JP2004127438A - 情報記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可搬性と耐衝撃性に優れると共に、自励振動を抑制してシーク性能を向上させることができる情報記憶装置を提供する。
【解決手段】機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部を内部に収容する第1の筐体2と、この第1の筐体2を内部に収容する第2の筐体3とを備え、第1の筐体2が複数の緩衝部材11,12により第2の筐体3から離間して支持され、複数の緩衝部材11,12がばね定数の異なる複数種の緩衝部材11及び12から成る情報記憶装置1を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部を内部に収容する第1の筐体2と、この第1の筐体2を内部に収容する第2の筐体3とを備え、第1の筐体2が複数の緩衝部材11,12により第2の筐体3から離間して支持され、複数の緩衝部材11,12がばね定数の異なる複数種の緩衝部材11及び12から成る情報記憶装置1を構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体等ハードディスク駆動機構部を筐体(カートリッジ)内に収納してパッケージ化して機器本体に対して着脱可能とした情報記憶装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクドライブ装置(HDD)は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、データやプログラムの書き込みや、記録されているデータの等の読み込みが行われる記録再生装置として重要な役割を果たしている。
【0003】
さらに、テレビ等の映像機器やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に対して、必要な情報を記録したり再生したりするために、ハードディスクドライブ装置等の記録再生装置、即ち情報記憶装置を内蔵させることが広く行われるようになってきている。
【0004】
このような場合、これまで一般的には、上述した映像機器や情報処理装置等、情報記憶装置を内蔵させる装置に対して、その筐体の背面等外部から目立たない箇所に、例えば筐体で覆った情報記憶装置(ハードディスク装置等)をマウントする場所が予め設けられた構成としていた。
そして、ユーザーにより、このような場所を利用して、ネジ止め等により情報記憶装置の装着を行うようにしている。
【0005】
さらに、HDDは、情報処理装置等の本体に内蔵されるばかりでなく、情報処理装置本体に対して着脱自在とされる、いわゆるデタッチャブルの拡張機器である小型の情報記憶装置としての用途も検討されている。
そして、このような情報記憶装置は、必要に応じて情報処理装置本体から取り外され、それ自体携帯されたり、情報処理装置本体とは別個に保管されたり、さらには他の電子機器で利用されたりする。さらには、携帯用機器に装着されて使用される。
【0006】
このような情報記憶装置として、可搬性をもたせるように、HDDの駆動機構部を筺体に収納してカートリッジ形式とした構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特公平6−66111号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカートリッジ形式の情報記憶装置においては、上述したような携帯等の際に、情報記録装置を誤って落下させてしまい、この落下時の衝撃によりデータや媒体が損傷する問題に対応するために、カートリッジの外筐体と、記録媒体が収納された駆動機構部との間に衝撃吸収材が設けられている。
【0009】
しかしながら、従来設けられている衝撃吸収材は、情報記憶装置に加わる衝撃や振動を吸収する目的に対して、充分な効果が得られていない。
【0010】
さらに、近年、HDDに使用される磁気ディスク等の記録媒体の高性能化に伴い、記録密度が向上しディスクの高速回転化すること等に対応して、動作時における自励振動による問題が発生する。
即ち、HDDの駆動機構部の外筐体への支持構造によっては、駆動機構部自身の動作に伴う振動により、駆動機構部の性能、例えば磁気ヘッドのシーク性能に影響を与えてしまう。
【0011】
上述した問題の解決のために、本発明においては、可搬性と耐衝撃性に優れると共に、自励振動を抑制してシーク性能を向上させることができる情報記憶装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記憶装置は、機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部を内部に収容する第1の筐体と、この第1の筐体を内部に収容する第2の筐体とを備え、第1の筐体が複数の緩衝部材により第2の筐体から離間して支持され、複数の緩衝部材がばね定数の異なる複数種の緩衝部材から成るものである。
【0013】
上述の本発明によれば、ハードディスク駆動機構部を収容した第1の筐体が、第2の筐体との間にある複数の緩衝部材により保護されるので、情報記憶装置を落としたりした場合にも、その振動や衝撃がハードディスク駆動機構部本体に伝わりにくくなり、ハードディスク駆動機構部の記録媒体や磁気ヘッドを損傷しにくくすることができる。
そして、緩衝部材が、ばね定数の異なる複数種の緩衝部材から成るため、相対的にばね定数の大きい緩衝部材と相対的にばね定数の小さい緩衝部材とを有しており、このうち相対的にばね定数の大きい緩衝部材により、ハードディスク駆動機構部の自励振動による振動を抑制することができる。これにより、ハードディスク駆動機構部の所定の性能(磁気ヘッドのシーク時間等)を発揮させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部を内部に収容する第1の筐体と、この第1の筐体を内部に収容する第2の筐体とを備え、第1の筐体が複数の緩衝部材により第2の筐体から離間して支持され、複数の緩衝部材がばね定数の異なる複数種の緩衝部材から成る情報記憶装置である。
【0015】
また本発明は、上記情報記憶装置において、複数の緩衝部材は、第1の筺体の互いに直交する3方向のうち少なくとも1方向において、他の方向の緩衝部材よりも大きいばね定数を有する緩衝部材が設けられている構成とする。
【0016】
また本発明は、上記情報記憶装置において、複数の緩衝部材は、第1の筐体の互いに直交する3方向をそれぞれ独立に受け持つ3種類の緩衝部材から成り、この3種類の緩衝部材のうち少なくとも1種類の緩衝部材は、他の緩衝部材とは異なるばね定数を有する構成とする。
【0017】
また本発明は、上記情報記憶装置において、ばね定数の異なる複数種の緩衝部材は、発泡の程度が異なる材料を使用したことによりばね定数が異なる構成とする。
【0018】
また本発明は、上記情報記憶装置において、ばね定数の異なる複数種の緩衝部材は、断面積が異なることによりばね定数が異なる構成とする。
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1A及び図1Bは、本発明の一実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図を示す。図1Aは情報記憶装置の要部の分解斜視図を示し、図1Bは情報記憶装置の内部を示す平面図である。
この情報記憶装置1は、ハードディスク駆動機構部2と、このハードディスク駆動機構部2を収容する外筺体3とを有してなる。
【0021】
そして、この情報記憶装置1は、容量拡張用の拡張機器として、又は大量の画像、映像等のデータやプログラムを記録する記録媒体として、パーソナルコンピュータやビデオカメラ等(以下、情報記憶装置1が接続される電子機器を単に機器本体と称して説明する。)に対して、ケーブル等を介さずに、図示しないコネクタにより直接情報記憶装置1自体が着脱自在に接続されるものである。
【0022】
ハードディスク駆動機構部が収納された内筐体(第1の筐体)即ち装置本体2の四隅には、キャップ状の緩衝部材11が配置されている。このキャップ状の緩衝部材11を装置本体2の四隅に装着し、それを図1Bに示すように外筐体(第2の筐体)3内に収納する。装置本体2と外筐体3とは、緩衝部材11を介して接するように構成される。
【0023】
装置本体2は、記録媒体(磁気ディスク等)及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段(磁気ヘッド等)を内蔵したハードディスク駆動機構部を収納するものである。
【0024】
この装置本体2は、例えば図2A〜図2Cに示すような形態とすることができる。
即ち図2A及び図2Bに示すシャーシ4Aとトップカバー4Bとから成る空間内に、図2Cに示すように回転スピンドル5に装着された磁気ディスク6と、この磁気ディスク6に対して情報の記録・再生を行う磁気ヘッド7と、この磁気ヘッド7がヘッドアーム8を介して支持されたヘッド位置決め用のアクチュエータ9とが配設されている。また、シャーシ4Aの裏面側に、上述した各部品の駆動制御や磁気ディスク6への記録・再生を制御する電子回路が搭載された配線基板10が取り付けられている。そして、この配線基板10には、磁気ヘッド9に対する記録・再生信号の入出力用とスピンドルモータ(図示せず)及びアクチュエータ9等に対する駆動電源接続用のコネクタピンPが、シャーシ4Aの一側面に位置するように取り付けられている。
尚、装置本体2は、図2A〜図2Cに示した形態に限定されず、その他の構成としてもよい。
【0025】
本実施の形態においては、特に装置本体2の図1中左右の側面に、第2の緩衝部材12が各面に2個ずつ設けられて成る。
さらに、この第2の緩衝部材12には、装置本体2の四隅に配置されたキャップ状の緩衝部材11と比較してばね定数が大きい緩衝部材を用いる。
【0026】
具体的には、例えば質量0.1kgの装置本体に対して、キャップ状の緩衝部材11に、ばね定数の小さなゲル状部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])を用いて、第2の緩衝部材12に、ばね定数の大きなゴム状部材(例えば、ばね定数7.00×105 [N/m])を用いることができる。
【0027】
ばね定数が大きい第2の緩衝部材12は、装置本体2から発生する自励振動を拘束するように働く。
【0028】
さらに、第2の緩衝部材12に、等方的かつ適度なばね定数を持つ材料を選定することによって、自励振動を特定の方向だけではなく、全方向に対して適度に拘束することができる。
【0029】
また、例えば第2の緩衝部材12を、7.00×105 [N/m]程度のばね定数とすることにより、充分な弾性を有し、落下時等の衝撃も有効に吸収することが可能となる。
さらに、第2の緩衝部材12を構成するゴム等のベース材料に、黒鉛等の粉末を練りこむことにより、緩衝部材12の振動に対する内部損失を高め、自励振動の吸収性を特に高めることも可能になる。これにより、更に良好に自励振動及び衝撃を吸収することができる。
【0030】
このように、ばね定数の大きい第2の緩衝部材12を設けたことにより、全ての緩衝部材をばね定数の小さな緩衝部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])で構成した場合と比較して、第2の緩衝部材12によって自励振動を抑制でき、一定の耐衝撃性を確保しながらアクセス時間を短縮することができる。
【0031】
一方、比較例の情報記憶装置の要部の分解斜視図を図8に示す。図8に示す情報記憶装置は、ハードディスク駆動機構部が収納された内筐体即ち装置本体2の四隅に、キャップ状の緩衝部材11が配置されている構成である。このキャップ状の緩衝部材11を装置本体2の四隅に装着し、それを外筐体(図1Bの外筐体3と同様の構成)内に収納する。装置本体2と外筐体とは、緩衝部材11を介して接するように構成される。
緩衝部材11には、例えばゲル状部材やゴム状部材が用いられることが多い。この情報記憶装置の構成によれば、外筺体に加わった衝撃は緩衝部材11により吸収されるので、装置本体2に加わる衝撃を低減することができる。
【0032】
このように緩衝部材11に支持された装置本体2の振動は、ばねと質量が構成する振動系でモデル化することができる。
そして、振動の共振周波数fは、緩衝部材11の等価ばね定数K及び装置本体2の質量Mから、次式(1)により求められる。
2πf=√(K/M) (1)
【0033】
このとき、周波数応答、即ち振動の周波数と振動伝達率との関係は、図9に示すようになる。
図9からわかるように、共振周波数fよりも高い周波数の振動に対しては、振動伝達率が低くなるため、応答が小さくなり、振動の吸収が起こる。
そして、図9から、ある周波数の衝撃を吸収させようとした場合には、共振周波数fをなるべく小さくするよう構成すれば、吸収がより大きくなることがわかる。
さらに、前述した式(1)より、質量Mの物体をばね定数Kの緩衝部材で支持したときに、その共振周波数fを小さくするには、ばね定数Kを小さくする以外に方法はないことがわかる。
【0034】
従って、充分に衝撃を吸収するには、なるべくばね定数Kの小さな、つまりは柔らかい緩衝部材を用いることが重要である。
しかし、あまり柔らかい緩衝部材を用いると、記録装置本体内のスピンドルの回転動作や磁気ヘッドのシーク動作により、記録装置本体に自励振動が生じてしまい、その結果シーク時間が長くなる等の性能低下を招く。
このため、図8に示す比較例の構成では、ばね定数が同じ1種類の緩衝部材11のみを用いていることから、耐衝撃性と自励振動の低減を高レベルで両立することが難しい。
【0035】
ここで、図1に示した本実施の形態の情報記憶装置において、ディスクに対する磁気ヘッドのアクセス時間の分布を測定し、その測定結果を図3Aに示す。
また、図8に示した比較例の情報記憶装置において、同様にアクセス時間の分布を測定し、その測定結果を図3Bに示す。
図3Bより、比較例の情報記憶装置は、アクセス時間の分布が広く、アクセス時間が70ms程度と長くなる場合もあることがわかる。
一方、図3Aより、本実施の形態の情報記憶装置1では、図3Bと比較して、アクセス時間が短い所に集中していることが分かる。これは、ばね定数の大きい第2の緩衝部材12により、装置本体2の自励振動による磁気ヘッドの位置決めの失敗をなくすことができるためと考えられる。
【0036】
上述の本実施の形態の情報記憶装置1によれば、装置本体2の四隅に設けられたキャップ状の緩衝部材11の他に、この緩衝部材11よりもばね定数の大きい第2の緩衝部材12が設けられていることにより、キャップ状の緩衝部材11により装置本体2に加わる衝撃を吸収することができると共に、ばね定数の大きい第2の緩衝部材12により装置本体から発生する自励振動を吸収することができる。
これにより、装置本体2の自励振動による磁気ヘッドの位置決めの失敗をなくすことができ、磁気ヘッドのディスクに対するシーク時間等の性能を充分に発揮させることができる。そして、磁気ヘッドのディスクにシーク時間が短くなることにより、ディスクに対するアクセス時間が短くなる。
【0037】
続いて、本発明の情報記憶装置の他の実施の形態の概略構成図(要部の分解斜視図)を図4に示す。
図4に示す実施の形態では、互いに直交する3本の座標軸(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの方向に沿った振動・衝撃を吸収するために、装置本体2に対して3種類の緩衝部材21,22,23が配置されている。
即ち、装置本体2の図中左右の側面2Aにおいて、X軸方向に沿った振動・衝撃を吸収する第1の緩衝部材21が、各面の長手方向の両端付近に合計2個ずつ設けられている。
また、装置本体2の図中前後の側面2Bにおいて、Y軸方向に沿った振動・衝撃を吸収する第2の緩衝部材22が、各面の長手方向の両端付近に合計2個ずつ設けられている。
また、装置本体2の上下の主面2Cにおいて、Z軸方向に沿った振動・衝撃を吸収する第3の緩衝部材23が、各面の4隅付近に合計4個ずつ設けられている。
その他の構成は、先の実施の形態と同様に構成することができるものであり、詳細な説明は省略する。
【0038】
そして、特に、3種類の緩衝部材のうちの少なくとも1種類以上、例えば第2の緩衝部材22を、他の緩衝部材21,23よりもばね定数の高い緩衝部材で構成する。
具体的には、例えば、ばね定数の小さなゲル状部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])を第1及び第3の緩衝部材21,23に用い、ばね定数の大きなゴム状部材(例えば、ばね定数5.00×105 [N/m])を第2の緩衝部材22に用いればよい。
【0039】
上述の本実施によれば、3種類の緩衝部材21,22,23のうち少なくとも1種類以上を他の緩衝部材よりもばね定数の高い緩衝部材で構成したことにより、全ての緩衝部材21,22,23をばね定数の小さい緩衝部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])とした場合と比較して、ばね定数の大きい第2の緩衝部材22によって装置本体2の自励振動を抑制することができる。
これにより、緩衝部材21,22,23により一定の耐衝撃性を確保しながら、装置本体2の自励振動を抑制することができ、その結果、先の実施の形態と同様に、アクセス時間を短縮することができる。
【0040】
尚、緩衝部材21,22,23のばね定数の大小等の組み合わせは、上述した組み合わせに限定されるわけではなく、所望の性能が得られるよう適宜選択するのは言うまでも無い。
【0041】
また、例えば3種類の緩衝部材21,22,23が、いずれもばね定数の異なる緩衝部材(即ちばね定数大、ばね定数中、ばね定数小の各緩衝部材)から成る構成も可能である。
【0042】
さらに、ばね定数が小さい緩衝部材として、ゴムや樹脂材料の内部に気泡を有する発泡材料を、ばね定数が大きい緩衝部材として、ゴムや樹脂材料の内部に気泡をもたないソリッド材料を用いることが考えられる。
図5A及び図5Bに、これら発泡材料とソリッド材料の違いを図示する。
図5Aは発泡材料の構成を示し、図5Bはソリッド材料の構成を示している。
【0043】
続いて、これら発泡材料及びソリッド材料を用いて緩衝部材を構成した場合を以下に示す。
本発明の情報記憶装置のさらに他の実施の形態の概略構成図(要部の分解斜視図)を図6に示す。
図6に示すように、装置本体2に対して、その表面に緩衝部材31,32,33が設けられている。緩衝部材31,32,33の形状と位置は、図4の実施の形態の緩衝部材21,23,22とそれぞれ同様となっている。
【0044】
本実施の形態では、特に装置本体2の図中前後の側面に設けられたY軸方向の(即ちY軸方向に沿った衝撃・振動を吸収する)緩衝部材33のみに、ばね定数の高い樹脂製のソリッド材料(例えば、ばね定数7.20×105 [N/m])を用いている。一方、その他のX軸方向の(即ちX軸方向に沿った衝撃・振動を吸収する)緩衝部材31及びZ軸方向の(即ちZ軸方向に沿った衝撃・振動を吸収する)緩衝部材32には、ばね定数の低い同じ樹脂製の発泡材料(例えば、ばね定数2.05×104 [N/m])を用いている。
その他の構成は、前述した各実施の形態と同様に構成することができるものであり、詳細な説明は省略する。
【0045】
そして、ベース材料(樹脂又はゴム)に含まれる気泡の体積の割合を調整することにより、同じベース材料から、様々なばね定数を有する発泡部材を任意に得ることが可能である。これにより、多種多様の緩衝部材を構成することが可能である。
ベース材料に用いられるゴム材料としては、例えばSBR(スチレンブタジエンゴム)等のジエン系ゴムやブチルゴム等のオレフィン系ゴム等が使用できる。
【0046】
上述の本実施によれば、緩衝部材31,32,33のうち、Y軸方向の緩衝部材33にばね定数の大きいソリッド材料から成る緩衝部材を用い、他の緩衝部材31,32にばね定数の小さい発泡材料から成る緩衝部材を用いて構成したことにより、ばね定数の大きい緩衝部材33によって装置本体2の自励振動を抑制することができる。
これにより、緩衝部材31,32,33により一定の耐衝撃性を確保しながら、装置本体2の自励振動を抑制することができ、その結果、先の各実施の形態と同様に、アクセス時間を短縮することができる。
【0047】
さらには、緩衝部材の断面積により、実効的なばね定数に変化を持たせることも可能である。この場合の実施の形態を以下に示す。
本発明の別の実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)を図7に示す。
【0048】
本実施の形態では、装置本体2の図中前後の側面に設けられたY軸方向の緩衝部材に、ばね定数が大きいソリッド材料から成る緩衝部材33を用いている。
また、装置本体2の上下の主面に設けられたZ軸方向の緩衝部材に、ばね定数の小さい発泡材料から成る緩衝部材34を用いている。
【0049】
さらに、本実施の形態では、特に装置本体2の図中左右の側面に、長手方向の端部を除く大部分にわたるように柱状に形成された、発泡材料から成る緩衝部材34を設けて、X軸方向の緩衝部材を構成している。
発泡材料から成る緩衝部材は、同じ体積で比較すると、ソリッド材料から成る緩衝部材よりもばね定数が小さくなる。その一方で、図7に示すこの緩衝部材34のように、衝撃・振動を受け止める断面積を広く大きくすると、同じ材料を使用していても、ばね定数を大きくすることができる。これにより、ソリッド材料から成る緩衝部材33と同様に高いばね定数とすることも可能になる。
その他の構成は図6に示した実施の形態と同様であるので、重複説明は省略する。
【0050】
上述の本実施によれば、緩衝部材32,33,34のうち、Y軸方向の緩衝部材にばね定数の大きいソリッド材料から成る緩衝部材33を用い、X軸方向の緩衝部材にばね定数の大きい断面積が広い緩衝部材34を用い、Z軸方向の緩衝部材にばね定数の小さい断面積が小さく発泡材料から成る緩衝部材32を用いて構成したことにより、ばね定数の大きい緩衝部材33,34によって装置本体2の自励振動を抑制することができる。
これにより、緩衝部材32,33,34により一定の耐衝撃性を確保しながら、装置本体2の自励振動を抑制することができ、その結果、先の各実施の形態と同様に、アクセス時間を短縮することができる。
【0051】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0052】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、ばね定数の異なる複数種類の緩衝部材を設けたことにより、可搬性と耐衝撃性に優れ、シーク性能を向上させることができる情報記憶装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の情報記憶装置の概略構成図である。
A 情報記憶装置の要部の分解斜視図である。
B 情報記憶装置の内部を示す平面図である。
【図2】A〜C 図1の装置本体の一形態を示す概略構成図である。
【図3】A 図1の情報記憶装置のアクセス時間の分布を測定した結果を示す図である。
B 比較例の情報記憶装置のアクセス時間の分布を測定した結果を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)である。
【図5】A 発泡材料の構成を示す断面図である。
B ソリッド材料の構成を示す断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)である。
【図7】本発明の別の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)である。
【図8】比較例の情報記憶装置の要部の分解斜視図である。
【図9】振動の周波数と振動伝達率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 情報記憶装置、2 装置本体、3 外筐体、11,12,21,22,23緩衝部材、31,33,34 (発泡材料から成る)緩衝部材、33 (ソリッド材料から成る)緩衝部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体等ハードディスク駆動機構部を筐体(カートリッジ)内に収納してパッケージ化して機器本体に対して着脱可能とした情報記憶装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクドライブ装置(HDD)は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、データやプログラムの書き込みや、記録されているデータの等の読み込みが行われる記録再生装置として重要な役割を果たしている。
【0003】
さらに、テレビ等の映像機器やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に対して、必要な情報を記録したり再生したりするために、ハードディスクドライブ装置等の記録再生装置、即ち情報記憶装置を内蔵させることが広く行われるようになってきている。
【0004】
このような場合、これまで一般的には、上述した映像機器や情報処理装置等、情報記憶装置を内蔵させる装置に対して、その筐体の背面等外部から目立たない箇所に、例えば筐体で覆った情報記憶装置(ハードディスク装置等)をマウントする場所が予め設けられた構成としていた。
そして、ユーザーにより、このような場所を利用して、ネジ止め等により情報記憶装置の装着を行うようにしている。
【0005】
さらに、HDDは、情報処理装置等の本体に内蔵されるばかりでなく、情報処理装置本体に対して着脱自在とされる、いわゆるデタッチャブルの拡張機器である小型の情報記憶装置としての用途も検討されている。
そして、このような情報記憶装置は、必要に応じて情報処理装置本体から取り外され、それ自体携帯されたり、情報処理装置本体とは別個に保管されたり、さらには他の電子機器で利用されたりする。さらには、携帯用機器に装着されて使用される。
【0006】
このような情報記憶装置として、可搬性をもたせるように、HDDの駆動機構部を筺体に収納してカートリッジ形式とした構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特公平6−66111号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカートリッジ形式の情報記憶装置においては、上述したような携帯等の際に、情報記録装置を誤って落下させてしまい、この落下時の衝撃によりデータや媒体が損傷する問題に対応するために、カートリッジの外筐体と、記録媒体が収納された駆動機構部との間に衝撃吸収材が設けられている。
【0009】
しかしながら、従来設けられている衝撃吸収材は、情報記憶装置に加わる衝撃や振動を吸収する目的に対して、充分な効果が得られていない。
【0010】
さらに、近年、HDDに使用される磁気ディスク等の記録媒体の高性能化に伴い、記録密度が向上しディスクの高速回転化すること等に対応して、動作時における自励振動による問題が発生する。
即ち、HDDの駆動機構部の外筐体への支持構造によっては、駆動機構部自身の動作に伴う振動により、駆動機構部の性能、例えば磁気ヘッドのシーク性能に影響を与えてしまう。
【0011】
上述した問題の解決のために、本発明においては、可搬性と耐衝撃性に優れると共に、自励振動を抑制してシーク性能を向上させることができる情報記憶装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記憶装置は、機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部を内部に収容する第1の筐体と、この第1の筐体を内部に収容する第2の筐体とを備え、第1の筐体が複数の緩衝部材により第2の筐体から離間して支持され、複数の緩衝部材がばね定数の異なる複数種の緩衝部材から成るものである。
【0013】
上述の本発明によれば、ハードディスク駆動機構部を収容した第1の筐体が、第2の筐体との間にある複数の緩衝部材により保護されるので、情報記憶装置を落としたりした場合にも、その振動や衝撃がハードディスク駆動機構部本体に伝わりにくくなり、ハードディスク駆動機構部の記録媒体や磁気ヘッドを損傷しにくくすることができる。
そして、緩衝部材が、ばね定数の異なる複数種の緩衝部材から成るため、相対的にばね定数の大きい緩衝部材と相対的にばね定数の小さい緩衝部材とを有しており、このうち相対的にばね定数の大きい緩衝部材により、ハードディスク駆動機構部の自励振動による振動を抑制することができる。これにより、ハードディスク駆動機構部の所定の性能(磁気ヘッドのシーク時間等)を発揮させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部を内部に収容する第1の筐体と、この第1の筐体を内部に収容する第2の筐体とを備え、第1の筐体が複数の緩衝部材により第2の筐体から離間して支持され、複数の緩衝部材がばね定数の異なる複数種の緩衝部材から成る情報記憶装置である。
【0015】
また本発明は、上記情報記憶装置において、複数の緩衝部材は、第1の筺体の互いに直交する3方向のうち少なくとも1方向において、他の方向の緩衝部材よりも大きいばね定数を有する緩衝部材が設けられている構成とする。
【0016】
また本発明は、上記情報記憶装置において、複数の緩衝部材は、第1の筐体の互いに直交する3方向をそれぞれ独立に受け持つ3種類の緩衝部材から成り、この3種類の緩衝部材のうち少なくとも1種類の緩衝部材は、他の緩衝部材とは異なるばね定数を有する構成とする。
【0017】
また本発明は、上記情報記憶装置において、ばね定数の異なる複数種の緩衝部材は、発泡の程度が異なる材料を使用したことによりばね定数が異なる構成とする。
【0018】
また本発明は、上記情報記憶装置において、ばね定数の異なる複数種の緩衝部材は、断面積が異なることによりばね定数が異なる構成とする。
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1A及び図1Bは、本発明の一実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図を示す。図1Aは情報記憶装置の要部の分解斜視図を示し、図1Bは情報記憶装置の内部を示す平面図である。
この情報記憶装置1は、ハードディスク駆動機構部2と、このハードディスク駆動機構部2を収容する外筺体3とを有してなる。
【0021】
そして、この情報記憶装置1は、容量拡張用の拡張機器として、又は大量の画像、映像等のデータやプログラムを記録する記録媒体として、パーソナルコンピュータやビデオカメラ等(以下、情報記憶装置1が接続される電子機器を単に機器本体と称して説明する。)に対して、ケーブル等を介さずに、図示しないコネクタにより直接情報記憶装置1自体が着脱自在に接続されるものである。
【0022】
ハードディスク駆動機構部が収納された内筐体(第1の筐体)即ち装置本体2の四隅には、キャップ状の緩衝部材11が配置されている。このキャップ状の緩衝部材11を装置本体2の四隅に装着し、それを図1Bに示すように外筐体(第2の筐体)3内に収納する。装置本体2と外筐体3とは、緩衝部材11を介して接するように構成される。
【0023】
装置本体2は、記録媒体(磁気ディスク等)及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段(磁気ヘッド等)を内蔵したハードディスク駆動機構部を収納するものである。
【0024】
この装置本体2は、例えば図2A〜図2Cに示すような形態とすることができる。
即ち図2A及び図2Bに示すシャーシ4Aとトップカバー4Bとから成る空間内に、図2Cに示すように回転スピンドル5に装着された磁気ディスク6と、この磁気ディスク6に対して情報の記録・再生を行う磁気ヘッド7と、この磁気ヘッド7がヘッドアーム8を介して支持されたヘッド位置決め用のアクチュエータ9とが配設されている。また、シャーシ4Aの裏面側に、上述した各部品の駆動制御や磁気ディスク6への記録・再生を制御する電子回路が搭載された配線基板10が取り付けられている。そして、この配線基板10には、磁気ヘッド9に対する記録・再生信号の入出力用とスピンドルモータ(図示せず)及びアクチュエータ9等に対する駆動電源接続用のコネクタピンPが、シャーシ4Aの一側面に位置するように取り付けられている。
尚、装置本体2は、図2A〜図2Cに示した形態に限定されず、その他の構成としてもよい。
【0025】
本実施の形態においては、特に装置本体2の図1中左右の側面に、第2の緩衝部材12が各面に2個ずつ設けられて成る。
さらに、この第2の緩衝部材12には、装置本体2の四隅に配置されたキャップ状の緩衝部材11と比較してばね定数が大きい緩衝部材を用いる。
【0026】
具体的には、例えば質量0.1kgの装置本体に対して、キャップ状の緩衝部材11に、ばね定数の小さなゲル状部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])を用いて、第2の緩衝部材12に、ばね定数の大きなゴム状部材(例えば、ばね定数7.00×105 [N/m])を用いることができる。
【0027】
ばね定数が大きい第2の緩衝部材12は、装置本体2から発生する自励振動を拘束するように働く。
【0028】
さらに、第2の緩衝部材12に、等方的かつ適度なばね定数を持つ材料を選定することによって、自励振動を特定の方向だけではなく、全方向に対して適度に拘束することができる。
【0029】
また、例えば第2の緩衝部材12を、7.00×105 [N/m]程度のばね定数とすることにより、充分な弾性を有し、落下時等の衝撃も有効に吸収することが可能となる。
さらに、第2の緩衝部材12を構成するゴム等のベース材料に、黒鉛等の粉末を練りこむことにより、緩衝部材12の振動に対する内部損失を高め、自励振動の吸収性を特に高めることも可能になる。これにより、更に良好に自励振動及び衝撃を吸収することができる。
【0030】
このように、ばね定数の大きい第2の緩衝部材12を設けたことにより、全ての緩衝部材をばね定数の小さな緩衝部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])で構成した場合と比較して、第2の緩衝部材12によって自励振動を抑制でき、一定の耐衝撃性を確保しながらアクセス時間を短縮することができる。
【0031】
一方、比較例の情報記憶装置の要部の分解斜視図を図8に示す。図8に示す情報記憶装置は、ハードディスク駆動機構部が収納された内筐体即ち装置本体2の四隅に、キャップ状の緩衝部材11が配置されている構成である。このキャップ状の緩衝部材11を装置本体2の四隅に装着し、それを外筐体(図1Bの外筐体3と同様の構成)内に収納する。装置本体2と外筐体とは、緩衝部材11を介して接するように構成される。
緩衝部材11には、例えばゲル状部材やゴム状部材が用いられることが多い。この情報記憶装置の構成によれば、外筺体に加わった衝撃は緩衝部材11により吸収されるので、装置本体2に加わる衝撃を低減することができる。
【0032】
このように緩衝部材11に支持された装置本体2の振動は、ばねと質量が構成する振動系でモデル化することができる。
そして、振動の共振周波数fは、緩衝部材11の等価ばね定数K及び装置本体2の質量Mから、次式(1)により求められる。
2πf=√(K/M) (1)
【0033】
このとき、周波数応答、即ち振動の周波数と振動伝達率との関係は、図9に示すようになる。
図9からわかるように、共振周波数fよりも高い周波数の振動に対しては、振動伝達率が低くなるため、応答が小さくなり、振動の吸収が起こる。
そして、図9から、ある周波数の衝撃を吸収させようとした場合には、共振周波数fをなるべく小さくするよう構成すれば、吸収がより大きくなることがわかる。
さらに、前述した式(1)より、質量Mの物体をばね定数Kの緩衝部材で支持したときに、その共振周波数fを小さくするには、ばね定数Kを小さくする以外に方法はないことがわかる。
【0034】
従って、充分に衝撃を吸収するには、なるべくばね定数Kの小さな、つまりは柔らかい緩衝部材を用いることが重要である。
しかし、あまり柔らかい緩衝部材を用いると、記録装置本体内のスピンドルの回転動作や磁気ヘッドのシーク動作により、記録装置本体に自励振動が生じてしまい、その結果シーク時間が長くなる等の性能低下を招く。
このため、図8に示す比較例の構成では、ばね定数が同じ1種類の緩衝部材11のみを用いていることから、耐衝撃性と自励振動の低減を高レベルで両立することが難しい。
【0035】
ここで、図1に示した本実施の形態の情報記憶装置において、ディスクに対する磁気ヘッドのアクセス時間の分布を測定し、その測定結果を図3Aに示す。
また、図8に示した比較例の情報記憶装置において、同様にアクセス時間の分布を測定し、その測定結果を図3Bに示す。
図3Bより、比較例の情報記憶装置は、アクセス時間の分布が広く、アクセス時間が70ms程度と長くなる場合もあることがわかる。
一方、図3Aより、本実施の形態の情報記憶装置1では、図3Bと比較して、アクセス時間が短い所に集中していることが分かる。これは、ばね定数の大きい第2の緩衝部材12により、装置本体2の自励振動による磁気ヘッドの位置決めの失敗をなくすことができるためと考えられる。
【0036】
上述の本実施の形態の情報記憶装置1によれば、装置本体2の四隅に設けられたキャップ状の緩衝部材11の他に、この緩衝部材11よりもばね定数の大きい第2の緩衝部材12が設けられていることにより、キャップ状の緩衝部材11により装置本体2に加わる衝撃を吸収することができると共に、ばね定数の大きい第2の緩衝部材12により装置本体から発生する自励振動を吸収することができる。
これにより、装置本体2の自励振動による磁気ヘッドの位置決めの失敗をなくすことができ、磁気ヘッドのディスクに対するシーク時間等の性能を充分に発揮させることができる。そして、磁気ヘッドのディスクにシーク時間が短くなることにより、ディスクに対するアクセス時間が短くなる。
【0037】
続いて、本発明の情報記憶装置の他の実施の形態の概略構成図(要部の分解斜視図)を図4に示す。
図4に示す実施の形態では、互いに直交する3本の座標軸(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの方向に沿った振動・衝撃を吸収するために、装置本体2に対して3種類の緩衝部材21,22,23が配置されている。
即ち、装置本体2の図中左右の側面2Aにおいて、X軸方向に沿った振動・衝撃を吸収する第1の緩衝部材21が、各面の長手方向の両端付近に合計2個ずつ設けられている。
また、装置本体2の図中前後の側面2Bにおいて、Y軸方向に沿った振動・衝撃を吸収する第2の緩衝部材22が、各面の長手方向の両端付近に合計2個ずつ設けられている。
また、装置本体2の上下の主面2Cにおいて、Z軸方向に沿った振動・衝撃を吸収する第3の緩衝部材23が、各面の4隅付近に合計4個ずつ設けられている。
その他の構成は、先の実施の形態と同様に構成することができるものであり、詳細な説明は省略する。
【0038】
そして、特に、3種類の緩衝部材のうちの少なくとも1種類以上、例えば第2の緩衝部材22を、他の緩衝部材21,23よりもばね定数の高い緩衝部材で構成する。
具体的には、例えば、ばね定数の小さなゲル状部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])を第1及び第3の緩衝部材21,23に用い、ばね定数の大きなゴム状部材(例えば、ばね定数5.00×105 [N/m])を第2の緩衝部材22に用いればよい。
【0039】
上述の本実施によれば、3種類の緩衝部材21,22,23のうち少なくとも1種類以上を他の緩衝部材よりもばね定数の高い緩衝部材で構成したことにより、全ての緩衝部材21,22,23をばね定数の小さい緩衝部材(例えば、ばね定数1.95×104 [N/m])とした場合と比較して、ばね定数の大きい第2の緩衝部材22によって装置本体2の自励振動を抑制することができる。
これにより、緩衝部材21,22,23により一定の耐衝撃性を確保しながら、装置本体2の自励振動を抑制することができ、その結果、先の実施の形態と同様に、アクセス時間を短縮することができる。
【0040】
尚、緩衝部材21,22,23のばね定数の大小等の組み合わせは、上述した組み合わせに限定されるわけではなく、所望の性能が得られるよう適宜選択するのは言うまでも無い。
【0041】
また、例えば3種類の緩衝部材21,22,23が、いずれもばね定数の異なる緩衝部材(即ちばね定数大、ばね定数中、ばね定数小の各緩衝部材)から成る構成も可能である。
【0042】
さらに、ばね定数が小さい緩衝部材として、ゴムや樹脂材料の内部に気泡を有する発泡材料を、ばね定数が大きい緩衝部材として、ゴムや樹脂材料の内部に気泡をもたないソリッド材料を用いることが考えられる。
図5A及び図5Bに、これら発泡材料とソリッド材料の違いを図示する。
図5Aは発泡材料の構成を示し、図5Bはソリッド材料の構成を示している。
【0043】
続いて、これら発泡材料及びソリッド材料を用いて緩衝部材を構成した場合を以下に示す。
本発明の情報記憶装置のさらに他の実施の形態の概略構成図(要部の分解斜視図)を図6に示す。
図6に示すように、装置本体2に対して、その表面に緩衝部材31,32,33が設けられている。緩衝部材31,32,33の形状と位置は、図4の実施の形態の緩衝部材21,23,22とそれぞれ同様となっている。
【0044】
本実施の形態では、特に装置本体2の図中前後の側面に設けられたY軸方向の(即ちY軸方向に沿った衝撃・振動を吸収する)緩衝部材33のみに、ばね定数の高い樹脂製のソリッド材料(例えば、ばね定数7.20×105 [N/m])を用いている。一方、その他のX軸方向の(即ちX軸方向に沿った衝撃・振動を吸収する)緩衝部材31及びZ軸方向の(即ちZ軸方向に沿った衝撃・振動を吸収する)緩衝部材32には、ばね定数の低い同じ樹脂製の発泡材料(例えば、ばね定数2.05×104 [N/m])を用いている。
その他の構成は、前述した各実施の形態と同様に構成することができるものであり、詳細な説明は省略する。
【0045】
そして、ベース材料(樹脂又はゴム)に含まれる気泡の体積の割合を調整することにより、同じベース材料から、様々なばね定数を有する発泡部材を任意に得ることが可能である。これにより、多種多様の緩衝部材を構成することが可能である。
ベース材料に用いられるゴム材料としては、例えばSBR(スチレンブタジエンゴム)等のジエン系ゴムやブチルゴム等のオレフィン系ゴム等が使用できる。
【0046】
上述の本実施によれば、緩衝部材31,32,33のうち、Y軸方向の緩衝部材33にばね定数の大きいソリッド材料から成る緩衝部材を用い、他の緩衝部材31,32にばね定数の小さい発泡材料から成る緩衝部材を用いて構成したことにより、ばね定数の大きい緩衝部材33によって装置本体2の自励振動を抑制することができる。
これにより、緩衝部材31,32,33により一定の耐衝撃性を確保しながら、装置本体2の自励振動を抑制することができ、その結果、先の各実施の形態と同様に、アクセス時間を短縮することができる。
【0047】
さらには、緩衝部材の断面積により、実効的なばね定数に変化を持たせることも可能である。この場合の実施の形態を以下に示す。
本発明の別の実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)を図7に示す。
【0048】
本実施の形態では、装置本体2の図中前後の側面に設けられたY軸方向の緩衝部材に、ばね定数が大きいソリッド材料から成る緩衝部材33を用いている。
また、装置本体2の上下の主面に設けられたZ軸方向の緩衝部材に、ばね定数の小さい発泡材料から成る緩衝部材34を用いている。
【0049】
さらに、本実施の形態では、特に装置本体2の図中左右の側面に、長手方向の端部を除く大部分にわたるように柱状に形成された、発泡材料から成る緩衝部材34を設けて、X軸方向の緩衝部材を構成している。
発泡材料から成る緩衝部材は、同じ体積で比較すると、ソリッド材料から成る緩衝部材よりもばね定数が小さくなる。その一方で、図7に示すこの緩衝部材34のように、衝撃・振動を受け止める断面積を広く大きくすると、同じ材料を使用していても、ばね定数を大きくすることができる。これにより、ソリッド材料から成る緩衝部材33と同様に高いばね定数とすることも可能になる。
その他の構成は図6に示した実施の形態と同様であるので、重複説明は省略する。
【0050】
上述の本実施によれば、緩衝部材32,33,34のうち、Y軸方向の緩衝部材にばね定数の大きいソリッド材料から成る緩衝部材33を用い、X軸方向の緩衝部材にばね定数の大きい断面積が広い緩衝部材34を用い、Z軸方向の緩衝部材にばね定数の小さい断面積が小さく発泡材料から成る緩衝部材32を用いて構成したことにより、ばね定数の大きい緩衝部材33,34によって装置本体2の自励振動を抑制することができる。
これにより、緩衝部材32,33,34により一定の耐衝撃性を確保しながら、装置本体2の自励振動を抑制することができ、その結果、先の各実施の形態と同様に、アクセス時間を短縮することができる。
【0051】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0052】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、ばね定数の異なる複数種類の緩衝部材を設けたことにより、可搬性と耐衝撃性に優れ、シーク性能を向上させることができる情報記憶装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の情報記憶装置の概略構成図である。
A 情報記憶装置の要部の分解斜視図である。
B 情報記憶装置の内部を示す平面図である。
【図2】A〜C 図1の装置本体の一形態を示す概略構成図である。
【図3】A 図1の情報記憶装置のアクセス時間の分布を測定した結果を示す図である。
B 比較例の情報記憶装置のアクセス時間の分布を測定した結果を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)である。
【図5】A 発泡材料の構成を示す断面図である。
B ソリッド材料の構成を示す断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)である。
【図7】本発明の別の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(要部の分解斜視図)である。
【図8】比較例の情報記憶装置の要部の分解斜視図である。
【図9】振動の周波数と振動伝達率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 情報記憶装置、2 装置本体、3 外筐体、11,12,21,22,23緩衝部材、31,33,34 (発泡材料から成る)緩衝部材、33 (ソリッド材料から成る)緩衝部材
Claims (5)
- 機器本体に対して着脱自在とされる情報記憶装置であって、
記録媒体及び該記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、
上記ハードディスク駆動機構部を内部に収容する第1の筐体と、
上記第1の筐体を内部に収容する第2の筐体とを備え、
上記第1の筐体が複数の緩衝部材により上記第2の筐体から離間して支持され、
上記複数の緩衝部材は、ばね定数の異なる複数種の緩衝部材から成る
ことを特徴とする情報記憶装置。 - 上記複数の緩衝部材は、上記第1の筺体の互いに直交する3方向のうち少なくとも1方向において、他の方向の緩衝部材よりも大きいばね定数を有する緩衝部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
- 上記複数の緩衝部材は、上記第1の筐体の互いに直交する3方向をそれぞれ独立に受け持つ3種類の緩衝部材から成り、該3種類の緩衝部材のうち少なくとも1種類の緩衝部材は、他の緩衝部材とは異なるばね定数を有することを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
- 上記ばね定数の異なる複数種の緩衝部材は、発泡の程度が異なる材料を使用したことにより上記ばね定数が異なることを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
- 上記ばね定数の異なる複数種の緩衝部材は、断面積が異なることにより、上記ばね定数が異なることを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009009645A (ja) * | 2007-06-28 | 2009-01-15 | Nec Corp | 緩衝装置及びそれを使用する電子機器 |
JP2012243371A (ja) * | 2011-05-23 | 2012-12-10 | Polymatech Co Ltd | 発泡緩衝体および被着体機器の緩衝構造 |
-
2002
- 2002-10-03 JP JP2002291393A patent/JP2004127438A/ja active Pending
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