が十分で、さらにエコロジー的な問題もないという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の有機EL素子に用いる発光材料の発光波形を示す線図である。
Claims (4)
- プライムカラーに発光の極大を有することを特徴とする有機EL素子。
- 少なくともプライムカラーに反射率の極小を有する請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記少なくともプライムカラーに反射率の極小を有するという前記有機EL素子の反射機能は、少なくともプライムカラーに反射率の極小を有する反射防止膜を貼付することによって得られる請求項2に記載の有機EL素子。
- 少なくともプライムカラーに反射率の極小を有し、かつ、補助光源が、プライムカラーに発光の極大を有する有機EL素子であることを特徴とする有機EL素子を用いた液晶モニタ。
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Cited By (2)
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2002
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